(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】センサ
(51)【国際特許分類】
G01R 15/18 20060101AFI20240610BHJP
G01R 33/02 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
G01R15/18 A
G01R33/02 B
(21)【出願番号】P 2021149926
(22)【出願日】2021-09-15
【審査請求日】2023-03-13
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】山崎 宏明
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/102569(WO,A1)
【文献】特開平10-247718(JP,A)
【文献】特開2007-292716(JP,A)
【文献】特開2003-315373(JP,A)
【文献】中国実用新案第205355795(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 15/18
G01R 19/00
G01R 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1素子電極を含む半導体素子を含む基体と、
前記半導体素子に積層された第1構造体であって、前記第1構造体は、
前記第1素子電極と電気的に接続された第1導電部材と、
前記基体から前記第1構造体への第1方向と交差する第1平面において、前記第1導電部材の周りに設けられたコイルと、
を含む前記第1構造体と、
を備え、
前記コイルは、前記第1方向において前記半導体素子と重なり、
前記コイルから得られる電気信号は、前記第1導電部材に流れ前記第1方向に沿う成分を含む電流に応じて変化し、
前記電気信号を検出することで前記第1導電部材に流れる前記電流の変化を検出する、センサ。
【請求項2】
半導体素子に積層されるセンサであって、前記センサは、
基体と、
第1構造体であって、前記第1構造体は、
第1導電部材と、
前記基体から前記第1構造体への第1方向と交差する第1平面において、前記第1導電部材の周りに設けられたコイルと、
を含み、前記コイルから得られる電気信号は、前記第1導電部材に流れ前記第1方向に沿う成分を含む電流に応じて変化する、前記第1構造体と、
を備え、
前記コイルは、前記第1方向において前記半導体素子と重なり、
前記電気信号を検出することで前記第1導電部材に流れる前記電流の変化を検出する、センサ。
【請求項3】
前記コイルの中心線の少なくとも一部は、前記第1平面において前記第1導電部材の周りにある、請求項1または2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記コイルは、
複数の電極層と、
複数の導電層と、
複数の接続部材と、
を含み、
前記複数の接続部材に含まれる第1接続部材は、前記複数の電極層に含まれる第1電極層の一部と、前記複数の導電層に含まれる第1導電層の一部と、を電気的に接続し、
前記複数の接続部材に含まれる第2接続部材は、前記複数の電極層に含まれる第2電極層の一部と、前記第1導電層の別の一部と、を電気的に接続する、請求項1~3のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項5】
前記複数の接続部材に含まれる第3接続部材は、前記第1電極層の別の一部と、前記複数の導電層に含まれる第2導電層の一部と、を電気的に接続し、
前記複数の接続部材に含まれる第4接続部材は、前記第2電極層の別の一部と、前記複数の導電層に含まれる第3導電層の一部と、を電気的に接続する、請求項4に記載のセンサ。
【請求項6】
前記第1接続部材と前記第2接続部材との間の第1距離は、前記第1導電部材と前記第1接続部材との間の第2距離よりも長い、請求項4または5に記載のセンサ。
【請求項7】
前記コイルは、リターンライン部をさらに含み、
前記リターンライン部は、前記複数の電極層、前記複数の導電層、及び、前記複数の接続部材の間を通過する、請求項4~
6のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項8】
絶縁部材をさらに備え、
前記絶縁部材の少なくとも一部は、前記複数の電極層の少なくとも1つと、前記複数の導電層の少なくとも1つと、の間にあり、
前記絶縁部材は、磁性材料を含む、請求項4~
7のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項9】
磁性部材をさらに含み、
前記磁性部材の少なくとも一部は、前記複数の電極層と、前記複数の導電層と、の間にある、請求項4~
8のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項10】
前記第1導電部材は、前記コイルと絶縁された、請求項1~
9のいずれか1つに記載のセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、センサに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、コイルなどを用いて電流を検出するセンサがある。センサにおいて、特性の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、特性の向上が可能なセンサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、センサは、基体と、第1構造体と、を含む。前記基体は、第1素子電極を含む半導体素子を含む。前記第1構造体は、第1導電部材と、コイルと、を含む。前記第1導電部材は、前記第1素子電極と電気的に接続される。前記コイルは、前記基体から前記第1構造体への第1方向と交差する第1平面において、前記第1導電部材の周りに設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1(a)及び
図1(b)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
【
図12】
図12は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1(a)及び
図1(b)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図1(a)は、
図1(b)のA1-A2線断面図である。
図1(b)は、
図1(a)の矢印ARからみた透過平面図である。
【0009】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、実施形態に係るセンサ110は、基体50と、第1構造体SB1と、を含む。第1構造体SB1は、第1導電部材18と、コイル10Cと、を含む。
【0010】
基体50から第1構造体SB1への第1方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0011】
この例では、基体50は、半導体素子50Eを含む。半導体素子50Eは、第1素子電極51を含む。半導体素子50Eは、例えば、半導体層55と、第1素子電極51と、第2素子電極52と、を含む。この例では、半導体素子50Eは、第3素子電極53を含む。
【0012】
1つの例において、半導体素子50Eは、トランジスタである。実施形態において、半導体素子50Eは、2端子素子でも良い。半導体素子50Eは、例えば、電力制御用の半導体素子である。半導体素子50Eは、例えば、ダイオードまたはパワートランジスタなどを含んで良い。パワートランジスタは、例えば、パワーMOSET、または、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を含んで良い。半導体素子50Eは、例えば、サイリスタ、ゲートターンオフサイリスタ(GTO)、または、トライアックなどを含んで良い。
【0013】
第1素子電極51は、例えば、ソース電極である。第1素子電極51は、アノード及びカソードの一方でも良い。
【0014】
例えば、基体50の上に、第1構造体SB1の第1導電部材18が設けられる。例えば、基体50から第1導電部材18への方向は、第1方向(Z軸方向)に沿う。例えば、基体50からコイル10Cへの方向は、第1方向に沿う。第1導電部材18は、コイル10Cと電気的に絶縁されている。第1導電部材18は、コイル10Cと直流的に絶縁されている。
【0015】
第1導電部材18は、例えば、第1素子電極51と電気的に接続される。この例では、第1導電部材18は、接続部材18Cにより第1素子電極51と電気的に接続される。接続部材18Cの位置は、
図1(a)に例示する断面とは異なる位置に設けられても良い。
【0016】
コイル10Cは、第1平面において、第1導電部材18の周りに設けられる。第1平面は、第1方向(Z軸方向)と交差する。第1平面は、例えば、X-Y平面である。例えば、
図1(a)に示す矢印ARに沿ってみたときに、コイル10Cは、第1導電部材18の周りにある。第1導電部材18からコイル10Cへの方向は、第1方向(Z軸方向)と交差する。
【0017】
コイル10Cから得られる電気信号は、第1導電部材18に流れる電流i1に応じて変化する。例えば、第1導電部材18と接続部材19とが、電気的に接続される。この例では、第1導電部材18の上にパッド電極18Lが設けられ、パッド電極18Lの上に接続部材19の端部が設けられる。接続部材19は、第1導電部材18を介して、第1素子電極51と電気的に接続される。第1素子電極51を流れる電流i1は、第1導電部材18及び接続部材19を流れる。第1導電部材18を流れる電流i1は、第1方向に沿う成分を含む。電流i1は、例えば交流電流である。
【0018】
例えば、電流i1の周り(例えば接続部材19の周り)に、電流i1に起因する磁界が発生する。電流i1が変化するとこの磁界が変化する。磁界の一部は、コイル10Cを通過する。磁界の変化に基づく電気信号の変化が、コイル10Cに生じる。実施形態においては、コイル10Cに生じる電気信号を検出することで、第1導電部材18に流れる電流の変化を検出できる。これにより、例えば、第1素子電極51に流れる電流の異常などを検出できる。
【0019】
実施形態においては、コイル10Cを含む第1構造体SB1が、第1素子電極51を含む半導体素子50Eに積層される。例えば、コイル10Cを含む第1構造体SB1の大きさは、半導体素子50Eの大きさと同程度にし易い。小型で高い感度のセンサが提供できる。
【0020】
例えば、半導体素子50Eの周りにコイル10Cを設ける参考例が考えられる。参考例においては、コイル10Cとして、例えば、半導体基体中に設けられた貫通電極が用いられる。この参考例においては、コイル10CのX-Y平面におけるサイズが半導体素子50Eのサイズよりも大きい。参考例において、コイル10Cを含めたセンサの大きさは、半導体素子50Eよりも大きくなる。さらに、センサを小さくしようとすると、コイル10Cの1巻きの幅が小さくなる。このため、電流i1に基づく磁界が効率よくコイル10Cを通過することが困難である。貫通電極を用いる参考例においては、半導体基体への寄生(容量、抵抗)成分により、コイル10Cの特性を高めることが困難である。
【0021】
これに対して、実施形態においては、コイル10Cが、第1素子電極51を含む半導体素子50Eに積層される。このため、コイル10Cを含む第1構造体SB1を小型化し易い。さらに、第1構造体SB1の大きさが小さくても、コイル10Cの1巻きの大きさを大きくし易い。コイル10Cの1巻きの大きさが大きいことで、電流i1に基づく磁界が、効率よくコイル10Cを通過する。これにより、高い感度が得易い。実施形態によれば、特性を向上できるセンサを提供できる。
【0022】
図1(b)に示すように、センサ110は、端子T0及び端子T1を含んでも良い。端子T0は、コイル10Cの一部(例えば1つの端部)と電気的に接続される。端子T1は、コイル10Cの別の一部(例えば別の端部)と電気的に接続される。端子T0及び端子T1の間に生じる電気信号を検出することで、電流i1の変化が検出できる。
【0023】
センサ110は、処理部70(
図1(b)参照)を含んでも良い。処理部70は、端子T0及び端子T1を介して、コイル10Cと電気的に接続される。処理部70は、コイル10Cに生じる電気信号を受ける。処理部70は、例えば、増幅回路71及び積分回路72を含む。増幅回路71に、コイル10Cに生じる電気信号が入力される。増幅回路71は、コイル10Cに生じる電気信号を増幅する。積分回路72は、増幅回路71の出力を積分する。例えば、積分回路72の出力が処理部70の出力として利用される。
【0024】
実施形態において、コイル10Cの中心線10CL(
図1(b)参照)の少なくとも一部は、第1平面(X-Y平面)において、第1導電部材18の周りにある。
【0025】
コイル10Cは、ロゴスキーコイルを含む。例えば、コイル10Cの一部が、ロゴスキーコイルでも良い。
【0026】
この例では、コイル10Cは、複数の電極層10と、複数の導電層20と、複数の接続部材30と、を含む。複数の電極層10の第1方向(Z軸方向)における位置は、複数の導電層20の第1方向における位置とは異なる。この例では、複数の電極層10の第1方向(Z軸方向)における位置は、基体50の第1方向における位置と、複数の導電層20の第1方向における位置と、の間にある。複数の接続部材30の第1方向における位置は、複数の電極層10の第1方向における位置と、複数の導電層20の第1方向における位置と、の間にある。複数の接続部材30の1つは、複数の電極層10の1つを、複数の導電層20の1つと電気的に接続する。
【0027】
図2~
図4は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
図2は、複数の電極層10のパターンを例示している。
図3は、複数の接続部材30のパターンを例示している。
図3には、複数の電極層10が波線により描かれている。
図4は、複数の導電層20のパターンを例示している。
【0028】
図2及び
図4に示すように、複数の電極層10のX-Y平面内で延びる方向は、複数の導電層20のX-Y平面内で延びる方向に対して傾斜しても良い。
【0029】
図2に示すように、複数の電極層10は、第1電極層11及び第2電極層12などを含む。
図3に示すように、複数の接続部材30は、例えば、第1接続部材31、第2接続部材32、第3接続部材33及び第4接続部材34など含む。
図4に示すように、複数の導電層20は、第1導電層21、第2導電層22及び第3導電層23などを含む。
【0030】
図1(b)~
図4に示すように、複数の接続部材30に含まれる第1接続部材31は、複数の電極層10に含まれる第1電極層11の一部11pと、複数の導電層20に含まれる第1導電層21の一部21pと、を電気的に接続する。
【0031】
図1(b)~
図4に示すように、複数の接続部材30に含まれる第2接続部材32は、複数の電極層10に含まれる第2電極層12の一部12qと、第1導電層21の別の一部21qと、を電気的に接続する。
【0032】
図1(b)~
図4に示すように、複数の接続部材30に含まれる第3接続部材33は、第1電極層11の別の一部11qと、複数の導電層20に含まれる第2導電層22の一部22qと、を電気的に接続する。
【0033】
図1(b)~
図4に示すように、複数の接続部材30に含まれる第4接続部材34は、第2電極層12の別の一部12pと、複数の導電層20に含まれる第3導電層23の一部23pと、を電気的に接続する。
【0034】
このように、複数の接続部材30により、複数の電極層10及び複数の導電層20が電気的に接続される。これにより、コイル10Cが形成される。
【0035】
図3に示すように、例えば、第1接続部材31と第1導電部材18との間の距離は、第2接続部材32と第1導電部材18との間の距離よりも短い。第4接続部材34と第1導電部材18との間の距離は、第3接続部材33と第1導電部材18との間の距離よりも短い。例えば、第1接続部材31及び第4接続部材34は、コイル10Cの内側の側部に対応する。第2接続部材32及び第3接続部材33は、コイル10Cが形成の外側の側部に対応する。複数の電極層10は、コイル10Cの下側部分(基体50の側の部分)に対応する。複数の導電層20は、コイル10Cの上側部分に対応する。
【0036】
図1(a)に示すように、この例では、複数の電極層10のZ軸方向における位置は、第1導電部材18のZ軸方向における位置と同じである。例えば、第1導電部材18から複数の電極層10への方向は、第1平面(例えば、X-Y平面)に沿う。例えば、第1導電部材18から第1電極層11への方向は、第1平面に沿う。第1導電部材18から第2電極層12への方向は、第1平面に沿う。実施形態において、第1導電部材18から複数の導電層20への方向が第1平面(例えばX-Y平面)に沿っても良い。
【0037】
図1(b)に示すように、第1接続部材31と第2接続部材32との間の距離を第1距離d1とする。第1距離d1は、例えば最短距離で良い。第1導電部材18と第1接続部材31との間の距離を第2距離d2とする。第2距離d2は、例えば最短距離で良い。実施形態において、第1距離d1は、第2距離d2よりも長いことが好ましい。第1距離d1は、コイル10Cの1巻きの幅に対応する。第1距離d1が長いことで、コイル10Cを通過する磁界が多くなる。より高い感度が得られる。
【0038】
図1(a)に示すように、第1電極層11の一部11pと、第1導電層21の一部21pと、の間の第1方向(Z軸方向)に沿う距離を第3距離d3とする。第3距離d3は、コイル10Cの1巻きの高さに対応する。第3距離d3が長いことで、コイル10Cを通過する磁界が多くなる。より高い感度が得られる。
【0039】
実施形態において、第1距離d1は、例えば、10μm以上10000μm以下である。第2距離d2は、例えば、1μm以上1000μm以下である。第3距離d3は、例えば、1μm以上1000μm以下である。
【0040】
実施形態において、コイル10Cの中は空隙でも良い。コイル10Cの中に絶縁部材などが設けられても良い。
【0041】
図1(a)に示すように、センサ110は、絶縁部材40をさらに含む。絶縁部材40の少なくとも一部41は、複数の電極層10の少なくとも1つと、複数の導電層20の少なくとも1つと、の間にある。例えば、絶縁部材40がコイル10Cの中に設けられることで、複数の電極層10、及び、複数の導電層20の形状が安定する。安定したコイル10Cが得られる。
【0042】
絶縁部材40の少なくとも一部41は、例えば、樹脂、酸化シリコン及び窒化シリコンよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。樹脂は、例えばポリイミドなどを含む。
【0043】
図1(a)に示すように、絶縁部材40は、第1絶縁層40a及び第2絶縁層40bなどを含んでも良い。第1絶縁層40aは、基体50と第1導電部材18との間に設けられる。第2絶縁層40bの少なくとも一部は、複数の電極層10と複数の導電層20との間に設けられる。第1絶縁層40aは、例えば、酸化シリコン及び窒化シリコンよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2絶縁層40bは、樹脂または酸化シリコンを含む。
【0044】
図1(a)に示すように、センサ110は、金属層50sを含んでも良い。金属層50sは、基体50と第1構造体SB1との間に設けられる。金属層50sは、例えば、基体50より発生する電磁界ノイズに対する電磁界シールドとして機能する。金属層50sは、例えば、Al、及びFeよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0045】
図1(a)に示すように、センサ110は、絶縁膜50iを含んでも良い。絶縁膜50iは、金属層50sと第1構造体SB1との間に設けられる。絶縁膜50iは、例えば、樹脂、酸化シリコン及び窒化シリコンよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0046】
実施形態において、複数の電極層10、複数の導電層20、及び、複数の接続部材30の少なくとも1つは、Al、Cu、Ni、Ti及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含んで良い。
【0047】
実施形態において、絶縁部材40は、磁性材料を含んでも良い。例えば、絶縁部材40の少なくとも一部は、フェライトを含んでも良い。絶縁部材40の少なくとも一部は酸化鉄を含んでも良い。
【0048】
図5は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図5に示すように、実施形態に係るセンサ111において、第1構造体SB1のコイル10Cは、リターンライン部10Rを含む。センサ111におけるこれ以外の構成は、センサ110における構成と同様で良い。
【0049】
図5に示すように、リターンライン部10Rは、複数の電極層10、複数の導電層20、及び、複数の接続部材30の間を通過する。リターンライン部10Rは、導電性である。絶縁部材40の少なくとも一部41は、複数の電極層10と、リターンライン部10Rと、の間、及び、前記複数の導電層20と、リターンライン部10Rと、の間にある。
【0050】
図6は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図6は、センサ111におけるコイル10Cを例示している。
図6に示すように、複数の電極層10、複数の導電層20、及び、複数の接続部材30により、コイル10Cの巻き線部が形成される。リターンライン部10Rは、コイル10Cの巻き線部の中を通過する。リターンライン部10Rが設けられることで、外部の磁界の影響が抑制される。より高い精度が得やすくなる。実施形態において、リターンライン部10Rは、磁性体を含んでも良い。
【0051】
図7は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図7に示すように、実施形態に係るセンサ112において、第1構造体SB1のコイル10Cは、磁性部材10Mを含む。センサ112におけるこれ以外の構成は、センサ110における構成と同様で良い。
【0052】
図7に示すように、磁性部材10Mの少なくとも一部は、複数の電極層10と、複数の導電層20と、の間にある。磁性部材10Mは、例えば、コイル10Cの内側の側部と、コイル10Cの外側の側部と、の間にある。内側の側部は、例えば、第1接続部材31及び第4接続部材34などを含む。外側の側部は、例えば、第2接続部材32及び第3接続部材33などを含む。磁性部材10Mは、例えば、コイル10Cの磁気的コアとして機能して良い。磁性部材10Mは、例えばフェライトなどを含んでも良い。磁性部材10Mが設けられることで、電流i1による磁界がより効率的にコイル10Cに印加される。より高い感度が得られる。
【0053】
一方、磁性部材10Mが設けられないことで、例えば、磁気特性の飽和の影響が生じない。磁性部材10Mが設けられないことで、例えば、磁性部材10Mに起因するヒステリシスの影響が抑制される。
【0054】
図8は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図8に示すように、実施形態に係るセンサ113のように、第1構造体SB1のコイル10Cにおいて、リターンライン部10R及び磁性部材10Mが設けられても良い。センサ113におけるこれ以外の構成は、センサ110における構成と同様で良い。
【0055】
図9は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図9に示すように、実施形態に係るセンサ114のように、パッド電極18Lが省略されても良い。接続部材19は、第1素子電極51と電気的に接続される。第1素子電極51は、パッド電極として機能しても良い。センサ114におけるこれ以外の構成は、センサ110における構成と同様で良い。
【0056】
図10は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図10に示すように、実施形態に係るセンサ115は、基体50、及び、複数の第1構造体SB1を含む。基体50から複数の第1構造体SB1への方向は、第1方向(Z軸方向)に沿う。複数の第1構造体SB1のそれぞれは、第1導電部材18及びコイル10Cを含む。複数の第1構造体SB1のそれぞれの第1導電部材18は、基体50に含まれる第1素子電極51と電気的に接続される。複数の第1構造体SB1のそれぞれにおいて、第1導電部材18に接続部材(接続部材19a~19cなど)が電気的に接続される。
【0057】
複数の第1構造体SB1のそれぞれのコイル10Cにより、複数の第1構造体SB1のそれぞれの第1導電部材18に流れる電流i1の変化が検出できる。例えば、端子T1~T3に生じる電気信号を検出することで、接続部材19a~19cに流れる電流の変化が検出できる。端子T1~T3は、複数のコイル10Cのそれぞれの2つの端子を含む。
【0058】
例えば、基体50に含まれる半導体素子50Eにおいて、複数の接続部材(接続部材19a~19cなど)が設けられる場合がある。これにより、大電流が制御できる。複数の接続部材の2つ以上に対応して、第1構造体SB1が設けられて良い。これにより、複数の接続部材に流れる電流i1の変化(例えば異常)が検出できる。
【0059】
図11は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図11に示すように、実施形態に係るセンサ116は、基体50及び第1構造体SB1に加えて、第1部材61及び第2部材62を含む。第1部材61と第2部材62との間に基体50及び第1構造体SB1が設けられる。第1部材61及び第2部材62の少なくともいずれかは、磁気シールドとして機能する。第1部材61及び第2部材62の少なくともいずれかは、外部の磁界を減衰させる。磁気シールドが設けられることで、より安定して高い精度の検出が可能になる。
【0060】
この例では、第1部材61から第2部材62への方向は、第1方向(Z軸方向)に沿う。
【0061】
図11に示すように、実施形態に係るセンサ116は、第3部材63及び第4部材64を含んでも良い。第3部材63と第4部材64との間に基体50及び第1構造体SB1が設けられる。第3部材63及び第4部材64の少なくともいずれかは、磁気シールドとして機能する。第3部材63及び第4部材64の少なくともいずれかは、外部の磁界を減衰させる。磁気シールドが設けられることで、より安定して高い精度の検出が可能になる。
【0062】
図11に示すように、この例では、第1部材61に端子部19Eが設けられる。接続部材19の一端が、第1導電部材18と電気的に接続される。接続部材19の他端が、端子部19Eと電気的に接続される。接続部材19の他端と第1導電部材18との間の距離を第4距離d4とする。第4距離d4は、第2距離d2(第1導電部材18とコイル10C(例えば第1接続部材31)との間の距離:
図1(b)参照)よりも長いことが好ましい。例えば、接続部材19の他端において生じる磁界の影響を抑制できる。
【0063】
図12は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
図12に示すように、実施形態に係るセンサ117において、コイル10Cは、X-Y平面において、第1導電部材18の周りに設けられて良い。
【0064】
(第2実施形態)
図13は、第2実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図13に示すように、実施形態に係るセンサ120は、基体50と、第1構造体SB1と、を含む。センサ120において、基体50とは別に半導体素子50Eが設けられる。センサ120は、半導体素子50Eと積層される。センサ120におけるこれ以外の構成はセンサ110の構成と同様で良い。
【0065】
センサ120においても、第1構造体SB1は、第1導電部材18と、コイル10Cと、を含む。コイル10Cは、基体50から第1構造体SB1への第1方向(Z軸方向)と交差する第1平面(例えばX-Y平面)において、第1導電部材18の周りに設けられる。コイル10Cから得られる電気信号は、第1導電部材18に流れ第1方向に沿う成分を含む電流i1に応じて変化する。
【0066】
センサ120の基体50は、半導体素子50Eに固定されて良い。第1導電部材18は、接続部材18Cなどにより、半導体素子50Eに含まれる第1素子電極51と電気的に接続されることが可能である。第1素子電極51は、ソース電極などで良い。第1素子電極51は、接続部材51Cなどにより、半導体層55と接続されて良い。
【0067】
センサ120において、第1構造体SB1の大きさは、基体50の大きさ程度に小さくできる。第1構造体SB1の大きさは、半導体素子50Eの大きさ程度に小さくできる。コイル10Cの幅及び高さが大きくできる。高い感度で高い精度の検出が可能になる。特性の向上が可能なセンサが提供できる。
【0068】
実施形態は、以下の構成(例えば技術案)を含んで良い。
(構成1)
第1素子電極を含む半導体素子を含む基体と、
第1構造体であって、前記第1構造体は、
前記第1素子電極と電気的に接続された第1導電部材と、
前記基体から前記第1構造体への第1方向と交差する第1平面において、前記第1導電部材の周りに設けられたコイルと、
を含む前記第1構造体と、
を備えたセンサ。
【0069】
(構成2)
前記コイルから得られる電気信号は、前記第1導電部材に流れ前記第1方向に沿う成分を含む電流に応じて変化する、構成1に記載のセンサ。
【0070】
(構成3)
基体と、
第1構造体であって、前記第1構造体は、
第1導電部材と、
前記基体から前記第1構造体への第1方向と交差する第1平面において、前記第1導電部材の周りに設けられたコイルと、
を含み、前記コイルから得られる電気信号は、前記第1導電部材に流れ前記第1方向に沿う成分を含む電流に応じて変化する、前記第1構造体と、
を備えたセンサ。
【0071】
(構成4)
前記コイルの中心線の少なくとも一部は、前記第1平面において前記第1導電部材の周りにある、構成1~3のいずれか1つに記載のセンサ。
【0072】
(構成5)
前記コイルは、ロゴスキーコイルを含む、構成1~4のいずれか1つに記載のセンサ。
【0073】
(構成6)
前記コイルは、
複数の電極層と、
複数の導電層と、
複数の接続部材と、
を含み、
前記複数の接続部材に含まれる第1接続部材は、前記複数の電極層に含まれる第1電極層の一部と、前記複数の導電層に含まれる第1導電層の一部と、を電気的に接続し、
前記複数の接続部材に含まれる第2接続部材は、前記複数の電極層に含まれる第2電極層の一部と、前記第1導電層の別の一部と、を電気的に接続する、構成1~5のいずれか1つに記載のセンサ。
【0074】
(構成7)
前記複数の接続部材に含まれる第3接続部材は、前記第1電極層の別の一部と、前記複数の導電層に含まれる第2導電層の一部と、を電気的に接続し、
前記複数の接続部材に含まれる第4接続部材は、前記第2電極層の別の一部と、前記複数の導電層に含まれる第3導電層の一部と、を電気的に接続する、構成6に記載のセンサ。
【0075】
(構成8)
前記第1接続部材と前記第1導電部材との間の距離は、前記第2接続部材と前記第1導電部材との間の距離よりも短く、
前記第4接続部材と前記第1導電部材との間の距離は、前記第3接続部材と前記第1導電部材との間の距離よりも短い、構成7に記載のセンサ。
【0076】
(構成9)
前記第1導電部材から前記第1電極層への方向は、前記第1平面に沿い、
前記第1導電部材から前記第2電極層への方向は、前記第1平面に沿う、構成7または8に記載のセンサ。
【0077】
(構成10)
前記第1接続部材と前記第2接続部材との間の第1距離は、前記第1導電部材と前記第1接続部材との間の第2距離よりも長い、構成6~9のいずれか1つに記載のセンサ。
【0078】
(構成11)
前記第1電極層の前記一部と、前記第1導電層の前記一部と、の間の前記第1方向に沿う距離は、前記第2距離の1/2以上である、構成10に記載のセンサ。
【0079】
(構成12)(戻り線)
前記コイルは、リターンライン部をさらに含み、
前記リターンライン部は、前記複数の電極層、前記複数の導電層、及び、前記複数の接続部材の間を通過する、構成6~11のいずれか1つに記載のセンサ。
【0080】
(構成13)
絶縁部材をさらに備え、
前記絶縁部材の少なくとも一部は、前記複数の電極層と、リターンライン部と、の間、及び、前記複数の導電層と、リターンライン部と、の間にある、構成12に記載のセンサ。
【0081】
(構成14)
絶縁部材をさらに備え、
前記絶縁部材の少なくとも一部は、前記複数の電極層の少なくとも1つと、前記複数の導電層の少なくとも1つと、の間にある、構成6~12のいずれか1つに記載のセンサ。
【0082】
(構成15)
前記少なくとも一部は、樹脂、酸化シリコン及び窒化シリコンよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成14に記載のセンサ。
【0083】
(構成16)
前記絶縁部材は、磁性材料を含む、構成14に記載のセンサ。
【0084】
(構成17)
磁性部材をさらに含み、
前記磁性部材の少なくとも一部は、前記複数の電極層と、前記複数の導電層と、の間にある、構成6~16のいずれか1つに記載のセンサ。
【0085】
(構成18)
前記複数の電極層、前記複数の導電層、及び、前記複数の接続部材の少なくとも1つは、Al、Cu、Ni、Ti及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成6~17のいずれか1つに記載のセンサ。
【0086】
(構成19)
前記コイルと電気的に接続された処理部をさらに備え、
前記処理部は、前記コイルに生じる電気信号を受け、
前記処理部は、前記電気信号を増幅する増幅回路と、前記増幅回路の出力を積分する積分回路と、を含む、構成1~18のいずれか1つに記載のセンサ。
【0087】
(構成20)
前記第1導電部材は、前記コイルと絶縁された、構成1~19のいずれか1つに記載のセンサ。
【0088】
実施形態によれば、特性の向上が可能なセンサが提供できる。
【0089】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、センサに含まれる各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0090】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0091】
その他、本発明の実施の形態として上述したセンサを基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全てのセンサも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0092】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0093】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0094】
10…電極層、 10C…コイル、 10CL…中心線、 10M…磁性部材、 10R…リターンライン部、 11、12…第1、第2電極層、 11p、11q、12p、12q…一部、 18…第1導電部材、 18C…接続部材、 18L…パッド電極、 19…接続部材、 19E…端子部、 19a~19c…接続部材、 20…導電層、 21~23…第1~第3導電層、 21p、21q、22q、23p…一部、 30…接続部材、 31~34…第1~第4接続部材、 40…絶縁部材、 40a、40b…第1、第2絶縁層、 41…一部、 50…基体、 50E…半導体素子、 50i…絶縁膜、 50s…金属層、 51~53…第1~第3素子電極、 51C…接続部材、 55…半導体層、 61~64…第1~第4部材、 70…処理部、 71…増幅回路、 72…積分回路、 110~117、120…センサ、 AR…矢印、 SB1…第1構造体、 T0~T3…端子、 d1~d4…第1~第4距離、 i1…電流