(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】収納棚、ピックアップシステム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/10 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
B65G1/10 C
(21)【出願番号】P 2021141073
(22)【出願日】2021-08-31
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 淳也
(72)【発明者】
【氏名】山本 大介
(72)【発明者】
【氏名】奈良 康平
(72)【発明者】
【氏名】大津 裕司
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 啓輔
(72)【発明者】
【氏名】朝山 徹也
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-211325(JP,A)
【文献】特開平08-081019(JP,A)
【文献】特開2018-002322(JP,A)
【文献】特開平07-257708(JP,A)
【文献】特開2011-073840(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/133,1/14-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納棚に対して相対的に移動するピックアップロボットによってピックアップされる物品を収納する収納棚であって、
棚本体と、
前記物品を収納する1以上のトレイと、
前記棚本体に対して前記トレイを上下方向に移動させる上下移動機構と、
前記棚本体に対して前記トレイを前記上下方向と交差する引出し方向に移動させ
、前記上下移動機構によって前記トレイとともに上下方向に移動するトレイ移動機構と、
操作入力に応答して、前記操作入力に基づいて前記上下移動機構及び前記トレイ移動機構のうち少なくとも一方を作動させる作動機構と、
前記上下移動機構を作動させるように、駆動力を前記操作入力として前記作動機構に加える上下移動駆動部と、
前記トレイ移動機構を作動させるように、駆動力を前記操作入力として前記作動機構に加えるトレイ移動駆動部と、
前記ピックアップロボットの位置姿勢に基づいて特定された、前記ピックアップロボットがピックアップ動作を実行可能なピックアップ位置の情報を取得するとともに、前記上下移動機構及び前記トレイ移動機構が、ピックアップされる対象物品をピックアップが行われる所望のピックアップ位置まで移動させるように、前記トレイ移動駆動部及び前記上下移動駆動部を制御する駆動制御部を備える制御部と、
を備える、収納棚。
【請求項2】
前記制御部は、ピックアップされる対象物品に関する第1情報及び前記ピックアップ位置に関する第2情報を受け付ける入力部をさらに備え、
前記駆動制御部は、前記第1情報及び前記第2情報に基づいて、前記上下移動駆動部及び前記トレイ移動駆動部を制御する、
請求項
1に記載の収納棚。
【請求項3】
前記制御部は、前記物品のピックアップを行うピックアップロボットと通信する通信部をさらに備え、
前記制御部は、前記通信部を介して前記ピックアップロボットから受信した
電気信号に基づいて、前記上下移動駆動部及び前記トレイ移動駆動部を制御する、
請求項
1又は
2に記載の収納棚。
【請求項4】
前記作動機構は、力を加えられたことに応答して、前記力を前記上下移動機構及び前記トレイ移動機構のうち少なくとも一方に伝達することにより前記上下移動機構及び前記トレイ移動機構のうち少なくとも一方を作動させる力伝達機構である、
請求項1~
3のいずれか一項に記載の収納棚。
【請求項5】
前記1以上のトレイを支持する、前記棚本体に移動可能に取り付けられた支持部をさらに備え、
前記上下移動機構は、前記棚本体に対して前記支持部を上下方向に移動させることにより、前記棚本体に対して前記トレイを上下方向に移動させ、
前記トレイ移動機構は、前記支持部に対して前記トレイを前記引出し方向に移動させることにより、前記棚本体に対して前記トレイを前記引出し方向に移動させる、
請求項1~
4のいずれか一項に記載の収納棚。
【請求項6】
前記支持部は、上下方向に並んだ複数のトレイを支持し、
前記複数のトレイの各々は、互いに独立して、他のトレイと上下方向に重なった格納位置と他のトレイに対して前記引出し方向に変位した引出し位置との間で、前記トレイ移動機構により前記引出し方向に移動可能である、
請求項
5に記載の収納棚。
【請求項7】
前記複数のトレイの各々は、前記トレイを開放する開状態と前記トレイを閉鎖する閉状態とを切り替える開閉機構を有する蓋部材を有し、
前記開閉機構は、前記トレイが前記格納位置にある場合には前記蓋部材を閉鎖し、前記トレイが前記引出し位置にある場合には前記蓋部材を開放する、
請求項
6に記載の収納棚。
【請求項8】
前記上下移動機構は、回転力を加えられたことに応答して前記回転力を上下方向の力に変換する第1変換部と、前記第1変換部から前記上下方向の力を受けて前記トレイとともに上下方向に移動する上下可動部とを備える、
請求項1~
7のいずれか一項に記載の収納棚。
【請求項9】
前記トレイ移動機構は、回転力を加えられたことに応答して前記回転力を引出し方向の力に変換する第2変換部と、前記第2変換部から前記引出し方向の力を受けて前記トレイとともに引出し方向に移動する第1引出し方向可動部と、を備える、
請求項1~
8のいずれか一項に記載の収納棚。
【請求項10】
前記トレイ移動機構は、前記トレイとともに引出し方向に移動可能な第2引出し方向可動部を備え、
前記第2引出し方向可動部は、前記第1引出し方向可動部の引出し方向の移動に連動して、前記第1引出し方向可動部に対して引出し方向に移動するように構成されている、
請求項
9に記載の収納棚。
【請求項11】
前記棚本体を移動させる棚搬送機構をさらに備える、
請求項1~
10のいずれか一項に記載の収納棚。
【請求項12】
物品をピックアップするためのピックアップシステムであって
、
ピックアップされる物品を収納する収納棚と、
前記収納棚と通信し、前記収納棚に対して相対的に移動して物品をピックアップするピックアップロボットと、
を備え、
前記収納棚は、
棚本体と、
前記物品を収納する1以上のトレイと、
前記棚本体に対して前記トレイを上下方向に移動させる上下移動機構と、
前記棚本体に対して前記トレイを
前記上下方向と交差する引出し方向に移動させ
、前記上下移動機構によって前記トレイとともに上下方向に移動するトレイ移動機構と、
操作入力に応答して、前記操作入力に基づいて
前記上下移動機構及び前記トレイ移動機構
のうち少なくとも一方を作動させる作動機構と、
前記上下移動機構を作動させるように、駆動力を前記操作入力として前記作動機構に加える上下移動駆動部と、
前記トレイ移動機構を作動させるように、駆動力を前記操作入力として前記作動機構に加えるトレイ移動駆動部と、
前記ピックアップロボットの位置姿勢に基づいて特定された、前記ピックアップロボットがピックアップ動作を実行可能なピックアップ位置の情報を取得するとともに、前記上下移動機構及び前記トレイ移動機構が、ピックアップされる対象物品をピックアップが行われる
所望のピックアップ位置まで移動させるように、前記トレイ移動駆動部
及び前記上下移動駆動部を制御する駆動制御部を備える制御部と、
を備える、ピックアップシステム。
【請求項13】
前記ピックアップロボットは、物品をピックアップするための保持部を備え、
前記
上下移動機構は、前記棚本体に対して前記トレイ
を上下方向に移動させることにより、前記保持部の可動範囲外の高さ位置から前記可動範囲内の高さ位置まで前記トレイを移動させる、
請求項
12に記載のピックアップシステム。
【請求項14】
収納棚に対して相対的に移動するピックアップロボットによってピックアップされる物品を収納する収納棚を制御するためのプログラムであって、
前記収納棚は、
棚本体と、
前記物品を収納する1以上のトレイと、
前記棚本体に対して前記トレイを上下方向に移動させる上下移動機構と、
前記棚本体に対して前記トレイを前記上下方向と交差する引出し方向に移動させ
、前記上下移動機構によって前記トレイとともに上下方向に移動するトレイ移動機構と、
操作入力に応答して、前記操作入力に基づいて前記上下移動機構及び前記トレイ移動機構のうち少なくとも一方を作動させる作動機構と、
前記上下移動機構を作動させるように、駆動力を前記操作入力として前記作動機構に加える上下移動駆動部と、
前記トレイ移動機構を作動させるように、駆動力を前記操作入力として前記作動機構に加えるトレイ移動駆動部と、
前記トレイ移動駆動部及び前記上下移動駆動部を制御する駆動制御部を備える制御部と、
を備え、
前記制御部のプロセッサに、
前記ピックアップロボットの位置姿勢に基づいて特定された、前記ピックアップロボットがピックアップ動作を実行可能なピックアップ位置の情報を取得するとともに、前記上下移動機構及び前記トレイ移動機構が、ピックアップされる対象物品をピックアップが行われる
所望のピックアップ位置まで移動させるように、前記上下移動駆動部及び前記トレイ移動駆動部を制御することを実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、収納棚、ピックアップシステム、プログラム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、国内の物流分野では電子商取引の普及により物量は増加傾向にある。しかし、少子高齢化の進展により物流現場での作業従事者の確保が難しくなってきている。このため、各物流企業は物流施設の自動化に積極的に取り組んでおり、物流施設におけるピッキング作業を行うピックアップシステムの開発が進んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6770128号公報
【文献】特許第6661181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、ピックアップシステムの構成を簡略化することができる収納棚、ピックアップシステム、プログラム、及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の収納棚は、ピックアップされる物品を収納する収納棚であって、棚本体と、1以上のトレイと、上下移動機構と、トレイ移動機構と、作動機構と、を持つ。1以上のトレイは、物品を収納する。上下移動機構は、棚本体に対してトレイを上下方向に移動させる。トレイ移動機構は、棚本体に対してトレイを上下方向と交差する引出し方向に移動させる。作動機構は、操作入力に応答して、操作入力に基づいて上下移動機構及びトレイ移動機構のうち少なくとも一方を作動させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態に係るピックアップシステムを示す模式図。
【
図3】第1の実施形態に係る収納棚の動作例を示す斜視図。
【
図4】第1の実施形態に係る収納棚の動作例を示す斜視図。
【
図5】第1の実施形態に係る収納棚の動作例を示す斜視図。
【
図6】
図2の線VI-VIに沿って切断した収納棚を示す断面図。
【
図7】第1の実施形態に係る第1力伝達機構及び上下移動機構の動作原理の一例を示す模式図。
【
図8】第1の実施形態に係る第2力伝達機構の動作原理の一例を示す模式図。
【
図9】第1の実施形態に係るトレイ移動機構を示す側面図。
【
図10】第1の実施形態に係るトレイ移動機構を示す側面図。
【
図11】
図9の線XI-XIに沿って切断したトレイ移動機構を示す断面図。
【
図12】第1の実施形態に係るトレイ及びトレイ移動機構を示す斜視図。
【
図13】第1の実施形態に係る収納棚及びピックアップロボットを示す斜視図。
【
図14】第1の実施形態に係るピックアップシステムのシステム構成を示すブロック図。
【
図15】第1の実施形態に係るピックアップシステムの動作フローを示すフローチャート。
【
図16】第1の実施形態の第1の変形例に係る収納棚を示す斜視図。
【
図17】第1の実施形態の第2の変形例に係る収納棚を示す斜視図。
【
図18】第2の実施形態に係る上下移動機構の動作原理の一例を示す模式図。
【
図19】第2の実施形態に係るピックアップシステムのシステム構成を示すブロック図。
【
図20】第3の実施形態に係るトレイ移動機構の動作原理の一例を示す模式図。
【
図21】第5の実施形態に係る収納棚を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の収納棚、ピックアップシステム、プログラム、及び方法を、図面を参照して説明する。
同じ符号が付されているものは同様のものを示す。なお、図面は模式的又は概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係や部分間の大きさの比係数などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比係数が異なって表される場合もある。
【0008】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について、
図1~
図15を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態に係るピックアップシステム1の一例を示す概略図である。
【0009】
本実施形態では、複数の物品Gが格納されている倉庫において、オーダに対応する物品Gを取り出し、当該物品Gの配送先に仕分けする作業を例に説明する。なお、本実施形態が適用されるのは倉庫に限らず、工場、飲食店のバックヤード、コンビニストアなどでもよい。物品Gは、特に限定されないが、例えばサンドイッチ及びその包装フィルムであってもよく、小物、生活雑貨、電子機器、電球、部品及びその収納箱であってもよく、歯磨き粉や洗顔用せっけんなどの収納チューブであってもよく、おにぎり及びその収納フィルムであってもよい。
【0010】
図1に示すように、ピックアップシステム1は、1以上の収納棚10、1以上のピックアップロボット20、統括制御装置30、ステーション端末40、及びWMS(Warehouse Management System)50を備える。収納棚10は、必要に応じて制御部114により制御され、ピックアップされる1以上の物品Gを収納する。ピックアップロボット20は、必要に応じてロボット制御部250により制御され、例えばオーダリストに従って、収納棚10に収納された1以上の物品Gのピックアップを行う。統括制御装置30は、ピックアップシステム1における状況認識を行うとともに、制御部114及びロボット制御部250と接続されて、ピックアップ動作や移動動作を含む収納棚10及びピックアップロボット20の動作を統括的に制御する。ステーション端末40は、例えば、作業者に対してオーダリストに従った物品Gのピックアップ作業の指示を表示する。WMS50は、倉庫や工場内での物品Gに関するデータ及び作業に関するデータを管理する。
【0011】
まず、
図2~
図12を参照して、第1の実施形態に係る収納棚10について説明する。
図2は、収納棚10を示す斜視図である。
図3~
図5は、収納棚10の動作例を示す斜視図である。
図6は、
図2の線VI-VIに沿って切断した収納棚10の断面図である。
図7は、第1力伝達機構108A及び上下移動機構110の動作原理の一例を示す模式図である。
図8は、第2力伝達機構108B及びトレイ移動機構112の動作原理の一例を示す模式図である。
図9は、トレイ移動機構112を示す側面図である。
図10は、トレイ移動機構112を示す側面図である。
図11は、
図9の線XI-XIに沿って切断したトレイ移動機構112を示す断面図である。
図12は、トレイ104及びトレイ移動機構112を示す斜視図である。
【0012】
ここで、説明の便宜上、収納棚の座標系として、+X方向、-X方向、+Y方向、-Y方向、+Z方向、及び-Z方向を定義する。+X方向、-X方向、+Y方向、及び-Y方向は、例えば、略水平面に沿う方向である。-X方向は、+X方向の反対方向である。+Y方向は、+X方向と交差する方向(例えば略直交する方向)である。-Y方向は+Y方向の反対方向である。+Z方向は、+X方向及び+Y方向と交差する方向(例えば略直交する方向)であり、例えば略鉛直上向き方向である。-Z方向は+Z方向の反対方向であり、例えば略鉛直下向き方向である。
【0013】
なお、本明細書でいう「前方」、「後方」、「上方」、「下方」などの用語は、説明の便宜上、収納棚10における1つの動作方向(すなわち、トレイの引出し動作の方向)を基準とした視点で表現されたものである。ただし、収納棚の動作方向は、+X方向に限らない。収納棚は、-X方向や+Y方向、-Y方向、+Z方向や-Z方向に動作可能であってもよい。
【0014】
図2に示すように、収納棚10は、棚本体100と、棚本体100に対して上下移動可能に設けられた支持部102と、支持部102に支持された1以上のトレイ104と、支持部102やトレイ104を移動させるための力を印加するための力入力部106と、力入力部106に加えられた力を他の構成要素に伝達する力伝達機構108(
図7及び
図8を参照して後述)と、力伝達機構108から受け取った力によって支持部102を上下方向(例えば+Z方向及び-Z方向)に移動させる上下移動機構110(
図6及び
図7を参照して後述)と、力伝達機構108から受け取った力によってトレイ104を引出し方向(例えば+X方向及び-X方向)に移動させる1以上のトレイ移動機構112(
図8~
図12を参照して後述)と、収納棚10の各構成要素を制御する制御部114(
図1参照)と、を備える。以下では、上下移動機構110による支持部102の移動方向をZ方向とし、トレイ移動機構112によるトレイ104の移動方向(引出し方向)をX方向として説明するが、これに限定されるものではない。例えば、トレイ104の引出し方向は、水平方向に対して傾斜した斜め方向であってもよい。
【0015】
図3に示すように、上下移動機構110は、支持部102及びトレイ104を棚本体100に対して上下方向に移動させる。
図4に示すように、トレイ移動機構112は、引出し方向に移動可能なトレイ104の各々に対応して設けられ、対応するトレイ104を支持部102に対して引出し方向に移動させる。
図5に示すように、上下移動機構110とトレイ移動機構112とが協働することにより、支持部102及びトレイ104を上下方向に移動させるとともに、トレイ移動機構112に対応するトレイ104を引出し方向に移動させてもよい。
【0016】
図2に示すように、棚本体100は、収納棚10の本体であり、例えば図示しない床面や地面など(以下、まとめて「床面」という。)に固定され得る。棚本体100には、支持部102の上下移動をガイドするリニアガイド120と、支持部102の自重を支持する自重補償機構122と、が設けられる。リニアガイド120は、棚本体100の前面において上下方向に延在するレール状部材である。自重補償機構122は、棚本体100の上部に設けられており、例えば、バネや錘を利用することができる。
【0017】
支持部102は、Z方向に移動可能に棚本体100の前面に取り付けられる。支持部102は、棚本体100の前面に略平行に配置された支持板124と、支持板124の前面からトレイ104の引出し方向(例えば+X方向)に延在する1以上の棚板126と、を備える。支持板124は、上下移動機構110が作動することにより、棚本体100の前面をリニアガイド120に沿って上下方向に摺動する。図示する例では、3つの棚板126が設けられており、各棚板126にトレイ移動機構112が設けられている。
【0018】
トレイ104は、ピックアップされる物品Gが載置された状態で、支持部102によって支持される。各トレイ104は、物品Gが載置される載置部128を備える。好ましくは、載置部128は、ガラス板などの透明な板で構成される。本実施形態では、第1トレイ104A、第2トレイ104B、第3トレイ104C、第4トレイ104D、及び第5トレイ104Eの5つのトレイ104が設けられているが、トレイ104の数は1以上の任意の数であってよい。本実施形態では、第1トレイ104A、第3トレイ104C、及び第5トレイ104Eの各々は、支持部102に対して引出し方向に移動可能なように、トレイ移動機構112(以下、それぞれ第1トレイ移動機構112A、第2トレイ移動機構112B、第3トレイ移動機構112Cという。)を介して棚板126に接続されている。トレイ104A、104C、104Eは、互いに独立して引出し方向に移動可能である。トレイ104A、104C、104Eの各々は、他のトレイ104と上下方向に重なった格納位置と、他のトレイ104に対して引出し方向前方に変位した引出し位置との間で移動可能である。一方、第2トレイ104B及び第4トレイ104Dは、対応する棚板126が設けられておらず、支持板124に直接固定されている。ただし、移動可能なトレイ104の数はこれに限定されず、任意の数のトレイ104にトレイ移動機構112が設けられてよく、すべてのトレイ104にトレイ移動機構112が設けられてもよい。
【0019】
力入力部106は、棚本体100の側部に連結されたL字状の部材である。力入力部106は、第1力入力部106A、第2力入力部106B、第3力入力部106C、及び第4力入力部106Dとして、例えば回転操作を受け付ける4つのハンドルを備える。4つの力入力部106A~106Dは、力入力部106の上端の操作部に設けられている。第1力入力部106Aは、力伝達機構108を介して上下移動機構110に接続されており、第2力入力部106B~第4力入力部106Dは、力伝達機構108を介して、各トレイ104に対応するトレイ移動機構112A~112Cにそれぞれ接続されている。力入力部106A~106Dは、例えば、人力や作業機械からの力を受け付けることができる。作業機械は特に限定されず、例えば、先端部が無限回転する水平多関節ロボット(スカラロボット)などであってよい、このような場合、力入力部106は、鉛直方向から外力を作用できる構造であることが好ましい。好ましくは、力入力部106A~106Dが設けられた操作部は、ユーザやロボットがアクセスしやすい位置に配置される。なお、力入力部106の形態はハンドルに限定されず、外力を受け付ける任意の構造であってよい。
【0020】
力伝達機構108は、「作動機構」の一例である。
図7及び
図8に示すように、力伝達機構108は、操作入力として外力が力入力部106に加えられたことに応答して、外力を上下移動機構110及び/又はトレイ移動機構112に伝達することにより、上下移動機構110及び/又はトレイ移動機構112を作動させる。力伝達機構108は、上下移動機構110に接続された第1力伝達機構108Aと、移動可能に設けられた3つのトレイ104A、104C、104Eに対応する3つのトレイ移動機構112A、112B、112Cにそれぞれ接続された3つの第2力伝達機構108Bと、を含む。力伝達機構108は、例えば、外力を伝達する過程において当該外力を別の力に変換することができる。好ましくは、力伝達機構108は、ハンドルの形態の力入力部106A~106Dに加えられた回転力を、支持部102やトレイ104を並進させる直線的な力に変換することができる。言い換えれば、力伝達機構108は、力入力部106A~106Dの回転運動を支持部102及び/又はトレイ104の並進運動に変換することができる。
【0021】
上下移動機構110は、第1力入力部106Aに加えられた外力を第1力伝達機構108Aを介して受け取り、支持部102を棚本体100に対して上下方向に移動させる。トレイ移動機構112は、引出し方向に移動可能な3つのトレイ104A、104C、104Eにそれぞれ対応する第1トレイ移動機構112A、第2トレイ移動機構112B、及び第3トレイ移動機構112Cを含む。第1トレイ移動機構112Aは、第2力入力部106Bに加えられた外力を第2力伝達機構108Bを介して受け取り、第1トレイ104Aを支持部102に対して引出し方向に移動させる。同様に、第2トレイ移動機構112Bは、第3力入力部106Cに加えられた外力を原動力として第3トレイ104Cを引出し方向に移動させ、第3トレイ移動機構112Cは、第4力入力部106Dに加えられた外力を原動力として第5トレイ104Eを引出し方向に移動させる。
【0022】
制御部114は、収納棚10の各構成要素を制御する。また、制御部114は、収納棚10における故障や異常などを任意のセンサ(図示せず)によって検知し、収納棚10の故障状態について作業者などに報知するとともに。故障状態に関するデータを蓄積することができる。なお、収納棚10の構成要素を制御する必要がない場合などには、制御部114は省略されてよい。特に、第1の実施形態では、モータなどのアクチュエータを使用せずに手動操作で支持部102の上下移動及びトレイ104の引出し方向移動を実現可能であるので、制御処理を行わない構成としてもよい。
【0023】
ここで、
図6及び
図7を参照して、第1力伝達機構108A及び上下移動機構110の動作原理の一例を説明する。
図7に示すように、第1力伝達機構108Aは、第1入力プーリ130、第1力伝達ベルト131、及び第1出力プーリ132を備える。
【0024】
第1入力プーリ130は、第1力入力部106Aの回転に連動してZ軸の回りで回転するように、第1力入力部106Aに連結されている。第1出力プーリ132は、第1入力プーリ130の回転に連動してZ軸の回りで回転するように、第1力伝達ベルト131によって第1入力プーリ130に連結されている。第1出力プーリ132の上部は、上下移動機構110に連結されており、第1出力プーリ132は、上下移動機構110の力入力部として機能する。
【0025】
図6及び
図7に示すように、上下移動機構110は、電磁ブレーキ133、カップリング134、上下移動送りねじ135(「第1変換部」の一例)、及び上下可動部136を備える。
第1出力プーリ132の上部に電磁ブレーキ133が設けられており、電磁ブレーキ133はカップリング134を介して上下移動送りねじ135に接続されている。上下可動部136は、上下移動送りねじ135が通過する挿通孔を有し、挿通孔の内壁には上下移動送りねじ135と噛み合う雌ねじが形成されている。このため、上下可動部136は、上下移動送りねじ135の軸上を移動し、上下移動送りねじ135の上端又は下端と当接して停止する。なお、上下可動部136は、上下移動送りねじ135の上端又は下端と当接する前に、センサ(図示せず)で位置や移動量を検出して停止してもよい。また、上下可動部136の一端は、支持部102の支持板124に固定されている。
【0026】
上下移動送りねじ135は、第1出力プーリ132の回転に連動してZ軸の回りで回転し、この回転に伴って、上下移動送りねじ135に取り付けられた上下可動部136が上下方向に移動する。その結果、支持板124も上下可動部136とともに上下方向に移動する。このようにして、第1力入力部106Aの回転運動が、第1力伝達機構108Aを介して支持部102の上下方向の並進運動に変換される。電磁ブレーキ133は、必要に応じて上下移動送りねじ135の回転を抑制し、上下可動部136が自重により下方向に下がることを防止する。電磁ブレーキ133の駆動及び停止は、センサで検出して制御してもよいし、作業者が操作してもよい。
【0027】
次いで、
図8~
図12を参照して、第2力伝達機構108B及びトレイ移動機構112の動作原理の一例を説明する。以下では、第2力伝達機構108Bを介して第2力入力部106Bに接続された第1トレイ移動機構112Aを取り上げて説明し、第2トレイ移動機構112B及び第3トレイ移動機構112Cについての説明は繰り返さない。
【0028】
図8に示すように、第2力伝達機構108Bは、第2入力プーリ140、第2力伝達ベルト141、第2出力プーリ142、スプラインロッド143、第1かさ歯車144、及び第2かさ歯車145を備える。第2入力プーリ140は、第2力入力部106Bの回転に連動して回転するように、第2力入力部106Bに連結されている。第2出力プーリ142は、第2入力プーリ140の回転に連動して回転するように、第2力伝達ベルト141によって第2入力プーリ140に連結されている。第2出力プーリ142の上部には、スプライン加工により形成された1以上の縦溝を有するスプラインロッド143が上下方向に延在して設けられている。スプラインロッド143は、第2出力プーリ142の回転に連動してZ軸の回りで回転する。第1かさ歯車144は、スプラインロッド143が通過する挿通孔を有し、挿通孔の内壁にはスプラインロッド143の縦溝に対応する1以上の突条部が形成されている。縦溝と突条部との噛み合いによって、第1かさ歯車144は、スプラインロッド143に連動してZ軸の回りで回転し、第2出力プーリ142の回転駆動力を伝達することができる。第1かさ歯車144は、スプラインロッド143の軸上を上下方向に摺動可能である。第2かさ歯車145は、第1トレイ移動機構112Aに連結されるとともに、X軸の回りで回転可能に配置される。第2かさ歯車145は、第1かさ歯車144と噛み合うように配置され、第1かさ歯車144のZ軸の回りの回転運動をX軸の回りの回転運動に変換することができる。このようにして、第2力伝達機構108Bは、第2力入力部106Bの回転運動が、第2力伝達機構108Bを介して第2かさ歯車145のX軸の回りの回転運動に変換され、第1トレイ移動機構112Aへ出力される。
【0029】
図12に示すように、トレイ移動機構112(ここでは第1トレイ移動機構112A)は、支持部102の棚板126の一側の縁部に配置されるとともに、トレイ104(ここでは第1トレイ104A)の一側の縁部に接続される。第1トレイ104Aの他側の縁部は、棚板126の他側の縁部に設けられたレール127により支持されている。レール127は、第1トレイ移動機構112Aの動作によって、第1トレイ104Aを+X方向又は-X方向に並進移動させる。
【0030】
図9に示すように、トレイ移動入力部146は、X軸の回りで回転可能なロータであり、第2かさ歯車145に連動して回転するように一端が第2かさ歯車145(
図8参照)に連結される。トレイ移動入力部146の他端には、トレイ移動入力部146に連動してX軸の回りで回転可能なトレイ移動送りねじ147(「第2変換部」の一例)が設けられている。トレイ移動送りねじ147上には、第1引出し方向可動部148が軸上で摺動可能に配置されている。第1引出し方向可動部148は、第2かさ歯車145がX軸の回りで回転すると、それに伴うトレイ移動送りねじ147の回転に連動して、トレイ移動送りねじ147の軸上を+X方向又は-X方向に並進移動する。第1引出し方向可動部148には中間板149が接続されており、中間板149は、第1引出し方向可動部148とともに+X方向又は-X方向に並進移動する。中間板149の一側(トレイの外側;
図9に示す側)には、Y軸の回りで回転可能な第1トレイ移動プーリ150及び第1トレイ移動プーリ150を挟む2つのアイドラ151と、第1トレイ移動ベルト152とが設けられている。一方、
図10に示すように、中間板149の他側(トレイの内側;
図10に示す側)には、Y軸の回りで回転可能な第2トレイ移動プーリ154及び第3トレイ移動プーリ155と、第2トレイ移動ベルト156とが設けられている。第1トレイ移動ベルト152は、両端が支持部102の棚板126に固定されたオープンエンドベルトである。第1トレイ移動ベルト152の歯部は、第1トレイ移動プーリ150及び2つのアイドラ151と噛み合い、中間板149の並進運動に連動して第1トレイ移動プーリ150を回転させることによって、駆動力を第1トレイ移動プーリ150に伝達する。第1トレイ移動プーリ150は、軸部材153を介して第2トレイ移動プーリ154と同軸に連結されている(
図11参照)。これにより、第2トレイ移動プーリ154は、第1トレイ移動プーリ150に連動してY軸の回りで回転する。第2トレイ移動ベルト156の歯部は、第2トレイ移動プーリ154及び第3トレイ移動プーリ155の歯部と噛み合っており、第3トレイ移動プーリ155は、第2トレイ移動プーリ154に連動してY軸の回りで回転する。第2トレイ移動ベルト156には、第2引出し方向可動部157が固定されており、第2引出し方向可動部157は、第2トレイ移動ベルト156の回転(すなわち、第2トレイ移動プーリ154及び第3トレイ移動プーリ155の回転)に連動して+X方向又は-X方向に並進移動する。第2引出し方向可動部157は、第1トレイ104Aの載置部128と接続されており、第1トレイ104Aは、第2引出し方向可動部157とともに+X方向又は-X方向に並進移動する。このようにして、第2力伝達機構108Bの第2かさ歯車145から出力されたX軸の回りの回転運動が、第1トレイ移動機構112Aを介して第1トレイ104Aの+X方向又は-X方向の並進運動に変換される。全体として見ると、第2力入力部106Bの回転運動が、第2力伝達機構108B及び第1トレイ移動機構112Aを介して、第1トレイ104Aの+X方向又は-X方向の並進運動に変換される。
【0031】
第1トレイ104Aの移動を棚板126、中間板149、及び載置部128の3ユニットの組合せで実現することにより、載置部128は、棚板126上のトレイ移動送りねじ147上の第1引出し方向可動部148の移動量に対して約2倍の移動量を得ることができる。このように、トレイ移動機構112が、複数段階の並進移動によってトレイ104を引出し方向に移動させる中間部材を有することにより、トレイ移動機構112に入力された駆動力から生じた第1段階の変位を第2段階で拡大させる変位拡大機構が実現されるので、トレイ移動機構112における各段階の機構をコンパクトに設計することができる。これにより、コンパクトな設計の収納棚10を提供することができる。なお、載置部128の移動量を距離センサや変位センサなどで検出して、適宜調整してもよい。
【0032】
なお、第1力伝達機構108A、第2力伝達機構108B、上下移動機構110、及びトレイ移動機構112の動作原理は上記例に限定されず、力入力部106の構成を含め、既知の任意の機構が利用可能である。例えば、力伝達機構108は、ベルト及びプーリではなく歯車で構成されてもよい。力伝達機構108をベルト及びプーリで構成した場合には、ベルトの長さを調節することにより機構構成の配置を調節しやすいという利点がある。一方、力伝達機構108を歯車で構成した場合には、増速又は減速を容易に実現できるという利点がある。
【0033】
本実施形態に係る収納棚10については、力入力部106のハンドルが人間の作業者又は作業機械(例えばピックアップロボット20や他の多関節ロボットなど)により操作される場合を想定して説明した。力入力部106のハンドルにより上下移動機構110の移動方向とトレイ移動機構112の移動方向が操作され、電磁ブレーキ133により上下移動機構110の動作が規制される。上記の電磁ブレーキ133は電動式のブレーキとして説明したが、例えば作業者が足で踏み込むタイプのブレーキなどであってもよく、支持部102の上下の動作を規制できるものであれば特に限定されない。
【0034】
次いで、
図1及び
図13を参照して、第1の実施形態に係るピックアップロボット20について説明する。
図13は、収納棚10及びピックアップロボット20を示す斜視図である。
【0035】
図1及び
図13に示すように、ピックアップロボット20は、マニピュレータ200、マニピュレータ200を固定する基部202、マニピュレータ200の先端に配置されて物品Gを保持する保持機構204、保持機構204によってピックアップした物品Gを収容するピックアップトレイ206、及びピックアップロボット20の各構成要素を制御するロボット制御部250を備える。
【0036】
マニピュレータ200は、少なくとも2つのリンクと、リンクの端部をそれぞれ繋ぐ複数の関節部と、を備える。関節部は、例えば、モータ、エンコーダ、減速機などで構成される。マニピュレータ200は、モータの駆動により各リンクをそれぞれ回転又は直動可能である。これにより、マニピュレータ200は、先端に設けられた保持機構204を移動させる。関節部は、1軸方向の回転に限定されず多軸方向の回転を含む。マニピュレータ200は、例えば、いわゆる垂直多関節型のロボットである。マニピュレータ200は、3軸(XYZ軸)方向の直動機構とリンクを回転させる回転軸と関節部とを組み合わせた構成であってもよい。
【0037】
基部202は、マニピュレータ200の端部を固定する。基部202は、例えば、床面に設置される。基部202は、例えば移動可能な台車などであり、ピックアップロボット20が床面上を移動可能であってもよい。
【0038】
保持機構204は、物品Gを保持可能な保持部208及び保持部208を支持する支持機構を有する。物品Gは収納棚10のトレイ104に載置されている。収納棚10は、マニピュレータ200の可動範囲を考慮して最適な位置に収納棚10のトレイ104を移動させるように、収納棚10の制御部114により制御される。例えば、上下移動機構110及び/又はトレイ移動機構112は、棚本体100に対してトレイ104を移動させることにより、保持部208の可動範囲外の位置から可動範囲内の位置までトレイ104を移動させる。保持機構204は、収納棚10のトレイ104から物品Gをピックアップし、当該物品Gをピックアップトレイ206に移動させる。保持機構204は、マニピュレータなどに取り付けられ、物品Gの上面に吸着して吊下げ支持する形態でもよいし、物品Gを挟み込む挟持形態でもよい。物品Gは、例えば、紙葉類などの柔軟性を有する不定形物である場合もある。また、保持部208は、水平多関節(スカラ型)ロボットアーム、又は水平多関節(スカラ型)ロボットアームにZ軸方向(上下方向)に進退可能な進退機構を付加した構造であってもよい。
【0039】
ピックアップロボット20は、上記以外に、物品Gの位置・姿勢や対象物からの距離などを認識するための認識部、載置部128上の物品Gを把持しやすい姿勢に変更するための腕部などを備えてもよい。
【0040】
図13に示すように、物品Gをピックアップする際、ピックアップロボット20は、まず収納棚10の近傍まで移動する。ピックアップロボット20の大きさ、姿勢、マニピュレータ200の可動性能などに応じて、ピックアップロボット20がピックアップを行うピックアップ位置が決定される。このピックアップ位置に基づき、収納棚10の上下移動機構110及びトレイ移動機構112が、トレイ104に載置されたピックアップ対象の物品Gをピックアップ位置まで移動させる。ここで、ピックアップロボット20は、必要に応じて力入力部106を操作する(例えば外力を加える)ことにより、物品Gをピックアップ位置まで移動させてもよい。ピックアップロボット20は、トレイ104から物品Gをピックアップし、ピックアップトレイ206に移動させる。この動作をオーダリストに従って繰り返すことにより、ピックアップロボット20は、所望の物品Gを収納棚10からピックアップトレイ206に移載することができる。
【0041】
ピックアップロボット20によるピックアップ動作において、収納棚10は、上下移動機構110及びトレイ移動機構112によって、ピックアップされる物品Gが載置された載置部128をピックアップロボット20の保持部208の可動範囲外から可動範囲内に移動させることができる。例えば、載置部128は、ピックアップロボット20の保持部208の可動範囲を考慮して、保持部208によるピックアップ動作に適した位置に配置される。これにより、ピックアップロボット20自身が上下方向の動作を行う必要がない。したがって、ピックアップロボット20は、載置部128の高さを検出しながら保持部208の上下動の制御をするといった複雑な操作を行う必要がない。このため、複雑な動作計画のプログラムが不要となり、ピックアップロボット20の製造コストを低減できるとともに、作業を簡単かつ短時間に行うことができる。
【0042】
好ましくは、マニピュレータ200の自由度は、4以下である。上下移動機構110及びトレイ移動機構112が収納棚10に収納された物品Gを所望のピックアップ位置まで移動させることにより、マニピュレータ200のピックアップ動作の自由度が小さい場合であっても、ピックアップ動作が実行可能である。これにより、ピックアップ動作が簡略化され、システム構成が簡素化され得る。例えば、ピックアップロボット20は、上下方向の移動が制限された本体部と本体部に連結されて物品Gのピックアップ動作を行う保持部とを備える。
【0043】
なお、保持部208は、物品Gを保持する前に、保持しやすいように物品Gの姿勢を変更してもよい。例えば、保持部208は、保持部208を押し付けることにより物品Gを移動させて、物品Gの姿勢を変更してもよい。また、収納棚10のトレイ移動機構112が、トレイ104を引出し方向前後に動かすことによって物品Gに振動を与え、これにより物品Gの姿勢を変更してもよい。トレイ移動機構112は、載置部128上の物品Gの位置を適宜調整するようにトレイ104を動かすことによって、保持部208で扱いやすい位置に物品Gを動かしてもよい。また、例えば保持部208が開閉可能な把持部である場合には、収納棚10及びピックアップロボット20は、保持部208の開閉動作と載置部128の前後移動とを連動させて、物品Gの位置・姿勢を変更してもよい。ロボット制御部250は、例えば、物品Gの配置状態や物品Gに予め付された標識やタグなどを認識した結果などに基づいて、物品Gの位置や姿勢が保持部208による保持に適しているか否かを判定することができる。
【0044】
次いで、
図14を参照して、ロボット制御部250について説明する。
図14は、ピックアップシステム1のシステム構成を示すブロック図である。
【0045】
図14に示すように、ロボット制御部250は、入出力部252、通信部254、記憶部256、及び処理部258を備える。これらは、ロボット制御部250が備えるプロセッサ、メモリ、ストレージ、入出力インタフェース、通信インタフェース、これらを相互接続するバスなどを含むハードウェア構成の協働により実現される機能部である。
【0046】
入出力部252は、入出力インタフェースを含んで構成され、ロボット制御部250への入力を受け付けるとともに、処理部258における演算処理の結果を出力する。なお、本明細書において、「入出力部」とは入力部と出力部とが一体になった構成に限定されず、入力部と出力部とが別々に設けられてもよい。通信部254は、通信インタフェースを含んで構成され、ロボット制御部250と他の機器との通信を行う。
【0047】
記憶部256は、ロボット制御部250のプロセッサにより実行されるプログラム260、所定の位置までの経路の情報を含む経路データ262、倉庫内の地図などの情報を含む地図データ264などを記憶する。経路データ262や地図データ264は、予め作成されて記憶部256に保存されてもよく、処理部258で生成したものであってもよく、入出力部252が外部から受け付けたものであってもよい。
【0048】
処理部258は、動作制御部266及び完了通知部268を含む。動作制御部266は、ピックアップロボット20の動作を制御する。例えば、動作制御部266は、入出力部252が受け付けた経路データ262及び地図データ264に基づいて、ピックアップ対象の物品Gを収納する収納棚10の位置まで移動するように、基部202を制御する。完了通知部268は、ピックアップロボット20が目的の収納棚10の位置に到達したと判定した場合に、移動動作の完了を通知する。この完了通知は、例えば、通信部254を介して統括制御装置30に送信される。移動動作の完了後、動作制御部266は、入出力部252が受け付けた物品Gの認識結果などから物品Gをピックアップするピックアップ位置を取得し、当該ピックアップ位置において物品Gの把持を行うようにマニピュレータ200、保持機構204、及び保持部208の動作を制御する。なお、動作制御部266は、入出力部252が直接受け付けたピックアップ位置の情報などに基づいて、各構成要素の制御を行ってもよい。個々のピックアップ動作や移載作業全体が完了したことに応答して、完了通知部268は、同様に動作や作業の完了を通知することができる。
【0049】
次いで、
図1及び
図14を参照して、第1の実施形態に係る統括制御装置30、ステーション端末40、及びWMS50について説明する。
図1に示すように、統括制御装置30は、認識部300及び統括制御部302を備える。
【0050】
認識部300は、収納棚10、ピックアップロボット20、及びトレイ104やピックアップトレイ206などの載置領域に載置された1以上の物品Gを認識する。認識部300は、第1画像センサ310、第2画像センサ312、及び第3画像センサ314を有する。統括制御部302は、各画像センサ310~314に接続される。
【0051】
第1画像センサ310、第2画像センサ312、及び第3画像センサ314は、例えば、複数の物品Gが載置された載置領域に対してそれぞれ斜め前方、上方、及び斜め後方に位置する。画像センサ310~314は、移動可能であってもよい。画像センサ310~314としては、例えば、距離画像センサ又は赤外線ドットパターン投影方式カメラなどの3次元位置計測可能なカメラを利用することができる。赤外線ドットパターン投影方式カメラは、赤外線のドットパターンを対象物品Gに投影し、その状態で載置領域に載置された物品Gの赤外線画像を撮影する。赤外線画像を解析することで物品Gの3次元情報を得ることが可能である。赤外線ドットパターン投影方式カメラは、カラー画像又はモノクロ画像を撮影することができてもよい。また、赤外線ドットパターン投影方式カメラの他に、カラー画像又はモノクロ画像を取得するカメラなどの光学センサを含んでいてもよい。画像は、例えば、jpg、gif、png、bmpなどの一般的に用いられている画像データでもよい。3つの画像センサが設けられた例について説明したが、それに限定されず、画像センサの数は1つ以上であればよく、4つ以上であってもよい。
【0052】
図14に示すように、統括制御部302は、入出力部320、通信部322、処理部326、及び記憶部324を備える。これらは、統括制御部302が備えるプロセッサ、メモリ、ストレージ、入出力インタフェース、通信インタフェース、これらを相互接続するバスなどを含むハードウェア構成の協働により実現される機能部である。
【0053】
入出力部320は、入出力インタフェースを含んで構成され、統括制御部302への入力を受け付けるとともに、処理部326における演算処理の結果を出力する。通信部322は、通信インタフェースを含んで構成され、統括制御部302と他の機器との通信を行う。例えば、通信部322は、ロボット制御部250の通信部254との間でデータを通信するインタフェース、ステーション端末40との間でデータを通信するインタフェース、WMS50との間でデータを通信するインタフェースなどを有する。なお、統括制御装置30、ステーション端末40、及びWMS50は、互いに有線接続されてもよく、無線接続されてもよい。ピックアップロボット20及び統括制御装置30は、互いに有線接続されてもよく、無線接続されてもよいが、好ましくは無線接続される。
【0054】
記憶部324は、統括制御部302のプロセッサにより実行されるプログラム330、移載対象の物品群を指定するオーダの情報を含むオーダデータ332、倉庫内の各収納棚10の情報を含む収納棚データ334、各収納棚10のトレイ104の載置部128に関する情報を含む載置部データ336、各収納棚10に収容された物品Gの情報を含む物品データ338、倉庫内の地図などの情報を含む地図データ340などを記憶する。各種データは、記憶部324に予め保存されてもよく、処理部326で生成したものであってもよく、入出力部320が外部から受け付けたものであってもよい。例えば、各収納棚10に収納された物品Gの情報は、定期的に統括制御部302に送信され、これに応答して記憶部324の物品データ338が更新される。
【0055】
処理部326は、認識処理部342、データ受信処理部344、オーダ選択処理部346、収納棚検索部348、ロボット選択部350、経路生成部352、送信処理部354、及び指示処理部356を含む。
【0056】
認識処理部342は、画像センサ310~314から出力されるデータに基づいて物品Gの位置姿勢情報やピックアップロボット20の位置姿勢情報を導出する。物品Gの3次元位置情報は、ロボット制御部250へ出力される。ロボット制御部250は、物品Gの位置情報に基づいてピックアップロボット20を制御する。
【0057】
データ受信処理部344は、入出力部320におけるデータの受信処理を行う。オーダ選択処理部346は、オーダデータ332に基づいて処理すべきオーダを選択するとともに、当該オーダに基づいて次にピックアップすべき対象物品Gを特定する。収納棚検索部348は、収納棚データ334、載置部データ336、及び物品データ338に基づいて、倉庫内の収納棚10のうち対象物品Gが格納されている収納棚10を検索し、対象物品Gが載置されている載置部128を特定する。ロボット選択部350は、倉庫内のピックアップロボット20のうち、対象物品Gを収納する収納棚10に到達しやすいピックアップロボット20を選択する。経路生成部352は、地図データ340に基づいて、選択されたピックアップロボット20から特定された収納棚10までの経路を計算し、経路データ262を生成する。送信処理部354は、生成された経路データ262をピックアップロボット20のロボット制御部250に送信する処理を行う。指示処理部356は、ピックアップロボット20によるピックアップ動作の指示を生成し、当該指示を含む情報をステーション端末40に送信して作業者に対して表示する。例えば、指示処理部356は、オーダデータ332、載置部データ336、物品データ338、ピックアップロボット20の保持部208の可動範囲の情報、ピックアップロボット20の現在の位置姿勢などに基づいて、ピックアップすべき対象物品Gの収納位置及びピックアップロボット20がピックアップ動作を実行可能なピックアップ位置を特定し、ピックアップされる対象物品Gに関する情報及びピックアップ位置に関する情報を生成することができる。指示処理部356は、これらの情報に基づいて、ピックアップ動作の指示を生成することができる。なお、生成された指示は、ピックアップロボット20のロボット制御部250へ動作処理命令として送信されてもよい。
【0058】
ステーション端末40は、作業者に対して物品Gのピックアップ作業の指示を表示する。作業者は、ステーション端末40に表示された作業指示に基づいて物品Gのピックアップ作業を実施する。ステーション端末40は、入力を受け付けるとともに処理結果を出力する入出力部、他の機器との通信を行う通信部、各種データを記憶する記憶部、演算処理を行う処理部、及び作業者に対してピックアップ作業の指示などのテキストや画像を表示する表示部を備える。
【0059】
WMS50は、物品Gに関するデータ及び作業に関するデータを管理する。物品Gに関するデータとしては、例えば、物品Gの識別情報、当該物品Gが格納された収納棚10及び載置部128の識別情報、収納棚10の位置情報などが登録された物品格納データなどが挙げられる。作業に関するデータとしては、例えば、配送先と当該配送先に配送される物品Gの識別情報との関係などが登録されたオーダなどが挙げられる。WMS50は、図示しない入力装置を介して入力されたオーダに基づいてオーダデータを生成し、統括制御装置30の統括制御部302へ送信する。また、物品格納データを統括制御部302へ送信する。統括制御部302は、当該物品格納データに基づいて、収納棚データ334、載置部データ336、物品データ338などを生成することができるが、これらのデータは記憶部324に予め記憶されてもよい。
【0060】
ピックアップシステム1は、統括制御装置30やWMS50において、収納棚10の動作状態、在庫状態、及び故障状態、ピックアップロボット20の動作状態及び故障状態などを統括的に管理することにより、倉庫全体の稼働状態や安全状態などを認識することができる。これにより、ピックアップシステム1は、倉庫内の物理的な状態の認識結果をサイバー空間において分析し、当該分析結果に基づいて、例えば全体最適化が実現されるように、倉庫内における各機器の動作を制御することができる。
【0061】
次いで、
図15を参照して、ピックアップシステム1におけるピックアップ動作の流れを説明する。
図15は、ピックアップシステムの動作フローを示すフローチャートである。
【0062】
まず、ステップ1501では、WMS50が、入力されたオーダに基づいてオーダデータ332を生成する。ステップ1502では、WMS50が生成したオーダデータ332を統括制御部302に送信し、データ受信処理部344が当該オーダデータ332を受信する。ステップ1503では、オーダ選択処理部346が、オーダデータ332に基づいて、処理するオーダを選択する。ステップ1504では、収納棚検索部348が、選択したオーダに基づいて、ピックアップすべき対象物品Gを特定し、対象物品Gを収納する収納棚10の位置を特定する。ステップ1505では、統括制御部302の判定部が、収納棚10の位置の特定が完了したか否かを判定する。収納棚10の位置の特定が完了していないと判定された場合(1505:NO)、オーダを選択するステップ1503が再び実行される。収納棚10の位置の特定が完了したと判定された場合(1505:YES)、ステップ1506において、ロボット選択部350が、ピックアップ作業を行うピックアップロボット20を選択する。ステップ1507では、経路生成部352が、ピックアップロボット20の現在位置から目的の収納棚10までの経路データ262を生成する。ステップ1508では、送信処理部354が、経路データ262及び経路データ262に従った移動動作の制御情報をピックアップロボット20に送信する。ステップ1509では、統括制御部302の判定部が、ピックアップロボット20が目的の収納棚10に到着したかを判定する。ピックアップロボット20が収納棚10に到着していないと判定された場合(1509:NO)、送信処理部354が移動動作の制御情報をピックアップロボット20に送信するステップ1508が再び実行される。なお、経路生成部352が262を生成するステップ1507からやり直してもよい。ピックアップロボット20が収納棚10に到着したと判定された場合(1509:YES)、ステップ1510において、完了通知部268が、移動完了を通知する。ステップ1511では、指示処理部356が、ピックアップ作業の指示を生成する。ステップ1512では、送信処理部354が、ピックアップ作業の指示をステーション端末40に送信する。ステップ1513では、ステーション端末40が、送信処理部354から受け付けたピックアップ作業の指示を作業者に対して表示する。ステップ1514では、ピックアップ作業指示に基づいて、対象物品Gをピックアップ位置に移動させるために、上下移動機構110が、支持部102を上下方向に移動させる。ステップ1515では、トレイ移動機構112が、対象物品Gが載置されたトレイ104を引出し方向に移動させる。これにより、対象物品Gがピックアップ位置に移動する。ステップ1516では、ピックアップロボット20が、対象物品Gのピックアップ作業を実行し、物品Gをピックアップトレイ206に移載する。なお、移載作業の主体はピックアップロボット20に限定されず、人間の作業者や任意の作業機械がピックアップ作業を行ってもよい。ステップ1517では、統括制御部302の判定部が、選択された収納棚10におけるすべてのピックアップ作業が完了したか否かを判定する。収納棚10におけるすべてのピックアップ作業が完了していないと判定された場合(1517:NO)、次の対象物品Gをピックアップ位置に移動させるように、上下移動機構110が支持部102を移動させるステップ1514が再実行される。収納棚10におけるすべてのピックアップ作業が完了したと判定された場合(1517:YES)、ステップ1518において、統括制御部302の判定部が、選択されたオーダのすべてのピックアップ作業が完了したか否かを判定する。オーダのすべてのピックアップ作業が完了していないと判定された場合(1518:NO)、オーダ選択処理部346がオーダを選択するステップ1503が再実行される。オーダのすべてのピックアップ作業が完了したと判定された場合(1518:YES)、ステップ1519において、完了通知部268が、作業完了を通知する。
【0063】
以上のような実施形態によれば、収納棚10が支持部102を上下移動させる上下移動機構110を備えるとともに、各トレイ104を展開及び格納する(引出し方向に前後移動させる)トレイ移動機構112を備えるので、収納棚10がトレイ104の位置を調整することができる。
【0064】
これに対し、従来、倉庫や工場などで作業者が棚から物品を注文に応じて取り出すピッキング作業においては、多数の物品が格納された棚から物品を取り出す作業の効率化のために、物品が格納されている棚を搬送車に搭載して作業者の近くに棚を搬送する方法が提案されている。しかしながら、こうした従来技術においては、作業者が、棚の高さ位置に応じて自身の姿勢を変更し、物品を取り出す必要があった。省人化のために作業者をマニピュレータロボットに置き換える移載システムも提案されているが、この場合でも、各固定棚の高さ位置に合わせて、多関節マニピュレータロボットの位置姿勢を適切に制御する必要があった。しかしながら、多関節マニピュレータロボットで固定棚から物品を取り出す場合、(1)可動範囲の広いロボットが必要であり、(2)ロボットと棚との接触による破損が生じるおそれがあり、(3)物品の並べ方に工夫が必要である、といった課題があった。
【0065】
さらに、従来の固定棚からピッキングする場合には、トレイの上方から物品にアクセスすることが困難であったため、物品の側方からアクセスして物品の側面を把持する必要があった。しかしながら、この場合、把持安定性が低いため、物品が落下するなどの危険性が高かった。また、トレイの前方に背の高い物品がある場合に、奥の物品をピックアップすることが困難であった。
【0066】
一方、本実施形態に係る収納棚10によれば、物品を収納する棚自体に上下前後の移動機構を設けることにより、物品を取り出しやすいように物品位置を調整することが可能となる。これにより、安価な低自由度のマニピュレータでも多種多様な物品を取り出すことが可能なピッキングシステムを提供することができる。また、トレイ移動機構112がトレイ104を前方に移動させることができるので、マニピュレータのエンドエフェクタが物品に対して上方から接近し、物品の把持位置を多数の候補から選択できる。このため、物品を安定して把持することができ、運搬時に物品が落下する危険性を低減することができる。さらに、トレイの前方に背の高い物品がある場合であっても、トレイの上方から奥の物品に直接アクセスして取り出すことができる。
【0067】
さらに、本実施形態によれば、収納棚10にモータなどのアクチュエータを設ける必要がないので、安価に構成可能であり、電源設備のない倉庫などにも設置可能である。また、上下移動機構110の電磁ブレーキ133を手動ブレーキにすれば、さらなる低価格化と電源不要による設置性や保守性の向上が期待できる。
【0068】
(第1の変形例)
次いで、
図16を参照して、第1の実施形態の第1の変形例について説明する。以下では、主に第1の実施形態との相違点について説明し、第1の実施形態と共通する点についての説明は繰り返さない。
【0069】
図16は、第1の実施形態の第1の変形例に係る収納棚10を示す斜視図である。
第1の変形例では、棚本体100を形成するフレーム構造が変更されており、支持部102の棚板126の下方に位置する空間Sには棚本体100の基台部が配置されていない。すなわち、棚本体100は、支持部102が棚本体100の最も低い位置まで(すなわち棚本体100の設置面まで)下降可能であるように構成される。支持部102の最下段に位置する棚板126の下面が床面に接するまで下降することにより、支持部102の最上段に位置するトレイ104の載置部128上の物品Gへのアクセスが容易になり、作業者が当該物品Gを取り出しやすくなる。また、上下移動機構110が支持部102を上昇させることにより、支持部102の最下段に位置するトレイ104の載置部128が、作業者が取り出しやすい位置まで上昇する。
【0070】
第1の変形例の収納棚10は、支持部102の最下段が床面に接する状態まで支持部102を下降させることができ、その状態から支持部102を上昇させることができるので、収納棚10全体の高さを低くできるという利点を有する。このことは、物品Gを取り出す際にピックアップロボット20を使用する場合において、ピックアップロボット20の高さを低くすることによって転倒の危険性を低減することができる点などで有用である。また、第1の変形例の収納棚10は、支持部102の最下段が床面に接する状態にできる点においても、転倒の危険性を低減することができる。
【0071】
(第2の変形例)
次いで、
図17を参照して、第1の実施形態の第2の変形例について説明する。以下では、主に第1の実施形態との相違点について説明し、第1の実施形態と共通する点についての説明は繰り返さない。
【0072】
図17は、第1の実施形態の第2の変形例に係る収納棚10を示す斜視図である。
第2の変形例では、各トレイ104が、載置部128を覆う蓋部材160を有する。蓋部材160は、トレイ104を閉鎖する閉状態(
図17左)とトレイ104を開放する開状態(
図17右)とを切り替える開閉機構162を有する。好ましくは、開閉機構162は、トレイ104の引出し方向の前後移動に連動して作動する。例えば、開閉機構162は、トレイ移動機構112がトレイ104を引出し方向前方(例えば+X方向)に移動させた場合にはトレイ104を閉状態から開状態に切り替え、トレイ移動機構112がトレイ104を引出し方向後方(例えば-X方向)に移動させた場合にはトレイ104を開状態から閉状態に切り替えるように構成されている。トレイ移動機構112の構造として、例えば、トレイ104が引出し方向後方に位置する場合にはバネなどで付勢して蓋部材160を閉じておき、トレイ104が引出し方向前方に移動するとバネの作用力で蓋部材160が開く構造が挙げられる。回動部としては特に限定されないが、バネ付き蝶番などが挙げられる。他の構造例として、歯車などのラック・ピニオン機構で構成してもよく、トレイ104が前方に移動するに従って徐々に蓋部材160が開いてもよい。また、蓋部材160は、作業者が手動で開いてもよい。
【0073】
トレイ104が蓋部材160を有することにより、トレイ104が前後移動する際に、物品Gが周囲環境に接触することを抑制することができる。このため、物品Gが転倒する可能性を低減することができる。これは、特に、背の高い物品Gが載置部128に載置されている場合に有用である。また、柔軟な物品Gが載置部128に置かれている場合にも、柔軟な物品Gが周囲環境と接触して破損する可能性を低減することができる。
【0074】
(第2の実施形態)
次いで、
図18及び
図19を参照して、第2の実施形態について説明する。以下では、主に第1の実施形態との相違点について説明し、第1の実施形態と共通する点についての説明は繰り返さない。
【0075】
図18は、第2の実施形態に係る上下移動機構110の動作原理の一例を示す模式図である。
図19は、第2の実施形態に係るピックアップシステム1のシステム構成を示すブロック図である。なお、
図19において、ロボット制御部250及び統括制御部302の構成は、第1の実施形態と同様であるため省略している。
第2の実施形態では、上下移動機構110の駆動力は電動モータなどのアクチュエータで与えられ、トレイ移動機構112の駆動力は第1の実施形態と同様にハンドルなどの力入力部106を介して与えられる。
図18に示すように、収納棚10は、上下移動機構110の駆動源として上下移動駆動部164を有する。第2の実施形態では、第1の実施形態における第1力入力部106Aは省略されてよい。上下移動機構110の上下移動送りねじ135が、上下移動駆動部164の駆動力を上下移動機構110に伝達する第1力伝達機構108Aとして機能する。
【0076】
上下移動駆動部164は、電気信号やスイッチ操作など任意の操作入力に応答して上下移動機構110の駆動力を発生させる駆動源であり、例えば電動モータなどのアクチュエータを含む。本実施形態では、上下移動駆動部164が回転運動することにより回転方向の駆動力を発生させ、第1力伝達機構108Aとしてのトレイ移動送りねじ147が、上下移動駆動部164の回転運動を第1引出し方向可動部148の並進運動に変換することにより、駆動力を上下移動機構110に伝達する。
【0077】
図19に示すように、収納棚10の制御部114は、入出力部180、通信部182、記憶部184、及び処理部186を備える。これらは、制御部114が備えるプロセッサ、メモリ、ストレージ、入出力インタフェース、通信インタフェース、これらを相互接続するバスなどを含むハードウェア構成の協働により実現される機能部である。
【0078】
受付部180は、入出力インタフェースを含んで構成され、制御部114への入力を受け付けるとともに、処理部186における演算処理の結果を出力する。通信部182は、通信インタフェースを含んで構成され、制御部114と他の機器との通信を行う。例えば、制御部114は、通信部182を介してピックアップロボット20や統括制御装置30と通信を行い、動作を連携させることができる。
【0079】
記憶部184は、制御部114のプロセッサにより実行されるプログラム188、収納棚10の各トレイ104に収納されている物品Gに関する情報を含む物品データ190、移載対象の物品群を指定するオーダの情報を含むオーダデータ192、ピックアップロボット20がピックアップを行う位置に関する情報を含むピックアップ位置データ194などを記憶する。各種データは、記憶部184に予め保存されてもよく、処理部186で生成したものであってもよく、入出力部180が外部から受け付けたものであってもよい。
【0080】
例えば、物品データ190は、物品Gを収納棚10に収納する際に任意の方法で入出力部180に入力されてよい。処理部186は、任意のセンサ(図示せず)などによって載置部128の物品Gを認識及び識別し、記憶部184の物品データ190を更新することができる。また、入出力部180は、WMS50により生成されたオーダデータ332をWMS50から受け付け、記憶部184は、当該オーダデータをオーダデータ192として記憶することができる。あるいは、入出力部180は、オーダ選択処理部346が選択したオーダをオーダデータ192として受け付けてもよい。さらに、入出力部180は、指示処理部356により生成された、ピックアップロボット20がピックアップ動作を実行可能なピックアップ位置に関する情報を、ピックアップ位置データ194として受け付ける。なお、入出力部180は、オーダデータ192に加えて又はオーダデータ192に代えて、指示処理部356により生成されたピックアップすべき対象物品Gに関する情報を受け付けてもよい。
【0081】
処理部186は、演算部196及び駆動制御部198を含む。演算部196は、オーダデータ192及びピックアップ位置データ194に基づいて、上下移動機構110による支持部102の移動量を決定することができる。駆動制御部198は、演算部196により決定された支持部102の移動量に基づいて、上下移動機構110のための駆動力を生成するように上下移動駆動部164を制御する。駆動制御部198は、例えば、上下移動駆動部164の駆動量及び/又は上下移動機構110の移動量を検出するセンサ(図示せず)の検出結果に基づいて、上下移動駆動部164を介して上下移動機構110の動作を制御することができる。例えば、駆動制御部198は、上下移動機構110が対象物品Gをピックアップ位置と同じ高さまで移動させるように上下移動駆動部164を制御する。
【0082】
本実施形態では、上下移動機構110の駆動源として上下移動駆動部164を使用することにより、上下移動機構110の動作を自動化することができ、省力化や動作の高速化及び効率化が期待できる。
【0083】
(第3の実施形態)
次いで、
図20を参照して、第3の実施形態について説明する。以下では、主に第1の実施形態との相違点について説明し、第1の実施形態と共通する点についての説明は繰り返さない。
【0084】
図20は、第3の実施形態に係るトレイ移動機構112の動作原理の一例を示す模式図である。
第3の実施形態では、トレイ移動機構112の駆動力は電動モータなどのアクチュエータで与えられ、上下移動機構110の駆動力は第1の実施形態と同様にハンドルなどの力入力部106を介して与えられる。
図20に示すように、収納棚10は、トレイ移動機構112の駆動源としてトレイ移動駆動部166を有する。トレイ移動駆動部166は、トレイ移動機構112の各々に対して1つずつ設けられてよい。第3の実施形態では、第1の実施形態における第2力入力部106B~第4力入力部106Dは省略されてよい。トレイ移動機構112のトレイ移動送りねじ147が、トレイ移動駆動部166の駆動力をトレイ移動機構112に伝達する第2力伝達機構108Bとして機能する。
【0085】
トレイ移動駆動部166は、電気信号やスイッチ操作など任意の操作入力に応答して上下移動機構110の駆動力を発生させる駆動源であり、例えば電動モータなどのアクチュエータを含む。本実施形態では、上下移動駆動部164が回転運動することにより回転方向の駆動力を発生させ、第1力伝達機構108Aとしてのトレイ移動送りねじ147が、上下移動駆動部164の回転運動を第1引出し方向可動部148の並進運動に変換することにより、駆動力を上下移動機構110に伝達する。
【0086】
制御部114の演算部196は、オーダデータ192及びピックアップ位置データ194に基づいて、トレイ移動機構112により移動させるべきトレイ104を選択するとともに、トレイ移動機構112によるトレイ104の移動量を決定することができる。駆動制御部198は、演算部196により決定されたトレイ104の移動量に基づいて、当該トレイ104に対応するトレイ移動機構112のための駆動力を生成するようにトレイ移動駆動部166を制御する。駆動制御部198は、例えば、トレイ移動駆動部166の駆動量及び/又はトレイ移動機構112の移動量を検出するセンサ(図示せず)の検出結果に基づいて、トレイ移動駆動部166を介してトレイ移動機構112の動作を制御することができる。例えば、駆動制御部198は、トレイ移動機構112が対象物品Gをピックアップ位置と同じ水平位置まで移動させるようにトレイ移動駆動部166を制御する。
【0087】
本実施形態では、トレイ移動機構112の駆動源としてトレイ移動駆動部166を使用することにより、トレイ移動機構112の動作を自動化することができ、省力化や動作の高速化及び効率化が期待できる。
【0088】
(第4の実施形態)
次いで、第4の実施形態について説明する。以下では、主に第1の実施形態との相違点について説明し、第1の実施形態と共通する点についての説明は繰り返さない。
【0089】
第4の実施形態では、上下移動機構110の駆動力は、第2の実施形態と同様に上下移動駆動部164により与えられ、トレイ移動機構112の駆動力は、第3の実施形態と同様にトレイ移動駆動部166により与えられる。収納棚10は、上下移動機構110の駆動源として上下移動駆動部164を有し、トレイ移動機構112の駆動源としてトレイ移動駆動部166を有する。第4の実施形態では、第1の実施形態における力入力部106は省略されてよい。上下移動機構110の上下移動送りねじ135が第1力伝達機構108Aとして機能し、トレイ移動機構112のトレイ移動送りねじ147が第2力伝達機構108Bとして機能する。
【0090】
制御部114の演算部196は、オーダデータ192及びピックアップ位置データ194に基づいて、トレイ移動機構112により移動させるべきトレイ104を選択するとともに、上下移動機構110による支持部102の移動量及びトレイ移動機構112によるトレイ104の移動量を決定することができる。駆動制御部198は、演算部196により決定された支持部102及びトレイ104の移動量に基づいて、上下移動機構110のための駆動力を生成するように上下移動駆動部164を制御するとともに、当該トレイ104に対応するトレイ移動機構112のための駆動力を生成するようにトレイ移動駆動部166を制御する。例えば、駆動制御部198は、上下移動機構110及びトレイ移動機構112が対象物品Gをピックアップ位置まで移動させるようにトレイ移動駆動部166を制御する。また、制御部114は、通信部182を介してピックアップロボット20から受信した電気信号などの操作入力に基づいて、上下移動駆動部164及びトレイ移動駆動部166を制御することができる。例えば、制御部114及び/又はロボット制御部250は、統括制御装置30の認識部300や収納棚10又はピックアップロボット20が有するセンサにより取得された認識結果に基づいて、駆動制御部198による上下移動駆動部164及びトレイ移動駆動部166の制御内容をリアルタイムで更新したり、動作制御部266による保持部208のピックアップ動作の制御内容をリアルタイムで更新することができる。このように、駆動制御部198は、通信部182を介してロボット制御部250とリアルタイムで連携しながら、上下移動駆動部164及びトレイ移動駆動部166を制御することができる。
【0091】
本実施形態では、上下移動機構110及びトレイ移動機構112の各々に対応する駆動源164、166を設けることにより、収納棚10におけるすべての移動機構の動作を自動化することができる。これにより、省力化や動作の高速化及び効率化が期待できる。また、ピックアップロボット20のロボット制御部250と収納棚10の制御部114とが通信を行いながら連携してピックアップ動作を行うことにより、必要に応じてトレイ104の位置をリアルタイムで細かく調整するなど、ピックアップ動作の精密性や効率性を向上させることができる。
【0092】
(第5の実施形態)
次いで、
図21を参照して、第5の実施形態について説明する。以下では、主に第1の実施形態との相違点について説明し、第1の実施形態と共通する点についての説明は繰り返さない。
【0093】
図21は、第5の実施形態に係る収納棚10を示す斜視図である。
第5の実施形態において、収納棚10は、棚搬送機構168を備える。棚搬送機構168は、例えば、棚本体100を搭載した移動ロボットである。棚搬送機構168によって、収納棚10全体が移動可能である。棚搬送機構168は、例えば、オペレータによる操縦が不要な自律移動台車であり、好ましくは、床面に描かれたラインなどが不要なラインレスタイプの自律移動台車である。棚搬送機構168は、例えば、低床型のAGV(Automatic Guided Vehicle)である。棚搬送機構168は、棚本体100と一体に設けられてもよく、予め棚本体100に結合されてもよく、使用時に棚本体100の下方に潜り込んで棚本体100の底部に結合され、棚本体100を搬送してもよい。ただし、棚搬送機構168は、上記例に限定されず、別のタイプの無人搬送車でもよい。例えば、棚搬送機構168は、オペレータにより操縦されてもよい。収納棚10は、棚本体100の下部に設けられた複数のキャスタ(車輪)を有してもよい。なお、棚搬送機構168で搬送される搬送対象物は、必ずしも収納棚10に限定されない。
【0094】
図21に示すように、棚搬送機構168は、例えば、車両本体170、結合部(図示せず)、測域センサ(図示せず)、及び制御部(図示せず)を有する。車両本体170は、車体ケース172、移動機構174、及び移動機構駆動部(図示せず)を有する。車体ケース172は、車両本体170の外郭を形成している。移動機構174は、例えば、複数の車輪を有した走行機構であるが、別のタイプの移動機構でもよい。移動機構駆動部は、車体ケース内に設けられ、移動機構174を駆動する。例えば、移動機構駆動部は、車輪を回転させる車軸モータを有する。また、移動機構駆動部は、車輪の舵角を変更する操舵機構を含む。移動機構駆動部は、移動機構174を駆動することで、車両本体170を所望の位置に移動させる。車両本体170は、搬送対象物の積載部の下方に潜り込める厚さに形成されている。例えば、車両本体170は、搬送対象物の2つのキャスタ(自在車輪)の間に入り込む。測域センサは、検出板の状態を取得するセンサであるが、搬送対象物に向けてレーザを照射可能なレーザーレンジファインダ(LRF)などである。
【0095】
結合部は、車両本体170に設けられ、搬送対象物に着脱可能に結合する。本明細書において、「結合」とは、「2つの対象を関係付ける」程度の広い概念を意味し、搬送対象物に係合する(例えば引っ掛かる)ことや、搬送対象物を支持する(例えば下方から持ち上げる)ことなども含む。本実施形態では、結合部は、搬送対象物を下方から持ち上げて搬送対象物に係合する係合部を有する。棚搬送機構168は、係合部が搬送対象物に係合することで、搬送対象物を牽引することができる。なお、結合部は、上記例である搬送対象物を下方から持ち上げるリフト機構に限定されず、ピンが突出している形態など、その他の機構でもよい。測域センサは、車両本体170の端部(+X方向側)に配置されている。測域センサは、例えば、測域センサ支持部を有する。測域センサ支持部は、測域センサと車両本体170とを連結する。
【0096】
測域センサの代わりの他のセンサを利用してもよい。例えば、TOFセンサなどの光軸センサでもよい。光軸センサは、空間中の1軸方向を計測する光学センサであり、1つの軸線に沿って投光して反射した光を評価・演算し、反射を生じた物体までの距離に換算して出力する。光軸センサは、「距離センサ」の一例である。なお、光軸センサから投光される光は、可視光でもよく、赤外線のような非可視光領域の光でもよい。光軸センサは複数でもよい。また、超音波センサを利用してもよい。
【0097】
棚搬送機構168は、収納棚10やピックアップロボット20などが破損した場合に、各種センサで破損を検出して作業者などに通知する機能を備えてもよい。
【0098】
棚搬送機構168の制御部は、収納棚10の制御部114、ピックアップロボット20のロボット制御部250、統括制御装置30の統括制御部302などと通信を行い、他の機器からの入力に応じて棚搬送機構168の動作を制御することができる。棚搬送機構168の制御部は、例えば制御部114の一部として構成されてもよい。
【0099】
本実施形態では、収納棚10を移動可能に構成することにより、ピックアップ動作が行われる場所選択の自由度が向上する。上下移動機構110及びトレイ移動機構112に加えて棚搬送機構168の制御を行うことによって、ピックアップロボット20の位置姿勢や可動範囲、物品Gの載置位置などに応じた柔軟なピックアップ動作が可能となる。
【0100】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、収納棚10がトレイ104を上下前後に移動させる上下移動機構110及びトレイ移動機構112を備えることにより、低自由度のマニピュレータによるピックアップ作業が容易になる。これにより、ピックアップシステムの構成を簡略化することができる。
【0101】
なお、統括制御装置30の機能の一部又は全部は、収納棚10の制御部114及び/又はピックアップロボット20のロボット制御部250によって実現されてもよい。制御部114、ロボット制御部250、統括制御装置30、ステーション端末40、及びWMS50の1以上が省略されてもよく、これらのうち2以上が1つの構成要素として統合されてもよい。例えば、WMS50が統括制御装置30に組み込まれてもよいし、ステーション端末40が統括制御装置30及び/又はWMS50を兼ねてもよい。その他、上記実施形態において説明した各処理は、上記例に限定されず、任意の装置の制御部によって実行されてよい。
【0102】
上記各実施形態では、複数のトレイ104が設けられた例を説明したが、トレイ104の数は特に限定されない。トレイ104が1つだけ設けられる場合などには、トレイ移動機構112が省略されてもよい。
【0103】
上記各実施形態では、統括制御装置30が画像センサ310~314を有しているが、これに代えて、又はこれに加えて、収納棚10及び/又はピックアップロボット20に認識用センサを設けて利用することができる。
【0104】
上記各実施形態では、制御部114、ロボット制御部250、統括制御部302などの各制御部はソフトウェア機能部であるものとしたが、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェア機能部であってもよい。
【0105】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0106】
1…ピックアップシステム、10…収納棚、100…棚本体、102…支持部、104…トレイ、106…力入力部、108…力伝達機構、108A…第1力伝達機構、108B…第2力伝達機構、110…上下移動機構、112…トレイ移動機構、114…制御部、124…支持板、128…載置部、135…上下移動送りねじ(第1変換部)、136…上下可動部、147…トレイ移動送りねじ(第2変換部)、148…第1引出し方向可動部、157…第2引出し方向可動部、160…蓋部材、162…開閉機構、164…上下移動駆動部、166…トレイ移動駆動部、168…棚搬送機構、198…駆動制御部、20…ピックアップロボット、208…保持部、250…ロボット制御部、30…統括制御装置、300…認識部、302…統括制御部、40…ステーション端末、50…WMS。