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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/26 20060101AFI20240610BHJP
   G05G 1/04 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
E02F9/26 A
G05G1/04 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021106765
(22)【出願日】2021-06-28
(65)【公開番号】P2023005072
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】黒下 佳彦
(72)【発明者】
【氏名】寳来 昂平
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-003365(JP,U)
【文献】特開2002-293272(JP,A)
【文献】特開2009-234366(JP,A)
【文献】国際公開第2011/074672(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/26
G05G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作可能な操作部材と、
情報を表示する表示装置と、
制御部と、を備え、
前記操作部材は、操作スイッチを含むスイッチ回路を有する操作具が装着可能であり、
前記制御部は、前記操作部材の前記スイッチ回路と接続ケーブルを介して電気的に接続され、前記スイッチ回路からの信号が所定の規定値である場合に、前記操作具の装着を示す表示を前記表示装置に表示させる作業車両。
【請求項2】
前記表示装置は、前記操作具に配置された発光素子であり、
前記制御部は、前記スイッチ回路からの信号が前記規定値である場合に、前記操作具の装着を示す表示として前記発光素子を予め定められた表示態様で表示させる請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記表示装置は、当該作業車両に関する情報を表示画面に表示するものであり、
前記制御部は、前記スイッチ回路からの信号が前記規定値である場合に、前記操作具の装着を示す表示を前記表示画面に表示させる請求項1に記載の作業車両。
【請求項4】
前記制御部は、前記操作具の前記操作スイッチがオフ状態であるときの当該操作スイッチの前記スイッチ回路からの信号が前記規定値である場合に、前記操作具の装着ありと判定し、前記規定値以外の値である場合に、前記操作具の装着なしと判定する請求項1~3のいずれかに記載の作業車両。
【請求項5】
前記操作具の装着の有無が予め設定される設定部を備え、
前記制御部は、(A1)前記設定部において前記操作具の装着が有りと設定され、且つ、前記スイッチ回路からの信号が前記規定値である場合に、前記操作具の装着を示す第1表示を前記表示装置に表示させ、(A2)前記設定部において前記操作具の装着が有りと設定され、且つ、前記スイッチ回路からの信号が前記規定値以外の値である場合に、前記操作具の非装着を示す第2表示を前記表示装置に表示させる請求項1~4のいずれかに記載の作業車両。
【請求項6】
前記制御部は、(A3)前記設定部において前記操作具の装着がなしと設定され、且つ、前記スイッチ回路からの信号が前記規定値である場合に、前記操作具の誤装着を示す第3表示を前記表示装置に表示させ、(A4)前記設定部において前記操作具の装着がなしと設定され、且つ、前記スイッチ回路からの信号が前記規定値以外の値である場合に、前記操作具が不要であることを示す第4表示を前記表示装置に表示させる請求項5に記載の作業車両。
【請求項7】
前記制御部は、特定操作がされた場合に、前記スイッチ回路からの信号が前記規定値であるか否かを確認し、前記特定操作がされていない場合に、前記スイッチ回路からの信号が前記規定値であるか否かの確認をしない請求項1~6のいずれかに記載の作業車両。
【請求項8】
前記制御部は、(B1)前記特定操作がされた場合、前記表示装置のモードをディーラーモードに設定し、前記スイッチ回路からの信号が前記規定値であるか否かを確認し、前記スイッチ回路からの信号が前記規定値であれば、前記操作具の装着を示す表示を、前記ディーラーモードの前記表示装置に表示させ、(B2)前記特定操作がされていない場合又は前記ディーラーモードが終了された場合に、前記表示装置のモードをユーザーモードに設定し、前記スイッチ回路からの信号が前記規定値であるか否かを確認することなく、前記操作具の機能に関する表示を、前記ユーザーモードの前記表示装置に表示させる請求項7に記載の作業車両。
【請求項9】
前記操作具の装着の有無が予め設定される設定部を備え、
前記操作具は、前記スイッチ回路を複数有し、
前記設定部は、前記操作具の装着の有無の設定以外に、複数の前記スイッチ回路ごとに機能割り当ての有無が予め設定され、
前記制御部は、前記操作具の装着を示す表示を前記表示装置に表示させた後に、複数の前記スイッチ回路のうちで前記設定部において機能割り当てありに設定されているスイッチ回路を確認対象スイッチ回路とし、前記確認対象スイッチ回路の前記操作スイッチが操作されることによる前記確認対象スイッチ回路からの信号に基づいて前記操作スイッチの確認を行い、前記確認対象スイッチ回路の操作スイッチの確認結果を前記表示装置に表示させ、且つ、前記確認対象スイッチ回路からの信号に関する出力信号を外部に出力しない請求項8に記載の作業車両。
【請求項10】
前記操作部材は、揺動操作可能なレバーであり、前記操作具と、運転者が把持するグリップと、を選択して装着可能である請求項1~9のいずれか1項に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されたトラクタは、車体の先端に作業部(例えばフロントローダ)が装着され、フロントローダに作業具(例えばバケット)が装着され、運転者がローダレバーを操作することで、フロントローダの上下動及び作業具の揺動の動作をさせることができる。また、ローダレバーには、複数の操作スイッチが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-91061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記トラクタでは、作業部(例えばフロントローダ)と作業部用の操作具(例えば操作スイッチ付きのローダレバー)とが後付けされる。このため、トラクタの出荷後のディーラー(正規販売店)では、トラクタの機種の設定変更が行われることがある。例えば、トラクタの機種として、作業部と作業部用の操作具とが装備された機種に設定が変更される。しかしながら、トラクタの制御装置が操作スイッチ付きのローダレバーを認識しているか否かについては、一見して把握することができない。このため、ディーラー側において、操作スイッチ付きのローダレバー(スイッチ回路を有する操作部材)を実際に操作して、その操作の通りにトラクタ(作業車両)が動作することを確認するしかないのが現状である。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、スイッチ回路を有する操作部材が装着されていることを、操作部材を用いた実際の動作確認を行うことなく、確認することができる作業車両の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
本発明の一態様に係る作業車両は、操作可能な操作部材と、情報を表示する表示装置と、制御部とを備え、前記操作部材は、操作スイッチを含むスイッチ回路を有する操作具が装着可能であり、前記制御部は、前記操作部材の前記スイッチ回路と接続ケーブルを介して電気的に接続され、前記スイッチ回路からの信号が所定の規定値である場合に、前記操作具の装着を示す表示を前記表示装置に表示させる。
【0007】
好ましくは、前記表示装置は、前記操作具に配置された発光素子であり、前記制御部は、前記スイッチ回路からの信号が前記規定値である場合に、前記操作具の装着を示す表示として前記発光素子を予め定められた表示態様で表示させる。
好ましくは、前記表示装置は、当該作業車両に関する情報を表示画面に表示するものであり、前記制御部は、前記スイッチ回路からの信号が前記規定値である場合に、前記操作具の装着を示す表示を前記表示画面に表示させる。
好ましくは、前記制御部は、前記操作具の前記操作スイッチがオフ状態であるときの当該操作スイッチの前記スイッチ回路からの信号が前記規定値である場合に、前記操作具の装着ありと判定し、前記規定値以外の値である場合に、前記操作具の装着なしと判定する。
【0008】
好ましくは、作業車両は、前記操作具の装着の有無が予め設定される設定部を備え、前記制御部は、(A1)前記設定部において前記操作具の装着が有りと設定され、且つ、前記スイッチ回路からの信号が前記規定値である場合に、前記操作具の装着を示す第1表示を前記表示装置に表示させ、(A2)前記設定部において前記操作具の装着が有りと設定され、且つ、前記スイッチ回路からの信号が前記規定値以外の値である場合に、前記操作具の非装着を示す第2表示を前記表示装置に表示させる。
【0009】
好ましくは、前記制御部は、(A3)前記設定部において前記操作具の装着がなしと設定され、且つ、前記スイッチ回路からの信号が前記規定値である場合に、前記操作具の誤装着を示す第3表示を前記表示装置に表示させ、(A4)前記設定部において前記操作具の装着がなしと設定され、且つ、前記スイッチ回路からの信号が前記規定値以外の値である場合に、前記操作具が不要であることを示す第4表示を前記表示装置に表示させる。
好ましくは、前記制御部は、特定操作がされた場合に、前記スイッチ回路からの信号が前記規定値であるか否かを確認し、前記特定操作がされていない場合に、前記スイッチ回路からの信号が前記規定値であるか否かの確認をしない。
【0010】
好ましくは、前記制御部は、(B1)前記特定操作がされた場合、前記表示装置のモードをディーラーモードに設定し、前記スイッチ回路からの信号が前記規定値であるか否かを確認し、前記スイッチ回路からの信号が前記規定値であれば、前記操作具の装着を示す表示を、前記ディーラーモードの前記表示装置に表示させ、(B2)前記特定操作がされていない場合又は前記ディーラーモードが終了された場合に、前記表示装置のモードをユーザーモードに設定し、前記スイッチ回路からの信号が前記規定値であるか否かを確認することなく、前記操作具の機能に関する表示を、前記ユーザーモードの前記表示装置に表示させる。
【0011】
好ましくは、作業車両は、前記操作具の装着の有無が予め設定される設定部を備え、前記操作具は、前記スイッチ回路を複数有し、前記設定部は、前記操作具の装着の有無の設定以外に、複数の前記スイッチ回路ごとに機能割り当ての有無が予め設定され、前記制御部は、前記操作具の装着を示す表示を前記表示装置に表示させた後に、複数の前記スイッチ回路のうちで前記設定部において機能割り当てありに設定されているスイッチ回路を確認対象スイッチ回路とし、前記確認対象スイッチ回路の前記操作スイッチが操作されることによる前記確認対象スイッチ回路からの信号に基づいて前記操作スイッチの確認を行い、前記確認対象スイッチ回路の操作スイッチの確認結果を前記表示装置に表示させ、且つ、前記確認対象スイッチ回路からの信号に関する出力信号を外部に出力しない。
好ましくは、前記操作部材は、揺動操作可能なレバーであり、前記操作具と、運転者が把持するグリップと、を選択して装着可能である。
【発明の効果】
【0012】
上記作業車両によれば、スイッチ回路を有する操作部材が装着されていることを、操作部材を用いた実際の動作確認を行うことなく、確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】フロントローダを下げた状態の作業車両の側面図である。
図2】フロントローダを上げた状態の作業車両の側面図である。
図3】キャビンの上部周辺の前方斜視図である。
図4】キャビン内部の上方視図である。
図5】フロントローダ周辺の前方斜視図である。
図6】ローダ操作レバー周辺の後方斜視図である。
図7】制御装置の概略構成図である。
図8】ローダ操作レバーの操作部における各スイッチ回路を示す図である。
図9】データテーブルを示す図である。
図10】機能割り当てテーブルを示す図である。
図11】ローダ操作レバーに後付けされた操作部の装着の有無を確認する処理の一例を示すフローチャートである。
図12】表示装置の第1表示の一例を示す図である。
図13】設定部の設定と検出信号と表示装置の第1~第4表示との関係を示す図である。
図14】スイッチ確認処理の一例を示すフローチャートである。
図15】確認対象スイッチ回路の操作スイッチの確認結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
<作業車両>
図1及び図2は、本発明の実施形態に係る作業車両1の側面図である。本実施形態の作業車両1は、トラクタである。尚、作業車両1は、トラクタに限定されず、他の種類の作業車両であってもよい。
以下、作業車両1が前進後退する方向(図1及び図2の左右方向)を前後方向、作業車両1が前進後退する方向と水平に直交する方向(図1及び図2の手前側奥側方向)を左右方向、作業車両1が前進後退する方向と垂直に直交する方向(図1及び図2の上下方向)を上下方向として説明する。また、作業車両1の左右方向を車体2の幅方向、車体2の幅方向であって当該幅方向の中心から離れる方向を車体2の外側方、車体2の幅方向であって当該幅方向の中心に近づく方向を車体2の内側方として説明する。
【0015】
作業車両1は、車体2と、走行装置3とを備えている。車体2の前部には、フロントローダ4が装着されている。車体2は、走行可能に構成されている。詳しくは、車体2の前部には、ボンネット5が設けられている。ボンネット5の内部にはエンジン等が収容されている。車体2の後部には、クラッチハウジング、ミッションケース、昇降装置等が設けられている。走行装置3は、車体2の前部に設けられた前輪3Fと、車体2の後部に設けられた後輪3Rとを有している。尚、後輪3Rは、後輪差動装置の出力軸に支持されている。後輪3Rは、タイヤであってもよいし、クローラであってもよい。
【0016】
ボンネット5の前部には、前照灯6が設けられている。車体2の上部には、運転者が搭乗するキャビン7が設けられている。即ち、車体2には、キャビン7が搭載されている。また、車体2には、走行系及び作業系の制御を行う制御装置2Cが搭載されている。制御装置2Cは、演算部(CPU等)と記憶部(メモリ)等を備えており、記憶部に記憶されたプログラムに基づいて作業車両1の種々の制御を実行する。より具体的には、制御装置2Cは、キャビン7内に設置された種々の操作装置(操作レバー、スイッチ、ダイヤル等)を操作したときの操作信号、車体2の各所に設けられたセンサの検出信号等に基づいて作業車両1の走行系や作業系の制御を行う。例えば、制御装置2Cは、アクセルペダルセンサからの検出信号に基づくエンジンの回転数の制御、操作装置からの操作信号に基づく変速装置の変速切替に関する制御、フロントローダ4の動作に関する制御等を実行する。
【0017】
図1図3に示すように、キャビン7の上部には、ワークライト21が設けられている。ワークライト21は、車体2に設けられ、車体2の前方を照明する照明灯である。ワークライト21は、キャビン7のルーフ7Tの左前部及び右前部にそれぞれ設けられている。詳しくは、ワークライト21は、座席14を上方から覆うルーフ7Tの前部における左右位置にそれぞれ設けられており、点灯させることで、車体2の前方の作業場をキャビン7に搭乗した運転者の視点よりも上方位置から照明する。
【0018】
図4に示すように、キャビン7の内部(運転席部)7Sには、座席14と、アームレスト15と、ステアリングホイール16と、多機能操作レバー17と、ローダ操作レバー18と、表示装置54Aと、が設けられている。座席14は、キャビン7内における左右間の略中央部に設けられており、運転者は、座席14に前向きの姿勢で着座する。アームレスト15は、座席14の一側方側に隣接して設けられている。本実施形態の場合、アームレスト15は、座席14の右側に設けられている。アームレスト15は、座席14の前後方向に延設されている。表示装置54Aは、座席14の前方に位置するダッシュボードに設けられており、トラクタ(作業車両)に関する情報を表示する表示画面を有する表示装置54である。
【0019】
<フロントローダ>
図1図2、及び図5に示すように、フロントローダ4は、取付フレーム8と、ブーム9と、バケット10と、ブームシリンダ11と、バケットシリンダ12とを備えている。尚、フロントローダ4は、ブーム9及び作業具(バケット10)を有するものであれば、本実施形態に限定されない。また、作業具は、バケット10に限定されず、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノーブロア等、他の種類の作業具であってもよい。
図5に示すように、取付フレーム8は、左フレーム8Lと、右フレーム8Rとを有している。左フレーム8L及び右フレーム8Rはそれぞれ、車体2の左側及び右側に着脱可能に取り付けられる。フロントローダ4は、取付フレーム8を介して車体2に装着される。
【0020】
ブーム9は、車体2に上下揺動可能に設けられる。ブーム9は、車体2の左側に配置される左ブーム9Lと、車体2の右側に配置される右ブーム9Rとを有している。本実施形態の場合、左ブーム9L及び右ブーム9Rは、長尺の略四角筒体であり、前後方向の略中央部が鈍角に折曲する側方視略V字状に形成されている。尚、左ブーム9L及び右ブーム9Rは、略四角筒体には限定されず、他の形状であってもよい。左ブーム9Lの後端部は、左フレーム8Lに設けられた枢軸23回りに揺動可能に連結支持されている。右ブーム9Rの後端部は、右フレーム8Rに設けられた枢軸23回りに揺動可能に連結支持されている。左ブーム9L及び右ブーム9R相互は、前後方向の中央よりも前端寄りの位置で連結フレーム9Jにより連結されている。これにより、左ブーム9L及び右ブーム9Rは、枢軸23を支点として一体的に揺動する。本実施形態の場合、ブーム9(左ブーム9L、右ブーム9R)は、バケット10を車体2の前下方に配した下位置から、バケット10を車体2より上方に配した上位置までの略90度の範囲内で上下に揺動可能に構成されている。
【0021】
バケット(作業具)10は、ブーム9の前部に装着される。バケット10は、主として車体2の前方の作業場の土砂等を掬ったり、前方へ押したりするのに用いられるものであって、バケット10の後部に設けられた連結ブラケット13にて、ブーム9の前端部に設けられた枢軸24回りに揺動可能に連結支持されている。
ブームシリンダ11は、左ブーム9L及び右ブーム9Rの下面側にそれぞれ設けられ、取付フレーム8とブーム9とを連結している。ブームシリンダ11の一端部は、取付フレーム8に回動可能に枢支されている。ブームシリンダ11の他端部は、ブーム9の前後方向の中間部に回動可能に枢支されている。ブームシリンダ11は、油圧シリンダにより構成されており、伸長することによってブーム9を枢軸23回りに上方へ揺動させ、短縮することによってブーム9を枢軸23回りに下方へ揺動させる。本実施形態の場合、ブームシリンダ11に接続される油圧ホース25は、ブーム9の下縁部(ブーム下縁部)9Uに沿って配される。
【0022】
バケットシリンダ12は、左ブーム9L及び右ブーム9Rの上面側にそれぞれ設けられ、バケット10とブーム9とを連結している。バケットシリンダ12の一端部は、バケット10後部の連結ブラケット13に回動可能に枢支されている。バケットシリンダ12の他端部は、ブーム9の前後方向の中間部に回動可能に枢支されている。バケットシリンダ12は、油圧シリンダにより構成されており、伸長することによってバケット10を枢軸24回りに下方へ揺動(ダンプ動作)させ、短縮することによってバケット10を枢軸24回りに上方へ揺動(スクイ動作)させる。
【0023】
<操作装置>
ステアリングホイール16は、運転席部7Sに設けられ、作業車両1の走行方向を操作するための操舵装置である。図4に示すように、ステアリングホイール16は、座席14の前方に設けられたステアリングポスト26に回動可能に連設支持されており、ステアリングホイール16を左右に回動操作することで、前輪3Fの切れ角が調整される。
【0024】
多機能操作レバー17及びローダ操作レバー18は、作業車両1の車体2に設けられた座席14の一側方側(右側)であって、且つ座席14に座った運転者がグリップ41,43を一側方側(右側)の手で把持し操作可能な位置に配置されている。詳しくは、多機能操作レバー17は、アームレスト15の前端上部に設けられた台座27に前後揺動可能に連設されている。ローダ操作レバー18は、アームレスト15の前端右側に設けられた台座28に前後揺動可能に連設されている。これにより、運転者は、右腕をアームレスト15に乗せた姿勢で、多機能操作レバー17及びローダ操作レバー18を操作することができる。その結果、運転時の運転者の疲労度が軽減される。
【0025】
多機能操作レバー17は、作業車両1の運転席部7Sに設けられ、車体2を操作するための操作装置である。多機能操作レバー17は、図6に示すように、運転者の把持部となるグリップ41と、グリップ41を支持するレバーシャフト(図示せず)と、複数の操作スイッチ42とを備えている。多機能操作レバー17のレバーシャフトは、台座27の内部に延設される。多機能操作レバー17のグリップ41は、図示しないレバーシャフトの上延部に設けられる。多機能操作レバー17のレバーシャフトは、台座27の内部で前後揺動可能に立設されている。車体2に搭載された変速装置は、当該レバーシャフトが前後に揺動操作されたときの操作信号に基づいて変速段の切替を行うように構成されている。
【0026】
操作スイッチ42は、グリップ41に設けられ、車体2に種々の動作を実行させるための操作スイッチである。グリップ41の操作パネル部41Lには、複数の操作スイッチ42が設けられている。グリップ41の側面部及びグリップ41の裏面部にもそれぞれ操作スイッチ42が設けられている。
操作パネル部41Lに設けられた操作スイッチ42は、作業車両1の前進及び後進の切替を手動操作するためのシャトル切替スイッチ(第1シャトル切替スイッチ)42aと、車体2後部の昇降装置(図示せず)に装着された作業具の昇降を手動操作するためのポンパスイッチ42bと、自動変速のオート変速モード及びマニュアル変速モードの切替を手動操作するための自動変速切替スイッチ42cとを含む。なお、オート変速モードでは、運転者が予め設定した車速段の範囲内で電子制御により最適な車速段が自動で選択される。マニュアル変速モードでは、運転者が手動で車速段を切り換えることができる。
【0027】
グリップ41の側面部に設けられた操作スイッチ42は、変速装置の変速ユニットの切替を手動操作するための変速補助スイッチ42dである。本実施形態の場合、変速装置は、油圧の適正制御によって変速段切替時の衝撃を抑制する主変速ユニットと、通常のシンクロメッシュタイプの副変速ユニットとを有しており、変速補助スイッチ42dを押しながら、多機能操作レバー17を前後に揺動操作させることで、副変速ユニットの切替を伴う変速操作を行うことができる。一方、変速補助スイッチ42dを押さずに多機能操作レバー17を前後に揺動操作させれば、副変速ユニットの切替を伴わない主変速ユニットのみの変速操作を行うことができる。
【0028】
グリップ41の裏面部に設けられた操作スイッチ42は、シャトル切替スイッチ42aによる切替操作の牽制及び牽制解除を手動操作するためのシャトル牽制スイッチ42eである。本実施形態の場合、シャトル牽制スイッチ42eを押しながら、シャトル切替スイッチ42aを押すことで、作業車両1の前後進の切替が行われる。従って、シャトル牽制スイッチ42eを押さずにシャトル切替スイッチ42aを押しても、作業車両1の前後進の切替は行われない。
【0029】
シャトル切替スイッチ42aは、シーソースイッチであり、操作パネル部41Lの上半面右側位置に、前後に揺動操作可能に設けられている。ポンパスイッチ42bは、シーソースイッチであり、操作パネル部41Lの上半面における左右間の略中央部に、前後に揺動操作可能に設けられている。自動変速切替スイッチ42cは、プッシュスイッチであり、操作パネル部41Lの上半面における左右間の中央より左側位置に設けられている。変速補助スイッチ42dは、プッシュスイッチであり、握り部側面部42Bにおける前後間の略中央部に設けられている。シャトル牽制スイッチ42eは、プッシュスイッチであり、グリップ裏面部41Dにおける握り部前縁部41Bの前端寄りの位置に設けられている。
【0030】
ローダ操作レバー18は、作業車両1の運転席部7S(図4参照)に設けられ、作業車両1の車体2に装着されるフロントローダ4を操作するための操作装置(操作部材)である。即ち、ローダ操作レバー18は、ブーム9を手動操作するためのブーム操作部材である。ローダ操作レバー18は、図6に示すように、複数の操作スイッチ45を有する操作具19と、操作具19を支持するレバーシャフト44と、を備え、操作具19がレバーシャフト44に対して装着可能に構成されている。つまり、ローダ操作レバー18は、運転者が把持するグリップ(操作スイッチを有しないグリップ)に替えて、操作具19をレバーシャフト44に後付け可能な構成となっている。
【0031】
なお、本実施の形態では、ローダ操作レバー18は、操作具19がレバーシャフト44に装着可能な構成としているが、これに限定されない。例えば、ローダ操作レバー18は、操作具19及びレバーシャフト44の一体的構成が、台座28に装着可能な構成であってもよいし、操作具19、レバーシャフト44及び台座28の一体的構成が、運転席部7Sの周囲等に装着可能な構成であってもよい。
【0032】
操作具19は、例えば略縦長円柱状の外形である。操作具19は、その外周面部に、運転者の把持部となるグリップ43を備えている。ローダ操作レバー18のレバーシャフト44は、運転席部7Sに延設される。レバーシャフト44は、台座28の内部にて前後揺動可能に支持されている。本実施形態の場合、レバーシャフト44は、台座28の内部から上方に延長し、途中で座席14側へ略水平に延長し、さらに上方に延長形成される略S字状の筒体である。レバーシャフト44の上延部(先端部)44Aは、操作具19の底面に形成された挿入穴(図示しない)に嵌入される。レバーシャフト44の下延部44Bは、台座28内部のリンク機構部に連結支持されている。フロントローダ4のブーム9は、レバーシャフト44が前後に揺動操作されたときの操作信号に基づいて上下動するように構成されている。
【0033】
ローダ操作レバー18の操作具19は、レバーシャフト44の上延部44Aに装着されている。図6に示すように、操作具19のグリップ43は、運転席部7Sの上下方向に延びる略縦長円柱状に形成されている。本実施の形態の場合、掌でグリップ43の外周面部(グリップ外周面)43Aの右側(座席14側と反対側)略半面を覆い、親指及びその他の四指をグリップ外周面43Aの左側(座席14側)略半面に沿わせるようにしてグリップ43を右側方から縦に握った状態が、ローダ操作レバー18を操作するときの基本の握り方となる。
【0034】
操作スイッチ45は、操作具19に設けられ、作業車両1(車体2及びフロントローダ4)に種々の動作を実行させるための操作スイッチである。操作具19の上端面43T及びグリップ外周面43Aにはそれぞれ、複数の操作スイッチ45が設けられている。
また、操作具19の上端面43Tには、情報を表示する表示装置54が設けられている。操作具19の上端面43Tに設けられた表示装置54は、複数色の光を発行可能な発光ダイオード(LED)などの発光素子54Bである。なお、表示装置54は、グリップ外周面43Aに設けられるとしてもよい。
【0035】
<制御装置>
図7に示すように、制御装置2Cには、作業車両1の各所に設けられ、種々の状態を検出する複数の検出装置50、操作装置のスイッチ類が接続されている。検出装置50は、例えば、エンジンの回転数を検出するエンジン回転センサ50a、作業車両1の走行速度を検出する車速センサ50b、アクセルの操作量を検出するアクセルペダルセンサ50c、ステアリングホイール16の操舵角を検出する操舵角センサ50d等である。操作装置のスイッチ類は、例えば、多機能操作レバー17の操作スイッチ42、ローダ操作レバー18の操作スイッチ45等である。但し、上記検出装置50及び操作スイッチ42,45は一例であり、上述したセンサ、スイッチに限定されない。
【0036】
複数の操作スイッチ45は、作業車両1の前進及び後進の切替を手動操作するためのシャトル切替スイッチ(第2シャトル切替スイッチ)45aと、フロントローダ4の作業具(バケット10等)の操作機能を割り当て可能な第3ファンクションスイッチ45bと、第4ファンクションスイッチ45cとを含む。第3ファンクションスイッチ45b及び第4ファンクションスイッチ45cはそれぞれ、フロントローダ4のバケット10に代えて又は加えて装着される作業具の操作機能を割り当て可能な作業具操作スイッチである。
【0037】
また、複数の操作スイッチ45は、変速装置の変速段の切替を手動操作するための変速スイッチ45dと、フロントローダ4の所定の機能を割り当て可能な第1オプションスイッチ45e及び第2オプションスイッチ45fと、を含む。
また、制御装置2Cは、制御部51と、記憶部52とを備えている。制御部51は、CPU、電気電子回路等から構成されており、検出装置50、操作スイッチ42,45からの信号に基づいて、作業車両1、フロントローダ4の動作を制御する。記憶部52は、記憶装置であり、作業車両1及びフロントローダ4の動作に関する種々の制御プログラム、データテーブルを記憶する。制御装置2Cは、CPUが記憶部52に記憶されている制御プログラムを実行することにより、制御部51、設定部53として機能する。また、制御部51は、表示装置54Aの表示画面に、トラクタ(作業車両)に関する情報を表示する。
【0038】
ところで、操作具19は、図8に示すように、操作スイッチ45を含むスイッチ回路46を複数有する。例えば、操作具19は、シャトル切替スイッチ45aを含むスイッチ回路46aと、第3ファンクションスイッチ45bを含むスイッチ回路46bと、第4ファンクションスイッチ45cを含むスイッチ回路46cと、変速スイッチ45dを含むスイッチ回路46dと、第1オプションスイッチ45eを含むスイッチ回路46eと、及び第2オプションスイッチ45fを含むスイッチ回路46fとを備えている。
【0039】
図7図8に示すように、制御部51と、ローダ操作レバー18の各スイッチ回路46(46a~46f)とは、接続ケーブル47を介して電気的に接続されている。各スイッチ回路46(46a~46f)には、接続ケーブル47を介して、制御部51からの電源電圧がそれぞれ供給される。また、各スイッチ回路46(46a~46f)からの各出力信号OA、OB、OC、OD、OE、OFが、接続ケーブル47を介して、制御部51に出力される。
【0040】
制御部51は、特定操作がされた場合に、スイッチ回路46からの信号が所定の規定値(例えば、2~3ボルト内の任意の値)であるか否かを判定する。特定操作としては、例えば、ボタン同時押し操作が挙げられる。具体的には、図示しない特定ボタンと図示しないエンジンボタンとの同時押し操作、ディーラーモードの選択操作、又は、特定コードの入力操作などが挙げられる。本実施の形態では、制御部51は、スイッチ回路46aからの信号が所定の規定値であるか否かを判定する。具体的には、制御部51は、操作具19のスイッチ回路46aのシャトル切替スイッチ45aがオフ状態であるときのスイッチ回路46aからの出力信号OAが規定値である場合に、操作具19の装着ありと判定し、規定値以外の値である場合に、操作具19の装着なしと判定する。
【0041】
制御部51は、スイッチ回路46からの信号が規定値である場合に、ローダ操作レバー18の装着を示す表示を表示装置54に表示させる。なお規定値は、2~3ボルトの範囲外の任意の値であってもよい。
なお、レバーシャフト44は、その長さ方向に亘って中空形状となっており、その長さ方向の途中箇所に横穴部が形成されている。接続ケーブル47の一端は、操作具19に接続され、接続ケーブル47の他端は、レバーシャフト44の内部(つまり、中空部、横穴部)を通って、制御部51に接続されている。なお、接続ケーブル47は、レバーシャフト44の内部を通す形態に限定されず、操作具19と制御部51とが接続されていればよい。
【0042】
また、制御装置2Cは、操作具19の装着の有無が予め設定される設定部53を備えている。図9に示すように、設定部53は、例えば、装着オプションの内容と、装着の有無を示す設定と、信号確認されるスイッチ回路とが対応付けて記憶されたデータテーブルDT1を備えている。データテーブルDT1には、装着オプションの内容としてのスイッチ回路付きのローダ操作レバー18を示す情報と、スイッチ回路付きのローダ操作レバー18の装着の有無を示す情報として、「有り」の情報(ローダ操作レバー18がオプションとして追加されていることを示す情報である)と、信号確認されるスイッチ回路がシャトル切替スイッチ45aのスイッチ回路46aであることを示す情報とが、対応付けて記憶されている。なお、作業車両の製造者、ディーラー(販売業者)などの関係者が、データテーブルDT1の記憶情報を設定可能である。
【0043】
制御部51は、(A1)設定部53において操作具19の装着ありと設定され、且つ、スイッチ回路46aからの信号が規定値である場合に、操作具19の装着を示す第1表示を表示装置54A、発光素子54Bにそれぞれ表示させる。また、制御部51は、(A2)設定部53において操作具19の装着ありと設定され、且つ、スイッチ回路46aからの信号が規定値以外の値である場合に、操作具19の非装着を示す第2表示を表示装置54A、発光素子54Bにそれぞれ表示させる。
【0044】
制御部51は、(A3)設定部53において操作具19の装着なしと設定され、且つ、スイッチ回路46aからの信号が規定値である場合に、操作具19の誤装着を示す第3表示を表示装置54A、発光素子54Bにそれぞれ表示させる。また、制御部51は、(A4)設定部53において操作具19の装着なしと設定され、且つ、スイッチ回路46aからの信号が規定値以外の値である場合に、操作具19が不要であることを示す第4表示を表示装置54A、発光素子54Bにそれぞれ表示させる。
【0045】
また、設定部53は、操作具19の装着の有無の設定以外に、複数のスイッチ回路46(46a~46f)ごとに機能割り当ての有無が予め設定されている。図10に示すように、設定部53は、例えば、複数のスイッチ回路46(46a~46f)ごとの名称と、複数のスイッチ回路46(46a~46f)ごとに機能割り当ての有無とが対応付けて記憶されたデータテーブルDT2を備えている。図10に示すデータテーブルDT2では、スイッチ回路46a~46dについては機能割り当てが「有り」に設定され、スイッチ回路46e、46fについては機能割り当てが「なし」に設定されている。
【0046】
ここで、図11を用いて、ローダ操作レバー18に後付けされた操作具19の装着の有無を確認する処理について説明する。ローダ操作レバー18は、運転者が把持するグリップ(操作スイッチを有しないグリップ)に替えて、図6に示す操作具19がレバーシャフト44に後付けされたものである。また、トラクタの出荷後のディーラー(正規販売店)において、ディーラー(販売業者)が、トラクタの機種の設定変更、つまり、図9に示すデータテーブルDT1における、装着オプションの内容が「スイッチ回路付きのローダ操作レバー」であること、その装着の有無が「有り」であることを設定したとする。
【0047】
制御部51は、特定操作(例えば、図示しない特定ボタンと図示しないエンジンボタンとの同時押し操作)の有無を判定する(S1)。特定操作は、ボタン同時押し操作に限定されない。例えば、表示装置54Aに表示されたモード選択画面において、ユーザーモードとディーラーモードとの選択ボタンが表示され、ディーラーモードを選択する操作、又は、特定コードの入力操作などであってもよい。
【0048】
制御部51は、特定操作が有りと判定すると(S1でYes)、表示装置54A、発光素子54Bのモードをディーラーモードに設定する(S2)。
S2のあと、制御部51は、図9に示すデータテーブルDT1を用いて、装着オプションの内容としてスイッチ回路付きのローダ操作レバー18の装着が「有り」であるか「なし」であるかを判定する(S3)。制御部51は、スイッチ回路付きのローダ操作レバー18の装着が「有り」であると判定すると(S3でYes)、スイッチ回路46aからの信号が規定値であるか否かを判定する(S4)。
【0049】
制御部51は、スイッチ回路46aからの信号が規定値であると判定した場合(S4でYes)、操作具19の装着を示す第1表示を表示装置54A、発光素子54Bにそれぞれ表示させる(S5)。表示装置54Aには、図12に示すように、表示画面に第1表示が表示されている。表示装置54Aは、「ディーラーモード」であることを示すメッセージM1と、「スイッチ回路付きのローダ操作レバーが装着されています」ことを示すメッセージM2とを含む第1表示を表示する。また、制御部51は、操作具19の発光素子54Bを、緑色で点灯する表示態様である第1表示で表示させる。つまり、図13に示すように、設定部53に「装着あり」と設定され、且つ、検出信号が規定値であると判定された場合には、表示装置54Aの表示画面に第1表示(操作具19の装着を示す表示)が表示されると共に、発光素子54Bが、緑色で点灯する表示態様である第1表示で表示される。
【0050】
一方、図11に戻って、制御部51は、スイッチ回路46aからの信号が規定値でないと判定した場合(S4でNo)、操作具19の非装着を示す第2表示を表示装置54A、発光素子54Bにそれぞれ表示させる(S6)。表示装置54Aは、「ディーラーモード」であることを示すメッセージM1と、「スイッチ回路付きのローダ操作レバーが装着されていません」ことを示すメッセージとを含む第2表示を表示する。また、制御部51は、操作具19の発光素子54Bを、赤色で点灯する表示態様である第2表示で表示させる。つまり、図13に示すように、設定部53に「装着あり」と設定され、且つ、検出信号が規定値以外の値であると判定された場合には、表示装置54Aの表示画面に第2表示(操作具19の非装着を示す表示)が表示されると共に、発光素子54Bが、赤色で点灯する表示態様である第2表示で表示される。
【0051】
一方、S3において、制御部51は、図9に示すデータテーブルDT1を用いて、装着オプションの内容としてスイッチ回路付きのローダ操作レバー18の装着が「なし」であると判定すると(S3でNo)、スイッチ回路46aからの信号が規定値であるか否かを判定する(S7)。
制御部51は、スイッチ回路46aからの信号が規定値であると判定した場合(S7でYes)、操作具19の誤装着を示す第3表示を表示装置54A、発光素子54Bにそれぞれ表示させる(S8)。表示装置54Aには、図13に示すように、表示画面に第3表示が表示されている。表示装置54Aは、「ディーラーモード」であることを示すメッセージM1と、「スイッチ回路付きのローダ操作レバーが誤装着されています」ことを示すメッセージとを含む第3表示を表示する。また、制御部51は、操作具19の発光素子54Bを、赤色で点滅する表示態様である第3表示で表示させる。つまり、図13に示すように、設定部53に「装着なし」と設定され、且つ、検出信号が規定値であると判定された場合には、表示装置54Aの表示画面に第3表示(操作具19の誤装着を示す表示)が表示されると共に、発光素子54Bが、赤色で点滅する表示態様である第3表示で表示される。
【0052】
一方、図11に戻って、制御部51は、スイッチ回路46aからの信号が規定値でないと判定した場合(S7でNo)、操作具19が不要であることを示す第4表示を表示装置54A、発光素子54Bにそれぞれ表示させる(S6)。表示装置54Aは、「ディーラーモード」であることを示すメッセージM1と、「スイッチ回路付きのローダ操作レバーが不要であるのに装着されています」ことを示すメッセージとを含む第4表示を表示する。また、制御部51は、操作具19の発光素子54Bを、オレンジ色で点灯する表示態様である第4表示で表示させる。つまり、図13に示すように、設定部53に「装着なし」と設定され、且つ、検出信号が規定値以外の値であると判定された場合には、表示装置54Aの表示画面に第4表示(操作具19が不要なのに装着されていることを示す表示)が表示されると共に、発光素子54Bが、オレンジ色で点灯する表示態様である第4表示で表示される。
【0053】
一方、S1において、制御部51は、特定操作がなしと判定すると(S1でNo)、表示装置54A、発光素子54Bのモードをユーザーモードに設定し(S10)、表示装置54Aの表示画面に通常表示を行う(S11)。通常表示は、第1表示(操作具19の装着)、第2表示(操作具19の非装着)、第3表示(操作具19の誤装着)、第4表示(操作具19の不要な装着)の以外の通常の表示である。発光素子54Bについても、第1表示~第4表示以外の通常の表示態様(例えば、青色で点灯)で表示される。操作具19の発光素子54Bが通常の表示態様(青色で点灯)で表示されるので、操作具19が有効であることを関係者又はユーザー(運転者など)に知らせることができる。
【0054】
ところで、S5のあと、制御部51は、スイッチ確認処理を行う(S20)。図14は、スイッチ確認処理の一例を示すフローチャートである。すなわち、制御部51は、操作具19の装着を示す第1表示を表示装置54A、発光素子54Bにそれぞれ表示させ(S5)、その後に、図14に示すスイッチ確認処理を行う。
まず、制御部51は、表示装置54Aの表示画面に確認画面を表示させ(S21)、スイッチ確認の有無を判定する(S22)。確認画面は、例えば、「操作具の各操作スイッチの動作確認を行いますか?」というメッセージと、「Yes」ボタンと「No」ボタンとを含む画面である。
【0055】
制御部51は、「Yes」ボタンの操作があると(S22でYes)、スイッチ確認を行う(S23)。具体的には、制御部51は、複数のスイッチ回路46a~46fのうちで設定部53において機能割り当てありに設定されているスイッチ回路46a~46dを確認対象スイッチ回路とする。つまり、図10に示すデータテーブルDT2において、機能割り当てが「有り」に設定されているスイッチ回路46a~46dを確認対象スイッチ回路とし、機能割り当てが「なし」に設定されているスイッチ回路46e、46fを確認対象スイッチ回路としない。そして、制御部51は、確認対象スイッチ回路(スイッチ回路46a~46d)の各操作スイッチ45が例えばディーラー(販売業者)によって順番に1つずつ操作されることによる確認対象スイッチ回路(スイッチ回路46a~46d)からの信号に基づいて、各操作スイッチ45の確認をそれぞれ行う。なおこのとき、制御部51は、確認対象スイッチ回路(スイッチ回路46a~46d)からの信号に関する出力信号を外部に出力しない。
【0056】
例えば、確認対象スイッチ回路がスイッチ回路46aである場合について説明する。制御部51は、シャトル切替スイッチ45aが操作されたときのスイッチ回路46aからの出力信号OAの値が、予め定められたオン時基準値であれば、OKと判定し、オン時基準値でなければ、NGと判定する。また、確認対象スイッチ回路がスイッチ回路46cである場合について説明する。制御部51は、第4ファンクションスイッチ45cが操作されたときのスイッチ回路46cからの出力信号OCの値が、予め定められたオン時基準値であれば、OKと判定し、オン時基準値でなければ、NGと判定する。
【0057】
そして、制御部51は、確認対象スイッチ回路(スイッチ回路46a~46d)の各操作スイッチ45の確認結果を、表示装置54Aの表示画面に表示させる(S24)。ここでは、制御部51は、スイッチ回路46a~46dの確認結果が全てOKと判定したとする。制御部51は、図15に示すように、確認対象スイッチ回路の操作スイッチの確認結果を、表示装置54Aに表示させる。なお、スイッチ回路46e、46fについては、機能割り当てが「なし」に設定され、確認対象スイッチ回路ではないので、図15に示す確認結果において、確認対象外である表示態様(例えば「-」)で表示されている。
【0058】
一方、制御部51は、「No」ボタンの操作があると(S22でNo)、スイッチ確認(S23)及び結果表示(S24)を行うことなく、図14に示すスイッチ確認処理を終了させる。
図11に戻って、制御部51は、S20のあと、S6のあと、S8のあと、S9のあと、又は、S11のあと、本処理を終了させる。
なお、制御部51は、S20のあと、つまり、ディーラーモードの終了後に、表示装置54A、発光素子54Bのモードをユーザーモードに設定し、操作具19の機能に関する表示を、ユーザーモードの表示装置54A、発光素子54Bに表示させるとしてもよい。
【0059】
<効果>
このように、上記実施形態の作業車両1は、車体2と、操作可能なローダ操作レバー18(操作部材)と、情報を表示する表示装置54と、制御部51とを備え、ローダ操作レバー18は、操作スイッチ45を含むスイッチ回路46を有する操作具19が装着可能であり、制御部51は、ローダ操作レバー18のスイッチ回路46と接続ケーブル47を介して電気的に接続され、スイッチ回路46からの信号が所定の規定値である場合に、ローダ操作レバー18の装着を示す表示を表示装置54に表示させる。
【0060】
この構成によれば、スイッチ回路46を有する操作具19が装着されていることを、操作具19を用いた実際の動作確認を行うことなく、確認することができる。例えば、作業車両1の製造者、ディーラー(販売業者)などの関係者は、表示装置54における操作具19の装着を示す表示を見ることで、スイッチ回路46を有する操作具19が装着されていることを確認することができ、操作具19を用いた実際の動作確認を行う必要がない。
【0061】
また、表示装置54は、操作具19に配置された発光素子54Bであり、制御部51は、スイッチ回路46からの信号が規定値である場合に、操作具19の装着を示す表示として発光素子54Bを予め定められた表示態様で表示させる。
この構成によれば、関係者は、発光素子54Bが予め定められた表示態様で表示(例えば、点灯又は点滅など)されていることを見ることで、スイッチ回路46を有する操作具19が装着されていることを確認することができる。また、発光素子54Bが操作具19に設けられているので、操作具19の発光素子54Bを見て、操作具19の装着を直接確認することができる。
【0062】
また、表示装置54は、作業車両1に関する情報を表示画面に表示する表示装置54Aであり、制御部51は、スイッチ回路46からの信号が規定値である場合に、操作具19の装着を示す表示を表示画面に表示させる。
この構成によれば、関係者は、作業車両1に関する情報を表示する表示画面に、操作具19の装着を示す表示がされているのを見ることで、スイッチ回路46を有する操作具19が装着されていることを確認することができる。
【0063】
また、制御部51は、操作具19の操作スイッチ45がオフ状態であるときの当該操作スイッチ45のスイッチ回路46からの信号が規定値である場合に、操作具19の装着ありと判定し、規定値以外の値である場合に、操作具19の装着なしと判定する。
この構成によれば、関係者は、操作具19の操作スイッチ45を操作することによる実際の動作確認を行うことなく、スイッチ回路46を有する操作具19が装着されていることを確認することができる。
【0064】
また、操作具19の装着の有無が予め設定される設定部53を備え、制御部51は、(A1)設定部53において操作具19の装着ありと設定され、且つ、スイッチ回路46からの信号が規定値である場合に、操作具19の装着を示す第1表示を表示装置54A、発光素子54Bに表示させ、(A2)設定部53において操作具19の装着ありと設定され、且つ、スイッチ回路46からの信号が規定値以外の値である場合に、操作具19の非装着を示す第2表示を表示装置54A、発光素子54Bに表示させる。
【0065】
この構成によれば、関係者は、操作具19の装着を示す第1表示を見ることで、作業車両1の装着オプションとして設定されたスイッチ回路付きの操作具19が、作業車両1に正しく装備されていることを確認することができる。また、関係者は、操作具19の非装着を示す第2表示を見ることで、作業車両1の装着オプションとして設定されたスイッチ回路付きの操作具19が、作業車両1に装着されていないことを知ることができる。このため、関係者は、スイッチ回路付きの操作具19の装着を行うことができる。
【0066】
また、制御部51は、(A3)設定部53において操作具19の装着なしと設定され、且つ、スイッチ回路46からの信号が規定値である場合に、操作具19の誤装着を示す第3表示を表示装置54A、発光素子54Bに表示させ、(A4)設定部53において操作具19の装着なしと設定され、且つ、スイッチ回路46からの信号が規定値以外の値である場合に、操作具19が不要であることを示す第4表示を表示装置54A、発光素子54Bに表示させる。
【0067】
この構成によれば、関係者は、操作具19の誤装着を示す第3表示を見ることで、作業車両1の装着オプションとして設定されていないスイッチ回路付きの操作具19が、誤って作業車両1に装備されていることを知ることができる。また、関係者は、操作具19が不要であることを示す第4表示を見ることで、スイッチ回路付きの操作具19が作業車両1の装着オプションとして設定されておらず、スイッチ回路付きの操作具19が不要であることを知ることができる。
【0068】
また、制御部51は、特定操作がされた場合に、スイッチ回路46からの信号が規定値であるか否かを確認し、特定操作がされていない場合に、スイッチ回路46からの信号が規定値であるか否かの確認をしない。
この構成によれば、関係者は、特定操作(ボタン同時押し操作:特定ボタンとエンジンボタンとの時押し操作、ディーラーモードの選択操作、又は、特定コードの入力操作など)を知っており、関係者によって特定操作がされた場合に、スイッチ回路46を有する操作具19が装着されているか否かを、関係者が確認することができる。一方、関係者以外の者(例えば、ユーザー)は特定操作を知らないので、特定操作がされず、スイッチ回路46を有する操作具19が装着されているか否かを、関係者以外の者(例えば、ユーザー)が確認することを排除することができる。
【0069】
また、制御部51は、(B1)特定操作がされた場合、表示装置54A、発光素子54Bのモードをディーラーモードに設定し、スイッチ回路46からの信号が規定値であるか否かを確認し、スイッチ回路46からの信号が規定値であれば、操作具19の装着を示す表示を、ディーラーモードの表示装置54A、発光素子54Bに表示させ、(B2)特定操作がされていない場合又はディーラーモードが終了された場合に、表示装置54A、発光素子54Bのモードをユーザーモードに設定し、スイッチ回路46からの信号が規定値であるか否かを確認することなく、操作具19の機能に関する表示を、ユーザーモードの表示装置54A、発光素子54Bに表示させる。
【0070】
この構成によれば、表示装置54A、発光素子54Bのモードがディーラーモードであれば、操作具19の装着を示す表示を行うことができ、表示装置54A、発光素子54Bのモードがユーザーモードであれば、操作具19の機能に関する表示を行うことができる。すなわち、表示装置54A、発光素子54Bのモードに応じて表示内容を異ならせることができる。このため、表示装置54A、発光素子54Bをモードに応じて使い分けることができ、表示装置54A、発光素子54Bを更に有効活用することができる。
【0071】
また、操作具19は、スイッチ回路46を複数有し、設定部53は、操作具19の装着の有無の設定以外に、複数のスイッチ回路46ごとに機能割り当ての有無が予め設定され、制御部51は、操作具19の装着を示す表示を表示装置54A、発光素子54Bに表示させた後に、複数のスイッチ回路46のうちで設定部53において機能割り当てありに設定されているスイッチ回路46を確認対象スイッチ回路とし、確認対象スイッチ回路の操作スイッチ45が操作されることによる確認対象スイッチ回路からの信号に基づいて操作スイッチ45の確認を行い、確認対象スイッチ回路の操作スイッチ45の確認結果を表示装置54A、発光素子54Bに表示させ、且つ、確認対象スイッチ回路からの信号に関する出力信号を外部に出力しない。
【0072】
この構成によれば、スイッチ回路46を有する操作具19が装着されていることを確認した後に、機能割り当てありに設定されたスイッチ回路46である確認対象スイッチ回路についての操作スイッチ45の確認を行い、確認対象スイッチ回路の操作スイッチ45の確認結果が表示されるので、操作具19の機能割り当て済みの操作スイッチ45についての操作スイッチ45の確認を行うことができる。また、確認対象スイッチ回路からの信号に関する出力信号を外部に出力しないので、確認対象スイッチ回路の操作スイッチ45が操作されることによって対象装置が動作しないようにすることができ、対象装置を動作させずに操作スイッチ45の確認を行うことができる。
【0073】
また、ローダ操作レバー18は、揺動操作可能なレバーであり、操作具19と、運転者が把持するグリップ(操作スイッチを有しないグリップ)と、を選択して装着可能である。
この構成によれば、揺動操作可能なレバーに設けられたグリップ(操作スイッチを有しないグリップ)に替えて、操作スイッチ45を含むスイッチ回路46を有する操作具19が後付けされた場合において、操作具19を用いた実際の動作確認を行うことなく、操作具19の装着を確認することができる。
【0074】
なお、上記の実施の形態では、操作具19は、操作スイッチ45を含むスイッチ回路46を複数有するとしているが、複数に限定されない。つまり、操作具19は、操作スイッチ45を含むスイッチ回路46を1つ有するものであってもよい。
上記の実施の形態では、制御部51は、特定操作がされた場合に、スイッチ回路46からの信号が所定の規定値であるか否かを判定しているが、これに限定されない。例えば、制御部51は、特定操作がされていない場合に、例えば、トラクタの電源がオンされるごとに毎回判定してもよい。また、特定操作ではなく、確認条件が成立した場合に判定してもよい。確認条件の成立としては、ディーラー(正規販売店)における、トラクタの機種の設定変更があった場合、その直後に判定するとしてもよい。
【0075】
上記の実施の形態では、ローダ操作レバー18の装着を示す表示を、2つの表示装置54(表示装置54A及び操作具19の発光素子54B)に表示させているが、表示装置54を表示装置54A及び操作具19の発光素子54Bの何れか一方のみとしてもよい。
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0076】
1 作業車両
2 車体
18 ローダ操作レバー(操作部材)
19 操作具
43 グリップ
44 レバーシャフト
45 操作スイッチ
46 スイッチ回路
51 制御部
53 設定部
54 表示装置
54A 表示装置
54B 発光素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15