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特許7500586真空チューブ輸送システムのチューブセクション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】真空チューブ輸送システムのチューブセクション
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/00 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
E21D11/00 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021548173
(86)(22)【出願日】2020-02-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 EP2020053450
(87)【国際公開番号】W WO2020169411
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2023-02-10
(31)【優先権主張番号】19157664.4
(32)【優先日】2019-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19190508.2
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505008419
【氏名又は名称】タタ、スティール、ネダーランド、テクノロジー、ベスローテン、フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】TATA STEEL NEDERLAND TECHNOLOGY BV
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100172557
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 啓靖
(72)【発明者】
【氏名】ニール、クリストファー、ワイマン
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04148260(US,A)
【文献】米国特許第04406150(US,A)
【文献】特開昭59-167078(JP,A)
【文献】特表2008-537709(JP,A)
【文献】特開昭54-038008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧下での適用に適したチューブ(1)を構築するための、長さLを有し、内接円の直径が少なくとも2mであるチューブセクション(2)であって、
前記チューブセクション(2)が、複数の長手方向のストリンガー(3)と、複数の環状セクション(4)と、曲率半径Rを有する複数の薄肉スキンセクション(5)であって、薄肉スキンセクション(5)の全長に沿って湾曲している薄肉スキンセクション(5)とを備え、
前記複数の長手方向のストリンガー(3)が、前記複数の環状セクション(4)の内面(4a)に接続されており、
前記複数の長手方向のストリンガー(3)が、実質的に等距離で、前記複数の環状セクション(4)に取り付けられており、これにより、前記複数の薄肉スキンセクション(5)を取り付けるための骨格フレームワーク(6)を形成しており、
前記複数の薄肉スキンセクション(5)の長端部が、前記複数の長手方向のストリンガー(3)に固定的かつ気密的に取り付けられており、
使用中に、前記複数の長手方向のストリンガー(3)間の前記複数の薄肉スキンセクション(5)に引張荷重がかかる、前記チューブセクション(2)。
【請求項2】
湾曲した前記複数の薄肉スキンセクション(5)の曲率半径Rの中心点Mが、前記チューブセクション(2)の外側に存在する、請求項1に記載のチューブセクション(2)。
【請求項3】
i)前記複数の長手方向のストリンガー(3)のうちの1個、2個以上又はすべてが中空である、及び/又は、ii)前記複数の環状セクション(4)のうちの1個、2個以上又はすべてが中空である、請求項1に記載のチューブセクション(2)。
【請求項4】
湾曲した前記複数の薄肉スキンセクション(5)に、前記複数の薄肉スキンセクション(5)の短端部に平行な追加の補強要素が設けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載のチューブセクション(2)。
【請求項5】
1/2 Lにおける前記複数の環状セクション(4)間の距離が、前記チューブセクション(2)の両端における前記複数の環状セクション(4)間の距離よりも、前記チューブセクション(2)の中央に向かって小さい、請求項1~4のいずれか一項に記載のチューブセクション(2)。
【請求項6】
前記複数の環状セクション(4)が、湾曲した形状を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のチューブセクション(2)。
【請求項7】
前記複数の環状セクション(4)のうちの1個、2個以上又はすべてが、少なくとも8辺を有する多角形である、請求項1~6のいずれか一項に記載のチューブセクション(2)。
【請求項8】
前記複数の長手方向のストリンガー(3)のうちの1個、2個以上又はすべてが、矩形チューブである、請求項1~7のいずれか一項に記載のチューブセクション(2)。
【請求項9】
前記複数の環状セクション(4)のうちの1個、2個以上又はすべてが、矩形チューブである、請求項1~8のいずれか一項に記載のチューブセクション(2)。
【請求項10】
前記複数の長手方向のストリンガー(3)又は前記複数の環状セクション(4)のうちの1個、2個以上又はすべてが、熱間圧延鋼ストリップから製造される、請求項1~9のいずれか一項に記載のチューブセクション(2)。
【請求項11】
前記複数の環状セクション(4)に沿った前記複数の長手方向のストリンガー(3)の数が素数である、請求項1~10のいずれか一項に記載のチューブセクション(2)。
【請求項12】
前記複数の薄肉スキンセクション(5)のうちの1個又は2個以上、但し3分の1未満が、平坦なスキンセクションである、請求項1~11のいずれか一項に記載のチューブセクション(2)。
【請求項13】
ソーラーパネルが、前記チューブセクション(2)の上部に設けられており、かつ、前記複数の長手方向のストリンガー(3)のうちの1個若しくは2個以上及び/又は前記複数の環状セクション(4)のうちの1個若しくは2個以上に固定されている、請求項1~12のいずれか一項に記載のチューブセクション(2)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の複数のチューブセクション(2)を備える真空チューブ輸送システムのチューブ(1)であって、前記チューブ(1)の外側の圧力が大気圧であり、前記チューブ(1)の内側の圧力が0.1バール未満である、前記チューブ(1)。
【請求項15】
2個又は3個以上の隣接チューブセクション(2)が伸縮継手によって接続されている、請求項14に記載のチューブ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧下での適用(underpressure application)に適したチューブを構築するための、内接円の直径が少なくとも2mであるチューブセクション(tube section)、及びそれから製造された真空チューブ輸送システムのチューブに関する。
【背景技術】
【0002】
加圧下での適用とは、チューブ内の圧力がチューブ外の圧力よりも低いことを意味する。したがって、チューブは外圧下にある。そのような加圧下での適用の1つは、真空チューブ輸送システム(ETT)におけるチューブである。ハイパーループは、乗客及び/又は貨物の輸送について提案されているETTの方法であり、テスラ及びスペースXからの合同チームによって公表されたオープンソースの真空チューブ列車(vactrain)のデザインを説明するために最初に使用された。ロバート・ゴダードの真空チューブ列車から多くを引用して、ハイパーループは、密閉された真空チューブ又は真空チューブシステムを備え、それを通ってポッドが、空気抵抗又は摩擦が低減された又はない状態で移動し、人々又は物体を高速及び高加速度で輸送する。2012年に、最初に公に言及された、そのコンセプトについてのイーロン・マスクのバージョンは、減圧チューブが組み込まれ、その減圧チューブ内で、加圧されたカプセルが、リニア誘導モーター及び空気圧縮機によって駆動される空気軸受に乗っている。チューブは、支柱(pylon)の上で地上を走るか、或いは、トンネル内で地下を走る。そのコンセプトは、現在の鉄道又は飛行機による移動よりもはるかに速い移動を可能にするであろう。理想的なハイパーループシステムは、現在の大量輸送の方法よりエネルギー効率が優れ、静かで、かつ、自律的である。
【0003】
車両が高速に迫る際に、摩擦及び空気抵抗の両方が大きくなり、その摩擦及び空気抵抗への対処の困難さによって、高速鉄道の発展は、歴史的に妨げられてきた。真空チューブ列車のコンセプトは、真空状態(空気のない)のチューブ又は真空状態に近づけたチューブ内で磁気浮上式鉄道車両を使用することにより、それらの障害を理論的に排除し、極めて高速を可能にしている。磁気浮上の原理は、US1020942に開示されている。しかしながら、磁気浮上の高コスト及び長距離にわたって真空を維持することの困難さによって、この種のシステムが今まで建設されることは妨げられてきた。ハイパーループは、真空チューブ列車システムに類似しているが、約1ミリバール(100Pa)の圧力において稼働し、したがって、US5950543において一般用語で開示されているように、真空チューブ輸送(ETT)システムとして説明可能である。
【0004】
ETTシステムは、すべての障害物を走行経路から移動させることによって、標準的な輸送手段に関連する多くの問題を解決する。走行する物体(この場合、カプセル)は、チューブ内に存在し、すなわち、意図される経路上に留まる。経路上に到達可能な障害物は存在しない。後続のカプセルが同一の加速及び減速を経る場合、多くのカプセルは、完全な安全性でチューブ内を同時に同一方向に走行することができる。加速及び減速の計画を立てて、カプセルが後続のカプセルに対して障害物となることを阻止する。カプセルの信頼性は非常に高く、これは、可動部品への最小限の依存又は可動部品に全く依存しないことによる。加速に必要なエネルギーのほとんどは、減速の間に回復される。
【0005】
ETTシステムの重要な要素の1つはチューブである。これらのチューブは、貨物又は乗客を含むポッドが通過可能にするために、大きな内径を必要とする。チューブ内の圧力は約100Paであるため、周囲の大気からの圧力であって、約1000倍高い約101kPaの圧力に耐え得る必要がある。地上のチューブは、(例えば、パイロンにより)支持されることが多いため、チューブはまた、曲がったり(bending)座屈したり(buckling)することなく、2個の支持体間のギャップにまたがることができる必要がある。ハイパーループアルファプロジェクトの完全な提案によると、圧力差、約30m離れて配置されたパイロン間の曲げ及び座屈、カプセルの重量及び加速度による負荷、並びに耐震性の考慮事項等を考慮して、荷重ケース(load case)に十分な強度を提供するには、乗客用チューブ(passenger tube)に20~23mmのチューブ肉厚が必要である。乗客及び車両用チューブ(passenger plus vehicle tube)の場合、より大きなチューブのチューブ肉厚は23~25mmになる。これらの計算は、内径3.30mを有するチューブを基準としている。しかしながら、計算によって、チューブ内を移動するポッドのサイズを大きくすることで、ETTシステムの経済性を大幅に改善可能であることも示されている。これらの大きくされたポッドサイズには、3.50~5.00メートル程度の内径が必要である。この直径のチューブが鋼プレート又は鋼ストリップから製造される場合、これには30mm程度の厚みが必要である。熱間圧延機はこの厚みの材料を供給できないため、このチューブはプレートから製造する必要がある。ETTシステムの提案された広範囲の使用及びチューブに対する好ましい材料としての鋼に関して、これはおよそ3000トン/km×20000km=60メガトンを必要とする。現在、EU28におけるプレートの総生産量は約10メガトン/年である。この生産能力の問題とは別に、プレートからチューブを製造するには、膨大な扱いにくい操作及び現場で(on-site)の成形、並びにプレートの溶接が必要であり、加えて、チューブは非常に重くなる。厚み30mmの鋼から作製された直径5mのチューブは3700kg/mの重量である。すなわち、10mのセグメントは37トンの重量である。Mi-26ヘリコプターの最大積載量は約22トンである。高架橋又はその他の制限を考慮すると、道路を介した輸送は実用的ではない。
【0006】
座屈(buckling)とは、構造の安定性の喪失を指す。座屈は、その最も単純な形態において、この安定性の喪失が材料の弾性域内で発生すると想定される材料強度には依存しない。圧縮荷重(compressive loading)下の細長い構造又は薄肉構造は、座屈の影響を受けやすい。したがって、チューブは、圧力差に耐えることができ、大きくたるむことなく30mにまたがることができるだけでなく、十分な座屈抵抗性(buckling resistance)を有することも必要である。より高強度の鋼を使用すると、機械的特性が向上し、それによって肉厚を薄くすることによる材料の節約につながるが、座屈抵抗性にはつながらない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、加圧下での適用のためのチューブを構築するためのチューブセクションであって、従来の方法で製造されたスパイラル溶接チューブセクション(spiral- welded tube section)よりも軽く、座屈の影響を受けにくいチューブセクションを提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、加圧下での適用のためのチューブを構築するためのチューブセクションであって、現場で製造可能なチューブセクションを提供することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、ETTシステム用のチューブを構築するためのチューブセクションであって、道路上を容易に輸送することができるチューブセクションを提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、ETTシステムに適したチューブであって、単一スキンチューブ(single skin tube)よりも少ない材料を使用するが、熱間圧延ストリップ鋼又は冷間圧延ストリップ鋼から従来の方法で製造可能である方法において許容可能な剛性に関して同様の座屈性能を提供するチューブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらの目的のうちの1又は2以上は、請求項1に記載のチューブセクションにより達成される。好ましい実施形態は、従属請求項において提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、厚み5mm、方形140×140mmの中空断面により製造された2個の長手方向のストリンガー(longitudinal stringer)を示す図である。
図2図2は、図1の長手方向のストリンガーと、11個の環状セクション(circumferential section)、この例では円形の環状セクションとを一緒に示す図である。
図3図3は、長手方向のストリンガーと環状セクションとによって形成されたチューブセクションの骨格フレームワーク(skeletal framework)を示す図である。
図4図4は、薄肉スキンセクション(thin walled skin-section)の例を示す図である。
図5図5は、図3の骨格フレームワークに固定された図4の薄肉スキンセクションを示す図である。
図6図6は、完成したチューブセクションを示す図である。
図7図7は、側面から見た完成したチューブセクションを示す図である。
図8図8は、3つの主要要素:長手方向のストリンガー(3)、環状セクション(4)及び薄肉スキンセクション(5)を強調して、チューブセクションの断面を示す図である。
図9図9は、中心点がチューブセクションの内側に存在する場合を示す図である。
図10図10は、多角形の環状セクションの例を示す図である。
図11図11は、地上適用における複数のチューブセクション(2)を備える真空チューブ輸送システムのチューブ(1)の一部を示す図である。
図12図12は、チューブ(1)が圧力差にさらされている状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の文脈において、「加圧下での適用に適した」とは、本発明による複数のチューブセクションを備える真空チューブ輸送システムのチューブにおいて使用される場合、チューブセクションが、チューブ又はチューブセクションの外圧である大気圧にさらされ、チューブ又はチューブセクションの内圧が0.1バール未満、好ましくは0.01バール(10ミリバール)未満、さらにより好ましくは5ミリバール未満、さらにより好ましくは2ミリバール未満、又は約1ミリバール(約100Pa)であることを意味する。不必要ではあるが、チューブセクションの構築中、それは加圧下の状態にないことに留意されたい。
【0014】
本発明は、完全なチューブに組み立てる前に、別個のチューブセクションを製造することを可能にする。完全なチューブは、熱間圧延ストリップ鋼及びチューブ状セクションの解決策を提供する。これは、大口径のチューブ(最小のハイパーループアルファのチューブ径である2.23mの内径以上)を製造することができるコンセプトである。この設計は、同等の単一ゲージ層のチューブ(single gauge walled tube)よりも少ない材料を使用するが、外圧下で同じ座屈性能を達成し、支持パイロン間の許容可能な垂直剛性を有する。
【0015】
ETTシステム用のチューブは、内部の真空に近い状態と、安定した真っ直ぐな支持構造とを維持する必要がある。これを促進する2つの重要な機能要件は、座屈に対する抵抗性及び垂直方向の剛性(すなわち、たるみ(sagging)に対する抵抗性)である。外圧下のチューブは、座屈しやすい場合があり、2つの状態において現れ得る。第1に、全体的な座屈破損(global buckling failure)が発生する可能性がある。この場合、通常、チューブの長さの半分の正弦波(half sine waves the length of the tube)で構成される形状で、チューブのミッドスパンにおいて最大変位を伴ってチューブセクションの全体が崩壊する。第2の起こり得る座屈破損のモード(buckling failure mode)は、チューブの小さなセクションが破損する局所的なモード(local mode)である。チューブの設計は、垂直剛性、全体的なモード(global mode)及び局所的なモードに対応しており、軽量設計を生成しながらそれぞれを調整可能である。
【0016】
設計は、概念的な骨格フレームと、スキンセクション(skin section)で作られたスキン(skin)とで構成される。骨格フレームは、本明細書でストリンガーとして説明される長手方向のセクションと、本明細書でリブ(rib)又はリングとして説明される環状セクションとで構成される。リング及びストリンガーは両方とも、標準的な方形又は矩形の中空チューブ又はセクションから製造可能である。これらのタイプのチューブは、一般に矩形中空断面(RHS)と呼ばれる。ストリンガーに対して独自のセクションを使用することにはいくつかの利点(例えば、スキンの位置を特定したり、溶接の準備を支援したりすること)があるが、標準的なチューブ、例えば、Tata SteelのCelsius(登録商標)系列を使用する方が費用効果は高くなる。スキンは、スキンセクションの全長に沿って真っ直ぐであり、スキンセクションの幅にわたって本質的に一定の円弧を有し、チューブセクションのストリンガーに取り付けられると、円弧の中央がチューブの中心点の方向に向かう。これは、外圧下では、スキンセクションに圧縮力ではなく、名目上、引張力がかかることを意味する。したがって、本発明の文脈における「使用中」という用語は、チューブセクションの外側と内側との間に圧力差があることを意味し、外側の大気圧は、チューブセクションの圧力よりも(はるかに)高い。図12にこれを模式的に示す。
【0017】
チューブ重量の半分以上がスキンに関連しており、スキンゲージ(skin gauge)は座屈性能に大きな影響を与える。スキンに主に引張力がかかるようにチューブを設計することにより、座屈(圧縮荷重に関連する現象)が生じにくくなる。凹面を大きくすると、垂直方向の剛性に対するスキンの寄与が減少する。ストリンガーセクションを増やすと、剛性及び質量が増加する。リングの位置をミッドスパンの方に偏らせて、全体的なモードに大きな影響を与えることができる。設計の一実施形態は、ストリンガー間に直線セクション又はリブを有し、その結果、リングは、11辺の多角形について図10に示されるように、n辺の多角形である。しかしながら、チューブ軸からリブの中央までの距離が短く(図10を参照)、全体的な座屈に対する抵抗性が小さいため、これは湾曲した環状リングほど効果的ではない。したがって、環状リングは、湾曲した形状、例えば、円形、卵形又は楕円形を有することが好ましい。
【0018】
チューブセクションの長さは固定されない。通常、長さは10~50mである。ハイパーループの概念研究では、30mの長さが実現可能であると想定している。このような長さは、空路、電車又は大型トラックで輸送可能である。ETTへの適用の場合、チューブセクションの内接円の直径は少なくとも3mであることが好ましい。この直径に対する適切な上限は5mであるが、これ自体は限定ではない。チューブセクションが十分に強くて硬い場合、特許請求される本発明の要旨から逸脱することなく、5mを超える直径が考えられる。また、チューブは必ずしも断面が円形である必要はない。チューブはまた、卵形又はその他の任意の適切な形状であり得る。
【0019】
ETTシステムのためのチューブに関する容積のため、中空チューブ及び熱間圧延ストリップからチューブを製造することを意図する。幅1600mmまでのストリップに設計を制限することにより、材料はほとんどの圧延機から調達可能である。これは、スキンセクションの最大スパンに影響する。スキンセクションを追加すると、追加のストリンガーが追加され、垂直方向の剛性が向上し得るが、組み立ての溶接長さが追加され、追加のコストが追加される。
【0020】
製造及び組み立てに関して、最初に骨格フレームを組み立て、次いで、スキンをそれに溶接することが想定されている。
【0021】
環状セクションは、熱間圧延チューブラインの終わりに追加のプロセスとして製造され得る。矩形中空断面(RHS)の製造中に、最後に追加される追加の工程は、チューブを曲げ、正しい直径の非常に浅いスパイラル状構造物にする。このスパイラル状構造物は、完全に1周して切断される。次いで、この1回転のスパイラル状構造物は、完全な円形リングを製造するために横方向の操作を少し必要とする。この方法により、この円形リングはリングに変わることによる固有の応力(built in stress)を最小限で有する。スキンは、ロール成形及び/又はトランスファープレスで製造可能である。スキンの長く真っ直ぐな途切れのない溶接は、ロボット溶接を容易にすることができる。
【0022】
薄肉スキンセクションは、スキンセクションが取り付けられている長手方向のストリンガーとともに、それらの長端部に沿って、好ましくは溶接によって、気密性の高いスキンを形成し、長手方向のストリンガーの補助により、外圧に抵抗する。薄肉スキンセクションが湾曲しているという事実は、チューブ内の圧力が外側よりも低い場合、スキンセクションに引張力がかかっていることを意味する。リブと組み合わせたこの薄肉構造は、全体的な座屈モードに抵抗するように機能する。スキンセクションは湾曲のために内側に突出しているため、チューブセクションにおける内接円の直径は、長手方向のストリンガー及び環状セクションによって形成される骨格フレームの内接円よりも小さい。
【0023】
本発明によるチューブセクションにより大幅な重量削減が達成される。フラットスパイラルの溶接ストリップ(flat spiral welded strip)と比較すると、同じ座屈強度が本発明によるチューブセクションによって得ることができる。本発明によるチューブセクションは、フラットスパイラルの溶接ストリップからの同等のチューブセクションに対して3分の1の重さである。
【0024】
本発明によるチューブセクションは、少なくとも直径2mの内接円を有する気密チューブを備える。これは、小径チューブ及び大径チューブ(最小のハイパーループアルファのチューブ径である2.23mの内径以上)を製造することができるコンセプトである。この設計は、同等の単一ゲージ層のチューブよりも少ない材料を使用するが、同じ外部圧力の座屈性能を達成し、支持パイロン間の許容可能な垂直剛性を有し、さらに、この設計は、その他の利点を有する。好ましくは、チューブセクションの内接円の直径、したがって、チューブセクションを組み合わせることによって製造されるチューブは、少なくとも2m、より好ましくは少なくとも3m、さらにより好ましくは少なくとも4mである。この直径に対する適切な上限は5mであるが、これ自体は限定ではない。チューブセクションが十分な強度及び剛性を有する場合、特許請求される本発明の要旨から逸脱することなく、5mを超える直径が考えられる。
【0025】
チューブセクションは、好ましくは、単一層の構成として製造される。薄肉スキンセクションは気密性を提供し、チューブ内の非常に低い圧力を維持する。チューブセクションは、環状セクションと長手方向のストリンガーとによって形成された骨格フレームワークに基づいて構築されている。環状セクションは輪(hoop)を形成し、長手方向のストリンガーはステーブ(stave)を形成する。ストリンガー間の空間は、薄肉スキンセクションにより閉じられている。座屈抵抗性を向上させ、スキンセクションを可能な限り薄く維持することを可能にするために、スキンセクションは、曲率半径Rで湾曲しており、薄肉スキンセクションの全長に沿って湾曲している。この放射状構造物は、例えば、ロール成形によって簡単に作製可能であり、これは現場で行うことができる。好ましくは、すべてのチューブセクションは長手方向に真っ直ぐであり、その結果、ストリンガー及び湾曲した薄肉スキンセクションは、長手方向に沿って同様に真っ直ぐである。曲率が非常に小さいため、チューブの真っ直ぐなチューブセクションを一緒に角度を付けることにより、チューブの湾曲を調整することができる。トラックは、チューブ自体の中で湾曲させることができる。より大きな曲率のために、例えば絶対的に必要な場合は、短い長さの真っ直ぐなチューブセクションを使用して、より大きな曲率を達成することができる。
【0026】
長手方向のストリンガーは、環状セクションの内面に接続されている。ストリンガーは、実質的に等距離で、環状セクションに取り付けられており、これにより、薄肉スキンセクションに取り付けるための骨格フレームワークを形成している。湾曲した薄肉スキンセクションの長端部は、長手方向のストリンガーに、好ましくは長手方向のストリンガーの内面に、固定的かつ気密的に取り付けられている。湾曲した薄肉スキンセクション(5)の曲率半径(R)の中心点(M)は、チューブセクションの外側に存在する。
【0027】
このようにして製造されたチューブセクションは、クレーン等により取り扱うのに十分な堅さを有し、パイロン又はその他の支持構造物に取り付けられる。骨格フレームワークはこの堅さを提供する。薄肉スキンセクションが気密性を提供する。
【0028】
一実施形態では、長手方向のストリンガーのうちの1個、2個以上又はすべてが、中空チューブである。これらは、円形のチューブ、卵形のチューブ又は多角形のチューブであり得る。しかしながら、長手方向のストリンガーは、長手方向のストリンガーと薄肉スキンセクションとの接続により適した平坦な端部を有するように、矩形チューブ又は方形チューブ、例えば、Tata SteelのCelsius(登録商標)系列であることが好ましい実施形態である。これらの矩形チューブはまた、いくらかの付加的な剛性も提供する。
【0029】
一実施形態では、環状セクション(4)のうちの1個、2個以上又はすべてが、中空の矩形チューブである。これらのチューブは十分な堅さを有し、座屈に対してより高い抵抗性を有する。好ましくは、長手方向のストリンガーは、長手方向のストリンガーとの接続により適した平坦な端部を有するように、矩形チューブ又は方形チューブ、例えば、Tata SteelのCelsius(登録商標)系列である。
【0030】
湾曲した薄肉スキンセクションは、それ自体に十分な強度を有することが好ましいが、別の実施形態では、その長手方向の端部に沿って長手方向のストリンガーに接続された後、曲率及び厚みの適切な組み合わせを選択することによって、追加の補強要素(7)が提供される。これらの追加の補強要素は、好ましくは、薄肉スキンセクションの短端部に平行であり、スキンセクションに固定された別個の要素からなり得、或いは、内向き又は外向きの陥入(intrusion)、例えば、ディンプル(dimple)等によってスキンセクション自体を補強することによって構成され得る。スキンにエンボス加工されたパターンは、局所的なパネルの座屈性能を向上させるのに役立つ。補強において、局所的な座屈に対抗する要素は、スキンセクションの表面内に陥入又は突出する補強材(intruding or protruding reinforcement)であってもよい。陥入するとは、ディンプルがチューブセクションの内径を局所的に減少させることを意味し、したがって、内向きのディンプルと呼ばれる。突出するとは、ディンプルがチューブセクションの内径を局所的に増加させることを意味し、したがって、外向きのディンプルと呼ばれる。ディンプルは、好ましくは陥入する補強材である。ディンプルの形状は特に限定的ではないが、ディンプルを規則的なパターンで提供することが有利である。この規則性により、ストリップに予測可能な挙動を提供する。ディンプルは、ロール成形又はロールプレス等の技術を使用して適用可能である。ディンプルの深さは、具体的なケースに合わせて調整可能である。
【0031】
その最も単純な形態において、環状セクションは、チューブセクションの長手方向セクションの全長に沿って等距離に配置されている。非限定的な例によると、長さ(L)が30mであるチューブセクションの全長に対して11個の環状セクションが使用される場合、すべての環状セクション間の距離は3mであり、両端に環状セクションがある。しかしながら、一実施形態において、環状セクション間の距離は、長手方向セクションに沿って変更する。好ましい実施形態において、環状セクション間の距離は、1/2 Lにおいて最小であり、両方の端部において最大である。チューブセクションの座屈抵抗性を最適化するために、環状セクション間の距離を変更する。
【0032】
両端における環状セクションは、骨格フレームワークにおけるその他の場所で使用される環状セクションと同じ環状セクションであってもよく、又はそれらは、2個の隣接チューブセクションを一緒に連結することを可能にする接続機能を備えた特定の環状セクションであってもよいことに留意されたい。例として、これらの特定の環状セクションは、その他の環状セクションの2倍の幅を有するリングを得るために一緒に溶接された2個の環状セクションを含んでもよく、或いは、接続機能は、例えば、温度変化の結果として長さの変化を可能にする伸縮継手(expansion joint)を含んでもよい。
【0033】
環状セクションの最も単純な形態は円形であるが、環状セクションはまた、卵形又は楕円形であってもよく、これは、2個のチューブが1個のチューブとして連続するために交わるスイッチに特に関連する場合がある。円形、卵形又は楕円形の環状セクションは、例えば、製造直後にチューブをスパイラル状に曲げることによって製造され得る。スパイラル状構造物を切断し、両端を溶接することにより、閉じた円形、卵形又は楕円形の環状セクションを製造することができる。
【0034】
一実施形態において、環状セクションは、円形、卵形又は楕円形ではなく、多角形の形状を有する。辺の数はわずか3である場合があるが、6又は7の数を使用してもよい。しかしながら、実用上の理由から、多角形には少なくとも8辺があることが好ましい。このような多角形の環状セクションは、真っ直ぐなチューブを溶接して合わせることによって製造可能である。
【0035】
すべての要素、長手方向のストリンガー、環状セクション及び薄肉スキンセクションは、好ましくは、熱間圧延鋼ストリップから製造される。鋼ストリップは、熱間圧延されたままでもよく、場合により亜鉛めっき及び/又は有機コーティングされてもよく、或いは、冷間圧延され、アニーリングされ、場合により亜鉛めっき及び/又は有機コーティングされてもよい。圧延されたままの、又はコーティングされたままの鋼ストリップは、通常、コイル状の鋼ストリップの形態において提供される。薄肉スキンセクションが移動式製造施設を使用して現場でコイル状のストリップから直接製造される場合、続いて現場でチューブセクションを組み立てることはまた、コイルの輸送が問題とならないため、輸送の問題も解決する。
【0036】
一実施形態において、環状セクションに沿った長手方向のストリンガーの数は素数であり、例えば、11個の長手方向のストリンガーである。発明者は、素数個の長手方向のストリンガーを有することが座屈抵抗性に対して有益な効果をもたらすことを見出した。この理由は、全体的なモードの場合、繰り返し分割されるパターンモード形状が不可能である(there is no repeat divisible pattern mode shape possible)ためである。
【0037】
一実施形態では、薄肉スキンセクションの1個又は2個以上、但し、すべてではなく、好ましくはパネルの3分の1未満が、追加機能を備えたスキンセクション、例えば、平坦なスキンセクション、例えば、フロアパネル又は周辺装置の設置パネルである。これらの周辺装置は、チューブセクションがETTシステムの一部として機能可能であるために必要な電気レール、照明又はその他の設置部品である場合がある。薄肉スキンセクションにはまた、緊急脱出用ハッチ、又はハイパーループの組み立て中のアクセス用ハッチを設けることもできる。フロアとしては、内側のパネルに薄い刻印だけが必要な場合、又はより厚いゲージを必要とする刻印が必要ない場合、又は滑り止めの縞板タイプのパターンが必要な場合もある。組み立てる前に、薄肉スキンセクションにアクセス用ハッチ及び脱出用ハッチを取り付ける方が簡単な場合がある。ストリンガーの延長は、ETTシステムにおけるアクセサリ、例えば、ポッドガイドレールを取り付けるためにも使用することができる。ETTポッドレールはストリンガーに直接取り付けたり、ストリンガーから直接取り付けたりすることができ、必要に応じて異なるサイズ又はゲージのストリンガーが必要になる可能性がある。
【0038】
本発明はまた、本発明による複数のチューブセクションを備える真空チューブ輸送システムのチューブにおいて具体化される。チューブの外側の圧力は大気圧であり、チューブの内側の圧力は0.1バール未満、好ましくは0.01バール(10ミリバール)未満、さらにより好ましくは5ミリバール未満又は2ミリバール未満である。地上での適用において、チューブの外側の圧力は約1バールの大気圧ある。完成した別個のチューブセクションを組み合わせて連続的なチューブを形成し、ETTシステムの一部を形成することができる。このようなチューブは、薄肉スキンセクションと、チューブのバックボーンとして機能する比較的開いた骨格フレームとにもかかわらず、高い座屈抵抗性の利益を得ている。隣接チューブセクションは、伸縮継手としても機能する接続リングを使用して接続可能である。加圧下での適用、例えば、ETTシステムのためのチューブは、扱いやすいサイズのチューブセクションに分割されている。チューブセクションは、その他のチューブセクションに固定的に接続されてチューブを形成する(図11を参照)。チューブセクション間の接続は、チューブ内に低圧が存在可能なように気密的である必要がある。この気密性は、接続自体によって、すなわち溶接のために、又はチューブセクションが一緒にボルト締め又はクランプされたときに、チューブセクション間の何らかの化合物、例えばエラストマーによって、又はチューブセクションの熱膨張に対処するための伸縮継手によって、提供される場合がある。
【0039】
骨格フレームの追加の利点は、チューブセクション又はチューブの外側に周辺装置を取り付けるためのベースとしても機能可能であることである。例えば、ソーラーパネルをチューブの上部に取り付けることができる。チューブはまたパイロンから大部分が空中に高く浮かせられていると予想されるため、最も可能性の高い損傷形態の1つは、チューブにぶつかる背の高い木又は電柱によるものである。ETTチューブのその他の設計と比較して、外部骨格フレームを使用すると、優れた保護が提供される。
【0040】
本発明によるチューブセクションは、真空チューブ輸送システムを構築するのに適している。しかしながら、チューブセクションの特定の特性、及びこれらのチューブセクションから製造されたチューブの外側からそれに加えられる圧力がチューブ内の圧力よりも著しく高い条件下で機能するその性能はまた、同様の圧力条件下で動作するチューブへの適用にも適している。これらの適用の例は、交通用の地下又は水中トンネル、例えば、自転車トンネル、自動車トンネル、列車トンネル、メンテナンストンネル又はシャフト、水力発電所のチューブ、加圧下の状態が発生する又は発生する可能性のあるガス貯蔵システム等である。
【0041】
図面の簡単な説明
次いで、本発明を、以下の非限定的な図面によってさらに説明する。
【0042】
図1は、厚み5mm、方形140×140mmの中空断面により製造された2個の長手方向のストリンガーを示す。この例では、長さLは30mである。
【0043】
図2は、図1の長手方向のストリンガーと、11個の環状セクション、この例では円形のセクションとを一緒に示す。環状セクションは、肉厚が6.3mmである120×80の矩形中空断面である。
【0044】
図3は、長手方向のストリンガーと環状セクションとによって形成されたチューブセクションの骨格フレームワークを示す。フレームワークの両端における環状セクションは、わかりやすくするために省略されている。上で説明したように、これらの環状セクションは、その他の環状セクションと同じであり得るか、又は2個の隣接チューブセクションを接続するために特別に調整され得る。
【0045】
図4は、薄肉スキンセクションの例を示す。この例において、薄肉スキンセクションは、スキンセクションの短端部に平行に走る追加の補強要素(7)が設けられている。スキンセクションが長手方向軸に沿って湾曲していることは非常に明瞭である。この例では、補強要素は外向きのディンプルである。この例では、スキンセクションは5mmの熱間圧延鋼シートから製造されている。
【0046】
図5は、図3の骨格フレームワークに固定された図4の薄肉スキンセクションを示す。この例において、補強要素の位置は環状セクションの位置と一致している。長手方向のストリンガーとスキンセクションの長端部との間の接続は気密的であり、接続は、溶接(例えば、レーザー溶接、レーザーハイブリッド溶接、ガスメタルアーク溶接、又はその他の適切な形態の溶接)によって行われることが好ましい。
【0047】
図6は、完成したチューブセクションを示す。これも両端に環状セクションは示していない。
【0048】
図7は、側面から見た完成したチューブセクションを示す。これは、環状セクション間の距離がチューブセクションの両端と比較して中央で異なることを明確に示している。この例におけるチューブは、直径4.5mのチューブに相当する内部断面積を与えるサイズになっている。
【0049】
図8は、3つの主要要素:長手方向のストリンガー(3)、環状セクション(4)及びスキンセクション(5)を強調して、チューブセクションの断面を示す。ストリンガーの平坦な端部が、例えば溶接により、環状セクションの内側の平坦な端部に固定されていることが明確に示されている。スキンセクションの端部がまた、ストリンガーに、例えば溶接により、固定されていることが明確に示されている。この例では、スキンセクションの端部がストリンガーの角に固定されている。これは、隣接する2個のストリンガー間の最短距離であり、したがって、最も材料効率の高い場所であり、最もアクセスしやすい場所である。しかしながら、好ましいオプションではないが、スキンセクションをストリンガーの別の場所、例えば、ストリンガーの中間の高さ、より環状セクションの方に固定することも可能である。このようにして、内接円をわずかに大きくすることができる。
【0050】
スキンセクションの曲率は、半径Rと中心点Mによって示される。中心点Mがチューブセクションの外側に存在することが重要であると考えられる。中心点がチューブセクションの内側に存在し、スキンセクションの曲率が大きすぎる場合(図9aを参照)、過剰な材料の使用、小さすぎる内接円及び好ましくない座屈特性をもたらす。或いは、中心点がチューブセクションの内側に存在し、中心点がチューブの内側に存在するような曲率は(図9bを参照)、スキンセクションに引張荷重がかかっていないが、圧縮荷重がかかっていることを意味し、これは、座屈抵抗性にとって非常に不利である。
【0051】
図10は、図8の円形の環状セクションではなく、多角形の環状セクションの例を示す。環状セクションの多角形の特性は、中心点から環状セクションまでの距離が一定ではないことを意味する(図10における矢印の長さを参照)。これにより、各フラットなセクションの中央(中心点と環状セクションとの間の最短距離)において、全体的な座屈に抵抗する際の効果が低くなる。
【0052】
図11は、地上適用における複数のチューブセクション(2)を備える真空チューブ輸送システムのチューブ(1)の一部を示す。チューブの外側の圧力は大気圧であり、チューブの内側の圧力は0.1バール未満である。チューブは、例えばパイロンによって(概略的には右側にのみ描かれている)、支持されている。
【0053】
図12は、チューブ(1)が圧力差にさらされている状況を示す(Poutside=1バール、Pinside=1バールより(はるかに)低い)。圧力差Poutside-Pinsideに応じて、スキンパネルにかかる力(Fpressure)が増加する。この力が大きいほど、スキンパネルが取り付けられているストリンガー間のスキンパネルの引張応力が大きくなる。スキンパネルにかかる力は、ストリンガー間の方向に引張応力を発生させるのみである。圧力差がゼロになるとすぐに、Fpressureもゼロになる。したがって、チューブの外側と内側との間に圧力差が存在する場合にのみ、スキンパネルに引張応力が発生する。これは、すべての加圧下での適用に当てはまる。チューブセクションの構築中、及び複数のチューブセクションを備えるチューブの構築中に、チューブの外側と内側との間に圧力差が存在しない限り、スキンパネルに引張力は存在しない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12