(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】ガス流および音制御弁ならびに排気ガスシステム
(51)【国際特許分類】
F01N 1/18 20060101AFI20240610BHJP
F01N 1/02 20060101ALI20240610BHJP
F16K 11/076 20060101ALI20240610BHJP
B60K 13/04 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
F01N1/18
F01N1/02 A
F01N1/02 E
F16K11/076 Z
B60K13/04 A
(21)【出願番号】P 2021529857
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(86)【国際出願番号】 EP2019081533
(87)【国際公開番号】W WO2020109036
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-10-27
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518083766
【氏名又は名称】アクラポヴィッチ、デ.デ.
【氏名又は名称原語表記】AKRAPOVIC D.D.
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】ユレ、ペンサ
(72)【発明者】
【氏名】イゴル、アクラポヴィッチ
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-143125(JP,U)
【文献】特開平11-343838(JP,A)
【文献】特開2000-345831(JP,A)
【文献】実開平02-037213(JP,U)
【文献】実開昭59-009121(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 1/18
F01N 1/02
F16K 11/076
B60K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃エンジンの排気システム用のガス流および音制御弁(1)であって、
入口(5)、第1の出口(10)、および第2の出口(20)を含むY字形ハウジング(3)と、前記入口(5)を前記第1の出口(10)に接続する第1の導管(11)、および/または前記入口(5)から前記第2の出口(20)への第2の導管(21)を形成するために前記ハウジング(3)内に配置された弁部材(7)とを備え、
前記弁部材(7)は、前記弁部材(7)が前記第2の導管(21)を閉鎖する第1の所定位置と前記弁部材(7)が前記第1の導管(11)を閉鎖する第2の所定位置との間で、前記ハウジング(3)に対して移動することができ、
前記弁部材(7)は、前記入口(5)から前記第1の導管(11)および/または前記第2の導管(21)を通じ
て排気ガスを誘導するためのスプーン状セクション(71)を備え、
前記スプーン状セクション(71)は、前記第1または第2の所定位置において、
対応する前
記第1または第2
の導管(11、21)の内側導管表面(15、25)と合流する内側表面(75)を画定し、曲がりパイプのものと似
た排気ガス流路の境界を画定し、
前記弁部材(7)は、前記入口(5)の中心線(A
5)と平行
に位置合わせされた弁軸(A
V)の周りで回転可能であり、
前記弁部材(7)は、前記第1の出口(10)と前記第2の出口(20)との間の前記ハウジング(3)内に配置された中央軸受(37)を用いて前記ハウジング(3)に回転可能に実装されており、
前記弁部材(7)は、前記弁軸(A
V)と同軸に位置合わせされ、前記中央軸受(37)を通り、前記ハウジング(3)を通って延在する、シャフトセクション(77)を含み、
前記弁部材(7)は、前記スプーン状セクション(71)と前記シャフトセクション(77)との間に配置されたくさび形の移行セクション(76)を含み、
前記移行セクション(76)は、前記第1または第2の所定位置において、前記スプーン状セクション(71)
の上流先端部から
対応する前
記導管(11、21)内に径方向に延在しており、前
記導管(11、21)のものに対応する形状の、前記導管(11、21)の前記
内側導管表面(15、25)を前記内側表面(75)に接続する、移行表面(79)を有する、
ことを特徴とする、ガス流および音制御弁。
【請求項2】
前記スプーン状セクション(71)は、前記第1の所定位置で前記第2の導管(21)を覆い、前記第2の所定位置で前記第1の導管(11)を覆うように寸法決めされている、
ことを特徴とする、請求項1に記載のガス流および音制御弁。
【請求項3】
前記スプーン状セクション(71)は、前記弁軸(A
V)の周りで周方向に少なくとも170°にわたって、3cm超の前記弁軸(A
V)に沿った軸方向延長部に沿って延在する、
ことを特徴とする、請求項2に記載のガス流および音制御弁。
【請求項4】
前記スプーン状セクション(71)の内側表面(75)は、曲率半径(R
7)を画定する、排気ガスの湾曲した流路を画定し、
前記スプーン状セクション(71)は、前記第1および第2の所定位置で前記流路
の一定の断面を画定するように形成されている、
ことを特徴とする、請求項2または3に記載のガス流および音制御弁。
【請求項5】
前記出口(10、20)の中心線(A
10、A
20)は、前記入口(5)および/または前記弁軸(A
V)の前記中心線(A
5)に対して、10°から120°の角度オフセットで配置され、
前記ハウジング(3)は、前記入口(5)から前記第1の出口(10)に及ぶ第1の曲率半径(R
10)と、前記入口(5)から前記第2の出口(20)に及ぶ第2の曲率半径(R
20)とを画定し、
前記第1または第2の所定位置において、前記弁部材(7)の前記曲率半径(R
7)は、前記それぞれの第1または第2の曲率半径(R
10、R
20)に対応する、ことを特徴とする、請求項4に記載のガス流および音制御弁。
【請求項6】
前記第1または第2の所定位置において、
対応する前
記第1または第2
の導管(11、21)の内側導管表面(15、25)と合流する前記内側表面(75)は、1つのみの曲がりを備え、および/または、
対応する前
記第1または第2の導管(11、21)内に障害がないように形成された、曲がりパイプのものと似た前記排気ガス流路の境界を画定する、
ことを特徴とする、請求項2に記載のガス流および音制御弁。
【請求項7】
前記入口(5)から前記弁部材(7)に沿って
対応する前
記導管(11、21)を通じて前記第1または第2の出口(10、20)まで流れる排気ガス
の経路は
、一定の断面領域を画定し、
楕円形断面などの他の断面から前記入口の前記断面領域まで前記経路を誘導するために、前記入口(5)の上流に入口漏斗が配置されている、
ことを特徴とする、請求項1に記載のガス流および音制御弁。
【請求項8】
少なくとも部分的に前記スプーン
状セクション(71)
の軸方向延長部に沿って前記スプーン
状セクション(71)の径方向外面(74)と前記ハウジング(3)との間で、前記弁軸(A
V)に対して半径方向に間隙(35)が画定されている、
ことを特徴とする、請求項1に記載のガス流および音制御弁。
【請求項9】
前記弁部材(7)は、前記入口(5)で、摺動ブッシング(32)などの上流軸受を用いて前記ハウジング(3)に回転可能に実装されており、
前記弁部材(7)は、前記弁軸(A
V)を同軸に包囲し、前記上流軸受に係合している、リングセクション(73)を含む、
ことを特徴とする、請求項1に記載のガス流および音制御弁。
【請求項10】
前記移行セクション(76)は、前記シャフトセクション(77)よりも幅広く、前記中央軸受(37)に係合する、ショルダ(78)を画定する、
ことを特徴とする、請求項1に記載のガス流および音制御弁。
【請求項11】
前記弁部材(7)を操作するためのアクチュエータ(8)を特徴とし、
前記アクチュエータ(8)は、前記弁部材(7)が、前記第1の導管(11)および前記第2の導管(21)を部分的に覆いながら
、排気ガス流および音を前記入口(5)から前記第1の出口(10)および前記第2の出口(20)に誘導するように位置決めされるように、前記第1および第2の所定位置の間の少なくとも1つの中間位置に前記弁部材(7)を配置するように構成されている、
請求項1に記載のガス流および音制御弁。
【請求項12】
前記弁部材(7)
の上流端および前記入口(5)は、同心円状に位置合わせされ、および/または
、互いに対応する同一の内径(D
5、D
7)を有する、
ことを特徴とする、請求項1に記載のガス流および音制御弁。
【請求項13】
内燃エンジンの排気ガスシステム(100、200、300、400)であって、
前記エンジンと少なくとも1つの音響要素(41、43、45、47)との間の分配結合部に配置された請求項1に記載の少なくとも一つのガス流および音制御弁(1、1a、1b)を備え、
前記第1の出口(10)に第1の管(13、13a、13b)が接続され、前記第2の出口(20)に第2の管(23、23a、23b)が接続され、
各管(13、13a、13b、23、23a、23b)は、共鳴器、膨張チャンバ、ヘルムホルツ共鳴器、マフラー、吸収型マフラーなどのような、少なくとも1つの音響要素(41、43、45、47)を備える、
排気ガスシステム(100、200、300、400)。
【請求項14】
前記第1および第2の管(13、13a、13b、23、23a、23b)が再結合されている前記分配結合部の下流に、少なくとも1つの統合結合部(50、50a、50b)をさらに備える、請求項13に記載の排気ガスシステム(100、200、300)。
【請求項15】
第1のエンジン気筒群からの排気ガス用の右排気管(5a)および第2のエンジン気筒群からの排気ガス用の左排気管(5b)を備え、
前記右および左の管(5a、5b)は各々少なくとも1つのガス流および音制御弁(1a、1b)を備え、
前記排気ガスシステムは、前記右および左排気管(5a、5b)から到達する排気ガスが共通の排気ガス操作装置(43)内で統合されるように、前記左および右排気管(5a、5b)の
対応する前
記弁(1)の前記第1の出口(10)に接続された、排気ガス浄化および/または消音装置などの少なくとも1つの共通の排気ガス操作装置(43)をさらに備える、請求項13または14に記載の排気ガスシステム(200、300)。
【請求項16】
前記右排気管(5a)および前記左排気管(5b)は各々、
対応する前
記弁(1a、1b)の
対応する前
記第2の出口(20)に接続された少なくとも1つのバイパスライン(23a、23b)を備え、
前記共通の排気ガス操作装置(43)は、前記バイパスラインのうちの少なくとも1つにつながる少なくとも1つの排出ライン(44a、44b)に接続されていることを特徴とする、請求項15に記載の排気ガスシステム(200、300)。
【請求項17】
前記少なくとも1つのガス流および音制御弁(1)は、行き止まり側管(5’)に配置されており、その入口で主管(55)に接続されるとともに、その出口(10、20)の各々で、排気ガスをガス流および音制御弁に、そしてその中に再配向するための行き止まりとして設計された少なくとも1つの
対応する音響要素(45、47)に接続されており、
前記行き止まり音響要素(45、47)の各々は、前記少なくとも1つのガス流制御弁(1)を通る前記行き止まり音響要素(45、47)からの排気ガス流を反転させることにより、前記主管(55)を介して大気に排他的に開放されることが可能である、請求項13に記載の排気ガスシステム(400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃エンジンの排気システム用のガス流および音制御弁に関する。本発明はさらに、少なくとも1つのガス流および音制御弁を備える内燃エンジンの排気ガスシステムに関する。特に、本発明は、自動車の内燃エンジン用の排気システムおよび/またはガス流および音制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
具体的には、本発明の排気システムまたは弁は、V型エンジン、ボクサーエンジン、または任意のタイプの内燃エンジンと併せて使用され得る。典型的な高性能内燃エンジンは、左側気筒群および右側気筒群を有し、その各々は、個々の左または右排気管に接続可能であり得る。このような排気システムでは、各排気管、左排気管および右排気管は、それぞれの左または右側気筒群から排気ガスが注入される管入口を画定するそれぞれの管構造を備える。排気システムは、排気ガスを排気システムから放出するために大気中に開放している1つ以上の排気出口を備えることができる。
【0003】
米国特許出願公開第2003/0192606号明細書は、排気ガスを1つの入口から第1または第2の出口に誘導するための切替弁またはガス流制御弁を記載している。切替弁は、入口、第1の出口、および第2の出口が形成されたハウジングを含む。揺動フラップの形態の方向制御部材がハウジング内に配置され、第1の出口または第2の出口のいずれかが選択的に閉鎖されてもよく、その結果、それぞれの他方の出口が入口と連通する。米国特許出願公開第2003/0192606号明細書による切替弁は、生産努力を最小限に抑え、単純な構造を実現するように設計されている。米国特許出願公開第2003/0192606号明細書の切替弁は、入口から出口のいずれか一方への音の妨害されない伝達には適していない。さらに、多数のアンダーカット、歪んだ幾何形状のため、特に高性能エンジンの動力の望ましくない損失が生じる可能性がある。
【0004】
欧州特許出願公開第3141702号明細書は、主排気出口またはバイパス排気出口を通じてトランスミッション排気ガスを遮断または開放するために使用され得る弁装置から上流にY字形パイプ結合部が配置されている、排気システムを記載している。設計が不十分な場合、このような配置は意図しないエコーチャンバをもたらし、望ましくない放音を生じる可能性がある。さらに、バイパス排気ラインを開放したままにすることにより、Y字形結合部の下流のラインを通るエンジンからの排気ガスの制御された分割は、Y字形結合部の上流または下流でさらなる弁が使用されない限り、限られた範囲までしか達成され得ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2003/0192606号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3141702号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来技術の欠点を克服すること、特に内燃エンジン用の改善された排気システムまたはガス流および音制御弁を提供すること、特にその効率および制御性に関して改善された弁またはシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、独立請求項の特徴によって解決される。
【0008】
本発明の主題は、内燃エンジン、特に自動車用エンジンの排気システム用のガス流および音制御弁に関する。ガス流および音制御弁は、入口、第1の出口、および第2の出口を含むハウジングを備える。具体的には、ハウジングは、1つのみの入口を含む。第1の出口および/または第2の出口は、特に面積に関して、入口区間と同じまたは異なるサイズであり得る。具体的には、入口は、第1および/または第2の出口と同じ形状、好ましくは特に同じ直径の、円筒形または楕円形である。入口を第1の出口に接続する第1の導管および/または入口から第2の出口までの第2の導管を形成するために、ハウジング内に弁部材が配置される。具体的には、ガス流および音制御弁は、ワンピース弁部材を備えてもよい。弁部材は、弁部材が第2の導管を特に完全に閉鎖する第1の所定位置と、弁部材が第1の導管を特に完全に閉鎖する第2の所定位置との間で、ハウジングに対して移動することができる。
【0009】
本発明によるガス流および音制御弁では、弁部材は、入口の中心線と平行に適用された弁軸の周りで回転可能である。入口は、円筒形であってもよい。具体的には、弁軸は、入口の中心線と同軸であってもよい。
【0010】
1つの入口と第1および第2の出口とを有するハウジング内に弁部材を配置することにより、排気ガス流は、追加の弁手段なしに入口から第1の出口および/または第2の出口に分割されることが可能である。このような配置は、空気力学および排気ガスシステムを改善し、これにより、動力のいかなる損失も回避するためにシステム効率を改善することができる。さらに、本発明は、関連するいかなる逆流、渦、およびエコーも回避するように、アンダーカットおよびその他の制御された設計を回避することを可能にする。
【0011】
一実施形態によれば、弁部材は、第1の導管および/または第2の導管を通じて入口から排気ガスを誘導するためのスプーン状セクションを備える。前記スプーン状セクションは、弁軸に対して凸状に成形されてもよい。具体的には、スプーン状セクションは、定義済みの第1の位置で第2の導管を覆うように、および定義済みの第2の位置で第1の導管を覆うように、寸法決めされる。弁部材のスプーン状セクションは、第1または第2の導管を完全に覆うことができる。スプーン状セクションが第1の導管または第2の導管を大部分までのみ覆う場合、排気ガス流の適切な制御にとって十分であり得る。たとえば、スプーン状セクションが、それぞれの定義済みの第2または第1の位置でそれぞれの第1または第2の導管の3分の2、4分の3、90%、95%、または99%を覆う場合に十分であり得る。
【0012】
さらなる発展によれば、スプーン状セクションは、少なくとも170°および/または最大220°にわたって弁軸の周りで周方向に延在する。スプーン状セクションは、少なくとも180°にわたって弁軸の周りで周方向に延在することが好ましくてもよい。スプーン状セクションは、最大210°、または最大195°にわたって弁軸の周りで周方向に延在することが好ましくてもよい。具体的には、スプーン状セクションは、3cm超および/または15cm未満の弁軸に沿った(弁軸と平行な)軸方向延在部に沿って延在してもよい。具体的には、スプーン状セクションは、5cm超および/または10cm未満にわたって弁軸の軸方向延在部に沿って延在してもよい。
【0013】
ガス流および音制御弁の一実施形態によれば、スプーン状セクションの内側表面は、曲率半径を画定する排気ガスのための湾曲した流路を画定する。スプーン状セクションの内側表面は、連続的に湾曲した、特にパイプ状の流路を画定してもよい。パイプ状流路は、特に歪みおよび/またはアンダーカットのない、一定の断面および/または連続的な断面を有し得る。スプーン状セクションは、この弁部材が第1の所定位置にあるときに流路のほぼ一定の断面を画定するように、弁部材が第2の所定位置にあるときに流路のほぼ一定の断面を画定するように、形成され得る。
【0014】
さらなる発展によれば、ハウジングはY字形であり、出口の中心線は、入口の中心線に対して、および/または弁出口に対して角度オフセットを伴って配置されてもよい。具体的には、第1の出口および第2の出口は、個々の角度オフセットで配置されてもよく、第1の出口の角度オフセットは第2の出口の角度オフセットとは異なっていてもよい。具体的には、第1の出口および/または第2の出口の角度オフセットは、弁軸の中心線および/または入口の中心線に対して10°から120°の間であり得る。具体的には、第1の出口および/または第2の出口の中心線の角度オフセットは、入口の中心線および/または弁軸に対して45°オフセットしていてもよい。本発明の特定の実施形態では、入口の中心線、第1の出口および第2の出口の中心線、ならびに弁軸は、同一平面にある。
【0015】
具体的には、ハウジングは、入口から第1の出口までに及ぶ第1の曲率半径を画定する。具体的には、ハウジングは、入口から第2の出口までに及ぶ第2の曲率半径を画定する。第1の定義済みの位置において、弁部材の曲率半径は、それぞれの第1の曲率半径に対応し得る。第2の定義済みの位置において、弁部材の曲率半径は、第2の曲率半径に対応し得る。
【0016】
一実施形態によれば、スプーン状セクションは、第1または第2の定義済みの位置において、曲がりパイプのものと似た排気ガス流路の境界を画定するために、それぞれの(第1および第2の)導管の内側導管表面と合流する内側表面を画定する。言い換えると、弁部材が第1または第2の所定位置のいずれか一方に配置される場合、弁部材は本質的に、最適な空気力学的特性のために、曲がりパイプの特性、特に一定の曲率半径および/または一定の断面の特性を実現するように設計され得る。好適な実施形態では、第1または第2の所定位置において、弁は、1つのみの曲がりを備えるパイプのものと似た排気ガス流路の境界を画定し得る。具体的には、流路は、障害がないように、好ましくは第1および/または第2の導管内に障害がないように形成された曲がりパイプの流路であり得る。
【0017】
さらなる発展では、入口を通って弁部材に沿って(それぞれの第1または第2の所定位置にある)第1または第2の出口までそれぞれの導管を通じて流れる排気ガスの経路は、本質的に一定の断面領域を画定し得る。好適な実施形態では、一定の断面領域は、一定の円形の断面領域であってもよい。任意選択的に、楕円形断面、矩形断面、またはその他の任意の断面などの他の断面から入口の断面領域まで経路を誘導するために、入口の上流に入口漏斗が配置されてもよい。好ましくは、入口の断面領域は円形または楕円形である。入口ならびに第1および/または第2の出口には、同じ断面形状および/または寸法が提供されてもよい。
【0018】
以前のものと組み合わせられてもよい、本発明のさらなる発展では、少なくとも部分的にスプーンセクションの軸方向延在部に沿ってスプーンセクションの径方向外面とハウジングとの間で、弁軸に対して半径方向に間隙が画定され得る。スプーンセクションの外面とハウジングの内側表面との間で径方向に間隙を設けることにより、スプーンセクションとハウジングとの間の摩擦、したがって摩耗が回避され、これにより、弁の制御性およびその信頼性が向上する。スプーンセクションとハウジングとの間に間隙が配置され得る方向は、導管の平面に対して横切って位置合わせされてもよい。たとえば、入口および出口が同じ平面内に配置された中心線を有する場合、間隙は、ハウジングと弁部材との間で前記平面に直交する方向に配置されてもよい。
【0019】
一実施形態では、ガス流および音制御弁には、入口に上流軸受を有するハウジングに回転可能に実装された弁部材が設けられており、弁部材は、弁軸を部分的または完全に同軸に包囲し、上流軸受に係合している、リングセクションを含む。軸受は、摺動ブッシングとして実現され得る。好ましくは、軸受は、ラジアル軸受である。あるいは、軸受は、アキシアル軸受であってもよい。弁部材のリングセクションは、弁軸を完全に周方向に包囲していてもよい。リングセクションは、上流軸受と径方向に係合し得る。上流軸受は、第1の出口および第2の出口への分割部から上流に配置され得る。入口の下流では、リング状セクションは、弁部材のカラーとして説明され得る。カラーまたはリングセクションは、特にスプーン状の弁部材の上流端の近傍に配置され得る。
【0020】
先に記載された実施形態と組み合わせられてもよい、さらなる実施形態によれば、弁部材は、第1の出口と第2の出口との間のハウジング内に配置された中央軸受、特にアキシアル軸受を有するハウジングに回転可能に実装され、弁部材は、弁軸と同軸に位置合わせされ、中央軸受を通り、ハウジングを通って延在する、シャフトセクションを含む。あるいは、中央軸受は、ラジアル軸受であってもよい。弁部材およびシャフトセクションは、一体に形成されてもよい。中央軸受は、特にスプーン状の弁部材の下流先端部の近傍に配置され得る。中央軸受または上流軸受のいずれかを有する弁を提供すれば十分であり得る。好適な実施形態では、弁には、弁の滑らかな動きと改善された制御性、ならびに弁部材の望ましくないノイズ放射に対する高い耐性を可能にするために、ラジアル上流軸受およびアキシアル中央軸受の両方が設けられている。代替実施形態では、弁には、アキシアル上流軸受およびラジアル中央軸受が設けられてもよい。従来技術の切替弁は、いくつかの動作条件において、望ましくないホイッスルおよび/またはクリック音を放射することが知られている。
【0021】
さらなる発展によれば、弁部材は、スプーンセクションとシャフトセクションとの間に配置されたくさび形の移行セクションを含む。移行セクションは、シャフトセクションよりも幅広く、弁軸に対して中央軸受に係合する、ショルダを画定し得る。シャフトセクションは、ショルダの外半径よりも小さいシャフトセクション半径を画定し得る。追加的または代替的に、弁部材が第1の定義済みの位置または第2の定義済みの位置にあるとき、移行セクションは、スプーンセクションの上流先端部からそれぞれの開放導管内に径方向に延在する。
【0022】
移行セクションは、それぞれの開放導管の形状に対応する形状の移行表面を有してもよく、この移行表面は、導管の導管表面を、特にスプーン状の弁部材の内側表面に接続する。
【0023】
一実施形態では、ガス流および音制御弁は、弁部材を操作するためのアクチュエータを備え、アクチュエータは、たとえば電子制御要素および/またはメカニカルトランスミッションによって、弁部材が排気ガス流および音を入口から両方とも第1の出口に誘導するように位置決めされるように、第1および第2の定義済みの位置の間の少なくとも1つの中間位置に弁部材を配置するように構成されている。少なくとも1つの中間位置において、弁部材は、第1の導管を部分的に覆い、第2の導管を部分的に覆ってもよい。アクチュエータは、第1および第2の定義済みの位置の間の少なくとも3つ、または少なくとも5つの異なる中間位置に弁部材を配置するように構成され得る。アクチュエータは、5つを超える多数の中間位置に弁部材を配置するように構成されてもよく、好ましくは第1の所定位置と第2の所定位置との間の任意の中間位置に連続的に弁部材を配置するように構成されてもよい。
【0024】
ガス流および音制御弁は、第1の管の少なくとも1つの音響要素のみに、または第2の管の少なくとも1つの音響要素のみに、または第1および第2の管の各々の少なくとも1つの音響要素に比例して、排気ガスを配向するように構成され得る。具体的には、少なくとも1つの音響要素の各々は、排気ガスをガス流および音制御弁に、そしてその中に再配向するための行き止まりとして設計され得る。具体的には、前記再配向された排気ガスは、その入口を介してガス流および音制御弁を出る。
【0025】
ガスおよび音制御弁は、第1の所定位置において、流れている排気ガスを第1の出口に、または第2の所定位置において、第2の出口に、およびそれぞれの出口に接続されたそれぞれの音響要素に、配向することができる。加えて、ガス流および音制御弁は、弁部材が中間位置に配置されているとき、排気ガスを入口から部分的に第1の出口および第2の出口に配向してもよい。たとえば、第1の所定位置は、ハウジングに対する弁部材の0°位置であってもよく、第2の所定位置は、180°位置であってもよい。弁部材が第1の所定位置(0°)から第2の所定位置(180°)まで移動するとき、弁部材が弁軸の周りを移動するにつれて、第1の導管は徐々に閉鎖され、第2の導管は徐々に開放される。入口から第1の導管および第2の導管を通る排気ガスの流れ分布は、第1および第2の導管のそれぞれの開断面の比に比例し得る。導管の開放領域が、弁部材によって現在覆われていない領域であることは、明らかである。
【0026】
一実施形態によれば、弁部材の上流端、特にリングセクションまたはカラー、および入口は、同心円状に、好ましくは同軸で位置合わせされ、好ましくは互いに対応する同一の内径を有する。上流の入口の内径を、その上流端で回転可能な弁部材のカラーまたはリングセクションと同じ寸法で設計することにより、入口と弁部材との間の排気ガス気流を乱す可能性のあるいかなるアンダーカットも回避されることが可能であり、これによって音響的および空気力学的に改善された幾何形状を提供する。
【0027】
本発明はまた、内燃エンジンと少なくとも1つの音響要素との間の分配結合部に配置された少なくとも1つのガス流および音制御弁を備える内燃エンジンの排気ガスシステムであって、排気ガスシステムの第1の管が弁の第1の出口に接続され、排気ガスシステムの第2の管が第2の出口に接続されている、排気ガスシステムにも関する。具体的には、各管は、共鳴器、膨張チャンバ、ヘルムホルツ共鳴器、マフラー、吸収型マフラーなどのような、少なくとも1つの音響要素を備える。
【0028】
このような排気ガスシステムは、その出口管の一方の結合部から下流に配置された切替弁または弁が設けられた既知の排気システムと比較して、改善された音響的および空気力学的特性を示した。
【0029】
一実施形態では、排気ガスシステムは、第1の管および第2の管が再結合されている分配結合部の下流に、少なくとも1つの統合結合部をさらに備える。このような排気ガスシステムでは、音響要素は、具体的には、分配結合部から統合結合部に移動する音波が統合結合部の下流で正または負に干渉し得るように、分配結合部と統合結合部との間の管セクションを異なる長さ方向延在部で設計することによって提供され得る。特に所定の周波数範囲(帯域幅)において、負の干渉は放音の消音をもたらすことができ、正の干渉は放音の制御された増加をもたらすことができる。
【0030】
前のいずれかのものと組み合わせられてもよい一実施形態によれば、排気ガスシステムは、第1のエンジン気筒群からの排気ガス用の右排気管および第2のエンジン気筒群からの排気ガス用の左排気管を備える。右および左の管は各々、少なくとも1つのガス流および音制御弁を備える。このため、本発明によれば、このような排気ガスシステムは、少なくとも2つのガス流および音制御弁を備える。排気システムは、右および左排気管から到達する排気ガスが共通の排気ガス操作装置内で統合されるように、左の管および右排気管のそれぞれのガス流および音制御弁の第1の出口に接続された、排気ガス浄化および/または消音装置などの少なくとも1つの共通の排気ガス操作装置をさらに備える。
【0031】
共通の排気ガス操作装置は、たとえば欧州特許出願公開第3118429号明細書に記載されている。右のエンジン気筒群にそれぞれの右のガス流および音制御弁を使用し、左のエンジン気筒群の排気ガスにそれぞれの左のガス流および音制御弁を使用することにより、排気ガスは、それぞれの気筒群からそれぞれの排気ガス流および音制御弁を通じて導かれることが可能である。このような排気システムは、両方の気筒群の排気ガスから弁の第1の出口を通じて供給され得るセクション(共通セクション)、ならびに1つのみの気筒群から排気ガスを受け取るセクション(バイパスセクション)を備え得る。弁のそれぞれの第2の出口の下流のバイパスセクションは、それぞれの別の気筒群から排出されたいかなる排気ガスとも別個に流れるように、1つのそれぞれの気筒群からの排気ガスのみを搬送することが望ましいだろう。弁の下流の共通セクションは、両方の気筒群から排気ガスを受け取ることができる。弁の下流の共通セクションには、相応に左および右の弁を制御することにより、一方または他方の気筒群のみから排気ガスが供給されることも可能である。たとえば、右の弁は、排気がその入口流から特に第2の出口およびこれに接続されたバイパスセクションのみに流れることができるようなその第2の所定位置にその弁部材が配置されるように、制御されてもよい。左の管の弁は、排気ガスを左の弁の下流の共通セクション内に誘導するために、その第1の位置に配置されてもよい。あるいは左の弁は、排気ガスを、部分的に共通排気ガス管セクション内に、および部分的に左の排気ガス管のバイパスセクション内に分配するために、中間位置に配置されてもよい。
【0032】
さらなる発展では、右排気管および左排気管は各々、それぞれの弁のそれぞれの第2の出口に接続された少なくとも1つのバイパスラインを備える。具体的には、排気ガス操作装置は、バイパスラインのうちの少なくとも1つにつながる少なくとも1つの排出ラインに接続されている。あるいは排気ガス操作装置は、左および/または右のバイパスラインのいずれにも決して再接続しない排気管を有することができる。
【0033】
一実施形態によれば、排気ガスシステムの少なくとも1つのガス流制御弁は、行き止まり側管に配置され、その入口で主管に接続されており、その出口の各々は、少なくとも1つのそれぞれの行き止まり音響要素に接続されている。本明細書で使用される主管という用語は、少なくとも間接的に、エンジンを大気に接続する管を意味する。これは左の主管、左のバイパス管、右の主管、右のバイパス管、または共通排気管であってもよい。具体的には、行き止まり音響要素の各々は、行き止まり音響要素から、特に行き止まり側管内に配置された少なくとも1つのガス流制御弁を通る排気ガス流を反転させることにより、主ラインを通じて大気に排他的に開放されることが可能である。
【0034】
さらなる実施形態、特徴、および技術的態様は、従属請求項に記載されている。本発明の好適な実施形態のさらなる詳細は、添付の図面に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1a】一実施形態によるガス流および音制御弁の正面図である。
【
図1b】
図1aによる弁の断面線B-Bに沿った断面図である。
【
図1c】
図1aによる弁の断面線C-Cに沿った断面図である。
【
図1d】線B-Bに沿った
図1aに示される弁の斜視断面図である。
【
図2】
図1aから
図1dに示されるガス流および音制御弁の弁部材の斜視図である。
【
図3a】一実施形態によるガス流および音制御弁の上面図である。
【
図3b】線B-Bに沿った
図3aに示される弁の断面図である。
【
図3c】
図3aに示される弁の線C-Cに沿った断面図である。
【
図3d】
図3aに示される弁の線D-Dに沿った断面図である。
【
図4】ガス流および音制御弁を含む排気ガスシステムの概略図である。
【
図5】2つのガス流および音制御弁を含む排気ガスシステムの別の実施形態である。
【
図6】ガス流および音制御弁を含む排気ガスシステムの別の実施形態である。
【
図7】主管と、ガス流および音制御弁を含む行き止まり側管とを含む、ガス流および音制御弁のセクションの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図面による本発明の好適な実施形態の以下の説明では、同じまたは類似の構成要素を指定するために、同じまたは類似の参照番号が使用される。
【0037】
ガス流および音制御弁は全体として、参照番号1で指定されている。読みやすくするために、図に示される実施形態の説明では、同じものを指定するために、「ガス流および音制御弁」という用語の代わりに「弁」という用語が使用される。
【0038】
参照番号100、200、300、および400は、異なる排気ガスシステムセクションを指定する。異なる図に示されるアーキテクチャは、個別にまたは任意の組合せで実現され得ることが理解される。たとえば、
図5および
図6に示される弁の上流の2つの管のうちの1つは、各々、
図4および/または
図7に示される排気ガスシステムを含み得る。同様に、
図5および
図6に示される弁の下流の4つの管の各々は、
図4および
図7に示されるシステムの一方または両方を含み得る。さらに、
図4に示されるシステムは、弁の下流の一方または両方の管において、
図7に示されるシステムを含み得ると考えられる。代替的または追加的に、
図7に示されるシステムは、
図4に示される実施形態の弁の上流、または
図4に示される実施形態の統合結合部の下流に配置されることが可能である。
【0039】
排気ガスが、(ほぼ)一定の円筒形の断面を有する屈曲チューブのものと似た貫流領域を提供しながら1つの入口から前記弁の1つの出口またはもう1つの出口まで導かれるということは、
図1aから
図1dおよび
図3aから
図3dに示される排気ガス流および音制御弁1で実現される一般的な概念である。このことは、特に
図3aから
図3dに関連して以下で詳細に記載される。アンダーカットおよびポケットのない、このような空気力学的に最適化された形状により、排気ガスは、ほとんど動力の損失なしに、および排気システムの放音を損なわずに、入口から第1または第2の出口に流れることができ、これにより、改善された音質およびエンジン効率をもたらす。
【0040】
ガス流および音制御弁1は、その主要な構成物として、ハウジング3と、ハウジング3内に配置された弁部材7とを含む。ハウジング3は、ほぼY字形状を有するように設計され得る。ハウジング3は、入口5、第1の出口10、および第2の出口20を含む。入口5を第1の出口10に接続する第1の導管11を形成するように、ハウジング3内に弁部材7が配置されている。あるいは、弁部材7は、入口5を第2の所定位置にある第2の出口20に接続する第2の導管21を形成するためにハウジング3内に配置されてもよい。
図1aから
図1dは、その弁部材7がこの所定の第2の位置にあるガス流および音制御弁1を示している。容易に想起され得るように、弁部材7が入口5を第1の出口10に接続する導管11を形成する第1の所定位置は、詳細には示されていないが、図面1Aから1Dに示される第2の所定位置と鏡面対称となる。
【0041】
第1の所定位置において、弁部材7は、第2の導管21を閉鎖する。第2の所定位置において、弁部材7は、第1の導管11を閉鎖する。弁は、弁部材7がそれぞれの閉鎖された第1または第2の導管11、21を気密に封止し得ないように、弁部材7とハウジング3との間で径方向に小さな間隙35を残すように設計され得ることは、明らかである。
【0042】
弁部材7は、
図2に詳細に示されるように、弁軸A
Vの周りで回転可能である。弁部材7はスプーン状セクションを備え、これは三次元湾曲セクション71とも呼ばれ得る。弁部材7の三次元湾曲セクション71は、弁軸A
Vに対して凸状の内側表面75を形成している。弁部材7の三次元湾曲セクション71は、弁軸A
Vに対して径方向にオフセットされている。
【0043】
スプーン状セクション71の上流端は、弁軸AVに対して同軸の略円形の断面を画定し得る。スプーン状セクションの下流先端部は、弁軸上に、またはこれと密接して、配置され得る。弁部材7のこの設計は、管状ハウジング3内のその軸AVの周りでの弁部材7の回転を可能にし、弁部材7に沿った軸方向の排気ガスの妨害されない流れを可能にする。
【0044】
弁部材7は、弁軸AVがハウジング3の入口5の中心線A5と平行に位置合わせされるように(さらにはこれと同軸に位置合わせされるように)、ハウジング3内に配置されている。図示されるような入口5が円形の断面を有するとき、中心線A5は、円の中心を通ることによって画定され得る。
【0045】
図1aから
図1dおよび
図3aから
図3dに示されるように、弁部材7のスプーン状セクション71は、所定の第1または第2の位置においてそれぞれの第2または第1の導管21または11の大部分または全てを覆うように寸法決めされている。弁軸A
Vに対して周方向に、スプーン状セクション71は、一方の導管を完全に覆い、他方の導管を開放したままにし得るように、弁軸の周りに延在する。スプーン状セクションの周方向延在部βは、およそ180°、たとえば185°±5°であってもよい。ハウジングが第1の導管11または第2の導管21を形成するために2つの出口10および20を有し、入口5の中心線A
5、第1の出口10の中心線A
10、および第2の出口20の中心線A
20が単一の平面内に配置されている、図示される例では、スプーン状セクション71は、弁軸A
Vの周りでおよそ180°延在するように設計されてもよい。
【0046】
入口5の中心線A5の軸方向および弁軸AVに沿った弁部材7のスプーン状セクション71の延在部は、導管11または21の一方を選択的に覆うように設計される。好適な実施形態では、軸方向延在部に沿ったスプーン状セクション71の延在部は、3cmを超え、10cm未満であってもよい。スプーン状セクション71または三次元湾曲セクションは、弁部材の軸AVの周りで湾曲しており、弁軸AVに沿った軸方向延在部でも湾曲している。スプーン状セクション71は、部分的な釣鐘形状、具体的には軸方向に分割された回転放物線、回転双曲線、またはその他の回転曲線の形状を示し得る。
【0047】
図中、弁1は、同じ形状および直径を有する第1の出口10および第2の出口20を有するように設計されている。図示される入口5は、第1および第2の出口10および20と同じサイズおよび形状を有する。第1の出口10および第2の出口20は、異なるサイズおよび/または形状および(詳細には図示せず)であってもよい。入口5ならびに出口10および20は、異なるサイズおよび/または形状(詳細には図示せず)であってもよい。出口の数は、2つでなくてもよい。
【0048】
そのスプーン状セクション71に沿った弁部材7の内側表面75は、排気ガスのための連続的に湾曲したパイプ状流路を画定する。内側表面75は、可変、または好ましくは一定の曲率半径を画定し得る。曲率半径R
7は、その曲率半径R
7が、入口5から第1の出口10または第2の出口20のいずれかまで弧を描くその湾曲した中心線が弧を描く曲率中心に等しい、または少なくともほぼ等しい曲率中心の周りに弧を描くように、ハウジング3に対して好ましく設計されている(
図1b参照)。
【0049】
出口10および20は、出口10、20の場合により円形の断面の中心を通る直線によって画定され得る中心線A10、A20を画定する。中心線A10およびA20は、入口の中心線A5に対して角度オフセットα2で配置されている。図示されるように、角度オフセットは45°であってもよい。第1の出口10の角度オフセットα1は、第2の出口20の中心線A20の角度オフセットと比較して、同じであっても異なっていてもよい。ハウジング3は、入口5からそれぞれ第1の出口10および第2の出口に及ぶ曲率半径R10またはR20を画定する。第1の定義済みの位置では、弁部材の曲率半径R7は、第1の曲率半径R10に対応する。第2の定義済みの位置では、弁部材のR7の半径は、第2の曲率半径R20に対応する。これにより、第1ならびに第2の定義済みの位置において、入口5からそれぞれの第1の出口10または第2の出口20に流れる排気ガスは、渦を回避するために一定の曲率半径に沿って誘導され得る。
【0050】
弁は、第1および第2の定義済みの位置において、排気ガス流が、1つのみの曲がりを有し、好ましくはいかなる障害もなく形成されている曲がりパイプのものと似るように設計されている。
【0051】
入口5を通じて弁ユニット7から第1または第2の出口10または20の一方に流れる排気ガスは、図中、特に
図3aから
図3dにおいて、本質的に一定の断面流れ領域Qに沿って流れる。この一定の断面流れ領域Qは、
図3bから
図3dに破線で示されるように、円形である。燃焼エンジンから到達して、排気ガスは、たとえば
図3bに示されるように、上流の入口5においてハウジング3および弁7に入る。排気ガスはその後、弁部材7、特にスプーン状セクション71と併せてハウジング3の湾曲形状によって誘導される。
図3cは、スプーン状セクション71の中心部における、弁1を通る排気ガスの湾曲した流路に沿った断面を示す。
図3cからわかるように、点線で示されるように、従来技術の弁とは異なり、弁部材7に沿って排気ガスが流れる断面領域は、本質的に円形のままであり、好ましくは、弁の入口側の断面領域に対してサイズも形状も変化しない。
【0052】
図3dは、第2の出口20における、排気ガスが流れる断面領域を示しており、これもまた円形であり、前の2つの断面と同じ貫流領域のものである。図は概略的であり、正確に同じ縮尺ではないことは、明らかである。
【0053】
弁部材は、1つ以上の軸受を用いてハウジング3に回転可能に実装され得る。弁部材7の1つのラジアル軸受31は、摺動ブッシング32、および入口5に近いその上流端7であってもよい。摺動ブッシング32に係合するために、弁部材7は、弁軸AVを完全に周方向に包囲し得るリングセクション73を含み得る。弁部材7は、中心アキシアル軸受37を用いてハウジング3に実装され得る。アキシアル軸受37は、その出口10および20の間でハウジング3内に配置され得る。弁部材7は、弁軸AVと同軸に位置合わせされたシャフトセクション77を含み得る。弁部材7のシャフトセクション77は、中央軸受37を通り、ハウジング3を通って延在し得る。シャフトセクション77は、直接、またはトランスミッションを介して、ハウジング3内で弁部材7を回転させるためのアクチュエータ(さらに詳細には図示せず)に接続され得る。
【0054】
弁部材7は、スプーン状セクション71とシャフトセクション77との間に配置されたくさび形の移行セクション76を、さらに含み得る。このような移行セクション76は、アキシアル軸受37を排気ガスから保護するためにシャフトセクション77のための傘状のカバーを形成するために、および/またはアキシアル軸受37の近傍のポケットから排気ガスを保護するためのカバーを実現するために、軸A
Vの周りで周方向に延在し得る。移行セクション76は、中央軸受37に係合するシャフトセクション77よりも幅広いショルダ78を画定する。移行セクションは、たとえば
図3b、
図3c、または
図1bに示されるように、スプーン状セクション71からそれぞれの開放導管11または21内に延在する。移行セクション76の移行表面79は、導管表面15または25をスプーン状セクション71の内側表面75に接続するために、それぞれの開放導管11または21の移行表面に対応するように設計され得る。
【0055】
第1の所定位置および第2の所定位置に加えて、弁部材7は、第1および第2の定義済みの位置の間の1つ以上の中間位置に配置されるように、ハウジング3内に位置してもよい。中間位置において、弁部材7は、排気ガス流および音を、入口5から第1の出口10および第2の出口20の両方に誘導する。中間位置において、弁部材は、第1の導管11および/または第2の導管21を部分的に覆ってもよい。導管11および21を部分的に開放することにより、弁部材7は、排気ガスが部分的に第1の導管11および部分的に第2の導管21を流れることを可能にし得る。入口5を通る排気ガス流に対する第1の出口10を通る排気ガス流の比は、第1の定義済みの位置に対する現在の中間位置の回転距離に依存する。たとえば、第1の所定位置において、弁部材7は、第1の所定位置から0°回転し、これにより、第1の導管11を完全に開放したままにし、排気ガスの100%を入口5から第1の出口10に誘導する。反対に、第2の所定位置では、図示されるような弁番号は、排気ガスの100%が入口5から第2の出口20に流れるように、第1の導管11を完全に閉鎖するために第1の所定位置から180°回転させられる。排気ガスの0%が、入口5から第1の出口10に流れることになる。上述のように、弁部材7とハウジング3との間に小さな間隙35が設けられてもよく、これは100%または0%の貫流からのわずかな逸脱を引き起こす可能性がある。これらのわずかな逸脱は、通常、重要ではないと見なされてもよく、本出願の主題の問題では、「完全に開放」および「完全に閉鎖」という用語は、小さな間隙35が存在し得る弁1に関係すると理解される。
【0056】
入口から第2の導管21を通じて第2の出口20への流れの比は、第1の所定位置からの弁7の回転距離に比例すると推定され得ることが示されている。
【0057】
特に
図1bおよび
図1cを参照すると、弁部材7、および具体的にはそのリングセクション73は、同心円状に配置されてもよく、または入口5と同軸であってもよい。弁部材7の上流端は、リングセクション73によって実現され得るように、入口5の内径D
5に対応する同一の内径D
7を有することができる。これにより、排気ガスが流れる断面のいかなる変化も回避する。
【0058】
弁部材7は、スプーン状セクション71、ならびに上流軸受と係合するためのシャフトセクション77および/またはリングセクション73を形成する、1つの一体部材からなってもよい。移行セクション76および/またはショルダ78はまた、一体のワンピース弁部材7の一部であってもよい。一体のワンピース弁部材は、3D印刷プロセスで製造され得る。
【0059】
図4は、排気ガス流および音制御弁1を備える排気ガスシステム100の第1の実施形態を示す。エンジンからの排気ガス流cは、入口の上流点で排気ガスシステム100に入る。排気ガスシステム100内を流れた後、流れc’は、排気ガスシステムを離れる。排気ガスシステム100の上流および/または下流には、さらなる構成要素、たとえば気筒の列からの、たとえば排気ガスの部分ストリームを分割または合流させるための1つ以上の結合部、触媒、1つ以上のマフラーなどのような排気ガス浄化装置などが配置されてもよい(さらに詳細には図示せず)。
図4に示される排気ガスシステム100の下流には、大気への少なくとも1つの出口が設けられている。
【0060】
排気ガスシステム100内では、排気ガスの流入流cは、1つの中央入口から右排気管13、左排気管23のいずれかに、または部分的に右排気管13および左排気管23の両方を通じて、配向され得る。左および/または右排気管13、23内への流入排気ガスストリームcの誘導は、弁1によって行われる。弁1は、右排気管13内への弁1の第1の導管11を通るストリームc11に、完全にまたは部分的に流入流cを再配向することができる。弁1は、左排気ガス管23内への左導管21を通るストリームc21に、完全にまたは部分的に排気ガスの流入ストリームを再配向することができる。上述のように、第1および/または第2の導管11、21を通り、結果的に右または左排気管13、23を通る流れの比は、弁1のハウジング3内に弁部材7を位置決めすることによって制御され得る。「左」および「右」という用語は、理解しやすくするために図と併せて使用されることが明らかである。弁1および排気ガスシステム100は、本質的に鏡面対称に設計され得るので、「左」および「右」という用語は交換可能に使用され得る。理解しやすさのために、「右」および「左」という用語は、請求項で使用される「第1」および「第2」という用語と交換可能であると理解されるべきである。「第1」および「第2」の導管、管、開口部などが、1つの弁またはシステムの別個の構成要素を指すことは、明らかである。言い換えると、「第1」および「第2」という用語の使用は、記載されるように、少なくとも2つ以上の構成要素の存在を暗示する。
【0061】
図4に示される実施形態では、右排気管13には、音響要素41が設けられている。音響要素は、共鳴器、膨張チャンバ、ヘルムホルツ共鳴器、マフラー、吸収型マフラーなどであってもよい。一般に、音響要素41、43、45、または47は、内燃エンジンからの放音を修正、特に増幅および/または減衰するための、排気ガスシステムの任意の構成要素であると理解される。音響要素は、異なる第2の周波数帯域の放音とは異なるように、第1の周波数帯域内の音響放射を修正するように設計されてもよい。たとえば、音響要素は、第1の周波数帯域の放音を増幅し、第2の周波数帯域の放音を減衰するように設計されてもよい。
【0062】
図4に示される排気システム100の実施形態では、左排気管23は、音響要素内に設けられていないパイプからなる。あるいは、第2または左排気管23にも音響要素(図示せず)が設けられてもよいことは、明らかである。
【0063】
流入流cを、第1の導管13を通じて第1の流れc11に、および第2の管23を通じて第2の流れc21に分割する弁1の下流には、第1の流れc11および第2の流れc21が再合流して排気システム出口管51で合流した流れc’になる、統合結合部50が配置されている。排気システム出口管51には、追加の共通音響要素が配置されてもよい(詳細には図示せず)。統合結合部50と連結した左および右の管13、23は、弁1と結合部50との間の第2の管23のパイプとは長さが異なるように第1の管13のパイプを設計することにより、音響要素を形成するように設計されてもよい。第1の管13および第2の管23の長さの差は、音を修正するための負および/または正の干渉効果を実現するために、内燃エンジンからの放音の所定の周波数に対応して設計されてもよい。結合部50と連結した第1および第2の管13および23が音響要素を形成するように設計されている場合、個々の管13および23には追加の音響要素が設けられても設けられなくてもよい。
【0064】
図5に示される排気ガスシステム200は、2つの異なる流入ストリームa、bを受け取る。好ましくは、排気ガスの第1のストリームaは専ら第1の気筒群からもたらされ、第2のストリームbは専ら内燃エンジンの第2の気筒群からもたらされる。これに関して、参照によりその全体が本出願に組み込まれる、本出願人の欧州特許出願第3141720号明細書、特に段落[0002]、[0007]、[0008]、[0026]、[0043]、[0044]、および[0108]を参照されたい。排気システム200は、第1の流入流aのための第1の排気ガス流および音制御弁1aと、第2のストリームbのための第2の弁1bとを備える。弁1aおよび1bの各々は、バイパス排気ストリームa
21、b
23をそれぞれの流入してくる他方のストリームbまたはaからの排気ガスと混合して、または好ましくは混合せずに、場合により排気ガス処理構成要素または音響要素(さらに詳細には図示せず)を通じて流れa
21、b
21を大気に排出するために、それぞれのバイパスライン23a、23bにつながるそれぞれの第2の出口20を有している。
【0065】
第1および第2の弁1a、1bの各々は、それぞれの第1の管13a、13bに接続されたそれぞれの第1の出口10を有し、管13a、13bは両方とも単一の共通音響要素43につながっている。共通音響要素43では、流入ストリームaおよびbの両方とともに移動する音響放射が修正され得る。共通音響要素43は、上述の音響要素の群から選択され得る。さらに、共通音響要素43は、参照によりその全体が組み込まれる欧州特許出願公開第3118429号明細書に記載されるような共通の排気ガス浄化および/または消音装置として実現されてもよく、本発明による弁は、遮断装置(欧州特許出願公開第3118429号明細書の参照番号43、45)の代わりに共通の排気ガス浄化および/または消音装置の上流で使用されることが明らかである。
【0066】
共通音響要素43は、排気ガスの1つ以上の混合された可能性のあるストリームab、baを直接または間接的に外気に向けて誘導するための、1つ以上の出口導管44a、44bを有する。
【0067】
図5に示される排気ガスシステム200の実施形態では、第1および第2の弁1a、1bは、等しく、排他的に、異なるように、または独立して制御され得る。それぞれ第1のストリームa
11、b
11および/または第2のストリームa
21、b
21内への排気ガスの流入ストリームa、bの誘導および/または分割。各弁1a、1bは、上述のように、弁のハウジング3内に弁部材7を位置決めすることによって制御され得る。1つのみの弁1aまたは1b、もしくは両方の弁1aおよび1bは、それぞれの第2の導管21を通じてバイパスライン23a、23bに排他的に排気ガスを誘導するように設計され得る。1つのみの弁1aまたは1b、もしくは両方の弁1aおよび1bは、それぞれの第1の導管11を通じて共通音響要素43に排他的に流入排気ガスaおよび/またはbを誘導するように制御され得る。1つのみの弁1aまたは1b、もしくは両方の弁1aおよび1bは、それぞれの第1のストリームa
11および/またはb
11に、ならびにそれぞれの第2のストリームa
21および/またはb
21に分割されるように、流入排気ガスaおよび/またはbを誘導するように制御され得る。それぞれの第1および第2の弁1aおよび1bは、エンジン設定、性能設定、および/または所望の音出力設定に応じて、音響放射、エンジン性能、および/または浄化性能の所望の修正のために内燃エンジンから排気ガスシステムを通じて排気ガスを誘導するように制御されることが可能である。
【0068】
排気システム300のさらなる実施形態が、
図6に示されている。
図6の排気システム300は、出口導管44aおよび44bが、共通音響要素43から、バイパス管23aおよび23bを通って流れる排気ガスと合流するように排気ガスを誘導するように配置されている点において、
図5の排気システム200とは異なる。右の排気バイパスライン23および右の出口導管44aは、結合部50aで合流し、ここで排気ガスストリームa
21は、混合出口ストリームab’を実現するために共通音響要素43から出る排気ガスストリームと合流してもよい。左の管部分を有する設計は、第2のバイパスライン23へのストリームb
21が、別の混合排気ガスストリームba’を実現するために共通音響要素43から左の結合部50b内の左の出口導管44bを通って到達する排気ガスストリームと合流するように、本質的に鏡面対称であってもよい。
【0069】
図4または
図6の排気システム100または300の実施形態に関連して記載された結合部50、50a、50bが使用される場合、これをエコーチャンバまたは共鳴チャンバとして使用することによって結合部50、50a、または50bの上流のラインの1つに流入ストリームが供給されなかったとしても、音響修正は実現され得る。
【0070】
図7は、排気ガスシステム400の別の実施形態を示す。排気ガスシステム400は、より大きな排気ガスシステム、たとえば上述のような排気ガスシステム100、200、または300内のサブアセンブリであってもよい。排気ガスシステム400は、エンジンから直接または間接的に排気ガスのストリームdを受け取る主ライン55を備える。主ライン55は、大気に向けて直接または間接的に排気ガスd’のストリームを排出する。主ライン55は、上述のような右または左排気管13、13a、13b、23、23a、および/または23bであると理解されることが可能である。代替的または追加的に、主ライン55は、弁1、1aおよび/または1bおよび/またはバイパスライン23aおよび/または23b、および/または出口導管44aおよび/または44b、および/または共通の出口ライン54、54a、および/または54bの上流のラインとして理解されることが可能である。
【0071】
図7に示される排気ガスシステム400では、行き止まり側管5’は、主管55に接続されている。主管55から行き止まり側管5’に入る排気ガスは、行き止まり側管5’から直接大気に出ることはできず、直接または間接的に大気に出られるようになる前に、主管55に再度入らなくてはならない。排気ガスシステム400では、排気ガス流および音制御弁1は、行き止まり側管5’内に配置されている。弁10の出口10、20の各々は、1つのそれぞれの行き止まり音響要素45、47に接続されている。行き止まり音響要素45、47は、上述の行き止まり音響要素の群から選択され得る。好ましくは、第1の行き止まり音響要素45および第2の行き止まり音響要素47は、異なる音響修正を実現する。たとえば、第1の行き止まり音響要素45は放音を増幅するように設計され、第2の行き止まり音響要素47は放音を減衰するように設計されてもよい。代替的または追加的に、第1の行き止まり音響要素45は第1の周波数帯域の放音を増幅し、第2の行き止まり音響要素47は第2の周波数帯域の放音を増幅するように設計されてもよい。行き止まり音響要素45、47に入った任意の排気ガスは、好ましくは上述の弁1を通るそれぞれの行き止まり音響要素45、47からの排気ガス流を反転させることにより、主ライン55を介して大気に排他的に開放されることが可能である。弁1は、行き止まり側管5’から到達する排気ガスのストリームを、第1のストリームd
11および第2のストリームd
21に分割するように制御され得る。弁1の制御および可能な設定は、上述のものに対応する。
【0072】
上記の説明、図面、および請求項で開示された特徴は、その異なる実施形態において個別の、ならびに任意の組合せでの本発明の実現にとって重要であり得る。
【符号の説明】
【0073】
1、1a、1b 制御弁
3 ハウジング
5 入口
5a 右排気管
5b 左排気管
5’ 行き止まり側管
7 弁部材
8 アクチュエータ
10 第1の出口
11 第1の導管
13、13a、13b 第1の管
15、25 導管表面
20 第2の出口
21 第2の導管
23、23a、23b 第2の管
31 ラジアル軸受
32 摺動ブッシング
35 間隙
37 中心アキシアル軸受
41、43、45、47 音響要素
44a、44b 出口導管
50、50a、50b 結合部
51 出口管
54、54a、54b 出口ライン
55 主ライン
71 スプーン状セクション
73 リングセクション
74 外面
75 内側表面
76 移行セクション
77 シャフトセクション
78 ショルダ
79 移行表面
100、200、300、400 排気ガスシステム
α1、α2 角度オフセット
β 周方向延在部
Av 弁軸
A5、A10、A20 中心線
a、b 流入流
a21、b21、a23、b23 排出流
ab、ba、ab’、ba’ 混合流
c、c’、c11、c21 排気ガス流
d、d11、d21 排気ガス流
D5、D7 内径
Q 流れ領域
R7、R10、R20 曲率半径