(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】光学検査システム向けマルチモダリティ多重化照明
(51)【国際特許分類】
G01N 21/956 20060101AFI20240610BHJP
G01N 21/84 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
G01N21/956 B
G01N21/84 E
(21)【出願番号】P 2021512758
(86)(22)【出願日】2019-08-27
(86)【国際出願番号】 IL2019050958
(87)【国際公開番号】W WO2020049551
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-08-24
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501005438
【氏名又は名称】オルボテック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カツィール イーガル
(72)【発明者】
【氏名】ルツカール イリア
(72)【発明者】
【氏名】メイモウン エリー
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-130130(JP,A)
【文献】特開2014-009969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-21/958
G01B 11/00-11/30
H01L 21/64-21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査システムであって、
照明サブシステムと、
像感知サブシステムとを備え、
上記照明サブシステムが複数の照明モダリティを提供し、
対象物のうち少なくとも
3個のエリアを上記複数の照明モダリティのうち別々なもので以て同時照明し、上記像感知サブシステムの単一センサ形成部分によりそれらの像を捕捉し、
上記照明サブシステムが、上記複数の照明モダリティのうち上記別々なもので以て上記対象物のうち上記少なくとも3個のエリアを、走査方向に沿ってそれぞれ異なる角度で同時照明することで、前記走査方向に沿い全体で少なくとも±約45°に亘る覆域
がもたらされる、少なくとも3個のライトモジュールを備え、
上記少なくとも3個のライトモジュールが、上記走査方向に沿ったギャップにより互いに物理的に空間分離されており、上記複数の照明モダリティが異なる角度照明モダリティを含み、
上記少なくとも3個のエリアからの照明を上記センサの方に差し向けるビームスプリッタを更に備え、そのビームスプリッタが、自身の縁が上記ギャップ内に存するよう位置決めされる検査システム。
【請求項2】
請求項1に記載された検査システムであって、上記センサがエリアセンサを備える検査システム。
【請求項3】
請求項1に記載された検査システムであって、上記対象物のうち上記少なくとも
3個のエリアが相互非連接的な検査システム。
【請求項4】
請求項1に記載された検査システムであって、上記対象物及び自検査システムが、走査方向に沿い、少なくとも近連続的に相対運動する検査システム。
【請求項5】
請求項4に記載された検査システムであって、上記照明サブシステムをストロボ動作させることで、上記少なくとも近連続的な相対運動中に上記対象物のうち上記少なくとも
3個のエリアを照明する検査システム。
【請求項6】
請求項1に記載された検査システムであって、上記少なくとも3個のライトモジュールそれぞれが、上記走査方向に対し概ね直交するクロス走査方向に沿い少なくとも二つの付加的照明モダリティを提供する検査システム。
【請求項7】
請求項6に記載された検査システムであって、上記少なくとも二つの付加的照明モダリティが異なる波長符号化モダリティ、異なる時間モダリティ、及び/又は異なる偏光符号化モダリティを含む検査システム。
【請求項8】
請求項1に記載された検査システムであって、上記照明サブシステムが、少なくとも1個の透過型集光素子または少なくとも1個の反射型集光素子の方に光を差し向ける複数個の光源を備える検査システム。
【請求項9】
請求項8に記載された検査システムであって、上記複数個の光源が、対応する光導波路アレイへと光を出射する光源アレイと、光整形素子のアレイを備え、上記光導波路アレイの光導波路のうち少なくとも1個が各光整形素子へと光を出射する検査システム。
【請求項10】
請求項1に記載された検査システムであって、上記像を処理する画像処理サブシステムを更に備える検査システム。
【請求項11】
請求項10に記載された検査システムであって、上記処理が上記像の相互位置合わせ、及び/又は上記像の多重分離を含む検査システム。
【請求項12】
対象物を検査する方法であって、
対象物のうち少なくとも3個のエリアを、複数の照明モダリティのうち別々なもので以て同時照明し、
上記少なくとも
3個のエリアの像を単一のセンサにより捕捉し、
上記複数の照明モダリティのうち上記別々なもので以て上記対象物のうち上記少なくとも3個のエリアを、走査方向に沿ってそれぞれ異なる角度で同時照明することで、前記走査方向に沿い全体で少なくとも±約45°に亘る覆域
がもたらされる、少なくとも3個のライトモジュールを備え、
上記少なくとも3個のライトモジュールが、上記走査方向に沿ったギャップにより互いに物理的に空間分離されており、上記複数の照明モダリティが異なる角度照明モダリティを含み、
上記少なくとも3個のエリアからの照明を上記センサの方に差し向けるビームスプリッタを更に備え、そのビームスプリッタが、自身の縁が上記ギャップ内に存するよう位置決めされる方法。
【請求項13】
請求項12に記載された方法であって、上記センサがエリアセンサを備える方法。
【請求項14】
請求項12に記載された方法であって、上記対象物のうち上記少なくとも3個のエリアが相互非連接的な方法。
【請求項15】
請求項12に記載された方法であって、上記対象物及び上記少なくとも3個のライトモジュールが、走査方向に沿い、少なくとも近連続的に相対運動する方法。
【請求項16】
請求項15に記載された方法であって、上記照明に際し、上記少なくとも近連続的な相対運動中に上記少なくとも3個のライトモジュールをストロボ動作させる方法。
【請求項17】
請求項12に記載された方法であって、更に、上記走査方向に対し概ね直交するクロス走査方向に沿い、少なくとも二つの付加的照明モダリティで以て、上記対象物のうち上記少なくとも3個のエリアを照明する方法。
【請求項18】
請求項17に記載された方法であって、上記少なくとも二つの付加的照明モダリティが異なる波長符号化モダリティ、異なる時間モダリティ、及び/又は異なる偏光符号化モダリティを含む方法。
【請求項19】
請求項12に記載された方法であって、少なくとも1個の透過型集光素子または少なくとも1個の反射型集光素子の方に光を差し向ける複数個の光源によって、上記照明を実行する方法。
【請求項20】
請求項19に記載された方法であって、上記複数個の光源が、対応する光導波路アレイへと光を出射する光源アレイを備え、上記光導波路アレイの光導波路のうち少なくとも1個が光整形素子のアレイの各光整形素子に光を出射する方法。
【請求項21】
請求項12に記載された方法であって、更に、上記捕捉の後、上記像を処理する方法。
【請求項22】
請求項21に記載された方法であって、上記処理に際し、上記像を相互位置合わせする、及び/又は上記像を多重分離させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は総じて光学検査システムに関し、より具体的には光学検査システムにて役立つマルチモダリティ多重化照明に関する。
【背景技術】
【0002】
様々なタイプの光学検査システムが本件技術分野にて知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第7641365号明細書
【文献】米国特許第5058982号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明にて提供しようとしているのは、空間多重化マルチモダリティ照明が組み込まれた光学検査システムであり、少なくとも近全角的な覆域を有する広角照明を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
即ち、本発明の好適実施形態に従い提供されるのは、照明サブシステム及び像感知サブシステムを有しその照明サブシステムが複数通りの照明モダリティを提供する検査システムであって、対象物のうち少なくとも2個のエリアを当該複数通りの照明モダリティのうち別々なもので以て同時照明し、当該像感知サブシステムの単一センサ形成部分によりそれらの像を捕捉するシステムである。
【0006】
好ましくは、上記センサを、エリアセンサを有するものとする。
【0007】
好ましくは、上記対象物のうち上記少なくとも2個のエリアを相互非連接的にする。
【0008】
好ましくは、上記照明サブシステムを、上記複数通りの照明モダリティのうち上記別々なもので以て上記対象物のうち上記少なくとも2個のエリアをそれぞれ照明する、少なくとも2個のライトモジュールを有するものとする。
【0009】
好ましくは、上記対象物及び本検査システムを、走査方向に沿い少なくとも近連続的に相対運動させる。
【0010】
好ましくは、上記照明サブシステムをストロボ動作させることで、上記少なくとも近連続的な相対運動中に、上記対象物のうち上記少なくとも2個のエリアを照明する。
【0011】
好ましくは、上記少なくとも2個のライトモジュールを、上記走査方向に沿った空間により互いに物理的に空間分離させ、且つ上記複数通りの照明モダリティに種々の角度照明モダリティを含める。
【0012】
好ましくは、上記少なくとも2個のエリアからの照明を上記センサの方に差し向けるビームスプリッタをも有し、そのビームスプリッタが、自身の縁が上記空間内に存するよう位置決めされたシステムとする。
【0013】
好ましくは、上記少なくとも2個のライトモジュールそれぞれにより、上記走査方向に対し概ね直交するクロス走査方向に沿い少なくとも二通りの付加的照明モダリティを提供する。
【0014】
本発明の好適実施形態によれば、上記少なくとも二通りの付加的照明モダリティが、種々の波長符号化モダリティを含むものとされる。
【0015】
これに加え又は代え、上記少なくとも二通りの付加的照明モダリティに種々の偏向符号化モダリティを含める。
【0016】
更にこれに加え又は代え、上記少なくとも二通りの付加的照明モダリティに種々の時間モダリティを含める。
【0017】
好ましくは、上記照明サブシステムを、少なくとも1個の透過型集光素子の方に光を差し向ける複数個の光源を有するものとする。
【0018】
或いは、上記照明サブシステムを、少なくとも1個の反射型集光素子の方に光を差し向ける複数個の光源を有するものとする。
【0019】
本発明の好適実施形態によれば、上記複数個の光源が、対応する光導波路アレイへと光を出射する光源アレイを有するものとされる。
【0020】
好ましくは、光整形素子アレイをも有し、上記光導波路アレイに備わる光導波路のうち少なくとも1個が各光整形素子へと光を出射するシステムとする。
【0021】
好ましくは、上記像を処理する画像処理サブシステムをも有するシステムとする。
【0022】
好ましくは、上記処理に上記像の相互位置合わせを含める。
【0023】
これに加え又は代え、上記処理に上記像の多重分離を含める。
【0024】
好ましくは、上記照明サブシステムにより供給される照明を、少なくとも±45°なる角度範囲に亘り拡がるものとする。
【0025】
また、本発明の別の好適実施形態に従い提供されるのは、対象物を検査する方法であって、対象物のうち少なくとも2個のエリアを複数通りの照明モダリティのうち別々なもので以て同時照明し、当該少なくとも2個のエリアの像を単一のセンサにより捕捉するものである。
【0026】
好ましくは、上記センサを、エリアセンサを有するものとする。
【0027】
好ましくは、上記対象物のうち上記少なくとも2個のエリアを相互非連接的にする。
【0028】
好ましくは、上記対象物のうち上記少なくとも2個のエリアを上記複数通りの照明モダリティのうち上記別々なもので以てそれぞれ照明する少なくとも2個のライトモジュールにより、上記照明を実行する。
【0029】
好ましくは、上記対象物及び上記少なくとも2個のライトモジュールを、走査方向に沿い少なくとも近連続的に相対運動させる。
【0030】
好ましくは、上記照明に際し、上記少なくとも近連続的な相対運動中に上記少なくとも2個のライトモジュールをストロボ動作させる。
【0031】
好ましくは、上記少なくとも2個のライトモジュールを、上記走査方向に沿った空間により互いに物理的に空間分離させ、且つ上記複数通りの照明モダリティに種々の角度照明モダリティを含める。
【0032】
好ましくは、更に、上記少なくとも2個のエリアから上記センサの方へとビームスプリッタにより照明を差し向け、またそのビームスプリッタを、自身の縁が上記空間内に存するよう位置決めする方法とする。
【0033】
好ましくは、更に、上記走査方向に対し概ね直交するクロス走査方向に沿い、少なくとも二通りの付加的照明モダリティで以て、上記対象物のうち上記少なくとも2個のエリアを照明する方法とする。
【0034】
本発明の方法の好適実施形態によれば、上記少なくとも二通りの付加的照明モダリティが、種々の波長符号化モダリティを含むものとされる。
【0035】
これに加え又は代え、上記少なくとも二通りの付加的照明モダリティに種々の偏向符号化モダリティを含める。
【0036】
更に加え又は代え、上記少なくとも二通りの付加的照明モダリティに種々の時間モダリティを含める。
【0037】
好ましくは、少なくとも1個の透過型集光素子の方に光を差し向ける複数個の光源によって、上記照明を実行する。
【0038】
或いは、少なくとも1個の反射型集光素子の方に光を差し向ける複数個の光源によって、上記照明を実行する。
【0039】
本発明の方法の好適実施形態によれば、上記複数個の光源が、対応する光導波路アレイへと光を出射する光源アレイを有するものとされる。
【0040】
好ましくは、光整形素子アレイをも設け、上記光導波路アレイに備わる光導波路のうち少なくとも1個が各光整形素子に光を出射する方法とする。
【0041】
好ましくは、上記捕捉の後に上記像の処理も行う方法とする。
【0042】
好ましくは、上記処理に上記像の相互位置合わせを含める。
【0043】
これに加え又は代え、上記処理に上記像の多重分離を含める。
【0044】
好ましくは、上記照明に、少なくとも±45°なる角度範囲に亘る照明を含める。
【0045】
本発明については、以下の図面と併せ後掲の詳細記述からより遺漏なく理解及び認識できよう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1A】マルチモダリティ多重化照明が組み込まれており本発明の好適実施形態に従い構成され動作する光学検査システムの概略図である。
【
図1B】
図1Aに描かれているタイプのマルチモダリティ多重化照明具備光学検査システムの構成諸部材の概略ブロック図である。
【
図2A】
図1A及び
図1Bに描かれているタイプの光学検査システムにおける照明及び像捕捉部材の概略前面図である。
【
図2B】
図1A及び
図1Bに描かれているタイプの光学検査システムにおける照明及び像捕捉部材の概略斜視図である。
【
図3】本発明の好適実施形態に係るマルチモダリティ多重化照明を描いた概略空間時間チャートである。
【
図4】本発明の別の好適実施形態に係るマルチモダリティ多重化照明を描いた概略空間時間チャートである。
【
図5】本発明の更なる好適実施形態に係るマルチモダリティ多重化照明を描いた概略空間時間チャートである。
【
図6】本発明のなおも別の好適実施形態に係るマルチモダリティ多重化照明を描いた概略空間時間チャートである。
【
図7A】
図1A~
図1Bに示されているタイプのシステムの照明出力との関連で光学素子配列を示す概略前面図である。
【
図7B】
図1A~
図2Bに示されているタイプのシステムの照明出力との関連で光学素子配列を示す概略斜視図である。
【
図8A】本発明の好適実施形態に従い構成され動作するマルチモダリティイルミネータ(照明器)であり、マルチモダリティ多重化照明を供給するのに適するものの、概略斜視図である。
【
図8B】本発明の好適実施形態に従い構成され動作しマルチモダリティ多重化照明を供給するマルチモダリティイルミネータの概略前面図である。
【
図8C】本発明の好適実施形態に従い構成され動作しマルチモダリティ多重化照明を供給するのに適するマルチモダリティイルミネータの概略側面図である。
【
図8D】本発明の好適実施形態に従い構成され動作しマルチモダリティ多重化照明を供給するのに適するマルチモダリティイルミネータの概略集合図である。
【
図9A】本発明の別の好適実施形態に従い構成され動作しマルチモダリティ多重化照明を供給するのに適するマルチモダリティイルミネータ概略斜視図である。
【
図9B】本発明の別の好適実施形態に従い構成され動作しマルチモダリティ多重化照明を供給するのに適するマルチモダリティイルミネータの概略前面図である。
【
図10A】本発明のなおも別の好適実施形態に従い構成され動作しマルチモダリティ多重化照明を供給するのに適するマルチモダリティイルミネータの概略斜視図である。
【
図10B】本発明のなおも別の好適実施形態に従い構成され動作しマルチモダリティ多重化照明を供給するのに適するマルチモダリティイルミネータの概略前面図である。
【
図11A】
図8A~
図10Bのうち何れかに描かれているタイプのマルチモダリティイルミネータの一部分からの順次光出力を描いた概略図である。
【
図11B】
図8A~
図10Bのうち何れかに描かれているタイプのマルチモダリティイルミネータの一部分からの順次光出力を描いた概略図である。
【
図11C】
図8A~
図10Bのうち何れかに描かれているタイプのマルチモダリティイルミネータの一部分からの順次光出力を描いた概略図である。
【
図11D】
図8A~
図10Bのうち何れかに描かれているタイプのマルチモダリティイルミネータの一部分からの順次光出力を描いた概略図である。
【
図11E】
図8A~
図10Bのうち何れかに描かれているタイプのマルチモダリティイルミネータの一部分からの順次光出力を描いた概略図である。
【
図11F】
図8A~
図10Bのうち何れかに描かれているタイプのマルチモダリティイルミネータの一部分からの順次光出力を描いた概略図である。
【
図11G】
図8A~
図10Bのうち何れかに描かれているタイプのマルチモダリティイルミネータの一部分からの瞬時光出力を描いた概略図である。
【
図12A】本発明の別の好適実施形態に従い構成され動作するマルチモダリティイルミネータの一部分からの光出力を描いた概略図である。
【
図12B】本発明の別の好適実施形態に従い構成され動作するマルチモダリティイルミネータの一部分からの光出力を描いた概略図である。
【
図13】
図8A~
図9Bのうち何れかに描かれているタイプのマルチモダリティイルミネータにより提供される照明の角度覆域の概略グラフである。
【
図14】
図8A~
図12Bに描かれているタイプのシステムにより提供される多重化照明の多重分離を実行するのに役立つ潜在的光学素子配列の概略図である。
【
図15】
図8A~
図12Bに描かれているタイプのシステムにより提供される多重化照明の多重分離を実行するのに役立つ別の潜在的光学素子配列の概略図である。
【
図16A】
図8A~
図12Bに描かれているタイプのシステムにより提供される多重化照明の多重分離を実行するのに役立つ別の潜在的光学素子配列の概略図である。
【
図16B】
図8A~
図12Bに描かれているタイプのシステムにより提供される多重化照明の多重分離を実行するのに役立つ別の潜在的光学素子配列の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
まず参照するのは
図1A、即ち本発明の好適実施形態に従い構成され動作するマルチモダリティ多重化照明具備光学検査システムの概略図と、
図1B、即ち
図1Aに描かれているタイプのマルチモダリティ多重化照明具備光学検査システムの構成部材の概略ブロック図である。
【0048】
図1A及び
図1Bに示す通り、提示されている光学検査システム100は好適にも光学ヘッド102を有しており、またその光学ヘッドがテーブル104に対し空間を隔て実装されている。テーブル104は、好適にも、光学ヘッド102により照明及び検査される対象物106をその上に配置しうるよう工夫されており、この例ではその対象物が印刷回路基板(PCB)基板106として具象化されている。とはいえ、対象物106は光学検査システム100による検査に適するどのような物体として具象化されてもよく、専らその例としては、ウェハ又はウェハダイ、組み付けられたPCB、フラットパネルディスプレイ及びソーラエネルギウェハがある。
【0049】
光学検査システム100は、好適にも、複数通りの照明モダリティを好適に提供する照明サブシステム120、並びに像感知サブシステム122を有している。ここでは、専ら一例として、照明サブシステム120がイルミネータ124を備え且つ像感知サブシステム122がカメラ126を備えることが示されており、好適にもそれらイルミネータ124及びカメラ126の動作が
図1Bに示す画像処理兼制御用電子回路128により制御されている。
【0050】
本発明の好適実施形態の際立った特徴は、好適にも、光学検査システム100により対象物106の少なくとも2個のエリア、例えば
図1Aに示す第1、第2及び第3エリア130,132,134が同時照明されること、またそれが照明サブシステム120により提供される複数通りの照明モダリティのうち別々なもので以て行われることにある。照明サブシステム120により照明されたそれら少なくとも2個のエリアの像が、好適にも、カメラ126内に組み込まれた単一のセンサ136により捕捉される。センサ136は好適にもエリアセンサとされており、好適にも像感知サブシステム122の一部分を形成している。
【0051】
像を像感知サブシステム122により捕捉した後、処理兼制御用電子回路128により画像処理を実行することで、好適にも、広い照明角覆域で以て対象物106がカバーされる。更に、そうした広い照明角覆域は、その具体的用途次第では、その角度範囲に亘り全域的又は近全域的な覆域となり、その狭間に無視しうるほどの角度ギャップしか生じないので、有益なことに、
図2A及び
図2Bを参照し後に更に詳述する通り、対象物106につき広く且つ少なくともほぼ無ギャップな角度覆域をもたらすことができる。
【0052】
光学検査システム100は、好適にも、基板106の連続走査を実行するよう動作させることができる。走査中に、基板106を好適にも光学ヘッド102に対し連続運動させること及びイルミネータ124を好適にも周期的にストロボ動作させることで、後に更に詳述する通り、基板106がイルミネータ124に対し所定位置となるのに相当する時点で、基板106を照明することができる。カメラ126は、好適にも、イルミネータ124により提供される複数通りの照明モダリティにより照明されている基板106の像を捕捉するよう、動作させることができる。
【0053】
光学ヘッド102及びテーブル104の運動は、モーションサブシステム140により制御することができる。イルミネータ124のストロボ動作及びそれに対応しカメラ126が行う像捕捉の精密なタイミングは、様々な制御及び処理アルゴリズム144が組み込まれたマスタコンピュータ142により制御することができる。電力は、好適にも電源モジュール146により、光学ヘッド102内に備わるイルミネータ124及びカメラ126の双方に供給することができる。
【0054】
理解し得るように、光学ヘッド102に対する基板106の連続的相対運動を、基板106を静止状態に保ちつつ、光学ヘッド102の走査方向150沿い運動により引き起こすことができる。これに代え、その種の連続的相対運動を、静止光学ヘッド102に対する基板106の運動によるもの、或いは基板106及び光学ヘッド102の相互運動によるものとしてもよい。静止基板106に対する光学ヘッド102の走査方向150沿い運動を基準としてシステム100の動作を後述するけれども、基板106及び光学ヘッド102の走査方向150沿い連続的相対運動をもたらす他の運動モードにも、その動作諸原理を相応に適用することができる。
【0055】
理解し得るように、本発明の検査システム100がこうして好適に連続走査モードにて動作する際、イルミネータ124が光学ヘッド102に対する基板106の運動と同期しストロボ動作することで、エリアセンサ136により基板106の像が捕捉されることとなる。連続走査モードでのシステム100の動作は高い走査速度をもたらすものであり、またその高い走査速度は、電子回路基板の検査においてひときわ望ましいものである。
【0056】
更に、連続走査の実行と併せ、ライン型イメージセンサではなくエリアセンサ、例えばエリアセンサ136を像捕捉に用いることで、カメラ126に対する光供給の効率が改善されるので、ライン型イメージセンサを採用した場合に得られるであろう速度よりも高い速度にて、カメラ126による像捕捉を実行することができる。これに加え又は代え、エリアセンサ136の使用に起因する光効率改善を利用し、後に更に詳述する通り、より単純で信頼性の高いイルミネータを目指すことができる。
【0057】
ライン型イメージセンサではなくエリア型センサ136を採用することで、本発明にて好適にも達成される光効率改善は、幾通りかの要因に帰着させうる。第1に、エリア型センサ136の使用が、対応するイルミネータ124のエリア効率良好化につながるのは、カメラ126の照明野を有効カメラ視野(FOV)と実質的に同サイズにすることができ、ひいては光浪費量を減らすことができるためである。対照的に、ラインセンサを採用した場合は、イルミネータ124により照明されるエリアが、カメラにより感知されるライン状の視野よりもかなり幅広になりえ、ひいては光浪費が発生する。
【0058】
ラインではなくエリア型のイメージセンサセンサを用いることによる照明効率の改善は、対象物例えば対象物106上にある20mm幅ストリップの撮像を考察することで、納得することができる。ラインセンサを用いそうした撮像を実行する場合、通常は、カメラにより撮像される瞬時FOVが走査方向に沿い10μmの「深さ」になる、即ちそのラインカメラが20mm×10μmのエリアを「見る」こととなろう。このFOVを適切に照明するには、そのイルミネータにより均一に照明される照明野を、各方向に沿い±0.5mm分、広めにすべきである。均一照明対象となる実照明ストリップが、現実的設計及び構成配慮故に約21mm×1mmになるのであるから、対象物106に供給される光エネルギの浪費は約100倍になろう。これに対し、本発明の好適諸実施形態に従い、エリアセンサを用い20mm幅ストリップの撮像を実行する場合、カメラのFOVが、個々の寸法が約20mm×2mmのストリップ状領域数本で構成されることとなる。同様の現実的設計及び構成配慮下での個々の均一照明領域は、この場合は約21mm×3mmとなり、対象物106に供給される光エネルギの浪費がたった33%となろう。
【0059】
加えて、エリア型センサ136の使用により、ライン型センサ採用時に実現可能であろうそれより短いデューティサイクルの光ストロボで以て、イルミネータ124を動作させることが可能となる。デューティサイクルは、一般に、走査方向150に沿った照明モダリティ毎のセンサロー本数増分の逆数と等しく、センサ136では100~5000の範囲内となりうる。デューティサイクル低減により、除熱及び電気駆動の必要性を低減しつつ光レベルを増大させることが可能となるので、システムの複雑性及びコストの低減を達成することができる。
【0060】
これ以外の長所を理解する土台にすべく、以下、詳細な記述を提供する。
【0061】
システム100の構造及び動作に関する子細を関し最良にご理解頂くには
図2A及び
図2B、即ち
図1A及び
図1Bに描かれているタイプの光学検査システムにおける照明及び像捕捉部材の概略前面図及び斜視図を付加的に参照すればよい。
【0062】
まず、
図2A及び
図2Bに示す通り、イルミネータ124は、基板106のうち第1エリア130を照明する第1ライトモジュール152、基板106のうち第2エリア132を照明する第2ライトモジュール154、並びに基板106のうち第3エリア134を照明する第3ライトモジュール156を備えている。第1、第2及び第3エリア130,132,134は、好適にも、カメラ126の視野(FOV)160内に存している。即ち、カメラ126のFOV160が、走査方向150に対し概ね平行な方向に沿い3個のエリア130,132,134へと実質的にセグメント化されており、それらエリアそれぞれが、好適にも、ライトモジュール152~156のうち対応するものにより照明されている。
【0063】
第1、第2及び第3ライトモジュール152,154,156は、それぞれ、好適にも、互いに異なる角度から第1、第2及び第3エリア130、132及び134のうち対応するものを照明するよう配置されており、従ってFOV160に対しては互いに異なる三通りの角度照明モダリティが提供されることとなる。それら互いに異なる角度モダリティは、好適にも、走査方向150沿い方向にてイルミネータ124により同時提供される。
図2A中に大変明瞭に示されている通り、イルミネータ124により提供されるそれら三通りの角度モダリティにより、好適にも、走査方向150に沿い全体で±約45°に亘る覆域が集合的にもたらされる。
【0064】
各ライトモジュール152,154,156は、好適にも非点収差集光器162を備えており、FOV160のうち対応する照明先エリア上へとその集光器により光ストリップが投射されている。非点収差集光器162は、「線形光集光器」(Linear Light Concentrator)と題し本発明と同じ譲受人に譲受されており且つ参照により本願に繰り入れられている特許文献1に、記載されているタイプのものとすることができる。
【0065】
複数個の照明モジュール152,154,156によりストリップ状の又は細長い照明野130,132,134が照明されるので、高効率な非結像合焦非点収差集光器162を用いることが可能となる。そうした非点収差集光器であれば、実質的に均一、シフト不変且つ無ケラレな光野をクロス走査方向に沿い広角に亘りもたらすことができ、それにより浪費の多い散光器や本件技術分野で既知な他のタイプのホモジナイズ化(均質化)光学素子の必要性を、なくすことができる。そうした集光素子を数個、互いに異なる様々な角度で組み合わせることで、更に好適にも、走査方向150沿い角度覆域全体を拡張することが可能となる。本発明の照明モジュール152,154,156の空間多重化に起因する更なる長所については、後に詳述する。
【0066】
本発明の好適実施形態の際立った特徴は、ライトモジュール152,154,156により投射される照明が、各ライトモジュールにより投射される光ストリップの境界より内側で、このように好適にも実質的にシフト不変且つ無ケラレであるため、各ライトモジュールの角度範囲に亘り近全域的又は全域的な角度覆域がもたらされることにある。
【0067】
理解し得るように、ライトモジュール152,154,156により投射される光ストリップのシフト不変及び無ケラレ特性は、後に詳述する通り、ストリップ横方向及び長尺方向に沿いそのストリップの縁にある有限領域内を除き、各モジュールにより投射される光ストリップの大半を通じ成り立つ。結果として、照明の角度分布が、その照明ストリップ内における位置によらず実質的に不変に保たれる。
【0068】
ライトモジュール152,154,156により投射される照明に光ケラレが現れていると、観測点が各光ストリップの中央から外れるにつれ照明数値開口(NA)内で角度ギャップの緩やかな拡幅が生じ、イルミネータ124の実行能力、ひいてはシステム100の検査能力が制約されることとなろう。
【0069】
均一、マルチモーダル、シフト不変、効率的且つ少なくともほぼ無ギャップな照明が本発明の好適諸実施形態により提供されることは、大変に有益なことである。本件技術分野で既知な狭角覆域照明システムであり、結像型集光器を採用していて幾ばくかは比較になりそうなものとは対照的に、本発明では、好適にも、走査方向及びクロス走査方向の双方に沿い広い角度覆域を有するマルチモーダル、均一且つシフト不変な照明が提供される。
【0070】
カメラ126により感知される領域に亘り、実質的に均一で実質的に無ギャップな広NA照明をイルミネータ124により提供することは、システム100により実行される基板検査の効能を改善する上で、大変に有益である。何故なら、電子回路基板の検査には、通常、画像をセグメント化すること、ひいてはある素材のパターンを他素材のパターンから或いは下地基板素材から弁別することが必須になるからである。そうしたセグメント化では、往々にして、検査対象物を広照明角且つ実質的に無ギャップでカバーすることが必要となる。例えば、PCBの誘電体基板に対する銅トレースの効率的セグメント化には、通常、0.7なるNAに亘り照明角覆域が拡がることが必要であり、これは±約45°なる合計照明角に相当している。有益にも、そうした広角で実質的に無ギャップな照明が本発明の好適諸実施形態により提供される。
【0071】
更に、各ライトモジュール152、154及び156の能力のうち、実質的に均一な角度覆域をもたらす能力は、個別モジュールそれぞれによりカバーされる角度間に意図的なギャップを設けることが望ましい場合でさえ、有益なことである。何故なら、本発明の諸実施形態では、そうした意図的なギャップを精密に設計及び実現できるのであり、従来型照明システムの場合に通例であったのとは違い、各モジュールにより投射される照明野内で制御外ケラレの結果として生じるのではないからである。
【0072】
理解し得るように、本願にて描出した如く、3個のライトモジュール152,154,156によりFOV160を照明し、それに対応してFOV160を3個の照明エリア130,132,134に実質分割することは、一例に過ぎない。システム100の設計仕様に従い、FOV160を2個以上のエリアへと分割すればよく、イルミネータ124も相応に設計すればよい。
【0073】
イルミネータ124により照明される少なくとも2個のエリアは、必須ではないが非連接的なものとするのが望ましく、ここで描かれている例では照明ストリップ130,132,134が一群のギャップ164により相互分離されている。
図2Aにて大変明瞭に示されている通り、FOV160内のストリップ130,132,134上に射突した光は、好適にも、そこからビームスプリッタ170の方へと反射される。ビームスプリッタ170は、好適にも、部分透過性であるので、ライトモジュール154により供給される光を基板106のストリップ132上に入射させることができ、且つ部分反射性であるので、カメラ126により照明ストリップ130,132,134全てを観測することができる。ビームスプリッタ170は、好適にも、ビームスプリッタ170の縁により持ち込まれる照明不均一性及び漏洩光効果が最小化されるよう、照明ストリップ130,132,134及びギャップ164を基準として配置されている。照明ストリップ130,132,134の有効幅を約0.5~2mmとすることができる。
【0074】
各照明ストリップの有効幅、即ち以下の記述で単に幅とも称されるそれは、照明野が実質的に均一且つシフト不変となる領域として定義することができる。この有効幅は、光源例えばLEDの物理的サイズ、並びに各ライトモジュール152,154,156にて採用されている集光器162の光学特性、の双方に関連している。既述の通り、この有効幅は、通常、各照明ストリップを画定する照明光エネルギの総拡散よりも、幾ばくか小さくなる。
【0075】
理解し得るように、各モジュール152,154,156により照明されるストリップの有効幅は大変重要なパラメタであり、それにより各撮像モダリティの光ストロボデューティサイクルが決定付けられる。このことは、カメラ126内に組み込まれたエリアセンサ136の各画素ローによりFOV160内5μm領域が撮像される例を考察することで、納得することができる。既述の通り、走査中には、好適にも、基板106を光学ヘッド102に対し連続運動させる。撮像品質の損失を避けるため、イルミネータ124を、好適にも、単一画素ローにより撮像される領域のサイズ即ち本例での5μmと、実質的に同じ走査距離に相当する期間に亘り、好適にもストロボ動作させる。現実的には、そのストロボ動作持続時間に相当する走査距離を、具体的用途にもよるが、撮像品質の過度な損失無しで、1μm以下の範囲内にすることや、システム光バジェット上許容されるのであれば最大約10μmにもすることができる。ストリップ130,132,134の幅が1mmであれば、各照明モダリティを1mmの走査増分にてストロボすることで、約1:200のストロボデューティサイクルが得られよう。注記すべきことに、この結果は、
図5を参照し後に詳述する通り、各照明ストリップ130,132,134内へと投射される照明モダリティの個数とは無関係である。
【0076】
ギャップ164の幅は、ストリップ130,132,134の幅とほぼ等しくすることができる。ビームスプリッタ170の好適配置でありそれに起因する照明不均一性を最小化しうるものの子細は、
図7A及び
図7Bを参照し後述する。
【0077】
ビームスプリッタ170上に入射した光は好適にも鏡172の方に方向転換され、その鏡172にてその光が好適にもカメラ126の方に反射される。好適にも鏡172及びカメラ126に面するレンズ174によって、光が好適にもカメラ126上に合焦される。カメラ126内センサ136によって、好適にも、基板106から反射されてきた入射光が検出される。単一のセンサ即ちエリアセンサ136をこのように動作させることで、カメラ126のFOV160内のエリア130,132,134全ての像を、好適にも、互いに異なる角度照明モダリティで以てイルミネータ124によりそれらエリアを同時照明しつつ、捕捉することができる。本発明の好適諸実施形態にて役立つセンサの好適例には、ベルギーのAMS SensorsによるCMV12000(商品名)や、ソニーによるIMX253LLR(商品名)がある。これらのセンサを装備したカメラは、ドイツのBasler、Flir及びカナダ国ブリティッシュコロンビア州のEVT等といったサプライヤから、入手することができる。
【0078】
レンズ174は、好適にも、0.3倍~3倍の範囲内の倍率を有するテレセントリック撮像レンズとされている。好適にもFOV160・レンズ174間光路全体が空気中にあるので、レンズ174を、所望の倍率、分解能及びFOVを有する市販のレンズとして具象化することができる。また、特殊用途向けであれば、相応しいレンズを、ドイツのQioptiq Photonics GmbH&Co KG及びJos. Schneider Optische Werke GmbH等といった製造業者による仕様に従い、カスタム設計及び生産することができる。
【0079】
本発明の好適諸実施形態の際立った特徴は、走査方向150に沿いイルミネータ124により提供される複数通りの角度照明モダリティに加え、走査方向150に対し概ね直交するクロス走査方向180に沿い付加的なサブ角度照明モダリティが提供されるよう、イルミネータ124を好適にも付加的に構成し動作させうることにある。クロス走査方向180に沿い提供される付加的なサブ角度照明モダリティには、本件技術分野に習熟した者(いわゆる当業者)にはお判りいただける通り、種々の偏向符号化モダリティ、種々の波長符号化モダリティ、種々の時間多重化モダリティ、並びに他の何らかの可変的照明モダリティであり種々の角度照明モダリティを符号化しうるもののうち、一通り又は複数通りを含めることができる。
【0080】
このように、イルミネータ124により提供される広い照明角覆域が、好適にも、個別に切換可能で感知される複数通りの照明モダリティへと分割され、各照明モダリティにより好適にも基板106の単一ディスクリートセグメント、例えば走査方向150に沿いアレイをなすエリア130,132,134が照明される。各走査方向角セグメントが、好適にも、クロス走査方向180に沿いアレイをなす多数の角度サブセグメントへと更に分割される。好適にも、各角度セグメント及びサブセグメントが独立切換可能な照明モダリティで構成されるところ、時間、波長及び偏向符号化方式のうち一通り又は複数通りを採用することで、それら様々なモダリティ間のクロストークを最小化することができる。
【0081】
角度セグメント全ての同時作動は、効率的なパターン弁別に必要となるであろう、全域的で実質的に均一、実質的に無ギャップな広NA照明の復元・再現につながる。その後、基板106の各部分に入射する照明モダリティ全てをコンピュータ142により情報処理的に多重分離させることで、被検査基板106のマルチモーダル画像を生成することができる。
【0082】
本発明はこうして実質的に均一、実質的に無ギャップ且つ実質的にシフト不変なマルチモダリティ照明を広い角度に亘り提供するものであり、これは連続走査モードでエリア型イメージセンサを動作させることと調和している。
【0083】
マルチモダリティ光の向きを、走査方向150及びクロス走査方向180の双方に沿い良好画定された可変的な角度とし、その光で以て基板106を照明することは、基板106側の潜在的欠陥の正確な特性解明を支援する上で有用たりうる。とりわけ、照明モダリティの多数使用により実欠陥識別性が改善され、良性な基板フィーチャ(外形特徴)のフォルスポジティブ識別が減ることとなる。更に、走査方向150に沿い照明セグメントを分離させることで、
図7A及び
図7Bを参照し後に詳述する通り、物理的障害を回避してイルミネータを構成することも容易となる。
【0084】
種々の波長,偏向を用い種々のクロス走査照明角を多重化しうる方法については、それぞれ、
図11A、
図11B及び
図11C,
図12A及び
図12Bとの関連で後に詳述する。分離されているエリア130,132,134間で走査方向角度モダリティを分けることについては、
図7、
図8、
図9及び
図10との関連で後述する。
【0085】
次に参照する
図3は、本発明の好適実施形態に係るマルチモダリティ多重化照明を描いた概略空間時間チャートである。
【0086】
図3に示す通り、システム100により提供されるマルチモダリティ多重化照明の例を、空間時間チャート300なる形態で表現することができる。チャート300の横軸は走査方向150に沿い延びており、チャート300の縦軸は時間又はフレーム計数値を表している。
【0087】
図3にてチャート化されている照明方式例では、三通りの角度照明モダリティが走査方向150に沿い3個の空間領域130,132,134へとそれぞれ配給されており、またそれを補完するため、三通りの波長符号化角度の照明がクロス走査方向180に沿い各空間領域130,132,134内に好適にも同時配給されている。とりわけ好適なことに、第1群をなす角度照明モダリティ310であり3個の波長符号化チャネルで構成されているものが、好適にも第1空間領域130に配給されており、第2群をなす別の角度照明モダリティ320でありそれと同じ3個の波長チャネルにより符号化されているものが、好適にも第2空間領域132に供給されており、第3群をなす更に別の角度照明モダリティ330でありやはり同じ3個の波長チャネルにより符号化されているものが、好適にも第3空間領域134に配給されている。第1、第2及び第3空間領域130,132,134は、好適にも、イルミネータ124がストロボ動作しているときにそれら3群の照明角度モダリティ310,320,330のうち対応するものによって同時照明される。
【0088】
各時間ステップ又はフレームではイルミネータ124がストロボ動作し、エリア130,132,134が、好適にも、対応する群の照明角度モダリティ310,320,330でありそれぞれ三通りの照明波長により符号化されているものによって同時照明される。照明エリア130,132,134は、
図3では、各エリアを照明する3個の波長チャネルを表す3本重ねの横棒として記されており、イルミネータ124がストロボ動作する瞬間それぞれにおけるFOV160の概念的断面図に相当するものとして理解することができる。
【0089】
好適なことに、
図3に描かれている照明モダリティは、それぞれ、走査運動による横断が各エリア130,132,134の走査方向150沿い幅相当期間になるたびにストロボ動作する。
【0090】
各フレームは好適にもカメラ126により捕捉される。この場合、好適にも、カメラ126に複数個のセンサ136を組み込むことで各波長の光を感知することが可能となり、ビームスプリッタ170を適宜構成することで、3個の波長チャネル全てで部分透過及び反射させることが可能となる。
【0091】
イルミネータ124のストロボ動作中及びストロボ動作後は、光学ヘッド102を、好適にも走査方向150に沿い連続運動させる。イルミネータ124を、好適にも、光学ヘッド102が走査方向150に沿い各エリア130,132,134の全幅又はほぼ全幅を横断移動するのに相当する期間にて、ストロボ動作させる。従って、基板106上にあり括り領域350内に含まれている各点は、好適にも、3個のエリア130,132,134それぞれにてカメラ126により、且つ群310,320,330に含まれる三通りの照明波長それぞれにより照明されつつ、順次撮像される。従って、基板106上にあり括り領域350内に含まれている各点を照明する照明角度モダリティは、三通りの波長符号化モダリティにより基板106上の3個の空間領域それぞれが照明されることに相応し合計九通りとなる。本願記載の如き三通りの波長モダリティの使用は一例にすぎず、これに代え二通りの或いは三通り超の波長符号化モダリティを用いることもできる。
【0092】
物理的に別体な照明モジュールが採用されない在来照明手法にて通例であった如く三通りの走査方向角度モダリティ全てが同じ照明ストリップ上に入射するのであれば、イルミネータ124が、相次ぐストロボ間にて照明ストリップ幅の約1/3にしか相当しない期間でしかストロボ動作せず、且つ各ストロボ動作にて三通りの別々なモダリティしか作動させないようにしないと、クロストークを回避することができないであろう。これは、走査方向角度モダリティが個々別々なストリップ上に入射するため各ストロボ動作にて九通りのモダリティを作動させうる本発明の方法とは、対照的である。即ち、固定フレームレートにて動作するイメージセンサをそうした在来システムにて採用すると、
図3の好適配置に比し3倍の走査速度損失が生じることとなろう。
【0093】
更に、そうした在来システムでは、多数の画像重複が小さなストロボ動作増分間で必要となるので、走査速度が更に低下することとなろう。即ち、本発明では、物理的に別体な照明モジュールを採用することで、そうした物理的に別体な照明モジュールが採用されない在来照明システムとは対照的に、高い走査速度が上首尾に実現される。
【0094】
基板106の全長に亘る走査の後は、好適にも、基板106のクロス走査方向180沿い幅を踏まえたテーブル104の運動により、基板106をクロス走査方向180に沿い漸進的にシフトさせることができる。その上で、上述のプロセスを、基板106の全体が走査され終えるまで繰り返せばよい。基板106が十分に狭幅であり、及び/又は、ライトモジュール152,154,156がクロス走査方向180に沿い十分に長ければ、システム100にて基板106の単一パス走査を実行し基板106のクロス走査方向運動を不要にすることができる。
【0095】
本願記載の如き照明角度モダリティの波長符号化は、検査下基板が採用波長域内で実質的に波長不可知な場合に、ひときわ有用たりうる。例えばPCB検査では、銅の反射率が約600nm超の波長で実質的に不変となる。従って、約600nm~約950nm域に属する多数の個別チャネルを用いた波長符号化を採用することで、甚だしい反射率変動偽像の発生をなくすことができる。そうした場合、個別波長におけるカメラセンサ相対応答に関し諸モダリティ像を等化させることに注意を払わねばならない。照明角度モダリティの波長符号化は、採用波長域全体に亘り基板が実質的に角度不可知な場合におけるカラー又はマルチスペクトル像捕捉にも有用たりうる。こうしたことは、高度に散光的な準ランベルト反射面で起こりうる。
【0096】
こうした波長符号化多角度照明を提供するのに用いられるイルミネータ124の構造及び動作に関する子細は、
図8A~
図9Bを参照し後述する。
【0097】
次に参照する
図4は、本発明の別の好適実施形態に係るマルチモダリティ多重化照明を描いた概略空間時間チャートである。
【0098】
図4に示す通り、システム100により提供されるマルチモダリティ多重化照明の例を、空間時間チャート400なる形態で表現することができる。チャート400の横軸は走査方向150に沿い延びており、チャート400の縦軸は時間又はフレーム計数値を表している。
【0099】
図4にてチャート化されている照明方式例では、三通りの角度照明モダリティが3個の空間領域130,132,134に対応付けられており、またそれを補完するため、二通りの偏向の照明が各空間領域130,132,134内に好適にも同時配給されている。とりわけ好適なことに、2個の符号化角度チャネルで構成されていて第1群をなす照明モダリティ410が好適にも第1空間領域130に配給されており、それと同じ2個の偏向符号化チャネルで構成されていて第2群をなす別の照明角度モダリティ420が好適にも第2空間領域132に供給されており、やはりそれと同じ2個の偏向符号化チャネルで構成されていて第3群をなす別の照明角度モダリティ430が好適にも第3空間領域134に配給されている。第1、第2及び第3空間領域130,132,134は、好適にも、イルミネータ124がストロボ動作しているときそれら3群の照明モダリティ410,420,430のうち対応するものにより同時照明される。
【0100】
各時間ステップ又はフレームではイルミネータ124がストロボ動作し、エリア130,132,134が、好適にも、対応する群の照明角度モダリティ410,420,430でありそれぞれ二通りの偏向の照明を含むものにより同時照明される。照明エリア130,132,134は、
図4では、各エリアを照明する2個の偏向チャネルを表す2本重ねの横棒として記されており、イルミネータ124がストロボ動作する瞬間それぞれにおけるFOV160の概念的断面図に相当するものとして理解することができる。
【0101】
各フレームは好適にもカメラ126により捕捉される。この場合、好適にも、カメラ126に一対のセンサ136を組み込むことで各偏向の光を感知することが可能となり、ビームスプリッタ170を適宜構成することで、両偏向を部分的に透過させ且つ部分的に反射させることが可能となる。
【0102】
イルミネータ124のストロボ動作中及びストロボ動作後は、光学ヘッド102を、好適にも走査方向150に沿い連続運動させる。イルミネータ124を、好適にも、光学ヘッド102が走査方向150に沿い各エリア130,132,134の全幅又はほぼ全幅を横断移動するのに相当する期間にて、ストロボ動作させる。従って、基板106上にあり括り領域450内に含まれている各点は、好適にも、3個のエリア130,132,134それぞれにてカメラ126により、且つ群410,420,430に含まれる二通りの偏向符号化照明角度モダリティそれぞれにより照明されつつ、順次撮像される。従って、基板106上にあり括り領域450内に含まれている各点を照明する照明角度モダリティは、好適にも、基板106上の3個の空間領域が二通りの偏向モダリティにより照明されることに相応し合計六通りとなる。
【0103】
在来照明システムでは通例たりうる如く六通りの偏向符号化角度モダリティ全てが単一のストリップ上に入射するのであれば、光学ヘッド102が、ストロボ動作間で照明ストリップ幅の約1/3しか漸増せず、且つ各ストロボ動作にて二通りの角度モダリティしか作動させないようにしないと、クロストークを回避することができないであろう。
【0104】
基板106の全長走査の後は、好適にも、基板106のクロス走査方向180沿い幅を踏まえたテーブル104の運動により、基板106をクロス走査方向180に沿い漸進的にシフトさせることができる。その上で、上述のプロセスを、基板106の全体が走査され終えるまで繰り返せばよい。基板106が十分に狭幅であり、及び/又は、ライトモジュール152,154,156がクロス走査方向180に沿い十分に長ければ、システム100にて基板106の単一パス走査を実行し基板106のクロス走査方向運動を不要にすることができる。
【0105】
本願記載の如き照明角度モダリティの偏向符号化は、基板106が採用波長域内で実質的に偏向不可知な場合にひときわ有用たりうる。例えばPCB検査では、銅の反射率が、どの注目入射角でも、また可視波長全体に亘り、互いに直交する偏向間で数%しか変化しない。誘電体基板は通常は半透明であり、反射を経た入射光を脱偏向させる傾向があるため、概ね入射角に対し不可知である。
【0106】
更に、角度不可知アプリケーションでは、基板106上の各所における素材種類の分析に際し、偏向符号化照明が有用たりうる。例えば、本願記載の如き偏向符号化照明は、光学的に粗なセラミクス、ソーラウェハウェハ又は可撓プラスチック基板上での金属薄膜又は誘電体膜の堆積により通常生成されるもののように、相対的に薄く且つ平坦な拡散反射素材又は誘電体膜を備えるパターン化基板を検査する際に、有用たりうる。
【0107】
こうした多偏向照明を提供するのに用いられるイルミネータ124の構造及び動作に関する子細は、
図12A及び
図12Bを参照して後述する。
【0108】
次に参照する
図5は、本発明のなおも別の好適実施形態に係るマルチモダリティ多重化照明を描いた概略空間時間チャートである。
【0109】
図5に示す通り、システム100により提供されるマルチモダリティ多重化照明の例を、空間時間チャート500なる形態で表現することができる。チャート500の横軸は走査方向150に沿い延びており、チャート500の縦軸は時間又はフレーム計数値を表している。
【0110】
図5にてチャート化されている照明方式例では、三通りの走査方向150沿い角度照明モダリティが3個の空間領域130,132,134に対応付けられており、それらがそれぞれ、三通りの別々なクロス走査方向180沿い角度モダリティにより補完されている。それらクロス走査方向角度モダリティは、好適にも、各空間領域130,132,134内の時間ステップにて順次配給される。とりわけ好適なことに、三通りの角度モダリティで構成されていて第1群をなす照明モダリティ510が好適にもある時点で空間領域130,132,134に配給されており、三通りの別な角度モダリティで構成される第2群520が好適にも第1群510配給後の別時点で空間領域130,132,134に配給されており、三通りの更に別な角度モダリティで構成される第3群530が好適にも第2群520配給後の更に別の時点で空間領域130,132,134に配給されている。
【0111】
第1、第2及び第3空間領域130,132,134は、好適にも、イルミネータ124が3群510,520,530との関連で順次ストロボ動作しているときに、それら3群の照明モダリティ510,520,530のうち一つを構成する個別モダリティのうち対応するものにより、同時照明される。
【0112】
照明エリア130,132,134は、
図5では各エリアを照明する個別照明モダリティを表す横棒なる態で記されており、イルミネータ124がストロボ動作する瞬間それぞれにおけるFOV160の概念的断面図に相当するものとして理解することができる。各フレームは好適にもカメラ126により捕捉される。この場合、好適にも、カメラ126にモノクロームセンサ136を組み込み、それにより入来光を検出することができる。
【0113】
イルミネータ124のストロボ動作中及びストロボ動作後は、光学ヘッド102を、好適にも走査方向150に沿い連続運動させる。イルミネータ124を、好適にも、光学ヘッド102が走査方向150に沿い各エリア130,132,134を横断する道筋の約1/3なる距離を移動するのに相当する期間にてストロボ動作させるが、各ストロボ動作では別々な群の照明モダリティが配給されるようにする。
図5の考察で察せられる通り、群をなす照明モダリティ510、520及び530を構成する各モダリティを、好適にも、各エリア130,132,134を過る全幅に相当する期間にてストロボ動作させる。従って、イルミネータ124のデューティサイクルは、前述の通り、各エリア130,132,134の全幅で決まる。
【0114】
理解し得るように、別々の群の照明モダリティ510,520,530を互いに異なる時点で配給し、またそれを基板106に対するイルミネータ124の連続運動と結び付けた結果として、好適にも、各群の照明モダリティにより各エリア130,132,134の一部領域が照明され、またその領域が漸進シフトすることとなる。好適にも、各エリア130,132,134のそうした領域間、即ち群をなす照明モダリティ510,520,530により照明される領域間に小さな空間重複があるので、正確な順次画像再構成が可能となる。
【0115】
従って、基板106上にあり括り領域550内に含まれている各点は、好適にも、3個のエリア130,132,134それぞれにてカメラ126により、且つ各エリア内の三時点にて照明されつつ、順次撮像される。従って、基板106上にあり括り領域550内に含まれている各点を照明する照明モダリティは、基板106上の3個の空間領域が三通りの時間モダリティにより照明されることに相応して、合計九通りとなる。本願記載の如き3個の時間ステップの使用は一例にすぎず、2個の或いは2個超の時間ステップをそれに代え用いることもできる。
【0116】
そして、基板106の全長走査の後は、好適にも、基板106のクロス走査方向180沿い幅を踏まえたテーブル104の運動により、基板106をクロス走査方向180に沿い漸進的にシフトさせることができる。その上で、上述のプロセスを、基板106の全体が走査され終えるまで繰り返せばよい。基板106が十分に狭幅であり、及び/又は、ライトモジュール152,154,156がクロス走査方向180に沿い十分に長ければ、システム100にて基板106の単一パス走査を実行し基板106のクロス走査方向運動を不要にすることができる。
【0117】
理解し得るように、
図5にてチャート化されている実施形態でのシステムスループットは、実行される漸進走査ステップが小さめであるため、
図3及び
図4にてチャート化されているものより低速になる。とはいえ、3群に群分けされそれぞれ3個の個別ストリップ上に入射されるのではなく、九通りの角度モダリティ全てが単一のストリップ上に入射されたとしたら、光学ヘッド102をストロボ動作間で照明ストリップ幅の約1/9しか漸進せず、且つ各ストロボ動作である単一の角度モダリティしか作動させないようにしないと、クロストークを避けることができない。そうしたシステムでは多数の走査増分が必要とされるであろうことと、上述した通り相次ぐ露出間にある有限な空間重複を確保する必要があることとが結び付くので、
図5にてチャート化した如く本発明にて好適に達成されるそれよりかなり低い走査速度しか、もたらされないであろう。
【0118】
こうした時間ステップ化照明を提供するのに用いられるイルミネータ124の構造及び動作に関する子細は、
図8A~
図9Bを参照し後述する。
【0119】
図3~
図5にてチャート化されている種々の照明モダリティのなかから様々なものを組み合わせることで、更に高次なマルチモダリティ照明を達成することができる。専ら一例として、種々の偏向モダリティを種々の波長モダリティと組み合わせたものが
図6に描かれている。
図6に示す通り、システム100により提供されるマルチモダリティ多重化照明の例を、空間時間チャート600なる形態で表現することができる。チャート600の横軸は走査方向150に沿い延びており、チャート600の縦軸は時間又はフレーム計数値を表している。
【0120】
図6にてチャート化されている照明方式例では、3個の空間領域130,132,134それぞれが2個の偏向符号化チャネルにより照明されており、各偏向符号化チャネルが三通りの波長符号化角度モダリティで構成されており、好適にもそれらが各空間領域130,132,134に同時配給されている。とりわけ好適なことに、合計6個の波長及び偏向符号化チャネルで構成されている第1群の照明モダリティ610が好適にも第1空間領域130に配給されており、それと同じ6個の波長及び偏向チャネルにより符号化された別の角度モダリティで構成されている第2群の照明モダリティ620が好適にも第2空間領域132に供給されており、やはり同じ6個の波長及び偏向チャネルにより符号化された更に別の角度モダリティで構成されている第3群の照明モダリティ630が好適にも第3空間領域134に配給されている。第1、第2及び第3空間領域130,132,134は、好適にも、イルミネータ124がストロボ動作しているときにそれら3群の照明モダリティ610,620,630のうち対応するものにより同時照明される。
【0121】
各時間ステップ又はフレームではイルミネータ124がストロボ動作し、エリア130,132,134が、好適にも、対応する群の照明角度モダリティ610,620,630でありそれぞれ二通りの偏向を有する三通りの照明波長を含むものにより、同時照明される。照明エリア130,132,134は、
図6では、それにより各エリアが照明される二通りの偏向それぞれにて三通りの波長を表す6本重ねの横棒として記されており、イルミネータ124がストロボ動作する瞬間それぞれにおけるFOV160の概念的断面図に相当するものとして理解することができる。
【0122】
図6では、それにより様々な角度モダリティ群が符号化される二通りの直交する偏向が、参照符号640及び642により示されている。
図6に示したのは二通りの直線偏向の一例であり、640は走査方向150を向く直線偏向、642はクロス走査方向180を向く直線偏向を表している。理解し得るように、これに代え他の直交偏向符号化方式を採用してもよい。
【0123】
各フレームは好適にもカメラ126により捕捉される。イルミネータ124のストロボ動作中及びストロボ動作後は、光学ヘッド102を、好適にも走査方向150に沿い連続運動させる。イルミネータ124を、好適にも、光学ヘッド102が走査方向150に沿い各エリア130,132,134の全幅又はほぼ全幅を横断移動するのに相当する期間にて、ストロボ動作させる。従って、基板106上にあり括り領域350内に含まれている各点が、好適にも、3個のエリア130,132,134それぞれにてカメラ126により、且つ群610,620,630に含まれる六通りの照明波長及び偏向符号化角モダリティそれぞれにより照明されつつ撮像される。従って、基板106上にあり括り領域350内に含まれている各点を照明する照明モダリティは、基板106上の3個の空間領域それぞれが六通りの波長及び偏向符号化モダリティにより照明されることに相応し、合計十八通りとなる。
【0124】
図6にてチャート化されているそれに限らず、それに代わる種々の照明モダリティの組合せも可能である。従って、例えば、
図3に描かれている如く複数個の空間領域を種々の波長符号化モダリティにより照明するものに、
図5に描かれている種々の時間モダリティを組み合わせることで、照明モダリティをより多数にすることができ、
図4に描かれている如く複数個の空間領域を種々の偏向符号化モダリティにより照明するものに、
図5に描かれている種々の時間モダリティを組み合わせることができ、またそれに代え偏向、波長及び時間ステップモダリティの全てを組み合わせることもできる。
【0125】
理解し得るように、基板106を照明するのに用いられる照明モダリティの個数が多いほど、その検査の正確性及び分解能が向上するものの、場合によっては、モダリティの個数が増加するにつれシステムスループットが低速になることがある。
【0126】
次に参照する
図7A,
図7Bは、順に、
図1A~
図2Bに示されているタイプのシステムの照明出力との関連で示した光学素子配列の概略前面図,概略斜視図である。
【0127】
図7A及び
図7Bに示す通り、イルミネータ124(図示せず)からの照明出力、ここでは3本の照明ビーム700,702,704で構成される態で描かれているそれが、好適にも、少なくとも2個のエリアに入射しており、ここではそれらエリアが基板106上の3個の照明エリア130,132,134で構成される態で描かれている。本発明の好適実施形態の際立って有益な特徴は、ビーム700,702,704及びそれに対応する照明エリア130,132,134が好適にも非連接的であり、それがライトモジュール152,154,156間の物理的間隔及びそれらの向きによるものであることにある。従って、ビーム700,702,704を基準としてビームスプリッタ170を位置決めすることで、それらビームの内部にではなくビーム700,702,704間の隙間に、ビームスプリッタ170の縁710が存するようにすることができる。光ビーム700,702,704の内部にてはなく間にビームスプリッタ170の縁710を位置決めすることには、縁710により持ち込まれる照明不均一性及び漏洩光を最小化する働きがある。ビームスプリッタ170の最適配置は、好適なことに、照明に対するエリア130,132,134の露出が妨げられず、エリア132の照明の減衰が勘案され、且つエリア130,132,134から反射されてきた照明がカメラ126により無ケラレ捕捉されるようにすることを基本に、選定される。
【0128】
注記されることに、ビーム700は、好適にも、空間的には重複するが角度的には実質的に別個な3本のサブビームへと、クロス走査方向180に沿い分割されるのであるが、表現の明瞭化のため
図7Bでは省略されている。様々な実施形態におけるそうしたクロス走査モダリティの形成については
図11A~
図13に描いてある。それらサブビームにより表される様々な別々の照明モダリティが、イルミネータ124によりクロス走査方向180に沿い提供される。ビーム700のサブビームにより、
図3にてチャート化されている照明方式に従いエリア130を同時照明する三通りの別々な波長のサブビーム、
図4にてチャート化されている照明方式に従いエリア130を同時照明する二通りの別々な偏向のサブビーム、或いは
図5にてチャート化されている照明方式に従い別々の時点で配給されエリア130を順次照明するサブビームを、構成することができる。
【0129】
好適にも、同様のサブビームで各ビーム700,702,704を構成できよう。各ビーム700,702,704を、クロス走査方向180に沿い提供される照明モダリティの個数に従い、クロス走査方向180に沿い2本以上のサブビームへと細分することができる。クロス走査サブビームの形成については、
図11~
図13との関連で後に更に詳述する。更に、
図7A及び
図7Bには3本のビーム700,702,704が描かれているが、イルミネータ124には、別々な角度モダリティのビームを走査方向150に沿い2本以上供給する2個以上のライトモジュールを組み込むこと、またそれらビームをそれぞれ細分してクロス走査方向180に沿い少なくとも二通りの照明モダリティにすることができる。
【0130】
必須ではないが好適なことに、ビーム700、702及び704の対角たる入射角同士を
図7Aに示す如く走査方向150に沿い僅かに重複させることで、プロセッサ128による重複画像マージ後の結合照明効果を、確と、角度ギャップのないものとすることができる。
図7A及び
図7Bの考察から明らかな通り、撮像レンズ174及びカメラ126の光軸720が好適にも傾斜しており、基板106に対しある斜め角をなしている。この構成では、有益にも、ビーム700形成用光学素子向け空間が残る。更に、この構成では、レンズ174の作動距離を短くすることができ、ひいてはレンズ174により比較的低コスト及び低複雑度で高分解能撮像を達成することが可能となる。本発明の好適諸実施形態に従い構成され動作する照明及び撮像サブシステムが組み込まれた検査システムは、30μm以下、とりわけ15μm以下のフィーチャを有する基板の高分解能検査向けに、ひときわ有用である。
【0131】
次に参照する
図8A~
図8Cは、順に、本発明の好適実施形態に従い構成され動作し、
図3又は
図4に描かれているタイプのマルチモダリティ多重化照明を提供するのに適するマルチモダリティイルミネータの、概略斜視図,概略前面図,概略側面図である。
【0132】
図8A~
図8Cに示す通りマルチモダリティイルミネータ824が設けられており、好適にもそれが本発明の照明サブシステム120の一部分を形成している。
図8A~
図8Cに示すマルチモダリティイルミネータ824は、システム100の照明サブシステム120のうち一部分を形成するイルミネータ124の、際立って好適な実施形態である。
【0133】
マルチモダリティイルミネータ824は、好適なことに少なくとも2個のライトモジュールを有しており、ここではそれが例えば第1ライトモジュール852、第2ライトモジュール854及び第3ライトモジュール856として具象化されている。ライトモジュール852,854,856は、イルミネータ124に備わるライトモジュール152,154,156の、際立って好適な実施形態である。
【0134】
第1、第2及び第3ライトモジュール852,854,856は、必須ではないが好適なことに、相互にそっくりであり且つ走査方向150に沿い相互整列している。必須ではないが好適なことに、第1、第2及び第3ライトモジュール852,854,856は、本願既述の通り走査方向150に沿い物理的に間隔配置されている。個々のライトモジュール852,854,856は、好適にもクロス走査方向180に沿い長く延びている。
【0135】
各ライトモジュールは好適にも光源アレイを備えており、ここではそれが例えばLED860のアレイとして具象化されている。他種の光源のなかにも、これに代えライトモジュール852,854,856に組み込むのに適するものがあり、例えばスーパールミネッセントダイオード(SLD)、ダイオードレーザ、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)やレーザ励起蛍光ランプが適しうる。これに代え、有形光源を光ファイバかその他の導波又はホモジナイズ化素子に結合させ、その光導波路の出射端を実質的光源として機能させてもよい。
【0136】
LED860を、ある単一の共通波長にて発光させることで、例えば
図5にてチャート化されているそれの如き照明方式に従い単色照明を提供することができる。これに代え、LED860を種々の波長で発光させてもよい。例えば、LED860を、ユニット862が周期的に反復するパターンに従い配列すればよい。各ユニット862を、第1波長にて発光する第1LED864、第2波長にて発光する第2LED866、並びに第3波長にて発光する第3LED868で構成すれば、
図3にてチャート化されているそれの如き照明方式に従い、クロス走査方向180に沿い三通りの別々な波長モダリティの照明を提供することが可能となる。
【0137】
各LED860は好適にも光導波路870に結合されている。光導波路870は、好適にも、それに対応するLED860でありその上方に実装されているものにより放射された光を受光し、その光をランダム化することで、空間的に均一な光分布を提供する。LEDのユニット862に属し3本の光導波路870からなる群は、好適にも光整形素子880に対し整列配置されている。光整形素子880は、好適にも、自身と連携する光導波路870により出射された均一光を受光し、ある所定形状の光出力を提供する。
【0138】
各光整形素子880から出射された光は、好適にも、長尺な集光素子890の方に伝搬していき、その長尺集光素子890にて、好適にも、全ての光整形素子880からの光出力が集光される。本願既述の通り、集光素子890は透過型集光素子とすること、好適には特許文献1記載のタイプのそれにすることができるので、同文献の全容を参照により本願に繰り入れることとする。好適にも、集光素子890を透過した集光光により、基板106上にあるエリア130,132,134のうち対応するものが照明される。
【0139】
図8Dは、マルチモダリティイルミネータ824の別の角度からの詳細外観図であり、それを通り基板106上のエリア130、132及び134に向かう照明路を描いた外観図群で構成されている。
【0140】
透過型集光素子890に代え、
図9A及び
図9Bに描かれている通り、反射型集光素子として具体化することもできる。
【0141】
次に、
図9A及び
図9Bに、代替的実施形態に係るマルチモダリティイルミネータ924を示す。イルミネータ924は、好適にも、少なくとも2個のライトモジュールを有しており、ここではそれが、例えば第1ライトモジュール952、第2ライトモジュール954及び第3ライトモジュール956として具象化されている。ライトモジュール952,954,956は、イルミネータ124に備わるライトモジュール152,154,156の、もう一つの際立って好適な実施形態である。
【0142】
第1、第2及び第3ライトモジュール952,954,956は、必須ではないが好適にも、互いにそっくりとされていない。各ライトモジュール952,954,956は、好適にも、クロス走査方向180に沿い長く延びている。各ライトモジュールは好適にも光源アレイを備えており、ここではそれが、例えばLED860のアレイとして具象化されている。他種の光源のなかにも、これに代えライトモジュール952,954,956に組み込むのに適するものがあり、例えばスーパールミネッセントダイオード(SLD)、ダイオードレーザ、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)やレーザ励起蛍光ランプが適しうる。これに代え、有形光源を光ファイバかその他の導波又はホモジナイズ化素子に結合させ、その光導波路の出射端を実質的光源として機能させてもよい。
【0143】
LED860を、ある単一の共通波長にて発光させることで、例えば
図5にてチャート化されているそれの如き照明方式に従い、単色照明を提供することができる。これに代えLED860を種々の波長で発光させてもよい。LED860は、例えば、ユニット862が周期的に反復するパターンに従い配列することができる。各ユニット862を、第1波長にて発光する第1LED864、第2波長にて発光する第2LED866、並びに第3波長にて発光する第3LED868で構成すれば、
図3にてチャート化されているそれの如き照明方式に従い、クロス走査方向180に沿い種々の波長モダリティの照明を提供することが可能となる。
【0144】
各LED860は、好適にも光導波路、例えば光導波路870に結合されている。光導波路870は、好適にも、それに対応するLED860でありその上方に実装されているものにより放射された光を受光し、その光をランダム化することで、空間的に均一な光分布を提供する。LEDのユニット862に属し3本の光導波路870からなる群が、好適にも光整形素子、例えば光整形素子880に対し整列配置されている。光整形素子880は、好適にも、自身と連携する光導波路870により出射された均一光を受光し、ある所定形状の光出力を提供する。
【0145】
各光整形素子880から出射された光は、好適にも、略円筒状の集光素子990の方に伝搬していき、その略円筒状集光素子990にて、好適にも、全ての光整形素子880からの光出力が集光される。集光素子990は反射型集光素子、好適には「照明システム及びそれを有する検査装置」(Illumination system and inspection apparatus including same)と題する特許文献2記載のタイプのものにすることができるので、同文献の全容を参照により本願に繰り入れることとする。集光素子990により、好適にも、基板106上にあるエリア130,132,134のうち対応するものの方へと集光光が反射される。
【0146】
明瞭化のため、
図9A及び
図9Bには撮像光路を示していない。理解し得るように、基板106上のエリア130,132,134を撮像しうるよう撮像レンズ及びカメラをフィットさせるには、ライトモジュール例えば952又は956とそれに対応する集光器990との間に、少なくとも1個の折り返し鏡を追加するのがよい。
【0147】
マルチモダリティイルミネータ824及び924の光出力は単一偏向のものとすることができる。これに代え、マルチモダリティイルミネータ824,924を、複数通りの偏向にて光出力を提供するよう構成してもよい。例えば、
図10A及び
図10Bに示すマルチモダリティ偏向多重化イルミネータ1024の例にて示されている通り、複数通りの波長及び二通りの偏向にて光出力を提供するようマルチモダリティイルミネータ824を修正してもよい。
【0148】
図10A及び
図10Bに示す通り、多重化イルミネータ1024に6個のライトモジュール1030を組み込むことができ、そのライトモジュールそれぞれを、ライトモジュール852,854,856に対し全体として似たタイプのものとすることができる。ライトモジュール1030は、好適にも、3個の対1032をなすよう対にされており、その対1032それぞれが2個のライトモジュール1030を有しており、それらライトモジュールがFOV160の所与エリア、例えばエリア130,132,134へと、互いに異なる偏向の光を供給する。マルチモダリティイルミネータ例えばマルチモダリティイルミネータ1024は、
図6にてチャート化されているタイプの照明方式に従いマルチモダリティ波長及び偏向多重化照明を提供するのに役立ちうる。
【0149】
図示の偏向多重化イルミネータ1024はマルチモダリティイルミネータ824と似たタイプのマルチモダリティイルミネータであり、透過型集光素子890を有しているが、これに代え、マルチモダリティイルミネータ924に対し全体として似たタイプの偏向多重化イルミネータであり、反射型集光素子990を有するものを、本発明の別の好適実施形態に従い設けることもできる。
【0150】
多重化イルミネータ1024は、好適にも、十八通りの別々な角度照明モダリティを投射可能なものである。とはいえ、注記されることに、角度不可知アプリケーションの場合、イルミネータ1024を、基板106のマルチスペクトル撮像に役立てることができる。ある例によれば、あるライトモジュール1030の三通りのLED波長と、それと同じ対1032に属する別のライトモジュール1030の三通りのLED波長とを、違うものにすることができる。この要領で設計されているがポラライザを有していないイルミネータ1024は、最多で十八通りの別々な波長に亘るマルチスペクトル走査及び撮像に役立てることができる。
【0151】
【0152】
図11A、
図11B及び
図11Cに示す通り、ある単一のライトモジュール1100、好適にはライトモジュール852,854,856,952,954,956,1030のうち何れか一つとして具象化されるそれに、LED860のアレイが設けられ一群の光導波路870に結合されており、それら光導波路870のうち3個からなる群が個別の光整形素子880に結合されている。
【0153】
光整形素子880は好適にもフリーフォームな円柱状屈折型光学素子とされている。素子880はガラスで作成しうるが、射出成型プラスチックで製作するのが望ましい。隣り合う光導波路870に結合されており群をなしている素子880を、好適にも、射出成型プラスチック素子のモノリシックアレイとして作成することができる。素子880は、好適にも、所定形状分布の均一光を集光器、例えば透過型集光器890(
図8A~
図8C)又は反射型集光器990(
図9A及び
図9B)へと供給する。
【0154】
ライトモジュール1100は好適にもクロス走査方向180に沿い長く延びている。本願既述の通り、ライトモジュール1100は、好適にも、複数通りのクロス走査方向照明モダリティを提供するよう動作させることができ、それらクロス走査方向照明モダリティにより、走査方向150沿いで提供される種々の角度照明モダリティを、マルチモダリティイルミネータ824又は924内に組み込まれた複数個のイルミネータのうち別々なもので補完することができる。
【0155】
図3を参照し上述した照明方式では、ライトモジュール1100を、好適にも、クロス走査方向180に沿い少なくとも二通り、例えば三通りの波長符号化モダリティの照明を提供するよう、動作させることができる。この方式では、第1波長にて発光する第1LED864、第2波長にて発光する第2LED866、並びに第3波長にて発光する第3LED868の全てが、ライトモジュール1100がストロボ動作しているときに同時作動する。従って、基板106のうちライトモジュール1100により照明されるエリア、例えばエリア130,132,134が、
図3にてチャート化されている通り三通りの波長の光により同時照明される。
【0156】
図5を参照して上述した別の照明方式では、ライトモジュール1100を、好適にも、少なくとも二通り、例えば三通りの時間ステップにて照明を供給するよう動作させることができる。この方式では、ライトモジュール1100をストロボ動作させるたびに第1、第2及び第3LED864,866,868の全てを同時作動させるのではなく、好適にも、LED864,866,868を順次作動させる。LED864,866,868の順次作動が
図11A~
図11Cに描かれている。
【0157】
図11A中の第1ペイン1102、即ち第1時点でのライトモジュール1100のストロボ動作に相当するペインに示す通り、一組のLEDのみ、例えばLED864を作動させることで、専ら第1角度にて光を出射させることができる。
図11B中の第2ペイン1104、即ち第2時点でのライトモジュール1100のストロボ動作に相当するペインに示す通り、二組目のLEDのみ、例えばLED866を作動させることで、専ら第2角度にて光を出射させることができる。
図11C中の第3ペイン1106、即ち第3時点でのライトモジュール1100のストロボ動作に相当するペインに示す通り、三組目のLEDのみ、例えばLED868を作動させることで、専ら第3角度にて光を出射させることができる。こうすることで、ライトモジュール1100により提供される照明の出射角を、LED860のうち別々なものの順次作動に依拠し三方向的に切り換えることが可能となる。
【0158】
3個の対応する光導波路870及び単一の光整形素子880に結合されており単一群をなしている3個のLED864,866,868の順次作動を、付加的な明瞭化のため更に詳細に描いたのが
図11D~
図11Fであり、これらの図には、第1角度にて光を出射するLED864(
図11D)、第2角度にて光を出射するLED866(
図11E)、並びに第3角度にて光を出射するLED868(
図11F)の順次作動が示されている。完全を期すべく、単一群をなすLED864,866,868の同時作動を
図11Gに示してある。上述の通り、そうした同時LED作動は、
図3にてチャート化されており各LEDが別々の波長で照明を放射する照明方式や、
図5にてチャート化されておりLEDが任意波長で放射する照明方式に、その具体的用途に従い対応付けることができる。
【0159】
第1、第2及び第3ペイン1102,1104,1106に表されている照明に対応する時点間の時間ギャップは、好適にも、各照明エリア130,132,134を横断する道筋の約1/3にあたる距離を光学ヘッド102が動く時間に相当している。
【0160】
図4を参照して上述した別の照明方式では、ライトモジュールを、好適にも、クロス走査方向180に沿い少なくとも二通りの偏向の照明を提供するよう動作させることができる。そうした偏向多重化を行うのに役立つ単一のライトモジュール1200を、
図12A及び
図12Bに示す。
図12A及び
図12Bに示す通り、ライトモジュール1200は、その構造及び動作の関連諸側面にて、ライトモジュール1100に全体として似せることができる。けれども、ライトモジュール1200は、好適にも、光導波路870のうち対応するものの上に実装された複数個の偏向フィルタ1202を有しているので、それによる光出力を好適に偏向させることができる。偏向フィルタ1202は、好適にも、二通りの互いに直交する偏向間で交番配列に従い配列されている。従って、各光導波路870の光出力が、同じ光整形素子880に結合されており隣にある光導波路870の光出力に対し、直交偏向される。更に、各光整形素子880に結合されているLED860のユニット862には、ライトモジュール1100の場合のように3個のLED860が備わるのではなく、二通りの種々の偏向に対応し2個の個別切換可能なLED860が入れられている。
【0161】
次に参照する
図13は、
図7A~
図9Bに描かれているタイプのマルチモダリティイルミネータの光出力に対応する角度覆域の概略グラフ表現である。
【0162】
マルチモダリティイルミネータ例えばイルミネータ124、824又は924であり、3個のライトモジュール例えばライトモジュール1100を有するものによりもたらされる角度覆域を、
図13に示す。第1プロット1300及び第2プロット1302には、クロス走査方向180沿いの2個の個別位置に関し、カメラ126(
図1B)のFOV160の集合的角度覆域が描かれている。プロット1300及び1302のx軸はクロス走査方向180沿い照明入射角、y軸は走査方向150沿い照明入射角を表している。プロット1300及び1302に示す通り、FOV160の角度覆域を、イルミネータ824又は924により提供される九通りの照明モダリティに対応する9個の領域へと、分割することができる。
【0163】
完全を期すべく、一組のLEDしか作動させない場合、例えばLED864又はLED866又はLED868しか作動させない場合におけるFOV160の角度覆域を、第3プロット1304に示す。この場合、九通りの照明モダリティのうち三通りの照明モダリティしか提供されず、各走査方向モダリティ毎に単一のクロス走査モダリティが作動される。これは、3個のライトモジュール、例えば
図8A~
図8Cの852,854,856の全てでのLED868の作動による光出力に相当している。
【0164】
注記すべきことに、プロット1300、1302及び1304により表されている角度覆域は、FOV160内である瞬間に物理的に存在するものではない。寧ろ、これは、上述した
図3及び
図5中の走査チャートに従い得られた部分重複像の適切な多重分離、処理及びマージを経て実質的に得られる角度覆域である。
【0165】
更に完全を期すべく、1個のライトモジュールのみ、例えばライトモジュール852又は854又は856のみを作動させる場合におけるFOV160の角度覆域を、第4プロット1306に示す。この場合、クロス走査方向180沿いでは三通りの照明モダリティしか提供されない。
【0166】
プロット1304に示した三通りのクロス走査モダリティとは逆に、プロット1306に示されている三通りのモダリティは皆、波長多重化方式例えば
図3のそれの下で、FOV160のあるサブ領域例えば134に亘り同時に、物理的に作動させることができる。これに代え、FOV160のある単一のサブ領域例えばエリア134内で、
図5の方式に従い捕捉された3個の相次ぐ部分重複像を適切に処理し結合させることで、プロット1306の角度覆域を合成してもよい。
【0167】
カメラ126により捕捉された個別像、好ましくは部分重複像の全て又は一部を、画像処理兼制御用電子回路128(
図1B)により集約することができる。画像処理兼制御用電子回路128にて、本件技術分野で周知な画像校正及び変換動作、例えば歪補正を実行することで、それら個別マルチモダリティ像同士をマージして全角複合像にすることが可能となる。
【0168】
制御用電子回路128により実現される他の画像処理機能には、その波長多重化方式にて採用されている種々の波長に関する光強度及びカメラ応答の差異や、ビームスプリッタ170によりサブ領域132上に入射された光の相対減衰に関する、個別モダリティ像の校正及び補償が含まれうる。
【0169】
ある種の実施形態によれば、画像処理兼制御用電子回路128により高正確度サブ画素画像位置合わせを実行することで、全角像を生成することが可能となる。上述の通り複数通りの別々な照明モダリティが採用されているため、その後、それら全角像を用い基板106における欠陥を高い検出率にて且つ些少なフォルスポジティブで以て検出することができる。
【0170】
ある種の実施形態によれば、上述の適切な校正及び補償の後、各個別モダリティに相応するグレー値を各基板画素にて付加することにより、全角覆域像を得ることができる。そうした諸実施形態では、注記すべきことに、様々なモダリティ間の僅かな角度重複によって、非常に光輝的で不均質な金属質トレースの像内に、明るめの輪郭が出現することがある。とはいえ、そうした明るめな輪郭の効果は、照明内角度ギャップに由来する暗輪郭の発生で生じるであろう効果よりはかなり有害さが少なく、非線形画像処理法例えば単純閾値判別の使用による明るめ輪郭効果の平滑等を通じて速やかに補正することができる。
【0171】
【0172】
図14にて提示されている波長多重分離撮像方式1400は複数通りの波長、図示例では三通りの波長にて照明を分離させるのに役立つ。波長多重分離撮像方式1400は、本件技術分野で周知な3チップRGBビデオカメラデザインに全体として似せうるものであり、好適にも、各波長にて光を感知する複数個のセンサ1402をカメラ126内に有している。波長多重分離撮像方式、例えば
図14に描かれているそれは、
図8A~
図9Bに描かれているタイプのマルチモダリティイルミネータによる照明下での像を多重分離させ、
図3に描かれており九通りの照明モダリティを孕むタイプの照明方式を提供するのに、役立ちうる。
【0173】
図15にて提示されている偏向多重分離撮像方式1500は、二通りの偏向にて照明を分離させるのに役立つ。偏向多重分離撮像方式1500は、好適にも、各偏向にて光を感知する一対のセンサ1502をカメラ126内に有している。この場合、偏向ビームスプリッタ1504を採用することができる。偏向多重分離撮像方式、例えば
図15に描かれているそれは、
図12A及び
図12Bに描かれているタイプのライトモジュールを有するマルチモダリティイルミネータによる照明下での像を多重分離させ、
図4に描かれており六通りの照明モダリティを孕むタイプの照明方式を提供するのに、役立ちうる。
【0174】
図16A及び
図16Bにて提示されている波長及び偏向多重分離撮像方式1600は、二通りの偏向及び三通りの波長にて照明を分離させるのに役立つ。偏向及び波長多重分離撮像方式1600におけるカメラ126は、好適にも、各波長にて第1偏向を有する光を個別感知する複数個のセンサ1604を含む第1センサ集合1602と、各波長にて第2偏向を有する光を個別感知する第2の複数個のセンサ1608を含む第2センサ集合1606とを有している。方式1600は、更に、好適にも、二通りの別々な偏向にて入来光を分離する偏向ビームスプリッタ1610を有している。偏向多重分離撮像方式、例えば
図16に描かれているそれは、
図10A及び
図10Bに描かれているタイプのマルチモダリティイルミネータによる照明下での像を多重分離させ、
図6に描かれており十八通りの照明モダリティを孕むタイプの照明方式を提供するのに、役立ちうる。
【0175】
いわゆる当業者には察せられる通り、本発明は、後掲の特許請求の範囲に具体的に記載されているものに限定されない。寧ろ、本発明の技術的範囲には、上述した諸特徴の様々な組合せ及びサブコンビネーション並びにその修正及び変形であり、いわゆる当業者が図面を参照しつつ上掲の記述を読むことで理解でき且つ従来技術に属していないものが包含される。