(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】開放型電気ポンプ
(51)【国際特許分類】
A61M 60/216 20210101AFI20240610BHJP
A61M 60/126 20210101ALN20240610BHJP
A61M 60/419 20210101ALN20240610BHJP
A61M 60/81 20210101ALN20240610BHJP
A61M 60/825 20210101ALN20240610BHJP
【FI】
A61M60/216
A61M60/126
A61M60/419
A61M60/81
A61M60/825
(21)【出願番号】P 2021529234
(86)(22)【出願日】2019-07-30
(86)【国際出願番号】 US2019044164
(87)【国際公開番号】W WO2020028380
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-07-27
(32)【優先日】2018-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521047937
【氏名又は名称】マイケル ジーゲンターラー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジーゲンターラー
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-516551(JP,A)
【文献】特開2010-158532(JP,A)
【文献】特表2000-502420(JP,A)
【文献】特表2015-503940(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0141739(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0064987(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 60/216
A61M 60/126
A61M 60/419
A61M 60/81
A61M 60/825
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓からの血流と直列に埋め込まれるように構成された埋め込み型ポンプであって、
前記心臓の心室流出路内または前記心臓の出口弁の場所内を含む、前記心臓内の血液の自然な血液経路内に埋め込まれるように構成されたフレームであって、
第1部材と、前記第1部材を支持する一対の支持体と、前記一対の支持体がその端部に取り付けられている第2部材とを有する、フレームと、
前記第1部材及び前記第2部材の少なくとも1つに保持され、前記血流と平行に前記フレーム内に装着されるように構成された中心車軸と、
前記中心車軸に取り付けられ、血液を送り出すために回転するように構成されたロータと、
前記ロータを回転させるために通電されるように構成された少なくとも2つの電磁コイルとを含
み、
前記少なくとも2つの電磁コイルは、互いに対向して、前記フレーム内で前記中心車軸から放射状に配置され、
前記第1部材及び前記第2部材のそれぞれは、前記少なくとも2つの電磁コイルの周囲を部分的に包む湾曲した側壁によって形成された凹部を有し、前記第1部材及び前記第2部材は、前記少なくとも2つの電磁コイルを保持する、前記埋め込み型ポンプ。
【請求項2】
前記フレームが、前記ロータが回転しないときに前記血液が遮断されずに流れることを可能にするために前記血流の方向において少なくとも1つの開口部を有する、請求項1に記載の埋め込み型ポンプ。
【請求項3】
前記少なくとも2つの電磁コイルが前記血流の方向に関して放射状に位置する、請求項1に記載の埋め込み型ポンプ。
【請求項4】
前記少なくとも2つの電磁コイルの両方が、前記ロータの同一の側の前記フレーム内に存在する、請求項1に記載の埋め込み型ポンプ。
【請求項5】
前記少なくとも2つの電磁コイルのうちの1番目が、前記ロータの第1の側に存在し、前記少なくとも2つの電磁コイルのうちの2番目が、前記第1の側の反対側である前記ロータの第2の側に存在する、請求項1に記載の埋め込み型ポンプ。
【請求項6】
前記フレームが、円筒形部材であって、前記円筒形部材の開口部が前記血流に合わせて位置する前記円筒形部材を含む、請求項1に記載の埋め込み型ポンプ。
【請求項7】
前記円筒形部材がステントまたはステントグラフトである、請求項
6に記載の埋め込み型ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、仮出願第62/711,856号の出願日の優先権の利益を主張するものであり、その内容全体は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
(分野)
本開示は、流体を送り出すために使用される開放型電気ポンプを対象とする。具体的には、本開示は、血液の送り出しを補助するために、不全心臓に埋め込まれ得る開放型電気ポンプについて説明する。
【0003】
(関連技術の説明)
心不全の患者は、患者の循環器系を通じて血液を適切に送り出さない不全心臓を有する。したがって、血液を送り出すように不全心臓を助けるために循環補助装置が開発されてきた。このような装置は、スピンによって血液を送り出すロータを有する回転軸流ポンプまたは遠心ポンプを含むことができる。これらの従来のポンプはまたケーシングを含む。このケーシングはロータを取り囲むが、ロータとケーシング壁との間の許容差は非常に小さい。この「密閉型」設計により、従来のポンプのモータが送り出しを停止した場合に血流に対して深刻な抵抗が生じる。このようなモータの送り出しの停止は、関連する電池パックが空になった場合、または従来のポンプ自体が誤動作した場合に発生する可能性がある。
【0004】
ポンプが送り出しを停止した場合に循環を維持するためには、通常、左心室の頂点から上行大動脈または下行大動脈まで、心臓の自然な血流と並列に従来のポンプを使用する必要がある。主ポンプ室または予室から大動脈または肺動脈までの他の並列ポンプ構成も、左心または右心の支援のために使用されている。この並列構成により、ポンプが一時的に停止している場合でも自然の心臓から排出させ、循環を支援することができる。左心室流出路内または主ポンプ室の流出弁内など、心臓からの血流と直列に従来のポンプを埋め込むと、電池交換、不注意による電池の取り外し、またはポンプの誤動作の間など、従来のポンプが送り出しを停止した場合に壊滅的な循環虚脱が引き起こされる可能性がある。これは、従来のポンプの密閉型設計では、ポンプが停止したときに血液がポンプをほとんど通過できないためである。
【0005】
従来のポンプはまた、ケーシングによって周囲の組織及び血液に伝達される熱を生成するコイルを含む。これにより、血液タンパク質及び他の細胞の血液成分に損害を与えるところまで血液及び周囲の組織が温まり、場合によっては凝固及び血栓塞栓症が引き起こされる可能性がある。
【0006】
したがって、ポンプが停止した場合に血流に対して大きい抵抗を生じさせることなく心臓の血流と直列に埋め込むことが可能であり、かつ血液及び周囲の組織への損傷を最小限にし、周囲の組織への熱伝達を最小限にする新しいポンプ設計が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、心臓からの血流と直列にポンプを配置することを可能にする「開放型」設計を有するポンプを対象とする。ポンプの開放型設計により、より低いロータ速度で血液を効率的に送り出す、より大きく、より効率的なロータも可能となるため、血液及びその細胞成分にかかるせん断力がより小さくなり、したがって損傷がより少なくなる。ポンプの開放型設計により、ポンプが停止した場合の血流に対する抵抗が大幅に減少し、循環虚脱のリスクが最小限になる。したがって、本明細書で説明される本発明のポンプは、従来のポンプのどの悪影響も伴うことなく、例えば、左心室もしくは右心室の流出路内に、または右心室もしくは左心室の流出弁の位置内に配置され得る。
【0008】
開放型設計はさらに、血液に曝される表面積がより大きいため、従来のポンプよりも優れた熱交換及び潜在的に少ない血液損傷を提供する。本ポンプでは、従来のポンプよりも電磁コイルの表面のはるかに大きい部分が血流と接触している。これにより、ヒートシンク機能がより向上し、血液成分の加温がより少なくなり、血栓塞栓性合併症の可能性を減少させることができる。本発明の開放型ポンプはまた、血流内からの血管内/最小侵襲配置が可能となるように構成することができる。
【0009】
具体的には、本開示の一態様では、埋め込み型ポンプは、心臓からの血流と直列に埋め込まれるように構成される。ポンプは、心臓の心室流出路に埋め込まれるように構成されたフレームと、血流に対して平行にフレーム内に装着されるように構成された中心車軸とを含む。ポンプはまた、中心車軸に装着され、血液を送り出すために回転するように構成されたロータと、ロータを回転させるために通電されるように構成された少なくとも2つの電磁コイルとを含む。
【0010】
ポンプロータを推進するための電気パルスのタイミングは、ホールセンサ、またはコイルを通過する回転磁石からの背面電磁パルス検出(背面EMP検出)のいずれかに基づいている。ポンプは、電気機械式または電子式の外部制御ユニット(絵図には示されていない)によって制御される。このユニットは、手動制御によってポンプの回転速度を調整する機能を有し、患者の心臓の(心電図などにおける)電気的活動のためのセンサを用いて、または患者の身体活動の程度を検出するか、もしくは患者の呼吸数及び体位を検出するモーションセンサを用いて、患者の心拍数などの患者センサ入力に基づいて回転速度を調整する自動調整可能な可変ポンプ速度機能を有することもできる。
【0011】
ポンプロータ及びフレームは、ステンレス鋼などの生体適合性材料、ニチノールなどのチタン合金または他の金属合金などの金属合金によって作製され、ベアリングは、セラミック、サファイアもしくはルビー、または金属もしくは金属合金などの材料によって作製される。ロータは、磁性金属または金属合金によって作製することができる。ポンプの電気コイルは、銅線及び金線などの金属線、または任意の適切な金属もしくは金属合金線などの材料によって作製され、金属、金属合金またはポリマーのいずれかによって作製された防水ケーシングに封入される。ポンプはまた、線及び線の接続を絶縁するためにポリマーを使用する。
【0012】
本発明のより完全な認識及び本発明の付随的な利点の多くは、以下の詳細な説明の参照によってより良く理解されることになるのと同様に添付図面に関連して考察したときに容易に得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の例示的な態様による開放型ポンプである。
【
図2】本開示の例示的な態様による開放型ポンプの別の斜視図である。
【
図3】本開示の例示的な態様による開放型ポンプの別の側面図である。
【
図4】本開示の例示的な態様による開放型ポンプの上面図である。
【
図5】本開示の例示的な態様による開放型ポンプの斜視図である。
【
図6】本開示の例示的な態様による開放型ポンプの側面図である。
【
図7】本開示の例示的な態様による開放型ポンプの上面図である。
【
図8】本開示の例示的な態様による開放型ポンプの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで、いくつかの図を通じて同様の参照番号が同一または対応する部分を指す図面を参照すると、
図1は、本開示の例示的な態様による開放型ポンプである。
図1に示されるように、ポンプは、ロータ102が実装された中心車軸103を保持するフレーム101を含む。また、中心車軸103とフレームとの間に取り付けられているのは、2つの電磁コイル104及び105であり、これらは、通電されるとロータ102を回動させる。コイル104及び105は、血液チャネル内で放射状に、またはわずかに「中心から外れて」配列される。電磁コイル104及び105に提供される信号のタイミングを正確に合わせるために、ホールセンサが使用されるか、または後方電磁パルス検知(EMPパルス検知)が使用される。ポンプはまた、ロータ102を回転させるために使用される1つ以上の磁石を挿入するための開口部107を含み、これらのコイルに電力を提供するためにコイル104、15に取り付けられた電力ケーブル108を有する。開放型ポンプは、ケーシングを含まず、その代わりにフレーム101によって支持されているため、血流に対する抵抗を最小限にする。
【0015】
図1はまた、フレーム101が、ブッシング106または同様の保持装置を受け入れる開口部内に中心車軸103を保持していることを示す。ブッシング106は、圧入であってもよく、フレーム101の開口部内に収めるためにその外周の周囲に凹部を有するように機械加工されてもよい。ブッシングはまた、中心車軸103が最小の抵抗で自由にスピンすることを可能にするために、ベアリング、ベアリングアセンブリまたはペンシルポイントベアリングを含んでもよい。当然のことながら、本開示の範囲から逸脱することなく、他のブッシング及びベアリングの設計が可能である。
【0016】
図1は、フレーム101のいずれかの側にてブッシング106によって保持された中心車軸103を示しているが、ブッシング106は省略されてもよく、中心車軸103は、何らかの他の構造を持たずにフレーム101によって直接保持されてもよい。中心車軸103がフレーム101から離れてそれだけで作動するのを防ぐために、止めピンまたは同様の構造が使用されてもよい。中心車軸103を保持するフレーム101の穴はまた、中心車軸103を所定の位置に保持するためにフレーム材料の厚さ全体を伸ばさない「めくら」穴であってもよい。当業者は、本開示から逸脱することなく中心車軸103をフレーム101に回転可能に装着する他の方法が可能であることを認めるであろう。
【0017】
図2は、本開示の例示的な態様による開放型ポンプの斜視図である。
図2では、分かりやすくするためにロータは省略されている。
図2のフレーム201は、コイル205が配置される凹部を含む。図に示すように、2組の対向する電磁コイル205がフレーム201内に放射状に存在する。これらのコイルはまた、ポンプの一方向のみの回転を可能にするためにわずかに「中心から外れた」構成を有することができる。ブッシング106は、ロータが組み付けられ得る中心車軸3(図示せず)を保持する。一対の電磁コイルを使用すると、背面電磁パルス検知によってコイルへの電気パルスのタイミングを合わせることが可能となるため、ホールセンサが不要となる。また、この構成により、より強力なモータが可能となる。これは、ポンプの最小侵襲配置に必要なサイズ制約があるために役立ち得る。この4つ以上の磁石を用いた設置により、ポンプのタイミングを合わせるためにEMP背面検知を使用することが容易になる。これは、一方の対の磁石によってポンプを推進することができる一方、他方の対が検知モードに短時間設定されるためである。
【0018】
図3は、
図2の開放型ポンプの側面図である。
図3では、分かりやすくするために、ロータ、中心車軸103、及び中心車軸103を保持するブッシング106が省略されている。図に示すように、
図1dのフレーム201の構造は、それぞれが2つの電磁コイルを保持する2つの部材202、203、ならびに2つの部材202、203の端部にそれぞれ取り付けられている2つの端板204及び206を含む。しかしながら、フレーム201はまた、本開示の範囲から逸脱することなく単一の部品として作製されてもよい。
【0019】
図4は、
図2及び
図3の開放型ポンプの上面図である。
図4には、ブッシング106、端板204、206、及び部材203のうちの一方が示されている。この図から理解できるように、コイル205は、部材203の側壁によってコイル205のために作られた凹部内に、部材203によって所定の位置に保持されている。部材203の側壁はコイル205の周囲で湾曲しているため、コイル205を所定の位置に保持するために追加の固定具は必要とされない。しかしながら、コイル250を所定の位置に保持するために、部材203の湾曲した側壁に加えて、またはその代わりに、クランプ、ねじなどの追加の固定具がまた使用されてもよい。コイル205はまた、当業者が認めるように、樹脂または接着剤を使用して所定の位置に保持されてもよい。示されていないが、部材202は、部材203と実質的に同一の構造を有する。
【0020】
図5は、本開示の例示的な態様による開放型ポンプの斜視図である。ポンプは、シリンダ302を含むフレーム301を含む。このシリンダは、その内周の周囲に配列された複数の電磁コイル305を保持する。シリンダ302は、ビーム303を支持する2つの支持体304を含む。このビーム内には、ロータ306の中心車軸を保持するためのブッシング308が配置される。シリンダ302の反対側にも同様のビームが装着されている。シリンダ302は、剛性の支持ビーム303及び304を保持する血管内ステントなど、最小侵襲で埋め込むための可撓性材料によって作製することができる。ロータ306は、電磁コイル305と組み合わせて、ロータ306をスピンさせる磁石307を含む。ロータは、血液を最適に推進するために
図1などの、この概略図とは異なる形状を有することができる。ロータはまた、それ自体を磁性材料によって作製することができ、これによって別個の磁石が不要となる。図に示すように、電磁コイル305は、ロータ306に対して垂直に、または最小の傾斜で配列され、かつ血流に対して平行に配列される。
図5は6つのコイル305を示しているが、当業者が認めるように、用途に応じてより多いか、またはより少ないコイル305が使用されてもよい。
【0021】
図6は、
図5の開放型ポンプの側面図である。この図から理解できるように、ロータ306は、シリンダ302及び電磁コイル305の上に吊るされており、ポンプの全体構造が開放を保ち、血流に対して低抵抗を呈するようになっている。コイル305は、シリンダ302の円周の周囲に形成された個々のシリンダに圧入することによって所定の位置に保持されてもよく、または接着剤もしくは樹脂を用いて所定の位置に接着されてもよい。コイル305はまた、クランプなどの、固定具または締結具を用いて機械的に保持されてもよい。本開示の範囲から逸脱することなく、コイル305を所定の位置に保持するための他の方法及び構造がまた可能である。
【0022】
図7は、
図5及び
図6のポンプの上面図である。この図は、ポンプが停止しているときでも血液が流れることを可能にするポンプの開放型設計を示す。この図はまた、ロータ306の車軸309を保持するブッシング308を示す。認識できるように、ブッシング308は省略されてもよく、車軸309は、フレーム301及び車軸309の各端部の止めピンによって所定の位置に直接保持されてもよい。
【0023】
図5~
図7に示されたポンプは、ヒトの心臓に適合するようにスケーリングされてもよく、血流の方向においてロータに対して垂直に配向された電磁コイルを、血管ステントまたはステントグラフト(図示せず)に実装することができる。電磁コイルはまた、金属、ニチノールなどの金属合金、またはポリマーから作製された可撓性の円形または傾斜して配向された金属支柱を用いて所定の位置に保持することができる。
【0024】
図8は、本開示の例示的な態様による開放型ポンプの斜視図である。
図8のポンプは、フレーム402が組み付けられたシリンダ401を含む。フレーム402は、ロータ403の中心車軸を保持する。シリンダ401の内周に沿って、血流に対して所定の角度で配列された複数の電磁コイル404がある。この所定の角度は、当業者が認めるように、0度~180度の間の任意の角度であってもよい。認識できるように、シリンダ401は、心臓内の所定の位置にポンプを保持するステントまたはステントグラフトと交換されてもよい。フレーム402はまた、1つの部品としてシリンダ401と共に形成されてもよい。401は、「ダブルブレードロータ」を備えた別の例示的なロータ構成を示す。本開示の範囲から逸脱することなく他の変形が可能である。
【0025】
上記で説明されたポンプは分かりやすくするために個別に説明されているが、当業者は、あるポンプについて説明された異なる特徴が、限定されることなく他のポンプの特徴と組み合わされてもよいことを認めるであろう。
【0026】
さらに、本明細書の図及び説明が特定の数の電磁コイルを識別する範囲で、そのような数は、各ポンプについてより多く、より弱いコイルが使用されてもよく、またはより少なく、より強いコイルが使用されてもよいため、単なる例示である。ポンプはまた、生体組織への埋め込みに適合する任意の材料によって作製されてもよく、ポンプの構成要素を保護するために、ポンプの一部または全体がコンフォーマルコーティングによってコーティングされてもよい。
【0027】
本明細書の説明は、分かりやすくするために、不全心臓への本発明のポンプの埋め込みに関してなされた。しかしながら、本発明のポンプは、停止したときに流れに対する抵抗をほとんど呈しないポンプが必要とされる他の用途において使用されてもよい。したがって、本明細書の説明は単なる例示であり、本開示の範囲を限定するものではない。明らかに、上記の教示に照らして本開示の多くの修正及び変形が可能である。したがって、添付された特許請求の範囲内で、本発明は、本明細書に具体的に説明されたものとは別の方法で実施されてよいことが理解されるべきである。
なお、本発明の実施態様として、以下に示すものがある。
[態様1]
心臓からの血流と直列に埋め込まれるように構成された埋め込み型ポンプであって、
前記心臓の心室流出路内または前記心臓の出口弁の場所内を含む、前記心臓内の血液の自然な血液経路内に埋め込まれるように構成されたフレームと、
前記血流と平行に前記フレーム内に装着されるように構成された中心車軸と、
前記中心車軸に取り付けられ、血液を送り出すために回転するように構成されたロータと、
前記ロータを回転させるために通電されるように構成された少なくとも2つの電磁コイルとを含む、前記埋め込み型ポンプ。
[態様2]
前記フレームが、前記ロータが回転しないときに前記血液が遮断されずに流れることを可能にするために前記血流の方向において少なくとも1つの開口部を有する、態様1に記載の埋め込み型ポンプ。
[態様3]
前記少なくとも2つの電磁コイルが前記血流の方向に関して放射状に位置する、態様1に記載の埋め込み型ポンプ。
[態様4]
前記少なくとも2つの電磁コイルが前記ロータに対して垂直に位置する、態様1に記載の埋め込み型ポンプ。
[態様5]
前記少なくとも2つの電磁コイルの両方が、前記ロータの同一の側の前記フレーム内に存在する、態様1に記載の埋め込み型ポンプ。
[態様6]
前記少なくとも2つの電磁コイルのうちの1番目が、前記ロータの第1の側に存在し、前記少なくとも2つの電磁コイルのうちの2番目が、前記第1の側の反対側である前記ロータの第2の側に存在する、態様1に記載の埋め込み型ポンプ。
[態様7]
前記少なくとも2つの電磁コイルが前記血流に対して所定の角度で配列される、態様1に記載の埋め込み型ポンプ。
[態様8]
前記フレームが、円筒形部材であって、前記円筒形部材の開口部が前記血流に合わせて位置する前記円筒形部材を含む、態様1に記載の埋め込み型ポンプ。
[態様9]
前記少なくとも2つの電磁コイルが前記円筒形部材の内周に沿って位置する、態様8に記載の埋め込み型ポンプ。
[態様10]
前記円筒形部材がステントまたはステントグラフトである、態様8に記載の埋め込み型ポンプ。