(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】独立した回転放射要素を有するアンテナアレイ
(51)【国際特許分類】
H01Q 21/29 20060101AFI20240610BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
H01Q21/29
H01Q21/06
(21)【出願番号】P 2021509981
(86)(22)【出願日】2019-07-01
(86)【国際出願番号】 US2019040175
(87)【国際公開番号】W WO2020046467
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-06-23
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513180451
【氏名又は名称】ヴィアサット,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ViaSat,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボンガード、フレデリック
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-121935(JP,A)
【文献】特開2004-096286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 21/29
H01Q 21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナアレイのグローバル座標系に配置された複数のアンテナセルを含むアンテナアレイであって、
前記複数のアンテナセルの各々は、それぞれのローカル座標系を有し、かつ
前記グローバル座標系において規定された所定の回転角度を有する放射要素と、
前記放射要素に接続されたアンテナポートであって、前記それぞれのローカル座標系において特定の座標セットに配置されているアンテナポートと、を含み
前記複数のアンテナセルの各々の前記アンテナポートの特定の座標セットは、同じであり、
前記複数のアンテナセルの各々の前記アンテナポートは、ビーム形成ネットワーク(BFN)に接続されたビアを含み、
前記複数のアンテナセルのうちの第1のアンテナセルの放射要素の所定の回転角度は、前記グローバル座標系における第1の回転角度であり、
前記複数のアンテナセルのうちの第2のアンテナセルの放射要素の所定の回転角度は、前記グローバル座標系における第2の回転角度であり、前記第2の回転角度は、前記第1の回転角度とは異なる、アンテナアレイ。
【請求項2】
前記複数のアンテナセルの各々の前記アンテナポートは第1のアンテナポートであり、
前記複数のアンテナセルの各々は、第2のアンテナポートを更に含み、
前記第2のアンテナポートは、前記それぞれのローカル座標系において第2の座標セットに配置されており、
前記複数のアンテナセルの各々の前記第2のアンテナポートは、それぞれのローカル座標系において同じ第2の座標セットに配置されている、請求項1に記載のアンテナアレイ。
【請求項3】
前記複数のアンテナセルの各々の前記第1のアンテナポート及び前記第2のアンテナポートは、90度の位相差を有する信号を通信する、請求項2に記載のアンテナアレイ。
【請求項4】
前記第2のアンテナセルは、前記グローバル座標系において前記第1のアンテナセルに対して回転されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のアンテナアレイ。
【請求項5】
前記複数のアンテナセルのうちの前記第1のアンテナセルの前記放射要素は、前記第1のアンテナセルのローカル座標系において所定の第1の局所的回転角度を有し、
前記複数のアンテナセルのうちの前記第2のアンテナセルの前記放射要素は、前記第2のアンテナセルのローカル座標系において所定の第2の局所的回転角度を有し、
前記第2の局所的回転角度は、前記第1のアンテナセルのローカル座標系及び前記第2のアンテナセルのローカル座標系において所定の角度だけ前記第1の局所的回転角度からオフセットされている、請求項4に記載のアンテナアレイ。
【請求項6】
前記複数のアンテナセルのうちの第3のアンテナセルが、前記グローバル座標系において前記複数のアンテナセルのうちの前記第1のアンテナセルに対して回転されており、
前記第3のアンテナセルの放射要素及び前記第1のアンテナセルの前記放射要素は、前記グローバル座標系において互いに対して回転されていない、請求項1~5のいずれか一項に記載のアンテナアレイ。
【請求項7】
前記ビーム形成ネットワーク(BFN)は、入力/出力信号と複数のサブ信号とを変換する複数の合成器/分割器を含み、
前記複数のサブ信号の各々は、集積回路(IC)チップを通して前記複数のアンテナセルのそれぞれのアンテナセルのアンテナポートに通信される、請求項1に記載のアンテナアレイ。
【請求項8】
前記複数のアンテナセルの各々の前記アンテナポートは、前記アンテナセルと、前記ビーム形成ネットワーク(BFN)に接続された集積回路(IC)チップとの間で信号を通信するための信号インターフェースである、請求項1~7のいずれか一項に記載のアンテナアレイ。
【請求項9】
前記複数のアンテナセルの各々は、それぞれのアンテナセルの対応する放射要素とアンテナポートとを接続するフィードラインを更に含み、前記複数のアンテナセルのそれぞれ対応するフィードラインの長さは同じである、請求項1~8のいずれか一項に記載のアンテナアレイ。
【請求項10】
前記複数のアンテナセルのうちの第3のアンテナセルが、前記グローバル座標系において前記複数のアンテナセルのうちの前記第1のアンテナセルに対して回転されており、
前記第3のアンテナセルの放射要素及び前記第1のアンテナセルの前記放射要素は、前記グローバル座標系において互いに対して回転されていない、請求項9に記載のアンテナアレイ。
【請求項11】
前記複数のアンテナセルの各々の前記特定の座標セットは、それぞれのアンテナセルのそれぞれの放射要素と外周との間に位置する、請求項1~10のいずれか一項に記載のアンテナアレイ。
【請求項12】
複数のアイソレーションビアを更に含み、前記複数のアイソレーションビアのうちの所与のアイソレーションビアが、前記複数のアンテナセルのうちの少なくとも3つのアンテナポート間で共有されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のアンテナアレイ。
【請求項13】
前記複数のアンテナセルの各々の前記アンテナポートはビーム形成ネットワーク(BFN)に接続されており、
前記ビーム形成ネットワーク(BFN)は複数のビーム形成段を含み、
前記複数のビーム形成段の各々は、それぞれのローカル座標系を有し、
前記複数のビーム形成段の各々は、前記それぞれのローカル座標系において同じ幾何学的形状を有し、
前記複数のビーム形成段のうちの所与のビーム形成段は、前記複数のビーム形成段のうちの別のビーム形成段と同じ幾何学的形状を有し、
前記所与のビーム形成段と前記別のビーム形成段とは同じ段にあり、
前記所与のビーム形成段は、前記グローバル座標系において前記別のビーム形成段に対して回転されている、請求項1~12のいずれか一項に記載のアンテナアレイ。
【請求項14】
前記複数のアンテナセルは、アンテナセルの複数のグループに配列されており、
各グループは、それぞれのアンテナセルのグループ内の各放射要素に対して前記グローバル座標系において所定の回転角度を規定するグループ回転パターンを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のアンテナアレイ。
【請求項15】
前記グループ回転パターンは、アンテナセルの隣接するグループに対して異なる、請求項14に記載のアンテナアレイ。
【請求項16】
前記複数のアンテナセルのうちの6つのアンテナセルの放射要素は、前記グローバル座標系において異なる回転角度を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載のアンテナアレイ。
【請求項17】
ビーム形成層と、複数のアンテナセルとを含む多層プリント回路基板(PCB)であって、
前記ビーム形成層は、ビーム形成ネットワーク(BFN)を形成する複数のトレースを有し、
前記ビーム形成ネットワークは、当該ビーム形成ネットワーク(BFN)から離れる方向に延在するビアを形成する複数のアンテナポートに接続されており、
前記ビーム形成ネットワーク(BFN)は、入力/出力信号と複数のサブ信号とを変換する複数の合成器/分割器を含み、
前記複数のサブ信号の各々は、等しい電力及び位相配列を有し、前記複数のサブ信号の各々は、前記複数のアンテナポートのうちの一つのアンテナポートに通信され、
前記複数のアンテナセルは、前記多層プリント回路基板(PCB)のグローバル座標系に配置されて規則的なタイリングパターンを形成し、
前記複数のアンテナセルの各々は、それぞれのローカル座標系を有し、かつ、
前記グローバル座標系において所定の回転角度を有する放射要素を含む放射層と、
前記複数のアンテナポートの対応するアンテナポートを前記放射要素に接続するフィードラインを有するフィードライン層であって、各アンテナポートは、前記それぞれのローカル座標系における特定の座標セットにおいて前記フィードライン層と交差する、フィードライン層と、を含み、
前記複数のアンテナセルの各々の特定の座標セットは同じであり、
前記複数のアンテナセルのうちの第1のアンテナセルの放射要素の所定の回転角度は、前記グローバル座標系における第1の回転角度であり、
前記複数のアンテナセルのうちの第2のアンテナセルの放射要素の所定の回転角度は、前記グローバル座標系における第2の回転角度であり、前記第2の回転角度は、前記第1の回転角度とは異なる、多層プリント回路基板(PCB)。
【請求項18】
前記ビーム形成ネットワーク(BFN)の前記複数の合成器/分割器は、複数のビーム形成段に配列されており、前記複数のビーム形成段の各々は、それぞれのローカル座標系を有し、前記複数のビーム形成段の各々は、それぞれのローカル座標系において同じ幾何学的形状を有し、
前記複数のビーム形成段のうちの所与のビーム形成段は、前記複数のビーム形成段のうちの別のビーム形成段と同じ幾何学的形状を有し、
前記所与のビーム形成段と前記別のビーム形成段とは同じ段にあり、
前記所与のビーム形成段は、前記グローバル座標系において前記別のビーム形成段に対して回転されている、請求項17に記載の多層プリント回路基板(PCB)。
【請求項19】
前記複数のビーム形成段の各々は、第1の回路及び第2の回路に対応し、
前記第1の回路及び前記第2の回路は、それぞれのビーム形成段と、前記複数のアンテナセルのうちのそれぞれのアンテナセルの対応する放射要素との間で通信される信号を増幅及び位相シフトさせる、請求項
18に記載の多層プリント回路基板(PCB)。
【請求項20】
前記複数のアンテナセルの各々の前記アンテナポートは第1のアンテナポートであり、
前記複数のアンテナセルの各々は、それぞれのローカル座標系における第2の特定の座標セットにおいて前記フィードライン層と交差する第2のアンテナポートを更に含み、前記アンテナセルの各々に対する第2の特定の座標セットは同じである、請求項17~19のいずれか一項に記載の多層プリント回路基板(PCB)。
【請求項21】
前記複数のアンテナセルの各々の前記第1のアンテナポート及び前記第2のアンテナポートは、90度の位相差を有する信号を通信する、請求項20に記載の多層プリント回路基板(PCB)。
【請求項22】
前記複数のアンテナセルのうちの第3のアンテナセルが、前記グローバル座標系において前記複数のアンテナセルのうちの前記第1のアンテナセルに対して回転されており、
前記第3のアンテナセルの放射要素及び前記第1のアンテナセルの前記放射要素は、前記グローバル座標系において互いに対して回転されていない、請求項17~21のいずれか一項に記載の多層プリント回路基板(PCB)。
【請求項23】
前記複数のアンテナセルの各々の前記特定の座標セットは、それぞれのアンテナセルのそれぞれの放射要素と外周との間に位置する、請求項17~22のいずれか一項に記載の多層プリント回路基板(PCB)。
【請求項24】
前記複数のアンテナセルは、複数のアンテナセルのグループに配列されており、各グループは、それぞれのアンテナセルのグループの各放射要素に対して前記グローバル座標系において所定の回転角度を規定するグループ回転パターンを含む、請求項17~23のいずれか一項に記載の多層プリント回路基板(PCB)。
【請求項25】
前記グループ回転パターンは、アンテナセルの隣接するグループに対して異なる、請求項24に記載の多層プリント回路基板(PCB)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概してアンテナに関し、より具体的には、回転放射要素を有するアンテナアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
アンテナアレイ(又はアレイアンテナ)は、電波を送信又は受信するために単一のアンテナとして動作する複数の放射要素のセットである。個々の放射要素(単に「要素」と呼ばれることが多い)は、放射要素によって受信及び/又は送信された信号の適切な振幅及び/又は位相調整を適用する回路によって、受信器及び/又は送信器に接続することができる。送信に使用される場合、各個別の放射要素によって放射された電波は、互いに合成及び重畳され、所望の方向に放射される電力を増強するために加算(建設的に干渉)され、別の方向に放射された電力を低減するために相殺(破壊的に干渉)される。同様に、受信に使用される場合、個別の放射要素から別個に受信された信号は、所望の方向から受信した信号を増強し、所望ではない方向からの信号を相殺するために、適切な振幅及び/又は位相関係で合成される。
【0003】
アンテナアレイは、単一のアンテナにより達成できるものよりも、電波の狭いビームにより高い利得(方向性)を達成することができる。一般に、使用される個々のアンテナ要素の数が多いほど、利得が大きくなり、ビームが狭くなる。一部のアンテナアレイ(フェーズドアレイレーダなど)は、数千個の個別アンテナで構成することができる。アレイを使用して、より大きい利得を達成することができ(これは通信信頼性を高める)、これにより、特定の方向からの干渉を相殺し、異なる方向を指すように無線ビームを電子的に誘導し、かつ/又は無線方向を探知することができる。
【発明の概要】
【0004】
一例は、アンテナアレイのグローバル座標系に配置された複数のアンテナセルを含むことができるアンテナアレイに関する。複数のアンテナセルの各々は、それぞれのローカル座標系を有し、グローバル座標系において規定された所定の回転角度を有する放射要素と、放射要素に接続されたアンテナポートとを含むことができ、このアンテナポートは、それぞれのローカル座標系において特定の座標セットに配置される。複数のアンテナセルの各々のアンテナポートの特定の座標セットは、同じにすることができる。加えて、複数のアンテナセルうちの第1のアンテナセルの放射要素の所定の回転角度が、グローバル座標系における第1の回転角度である。複数のアンテナセルのうちの第2のアンテナセルの放射要素の所定の回転角度は、グローバル座標系における第2の回転角度とすることができる。第2の回転角度は、第1の回転角度とは異なり得る。
【0005】
別の例は、ビーム形成層を含むことができる多層PCB(プリント回路基板、printed circuit board)に関する。このビーム形成層は、ビーム形成ネットワーク(beam-forming network、BFN)を形成する複数のトレースを有し、ビーム形成ネットワークは、このビーム形成ネットワーク(BFN)から離れる方向に延在するビアを形成する複数アンテナポートに接続される。BFN(ビーム形成ネットワーク)は、入力信号と複数のサブ信号とを変換する複数の合成器/分割器を含むことができる。複数のサブ信号の各々は、等しい電力及び位相配列を有することができる。複数のサブ信号の各々は、複数のアンテナポートのうちの1つのアンテナポートに通信することができる。多層PCBはまた、多層PCBのグローバル座標系に配置されている複数のアンテナセルを含むことができる。これら複数のアンテナセルは、規則的なタイリングパターンを形成する。複数のアンテナセルの各々は、それぞれのローカル座標系を有することができる。各アンテナセルは、グローバル座標系において所定の回転角度を有する放射要素を備える放射層を含むことができる。各アンテナセルはまた、複数のアンテナポートのうちの対応するアンテナポートを放射要素に接続するフィードラインを有することができるフィードライン層を含むことができる。各アンテナポートは、それぞれのローカル座標系にある特定の座標セットにおいて、フィードライン層と交差することができる。複数のアンテナセルの各々に対する特定の座標セットは、同じにすることができる。加えて、複数のアンテナセルのうちの第1のアンテナセルの放射要素の所定の回転角度は、グローバル座標系における第1の回転角度とすることができる。複数のアンテナセルのうちの第2のアンテナセルの放射要素の所定の回転角度は、グローバル座標系における第2の回転角度とすることができ、第2の回転角度は、第1の回転角度と異なり得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】複数のアンテナセルを有するアンテナアレイの平面図を示す。
【0007】
【
図2】
図1のアンテナアレイと通信するビーム形成ネットワーク(BFN)の平面図を示す。
【0008】
【0009】
【0010】
【
図5】複数のアンテナセルを有する別のアンテナアレイの平面図を示す。
【0011】
【
図6】
図5のアンテナアレイと通信する別のBFNの平面図を示す。
【0012】
【0013】
【
図8】複数のアンテナセルを有する更に別のアンテナアレイの平面図を示す。
【0014】
【
図9】
図8のアンテナアレイと通信する更に別のBFNの平面図を示す。
【0015】
【0016】
【
図11】アンテナアレイ及びBFNを有するシステムを実装するための多層プリント回路基板の積層図を示す。
【0017】
【
図12】アンテナアレイ及びBFNを実現するシステムのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示は、グローバル座標系に配置された複数のアンテナセルを有するアンテナアレイを説明し、各アンテナセルは、それぞれ固有のローカル座標系を有する。アンテナアレイの各アンテナセルは、グローバル座標系において所定の回転角度を有する放射要素(例えば、スロット結合パッチアンテナ)を有することができる。更に、各アンテナセルは、対応する放射要素に接続することができるアンテナポートを有することができる。アンテナポートは、それぞれのローカル座標系において特定の座標セットに配置することができる。いくつかの例では、この特定の座標セットは、各アンテナセルのそれぞれのローカル座標系に対して同じとすることができる。換言すれば、いくつかの例では、グローバル座標系における複数のアンテナセルの各アンテナセルの回転角度は、それぞれのローカル座標系におけるアンテナポートの位置を変化させない。
【0019】
複数のアンテナセルの各アンテナポートは、本明細書で説明するように、集積回路(integrated circuit、IC)チップによってビーム形成ネットワーク(BFN)に接続することができる。各アンテナポートを各ローカル座標系において同じ座標に配置することによって、BFNの設計を簡略化することができる。具体的には、アンテナポートの位置は規則的とすることができ、BFNは、系統的に設計することができ、アンテナセルの放射要素の回転角度とは無関係である。加えて、アンテナ要素の回転は、偏波純度を改善することができる。換言すれば、アンテナ要素の回転は、望ましくない成分に対する所望の偏波成分の比を増大する。
【0020】
図1は、複数のアンテナセル102を有するアンテナアレイ100の一例の平面図を示す。アンテナアレイ100は、例えば、フェーズドアレイアンテナとして実装することができる。アンテナセル102は、規則的なタイリングパターンで配列することができる。アンテナアレイ100は、多層プリント回路基板(PCB)の最上層及び/又は領域上に形成することができ、PCBは、代替的に多層プリント配線基板(printed wire board、PWB)と呼ぶことができる。説明を簡単にする目的で、一部の層は省略され、及び/又は透明なものとして示される。本例では、12個のアンテナセル102が存在するが、他の例では、より多く又はより少ないアンテナセル102が存在することができる。実際に、いくつかの例では、100、1000又はそれより以上のアンテナセル102が存在することができる。12個のアンテナセルの各々は、A~Lとラベル付けされている。したがって、所与のアンテナセル102を識別し、明確に参照することができる。例えば、第1のアンテナセル102は、「アンテナセルA102」と参照することができ、第8のアンテナセルは、「アンテナセルH102」として参照することができる。アンテナセルB~L102もまた、このように参照することができる。
【0021】
図示の例では、各アンテナセル102は六角形の形状を有する。他の例では、規則的なタイリングを提供する正方形、矩形、又は菱形などの形状を含む別の形状を複数のアンテナセル102を実装するために用いることができる。
【0022】
アンテナアレイ100は、アンテナアレイ100全体のグローバル位置を規定するグローバル座標系104を含む。より具体的には、グローバル座標系104は、複数のアンテナセル102の各々の相対位置を特定する。各アンテナセル102は、グローバル座標系104において所定の回転角度を有することができる。加えて、各アンテナセル102は、グローバル座標系104において所定の回転角度を有する放射要素106を含むことができる。この所定の回転角度は、グローバル座標系104におけるアンテナセル102の回転角度と異なることができる(又は同じであってもよい)。換言すれば、所与のアンテナセル102の放射要素106のグローバル座標系104における回転角度は、アンテナセル102のグローバル座標系104における回転角度とは独立して選択することができる。
【0023】
複数のアンテナセル102の各々は、グローバル座標系104において所定の回転角度を有することができる。加えて、各アンテナセル102は、ローカル座標系を含むことができる。
図1に示す例では、各ローカル座標系の原点は、対応するアンテナセル102の所与の頂点に配置される。一例として、アンテナセルA102に対するローカル座標系は、X
A、Y
Aとラベル付けされており、アンテナセルA102のローカル座標系に対するそれぞれのX軸及びY軸を示す。アンテナセルB~Hも、同様のやり方でラベル付けされている。
【0024】
本明細書に記載されるように、各放射要素106は、複数の構成構造要素を含む。具体的には、アンテナアレイ100において各放射要素106は、N個のスロット要素110と、金属パッチ放射器114とを含むことができる。ただし、Nは1以上の整数である。各スロット要素110は、「H」字形状又はダンベル形状を有することができる。更に、図示し説明した例では、放射要素106は、N個のスロット要素110と、金属パッチ放射器114とを含むが、放射要素106に対して別の形式の放射器も可能である。図示の例では、2つのスロット要素110が存在し、これらは下付きの数で個別に参照することができる。より具体的には、図示した例では、各放射要素は、互いに直交して配向された第1のスロット要素1101と第2のスロット要素1102とを含む。換言すれば、第1のスロット要素1101は、グローバル座標系104において所定の回転角度を有することができ、第2のスロット要素1102は、第1のスロット要素1101に対して90度回転することができる。したがって、集合的に、第1のスロット要素1101及び第2のスロットアンテナ1102は、グローバル座標系104において所定の回転角度を有することができ、この所定の回転角度は、放射要素106の所定の回転角度をアンテナセル102に対して規定することができる。加えて、いくつかの例では、第1のスロット要素1101及び第2のスロット要素1102よりも多い又はより少ないスロット要素110が存在し得る。グローバル座標系104における回転角度は、特定の構造要素又は所与のアンテナセル102の要素のセットに対して規定することができる。これら要素は、ポート118(又は複数のポート118)などであるが、これらに限定されない。同様に、このような状況では、他のアンテナセル102内の同じ特定の構造要素又は要素のセットを用いて、他のアンテナセル102の回転角度を規定することができる。換言すれば、グローバル座標系102における回転角度は、各A~Lアンテナセル102にわたって同じやり方で規定される。
【0025】
いくつかの例では、グローバル座標系104における各放射要素106に対する回転角度は、例えば、0度、+/-30度、+/-90度、及び+/-150度のうちの1つとすることができる。他の例では、グローバル座標系104において別の回転角度を使用してもよい。更に、アンテナセル102の放射要素106の回転角度のパターンは、アンテナアレイ100の所望の動作特性に基づいて可変である。例えば、アンテナ要素106に対して所定のパターンを選択することが望ましいことがあり、この所定のパターンは、複数の方向で走査し、放射線パターンの側方ローブを一定レベル未満に維持するために、主ビームにおいて高い偏波純度を提供する。
【0026】
第1のスロット要素1101及び第2のスロット要素1102は、第1のスロット要素1101の信号と第2のスロット要素1102の信号との間の相対位相差に実質的に影響を与えることなく信号を通信するように設計することができる。例えば、それぞれのアンテナセル102の各放射要素106は、円偏波信号を通信するように設計することができる。例えば、放射要素106の第1スロット要素1101は、第1の直線偏波により信号を通信するように設計することができ、放射要素106の第2のスロット要素1102は、第2の偏波により信号を通信するように設計することができる。一例として、第1の偏波は、第2の偏波に対してオフセットすることができる。加えて、上記のように、各放射要素106に対して1つのスロット要素110のみが存在するか、及び/又は放射要素106に対して別の形式プの放射器が採用される実施例も存在する。これらの状況では、放射要素106はまた、信号円偏波により、又は直線偏波若しくは楕円偏波などの別の偏波により通信するように設計することができる。
【0027】
更に、上記のように、各アンテナセル102の放射要素106は、第1のスロット要素1101及び第2のスロット要素1102を覆うことができる金属パッチ放射器114を含むことができる。金属パッチ放射器114は、アンテナセル102の中心を覆うことができる。いくつかの例では、金属パッチ放射器114は、アンテナアレイ100の上面に形成することができる。そのような状況では、金属パッチ放射器114は、(最上)の薄い金属層の部分をエッチングにより除去することによって形成することができ、エッチングされない部分が金属パッチ放射器114を形成する。
【0028】
説明を簡単にする目的で、「オーバレイ」、「オーバレイイング」、「アンダーレイ」、及び「アンダーレイイング」(及び派生語)という用語は、本開示全体を通して、選択された向きにおける2つの隣接する表面の相対位置を表すために用いられる。加えて、「最上」及び「最下」という用語は、本開示全体を通して、選択された向きの反対側の表面を表すために用いられる。同様に、「上部」及び「下部」という用語は、選択された向きにおける相対位置を表すために用いられる。実際に、本開示全体を通して使用される例では、選択された1つの向きを示す。しかしながら、記載された例では、選択された向きは任意であり、本開示の範囲内で他の向き(例えば、逆さまにする、90度回転させるなど)が可能である。
【0029】
各アンテナセル102は、N個のポート118を含むことができる。各ポート118は、BFN(ビーム形成ネットワーク)を対応するスロット要素110に電気的に接続することができる。したがって、図示した例では、各アンテナセル102は、第1のポート118
1及び第2のポート118
2を含むことができる。各アンテナセル102はまた、フィードライン層に形成されたN個のフィードライン(導電トレース)122を含むことができる。このフィールドライン層は、対応するローカル座標系にある特定の座標セットにおいて対応するポート118と交差する。更に、各フィードライン122は、各スロット要素110を対応するポート118と接続することができる。より具体的には、
図1に示す例では、第1のフィードライン122
1(導電トレース)は、第1のポート118
1を第1のスロット要素110
1と接続することができる。同様に、第2のフィードライン122
2(導電トレース)は、第2のポート118
2と第2のスロット要素110
2とを接続することができる。所与のアンテナセル102内の各フィードライン122は、同じ長さを有することができる。したがって、アンテナセルA102の第1のフィードライン122
1と第2のフィードライン122
2は、同じ長さにすることができる。いくつかの例では、各異なるアンテナセル102のフィードライン122は、同じ長さを有することができる。各アンテナセル102内の回転の影響をオフセット(相殺)するために、(例えば本明細書に記載されるように、後続の信号又は先行の信号を調整することにより)付加的な位相調整を、特定のアンテナセル102によって通信される信号に適用することができる。一例として、アンテナセルA102及びアンテナセルD102は、同じ長さであるフィードライン122を有することができるが、アンテナセルA102及びアンテナセルD102により通信される信号は、異なる位相を有する。位相調整を用いて、これらの異なる位相をオフセットすることができる。
【0030】
いくつかの例では、各ポート118は、対応するアンテナセル102の外周付近(例えば、頂点付近)に配置することができる。したがって、
図1に示す平面図では、各ポート118は、対応するアンテナセル102の対応する放射要素106と外周との間に位置する。
図1のアンテナアレイ100によって図示する例では、第1のポート118
1及び第2のポート118
2は、アンテナセル102の頂点の付近に配置される。加えて、第1のポート118
1及び第2のポート118
2は、ローカル座標系の原点を含む所与の(単一)頂点によって分離される。したがって、いくつかの例では、所与のアンテナセル102に対するポート118の各セットは、ローカル座標の同じ座標セットに配置することができる。換言すれば、各アンテナセル102に対する第1のポート118
1は、アンテナセルA~H102の各々において、ローカル座標の同じ座標セットに配置することができる。同様に、各アンテナセル102に対する第2のポート118
2は、アンテナセルA~Lの各々のローカル座標の同じセットに配置することができる。代替的に、他の例では、N個のポートの各々の位置は、各アンテナセル102のローカル座標において変化することができる。
【0031】
各アンテナセル102内のN個のポート118の各々は、BFNの設計に応じて、1つ以上の層を通ってICチップ及び/又はBFNまで延在するビア(めっきスルーホールとも呼ばれる)として形成することができる。このように、各アンテナセル102の図示したポート118(第1のポート1181及び第2のポート1182を含む)の各々は、ビアの端子を表すことができる。いくつかの例では、各ポート118は、アンテナアレイ100を形成することができる多層PCB全体を通る長い遷移部と見なすことができる。追加的に又は代替的に、N個のポート118は、BFNと各アンテナセル102との間で信号を通信するための別の形式のインターフェースとすることができる。各ポート118をアンテナセル102の外周付近に、かつ(中央付近に配置された)アンテナセル102の放射要素106から離して配置することにより、電磁結合を低減することができる。いくつかの例では、各ポート118(又はその一部のサブセット)は、対応するポート118まで等距離に配置された複数のアイソレーションビア130によって包囲され、複数のアイソレーションビア130は、代替的に遮蔽ビアと呼ぶことができる。他の例では、複数のアイソレーションビア130は、対応するポート118まで異なる距離に配置することができる。アイソレーションビア130は、ポート118に対する同軸シールドを模倣することができる。図示を簡単にする目的で、アイソレーションビア130の一部のみがラベル付けされている。アイソレーションビア130は、アンテナアレイ100の複数のアンテナセル102とBFNとの間に、完全に又は部分的に延在することができる。アンテナアレイ100は、各ポート118が5つのアイソレーションビア130に近接しているように設計することができる。
【0032】
図示のように、所与のアンテナセル102の各ポート118は、他の2つのアンテナセル102の他の2つのポート118付近に配置することができる。加えて、アイソレーションビア130の各々は、アンテナセル102の頂点付近及び/又は外周に位置することができる。このようにして、同じアイソレーションビア130は、複数のポート118に対して遮蔽を提供することができる。例えば、アンテナセルB、D、及びE102に共通の頂点に位置するアイソレーションビア130は、アンテナセルB、D、及びE102の第1のポート1181に対して遮蔽を同時に提供することができる。したがって、図示のやり方で、グローバル座標系104において各アンテナセル102を回転させることにより、各ポート118の5つの辺上に遮蔽を提供するために必要とされるアイソレーションビア130の総数を低減することができる。
【0033】
上記のように、各アンテナセル102は、グローバル座標系104において回転角度を有することができる。いくつかの例では、所与のアンテナセル102は、別のアンテナセル102に対して回転することができる。例えば、アンテナセルB102を、グローバル座標系104においてアンテナセルA102に対して120度回転させることができる。
【0034】
加えて、各アンテナセル102の放射要素106は、グローバル座標系104において規定された回転角度を有するが、各放射要素106はまた、対応するローカル座標系において規定された局所的回転角度を有することができる。このような状況では、所与のアンテナセル102の放射要素106に対する局所的回転角度は、別のアンテナセル102の放射要素106に対する局所的回転角度からオフセットすることができる。例えば、アンテナセルB102のローカル座標系における放射要素106の局所的回転角度は、アンテナセルA102のローカル座標系における放射要素106の局所的回転角度から120度オフセットすることができる。
【0035】
更に、所与の例では、所与のアンテナセル102は、グローバル座標系104における別のアンテナセル102に対する回転角度とは異なる回転角度を、グローバル座標系104において有することができる。加えて、所与の例では、所与のアンテナセル102及び他のアンテナセル102の放射要素106は、グローバル座標系104において同じ回転角度を有することができる。例えば、アンテナセルD102及びアンテナセルG102は、グローバル座標系104において異なる回転角度を有することができる。しかしながら、アンテナセルD102及びアンテナセルG102の放射要素106は、アンテナセルD102及びアンテナセルG102の放射要素106がそれぞれのローカル座標系において異なる回転角度を有することができるため、グローバル座標系104においては同じ回転角度を有することができる。本明細書で論じるように、グローバル座標系104におけるアンテナセル102の異なる回転角度を考慮するために、アンテナセルの放射要素106によって通信される信号の位相を調整することができる。
【0036】
いくつかの例では、各アンテナセル102は、アンテナセル102のグループの一メンバーとすることができる。いくつかの例では、アンテナセル102の所与のグループは、交差する点を共有することができる(例えば、アンテナセル102が多角形である例での共通の頂点など)。したがって、
図1に示す例では、アンテナセルの第1のグループは、アンテナセルA、B、及びC102により形成することができる。加えて、アンテナセル102の第2のグループは、アンテナセルD、F、及びG102により形成することができる。アンテナアレイ100は、アンテナセル102の所与のグループにおける各放射要素106の回転角度がグループ回転パターンを規定するように設計することができる。本明細書で使用するとき、「グループ回転パターン」という用語は、グループの各メンバーに対する放射要素106の固有の回転セットを意味する。一例として、アンテナセルA102の放射要素106が0度の回転角度を有する場合、アンテナセルB102は30度の回転角度を有し、アンテナセルC102は-30度の回転角度を有し、セルA、B、及びC102の相対位置において0度、30度、及び-30度の組み合わせセットが、グループ回転パターンを規定する。いくつかの例では、アンテナアレイ100は、アンテナセルの隣接するグループが異なるグループ回転パターンを有するように設計することができる。加えて、いくつかの例では、アンテナアレイ100全体にわたりアンテナセル102のグループに対して、放射要素106が同じ回転角度を繰り返すことを回避することが望ましい場合がある。これは、アンテナアレイ100の全体的な放射パターンに対して、サイドローブの上昇を回避するためである。
【0037】
動作中、アンテナアレイ100は、自由空間とBFNとの間で信号を通信することができる。具体的には、受信モードでは、自由空間で送信される電磁(EM)信号を、対応する金属パッチ放射器114によってN個のスロット要素110に供給することができる。対応するアンテナセル102のN個のスロット要素110は、放射電磁(EM)信号を誘導電磁(EM)信号に変換することができる。N個のフィードライン122の各々は、対応するポート118に電気信号を供給することができる。各ポート118は、BFNに接続されたICチップに電気信号を供給することができる。いくつかの例では、ICチップはBFNの集積構成要素とすることができる。他の例では、ICチップ及びBFNは、別個であるが、結合構成要素とすることができる。ICチップは、電気信号を調整(例えば、合成、増幅及び/又は位相調整)し、調整電気信号をBFNに供給することができる。BFNは、調整電気信号を合成して受信ビーム信号を形成し、更なる処理及び/又は復号のために受信ビーム信号を外部システムに供給することできる。
【0038】
送信モードでは、BFNからICチップに電気信号を供給することができる。ICチップは、信号を調整し、アンテナセル102の各々において、調整信号をN個のポート118に供給することができる。電気信号は、アンテナセル102の対応するスロット要素110に供給することができる。スロット要素110は、誘導EM信号を、各アンテナセル102の対応する金属パッチ放射器114に送信される放射EM信号に変換することができる。放射要素114は、EM信号を自由空間に送信することができる。
【0039】
いくつかの例では、アレイアンテナ100は、受信モード又は送信モードで排他的に動作するように設計することができる。他の例では、アンテナアレイ100は、アンテナアレイ100が受信モード及び送信モードで周期的に及び/又は非同期的に動作することができるように、半二重モードで動作することができる。更に別の例では、アンテナアレイ100は、アンテナアレイ100が受信モード及び送信モードで同時に動作することができるように、全二重モードで動作することができる。
【0040】
アンテナアレイ100を実装することにより、各アンテナセル102の放射要素106を、各アンテナセル102にあるN個のポート118の位置に依存しない回転角度をグローバル座標系104において有するように選択することができる。言い方を換えれば、各アンテナセル102に対するN個のスロット要素110(すなわち、第1のスロット要素1101及び第2のスロット要素1102)は、対応するN個のポート118、すなわち第1のポート1181及び第2のポート1182の位置が変化しなくても、グローバル座標系104において回転することができる。むしろ、各アンテナセル102は、ポート118の位置が、個々のアンテナセル102全体の回転角度に基づいて変化し、スロット要素110の回転角度がアンテナセル102の回転角度とは独立して変化することができるように設計することができる。したがって、アンテナアレイ100は、ポート118の位置が、グローバル座標系104において規則的な所定の位置で生じるように設計することができる。このようにして、本明細書に記載するように、アンテナアレイ100にアンダーレイするBFN(ビーム形成ネットワーク)は、アンテナアレイ100から独立して設計することができる。実際に、詳細に説明するように、アンテナアレイ100にアンダーレイするBFNは、系統的な設計を有することができる。
【0041】
図2は、
図1のアンテナアレイ100により通信される信号を調整するために用いることができるBFN200の一例の平面図を示す。BFN200は、アンテナアレイ100に用いられる多層PCBの内部層(例えば、BFN層)に形成することができる。BFN層は、複数のトレース(導電トレース)を含むことができる。説明を簡単にする目的で、同じ参照番号が同じ構造を示すために
図1及び
図2において用いられる。BFN200は、グローバル座標系104において各々回転されている複数のBFNセル202に区切ることができる。上記のように、BFN200は、
図1のアンテナアレイ100にアンダーレイすることができる。更に、各BFNセル202は、オーバレイイングするアンテナセル102と同じサイズ及び形状(例えば、六角形)を有することができる。したがって、BFNセル202は、オーバレイイングするアンテナセル202に対応するようにA~Lとラベル付けされる。したがって、BFNセルA202は、アンテナセルA202にアンダーレイすることができる。各BFNセル202は、対応するアンテナセル102と同じローカル座標系を有することができる。したがって、BFNセルA202は、アンテナセルA202と同じローカル座標系を有することができる。
【0042】
各BFNセル202は、N個のポート118を含むことができる。BFN200によって図示した例では、各BFNセル202は、第1のポート1181及び第2のポート1182を含む。各ポート118は、アンテナアレイ100に図示されるポートへのビアの端子を表すことができる。例えば、BFNセルA202の第1のポート1181は、アンテナセルA102の第1のポート1181に対応するビアの終端を表すことができる。N個のポート118の各々は、それぞれのローカル座標系において同じ座標セットに位置することができる。N個のポート118の各々は、BFN200から離れてアンテナアレイ100に向かうように延在することができる。アンテナアレイ100に関して説明したように、N個のポート118の各々は、各ローカル座標系において同じ座標セットに位置することができる。
【0043】
N個のポート118の各々は、複数のアイソレーションビア130によって包囲することができ、そのうちのいくつかだけがラベル付けされている。アイソレーションビア130は、
図1のアイソレーションビア130に対応することができる。図示した例では、各ポート118に近接して5つのアイソレーションビアが存在する。しかしながら、他の例では、より多い又はより少ないアイソレーションビア130が存在することができる。更に、アイソレーションビア130は、異なるBFNセル202のポート118間で共有することができ、それにより、ポート118のために十分な遮蔽を提供するのに必要とされるアイソレーションビア130の総数が低減される。加えて、いくつかの例では、アイソレーションビア130のいくつかは、
図1のBFN200とアンテナアレイ100との間に部分的にだけ延在することができる。
【0044】
BFN200は、本明細書に記載されるやり方で外部システム又は追加のアンテナセルの別のBFNに接続することができる入力/出力(I/O)ポート206を含むことができる。I/Oポート206は、第1の段の合成器/分割器208に接続することができ、これは、第2の段の2つの合成器/分割器210に接続することができる。このようにして、第1の段の合成器/分割器208及び第2の段の合成器/分割器210は、カスケード(階層)関係を有する。換言すれば、第1の段の合成器/分割器208は、BFN200の第1の段として動作することができ、第2のビーム形成段の合成器/分割器210は、BFN200の第2のビーム形成段として動作することができる。第2の段の合成器/分割器210の各々は、BFN200の第3のビーム形成段として動作することができる2つの1-3合成器/分割器212に接続することができる。各1-3合成器/分割器212は、3つのBFNセル202の交点に配置することができる。
【0045】
第2の段の合成器/分割器210は、第1の段の合成器/分割器208に対して対称に配列することができる。第2の段の合成器/分割器210は、BFNセル202とは異なるBFN200の異なる層に作製することができる。図示を簡単にする目的で、異なるライン濃さ及び/又はパターンが、BFNの異なる層を示すために用いられる。BFNセル202のセット、1-3合成器/分割器212、及び第2の段の分割器210は、一つのローカル座標系を有するビーム形成段を画定することができる。このようにして、各ビーム形成段(BFNセル202と、1-3合成器/分割器212と、第2の段の分割器210との組み合わせ)は、ローカル座標系において同じ幾何学的形状を有することができる。更に、ビーム形成段はグローバル座標系104において回転することができ、BFN200の体系的設計を容易にする。更に、同じ幾何学的形状を有するBFN200のビーム形成段の体系的な性質が、
図3に示されるようなサブアレイにわたる追加の段にも存在することができる。換言すれば、
図3では、3つの第1のビーム形成段の幾何学的形状は、アレイ内の3つの第1のビーム形成段の他のインスタンスと同じ幾何学的形状である。それゆえ、更にもう一歩踏み込むと、いくつかの例では、4つの第1の段の幾何学的形状は、アレイ内の他の4つの第1の段と同じ幾何学的形状にすることができる。したがって、ビーム形成段の各インスタンスは、同じ段のビーム形成段の別のインスタンスと同じ幾何学的形状を有する。換言すれば、BFN200の所与のビーム形成段は、この所与のビーム形成段と別のビーム形成段とが同じ段にある場合(例えば、所与の段と別の段の両方が、第1の段、又は第2の段、などである場合)、BFN200の別のビーム形成段と同じ幾何学的形状を有する。
【0046】
本明細書で使用するとき、同じ幾何学的形状を有する各ビーム形成段の概念は、ビーム形成段が、
図3に示されるように、グローバル座標系においてミラーリング及び/又は回転を伴う形状を有することを指し示すである。更に、2つのビーム形成段は、この2つのビーム形成段が1つ以上の対称線に関して対称である場合、同じ幾何学的形状を有すると見なすこともできる。また更に、2つのビーム形成段は、この2つのビーム形成段がミラーリング及び/又は回転なしで実質的に同一である場合、同じ幾何学的形状を有すると見なされる。
【0047】
各BFNセル202は、集積回路(IC)チップ220(又は複数のICチップ)及び/又は信号を調整することができる他の回路に接続することができる。ICチップ220は、BFNを実装する多層PCBの底部に取り付けることができる。したがって、各ICチップ220はBFN200にアンダーレイすることができる。各ICチップ220は、1-3合成器/分割器212、及びBFNセル202のN個のポート118に接続することができる。一例として、BFNセルA102の第1のポート118
1及び第2のポート118
2は、BFNセルA202のICチップ220に接続することができ、このICチップ220は、BFNセルA202と、BFNセルB202と、BFNセルC202との間に配置された1-3合成器/分割器212に接続することができる。各ICチップ220は、電気信号を調整することができる。このような調整は、信号を増幅、位相調整、合成、及び/又は分割することを含むことができる。いくつかの例では、BFNセルA、B、及びC202などの3つの異なるBFNセル202のICチップ220は、
図1の放射要素106などの放射要素の回転を補償する大きさによって、対応する1-3合成器212と通信される信号を調整することができる。
【0048】
本明細書に記載される合成器/分割器は、入力/出力信号と複数のサブ信号とを変換する分割動作及び合成動作のうちの1つ又は両方を実行することができる。本明細書に記載の例では、実行される各分割動作は、入力信号を、等しい電力及び位相配列を有する複数のサブ信号に分割することができる。逆に、本明細書に記載される例では、合成動作において、位相配列を有する複数のサブ信号を、単一の合成信号に合成することができる。
【0049】
送信モードでは、第1の段の合成器/分割器208は、I/Oポート206に入力された信号を、第2の段の合成器/分割器210に供給されるサブ信号に(例えば、均等又は不均等に、同位相で又は異なる位相で)分割するように設計することができる。同様に、送信モードでは、各第2の段の合成器/分割器210は、第1の段の合成器/分割器208から受信した信号を、1-3合成器/分割器212に結合された2つのサブ信号に(例えば、均等又は不均等に、同位相で又は異なる位相で)分割することができる。各1-3合成器/分割器は、信号を、3つの異なるBFNセル202に対応するICチップ220にそれぞれ供給される3つのサブ信号に(例えば、均等又は不均等に、同位相で又は異なる位相で)分割することができる。例えば、BFNセルA、B、及びC202の交点に配置された1-3合成器/分割器212は、BFNセルA、B、及びC202のICチップ220に信号を供給することができる。
【0050】
送信モードを継続する場合、各BFNセル202のICチップ220は、信号を、N個のポート118に供給されるN個の信号に調整(増幅、位相調整及び/又は分割)するように設計/プログラムすることができる。例えば、BFNセル202のICチップ220は、1-3合成器/分割器212からの信号を、BFNセルA202の第1のポート118
1及び第2のポート118
2に供給される2つのサブ信号に増幅及び分割するように設計することができる。次いで、信号は、
図1に関して記載されたやり方で送信することができる。
【0051】
受信モードでは、BFNセル202のN個のポート118の各々において受信された信号を、対応するICチップ220によって合成及び調整(増幅及び/又は位相調整)し、対応する1-3合成器/分割器212に供給することができる。一例として、BFNセルA、B、及びC202に対応するICチップ220は、BFNセルA、B、及びC202の交点において、1-3合成器/分割器212に調整信号をそれぞれ供給することができる。
【0052】
受信モードを継続する場合、1-3合成器/分割器212の各々は、調整サブ信号を合成し、対応する第2の段の合成器/分割器210に合成信号を供給することができる。次に、第2の段の合成器/分割器212は、サブ信号を再度合成し、合成信号を第1の段の合成器/分割器208に供給することができる。第1の段の合成器/分割器208は、サブ信号を合成し、I/Oポート206で合成信号を出力することができる。
【0053】
図1のアンテナアレイ100と同様に、BFN200は、送信モード又は受信モードで排他的に動作するように設計することができる。加えて、BFN200は、送信モードと受信モードとの間で周期的に及び/又は非同期的に切り替えるように設計することができる。また更に、いくつかの例では、BFN200は、送信モード及び受信モードで同時に動作することができる。
【0054】
図1のアンテナアレイ100及び
図2のBFN200で示されるように、アンテナセル102及びBFNセル202は、N個のポート数118を介して通信することができる。更に、アンテナアレイ100は、放射要素106がポート118の位置から独立して回転することができるように設計することができる。よって、放射要素106の回転角度は、BFN200の物理的レイアウトに必ずしも影響を与えない。したがって、BFN200及びアンテナアレイ100は、各BFNセル202及び各アンテナセル102に対するN個のポート118の各々の所定の位置に基づいて、独立して設計することができる。したがって、BFN200及びアンテナアレイ100の全体的な設計を簡略化することができる。実際に、BFN200の体系的設計は、BFN200が
図1のアンテナアレイ100(又はその変形)と整合されるときのBFNの可能性を更に実証する。具体的には、BFNの設計者は、ポート118の個々の位置決めに関する懸念により悩まされることがない。その代わりに、ポート118は、規則的で予測可能な位置に配置されることになり、これらの位置は、アンテナアレイ100の様々な形式のアンテナセル102によって容易に適応される。
【0055】
いくつかの例では、BFN200は、ほぼ任意の数のレベルの階層に適応するようにスケーラブルで体系的な対称モジュールにより設計することができる。具体的には、BFN200は、2つの段の合成器/分割器、すなわち第1の段の合成器/分割器208及び第2の段の合成器/分割器208により記載されているが、図示したBFN200は、
図3に示されるBFN300を含むより大きなスケールのBFNを実装するために、モジュール又は回路として用いることができる。
【0056】
BFN300において、
図2のBFN200の4つのインスタンスは、カスケード(階層)配列で接続される。具体的には、I/Oポート302は、第1の段の合成器/分割器304に接続することができ、これは第2の段の2つ合成器/分割器306に接続される。各第2の段の合成器/分割器306は、BFN200(BFN300のモジュール)のインスタンスのポート206に接続することができる。このようにして、BFN200の4つのインスタンスは、カスケード配列で共に接続される。更に、他の例では、BFN300の複数のインスタンスは、別のカスケード配列で接続することができ、したがって、BFN300のための系統的設計を提供する。更に、いくつかの例では、複数のBFN300は、
図4に示すBFNアレイ320などのBFNアレイに含めることができる。
【0057】
BFNアレイ320では、
図3のBFN300の3つのインスタンスがアレイ状に配列されている。更に、BFN300のインスタンスは
図4では結合されていないが、BFNアレイ320の他の例では、BFN300の各インスタンス又はその一部のサブセットを結合して、別のカスケード(階層)配列を提供することができる。
【0058】
図5は、アンテナアレイ400の一例の別の平面図を示す。アンテナアレイ400は、多層PCBの最上層及び/又は領域に形成することができる。アンテナアレイ400は、タイルパターンで配列された複数のアンテナセル402を含むことができる。各アンテナセル402は、正方形の形状を有することができる。アンテナアレイ400によって図示する例は、アンテナセルA~Hとしてラベル付けされた8個のアンテナセル402を含む。複数のアンテナセル402の各々は、グローバル座標系404に配列することができる。更に、各アンテナセル402は、放射要素406のインスタンスを含むことができる。各放射要素406は、N個のスロット要素408を含むことができる。図示する例では、各アンテナセル402は、直交して配置された2つのスロット要素408、すなわち第1のスロット要素408
1及び第2のスロット要素408
2を含む。各放射要素406はまた、金属パッチ放射器410を含むことができる。
【0059】
N個のスロット要素408の各々は、グローバル座標系404において回転することができる。加えて、各アンテナセル402は、各アンテナセル402の角部付近に配置された原点軸によりラベル付けされたローカル座標系を含むことができる。各アンテナセル402は、それぞれのアンテナセル402を、アンテナアレイ400にアンダーレイするビーム形成ネットワーク(BFN)に接続するN個のポート414を含むことができる。各ポート414は、それぞれのアンテナセル402をBFNに接続するためのビアを含むことができる。更に、
図5の各ポート414は、ビアの端子を表すことができる。図示する例では、各アンテナセルは、2つのポート414、すなわち第1のポート414
1及び第2のポート414
2を含む。加えて、図示する例では、第1のポート414
1及び第2のポート414
2の各々は、アンテナセル402の隣接する角部に配置することができる。本明細書で使用するとき、「隣接する角部」は、多角形の辺を共有する2つの角部として定義される。各アンテナセル402は、アンテナアレイ400のフィードライン層に形成されたN個のフィードライン416を含むことができる。図示する例では、2つのフィードライン、すなわち第1のフィードライン416
1及び第2のフィードライン416
2が存在する。各フィードライン416は、ポート414を対応するスロット要素408に接続することができる。アンテナアレイ400のN個のフィードライン416の各々は、同じ長さを有する。放射要素406により通信される信号は、放射要素406の回転を補償(相殺)するように位相調整することができる。
【0060】
ポート414の各々は、対応するポート414に等距離に配置された複数のアイソレーションビア415によって包囲することができる。図示する例では、各ポート414に近接して4つのアイソレーションビア415が存在する。しかしながら、他の例では、より多い又はより少ないアイソレーションビア415が存在することができる。更に、アイソレーションビア415は、異なるアンテナセル402のポート414間で共有することができ、それにより、ポート414のために十分な遮蔽を提供するのに必要とされるアイソレーションビア415の総数が低減される。加えて、いくつかの例では、アイソレーションビア415のいくつかは、BFNとアンテナアレイ400との間に部分的にだけ延在することができる。
【0061】
各アンテナセル402のN個のポート414の各々は、対応するローカル座標系における座標セットに配置することができ、この座標セットは、各ローカル座標系において同じ座標セットとすることができる。そのような例では、ポート414は、各アンテナセル402のローカル座標系における座標セットの位置で、フィードライン416を含むフィードライン層と交差することができる。換言すれば、アンテナセルA402の第1のポート4141は、アンテナセルB402の第1のポート4141と同じ座標セットを、対応するローカル座標系において有することができる。このようにして、ポート414は、アンテナアレイ400全体にわたって規則的な所定の位置に位置することができる。
【0062】
いくつかの例では、グローバル座標系404における各放射要素406の回転角度は、0度、+/-90度、+/-180度、及び+/-270度とすることができる。他の例では、グローバル座標系104における他の回転角度も可能である。加えて、アンテナアレイ400は、
図1のアンテナアレイ100と同じように(又は同様のやり方で)動作することができる。したがって、アンテナアレイ400の各アンテナセル402は、RF信号を自由空間で通信するように設計することができる。換言すれば、アンテナアレイ400は、自由空間にRF信号を送信すること、及び自由空間からRF信号を受信することのうちの少なくとも1つを行うように設計することができる。このような通信信号は、本明細書で説明されるように、BFN及び(いくつかの例では)ICチップによって調整することができる。
【0063】
図6は、
図5のアンテナアレイ400と通信するために用いることができるビーム形成ネットワーク(BFN)500の一例の平面図を示す。BFN500のいくつかの要素は、アンテナアレイ400に用いられる多層PCBの内部層に形成することができ、他の要素は、BFN500の最下層などのBFN500の外部層に形成することができる。説明を簡単にする目的で、同じ参照番号が同じ構造を示すために
図5及び
図6において用いられる。BFN500は、グローバル座標系404において各々回転されている複数のBFNセル502に分割することができる。上記のように、BFN500は、
図5のアンテナアレイ400にアンダーレイすることができる。更に、各BFNセル502は、オーバレイするアンテナセル402と同じサイズ及び形状(例えば、正方形)を有することができる。したがって、BFNセル502は、同じラベルA~Hを備えるオーバレイするアンテナセル402に対応するようにA~Hとラベル付けされる。したがって、BFNセルA502は、アンテナセルA402にアンダーレイすることができる。各BFNセル502は、対応するアンテナセル402と同じローカル座標系を有することができる。
【0064】
各BFNセル502は、N個のポート414を含むことができる。BFN500によって図示した例では、各BFNセル502は、第1のポート4141及び第2のポート4142を含む。各ポート414は、アンテナアレイ400に図示するポート414へのビアの端子を表すことができる。アンテナアレイ400に関して説明したように、N個のポート414の各々は、それぞれのローカル座標系において同じ座標セットに位置することができる。
【0065】
N個のポート414の各々は、複数のアイソレーションビア415によって包囲することができ、そのうちのいくつかだけがラベル付けされている。アイソレーションビア415は、
図5のアイソレーションビア415に対応することができる。いくつかの例では、アイソレーションビア415のいくつかは、
図5のBFN500とアンテナアレイ400との間に部分的にだけ延在することができる。
【0066】
BFN500は、外部システムに接続することができるI/Oポート506を含むことができる。I/Oポート506は、第1の段の合成器/分割器508に接続することができ、これは、ビア512を介して第2の段の2つの合成器/分割器510に接続することができる。いくつかの例では、ビア512は、ポート414のビアよりも短くすることができる。加えて、第1の段の合成器/分割器508及び第2の段の合成器/分割器510は、カスケード配列を有する。
【0067】
第2の段の合成器/分割器510は、第1の段508に対して対称に配列することができる。更に、このような状況では、BFNセル502及び第2の段の合成器/分割器510は、ローカル座標系を有するビーム形成段を画定することができる。このようにして、各ビーム形成段(BFNセル502と第2の段の分割器510との組み合わせ)は、ローカル座標系において同じ幾何学的形状を有することができる。更に、各ビーム形成段は、グローバル座標系404において回転することができる。
【0068】
各BFNセル502は、信号を調整することができるICチップ520(又は複数のICチップ)に対応することができる。各ICチップ520は、BFN500の最下層に配置することができる。いくつかの例では、各ICチップ520はBFN500と一体化することができ、他の例では、各ICチップ520は、BFN500と通信する別個の構成要素とすることができる。各ICチップ520は、合成器/分割器510、及びBFNセル502のN個のポート414に接続することができる。いくつかの例として、各ICチップ520は、信号を増幅、位相調整、合成、及び/又は分割することができる。
【0069】
BFN500は、
図2のBFN200と同様のやり方で動作することができる。したがって、BFN500は、送信モード及び受信モードのうちの少なくとも1つで動作することができる。
【0070】
図5のアンテナアレイ400及び
図6のBFN500で示されるように、アンテナセル402及びBFNセル502は、N個のポート414を介して通信することができる。更に、アンテナアレイ400は、スロット要素408がポート414の位置から独立して回転することができるように設計することができる。したがって、スロット要素408の回転角度は、BFN500の物理的レイアウトに必ずしも影響を与えない。したがって、BFN500及びアンテナアレイ400は、各BFNセル502及び各アンテナセル402に対するN個のポート414の各々の所定の位置に基づいて、独立して設計することができる。したがって、BFN500及びアンテナアレイ400の全体的な設計を簡略化することができる。
【0071】
いくつかの例では、BFN500は、ほぼ任意の数のレベルに適応するようにスケーラブルな対称モジュールにより体系的に設計することができる。特に、BFN500は、2つの段の合成器/分割器、すなわち第1の段の合成器/分割器508、及び第2の段の合成器/分割器510を用いて説明されているが、図示するBFN500は、
図7に示すBFN600を含むより大きなスケールのBFNを実装するためにモジュール又は回路として用いることができる。
【0072】
BFN600において、
図6のBFN500の8つのインスタンスは、カスケード(階層)配列で接続される。具体的には、I/Oポート602は、第1の段の合成器/分割器604に接続されており、これは、第2の段の2つの合成器/分割器606に接続されている。各第2の段の合成器/分割器606は、第3の段の2つの合成器/分割器608に接続することができる。各第3の段の合成器/分割器608は、BFN500(BFN600のモジュール)のインスタンスの入力ポート506の2つのインスタンスに接続することができる。このようにして、BFN600の8つのインスタンスは、カスケード配列で共に接続される。更に、他の例では、BFN600の複数のインスタンスをカスケード配列で接続することができる。
【0073】
図8は、アンテナアレイ700の一例の別の平面図を示す。アンテナアレイ700は、多層PCBの最上層及び/又は領域に形成することができる。アンテナアレイ700は、規則的なタイリングパターンで配列することができる複数のアンテナセル702を含むことができる。各アンテナセル702は、正方形の形状を有することができる。アンテナアレイ700によって図示する例は、アンテナセルA~Hとしてラベル付けされた8個のアンテナセル702を含む。複数のアンテナセル702の各々は、グローバル座標系704において配列することができる。更に、各アンテナセル702は、放射要素706のインスタンスを含むことができる。各放射要素706は、N個のスロット要素708を含むことができる。図示する例では、各アンテナセル702は、直交して配置された2つのスロット要素708、すなわち第1のスロット要素708
1及び第2のスロット要素708
2を含む。各放射要素706はまた、金属パッチ放射器710を含むことができる。
【0074】
N個のスロット要素708の各々は、グローバル座標系704において回転することができる。加えて、各アンテナセル702は、各アンテナセル702の角部付近に配置された原点軸によりラベル付けされたローカル座標系を含むことができる。各アンテナセル702は、それぞれのアンテナセル702を、アンテナアレイ700のアンダーレイのBFNに接続するN個のポート714を含むことができる。図示する例では、各アンテナセルは、2つのポート714、すなわち第1のポート7141及び第2のポート7142を含む。加えて、図示する例では、第1のポート7141及び第2のポート7142の各々は、アンテナセル702の対向する角部に配置することができる。換言すれば、第1のポート7141及び第2のポート7142は、互いに対角に配置されている。各ポート714は、対応するポート714から等距離に離間した複数のアイソレーションビア715によって包囲することができ、そのうちのいくつかだけがラベル付けされている。図示する例では、各ポート714に近接して4つのアイソレーションビア715が存在する。しかしながら、他の例では、より多い又はより少ないアイソレーションビア715が存在することができる。更に、アイソレーションビア715は、異なるアンテナセル702のポート714間で共有することができ、それにより、ポート714に対して十分な遮蔽を提供するために必要とされるアイソレーションビア715の総数が低減される。加えて、いくつかの例では、アイソレーションビア715の一部は、BFNとアンテナアレイ700との間に部分的にだけ延在することができる。
【0075】
各アンテナセル702は、フィードライン層に形成されたN個のフィードライン716を含むことができる。図示する例では、各々のアンテナセル702に2つのフィードライン716、すなわち第1のフィードライン7161及び第2のフィードライン7162が存在する。各フィードライン716は、ポート714を対応するスロット要素708と接続することができる。いくつかの例では、所与のアンテナセル702の第1のフィードライン7161及び第2のフィードライン7162は、同じ長さを有することができる。
【0076】
各アンテナセル702のN個のポート714の各々は、対応するローカル座標系における座標セットに配置することができ、この座標セットは、各ローカル座標系において同じ座標セットとすることができる。したがって、いくつかの例では、各アンテナセル702のN個のポート714は、対応するローカル座標系における同じ座標セットにおいて、フィードライン層と交差することができる。したがって、アンテナセルA702の第1のポート7141は、アンテナセルB702の第1のポート7141と同じ座標セットを、対応するローカル座標系において有することができる。このようにして、ポート714は、アンテナアレイ700全体にわたって規則的な位置に配置される。
【0077】
いくつかの例では、グローバル座標系704における各放射要素706の回転角度は、0度、+/-90度、+/-180度、及び+/-270度とすることができる。他の例では、グローバル座標系704にいて別の回転角度が可能である。アンテナアレイ700は、
図1のアンテナアレイ100と同じように(又は同様のやり方で)動作することができる。したがって、アンテナアレイ700の各アンテナセル702は、RF信号を自由空間で通信するように設計することができる。換言すれば、アンテナアレイ700は、自由空間にRF信号を送信すること、及び自由空間からRF信号を受信することのうちの少なくとも1つを行うように設計することができる。このような通信信号は、本明細書で説明されるように、BFN(ビーム形成ネットワーク)及び(いくつかの例では)ICチップによって調整することができる。
【0078】
図9は、
図8のアンテナアレイ700と通信するために用いることができるBFN800の一例の別の平面図を示す。BFN800のいくつかの構成要素は、アンテナアレイ700に用いられる多層PCBの内部層に形成することができる。更に、本明細書で説明するように、BFN800のいくつかの構成要素は、BFN800の外部層(例えば、最下層)に形成又は取り付けることができる。説明を簡単にする目的で、同じ参照番号が同じ構造を示すために
図8及び
図9において用いられる。BFN800は、グローバル座標系704において各々回転されている複数のBFNセル802に区切ることができる。上記のように、BFN800は、
図8のアンテナアレイ700にアンダーレイすることができる。更に、各BFNセル802は、オーバレイイングするアンテナセル702と同じサイズ及び形状(例えば、正方形)を有することができる。したがって、BFNセル802は、オーバレイイングするアンテナセル702に対応するようにA~Hとラベル付けされる。したがって、BFNセルA802は、アンテナセルA702にアンダーレイする。各BFNセル802は、対応するアンテナセル702と同じローカル座標系を有することができる。
【0079】
各BFNセル802は、N個のポート数714を含むことができる。BFN800によって図示した例では、各BFNセルは、第1のポート7141及び第2のポート7142を含む。各ポート714は、アンテナアレイ700に図示されるポートへのビアの端子を表すことができる。N個のポート714の各々は、それぞれのローカル座標系において同じ座標セットに位置することができる。アンテナアレイ700に関して説明したように、N個のポート714の各々は、各ローカル座標系において同じ座標セットに位置することができる。
【0080】
N個のポート714の各々は、複数のアイソレーションビア715によって包囲することができ、そのうちのいくつかだけがラベル付けされている。アイソレーションビア715は、
図8のアイソレーションビア715に対応することができる。加えて、いくつかの例では、アイソレーションビア715のいくつかは、
図8のBFN800とアンテナアレイ700との間に部分的にだけ延在することができる。
【0081】
BFN800は、外部システムに接続できるI/Oポート806を含むことができる。I/Oポート806は、第1の段の合成器/分割器808に接続することができ、これは、ビア812を介して第2の段の2つの合成器/分割器810に接続することができる。いくつかの例では、ビア812は、ポート714のビアよりも短くすることができる。第1の段の合成器/分割器808及び第2の段の合成器/分割器810は、カスケード配列を有することができる。
【0082】
各BFNセル802は、信号を調整することができるICチップ820(又は複数のICチップ)に対応することができる。各ICチップ820は、BFN800の最下層に配置することができる。いくつかの例では、各ICチップ820はBFN800と一体化することができ、他の例では、各ICチップ820は、BFN800と通信する別個の構成要素とすることができる。各ICチップ820は、第2の段の合成器/分割器810、及びBFNセル802のN個のポート714に接続することができる。各ICチップ820は、信号を増幅、位相調整、合成、及び/又は分割することができる。
【0083】
第2の段の合成器/分割器810は、第1の段808に対して対称に配列することができる。更に、このような状況では、BFNセル802及び第2の段の合成器/分割器810は、ローカル座標系を有するビーム形成段を画定することができる。このようにして、各ビーム形成段(BFNセル802と第2の段の合成器/分割器810との組み合わせ)は、ローカル座標系において同じ幾何学的形状を有することができる。更に、各ビーム形成段は、グローバル座標系704において回転することができる。
【0084】
BFN800は、
図2のBFN200と同様のやり方で動作することができる。したがって、BFN800は、送信モード及び受信モードのうちの少なくとも1つで動作することができる。
【0085】
図8のアンテナアレイ700及び
図9のBFN800により示されるように、アンテナセル702及びBFNセル802は、N個のポート数714を介して通信することができる。更に、アンテナアレイ700は、スロット要素708がポート714の位置から独立して回転することができるように設計することができる。したがって、スロット要素708の回転角度は、BFN800の物理的レイアウトに必ずしも影響を与えない。したがって、BFN800及びアンテナアレイ700は、各BFNセル802及び各アンテナセル702に対するN個のポート714の各々の所定の位置に基づいて、独立して設計することができる。したがって、BFN800及びアンテナアレイ700の全体的な設計を簡略化することができる。
【0086】
いくつかの例では、BFN800は、ほぼ任意の数のレベルに適応するようにスケーラブルな対称モジュールにより体系的に設計することができる。具体的には、BFN800は、2つの段の合成器/分割器、すなわち第1の段の合成器/分割器808、及び第2の段の合成器/分割器810を用いて説明されているが、例示されるBFN800は、
図10に示すBFN900を含むより大きなスケールのBFNを実装するためにモジュール又は回路として用いることができる。
【0087】
BFN900において、
図9のBFN800の8つのインスタンスは、カスケード(階層)配列で接続される。具体的には、I/Oポート902は、第1の段の合成器/分割器904に接続されており、これは、第2の段の2つの合成器/分割器906にそれぞれ接続することができる。各第2の段の合成器/分割器906は、第3の段の2つの合成器/分割器908に接続することができる。各第3の段の合成器/分割器908は、BFN800(BFN900のモジュール)のインスタンスの入力ポート806の2つのインスタンスに接続することができる。このようにして、BFN900の8つのインスタンスは、カスケード配列で共に接続される。更に、他の例では、BFN900の複数のインスタンスをカスケード配列で接続することができる。
【0088】
図11は、多層PCB1000(又は別の誘電体基板)のスタックアップ(断面)図を示す。この多層PCBは、BFN層に形成されたBFN1004にオーバレイイングするアンテナアレイ1002を含むことができる。多層PCB1000は、RF信号を送信すること及び受信することの少なくとも1つを行うことができるシステムを実現するために用いることができる。アンテナアレイ1002は、例えば、
図1のアンテナアレイ100、
図5のアンテナアレイ400、及び/又は
図8のアンテナアレイ700により実装することができる。BFN層に形成されたBFN1004は、複数のトレース(例えば、導電トレース)を有することができる。BFN1004は、例えば、
図2のBFN200、
図3のBFN300、
図4のBFNアレイ320の一部分、
図6のBFN500、
図7のBFN600、
図9のBFN800、又は
図10のBFN900として実装することができる。
図11では、多層PCB1000の一部が含まれる。多層PCB1000は、コア材料(例えば、誘電積層体)層1008、プリプレグ材料(エポキシ系材料などの予め含浸された材料)層1010及び導電性材料(例えば、グラウンドプレーン)層1012を含むことができる。
【0089】
ICチップ領域1014は、ICチップ1016をBFN1004の下面に取り付けるための層を含むことができる。ICチップ1016は、例えば、
図2のICチップ220、
図6のICチップ520、又は
図9のICチップ820のインスタンスとして実装することができる。多層PCB1000は、ICチップ1016をアンテナアレイ1002に通信可能に接続するビアとして実装されるポート1018を含むことができる。多層PCB1000はまた、ポート1018に対して遮蔽を提供するアイソレーションビア1020を含むことができる。ICチップ領域1014は、ビア1022を介してBFN1004と通信することができる。このビアは、BFN1004の底部(外部)層に形成することができる合成器/分割器を、ICチップ1016に通信可能に接続する。合成器/分割器は、例えば、
図2の3-1合成器/分割器212、
図6の第2の段の合成器/分割器510又は
図9の第2の段の合成器分割器810として実装することができる。加えて、ICチップ1016は、このICチップ1016を多層PCB1000の直流(DC)電源領域1028に接続することができるビア1026を介して電源に接続することができる。更に、ICチップ1016は、ビア1030を介して電気的に中性のノード(例えば、グラウンド)に接続することができる。
【0090】
アンテナアレイ100のフィーダ層1032は、アンテナアレイ1002の放射要素1034にアンダーレイすることができる。フィーダ層1032は、フィードライン1036のインスタンスを含むことができる。フィードライン1036は、ポート1018を放射要素1034のスロット要素1038に接続することができる。スロット要素1038は、放射要素1034のパッチアンテナ1039に電磁結合することができる。
【0091】
図11は、送信モードで動作する多層PCB1000を通って流れる信号1040を表す矢印を含む。信号1040は、例えば、外部システムからの電気信号(誘導EM信号)として供給することができる。信号1040は、合成器/分割器1024を横断し、ビア1022を介してICチップ1016に供給される。ICチップ1016は、信号1040を調整(例えば、増幅、位相調整及び/又は分割)することができる。更に、信号1040は、ポート1018に供給することができ、信号1040はアンテナアレイ1002で受信される。信号1040は、フィードライン1036を介してスロット要素1038に供給することができる。スロット要素1038は、誘導EM信号を放射EM信号に変換することができ、放射EM信号は、パッチアンテナ1039よって自由空間に送信される。受信モードでは、信号は信号1040の逆に動作する。
【0092】
図12は、アンテナアレイ1102及びBFN1104の論理的相互接続を示すシステム1100のブロック図を示す。アンテナパッケージ1002は、
図1のアンテナパッケージ100、
図5のアンテナパッケージ400、又は
図8のアンテナパッケージ700により実装することができる。BFN1004は、例えば、
図2のBFN200、
図3のBFN300、
図6のBFN500、
図7のBFN600、
図9のBFN800、又は
図10のBFN900として実装することができる。
【0093】
いくつかの例では、アンテナアレイ1102は、送信モード又は受信モードで排他的に動作することができる。他の例では、アレイアンテナ1102は、半二重モードで動作することができ、アンテナアレイ1102は、受信モードと送信モードとの間で切り替わる。更に他の例では、アンテナアレイ1102は、全二重モードで動作することができ、アンテナアレイ1102は、受信モードと送信モードで同時に動作する。
【0094】
図示する例では、K個のアンテナセル1106がBFN1104と通信し、ただしKは2以上の整数である。K個のアンテナセル1106の各々は、放射要素1108を含むことができる。放射要素1108は、直交して配列されたN個のスロット要素1110及びパッチアンテナ1114を代表することができる。図示する例では、2つのスロット要素1110、すなわち第1のスロット要素11101及び第2のスロット要素11102が存在する。K個のアンテナセル1106の各々は、対応するICチップ1116と通信することができる。図示する例では、各ICチップ1116は、ICチップ1116を横断する信号を合成及び/又は分割することができる合成器/分割器1120を含むことができる。加えて、各ICチップ1116は、対応するアンテナセル1106のN個のスロット要素1110と通信するためのN個の経路を含むことができる。本例では、各ICチップ1116は、第1の経路1122及び第2の経路1124を含むことができる。加えて、いくつかの例では、各ICチップ1116の第1の経路1122及び第2の経路1124は、受信経路及び伝送経路に更に細分化することができる複数の経路を代表することができる。
【0095】
第1の経路1122及び第2の経路1124は各々、対応する放射要素1108及び/又はBFN1104と通信される信号を調整するための増幅器1130及び位相シフタ1132を含むことができる。
【0096】
第1の経路1122は、対応するアンテナセル1106の第1のポート11341に接続することができ、第2の経路1124は、対応するアンテナセル1106の第2のポート11342に接続することができる。アンテナセル1106の第1のポート11341は、第1の偏波により、ICチップ1116の第1の経路1122と第1のスロット要素11101との間で信号を通信するように設計することができる。アンテナセル1106の第2のポート11342は、第1の偏波に直交する第2の偏波により、第2のスロット要素11102間で信号を通信するように設計することができる。例えば、第1の偏波は、水平偏波とすることができ、第2の偏波は、垂直偏波とすることができ、逆もまた同様である。このような状況では、アンテナアレイ1102は、右旋円偏波(right hand circular polarization、RHCP)又は左旋円偏波(left hand circular polarization、LHCP)により信号を通信することができる。あるいは、いくつかの例では、1つのスロット要素1110のみが存在することができ、偏波は直線偏波であってもよい。
【0097】
ICチップ1116は、外部システムに実装することのできるコントローラ1140から制御信号を受信することができる。いくつかの例では、コントローラ1140は、埋め込まれた命令を備えるマイクロコントローラとして実装することができる。いくつかの例では、コントローラ1140は、ソフトウェアを実行している汎用コンピュータとして実装することができる。いくつかの例では、制御信号は、システム1100の動作モードを制御することができる。すなわち、いくつかの例では、制御信号は、ICチップ1116が、アンテナアレイ1102を受信モードから送信モードに切り替えるか、又はその逆をするように制御することができる。加えて、いくつかの例では、コントローラ1140から供給された制御信号は、各送信増幅器1130によって適用される振幅調整可変量を制御することができる。したがって、いくつかの例では、各送信増幅器1130は、可変利得増幅器、切替アッテネータ回路などとして実装することができる。同様に、いくつかの例では、コントローラ1140から供給された制御信号は、各位相シフタ1132によって適用される位相調整可変量を制御することができる。
【0098】
受信モードでの動作中、コントローラ1140は、ICチップ1116に、K個のアンテナセル1106からの信号をBFN1104にルーティングさせる発ことができる。更に、受信モードでは、第1の偏波のEM信号(RF信号)を、パッチアンテナ1114で受信し、K個のアンテナセル1106(又はその一部のサブセット)の各々の第1のスロット要素11101によって検出することができる。同様に、第2の偏波のEM信号(RF)を、パッチアンテナ1114で受信し、第2のスロット要素11102によって検出することができる。第1のスロット要素11101及び第2のスロット要素11102の各々は、受信されたEM信号を電気信号に変換することができ、この電気信号は、調整のために対応するICチップ1116に供給することができる。第1のスロット要素11101から供給された信号は、ICチップ1116の第1の経路に供給することができ、第2のスロット要素11102から供給された信号は、ICチップ1116の第2の経路1124に供給することができる。
【0099】
受信モードを継続する場合、ICチップ1116の第1の経路1122内の各増幅器1130は、第1のスロット要素11101から供給された信号を増幅することができ、第1の経路1122の各位相シフタ1132は、位相調整を適用して信号を合成器/分割器1120に出力することができる。同様に、ICチップ1116の第2経路1124内の各増幅器1130は、第2のスロット要素11102から供給された信号を増幅することができ、第2の経路1124の各位相シフタ1132は、位相調整を適用して信号を合成器/分割器1120に出力することができる。各合成器/分割器1120は、K個のICチップ1116がK個のサブ信号を出力することができるように、第1の経路1122からの信号を第2の経路1124からの信号と合成することができる。K個のサブ信号を、BFN1104に供給することができる。BFN1104は、K個のサブ信号を合成して受信ビーム信号を形成することができ、この受信ビーム信号は、復調及び処理のために外部システムに提供することができる。
【0100】
送信モードでの動作中、コントローラ1140は、ICチップ1116がBFN1104からの信号をK個のアンテナセル1106に供給するように設定することができる。したがって、K個のアンテナセル1106は、外部システムからBFN1104に供給することができる送信ビーム信号を送信することができる。BFN1104は、送信ビーム信号を、K個のICチップ1116に供給することができるK個のサブ信号に分割することができる。K個のICチップ1116の各ICチップ1116は、対応するサブ信号を調整して、調整された信号を生成することができ、この調整された信号を、対応するアンテナセル1106に供給することができる。図示した例では、調整は、対応するサブ信号を第1の信号及び第2の信号に分割することを含むことができる。
【0101】
ICチップ1116の第1の経路1122に第1の信号を供給することができ、ICチップ1116の第2の経路1124に第2の信号を供給することができる。第1の経路1122の位相シフタ1132は、第1の信号に位相調整を適用することができ、第1の経路1122の増幅器1130は、第1の信号を増幅することができる。第1の信号は、第1のスロット要素11101に供給することができる。第1のスロット要素11101は、第1の信号を、パッチアンテナ1114に送信することができる第1の偏波のEM信号(RF信号)に変換することができる。同様に、第2の経路1124の位相シフタ1132は、第2の信号に位相調整を適用することができ、第2の経路1124の増幅器1130は、第2の信号を増幅することができる。第2の信号は、第2のスロット要素11102に供給することができる。第2のスロット要素11102は、第2の信号をパッチアンテナ1114に送信することができる第2の偏波のEM信号(RF信号)に変換することができる。パッチアンテナ1114は、第1の偏波のEM信号を送信し、第2の偏波のEM信号を自由空間に送信することができる。
【0102】
上で説明してきたものは、実施例である。当然ながら、構成要素又は方法論のあらゆる考えられる組み合わせを説明することはできないが、当業者は、多くの更なる組み合わせ及び順列が可能であることを認識するであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲を含む、本出願の範囲内に入る全てのそのような代替例、修正例、及び変形例を包含することを意図している。本明細書で使用するとき、「含む(includes)」という用語は、含むがそれらに限定されないことを意味し、「含んでいる(including)」という用語は、含んでいるがそれらに限定されないことを意味する。「~に基づく」という用語は、少なくとも部分的に基づくことを意味する。加えて、本開示又は特許請求の範囲が、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「第1の(a first)」、又は「別の(another)」の要素又はその等価物を列挙する場合、「第1の」又は「別の」要素(又はその等価物)は、1つ又は1つを超えるそのような要素を含み、2つ以上のそのような要素を必要とすることも、除外することもないと解釈されるべきである。