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特許7500595ケーブル車両輸送施設及びこのような施設に関する情報項目を測定する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】ケーブル車両輸送施設及びこのような施設に関する情報項目を測定する方法
(51)【国際特許分類】
   B61B 12/10 20060101AFI20240610BHJP
   G01C 19/00 20130101ALI20240610BHJP
【FI】
B61B12/10 A
G01C19/00 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021552699
(86)(22)【出願日】2020-03-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-27
(86)【国際出願番号】 FR2020050452
(87)【国際公開番号】W WO2020178532
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2023-01-18
(31)【優先権主張番号】1902212
(32)【優先日】2019-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515238552
【氏名又は名称】ポマ
【氏名又は名称原語表記】POMA
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム、ミンヌ
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-149279(JP,A)
【文献】特開2016-080498(JP,A)
【文献】特開2009-116624(JP,A)
【文献】特開2009-122863(JP,A)
【文献】特開2008-201390(JP,A)
【文献】特開2016-049972(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02223840(EP,A1)
【文献】国際公開第2018/108636(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 12/00-12/12
B61H 9/00- 9/02
G01C 19/00-19/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルによる車両輸送設備であって、
車両を牽引するためのケーブルと、
固定的に実装されたフレームと、前記ケーブルに結合され、前記ケーブルを駆動できるように前記フレーム上に回転可能に実装されたブルホイールと、
前記ブルホイールの動きに関する少なくとも1つの測定データ項目を測定する、測定装置と、
を備え、
前記測定装置は、
前記ブルホイール上に実装され、
-前記ブルホイールの回転軸に沿って前記ブルホイールの少なくとも角速度及び少なくとも角加速度を測定する、ジャイロスコープ、及び/又は、前記ブルホイールの並進軸に沿って前記ブルホイールの少なくとも速度及び少なくとも加速度を測定する、加速度計と、
-測定データからパラメータを導出するように構成された電子制御ユニットであって、前記パラメータは、前記加速度計および/または前記ジャイロスコープによって測定された速度及び加速度から導出される制動パラメータであり、前記制動パラメータは、制動距離、制動時間、初期制動率、および制動曲線のうちの少なくとも1つを含み、前記制動曲線は前記ブルホイールの速度とブレーキがかかる時間に対応し、前記制動距離は、前記ブルホイールの制動が行われたときの前記ケーブルによる移動距離に対応する、電子制御ユニットと、
を備える、
車両輸送設備。
【請求項2】
前記測定装置は、前記少なくとも1つの測定データ項目を前記測定装置の外部に送信する、無線通信手段、
を備える、請求項1に記載の設備。
【請求項3】
前記測定装置は、前記ブルホイール上に取り外し可能な方法で前記測定装置を設置する、磁石、
を備える、請求項1又は2に記載の設備。
【請求項4】
前記測定装置は、
表面と、
前記ブルホイール上に固定的な方法で前記測定装置を固定するために前記表面上に配置された接着製品と、
を備える、請求項1又は2に記載の設備。
【請求項5】
前記測定装置は、
電子制御ユニットと、
前記電子制御ユニットに結合された不揮発性メモリと、
を備え、
前記電子制御ユニットは、前記不揮発性メモリに前記少なくとも1つの測定データ項目を記録する、
請求項2に記載の設備。
【請求項6】
前記電子制御ユニットは、前記少なくとも1つのデータ項目の新しい測定値を前記少なくとも1つのデータ項目の前記記録された測定値と比較し、
前記無線通信手段は、前記新しい測定値が前記記録された測定値と異なるときに前記新しい測定値を送信する、
請求項5に記載の設備。
【請求項7】
前記無線通信手段は、前記電子制御ユニットが遠隔コンピュータから送信されたデータ送信信号を受信したときに、前記少なくとも1つの記録されたデータ項目を送信する、
請求項5又は6に記載の設備。
【請求項8】
ケーブルによる車両輸送する設備内のブルホイールの動きに関する少なくとも1つのデータ項目を測定する方法であって、
前記設備は、固定的に実装されたフレームを備え、
前記ブルホイールは、前記ケーブルに結合され、前記ケーブルを駆動することができるように前記フレーム上に回転可能に実装されており、
前記方法は、
前記ブルホイール上の測定装置であって、
前記ブルホイールの回転軸に沿って前記ブルホイールの少なくとも角速度及び少なくとも角加速度を測定する、ジャイロスコープ、及び/又は、前記ブルホイールの並進軸に沿って前記ブルホイールの少なくとも速度及び少なくとも加速度を測定する、加速度計と、
測定データからパラメータを導出するように構成された電子制御ユニットであって、前記パラメータは、前記加速度計および/または前記ジャイロスコープによって測定された速度及び加速度から導出される制動パラメータであり、前記制動パラメータは、制動距離、制動時間、初期制動率、および制動曲線のうちの少なくとも1つを含み、前記制動曲線は前記ブルホイールの速度とブレーキがかかる時間に対応し、前記制動距離は、前記ブルホイールの制動が行われたときの前記ケーブルによる移動距離に対応する、電子制御ユニットと、
を備える測定装置の設置を備えることと、
前記測定装置は、前記ブルホイールの動きに関する少なくとも1つのデータ項目を測定することと、
を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルによる車両輸送設備に関し、より具体的には、空中牽引ケーブルによる車両輸送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
車両を輸送するための、具体的には、たとえばチェアリフト、ゴンドラリフト、又はドラッグリフトなどの空中ケーブルカーのような輸送設備のための牽引ケーブルを駆動するために、プーリが現在使用されている。プーリは、ブルホイールと呼ばれる駆動プーリであってもよく、これらはプーリを回転駆動するモータに結合される。プーリはまた、牽引ケーブルが駆動ブルホイールに戻ることを可能にするための「リターンプーリ」と呼ばれるプーリであってもよく、又はこれらは牽引ケーブルを偏向するための偏向プーリであってもよい。
【0003】
設備を完全に安全に稼働及び維持するために、オペレータは、異なる計器から生じる有用なデータを監視する。有用なデータは、牽引ケーブルの速度、移動距離、又はプーリの振動であり得る。たとえば、牽引ケーブルの速度及び移動距離を低減するために、牽引ケーブルと接触して回転エンコーダシーブが使用される。ブルホイールを駆動するモータに結合されたコントローラもまた、ブルホイールの回転速度に関するデータを記録するために使用される。さらに、プーリ又はブルホイールの振動を測定するために、加速度計を備える振動センサが使用され得る。振動センサは、プーリの固定回転シャフト上に配置される。プーリ又はブルホイールの回転軸の傾斜を検出するための計器もまた使用されることが可能である。これらの計器は、プーリの溝内に配置された2つのブレードを備え、溝の一方のリムがブレードと接触するとすぐに、計器は回転軸の傾斜を検出する。
【0004】
しかし、これらの計器の全てが、設備の動作及び保守に有用な全てのデータが監視されることを可能にする単一のインターフェースに接続される訳ではない。さらに、スキーリゾートは複雑であり、たとえばいくつかのチェアリフト、ゴンドラリフト、及びドラッグリフトなどのいくつかのケーブル輸送設備を備える場合があり、これは、スキーリゾート全体の動作を監視するために多数の計器が必要とされることを意味する。したがって、設備のパラメータを監視するために、データを集中させる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、これらの欠点を改善すること、より具体的には、ケーブルによる車両輸送設備の保守及び動作に有用なデータを取り込むための単純な手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの特徴によれば、車両を牽引するためのケーブルと、固定実装フレームと、ケーブルに結合され、ケーブルを駆動できるようにフレーム上に回転可能に実装されたブルホイールと、ブルホイールの動きに関する少なくとも1つのデータ項目を測定するように構成された測定装置とを備える、ケーブルによる車両輸送設備が提案される。
【0007】
測定装置は、ブルホイール上に実装される。
【0008】
このような設備は、たとえばケーブルを駆動するブルホイールの速度、加速度、又は振動などの有用なデータが非常に簡単な方法で取り込まれることを可能にする。特定の有用なデータを取り込むために通常の条件下で使用される設備の既存の計器のインターフェースもまた、修正される必要がない。加えて、たとえばほとんどのドラッグリフトなどのセンサを備えていない設備、又は取り外し不可能なチェアリフトなどのより古い設備にとって有用なデータも、非常に容易に取り込まれることが可能である。
【0009】
測定装置は、前記少なくとも1つの測定データ項目を測定装置の外部に送信するように構成された無線通信手段を備えることができる。
【0010】
一実施形態によれば、測定装置は、ブルホイール上に取り外し可能な方法で測定装置を設置するように構成された磁石を備える。
【0011】
ブルホイールを修正する必要はなく、これは測定装置が非常に迅速に設置され得ることを意味する。測定装置を設置するために工具を使用する必要もなく、たとえばはんだ付け作業などの長く複雑な作業を実行する必要もない。
【0012】
別の実施形態によれば、測定装置は、表面と、ブルホイール上に固定的な方法で測定装置を固定するために表面上に配置された接着製品とを備える。
【0013】
測定装置は、ブルホイールの回転軸に沿ってブルホイールの少なくとも角速度及び少なくとも角加速度を測定するように構成されたジャイロスコープをさらに備えることができる。
【0014】
測定装置は、ブルホイールの並進軸に沿ってブルホイールの少なくとも速度及び少なくとも加速度を測定するように構成された加速度計を備えることができる。
【0015】
有利には、測定装置は、電子制御ユニットと、電子制御ユニットに結合された不揮発性メモリとを備え、電子制御ユニットは、不揮発性メモリに前記少なくとも1つの測定データ項目を記録するように構成されている。
【0016】
電子制御ユニットは、前記少なくとも1つのデータ項目の新しい測定値を前記少なくとも1つのデータ項目の記録された測定値と比較するように構成されることが可能であり、通信手段は、新しい測定値が記録された測定値と異なるときに新しい測定値を送信するように構成されている。
【0017】
このように、その動作のために可能な限り少ない電力を消費する測定装置が提供され得る。
【0018】
通信手段は、電子制御ユニットが遠隔コンピュータから発せられたデータ送信信号を受信したときに、前記少なくとも1つの記録されたデータ項目を送信するように構成されることが可能である。
【0019】
本発明の別の特徴によれば、ケーブルによる車両輸送設備内のブルホイールの動きに関する少なくとも1つのデータ項目を測定する方法が提案され、設備は、固定実装フレームを備え、ブルホイールは、ケーブルに結合され、ケーブルを駆動することができるようにフレーム上に回転可能に実装されている。
【0020】
方法は、ブルホイール上の測定装置の設置を備え、装置は、ブルホイールの動きに関する少なくとも1つのデータ項目を測定する。
【0021】
他の利点及び特徴は、非限定的な例示目的のみのために与えられ、以下の添付図面に表される、本発明の特定の実施形態及び実施モードの以下の説明から、より明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明による、ケーブルによる車両輸送設備の一実施形態の上面図を概略的に示す。
図2図1に示される設備の断面図を概略的に示す。
図3】設備の測定装置の一実施形態を概略的に示す。
図4】設備の測定装置の別の実施形態を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1及び図2には、ケーブル2による車両輸送設備1が示されている。設備1は、簡略化のために示されていない1つ以上の車両と、牽引されるために車両が結合されているケーブル2とを備えることができる。設備1は、乗客が車両に乗車及び/又は降車することができるターミナルをさらに備える。牽引ケーブル2は、連続的であって閉ループを形成し、ケーブル2に結合された車両を動かすために設備1の2つのターミナル間に伸びている。車両は、乗客が設備1の一方のターミナルから他方に輸送されることを可能にする。簡略化のために、図2及び図3には単一のターミナル3が示されている。ケーブル2は、牽引ケーブルと呼ばれる。設備1は、チェアリフト、空中ケーブルカー、ゴンドラリフト、ドラッグリフト、ケーブル鉄道、又は空気ばね列車であり得る。牽引ケーブル2は空中用であってもよく、この場合、設備1は、空中ケーブルカー、チェアリフト、ゴンドラリフト、又はドラッグリフトタイプであり、又はこれは地上レベルに位置することができ、この場合、設備1は、ケーブル鉄道又は空気ばね列車タイプである。
【0024】
設備1は、プーリ4及びフレーム6をさらに備える。フレーム6は、設備1のターミナル3に固定的に実装されている。プーリ4は、ケーブル2に結合されるように構成されている。具体的には、プーリ4は、ケーブル2を受容するように構成された溝7を備える。さらに、プーリ4は、ケーブル2を駆動することができるように、フレーム6上に回転可能に実装されている。より具体的には、プーリ4は、回転軸Aの周りで回転可能である。プーリ4は、駆動ブルホイールであってもよく、この場合、これは回転軸Aの周りでこれを回転駆動するモータに結合されている。プーリ4はまた、図1及び図2に示されるように、リターンプーリであってもよく、この場合、これはケーブル2が設備1の別の駆動ブルホイールに戻されることを可能にする。言い換えると、リターンプーリ4は、ケーブル2を駆動して動かせるようにするためにケーブル2を張力下に置くように、ブルホイールと協働する。一般に、プーリ4は、それがブルホイールであれリターンプーリであれ、ケーブル2が並進軸Bに沿って並進駆動されることを可能にする。並進軸Bは、プーリ4の回転軸Aに対して垂直である。回転軸Aは、図1及び図2に示されるように垂直であってもよく、この場合、プーリ4は水平に延在する。回転軸Aは水平であってもよく、この場合、プーリ4は垂直に延在する。より一般的には、プーリ4は、その高さよりも大きい直径を有するホイールである。プーリ4は、中実であってもよく、又はプーリ4の中心に中心貫通孔8が形成されてもよい。フレーム6は、好ましくはプーリ4を支持する金属構造である。フレーム6は、ターミナル3内に固定的な方法で実装されており、すなわちフレーム6は回転しない。プーリ4の重量を低減するために、プーリ4に他の偏心貫通開口11が形成されることが可能である。貫通開口11を通るこれらの偏心部は、回転軸Aの周りに規則的に分布している。プーリ4は、2つの外表面12、13をさらに備える。具体的には、外表面12、13は、プーリ4の溝7の両側に位置する。プーリ4が中心貫通孔8を備えるとき、各外表面12、13は、溝7と中心貫通孔8の一方の縁との間に延在する。
【0025】
リターンプーリ4の一実施形態が、図1及び図2に示されている。この実施形態によれば、設備1は、設備1のターミナル3内に固定的な方法で実装された回転シャフト5を備える。具体的には、回転シャフト5はフレーム6上に固定的に実装され、回転シャフト5は回転しない。回転シャフト5は回転軸Aに沿って延在し、プーリ4は回転シャフト5上に回転可能に実装されている。回転シャフト5は、中心貫通孔8内に収容されている。回転シャフト5は、プーリ4の中心貫通孔8の中を通り、中心貫通孔8から突出する2つの端部を呈する。さらに、回転シャフト5の端部は、設備1のフレーム6上に固定的に実装されている。設備1は、中心貫通孔8内に収容された軸受9、10をさらに備える。軸受9、10は、回転シャフト5に対して、及びプーリ4に対して押圧する。軸受9、10は、プーリ4が回転軸Aの周りで、すなわち回転シャフト5の周りで回転させられることを可能にする。軸受9、10は、回転シャフト5の周りに位置している。言い換えると、軸受9、10は、回転シャフト5とプーリ4との間に位置している。軸受9、10は、回転しているプーリ4を支持及び案内するように構成された部品である。好ましくは、軸受9、10は、玉又はローラを備えた玉軸受である。
【0026】
変形例として、プーリ4は、モータによって回転駆動される駆動ブルホイールであってもよい。この変形例によれば、回転シャフトは、縦軸に沿って延在し、ブルホイール4上に固定的に実装されている。次いで回転シャフトは、モータの内部に回転可能に実装される。モータは、設備1のフレーム6上に固定的な方法で実装され、ブルホイール4は、縦軸の周りで、フレーム6上に回転可能に実装される。
【0027】
より具体的には、設備1は、ブルホイール4の動きに関する少なくとも1つのデータ項目を測定するように構成された測定装置14を備える。測定データは、設備1の動作及び保守に有用である。より具体的には、測定装置14は、ブルホイール4上に実装される。したがって、測定装置14は、ブルホイール4が回転軸Aの周りで回転するときに、回転駆動される。したがって、測定装置14は、フレーム6に対して移動可能に実装される。より具体的には、測定装置14は、たとえば開口11を通る2つの偏心部の間で、ブルホイール4の外部表面12、13上に実装される。
【0028】
測定装置14は、筐体20を備える。測定装置14の実施形態は、図3及び図4に示されている。一般に、筐体20は、測定装置14をブルホイール4の外表面12、13上に固定するように構成された固定手段21を備える。固定手段21は、ブルホイール4上に取り外し可能な方法で測定装置14を設置するように構成されることが可能である。たとえば、固定手段21は、1つ以上の磁石22、たとえば筐体20の表面23上に規則的に分布した4つの磁石22を備える。磁石22は、ボルト24によって表面23上に固定されることが可能である。磁石22は、一般的にブルホイール4は金属から作られるので、ブルホイール4上の測定装置14の取り外し可能な固定に特に適している。変形例として、固定手段21は、測定装置14をブルホイール4上に固定的な方法で設置するように構成される。たとえば、固定手段21は、測定装置14をブルホイール4上に固定するために、接着剤などの接着製品を備える。接着製品は、筐体20の表面23上に塗布される。
【0029】
測定装置14は、有用なデータを測定し、これを筐体20の外部に送信するように構成されている。測定装置14は、少なくとも通信手段25及びジャイロスコープ26をさらに備える。ジャイロスコープ26は、回転軸に沿ったブルホイール4の回転に関する少なくとも1つのデータ項目を測定するように構成されている。ジャイロスコープ26は好ましくは、それぞれの3つの回転軸に沿ったブルホイール4の回転データを測定するように構成される。たとえば、3つの回転軸は、正規直交座標系を定義する3つの直交する軸である。回転データは、角速度、すなわち回転速度、又は角加速度、すなわち回転加速度であってもよい。加速度とは、正又は負の加速度を意味し、負の加速度は制動とも呼ばれる。有利には、ジャイロスコープ26は、ブルホイール4のそれぞれの3つの回転軸に沿ったブルホイール4の3つの角加速度及び3つの角速度を測定するように構成されている。ブルホイール4の回転軸は、好ましくは直交している。ブルホイール4の回転軸は、たとえば並進軸B、回転軸A、及び最初の2つの軸A、Bに対して垂直な第3の軸Cである。通常の動作では、軸B及びCに沿ったブルホイール4の回転は小さい。しかし、異常な機能、たとえばブルホイール4の傾斜の場合、並進軸B及び第3の軸Cに沿ったブルホイール4の回転運動が測定されることが可能である。ジャイロスコープ26は、好ましくは微小電気機械システムタイプのものである。
【0030】
通信手段25は、測定データを測定装置14の外部に送信するように構成されている。通信手段25は、優先的には無線手段である。無線通信手段25は、設備1が動作しているときに回転駆動される測定装置14から測定データを送信するのに特に適している。通信手段25は優先的に、電波によって信号を送信及び受信するためのアンテナ28を備える。
【0031】
通信手段25は、簡略化のために図示されない外部電子ユニットに測定データを送信するように、さらに構成されている。外部電子ユニットは、スマートフォン、電子タブレット、又は遠隔コンピュータであり得る。外部電子ユニットは、測定装置14によって送信されたデータを受信するように構成されたソフトウェアインターフェースと、受信データを表示するための読み出し部とを備える。外部電子ユニットは、測定データが設備1の動作及び保守のために監視されることを可能にする。
【0032】
測定装置14は、電子制御ユニット27も備えることができる。電子制御ユニット27は、測定データに対して処理動作を実行するために、接続29を介してジャイロスコープ26に結合されている。電子制御ユニット27は、測定データを含む信号及び通信手段25から受信した信号の送信を管理するために、接続30を介して通信手段25にさらに結合されることが可能である。通信手段25は、直接、又は電子制御ユニット27を介して、ジャイロスコープ26に結合されている。
【0033】
測定装置14は、加速度計31をさらに備えることができる。加速度計31は、並進軸に沿ったブルホイール4の少なくとも1つの並進データ項目を測定するように構成されている。加速度計31は好ましくは、それぞれの3つの並進軸に沿ったブルホイール4の並進データを測定するように構成される。たとえば、3つの並進軸は、正規直交座標系を定義する3つの直交する軸である。並進データは、速度、すなわち並進速度、又は加速度、すなわち並進加速度であってもよい。有利には、加速度計31は、ブルホイール4のそれぞれの3つの並進軸に沿ったブルホイール4の3つの加速度及び3つの速度を測定するように構成されている。ブルホイール4の並進軸は、好ましくは直交している。ブルホイール4の並進軸は、たとえば並進軸B、回転軸A、及び第3の軸Cである。通常の動作では、回転軸Aに沿ったブルホイール4の並進は小さい。しかし、異常な機能の場合、たとえばブルホイール4の振動又は傾斜が発生したとき、回転軸Aに沿ったブルホイールの並進運動が測定されることが可能である。加速度計31は、好ましくは微小電気機械システムタイプのものである。加速度計31は、接続29を介して電子制御ユニット27に結合されるか、又は通信手段25に直接結合されることが可能である。
【0034】
さらに、電子制御ユニット27は、測定データからパラメータを導出するように構成されることが可能である。パラメータ及び測定データは、ブルホイール4の動きに関するデータである。たとえば、電子制御ユニット27は、加速度計31及び/又はジャイロスコープ26によって測定された速度及び加速度から制動パラメータを導出することができる。たとえば、電子制御ユニット27は、制動距離、制動時間、初期制動率、及び制動が生じたときのブルホイール4の速度体時間に対応する制動曲線を導出することができる。制動距離は、ブルホイール4の制動が行われたときのケーブル2による移動距離に対応する。電子制御ユニット27は、測定された加速度からブルホイール4の振動パラメータをさらに導出することができる。電子制御ユニット27は、少なくとも1つの測定された回転データ項目からブルホイール4によって実行された回転数をさらに導出することができる。電子制御ユニット27は、測定された回転データからブルホイール4の回転方向をさらに導出することができる。
【0035】
別の利点によれば、測定装置14は、電力貯蔵ユニット34と、接続33を介して電子制御ユニット27に結合された不揮発性メモリ32とを備える。電力貯蔵ユニット34は、測定装置14の部品、すなわち加速度計31、ジャイロスコープ26、電子制御ユニット27、通信手段25、及びメモリ32に電力を供給する。図4に示される実施形態によれば、測定装置14の部品は、プリント回路基板35上に実装された電子部品である。プリント回路基板35は、筐体20の中に収容されている。
【0036】
電子制御ユニット27は、不揮発性メモリ32内に導出された測定データ及びパラメータを記録するように構成されることが可能である。通信手段25は、測定装置14の外部に導出されたパラメータを送信するように構成されることも可能である。測定装置14は、測定データを外部電子ユニットに周期的に送信するように構成されることが可能である。有利には、通信手段25は、たとえば、電子制御ユニット27が外部電子ユニットによって送信されたデータ送信信号を受信したときなど、特定の要求に基づいて記録されたデータを送信するように構成されている。変形例として、電子制御ユニット27は、新しいデータ測定値を記録されたデータ測定値と比較するように構成され、通信手段25は、記録された測定値と異なるときに新しい測定値を送信するように構成されている。このようにして、記録されたデータは、外部電子ユニットからの特定の要求に基づいて、又は特定のイベント、たとえば値を変更するデータ項目が発生したときにのみ、外部の装置14に通信される。このように、貯蔵ユニット34の消費電力が節約される。変形例として、設備1は、データ送信のセキュリティを確保するために、いくつかの測定装置14を備えることができる。測定装置14を、スキーリゾートの各設備1の、ブルホイール又はリターンプーリのいずれかの少なくとも1つのプーリ4に取り付けることも可能である。したがって、多数の設備を備える複雑なスキーリゾートの有用なデータを監視することが可能である。
【0037】
プーリ又はブルホイール4の動きに関する少なくとも1つのデータ項目を測定する方法は、上記で説明されたシステムによって実施されることが可能である。方法は、プーリ又はブルホイール4上の測定装置14の設置と、プーリ又はブルホイール4の動きに関する少なくとも1つのデータ項目の測定装置14による測定とを備える。方法は単純であり、設備1の動作及び保守に有用なデータが非常に迅速に監視されることを可能にする。したがって、設備1内の既存の測定計器と通信するために複雑なソフトウェアインターフェースを開発する必要性が回避される。さらに、本発明による測定装置14は、設備1の機器を変更する必要がない。
図1
図2
図3
図4