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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】車両の内部の温度を測定するための装置
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/14 20210101AFI20240610BHJP
【FI】
G01K1/14 L
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021537482
(86)(22)【出願日】2019-07-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 EP2019070591
(87)【国際公開番号】W WO2020052857
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】102018122164.9
(32)【優先日】2018-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508066083
【氏名又は名称】ベーア-ヘラー サーモコントロール ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(72)【発明者】
【氏名】クライネ-ホレンホルスト,ホルガー
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-325210(JP,A)
【文献】特表2013-525774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内部の温度を測定するための装置であって、
内部に接する被覆素子(22)の裏面で受容器(20)に挿入されるプラグイン筐体(12)を備え、
上記受容器(20)が受容空間(28)を有し、上記被覆素子(22)が上記受容空間(28)内に貫通孔を有し、上記プラグイン筐体(12)が上記受容器(20)に挿入されるプラグイン端部(16)を有し、
上記受容空間(28)に挿入された上記プラグイン筐体(12)の上記プラグイン端部(16)において、上記プラグイン筐体(12)を上記受容器(20)に固定接続するための固定器(58)と、
上記プラグイン筐体(12)の上記プラグイン端部(16)上及び/又は上記プラグイン端部(16)内に配置された内部温度センサ(36)とをさらに備え、
上記内部温度センサ(36)が、上記プラグイン筐体(12)の上記プラグイン端部(16)より突出しており、
上記プラグイン筐体(12)の上記プラグイン端部(16)が、上記受容器(20)に固定される際に上記受容空間(28)に挿入され、上記内部温度センサ(36)が上記被覆素子(22)の貫通孔に配置されているとき、上記プラグイン筐体(12)を規定のプラグイン位置に収める目的で、上記被覆素子(22)から離れて、上記プラグイン筐体(12)にバイアスをかけるためのバイアス器(18)をさらに備え、
上記プラグイン筐体(12)に配置され、上記プラグイン筐体(12)の上記プラグイン端部(16)に対向する前端部を備える回路基板(30)を有し、上記回路基板(30)が、少なくとも部分的に上記前端部より突出する上記内部温度センサ(36)及び適宜その他の部材を支持し、上記回路基板(30)が伝導路を有し、上記プラグイン筐体(12)が、上記プラグイン端部(16)において、上記内部温度センサ(36)が貫通し上記プラグイン筐体(12)の上記プラグイン端部(16)より突出する貫通孔を有し、
上記プラグイン筐体(12)が、上記プラグイン端部(16)に対向しない後端部において、電気接続用のプラグを受容するための閉鎖要素を有し、上記閉鎖要素が、上記プラグイン筐体(12)の上記プラグイン端部(16)の方向に、上記回路基板(30)にバイアスをかけるためのバイアス器(82)を有することを特徴とする装置。
【請求項2】
上記閉鎖要素が、プラグケージ(46)であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
上記閉鎖要素の上記バイアス器(82)が、上記回路基板(30)の上記後端部(84)に弾性的に当接するための少なくとも1つのばね舌片(80)を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の装置。
【請求項4】
上記バイアス器(18)が、上記受容器(20)及び/又は上記プラグイン筐体(12)に配置されており、少なくとも1つのばね素子(68)を有し、上記ばね素子(68)が、上記受容器(20)に当接すると、上記受容器(20)の受容空間(28)への上記プラグイン筐体(12)の上記プラグイン端部(16)のプラグイン深さを規定するため、上記プラグイン筐体(12)に押圧をかけることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
上記少なくとも1つのばね素子(68)が、らせん圧縮ばね又はヨークスプリング又は板ばね又はばね舌片又は弾性的に圧縮可能な素子又は可逆的に弾性変形可能な素子として構成されていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
上記バイアス器(18)が、上記プラグイン筐体(12)の上記プラグイン端部(16)で上記内部温度センサ(36)の両側に配置された、上記貫通孔の両側で上記被覆素子(22)に弾性的に当接するための2つのばね素子を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
上記ばね素子(68)の各々が、凸面及び凹面(70)を有する湾曲したばねクリップ(66)として構成されており、上記被覆素子(22)に弾性的に当接する際及び上記プラグイン筐体(12)が上記受容器(20)に固定される際、上記ばねクリップ(66)が、上記凹面を上記被覆素子(22)に向けて配置されていることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
上記受容器(20)が、上記被覆素子(22)から突出する連続又は非連続のカラー(26)を有し、上記カラー(26)が、上記被覆素子(22)とともに、上記受容器(20)の上記受容空間(28)を規定することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
上記プラグイン筐体(12)と、上記固定器と、上記受容器(20)と、上記バイアス器(18)とが、プラスチック材料からなる又はプラスチック材料を有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
上記内部温度センサ(36)が、センサ筐体(34)に配置されている又はセンサ筐体(34)の材料に埋め込まれており、上記センサ筐体(34)が、少なくとも部分的に、上記プラグイン筐体(12)の上記プラグイン端部(16)より突出していることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
上記センサ筐体(34)が、内部に接する前壁を有し、上記内部温度センサ(36)が、上記センサ筐体(34)の上記前壁に熱的に連結されていること、及び/又は、上記内部温度センサ(36)により検出され、上記センサ筐体(34)に当たる放射に起因する上記センサ筐体(34)の加熱を補償するため、太陽放射を受け取るための放射センサ(38)が設けられていること、及び/又は、上記プラグイン筐体(12)及び/又は上記センサ筐体(34)の寄生加熱を検出するための第2の温度センサ(39)が、上記内部温度センサ(36)による温度検出への上記寄生加熱の影響を補償する目的で、上記プラグイン筐体(12)に配置されていることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
上記固定器(58)が、プラグイン方向(14)に対し角度のある協働する少なくとも1対の固定面を有し、上記固定面の一方が上記プラグイン筐体(12)に配置され、上記固定面の他方が上記受容器(20)に配置されており、上記プラグイン筐体(12)が、上記受容器(20)への挿入時に上記固定面の一方が上記固定面の他方を通過した後、バイアス力又はさらなるバイアス力が上記バイアス器(18)により生成されている状態で、上記被覆素子(22)により遮断されるまで、さらに上記プラグイン方向(14)に前進可能であり、上記プラグイン筐体(12)の上記固定面が上記受容器(20)の上記固定面に当接するまで、上記バイアス器(18)のバイアス力により自動的に後退可能であることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
上記固定器(58)の上記固定面が、上記プラグイン方向(14)に対し直角に延伸すること、及び/又は、上記固定面の一方が、上記プラグイン筐体(12)の上記プラグイン端部(16)に配置され、上記固定面の他方が、上記受容器(20)の上記受容空間(28)を少なくとも規定し上記被覆素子(22)から突出するカラー(26)に配置されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の内部の温度を測定するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両における内部温度の自動調節には、車両内部の実際の温度の検出もしくは内部温度の実際の値を示す測定変数が必要となる。実際の値は、車両内部温度用の所定の目標値と比較される。2つの値のずれが、調節器により調整される。
【0003】
車両内部温度は、内部温度センサにより検出することができ、内部温度センサには、換気装置(換気モータ)により車両の内部から吸い込まれ内部温度センサを通過する気流が当たる。しかし、このような所謂、換気型内部温度センサは、かなり以前から「非換気型」内部温度検出システムに置き換えられている。非換気型内部温度センサは、典型的には、車両内部に熱的に十分に連結されているセンサ筐体に配置されている。非換気型内部温度センサの例は、独国特許発明第10049979号明細書、独国特許出願公告第10312077号明細書、独国特許出願公開第102007008744号明細書、独国特許出願公告第102008064011号明細書、独国特許出願公開第102010015657号明細書、独国特許出願公開第102016010455号明細書、独国実用新案第202004002427号明細書、欧州特許第1457365号明細書及び米国特許出願公開第2006/0022844号明細書に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】独国特許発明第10049979号明細書
【文献】独国特許出願公告第10312077号明細書
【文献】独国特許出願公開第102007008744号明細書
【文献】独国特許出願公告第102008064011号明細書
【文献】独国特許出願公開第102010015657号明細書
【文献】独国特許出願公開第102016010455号明細書
【文献】独国実用新案第202004002427号明細書
【文献】欧州特許第1457365号明細書
【文献】米国特許出願公開第2006/0022844号明細書
【0005】
自動車産業における部材もしくは部品の組み立ての際、これらの部材もしくは部品を、クリップ構造もしくは留め金構造又は固定構造により取り付けることが望ましい。しかし、部品公差に起因して、クリップもしくは留め金で留められた状態又は固定状態において、望ましくない位置ずれが生じることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、取り付けられた状態において固定されており、設置位置が公差にほぼ関係なく規定されている、車両の内部の温度を測定するための装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明により提案されるのは、車両の内部の温度を測定するための装置であって、
内部に接する被覆素子の裏面で受容器に挿入されるプラグイン筐体を備え、
上記受容器が受容空間を有し、上記被覆素子が上記受容空間に貫通孔を有し、上記プラグイン筐体が上記受容器に挿入されるプラグイン端部を有し、
上記受容空間に挿入された上記プラグイン筐体の上記プラグイン端部において、上記プラグイン筐体を上記受容器に固定接続するための固定器と、
上記プラグイン筐体の上記プラグイン端部上及び/又は上記プラグイン端部内に配置された内部温度センサとをさらに備え、
上記内部温度センサが、上記プラグイン筐体の上記プラグイン端部より突出しており、
上記プラグイン筐体の上記プラグイン端部が、上記受容器に固定される際に上記受容空間に挿入され上記内部温度センサが上記被覆素子の貫通孔に配置されているとき、上記プラグイン筐体を規定のプラグイン位置に収める目的で、上記被覆素子から離れて、上記プラグイン筐体にバイアスをかけるためのバイアス器をさらに備える。
【0008】
本発明に係る装置は、内部に接する被覆素子の裏面で受容器に挿入されるプラグイン筐体を備える。被覆素子は、例えば、車両の計器盤の一部又はセンターコンソールの一部又は所謂ルーフノードの一部とすればよい。被覆素子の裏面には、受容器の受容空間が存在し、受容空間から被覆素子の貫通孔がその前面に向かって延伸している。プラグイン筐体は、プラグイン方向に受容器に挿入されることで受容器に受容されるプラグイン端部を有する。プラグイン筐体及び受容器は、互いに固定接続可能である。この目的のため、本発明に係る装置は、例えば、固定突起及び固定凹部を備える固定器を有し、これらの協働する固定器の2つの部品の少なくとも一方が、弾性的に構成されている。
【0009】
プラグイン筐体のプラグイン端部上及び/又はプラグイン端部内に、プラグイン筐体のプラグイン端部と一致する又はプラグイン筐体のプラグイン端部より突出する内部温度センサが設けられている。
【0010】
本発明によれば、プラグイン筐体もしくはそのプラグイン端部に、又は受容器もしくは被覆素子に、又は上記部品のそれぞれに、バイアス器又はバイアス器の一部が設けられており、プラグイン筐体のプラグイン端部が受容器に受容されプラグイン筐体が受容器に固定されているとき、被覆素子から離れた状態でプラグイン筐体にバイアス器からのバイアスがかかる。この状態において、内部温度センサは、被覆素子の貫通孔内にあり、これにより内部もしくは内部の風量に熱的に連結されている。
【0011】
互いにブロックし対応する固定面又は固定エッジ等の固定手段が、互いに当接することで受容器におけるプラグイン筐体のプラグイン位置を規定するように、バイアス器は、プラグイン方向(組立方向)と逆方向にプラグイン筐体にバイアスをかける。
【0012】
バイアス器によって、内部温度センサを有するプラグイン筐体のプラグイン端部の位置が明確に規定される。また、特に、バイアス器によって、プラグイン筐体が組み立て状態において、隙間を有して、すなわち「緩く」受容器に受容されることが防止される。
【0013】
本発明の有用な態様において、上記バイアス器が、上記受容器及び/又は上記プラグイン筐体に配置されており、少なくとも1つのばね素子を有し、上記ばね素子が、上記受容器に当接すると、上記受容器の受容空間への上記プラグイン筐体の上記プラグイン端部のプラグイン深さを規定するため、上記プラグイン筐体に押圧をかける。
【0014】
バイアス器は、様々に構成することができる。いずれの場合も、バイアス器は、例えば、らせん圧縮ばね又はヨークスプリング又は板ばね又はばね舌片又は弾性的に圧縮可能な素子又は可逆的に弾性変形可能な素子として構成できる少なくとも1つの復元可能なバイアス素子もしくはばね素子を有する。
【0015】
本発明の好適な態様において、上記バイアス器が、上記プラグイン筐体の上記プラグイン端部で上記内部温度センサの両側に配置された、上記貫通孔の両側で上記被覆素子に弾性的に当接するための2つのばね素子を有する。ばね素子を内部温度センサの両側及び被覆素子の貫通孔の両側に配置することで、受容器の受容空間におけるプラグイン筐体のプラグイン端部の位置が傾くことなく定まる。別の次元での傾き(例えば、このように規定された座標システムのZ方向が、プラグイン方向の軸を規定する場合、X面及びY面における傾き)をさらに抑えるため、好適には、それぞれ内部温度センサの両側に配置された2対のばね素子を有し、2対のばね素子が互いに90度ずれて配置されている。
【0016】
また、本発明の好適な態様において、上記ばね素子の各々が、凸面及び凹面を有する湾曲したばねクリップとして構成されており、上記被覆素子に弾性的に当接する際及び上記プラグイン筐体が上記受容器に固定される際、上記ばねクリップが、上記凹面を上記被覆素子に向けて配置されていてもよい。既に上で述べたように、上記のように規定されたばね素子は、被覆素子の内面(裏面)及び/又はプラグイン筐体のプラグイン端部に配置することができる。
【0017】
本発明の別の態様において、受容器の受容空間が、この受容空間と車両の内部とを仕切る(受容空間を車両の内部に接続する貫通孔を除く)被覆素子の他に、さらに被覆素子の裏面から突出する連続又は非連続のカラーにより構成されていてもよい。このカラーは、プラグイン筐体が受容器に固定されているとき、プラグイン筐体のプラグイン端部を囲む。
【0018】
プラグイン筐体、固定器、受容器及びバイアス器の材料として、プラスチック材料が好適であるとわかったため、本発明に係る装置の上述の素子もしくは部品は、この材料からなる又はこの材料を有する。
【0019】
本発明の別の有用な態様において、内部温度センサが、センサ筐体内に配置されている又はセンサ筐体の材料に埋め込まれており、センサ筐体が、少なくとも部分的に、プラグイン筐体のプラグイン端部より突出している。
【0020】
上記センサ筐体は、内部に接する前壁を有し、内部温度センサが、センサ筐体の前壁に熱的に連結されている。ここで、特にセンサ筐体において、内部温度により検出される、センサ筐体に当たる放射に起因するセンサ筐体の加熱を補償するため、特に太陽放射を受け取るための放射センサが(例えば、光学フィルタを有する又は有さないフォトダイオードとして)設けられていてもよい。また、このとき、プラグイン筐体において、プラグイン筐体及び/又はセンサ筐体の寄生加熱を検出するための第2の温度センサが、内部温度センサによる温度検出への上記寄生加熱の影響を補償する目的で、配置されていてもよい。
【0021】
内部温度センサ並びに場合によっては放射センサ及び第2の温度センサ等の既存の電気部品もしくは電子部品の他に、本発明に係る装置は、典型的には、測定信号の処理を行うさらに別の電気部材もしくは電子部材を有する。これらの部品もしくは部材は、典型的には、プラグイン筐体内の回路基板上に配置されており、回路基板はプラグイン筐体のプラグイン端部に対向する前端部を有し、プラグイン筐体はプラグイン端部に貫通孔を有し、内部温度センサが貫通孔を貫通してプラグイン筐体のプラグイン端部より突出している。
【0022】
既に上で述べたように、本発明によれば、バイアス器は、受容器に固定される際のプラグイン筐体を規定の位置に収めることに寄与する。本発明の典型的かつ好適な態様において、上記固定器が、上記プラグイン方向に対し角度のある、特に直角の協働する少なくとも1対の固定面を有し、上記固定面の一方が、上記プラグイン筐体、特に上記プラグイン筐体の上記プラグイン端部に配置されており、上記固定面の他方が、上記受容器、特に上記受容器の上記受容空間を少なくとも規定し上記被覆素子から突出するカラーに配置されており、上記プラグイン筐体が、上記受容器への挿入時に上記固定面の一方が上記固定面の他方を通過した後、バイアス力又はさらなるバイアス力が上記バイアス器により生成されている状態で、上記被覆素子により遮断されるまで、さらに上記プラグイン方向に前進可能であり、上記プラグイン筐体の上記固定面が上記受容器の上記固定面に当接するまで、上記バイアス器のバイアス力により自動的に後退可能である。
【0023】
また、装置の組み立て状態において内部温度センサを正確な位置に収めるため、プラグイン筐体が、プラグイン端部に対向しない後端部において、閉鎖要素、特に電気接続用のプラグを受容するためのプラグケージを有し、閉鎖要素が、プラグイン筐体のプラグイン端部の方向に回路基板にバイアスをかけるためのバイアス器を有していると好適であり、特に閉鎖要素のバイアス器が、回路基板の後端部に、弾性的に当接するための少なくとも1つのばね舌片を有していてもよい。これにより、プラグイン筐体に対する回路基板ひいては内部温度センサの位置及び受容器に対するこれらの位置が定まる。
【0024】
以下、図面を参照して実施形態により本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の実施形態に係る車両の内部の温度を測定するための装置の個々の部品を示す分解斜視図である。
図2図2は、図1に係る個々の部品を示す分解側面図である。
図3図3は、プラグイン端部に配置されたバイアス器と、回路基板と、回路基板用のバイアス器を有するプラグケージとを備える装置のプラグイン筐体を示す斜視図である。
図4図4は、プラグイン筐体が、(所定の位置にある状態で)固定器により規定されるプラグイン深さを超えて、被覆素子の受容器に挿入されている状態を示す斜視図である。
図5図5は、プラグイン筐体が、バイアス器に起因して、プラグイン方向と逆に、固定器により規定されるプラグイン深さまで後退している状態を示す図である。
図6-7】図6及び図7は、図5のVI-VI線及びVII-VII線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1及び図2は、車両の内部の温度を測定するための装置10の部品を示す斜視側面図である。装置10は、プラグイン方向14に前方のプラグイン端部16を有するプラグイン筐体12を有し、プラグイン端部16はバイアス器18を備え、プラグイン筐体12が被覆素子22の受容器20に挿入されているとき、バイアス器18が作動し、プラグイン方向14と逆方向にバイアス力を生成する。被覆素子22は、車両の内部の計器盤の一部又はセンターコンソールの一部又はルーフノードの一部としてもよいし、素子として上記部品に接続されていてもよい。つまり、被覆素子22の前面24が内部に接している。受容器20は、複数のスリットのある周縁のカラー26を有し、カラー26が、被覆素子22とともに、プラグイン筐体12のプラグイン端部16用の受容空間28を規定する。
【0027】
プラグイン筐体12に回路基板30が受容されており、回路基板30は、受容状態においてプラグイン端部16に対向する前端部32で、プラグイン端部16より突出するセンサ筐体34を有する。センサ筐体34は、例えば、プラスチック材料からなる。本実施形態において、センサ筐体34のプラスチック材料に、内部温度センサ36及び放射センサ38が埋め込まれている。回路基板30上には、さらに別の温度センサ39が配置されていてもよい。車両の内部の温度を示す値を得る目的で、これらすべてのセンサ及び検出器が協働することは、非換気型内部温度システムでは一般的に公知であるため、ここでは詳細に説明することはしない。回路基板30は、空調電子機器のコミュニケーションバスを介して内部温度を示すデータ/信号を供給するため、バスインターフェース(例えば、LIN又はCAN)等の別の電子機器を有していてもよい。
【0028】
回路基板30の前端部32より突出する内部温度センサ36が、プラグイン筐体12のプラグイン端部16で貫通孔40を貫通する(例えば、図3参照)。
【0029】
プラグイン筐体12内での回路基板30の位置決めは、例えば、プラグイン筐体12の側壁で受容スリット44に挿入されている側部の誘導突起42により実現することができる。本実施形態において、プラグイン端部16の反対側にあるプラグイン筐体12の後端部43は、プラグケージ46により封止されており、プラグケージ46を貫通して回路基板30の端子ピン48が延伸している。プラグケージ46は、例えば、プラグイン筐体12に固定接続されていてもよい(プラグイン筐体12の後端部43で固定凹部52に装入されている固定突起50参照)。プラグケージ46により受容されるプラグ(図示せず)における装置10の取り付け深さを小さくするため、プラグケージ46が屈曲していてもよい。
【0030】
特に図1及び図2からわかるように、受容器20は、カラー26において、それぞれ固定凹部56を区切る対向する2つの固定タブ54を有する。固定タブ54は、固定器58として、プラグイン筐体12のプラグイン端部16の対向する面にある固定フック60と協働する。これは、図4から図7に図示されている。
【0031】
受容器20の受容空間28にプラグイン端部16が挿入されると、受容空間28において、バイアス器18が被覆素子22の内面62に接する。受容空間28の内面62において、被覆素子22にはセンサ筐体34を受容し貫通させる貫通孔64が設けられており、センサ筐体34が、プラグイン筐体12のプラグイン端部16で、貫通孔40より突出している(図3参照)。本実施形態において、バイアス器18は、2つの湾曲したばねクリップ66として構成されており、ばねクリップ66によりバイアス器18のばね素子68が形成される。ばねクリップ66は、プラグイン方向14に湾曲しており、プラグイン方向14を向く凹面70を有する。これらのばねクリップ66は、被覆素子22に押し当たると伸長し、プラグイン方向14と逆方向にバイアス力を生成する。
【0032】
プラグイン端部16が受容器20に挿入されると、固定フック60が固定器58の固定タブ54を通過する。固定フック60は、プラグイン方向14に対し略直角の固定面72を有し、固定面72は、固定凹部56の被覆素子22に対向しない端部のエッジと協働する。つまり、固定凹部56のエッジは、受容器20において、固定フック60の固定面72と同様にプラグイン方向14に対し直角の固定面74を形成する。上述の固定面を直角に配置する代わりに、固定を強固にするためプラグイン方向14に対し鋭角として、バーブフックの原理に従って協働させてもよい。
【0033】
図4に、プラグイン筐体12が十分に受容器20に挿入されており、固定フック60が、被覆素子22に対向しない固定凹部56の後端部を通過している状態を示す。ばねクリップ66は引っ張られており(すなわち伸長しており)、そして、プラグイン筐体12が手作業での組み立て時に取り外される又は自動組み立て時に組立工具との係合がなくなると、プラグイン筐体12が自動的にプラグイン方向14と逆方向に後退する。その後、プラグイン筐体12は、自動的に図5の位置に収まる。この様子を図6の断面図に示す。固定器58の対応する固定面72,74が互いに当接することで、プラグイン筐体12のプラグイン深さ及びプラグイン位置が規定される。ここで、センサ筐体34は、上述の位置にある。
【0034】
図面からわかるように、プラグイン端部16は、側方リブ76を用いて受容器20に誘導されていてもよく、本実施形態において、リブ76は機械的コーディングに寄与することができる。これらの側方リブ76は、プラグイン筐体12のプラグイン端部16の両側で異なる高さに配置されており、受容器20のカラー26の受容スリット78に受容される。よって、組み立て時にプラグイン筐体12が、予期せず誤って、図示されている状態に対し180度回転した向き(つまり逆向き)になっていることが認識されることになり、組立誤差が低減される。
【0035】
プラグイン筐体12において、回路基板30が、回路基板30とプラグイン筐体12との当接面により規定される位置に収まり、プラグケージ46でバイアス器82のばね舌片80により支持され、バイアス器82は、回路基板30にかかるバイアスを生成しながら回路基板30の後端部84を押圧する。このとき、回路基板30の誘導突起42は、例えば、プラグイン筐体12の受容スリット44の前(閉)端部に当接する(図4及び図5参照)。受容スリット44において、プラグケージ46の側部の誘導突起86も誘導されていてもよい。したがって、回路基板30の前端部32より突出する内部温度センサ36と、放射センサ38とが、センサ筐体34内の既定の位置に配置されており、プラグイン筐体12の貫通孔64及び受容器20において、それぞれ装置10を機能させるための上述の位置に収まる。
【符号の説明】
【0036】
10 装置
12 プラグイン筐体
14 プラグイン方向
16 プラグイン端部
18 バイアス器
20 受容器
22 被覆素子
24 前面
26 カラー
28 受容空間
30 回路基板
32 回路基板の前端部
34 センサ筐体
36 内部温度センサ
38 放射センサ
39 温度センサ
40 貫通孔
42 回路基板の誘導突起
43 プラグイン筐体の後端部
44 受容スリット
46 プラグケージ
48 端子ピン
54 固定タブ
56 固定凹部
58 固定器
60 固定フック
62 内面
64 貫通孔
66 ばねクリップ
68 ばね素子
70 ばねクリップの凹面
72 プラグイン筐体/プラグイン端部の固定面
74 受容器の固定面
76 リブ
78 受容スリット
80 ばね舌片
82 プラグケージのバイアス器
84 回路基板の後端部
86 プラグケージの誘導突起

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7