IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社スギノマシンの特許一覧

<>
  • 特許-残留物回収装置および残留物回収方法 図1
  • 特許-残留物回収装置および残留物回収方法 図2
  • 特許-残留物回収装置および残留物回収方法 図3
  • 特許-残留物回収装置および残留物回収方法 図4
  • 特許-残留物回収装置および残留物回収方法 図5
  • 特許-残留物回収装置および残留物回収方法 図6
  • 特許-残留物回収装置および残留物回収方法 図7
  • 特許-残留物回収装置および残留物回収方法 図8
  • 特許-残留物回収装置および残留物回収方法 図9
  • 特許-残留物回収装置および残留物回収方法 図10
  • 特許-残留物回収装置および残留物回収方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】残留物回収装置および残留物回収方法
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/02 20060101AFI20240610BHJP
   G01N 1/04 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
B08B3/02 A
G01N1/04 M
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021191336
(22)【出願日】2021-11-25
(65)【公開番号】P2023077853
(43)【公開日】2023-06-06
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000132161
【氏名又は名称】株式会社スギノマシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】杉田 浩二
(72)【発明者】
【氏名】光江 豊彰
(72)【発明者】
【氏名】沢崎 富男
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-174987(JP,U)
【文献】特開2008-108790(JP,A)
【文献】特開2011-077244(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0316958(US,A1)
【文献】特開平10-000438(JP,A)
【文献】特開2005-296722(JP,A)
【文献】特開昭58-104682(JP,A)
【文献】特開2019-173419(JP,A)
【文献】特開2018-202350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/02
G01N 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液を貯留するタンクと、
下方に開放する上部カバーであって、
天井開口と、
壁面に配置された搬入口と、
を有する上部カバーと、
前記天井開口に配置され、前記上部カバー内へ清浄空気を送り出す清浄空気発生器と、
前記搬入口を遮蔽する遮蔽体と、
排出口を有し、前記上部カバーの下方に配置される流し台であって、下方に向けて断面が縮小する流し台と、
測定濾紙が装着される漏斗を有する濾紙装着部であって、漏斗が、
前記排出口と接続される注ぎ口と、
出口と、
を有する濾紙装着部と、
前記出口に接続される第1吸引口を有し、前記測定濾紙の裏面から濾液を吸引し、前記タンクへ戻す濾過ポンプと、
前記タンクに貯留された前記洗浄液を吐出する吐出口を有する洗浄ポンプと、
前記上部カバーの外部に配置された洗浄弁と、
前記上部カバー内に配置され、前記洗浄弁を介して前記吐出口と接続されるノズルであって、
第1濾過フィルタと、
前記第1濾過フィルタの下流に接続される噴口と、
を有するノズルと、
を有する、残留物回収装置。
【請求項2】
前記上部カバーを貫通して、前記洗浄弁と前記第1濾過フィルタとの間を接続するノズルチューブを更に有し、
前記ノズルは、前記ノズルチューブによって前記上部カバーの上方から吊り下げられる、
請求項1に記載の残留物回収装置。
【請求項3】
前記上部カバーの上部に配置された回転台と、
前記回転台から吊り下げられ、測定対象物が設置される測定皿と、
を更に有する、請求項1又は2に記載の残留物回収装置。
【請求項4】
前記出口と前記タンクとの間に配置された第2濾過フィルタを更に有する、
請求項1~3のいずれかに記載の残留物回収装置。
【請求項5】
前記洗浄弁を開閉させるフットスイッチを更に有する、
請求項1~4のいずれかに記載の残留物回収装置。
【請求項6】
前記流し台は、
前記排出口を有し、前記濾紙装着部に接続される漏斗部と、
前記漏斗部と前記上部カバーとの間に取り外し可能に設置された絞り袋と、
を有する、請求項1~5のいずれかに記載の残留物回収装置。
【請求項7】
前記絞り袋は、導電性プラスチックのシートで構成される、
請求項6に記載の残留物回収装置。
【請求項8】
前記濾紙装着部は、
前記排出口と接続される流入口を有する装着部ボディと、
前記排出口と離間して配置される支持プレートであって、垂直軸を中心に装着位置と濾過位置との間を旋回し、前記漏斗を支持する支持プレートと、
前記測定濾紙を保持する保持枠と、
を有し、
前記支持プレートが前記装着位置にあるとき、上方から見て、前記注ぎ口は前記流入口と重ならず、
前記支持プレートが前記濾過位置にあるとき、前記注ぎ口は前記流入口と接続される、
請求項1~7のいずれかに記載の残留物回収装置。
【請求項9】
前記支持プレートは、前記装着位置から前記濾過位置に向かうにつれて上昇し、前記濾過位置にあるときに、前記保持枠が前記流入口に密着する、
請求項8に記載の残留物回収装置。
【請求項10】
前記濾紙装着部は、
リード溝を有し、前記垂直軸を中心に前記装着部ボディに固定されるカム軸と、
フォロー溝と、接触子保持部とを有するスライダであって、前記カム軸が貫通して、前記カム軸の回りに旋回するスライダと、
前記装着部ボディに配置され、前記フォロー溝と接触する第1接触子を有する原動節と、
前記リード溝と前記接触子保持部との間に配置された第2接触子と、
を有し、
前記スライダは、前記原動節の移動によって上下方向に駆動し、前記第2接触子の前記リード溝に沿った移動によって前記カム軸の回りを旋回する、
請求項8又は9に記載の残留物回収装置。
【請求項11】
前記スライダは、中空円筒状であり、
前記フォロー溝は、前記スライダの外周に、周方向に延び、
前記原動節は、水平に延びるハンドル軸を中心に回転可能に前記装着部ボディに配置されたクランク軸であり、
前記第1接触子は、前記ハンドル軸と離間して配置され、前記ハンドル軸と平行に回転するローラである、
請求項10に記載の残留物回収装置。
【請求項12】
前記リード溝は、U字状の横断面を有し、前記カム軸の外周面に配置され、
前記第2接触子は、ボールである、
請求項10又は11に記載の残留物回収装置。
【請求項13】
回収室内に清浄空気を送り、前記回収室内の内圧を周囲環境より高め、
測定対象物を前記回収室内に吊り下げ、
閉じたタンクの内部に貯留された洗浄液を加圧して、洗浄弁を通過した前記洗浄液をろ過して、前記回収室内で噴口から噴出し、
前記洗浄液の噴流を前記測定対象物にかけ流し、
前記測定対象物から流れ出た残留物を減圧ろ過し、
減圧濾過で得られた濾液をろ過して前記タンクへ戻す、
残留物回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄後の測定対象物に残留する異物を回収するための残留物回収装置及び残留物回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄後の測定対象物に残留する異物のサイズや質量を測定するために、洗浄後の測定対象物を洗浄液で洗い流し、フィルタに回収する残留物回収ユニットが知られている(株式会社スギノマシンが提供するカタログNo.Q2426N「汎用型高効率洗浄システム JCCシリーズ ジェットクリーンセンタシリーズ」14頁に掲載の「残留物回収ユニット」)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
洗浄後の測定対象物に残留する異物のサイズや質量の許容される限界値(清浄度規格)が小さいときがある。発明者らは、様々な洗浄方法により測定対象物を洗浄し、複数の手法による洗浄後の測定対象物に残留する異物の測定を繰り返した。また、発明者らは、残留物回収ユニットから異物が発生する可能性を考慮し、清浄な測定対象物に残留する異物の回収及び測定を何回も連続して行った。
【0004】
その結果、発明者らは、測定した異物の全てが測定対象物に由来するものではないことを見出した。具体的には、異物が残留物回収ユニットの外部から混入する場合や、残留物回収ユニットの内部で発生する場合があることを発見した。洗浄度規格が小さい場合、残留物回収ユニットの外部から混入した異物や、内部で発生した異物によって、容易に清浄度規格を超過し得る。
そこで、本発明は、残留物回収ユニットへの異物の混入や、残留物回収ユニットからの異物の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の側面は、
洗浄液を貯留するタンクと、
下方に開放する上部カバーであって、
天井開口と、
壁面に配置された搬入口と、
を有する上部カバーと、
前記天井開口に配置され、前記上部カバー内へ清浄空気を送り出す清浄空気発生器と、
前記搬入口を遮蔽する遮蔽体と、
排出口を有し、前記上部カバーの下方に配置される流し台であって、下方に向けて断面が縮小する流し台と、
測定濾紙が装着される漏斗を有する濾紙装着部であって、漏斗が、
前記排出口と接続される注ぎ口と、
出口と、
を有する濾紙装着部と、
前記出口に接続される第1吸引口を有し、前記測定濾紙の裏面から濾液を吸引し、前記タンクへ戻す濾過ポンプと、
前記タンクに貯留された前記洗浄液を吐出する吐出口を有する洗浄ポンプと、
前記上部カバーの外部に配置された洗浄弁と、
前記上部カバー内に配置され、前記洗浄弁を介して前記吐出口と接続されるノズルであって、
第1濾過フィルタと、
前記第1濾過フィルタの下流に接続される噴口と、
を有するノズルと、
を有する、残留物回収装置である。
【0006】
本発明の第2の側面は、
回収室内に清浄空気を送り、前記回収室内の内圧を周囲環境より高め、
測定対象物を前記回収室内に吊り下げ、
閉じたタンクの内部に貯留された洗浄液を加圧して、洗浄弁を通過した前記洗浄液をろ過して、前記回収室内で噴口から噴出し、
前記洗浄液の噴流を前記測定対象物にかけ流し、
前記測定対象物から流れ出た残留物を減圧ろ過し、
減圧濾過で得られた濾液をろ過して前記タンクへ戻す、
残留物回収方法である。
【0007】
洗浄液は、例えば、水系洗浄液や、油剤である。水系洗浄液は、例えば、中性洗浄液や塩基性洗浄液である。油剤は、炭化水素やフッ素系溶剤である。油剤は、濾過された鉱物油や植物油でも良い。鉱物油は、例えば、灯油である。
【0008】
望ましくは、残留物回収装置は、クリーンブースやクリーンルームの内部に設置される。上部カバーと、遮蔽体と、流し台とは、回収室を構成する。ノズルから噴射した洗浄液は、回収室内で測定対象物に衝突し、流し台から測定濾紙に回収される。濾液は、タンクに回収される。
【0009】
ノズルは、例えば、直射ノズル、平射ノズル、円錐噴射ノズルである。ノズルは、弁やトリガーを有さない。好ましくは、ノズルは、握りも有さない。好ましくは、噴口と第1濾過フィルタのケーシングとは、一体に形成される。好ましくは、ケーシングから第1濾過フィルタを取り外しできる。例えば、配管、弁、ノズルの素材は、プラスチックである。ノズルチューブは、例えば、コイルチューブである。好ましくは、ノズルやコイルチューブの素材は、プラスチックである。
【0010】
遮蔽体は、搬入口に吊り下げられたカーテンでも良い。また、遮蔽体は、搬入口に配置された扉でも良い。残留物回収装置は、上部カバー又は扉に配置されたグローブ穴を有しても良い。
上部カバーと、流し台と、遮蔽体とは、発生した静電気を床やアース線を通して放電できる程度の導電性を有する。
【0011】
漏斗は、注ぎ口に配置された第1濾紙台を有しても良い。漏斗は、足(管部)を省いて良い。保持枠は、枠体と、第2濾紙台とを有して良い。第2濾紙台は、枠体の上方に設置されて良い。第1濾紙台や第2濾紙台は、メッシュや多孔質板でも良い。
第1測定濾紙は、第1濾紙台に載せられる。第2測定濾紙は、第2濾紙台に載せられる。保持枠は、それぞれの測定濾紙の上方に配置されて良い。フィルタ保持枠は、第1測定濾紙や第2測定濾紙と装着部ボディの流入口とを接続する。
漏斗の出口と、濾過ポンプの第1吸引口と、を接続しても良い。
【0012】
濾過ポンプは、タンクに接続される第2吐出口を有しても良い。このとき、第2濾過フィルタは、第2吐出口と前記タンクとの間に配置される。
【0013】
なお、濾過ポンプの第1吸引口は、タンクに接続され、タンク内を減圧しても良い。このとき、出口とタンクは、濾液流路で接続される。第2濾過フィルタは、濾液流路の内部に配置されて良い。
好ましくは、タンクは、閉じられている。
【0014】
濾紙装着部は、
リード溝を有し、前記垂直軸を中心に前記装着部ボディに固定されたカム軸と、
前記装着部ボディに回転可能に支持されて前記垂直軸を中心に延びる回転軸と、接触子保持部と、を有し、カム軸の回りに旋回するスライダと、
回転軸に接続されたハンドルと、
リード溝と接触子保持部との間に配置された第3接触子と、を有してもよい。
スライダは、ハンドルによって回転し、第3接触子がリード溝に沿って移動してカム軸に沿って昇降しても良い。
【0015】
残留物回収装置は、上部カバーの外側に配置された、手洗ノズルと、手洗弁と、手洗台と、を有しても良い。
手洗ノズルは、手洗台の上方に配置される。手洗ノズルは、手洗弁を介して、第1吐出口(吐出口)と接続されても良い。第4濾過フィルタは、洗浄ポンプと手洗弁との間に配置されても良い。洗浄ポンプの第1吐出口から分岐を設けて、手洗弁と洗浄弁に接続し、第4濾過フィルタを洗浄ポンプの第1吐出口と分岐との間に配置しても良い。
【0016】
望ましくは、手洗台は、回収室の外側に配置される。好ましくは、手洗台は、流し台の下方に配置される。手洗い台は、第2排出口を有する。手洗い台は、手洗いノズルから噴出された洗浄液を集め、第2排出口から排出する。残留物回収装置は、手洗台吸引ポンプと、第3濾過フィルタと、を有しても良い。手洗台吸引ポンプは、第2吸引口と第3吐出口を有する。第2吸引口は、第2排出口に接続される。第3吐出口は、第3濾過フィルタを介してタンクへ接続される。
残留物回収装置は、第4濾過フィルタを含んでも良い。第4濾過フィルタは、洗浄ポンプと、手洗ノズルとの間に配置される。
【0017】
なお、残留物回収装置は、手洗ポンプと、第5濾過フィルタとを含んでも良い。手洗ポンプは、第4吐出口と、第4吸引口を有する。第4吐出口は、手洗いノズルに接続される。第4吸引口は、タンクに接続される。第5濾過フィルタは、手洗ポンプと、手洗ノズルとの間に配置される。
残留物回収装置は、手洗弁を開閉する第2フットスイッチを含んでも良い。
また、残留物回収装置は、手洗ポンプと第2フットスイッチを有し、手洗弁を有さなくても良い。このとき、第2フットスイッチは、手洗ポンプの駆動と停止を制御する。
【0018】
測定皿は、ワイヤーを組んで構成されたワイヤーかごでも良い。
好ましくは、洗浄弁、手洗弁、濾過ポンプ、洗浄ポンプ、手洗台吸引ポンプ、タンク、第2濾過フィルタ、第3濾過フィルタや第4濾過フィルタは、流し台の下方に配置される。好ましくは、洗浄弁や手洗弁の駆動スイッチは、流し台の下方に配置される。
【0019】
例えば、濾過ポンプ、洗浄ポンプ、手洗台吸引ポンプは、ダイヤフラムポンプである。ダイヤフラムポンプの素材は、例えば、プラスチックである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の残留物回収装置及び残留物回収方法によれば、残留物回収装置への外部からの異物の混入や、残留物回収ユニットからの異物の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態1の残留物回収装置の正面図
図2】実施形態1の残留物回収装置の空圧及び液圧回路図
図3図1のIII-III線組み合わせ断面図
図4図3のIV-IV線断面図
図5図1のV-V線断面図
図6図5のVI-VI線断面図
図7】実施形態1のカム曲線
図8】実施形態2の残留物回収装置の一部を切断した正面図
図9図7のIX-IX線断面図
図10図9のX-X線断面図
図11】実施形態2のカム曲線
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施形態1)
図1及び図2に示すように、本実施形態の残留物回収装置10は、回収室18と、濾過ポンプ65と、タンク69と、洗浄ポンプ71と、洗浄弁75と、ノズル79と、コイルチューブ(ノズルチューブ)78と、を有する。回収室18は、上部カバー12と、下部フレーム11と、FFU(Fan Filter Unit、清浄度発生器)13と、扉(遮蔽体)14と、流し台16と、濾紙装着部35と、を有する。
【0023】
残留物回収装置10は、圧縮空気源70と、第2濾過フィルタ67と、第4濾過フィルタ72と、フットスイッチ76と、手洗弁83と、手洗ノズル85と、手洗台86と、手洗台吸引ポンプ88と、第3濾過フィルタ90と、フットスイッチ84と、クランプ54と、を有して良い。
更に、残留物回収装置10は、流量計73と、絞り77と、絞り89と、絞り66と、絞り74と、絞り91と、を有して良い。
【0024】
上部カバー12は、下方に開口する箱型のカバーである。上部カバー12は、天井面に天井開口12aを有し、正面に搬入口12bを有する。上部カバー12は、下部フレーム11に支持される。望ましくは、下部フレーム11は、キャスター11aを有する。上部カバー12は、透明でも良い。上部カバー12は、ソケット68を有する。ソケット68は、上部カバー12の上方、例えば天井面に配置される。
【0025】
FFU13は、天井開口12aに配置される。FFU13は、空気清浄フィルタとファンとを有する。FFU13は、外部から取り入れた空気を清浄化し、回収室18の内部に吹き出す。
【0026】
扉14は、搬入口12bに配置される。扉14は、透明である。扉14は、例えば、両開き戸である。扉14は、一対のグローブ穴15を有する。グローブ穴15は、扉14の下方に配置される。グローブ穴15は、筒部15aを有して良い。筒部15aは、例えば、0.1m程度の長さを有する。作業者は、グローブ穴15を通して、グローブを装着した手を上部カバー12の内部へ挿入できる。なお、グローブ穴15にグローブを装着しても良い。
【0027】
図3を合わせて参照して、流し台16は、第1排出口(排出口)17を有する。流し台16は、上部カバー12の下方に配置される。流し台16は、下部フレーム11に支持される。流し台16は、例えばステンレス鋼板で構成され、研磨される。流し台16は、第1排出口17に向かうにつれて深くなるように、底面が傾斜している。流し台16の底面は、例えば、3度~15度傾斜する。第1排出口17は、フランジ17aを有する。第1排出口17には、濾紙装着部35が接続される。
【0028】
上部カバー12と、流し台16と、扉14は、下部フレーム11を通して発生した静電気を放電できる程度の導電性を有する。望ましくは、下部フレーム11は接地される。また、望ましくは、残留物回収装置10は、金属床か、静電処理された床面に設置される。
【0029】
濾過ポンプ65は、例えば、圧縮空気駆動式のダイヤフラムポンプである。濾過ポンプ65は、回収室18の外部に配置される。例えば、濾過ポンプ65は、下部フレーム11に配置される。好ましくは、濾過ポンプ65は、流し台16の下方に配置される。濾過ポンプ65は、第1吸引口65aと、第2吐出口65bと、を有する。第1吸引口65aは、濾紙装着部35と接続される。第2吐出口65bは、第2濾過フィルタ67を介してタンク69に接続される。
【0030】
タンク69は、蓋を有する。好ましくは、タンク69は、密閉できる。タンク69は、例えば、円筒形である。タンク69は、洗浄液3を貯留する。
タンク69は、上方に流入口を有する。濾過ポンプ65や手洗台吸引ポンプ88からの液体は、流入口から流入する。好ましくは、流入口は、洗浄液3の液面よりも上方に配置される。
【0031】
洗浄ポンプ71は、例えば、圧縮空気駆動式のダイヤフラムポンプである。洗浄ポンプ71は、回収室18の外部に配置される。例えば、洗浄ポンプ71は、下部フレーム11に配置される。望ましくは、洗浄ポンプ71は、流し台16の下方に配置される。洗浄ポンプ71は、第3吸引口71aと、第1吐出口(吐出口)71bと、を有する。第3吸引口71aは、タンク69の底部に接続される。第1吐出口71bは、洗浄弁75を介してノズル79に接続される。
【0032】
手洗台86は、回収室18の外部に配置される。例えば、手洗台86は、下部フレーム11や上部カバー12の側方に配置される。手洗台86は、第2排出口86aを有する。手洗ノズル85は、手洗台86の上方に配置される。手洗ノズル85は、手洗弁83と、絞り89とを介して第1吐出口71bと接続される。第1吐出口71bからの流路は、分岐口93で分岐する。第1の流路は、手洗ノズル85へ接続される。第2の流路は、ノズル79へ接続される。
【0033】
手洗台吸引ポンプ88は、例えば、圧縮空気駆動式のダイヤフラムポンプである。手洗台吸引ポンプ88は、第2吸引口88aと、第3吐出口88bを有する。第2吸引口88aは、第2排出口86aに接続される。第3吐出口88bは、第3濾過フィルタ90を介してタンク69と接続される。
【0034】
第4濾過フィルタ72は、分岐口93と第1吐出口71bとの間に配置されて良い。なお、第4濾過フィルタ72は、分岐口93と手洗弁83との間に配置されても良い。
流量計73は、分岐口93とノズル79との間に配置される。好ましくは、流量計73は、積算流量計である。
【0035】
ノズル79は、噴口79aと、第1濾過フィルタ79bと、を有する。ノズル79は、円筒状のケーシングを有する。ケーシングの内部に、第1濾過フィルタ79bが配置される。好ましくは、第1濾過フィルタ79bは交換可能である。ノズル79は、コイルチューブ78によってソケット68に接続され、上部カバー12内に吊り下げられる。ノズル79とコイルチューブ78は、プラスチックで構成される。
【0036】
圧縮空気源70は、例えば、空気圧縮機や圧縮空気供給口である。圧縮空気供給口は、残留物回収装置10の外部に設置された空気圧縮機と接続される。圧縮空気源70は、絞り66を介して、濾過ポンプ65と接続される。
圧縮空気源70は、絞り74を介して、洗浄ポンプ71と接続される。圧縮空気源70は、絞り91を介して、手洗台吸引ポンプ88と接続される。
圧縮空気源70は、フットスイッチ76を介して、洗浄弁75と接続される。圧縮空気源70は、フットスイッチ84を介して、手洗弁83に接続される。
【0037】
洗浄弁75と手洗弁83は、回収室18の外部に配置される。例えば、洗浄弁75と手洗弁83は、空気圧駆動式の2方弁である。例えば、フットスイッチ76とフットスイッチ84は、3ポート流路切替弁である。
好ましくは、濾過ポンプ65、タンク69、洗浄ポンプ71、洗浄弁75、第2濾過フィルタ67、第4濾過フィルタ72、フットスイッチ76と、手洗弁83、手洗台吸引ポンプ88、第3濾過フィルタ90やフットスイッチ84は、流し台16の下方に配置される。
【0038】
図3及び図4に示すように、回収室18は、梁21と、回転台22と、吊具26と、ワイヤー27と、測定皿28と、を有して良い。梁21は、上部カバー12の天井面に、例えば上方から見てX字状に、配置される。
回転台22は、梁21に支持される。回転台22は、ケース23と、軸受24と、回転シャフト25と、を有する。ケース23は、中空円筒状である。回転シャフト25は、軸受24を介して、ケース23の内部に支持される。回転シャフト25は、ケース23の下方に突出する。
【0039】
吊具26は、例えば、矩形の枠体であり、回転シャフト25の下面に設置される。吊具26は、回転シャフト25と一体に回転する。
測定皿28は、例えば、薄型のワイヤーかごである。測定皿28は、ワイヤー27によって吊具26から吊り下げられる。測定対象物4は、測定皿28の上面に載せられる。
【0040】
図3図5及び図6に示すように、濾紙装着部35は、装着部ボディ36と、軸受38と、カム軸45と、スライダ47と、ボール(第2接触子)48と、クランク軸(原動節)39と、ハンドル40と、ローラ(第1接触子)41と、支持プレート49と、保持枠ガイド50と、漏斗55と、保持枠56と、を有する。
【0041】
装着部ボディ36は、継手部36aと、カムフレーム36fと、を有する。継手部36aは、流入口36bと、フランジ36cと、接続面36dと、を有する。継手部36aは、中空円筒状である。継手部36aは、上端に流入口36bを有し、下端に接続面36dを有する。
フランジ36cは、流入口36bの周囲に配置される。例えば、フランジ36cは、フランジ17aにクランプ54で着脱可能に固定される。接続面36dは、例えば、平面である。接続面36dは、保持枠56に接続される。
カムフレーム36fは、正面視でC字状であり、継手部36aに固定される。カムフレーム36fは、軸受ケース36gを有しても良い。軸受ケース36gは、ハンドル軸43を中心に軸受38を支持する。ハンドル軸43は、水平方向に延びる。好ましくは、カムフレーム36fは、継手部36aと一体に構成される。
【0042】
カム軸45は、垂直軸46に沿って、カムフレーム36fに固定される。カム軸45は、円柱状であり、円筒面45aと、リード溝45bとを有する。カム軸45は、1本又は複数(例えば2本)のリード溝45bを有する。リード溝45bは、U字状断面を有し、円筒面45aに沿って形成される。リード溝45bのカム曲線を図7に示す。図7は、スライダ47のリフト量h(mm)に対するスライダ47の回転角θ(度)を示す。ここで、θ=0度は装着位置60に対応し、θ=90度は、濾過位置59に対応する。リフト量hが0から最大リフト量h0の60%~80%においてリフト量hと回転角θが比例し、回転角θが90度に達する。その後、リフト量hが最大リフト量h0に達するまで回転角θが90度に保たれる。
【0043】
スライダ47は、カム軸45を中心に、カム軸45がスライダ47を貫通するように、配置される。スライダ47は、胴部47aと、小径部47bと、ボール保持穴(接触子支持部)47cと、フォロー溝47dと、内筒面47fと、を有する。胴部47aは、円筒状である。胴部47aの下方に、小径部47bが位置する。内筒面47fは、円筒面45aと上下方向及び回転方向に摺動する。ボール保持穴47cは、内筒面47fの中央部に配置される。ボール48は、ボール保持穴47cの内部に保持され、スライダ47の回転に伴ってリード溝45bを転動する。フォロー溝47dは、例えば、胴部47aの上端部に配置される。フォロー溝47dは、円周方向に延びる。フォロー溝47dの横断面は、矩形である。
【0044】
クランク軸39は、軸受38に支持される。クランク軸39は、カムフレーム36fを貫通して配置される。ハンドル40は、カムフレーム36fの外側のクランク軸39の一端部に締結される。クランク軸39は、ハンドル軸43を中心に回転する。クランク軸39は、ハンドル軸43から距離53だけずれた軸上にローラ41を支持する。距離53は、スライダ47の最大リフト量h0に等しい。クランク軸39の他端部には、軸受42を介してローラ41が配置される。ローラ41は、円筒形であり、フォロー溝47d内に配置される。ローラ41は、クランク軸39の回転に伴い、フォロー溝47d内を転動する。
【0045】
支持プレート49は、矩形の平板であり、第1穴49aと、第2穴49bとを有する。第1穴49aが小径部47bに装着されて、支持プレート49がスライダ47に結合する。保持枠ガイド50は、支持プレート49の上面から、上方に延びる。例えば、複数(例えば3つ)の保持枠ガイド50が、第2穴49bを中心とする円周上に均等に配置される。
【0046】
漏斗55は、注ぎ口55aと、出口55cと、第1濾紙台55bと、小径部55dと、を有する。小径部55dが第2穴49bに挿入され、漏斗55が支持プレート49に結合される。第1濾紙台55bは、注ぎ口55aに配置される。第1濾紙台55bは、例えば、多孔質板やメッシュである。第1濾紙台55bは、多数の孔が開けられた平板でも良い。測定濾紙1は、第1濾紙台55bの上に載せられる。出口55cは、第1吸引口65aと接続される。漏斗55は、足(筒部)を有さなくても良い。
【0047】
保持枠56は、上面56aと、下面56bと、ガイド溝56c(図5参照)と、を有する中空円筒の枠体である。保持枠56は、漏斗55の上方に配置される。保持枠56は、注ぎ口55aと実質的に同一の内径を有する。例えば、上面56aと、下面56bと、は平面である。上面56aは、接続面36dと接続される。下面56bは、測定濾紙1を挟んで、漏斗55の注ぎ口55aに接する。保持枠56は、保持枠56の重量により測定濾紙1を上方から押さえて保持する。ガイド溝56cは、鉛直方向に延びる断面U字状であり、保持枠56の外周に均等に配置される。ガイド溝56cは、保持枠ガイド50に案内されて、保持枠56の位置を保持する。
【0048】
なお、保持枠56は、封止体(不図示)を有して良い。封止体は、例えばOリングであり、下面56bに配置される。封止体は、下面56bと注ぎ口55aとの間を封止する。
【0049】
好ましくは、複数(実施形態では3つ)の保持枠56が重ねて配置される。このとき、保持枠56は、第2濾紙台56dを有する。第2濾紙台56dは、保持枠56の上面56aに沿って配置される。第2濾紙台56dの上面には、第2測定濾紙2が載せられる。最上段の保持枠56には、第2濾紙台56dを設けなくても良い。第2測定濾紙2は、第1測定濾紙1よりも保持粒子径が大きい。
【0050】
支持プレート49が装着位置60にあるときに、作業者が向かって時計回りにハンドル40を90度回す。すると、スライダ47は、リード溝45bに沿って上昇しながら90度旋回し、その後、上昇して濾過位置59に達する。濾過位置59において、保持枠56と、漏斗55と、継手部36aとが互いに密着し、測定濾紙1が流入口36bに接続する。
支持プレート49が濾過位置59にあるときに、作業者がハンドルを反時計回りに90度回す。すると、スライダ47は、リード溝45bに沿って一旦下降し、その後、90度旋回しながら下降を続け、装着位置60に達する。
【0051】
以下、作業方法を説明する。最初に、作業者は、手洗台86で手やグローブを洗浄する。次に、作業者は、扉14を開き、搬入口12bから測定対象物4を測定皿28に載せる。作業者は、支持プレート49が装着位置60にあるときに、測定濾紙1や測定濾紙2を第1濾紙台55bや第2濾紙台56dに装着する。
【0052】
次いで、支持プレート49を濾過位置59へ回転させる。作業者は、グローブ穴15を通して、手やグローブを回収室18内に入れる。作業者は、フットスイッチ76により洗浄弁75を開閉する。これにより、測定対象物4に向いたノズル79から、洗浄液3を測定対象物4にかけ流す。このとき、作業者は、回転台22により、測定皿28を自在に回転できる。更に、作業者は、かけ流した洗浄液3の総量を、流量計73で測定できる。
【0053】
測定対象物4に残留していた異物は、洗浄液3と共に流し台16から濾紙装着部35へ流れ、測定濾紙1や測定濾紙2に捕捉される。濾過ポンプ65は、出口55cから濾液を吸引するため、濾過速度が上昇する。測定対象物4への洗浄液3のかけ流しを終えた後、作業者は、支持プレート49を装着位置60に回転させる。最後に、作業者は、測定濾紙1や測定濾紙2を第1濾紙台55bや第2濾紙台56dから取り外す。
【0054】
本実施形態によれば、FFU13が回収室18の内部に清浄空気を送り出し、周囲環境よりも回収室18の圧力を高める。そのため、回収室18の外部から異物が混入しにくい。
【0055】
上部カバー12と、流し台16と、扉14は、下部フレーム11を通して発生した静電気を放電する。そのため、測定対象物4や、測定対象物4から流された異物が、静電気によって残留物回収装置10の内部に付着しにくい。そして、測定対象物4に付着した異物が、測定濾紙1、2へ回収されやすくなる。
【0056】
発明者らは、従来技術の残留物回収装置において、クーラントガンの内部から金属片が発生することを見出した。
本実施形態のノズル79は、内部に洗浄弁75やトリガーを有さないため、ノズル79の内部から異物が発生しにくい。また、ノズル79が滑らかな外観形状を有しているため、ノズル79の周囲に異物が付着しにくい。このように、ノズル79が清浄に保たれることにより、ノズル79に由来する異物が測定濾紙1や測定濾紙2に回収されることを抑制する。
【0057】
ノズル79、洗浄弁75、洗浄ポンプ71等がプラスチックスで構成される場合、ノズル79、洗浄弁75、洗浄ポンプ71等から金属片が発生しない。機械部品において、測定対象となる異物は、金属であることが多い。ノズル79、洗浄弁75、洗浄ポンプ71等をプラスチックス製とすることにより、問題となる異物がノズル79から発生しない。
【0058】
洗浄弁75を回収室18の外側に配置することにより、洗浄弁75の外部に付着した異物や、洗浄弁75の外部で発生した異物が回収室18に入りにくい。また、噴口79aの上流に第1濾過フィルタ79bを配置することにより、噴口79aから噴出される洗浄液が清浄となる。仮に洗浄弁75や洗浄ポンプ71で異物が発生しても、第1濾過フィルタ79bによって洗浄液が濾過される。
【0059】
洗浄弁75や手洗弁83が回収室18の外部に配置される。これにより、洗浄弁75や手洗弁83で発生した異物や、洗浄弁75や手洗弁83に付着した異物が、測定濾紙1や測定濾紙2に回収されることを抑制する。
【0060】
従来技術では、流し台16上に設置した測定台に、測定対象物4を設置していた。そのため、測定台と流し台16との接触により、流し台16に傷がつく場合があった。また、流し台16の傷に、異物が溜まる場合があった。すると、異物が流出して、測定濾紙上に回収される場合がある。また、測定対象物4の姿勢や向きを変える際、測定台が流し台16を削り、傷をつけたり、異物が発生したりする場合があった。また、回転台を流し台16上に設置すると、回転台内からの異物が発生して測定濾紙上に回収される場合があった。
【0061】
本実施形態の測定皿28は、ワイヤーかごである。そのため、測定対象物4と測定皿28とは点接触する。接触面積が小さく、接触点が丸く緩やかであるため、測定対象物4と測定皿28との接触によって、測定対象物4からのバリの脱落が少ない。また、測定皿28に異物がたまりにくい。
【0062】
測定皿28は、吊具26やワイヤー27で吊るされる。そのため、測定皿28と流し台16は接触しない。また、測定皿28は、回転台22によって滑らかに回転する。そのため、作業者は、測定皿28と共に測定対象物4の姿勢を容易に変更できる。そして、測定皿28の回転による異物の発生が抑制される。
【0063】
測定皿28は、上方から吊るされており、ワイヤーで構成される。そのため、作業者が測定対象物4を洗い流したときに、測定対象物4から流出した異物が測定皿28に溜まりにくい。したがって、測定対象物4から流出した異物は測定濾紙1,2に速やかに回収される。
【0064】
濾過ポンプ65、タンク69、洗浄ポンプ71、洗浄弁75、第2濾過フィルタ67、第4濾過フィルタ72、フットスイッチ76と、手洗弁83、手洗台吸引ポンプ88、第3濾過フィルタ90やフットスイッチ84は、回収室18の下方に配置される。そのため、これらの機器の周囲で発生した異物や、これらの機器に付着した異物が回収室18の内部に入り込むことが抑制される。
タンク69へ流入する洗浄液は、第2濾過フィルタ67や第3濾過フィルタ90によって濾過される。したがって、タンク69内の洗浄液が清浄に保たれる。
【0065】
上面から見て、装着位置60は排出口17と重なっていない。そのため、測定濾紙を容易に脱着できる。保持枠56が第2濾紙台56dを有する。そのため、保持枠56を重ねることにより、複数の測定濾紙1、2を重ねて残留物を採取できる。測定濾紙を上段から保持粒子径が大きい順に配置することで、残留物を大きさ毎に採取できる。保持枠56は、測定濾紙1、2の上に載せられる。そのため、支持プレート49が濾過位置59に回転し、測定濾紙1、2が流入口36bに接続される際に、測定濾紙1、2が第1濾紙台55b、第2濾紙台56dの上でずれたり、折れたりせず、作業者が測定濾紙1、2をセットした位置に測定濾紙1、2が保持される。
【0066】
濾過ポンプ65と、洗浄ポンプ71と、手洗台吸引ポンプ88と、洗浄弁75と、手洗弁83は、圧縮空気駆動式である。フットスイッチ76とフットスイッチ84は、流路切替弁である。ポンプや弁が電気式ではないため、可燃性の洗浄液3を利用できる。
【0067】
(実施形態2)
図8及び図9に示すように、本実施形態の残留物回収装置100は、回収室118と、濾紙装着部135とを有する。回収室118は、カーテン(遮蔽体)114と、流し台116と、を有する。その他の残留物回収装置100の構成は、第1実施形態の残留物回収装置10と実質的に同じである。
【0068】
カーテン114は、搬入口12bに吊り下げられる。例えば、カーテン114は、縦方向に延びるスリットを有し、複数枚に分割される。好ましくは、カーテン114は、一部が互いに重なりあう。カーテン114は、グローブ穴15を有さなくて良い。好ましくは、カーテン114は、導電性のプラスチックシートで構成される。
【0069】
流し台116は、漏斗部116aと、絞り袋116bと、を有する。漏斗部116aは、上方に配置された円錐状のカップと、下方に配置された第1排出口17とを有する。絞り袋116bは、シートで構成され、底が三角形状に尖った袋状である。絞り袋116bの底面には、穴が設けられる。絞り袋116bは、上部カバー12の下方に吊り下げられる。絞り袋116bの底部は、漏斗部116aのカップ内に挿入される。絞り袋116bは、取り外し可能である。好ましくは、絞り袋116bは、導電性のプラスチックで構成される。好ましくは、絞り袋116bは、使い捨てである。
【0070】
図9及び図10に示すように、濾紙装着部135は、装着部ボディ136と、軸受138と、カム軸145と、スライダ147と、ハンドル140と、支持プレート49と、漏斗155と、保持枠156と、保持枠158と、を有する。
【0071】
装着部ボディ136は、継手部36aと、カムフレーム136fと、を有する。カムフレーム136fは、正面視でC字状であり、継手部36aに固定される。カムフレーム136fは、軸受ケース136gを有しても良い。軸受ケース136gは、垂直軸46を中心に軸受138を支持する。好ましくは、カムフレーム136fは、継手部136aと一体に構成される。
【0072】
カム軸145は、垂直軸46に沿って、カムフレーム136fに固定される。カム軸145は、円柱状であり、円筒面145aと、リード溝145bとを有する。カム軸145は、カムフレーム136fの下端部から上下方向の中央部まで延び、上端部に接続しない。カム軸145には、1本又は複数(例えば2本)のリード溝145bが形成される。
リード溝145bは、U字状断面を有し、円筒面145aに沿って配置される。リード溝145bのカム曲線を図11に示す。図11は、スライダ147の回転角θ(度)に対するスライダ147のリフト量h(mm)を示す。ここで、θ=0度は装着位置60に対応し、θ=90度は、濾過位置59に対応する。回転角θ(度)が0度から60度ないし80度までの区間において、リフト量h=0mmである。その後、回転角θが90度までの区間においてリフト量hが回転角θ(度)に比例し、リフト量hが最大リフト量h0に達する。
【0073】
スライダ147は、カム軸145を中心に配置される。スライダ47は、胴部147aと、小径部147bと、ボール保持穴(接触子保持部)147cと、内筒面147fと、軸部147gと、を有する。胴部147aは、円筒状である。胴部147aの下方に、小径部147bが位置する。内筒面147fは、胴部147aの下方から上部にかけて配置される。内筒面147fは、円筒面145aと上下方向及び回転方向に摺動する。ボール保持穴147cは、内筒面147fの中央部に配置される。ボール48は、ボール保持穴147cの内部に保持され、スライダ147の旋回に伴ってリード溝145bを転動する。軸部147gは、胴部147aの上方に接続され、軸受138に支持される。軸部147gは、カムフレーム136fを貫通し、カムフレーム136fの上方に突出する。ハンドル140は、軸部147gの上端に配置される。ハンドル140とスライダ147は、一体として垂直軸46の回りを回転しながら、リード溝145bに沿って上下方向に運動する。
【0074】
図9に示すように、漏斗155は、外枠部155dを有する。その他の漏斗155の構成は、第1実施形態の漏斗55と実質的に同一である。外枠部155dは、漏斗155の上面から突出する。外枠部155dは、注ぎ口55aの外側に配置された中空円筒の枠である。
【0075】
保持枠156は、内枠部156aと、外枠部156bと、第2濾紙台156dとを有する。保持枠156は、第1実施形態のガイド溝56cを有さない。その他の保持枠156の構成は、第1実施形態の保持枠56と実質的に同一である。内枠部156aは、中空円筒であり、保持枠156の下面から下方に突出する。内枠部156aの内径は、保持枠156の内径以上である。内枠部156aの外径は、外枠部155dの内径に嵌り合う。外枠部156bは、保持枠156の上面から上方に突出する。外枠部156bの構成は、外枠部155dと実質的に同一である。第2濾紙台156dは、外枠部156bの下端に面して設置される。
【0076】
保持枠158は、内枠部156aと、を有し、外枠部156bと、第2濾紙台156dと、を有さない。すなわち、保持枠158の上面は、平面である。その他の保持枠158の構成は、保持枠156と実施的に同一である。保持枠158は、保持枠156の最上段に配置される。
【0077】
支持プレート49が装着位置60にあるときに、作業者が上から向かって反時計回りにハンドル40を90度回す。すると、スライダ147は、リード溝145bに沿って60度~80度旋回し、その後、旋回しながら上昇して濾過位置59に達する。濾過位置59において、保持枠158と、保持枠156と、漏斗155と、継手部36aとが互いに密着し、測定濾紙1が流入口36bに接続する。
支持プレート49が濾過位置59にあるときに、作業者が上から向かってハンドルを時計回りに90度回す。すると、スライダ147はリード溝145bに沿って旋回しながら下降し、その後、旋回を続け、装着位置60に達する。
【0078】
本実施形態によれば、流し台116の大部分を占める絞り袋116bが取り外し可能である。そのため、絞り袋116bが汚れたり、傷ついたりした時点で、容易に交換できる。このため、流し台116に残留物や汚れが付着して、流し台116由来の異物が測定濾紙1,2に回収されることを抑制できる。好ましくは、一度利用する毎に絞り袋116bが交換される。
【0079】
本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
1 測定濾紙
10、100 残留物回収装置
12 上部カバー
13 FFU(清浄空気発生器)
14 扉(遮蔽体)
114 カーテン(遮蔽体)
16、116 流し台
17 第1排出口(排出口)
35、135 濾紙装着部
65 濾過ポンプ
69 タンク
71 洗浄ポンプ
75 洗浄弁
79 ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11