(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】外部ソースへ送信されるデータ量を変化させるためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G16H 40/63 20180101AFI20240610BHJP
A61M 16/00 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
G16H40/63
A61M16/00 305A
(21)【出願番号】P 2021524405
(86)(22)【出願日】2019-10-31
(86)【国際出願番号】 US2019059047
(87)【国際公開番号】W WO2020092701
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-10-21
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521191403
【氏名又は名称】レズメド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケネディ、コリン ブラッドリー
(72)【発明者】
【氏名】ナスワニ、リアーナ
(72)【発明者】
【氏名】レン、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ショルディス、レドモンド
【審査官】甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-527868(JP,A)
【文献】特表2014-516626(JP,A)
【文献】特開2017-221678(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0194762(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61M 11/00-19/00
A61B 5/00- 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸圧力治療(RPT)デバイスである患者治療デバイスであって、
コントローラと、
患者へ送達されるRPTセッションからの治療データを保存するメモリであって、RPTセッションについての前記治療データは、前記RPTデバイスの設定と、前記RPTセッション全体における前記RPTの1つ以上の変数を示す治療変数データとを含む、メモリと、
センサであって、前記センサは、患者からデータを収集するように構成され、前記収集されたデータは前記メモリ中に保存され、前記収集されたデータは、低解像度データおよび高解像度データを含む、センサと、
送信器であって、前記送信器は、低解像度データまたは高解像度データを外部システムへ送るように前記コントローラによって制御され、前記高解像度データは、前記低解像度データに基づいて検出されたイベントの発生に基づいて送信される、送信器と、を含む、患者治療デバイス。
【請求項2】
前記センサは、流量センサまたは圧力センサのうちの1つである、請求項
1に記載の患者治療デバイス。
【請求項3】
前記外部システムはデータサーバを含み、前記RPTデバイスがプルモデル(pull
model)に従って前記データを送信すると、前記RPTデバイスが前記データサーバからのクエリに応答して前記データを送信し、あるいは、前記RPTデバイスがプッシュモデル(push model)に従って前記データを送信すると、前記RPTデバイスは、RPTセッション後に前記データを前記データサーバへ送信する、請求項
1に記載の患者治療デバイス。
【請求項4】
前記外部システムはデータサーバを含み、前記患者治療デバイスは、前記データを患者コンピューティングデバイスを介して前記データサーバへ送信するように構成され
ている、請求項1に記載の患者治療デバイス。
【請求項5】
前記データサーバは、前記患者が前記患者コンピューティングデバイスの患者プログラムへ入力したデータを受信するようにさらに構成される、請求項
4に記載の患者治療デバイス。
【請求項6】
前記外部システムは、パーソナルコンピュータ、携帯電話、タブレットまたは遠隔制御器である、請求項1に記載の患者治療デバイス。
【請求項7】
前記外部システムは、
各々が治療データを生成する複数の患者治療デバイスを含み、前記外部システムはデータサーバを含み、前記患者治療デバイスそれぞれから受信された前記治療データは、前記各患者治療デバイスと一意に関連付けられるように前記データサーバによってインデックス付けされる、請求項
3に記載の患者治療デバイス。
【請求項8】
前記イベントは
、前記収集された
低解像度データの長期分析に基づく、請求項1に記載の患者治療デバイス。
【請求項9】
患者治療デバイスであって、
コントローラと、
メモリと、
センサであって、前記センサは、患者からデータを収集するように構成され、前記収集されたデータは前記メモリ中に保存され、前記収集されたデータは、低解像度データおよび高解像度データを含む、センサと、
送信器であって、前記送信器は、低解像度データまたは高解像度データを外部システムへ送るように前記コントローラによって制御され、前記高解像度データは、前記低解像度データに基づいて検出されたイベントの発生に基づいて送信される、送信器と、を含み、
前記外部システムは健康分析エンジンを含み、前記健康分析エンジンは、前記検出されたイベントの重症度を決定することと、前記患者に対する応答的アクションを前記決定された重症度に基づいて調節することとを行うように動作可能である
、患者治療デバイス。
【請求項10】
前記患者治療デバイスの動作は、前記イベントに応答して調節される、請求項1に記載の患者治療デバイス。
【請求項11】
前記健康分析エンジンは、前記イベントの検出を検証するために、前記患者が入力した主観的入力データをリクエストするように動作可能である、請求項
9に記載の患者治療デバイス。
【請求項12】
前記低解像度データは、SpO2、パルスレート、呼吸イベント、治療圧力(IPAP)、ベース圧力(EPAP)、漏洩、毎分換気量、一回換気量、呼吸数、自発トリガパーセンテージ、自発サイクルパーセンテージ、I:E比、吸入器イベント、睡眠状態検出、口腔漏洩、最後の既知の再燃、呼吸困難、活性レベル、痰発生/色、咳、酸素送達レベル、呼吸形態、温度、湿度、空気品質、救護時の薬剤の使用、体温、ピーク呼気流量、FEV1および肺活量のデータ種類のいずれか1つまたは任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の患者治療デバイス。
【請求項13】
前記高解像度データは、呼吸流れ、圧力、トリガ/サイクルイベント、マスク圧力、IPAP、EPAP、漏洩、呼吸数、一回換気量、自発トリガパーセンテージ、自発サイクルパーセンテージ、I:E比、いびき、流れ制限、パルスレート、SpO2、吸気時間、最新の5呼吸の平均吸気時間、最新の5呼吸の平均呼気時間、咳、呼吸形態、活性レベル、ピーク呼気流量、FEV1、肺活量および睡眠状態検出のデータ種類のいずれか1つまたは任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の患者治療デバイス。
【請求項14】
患者治療デバイスから外部システムへの患者データの送信を変調する方法であって、前記患者治療デバイスは、
呼吸圧力治療(RPT)デバイスであって、患者へ連結されたセンサ
、メモリ、および送信器を含み、前記方法は、
前記センサからデータを収集すること
と、
患者へ送達されるRPTセッションからの治療データを前記メモリ中に保存することであって、RPTセッションについての前記治療データは、前記RPTデバイスの設定と、前記RPTセッション全体における前記RPTの1つ以上の変数を示す治療変数データとを含む、ことと、
前記センサによって収集されたデータに基づいて低解像度データを送信器を介して前記外部システムへ送ることと、
前記低解像度データに基づいてイベントの発生を決定することと、
前記イベントの発生の際、高解像度データを前記センサによって収集されたデータに基づいて前記外部システムへ送るように前記送信器を変更することと、を含む、方法。
【請求項15】
前記センサは、
前記呼吸圧力治療デバイスの内部または外部にある、請求項1
4に記載の方法。
【請求項16】
前記センサは、非接触センサである、請求項1
4に記載の方法。
【請求項17】
コントローラは、入力信号を前記センサから受信することと、出力信号を前記送信器へ提供することとを行うように構成される、請求項1
4に記載の方法。
【請求項18】
前記低解像度データおよび前記高解像度データは、前記コントローラによってサンプリングされ、前記低解像度データおよび高解像度データは、同一種類のデータである、請求項1
7に記載の方法。
【請求項19】
前記低解像度データのサンプリングは、1分あたり1回以下の頻度で行われ、前記高解像度データのサンプリングは、1分あたり1回を超える頻度で行われる、請求項
18に記
載の方法。
【請求項20】
前記高解像度データは、前記コントローラによって実行される規則エンジンを用いてトリガされる、請求項
17に記載の方法。
【請求項21】
前記低解像度データは、SpO2、パルスレート、呼吸イベント、治療圧力(IPAP)、ベース圧力(EPAP)、漏洩、毎分換気量、一回換気量、呼吸数、自発トリガパーセンテージ、自発サイクルパーセンテージ、I:E比、吸入器イベント、睡眠状態検出、口腔漏洩、最後の既知の再燃、呼吸困難、活性レベル、痰発生/色、咳、酸素送達レベル、呼吸形態、温度、湿度、空気品質、救護時の薬剤の使用、体温、ピーク呼気流量、FEV1および肺活量のデータ種類のいずれか1つまたは任意の組み合わせを含む、請求項1
4に記載の方法。
【請求項22】
前記高解像度データは、呼吸流れ、圧力、トリガ/サイクルイベント、マスク圧力、IPAP、EPAP、漏洩、呼吸数、一回換気量、自発トリガパーセンテージ、自発サイクルパーセンテージ、I:E比、いびき、流れ制限、パルスレート、SpO2、吸気時間、最新の5呼吸の平均吸気時間、最新の5呼吸の平均呼気時間、咳、呼吸形態、活性レベル、ピーク呼気流量、FEV1、肺活量および睡眠状態検出のデータ種類のいずれか1つまたは任意の組み合わせを含む、請求項1
4に記載の方法。
【請求項23】
前記呼吸圧力治療デバイスは、前処理モジュール、治療エンジンモジュールおよび治療制御モジュールを含み、前記データは、前記前処理モジュールまたは前記治療エンジンモジュールによって生成される、請求項1
4に記載の方法。
【請求項24】
前記低解像度データは、前記イベントの発生を前記外部システムによって実行される外部アプリケーションによって決定するために、分析される、請求項1
4に記載の方法。
【請求項25】
患者治療デバイスから外部システムへの患者データの送信を変調する方法であって、前記患者治療デバイスは、患者へ連結されたセンサおよび送信器を含み、前記方法は、
前記センサからデータを収集すること、
前記センサによって収集されたデータに基づいて低解像度データを送信器を介して前記外部システムへ送ることと、
前記低解像度データに基づいてイベントの発生を決定することと、
前記イベントの発生の際、高解像度データを前記センサによって収集されたデータに基づいて前記外部システムへ送るように前記送信器を変更することと、
前記外部システムの健康分析エンジンを介して、前記イベントの重症度を決定することと、
前記患者に対する応答的アクションを前記決定された重症度に基づいて調節することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1 技術の背景
1.1 優先権の主張
本出願は、米国仮出願第62/753,828号(タイトル:「System For Varying Data Volume Transmitted to External Source」、出願日:2018年10月31日)および米国仮出願第62/900,982号(タイトル:「SYSTEM AND METHOD FOR CLOUD BASED HEALTH CARE ANALYSIS FROM OPERATIONAL DATA COLLECTED FROM A RESPIRATORY THERAPY DEVICE」、出願日:2019年9月16日)に対する優先権を主要する。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
1.2 技術の分野
【0002】
本技術は、呼吸関連疾患のスクリーニング、診断、モニタリング、治療、予防および改善のうち1つ以上に関する。本技術はまた、医療デバイスまたは装置と、医療機器から伝送されたデータを外部記憶システム変化させることとに関する。
【背景技術】
【0003】
1.3 背景説明
身体の呼吸器系は、ガス交換を促進させる。鼻および口は、患者の気道への入口を形成する。これらの気道は、一連の分岐する管を含み、これらの管は、肺の奥深くに進むほど狭く、短くかつ多数になる。肺の主要な機能はガス交換であり、空気から酸素を静脈血中へ取り入れさせ、二酸化炭素を退出させる。気管は、右および左の主気管支に分かれ、これらの主気管支はさらに分かれて、最終的に終末細気管支となる。気管支は、伝導のための気道を構成するものであり、ガス交換には関与しない。気道がさらに分割されると呼吸細気管支となり、最終的には肺胞となる。肺の肺胞領域においてガス交換が行われ、この領域を呼吸領域と呼ぶ。以下を参照されたい:「Respiratory Physiology」, by John B. West, Lippincott Williams & Wilkins, 9th edition published 2012。
【0004】
一定範囲の呼吸器疾患が存在している。特定の疾患は、特定の発症(例えば、無呼吸、呼吸低下および過呼吸)によって特徴付けられ得る。呼吸器疾患の例には、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、チェーン・ストークス呼吸(CSR)、呼吸不全、肥満過換気症候群(OHS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、神経筋疾患(NMD)および胸壁疾患が含まれる。
【0005】
慢性疾患は、世界全体における死亡および障害の主要な原因である。2020年までに、慢性疾患による影響は、全ての死亡の73%および疾患の世界的負担のうち60%まで上昇すると予測されている。これは、ヘルスケアコストの爆発的上昇に関連する。慢性疾患は、ヘルスケアコストの主な原因であり、米国内において費やされる1ドルのうち90セント(90¢)を占めている。このコストは、人口の老化に関連する。2015年には、世界全体において、8人のうち1人が60才を超えている。2030年までには、6人のうち1人が60才を超えることが推定されている。
【0006】
持病の追跡のための慢性疾患管理(CDM)アプリケーションおよびサービスが、存在している。一例として、最近FitBitが譲受したTwineサービスがある。さらに、自宅に居る人を、有線センサおよび無線センサならびにセルラーデータ接続を用いてモニタリングするための遠隔医療サービスが存在している。技術解決策へのトレンドが存在し、高齢者間において睡眠障害呼吸および合併症の有病率が上昇していることが、ますます受容されている。このような解決策を挙げると、スマートフォンアプリケーション、持続的気道陽圧法(CPAP)使用アプリケーション、装着式活性モニタ、医療IoT(IoMT)、人工知能(AI)、および通信技術(例えば、Wi-Fi、Bluetooth、4Gおよび5G)がある。
【0007】
現在の慢性疾患管理アプリケーションの場合、ユーザが定期的にアプリケーションと対話する必要があり、また、アプリケーションへ提供される情報が不正確である可能性もあるため、順守がおろそかになる傾向がある。これは、特定の答えが有れば保険またはケアの価格/コストまたは利用可能性が変化し得るとユーザが信じる場合に、特に当てはまる。他の場合において、ユーザは、自身の状態が悪化しているか否かまたはどの症状が他の症状よりも重要なのかについて、簡単に判断することができない。換言すれば、これらのシステムにより、ユーザとユーザの健康管理との間の境界が取り払われる。
【0008】
このような状態を治療または改善するために、一定範囲の治療が用いられている。さらに、その他の点では健常人も、呼吸器疾患の予防治療を有利に利用することができる。しかし、これらにおいては、複数の欠陥がある。
【0009】
多様な療法(例えば、持続的気道陽圧(CPAP)治療法、非侵襲的換気(NIV)および侵襲的換気(IV))が上記の呼吸器疾患の1つ以上の治療のために用いられている。
【0010】
持続的気道陽圧(CPAP)療法が、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療において用いられている。その作用機構としては、例えば軟口蓋および舌を押して後口咽頭壁へ前進または後退させることなどにより、持続的気道陽圧療法が空気圧スプリントとして機能し、これにより上気道の閉鎖を防止し得る。CPAP治療によるOSAの治療は自発的なものであり得るため、このような患者が治療の提供に用いられるデバイスについて以下のうち1つ以上に気づいた場合、患者が治療を遵守しないことを選択する可能性がある:不快、使用困難、高価、美観的な魅力の無さ。
【0011】
非侵襲的換気(NIV)は、換気補助を上気道を通じて患者へ提供して、呼吸機能の一部または全体を行うことにより患者の呼吸の補助および/または身体中の適切な酸素レベルの維持を提供する。換気補助が、非侵襲的患者インターフェースを介して提供される。NIVは、OHS、COPD、NMD、および胸壁障害などの形態のCSRおよび呼吸不全の治療に用いられている。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
【0012】
侵襲的換気(IV)は、自身で有効に呼吸することができなくなった患者に対して換気補助を提供し、気管切開管を用いて提供され得る。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
【0013】
これら呼吸治療は、治療システムまたはデバイスによって提供され得る。このようなシステムおよびデバイスは、疾患を治療することなくスクリーニング、診断、またはモニタリングするためにも、用いられ得る。呼吸圧力治療(RPT)デバイスは、例えばデバイスを作動させて気道へのインターフェースへの空気送達流れを生成することにより、上記した複数の治療のうち1つ以上の送達に個別的に、またはシステムの一部として用いられ得る。呼吸治療システムは、呼吸圧力治療デバイス(RPTデバイス)、空気回路、加湿器、患者インターフェース、酸素呼吸源、およびデータ管理を含み得る。
【0014】
患者インターフェースは、例えば気道入口への空気流れを提供することにより呼吸装具へのインターフェースを装着者へ提供するために、用いられ得る。空気流れは、鼻および/または口へのマスク、口への管、または患者気管への気管切開管を介して提供され得る。適用される療法に応じて、患者インターフェースは、例えば患者の顔の領域とのシールを形成し得、これにより、療法実行のための雰囲気圧力と共に充分な分散の圧力において(例えば、例えば雰囲気圧力に対して約10cmH2Oの陽圧において)ガス送達を促進する。酸素送達などの他の治療形態において、患者インターフェースは、約10cmH2Oの陽圧において気道へのガス供給の送達を促進するのに充分な密閉を含まない場合がある。
【0015】
空気圧生成器は、広範な用途(例えば、工業規模通気システム)において公知である。しかし、医療用途のための空気圧生成器は、より一般的な空気圧生成器(例えば、医療機器の信頼性要件、サイズ要件および重量要件)では満足できない特定の要件を有する。加えて、医療治療向けに設計されたデバイスであっても、以下のうち1つ以上に関連して欠陥を免れない場合がある:快適性、ノイズ、使いやすさ、有効性、サイズ、重量、製造可能性、コストおよび信頼性。
【0016】
ユーザ順守が困難であるため、このようなCPAPデバイスは、ユーザによる操作時において特定の動作データを送信するように、構成される。そのようなデータにより、呼吸治療が処方された患者が「コンプライアンスを遵守している」(例えば、患者が自身の呼吸圧力治療デバイスを1つ以上の「コンプライアンスルール」に則っているか)を決定することが可能になる。CPAP治療についてのコンプライアンスルールの一例として、患者がコンプライアンスを遵守しているとみなすためには、患者が連続三十(30)日間のうち少なくとも二十一(21)日間にわたって呼吸圧力治療デバイスを一晩あたり少なくとも4時間にわたって使用する必要がある。患者のコンプライアンスを決定するためには、呼吸圧力治療デバイスのプロバイダ(例えば、ヘルスケアプロバイダ)は、呼吸圧力治療デバイスを用いた患者の治療を記述するデータを手作業で入手し得る。プロバイダは、所定期間にわたる使用率を計算し、これをコンプライアンスルールと比較し得る。ヘルスケアプロバイダが患者が自身の呼吸圧力治療デバイスをコンプライアンスルールに則って使用したと決定すると、当該ヘルスケアプロバイダは、患者がコンプライアンスを遵守している旨を第三者(例えば、支払人)に通知し得る。
【0017】
しかし、現在、このようなデバイスの場合、ネットワーク(例えば、クラウド)を介して遠隔の場所へ送信される呼吸データの概要は、例えば一晩あたり十(10)キロバイトまたはひと月あたり三百(300キロバイト)とごくわずかである。このデータの供給は典型的には一方向通信のみを用いて行われるか、または、極めて限定された双方向トラフィックを用いて行われる。詳細なデータは、電流デバイスには保存されないか、または、メモリカードのみに保存されることが多い。メモリカードの読出しは、手動で定期的に行われ得る。このようなデータは、CPAPデバイスの動作の決定のみにおいて用いられることが多いため、このような限られたデータからは、リアルタイムで心臓/慢性疾患についての識見を得ることができていない。
【0018】
呼吸圧力治療デバイスによって収集された既存の動作データを疾患管理のために用いるシステムが有れば、有利である。トリガ発動イベントに基づいた健康状態の分析のために、呼吸圧力治療デバイスからのデータ収集速度を上昇させるシステムが必要とされている。さらに、患者の健康状態を決定するために呼吸圧力治療デバイスから収集されたデータと、さらなる外部データとを統合する必要性もある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
2 技術の簡単な説明
本技術は、呼吸器疾患のスクリーニング、診断、モニタリング、改善、治療または予防において用いられる医療機器の提供に関連し、これらの医療機器は、向上した快適性、コスト、有効性、使い易さおよび製造可能性のうち1つ以上を有する。具体的には、本開示は、呼吸障害のスクリーニング、診断、モニタリング、改善、治療または予防において用いられるデータの変調に関連する。
【0020】
本開示は、クラウド接続された慢性疾患管理プラットフォームに関する。システムは、クラウド接続された気道陽圧(PAP)デバイスなどの呼吸圧力治療デバイスを含む。PAPデバイスは、睡眠障害呼吸(SDB)の治療に従来から用いられる機械的コンポーネントを含む。例えば、PAPデバイス治療の使用の際、患者および/または支払人(例えば、包括的ケアプロバイダ)は、睡眠障害呼吸治療の有効性および順守についての識見だけでなく、患者の健康状態(例えば、心房細動、脳卒中の危険性の可能性、高血圧(薬剤耐性高血圧を含む)、心臓麻痺、2型糖尿病および肥満(体脂肪含量)情報)についての識見を得るためのデータをデバイスから受信する。心臓情報は、心拍数、鼓動情報、心臓出力などから導出することができる。これは、患者に対するマスクインターフェースと、機器および関連センサとから優先的に導出される。システムは、他のデータ(例えば、全体的な慢性疾患管理の提案の一部として、患者の電子健康記録(EHR)中に含まれるもの)へ接続し得る。
【0021】
呼吸治療システムは、呼吸圧力治療(RPT)デバイス、空気回路、加湿器、患者インターフェース、酸素呼吸源、およびデータ管理を含み得る。RPTデバイスは、例えばデバイスを作動させて気道へのインターフェースへの空気送達流れを生成することにより、上記した複数の治療のうち1つ以上の送達に個別的に、またはシステムの一部として用いられ得る。空気流れは、(呼吸圧力治療のために)圧力制御され得るかまたは(高流量療法などの流れ治療のために)流れ制御され得る。そのため、呼吸圧力治療デバイスは、流れ治療デバイスとしても機能し得る。呼吸圧力治療デバイスの例を挙げると、PAPデバイスおよび人工呼吸器がある。
【0022】
CPAPデバイスなどの電流呼吸圧力治療デバイスは、使用時において患者からデータを収集する。このような収集されたデータは、主に患者の健康に関連するさらなる分析のためにクラウドベースの分析エンジンへ送信されるよう、中央ハブ(例えば、デバイス自身またはモバイルコンピューティングデバイス)へ提供される。開示のプラットフォームは、患者の健康状態分析を可能にするために、CPAPデータのさらなる収集を用いる。患者の決定された健康状態は、さらなる治療、治療評価、患者または介護者向けのアラートおよび他の目的のために用いられ得る。
【0023】
一例において、患者治療デバイスが提供される。この患者治療デバイスは、コントローラと、センサと、メモリと、送信器とを含む。センサは、患者からデータを収集することを行うように構成され、収集されたデータは、メモリ内に保存され、収集されたデータは、低解像度データおよび高解像度データを含み、送信器は、低解像度データまたは高解像度データを外部システムへ送るようにコントローラによって制御され、高解像度データは、低解像度データに基づいて検出されたイベントの発生に基づいて送信される。
【0024】
一例において、変化するデータ量の送信のためのシステムが提供される。このシステムは、患者治療デバイス、遠隔外部デバイスおよび/またはローカル外部デバイスのうち1つ以上を含み;患者治療デバイスの送信器は、遠隔外部通信ネットワークおよび/またはローカル外部通信ネットワークへ接続可能であり;遠隔外部通信ネットワークは、遠隔外部デバイスへ接続可能であり、かつ/または、ローカル外部通信ネットワークは、ローカル外部デバイスへ接続可能である。
【0025】
一例において、患者データの変化するデータ量を外部システムへ送信する方法が提供される。患者データはメモリ内に保存され、患者データは、低解像度データおよび高解像度データを含み、方法は:低解像度データを呼吸圧力治療デバイスの内部または外部の送信器によってメモリから外部システムへ送ることと;低解像度データに基づいてイベントの発生を決定することと;イベントの発生の際、高解像度データを外部システムへ送る送信器を呼吸圧力治療デバイスの内部または外部のコントローラによって変更することとを含む。
【0026】
1つの開示例は、患者の健康のモニタリングのためのシステムである。システムは、呼吸治療を患者に行うように送信器および空気制御デバイスを備える呼吸治療デバイスを含む。呼吸治療デバイスは、動作データを収集し、収集された動作データを送信する。健康分析エンジンは、呼吸治療デバイスと通信する。健康分析エンジンは、収集されたデータを受信して、患者の健康状態を収集されたデータに基づいて決定する。
【0027】
別の開示例は、患者の健康のモニタリングを呼吸治療デバイスを用いて行う方法である。呼吸治療デバイスの動作データが、収集される。収集されたデータは、健康分析エンジンへ送信される。患者の健康状態は、収集されたデータに基づいて健康分析エンジンによって決定される。
【0028】
上記の要旨は、本開示の各実施形態または各態様を示すことを意図していない。すなわち、上記の要旨は、本明細書中に記載の新規の態様および特徴のうちいくつかの例を示すものに過ぎない。上記の特徴および利点ならび本開示の他の特徴および利点は、本発明の実行のための代表的な実施形態および態様の以下の詳細な説明を添付の図面および添付の特許請求の範囲と共に読めば、容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
3 図面の簡単な説明
本技術を、添付図面中に非限定的に一例として例示する。図面中、類似の参照符号は、以下の類似の要素を含む。
【
図1A】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻枕の形態をとり、呼吸圧力治療(RPT)デバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。本例において、呼吸圧力治療デバイスは、PAPデバイス、非侵襲的換気(NIV)デバイスまたは適応型の補助換気(ASV)デバイスを含み得る。もちろん、他のデバイスが、本明細書中に記載のRPTデバイス4000の機能を行ってもよい。RPTデバイス4000からの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。同床者1100も図示される。患者1000は、仰臥位睡眠位置において睡眠している。健康分析システムは、患者1000によって用いられるRPTデバイス4000からデータを収集する。
【
図1B】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻マスクの形態をとり、RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。
【
図1C】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを含む。患者インターフェース3000は、フルフェイスマスクをとり、陽圧の空気供給をRPTデバイス4000から受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。患者は、側臥位睡眠位置において睡眠している。
【
図2】鼻および口腔、喉頭、声帯ひだ、食道、気管、気管支、肺、肺胞嚢、心臓および横隔膜を含むヒト呼吸器系の概要を示す。
【
図3】本技術の一形態による鼻マスクの形態の患者インターフェースを示す。
【
図4A】本技術の一形態によるRPTデバイスを示す。
【
図4B】本技術の一形態によるRPTデバイスの空気圧経路の模式図である。上流および下流の方向が、送風機および患者インターフェースに対して示される。任意の特定の瞬間における実際の流れ方向に関係無く、送風機は患者インターフェースの上流にあるものとして規定され、患者インターフェースは送風機の下流にあるものとして規定される。送風機と患者インターフェースとの間の空気圧経路内に配置されたアイテムは、送風機の下流および患者インターフェースの上流にある。
【
図4C】本技術の一態様に従ったRPTデバイス4000の電気部品の概略図である。
【
図4D】本技術の1つの形態によるRPTデバイス中において実行されるアルゴリズムの概略図である。
【
図4E】本技術の一態様に従った
図4Dの治療エンジンモジュール4320によって実施される方法4500を説明したフローチャートである。
【
図5A】本技術の一形態による加湿器の等角図である。
【
図5B】本技術の一形態による加湿器の等角図であり、加湿器リザーバ5110を加湿器リザーバドック5130から除去した様子を示す。
【
図6】睡眠時のヒトの典型的な呼吸波形のモデルを示す。
【
図7A】睡眠ポリグラフ(PSG)を受けている患者を示す。患者は、仰臥位睡眠位置において睡眠している。
【
図7B】患者の状態のモニタリングのためのモニタリング装置を示す。患者は、仰臥位睡眠位置において睡眠している。
【
図7C】PSGの実行に用いられ得るスクリーニング/診断/モニタリングデバイスを示すブロック図である。
【
図8A】モニタリング装置から変調データを受信するシステムのブロック図である。
【
図8B】モニタリング装置から変調データを受信する別のシステムのブロック図である。
【
図9】
図4Aおよび
図7Aに記載のモニタリング装置からのデータ送信を変調するプロセスのフロー図である。
【
図10】トリガ発動イベントに基づいてデータ収集を増加させ、
図4Aおよび
図7Aに記載のモニタリング装置から健康分析を行うルーチンのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
4 本技術の実施例の詳細な説明
本技術についてさらに詳細に説明する前に、本技術は、本明細書中に記載される異なり得る特定の実施例に限定されるのではないことが理解されるべきである。本開示中に用いられる用語は、本明細書中に記載される特定の実施例を説明する目的のためのものであり、限定的なものではないことも理解されるべきである。
【0031】
以下の記載は、1つ以上の共通の特性および/または特徴を共有し得る多様な実施例に関連して提供される。任意の1つの実施例の1つ以上の特徴は、別の実施例または他の実施例の1つ以上の特徴と組み合わせることが可能であることが理解されるべきである。加えて、これらの実施例のうちのいずれかにおける任意の単一の特徴または特徴の組み合わせは、さらなる実施例を構成し得る。
【0032】
本開示は、呼吸圧力治療デバイスによって収集された動作データを活用して、患者の健康状態の分析をクラウドベースのエンジン内において可能にするシステムに関連する。システムにより、ヘルスケア(および特に包括的ケア)市場においてコネクテッドケアサービスの価値が提供され、これにより、通信技術(例えば、Wi-Fi、Bluetooth、3G、4G/LTE、5G/New Radio、固定無線、衛星)によってサポートされる気道陽圧がイネーブルされたデバイスおよびサービスにおける感知技術の採用により、ケアの負担(特に、睡眠障害の呼吸および合併症に関連するもの)が低下する。
【0033】
例示的な呼吸圧力治療デバイスは、動作データ(例えば、モータ電圧、RPM、空気流およびマスク漏洩)のモニタリングおよび収集を行い得る。例示的な呼吸圧力治療デバイスは、生理学的データも心臓信号を介してモニタリングおよび収集し得る。心臓信号は、管内またはその近隣のマイクロフォンから、マスク信号から、顔の近隣または顔の上の光学センサ(例えば、マスク内のもの)から、(マスク、ヘッドギア内または上の)電極から、電気感知または光学感知を用いた接続パッチから、スマートウォッチ、ブレスレットまたはリングから導出される。ガス分析は、マスクにおいて行ってもよいし、あるいは、管材またはデバイス中においてサンプリングしてもよい。汗分析は、マスクにおいて行われ得る。データは、他のデバイス(例えば、患者によって使用されるスマート吸入器)から統合してもよい。
【0034】
有効なことに、例示の開示の呼吸データ収集プラットフォームは、睡眠障害呼吸治療に加えて、慢性疾患管理を包含し得る(例えば、高血圧、脳卒中、COPD、鬱血性心不全(CHF)、不整脈(例えば、心房細動)、ぜんそく、糖尿病、および痴呆、精神衛生問題(例えば、鬱病、双極性障害、ADHD)ならびに他の疾患)。
4.1 治療法
【0035】
一形態において、本技術は、呼吸器疾患の治療方法を含む。本方法は、
図1A~
図1Cの患者1000の気道の入口へ陽圧を付加するステップを含む。本技術の特定の実施例において、陽圧における空気供給が鼻孔の片方または双方を介して患者の鼻通路へ提供される。本技術の特定の実施例において、口呼吸が制限されるか、限定されるかまたは妨げられる。
4.2 治療システム
【0036】
1つの形態において、本技術は、呼吸障害の治療のための装置またはデバイスを含む。装置またはデバイスは、加圧空気を患者インターフェース3000または3800への空気回路4170を介して患者1000へ供給するRPTデバイス4000を含み得る。
4.3 患者インターフェース
【0037】
本技術の一態様による非侵襲的患者インターフェース3000は、以下の機能様態を含む:シール形成構造3100、プレナムチャンバ3200、位置決めおよび安定化構造3300、通気部3400、空気回路4170への接続のための一形態の接続ポート3600、および前額支持部3700。いくつかの形態において、機能様態が、1つ以上の物理的コンポーネントによって提供され得る。いくつかの形態において、1つの物理的コンポーネントは、1つ以上の機能様態を提供し得る。使用時において、シール形成構造3100は、気道への陽圧での空気供給を促進するように、患者の気道の入口を包囲するように配置される。
【0038】
非シール型患者インターフェース3800は、鼻プロング3810aおよび3810bを含む鼻カニューレの形態をしており、これらは、空気を患者1000の各鼻孔へ送達させ得る。このような鼻プロングは、鼻孔の内側皮膚面または外側皮膚面とのシールを形成しないことが多い。鼻プロングへの空気は、1つ以上の空気供給ルーメン3820aおよび3820bから送達される。これらは、鼻カニューレ3800と連結される。ルーメン3820aおよび3820bは、鼻カニューレ3800から延び、鼻カニューレ3800は、空気流れを高流量にて生成するRTデバイスへ延びる。非シール型患者インターフェース3800には「通気部」が設けられ、この「通気部」を通じて、過剰な空気流が雰囲気へと逃げる。この「通気穴」は、カニューレ3800のプロング3810aおよび3810bの端部間の通路であり、患者の鼻孔を介して雰囲気へ延びる。
4.4 RPTデバイス
【0039】
本技術の一態様によるRPTデバイス4000は、機械、空気圧式、および/または電気部品を含み、1つ以上のアルゴリズム4300(例えば全体的にせよ部分的にせよ本明細書に記載の方法のうちいずれか)を実行するように構成される。RPTデバイス4000は、例えば本文書中のいずれかに記載の呼吸状態のうち1つ以上の治療のために患者の気道へ送達される空気流れを生成するように構成され得る。
【0040】
一形態において、RPTデバイス4000は、少なくとも6cmH2Oまたは少なくとも10cmH2Oまたは少なくとも20cmH2Oの陽圧を維持しつつ、空気流れを-20L/分~+150L/分の範囲で送達できるように構築および配置される。
【0041】
RPTデバイスは、外部ハウジング4010を持ち得る。外部ハウジング4010は、上部4012および下部4014の2つの部分によって形成される。さらに、外部ハウジング4010は、1つ以上のパネル(単数または複数)4015を含み得る。RPTデバイス4000は、RPTデバイス4000の1つ以上の内部コンポーネントを支持するシャーシ4016を含む。RPTデバイス4000は、ハンドル4018を含み得る。
【0042】
空気圧RPTデバイス4000の空気圧経路は、1つ以上の空気回路アイテム(例えば、入口空気フィルタ4112、入口マフラー4122、空気を陽圧で供給することが可能な圧力生成器4140(例えば、送風機4142)、出口マフラー4124)ならびに1つ以上の変換器4270(例えば、圧力センサ4272および流量センサ4274)を含み得る。
【0043】
空気経路アイテムのうち1つ以上は、空気圧ブロック4020と呼ばれる取り外し可能な一体構造内に配置され得る。空気圧ブロック4020は、外部ハウジング4010内に配置され得る。一形態において、空気圧ブロック4020は、シャーシ4016によって支持されるかまたはシャーシ4016の一部として形成される。
【0044】
RPTデバイス4000は、電源4210、1つ以上の入力デバイス4220、中央コントローラ4230、治療デバイスコントローラ4240、圧力生成器4140、1つ以上の保護回路4250、メモリ4260、変換器4270、データ通信インターフェース4280、および1つ以上の出力デバイス4290を有することができる。電気部品4200は、シングルプリント回路基板アセンブリ(PCBA)4202上に取り付けられ得る。一代替形態において、RPTデバイス4000は、1つよりも多くのPCBA4202を含み得る。
【0045】
RPTデバイスは、以下のコンポーネントのうち1つ以上を一体ユニット中に含み得る。一代替形態において、以下のコンポーネントのうち1つ以上が、それぞれの別個のユニットとして配置され得る。
【0046】
本技術の一形態によるRPTデバイスは、空気フィルタ4110または複数の空気フィルタ4110を含み得る。
【0047】
一形態において、入口空気フィルタ4112は、圧力生成器4140の空気圧経路上流の始まり部に配置される。
【0048】
一形態において、出口空気フィルタ4114(例えば抗菌ファクタ)は、空気圧ブロック4020の出口と、患者インターフェース3000または3800との間に配置される。
【0049】
本技術の一形態によるRPTデバイスは、マフラー4120または複数のマフラー4120を含み得る。
【0050】
本技術の一形態において、入口マフラー4122は、空気圧経路内において圧力生成器4140の上方に配置される。
【0051】
本技術の一形態において、出口マフラー4124は、空気圧経路内において圧力生成器4140と患者インターフェース3000または3800との間に配置される。
【0052】
本技術の一形態において、空気の流れまたは供給を陽圧において生成する圧力生成器4140は、制御可能な送風機4142である。例えば、送風機4142は、1つ以上のインペラを備えたブラシレスDCモータ4144を含み得る。インペラが、ボリュート内へ配置され得る。送風機は、空気供給の送達を例えば約120リットル/分までの速度で、約4cmH2O~約20cmH2Oの範囲の陽圧で、または他の形態において約30cmH2Oまで行うことができる。送風機については、以下の特許または特許出願のうちいずれか1つに記載があり得。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する:米国特許第7,866,944号、米国特許第8,638、014号、米国特許第8,636,479号およびPCT特許出願公開WO2013/020167。
【0053】
圧力生成器4140は、治療デバイスコントローラ4240の制御下にある。他の形態において、圧力生成器4140は、ピストン駆動ポンプ、高圧源(例えば、加圧空気リザーバ)へ接続された圧力調節器、またはベローズであり得る。
【0054】
変換器は、RPTデバイス4000の内部に設けてもよいし、あるいはRPTデバイスの外部に設けてもよい。外部変換器は、例えば空気回路上に配置してもよいし、あるいは空気回路の一部を形成してもよい(例えば、患者インターフェース)。外部変換器は、非接触センサの形態をとり得る(例えば、データRPTデバイスを送るかまたは移動させるドップラーレーダー移動センサ)。
【0055】
本技術の一形態において、1つ以上の変換器4270が、圧力生成器4140の上流および/または下流に配置され得る。1つ以上の変換器4270は、空気流れの特性を示す信号(例えば、空気圧経路中の当該ポイントにおける流量、圧力または温度)を生成するように、構築および配置され得る。
【0056】
本技術の一形態において、1つ以上の変換器4270は、患者インターフェース3000または3800の近隣に配置され得る。一形態において、変換器4270からの信号が、(例えば、ローパス、ハイパスまたはバンドパスフィルタリングによって)フィルタリングされ得る。
【0057】
本技術による流量センサ4274は、差圧変換器(例えば、SENSIRIONからのSDP600シリーズ差圧変換器)に基づき得る。一形態において、流量センサ4274からの流量を示す信号が、中央コントローラ4230によって受信される。
【0058】
本技術による圧力センサ4272は、空気圧経路と流体連通して配置され得る。適切な圧力センサの一実施例として、HONEYWELL ASDXシリーズからの変換器がある。別の適切な圧力センサとして、GENERAL ELECTRICからのNPAシリーズからの変換器がある。1つの形態において、圧力センサ4272からの信号は、中央コントローラ4230によって受信される。
【0059】
本技術の一形態において、モータ4144および/または送風機4142の回転速度を決定するために、モータ速度変換器4276が用いられ得る。モータ速度変換器4276からのモータ速度信号は、治療装置コントローラ4240へ提供され得る。モータ速度変換器4276は、例えば速度センサであり得る(例えば、ホール効果センサ)。
【0060】
本技術の一形態において、アンチスピルバック弁4160が、加湿器5000と、空気圧ブロック4020との間に配置され得る。アンチスピルバック弁は、水が加湿器5000から上流に(例えば、送風機のモータ4144へ)流れる危険性を低減させるように、構築および配置される。
【0061】
電源4210は、RPTデバイス4000の外部ハウジング4010の内部または外部に配置され得る。本技術の一形態において、電源4210は、RPTデバイス4000にのみ電力を供給する。本技術の別の形態において、電源4210から、電力がRPTデバイス4000および加湿器5000双方へ提供される。
【0062】
本技術の一形態において、RPTデバイス4000は、人間がデバイスと相互作用を可能にするためのボタン、スイッチまたはダイヤルの形態をとる1つ以上の入力デバイス4220を含む。ボタン、スイッチまたはダイヤルは、タッチスクリーンを介してアクセスすることが可能な物理的デバイスまたはソフトウェアデバイスであり得る。ボタン、スイッチまたはダイヤルは、一形態において外部ハウジング4010に物理的に接続させてもよいし、あるいは、別の形態において中央コントローラ4230と電気接続された受信器と無線通信してもよい。
【0063】
一形態において、入力デバイス4220は、人間が値および/またはメニュー選択肢を選択することを可能にするように、構築および配置され得る。
【0064】
内部センサ(例えば、流量センサ4274、圧力センサ4272およびモータ速度変換器4276)は、
図4C中の中央コントローラ4230へ連結され得る。特定の患者の空気音を検出するために、任意選択の内部オーディオセンサ4278が、
図1中のインターフェース3000内に埋設され得る。任意選択の外部オーディオセンサ4279(例えば、マイクロフォン)をRPTデバイス4000、インターフェース3000または加湿器5000の外部に設けると、さらなる音声データを収集することができ得る。以下のようなさらなるセンサが、外部ポートを介して中央コントローラ4230へ接続され得る:心拍数センサ、ECGセンサ(心臓基準パラメータを提供し、心臓基準パラメータのピークを処理することにより心拍数の推定、不整脈検出などを提供する)、パルスオキシメータ(SpO2)センサ(心拍数、酸素飽和度、および脈遷移時間からの血圧の可能性のある推定を提供)、血圧センサ、室温センサ、接触型または非接触型の体温センサ、室内湿度センサ、近接センサ、ジェスチャセンサ、接触センサ、ガスセンサ、空気品質センサ、粒子センサ、加速度計、ジャイロスコープ、チルトセンサ、他の音響センサ(例えば、受動型または能動型のSONAR)、超音波センサ、無線周波数センサ、加速度計、光強度センサ、LIDARセンサ、赤外線センサ(受動型、透過型、または反射)、二酸化炭素センサ、一酸化炭素センサ、または化学センサ。このようなさらなるセンサからのデータは、中央コントローラ4230によって収集してもよい。センサ4272、4274、4276、4278および4279からのデータは、中央コントローラ4230によって定期的に収集され得る。このようなデータは、RPTデバイス4000の動作状態に主に関連する。
【0065】
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、RPTデバイス4000の制御に適した1つまたは複数のプロセッサである。適切なプロセッサは、ARM HoldingsからのARM(登録商標)Cortex(登録商標)-Mプロセッサに基づいたプロセッサであるx86INTELプロセッサを含み得る(例えば、ST MICROELECTRONICSからのSTM32シリーズのマイクロコントローラ)。本技術の特定の代替形態において、32ビットRISC CPU(例えば、ST MICRO電子SからのSTR9シリーズマクロコントローラ)または16ビットRISC CPU(例えば、TEXAS INSTRUMENTSによって製造されたマクロコントローラのMSP430ファミリーからのプロセッサ)も適切であり得る。
【0066】
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、専用電子回路である。一形態において、中央コントローラ4230は、特定用途向け集積回路である。別の形態において、中央コントローラ4230は、個別電子コンポーネントを含む。
【0067】
中央コントローラ4230は、1つ以上の変換器4270、1つ以上の入力デバイス4220および加湿器5000から入力信号(単数または複数)を受信するように、構成され得る。中央コントローラ4230は、出力信号(単数または複数)を出力デバイス4290、治療デバイスコントローラ4240、データ通信インターフェース4280および加湿器5000のうち1つ以上へ提供するように、構成され得る。
【0068】
コントローラ4230は、データを異なる速度において収集し得る。例えば、通常使用時において、データは、低解像度率において収集され得る。以下に述べるように、トリガ発動イベントに起因して、コントローラ4230は、データ収集を異なる収集速度において開始し得る(例えば、患者1000のより詳細な分析のための低解像度率の場合よりも)より多くのデータおよび/またはさらなる種類のデータの収集のためのより高い解像度率において類似の期間において開始し得る)。本例において、中央コントローラ4230は、センサからのこのようなデータの符号化を専用データフォーマットにて行う。データ符号化は、標準化されたデータフォーマットにて行ってもよい。
【0069】
本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、本明細書中に記載の1つ以上の方法を具現するように、構成される(例えば、非一時的なコンピュータで読出可能な記録媒体のような(例えば、メモリ4260)中に記録されたコンピュータプログラムとして表現された1つ以上のアルゴリズム4300)。本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、RPTデバイス4000と一体化され得る。しかし、本技術のいくつかの形態において、いくつかの方法が、遠隔配置されたデバイスによって行われ得る。例えば、遠隔配置されたデバイスは、記録されたデータ(例えば、本明細書中に記載のセンサのうちいずれかからのもの)の分析により、人工呼吸器の制御設定を決定し得るか、または、呼吸関連イベントを検出し得る。上記したように、外部ソースまたは中央コントローラ4230のデータおよび動作は全て、RPTデバイス4000の製造業者専用であることが多い。そのため、センサからのデータおよび他の任意のさらなる動作データは、他の任意のデバイスからはアクセスできないことが多い。
【0070】
RPTデバイス4000は、中央コントローラ4230へ接続された時計4232を含み得る。
【0071】
本技術の一形態において、治療デバイスコントローラ4240は治療制御モジュール4330であり、
図4Dに示すような中央コントローラ4230によって実行されるアルゴリズム4300の一部を形成する。本技術の一形態において、治療デバイスコントローラ4240は、専用モータ制御集積回路である。例えば、一形態において、ONSEMIによって製造されたMC33035ブラシレスDCモータコントローラが用いられる。
【0072】
本技術による1つ以上の保護回路4250は、電気保護回路、温度および/または圧力安全回路を含み得る。
【0073】
本技術の一形態によれば、RPTデバイス4000は、メモリ4260(例えば、不揮発性メモリ)を含む。いくつかの形態において、メモリ4260は、電池式スタティックRAMを含み得る。いくつかの形態において、メモリ4260は、揮発性RAMを含み得る。メモリ4260は、PCBA4202上に配置され得る。メモリ4260は、EEPROMまたはNANDフラッシュの形態をとり得る。追加的にまたは代替的に、RPTデバイス4000は、取り外し可能なメモリ4260(例えば、セキュアデジタル(SD)規格に従って作製されたメモリカード)を含む。本技術の一形態において、メモリ4260は、非一時的コンピュータで読出可能な記録媒体として機能する。この記録媒体上に、本明細書中に記載の1つ以上の方法を表現するコンピュータプログラム命令(例えば、1つ以上のアルゴリズム4300)が記録される。
【0074】
本技術の一形態において、データ通信インターフェース4280が設けられ、中央コントローラ4230へ接続される。データ通信インターフェース4280は、遠隔外部通信ネットワーク4282および/またはローカル外部通信ネットワーク4284へ接続可能であり得る。遠隔外部通信ネットワーク4282は、遠隔外部デバイス4286へ接続可能であり得る。ローカル外部通信ネットワーク4284は、ローカル外部デバイス4288へ接続可能であり得る。
【0075】
一形態において、データ通信インターフェース4280は、中央コントローラ4230の一部である。別の形態において、データ通信インターフェース4280は、中央コントローラ4230と別個であり、集積回路またはプロセッサを含み得る。一形態において、遠隔外部通信ネットワーク4282はインターネットである。データ通信インターフェース4280は、インターネットへ接続するために、(例えば、イーサネットまたは光ファイバーを介して)有線通信を用得るかまたは無線プロトコル(例えば、CDMA、GSM、LTE)を用い得る。一形態において、ローカル外部通信ネットワーク4284は、1つ以上の通信規格(例えば、ブルートゥースまたはコンシューマー赤外線プロトコル)を用いる。
【0076】
一形態において、遠隔外部デバイス4286は、1つ以上のコンピュータ(例えば、ネットワーク化コンピュータのクラスタ)である。一形態において、遠隔外部デバイス4286は、物理的コンピュータではなく仮想コンピュータであり得る。いずれの場合も、このような遠隔外部デバイス4286は、適切に権限を付与された人間(例えば、臨床医)からのアクセスが可能であり得る。ローカル外部デバイス4288は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、タブレットまたは遠隔制御器であり得る。
【0077】
本技術による出力デバイス4290は、視覚、音声および触覚ユニットのうち1つ以上の形態をとり得る。視覚ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)または発光ダイオード(LED)ディスプレイであり得る。
【0078】
ディスプレイドライバ4292は、ディスプレイ4294上へ表示されるべき文字、記号または画像を入力として受信し、ディスプレイ4294にこれらの文字、記号または画像を表示させるコマンドへ変換する。
【0079】
ディスプレイ4294は、ディスプレイドライバ4292から受信されたコマンドに応答して、文字、記号または画像を視覚的に表示するように構成される。例えば、ディスプレイ4294は8セグメントディスプレイであり得、その場合、ディスプレイドライバ4292は、各文字または記号(例えば、数字「0」)を、特定の文字または記号を表示するために各8個のセグメントを活性化させるべきかを示す8個の論理信号へ変換する。
【0080】
上記したように、本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、非一時的なコンピュータで読出可能な記録媒体(例えば、メモリ4260)中に記録されたコンピュータプログラムとして表現された1つ以上の
図4Dのアルゴリズム4300を具現するように構成され得る。このアルゴリズム4300は、モジュールと呼ばれるグループにグループ付けられることが一般的だ。
【0081】
本技術の一形態による事前処理モジュール4310は、変換器4270(例えば流量センサ4274または圧力センサ4272)からの信号を入力として受信し、1つ以上の出力値を計算するための1つ以上のプロセスステップを行う。これらの出力値は、別のモジュール(例えば、治療エンジンモジュール4320)への入力として用いられる。
【0082】
本技術の一形態において、出力値は、インターフェース圧力Pm、呼吸流量Qrおよび漏洩流量Qlを含む。本技術の多様な形態において、事前処理モジュール4310は、以下のアルゴリズムのうち1つ以上を含む:インターフェース圧力推定4312、通気流量推定4314、漏洩流量推定4316および呼吸流量推定4318。
【0083】
インターフェース圧力推定アルゴリズム4312は、患者インターフェース3000または3800中の推定圧力Pmを出力として提供する。通気流量推定アルゴリズム4314は、患者インターフェース3000または3800中の通気部3400からの空気の通気流量Qvを推定する。漏洩流量推定アルゴリズム4316は、いくつかの呼吸サイクル(例えば、約10秒)を含むくらいに充分に長い期間にわたって全体流量Qtと通気流量Qvとの間の差平均を計算することにより、漏洩流量Qlを推定する。呼吸流量推定アルゴリズム4318は、通気流量Qvおよび漏洩流量Qlを全体流量Qtから減算することにより、患者への空気呼吸流量Qrを推定する。
【0084】
本技術の一形態において、治療エンジンモジュール4320は、患者インターフェース3000または3800中の圧力Pmおよび患者への空気呼吸流量Qrのうち1つ以上を入力として受信し、1つ以上の治療パラメータ(例えば、治療圧力Pt、圧力変化の振幅、ベース圧力、および目標換気)を出力として提供する。
【0085】
多様な形態において、治療エンジンモジュール4320は、以下のアルゴリズムのうち1つ以上を含む:フェーズ決定4321、波形決定4322、換気決定4323、吸気流制限決定4324、無呼吸/呼吸低下決定4325、いびき決定4326、気道開通性決定4327、目標換気決定4328、および治療パラメータ決定4329。
【0086】
フェーズ決定アルゴリズム4321は、患者1000の現在の呼吸サイクルのフェーズを出力Πとして提供する。
【0087】
波形決定アルゴリズム4322は、波形テンプレートΠ(Φ)を提供する。波形テンプレートは、治療パラメータ決定アルゴリズム4329によって用いられる予定のフェーズ決定アルゴリズム4321によって提供されるフェーズ値Φの変域について[0、1]の範囲内の値を有する。換気決定アルゴリズム4323は、呼吸流量Qrを入力として受信し、現在の患者換気Ventを示す測定を決定する。吸気流制限決定アルゴリズム4324は、呼吸流量信号Qrを入力として受信し、呼吸の吸気部分が吸気流制限を示す範囲の計量を出力として提供する。
【0088】
無呼吸/呼吸低下検出アルゴリズム4325は、呼吸流量信号Qrを入力として受信し、無呼吸または呼吸低下が検出されたかを示すフラッグを出力として提供する。いびき検出アルゴリズム4326は、呼吸流量信号Qrを入力として受信し、いびきが存在している範囲の測定値を出力として提供する。
【0089】
気道開通性決定アルゴリズム4327は、呼吸流量信号Qrを入力として受信し、信号の出力を約0.75Hz~約3Hzの周波数範囲内において決定する。この周波数範囲内におけるピークの存在は、気道開放を示すものとしてみなされる。ピークの不在は、気道閉鎖の兆候とみなされる。
【0090】
中央コントローラ4230は、現在の換気Ventの測定を入力としてとり、換気測定のための目標値Vtgtの決定のために、1つ以上の目標換気決定アルゴリズム4328を実行する。
【0091】
中央コントローラ4230は、治療エンジンモジュール4320中のその他のアルゴリズムのうち1つ以上から返送された値を用いて、瞬間治療圧力Ptのような1つ以上の治療パラメータの決定のための1つ以上の治療パラメータ決定アルゴリズム4329を実行する。
【0092】
本技術の一態様による治療制御モジュール4330は、治療エンジンモジュール4320の治療パラメータ決定アルゴリズム4329からの治療パラメータを入力として受信し、これらの治療パラメータに従って圧力生成器4140から空気流れを送達させるように、圧力生成器を制御する。
【0093】
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、故障状態の検出のための1つ以上の方法4340を実行する。1つ以上の方法4340によって検出された故障状態は、以下のうち少なくとも1つを含み得る:
・ 停電(電力無しまたは電力不足)
・ 変換器故障の検出
・ コンポーネントの存在を検出できない
・ 動作パラメータが推奨範囲から外れている(例えば、圧力、流量、温度、PaO2)
・ 検出可能な警告信号を生成するための試験警告の不履行。
【0094】
故障状態が検出されると、対応するアルゴリズム4340信号は、以下のうち1つ以上により、故障の存在を信号伝達する:
・ 可聴、視覚および/または動力学的(例えば、振動的)警告の開始
・ 外部デバイスへのメッセージ送信
・ インシデントのロギング
4.5 空気回路
【0095】
本技術の一態様による空気回路4170は、使用時において空気流れが2つのコンポーネント(例えば、RPTデバイス4000および患者インターフェース3000または3800)間に移動するように、構築および配置された導管またはチューブである。
【0096】
詳細には、空気回路4170は、空気圧ブロック4020の出口および患者インターフェースと流体接続し得る。空気回路は、空気送達管と呼ばれ得る。いくつかの場合において、吸息および呼息のための回路の別個の肢があり得る。他の場合において、単一の肢が用いられる。
【0097】
いくつかの形態において、空気回路4170は、(例えば空気温度の維持または上昇のために)空気回路中の空気を加熱するように構成された1つ以上の加熱要素を含み得る。加熱要素は、加熱ワイヤ回路の形態をとり得、1つ以上の変換器(例えば、温度センサ)を含み得る。一形態において、加熱ワイヤ回路は、空気回路4170の軸周囲にらせん状に巻かれ得る。加熱要素は、コントローラ(例えば、中央コントローラ4230)と連通し得る。加熱ワイヤ回路を含む空気回路4170の一実施例について、米国特許出願第8,733,349号に記載がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0098】
本技術の一形態において、補充用ガス、例えば、酸素4180が、空気圧経路における1つ以上のポイント(例えば、空気圧ブロック4020の上流)、空気回路4170および/または患者インターフェース3000または3800へ送達され得る。
4.6 加湿器
【0099】
本技術の一形態において、患者へ送達されるべき空気またはガスの絶対湿度を周囲空気に相対して変化させるための加湿器5000が提供される(例えば、
図5Aに示すようなもの)。典型的には、加湿器5000は、患者気道へ送達される前に空気流れの(周囲空気に相対する)絶対湿度を増加させかつ温度を増加させるために、用いられる。
【0100】
加湿器5000は、加湿器リザーバ5110と、空気流れを受容する加湿器入口5002と、加湿された空気流れを送達させるための加湿器出口5004とを含み得る。
図5Aおよび
図5Bに示すようないくつかの形態において、加湿器リザーバ5110の入口および出口はそれぞれ、加湿器入口5002および加湿器出口5004であり得る。加湿器5000は、加湿器ベース5006をさらに含み得る。加湿器ベース5006は、加湿器リザーバ5110を受容するように適合され得、加熱要素5240を含み得る。
4.7 呼吸波形
【0101】
図6は、睡眠時のヒトの典型的な呼吸波形のモデルを示す。水平軸は時間であり、垂直軸は呼吸流量である。パラメータ値は変動し得るため、典型的な呼吸は、以下のおおよその値を持ち得る:一回換気量、Vt、0.5L、吸息時間、Ti、1.6秒、ピーク吸気流量、Qピーク、0.4L/秒、呼息時間、Te、2.4s、ピーク呼気流量、Qピーク、-0.5L/秒。呼吸の全持続時間Ttotは約4秒である。人間は典型的には、1分あたり呼吸を約15回行い(BPM)、換気Ventは約7.5L/minである。典型的な負荷サイクル、TiとTtotの比は約40%である。
4.8 スクリーニング、診断、モニタリングシステム
【0102】
図7Aは、睡眠ポリグラフ(PSG)を受けている患者1000を示す。PSGシステムは、ヘッドボックス2000を含む。ヘッドボックス2000は、以下のセンサからの信号を受信および記録する:EOG電極2015、EEG電極2020、ECG電極2025、頤下EMG電極2030、いびきセンサ2035、胸帯上の呼吸インダクタンスプレチスモグラム(呼吸努力センサ)2040、腹帯上の呼吸インダクタンスプレチスモグラム(呼吸努力センサ)2045、口サーミスタを有する口鼻カニューレ2050、フォトプレチスモグラフ(パルスオキシメータ)2055、および身体位置センサ2060。電気信号は、額中心に位置決めされた接地電極(ISOG)2010と呼ばれる。
【0103】
就寝中の患者1000の呼吸のモニタリングのためのモニタリング装置7100の一例を
図7Bに示す。モニタリング装置7100は、主に患者1000へ方向付けられた非接触型モーションセンサを含む。このモーションセンサは、患者1000の身体の動きを示す1つ以上の信号を生成するように構成される。これらの信号から、患者の呼吸の動きを示す信号が得られ得る。
【0104】
呼吸ポリグラフィー(RPG)とは、PSGの単純な形態を指す用語であり、電気信号(EOG、EEG、EMG)、いびきまたは身体位置センサは用いない。RPGは、少なくとも以下を含む:胸部バンド(例えば、動きセンサ2040)上の呼吸インダクタンスプレチスモグラム(動きセンサ)からの胸部動き信号、鼻カニューレを介して感知された鼻圧力信号、およびパルスオキシメータ(例えば、パルスオキシメータ2055)からの酸素飽和度信号。これら3つのRPG信号またはチャンネルは、PSGヘッドボックス2000に類似するRPGヘッドボックスによって受信される。
【0105】
特定の構成において、鼻圧力信号は、形状が鼻流量信号に類似しているため、鼻圧力信号は、密閉鼻マスクと有線接続している流量変換器によって発生された鼻流量信号の申し分のないプロキシである。その結果、患者の口が閉じられたままである(すなわち、口からの漏洩が無い)場合、鼻流量は、呼吸流量に等しくなる。
【0106】
図7Cは、RPGヘッドボックスをRPGスクリーニング/診断/モニタリングシステム内において実行する際に用いられ得るスクリーニング/診断/モニタリングデバイス7200を示すブロック図である。スクリーニング/診断/モニタリングデバイス7200は、上記の3つのRPGチャンネル(胸部の動きを示す信号、鼻流量を示す信号、および酸素飽和度を示す信号)をデータ入力インターフェース7260において受信する。スクリーニング/診断/モニタリングデバイス7200は、符号化命令を実行するように構成されたプロセッサ7210も含む。スクリーニング/診断/モニタリングデバイス7200は、非一時的なコンピュータにより読出可能なメモリ/記憶媒体7230も含む。
【0107】
メモリ7230は、スクリーニング/診断/モニタリングデバイス7200の内部メモリ(例えば、RAM、フラッシュメモリまたはROM)であり得る。いくつかの具現例において、メモリ7230は、スクリーニング/診断/モニタリングデバイス7200へ連結された取り外し可能なまたは外部のメモリであってもよい(例えば、SDカード、サーバ、USBフラッシュドライブまたは光ディスク)。他の具現例において、メモリ7230は、外部および内部メモリの組み合わせであり得る。メモリ7230は、保存されたデータ7240と、プロセッサ7210に特定のタスクを行わせるようにプロセッサ7210を構成するように適合されたプロセッサ制御命令(符号)7250とを含む。保存されたデータ7240は、データ入力インターフェース7260によって受信されたRPGチャンネルデータと、アプリケーションのコンポーネント部分として提供される他のデータとを含み得る。プロセッサ制御命令7250は、アプリケーションプログラムのコンポーネント部分として提供してもよい。プロセッサ7210は、符号7250をメモリ7230から読み出し、符号化された命令を実行するように、構成される。詳細には、符号7250は、インターフェース7260によって提供されるRPGチャンネルデータの処理方法をプロセッサ7210に実行させるようにプロセッサ7210を構成するように適合された命令を含み得る。1つのこのような方法は、RPGチャンネルデータをメモリ7230中のデータ7240として保存することであり得る。別のこのような方法は、保存されたRPGデータを分析して特徴を抽出することであり得る。プロセッサ7210は、このような分析の結果をデータ7240としてメモリ7230中に保存し得る。
【0108】
スクリーニング/診断/モニタリングデバイス7200は、通信インターフェース7220も含み得る。符号7250は、プロセッサ7210が外部コンピューティングデバイス(図示せず)と通信インターフェース7220を介して通信することを可能にするように構成された命令を含み得る。通信モードは、有線または無線であり得る。1つのこのような具現例において、プロセッサ7210は、保存されたRPGチャンネルデータをデータ7240から遠隔コンピューティングデバイスへ送信し得る。このような具現例において、遠隔コンピューティングデバイスは、受信されたRPGデータを分析して特徴を抽出するように、構成され得る。別のこのような具現例において、プロセッサ7210は、分析結果をデータ7240から遠隔コンピューティングデバイスへ送信し得る。
【0109】
あるいは、メモリ7230がスクリーニング/診断/モニタリングデバイス7200から取り外し可能である場合、遠隔コンピューティングデバイスは、取り外し可能なメモリ7230へ接続されるように構成され得る。このような具現例において、遠隔コンピューティングデバイスは、取り外し可能なメモリ7230から取り出されたRPGデータを分析して、特徴を抽出するように構成され得る。
4.9 呼吸治療モード
【0110】
多様な呼吸治療モードは、RPTデバイス4000によって実行され得る。呼吸圧力治療のいくつかの具現例において、中央コントローラ4230は、治療圧力Ptを治療圧力等式(1)に従って治療パラメータ決定アルゴリズム4329の一部として設定する。
【数1】
ここで、Aは振幅であり、Π(Φ、t)は、フェーズの現在の値Φおよび時間のtにおける(0から1の範囲の)波形テンプレート値であり、P
0はベース圧力である。
【0111】
いくつかのそのような具現例において、振幅Aは等しくゼロであるため、治療圧力Pt(現在瞬間の時間におけるインターフェース圧力Pmによって達成される目標値をしめす)は呼吸サイクル全体において同様にベース圧力P0に等しい。このような具現例は、CPAP治療の見出し下において主にグループ分けされる。このような具現例において、フェーズΦまたは波形テンプレートΠ(Φ)を決定するための治療エンジンモジュール4320は不要である。
【0112】
CPAP治療において、ベース圧力P0は一定の値であり得、ハードコードされるかまたはRPTデバイス4000へ手動入力される。中央コントローラ4230は、治療エンジンモジュール4320中の各アルゴリズムから返送された睡眠疾患呼吸の指標または測定(例えば、流れ制限、無呼吸、呼吸低下、開通性、およびいびきのうち1つ以上)の関数としてベース圧力P0を繰り返して計算し得る。この代替例は、APAP治療とも呼ばれる。
【0113】
図4Eは、中央コントローラ4230によって実行される方法4500を示すフローチャートである。方法4500において、圧力補助Aがゼロに等しい場合、ベース圧力P
0を治療パラメータ決定アルゴリズム4329のAPAP治療実行の一部として連続的に計算する。
【0114】
方法4500は、ステップ4520から開始する。ステップ4520において、中央コントローラ4230は、無呼吸/低呼吸の存在の測定を第1の閾値と比較し、無呼吸/低呼吸の存在の測定が事前決定された期間にわたって第1の閾値を超えている(これは、無呼吸/低呼吸の発生を示す)かを決定する。無呼吸/低呼吸の存在の測定が事前決定された期間にわたって第1の閾値を超えている場合、方法4500は、ステップ4540へ進み、そうでない場合、方法4500は、ステップ4530に進む。ステップ4540において、中央コントローラ4230は、気道開通性の測定を第2の閾値と比較する。気道開通性の測定が第2の閾値を超える場合、気道が開存していることを示し、検出された無呼吸/低呼吸が中枢性であるとみなされ、方法4500はステップ4560に進む。気道開存性の測定が第2の閾値を超えない場合、無呼吸/低呼吸は閉塞性であるとみなされ、方法4500は、ステップ4550へ進む。
【0115】
ステップ4530において、中央コントローラ4230は、流れ制限の測定を第3の閾値と比較する。流れ制限の測定が第3の閾値を超える場合、吸気流が制限されていることを示す。その場合、方法4500は、ステップ4550へ進む。流れ制限の測定が第3の閾値を超えない場合、方法4500は、ステップ4560に進む。
【0116】
ステップ4550において、得られた治療圧力Ptが最大治療圧力Pmaxを超えない場合、中央コントローラ4230は、ベース圧力P0を事前決定された圧力インクリメントΔPだけ増加させる。1つの具現例において、事前決定された圧力インクリメントΔPおよび最大治療圧力Pmaxは、それぞれ1cmH2Oおよび25cmH2Oである。他の具現例において、圧力インクリメントΔPは、0.1cmH2Oまで低くかつ3cmH2Oまで高くすることができるか、または、0.5cmH2Oまで低くかつ2cmH2Oまで高くすることができる。他の具現例において、最大治療圧力Pmaxは、15cmH2Oまで低くかつ35cmH2Oまで高くすることができるか、または、20cmH2Oまで低くかつ30cmH2Oまで高くすることができる。次に、方法4500は、ステップ4520に戻る。
【0117】
ステップ4560において、低下したベース圧力P0が最低治療圧力Pminを下回っていない場合、中央コントローラ4230は、ベース圧力P0をデクリメントだけ低下させる。次に、方法4500は、ステップ4520に戻る。1つの具現例において、デクリメントはP0-Pminの値に比例するため、検出されたイベントが無い場合、P0の最低治療圧力Pminへの低下は、指数関数的になる。1つの具現例において、比例関係の定数は、P0の指数関数的低下の時定数τが60分でありかつ最低治療圧力Pminが4cmH2Oとなるように、設定される。他の具現例において、時定数τは、1分まで短くかつ300分まで長くすることができるか、または、5分まで短くしかつ180分まで長くすることができる。他の具現例において、最低治療圧力Pminは、0cmH2Oまで低くすることができかつ8cmH2Oまで高くすることができるか、または、2cmH2Oまで低くすることができかつ6cmH2Oまで高くすることができる。あるいは、検出されたイベントが無い場合にP0の最低治療圧力Pminまでの低下が線状になるように、P0のデクリメントを事前決定してもよい。
【0118】
本技術のこの形態の他の具現例において、方程式(1)中の振幅Aの値は正であり得る。このような具現は、バイレベル治療として公知である。なぜならば、治療圧力Ptを正の振幅Aの方程式(1)を用いて決定する場合、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、患者1000の自発呼吸努力と同期して治療圧力Ptを2つの値またはレベル間で振動させるからである。すなわち、上記した典型的な波形テンプレートΠ(Φ,t)に基づいて、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、吸気の開始時または吸気の最中に治療圧力PtをP0+A(IPAPとして公知)まで増加させ、呼気開始時または呼気の最中に治療圧力Ptをベース圧力P0(EPAPとして公知)まで低下させる。
【0119】
バイレベル治療のいくつかの形態において、IPAPは、CPAP治療モードにおける治療圧力と同じ目的の治療圧力であり、EPAPは、IPAPから振幅Aを減算した値であり、呼気圧力解放(EPR)とも呼ばれる「小さな」値(数cmH2O)を有する。このような形態は、EPRを用いたCPAP治療とも呼ばれ、直接的なCPAP治療よりも快適性高いものとして一般的に考えられる。EPRを用いたCPAP治療の場合、IPAPおよびEPAPのいずれかまたは双方は一定の値であり得、ハードコードされるかまたはRPTデバイス4000へ手動入力される。あるいは、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、EPRを用いたCPAP時において、IPAPおよび/またはEPAPを繰り返して計算し得る。この代替例において、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、治療エンジンモジュール4320中の各アルゴリズムから返送された睡眠疾患呼吸の指標または測定の関数としてEPAPおよび/またはIPAPを繰り返して計算する。これは、上記したAPAP治療におけるベース圧力P0の計算と同様に行われる。
【0120】
他の形態のバイレベル治療において、振幅Aは、RPTデバイス4000が患者1000の呼吸動作の一部または全部を行うほど充分に大きい。圧力補助換気治療として公知のこのような形態において、振幅Aは、圧力補助またはスイングと呼ばれる。圧力補助換気治療において、IPAPは、ベース圧力P0+圧力補助Aであり、EPAPはベース圧力P0である。
【0121】
一定圧力補助換気治療として公知の圧力補助換気治療のいくつかの形態において、圧力補助Aは、所定の値(例えば、10cmH2O)に固定される。所定の圧力補助値は、RPTデバイス4000の設定であり、例えばRPTデバイス4000の構成時にハードコードされるかまたは入力デバイス4220を通じた手動入力により設定され得る。
【0122】
サーボ換気として広範に知られる圧力補助換気治療の他の形態において、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、呼吸器サイクル(例えば、換気の現在測定Vent)の一定の現在測定されているまたは推定されているパラメータと、当該呼吸器パラメータの目標値(例えば、換気の目標値Vtgt)とを入力としてとり、式(1)のパラメータを連続的に調節して、呼吸器パラメータの現在の測定を目標値に接近させる。CSR治療に用いられる適応型サーボ換気(ASV)として公知のサーボ-換気の形態において、呼吸パラメータは換気であり、目標換気値Vtgtは、上記したように典型的な最近の換気Vtypから目標換気決定アルゴリズム4328によって計算される。
【0123】
サーボ換気のいくつかの形態において、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、呼吸器パラメータの現在の測定をターゲット値へと達するように、圧力補助Aを繰り返し計算する制御方法を適用する。1つのこのような制御方法として、比例積分(PI)制御がある。目標換気Vtgtが典型的な最近の換気Vtypよりも若干低くなるように設定されたASVモードに適したPI制御の1つの具現例において、圧力補助Aは、以下のように繰り返して計算される:
【数2】
【0124】
ここで、Gは、PI制御の利得である。利得Gの値が大きくなると、治療エンジンモジュール4320におけるフィードバックが正になり得る。利得Gの値が小さくなると、一定の残りの未治療CSRまたは中枢性睡眠時無呼吸が発生し得る。いくつかの具現例において、利得Gは、所定の値(例えば、-0.4cmH2O/(L/分)/秒)に固定される。あるいは、利得Gは、CSRを実質的に除いた値に到達するまで、治療セッション間において変更され得る(最初は低い値から開始し、セッション間において増加させる)。治療セッションのパラメータを遡及的に分析して治療セッション時のCSRの深刻度を評価するための従来の手段は、このような具現例において用いられ得る。さらに他の具現例において、利得Gは、換気の現行測定値Ventと、目標換気Vtgtとの間の差に応じて変動し得る。
【0125】
治療パラメータ決定アルゴリズム4329によって適用され得る他のサーボ換気制御方法を挙げると、比例(P)、比例差分(PD)、および比例積分差(PID)がある。
【0126】
方程式(エラー!参照源未詳)を介して計算された圧力補助Aの値は、[Amin、Amax]として規定された範囲までクリップされ得る。この具現例において、圧力補助Aは、現在の換気Ventの測定が目標換気Vtgtを下回るまで、最小圧力補助Aminにおいてデフォルトとして設定される。現在の換気Ventの測定が目標換気Vtgtを下回った時点においてAが増加し始め、Ventが再度Vtgtを超えた場合にのみ、Aminまで低下する。
【0127】
圧力補助制限AminおよびAmaxは、RPTデバイス4000の設定であり、例えばRPTデバイス4000の構成時にハードコードされるかまたは入力デバイス4220を通じた手動入力によって設定される。
【0128】
圧力補助換気治療モードにおいて、EPAPは、ベース圧力P0である。CPAP治療におけるベース圧力P0と同様に、EPAPは一定の値であり得、タイトレーション時に規定または決定される。このような一定のEPAPは、例えばRPTデバイス4000の構成時にハードコードするかまたは入力デバイス4220を通じた手動入力により、設定され得る。この代替例は、固定EPAP圧力補助換気治療とも呼ばれる。所与の患者についてのEPAPのタイトレーションは、閉塞性無呼吸を予防する目的のために、PSGを用いたタイトレーションセッション時に臨床医によって行われ得、これにより、一定CPAP治療におけるベース圧力P0のタイトレーションと同様の様態で、圧力補助換気治療のために気道確保が維持される。
【0129】
あるいは、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、圧力補助換気治療時のベース圧力P0を繰り返して計算し得る。このような具現例において、治療パラメータ決定アルゴリズム4329は、治療エンジンモジュール4320中の各アルゴリズムから返送された睡眠時呼吸障害の指標または測定(例えば、流れ制限、無呼吸、呼吸低下、開通性およびいびきのうち1つ以上)の関数としてEPAPを繰り返して計算する。EPAPの連続的計算は、EPAPのタイトレーション時における臨床医によるEPAPの手動調節に類似するため、このプロセスは、EPAPの自動タイトレーションとも呼ばれ、治療モードは、自動タイトレーションEPAP圧力補助換気治療または自動EPAP圧力補助換気治療として知られる。
【0130】
他の形態の呼吸治療において、空気流れの圧力は、呼吸圧力治療に用いられるため、制御されない。すなわち、中央コントローラ4230は、(デバイス流量Qdが治療流量または目標流量Qtgtになるように制御される)空気流れを圧力生成器4140に送達させるように、圧力生成器4140を制御する。このような形態は、流れ治療の見出し下において主にグループ分けされる。流れ治療において、治療流量Qtgtは一定の値であり得、ハードコードされるかまたはRPTデバイス4000へ手動入力される。治療流量Qtgtが患者のピーク吸気流量を超えるのに十分である場合、その治療は、高流量治療(HFT)と主に呼ばれる。あるいは、治療流量は、呼吸サイクルにわたって変動するプロファイルQtgt(t)であり得る。
4.10 データ送信の解像度
【0131】
図1Aは、患者1000の健康のモニタリングのためのシステム100を示す。よって、システム100は、呼吸圧力治療デバイス4000と、加湿器5000と、任意選択の外部デバイス(例えば、モバイルデバイス110)と、身体取付型健康モニタリングデバイス120とを含む。システム100は、遠隔クラウドベースの健康データ分析エンジン130も含む。健康データ分析エンジン130は、ネットワークされたコンピューティングデバイスまたはクラウドを通じて利用可能なデバイス上において実行し得る。分析エンジン130は、本例においてクラウドベースのシステムであり得、ネットワーク140を介して連結される。よって、健康分析エンジン130は、呼吸治療デバイス4000とネットワーク通信を有する。
【0132】
呼吸圧力治療デバイス4000は、患者1000へ呼吸治療を提供するために、送信器および空気制御デバイスを含む。以下に述べるように、呼吸圧力治療デバイス4000は、動作データを収集し、収集した動作データを遠隔健康データ分析エンジン130へ送信する。健康データ分析エンジン130は、収集されたデータを呼吸治療デバイス4000から受信して、患者1000の健康状態の決定を収集されたデータに基づいて行う。エンジン130は、患者情報データベース150、健康モニタリングデバイス120およびモバイルデバイス110からの他の関連データの受信および追加も行い得る。外部データベース(例えば、データベース160)は、健康状態の分析のためにさらなるデータも提供し得る。例えば、データベース160は、他の呼吸圧力治療デバイスおよび対応する患者からの「ビッグデータ」も含み得る。データベース160は、他のソースからの関連外部データも保存し得る(例えば、環境データ、科学的データおよび人口統計学的データ)。ワークステーション170などの外部デバイスは、ヘルスケアプロバイダからアクセス可能であり、以下に述べるように、健康分析エンジン130へ接続され得る。
【0133】
データベース150からのデータおよび健康状態は、機械学習エンジン180によってさらに相関付けられ得る。機械学習エンジン180は、機械学習構造を実行し得る(例えば、ニューラルネットワーク、決定樹アンサンブル、サポートベクトル機器、ベイジアンネットワークまたは勾配ブースティング機器)。このような構造は、異なる健康状態の決定のための線形または非線形の予測モデルを実行するように構成され得る。例えば、健康状態の分類などのデータ処理は、教師あり機械学習、ディープラーニング、コンボリューショナルニューラルネットワークおよびリカレントニューラルネットワークのうち1つ以上により、実行され得る。記述的かつ予測的な教師あり機械学習を手作りの特徴と共に用いるのに加えて、ディープラーニングを機械学習エンジン180上において実行することが可能である。これは、典型的には、通常状態および異常状態における大量のスコア付けされた(ラベル付けされた)データ(例えば、異なるRPTデバイスから得られた、数百日分の夜間のスコア付けされた睡眠および健康データ)に依存する。このアプローチによれば、ニューロンの多数の相互接続された層を実行して、(単純なニューラルネットワークよりも「より深い」)ニューラルネットワークを形成し得るため、より複雑な特徴が各層によって「学習される」。機械学習においては、手作りの特徴または単純な決定樹よりも、変数が多数用いられ得る。
【0134】
コンボリューショナルニューラルネットワーク(CNN)は、オーディオおよび画像処理において(例えば、顔認識のための)情報の推測において広範に用いられており、音声スペクトログラムまたはさらにはシステム100中の(画像として示される)収集データから生成された人口規模のゲノムデータセットにも適用可能であり得る。画像またはスペクトログラムの処理の実行時において、システムは、時間的特性および周波数特性を、デジタル化画像またはスペクトログラムデータの強度、スペクトルおよび統計的推定値から認識的に「学習する」。
【0135】
CNNと対照的に、全ての問題を、一定長さの入力および出力を有するものとして表すことができるわけではない。例えば、呼吸音または心臓音響音の処理は、スピーチ認識および時系列予測と類似点がある。そのため、音分析を用いれば、コンテクスト情報の保存および利用を行うシステム(例えば、前回の出力または隠蔽状態を入力としてとり得るリカレントニューラルネットワーク(RNN))から恩恵を受けることができ得る。換言すれば、これらは、情報をコンテクストノード中に保存し得る多層ニューラルネットワークであり得る。RNNの使用により、異なる長さの入力および出力の処理が、時間ステップにわたる状態情報の維持によって可能になる。RNNにおいて用いられ得るLSTM(長・短期記憶-これは、一種の「ニューロン」であり、RNNの(一方向または双方向であり得る)制御の向上を可能にして)勾配消失問題の管理および/または勾配クリッピングの利用を行う。
【0136】
既知のデータ入力からの既知の健康状態の教師あり学習について機械学習エンジン180を訓練すると、入力データの分析の支援が可能になり得る。入力データと健康状態との間の未知の相関を決定するために、機械学習エンジン180を教師なし学習について訓練することもでき得、これにより、健康データ分析エンジン130の分析範囲の拡張に繋がり得る。
【0137】
さらなるセンサ(患者1000が装着している身体取付型健康モニタリングデバイス120上のもの)からのデータが、収集され得る。身体取付型健康モニタリングデバイス120は、スマート装着式衣服、スマートウォッチまたはスマートデバイスであり得、患者1000からのデータ取得を低衝撃の様態で行い得る。例えば、健康モニタリングデバイス120は、1つ以上のセンサを含み得る(例えば、オーディオセンサ、心拍数センサ、呼吸センサ、ECGセンサ、フォトプレチスモグラフィ(PPG)センサ、赤外線センサ、活性センサ、無線周波数センサ、SONARセンサ、光学センサ、ドップラーレーダーモーションセンサ、温度計、またはインピーダンス、圧電、光電、または歪みゲージ型センサ)。このデータは、日中に収集された他のデータソースまたは特定の期間にわたって収集されたデータ(例えば、RPTデバイス4000の動作から得られたもの)と融合され得る。データは、RPTデバイス4000と通信し得るモバイルコンピューティングデバイス110へ送られ得る。あるいは、健康モニタリングデバイス120上のさらなるセンサからのデータは、RPTデバイス4000へ直接送られ得る。健康モニタリングデバイス120、RPTデバイス4000またはモバイルコンピューティングデバイス110からのデータは、クラウド140へ送信され得る。
【0138】
本例において、RPTデバイス4000は、通信ハブとして機能する電子コンポーネントを含み得る。これらの電子コンポーネントは、患者1000の近隣の他のセンサへのデータ転送と、遠隔処理のための健康分析エンジン130による収集データの転送とを管理する。他のセンサの例を挙げると、血圧計、重量計、睡眠センサ、血糖値測定器およびスマートドラッグ/服薬アドヒアランスビンがある。このようなデータは、RPTデバイス4000が治療そのものを送達させない場合であっても、RPTデバイス4000によって収集され得る。あるいは、モバイルデバイス110は、健康モニタリングデバイス120、RPTデバイス4000および他のデータソースからデータを収集し得るため、遠隔処理のための健康分析エンジン130へのデータ転送を管理する通信ハブとして機能する。他のデバイス(例えば、RPTデバイス4000との通信が可能であり得る家庭用デジタルアシスタント)も、通信ハブとして機能し得る。
【0139】
図4Cに示すように、例示的なRPTデバイス4000は、集積型センサおよび通信電子装置を含む。旧型のRPTデバイスの場合、収集データの送信のために通信電子装置を含み得るセンサモジュールとのレトロフィットが可能であり得る。このようなセンサモジュールは、RPTデバイスへ取り付けられ得るため、動作データを遠隔分析エンジン130へ送信し得る。
【0140】
「包括的ケア」という用語は、患者の経験の向上と、健康送達システムからの効率および価値の向上とのための関心事を反映した用語である。
図1A中の例示的システム100は、患者、ヘルスケアプロバイダおよび支払人のための完全な解決策の提供に関連し、呼吸治療デバイスからのデータからの高データレートおよび/またはスマート感知および分析学を取り入れている。
【0141】
本例において、システム100は、イベントに基づいてかつ/または収集されたデータのさらなる詳細を必要とする特定の目的のために、PAPデバイス(例えば、RPTデバイス4000)からクラウド140、クラウドのエッジなどへアップロードされた「データ解像度」を変更し得る。高解像度データおよび感知を用いた合併症についてのこれらのスマート健康識見は、夜間全体におけるRPTデバイス4000と患者1000(マスク/枕)との接触を利用することにより、イネーブルされ得る。これにより、従来の低解像度の呼吸分析から、健康分析エンジン130からのクラウド処理によって増強された高解像度の心臓呼吸性の識見への変化が可能になる。
【0142】
本例において、RPTデバイス4000は、空気流および圧力信号を比較的低周波(例えば、25Hz)において出力し得る。他の低解像度データ(例えば、マスク圧力、空気圧力、EPR圧力、漏洩データ、呼吸数、一回換気量、毎分換気量、いびきおよび流れ制限)は、2秒毎に収集され得る。RPTデバイス4000へ接続され得る任意選択の外部センサにより、他のデータ(例えば、酸素投与(SpO2)およびパルスレート)の収集が可能になり得る。加えて、医療データの交換および保存に関する標準的アノテーション(例えば、欧州データフォーマット(EDF))が、収集されたデータへ適用され得る。以下に述べるように、上記データは、より高い解像度モードにおいて収集され得る。加えて、高解像度モードにより、さらなる種類のデータまたは基礎データから導出されたデータの収集が可能になり得る。
【0143】
例示的な健康モニタリングシステム100は、自宅環境において接続型ハブとして機能する例示的RPTデバイス4000に基づく。このハブの役割は、本例において睡眠障害呼吸および慢性疾患双方の管理を行う外部健康データ分析エンジン130と組み合わせられる。これは、統一支払人へのサービスとしてのケアとして提供され得る。RPTデバイス4000および関連付けられたセンサ(例えば、健康モニタリングデバイス120)は、患者1000が罹患する可能性のある慢性疾患の全ての様態をモニタリングし得る。例えば、分析エンジン130は、収集されたデータから決定され得るトリガ発動イベントに基づいて、再燃(例えば、ぜんそく発作、COPD再燃)または心臓状態(発作性心房細動、心房細動の悪化、または脳卒中)を発生前に予測し得る。他の疾患および健康状態は、収集されたデータの相関に基づいてモニタリングされ得る。このような相関は、
図1A中の機械学習エンジン180によって決定され得る。
【0144】
本例において、RPTデバイス4000からのデータ収集の速度および種類の増加に繋がり得る異なるトリガ発動イベントが存在する。よって、RPTデバイス4000は、2つのデータ収集モードを含み得る。低速収集モードにおいて、標準的動作データの収集が含まれ得る。高速収集モードを用いると、事前決定された期間にわたる健康状態の分析に用いられ得る収集速度および/またはデータの種類が低速収集モードと比較して増加し得る。健康モニタリングシステムのシステムは、低速収集モードにおいて収集されたデータから決定されたトリガ発動イベントに基づく。トリガ発動イベントが発生するかについてと、当該イベントが何を意味するかとについて、決定が下される。
【0145】
トリガ発動イベントの検出後、トリガ発動イベントが本物かについての決定が行われ得る。トリガ発動イベントが本物であるかの検証は、複数のセンサからのデータまたはイベントの持続時間に基づき得る。トリガ発動イベントが本物ではないとの決定が下された場合、データ収集は、トリガ発動イベントの前のデータ収集レベルに復帰する。任意選択的に、トリガ発動イベントに関与するデバイスは、偽イベントの原因となった問題/エラーがあるかを決定するための診断を行い得る。トリガ発動が本物のイベントを反映する場合、処理は、異なるモードにおけるデータ収集に基づいて進行し得る。
【0146】
変化するデータ解像度は、デバイスによってサンプリングされてクラウドへアップロードされるより高いデータレートであってもよいし、あるいは、クラウドへアップロードされるがデバイスによって既にサンプリングされているより高いデータレートであってもよい。このサンプリングは、例えば
図4Cに示すようなセンサから行われ得る。これらは、マスク3000中のセンサと、呼吸圧力治療デバイス4000中の流れセンサおよび音響センサとを含み得る。さらなるセンサは、データ量および/またはデータレートの制御(増大/低下)を起動/遮断させ得る。
【0147】
トリガ発動イベントが本物である場合、応答的アクションを必要とする緊急度または重症度を決定するための重症度チェックが行われ得る。この重症度決定は、トリガ発動イベントの深刻度に基づく。例えば、低重症度イベントの場合、アクションをとるようにとの旨の患者へ通知がトリガされ得る。高重症度イベントの場合、臨床医によるアクションまたは緊急応答の要求が必要になり得る。トリガ発動イベントの決定と、イベントの重症度の評価とは、規則に基づいてもよいし、あるいは、機械学習アルゴリズムによって自動制御されてもよい。機械学習エンジン180は、収集された入力データおよびトリガ発動イベントの学習用セットに基づいて異なるトリガ発動イベントを決定するよう、教示され得る。同様に、機械学習エンジン180は、異なるトリガ発動イベントの重症度および適切な応答を決定するよう、教示され得る。トリガ発動イベントおよび応答レベル双方の決定のための重みは、さらなるデータの収集と共に機械学習エンジン180によって洗練され得、得られた結果の評価が行われる。
【0148】
例えば、1つのトリガ発動イベントは、患者1000または介護者によって開始され得るユーザまたは患者についての健康記録を蓄積せよとのリクエストであり得る。このようなコマンドは、モバイルデバイス110または遠隔外部デバイス(例えば、
図1A中のワークステーション170)を介して遠隔に提供され得る。例えば、健康記録を蓄積せよとのリクエストは、ユーザのための新規の基準線の確立、将来の縦断的データとの比較のためのユーザの通常のトレンドの検出、または電子健康記録へのアクセスリクエストのために行われ得る。あるいは、基準線の決定は、患者の種類に合った規準値の患者母集団に関連する基準線へ患者からのデータを加算することにより、行われ得る。
【0149】
このようなリクエストのための収集データは、心臓情報を含み得る(例えば、平均化された心拍数値(例えば、移動平均またはメジアン)心拍数、基準線心拍数、異なる時間規模における心拍数トレンド、異なる時間規模にわたる心拍数の変動特性(鼓動間インタバルの変化))。異なる時間尺度は、秒、分、時間、複数時間、日または他のインタバルにわたり得る。心拍数値は、(PAPおよび非PAP感知と組み合わされた場合に)日中または夜間、ユーザが就寝中であるか、どの睡眠ステージにあるか、ユーザが静かに座っているか、運動中であるか、および他の任意の関連要素にも関連し得る。心臓出力およびCO2レベルも、経時的にモニタリングされ得る。心原性オシレーションの分析を用いると、肺中の局部的ガス流および分布についての識見を得ることにより、肺(および心臓)の健康を経時的に推測することができ得る。同様に、データは、動き測定基準を含み得る。これらの動き測定基準は、異なる時間尺度および処理における活性(例えば、PAPを使用または使用していない就寝中のユーザの動きまたは日常生活におけるユーザの動き)を推定するために、処理される。これらのデータを処理して、患者のエネルギー消費を計算することができる。
【0150】
呼吸データは、吸気値および呼気値の追跡と、呼吸数の推定と、任意の無呼吸または低呼吸の決定と、いびき持続時間、強度および種類、異なる時間尺度にわたるトレンドの決定とのために、処理され得る。機器パラメータ(例えば、マスク漏洩または通気穴漏洩)は、以下に述べるように経時的に追跡され得る。呼気中のガス内容物を分析すると、異常な内容物と、環境中の化学物質(例えば、タバコ煙、洗濯洗剤の香り)の分析とを検出することができ得る。呼吸困難の推定値は、呼吸数、(呼吸の速さまたは浅さを示す)呼吸曲線、心臓の変化(例えば、動悸および心臓出力の変化の可能性)に基づいて生成され得、呼吸困難の感じ方または息苦しさの感じ方についてのユーザ主観のフィードバックを含み得る。睡眠アーキテクチャの変化(例えば、覚醒時間の増加ならびに/あるいは睡眠分断の増大(覚醒状態または覚醒の数、およびそれぞれの持続時間))も、取得することができ得る。これらのパラメータのうちいずれかは、グローバルトリガレベルまたは個人用トリガレベルと比較され得る。
【0151】
トリガ発動イベントの別の例として、RPTデバイスの使用頻度の異常な低下がある。例示的RPTデバイス4000からの低速データ収集が中断した場合、ヘルスケアプロバイダまたは患者に対し、患者が自宅を離れておりかつ旅行用デバイスを携行していない旨のアラートが出され得る。別の状況として、患者の体調が優れないため、治療デバイスを操作することができない場合があり得る。このような場合、他の居室センサにアクセスして、患者の状態をチェックすることができ得る(例えば、スマートアシスタント、マットレスまたはベッドセンサ、光センサ、温度センサ、占有センサ、受動型赤外線(PIR)センサ、ビデオ/セキュリティカメラ、無線周波数(RF)撮像センサ(例えば、UWBまたはIR-UWB)、マイクロ波センサ、建物または自宅用のスマート管理システム、侵入者アラームセンサおよびセッティング(電流モード(例えば、イネーブルまたはディセーブル))、(電気使用量を測定する)スマートメータ、ドア操作型スイッチ、音声検出センサ、転倒検出センサ、スマートフォンおよび/またはBluetoothビーコンの存在、スマートフォン電池/充電/使用量(ユーザインターフェース(UI)の対話または動き)を含む)。
【0152】
別の例示的なシナリオとして、患者が自身の治療デバイスを操作することを失念した場合があり得る。患者へのリマインドとして、プッシュ通知をモバイルデバイス110などのスマートデバイスへ送ってもよい。別の例示的シナリオとして、消耗品(例えば、フィルタ、酸素タンクまたは電池)が枯渇しているため、デバイスの使用ができなくなっているシナリオがあり得る。次に、システム100は、供給システムと通信して、代替消耗品を患者へ直送するか、または、消耗品を薬局へ送達させて、患者が取りに行けるようにするか、または、消耗品を技術者へ送達させて、患者場所において取付できるようにし得る。
【0153】
トリガ発動により向上したデータ収集の別の例として、新規の薬剤または治療の提供がある。例えば、新規の薬剤が新たにユーザへ提供される場合またはユーザが新規のまたは変更された薬物レジームを開始しようとしている市場において新規である場合、システム100は、呼吸および心臓活動をより高い収集速度においてモニタリングし(そして恐らくはガス分析を実行し)て、当該新規治療が成功し、副作用または他の薬剤との干渉の無いことをチェックすることができ得る。主要データは、心臓の状態の変化を含み得る(例えば、心拍数の経時的変化(および睡眠ステージ毎の心拍数の変化)、心拍数変動特性の変化(例えば、変動特性の増加は、向上の兆候であり得る)、発作性心房細動の低下、心臓出力の増加、血圧の変化、呼吸数の変化、呼吸深さの変化、活性レベルの変化、推定される不快感の低下、睡眠の質の上昇、不眠症状の低下、報告されるエネルギーレベルの上昇、残存無呼吸またはいびきまたは喘鳴または咳嗽の低下、肺機能の向上、必要なPAP圧力の低下、PAP使用量の上昇、および報告される鬱病または不安の低下)。不眠とは、睡眠の質または持続時間についての不満感の愁訴であり、例えば、床に就いてから寝入るまでの困難や、頻繁な覚醒または長時間の覚醒や、早朝に覚醒した後に再び眠ることができないことなどがある。加えて、日中の苦痛、機能障害、気分障害、認識低下および疲労も含まれ得る。
【0154】
患者のために薬剤または治療を主に評価するために、類似の手順が用いられている。RPTデバイス4000と一体化されたプラットフォームを介して患者が薬剤を送達した場合、薬剤量または投薬頻度の調節を自動的に行うことができ得る。このような送達プラットフォームは、薬剤リザーバを含み得る。例えば、薬剤リザーバは、日中の送達のためのパッチと共に用いられ得る(よって、電力と、パッチ中に含まれる薬剤との節約に繋がる)。よって、RPTデバイス4000は、(典型的には夜間における)RPTデバイス4000の使用時において、薬剤リザーバを制御して、薬剤リザーバに薬剤を管理させることができ得る。よって、トリガ発動イベントに基づいて、薬剤送達のためのプラットフォームが、薬剤の定期的送達または薬剤の例外的送達と共に実現される。臨床レビューおよび承認に基づいて、特定の薬剤(例えば、気管支拡張剤、抗炎症薬および抗生物質)が、患者へ送達され得る。これらは、患者が覚醒しておりかつ患者インターフェースを着用しているときに、送達され得る。このような薬剤の送達は、ボタンの押圧により、行われ得る。この送達は、例えば酸素送達と組み合わされ得る。ぜんそく発作が検出された患者の場合、(状況を悪化させ得る)圧力増加をRPTデバイス4000において行う代わりに、システム100は、寛解用投与を患者インターフェースまたはモバイルデバイス110を介してリクエストする(かまたは自動的に)送達させ、患者の鎮静を支援するための呼吸プログラムを起動させる能力を患者へ提供することができる。モバイルデバイス110は、さらなる命令を患者へ通信させるアプリケーションを含み得る。例えば、アプリケーションは、患者に対し、上体を起こしてまっすぐ座って、緊急サービスまたは別のヘルスケアプロバイダへ連絡をとるよう要請することもでき得る。同様に、COPDの再燃またはCHFの代償不全を有するか(かまたはその発生が予測されている)患者に対しても、薬剤が提供され得る。他の薬剤(例えば、鼻充血緩和剤)により、(例えば、悪化が再燃に繋がることを回避するために)風邪またはインフルエンザに関連する上気道感染の治療が行われ得る。薬剤を投与する他のデバイスが、RPTデバイス4000と通信可能に統合され得る。例えば、薬剤の送達は、患者1000が吸入した薬剤の投与の発生および他のデータを通信し得る、スマート吸入器、吸入器(例えば、Propeller Healthから提供されているもの)へ取り付けられた組み合わせ型モニターアクセサリ、または他のスマート接続型計量薬剤送達システム/デバイスを介して行われ得る。
【0155】
改良されたデータは、呼吸圧力治療の異なる要素(例えば、患者の状態が変化しているかまたは閾値またはトレンドは満たされているか)の分析に用いられ得る。例えば、空気流データを用いて、CPAPデバイスが患者へ適合している様態を決定することができ得る。このデータは、睡眠障害呼吸が経時的に悪化しているかまたは改善しているかの決定に用いられ得る。例えば、CPAPデバイスにより空気流を誘発させ、圧力変調を発生させることにより、患者気道の開口または閉鎖を検出することができる。流れセンサ4274からの測定空気流信号を復調すると、この変調信号は、心拍および他のファクターから分離される。平均誘導信号が0.03l/秒を超える場合は、気道の開口を示し、平均誘導信号が0.03l/秒未満である場合は、気道の閉鎖を示す。他のデータを収集して、心臓の適応度の推定または患者1000の呼吸数、水分補給、虚血、血圧およびコレステロールレベルの決定を行うことができ得る。
【0156】
例示的RPTデバイス4000からの流れデータ、モータ速度、圧力および音響データは、RPTデバイス4000の特性の鑑定に用いられ得る。上記したように、センサは、モータからの流れ生成、呼吸装置導管(例えば、マスクへの管またはホース)からの特性、マスクまたはカニューレのフィット感、モータ速度、ならびに(圧力変換器または流れセンサからの)ガス容積流量および出口圧力の検出に用いられ得る。例えば、このデータは、アクセサリおよび部品の特定に用いられ得る(例えば、マスク種類、管またはホース、ホース数およびコネクタ)。データ収集は、マスクインターフェース3000のフィット感が受容可能なパラメータ内にあるかを示す漏洩を全て決定するために、行われ得る。これは、患者が最適なサイズまたは種類のマスクを使用しているかまたはマスクが具体的に通常の摩損に起因して交換する必要があるかと相関付けられ得る。管は、
図2C中の内部音響センサ4278からの音導波路として機能し得る。データは、(おおよそ平坦な音データ信号を有するように)一定速度において実行される流れ生成器によって収集してもよいし、あるいは、特定のタイミングで導入される変化を有してもよい。
【0157】
音響センサ4278の生音データを処理することにより、管、マスクおよび呼吸システムの伝達関数を決定して、機材の状態、患者1000の肺およびガス組成についての新規の識見を得ることができ得る。この伝達関数は、患者の動きの検出にも用いられ得る。例えば、モータ音からの反射は、音響センサ4278からマスク空洞までおよびその逆を含む往復時間に関連するピークを示し得る。システムは、管長さ、多様なガス(例えば、典型的な空気組成、吸気)の音の速度、および(呼気の二酸化炭素が空気中のベースCO2レベルよりも高い場合の)組成変化、または補充酸素に起因する実際に予測される変化、異なるガスの異なる温度における音速度の変化、および湿度設定)についての知識を有する。
【0158】
インパルス応答関数の計算によって伝達関数をモデル化するための1つのアプローチにおいて、「ケプストラム」分析が用いられる。ケプストラム分析は、地震イベントの分析に由来しており、エコー信号の処理において有用である。ケプストラム分析により、異なるイベントを電力スペクトルおよび変数分離形の対数において加算することができるため、異なる効果を分離させることが可能になる。他の処理アプローチにおいて、対数パワースペクトル(LogFFT)、セグメント化チャープZ変換(SCZT)および可撓性窓の組み合わせ、または時間周波数表現(TFR)(例えば、短時間フーリエ変換(STFT))、ガボール展開、クロスアンビギュイティ関数(CAF)、および二次TFR(例えば、Wigner-Ville分布(WVD))の使用が含まれ得る。ケプストラム分析を検討する際、自動ケプストラムは、信号の自動相関のケプストラムである。ケプストラム分析においては、管からの音サンプルの処理が行われ、フーリエ変換が実行され、対数がとられた後、逆フーリエ変換が行われる。このプロセスの目的は、インパルス応答関数(IRF)およびノイズまたは音信号の畳み込みを加算動作へ変換することにより、IRFの分離を分析のためにより容易に行うことである。
【0159】
例えば、管のよじれまたは閉塞を検出するために、基準値を先ず計算することができ(例えば、閉塞の無い管の訓練サンプル)、その後、管の動作時に(例えば管がよじれて閉塞が発生した際に)新規測定を行い、差を計算(例えば、この差の有意サンプルの計算)して、「有意な」サンプル(例えば、ピーク)の場所の決定により、場所(管中の)場所を推定することができる。閉塞の範囲または深刻度は、ピーク振幅またはプロファイルの変化から決定され得る。あるいは、自動相関(電力スペクトルの逆フーリエ変換)を用いてもよい。同様に、マスクの種類、サイズ、当人の呼吸系を、IRFの分析(例えば、ディープラーニング撮像/スペクトログラム方法の使用)に基づいて(または受信されたオーディオサンプルの処理に直接的に基づいて)モデル化することができる。
【0160】
収集されたデータは、睡眠ステージの分析の決定にも用いられ得る。例えば、患者インターフェース(例えば、マスク3000)の動きを埋設型モーションセンサから決定して、患者の動きを決定することができる。正規化された呼吸数変動特性および吸気/呼気比の変化が、睡眠ステージ分析のために決定され得る。心拍数変動特性トレンドも、睡眠ステージ分析のために決定され得る。例えば、流れ、圧力またはマイクロフォン信号のうち1つ以上においてみられる心臓発生信号のピークの追跡により、ピークツーピーク時間を用いて、毎分毎の心拍数(HRbpm)および心拍数変動特性(例えば、鼓動間隔のスペクトル分析)を推定することができる。このようなデータは、睡眠アーキテクチャの展開様態と相関付けられ得、このデータを用いて、予測される睡眠ステージ数を通じて患者が進行しているか、患者の睡眠が分断しているか、患者が適切なREMおよび深い睡眠を得ているか、および患者が頻尿のためにトイレに行っているかが決定され得る。機械学習モデルへの入力として、特徴(例えば、年齢および性別情報)が用いられ得る。推定された動き強度、持続時間と、活性、心拍数、心拍数変動特性、呼吸数、呼吸数変動特性、正規化された呼吸数変動特性、呼吸信号波形(吸気、呼気の休止)のパターンとが、睡眠ステージ分類分析システムの一部として計算され得る。いくつかの実施形態において、流れおよび/またはマイクロフォン信号が、モデル(例えば、ディープラーニングニューラルネットワークシステム)へ直接供給され得る。システムは、覚醒度(有意識のまたは無意識のマイクロ覚醒)、浅い睡眠(ステージNREMN1、N2)、N3の深い睡眠/遅波睡眠およびREM睡眠を計算し得る。システムは、異なる睡眠ステージにおける呼吸数および/または心拍数変動特性の変化と、患者の動きとの関係とを学習する。睡眠ステージパターンの知識を用いると、深い睡眠およびREM睡眠の最適化と、全体的な睡眠時間の最大化と、覚醒および浅い睡眠の低減とのために、治療設定に適合することができ得る。年齢および性別情報などの人口統計学的データは、睡眠ステージの決定のために、機械学習モデルへ入力され得る。入力を挙げると、年齢、性別、推定される動き強度、持続時間、および活性パターン、心拍数、心拍数変動特性、呼吸数、呼吸数変動特性、正規化された呼吸数変動特性、および呼吸信号波形(吸気、呼気休止)から、機械学習モデルのための睡眠ステージ分類分析ブロックがある。
【0161】
ストレス、精神衛生問題または他の生理学的問題の決定のために、睡眠ステージ分析を他のデータと組み合わせてもよい。例えば、睡眠ステージにおいて、心拍数および血圧の低下が予測され得る。収集されたデータにおいて、予測される低下からの逸脱が示される場合、ストレス、精神衛生問題または他の生理学的問題の示徴が得られる。別の例として、持続的気道陽圧法の開始前の複雑な睡眠無呼吸の可能性の予測があり得る。これは、診断された睡眠障害呼吸の治療前の重症度、当該試験時の中央イベントの有病率、ならびに診断後かつ治療前(例えば、音響またはRF感知または他の動きおよび睡眠の呼吸推定器を介した)中央イベントおよび閉塞イベント(および定期性呼吸の例)のモニタリング継続に関連し得る。睡眠催眠術/睡眠アーキテクチャ(特に、中断/分断)の分析、NREMにおける低呼吸密度とREM睡眠との比率も、入力特徴として用いられ得る。次に、当該状態に対処するための適切な治療が選択され得る。
【0162】
収集されたデータは、状態(例えば、COPD)の変化(例えば、通常の呼吸数/頻呼吸を上回るもの)の追跡のための呼吸変化の決定に用いられ得る。呼吸データの経時的な収集により、ベース(例えば、平均の「基準線」レベル)呼吸数が経時的に展開する様態を決定することができ得る。呼吸データの収集を、呼気、呼気圧力解放(EPR)、呼気時のバックオフ時間(例えば、RPTによって構成および送達されたもの)、全体的な吸気時間振幅、ならびに呼吸保持時間(次のサイクル前の時間)の測定に用いてもよい。このような疾患分析は、疾患状態の悪化の追跡を含み得る。収集されたデータを分析して、ぜんそくの悪化、花粉アレルギー、風邪または呼吸感染の検出をすることができ得る。例えば、肺インピーダンスをモニタリングして、肺状態の経時的変化を検出することができ得る。患者気道抵抗における他の増加は、状態悪化を示し得る。例えば、COPDおよびぜんそくは、気道狭窄に起因して気道抵抗の増大に繋がる疾患であり、この増大は、検出または推定され得る。
【0163】
感知デバイス(例えば、肺活量計(あるいはRPTと組み合わされるかまたはRPTによってイネーブルされる類似の装置))からのデータは、呼吸流量を測定し得、吸気および呼気の肺容量を計算し得る。デバイス(例えば、グルコースモニタ)または身体の代謝活性によって生成される揮発性有機化合物(VOC)のガス検出から収集されたデータに加えてこのデータは、血液化学と相関付けられ得る。これらの気体分子は、呼吸から検出され得る。例えば、特定のVOCは、COPD、ぜんそくおよびCHFと関連付けられている。そのため、データは、検出されたバイオマーカーがCHF、糖尿病、他の持病を示すと決定し得る。血糖は、終夜の呼吸サンプリングから決定され得る。例えば、糖尿病モニタリングのために、揮発性有機化合物センサがRPT4000へ付加され得る。睡眠時のホルモンバランスの理解のために、VOCセンサを用いて、信号サンプリングによって内分泌系をモニタリングして、ガス内容物(CO2を含む)を把握することもでき得る。収集されたデータから決定されたガス分析、呼吸、心臓および動きパラメータを介して、睡眠ステージをホルモン生成と対照してチェックすることができ得る。
【0164】
収集されたデータを分析して、呼吸状態に直接関連しない他の健康イベントを決定することも可能であり得る。例えば、データは、心拍数、心臓出力および心臓基準信号の変化と相関付けられ得る。心拍数は、心原性オシレーションから発生した心拍に起因する圧力変調により、決定され得る。データは、心臓が有効にポンプとして動作しているか、睡眠時において心拍数低下が予測されるか、レベルまたは呼吸洞不整脈、徐脈の兆候、頻脈、心房期外収縮(PAC)、心室期外収縮(PVC)、発作性心房細動(PAF)、心房細動(AF)、心房粗動、心室性頻拍および心室性細動についての決定と相関付けられ得る。心室性細動などの状態に起因して、アラート(例えば、救急医療)が発生するかまたは治療が適用される場合がある。非呼吸状態についてのさらなる相関が、多数の患者からの収集データによって機械学習エンジン180を介して決定され得る。
【0165】
オーディオデータは、健康状態分析の確認または向上のために用いられ得る。例えば、
図4C中の内部オーディオセンサ4278からの患者からの呼吸の音データを外部オーディオセンサ4279によって検出された外部音と共に用いて、音データを決定することができ得る。詳細なオーディオデータの収集のための十分な音声サンプルを得るために、RPT4000は、送風機をステップダウンまたは低出力させることができ得る。音データ処理の一例として、上記したケプストラム分析があり得る。
【0166】
音データは、残存いびき、喘ぎ、喘鳴、唾飛ばし音および心拍音のレベルを含み得る。これらの音は、呼吸および他の健康状態の決定のために用いられ得る。例えば、喘鳴音の強度およびタイミング(吸気または呼気)は、状態、疾患または微恙の症状有る場合がある。加えて、音が無い状態(例えば、サイレントチェスト)は、他のバイタルサイン(例えば、より高い心拍数および呼吸数)と組み合わさると、重篤なぜんそくを示し得る。
【0167】
心臓についての識見は、
図4C中の内部音響センサ4278および外部音響センサ4279からのデータからの音処理を通じて得られ得る。このデータをマスク使用および空気流データと組み合わせると、心臓出力および心拍数をモニタリングすることができ得る。音データは、管、マスクと、上気道(鼻、咽頭および喉頭)ならびに下気道(気管、気管支チューブおよび肺胞)とのモデル化に用いられ得る。
【0168】
収集されたデータは、他のソースからのデータから導出され得る特定の患者の状態の文脈において分析され得る。このようなデータは、モバイルデバイス110上において実行するアプリケーションを通じたデータ入力またはデータベース(例えば、
図1A中のデータベース160)上の電子健康記録からの入力を含み得る。そのため、患者特有のデータは、患者が有し得る状態を含み得る(例えば、以前からの問題、人口統計学的詳細(BMI、年齢、性別)、ならびに地理学的詳細(花粉数に起因するアレルゲンの危険性、外気温に起因する熱中症、標高に起因する空気の質および酸素の質)ならびに患者と関連付けられた薬剤)。
【0169】
患者入力データは、患者の感じ方、患者に疲労感があるか、および眠気レベルについての主観的フィードバックを含み得る。このデータを用いて、患者の睡眠の質を決定することができ得る。これは、天候データにリンクされた患者の個人用基準線、患者の年齢および性別の平均的睡眠者との比較(平均よりも上を目指す)あるいは同一の持病および/または疾患進行の人の平均との比較であり得る。上記したように、基準線は、規準患者の母集団と患者とから決定されたものであり得る。このようなデータは、モバイルデバイス110によって実行されるアプリケーション内に表示され得る。このようなデータは、ヘルスケア専門家用のワークステーション170上においても利用可能であり得る。
【0170】
RPTデバイス4000上のセンサは、例えば一列の交差反応性センサおよびパターン認識/ディープラーニングを用いて患者1000からのガス(呼吸)を感知して、疾患進行に起因する特定のVOCにおける特性変化を特定し得る。RPTデバイス4000も配置されている室内環境内において、さらなるセンサは、患者の呼気中のガス、臭気、煙または粒子を検出し得る(例えば、PM2.5の量(直径が主に2.5マイクロメートル以下の吸入可能な粒子)およびPM10(直径が10マイクロメートル以下の粒子)の測定)。このようなデータを用いて、バクテリア、ウイルスおよび他の汚染物質に対して適切なフィルタリング(例えば、0.3ミクロン以下の粒子(ほとんどのカビ、白カビおよびウイルスを含む)を除去するHEPAフィルタを介したもの)が施されたかを決定することができ得る。
【0171】
上記したように、別のデバイス(例えば、スマートフォン、スマートデバイス、スマートスピーカ(例えば、AlexaまたはGoogle Home)、スマートサービス(例えば、SiriまたはBixby))には、データ収集の増加をトリガさせ得るアプリケーションが含まれ得る。例えば、デバイス上において音響感知を実行させて、呼吸音(例えば、吸気、呼気、咳嗽、喘鳴、鼻すすり、くしゃみ、喘ぎおよび口笛)を聞くことができ得る。音響感知をSONARを用いて能動的に行って、胸部からの反射信号を感知することもでき得る。RFセンサをスマートデバイスと一体化すると、心弾図(動きまたは心臓)、呼吸に伴う胸部および腹部の動きあるいは活性を検出することができ得る。
【0172】
新規のセンサまたは他のデータストリームが利用可能である場合、処理イベントがトリガされ得る。これには、新規状態または状態悪化を特定するためのより詳細な波形(例えば、より高速のデータ転送および恐らくはより高いエネルギー消費を必要とするもの)を一定期間にわたって分析するためのより多くの処理リソースを割り当てることが含まれ得る。加えて、新規のデバイス(例えば、新規のCPAP)は、データ収集の増加をトリガし得る。データ増加により可能になるものとして、デバイスの変更と、新規設定への較正と、ユーザのプロファイルを最適化した較正とがある。データ増大を用いて、RPTデバイス4000(モータを含む)が予測したように機能していることを確認することができ得る。例えば、内部音響センサ4278からのデータ処理に基づいて、フィルタの洗浄を決定することができ得る。
【0173】
例えば、1つのイベントは、左心室肥大、心房細動の存在(不規則に不規則な心拍)または頻脈の兆候を示す収集データからECGデータが導出されているかであり得る。次に、システムは、脳卒中の可能性を示すイベントを決定し得る。このようなデータは、心臓発作、ストレス(睡眠時において心拍数平均が予測されるほど低下しない)、COPD、または複雑な無呼吸(早期治療の前および早期治療時におけるみられる中央イベントの増加)も示し得る。
【0174】
このようなトリガ発動イベントは、不正確なRPTデバイス設定、順守できていないユーザ、血圧、ぜんそく発作、および不整脈(例えば、糖尿病)も示し得る。一般的に、次に、分析によって結果が決定される。患者に対して通知がなされ、患者は、推奨アクションをとり得る。例えば、アクションには、モバイルデバイス110を介して患者へ通信され得るアクションが含まれ得る。例えば、イベントに関連する生体信号をチェックせよとの旨のメッセージが患者へ送られ得る。アクションには、患者が既に所有している薬剤が必要である旨の通知も含まれ得る。イベントは、現在の体調または健康状態について患者に入力を促すことであり得る。例えば、モバイルデバイス110上のアプリケーションは、「気分はどうですか」などの問い合わせまたは患者の現在の状態に関連する他の質問に対する応答を患者に入力するように要求し得る。このようなデータは、スライダーまたは数値による評価の形態において患者入力からアプリケーションへ収集され得る。このような主観的情報により、収集された客観的データストリームをクロスチェックするためのさらなる検証が可能になり得る。このように、患者からの応答をフィードバック機構として用いて、偽陽性のトリガ発動イベントの危険性を低下させることができ得る。これらの応答を、前回の患者入力と比較してもよい。これらのユーザから報告された問題(および生活の質の向上の実感(例えば、敏捷性の向上、歩行能力、または歩行距離の増加、息切れが無くなった、または呼吸感染の解消))のうち1つまたはいくつかにおける変化と、収集されたデータの分析の向上とが、システムによって取得され得る。モバイルデバイス100上のアプリケーションは、患者に対してヘルスケア専門家に相談するようにも提案し得る。アプリケーションは、健康分析エンジン130から生成された基礎データを患者へ付与し得る。アプリケーションは、良い健康状態を示すデータを提供し得る。このようなデータは、健康保険の割引などの報酬またはインセンティブのために用いられ得る。患者に対し、粒状データに基づいたコーチングが提供され得る。
【0175】
他の例において、他の関係者(例えば、支払人)が、トリガ発動イベントに応答してアクションをとり得る。例えば、支払人は、政府職員、雇用者、保険プロバイダまたは医師であり得る。情報により、支払人は、患者に対してヘルスケア施設を来訪して新規試験を受けるようリクエストすることができ得る。なぜならば、この情報は、新規かつ/または未知の/未診断の状態を示し得るからである。支払人は、睡眠に関連する疾患の開始を決定し得、患者の再入院を回避することができ得る。臨床医の詳細な分析により、ヘルスケアプロバイダは、患者に対する保険/治療の選別と、薬剤/治療の有効性の追跡とに集中することができ得る。
【0176】
接続されたデバイス(例えば、
図4A中のRPT4000)は、異なるレベルのデータの保存および送信が可能である。例えば、
図4C中の中央コントローラ4230は、データを外部ソース4286へ送り得る。このようなデータを挙げると、RPT4000のセンサ(例えば、流量センサ4272または圧力センサ4272)によって収集されたデータ、前処理モジュール4310のアルゴリズムによって生成されたデータ、または治療エンジンモジュール4320のアルゴリズムによって生成されたデータがある。あるいは、デバイス(例えば、
図7A中のヘッドボックス2000)は、さらなるデータを提供し得る上記したようなセンサを含み得る。このようなデータは、さらなるデータを生成するアルゴリズムによる分析のために、組み合わされ得る。
【0177】
このようなデータは、RPT4000の最も通常的な動作条件において外部送信される低解像度データと、特定の例外的状況において送信される高解像度データとに分離され得る。本例において、低解像度データは、1分以下毎に
図4C中のコントローラ4230によってサンプリングされるデータとしてみなされ得る。高解像度データは、1分を超える間隔毎にサンプリングされるデータとして規定され得る。このような例において、低解像度データおよび高解像度データは、感知データと同一種類であるが、データが患者からサンプリングされる際の速度のみが異なる。もちろん、高解像度データは、低解像度データと異なる種類の感知データであってもよい。このような場合、高解像度データは、通常は中央コントローラ4230から外部デバイスへ送信されない種類のデータである。もちろん、高解像度データは、より高いサンプルレートにおける低解像度データと、低解像度データと異なるさらなる種類のデータとの組み合わせであってもよい。
【0178】
図8Aは、例示的ヘルスケアシステム400のブロック図を示す。ヘルスケアシステム400は、RPTデバイス(例えば、
図1中の患者1000によって用いられるRPTデバイス4000)からの動作データを収集し、ヘルスケアサービスを患者1000へ提供する。ヘルスケアシステム400は、複数の患者を含み得る。患者はそれぞれ、RPTデバイス4000と機能が類似するRPTデバイスと、さらなるセンサ(例えば、健康モニタリングデバイス120)と、関連付けられたモバイルコンピューティングデバイスとを使用していてよい。異なる患者のためのRPTデバイス、センサおよびモバイルコンピューティングデバイスが、RPTシステム402および404として集合的に図示され得る。このようなシステムは、ヘルスケアシステム400について呼吸治療を必要とする対応する患者からデータを収集し得る。ヘルスケアシステム400は、データサーバ412、電子医療記録(EMR)サーバ414、健康または在宅医療プロバイダ(HCP)サーバ416、供給およびサポートサーバ418および支払人データサーバ420を含む。データサーバ412は、ヘルスケア分析エンジン130を実行し、異なるデータベース(例えば、患者情報データベース150)および他のデータベース(例えば、データベース160)へのアクセスを有する。システム400において、これらのエンティティは全て、広域ネットワーク140(例えば、クラウドまたはインターネット)へ接続されかつ広域ネットワーク140を介して相互通信するように構成される。広域ネットワーク140への接続は、有線型であってもよいし、無線型であってもよい。データサーバ412、EMRサーバ414、HCPサーバ416、サポートサーバ418および支払人サーバ420は全て、別の場所における別個のコンピューティングデバイス上において実行され得、あるいは、これらのエンティティのうち2つ以上の任意の部分的組合せが、同一コンピューティングデバイス上において共に実行され得る。
【0179】
本例において、患者と関連付けられたRPT4000またはモバイルデバイス110は、患者1000と、広域ネットワーク140を介して遠隔配置されたシステム400のエンティティとの間を仲介するように、構成される。
図4の具現例において、この仲介は、モバイルデバイス110上またはRPT4000上において実行するソフトウェアアプリケーションプログラム430により、達成される。このようなアプリケーションは、専用アプリケーションであってもよいし、あるいは、健康プロバイダまたは在宅医療プロバイダによって提供されるウェブサイトと対話するウェブブラウザであってもよい。
【0180】
上記したように、RPT4000からの収集されたデータは、ヘルスケア分析エンジン130によって行われる患者1000の患者健康状態分析のために提供され得る。この分析は、上記したように特定の患者1000のための治療または薬剤の適用のモニタリングも含み得る。本例において、RPT4000またはモバイルデバイス110は、(各コントローラによって実行されるアプリケーションの一部としてデータを受信する)無線プロトコルを介してRPT4000および他のデバイスから収集されたデータを送信するように構成される。RPT4000またはモバイルデバイス110は、「プルオアプッシュ」モデルに従って、データをデータサーバ412へ送信する。データサーバ412は、「プル」モデルに従ってデータを受信し得、これにより、RPT4000は、データサーバ412からのクエリに応答して動作データを送信する。あるいは、データサーバ412は、収集されたデータを「プッシュ」モデルに従って受信し得、これにより、RPTデバイス4000は、イベントデータを(利用可能になり次第)データサーバ412へ送信する。さらに、データサーバ412は、データベース150へアクセスして、患者1000に関連する収集データおよび分析データを保存し得、他のデータベース160へアクセスして、患者の全体的母集団に関連するビッグデータまたは他の関連データを保存し得る。
【0181】
RPTデバイス4000またはモバイルデバイス110から受信された収集データは、患者1000と一意に関連付けられることによってシステム400中の他のデバイスから収集されたデータから区別可能であるように、データベース150中においてデータサーバ412によって保存およびインデックス付けされる。この点について、
図4中、説明を簡単にするためにRPTユーザシステムを3個だけ図示しているが、システム400は、より多数のRPTユーザシステムを対応するRPTデバイス、センサ、モバイルコンピューティングデバイスおよび他のコンポーネントと共に含んでもより。データサーバ412は、RPTデバイス4000から受信されたデータからの各セッションについて概要データを計算するように、構成され得る。データサーバ412は、モバイルデバイス110からデータを受信するようにも構成され得る(例えば、各患者1000が入力したデータ、患者についての挙動データ、または定性的データ)。
【0182】
EMRサーバ414は、電子医療記録(EMR)を含む(すなわち、システム400の患者について特異的な電子医療記録(EMR)と、患者1000と類似の疾患を有する患者からなるより大きな母集団に対して包括的な電子医療記録(EMR)との両方)。EMRは、電子健康記録(EHR)とも呼ばれ、典型的には、患者の医療履歴(例えば、前回の状態、治療、合併症および現在の状態)を含む。EMRサーバ414は、例えば患者1000のいずれかが前回治療を受けた病院に配置され得る。EMRサーバ414は、恐らくはデータサーバ412からのクエリ受信に応答してEMRデータをデータサーバ412へ送信するように構成される。
【0183】
本例において、HCPサーバ416は、患者の呼吸治療について責任を負う健康/在宅医療プロバイダ(これは、個々のヘルスケア専門家または組織であり得る)と関連付けられる。HCPは、DMEまたはHME(国内/家庭用医療機材プロバイダ)とも呼ばれ得る。HCPサーバ416は、プロセス432をホストし得る。プロセス432について、以下により詳細に説明する。HCPサーバプロセス432の1つの機能として、データサーバ412からのクエリ受信に応答して、患者に関連するデータをデータサーバ412へ送信することがある。
【0184】
いくつかの具現例において、データサーバ412は、HCPサーバ416と通信して、HCPの代行者(例えば、看護婦)への通知またはアクション推奨をトリガするかまたは多様な報告のサポートを行うように、構成される。実行されたアクションの詳細は、従事データの一部としてデータサーバ412によって保存される。HCPサーバ416は、分析エンジン130およびモバイルデバイス110上のアプリケーションと通信するHCPサーバプロセス432をホストする。
【0185】
例えば、データサーバ412上のHCPサーバプロセス432または類似のプロセスにより、RPT4000の使用に基づいた順守分析が、順守規則に従って提供され得る。これらの順守規則は、順守期間(例えば、三十(30)日)にわたる必要なRPT使用量を順守期間内の最低日数(例えば、21)にわたる各セッション(例えば、4時間)毎におけるデバイス使用の最低持続時間において指定する。セッションの持続時間が最低持続時間を超えた場合、当該セッションは順守されているとみなされる。使用データの後処理において、使用持続時間と順守規則からの最低持続時間との比較により、最近のセッションが順守されたセッションであるかが決定され得る。このような後処理の結果は、順守的データである(例えば、使用データの一部を形成するブール順守変数)。多セッションにおける使用データのさらなる例として、RPT治療の開始以降の順守セッションのカウントがある。概要データの後処理において、使用時間と順守規則からの最低持続時間とを比較することにより、最近の継続期間が順守セッションであるかが決定され得る。このような順守データは、吸入器および他の機構を含み得る治療をヘルスケアプロバイダが個別調整する際に、用いられ得る。他の関係者(例えば、支払人)は、患者に対して償還が存在し得るかを決定するために、順守データを用い得る。
【0186】
このデータは、(プロバイダRPT4000の代替コンポーネントまたは部品についてサプライチェーンに対して確実にアラート通知するプロセスを実行し得る)サポートサーバ418へ提供してもよい。サポートサーバ418は、RPT4000のメンテナンスまたは修理についてのアラートをサービスプロバイダへ発行することもでき得る。
【0187】
理解されるように、データサーバ412、EMRサーバ414およびHCPサーバ416ならびにサポートサーバ418中のデータは、システム400内の患者に関連する機密データであることが多い。典型的には、機密データを別の当事者へ送る許可を患者から提供する必要があることが多い。このような許可は、サーバ412、414、416および418間のデータ転送に必要であり得る(ただし、このようなサーバが異なるエンティティによって操作されている場合)。
【0188】
システム400は、
図1A中の健康ハブプラットフォームシステム100を採用する。システム400は、健康分析エンジン130からの検出された患者関連問題に基づいたAR/VR(拡張現実感/仮想現実)のヘルスケア専門家による対診を含み得る。このような対診は、患者がアクセス可能なデバイスによって提供され得る(例えば、モバイルデバイス110または他のメディアデバイス(例えば、スマートTV))。チェックインが予定されている場合、システム400は、医者などのヘルスケアプロバイダに対し、最近およびトレンドのデータと、患者1000の将来予測される変化(病状改善、病状悪化、安定)とを提供し得る。予定外のチェックインが場合、システム400は、当該チェックインが発生している理由の概要を述べ得る(例えば、システム、患者または医者/臨床医/介護者がチェックをトリガしたためなど)。このような情報は、ネットワークによりイネーブルされるデバイスから利用可能であり得る。このようなネットワークによりイネーブルされるデバイスは、医者/臨床医/介護者によるアクセスが可能である(例えば、
図1中のワークステーション170)。
【0189】
リアルタイムまたはリアルタイムに近い介入のために、適切な処理および通信が用いられ得る。技術的には、New Radio 5Gが用いられた場合、その展開において、キャリアのネットワーク(エッジクラウド処理)内への機材配置および/またはキャリアのネットワーク内における「スライシング」高速経路(論理的分離)により、救命救急診療アラートを医者/ヘルスケアエンティティ/第1応答者などへ確実に送達させることができ得る。
図4中のデバイス間のデータ接続において、接続性関連の保証および情報セキュリティの一部としてスライシングが用いられ得る。
【0190】
サービス送達においては、ヘルスケア施設アポイントメントと、ヘルスケア施設への移動手段(例えば、タクシー、自律型車両、救急車)の予約との自動生成が含まれ得る。このようなサービスは、HCPサーバ416のプロセス432により単独でまたはサポートサーバ418によって実行されるプロセスと関連して提供することができ得る。
【0191】
図8B中のブロック図は、本技術によるRPTシステム別の実行7000Bを示す。代替的実行7000Bにおいて、RPTデバイス4000は、ローカルの(有線または無線)通信プロトコル(例えば、ローカルネットワークプロトコル(例えば、Bluetooth))を介して患者コンピューティングデバイス110と通信する。代替的実行7000Bにおいて、ローカルネットワークは、
図4Cのローカル外部通信ネットワーク4284と共に特定され得、患者コンピューティングデバイス110は、
図4Cのローカル外部デバイス4288と共に特定され得る。代替的実行7000Bにおいて、患者コンピューティングデバイス110は、患者1000とデータサーバ412とを広域ネットワーク140を介して仲介し、RPTデバイス4000とデータサーバ412とを広域ネットワーク140を介して仲介するように、患者プログラム430を介して構成される。
【0192】
その後発生することとして、RPTシステム400についての声明は、他に明記無き限り、代替的実行7000Bへ等しく適用すべきもとして理解され得る。例えば、他のサーバ(例えば、EMRサーバ414、HCPサーバ416、供給およびサポートサーバ418、および支払人データサーバ420)は、ネットワーク140を通じて相互に通信し得かつ患者コンピューティングデバイス110と通信し得る。
【0193】
本例において、RPTデバイス4000は、各RPTセッションから患者1000へ送達された治療データをメモリ4260中へ保存するように、構成される。RPTセッションに関する治療データは、RPTデバイス4000の設定と、RPTセッション全体における呼吸圧力治療の1つ以上の変数を示す治療変数データとを含む。
【0194】
RPTデバイス4000は、治療データをデータサーバ7010へ送信するように、構成される。上記したように、データ送信は、場合に応じて変調される。通常の動作において、低解像度データのみが送信される。以下に述べるように、高解像度データは、異なる場合において送信され得る。データサーバ412は、「プル」モデルに従って治療データをRPTデバイス4000から受信し得、これにより、データサーバ412からのクエリに応答してRPTデバイス4000から治療データが送信される。あるいは、データサーバ412は、「プッシュ」モデルに従って治療データを受信し得、これにより、RPTセッション後に都合がつき次第、RPTデバイス4000から治療データがデータサーバ412へ送信される。
【0195】
RPTデバイス4000から受信された治療データは、RPTデバイス4000と一意に関連付けられることによってRPTシステム400内に参加している他の任意のRPTデバイス(単数または複数)からの治療データと区別可能となるように、データサーバ412によって保存およびインデックス付けされる。
【0196】
本例において、データサーバ412は、臨床医にとって有利であり得る異なる種類の分析用データを計算するように、構成される。例えば、各RPTセッションにおける使用データは、RPTデバイス4000から受信された治療データから決定され得る。セッションあたりの使用データ変数は、治療データの一部を形成する治療変数データから従来のスコア付け手段によって導出された統計概要を含む。使用データは、以下の使用変数のうち1つ以上を含み得る:a)使用時間、すなわち、RPTセッションの合計持続時間;b)セッションにおける無呼吸-低呼吸指数(AHI);c)セッションにおける平均漏洩流量;d)セッションにおける平均マスク圧力;e)RPTセッション内における「サブセッション」数(すなわち、「マスク着用」イベントと「マスク非着用」イベントとの間のRPT治療のインタバル数);ならびにf)治療変数の他の統計概要(例えば、95パーセンタイル圧力、メジアン圧力、圧力値ヒストグラム)。使用変数は、多セッションの統計を含み得る(例えば、平均、メジアン、およびRPT治療開始以降のAHIの分散)。
【0197】
他のサーバが、ネットワーク140へ連結され得、上記した「プッシュ」または「プル」モデルに基づいてデータを入手する。例えば、支払人によって操作されるデータサーバ420は、異なる目的(例えば、患者1000による治療支払を決定する目的のための順守の決定または順守の予測)のためのデータを受信し得る。
図1A中の機械学習エンジン180を実行する機械学習サーバは、学習目的または以下に述べるように高解像度データを必要とする例外的な場合のために基準線を洗練させる目的のためにも、データを受信し得る。あるいは、例外的場合が検出された場合または特定の例外的場合に応答して正確な予測データを高解像度データ中に含める必要がある場合、機械学習サーバは、最適な応答を学習し得る。
【0198】
代替的具現例において、RPTデバイス4000は、各セッション終了時においてRPTデバイス4000によって保存された治療データから使用変数を計算する。次に、RPTデバイス4000は、上記した「プッシュ」または「プル」モデルに従って、使用変数をデータサーバ7010へ送信する。
【0199】
さらなる具現例において、メモリ4260内において、RPTデバイス4000は、各RPTセッションにおける治療/使用データを保存する。メモリ4260は、取り外し可能な形態をとる(例えば、SDメモリカード)。取り外し可能なメモリ4260は、RPTデバイス4000から取り外され得、データサーバ412と通信する中へ挿入され得る。次に、治療/使用データは、取り外し可能なメモリ4260からデータサーバ412のメモリへコピーされる。
【0200】
さらなる具現例において、RPTシステムの代替的実行7000Bに適切なものとして、RPTデバイス4000は、治療/使用データを無線通信プロトコル(例えば、上記したようなBluetooth)を介して患者コンピューティングデバイス110へ送信するように構成される。次に、患者コンピューティングデバイス110は、治療/使用データをデータサーバ412へ送信する。データサーバ412は、「プル」モデルに従って治療/使用データを患者コンピューティングデバイス110から受信し得、これにより、患者コンピューティングデバイス110は、データサーバ412からのクエリに応答して治療/使用データを送信する。あるいは、データサーバ412は、「プッシュ」モデルに従って治療/使用データを受信し得、これにより、患者コンピューティングデバイス110は、RPTセッション後に治療/使用データが利用可能になり次第、治療/使用データをデータサーバ412へ送信する。
【0201】
データサーバ412は、データを患者コンピューティングデバイス110から受信するようにも構成され得る。このようなものは、患者1000が患者プログラム430へ入力したデータまたは上記した代替的実行7000Bにおける治療/使用データを含み得る。
【0202】
データサーバ412は、電子メッセージを患者コンピューティングデバイス110へ送信するようにも構成される。これらのメッセージは、患者プログラム430内において、詳細な形態のeメール、SMSメッセージ、自動音声メッセージまたは通知をとり得る。
【0203】
RPTデバイス4000は、自身の広域ネットワーク接続またはローカルエリアネットワーク接続を介して対応するコマンドが受信された際、自身の治療モードまたは特定の治療モード用の設定についてアラート通知を受けるように、構成され得る。このような具現例において、データサーバ412は、(実行400において)このようなコマンドを直接RPTデバイス4000へ送るか、または、間接的にRPTデバイス4000へ送って、(実行7000Bにおいて)患者コンピューティングデバイス110を介してリレーさせるようにも、構成され得る。
【0204】
データサーバ412は、以下に詳述する分析エンジン130によるプロセス実行をホストし得る。分析エンジン130は、患者の治療継続意欲の増大または維持が可能なように構成される。広範に述べると、プロセスは、RPTデバイス4000および/または患者コンピューティングデバイス110からのデータを分析して、直近の治療セッションの品質を示す治療品質インジケータを計算する。次に、プロセスは、例えば患者コンピューティングデバイス110上において実行する患者プログラム430を介して治療品質インジケータを患者1000へ通信する。患者の意欲の上昇または維持のための方法の最適化のために得られた低解像度データおよび高解像度データの分析により、意欲を上昇させる必要性の検出が可能になり得る。
【0205】
患者1000は、治療品質インジケータを、自身の治療の進捗状態を示す簡潔なインジケータとして認識する。これにより、患者1000は、自身の治療をやり通す意欲を有する。性能の追跡および測定は、人にとって目的の達成についての大きな意欲付けの誘因になり得、治療品質インジケータは、呼吸圧力治療の文脈における尺度として機能し得ることが、知られている。
【0206】
一般的に、データサーバ412へ規則的に/定期的に送信されるデータのレベルは、患者のサポートに十分な概要情報であるが、場合によっては、関係者(例えば、ヘルスケアプロバイダまたは支払人)について問題を深く知るためにまたは機器の性能について製造業者へデータを返送ためにより高いデータ解像度が必要になる。そのため、低解像度データと高解像度データ送信とを区別することによる利点として、特殊な状況以外においては不要であることが多いデータ過負荷が回避される点がある。送信データの量をずらすことが可能であると、最高レベルの帯域幅をシステムにおいて必要としないより効率的な送信コンポーネントの利用が可能になる。
【0207】
より高いデータ解像度がトリガされる可能性のある場合は、製造業者、支払人またはヘルスケアプロバイダによって事前決定され得る。このような場合は、コントローラ4230によって実行される規則エンジンを用いることによって決定されてもよい。規則エンジンは、これらの場合が発生した時期を特定し、関連高解像度データをコントローラ4230から遠隔外部デバイス4286(例えば、クラウド)へ送るようリクエストするように、機械学習エンジン180によって定期的に実行される機械学習ルーチンによって決定され得る。
【0208】
規則エンジンは、単純な分析を行って負のトレンドを特定することができ得、閾値が破られた場合、その旨をシステムにアラート通知し得る。機械学習が用いられる目的は、患者にとっての「通常の」状態の詳細(基準線の元となる)を理解し、RPTデバイス4000の動作における異常の特定を支援するためである。これらの場合において、特定の高解像度データの送信を、指定期間(例えば、数日間)にわたってまたはコントローラ4230からのフィードバックデータにより問題が解消されたとの確認が得られるまで、行うことができ得る。場合および対応する高解像度データの例を挙げると、低解像度データから決定された漏れ増大のトレンドがある。このようなトレンドが基準線を超えた場合、高解像度の漏洩データが送られ得る。別の場合として、低解像度データから決定される呼吸数増加があり得る。呼吸数増加が検出された場合、コントローラ4230は、高解像度呼吸数、呼吸流れ、圧力および流れ制限データを外部デバイス4286へ送り得る。
【0209】
別の場合として、低解像度データから検出され得る連続的な不飽和化(例えば、低SpO2値)があり得る。呼吸数上昇が検出されると、コントローラ4230は、高解像度SpO2、圧力および流れ制限のデータを外部デバイス4286へ送る。別の場合として、低解像度データから検出され得る咳、痰および呼吸数の増加の組み合わせがあり得る。咳、痰および呼吸数の増加が検出されると、コントローラ4230は、高解像度呼吸数、SpO2および圧力データを外部デバイス4286へ送る。
【0210】
本例において、コントローラ4230によるサンプリングおよび外部デバイス4286への低周波送信のための選択の対象となり得る低解像度データを挙げると、SpO2、パルスレート、呼吸イベント、治療圧力(IPAP)、ベース圧力(EPAP)、漏洩、毎分換気量、一回換気量、呼吸数、自発トリガパーセンテージ、自発サイクルパーセンテージ、I:E比、吸入器イベント、睡眠状態検出、口腔漏洩、最後の既知の再燃、呼吸困難、活性レベル、痰の発生/色、咳、酸素送達レベル、呼吸形態、温度、湿度、空気品質、救護時の薬剤の使用、体温、ピーク呼気流量、FEV1または肺活量がある。上記したように、上記のデータ種類のうちいずれかまたは全てが、低速のサンプリングまたは送信(例えば、1分に1回)に設定され得る。高解像度データは、より高いサンプリングレート(例えば、1分に1回よりも大きなサンプリングレート)と共に扱われる同一のデータであり得る。
【0211】
高解像度データは、上記したように、さらなる低解像度データを構成し得る。高解像度データは、以下の種類も含み得る:呼吸流れ、圧力、トリガ/サイクルイベント、マスク圧力、IPAP、EPAP、漏洩、呼吸数、一回換気量、自発トリガパーセンテージ、自発サイクルパーセンテージ、I:E比、いびき、流れ制限、パルスレート、SpO2、吸気時間、最新の5呼吸の平均吸気時間、最新の5呼吸の平均呼気時間、咳、呼吸形態、活性レベル、ピーク呼気流量、FEV1、肺活量および睡眠状態検出。
【0212】
低解像度データまたは高解像度データは、コントローラ4230または患者コンピュータ110とインターフェースをとり得る他の治療またはセンサデバイスによっても得られ得る。このデータは、デバイス4000からの送信と組み合わせてもよいし、あるいはデバイス4000からの送信中に含まれていてもよい。
【0213】
図9は、データ送信の調整のために
図4C中のコントローラ4230によって実行されるルーチンのフロー図である。
図10は、
図1A中の患者1000の健康状態の決定のためにデータを収集するための収集および分析ルーチンのフロー図である。
図9中のフロー図は、データ送信の収集および調整のための例示的な機械可読命令を示す。
図10中のフロー図は、健康状態の決定のためのトリガ発動イベントに基づいたデータの収集および分析のための例示的な機械可読命令を示す。本例において、機械可読命令は、以下によって実行されるアルゴリズムを含む:(a)プロセッサ;(b)コントローラ;および/または(c)1つ以上の他の適切な処理デバイス(単数または複数)。アルゴリズムは、有形媒体(例えば、フラッシュメモリ、CD-ROM、フロッピーディスク、ハードドライブ、デジタルビデオ(バーサタイル)ディスク(DVD)または他のメモリデバイス)上に保存されたソフトウェア中に埋設され得る。しかし、当業者であれば、アルゴリズム全体および/またはその一部を、プロセッサ以外のデバイスによって実行しかつ/またはファームウェアまたは専用ハードウェア中に周知の様態で埋設してもよい(例えば、これは、特定用途向け集積回路[ASIC]、プログラマブル論理デバイス[PLD]、フィールドプログラマブル論理デバイス[FPLD]、フィールドプログラマブルゲートアレイ[FPGA]、個別論理によって実行され得る)ことを理解する。例えば、インターフェースのコンポーネントのうちいずれかまたは全てを、ソフトウェア、ハードウェアおよび/またはファームウェアによって実行することができる。また、フローチャートによって示される機械可読命令のうちいくつかまたは全てを手動で実行してもよい。さらに、例示的なアルゴリズムについて
図9および
図10中に示すフローチャートを参照して述べているが、当業者であれば、例示的な機械可読命令を実行するための他の多数の方法も用いられ得ることを容易に理解する。例えば、ブロックを実行する順序を変更しかつおよび/または記載のブロックのうちいくつかを変更、除去または組み合わせてもよい。
【0214】
図9に関連して、患者は、接続されたデバイス(例えば、
図8A(900)中のRPTデバイス4000)を用いる。使用時において、デバイス4000は、低解像度データまたは高解像度データであり得る多様なデータを収集する。上記したように、収集されたデータは、デバイス4000上のローカルメモリ4260中に保存される。デバイスによってコンパイルされた低解像度データおよび概要統計は、外部システム(例えば、
図8A(902)中のクラウド140)へ送信される。低解像度データについて、クラウド上のサーバ(例えば、サーバ412またはサーバ420(904))によって実行され得る外部アプリケーションによりトレンドおよびイベントについて分析が行われる。
【0215】
上記したように、トレンドまたはイベントは、患者(906)に関連する例外的イベントを信号通信するアプリケーションによって特定され得る。次に、高解像度データ(908)を送るようにとの旨のリクエストが、デバイス4000へ送られる。本例において、高解像度データは、検出されたトレンドまたはイベントに基づいて規定される。さらに、本例において、高解像度データは、事前決定された期間(例えば、数日間)にわたって送られる。収集された高解像度データは、外部デバイス(例えば、サーバ412(910))へ送信される。クラウド7090により、権限のある関係者(例えば、ヘルスケア専門家または支払人)がウェブベースのインターフェース(912)を通じて高解像度データへアクセスすることが可能になる。
【0216】
図10は、健康状態の決定に特化してシステム100によって行われる収集および分析ルーチンのフロー図である。先ず、システムは、RPTデバイス4000(1050)から低解像度モードにおいて収集されたデータをモニタリングする。本例において、データ分析エンジン130は、低解像度データを収集し、このデータをトリガ発動イベント(例えば、患者の状態の変化)について分析する。上記したように、トリガ発動イベントは、事前決定された規則または機械学習ベースのモデルまたはアルゴリズムであり得る。分析エンジン130は、低解像度モードから収集されたデータに基づいて、トリガ発動イベントが発生したかを決定する(1052)。トリガ発動イベントが検出された場合、ルーチンは、引き続きデータ収集を低解像度において行う(1050)。
【0217】
トリガ発動イベントが検出された(1052)場合、健康分析エンジン130は、トリガ発動イベントを確認する(1054)。トリガ発動イベントの確認においては、さらなる種類のデータを収集することまたはトリガ発動イベントの発生をクロスチェックするための設定された規則に従うことが含まれ得る。このような収集は、モバイルデバイス110上のアプリケーション上において行われ得る。次に、分析エンジン130は、トリガ発動イベントが確認されたか(1056)を決定する。トリガ発動イベントが確認されていない場合、ルーチンは、引き続きデータ収集を低解像度において行う(1052)。トリガ発動イベントが確認された場合、分析エンジン130は、制御RPTデバイス4000および他の関連ソースを制御して、データ収集レベルを高解像度へ高める(1058)。上記したように、さらなるデータが、患者健康モニタ120、他のセンサおよび他のデータベースから得られ得る。次に、データ分析エンジン130は、収集されたデータを分析して、健康状態を決定する(1060)。健康状態分析は、トリガ発動状態の重症度を決定することを含み得る。次に、さらなる分析および他の目的(例えば、機械学習エンジン180のための学習用セットの構築)のために、収集された分析が保存される(1062)。次に、健康分析エンジン130は、検出されたトリガ発動イベント用の解像度を決定および実行する(1064)。例えば、それほど深刻ではないトリガ発動イベントの場合は、患者へ通知が送られ得、より深刻なトリガ発動イベントの場合は、ヘルスケア専門家へトリガ発動イベントまたは通知が送られ得る。他の例として、RPTデバイス4000の設定の調節と、治療または薬剤の自動調節とがある。データ分析エンジン130がトリガ発動イベントが解消したと決定すると、低解像度におけるデータ収集に戻る(1050)。
【0218】
サービス送達においては、ヘルスケア施設アポイントメントと、ヘルスケア施設への移動手段(例えば、タクシー、自律型車両、救急車)の予約との自動生成が含まれ得る。このようなサービスは、HCPサーバ416のプロセス432により単独でまたはサポートサーバ418によって実行されるプロセスと関連して提供することができ得る。
【0219】
健康状態の分析のために呼吸治療デバイスからデータ収集を行うシステムにおいては、多数の恩恵がある。例示的な患者1000の恩恵を挙げると、生活の質の向上および入院の短期化、長期アドヒアランス(LTA)の最大化、モバイルデバイス110によって実行されるアプリケーションとインターフェースをとる能力、異常データ検出時における緊急サービスへの連絡可能化がある。生活の質を挙げると、肉体的、精神的、および社会的機能の態様があり、生活の全般的満足感の存在(または不在)もある。
【0220】
ヘルスケアプロバイダ(例えば、包括的ケアプロバイダ)の恩恵を挙げると、合併症の進展についての理解がある。このような理解により、患者の入院が回避され、治療経験の個人化が可能になり、患者/消費者による現金による購入の促進に繋がる。
4.11 用語集
【0221】
本技術の開示目的のため、本技術の特定の形態において、以下の定義のうち1つ以上が適用され得る。本技術の他の形態において、別の定義も適用され得る。
【0222】
空気:本技術の特定の形態において、空気は大気を意味し得、本技術の他の形態において、空気は、他の呼吸可能なガスの組み合わせ(例えば、酸素を豊富に含む大気)を意味し得る。
【0223】
雰囲気:本技術の特定の形態において、「雰囲気」という用語は、(i)治療システムまたは患者の外部、および(ii)治療システムまたは患者を直接包囲するものを意味するものとしてとられるべきである。
【0224】
例えば、加湿器に対する雰囲気湿度とは、加湿器を直接包囲する空気の湿度であり得る(例えば、患者が睡眠をとっている部屋の内部の湿度)。このような雰囲気湿度は、患者が睡眠をとっている部屋の外部の湿度と異なる場合がある。
【0225】
別の実施例において、雰囲気圧力は、身体の直接周囲または外部の圧力であり得る。
【0226】
特定の形態において、雰囲気(例えば、音響)ノイズは、例えばRPTデバイスから発生するかまたはマスクまたは患者インターフェースから発生するノイズ以外の、患者の居る部屋の中の背景ノイズレベルとみなすことができる。雰囲気ノイズは、部屋の外の発生源から発生し得る。
【0227】
自動的な気道陽圧(APAP)療法:SDB発症の兆候の存在または不在に応じて、例えば、呼吸間に最小限界と最大限界との間で治療圧力を自動的に調節することが可能なCPAP療法。
【0228】
持続的気道陽圧(CPAP)療法:呼吸圧力治療が患者の呼吸サイクルを通じてほぼ一定である呼吸圧療法。いくつかの形態において、気道への入口における圧力は、呼息時において若干上昇し、吸息時において若干低下する。いくつかの形態において、圧力は、患者の異なる呼吸サイクル間において変動する(例えば、部分的な上気道閉塞の兆候の検出に応答して増加され、部分的な上気道閉塞の通知の不在時において低減される)。
【0229】
流量:単位時間あたりに送出される空気の瞬時の量(または質量)。流量とは、瞬間の量を指し得る。場合によっては、流量について言及した場合、スカラー量(すなわち、大きさのみを有する量)を指す。他の場合において、流量について言及した場合、ベクトル量(すなわち、大きさおよび方向両方を持つ量)を指す。流量には、符号Qが付与され得る。「流量」を簡略的に「流れ」と呼ぶ場合もある。
【0230】
患者の呼吸の実施例において、流量は、患者の呼吸サイクルの吸気部分に対してノミナルに陽圧であり得るため、患者の呼吸サイクルの呼気部分に対して負であり得る。デバイス流量Qdは、RPTデバイスから退出する空気の流量である。総流量Qtは、空気回路を介して患者インターフェースへと到達する空気および任意の補充用ガスの流量である。通気流量Qvは、吐き出されたガスの流出を可能にするために通気部から退出する空気の流量である。漏洩流量Qlは、患者インターフェースシステムまたは他の場所からの漏洩の流量である。呼吸流量Qrは、患者の呼吸器系中に受容される空気の流量である。
【0231】
加湿器:「加湿器」という単語は、患者の医療呼吸状態を改善するために治療上有益な量の水(H2O)蒸気を空気流れへ提供することが可能な物理的構造を備えて構築、配置または構成された加湿装置を意味するものとして解釈される。
【0232】
漏洩:「漏洩」という用語は、意図しない空気流れとしてとられる。一実施例において、漏洩は、マスクと患者の顔との間のシールが不完全であることに起因して発生し得る。別の実施例において、漏洩は、周囲に対するスイベルエルボーにおいて発生し得る。
【0233】
ノイズ伝導(音響):本文書において、伝導ノイズとは、空気圧式経路(例えば、空気回路および患者インターフェースおよびその内部の空気)によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、伝導ノイズは、空気回路の端部における音圧レベルを測定することにより、定量化され得る。
【0234】
ノイズ放射(音響):本文書において、放射ノイズとは、周囲空気によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、放射ノイズは、当該対象の音響パワー/圧力レベルをISO3744に従って測定することにより、定量化され得る。
【0235】
ノイズ通気(音響):本文書において、通気ノイズとは、任意の通気(例えば、患者インターフェース中の通気孔)を通じた空気流れにより生成されるノイズを指す。
【0236】
患者:呼吸器疾患に罹患しているかまたはしていない人。
【0237】
圧力:単位面積あたりの力。圧力は、多様な単位で表現され得る(例えば、cmH2O、g-f/cm2、およびヘクトパスカル)。1cmH2Oは、1g-f/cm2に等しく、およそ0.98ヘクトパスカル(1ヘクトパスカル= 100 Pa = 100 N/m2 = 1 millibar ~ 0.001 atm)である。本明細書において、他に明記無き限り、圧力はcmH2Oの単位で付与される。
【0238】
患者インターフェース中の圧力には記号Pmが付与され、現時点においてインターフェース圧力Pmが達成すべき目標値を表す治療圧力には記号Ptが付与される。
【0239】
呼吸圧力治療(RPT):雰囲気に対して典型的には陽圧である治療圧力における空気供給の気道入口への付加。
【0240】
人工呼吸器:患者が呼吸動作の一部または全てを行い際に圧力補助を提供する機械的デバイス。
【0241】
シリコーンまたはシリコーンエラストマー:合成ゴム。本明細書において、シリコーンについて言及される場合、液体シリコーンゴム(LSR)または圧縮成形シリコーンゴム(CMSR)を指す。市販のLSRの一形態として、Dow Corningによって製造されるSILASTIC(この登録商標下において販売される製品群に含まれる)がある。別のLSR製造業者として、Wackerがある。他に逆の明記無き限り、例示的形態のLSRのASTMD2240によって測定した場合のショアA(またはタイプA)押込み硬さは、約35~約45である。
【0242】
ポリカーボネート:ビスフェノールAカーボネートの熱可塑性ポリマーである。
【0243】
本特許文書の開示の一部は、著作権保護が与えられる内容を含む。著作権所有者は、何者かが本特許文書または本特許開示をファックスにより再生しても、特許庁の特許ファイルまたは記録に記載されるものであれば目的のものであれば異論は無いが、その他の目的については全ての著作権を保持する。
【0244】
他に文脈から明確に分かる場合および一定の範囲の値が提供されていない限り、下限の単位の1/10、当該範囲の上限と下限の間、および記載の範囲の他の任意の記載の値または介入値に対する各介入値は本技術に包含されることが理解される。介入範囲中に独立的に含まれるこれらの介入範囲の上限および下限が記載の範囲における制限を特に超えた場合も、本技術に包含される。記載の範囲がこれらの制限のうち1つまたは双方を含む場合、これらの記載の制限のいずれかまたは双方を超える範囲も、本技術に包含される。
【0245】
さらに、本明細書中に値(単数または複数)が本技術の一部として具現される場合、他に明記無き限り、このような値が近似され得、実際的な技術的実行が許容または要求する範囲まで任意の適切な有効桁までこのような値を用いることが可能であると理解される。
【0246】
他に明記しない限り、本明細書中の全ての技術用語および科学用語は、本技術が属する分野の当業者が一般的に理解するような意味と同じ意味を持つ。本明細書中に記載の方法および材料に類似するかまたは等しい任意の方法および材料を本技術の実践または試験において用いることが可能であるが、限られた数の例示的な方法および材料が本明細書中に記載される。
【0247】
特定の材料が構成要素の構築に好適に用いられるものとして記載されているが、特性が類似する明白な代替的材料が代替物として用いられる。さらに、それとは反対に記載無き限り、本明細書中に記載される任意および全ての構成要素は、製造可能なものとして理解されるため、集合的にまたは別個に製造され得る。
【0248】
本明細書中及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形である「a」、「an」および「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されない限り、その複数の均等物を含む点に留意されたい。
【0249】
本明細書中に記載される公開文献は全て、これらの公開文献の対象である方法および/または材料の開示および記載、参考のために援用される。本明細書中に記載の公開文献は、本出願の出願日前のその開示内容のみのために提供するものである。本明細書中のいずれの内容も、本技術が先行特許のためにこのような公開文献に先行していないと認めるものと解釈されるべきではない。さらに、記載の公開文献の日付は、実際の公開文献の日付と異なる場合があり、個別に確認が必要であり得る。
【0250】
詳細な説明において用いられる見出しは、読者の便宜のためのものであり、本開示または特許請求の範囲全体において見受けられる内容を制限するために用いられるべきではない。これらの見出しは、特許請求の範囲または特許請求の範囲の制限の範囲の解釈において用いられるべきではない。
【0251】
本明細書中の技術について、特定の実施例を参照して述べてきたが、これらの実施例は本技術の原理および用途を例示したものに過ぎないことが理解されるべきである。いくつかの場合において、用語および記号は、本技術の実施に不要な特定の詳細を示し得る。例えば、「first(第1の)」および「second(第2の)」(など)という用語が用いられるが、他に明記無き限り、これらの用語は任意の順序を示すことを意図しておらず、別個の要素を区別するために用いられる。さらに、本方法におけるプロセスステップについての記載または例示を順序付けて述べる場合があるが、このような順序は不要である。当業者であれば、このような順序が変更可能でありかつ/またはその態様を同時にまたはさらに同期的に行うことが可能であることを認識する。
【0252】
よって、本技術の意図および範囲から逸脱することなく、例示的な実施例において多数の変更例が可能であり、また、他の配置構成が考案され得ることが理解されるべきである。