(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】前立腺特異的膜抗原(PSMA)の標識化阻害剤、画像化剤としてのそれらの使用、及びPSMA発現がんの処置のための医薬剤
(51)【国際特許分類】
C07D 257/02 20060101AFI20240610BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20240610BHJP
A61K 51/04 20060101ALI20240610BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20240610BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240610BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20240610BHJP
C07D 487/08 20060101ALI20240610BHJP
C07F 1/08 20060101ALN20240610BHJP
C07F 5/00 20060101ALN20240610BHJP
C07F 7/24 20060101ALN20240610BHJP
C12Q 1/02 20060101ALN20240610BHJP
【FI】
C07D257/02 CSP
A61K47/54
A61K51/04 100
A61K51/04 200
A61P13/08
A61P35/00
A61P35/04
C07D487/08
C07F1/08 C
C07F5/00 H
C07F7/24
C12Q1/02
(21)【出願番号】P 2021517042
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(86)【国際出願番号】 EP2019076267
(87)【国際公開番号】W WO2020065045
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-07-14
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509223977
【氏名又は名称】ウニベルジテート ハイデルベルク
(73)【特許権者】
【識別番号】512113803
【氏名又は名称】ドイチェス クレブスフォルシュンクスツェントルム
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハーベルコルン,ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】ドス サントス,ホセ カルロス
(72)【発明者】
【氏名】マイアー,ヴァルター
(72)【発明者】
【氏名】クラトチウィル,クレメンス
(72)【発明者】
【氏名】バウダー-ヴェスト,ウルリケ
(72)【発明者】
【氏名】コプカ,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー,マルティン
【審査官】谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/082620(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/165473(WO,A1)
【文献】特表2017-518971(JP,A)
【文献】国際公開第2019/115684(WO,A1)
【文献】特表2016-535013(JP,A)
【文献】SANGEETA RAY BANERJEE; ET AL,64Cu-LABELED INHIBITORS OF PROSTATE-SPECIFIC MEMBRANE ANTIGEN FOR PET IMAGING OF PROSTATE CANCER,JOURNAL OF MEDICINAL CHEMISTRY,2014年03月27日,VOL:57, NR:6,PAGE(S):2657 - 2669,http://dx.doi.org/10.1021/jm401921j
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 257/02
A61K 47/54
A61K 51/04
C07D 487/08
C07F 1/08
C07F 5/00
C07F 7/24
C12Q 1/02
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
【化1】
[式中、
Y
3はO又はSであり、
s、t、u及びwは互いに独立して、0又は1であり、
iは1~3の整数であり、
jは3~5の整数であり、
Z
1、Z
2及びZ
3は互いに独立して、-CO
2H、-SO
2H、-SO
3H、-OSO
3H及び-OPO
3H
2からなる群から選択され、
R
1は-CH
3又はHであり、
Xは、
下式で表される基
【化2】
であり、
Y
1は、
下式で表される基
【化3】
であり、且つ
Y
2は、場合により置換されているアリール、-アルキル-アリール-、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール及び-アルキル-ヘテロアリール-からなる群から選択され、
且つuは0であり及びwは1であり、
Aは、以下の式
【化4】
で表される基からなる群から選択される構造を有するキレート剤残基である]
で表される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
【請求項2】
Z
1、Z
2及びZ
3が-CO
2Hであり、R
1がHである、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
【請求項3】
iが2であり、jが4である、請求項1又は2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
【請求項4】
式(1a)
【化5】
[式中、Y
3、s、t、u及びw、i、j、Z
1、Z
2及びZ
3、R
1、X、Y
1、Y
2、並びにAは、請求項1から3のいずれか一項に記載の定義と同義である]
で表される構造を有する化合物である、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
【請求項5】
Y
2が
、下式で表される基
【化6】
であり、R
6、R
7、R
8及びR
9は互いに独立して、H又はアルキルである、請求項3に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
【請求項6】
下式で表されるCA003
*、CA022
*及びCA023
*
【化7】
からなる群より選択される構造を有する化合物である、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
【請求項7】
下式で表されるCA003
*
【化8】
の構造を有する化合物である、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
【請求項8】
(a)放射性核種、及び
(b)請求項1から
7のいずれか一項の化合物又はその塩
を含む錯体。
【請求項9】
放射性核種が銅の放射活性核種である、請求項
8に記載の錯体。
【請求項10】
請求項1から
7のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物、又は請求項
8又は
9に記載の錯体を含む医薬組成物。
【請求項11】
PSMA発現がん及び/若しくはその転移を処置、寛解若しくは防止することにおける使用のための、又は診断薬における使用のための、請求項1から
7のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
【請求項12】
前立腺がん及び/若しくはその転移を処置、寛解若しくは防止することにおける使用のための、請求項1から
7のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
【請求項13】
PSMA発現がん及び/若しくはその転移を処置、寛解若しくは防止することにおける使用のための、又は診断薬における使用のための、請求項
8又は
9に記載の錯体。
【請求項14】
前立腺がん及び/若しくはその転移を処置、寛解若しくは防止することにおける使用のための、請求項
8又は
9に記載の錯体。
【請求項15】
PSMA発現がん及び/若しくはその転移を処置、寛解若しくは防止することにおける使用のための、又は診断薬における使用のための、請求項
10に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前立腺がん及び/若しくはその転移を処置、寛解若しくは防止することにおける使用のための、請求項
10に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、放射性医薬品、並びに核医学におけるトレーサー、画像化剤としての並びにPSMA発現がん、殊に前立腺がん及びその転移の様々な疾患状態の処置のためのそれらの使用の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
前立腺がん(PCa)は、US及びヨーロッパの人々における主要ながんである。西半球において少なくとも1~2百万人の男性が前立腺がんを患い、疾患は55歳~85歳の間の6人に1人の男性を襲うと推定される。USAにおいて各年に診断された前立腺がんの新たな症例が300,000超ある。該疾患からの死亡率は、肺がんに次いで第2位である。現在、解剖の高解像度を有する画像化方法、例えばコンピューター断層撮影(CT)、磁気共鳴(MR)画像化及び超音波は、前立腺がんの臨床的な画像化に対して優位である。現在、推定で年間2十億ドルが、外科手術的、放射線、薬物治療及び最小侵襲処置に対して世界的に費やされている。しかしながら、目下、再発性、転移性、アンドロゲン非依存性の前立腺がんのための有効な治療がない。
【0003】
現在、様々な実験的な低分子量PCa画像化剤が、放射標識化されたコリン類似体[18F]フルオロジヒドロテストステロン([18F]FDHT)、抗-1-アミノ-3-[18F]フルオロシクロブチル-1-カルボン酸(抗[18F]F-FACBC、[11C]アセテート及び1-(2-デオキシ-2-[18F]フルオロ-L-アラビノフラノシル)-5-メチルウラシル(-[18F]FMAU)を含めて臨床的に追求されているところである(Scher, B.ら、Eur J Nucl Med Mol Imaging 2007、34、45~53; Rinnab, Lら、BJU Int 2007、100、786,793; Reske, S.N.ら、J Nucl Med 2006、47、1249~1254; Zophel, K.、Kotzerke、J. Eur J Nucl Med Mol Imaging 2004、31、756~759; Vees, H.ら、BJU Int 2007、99、1415~1420; Larson, S. M.ら、J Nucl Med 2004、45、366~373; Schuster, D.M.ら、J Nucl Med 2007、48、56~63; Tehrani, O.S.ら、J Nucl Med 2007、48、1436~1441)。各々は、異なる機序によって作用し、ある特定の利点、例えば、[11C]コリンについて低い尿排泄、及び不利な点、例えばポジトロン放出放射性核種の短い物理的半減期を有する。
【0004】
腫瘍は、それらの悪性表現型と関連する独特のタンパク質を発現し得る、又は正常細胞よりも多くの数において正常の構成タンパク質を過剰発現し得ることがよく知られている。腫瘍細胞の表面上での異なるタンパク質の発現は、腫瘍の表現型同一性並びに生化学的組成及び活性を探索することによって、疾患を診断及び特徴付ける機会を提供する。特定の腫瘍細胞表面タンパク質に選択的に結合する放射性分子は、非侵襲的条件下で腫瘍を画像化及び処置するための魅力的な経路を提供する。低分子量画像化剤の有望な新たなシリーズは、前立腺特異的膜抗原(PSMA)を標的化する(Mease R.C.ら、Clin Cancer Res. 2008、14、3036~3043; Foss, C.A.ら、Clin Cancer Res 2005、11、4022~4028; Pomper, M.G.ら、Mol Imaging 2002、1、96~101 ; Zhou, J.ら、Nat Rev Drug Discov 2005、4、015~1026; WO 2013/022797)。
【0005】
PSMAは、PCaの表面上で、特にアンドロゲン非依存性の進行型及び転移性疾患において、豊富な及び制限された発現を有する膜貫通750アミノ酸II型糖タンパク質である(Schulke, N.ら、Proc Natl Acad Sci U S A 2003、100、12590~12595)。後者は、ほとんど全てのPCaが経時的にアンドロゲン非依存性になるので重要である。PSMAは、治療のための有望な標的の基準を有する(Schulke, N.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 2003、100、12590~12595)。PSMA遺伝子は、第11染色体の短腕上に位置し、フォレートヒドロラーゼ及びニューロペプチダーゼの両方として機能する。それは、グルタメートカルボキシペプチダーゼII(GCPII)と同等であるニューロペプチダーゼ機能を有し、「脳PSMA」と称され、N-アセチルアスパルチルグルタメート(NAAG)をN-アセチルアスパルテート(NAA)及びグルタメートに切断することによって、グルタミン酸作動性伝達をモジュレートすることができる(Nan, F.ら、J Med Chem 2000、43、772~774)。1個のがん細胞当たり最大106個のPSMA分子があり、それを、放射性核種ベースの技法を用いる画像化及び治療のための理想的な標的としてさらに示唆している(Tasch, J.ら、Crit Rev Immunol 2001、21、249~261)。
【0006】
PROSTASCINT(登録商標)走査として知られている抗PSMAモノクローナル抗体(mAb) 7E11の放射性免疫コンジュゲートは、現在、前立腺がん転移及び再発を診断するために使用されている。しかしながら、この薬剤は、解釈するのが困難である画像を生成する傾向がある(Lange, P.H. PROSTASCINT scan for staging prostate cancer。Urology 2001、57、402~406; Haseman, M.K.ら、Cancer Biother Radiopharm 2000、15、131~140; Rosenthal, S.A.ら、Tech Urol 2001、7、27~37)。より近年には、PSMAの細胞外ドメインに結合するモノクローナル抗体が開発されており、放射標識化され、動物におけるPSMA陽性前立腺腫瘍モデル中に蓄積することが示されている。しかしながら、モノクローナル抗体を使用する診断及び腫瘍検出は、固形腫瘍におけるモノクローナル抗体の低い浸透性によって制限されている。
【0007】
画像化又は治療のいずれか目的での、放射性医薬品を用いるがん細胞の選択的標的化は、困難である。様々な放射性核種は、111In、90Y、68Ga、177Lu、99mTc、123I及び131Iを含めて、放射性画像化又はがん放射線治療に有用であることが知られている。近年、放射性核種-リガンドコンジュゲートに連結されているグルタメート-尿素-グルタメート(GUG)又はグルタメート-尿素-リジン(GUL)認識要素を含有する一部の化合物は、PSMAに対する高い親和性を示すことが示された。
【0008】
WO 2015/055318において、改善された腫瘍標的化特性及び薬物動態を有する新たな画像化剤が記載された。これらの化合物は、がん性細胞の細胞膜に特異的に結合するモチーフを含み、前記モチーフは、上に記述されているグルタメート-尿素-リジンモチーフである前立腺特異的膜抗原(PSMA)を含む。WO 2015/055318に記載されている好ましい分子は、キレート剤としてDOTAのカルボン酸基にアミド結合を介して結合するリンカーをさらに含む。これらの化合物の一部は、前立腺腫瘍の特異的標的化のための有望な薬剤であると示されている。化合物は、177Lu(治療目的で)又は68Ga(診断目的で)で標識化され、放射線治療目的で前立腺がんの可視化及び標的化を可能にする。
【0009】
しかしながら、PSMA発現がん、特に前立腺がんの検出、処置及び管理のため、PSMAと相互作用し、適切な放射性核種、例えば177Lu又は68Gaを担持する代替の又は改善されたリガンドの必要が依然としてある。
【0010】
さらに、WO 2015/055318に記載されている化合物のいずれも、64Cu及び67Cuを有する安定な錯体を形成することが記載されていないことが留意されるべきである。しかしながら、64Cu/67Cuという対は好ましい特性を有し、64Cuは理想的にも、長期のPET画像化に適当であり、それは67Cu標識化放射線治療薬の線量測定を決定することを可能にする。治療用核種67Cuは、GMP(優良医薬品製造基準)製品に生成され、それに適当であるサイクロトロンである。その半減期は、反復投薬の最適化、数日のみの入院、及び廃棄物管理のコストの低減を可能にする。その特徴(t1/2=12.7h、β+ 17.4%、Emax=0.656MeV、β- 39%、Emax=0.573MeV)により、64Cuは、68Ga(t1/2=67.71分、88.9% β+)との比較において高い分量で利用可能である(Wadas TJ、Wong EH、Weisman GR、Anderson CJ. Copper chelation chemistry and its role in copper radiopharmaceuticals. Curr Pharm Des. 2007;13:3~16)。68Ga(67.71分)と対照的に、64Cu(12.7h)の適切な半減期は、後の時点での、画像化及びその後の増加された腫瘍描写に好都合である(Lewis MR、Wang M、Axworthy DBら、In vivo evaluation of pretargeted 64Cu for tumor imaging and therapy. J Nucl Med. 2003;44:1284~1292. 21. De Silva RA、Jain S、Lears KAら、Copper-64 radiolabeling and biological evaluation of bifunctional chelators for radiopharmaceutical development. Nucl Med Biol. 2012;39:1099~1104)。この放射性同位体のさらに主要な利点は、それが診断薬のため並びに治療のために使用することができることである。したがって、銅放射性核種で標識化されたPSMAリガンドの必要がある。
【0011】
さらに、骨転移性前立腺がんにおいて、生存利益は、骨シーカー223RaCl2を用いるアルファ-放射線治療後に観察されたが、これは、そのベータ放出類似体89SrCl2について実証することができなかったことが留意されるべきである(Rubini G、Nicoletti A、Rubini D、Asabella AN. Radiometabolic treatment of bone-metastasizing cancer: from 186Re to 223Ra. Cancer Biother Radiopharm. 2014; 29:1~11)。アルファ-放出213Bi-DOTATOCはベータ-放出90Y/177Lu-DOTATOCに対する耐性を克服することができることが、神経内分泌腫瘍を有する患者についてすでに実証されている[Kratochwil C、Giesel FL、Bruchertseifer Fら、213Bi-DOTATOC receptor-targeted alpha-radionuclide therapy induces remission in neuroendocrine tumors refractory to beta radiation: a first-in-human experience. Eur J Nucl Med Mol Imaging. 2014年11月; 41(11):2106~19]。引き続いて、アルファ-エミッターベースの放射性核種治療における利益が増加する。研究調査目的について興味深いにもかかわらず、213Bi(t1/2=0.8h)、212Bi(t1/2=1.0h)、149Tb(t1/2=4.1h)及び211At(t1/2=7.2h)の短い物理的半減期は、可能な臨床的適用に困難である。他方では、全長抗体の緩徐な薬物動態に対処するのが必要であり得る長い半減期アルファ-エミッター、例えば227Th(t1/2=18.7d)は、環境に蓄積し、例えば疫学的に重要な腫瘍の処置のために大規模で適用される場合、廃棄処理に関する問題を引き起こすことがある。強烈な放射線及びかなり短い飛程は、アルファエミッターの主な特性である。しかしながら、臨床的ルーチンに適当な適切な半減期を有するアルファエミッター、例えば212Pbは、わずかしかない。
【0012】
したがって、アルファ-放出放射性核種を有する適当な錯体を形成するPSMAリガンドの必要が依然としてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】WO 2013/022797
【文献】WO 2015/055318
【非特許文献】
【0014】
【文献】Scher, B.ら、Eur J Nucl Med Mol Imaging 2007、34、45~53
【文献】Rinnab, Lら、BJU Int 2007、100、786,793
【文献】Reske, S.N.ら、J Nucl Med 2006、47、1249~1254
【文献】Zophel, K.、Kotzerke、J. Eur J Nucl Med Mol Imaging 2004、31、756~759
【文献】Vees, H.ら、BJU Int 2007、99、1415~1420
【文献】Larson, S. M.ら、J Nucl Med 2004、45、366~373
【文献】Schuster, D.M.ら、J Nucl Med 2007、48、56~63
【文献】Tehrani, O.S.ら、J Nucl Med 2007、48、1436~1441
【文献】Mease R.C.ら、Clin Cancer Res. 2008、14、3036~3043
【文献】Foss, C.A.ら、Clin Cancer Res 2005、11、4022~4028
【文献】Pomper, M.G.ら、Mol Imaging 2002、1、96~101
【文献】Zhou, J.ら、Nat Rev Drug Discov 2005、4、015~1026
【文献】Schulke, N.ら、Proc Natl Acad Sci U S A 2003、100、12590~12595
【文献】Nan, F.ら、J Med Chem 2000、43、772~774
【文献】Tasch, J.ら、Crit Rev Immunol 2001、21、249~261
【文献】Lange, P.H. PROSTASCINT scan for staging prostate cancer。Urology 2001、57、402~406
【文献】Haseman, M.K.ら、Cancer Biother Radiopharm 2000、15、131~140
【文献】Rosenthal, S.A.ら、Tech Urol 2001、7、27~37
【文献】Wadas TJ、Wong EH、Weisman GR、Anderson CJ. Copper chelation chemistry and its role in copper radiopharmaceuticals. Curr Pharm Des. 2007;13:3~16
【文献】Lewis MR、Wang M、Axworthy DBら、In vivo evaluation of pretargeted 64Cu for tumor imaging and therapy. J Nucl Med. 2003;44:1284~1292. 21.De Silva RA、Jain S、Lears KAら、Copper-64 radiolabeling and biological evaluation of bifunctional chelators for radiopharmaceutical development. Nucl Med Biol. 2012;39:1099~1104
【文献】Rubini G、Nicoletti A、Rubini D、Asabella AN. Radiometabolic treatment of bone-metastasizing cancer: from 186Re to 223Ra. Cancer Biother Radiopharm. 2014; 29:1~11
【文献】Kratochwil C、Giesel FL、Bruchertseifer Fら、213Bi-DOTATOC receptor-targeted alpha-radionuclide therapy induces remission in neuroendocrine tumors refractory to beta radiation: a first-in-human experience. Eur J Nucl Med Mol Imaging. 2014年11月; 41(11):2106~19
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明の全体的な目的は、PSMAと相互作用し、PSMA発現がん、特に前立腺がんの検出、処置及び管理のための有利な選択肢を提供する適切な放射性核種を担持する、改善されたリガンドを開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的の解決策は、特許請求の範囲において特徴付けされている実施形態を提供することによって達成される。本発明者らは、有用及び有利な放射性医薬品であり、トレーサー、画像化剤として核医学において、及びPSMA発現がん、特に前立腺がんの様々な疾患状態の処置のために使用することができる新たな化合物を見出した。これらの化合物は、下記により詳細に記載されている。
【0017】
特に、本発明は、式(1)
【化1】
[式中、Y
3はO又はSであり、s、t、u及びwは互いに独立して、0又は1であり、iは1~3の整数であり、jは3~5の整数であり、Z
1、Z
2及びZ
3は互いに独立して、-CO
2H、-SO
2H、-SO
3H、-OSO
3H及び-OPO
3H
2からなる群から選択され、R
1は-CH
3又はH、好ましくはHであり、Xは、場合により置換されているアルキルアリール、アリール、アルキルヘテロアリール及びヘテロアリールからなる群から選択され、Y
1及びY
2は互いに独立して、場合により置換されているアリール、アルキルアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール及びアルキルヘテロアリールからなる群から選択され、Aは、(Ia)、(Ib)及び(Ic)
【化2】
(式中、R
2、R
3、R
4及びR
5は互いに独立して、H、-CH
2-COOH及び-CH
2-C(=O)-NH
2からなる群から選択されるか、又はR
2及びR
4は-(CH
2)
n-架橋を形成し、nは1~3の整数であり、nは好ましくは2であり、r、v及びqは互いに独立して、0又は1であり、
但し、u及びwが0である場合、q及びvは0である)
からなる群から選択される構造を有するキレート剤残基であり、
(A)u及びwは1であるか、又は
(B)uは0であり、wは1であり、Aは(Ia)若しくは(Ib)から選択されるか、又は
(C)Aは
【化3】
ではない]
の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物に関する。
【0018】
さらに、本発明は、
(a)放射性核種、及び
(b)上若しくは下に記載されている通りの化合物、又はその塩、溶媒和物、代謝物若しくはプロドラッグ
を含む錯体に関する。
【0019】
さらに、本発明は、上若しくは下に記載されている通りの化合物又は上若しくは下に記載されている通りの錯体を含む医薬組成物に関する。さらに、本発明は、PSMA発現がん及び/又はその転移、殊に前立腺がん及び/又はその転移を処置、寛解又は防止することにおける使用のための、上若しくは下に記載されている通りの化合物、又は上若しくは下に記載されている通りの錯体、又は上若しくは下に記載されている通りの医薬組成物に関する。さらに、本発明は、診断薬における使用のための、上若しくは下に記載されている通りの化合物、又は上若しくは下に記載されている通りの錯体、又は上若しくは下に記載されている通りの医薬組成物に関する。加えて、本発明は、がんの、特にPSMA発現腫瘍及び/又はその転移の診断における使用のための、上若しくは下に記載されている通りの化合物、又は上若しくは下に記載されている通りの錯体、又は上若しくは下に記載されている通りの医薬組成物に関する。
【0020】
「PSMA発現がん及び/又はその転移」という用語は、本発明の意味内で使用される場合、がん性細胞が前立腺特異的膜抗原(PSMA)及びそのそれぞれの転移を発現する任意のがんに関する。好ましくは、本発明に従って処置することができるがん(又はがん細胞)は、前立腺がん、従来の腎細胞がん、膀胱の移行性細胞のがん、精巣胚性がん、神経内分泌がん、結腸がん、脳腫瘍及び乳がんの中から選択される。本発明の特に好ましい態様において、前記PSMA発現がんは、前立腺がん又は乳がん、特に前立腺がんである。
【0021】
上に記載されている通り、本発明の化合物又は錯体に含まれる化合物は、以下の構造:
【化4】
を有する。
【0022】
化合物又は錯体に含まれる化合物は、式(1)の化合物のアニオン又は塩の形態であってよいと理解されるべきである。
【0023】
本発明は、したがって、一般式(1)の化合物又は錯体に含まれる化合物の塩、特に薬学的に許容される塩にも関する。本発明は、塩及びその活性代謝物を含むこれらの化合物の溶媒和物、及び適切な場合、プロドラッグ製剤を含むその互変異性体にも関する。
【0024】
「薬学的に許容される塩」は、本発明の化合物の薬学的に許容される有機若しくは無機酸又は塩基の塩である。代表的な薬学的に許容される塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、水溶性及び水不溶性の塩、例えば酢酸塩、炭酸塩、塩化物、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩又は酒石酸塩が挙げられる。
【0025】
「プロドラッグ」という用語は、患者への投与で、活性薬理学的薬剤になる前に代謝プロセスによる化学変換を受けるにちがいない化合物である薬物の前駆体を指す。式(1)に従った化合物の例示的なプロドラッグは、エステル及びアミド、好ましくは脂肪酸エステルのアルキルエステルである。プロドラッグ製剤は、ここで、加水分解、酸化又は還元を含む単純な転換によって、酵素的に、代謝的に又は任意の他の方法でのいずれかで、形成される全ての物質を含む。適当なプロドラッグは、例えば、酵素的に切断可能なリンカー(例えば、カルバメート、ホスフェート、N-グリコシド又はジスルフィド基)を介して溶解改善物質(例えば、テトラエチレングリコール、糖類、ギ酸又はグルクロン酸など)に結合される一般式(1)の物質を含有する。本発明による化合物のこうしたプロドラッグは患者に適用することができ、このプロドラッグは、一般式(1)の物質に転換されて所望の薬理効果を得ることができる。
【0026】
式(1)の一部の化合物は、全ての可能なそれらの混合物を含む立体異性混合物、例えばラセミ混合物及び/若しくはシス/トランス異性体の混合物の形態で、又は単一エナンチオマー、ジアステレオマー及び/若しくは特定のシス/トランス異性体として包含され得る。
【0027】
本発明によると、全てのキラルC原子は、D及び/又はL配置を有するものとし、その上、1種の化合物内の組合せが可能であるものとし、即ち、キラルC原子の一部はD配置であってよく、他はL配置であってよい。最も好ましくは、化合物中に存在するアミノ酸残基は、L配置を有する。
【0028】
得られた化合物は、場合により、それらのエナンチオマー及び/又はジアステレオマーにおける公知の方法(例えば、「Topics in Stereochemistry」6巻、Wiley Interscience、1971においてAllinger, N.L.及びElliel E.L.)によって分離することができる。エナンチオマー分離の1つの可能な方法は、クロマトグラフィーの使用である。
【0029】
尿素骨格:
化合物(1)は、尿素構成単位(1A)を含む。化合物(1)のこの尿素構成単位(1A)
【化5】
において、Z
1、Z
2及びZ
3は互いに独立して、CO
2H、-SO
2H、-SO
3H、-OSO
3H及び-OPO
3H
2からなる群から選択され、より好ましくはZ
1、Z
2及びZ
3の少なくとも1つ、より好ましくはそれらの全ては-CO
2Hである。
【0030】
構成単位(1A)は、任意の立体異性体形態で存在することができると理解されるべきであるが、好ましくは、(1A)は、構造(1Aa):
【化6】
を有する。
【0031】
したがって、好ましくは、本発明の化合物及び本発明の錯体に含まれる化合物は、構造
【化7】
を有する。
【0032】
整数i及び整数jは、上に記載されている通りである。
【0033】
好ましくは、iは2である。したがって、本発明は、iが2である式(1)、好ましくは(1a)の化合物、及び本発明の錯体に含まれる化合物にも関する。
【0034】
好ましくは、jは4である。したがって、本発明は、jが4である式(1)、好ましくは(1a)の化合物、及び本発明の錯体に含まれる化合物にも関する。
【0035】
R1は、好ましくはHである。
【0036】
尿素構成単位(1Aa)は、したがって最も好ましくは、構造(1Aa_1)
【化8】
を有する。
【0037】
残基X及び構成単位(1B):
sが1である場合、式(1)の化合物は、構成単位(1B)
【化9】
を含む。
【0038】
上に記載されている通り、この構成単位において、Xは、好ましくはナフチル、フェニル、ビフェニル、インドリル及びベンゾチアゾリルからなる群から選択される残基を含む。好ましくは、Xは、ナフチル基、アルキル-ナフチル基、フェニル基、ベンジル基、ビフェニル基、アルキル-ビフェニル基、インドリル基、アルキル-インドリル基、ベンゾチアゾリル基又はアルキル-ベンゾチアゾリル基である。
【0039】
本発明の意味内で、ナフチル、フェニル、ビフェニル、インドリル及びベンゾチアゾリルという用語は、1個以上の適当な置換基によってさらに置換されている基を包含する。「置換されている」という用語は、本発明のこの文脈において使用される場合、1個以上の置換基によって、好ましくは1個、2個、3個、4個、5個又は6個の置換基によって、より好ましくは1個、2個又は3個の置換基によって、任意の位置で置換されている基を好ましくは指す。2個以上の置換基が存在する場合、各置換基は、同じであってもよく、少なくとも1個の他の置換基と異なっていてもよい。好ましくは、基は非置換である。
【0040】
本発明の意味内で、「アルキル」という用語は、非分岐アルキル残基及び分岐アルキル残基に関する。用語は、1個以上の適当な置換基によってさらに置換されているアルキル基も包含する。「置換アルキル」という用語は、本発明のこの文脈において使用される場合、1個以上の置換基によって、好ましくは1個、2個、3個、4個、5個又は6個の置換基によって、より好ましくは1個、2個又は3個の置換基によって、任意の位置で置換されているアルキル基を好ましくは指す。
【0041】
より好ましくは、残基Xは、
【化10】
からなる群から選択され、ここで、これらの基は適当には置換されていてよい。好ましくは、これらの基は置換されていない。最も好ましくは、Xは、存在する場合、
【化11】
である。
【0042】
構成単位(1B)は、存在する場合、したがって好ましくは、以下の構造:
【化12】
を有する。
【0043】
Y
1基及び構成単位(1C):
tが1である場合、式(1)の化合物は、構成単位(1C)
【化13】
を含む。
【0044】
記載されている通り、Y1は、アリール、アルキルアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール及びアルキルヘテロアリールからなる群から選択される。
【0045】
「アリール」という用語は、本発明の文脈において使用される場合、場合により置換されているアリール基、即ち特に、場合により置換されている5及び6員の芳香族環、並びに置換又は非置換の多環式芳香族基(アリール基)、例えば、三環式又は二環式のアリール基を意味する。場合により置換されているフェニル基又はナフチル基が、例として挙げることができる。多環式芳香族基は、非芳香族環を含有することもできる。
【0046】
「ヘテロアリール」という用語は、本発明の文脈において使用される場合、環系に1個以上の、例えば1~4個の、例えば1個、2個、3個又は4個のヘテロ原子を含有する、場合により置換されているヘテロアリール基、即ち特に、場合により置換されている5及び6員の芳香族環、並びに置換又は非置換の多環式芳香族基、例えば三環式又は二環式のアリール基を意味する。1個超のヘテロ原子が環系に存在する場合、存在する少なくとも2個のヘテロ原子は、同一又は異なっていてよい。適当なヘテロアリール基は、当業者に知られている。以下の場合により置換されているヘテロアリール残基が、非限定的な例として挙げることができる:ベンゾジオキソリル、ピロリル、フラニル、チオフェニル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチオフェニル、メチレンジオキシフェニリル、ナフチリジニル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンゾフラニル、プリニル、ベンゾフラニル、デアザプリニル、ピリダジニル及びインドリジニル。
【0047】
「アルキルアリール」又は「アルキルヘテロアリール」という用語は、本発明の意味内で使用される場合、アリール基又はヘテロアリールが構成単位のそれぞれの残りにアルキル基を介して連結されている基を指す。例えばC骨格に対するXの場合、したがって、この場合の「アルキルアリール」は-アルキル-アリール基を指し、「アルキルヘテロアリール」は-アルキル-ヘテロアルキル基を指す。Y1の場合、アリール基又はヘテロアリールは、カルボニル基にアルキル基を介して連結されており、即ちしたがって、この場合の「アルキルアリール」は-アルキル-アリール-基を、「アルキルヘテロアリール」は-アルキル-ヘテロアルキル-基を指す。Y2の場合、アリール基又はヘテロアリールは、NH基にアルキル基を介して連結されており、即ち、したがって、この場合の「アルキルアリール」は-アルキル-アリール-基を、「アルキルヘテロアリール」は-アルキル-ヘテロアルキル-基を指す。
【0048】
「シクロアルキル」という用語は、本発明の文脈において、場合により置換されている環式アルキル残基を意味し、ここで、それらは単環式基又は多環式基であってよい。場合により置換されているシクロヘキシルが、シクロアルキル残基の好ましい例として挙げることができる。
【0049】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、本発明の文脈において使用される場合、環において少なくとも1個のヘテロ原子、例えばO、N又はSを有する場合により置換されている環式アルキル残基を意味し、ここで、それらは単環式基又は多環式基であってよい。
【0050】
「置換シクロアルキル残基」又は「シクロヘテロアルキル」という用語は、本発明の文脈において使用される場合、少なくとも1つのHが適当な置換基と置き換えられているシクロアルキル残基又はシクロヘテロアルキル残基を意味する。
【0051】
好ましくは、Y
1は、シクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基、より好ましくはシクロアルキル基、より好ましくは
【化14】
である。
【0052】
構成単位(1C)は、存在する場合、したがって好ましくは、以下の構造
【化15】
を有する。
【0053】
この構造は、任意の可能な立体異性体、例えばシス/トランス異性体を含むと理解されるべきである。好ましくは、基
【化16】
は、トランス異性体として存在する。構成単位(1C)は、存在する場合、したがって好ましくは、以下の構造
【化17】
を有する。
【0054】
Y3基
上に記載されている通り、Y3は、好ましくはO又はSである。
【0055】
放射性核種(radionucleotide)
本発明の化合物が放射性画像化剤又は放射性医薬品として使用されることになるかどうかに依存して、異なる放射性核種は、キレート剤と錯体化される。
【0056】
例示的な放射性核種としては、例えば、89Zr、44Sc、111In、90Y、66Ga、67Ga、68Ga、177Lu、99mTc、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、66Cu、67Cu、149Tb、152Tb、153Sm、155Tb、161Tb、153Gd、155Gd、157Gd、213Bi、225Ac、230U、223Ra、165Er、Feの放射性核種(例えば52Fe及び59Fe)及びPbの放射性核種(例えば203Pb及び212Pb、211Pb、213Pb、214Pb、209Pb、198Pb、197Pb)が挙げられる。
【0057】
好ましくは、放射性核種は、111In、90Y、68Ga、177Lu、153Gd、155Gd、213Bi、225Ac、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、66Cu、67Cu、Feの放射性核種(例えば52Fe及び59Fe)及びPbの放射性核種(例えば203Pb及び212Pb、211Pb、213Pb、214Pb、209Pb、198Pb、197Pb)からなる群から選択される。
【0058】
Pbの放射性核種は、より好ましくは203Pb及び212Pbである。
【0059】
Cuの放射性核種は、より好ましくは64Cu及び67Cuである。
【0060】
本発明による化合物の錯体は、1種以上の放射性核種、好ましくは1種の放射性核種を含有することができる。これらの放射性核種は、好ましくは、放射性画像化剤としての又は増殖細胞、例えば、PSMA発現がん細胞、特にPSMA発現前立腺がん細胞の処置のための治療薬としての使用に適当である。本発明によると、それらは、「金属錯体」又は「放射性医薬品」と呼ばれる。
【0061】
好ましい画像化方法は、ポジトロン放出断層撮影法(PET)又は単一光子放射型コンピューター断層撮影法(SPECT)である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1-1】表1A:好ましい化合物についての概要を示す図である。それぞれの示された構造中の立体中心が特定されていなければ、これは、全てのそれぞれの立体異性体が単離形態で、同様にそれぞれの立体異性体の混合物の形態で包含されることを意味すると理解されるべきである。表1B:非常に好ましい化合物についての概要を示す図である。
【
図1-2】表1A:好ましい化合物についての概要を示す図である。それぞれの示された構造中の立体中心が特定されていなければ、これは、全てのそれぞれの立体異性体が単離形態で、同様にそれぞれの立体異性体の混合物の形態で包含されることを意味すると理解されるべきである。表1B:非常に好ましい化合物についての概要を示す図である。
【
図1-3】表1A:好ましい化合物についての概要を示す図である。それぞれの示された構造中の立体中心が特定されていなければ、これは、全てのそれぞれの立体異性体が単離形態で、同様にそれぞれの立体異性体の混合物の形態で包含されることを意味すると理解されるべきである。表1B:非常に好ましい化合物についての概要を示す図である。
【
図1-4】表1A:好ましい化合物についての概要を示す図である。それぞれの示された構造中の立体中心が特定されていなければ、これは、全てのそれぞれの立体異性体が単離形態で、同様にそれぞれの立体異性体の混合物の形態で包含されることを意味すると理解されるべきである。表1B:非常に好ましい化合物についての概要を示す図である。
【
図1-5】表1A:好ましい化合物についての概要を示す図である。それぞれの示された構造中の立体中心が特定されていなければ、これは、全てのそれぞれの立体異性体が単離形態で、同様にそれぞれの立体異性体の混合物の形態で包含されることを意味すると理解されるべきである。表1B:非常に好ましい化合物についての概要を示す図である。
【
図1-6】表1A:好ましい化合物についての概要を示す図である。それぞれの示された構造中の立体中心が特定されていなければ、これは、全てのそれぞれの立体異性体が単離形態で、同様にそれぞれの立体異性体の混合物の形態で包含されることを意味すると理解されるべきである。表1B:非常に好ましい化合物についての概要を示す図である。
【
図1-7】表1A:好ましい化合物についての概要を示す図である。それぞれの示された構造中の立体中心が特定されていなければ、これは、全てのそれぞれの立体異性体が単離形態で、同様にそれぞれの立体異性体の混合物の形態で包含されることを意味すると理解されるべきである。表1B:非常に好ましい化合物についての概要を示す図である。
【
図1-8】表1A:好ましい化合物についての概要を示す図である。それぞれの示された構造中の立体中心が特定されていなければ、これは、全てのそれぞれの立体異性体が単離形態で、同様にそれぞれの立体異性体の混合物の形態で包含されることを意味すると理解されるべきである。表1B:非常に好ましい化合物についての概要を示す図である。
【
図1-9】表1A:好ましい化合物についての概要を示す図である。それぞれの示された構造中の立体中心が特定されていなければ、これは、全てのそれぞれの立体異性体が単離形態で、同様にそれぞれの立体異性体の混合物の形態で包含されることを意味すると理解されるべきである。表1B:非常に好ましい化合物についての概要を示す図である。
【
図1-10】表1A:好ましい化合物についての概要を示す図である。それぞれの示された構造中の立体中心が特定されていなければ、これは、全てのそれぞれの立体異性体が単離形態で、同様にそれぞれの立体異性体の混合物の形態で包含されることを意味すると理解されるべきである。表1B:非常に好ましい化合物についての概要を示す図である。
【
図1-11】表1A:好ましい化合物についての概要を示す図である。それぞれの示された構造中の立体中心が特定されていなければ、これは、全てのそれぞれの立体異性体が単離形態で、同様にそれぞれの立体異性体の混合物の形態で包含されることを意味すると理解されるべきである。表1B:非常に好ましい化合物についての概要を示す図である。
【
図1-12】表1A:好ましい化合物についての概要を示す図である。それぞれの示された構造中の立体中心が特定されていなければ、これは、全てのそれぞれの立体異性体が単離形態で、同様にそれぞれの立体異性体の混合物の形態で包含されることを意味すると理解されるべきである。表1B:非常に好ましい化合物についての概要を示す図である。
【
図1-13】表1A:好ましい化合物についての概要を示す図である。それぞれの示された構造中の立体中心が特定されていなければ、これは、全てのそれぞれの立体異性体が単離形態で、同様にそれぞれの立体異性体の混合物の形態で包含されることを意味すると理解されるべきである。表1B:非常に好ましい化合物についての概要を示す図である。
【
図1-14】表1A:好ましい化合物についての概要を示す図である。それぞれの示された構造中の立体中心が特定されていなければ、これは、全てのそれぞれの立体異性体が単離形態で、同様にそれぞれの立体異性体の混合物の形態で包含されることを意味すると理解されるべきである。表1B:非常に好ましい化合物についての概要を示す図である。
【
図2】PSMA-キレート剤コンジュゲートの合成のための反応スキーム(a)トリホスゲン、DIPEA、CH
2Cl
2、0℃、(b) H-Lys(Alloc)-2CT-樹脂、CH
2Cl
2、(c) Pd[P(C
6H
5)
3]
4、モルホリン、CH
2Cl
2、(d) Fmoc-2-Nal-OH、HBTU、DIPEA、DMF、(e) 20%ピペリジン、DMF、(f) trans-4-(Fmoc-アミノメチル)-シクロヘキサンカルボン酸、HBTU、DIPEA、DMF、(g) 20%ピペリジン、DMF、(h)キレート剤、HBTU(必要ならば)、DIPEA、DMF、(i) 95%TFA、2.5%H
2O、2.5%TIPSを示す図である。
【
図3】表で特定されている核種で標識化された新規PSMAリガンドのPSMA阻害効力及び特定の内部移行値を示す図である。競合的な細胞結合は、PSMA陽性C4-2細胞株を使用して行った。新たなリガンドは、低いナノモル範囲におけるK
iで良好な阻害効力、及びPSMA-617よりも部分的に高い内部移行値(特定のライセート)を示した。
【
図4A】A.
64Cu-PSMA-617、
64Cu-CA003及び
64Cu-CA023の体内分布を示すC4-2腫瘍保有マウスのPET走査及び時間-活性曲線を示す図である。
64Cu-PSMA-617は、腫瘍及び腎臓においてだけでなく肝臓においても高い蓄積を示す。A.異なる時点(0~20分、40~60分、2h、48h)で
64Cu-PSMA-617、
64Cu-CA003及び
64Cu-CA023の体内分布の可視化を示す図である。
【
図4B】B.
64Cu-PSMA-617及び
64Cu-CA003の体内分布を示すC4-2腫瘍保有マウスの動的PET走査(0~60分)の時間-活性曲線を示す図である。腫瘍及び肝臓についての標準取り込み値(SUV)は、
64Cu-CA003に反して、腫瘍よりも肝臓において
64Cu-PSMA-617の高い取り込みを示す。
【
図5】異なる時点(0~48h)でC4-2腫瘍保有マウスのPET画像における
64Cu-PSMA-617、
64Cu-CA003及び
64Cu-CA023の最大標準取り込み値(mSUV)を示す図である。
64Cu-CA003は、腫瘍及び腎臓における高い蓄積を示し、
64Cu-CA023は、腫瘍における高い蓄積及び腎臓からの速いクリアランスを示す。
【
図6A】C4-2腫瘍保有マウスにおける目的の解剖臓器における
64Cu-CA003の蓄積により、腫瘍特異性及び腎臓からの速いクリアランスが確認されることを示す図である。
【
図6B】C4-2腫瘍保有マウスにおける目的の解剖臓器における
64Cu-CA023の蓄積により、腫瘍特異性及び腎臓からの速いクリアランスが確認されることを示す図である。
【
図6C】注射後10分、1h、4h、24h及び72hの時点での0.025nmolの
64Cu-CA003の臓器分布を示す図である。値は、組織±標準偏差の% ID/gとして表されている。全ての組織についてn=3。
【
図6D】遮断実験(B)において、放射性トレーサー
64Cu-CA003(0.030nmol)が、体重1キログラム当たり2mgのPSMA-617として同時に注射されたことを示す図である。値は、組織±標準偏差の% ID/gとして表されている。全ての組織についてn=3。
【
図7】注射後2h(A)及び20h(B)での患者の
64Cu-CA003(200MBq、0.5nmol) PET/CT最大強度投射を示す図である。赤色矢印は、経時的に対照的に増加された肩甲骨起源、肺、骨及びリンパ節転移からの選択された右肩軟組織浸潤を指し示している。肝胆道クリアランスは、腸の内側にホット-スポットを引き起こし、断面薄片(C)は、偽陽性読み取りを回避するために必須である。
【
図8】BALB/c nu/nu C4-2腫瘍保有マウスにおける、A)尾静脈注射後1h及び(B)
203Pb-CA012の分布の時間経過での異なる
203Pb標識化化合物の平面シンチグラフィー画像化を示す図である。CA009及びCA012の放射標識化誘導体は、腫瘍組織におけるトレーサーの高い取り込みを示している。
203Pb-CA012について決定された取り込みの動態は、腫瘍組織における放射性トレーサーの長い保持を明らかにしている。
203Pb-CA012の取り込みの選択性は、
203Pb-CA009と比較した場合に増強されている。これは、非標的臓器の急速なクリアランスの結果である。
【
図9】腫瘍保有マウスにおける
203Pb-PSMA-CA012、0.025nmolの
203Pb-PSMA-CA012の臓器分布を示す図である。この定量化により、画像化実験の結果が確認される。腎臓に対する腫瘍の取り込みの高い比は、腎臓について観察された高い排泄値により達成される。
【
図10】
177Lu-PSMA-617を用いる処置走査(B)との比較における、時間の経過による
203Pb-CA012平面走査(A)の相乗平均画像を示す図である。両方とも中エネルギーコリメータで獲得された。
【
図11】OLINDA(ULI=上部大腸、LLI=下部小腸)における男性成人ファントムに基づく、診断用
203Pb-CA012(左カラム)及び治療的
212Pb-CA012(右カラム)の安全性線量測定推定値を示す図である。
【
図12】
213Bi-PSMA-617及び
225Ac-PSMA-617との比較における、唾液腺、無作為に選択された腫瘍病変(球体モデル)及びおそらく用量制限する臓器についての
212Pb-CA012(「TCMC」-PSMA-617)の線量測定を示す図である。
【
図13A】注射後1h及び3hでの、多発性リンパ節前立腺がん転移を有する患者の
68Ga-PSMA-CA028PET走査の最大強度投射を示す図である。断面薄片は、腋窩及び門部の(C)、その上、参照標準として働く相関CT上で描写可能な、リンパ節転移(赤色矢印によって示されている)を実証している。
【
図13B】295MBq/20nmolの
68Ga-CA030の注射1h後(A)及び3h後(B)に行われたPSMA-PETの最大強度投射を示す図である。矢印は、中軸骨格の複数の領域における骨転移を実証する断面薄片の位置を指し示している(C~E)。CT(F)において、典型的な骨芽細胞反応は、形態学的情報単独による腫瘍描写を可能にしなかった。
【
図14】注射後1h、2h及び4hでの、
68Ga-PSMA-CA028の組織±SDの% ID/g(n=3)として表される臓器分布を示す図である。
【
図15】C4-2腫瘍異種移植片を保有するBALB/c nu/nuマウスにおける、注射後の2h(A)及び
68Ga-CA028の時間経過(B)及び
68Ga-CA030の時間経過(C)での、選択された
68Ga-PSMAリガンドの全身小動物PET画像化の比較を示す図である。
【
図16】放射性ITLCによって決定された場合の、37℃で72hにわたった(平均±SD、n=3)、
177Lu-PSMA-617との比較における
177Lu-CA028、
177Lu-CA029、
177Lu-CA030の血清安定性を示す図である。
【
図17】放射性ITLCによって決定される場合の、37℃で72hにわたった(平均±SD、n=4)、
64Cu-CA003、
64Cu-CA005及び
64Cu-PSMA-617の血清安定性を示す図である。
【
図18】活性測定によって決定される場合の、37℃で72hにわたった(平均±SD、n=4)、
64Cu-CA003、
64Cu-CA005及び
64Cu-PSMA-617の血清安定性を示す図である。
【
図19】10分p.i.での、BALB/cヌードマウス(腫瘍なし)における
64Cu-CA003のインビボ代謝物分析を示す図である。腎臓、血液及び肝臓からの抽出物の放射性HPLCクロマトグラムは、活性がインタクトなトレーサーの保持時間において溶出することを示す。これは、主な分布期間内での銅錯体の統合性を証明する。
【
図20】10分p.i.での、BALB/cヌードマウス(腫瘍なし)における肝臓中の
64Cu-塩化物との比較における、肝臓中の
64Cu-CA003の抽出物の放射性HPLCクロマトグラムを示す図である。
【
図21A】C4-2腫瘍異種移植片を保有するBALB/c nu/nuマウスの最大強度投射としての全身小動物PET走査を示す図である。
64Cu-PSMA-617(10MBq、0.2nmol)、
64Cu-PSMA-CA003(10MBq、0.2nmol)のPET画像化。
【
図21B】過剰量の非標識化PSMA-617(体重1キログラム当たり2mg)及び
64Cu-塩化物(10MBq)で共注射された
64Cu-PSMA-CA003(5MBq、0.030nmol)を示す図である。カラーバーは、SUVとPET画像のカラースケールとの間の連結を示し、0=最小及び4=最大である。
【
図22】C4-2腫瘍異種移植片を保有するBALB/c nu/nuマウスの最大強度投射としての全身小動物PET走査の比較を示す図である。注射後2h(A)、
68Ga-CA028の時間経過(B)及び
68Ga-CA030の時間経過(C)での、
68Ga(20MBq、0.2nmol)で放射標識化された4つの新たなPSMAリガンドのPET画像化。カラーバーは、SUVとPET画像のカラースケールとの間の連結を示し、0=最小及び4E0=最大である。
【
図23】双指数関数的曲線フィットを含む、
68Ga PSMA-CA027(0.6nmol、5MBq)及び
68Ga PSMA-CA028(0.6nmol、6MBq)についての血液時間-活性曲線を示す図である。
【
図24】1h p.i.での、BALB/cヌードマウス(腫瘍)における
177Lu-PSMA-617(10MBq、およそ100μlの0.9%生理食塩水中0.2nmol)との比較における
177Lu-CA028のインビボ代謝物分析を示す図である。腎臓、血液、肝臓及び腫瘍からの抽出物の放射性HPLCクロマトグラムは、活性がインタクトなトレーサーの保持時間において溶出することを示す。これは、主な分布期間内での錯体の統合性を証明する。
【
図25】注射後20分、1h、2h及び4hでの、組織±SDの% ID/g(n=3)として表された0.05nmolの
68Ga-CA028の臓器分布を示す図である。
【
図26-1】
64Cuで標識化された新規化合物の放射性HPLCクロマトグラムを示す図である。
【
図26-2】
64Cuで標識化された新規化合物の放射性HPLCクロマトグラムを示す図である。
【
図27】
68Gaで標識化された新規PSMAリガンドの時間-活性曲線を示す図である。注射後最大1hの、(A)腎臓についての時間活性曲線及び(B)腫瘍についての時間活性曲線。データは、平均標準化された取り込み値(SUV平均)である。
【
図28】(A)雌性Swissマウスにおける注射の10分後の、9MBq(0.30nmol)の
64Cu-CA003のPET画像を示す図である。最大強度投射(MIP)は、血液中の循環及び腎取り込みを例示する。(B)注射の10分後の、10MBqの
64Cuの10分p.i.での雌性SwissマウスのPET画像を示す図である。最大強度投射(MIP)は、肝臓及び腎臓における強い取り込みを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0063】
実施形態(A)
本発明の好ましい実施形態によると、u及びwは1である。この実施形態によると、本発明の化合物は、したがって以下の構造
【化18】
を有する。
【0064】
この場合、Y
3は、最も好ましくはSである。したがって、本発明の化合物は、より好ましくは以下の構造
【化19】
を有する。
【0065】
上に記載されている通り、Y
2は、アリール、アルキルアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール及びアルキルヘテロアリールからなる群から選択される。より好ましくは、Y
2はアリール基であり、より好ましくは、Y
2は、場合により置換されているフェニル環を含み、よりさらに好ましくは、Y
2は
【化20】
[式中、R
6、R
7、R
8及びR
9は互いに独立して、H若しくはアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシ、アルカノイルオキシ、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、ヒドロキシル、メルカプト、ニトリル、アミン、又は各場合において、場合により置換されているアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルカノイルオキシ、シクロアルキル、ベンジルオキシ若しくはアリールであり、最も好ましくは、R
6、R
7、R
8及びR
9は互いに独立して、アルキル又はHであり、より好ましくは、R
6、R
7、R
8及びR
9はHである]
である。
【0066】
したがって、本発明の化合物は、好ましくは以下の構造
【化21】
を有する。
【0067】
驚くべきことに、こうした化合物を用いて、PSMAとの相互作用は最適化され得ることが見出された。本発明による化合物を用いて、腫瘍対非標的組織蓄積及び組織の値の改善が達せられ得、非標的組織における分布パターンの改善が得られ得る。
【0068】
さらに、本発明に従って適用されるキレート剤は、実際に知られているトレーサーでPSMA発現腫瘍を標的化するために使用することができない放射性核種の安定なコンジュゲーションを可能にする。
【0069】
上に記載されている通り、一般に、キレート剤は、(Ia)、(Ib)及び(Ic)からなる群から選択される。
【0070】
実施形態Aの場合、上及び下に記載されている整数rは、好ましくは0である。より好ましくは、Aは、
【化22】
からなる群から選択されるキレート剤である。
【0071】
したがって、本発明は、上及び下に記載されている通りの化合物、並びに前記化合物を含む錯体にも関し、化合物は、以下の構造:
【化23】
を有し、より好ましくは、以下の構造:
【化24】
を有し、
式中、Aは、
【化25】
からなる群から選択されるキレート剤である。
【0072】
この実施形態による好ましい化合物は、CA007、CA008*、CA009*、CA029*及びCA030*(表1Aを参照されたい)からなる群から選択される構造を有し、ここで、化合物CA007、CA008*及びCA009*がよりさらに好ましい。表1Aにおけるそれぞれの示された構造中の立体中心が特定されていなければ、これは、全てのそれぞれの立体異性体が単離形態で、同様にそれぞれの立体異性体の混合物の形態で包含されることを意味すると理解されるべきである。したがって、化合物CA008*、CA009*、CA029*及びCA030*は、単一の立体異性体として又は立体異性体の混合物として存在することができる。より好ましくは、この実施形態によると、化合物は、CA007、CA008、CA009、CA029及びCA030(表1Bを参照されたい)からなる群から選択される構造を有し、ここで、化合物CA007、CA008及びCA009が特に好ましい。
【0073】
驚くべきことに、これらの化合物は、PSMAに対する高い結合親和性を示し、有効に内部移行されることが示された。
【0074】
実施形態(B)
本発明の別の好ましい実施形態によると、uは0であり、wは1である。この実施形態によると、本発明の化合物は、したがって、以下の構造
【化26】
を有する。
【0075】
この実施形態によると、Aは、構造(Ia)又は構造(Ib)
【化27】
を有する。
【0076】
上に記載されている通り、Y
2は、アリール、アルキルアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール及びアルキルヘテロアリールからなる群から選択される。より好ましくは、Y
2は、アリール基又はヘテロアリール基であり、より好ましくは、Y
2は、場合により置換されているフェニル環を含み、よりさらに好ましくは、Y
2は、
【化28】
[式中、R
6、R
7、R
8及びR
9は互いに独立して、H又はアルキル、最も好ましくはHである]。
である。
【0077】
したがって、本発明は、上及び下に記載されている通りの化合物、並びに前記化合物を含む錯体にも関し、化合物は、以下の構造:
【化29】
[式中、Aは構造(Ia)又は構造(Ib)を有する]
を有する。より好ましくは、この場合、Y
3はOである。
【0078】
この文脈における好ましいA基として、以下の基が挙げられる:
【化30】
【0079】
より好ましくは、Aは、
【化31】
からなる群から選択され、最も好ましくは、Aは、
【化32】
である。
【0080】
この実施形態による好ましい化合物は、CA001、CA002*、CA003*、CA005*、CA006*、CA007、CA008*、CA009*、CA023*、CA025*、CA026*、CA027、CA028*及びCA029*(これらの化合物の構造は、表1Aに図示されている)からなる群から選択される構造を有する。
【0081】
より好ましくは、化合物は、CA007、CA008*及びCA009*(これらの化合物の構造は、表1Aに図示されている)からなる群から選択される構造を有する。表1Aにおけるそれぞれの示された構造中の立体中心が特定されていなければ、これは、全てのそれぞれの立体異性体が単離形態で、同様にそれぞれの立体異性体の混合物の形態で包含されることを意味すると理解されるべきである。したがって、化合物CA002*、CA003*、CA005*、CA006*、CA008*、CA009*、CA023*、CA025*、CA026*、CA027、CA028*及びCA029*は、単一の立体異性体として又は立体異性体の混合物として存在することができる。より好ましくは、この実施形態によると、化合物は、CA001、CA002、CA003、CA005、CA006、CA007、CA008、CA009、CA023、CA025、CA026、CA027、CA028及びCA029(これらの化合物の構造は、表1Bに図示されている)からなる群から選択される構造を有し、化合物CA007、CA008及びCA009が特に好ましい。
【0082】
驚くべきことに、これらの化合物は、PSMAに対する高い結合親和性を示し、有効に内部移行されることが示された。
【0083】
実施形態(C)
本発明の別の好ましい実施形態によると、Aは、
【化33】
ではない。
【0084】
好ましくは、この実施形態によると、Aは、
【化34】
からなる群から選択される。
【0085】
驚くべきことに、これらのキレート剤構成単位を含む本発明の化合物は、鉛及び/又は銅の放射性核種を有する安定な錯体を形成し、有利な腫瘍標的化特性を有することが見出された。新規化合物は、適用されたそれぞれの放射性核種に従って薬物動態プロファイルを微調整する可能性を提供する。さらに、化合物は、特定の放射性核種を用いる安定な標識化を可能にする。
【0086】
銅結合化合物:
化合物が、上に記述されている通りの銅結合PSMAリガンドとして使用されることになる場合、Aは、好ましくは、
【化35】
からなる群から選択される。
【0087】
驚くべきことに、これらの化合物を用いて、銅放射性核種を有する安定及び有効な錯体が形成され得ることが見出された。したがって、本発明は、上若しくは下に記載されている通りの化合物又は上若しくは下に記載されている通りの錯体にも関し、ここで、Aは、
【化36】
であり、放射性核種は、銅、より好ましくは
64Cu及び/又は
67Cuの放射性核種である。
【0088】
例として、以下の銅結合化合物が、CA001、CA002*、CA003*、CA005*、CA006*、CA022*、CA023*、CA024*、CA025*及びCA026*(これらの化合物の構造は、表1Aに図示されている)として挙げられるべきである。より好ましい例は、CA001、CA002、CA003、CA005、CA006、CA022、CA023、CA024、CA025及びCA026(表1Bを参照されたい)である。表1Aにおけるそれぞれの示された構造中の立体中心が特定されていなければ、これは、全てのそれぞれの立体異性体が単離形態で、同様にそれぞれの立体異性体の混合物の形態で包含されることを意味すると理解されるべきである。したがって、化合物CA002*、CA003*、CA005*、CA006*、CA022*、CA023*、CA024*、CA025*及びCA026*は、単一の立体異性体として又は立体異性体の混合物として存在することができる。
【0089】
より好ましくは、化合物が放射性核種としての銅とともに使用されることになる場合、化合物は、CA003*、CA006*、CA022*及びCA023*(それぞれの化学構造は、表1Aに図示されている)からなる群から、好ましくはCA003、CA006、CA022及びCA023(表1Bを参照されたい)からなる群から選択される。
【0090】
より好ましくは、化合物は、CA003*(表1Aを参照されたい)、最も好ましくはCA003(表1Bを参照されたい)である。
【0091】
驚くべきことに、これらの化合物を用いて、PSMA標的化の2つの未だ満たされていない必要性、a)腫瘍における高度に特異的な富化が、好ましい体内分布特徴、特に著しく改善された腎臓クリアランスとともに達成されること、並びにb)好ましい放射性同位体が存在する2種の金属である銅及び鉛の同位体を使用する可能性が実現され得ることが見出された。
【0092】
鉛結合化合物:
化合物が、例えば、上に記述されている通りの放射性核種としての鉛とともに使用されることになる場合、Aは、好ましくは、
【化37】
からなる群から選択される。
【0093】
驚くべきことに、こうした化合物を用いて、鉛を有する好ましい錯体が形成され得、有利なPSMA標的化特性を示すことが見出された。
【0094】
したがって、本発明は、上若しくは下に記載されている通りの化合物又は上若しくは下に記載されている通りの錯体にも関し、ここで、Aは、
【化38】
であり、放射性核種は、鉛、より好ましくは
203Pb又は
212Pbの放射性核種である。
【0095】
例として、以下の鉛結合化合物、以下の化合物が、CA007、CA008、CA009、CA010、CA011及びCA012(これらの化合物の構造は、表1Aに図示されている)、好ましくはCA007、CA008*、CA009*、CA010*、CA011*及びCA012*として挙げられるべきである。
【0096】
より好ましくは、化合物は、CA009*又はCA012*、最も好ましくはCA009又はCA012である。したがって、本発明は、上に記載されている通りの化合物又は錯体に関し、ここで、化合物は、構造CA009*又はCA012(表A1)より好ましくはCA009又はCA012(表1Bを参照されたい)を有し、放射性核種は、好ましくは鉛、より好ましくは203Pb又は212Pbの放射性核種である。
【0097】
驚くべきことに、これらの化合物は、48hの間ヒト血清において高い安定性を示すことが見出された。さらに、化合物は、PSMAを阻害するための高い親和性を明らかにした。
【0098】
さらに、203Pb標識化化合物は、PSMA陽性細胞株における特定の内部移行の高い速度を示した。
【0099】
医薬組成物
上に記載されている通り、本発明は、上若しくは下に記載されている通りの化合物又は上若しくは下に記載されている通りの錯体を含む医薬組成物にも関する。医薬組成物は、それぞれ化合物及び/又は錯体の治療有効量を含むと理解されるべきである。組成物は、少なくとも1つの有機若しくは無機の固体若しくは液体及び/又は少なくとも1種の薬学的に許容される担体をさらに含むことができる。
【0100】
「薬学的に許容される」という成句は、本明細書において、健全な医学的判断の範囲内で、患者の組織との接触における使用に適当な、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、又は他の問題若しくは合併症のない、妥当な利益/リスク比に相応する化合物、材料、組成物及び/又は剤形を指すために用いられる。
【0101】
「患者」は、動物、例えばヒト、サル、雌ウシ、ウマ、ネコ又はイヌを含む。動物は、哺乳動物、例えば非霊長類及び霊長類(例えば、サル及びヒト)であってよい。一実施形態において、患者はヒトである。
【0102】
一般に、式(1)の化合物又はその医薬組成物は、経口的に、又は非経口経路、通常には注射若しくは注入を介して投与することができる。
【0103】
「非経口投与経路」は、通常注射による経腸的及び局所的投与以外の投与モードを意味し、限定せずに、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、クモ膜下、髄腔内及び胸骨内の注射及び注入を含む。
【0104】
本発明による化合物の投与量(担体分子の量を指す)は、患者特異的パラメータ、例えば年齢、体重、性別、疾患の重症度などに基づいて医師によって決定される。投与量は、適用のモードに依存する:一般に、分子画像化目的のために使用される化合物は、トレーサー量で、即ち、患者当たり1~100nmolの総用量を使用することによって適用され、好ましい用量は、患者当たり5~20nmolである。治療用途(内部放射線治療)のため、より高い用量が、治療効果を引き起こすのに必要とされる放射線量吸収線量(グレイ)数を達成するために必要とされる。治療用途のため、用量は、好ましくは、0.1nmol/kg~10nmol/kg体重、好ましくは0.2~5nmol/kg体重、最も好ましくは0.5~2nmol/kg体重の範囲である。投与の種類に対応して、医薬は、例えば、一般の製剤方法に従って調製される溶液剤又は懸濁液剤、単純な錠剤又は糖衣錠、硬質又は軟質のゼラチンカプセル剤、坐剤、膣坐剤、注射用の調製物の形態で適当には製剤化される。
【0105】
本発明による化合物は、適切な場合、さらなる活性物質と一緒に、及び医薬組成物において共通の賦形剤及び担体、例えば、生成されるべき調製物に依存して、タルカム、アラビアガム、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、カカオ脂、水性及び非水性の担体、動物又は植物由来の脂肪体、パラフィン誘導体、グリコール(特に、ポリエチレングリコール)、様々な可塑剤、分散剤又は乳化剤、薬学的に適合性のあるガス(例えば、空気、酸素、二酸化炭素など)、保存料と一緒に製剤化することができる。
【0106】
液体調製物を生成するために、添加剤、例えば塩化ナトリウム溶液、エタノール、ソルビトール、グリセリン、オリーブ油、アーモンド油、プロピレングリコール又はエチレングリコールが使用され得る。
【0107】
注入又は注射のための溶液が使用される場合、それらは、好ましくは水溶液又は懸濁液であり、それらを、使用より前に、例えば、活性物質をそのままで又は担体、例えばマンニトール、ラクトース、グルコース、アルブミンなどと一緒に含有する凍結乾燥調製物から生成することが可能である。既製の溶液は滅菌され、適切な場合、賦形剤と、例えば保存料、安定剤、乳化剤、可溶化剤、緩衝液及び/又は浸透圧を調節するための塩と混合される。滅菌は、適切な場合、組成物が凍結乾燥され得る小細孔サイズを有するフィルターを使用して滅菌濾過によって得ることができる。少量の抗生物質も、無菌の維持を確実にするために添加することができる。
【0108】
「有効量」又は「治療有効量」という成句は、本明細書で使用される場合、本発明の化合物を含む化合物、材料若しくは組成物、又は妥当な利益/リスク比で任意の医学的処置に適用可能な患者における細胞の少なくとも亜集団において一部の所望の治療効果を生成するのに有効である他の活性成分の量を意味する。本発明の化合物に関する治療有効量は、疾患の防止の処置において治療的利益を提供する、単独で又は他の治療との組合せでの治療剤の量を意味する。本発明の化合物と関連して使用される該用語は、全体的な治療を改善する、疾患の症状若しくは原因を低減若しくは回避する、又は別の治療剤の治療的有効性若しくはそれとの相乗作用を増強する量を包含することができる。
【0109】
さらに、本発明は、細胞増殖性疾患又は障害、特に前立腺がん及び/又はその転移を処置、寛解又は防止することにおける使用のための、上若しくは下に記載されている通りの化合物、又は上若しくは下に記載されている通りの錯体、又は記載されている通りの医薬組成物にも関する。
【0110】
さらに、本発明は、診断薬における使用のための、上若しくは下に記載されている通りの化合物、又は上若しくは下に記載されている通りの錯体、又は医薬組成物にも関する。
【0111】
さらに、本発明は、がん、特に前立腺がん及び/又はその転移の診断における使用のための、上若しくは下に記載されている通りの化合物、又は上若しくは下に記載されている通りの錯体、又は医薬組成物にも関する。
【0112】
本明細書で使用される場合、「処置すること」又は「処置」という用語は、診断、予防、防止、治療及び治癒も包含することが意図される。
【0113】
「防止する」、「防止すること」及び「防止」という用語は、予防的又は治療的な薬剤の投与に起因する、患者における疾患の発症、再発又は伝播の防止を指す。
【0114】
好ましくは、上若しくは下に記載されている通りの化合物、又は上若しくは下に記載されている通りの錯体、又は医薬組成物は、インビボ画像化及び放射線治療のために使用される。適当な医薬組成物は、放射性画像化剤、或いは薬学的に許容される放射線学的ビヒクルと一緒に元素、即ち放射活性ヨウ素、又は画像化するのに十分な量における式(la)及び/若しくは(lb)の化合物の放射活性金属キレート錯体としてのいずれかで放射性核種を有する放射線治療剤を含有することができる。放射線学的ビヒクルは、注射又は吸引に適当であるべきであり、例えばヒト血清アルブミン;緩衝水溶液、例えば、トリス(ヒドロメチル)-アミノメタン(及びその塩)の緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、重炭酸緩衝液など;滅菌水、生理食塩水;並びに塩化物塩及び/若しくはジカーボネート塩を含有する平衡イオン溶液、又は通常の血中血漿カチオン、例えばカルシウム、カリウム、ナトリウム及びマグネシウムである。
【0115】
放射線学的ビヒクル中の画像化剤又は治療剤の濃度は、満足な画像化を提供するのに十分であるべきである。例えば、水溶液を使用する場合、投与量は、0.1~300ミリキュリーの範囲であり、この広い範囲は、アルファ放出同位体が非常に強い細胞毒性効果を発揮し、そのために低用量、例えばアクチニウム標識化PSMA-617の場合、治療サイクル当たり0.135mCiの225Acで適用されるという事実によって生じる。ベータ放出放射性同位体、例えば177Luの場合、最大216mCiの用量が典型的に、1つの治療サイクルで適用される。これらの用量は、当業者によって決定することができる。画像化又は治療目的で患者に投与される実際の用量は、しかしながら、処置を施す医師によって決定される。画像化剤又は治療剤は、約1時間~10日間患者に残るように投与されるべきであるが、より長い及びより短い時間期間の両方が許容される。そのため、1~10mLの水溶液を含有する好都合なアンプルが調製され得る。
【0116】
画像化は、適当な画像化又は走査機械、例えば断層撮影又はガンマカメラを用いて適切な画像化及び次いで走査を提供するため、通常の方式で、例えば十分な量の画像化組成物を注射することによって実施することができる。ある特定の実施形態において、患者における領域を画像化する方法は、(i)放射性核種と錯体を形成した化合物の診断的に有効な量を患者に投与するステップ、患者の領域を走査デバイスに曝露するステップ、及び(ii)患者の領域の画像を得るステップを含む。ある特定の実施形態において、画像化される領域は、頭部又は胸郭である。他の実施形態において、式(la)及び/又は(lb)の化合物及び錯体は、PSMAタンパク質を標的化する。
【0117】
したがって、一部の実施形態において、組織、例えば脾臓組織、腎臓組織、又はPSMA発現腫瘍組織を画像化する方法は、放射性核種並びに式(la)及び/又は式(lb)化合物を接触させることによって合成される錯体と組織を接触させることを含めて提供される。
【0118】
患者に投与される本発明の化合物、或いは化合物の錯体又はその塩、溶媒和物、立体異性体若しくは互変異性体を含む製剤の量は、いくつかの生理的因子に依存する。これらの因子は、実施されるべき画像化の性質、画像化又は治療のために標的化されるべき組織、並びに放射性医薬品を使用して画像化又は処置されるべき患者の体重及び病歴を含めて、医師によって知られている。
【0119】
したがって、別の態様において、本発明は、細胞増殖性疾患又は障害を患っている患者を処置するため、上に記載されている通りの錯体の治療有効量を患者に投与することによって患者を処置する方法を提供する。具体的には、本発明による化合物、医薬組成物又は放射性医薬品を使用して処置又は画像化されるべき細胞増殖性疾患又は障害は、例えば肺、肝臓、腎臓、骨、脳、脊髄、膀胱などにおけるがん、例えば、前立腺がん及び/又は前立腺がん転移である。
【0120】
本発明の化合物の合成は、実施例セクションにおいて詳細に記載されている。
【0121】
本発明の所見を要約すると、以下の実施形態が特に好ましい:
1. 式(1)
【化39】
[式中、
Y
3はO又はSであり、
s、t、u及びwは互いに独立して、0又は1であり、
iは1~3の整数であり、
jは3~5の整数であり、
Z
1、Z
2及びZ
3は互いに独立して、CO
2H、-SO
2H、-SO
3H、-OSO
3H及び-OPO
3H
2からなる群から選択され、
R
1は-CH
3又はH、好ましくはHであり、
Xは、場合により置換されているアルキルアリール(-アルキル-アリール)、アリール、アルキルヘテロアリール(-アルキル-ヘテロアリール)及びヘテロアリールからなる群から選択され、
Y
1及びY
2は互いに独立して、場合により置換されているアリール、アルキルアリール(-アルキル-アリール)、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール及びアルキルヘテロアリール(-アルキル-ヘテロアリール)からなる群から選択され、
Aは、(Ia)、(Ib)及び(Ic)
【化40】
(式中、R
2、R
3、R
4及びR
5は互いに独立して、H、-CH
2-COOH及び-CH
2-C(=O)-NH
2からなる群から選択されるか、又はR
2及びR
4は-(CH
2)
n-架橋を形成し、nは1~3の整数であり、nは好ましくは2であり、r、v及びqは互いに独立して、0又は1であり、
但し、u及びwが0である場合、q及びvは0である)
からなる群から選択される構造を有するキレート剤残基であり、
(A)u及びwは1であるか、又は
(B)uは0であり、wは1であり、Aは(Ia)若しくは(Ib)から選択されるか、又は
(C)Aは、
【化41】
ではない]
の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
2. Xが好ましくは、場合により置換されているナフチル、フェニル、ビフェニル、インドリル及びベンゾチアゾリルからなる群から選択される残基を含み、より好ましくはXが、
【化42】
からなる群から選択される、実施形態1に記載の化合物。
3. Xが
【化43】
である、実施形態1に記載の化合物。
4. Z
1、Z
2及びZ
3が-CO
2Hである、実施形態1から3のいずれか1つに記載の化合物。
5. R
1がHである、実施形態1から4のいずれか1つに記載の化合物。
6. Y
1が
【化44】
である、実施形態1から5のいずれか1つに記載の化合物。
7. iが2であり、jが4であり、好ましくは構造(1a)
【化45】
を有する、実施形態1から6のいずれか1つに記載の化合物。
8. u及びwが1である、実施形態1から7のいずれか1つに記載の化合物。
9. Y
3がSである、実施形態8に記載の化合物。
10. Y
2が
【化46】
であり、R
6、R
7、R
8及びR
9が互いに独立して、H又はアルキル、好ましくはHである、実施形態8又は9に記載の化合物。
11. rが好ましくは0である、実施形態8から10のいずれか1つに記載の化合物。
12. Aが、
【化47】
からなる群から選択されるキレート剤である、実施形態8から11のいずれか1つに記載の化合物。
13. CA007、CA008
*、CA009
*、CA029
*及びCA030
*(表1Aを参照されたい)からなる群から選択される構造、好ましくはCA007、CA008、CA009、CA029及びCA030(表1Bを参照されたい)からなる群から選択される構造を有する、実施形態8から12のいずれか1つに記載の化合物。
14. CA007、CA008
*及びCA009
*(表1Aを参照されたい)からなる群から選択される構造、好ましくはCA007、CA008及びCA009(表1Bを参照されたい)からなる群から選択される構造を有する、実施形態8から12のいずれか一項に記載の化合物。
15. uが0であり、wが1であり、Aが(Ia)又は(Ib)から選択される、実施形態1から7のいずれか1つに記載の化合物。
16. Y
2が、場合により置換されているアリール基又はヘテロアリール基である、実施形態15に記載の化合物。
17. Y
2が
【化48】
であり、R
6、R
7、R
8及びR
9が互いに独立して、H又はアルキル、好ましくはHである、実施形態16又は17に記載の化合物。
18. Aが、
【化49】
からなる群から選択される、実施形態15から17のいずれか1つに記載の化合物。
19. Aが、
【化50】
からなる群から選択される、実施形態15から18のいずれか1つに記載の化合物。
20. Aが
【化51】
である、実施形態15から19のいずれか1つに記載の化合物。
21. CA001、CA002
*、CA003
*、CA007、CA008
*、CA009
*、CA022
*、CA023
*、CA025
*、CA026
*、CA027、CA028
*及びCA029
*(表1Aを参照されたい)からなる群から選択される構造、好ましくはCA001、CA002、CA003、CA007、CA008、CA009、CA022、CA023、CA025、CA026、CA027、CA028及びCA029(表1Bを参照されたい)からなる群から選択される構造を有する、実施形態15から20のいずれか1つに記載の化合物。
22. CA007、CA008
*及びCA009
*からなる群から選択される構造、好ましくはCA007、CA008及びCA009(表1B)からなる群から選択される構造を有する、実施形態15から21のいずれか1つに記載の化合物。
23. Aが、
【化52】
ではない、実施形態1から7のいずれか1つに記載の化合物。
24. Aが、
【化53】
からなる群から選択される、実施形態23に記載の化合物。
25. (a)放射性核種、及び
(b)実施形態1から24のいずれか1項に記載の化合物又はその塩
を含む錯体。
26. 放射性核種が、
89Zr、
44Sc、
111In、
90Y、
66Ga、
67Ga、
68Ga、
177Lu、
99mTc、
60Cu、
61Cu、
62Cu、
64Cu、
66Cu、
67Cu、
149Tb、
152Tb、
155Tb、
161Tb、
153Sm、
153Gd、
155Gd、
157Gd、
213Bi、
225Ac、
230U、
223Ra、
165Er、Feの放射性核種(例えば
52Fe及び
59Fe)、及びPbの放射性核種(例えば
203Pb及び
212Pb、
211Pb、
213Pb、
214Pb、
209Pb、
198Pb、
197Pb)からなる群から選択される、実施形態25に記載の錯体。
27. 放射性核種が鉛の放射活性核種であり、Aが
【化54】
である、実施形態25に記載の錯体。
28. (b)が、CA007、CA008、CA009、CA010及びCA011からなる群から選択される構造を有する化合物又はその塩である、実施形態27に記載の錯体。
29. 放射性核種が銅の放射活性核種であり、Aが
【化55】
である、実施形態25に記載の錯体。
30. 実施形態1から24のいずれかに記載の化合物又は請求項25から29のいずれか一項に記載の錯体を含む医薬組成物。
31. PSMA発現がん及び/又はその転移、特に前立腺がん及び/又はその転移を処置、寛解又は防止することにおける使用のための、実施形態1から24のいずれか1つに記載の化合物又は実施形態25から29のいずれか1つに記載の錯体又は実施形態30に記載の医薬組成物。
32. 診断薬における使用のための、実施形態1から24のいずれか1つに記載の化合物又は実施形態25から29のいずれか1つに記載の錯体又は実施形態30に記載の医薬組成物。
33. がん、例えばPSMA発現がん及び/又はその転移、特に前立腺がん及び/又はその転移の診断における使用のための、実施形態1から24のいずれか1つに記載の化合物又は実施形態25から29のいずれか1つに記載の錯体又は実施形態30に記載の医薬組成物。
【0122】
この明細書の全体にわたって引用されている全ての参照は、本明細書に、具体的に記述されている開示内容に関して、並びにそれらの全体で参照により組み込まれる。
【0123】
以下の実施例は、本発明を単に例示する。何であれ、それらは本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【実施例】
【0124】
材料及び方法
溶媒及び化学物質をMerck(Darmstadt、Germany)及びSigma-Aldrich(Munich、Germany)から購入し、さらに精製することなく使用した。インビトロ実験を三重反復で行い、行われた各実験について少なくとも3つの独立セットのデータを得た。前立腺がん患者のPET画像化は、有効なドイツ法律に従ってUniversity Hospital Heidelbergによって同意され、ヘルシンキ宣言により承諾された(認可S321/2012)。
【0125】
キレート剤部分の合成
キレート剤部分を高収率で合成し、LC-MSによって特徴付けた。キレート剤4-[(1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカ-1-イル)-メチル]安息香酸、二官能性大環状サイクラム類似体の合成は、Studer及びKaden(Studer M及びKadan, T.A. One-step synthesis of mono-N-substituted azamacrocycles with a carboxylic group in the side-chain and their complexes with Cu2+ and Ni2+。Helvetica。1986; 69:2081~2086)によって記載され、一方、4-カルボキシメチル-11-(1,3-ジカルボキシプロピル)-1,4,8,11-テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカン-ペンタン二酸、架橋キレート剤は、Boswellら(Boswell CA、Regino CA、Baidoo KEら、Synthesis of a cross-bridged cyclam derivative for peptide conjugation and 64Cu radiolabeling。Bioconjug Chem. 2008;19:1476~1484)によって報告された。
【0126】
I. 一般的手順:新規PSMAリガンドの合成
Ederら(Eder M、Schafer M、Bauder-Wust Uら、
68Ga-complex lipophilicity and the targeting property of a urea-based PSMA inhibitor for PET imaging。Bioconjug Chem. 2012;23:688~697)及びBenesovaら(Benesova M、Schafer M、Bauder-Wust Uら、Preclinical Evaluation of a Tailor-Made DOTA-Conjugated PSMA Inhibitor with Optimized Linker Moiety for Imaging and Endoradiotherapy of Prostate Cancer。J Nucl Med. 2015;56:914~920)によって以前に記載されている通りに、PSMA-結合モチーフを2-クロロトリチル樹脂(2CT-樹脂)上での固相合成によって調製したが、
図2を参照されたい。この目的のため、Fmoc-Lys(Alloc)-OHを等モル量の2-クロロトリチル樹脂上に固定した。その後、トリホスゲンを使用して、グルタミル部分のイソシアネート(2)を発生させた。2-クロロ-トリチル樹脂上に固定されているε-アリルオキシカルボニル-保護リジンを添加し、慎重にかき混ぜながら16hの間反応させ、化合物3を得た。樹脂を濾別し、アリルオキシカルボニル保護基を切断して(4)を得た。化合物CA001及びCA027を得るために、それぞれのキレート剤をこの中間体にカップリングさせた。引き続いて、キレート剤にカップリングされているPSMAを樹脂から切断した。代替として、Fmoc-2-ナフチルアラニンのカップリングを進行させて(5)を得た。化合物CA002、CA005、CA008及びCA011を得るために、それぞれのキレート剤をこの中間体にカップリングさせた。引き続いて、キレート剤にカップリングされているPSMAを樹脂から切断した。代替として、trans-4-(Fmoc-アミノメチル)シクロヘキサンカルボン酸をカップリングさせて(6)を得、化合物にそれぞれのキレート剤をカップリングさせて、化合物CA003、CA006、CA009、CA012、CA022、CA023、CA024、CA025、CA026、CA028、CA029及びCA030を得た。引き続いて、キレート剤にカップリングされているPSMAを樹脂から切断した。構造をHPLC及びMS-LCによって確認した。トリフルオロ酢酸を含有する水-アセトニトリル勾配を使用する分取HPLCによって、物質を単離した。このため、水中20~50%のアセトニトリルの勾配を使用し15分かけて、化合物を精製した。5分かけて、トリフルオロ酢酸を含有する水中(0~100%)のアセトニトリルを使用する分析HPLC、Monolith RP HPLCカラム100×3mm、及びLC/MSによって、精製化合物を分析した。生成物画分をプールし、凍結乾燥させた。
【0127】
II. 銅同位体を用いる画像化及び治療のためのリガンド
(CA001)についての詳述
生成物は、樹脂(化合物4)を、1.5当量のCTPA-NHS-エステル(4-[(1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカ-1-イル)-メチル]安息香酸)及び10当量のDIPEAで、500μlのDMF中にてインキュベートすることによって得た。化合物を精製し、最終生成物を、上に記載されている通りのHPLCによって分析した(セクションI.を参照されたい)。HPLC保持時間: 1.68分; ESI-MS (m/z): [M+H]+ (算出C30H50N7O8): 636.37 (636.36)
【0128】
【0129】
CA002についての詳述
生成物は、樹脂(化合物5)を、1.5当量のCTPA-NHS-エステル(4-[(1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカ-1-イル)-メチル]安息香酸)及び10当量のジイソプロピルアミン(DIPEA)で、500μlのDMF中にてインキュベートすることによって得た。化合物を精製し、最終生成物を、上に記載されている通りのHPLCによって分析した(セクションI.を参照されたい)。HPLC保持時間: 2.39分; ESI-MS (m/z): [M+H]+ (算出C43H61N8O9): 833.42 (833.45)
【0130】
CA003についての詳述
生成物は、樹脂(化合物6)を、1.5当量のCTPA-NHS-エステル(4-[(1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカ-1-イル)-メチル]安息香酸)及び10当量のDIPEAで、500μlのジメチルホルムアミド(DMF)中にてインキュベートすることによって得た。化合物を精製し、最終生成物を、上に記載されている通りのHPLCによって分析した(セクションI.を参照されたい)。HPLC保持時間: 2.50分; ESI-MS (m/z): [M+H]+ (算出C51H74N9O10): 972.52 (972.55)
【0131】
CA005についての詳述
生成物は、樹脂(化合物5)を、1.5当量の架橋TE2Aキレート剤、0.98×nキレート剤HBTU及び10当量のDIPEAで、500μlのDMF中にてインキュベートすることによって得た。化合物を精製し、最終生成物を、上に記載されている通りのHPLCによって分析した(セクションI.を参照されたい)。HPLC保持時間: 2.38分; ESI-MS (m/z): [M+H]+ (算出C44H64N8O13): 913.45 (913.47)
【0132】
【0133】
CA006についての詳述
生成物は、樹脂(化合物6)を、1.5当量の架橋TE2Aキレート剤、0.98×nキレート剤HBTU及び10当量のDIPEAで、500μlのDMF中にてインキュベートすることによって得た。化合物を精製し、最終生成物を、上に記載されている通りのHPLCによって分析した(セクションI.を参照されたい)。HPLC保持時間: 2.55分; ESI-MS (m/z): [M+H]+ (算出C52H78N9O14): 1052.62 (1052.56)
【0134】
CA022についての詳述
生成物は、樹脂(化合物6)を、1.5当量の架橋CTPAキレート剤及び10当量のDIPEAで、500μlのDMF中にてインキュベートすることによって得た。化合物を精製し、最終生成物を、上に記載されている通りのHPLCによって分析した(セクションI.を参照されたい)。HPLC保持時間: 2.72分; ESI-MS (m/z): [M+H]+ (算出C53H76N9O10): 998.56 (998.57)
【0135】
【0136】
CA023についての詳述
生成物は、樹脂(化合物6)を、1.5当量の8-カルボキシメチル-CTPAキレート剤及び10当量のDIPEAで、500μlのDMF中にてインキュベートすることによって得た。化合物を精製し、最終生成物を、上に記載されている通りのHPLCによって分析した(セクションI.を参照されたい)。HPLC保持時間: 2.54分; ESI-MS (m/z): [M+H]+ (算出C53H76N9O12): 1030.55 (1030.56)
【0137】
【0138】
CA024についての詳述
生成物は、樹脂(化合物6)を、1.5当量の8-カルボキシメチル架橋CTPAキレート剤及び10当量のDIPEAで、500μlのDMF中にてインキュベートすることによって得た。化合物を精製し、最終生成物を、上に記載されている通りのHPLCによって分析した(セクションI.を参照されたい)。HPLC保持時間: 2.60分; ESI-MS (m/z): [M+H]+ (算出C55H78N9O12): 1056.56 (1056.57)
【0139】
【0140】
CA025についての詳述
生成物は、樹脂(化合物6)を、1.5当量の8,11-ビス(カルボキシメチル)-CTPAキレート剤[CPTA=4-[(1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカ-1-イル)メチル]安息香酸]及び10当量のDIPEAで、500μlのDMF中にてインキュベートすることによって得た。化合物を精製し、最終生成物を、上に記載されている通りのHPLCによって分析した(セクションI.を参照されたい)。HPLC保持時間: 2.60分; ESI-MS (m/z): [M+H]+ (算出C55H78N9O14): 1088.55 (1088.56)
【0141】
【0142】
CA026についての詳述
生成物は、樹脂(化合物6)を、1.5当量の8,11-ビス(カルボキシメチル)-CTPAキレート剤及び10当量のDIPEAで、500μlのDMF中にてインキュベートすることによって得た。化合物を精製し、最終生成物を、上に記載されている通りのHPLCによって分析した(セクションI.を参照されたい)。HPLC保持時間: 2.53分; ESI-MS (m/z): [M+H]+ (算出C57H80N9O16): 1146.56 (1146.57)
【0143】
【0144】
III. 鉛同位体(203Pb/212Pb)を用いるアルファ治療のためのPSMAリガンド
CA007についての詳述
生成物は、樹脂(化合物5)を、1.5当量のp-SCN-Bn-TCMCキレート剤[TCMC=1,4,7,10-テトラアザ-1,4,7,10-テトラ(2-カルバモイルメチル)シクロドデカン]及び10当量のDIPEAで、500μlのDMF中にてインキュベートすることによって得た。化合物を精製し、最終生成物を、上に記載されている通りのHPLCによって分析した(セクションI.を参照されたい)。HPLC保持時間: 2.41分; ESI-MS (m/z): [M+H]+ (算出C49H70N13O12S): 1064.49 (1064.50)
【0145】
【0146】
CA009についての詳述
生成物は、樹脂(化合物6)を、1.5当量のp-SCN-Bn-TCMCキレート剤及び10当量のDIPEAで、500μlのDMF中にてインキュベートすることによって得た。化合物を精製し、最終生成物を、上に記載されている通りのHPLCによって分析した(セクションI.を参照されたい)。ESI-MS (m/z): [M+H]+ (算出C57H83N14O13S): 1203.59 (1203.60)
【0147】
CA011についての詳述
生成物は、樹脂(化合物5)を、1.5当量の2-(4,7,10-トリス(2-アミノ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル)酢酸、キレート剤1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラアセトアミド(DO3AM)のモノカルボキシレート誘導体、0.98×nキレート剤rHBTU及び10当量のDIPEAで、500μlのDMF中にてインキュベートすることによって得た。化合物を精製し、最終生成物を、上に記載されている通りのHPLCによって分析した(セクションI.を参照されたい)。HPLC保持時間: 2.07分; ESI-MS (m/z): [M+H]+ (算出C41H62N11O12): 900.45 (900.46)
【0148】
【0149】
CA012についての詳述
生成物は、樹脂(化合物6)を、1.5当量のDO3AMキレート剤、0.98×nキレート剤HBTU及び10当量のDIPEAで、500μlのDMF中にてインキュベートすることによって得た。化合物を精製し、最終生成物を、上に記載されている通りのHPLCによって分析した(セクションI.を参照されたい)。HPLC保持時間: 2.21分; [M+H]+ (算出C49H75N12O13): 1039.54 (1039.56)
【0150】
IV. PSMA-617の薬物動態学的特性を増強するキレート剤スペーサー部分
CA027についての詳述
生成物は、樹脂(化合物4)を、1.5当量のp-NHS-Bn-DOTAキレート剤及び10当量のDIPEAで、500μlのDMF中にてインキュベートすることによって得た。化合物を精製し、最終生成物を、上に記載されている通りのHPLCによって分析した(セクションI.を参照されたい)。HPLC保持時間: 1.47分; [M+H]+ (算出C34H52N7O14): 782.33 (782.36)
【0151】
【0152】
CA028についての詳述
生成物は、樹脂(化合物6)を、1.5当量のp-NHS-Bn-DOTAキレート剤及び10当量のDIPEAで、500μlのDMF中にてインキュベートすることによって得た。化合物を精製し、最終生成物を、上に記載されている通りのHPLCによって分析した(セクションI.を参照されたい)。HPLC保持時間: 2.36分; [M+H]+ (算出C55H76N9O16): 1119.53 (1118.54)
【0153】
CA029についての詳述
生成物は、樹脂(化合物6)を、1.5当量のp-SCN-Bn-DOTAキレート剤及び10当量のDIPEAで、500μlのDMF中にてインキュベートすることによって得た。化合物を精製し、最終生成物を、上に記載されている通りのHPLCによって分析した(セクションI.を参照されたい)。HPLC保持時間: 2.49分; [M+H]+ (算出C57H79N10O17S): 1207.52 (1207.53)
【0154】
【0155】
CA030についての詳述
生成物は、樹脂(化合物6)を、1.5当量のp-NCS-ベンジル-DOTA-GAキレート剤及び10当量のDIPEAで、500μlのDMF中にてインキュベートすることによって得た。化合物を精製し、最終生成物を、上に記載されている通りのHPLCによって分析した(セクションI.を参照されたい)。HPLC保持時間: 2.50分; [M+H]+ (算出C60H84N11O18S): 1278.56 (1278.57)
【0156】
【0157】
V 放射標識化錯体の合成:
V.1 64Cu-PSMA-誘導体の放射化学合成
コンジュゲート(水中1mM、5μl、5nmol)を、0.1M HCl(200MBq)中400μlの酢酸ナトリウム緩衝液(水中0.4M、pH5.0)、10μlのアスコルビン酸(水中20%)及び282μlの[64Cu]CuCl2の混合物に添加した。混合物を95℃で5分間加熱した。標識化を放射性HPLC(5分で0~100%のMeCN、Monolithカラム)によって、2mL/分の流量及び2.3分の保持時間で制御した。
【0158】
標識化は、10分以内で放射標識化収率>98%に至った(
図26における放射性クロマトグラムによって例示されている通り)。例えば
64Cu-PSMA-CA003の比活性は、およそ40MBq/nmolであった。
67Cuを用いる標識化に、同じプロトコールを使用した。
【0159】
V.2 203/212Pb-PSMA-リガンドの放射化学合成
80nmolのコンジュゲート(水中1mM、80μl、80nmol)を、0.04M HCl中400μlの酢酸ナトリウム緩衝液(水中0.4M、pH5.0)、10μlのアスコルビン酸(水中20%)及び140μlの203Pb-塩化物溶液に添加し、比活性は、およそ102.6TBq/gであった(Lantheus Medical Imaging、USA)。次いで、混合物を95℃で5分間加熱した。標識化を放射性HPLCによって制御した。
【0160】
V.3 68Ga-PSMA-CA028(CA027、CA029、CA030)の放射化学合成
68Gaを68Ge/Ga発生器(iThemba LABS、South Africa)から溶出した。コンジュゲート(DMSO中1mM、20μl、20nmol)を、0.6M HCl中320μlの酢酸ナトリウム緩衝液(水中0.4M、pH4~5)、10μlのアスコルビン酸(水中20%)及び400MBqの68Gaの混合物に添加した。混合物を95℃で5分間加熱した。標識化を放射性HPLC(5分で0~100%のMeCN、Monolithカラム)によって、2mL/分の流量及び2.4分の保持時間で制御した。
【0161】
【0162】
V.4 177Lu-PSMA-CA028(CA027、CA029、CA030)の放射化学合成
177Lu標識化のため、およそ20MBqを、Chelex(pH=5)を含有する0.4M酢酸ナトリウム緩衝液200μlと混合した。水中10%のDMSO中の化合物の1mM溶液2μl、2μlのアスコルビン酸の飽和溶液及び40μlの溶液[177Lu]LuCl3を混合し、95℃に10分間加熱した。標識化を放射性HPLC(5分以内で水中0~100%のACN、Monolithカラム)によってチェックした。
【0163】
VI. 前臨床評価
PSMA陽性C4-2細胞株、LNCaP(前立腺のリンパ節癌腫)細胞株の亜株(CRL-3314、American Type Culture Collection)を使用して、インビトロ及びインビボ実験を行った。C4-2細胞を、10%ウシ胎児血清及び安定なグルタミン(PAN Biotech)が補充されたRPMI 1640(PAN Biotech)培地中で培養した。細胞を37℃で成長させ、5%のCO2で平衡化された加湿空気でインキュベートした。
【0164】
VI.1 インビトロ
VI.1.1 競合的結合アッセイ及び内部移行率
MultiScreenHTS-DVフィルタープレートを室温で、1ウェル当たり1% BSAを含有する100μlのPBSを用いて30分間インキュベートした。PBS/BSA溶液の除去後、1×105のC4-2細胞を各ウェル中のOpti-MEMに添加した。標準物として0.75nMの68Ga-標識化PSMA-HBED-CC二量体(68Ga-PSMA-10)(Schafer M、Bauder-Wust U、Leotta Kら、A dimerized urea-based inhibitor of the prostate-specific membrane antigen for 68Ga-PET imaging of prostate cancer。EJNMMI research。2012;2:23~23)を使用して、合成化合物の阻害効力を決定した。全ての非標識化化合物をOpti-MEM中に300μlの体積にて以下の濃度で溶解させた:0、0.5、1、2.5、5、10、25、50、100、500、1000及び5000nM。引き続いて、3μlの放射標識化化合物を添加した。50μlのこの混合物を採取して、0.75nM濃度の放射標識化リガンドを得た。37℃での45分のインキュベーション後、細胞をPBSでマルチスクリーン真空マニホールド(Millipore、Billerica、MA)上で2回洗浄し、細胞結合放射活性をガンマカウンター(Packard Cobra II、GMI、Minnesota、USA)で測定した。参照として68Ga-標識化PSMA-HBED-CC二量体(即ち、PSMA-11)を使用して、阻害効力を決定した。非線形回帰アルゴリズム(Graph Pad Prism 5.01ソフトウェア)を使用して、Kiを算出した。実験は、四重反復で行った。
【0165】
特定の内部移行率の決定のため、24ウェルプレートを20分間PBS中0.1%のポリ-L-リジンで室温にてインキュベートし、PBSで1回洗浄した。次のステップにおいて、1×105のC4-2細胞を含有するRPMI培地1mlを各ウェルに添加し、終夜インキュベートした。各化合物についての実験中の条件は以下であった: 500μMの最終濃度で、2-(ホスホノメチル)ペンタン二酸(2-PMPA、Axxora)を介して遮断する受容体の有無における、37℃又は4℃でのインキュベーション。その後、細胞を標識化化合物の30nM溶液250μlでインキュベートした。プレートを水浴中にて37℃で又は氷上にて4℃でのいずれかで45分間インキュベートした。引き続いて、細胞を1mLの氷冷PBSで3回洗浄し、0.5mlのグリシン(HCl中50mM、pH2.8)で5分間インキュベートした。1mLの氷冷PBSを用いる追加の洗浄ステップ後、細胞を0.5mlの0.3M NaOHで溶解し、収集し、放射活性をガンマ-カウンターで1分間測定した。特定の細胞取り込みを、106の細胞(%IA/106の細胞)に結合された初期添加放射活性の百分率として、遮断条件下におけるそれぞれの取り込みの減算によって決定した。全ての実験を三重反復で行った。
【0166】
結果は
図3に示されている。K
i決定は、PSMAに対する合成リガンドのナノモル結合親和性を示した。
【0167】
203Pb標識化化合物について、化合物CA009及びCA012は、PSMAを阻害するための最も高い親和性を明らかにした。さらに、203Pb標識化化合物CA009及びCA012は、PSMA陽性細胞株における特定の内部移行の高い速度を示した。化合物203Pb-CA009及び203Pb-CA012は、注射された活性/106のC4-2細胞(n=3)について最大28.36±2.23及び7.33±1.26の内部移行率を示した。
【0168】
図3の表に示されている通り、Cu標識化リガンドについて、例えばCA003は、PSMAに対する特に高い親和性を明らかにし、その後にCA006、CA002及びCA026が続いた。さらに、
64Cu標識化化合物は、C4-2細胞への特異的結合を示した。
64Cu-CA003の34.63±2.77%、
64Cu-CA005の18.63±4.46%及び
64Cu-CA022の38.7±6.69%が内部移行された(n=3)。10
6のC4-2細胞をこれらの実験のために使用した。
【0169】
さらに、例えばGa標識化リガンドについてのK
i決定の結果は、例えばPSMAに対する合成リガンドのナノモル結合親和性を明らかにした。
図3に示されている通り、全ての新たな化合物の中で、CA030は特に有利な特性を示した。
【0170】
VI.1.2 血清安定性
VI.1.2.1 203Pb標識化化合物の血清安定性
放射標識化化合物の安定性を、300μlのヒト血清中にて37℃で1h、2h、3h、6h、24h、48h及び72時間後のインキュベーションによって決定した。血清を2部のアセトニトリルの添加によって沈殿させた。引き続いて、試料をボルテックスし、5分間13,000rpmで(2回)遠心分離し、上澄みを放射性HPLC(5分で0~100%のMeCN、Monolithカラム)によって分析した。
【0171】
全ての化合物は、少なくとも48hの間ヒト血清中にて高い安定性を示した。CA011及びCA012は、特に有利な安定性を示し、少なくとも72hの間安定であった。
【0172】
VI.1.2.2 68Ga、177Lu及び64Cu標識化化合物の血清安定性
化合物の放射標識化の後、血清安定性をiTLC及びHPLC分析によって決定した。50μl(20MBq)の標識化リガンドを200μLのヒト血清(H4522、Sigma-Aldrich、Germany)に添加し、37℃で異なる時点(0、2h、24h、48h及び72h)でインキュベートした。iTLC-SG-ガラスマイクロ繊維クロマトグラフィー紙(Folsom、California USA)の0.5×5cmのストリップを使用した。血清中の放射標識化化合物0.5μLを、底(起点)から1cmで各ストリップに適用し、溶媒(クエン酸ナトリウム緩衝液、177Luリガンドの場合において(0.5M、pH=5.0)、Cu標識化リガンドの場合において(1% Na-EDTA、pH=4))先端(front)が底から5cmまで上がるようにした。最終的に、各ストリップを8片にカットし、各片をガンマ-カウンター中で測定した。HPLC分析のため、等体積のACNを試料に添加して、血清タンパク質を沈殿させた。引き続いて、試料を10分間13,000rpmで遠心分離し、ペレット及び上澄みを分離させ、相対的活性を測定した。結果は、パーセントとして表されている。加えて、上澄みのアリコートを放射性HPLC(5分で0~100%のACN、Monolithカラム)によって、2mL/分の流量で分析した。
【0173】
68Ga及び
177Luで放射標識化された化合物の安定性試験の結果は、
図16に示されている。HPLC及び放射性TLCによって示されている通り、
68Ga標識化化合物は、ヒト血清における2hの間のインキュベーション後に分解を示さなかった。
177Lu-CA028は、24hの間のインキュベーション後に40%の遊離
177Luを示し、他方、CA029、CA030及び参照化合物PSMA-617は、この時点で遊離活性を明らかにしなかった(
図16)。
【0174】
64Cu標識化化合物の安定性試験の結果は、
図17及び
図18に示されている。2hのインキュベーションまで、ITLCは、全ての化合物が2±0.6%未満の程度のみ解離することを示した。24hのインキュベーション後、
64Cu-CA003の6±4%及び
64Cu-CA006の3±1%のみが解離されることが見出された。対照的に、
64Cu-PSMA-617は、遊離
64Cu活性の13±3%を示した。長期の安定性検査(72h)は、
64Cu-CA006(8±4%)が
64Cu-CA003(11±3%)に匹敵する安定性を有することを示した。この時点で、
64Cu-PSMA-617の18±6%が解離されることが見出された。2hの間のインキュベーション後、ペレットにおける活性測定(
図18)は、
64Cu-CA003の19.0±5.2%、
64Cu-CA006の12±7.2%及び
64Cu-PSMA-617の40±7.5%がタンパク質画分とともに沈殿したことを明らかにした。ペレットにおける活性の百分率は、経時的に増加した。活性の最も高い量は
64Cu-PSMA-617のペレットにおいて測定され、その後に
64Cu-CA003が続き、より少ない活性が、
64Cu-CA006について沈殿することが見出された。
【0175】
VI.2 インビボ実験
ドイツ連邦共和国の法律に従って、インビボ実験を実施した。PET画像化及び体内分布研究のため、雄性ヌードマウス(Balb/c nu/nuマウス)(19~23g)をCharles Riverから4~5週齢で得、特定病原体フリー条件下で、研究の前に1週間保持した。マウスを12時間/12時間の明/暗サイクルで収容し、水及び食物へ自由にアクセスさせた。マウスに2%セボフルランで麻酔し、Opti-MEM I(1×)培地中50%のマトリゲルにおける5×107のC4-2細胞を右躯幹上の皮下に接種した。腫瘍のサイズがおよそ1cm3になった場合、臓器分布研究を行った。
【0176】
VI.2.1 鉛標識化化合物:
VI.2.1 シンチグラフィー画像化及び体内分布
小動物画像化のため、マウスに2%セボフルランで麻酔した。0.1nmol(1.0MBq)の203Pb-リガンドを尾静脈に注射した。ガンマイメージャSCT(Biospace Lab、Paris、France)を使用し、平行コリメータ(35mm/1.8mm/0.2mm)を用いて、10分、1h、4h、24h及び72h後に、連続平面走査を行った。画像化結果に基づき、化合物CA012を体内分布研究のために選択した。実験は三重反復で行った。
【0177】
【0178】
VI.2.2 64Cu標識化化合物:
VI.2.2 a) 64Cu-塩化物及び64Cu-CA003の血液及びインビボ運命における安定性
インビボでの64Cu標識化CA003の安定性をITLC及びHPLCによって決定した。腫瘍を有していない雄性BALB/cヌードマウス(n=3)に、尾静脈を介して64Cu-CA003(3.6MBq、0.26nmol、総体積のおよそ100μlの0.9%生理食塩水中に溶解させた)を注射し、800μlの血液を注射の10分後に回収した。血液試料を10分間13,000rpmで遠心分離した。引き続いて、ペレット及び上澄みを分離させ、相対的活性を決定した。ITLCを行って、上に記載されている通りに血液中の放射標識化化合物の安定性を査定した。さらに、等体積のACNの添加及び遠心分離によるタンパク質の除去の後に、上澄みのアリコートを放射性HPLC(5分で0~100%のACN、Monolithカラム)によって、2mL/分の流量で分析した。
【0179】
インビボの代謝化を放射性HPLC分析によって研究した。腫瘍を有していない雌性Swissマウス(n=3)に、尾静脈を介して、64Cu-塩化物(0.9%生理食塩水およそ100μL中10MBq)又は64Cu-CA003(9MBq、0.9%生理食塩水およそ100μL中0.30nmol)を注射した。PET画像化を注射の10分後に行い、引き続いて、血液、肝臓及び腎臓を回収した。組織を予備冷却生理食塩水ですすぎ、ブロット乾燥し、2mLの0.1M NH4OAc/EtOH(35:65)で処置した。Ultra-Turrax T8(IKA Labortechnik、Germany)を使用して、組織をホモジナイズした。試料を10分間13,000rpmで(4℃)遠心分離した。引き続いて、ペレット及び上澄みを分離させ、相対的活性を測定した。結果は、パーセントとして表されている。追加として、上澄みのアリコートを、上に記載されている通りにACNでのタンパク質の沈殿によって、HPLC測定のために調製した。試料を放射性HPLC(5分で0~100%のACN、Monolithカラム)によって、2mL/分の流量で分析した。画分をクロマトグラフィーの過程全体にわたって10秒毎に収集し、試料の相対的活性をガンマ-カウンター中で測定して、クロマトグラムを再構築した。
【0180】
血液安定性のITLC結果は、
64Cu-CA003が3%の
64Cu解離又は97±2.3%のインタクトなトレーサーを受けることを示した(
図19を参照されたい)。放射性HPLCクロマトグラムは、同様に、銅錯体の完全性を確認する(
図20を参照されたい)。
64Cu-塩化物又は
64Cu-CA003研究のインビボ運命を行い、
64Cu-塩化物及び
64Cu-CA003のPET画像化は、異なる薬物動態を示した(
図S21)。
64Cu-塩化物の最大強度投射PET画像化は、より低い血液循環(1.3)、高い肝臓(2.7)及び腎臓取り込み(3.4)を示した。他方で、
64Cu-CA003は、
64Cu-塩化物よりも長い血液循環(2.3)、高い腎臓(5.7)取り込み及び低い肝臓蓄積(1.0)を実証した(
図28)。
64Cu-CA003の完全性は、腎臓、血液及び肝臓の組織抽出物の放射性HPLCクロマトグラムによって証明された(
図19)。
64Cu-CA003についてのクロマトグラムは、遊離銅、
64Cu-塩化物と異なるトレーサー保持時間を示した(
図20)。
【0181】
VI.2.2 b) 臓器分布実験(
64Cuリガンド)及び小動物PET
PET画像化の結果に基づき、C4-2腫瘍保有マウスを使用する体内分布分析のためにCA003及びCA023を選択した。実験を三重反復で行った。0.025nmolの
64Cu標識化化合物(0.9%生理食塩水およそ100μl中、1マウス当たり1MBq)を尾静脈注射によって投与した。10分、1h、4h、24h及び72hの時点で、臓器を解剖し、秤量し、γ-カウンター(Packard Cobra Auto-gamma)を使用して活性を測定した。1グラム当たりの注射用量の百分率(% ID/g)を算出した。(
図6A、6Bを参照されたい)
【0182】
これに加えて、1hでPSMA結合を遮断するためのPSMA-617の同時の投与を用いる実験(n=3)が表されている(
図6C及び6D)。
【0183】
様々な64Cu標識化PSMAリガンドを、0.9%生理食塩水およそ100μl中10MBq、0.2nmolで用いる小動物PET画像化のため、放射標識化化合物をC4-2腫瘍保有マウス中に注射した。動的PETを小動物PETスキャナー(Siemens Inveon D-PET、Malvern、PA USA)中で記録した。SUV値を従来の(非動的)PET画像から得た。SUVのための式は以下であった:
【0184】
【0185】
関心体積(VOI)を、適切な全体の組織(心臓、腎臓、膀胱、腫瘍-100~500μlのおよその体積を有する)、又は組織肝臓及び筋肉の部分の手動描写によって得た。手順: 16のサブセット、2回の繰り返しでOSEM 3D/SP MAP及び画像x-yサイズ: 256、画像zサイズ: 161に基づき、画像を再構築した。データを後処理フィルターで修正しなかった。画像及びTACを分析するために使用されたソフトウェアは、Siemens IRW 4.1からのInveon(商標) Acquisition Workplace(IAW)であった。動的PET走査を注射の0~60分後に行い、画像を視覚ディスプレイのために20分の3つの時間枠(0~20分、20~40分及び40~60分)において再構築した。長い保持を示した一部の化合物について、
図2/
図3及び表S1+S2に示されている通りに後期の時点(2h、4h、20h、45/48h)を含んだ。1h後、静的PET走査を生成した。異なる放射性トレーサーを比較するために、平均SUVを、経時的にプロットした。
【0186】
PSMAリガンド
64Cu-CA003(n=3)の体内分布について得られた結果は、
図6A~6Dに示されている。注射の10分後、11.33±4.11%ID/g腫瘍取り込みが観察される。4h後、腫瘍におけるトレーサー蓄積の量(32.34±10.6% ID/g)は、腎臓における(13.33±3.36% ID/g)よりもはるかに高い。動的PET画像化から生成された時間活性曲線は、注射後1hでの腫瘍対血液について10.5及び3.0の腫瘍対筋肉比を示しており、以下の表VI.2.2b_1を参照されたい:
【0187】
【0188】
これらの曲線は、急速な腎取り込みを実証した。臓器分布研究は、1hでの高い腎臓取り込み(67.04±20.89% ID/g)が24h以内に大きく排除される(7.48±8.51% ID/g)ことを示した。対照的に、高い腫瘍取り込み値(1h p.i.で30.83±12.61% ID/g)は、ほぼ一定のままであった(24h p.i.で19.99±6.43% ID/g)。PET画像化は、腫瘍における放射性トレーサーの強い蓄積を確認した(
図4)。注射後1hで、背景臓器、例えば腎臓における放射活性の量は減少し、他方、腫瘍対背景比は増加した。注射の24h後、PET走査は、腫瘍における富化を確認する非常に高い腫瘍取り込みを実証した。
【0189】
PSMAへの結合の特異性は、遮断実験で証明された:非標識化PSMA-617[2mg/kg]の共注射は、注射後1hで、C4-2腫瘍において(30.83±12.61% ID/gから2.35±0.38% ID/g)及び腎臓において(67.04±20.89% ID/gから3.47±0.48% ID/g)
64Cu-CA003の蓄積の強い減少に至った。過剰の非標識化PSMAを有する
64Cu-CA003のPET画像化(
図6C/6D)は、体内分布結果を明らかに確認した。
【0190】
動的PET画像化から生成された時間活性曲線は、注射後1hで、腫瘍対血液について10.5及び3.0の腫瘍対筋肉比を示した(表S1)。これらの曲線は、急速な腎取り込みを実証した。臓器分布研究(
図6A)は、1hでの高い腎臓取り込み(67.04±20.89% ID/g)が24h以内に大きく排除された(7.48±8.51% ID/g)ことを示した。対照的に、高い腫瘍取り込み値(1h p.i.で30.83±12.61% ID/g)は、ほぼ一定のままであった(24h p.i.で19.99±6.43% ID/g)。PET画像化は、腫瘍における放射性トレーサーの強い蓄積を確認した(
図4)。注射後1hで、背景臓器、例えば腎臓における放射活性の量は減少し、他方、腫瘍対背景比は増加した。注射の24h後、PET走査は、腫瘍における富化を確認する非常に高い腫瘍取り込みを実証した。高い腫瘍蓄積は長い時点で、即ち、注射後45hで保持された(
図4)。
【0191】
IV.2.2 c) インビボにおける
64Cu-PSMA-CA003と
64Cu-PSMA-617及び
64Cu-塩化物との比較
PSMA-CA003の銅錯体のインビボ安定性を証明するために、
64Cu-PSMA-CA003を
64Cu-PSMA-617と並びに
64Cu-塩化物と比較した(
図20)。化合物を小動物PET研究においてC4-2腫瘍異種移植片中で研究した。結果は
図3に示されている。
64Cu-CA003について動的PETから得られた時間活性曲線は、注射後1hで高い腫瘍対肝臓比(4.0)を示し、他方、
64Cu-PSMA-617について、腫瘍対肝臓比は0.37であった(
図20/21及び表S1/S2)。
【0192】
【0193】
腫瘍に取り込まれる種が、実際に
64Cu-CA003であり、遊離
64Cuではないことを証明するため、C4-2腫瘍保有マウスにおいて行われた
64Cu-塩化物のPET画像化(
図20/21)の後に、それぞれの組織の均質化、抽出及び後続のHPLC分析を行った。
64Cu-塩化物について観察された薬物動態は、
64Cu-CA003のものと異なる。最大強度投射での
64Cu-塩化物のPET画像化は、注射後の最大2hの増加する腫瘍取り込みを明らかにする。
64Cu-CA003と対照的に、
64Cu-塩化物は、非常に高い肝臓蓄積を示した(
図20/21)。
64Cu-塩化物に対して2hでの腫瘍対肝臓比は0.38であり、他方、
64Cu-CA003の腫瘍対肝臓比は6.3であった。
【0194】
注射の1h後、
68Ga-CA028の動的PET画像化から発生される時間活性曲線及び平均SUV体重値は、0.78の腫瘍対腎臓比を実証した。2hで、この比は3.0に増加され(
図15、及び表S1.1)、一方、リガンド
68Ga-CA030及び
68Ga-CA029は、それぞれ0.52及び0.33の、より低い腫瘍対腎臓比を示した(
図3、25及び23)。
【0195】
【0196】
時間-活性曲線は、トレーサーの速いクリアランスを明らかにし、
68Ga-CA028は、高い腫瘍蓄積及び高い腎臓値を示した。対照的に、
68Ga-CA027について、腫瘍蓄積での腎臓によるより速いクリアランスが見出された(
図22)。
68Ga-CA030は、
68Ga-CA028よりも高い腎臓取り込み値を実証したとしても、それは、全ての化合物の中で最も高い腫瘍取り込みを示した(
図15C)。小動物PET画像は、
68Ga-CA027の非常に速い腎臓クリアランス及び低い腫瘍蓄積を実証した。明確に、放射性トレーサー
68Ga-CA028、
68Ga-CA029及び
68Ga-CA030は、高い腫瘍蓄積を示した(
図27B)。
68Ga-CA029は、最も高い腎臓取り込みを示し、その後に
68Ga-CA030が続いた(
図27A)。
【0197】
VII. 第1の患者におけるヒト内研究
VII.1
64Cu-PSMA-CA003を用いるPET
図7に示されている前立腺がん患者のPET画像化は、有効なドイツ法律に従ってUniversity Hospital Heidelbergによって同意され、ヘルシンキ宣言により承諾された(認可S321/2012)。
【0198】
第1のヒト内研究を200MBqの
64Cu-PSMA-CA003で行った。第1のPET画像化は、
図7に示されており、高レベルの前立腺特異的膜抗原を有する患者の画像化を示す。患者が、主な腫瘍が局在化されている右肩上で、特に多発性リンパ節転移を介して転移段階におけるPCaを患ったことは、明らかに明白である。
【0199】
新たな銅リガンドを用いて、銅同位体のための薬物動態及び腫瘍標的化の大幅な改善が観察された。インビトロでの64Cuを用いるPSMA-617の高い標識化収率(>99%)にもかかわらず、高い肝臓取り込みの発生とともに不十分なインビボ安定性が観察された(Cui C、Hanyu M、Hatori Aら、Synthesis and evaluation of [(64)Cu]PSMA-617 targeted for prostate-specific membrane antigen in prostate cancer。Am J Nucl Med Mol Imaging。2017;7:40~52)。
【0200】
新規64Cu標識化PSMAリガンドは、小動物PET研究、臓器分布及び第1のヒト内適用による前臨床評価に示されている通り、PSMAを標的化し、PSMA陽性腫瘍病変を可視化するための有望な薬剤である。
【0201】
64Cu-PSMA-CA003リガンドを用いての患者における画像化は、臨床研究におけるその変換の成功を実証した。
【0202】
VII.2 203Pb-CA012を用いる実験
去勢抵抗性転移前立腺がんを有する2人の患者は、平面全身走査(GE Hawkeye Millennium、1"結晶、ME-コリメータ、279keVピーク+/-10%、8cm/分)を、それぞれ、258及び310MBqの203Pb-CA012の注射後0.4h、4h、18h、28h及び42hで受けた。画像をQDOSE線量測定ソフトウェア一式(ABX-CRO、Dresden)にロードし、共記載した。最も適当な時点における最大閾値(15~65%)の臓器依存性百分率を使用して、腎臓、肝臓、脾臓、膀胱、唾液腺(耳下腺及び顎下腺の左右両方)及びいくつかの腫瘍病変、並びに全身の関心領域(ROI)をセグメントし、追加の臓器ベースの自動厳格同時登録ステップを行って全ての他の時点に広めた。これらのROIを使用して、各臓器、腫瘍及び全身についての時間-活性曲線(TAC)を決定した。未補正相乗平均画像の第1の時点(排尿前)を使用して、ROIカウント数を、注射された活性(MBq)に較正した。確立したモデル想定を使用して、赤色骨髄TACを静脈血液(6試料/患者)から算出した[Shen, S.、Meredith, R.F.、Duan, J.、Macey, D.J.、Khazaeli, M.B.、Robert, F.、LoBuglio, A.F.: Improved Prediction of Myelotoxicity Using a Patient-Specific Imaging Dose Estimate for Non-Marrow-Targeting 90Y-Antibody Therapy。J Nucl Med、43: 1245~1253、2002。Sgouros, G. Bone Marrow Dosimetry for Radioimmunotherapy: Theoretical Considerations。J Nucl Med、34: 689~694、1993]。
【0203】
供給源同位体の物理的崩壊について全ての時点を自動的に補正して、その生物学的クリアランスのみを残し、次いで交換放射性核種の物理的崩壊が適用される、QDOSEの交換核種機能を使用して、203Pbデータから誘導された全てのTACを再算出した。
【0204】
双指数関数的曲線フィッティングを全ての臓器TAC(一指数関数的にフィットさせなければならなかった少数の腫瘍及び腺を除く)に適用した。0から第1の測定時点まで、台形近似値を使用して第1から最終測定時点までを数値的に、及びフィット機能を使用して最終測定時点から無限までの線形増加を想定して、累積活性を統合した。全身から全ての供給源臓器を減算することによって、残りの身体を算出した。男性成人ファントムの臓器質量を使用して、腎臓、肝臓、脾臓、膀胱内容物、赤色骨髄及び残りの身体の残留時間をOLINDA 1.1において用量算出についてエクスポートした[Stabin, M. G.、Sparks, R.B.、Crowe, E. OLINDA/EXM: the second-generation personal computer software for internal dose assessment in nuclear medicine。J Nucl Med、46(6):1023~1027、2005]。
【0205】
潜在的な治療用核種212Pbは、212Bi、212Po及び208Tlにさらに崩壊する。娘核種が、親核種の崩壊及び212Pbとその娘との間の過渡平衡の部位で残存すると想定して、212Pbと同じ残留時間を娘核種に適用した。全ての核種について個々にOLINDA算出を行った。分岐比に従って212Poについては64.07%及び208Tlについては35.93%の重み付け因子を使用して、それぞれの崩壊ステップを合計した。医療内部被ばく線量委員会及び米国エネルギー省からの提言に従って[Sgouros G、Roeske JC、McDevitt MRら、MIRDパンフレット22号(要約): radiobiology and dosimetry of alpha-particle emitters for targeted radionuclide therapy。J Nucl Med. 2010;51:311~28。Feinendegen LE、McClure JJ.会議報告: alpha-emitters for medical therapy-workshop of the United States Department of Energy、Denver、Colorado、1996年5月30~31日。Radiat Res. 1997;148:195~201]、アルファについては5、並びにベータ及び光子放射線については1の重み付け因子を使用して、物理的な吸収線量を等価線量に変換した。したがって、決定論的な放射線効果に関する相対的生物学的有効性の反映は、治療的設定における主要な因子と考えられる。個々にCT-セグメント化に基づいて、腫瘍及び唾液腺体積を測定し、球状モデル推定値を補間する検出力関数を使用することによって、それらの吸収線量を概算した[Stabin, M. G.、Konijnenberg, M. Re-evaluation of Absorbed Fractions for Photons and Electrons in Small Spheres。J Nucl Med、41: 149~160、2000]。
【0206】
患者の
203Pb画像化データ
258~310MBqの注射活性を用いて、80%存在確率で
203Pbから放出された279keVガンマ線は、明瞭な平面走査を得るのに十分であることが見出された(
図10)。これらの走査は、鉛同位体で標識化されたトレーサーが標的組織において特異的に富化することを示す。その結果として、方法は、意図される用途のために鉛の同位体を使用するための成功アプローチを提供する。
(腫瘍保有マウスにおける
203Pb-PSMA-CA012の臓器分布は、
図11の表に示されている)
【0207】
VII.3 線量測定推定値
203Pb-CA012
線量測定推定値
診断用
203Pb-CA012についての線量測定推定値は、
図11の表の左カラムに示されている。全ての臓器吸収線量は、光子によって占められており(279keVで一次放出)、低確率放出は、要するに、全ての臓器においてそれぞれ<10%寄与する。例えば個々の線量測定予測について、250~300MBqを用いる典型的な臨床検査は、6.0~7.5mSvの放射線負荷に変換する。
【0208】
212Pbから安定な
208Pbへの崩壊中、ポロニウム又はタリウム分枝によるかどうかにかかわらず、1原子当たり、2つのベータ及び1つのアルファ粒子が放出される。治療的
212Pb-CA012についての安全性線量測定概算は、完全な後続の崩壊系列を考慮して、
図11の右カラムに表されている。アルファについてはRBE=5並びにベータ及びガンマ放射線についてはRBE=1を想定して、治療的
212Pb-CA012についての等価線量は、96.4%のアルファ、2.2%のベータ及び1.4%のガンマ寄与からなる。注目すべきことに:
203Pbによって直接的にトレースされる
212Pbの初期ベータ崩壊は、合計の等価線量に1%未満寄与し、等価線量の99%は、後続の娘核種から生じる。
【0209】
OLINDA臓器の中で、腎臓及び赤色骨髄は、球状モデルを使用して査定した唾液腺と一緒に、用量制限性であり得る。放射性医薬品の治療的範囲は、腫瘍用量と用量制限臓器との間の比によって定義されている。最も関連する線量測定情報は、
図12において、要約され、他のPSMA標的化アルファ治療と比較されている。
【0210】
VII.4 ヒトのPET走査 68Ga-CA028及び68Ga-CA030
CA028放射線線量測定のための方法をAfshar-Oromiehら、2015において以前に記載されている通りに行った(Afshar-Oromieh A、Hetzheim H、Kratochwil Cら、The Theranostic PSMA Ligand PSMA-617 in the Diagnosis of Prostate Cancer by PET/CT: Biodistribution in Humans, Radiation Dosimetry, and First Evaluation of Tumor Lesions。J Nucl Med. 2015;56:1697~1705)。
【0211】
それぞれ静脈内を介して適用された
68Ga-CA028及び
68Ga-CA030を用いて(患者当たり339MBq/20nmolの
68Ga-CA028又は295MBq/20nmolの
68Ga-CA030のいずれか)、画像を得た。注射の1h及び3h後の時点で、
68Ga-CA028の診断用検査を行った。(
図14を参照されたい)
【0212】
それぞれ患者当たり339MBq/20nmolの68Ga-CA028又は295MBq/20nmolの68Ga-CA030の肘前注射の1h及び3h後に、診断用PSMA-PET/CT検査を行った。体内分布を査定する方法を、Afshar-Oromiehらによって以前に記載されている通りに行った(Afshar-Oromieh A、Hetzheim H、Kratochwil Cら、The Theranostic PSMA Ligand PSMA-617 in the Diagnosis of Prostate Cancer by PET/CT: Biodistribution in Humans, Radiation Dosimetry, and First Evaluation of Tumor Lesions。J Nucl Med. 2015;56:1697~1705)。臨床的な標準的なソフトウェアSyngo(Siemens)を用いて、供給源臓器の活性分布を決定し、これを使用して、PET画像におけるVOIを定義した。Afshar-Oromiehらのこの参照は、68Ga-PSMA-617のための参照標準としても使用した。
【0213】
68Ga-CA028及び
68Ga-CA030の臨床的適用性を証明するために、第1の患者におけるPET/CT画像化を行った。結果として得られた画像は、
図13A及び
図13Bに例示されている。
68Ga-CA028及び
68Ga-CA030を用いる画像化は、インビトロにおいて及び動物モデルにおいて得られた結果を確認した。PET走査及びSUVを、標準的なスキャナー設定で獲得し、純粋なポジトロンエミッターについて較正した(Wadas TJ、Pandya DN、Solingapuram Sai KK、Mintz A. Molecular targeted alpha-particle therapy for oncologic applications。AJR Am J Roentgenol。2014;203:253~260)。注射後1h対3hで得られたSUV値は、以下の表に示されている。これらの値によって反映されている通り、腫瘍における高い及び安定な蓄積が達成される。
【0214】
【表5】
本発明は、以下の実施形態を包含する。
(実施形態1)
式(1)
【化68】
[式中、
Y
3
はO又はSであり、
s、t、u及びwは互いに独立して、0又は1であり、
iは1~3の整数であり、
jは3~5の整数であり、
Z
1
、Z
2
及びZ
3
は互いに独立して、-CO
2
H、-SO
2
H、-SO
3
H、-OSO
3
H及び-OPO
3
H
2
からなる群から選択され、
R
1
は-CH
3
又はH、好ましくはHであり、
Xは、場合により置換されているアルキルアリール(-アルキル-アリール)、アリール、アルキルヘテロアリール(-アルキル-ヘテロアリール)及びヘテロアリールからなる群から選択され、
Y
1
及びY
2
は互いに独立して、場合により置換されているアリール、アルキルアリール(-アルキル-アリール-)、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール及びアルキルヘテロアリール(-アルキル-ヘテロアリール)からなる群から選択され、
Aは、(Ia)、(Ib)及び(Ic)
【化69】
(式中、R
2
、R
3
、R
4
及びR
5
は互いに独立して、H、-CH
2
-COOH及び-CH
2
-C(=O)-NH
2
からなる群から選択されるか、又はR
2
及びR
4
は-(CH
2
)
n
-架橋を形成し、nは1~3の整数であり、nは好ましくは2であり、r、v及びqは互いに独立して、0又は1であり、
但し、u及びwが0である場合、q及びvは0である)
からなる群から選択される構造を有するキレート剤残基であり、
(A)u及びwは1であるか、又は
(B)uは0であり、wは1であり、Aは(Ia)若しくは(Ib)から選択されるか、又は
(C)Aは、
【化70】
ではない]
の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
(実施形態2)
Xが、場合により置換されているフェニル、ビフェニル、インドリル及びベンゾチアゾリルからなる群から選択される残基を含み、より好ましくはXが、
【化71】
からなる群から選択され、好ましくはXが
【化72】
である、実施形態1に記載の化合物。
(実施形態3)
Z
1
、Z
2
及びZ
3
が-CO
2
Hであり、R
1
がHである、実施形態1又は2に記載の化合物。
(実施形態4)
Y
1
が
【化73】
である、実施形態1から3のいずれか一項に記載の化合物。
(実施形態5)
iが2であり、jが4であり、好ましくは構造(1a)
【化74】
を有する、実施形態1から4のいずれか一項に記載の化合物。
(実施形態6)
u及びwが1であり、Y
3
がSであり、Y
2
が
【化75】
であり、R
6
、R
7
、R
8
及びR
9
は互いに独立して、H又はアルキル、好ましくはHである、実施形態1から5のいずれか一項に記載の化合物。
(実施形態7)
Aが、
【化76】
からなる群から選択されるキレート剤である、実施形態6に記載の化合物。
(実施形態8)
uが0であり、wが1であり、Aが(Ia)又は(Ib)から選択される、実施形態1から5のいずれか一項に記載の化合物。
(実施形態9)
Y
2
が
【化77】
であり、R
6
、R
7
、R
8
及びR
9
は互いに独立して、H又はアルキル、好ましくはHである、実施形態8に記載の化合物。
(実施形態10)
Aが、
【化78】
からなる群から選択される、実施形態8又は9に記載の化合物。
(実施形態11)
(a)放射性核種、及び
(b)実施形態1から10のいずれか一項の化合物又はその塩
を含む錯体。
(実施形態12)
放射性核種が、
89
Zr、
44
Sc、
111
In、
90
Y、
66
Ga、
67
Ga、
68
Ga、
177
Lu、
99m
Tc、
60
Cu、
61
Cu、
62
Cu、
64
Cu、
66
Cu、
67
Cu、
149
Tb、
152
Tb、
155
Tb、
161
Tb、
153
Sm、
153
Gd、
155
Gd、
157
Gd、
213
Bi、
225
Ac、
230
U、
223
Ra、
165
Er、Feの放射性核種及びPbの放射性核種からなる群から選択される、実施形態11に記載の錯体。
(実施形態13)
放射性核種が鉛(Pb)の放射活性核種であり、Aが
【化79】
である、実施形態11に記載の錯体。
(実施形態14)
放射性核種が銅の放射活性核種であり、Aが
【化80】
である、実施形態11に記載の錯体。
(実施形態15)
実施形態1から10のいずれか一項に記載の化合物又は実施形態11から14のいずれか一項に記載の錯体を含む医薬組成物。
(実施形態16)
PSMA発現がん及び/若しくはその転移、特に前立腺がん及び/若しくはその転移を処置、寛解若しくは防止することにおける使用のための、又は診断薬における使用のための、実施形態1から10のいずれか一項に記載の化合物、又は実施形態11から14のいずれか一項に記載の錯体、又は実施形態15に記載の医薬組成物。