IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リカーボン,インコーポレイテッドの特許一覧

特許7500597プラズマ反応および反応器を監視する光学システム
<>
  • 特許-プラズマ反応および反応器を監視する光学システム 図1
  • 特許-プラズマ反応および反応器を監視する光学システム 図2
  • 特許-プラズマ反応および反応器を監視する光学システム 図3
  • 特許-プラズマ反応および反応器を監視する光学システム 図4
  • 特許-プラズマ反応および反応器を監視する光学システム 図5
  • 特許-プラズマ反応および反応器を監視する光学システム 図6
  • 特許-プラズマ反応および反応器を監視する光学システム 図7
  • 特許-プラズマ反応および反応器を監視する光学システム 図8
  • 特許-プラズマ反応および反応器を監視する光学システム 図9
  • 特許-プラズマ反応および反応器を監視する光学システム 図10
  • 特許-プラズマ反応および反応器を監視する光学システム 図11
  • 特許-プラズマ反応および反応器を監視する光学システム 図12
  • 特許-プラズマ反応および反応器を監視する光学システム 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】プラズマ反応および反応器を監視する光学システム
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/00 20060101AFI20240610BHJP
   H05H 1/24 20060101ALI20240610BHJP
   B01J 19/08 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
H05H1/00 A
H05H1/24
B01J19/08 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021556397
(86)(22)【出願日】2020-03-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-16
(86)【国際出願番号】 US2020023057
(87)【国際公開番号】W WO2020197837
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】62/823,436
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/823,492
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/823,505
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/823,508
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/823,514
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/823,517
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/823,484
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/820,669
(32)【優先日】2020-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514014827
【氏名又は名称】リカーボン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】トム, カーティス ピーター
(72)【発明者】
【氏名】シェ, フェイ
(72)【発明者】
【氏名】リー, ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】マクレランド, ステファン アンドリュー
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】特表平09-504109(JP,A)
【文献】特表2014-512950(JP,A)
【文献】特開2016-038993(JP,A)
【文献】特開2001-358125(JP,A)
【文献】特開2003-161700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00-1/54
B01J 14/00-19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波エネルギーを使用することによって内部でプラズマを発生させるプラズマ空洞と、
紫外(UV)域および赤外(IR)域内の前記プラズマによって発せられる光の強度を測定する検出ユニットと、
前記検出ユニットを制御するコントローラと
を備え、
内部を通して前記マイクロ波エネルギーを伝送するための導波管と、
前記プラズマ空洞を画定するように前記導波管内に配置された内壁と、
前記導波管に装着され、前記プラズマ空洞の中にガスを導入し、前記ガスを用いて前記プラズマ空洞内に渦流れを発生させるように構成されたアダプタであって、前記アダプタが貫通穴を有し、前記プラズマによって処理されるガスが前記プラズマ空洞から前記貫通穴を通って出る、アダプタと、
前記アダプタに設置され、前記光を受信する一端および前記検出ユニットに結合される他端を有する光ファイバと
をさらに備える、プラズマ発生システム。
【請求項2】
前記プラズマ空洞に結合された導波管と、
前記導波管の壁から突出するとともに孔を含む底部キャップを有する中空円筒と
をさらに備え、
前記検出ユニットは、前記孔を通して前記光を受信するように配置構成される、
請求項1に記載のプラズマ発生システム。
【請求項3】
前記孔は、内部を通しての前記マイクロ波エネルギーの漏れを防ぐような寸法で作製される、請求項2に記載のプラズマ発生システム。
【請求項4】
前記検出ユニットは、
光を電気信号に変換するセンサと、
電気回路を有する基板とを含み、前記センサは、前記基板上に装着され、
前記電気回路は、前記電気信号を調整し、前記電気信号を前記コントローラに送る、
請求項1に記載のプラズマ発生システム。
【請求項5】
前記センサの前に配置され、波長範囲内の光をそれぞれ通す1つまたは複数のバンドパスフィルタを有する切替可能なバンドパスフィルタ
をさらに備える、請求項4に記載のプラズマ発生システム。
【請求項6】
前記光を前記検出ユニットへ集めるためのレンズ
をさらに備える、請求項1に記載のプラズマ発生システム。
【請求項7】
前記検出ユニットは、
前記UV域内の前記光の強度を測定する第1のセンサと、
前記IR域内の前記光の強度を測定する第2のセンサと
を含む、請求項1に記載のプラズマ発生システム。
【請求項8】
前記第1のセンサの前に配置され、前記UV域内の前記光を通すように構成された第1のバンドパスフィルタと、
前記第2のセンサの前に配置され、前記IR域内の前記光を通すように構成された第2のバンドパスフィルタと
をさらに備える、請求項7に記載のプラズマ発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ発生器に関し、より詳細には、プラズマ反応器内のプラズマを監視する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々なタイプのプラズマを発生させるために、マイクロ波技術が適用されている。典型的には、プラズマ源として使用されるマイクロ波放電は、マイクロ波エネルギーを処理されるガスを収容する放電チャンバに結合することによって実現される。炭化水素に使用される従来のマイクロ波ベースのプラズマシステムでは、ガスの改質、供給原料の組成の変化により、プラズマの不安定性、反応器壁および他の表面上の望ましくない付着物、およびシステムの性能を劣化させるまたはシステム内の構成要素に損傷を及ぼす他の現象を引き起こし得る。故障状態下でプラズマシステムへの損傷を防ぐために、ならびにシステムのスループットおよび効率を最大にするために、プラズマの健全性および運転状態は、システムの運転中に継続的に監視および評価される必要がある。
【発明の概要】
【0003】
したがって、信頼できるやり方でプラズマの健全性およびプラズマシステムの運転状態を継続的に監視および評価することができる装置の必要性がある。
【0004】
本発明の一態様によれば、プラズマ発生システムは、導波管と、導波管に結合され、マイクロ波エネルギーを使用することによって内部でプラズマを発生させるように構成されたプラズマ空洞と、導波管の壁から突出するとともに孔を有した底部キャップを有する中空円筒と、紫外(UV)域および赤外(IR)域内で孔を通してプラズマによって発せられる光を受信するとともに光の強度を測定するように構成された検出ユニットと、検出ユニットを制御するコントローラとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本開示の各実施形態によるプラズマ発生システムの概略図である。
図2】本開示の各実施形態による線2-2に沿って得られる図1のプラズマチャンバの断面図である。
図3】本開示の各実施形態による前進流入口の斜視図である。
図4】本開示の各実施形態による線4-4に沿って得られる図3の前進流入口の断面図である。
図5】本開示の各実施形態によるアダプタの斜視図である。
図6】本開示の各実施形態による線6-6に沿って得られる図5のアダプタの断面図である。
図7】本開示の各実施形態による内側渦流れの斜視図である。
図8】本開示の各実施形態による外側渦流れの斜視図である。
図9】本開示の各実施形態による線9-9に沿って得られる図2のプラズマチャンバの断面図である。
図10】本開示の各実施形態による検出ユニットの断面図である。
図11】本開示の各実施形態によるプラズマチャンバの断面図である。
図12】本開示の各実施形態によるアダプタの斜視図である。
図13】本開示の各実施形態による前進流入口の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の明細書において、説明のために、特定の詳細は、本開示の理解を与えるために記載されている。しかしながら、本開示はこれらの詳細なしで実施できることが当業者には明らかであろう。さらに、当業者は、以下に説明される本開示の各実施形態は、いろいろなやり方で実施できると認識するであろう。
【0007】
図に示された構成要素またはモジュールは、本開示の例示的な各実施形態を示しており、本開示を曖昧にするのを防ぐことが意図される。この議論全体にわたって、この構成要素は、サブユニットを含み得る別個の機能的なユニットとして説明され得るが、当業者は、様々な構成要素もしくはその部分が別個の構成要素に分割されてもよく、または単一のシステムまたは構成要素内に統合されることを含めて一緒に統合されてもよいことを認識するであろうことも理解されるはずである。本明細書中で論じられる機能または動作は、構成要素として実現されてもよいことに留意されたい。
【0008】
本明細書における「一実施形態」、「好ましい実施形態」、「ある実施形態」、または「各実施形態」の言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、特性、または機能が、本開示の少なくとも一実施形態に含まれ、2つ以上の実施形態であってもよいことを意味する。また、本明細書中の様々な場所における上述のフレーズの出現は、必ずしも同じ実施形態または各実施形態を全て参照するものではない。
【0009】
本明細書中の様々な場所におけるある種の用語の使用は、例示のためであり、限定として解釈されるべきではない。用語「含む」、「含んでいる」、「備える」、および「備えている」は、オープンタームであると理解されるものとし、以下のリストは例であり、挙げられた項目に限定されることを意味しない。
【0010】
第1図(「図1」)は、本開示の各実施形態によるプラズマ発生システム10の概略図を示す。図示されるように、プラズマ発生システム10は、中空チューブの形状を有するマイクロ波空洞/導波管20と、導波管20に接続されたプラズマチャンバ22と、導波管20に接続されるとともにマイクロ波導波管20を介してプラズマチャンバ22にマイクロ波エネルギーを供給するように動作可能であるマイクロ波供給ユニット12とを含む。各実施形態では、プラズマチャンバ22は、マイクロ波エネルギーを受信し、受信されたマイクロ波エネルギーを使用することによってガスを処理する。各実施形態では、ガスタンク26は、ガスライン24を介してプラズマチャンバ22にガスを供給し、ガスタンク30は、ガスライン28をプラズマチャンバ22にガスを介して供給する。
【0011】
マイクロ波供給ユニット12は、マイクロ波エネルギーをプラズマチャンバ22に供給し、マイクロ波を発生させるマイクロ波発生器14と、マイクロ波発生器14に電力を供給する電源16と、プラズマチャンバ22から反射しマイクロ波発生器14の方へ進むマイクロ波エネルギーを減少させるチューナ18とを含む。各実施形態では、マイクロ波供給ユニット12は、マイクロ波発生器14の方へ伝播する反射したマイクロ波エネルギーを放散するダミー負荷を有するアイソレータ、および反射したマイクロ波エネルギーをダミー負荷へ向けるサーキュレータ、および導波管20の端部に配置されたスライド式の短絡回路などの他の構成要素を含むことができる。
【0012】
図2は、本開示の各実施形態による線2-2に沿って得られる図1のプラズマチャンバ22の断面図を示す。図示されるように、プラズマチャンバ22は、内壁40と、プラズマスタビライザ38と、ガスライン24に接続されるとともに前進流をプラズマチャンバに導入するように構成された(「渦流れ発生器」とも呼ばれる)前進流入口42と、ガスライン28に接続されるとともに逆流をプラズマチャンバに導入するように構成された(「アダプタ」とも呼ばれる)逆流入口44とを含む。ここで、プラズマ空洞という用語は、内壁40、導波管20、前進流入口42、および逆流入口(アダプタ)44によって取り囲まれる閉鎖空間を指し、そこで、逆流ガスおよび前進流が、導波管20を介して伝送されるマイクロ波エネルギーを用いてプラズマ空洞内のプラズマプルーム(または要するに、プラズマ)46によって処理/改質される。
【0013】
各実施形態では、内壁40は、石英またはセラミックなどのマイクロ波エネルギーに対して透過性のである材料で形成されている。各実施形態では、内壁40は、均一な流れ、熱抵抗、耐化学薬品性、および電磁透過性に望ましい任意の他の適切な誘電材料で形成されている。また、以下に論じられるように、各実施形態では、内壁40は、UVおよびIR光に対して透過性である材料で形成される。各実施形態では、内壁40は、中空円筒の形状を有することが好ましいが、中空円筒の形状に限定されない。
【0014】
図3は、本開示の各実施形態による前進流入口42の斜視図を示す。図4は、本開示の各実施形態による線4-4に沿って得られる前進流入口42の断面図を示す。図示されるように、前進流入口42は、ガスライン24に結合する穴/アダプタ47と、その壁に形成された1つまたは複数のガス通路48とを有する。各実施形態では、ガス通路48の出口は、プラズマスタビライザ38の内側に位置し、プラズマスタビライザ38は、ガス通路48から出る流れを用いて内側渦流れ43を形成するようになっている。各実施形態では、プラズマスタビライザ38の内径は、内側渦流れ43の外径を調節するように変更することができる。各実施形態では、上述したように、プラズマスタビライザ38は、中空円筒であり前進流入口42に同心に配置された形状を有することができる。
【0015】
各実施形態では、各ガス通路48は、前進流がガス通路48を介してプラズマ空洞に入るときに前進流にスパイラル運動を付与するように配置構成される。各実施形態では、各ガス通路48は、前進流の渦度を高めるように曲がっていてもよい。各実施形態では、前進流入口42は、入口が導波管20から電気的に絶縁され、プラズマ46からの熱エネルギーに耐えるように金属または誘電材料などの任意の適切な材料で形成される。
【0016】
各実施形態では、プラズマスタビライザ38は、マイクロ波エネルギーに対して透過性である材料で形成され、好ましくは、内壁40と同じ材料で形成される。各実施形態では、プラズマスタビライザ38は、導波管20に取り付けられ、プラズマ空洞の中に突出しており、プラズマスタビライザ38の軸方向は、y軸に平行である。各実施形態では、上述したように、内壁40は、中空円筒の形状を有してもよく、プラズマスタビライザ38は、内壁40に同心に設置することができる。各実施形態では、プラズマスタビライザ38の内側の前進流は、内側渦流れ43を形成し、導波管20の他端の方へ、より具体的には、ガス出口32の方へ進行する。図7は、本開示の各実施形態による内側渦流れ43の斜視図を示す。図示されるように、前進流(または均等には、内側渦流れ)は、内側渦流れがガス出口32から出るまで螺旋運動で内壁40の長さだけ進む。
【0017】
各実施形態では、プラズマ46を点火すると、プラズマ46は、マイクロ波発生器14により伝送されるマイクロ波エネルギーによって維持される。各実施形態では、プラズマ46は、内側渦流れ43のガス粒子がプラズマ46を通過するように内側渦流れ43内に位置する。各実施形態では、プラズマスタビライザ38は、内側渦流れ43の外径を決定し、ガス出口32を通ってプラズマ空洞から出る前に前進流がプラズマ46をバイパスするのを防ぐ。各実施形態では、プラズマスタビライザ38は、内側渦流れ43を外側渦流れ45から分離することによってプラズマ46を安定に保つのを助ける。
【0018】
図5は、本開示の各実施形態による逆流入口(アダプタ)44の斜視図を示す。図6は、本開示の各実施形態による線6-6に沿って得られる逆流入口(アダプタ)44の断面図を示す。図示されるように、逆流入口(アダプタ)44は、ガスライン28に結合する穴/アダプタ52と、ガス出口32を形成する穴と、逆流入口(アダプタ)44の壁内に形成される1つまたは複数のガス通路51とを有する。各実施形態では、各ガス通路51は、逆流がガス通路51を介してプラズマ空洞に入るときに逆流にスパイラル運動を付与するように配置構成される。各実施形態では、各ガス通路51は、逆流の渦度を高めるように曲がっていてもよい。各実施形態では、逆流入口(アダプタ)44は、インコネルまたはハステロイなどのNi合金で形成されることが好ましいが、インコネルまたはハステロイなどのNi合金に限定されない。
【0019】
各実施形態では、逆流入口(アダプタ)44から出る逆流は、内壁40の方に向かって進み、次いで螺旋運動で内壁40に沿って導波管20の他端の方へ上向き(y軸方向)に進行する。続いて、逆流は、下向きに進行し、外側渦流れ45を形成するように流れの方向を逆にする。各実施形態では、外側渦流れ45の回転軸は、y軸にほぼ平行である。図8は、本開示の各実施形態による外側渦流れ45の斜視図を示す。図示されるように、外側渦流れ45は、中空円筒形状を有し、内側下降流領域45-1および外側上昇流領域45-2という2つの流れ領域を有する。各実施形態では、内側渦流れ43は、外側渦流れ45の中央中空部分に配設され、内側下降流領域45-1によって取り囲まれる。前進流入口42からのガスは、内側渦流れ43を形成するように逆流入口(アダプタ)44からの流れと混合されることに留意されたい。
【0020】
各実施形態では、外側渦流れ45は、内側渦流れ43を取り囲み、それによってプラズマ46から内壁40をシールドする。各実施形態では、逆流入口(アダプタ)44から出る逆流は、周囲温度を有し、外側渦流れ45が螺旋運動で内壁40に沿って上向きに進むときに内壁40から熱エネルギーをとることができる。
【0021】
各実施形態では、上述したように、プラズマスタビライザ38の内径が、内側渦流れ43の径寸法を決定する。したがって、各実施形態では、プラズマスタビライザ38の内径は、外側渦流れ45が内側渦流れ43を取り囲み、安定したやり方で内側渦流れ43の流れの状況(flow regime)を保持するように調節することができ、それによってプラズマを安定化し、改善されたスループットおよび効率をもたらす。
【0022】
各実施形態では、プラズマ46は、入口ガスを所望の生成ガスに改質するために使用され、入口ガスが、前進流入口42および逆流入口(アダプタ)44によってプラズマ空洞の中に導入される。各実施形態では、前進流入口42から出る内側渦流れのガス組成は、CO、CH、およびOを含み、ガス出口32から出るガスは、COおよびH、ならびに前進流ガスの非反応部分を含む。各実施形態では、前進流の好ましい分布は、プラズマチャンバ22に入る全ての流れの5質量%~95質量%である。各実施形態では、逆流は、前進流の同じガス組成を有し得る。代替の各実施形態では、前進流は、逆流とは異なるガス組成を有してもよい。また、前進流(および/または逆流)のガス組成は、運転中に変更されてもよい。たとえば、前進流は、プラズマ46の点火を助けるために少量のアルゴンを含んでもよい。各実施形態では、前進流および逆流のガス組成および流量は、プラズマチャンバ22内の化学反応のプラズマの安定性および効率を高めるために調節することができる。
【0023】
プラズマチャンバ22は、異なる構成要素、および構成要素の配置を有してもよいことに留意されたい。たとえば、プラズマチャンバ22は、前進流入口42を含まなくてもよく、すなわち、導波管20は、前進流入口を受け取るいかなる穴も有さない。別の例では、プラズマスタビライザ38は、逆流入口(アダプタ)44上に装着されてもよい。プラズマチャンバ22の様々な実施形態の説明は、2020年1月26日に出願された「Plasma reactor for processing gas」という名称の同時係属している米国特許出願第16/752,689号に見つけることができ、この出願は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0024】
上述したように、前進流および逆流のガス組成および流量は、プラズマチャンバ22内の化学反応のプラズマの安定性および効率に影響を及ぼし得る。各実施形態では、プラズマ46は、光の広範なスペクトルを発し、この光の広範なスペクトルは、システム10の適切な運転の指標であり得、したがってプラズマの健全性/安定性、およびプラズマベースのプロセス、たとえば、とりわけ一例としてガス解離を監視するために使用され得る。また、各実施形態では、入力ガス組成、運転圧力、および(ガスによって吸収されるエネルギーを指す)パワー入力に応じて、プラズマ46によって発せられる光は、電磁スペクトル内の固有の特徴的な「シグネチャ」、ならびに光出力の強度、および安定性(プラズマプルームのフリッカリングまたは移動)を有する。たとえば、入力ガスがCO、CH、およびOを含むとき、適切に運転しているプラズマ46は、200nm~500nmの範囲内でとても強い放出を有し得る。また、内壁40に炭素付着がある場合には、635nm~700nmの範囲内の放出が、スペクトルに存在する。別の例では、低パワー入力において、200nm~500nmの範囲内の放出強度は、あまり明るくならない。さらに別の例では、プラズマチャンバ22内の反応器ガス圧力が低いまたは一貫性がないとき、プラズマ46は、中心位置から(風によって乱されるロウソクの炎のように)ちらつき得るまたはゆらぎ得る一方、安定したプラズマプルームは、とても狭いビームであり、内側渦43の中心に位置する。
【0025】
図9は、本開示の各実施形態による線9-9に沿って得られる図2のプラズマチャンバ22の断面図を示す。図9において、差し込み図59は、検出ユニット61の近くの光学装置の拡大図を示す。図示されるように、光学測定システムは、底部キャップを有する、導波管20の側壁から突出する中空円筒13と、底部キャップに形成された孔/開口部66と、孔66を通過した光を検出する光を検出する検出ユニット61とを含む。各実施形態では、孔の寸法は、そこを貫く電磁放射漏れに関する安全要件を満たすように十分小さいが、検出ユニット61がシステム10のプラズマ安定性および運転状態を監視するための十分な光を受信することを可能にするのに十分大きい。たとえば、孔は、0.1~4mmの直径を有する円形の穴である。
【0026】
各実施形態では、プラズマ46からの光放出は、内壁40を通って進んで、検出ユニット61に到達する。したがって、内壁40は、UVおよびIR光に対して透過性である材料で形成される。代替の各実施形態では、孔66は、UVおよびIR光に対して透過性である材料で形成されるウィンドウで置き換えられる。
【0027】
各実施形態では、プラズマ46からの光放出、およびプラズマチャンバの様々な構成要素から反射した光は、中空円筒13を通って進み、孔66を通って円筒から出る。各実施形態では、検出ユニット61は、始動(点火)段階中の放出、および運転(改質)段階中の放出を継続的に監視する。各実施形態では、検出ユニット61は、UVA、UVB、およびUVCなどの紫外(UV)範囲内、ならびに近赤外および中赤外(IR)範囲内の放出を検出する。たとえば、UV域は、10nm~400nmを指し、近IR域および中IR域は、750nm~950nmを指す。各実施形態では、運転段階中に測定される2つ以上のUV放出(UVA、UVB、およびUVC)の平均強度は、入力ガス(すなわち、アダプタ44および前進流入口42によって導入されるガス)の品質、および結果として得られるプラズマ安定性を示す。各実施形態では、運転段階中に測定される1つまたは複数のUV放出(UVA、UVB、およびUVC)の最大強度および最小強度も、入力ガスの品質、および結果として得られるプラズマ安定性を示す。
【0028】
各実施形態では、プラズマ46からの光放出は、内壁40を通って進み、したがって、プラズマ46形成前の始動段階中の近IR放出および/または中IR放出の強度は、内壁40の付着物(すなわち、炭素)の徴候に関する。したがって、各実施形態では、運転段階中に振幅を変えるUV放出とIR放出の両方の組合せは、入力ガスの問題および/またはプラズマチャンバ22の構成要素への損傷の特性である。
【0029】
各実施形態では、検出ユニット61は、光を電気信号に変換するセンサ64と、センサ64の前に配置されるとともに1つまたは複数のバンドパスフィルタを有する切替可能なバンドパスフィルタ65と、センサによって生成される電気信号を調整し、調整された信号をコントローラ69に送る電気回路62と、電気回路62とコントローラ69の間で電気信号を通信するための電線70と、適宜、光をセンサ64上へ集めるためのレンズ68(または任意の他の適切な光学要素)とを含む。各実施形態では、好ましくは、電気回路62は、回路基板上に形成される(しかし、これに限定されない。)。各実施形態では、コントローラ69は、検出ユニット61を制御するとともに検出ユニット61からの電気信号を処理するコンピューティング装置である。
【0030】
センサ64は広帯域検出器であり、切替可能なバンドパスフィルタ65の1つまたは複数のバンドパスフィルタの各々は、所定の波長範囲内の光を通すことに留意されたい。たとえば、切替可能なバンドパスフィルタ65は、UVA、UVB、および近/中IR光をそれぞれ通過させる4つのバンドパスフィルタを含む。
【0031】
代替の各実施形態では、センサ64は、所定の波長範囲内で光をそれぞれ検出する複数の検出器を含み、検出ユニット61は、任意のフィルタを含まない。たとえば、センサ64は、UVA光の強度を測定する第1の検出器と、UVB光の強度を測定する第2の検出器と、UVC光の強度を測定する第3の検出器と、IR光の強度を測定する第4の検出器とを含む。
【0032】
センサ64および電気回路62は、異なるやり方で配置構成されてもよいことに留意されたい。たとえば、センサ64は、電気回路62から物理的に分離され、電線または無線チャンネルを介して電気回路62へ電気信号を通信する。別の例では、電気回路62は、無線チャンネルを介してコントローラ69へ電気信号を通信する。
【0033】
各実施形態では、コントローラ69は、UV光の強度を平均化し、および/または波長範囲ごとの光の最大強度および最小強度を決定し、それによってプラズマの健全性/安定性およびシステム10の運転状態を決定することなど、検出ユニット61からの信号の処理を実行する。
【0034】
図10は、本開示の各実施形態による検出ユニットの断面図71を示す。図示されるように、検出ユニット71は、光を電気信号にそれぞれ変換するセンサ74aおよび74bと、センサ74aおよび74bにそれぞれ装着されるとともに所定の波長範囲の光を選択的に通すように構成された光学フィルタ75aおよび75bと、電気信号を処理する電気回路72と、適宜、光学フィルタ75aおよび75b上へ光を集めるためのレンズ78とを含む。各実施形態では、電気回路72は、無線通信チャンネル80を介してコントローラ82へ電気信号を通信する。代替の各実施形態では、検出ユニット71は、電線70に類似する電線を含むことができる。
【0035】
各実施形態では、センサ74aおよび74bは、広帯域検出器であり、各フィルタ75aおよび75bは、所定の波長範囲の光を通過させるバンドパスフィルタである。たとえば、フィルタ75aは、UV光を通過させ、一方、フィルタ75bは、IR光を通過させるバンドパスフィルタである。検出ユニット71は、各センサが特定の波長範囲内の光を検出するように任意の他の適切ないくつかのセンサ/フィルタを含むことに留意されたい。たとえば、検出ユニット71は、UVA、UVB、およびUVC放出をそれぞれ検出する少なくとも3つの広帯域検出器およびバンドパスフィルタを含んでもよい。
【0036】
各実施形態では、プラズマ46がオフにされるとき、UV放出は消え、検出ユニット61(または71)によって検定されるIR放出の強度は減らされる。したがって、UVの存在は、プラズマ46の実在を示し、検出ユニット61(または71)によって検出されるUV放出の時間分解されたキャラクタは、プラズマの健全性/安定性を説明する。各実施形態では、検出ユニット61(または71)によって検出されるIR放出の振幅は、プロセスガス組成に関連した仕様、および内壁40などのプラズマチャンバ22の構成要素上の望ましくない付着を検出するために使用される。たとえば、IR放出の検出された強度は、限定するものではないが炭素付着などの異常な状態を検出するために使用される。各実施形態では、検出ユニット61(または71)は、プラズマのステータス/健全性およびシステム10の運転状態が継続的に監視されるように、それぞれの所定の間隔で電気信号を生成し送る。
【0037】
各実施形態では、検出ユニット61(または71)は、プラズマチャンバ22の中への侵入を防ぐために孔66の外側に配置され、これにより検出ユニットの設置および保守の作業量、ならびにプラズマチャンバ22を通っての電磁放射漏れの可能性をかなり大きく減少させる。各実施形態では、UVおよびIR放出の測定は、突出している円筒13を用いることなく実行され得る。図11は、本開示の各実施形態によるプラズマチャンバの断面図を示す。図示されるように、光学測定システムは、導波管120の壁内に設置された少なくとも1つの光ファイバ70と、光ファイバ170に結合された検出ユニット161とを含む。各実施形態では、光ファイバ170の一端は、プラズマ146によって発せられる光とともにプラズマチャンバの様々な構成要素から反射された光を受信するように構成され、集められた光は、光ファイバを通って進んで検出ユニット161へ至る。各実施形態では、光ファイバ170は、中を通過するUVおよびIR光を伝送することができる材料で形成される。
【0038】
検出ユニット161は、検出ユニット61(または71)に類似しており、有線または無線チャンネルを介してコントローラ169に通信結合される。代替の各実施形態では、検出ユニット161およびコントローラ169は、1つの一体本体に形成される。
【0039】
1つまたは複数の光ファイバが、プラズマチャンバ内の他の適切な位置に設置されてもよいことが当業者に明らかであるはずである。図12は、本開示の各実施形態によるアダプタ244の斜視図を示す。図示されるように、アダプタ244は、光ファイバ270を含み、光ファイバ270の一端は、プラズマチャンバの内側でUVおよびIR光を受信するように構成され、光ファイバ270の他端は、検出ユニット161に類似する検出ユニットに結合される。光ファイバ270は、アダプタ244に設置されるので、プラズマ146によって発せられる光は、光が光ファイバに到達する前に内壁140を通過せず、すなわち、内壁140は、光ファイバの視線の外側にあり、したがって、内壁140がUV光に対して透過性である材料で形成される必要はない。
【0040】
図13は、本開示の各実施形態による前進流入口の斜視図342を示す。図示されるように、前進流入口342は、光ファイバ370を含み、光ファイバ370の一端は、プラズマチャンバの内側でUVおよびIR光を受信するように構成され、光ファイバ370の他端は、検出ユニット161に類似する検出ユニットに結合される。光ファイバ370が前進流入口342に設置されるので、プラズマ146によって発せられる光は、光が光ファイバに到達する前に内壁140を通過せず、すなわち、内壁140は、光ファイバの視線の外側にあり、したがって、内壁140がUV光に対して透過性である材料で形成される必要はない。
【0041】
前述の各例および各実施形態は、例示であり、本開示の範囲を限定しないことが当業者に理解されるであろう。本明細書を読むとともに図面を研究すると当業者に明らかである全ての置換、強化、均等、組合せ、それに対する改善は、本開示の真の趣旨および範囲内に含まれることが意図されている。任意の請求の範囲の要素は、複数の従属、構成、および組合せを有することを含んで別の仕方で配置構成されてもよいことにも留意されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13