(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】キャッシュレス決済システムおよび情報端末
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/32 20120101AFI20240610BHJP
【FI】
G06Q20/32 300
(21)【出願番号】P 2021558056
(86)(22)【出願日】2019-11-18
(86)【国際出願番号】 JP2019045134
(87)【国際公開番号】W WO2021100096
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 康宣
(72)【発明者】
【氏名】高見澤 尚久
(72)【発明者】
【氏名】奥 万寿男
【審査官】松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】特許第6542455(JP,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0031722(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0350729(US,A1)
【文献】特表2018-504688(JP,A)
【文献】国際公開第2016/052379(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0371674(US,A1)
【文献】特開2019-197332(JP,A)
【文献】特許第6528160(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラおよびキャッシュレス決済機能を持つ情報端末と、キャッシュレス決済処理を実行するサーバとが、通信で接続されたキャッシュレス決済システムであって、
前記情報端末は、店舗が掲示する決済先情報のコードと、商品やサービスの購入金額に対応する決済金額とが含まれる画像を前記カメラで取得し、
前記画像に基づいて、前記決済先情報と前記決済金額との両方を認識した場合、
前記決済先情報と前記決済金額とを含む決済命令を前記サーバに送信し、
さらに、前記情報端末は、
前記画像から前記決済金額を認識する際、前記画像から抽出された文字列が示す第一の認識金額と、マイクから取得された音声データに含まれる第二の認識金額とが一致する場合に、前記認識金額を前記決済金額として認識することを特徴とする、
キャッシュレス決済システム。
【請求項2】
請求項1記載のキャッシュレス決済システムにおいて、
前記サーバは、前記キャッシュレス決済処理の完了後、決済処理完了確認情報を前記情報端末に送信し、
前記情報端末は、前記決済処理完了確認情報
をユーザに対して出力する、
キャッシュレス決済システム。
【請求項3】
請求項1記載のキャッシュレス決済システムにおいて、
前記情報端末は、前記決済先情報と前記決済金額との両方を認識した時点から、設定された長さの決済時間のタイマのカウントを開始させ、前記決済時間の画像を表示画面に表示し、前記決済時間のタイマの満了後、前記決済命令を発行する、
キャッシュレス決済システム。
【請求項4】
請求項1記載のキャッシュレス決済システムにおいて、
前記情報端末は、前記コードと前記決済金額とが同時に写っている前記画像に基づいて、前記決済先情報と前記決済金額との両方を認識する、
キャッシュレス決済システム。
【請求項5】
請求項1記載のキャッシュレス決済システムにおいて、
前記情報端末は、前記コードが写っている第1画像から前記決済先情報を認識し、次に、前記決済金額が写っている第2画像から前記決済金額を認識する、
キャッシュレス決済システム。
【請求項6】
請求項1記載のキャッシュレス決済システムにおいて、
前記情報端末は、前記決済金額が写っている第1画像から前記決済金額を認識し、次に、前記コードが写っている第2画像から前記決済先情報を認識する、
キャッシュレス決済システム。
【請求項7】
請求項1記載のキャッシュレス決済システムにおいて、
前記情報端末は、複数の商品やサービスの購入に関する1回のキャッシュレス決済の際、前記画像から個別の商品やサービスの購入金額を認識し、合計としての前記決済金額を表示する毎に、設定された長さの決済時間のタイマのカウントを開始させ、前記決済時間の画像を表示画面に表示し、前記決済時間のタイマの満了後、前記決済命令を発行する、
キャッシュレス決済システム。
【請求項8】
請求項3記載のキャッシュレス決済システムにおいて、
前記情報端末は、前記決済時間の途中に、所定のキャンセル操作を検出した場合、前記決済命令を発行しない、
キャッシュレス決済システム。
【請求項9】
請求項2記載のキャッシュレス決済システムにおいて、
前記情報端末は、ヘッドマウントディスプレイである、
キャッシュレス決済システム。
【請求項10】
請求項2記載のキャッシュレス決済システムにおいて、
前記情報端末として、ヘッドマウントディスプレイと、ウェアラブル端末とを有し、
前記ヘッドマウントディスプレイは、前記決済命令を前記サーバに送信し、
前記ウェアラブル端末は、前記決済処理完了確認情報を表示する、
キャッシュレス決済システム。
【請求項11】
請求項9記載のキャッシュレス決済システムにおいて、
前記ヘッドマウントディスプレイは、前記決済先情報と前記決済金額との両方を認識した後、第1ジェスチャを検出した場合、前記決済命令を送信し、第2ジェスチャを検出した場合、前記決済命令を発行しない、
キャッシュレス決済システム。
【請求項12】
請求項1記載のキャッシュレス決済システムにおいて、
前記情報端末は、前記画像から前記決済金額を認識する際、前記画像内から抽出された候補文字列毎に、前記決済金額であるかどうかに関する複数の評価項目における評価項目毎の評価点を算出し、複数の評価点から総合的評価点を算出し、前記候補文字列毎の前記総合的評価点のうち閾値以上で最高となる候補文字列を、前記第一の認識金額として選択し、
前記閾値以上となる候補文字列が無い場合には、前記決済金額が認識できなかったという結果とする、
キャッシュレス決済システム。
【請求項13】
請求項1記載のキャッシュレス決済システムにおいて、
前記情報端末は、前記画像から前記決済金額を認識する際、前記画像内から抽出された候補文字列を表す画像を表示画面に表示し
、ユーザの操作に基づいて、前記候補文字列から選択された候補文字列を、前記第一の認識金額として選択する、
キャッシュレス決済システム。
【請求項14】
請求項1記載のキャッシュレス決済システムにおいて、
前記店舗内に、決済機能を持つストア端末を有し、
前記情報端末は、前記ストア端末と無線通信し、前記ストア端末から前記決済金額に関する決済金額情報を取得し、前記画像から認識した前記決済金額と、前記決済金額情報の決済金額との一致を確認し、前記決済先情報と前記決済金額との両方を認識した場合、前記決済命令を発行する、
キャッシュレス決済システム。
【請求項15】
請求項2記載のキャッシュレス決済システムにおいて、
前記店舗内に、決済機能を持つストア端末を有し、
前記情報端末は、前記ストア端末と無線通信し、前記決済処理完了確認情報のうちの決済完了IDを含むデータを前記ストア端末へ送信する、
キャッシュレス決済システム。
【請求項16】
請求項1記載のキャッシュレス決済システムにおいて、
予め前記店舗内における前記コードの掲示の第1位置と前記決済金額の掲示の第2位置との配置関係が規定されており、
前記情報端末は、前記配置関係の規定に基づいて、前記画像から前記決済先情報と前記決済金額との両方を認識する、
キャッシュレス決済システム。
【請求項17】
カメラおよびキャッシュレス決済機能を持つ情報端末と、キャッシュレス決済処理を実行するサーバとが通信で接続されたキャッシュレス決済を行うキャッシュレス決済システムにおける前記情報端末であって、
通信部と、
制御部と、を備え、
前記情報端末は、店舗が掲示する決済先情報のコードと、商品やサービスの購入金額に対応する決済金額とが含まれる画像を前記カメラで取得し、
前記画像に基づいて、前記決済先情報と前記決済金額との両方を認識した場合、
前記通信部は、前記決済先情報と前記決済金額とを含む決済命令を前記サーバに送信し、
さらに、前記制御部は、
前記画像から前記決済金額を認識する際、前記画像から抽出された文字列が示す第一の認識金額と、マイクから取得された音声データに含まれる第二の認識金額とが一致する場合に、前記認識金額を前記決済金額として認識するように制御する、
ことを特徴とする、
情報端末。
【請求項18】
請求項17記載の情報端末において、
前記サーバは、前記キャッシュレス決済処理の完了後、決済処理完了確認情報を前記情報端末に送信し、
前記情報端末は、前記決済処理完了確認情報
をユーザに対して出力する、
情報端末。
【請求項19】
請求項17記載の情報端末において、
前記情報端末は、前記決済先情報と前記決済金額との両方を認識した時点から、設定された長さの決済時間のタイマのカウントを開始させ、前記決済時間の画像を表示画面に表示し、前記決済時間のタイマの満了後、前記決済命令を発行する、
情報端末。
【請求項20】
請求項17記載の情報端末において、
前記情報端末は、前記コードと前記決済金額とが同時に写っている前記画像に基づいて、前記決済先情報と前記決済金額との両方を認識する、
情報端末。
【請求項21】
請求項17記載の情報端末において、
前記情報端末は、前記コードが写っている第1画像から前記決済先情報を認識し、次に、前記決済金額が写っている第2画像から前記決済金額を認識する、
情報端末。
【請求項22】
請求項17記載の情報端末において、
前記情報端末は、前記決済金額が写っている第1画像から前記決済金額を認識し、次に、前記コードが写っている第2画像から前記決済先情報を認識する、
情報端末。
【請求項23】
請求項17記載の情報端末において、
前記情報端末は、複数の商品やサービスの購入に関する1回のキャッシュレス決済の際、前記画像から個別の商品やサービスの購入金額を認識し、合計としての前記決済金額を表示する毎に、設定された長さの決済時間のタイマのカウントを開始させ、前記決済時間の画像を表示画面に表示し、前記決済時間のタイマの満了後、前記決済命令を発行する、
情報端末。
【請求項24】
請求項19記載の情報端末において、
前記情報端末は、前記決済時間の途中に、所定のキャンセル操作を検出した場合、前記決済命令を発行しない、
情報端末。
【請求項25】
請求項18記載の情報端末において、
前記情報端末は、ヘッドマウントディスプレイである、
情報端末。
【請求項26】
請求項18記載の情報端末において、
前記情報端末として、ヘッドマウントディスプレイと、ウェアラブル端末とを有し、
前記ヘッドマウントディスプレイは、前記決済命令を前記サーバに送信し、
前記ウェアラブル端末は、前記決済処理完了確認情報を表示する、
情報端末。
【請求項27】
請求項25記載の情報端末において、
前記ヘッドマウントディスプレイは、前記決済先情報と前記決済金額との両方を認識した後、第1ジェスチャを検出した場合、前記決済命令を送信し、第2ジェスチャを検出した場合、前記決済命令を発行しない、
情報端末。
【請求項28】
請求項17記載の情報端末において、
前記情報端末は、前記画像から前記決済金額を認識する際、前記画像内から抽出された候補文字列毎に、前記決済金額であるかどうかに関する複数の評価項目における評価項目毎の評価点を算出し、複数の評価点から総合的評価点を算出し、前記候補文字列毎の前記総合的評価点のうち閾値以上で最高となる候補文字列を、前記第一の認識金額として選択し、
前記閾値以上となる候補文字列が無い場合には、前記決済金額が認識できなかったという結果とする、
情報端末。
【請求項29】
請求項17記載の情報端末において、
前記情報端末は、前記画像から前記決済金額を認識する際、前記画像内から抽出された候補文字列を表す画像を表示画面に表示し
、ユーザの操作に基づいて、前記候補文字列から選択された候補文字列を、前記第一の認識金額として選択する、
情報端末。
【請求項30】
請求項17記載の情報端末において、
前記店舗内に、決済機能を持つストア端末を有し、
前記情報端末は、前記ストア端末と無線通信し、前記ストア端末から前記決済金額に関する決済金額情報を取得し、前記画像から認識した前記決済金額と、前記決済金額情報の決済金額との一致を確認し、前記決済先情報と前記決済金額との両方を認識した場合、前記決済命令を発行する、
情報端末。
【請求項31】
請求項18記載の情報端末において、
前記店舗内に、決済機能を持つストア端末を有し、
前記情報端末は、前記ストア端末と無線通信し、前記決済処理完了確認情報のうちの決済完了IDを含むデータを前記ストア端末へ送信する、
情報端末。
【請求項32】
請求項17記載の情報端末において、
予め前記店舗内における前記コードの掲示の第1位置と前記決済金額の掲示の第2位置との配置関係が規定されており、
前記情報端末は、前記配置関係の規定に基づいて、前記画像から前記決済先情報と前記決済金額との両方を認識する、
情報端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャッシュレス決済システムおよび情報端末の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、店舗において購入者であるユーザが商品やサービス等の購入に伴う決済、言い換えると購入金額の支払いを行う際に、スマートフォン等の情報端末を用いて現金を不要とする決済(キャッシュレス決済と記載する場合がある)を行う場合が増えている。キャッシュレス決済は、NFC(Near Field Communication)等の非接触・近距離通信機能を持つICチップを搭載したデバイスを用いる方式や、情報端末のカメラでQR(Quick Response)コード(登録商標)等のコードを読み取る方式がある。後者の方式は、ストアスキャン方式やユーザスキャン方式があり、既に販売済みのスマートフォンにも機能を後付けできる等の利点がある。
【0003】
ストアスキャン方式は、購入者のスマートフォンの表示画面にQRコードを表示し、店舗側の設備がそのQRコードを読み取る方式である。ユーザスキャン方式は、店舗側がQRコードを掲示し、購入者であるユーザのスマートフォンに備えるカメラでそのQRコードを読み取る方式である。ストアスキャン方式は、店舗側の設備の導入コストが比較的多くなりがちである。一方、ユーザスキャン方式では、固定的なQRコードとする場合には、キャッシュレスレス決済の導入コストが低くなる。固定的なQRコードは、コード化される情報として、商品の金額情報を含めず、店舗に関する情報、言い換えると決済先、売主に関する情報のみを含めるものである。
【0004】
上記キャッシュレス決済に関する先行技術例として、特開2018-116499号(特許文献1)が挙げられる。特許文献1には、商品購入のために必要なユーザの操作を簡易化できる無人販売方式等の技術として、端末装置は、第1識別情報を読み取り、商品の購入金額の決定操作を受け付ける旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術は、固定的なQRコードを表示させるユーザスキャン方式のキャッシュレス決済システムの一例と言える。この技術は、QRコードから読み取った売主情報、言い換えると店舗情報と、サーバより取得する基本金額情報とから、購入者は、スマートフォンで購入金額と基本金額との補正の操作を行い、決済を行う。特許文献1を含む従来技術では、ユーザが、キャッシュレス決済の際に、金額に関する入力操作あるいは補正操作を行う必要があり、ユーザはそのような操作に手間を感じる。キャッシュレス決済の際には、利便性や効率性、普及のしやすさ等の観点から、ユーザによる操作の手間が少ないことが好ましい。従来技術では操作の手間に関して検討や改善の余地があり、操作をさらに低減できるキャッシュレス決済方式の提供が望ましい。
【0007】
また、特許文献1の技術は、商品金額のバリエーションが少ない無人店舗での決済方式を示しており、商品金額のバリエーションが大きい有人店舗での決済方式については示していない。操作の手間の観点と共に、有人店舗や無人店舗等の店舗属性に係らずに好適に適用可能であるキャッシュレス決済方式の提供が望ましい。
【0008】
本発明の目的は、キャッシュレス決済技術に関して、購入者であるユーザによる操作の手間が少なく好適にキャッシュレス決済が可能である技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のうち代表的な実施の形態は、以下に示す構成を有する。実施の形態のキャッシュレス決済システムは、購入者であるユーザが使用するカメラおよびキャッシュレス決済機能を持つ情報端末と、キャッシュレス決済処理を実行するサーバとが通信で接続され、店舗での前記ユーザによる商品やサービスの購入に伴うキャッシュレス決済を行うキャッシュレス決済システムであって、前記情報端末は、前記ユーザの操作に基づいて、前記店舗が掲示する決済先情報のコードと、前記商品やサービスの購入金額に対応する決済金額とを、前記カメラで撮影し、撮影画像に基づいて、前記決済先情報と前記決済金額との両方を認識した場合、前記決済先情報と前記決済金額とを含む決済命令を発行し前記サーバに送信して前記キャッシュレス決済処理を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のうち代表的な実施の形態によれば、キャッシュレス決済技術に関して、購入者であるユーザによる操作の手間が少なく好適なキャッシュレス決済が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態1のキャッシュレス決済システムの構成を示す。
【
図2】実施の形態1で、情報端末の表示画面例を示す。
【
図4】実施の形態1で、情報端末のアプリによる処理フローを示す。
【
図5】本発明の実施の形態2のキャッシュレス決済システムにおける、情報端末の表示画面例を示す。
【
図6】実施の形態2で、情報端末のアプリによる処理フローを示す。
【
図7】本発明の実施の形態3のキャッシュレス決済システムの構成を示す。
【
図8】実施の形態3で、情報端末の表示画面例を示す。
【
図9】実施の形態3で、情報端末のアプリによる処理フローを示す。
【
図10】本発明の実施の形態4のキャッシュレス決済システムの構成を示す。
【
図11】実施の形態4で、HMDおよびウェアラブル端末の表示画面例を示す。
【
図12】実施の形態4で、HMDの外観構成例を示す。
【
図14】実施の形態4で、HMDのアプリによる処理フローを示す。
【
図15】本発明の実施の形態5のキャッシュレス決済システムの構成を示す。
【
図16】本発明の実施の形態6のキャッシュレス決済システムにおける、HMDの表示画面例を示す。
【
図17】実施の形態6で、HMDのアプリによる処理フローを示す。
【
図18】本発明の実施の形態7のキャッシュレス決済システムにおける、表示画面例を示す。
【
図19】本発明の実施の形態8のキャッシュレス決済システムにおける、情報端末のアプリによる処理フローを示す。
【
図20】実施の形態1,8の変形例のキャッシュレス決済システムにおける、情報端末のアプリによる処理フローを示す。
【
図21】本発明の実施の形態9のキャッシュレス決済システムにおける、情報端末のアプリによる処理フローを示す。
【
図22】実施の形態9で、情報端末の表示画面例を示す。
【
図23】実施の形態9の変形例における情報端末の表示画面例を示す。
【
図24】本発明の実施の形態10のキャッシュレス決済システムの構成を示す。
【
図25】実施の形態10で、情報端末のアプリによる処理フローを示す。
【
図26】実施の形態10で、情報端末の表示画面例を示す。
【
図27】本発明の実施の形態11のキャッシュレス決済システムの構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において同一部には原則として同一符号を付し、繰り返しの説明は省略する。
【0013】
<実施の形態1>
図1~
図4を用いて、本発明の実施の形態1のキャッシュレス決済システム等について説明する。実施の形態1の情報端末は、実施の形態1のキャッシュレス決済システムを構成する情報端末である。
【0014】
[概要]
従来技術例のキャッシュレス決済方式において、例えばユーザスキャン方式の場合、店舗内のストア端末の近傍にはQRコードが掲示され、ストア端末の表示装置には商品等の購入金額(対応する決済金額)が表示される。購入者であるユーザは、スマートフォン等の情報端末のキャッシュレス決済アプリおよびカメラによってQRコードを読み取り、決済金額の入力操作を行って、キャッシュレス決済を行う。
【0015】
一方、実施の形態1のキャッシュレス決済システムでは、店舗側は、例えばストア端末の近傍において、決済先情報を含む情報をコード化したQRコードを掲示し、商品等の購入金額に対応する決済金額をストア端末の表示装置に表示する。購入者であるユーザは、情報端末のカメラによってQRコードと決済金額との2つを撮影する。情報端末のキャッシュレス決済アプリは、撮影画像からQRコードの決済先情報と決済金額との2つの情報を認識した場合、所定の決済時間の画像を表示画面に表示し、決済時間の満了後、自動的に決済命令を発行して、サーバにキャッシュレス決済処理を行わせる。情報端末は、サーバから受けた決済処理完了確認情報を表示画面に表示する。また、店舗が有人店舗の場合、ストア端末は、サーバから受けた同様の決済処理完了確認情報を表示画面に表示する。有人店舗の場合、購入者と店員との両者が決済処理完了確認情報を確認する。無人店舗の場合、購入者のみが決済処理完了確認情報を確認する。これにより、実施の形態1のキャッシュレス決済システムは、ユーザスキャン方式の場合におけるユーザの操作の手間、特に金額の入力や補正の手間を不要とし、使い易く好適なキャッシュレス決済が実現できる。
【0016】
[1-1:キャッシュレス決済システム]
図1は、実施の形態1のキャッシュレス決済システムの構成、およびキャッシュレス決済の手続きの概要を示す。
図1で、キャッシュレス決済システムは、店舗1内における購入者2であるユーザが操作する情報端末3と、会計机13でレジ係である店員5が操作するストア端末7と、基地局10と、インターネット等を含む通信網であるネットワーク11と、決済アプリサーバであるサーバ12とを有し、これらは適宜に通信で接続される。店舗1は、商品6を販売する有人店舗である場合を示す。店舗1内において、購入者2、情報端末3、会計机13、店員5、ストア端末7、および商品6等を有する。なお、情報端末3やストア端末7は、同様の機能を持つ複数台が存在してもよい。
【0017】
購入者2は、店舗1内で商品6あるいはサービス等を購入し、その商品6の購入金額の支払いのために、情報端末3を用いてキャッシュレス決済を行うユーザである。情報端末3は、ユーザが携帯するキャッシュレス決済機能を持つキャッシュレス決済端末であり、例えばスマートフォンであるが、他の種類のデバイスとしてもよい。アプリ41は、キャッシュレス決済機能を持つキャッシュレス決済アプリであり、サーバ12と通信で連携しながら特有の処理を行うアプリケーションプログラムである。ユーザは、予め、情報端末3にアプリ41をインストールする。アプリ41はサーバ12から提供されてもよい。
【0018】
基地局10は、ネットワーク11に接続されるモバイル通信基地局であり、無線LANのアクセスポイント等であってもよい。情報端末3やストア端末7は、基地局10を通じてネットワーク11に接続可能であり、サーバ12と通信可能である。サーバ12は、ネットワーク11に接続され、情報端末3のアプリ41からの決済命令に応じてキャッシュレス決済処理を行う機能を有する決済アプリサーバである。サーバ12は、キャッシュレス決済処理の完了後、決済処理完了確認情報を、情報端末3およびストア端末7に送信する。なお、情報端末3のアプリ41およびストア端末7は、それぞれ、サーバ12との通信のためのアドレス情報を知っている。QRコード8内にそのアドレス情報が記述されていてもよい。
【0019】
信号4a,4bは、情報端末3と基地局10との間の無線通信に伴う通信信号の例である。信号4cは、ストア端末7と基地局10との間の無線通信に伴う通信信号の例である。例えば、信号4aは、情報端末3からサーバ12へ送信される決済命令である。信号4bは、サーバ12から情報端末3へ送信される決済処理完了確認情報である。信号4cは、サーバ12からストア端末7へ送信される決済処理完了確認情報である。信号4bの決済処理完了確認情報と、信号4cの決済処理完了確認情報とは、同じ後述のキーコード(決済完了IDに相当する)を含む。本構成例では、キャッシュレス決済の必要に応じて、サーバ12と情報端末3とが通信接続し、サーバ12とストア端末7とが通信接続する。通常時にはそれらの通信接続は不要である。なお、変形例として、ストア端末7とサーバ12との間では通信を行わない形態も可能である。この場合、サーバ12からストア端末7への決済処理完了確認情報の信号4cの送信は行われない。
【0020】
店員5は、会計机13において、ストア端末7を操作しながら、購入者2に対し、商品6の会計に伴うキャッシュレス決済の受け付け等の作業を行う。会計机13にはストア端末7が設置されている。商品6には、管理用のタグ6b等が付いていてもよく、タグ6bには商品IDや金額等の情報がバーコード等の形式で記載されている。
【0021】
ストア端末7は、キャッシュレス決済機能を含む決済機能を持つ端末、言い換えると店舗側決済機器であり、例えばキャッシュレジスタやPOSレジ端末で構成されるが、これに限らず、決済機能を持つスマートフォンやタブレット端末等で構成されてもよい。ストア端末7の決済機能は、情報端末3からのキャッシュレス決済を受け付ける機能である。ストア端末7は、購入者2側に向いて情報・画像を見せるための表示部(表示画面)を持つ表示装置7bを備える。図示しないが、ストア端末7は、店員5側に向いて情報・画像を見せるための表示部(表示画面)も持つ。表示装置7bの表示画面には、商品6の購入金額9等の情報が表示される。購入金額9は、購入者2が購入する1個以上の商品6に関する合計金額、すなわち1回のキャッシュレス決済に伴う決済金額に相当する。購入金額9は、人から見て理解できる数字列等の画像情報である。
【0022】
QRコード8は、店舗1内の少なくともいずれかの位置に掲示されている2次元コードである。本例では、ストア端末7の筐体における購入者2に向く側の面の一部に、QRコード8が、シールのような印刷物としての貼り付けの態様で掲示されている。QRコード8は、この店舗1の店舗情報、言い換えると決済先情報、を含む情報がコード化されたものである。決済先情報は、より詳細には、振込先の口座の情報でもよい。QRコード8に限らず、他の方式のコードを適用してもよい。QRコード8は、他の態様として表示画面に表示される画像としてもよい。例えば、ある程度大きいサイズを持つ表示装置7bの表示画面に、購入金額9と共に並列でQRコード8の画像が表示されてもよい。ストア端末7とは別に、タブレット端末等の電子的表示装置を持つデバイスが設けられ、そのデバイスの表示画面にQRコード8の画像が表示されてもよい。QRコード8の掲示の態様は、情報端末3のカメラ30からQRコード8に対応する像を撮影できる態様であればよい。
【0023】
実施の形態1の例では、QRコード8と購入金額9との2つの要素について、カメラ30による1枚以上の静止画として撮影する方式を用いる。購入者2は、最低限の操作として、適宜にカメラ30の撮影ボタンを押す。また、撮影の際、第1方式として、1つの画像内にQRコード8と購入金額9との両方が同時に含まれるようにしてもよい。あるいは、第2方式として、まず第1画像内にQRコード8が含まれるように撮影し、次に、第2画像内に購入金額9が含まれるように撮影してもよい。実施の形態1では、ユーザが上記の第1方式と第2の方式のいずれを採用してもよい。静止画の場合、QRコード8や購入金額9がうまく撮影できなかった場合や認識できなかった場合には、購入者2は適宜に撮影操作をやり直しできる。
【0024】
[1-2:キャッシュレス決済手続き]
図1で、実施の形態1でのキャッシュレス決済の手続きの概要は以下の通りである。(1)まず、店舗1内において、購入者2は、購入する商品6を会計机13の所まで持って行き、店員5との間で、商品6の購入に伴うキャシュレス決済の手続きを開始する。店舗1側の店員5は、QRコード8および購入金額9を購入者2に対して提示する。具体例は以下の通りである。QRコード8については予めストア端末7に掲示されている。店員5は、例えばストア端末7に接続されているバーコードリーダ等によって商品6のタグ6bをスキャンする動作を行う。これにより、タグ6bの情報が読み取られ、ストア端末7に、商品6のIDや金額等の情報が入力される。あるいは、タグ6bが無い商品6の場合、店員5がストア端末7に金額を入力する操作を行ってもよい。ストア端末7は、入力された金額等の情報に基づいて、表示装置7bの表示画面に購入金額9を表示する。本例では購入金額9は“¥12,765”と表示されている。なお、購入者2が複数の商品6をまとめて購入する場合、店員5は、商品6毎に同様に動作を繰り返し、ストア端末7は、複数の商品6の合計金額を、決済金額に対応する購入金額9として表示装置7bに表示する。
【0025】
(2)購入者2は、情報端末3のアプリ41を起動した状態で、カメラ30によって、提示されているQRコード8と購入金額9との2つを撮影する。これにより、情報端末3のアプリ41は、撮影画像からQRコード8と購入金額9との2つの情報を読み取って認識する。これにより、情報端末3は、少なくとも、QRコード8からの決済先情報と、決済金額との2つの情報を把握する。この際、詳細としては、購入者2は、カメラ30によって、QRコード8と購入金額9との両方が写るように1枚の静止画を撮影してもよいし、あるいは、QRコード8が写った静止画である第1画像と、購入金額9が写った静止画である第2画像との各静止画を撮影してもよい。情報端末3は、1枚以上の撮影画像の中から、画像処理に基づいて、QRコード8と購入金額9との2つの情報を抽出し、QRコード8からは復号化によって決済先情報を含む情報を得る。
【0026】
(3)情報端末3は、上記2つの情報の認識後、表示画面300に、後述する所定の決済時間20(
図2)を表示する。情報端末3は、決済時間20の経過後、購入者2の操作を必要とせずに、自動的に、決済命令(信号4a)を発行し、サーバ12へ送信する。この決済命令は、サーバ12にキャッシュレス決済処理を実行させるための命令あるいは要求である。この決済命令には、購入者2および情報端末3の情報と、決済先情報と、決済金額情報とを伴う。
【0027】
(4)サーバ12は、情報端末3から受け取った決済命令の情報に基づいて、キャッシュレス決済処理を実行する。キャッシュレス決済処理は、具体的には、購入者2の口座から店舗1の口座へ決済金額を振り込ませる処理が挙げられる。サーバ12は、キャッシュレス決済処理の完了に伴い、情報端末3に、情報端末3用の決済処理完了確認情報を信号4bとして送信することで決済完了通知を行う。それと共に、サーバ12は、ストア端末7に、ストア端末7用の決済処理完了確認情報を信号4cとして送信することで決済完了通知を行う。決済処理完了確認情報は、決済処理完了確認メッセージや、決済完了IDである後述のキーコード25(
図2)を含む。
【0028】
(5)情報端末3は、サーバ12からの決済処理完了確認情報を購入者2に対し出力、例えば表示画面300に表示し、購入者2は、その決済処理完了確認情報を確認する。また、ストア端末7は、サーバ12からの決済処理完了確認情報を店員5に対し出力、例えば店員5側の表示画面に表示し、店員5は、その決済処理完了確認情報を確認する。これにより、キャッシュレス決済の手続きが完了する。
【0029】
なお、本例では、ストア端末7は、サーバ12からの決済処理完了確認情報を受信して表示画面に表示する機能を持つ構成とした。変形例として、ストア端末7は、そのような機能を持たない構成としてもよい。この場合、サーバ12はストア端末7へ決済処理完了確認情報を送信せず、店舗1の店員5はその決済処理完了確認情報の確認を行わない。
【0030】
[1-3:表示画面]
図2は、
図1の構成に基づいたキャッシュレス決済の手続きの際の情報端末3の表示画面300の例を示す。なお、購入者2の操作に基づいたカメラ30による撮影の際には、情報端末3は、表示画面300に、カメラ30が捉えたストア端末7等が写ったモニタ画像を表示する。このモニタ画像は、カメラ30の動きに応じて内容が変化する画像である。情報端末3は、購入者2が撮像ボタンを押す操作に応じて、その時点での静止画をキャプチャする。
【0031】
図2の(A)は、表示画面300の一例を示し、カメラ30の撮影画像である静止画の一例と、その上に重畳や合成で表示される画像情報の一例とを含む。情報端末3は、撮影画像の中から、スキャンによって、
図1のQRコード8に対応する領域201と、購入金額9に対応する領域202とを検出し、それらの領域から決済先情報および決済金額を認識する。またこの際、情報端末3は、認識したQRコード8の領域201や購入金額9の領域202に、それぞれ枠取りや色付け等の画像を表示してもよい。本例では、破線枠のような画像g1,g2を重畳や合成で表示する場合を示す。これにより、QRコード8や購入金額9が認識できた状態を、購入者2にわかりやすく伝えることができる。
【0032】
さらに、情報端末3は、上記2つの情報の認識後、表示画面300内に、決済時間20を表示する。決済時間20は、上記2つの情報の認識の直後から決済の実行までの時間とその経過状態を、購入者2に対し伝えるための、グラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)としての画像情報である。言い換えると、決済時間20は、決済命令の発行までの時間的な猶予を表す画像情報である。本例では、表示画面300内の上側の領域に、決済時間20の画像が、重畳や合成によって表示されている。本例では、この決済時間20は、決済時間を表すメッセージ(“Time to Payment”)と、決済時間の全体の長さおよび経過状態を表すバー20bとを含む画像である。決済時間20は、上記2つの情報の認識を開始時点とし、決済命令の発行を終了時点とする時間であり、予め所定の長さとして設定されている。決済時間20の長さの設定は、一例として5秒である。なお、表示画面300内に決済時間20の長さが例えば「5秒」等と画像で表示されてもよい。バー20bは、例えば、決済時間の長さに対応する5本のブロックで表現されており、1秒経過毎に1ブロックの表示が更新される。経過状態が例えば2秒経過である場合には、図示のように例えば左側を起点として2本のブロックまでの色が第1色(例えば白)から第2色(例えば黒)へ更新されている。情報端末3は、2つの情報の認識時点から、決済時間20に対応するタイマのカウントを開始し、時間経過に応じて、バー20bの表示状態を更新する。例えば開始時点ではバー20bの全ブロックが第1色であるが、終了時点ではバー20bの全ブロックが第2色となる。
【0033】
購入者2は、決済時間20を見ることで、キャッシュレス決済の自動的な実行までの経過状態を把握でき、本当に決済を実行するかどうかを判断でき、この経過時間20中に必要に応じてキャンセル動作も可能である。決済時間20の提示の態様は、図示の例に限らず可能であり、時間の大きさや経過状態が購入者2にわかりやすく伝わるような表現の画像情報とすればよい。また、決済時間20は、画像表示のみに限らず、効果音(例えばタイマカウント効果音)等の音声出力を併用してもよい。
【0034】
情報端末3は、決済時間20が満了した時点で、自動的に決済命令を発行してサーバ12に送信する。この決済時間20を含む制御の際、購入者2が購入金額9に関する何らかの入力操作、例えばハードウェアまたはソフトウェアによるボタンの入力操作等を行うことは不要である。すなわち、購入者2は、カメラ30によって上記2つの情報を撮影する操作さえすれば、後は決済時間20を待機するだけで、キャッシュレス決済を行わせることができる。
【0035】
また、上記決済時間20の経過途中では、キャッシュレス決済に関する所定のキャンセル操作を受け付ける。所定のキャンセル操作は、例えばユーザが情報端末3を振るシェイク動作である。他の例では、キャンセル操作は、情報端末3をある程度以上に傾ける動作としてもよいし、所定のハードウェアまたはソフトウェアによるボタンを押す操作等としてもよい。他の例では、キャンセル操作としては、ユーザがカメラ30を対象のQRコード8や購入金額9が写らない方向に向ける動作、例えば所定時間以上QRコード8等が写らない状態を維持する動作としてもよい。いずれのキャンセル動作でも、後述のセンサ群31(
図3)を用いて検出できるようにする。
【0036】
図2の(B)は、サーバ12でのキャッシュレス決済処理が完了し、決済処理完了確認情報を表示する時の表示画面300の例を示す。情報端末3は、サーバ12からの決済処理完了確認情報を受けると、その情報に基づいて生成したメッセージ21とキーコード25を、表示画面300内に表示する。メッセージ21は、キャッシュレス決済処理が完了したことを表す決済処理完了確認メッセージ(例えば“Payment Completed”)の画像である。本例では、(A)と同様のストア端末7等の画像上に、決済時間20の表示を消去した上で、メッセージ21が重畳や合成で表示されている。キーコード25は、決済完了IDに相当し、キャッシュレス決済処理の完了後にその決済毎に発行されるID(識別情報)である。本例では、キーコード25は、4個の4桁の文字列(英数字)を1セットとして構成されている。本例では、キーコード25は、表示画面300内の下側の領域に重畳や合成で表示されている。サーバ12からは、同じ値を持つキーコードが、情報端末3とストア端末7との両方に送信される。
【0037】
購入者2は、(B)の表示画面300で、決済処理完了確認情報、具体的にはメッセージ21およびキーコード25を確認することで、キャッシュレス決済の完了を確認できる。また、アプリ41は、キーコード25を含む情報をログとしてメモリ上に保存し、購入者2は後でアプリ41の画面でそのログからキーコード25等を含む決済履歴を参照し確認することもできる。同様に、店員5は、ストア端末7の店員5側の表示画面に表示される決済処理完了確認情報のキーコード等を確認することで、目の前の購入者2に関するキャッシュレス決済の完了を確認できる。より詳しい手順の例としては、購入者2は、(B)のような画面のキーコード25を店員5に見せ、店員5は、情報端末3側の画面のキーコード25と、ストア端末7側の画面のキーコードとが一致するかを確認する。例えば、店員5は、両者のキーコードのうちの下4桁の文字列同士が一致するかを確認する。これにより、購入者2および店員5は、キャッシュレス決済の完了を確認できる。なお、(B)のような画面で決済処理完了確認情報を出力する際にも、所定の音声出力を併用してもよい。
【0038】
図2の(C)は、変形例として、決済時間20に関する他の表示例を示す。本例は、表示画面300内で、一定の背景上に、決済時間20を、時計20cのような表現の画像として大きく表示する場合を示す。本例では、決済時間20の長さが12秒であり、経過時間が3秒である状態を示す。
【0039】
図2の(D)は、変形例として、キーコード25に関する他の表示例を示す。(D)の表示画面300では、キーコード25は、キーコード25bとして、QRコードの画像の態様で表示されている。このQRコードは、キーコード25がコード化されたものである。このように、決済処理完了確認情報は、コード等の態様で提供されてもよい。この場合、購入者2は、このキーコード25bを含む画面を店員5に見せる。店員5は、例えばストア端末7に接続されているQRコードリーダ(またはカメラ)を用いて、このキーコード25bを読み取る。ストア端末7は、キーコード25bの認識によって、対応するキーコードを得て、店員5側の表示画面に表示する。これにより、店員5は、そのキーコードからキャッシュレス決済の完了を確認できる。
【0040】
なお、実施の形態1におけるキャッシュレス決済方式を、無人店舗に適用する場合、ストア端末7としては、購入者2によるセルフ決済用の決済機能を備えるストア端末を用いる。この場合、キャッシュレス決済の手続きは、購入者2が情報端末3の
図2の(B)のような表示画面300の決済処理完了確認情報を確認するまでの手続きとすればよい。またこの場合、店員5による確認は無いので、
図2の(B)のような表示画面300でのキーコード25の表示や、対応するストア端末7側でのキーコードの表示を省略してもよい。情報端末3やストア端末7は、サーバ12から受信した決済処理完了確認情報(特にキーコード)を、表示画面に表示せずとも、ログとしてメモリに保存しておく。これにより、購入者2や店員5は、後でそのキーコードを参照して確認を行うことができる。
【0041】
なお、情報端末3は、アプリ41を用いたキャッシュレス決済の手続きの際に、購入者2に対するユーザ・インタフェースとして、所定のガイダンス等を、表示や音声によって提供してもよい。ガイダンスは、例えば、「QRコードを撮影してください」、「金額を撮影してください」といったメッセージを表示や音声で出力することが挙げられる。一例としては、情報端末3は、まず「QRコードを撮影してください」と出力し、ユーザがカメラ30でQRコード8を中心にして撮影する。その際、撮影画像内にQRコード8の近傍の購入金額9が一緒に写ってもよい。情報端末3は、その撮影画像からQRコード8のみしか認識できない場合、次に、「金額を撮影してください」と出力し、ユーザがカメラ30で購入金額9を中心にして撮影する。1つの画像からQRコード8と購入金額9との両方が同時に認識できた場合、金額に関するメッセージの出力を省略できる。
【0042】
[1-4:情報端末]
図3は、情報端末3の機能ブロック構成例を示す。本例では、情報端末3はスマートフォンである。情報端末3は、カメラ30、センサ群31、グラフィックプロセッサ32、タッチパネル(表示画面300を含む表示装置)、マイク34A、スピーカ34B、外部インタフェース35、通信部36、CPU37、RAM38、フラッシュROM39、および内部バス42等を有する。センサ群31は、例えば加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ、およびGPS受信器を含む。CPU37は、情報端末3の全体を制御するプロセッサまたはコントローラを構成する。フラッシュROM39には、基本動作プログラム40およびアプリ(キャッシュレス決済アプリ)41等のプログラムが格納されている。プロセッサであるCPU37によって、これらのプログラムがRAM38に展開されてそのプログラムに従った処理が実行されることにより、情報端末3の各機能が実現される。フラッシュROM39には、プログラム処理が実行される過程や結果として発生するデータも格納される。
【0043】
通信部36は、モバイル通信、無線LAN通信、近距離通信等の各種の通信インタフェースに対応する通信機能を有する。近距離通信インタフェースの例としては、BlueTooth(登録商標)等を用いることができる。また、外部インタフェース35は、例えば給電機能を有するUSB(登録商標)インタフェースを有する。タッチパネル33は、タッチ検出機能を持つ表示装置であり、グラフィックスプロセッサ32によって描画される画像を表示画面に300表示する。タッチパネル33は、ユーザによる表示画面300に対するタッチ操作等の入力操作を受け付けて、内蔵するセンサによって検出する。
【0044】
[1-5:処理フロー]
図4は、情報端末3のアプリ41による処理フローを示す。
図4のフローは、ステップS10,S11,……,S22を有する。まず、ステップS10で、情報端末3は、購入者2の操作に基づいて、アプリ41を起動し、サーバ12に対するログインを行い、キャッシュレス決済の手続きを開始する。
【0045】
このログインは、サーバ12へのキャッシュレス決済の手続き用のログインであり、決済時のセキュリティを高めるための認証を含む。なお、情報端末3自体に備える認証(例えば顔認証や指紋認証)が成功してアプリ41が起動されたことを、認証済み、すなわち正規ユーザであることが確認された状態とみなして、このログインを省略する形態としてもよい。また、変形例としては、決済金額9の大きさに応じてセキュリティレベルが規定され、そのセキュリティレベルに応じてログインの要否等を含む決済ルールが規定されてもよい。例えば、予め設定に基づいて、決済金額の値が、規定された閾値以上である場合、ステップS10のログインが必須とされ、閾値未満である場合、そのログインが省略されてもよい。
【0046】
ステップS11で、購入者2は、前述のようにカメラ30の操作によってQRコード8と購入金額9を撮影する。情報端末3は、購入者2の操作に基づいて、カメラ30による撮影、特に1枚以上の静止画のキャプチャを行い、撮影画像データを取得してRAM38に記憶する。
【0047】
ステップS12で、情報端末3は、撮影画像をスキャンしてQRコード8の領域を抽出し、QRコード8を復号化して決済先情報等を認識する。ステップS13では、QRコード8内の決済先情報の認識の有無に応じて分岐する。QRコード8の決済先情報の認識が有る場合(YES)にはステップS14へ進み、無い場合(NO)にはステップS11へ戻って同様に繰り返す。認識が無い場合(NO)とは、撮影画像にQRコード8が含まれていない場合や、含まれていても情報が抽出や認識できなかった場合が該当する。QRコード8の決済先情報等の認識結果は、RAM38に保持される。
【0048】
ステップS14で、情報端末3は、撮影画像のスキャンによって購入金額9の領域を抽出し、対応する決済金額を認識する。この際の処理は、OCR(光学文字認識)技術と同様に画像から文字を認識する技術が適用できる。決済金額の認識結果は、RAM38に保持される。ステップS15では、決済金額の認識の有無に応じて分岐する。決済金額の認識が有る場合(YES)にはステップS16へ進み、無い場合(NO)にはステップS11へ戻って同様に繰り返す。
【0049】
ステップS16では、上記2種類の情報である決済先情報と決済金額とが揃った状態であるので、情報端末2は、
図2の(A)のような決済時間20のためのタイマを起動させると共に、表示画面300内に決済時間20の画像を表示する。決済時間20は、アプリ41において予め任意の時間に設定できる。例えば、決済時間20はデフォルトでは5秒に設定されており、ユーザ設定によって増減の調整もできる。ユーザは、より慎重に判断したい場合には、決済時間20の長さを例えば10秒等に設定でき、より素早く決済したい場合には、例えば3秒等に設定できる。
【0050】
ステップS17後のステップS18では、情報端末3は、上記タイマによって決済時間20が満了したかどうかを確認し、満了(YES)の場合にはステップS19へ進み、満了ではない場合(NO)にはステップS17へ戻る。ステップS17では、情報端末3は、決済時間20の途中に、所定のキャンセル動作の有無を検出、確認する。このキャンセル動作は、キャッシュレス決済、より詳しくは決済命令の送信を、キャンセルするための動作である。本例では、このキャンセル動作は、購入者2が手に持っている情報端末3を振るようなシェイク動作として予め規定されている。情報端末3は、そのシェイク動作を、
図3のセンサ群31を用いて検出する。情報端末3は、決済時間20の途中でシェイク動作を検出した場合(YES)にはステップS11に戻り、キャッシュレス決済の手続きを例えば撮影からやり直しさせる。
【0051】
ステップS19で、情報端末3は、上記2つの情報に基づいて、購入者2および情報端末3の情報と決済先情報と決済金額とを伴う決済命令を発行し、
図1の信号4aとしてサーバ12へ送信する。ステップS20で、情報端末3は、サーバ12からの決済処理完了確認情報を待ち受けて受信し、表示画面300内に決済処理完了確認情報である
図2の(B)のキーコード25等を表示する。
【0052】
ステップS20までで、1回のキャッシュレス決済の手続きは完了している。ステップS21は、アプリ41を起動したままで別の商品6の購入に関する2回目以降のキャッシュレス決済の手続きを同様に繰り返して継続するかどうかの確認である。ステップS21では、例えば情報端末3は、表示画面300にガイダンスとして決済の手続きを継続するか否かの確認のメッセージやボタンを表示し、購入者2による操作を受け付けてもよい。継続する場合(YES)にはステップS11に戻って同様に繰り返し、終了する場合(NO)にはステップS22に進む。ステップS22では、情報端末3は、サーバ12に対しログアウトを行い、アプリ41を終了させる。
【0053】
なお、変形例としては、最初にステップS10でログインを行う構成ではなく、ステップS19の決済命令の送信の前の時点でログインを行う構成としてもよい。
【0054】
[1-6:効果等]
以上のように、実施の形態1によれば、購入者2による商品6の購入金額9に関する入力操作や補正操作、決済実行操作等の操作を必要とせず、少ない手間で好適にキャッシュレス決済を行うことができる。また、実施の形態1によれば、QRコードを用いたユーザスキャン方式の場合に、有人店舗や無人店舗等の店舗属性に係らずに概ね同一方式でキャッシュレス決済を行うことができる。
【0055】
実施の形態1等の変形例として以下も可能である。変形例では、所定の決済時間20の経過を待たずとも即時に決済命令に移行できるように、所定の操作として決済指示操作を利用できるようにしてもよい。例えば、情報端末3は、上記2つの情報の認識後、表示画面300に決済時間20を表示し(
図2の(A)、
図4のステップS16)、その決済時間20の途中で、キャンセル動作だけでなく、決済指示操作を受け付ける。決済指示操作は、例えば、情報端末3の表示画面300等の所定の部位を叩く動作、例えば2回連続で叩く動作や、所定の部位をある程度以上に強く押圧する動作、等が挙げられる。情報端末3は、決済指示操作を検出した場合、その時点で決済時間20を終了させて即時に決済命令をサーバ12に送信する。このような機能は、購入者2が素早く決済したい場合等に有用である。
【0056】
変形例として、上記キャンセル動作とは別に規定された所定の動作として、決済時間20の経過の一時停止のための動作を設けてもよい。例えば、情報端末3は、決済時間20の途中に、所定の一時停止動作を検出した場合、決済時間20の経過を一時停止させる。一時停止動作は、例えば表示画面300内の部位に対するタッチ状態を維持する動作が挙げられる。情報端末3は、その一時停止動作が検出されなくなった場合、決済時間20の経過を再開させる。この機能は、購入者2が判断を迷う場合等に有用である。
【0057】
また、変形例として、情報端末3は、
図4のステップS14で認識される決済金額9の大きさ、あるいは対応する商品6毎の種別等に応じて、決済時間20の長さを決定してもよい。例えば、ある回のキャッシュレス決済の手続きの際に、情報端末3は、認識した決済金額9の値が大きいほど、その回のための決済時間20を長くするように設定する。例えば、決済金額9の値が、閾値未満の場合には5秒と設定され、閾値以上の場合には10秒と設定されてもよい。あるいは、認識した決済金額の値に対し、乗算等の演算によって、その回の決済時間20の長さが算出されてもよい。これにより、例えば決済金額9が大きいほど、購入者2による慎重な判断が可能となる。また、情報端末3は、ステップS14で認識した決済金額9の大きさに応じて、その後のログインの要否を決定してもよい。
【0058】
変形例として、決済時間20の長さが、店舗1毎に規定されてもよい。例えば、QRコード8内に、決済先情報だけでなく、その店舗1での決済時間20に関する設定を含む決済ルール情報が記述されていてもよい。決済ルール情報は例えば
図4のようなフローの規定を含んでもよい。情報端末3は、QRコード8からその決済ルール情報における決済時間20の設定値等を把握し、それに従って手続きの処理を行う。また、QRコード8内に直接的に決済ルール情報が記述される形態に限らず、QRコード8内のリンク情報やアドレス情報等からサーバ12等の外部装置に持つ決済ルール情報を参照する形態としてもよい。
【0059】
変形例として、QRコード8には、店舗情報の一部として、有人店舗/無人店舗等の店舗属性が記述されていてもよい。情報端末3は、QRコード8の認識から店舗属性を把握し、その店舗属性に応じて手続きの処理を行うように制御する。例えば、店舗1が有人店舗か無人店舗かに応じて、前述の決済処理完了確認情報の表示の有無等を自動的に制御できる。また、QRコード8内に、店舗1に備える設備や機能の情報が記述されていてもよい。例えば、店舗1が有人店舗の場合で、ストア端末7における種類や付属設備(例えばQRコードリーダ等)や機能等の情報が、QRコード8から得られる。情報端末3は、得た情報に従って手続きの処理を制御する。
【0060】
<実施の形態2>
図5,
図6を用いて、本発明の実施の形態2のキャッシュレス決済システム等について説明する。以下では、実施の形態2等における実施の形態1とは異なる構成部分について説明する。実施の形態2等において、
図1のシステムや
図3の情報端末における多くの部分は共通に適用できる。
【0061】
[2-1:表示画面]
図5は、実施の形態2でのキャッシュレス決済の過程における情報端末3の表示画面300の例を示す。実施の形態2の例では、QRコード8と購入金額9との2つの要素について、カメラ30による動画として撮影する方式を用いる。購入者2は、最低限の操作として、適宜にカメラ30の撮影ボタンを押す。情報端末3は、購入者2の操作に基づいて、カメラ30において動画モードあるいは連続コマ撮りモードを用いて動画または連続する複数の静止画を撮影する。この際、動画を構成する複数の画像の中に、
図1のQRコード8と購入金額9とが捉えられるようにすればよい。同一画像内にQRコード8と購入金額9とが同時に捉えられてもよいし、別々の画像内に捉えられてもよい。動画内において、例えば、時間的に先の第1画像にQRコード8が捉えられ、後の第2画像に購入金額9が捉えられてもよい。そして、情報端末3は、動画の画像から前述の2つの情報である決済先情報と決済金額とを認識する。
【0062】
図5の(A)は、情報端末3の表示画面300において、カメラ30による動画の画像から、特に第1画像から、QRコード8に対応する領域501が捉えられ、認識された状態を示す。第1画像は、表示画面300でのモニタ画像としての画像P1と対応する。また、この表示画面300の例では、認識されたことを表す枠付けの画像g1が表示されている。
【0063】
実施の形態2で、QRコード8は、店舗1内でストア端末7とは異なる場所・位置に掲示されていてもよい。例えば、店舗1内で購入者2に関心を持ってもらいたい任意の位置に掲示されていてもよい。その位置は、例えば、新商品やセールス商品の隣でもよいし、(A)で例示しているように、購入者2の安全に係るAED500が配置されている位置の近くの位置でもよい。
【0064】
また、(A)の表示画面300内では、撮影モード503の画像も重畳表示されている。これは、カメラ30の撮影モードの1つとしての動画モードまたは連続コマ撮りモードを表す画像である。また、この表示画面300内では、QRコード8から認識によって得られた店舗情報504(例えば店舗名)の画像も重畳表示されている。店舗情報504の画像によって、このQRコード8に対応する決済先を、購入者2に伝えることができる。
【0065】
(B)の表示画面300は、カメラ30による動画の画像から、特に第2画像から、購入金額9に対応する領域502が捉えられ、認識されている状態を示す。第2画像は、表示画面300でのモニタ画像としての画像P2と対応する。また、この表示画面300の例では、購入金額9が認識できたことを表す枠付けの画像g2も重畳表示されている。
【0066】
(C)の表示画面300は、(A)のQRコード8と(B)の購入金額9との2つの情報が認識された後、一定の背景画像上に、決済時間20の画像が表示された状態を示す。実施の形態1と同様に、2つの情報の認識の直後に、決済時間20のタイマのカウントが開始される。また、この表示画面300の例では、店舗情報504の画像や、購入金額9の認識に応じた決済金額24の画像も表示されている。表示画面300での各種情報の画像表示は、実撮影画像上の重畳や合成による表示でもよいし、(C)のように一定の背景画像上の独立した表示としてもよい。実施の形態1と同様に、決済時間20の満了によって決済命令が発行される。
【0067】
(D)の表示画面300は、サーバ12でのキャッシュレス決済処理の完了に応じた決済処理完了確認情報を表示する例を示す。情報端末3は、サーバ12からの決済処理完了確認情報の通知を受けると、表示画面300内に、メッセージ21とキーコード25を表示する。この表示画面300の例では、一定の背景上にメッセージ21とキーコード25が表示されている。また、本例では、(C)から、店舗情報504および決済金額24の画像の表示がそのまま維持されている。これにより、購入者2は、キャッシュレス決済の内容および完了を確認できる。購入者2は、この画面を店員5に見せ、これにより、店員5側もキャッシュレス決済の完了を確認できる。
【0068】
[2-2:処理フロー]
図6は、実施の形態2における情報端末3のアプリ41による処理フローを示す。
図6のフローは、
図4のフローに対し主に異なる部分として、ステップS11の代わりにステップS11Bを有する。ステップS11Bで、情報端末3は、カメラ30を動画モードとして動画の撮影を開始する。動画の撮影画像データは、
図3のRAM38に格納されるが、容量を考慮して一定周期で上書きされる。ステップS12で、情報端末3は、その時点の動画の画像をスキャンしてQRコード8から決済先情報を認識する。ステップS13で、情報端末3は、QRコード8が認識できるまで(YES)、ステップS12のスキャンを繰り返す。画像中にQRコード8が写っていない場合や、写っていても認識できなかった場合(S13-NO)にはステップS12に戻る。決済先情報の認識結果は、RAM38に保持される。
【0069】
ステップS14で、情報端末3は、その時点の画像から、購入金額9に対応する決済金額を認識する。ステップS15で、情報端末3は、決済金額が認識できるまで(YES)、ステップS14のスキャンを繰り返す。画像中に購入金額9が写っていない場合や写っていても認識できなかった場合(S15-NO)にはステップS14に戻る。決済金額の認識結果は、RAM38に保持される。
【0070】
情報端末3は、決済先情報と決済金額との2つの情報が認識できた時点で、ステップS16で、決済時間20を表示画面300に表示し、タイマのカウントを開始させる。以降のステップは、実施の形態1と同様である。
【0071】
[2-3:効果等]
以上のように、実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果に加え、動画撮影とすることで、複数回の静止画の撮像の操作を簡略化できる。また、動画内に2つの情報を捉えることができればよいので、店舗1内でのQRコード8と購入金額9との掲示の場所・位置に対する自由度も向上できる。
【0072】
実施の形態2の変形例として以下も可能である。変形例では、情報端末3は、機能として、実施の形態1のように静止画を用いて決済を行うモードと、実施の形態2のように動画を用いて決済を行うモードとの2つが用意され、ユーザが設定等によってそれらからモードを選択して利用できる。
【0073】
変形例として、カメラ30による動画の撮影の際に、例えば
図5の(A)のようにQRコード8が認識され画像g1が表示された状態が一定時間以上維持されること、あるいは
図5の(B)のように購入金額9が認識されて画像g2が表示された状態が一定時間以上維持されること、の少なくとも一方を、キャッシュレス決済の継続または実行のための条件の1つとして規定してもよい。例えば、情報端末3は、QRコード8が認識された状態が一定時間以上維持できた場合に、次の購入金額9の認識の手順に移行させる。また、情報端末3は、購入金額9が認識された状態が一定時間以上維持できた場合に、決済時間20の表示に移行させる。また、情報端末3は、例えば購入金額9の認識後、その購入金額9が写っている画像上に決済時間20の画像を重畳表示し(例えば
図2の(A)と概略同様)、決済時間20の待ちの際に、その購入金額9が写っている状態を維持させてもよい。その決済時間20の待ちの途中で、購入者2が情報端末3を動かして、カメラ30の画像内に購入金額9が写らない状態になった場合、情報端末3は、その状態をキャンセル動作として扱ってもよい。
【0074】
<実施の形態3>
図7~
図9を用いて、本発明の実施の形態3について説明する。実施の形態3において、
図3の情報端末3は共通に適用できる。実施の形態3では無人店舗等での決済の場合を示す。
【0075】
[3-1:キャッシュレス決済システム]
図7は、実施の形態3のキャッシュレス決済システムの構成を示す。実施の形態3では、店舗1は、小規模な店舗や、例えば商品特売所等の無人店舗であり、ストア端末7等の設備は不要であり設けられていない。実施の形態3では、そのような店舗1で購入者2がセルフ決済を行う。購入者2は、店舗1で所望の複数の商品6の情報をカメラ30の操作によって読み取る。それによる購入金額9の合計が、1回のキャッシュレス決済における決済金額となる。
【0076】
店舗1の商品棚50には、商品6(例えば商品61~64)が並んでいる。商品61~64には、購入金額9に対応する金額等の情報が記載された値札6b(6b1~6b4)が、シールの貼り付け等の態様で設けられている。商品棚50の一部、例えば購入者2に向く側の前面の一部には、QRコード8が掲示されている。QRコード8の掲示の位置はこれに限らず可能である。
【0077】
購入者2は、掲示されているQRコード8を、情報端末3のカメラ30によって撮影する。情報端末3は、撮影画像からのQRコード8の認識によって決済先情報を得る。次に、購入者2は、商品棚50の商品6のうち、購入する所望の1つ以上の商品6の値札6bを撮影する。この撮影は、実施の形態1と同様に複数回の静止画の撮影としてもよいし、実施の形態2と同様に動画の撮影としてもよい。購入する商品6が複数ある場合、購入者2は、その商品6に対応する値札6bの撮影を複数回繰り返してもよいし、1つの画像内に複数の値札6bが捉えられる場合にはそれでもよい。情報端末3は、撮影画像内から各値札6bをスキャンして各商品6の購入金額9を認識する。情報端末3は、認識した1つ以上の購入金額9の合計を、決済金額として算出する。
【0078】
なお、変形例として、情報端末3は、撮影画像から、色や形状等の解析によって、個別の商品6を認識し、その認識した商品6に基づいて、自動的に購入金額9を割り出してもよい。例えば、情報端末3は、情報端末3内またはネットワーク11上のサーバ等にある商品DBを参照し、認識した商品6とその金額を含む情報を取得してもよい。
【0079】
情報端末3は、上記のようにQRコード8の決済先情報と購入する商品6の決済金額との2つの情報を認識した後、表示画面300に決済時間20を表示し、決済時間20の満了後、決済命令を発行する。
【0080】
[3-2:表示画面]
図8は、実施の形態3でのキャッシュレス決済の過程における情報端末3の表示画面300の例を示す。本例では、複数回の静止画の撮影の場合を示すが、動画撮影の場合でも同様に実現できる。
図8の(A)の表示画面300は、携帯端末3のカメラ30によって
図7のQRコード8が捉えられて認識されている状態を示す。この表示画面300では、第1時点で撮影された第1画像において、商品棚50のQRコード8に対応する領域801が認識され、また、QRコード8が認識されたことを表す画像g1や、QRコード8から得られた店舗情報804の画像も表示されている。
【0081】
図8の(B)の表示画面300は、携帯端末3のカメラ30によって、購入対象である第1商品、例えば
図7の商品61とその値札6b1が捉えられて認識されている状態を示す。この表示画面300では、第2時点で撮影された第2画像において、商品61の値札6b1の購入金額9の領域802が認識されて、画像g2が表示されている。また、この表示画面300では、値札6b1から認識された1個の商品61の購入金額9(例えば¥220)を表す画像情報805と、その時点までの購入金額9の合計金額である決済金額(例えば¥220)の画像情報806とが、例えば表示画面300内の上側の領域に重畳表示されている。また、表示画面300の例えば下側の領域には、決済時間20の画像821が表示されている。この画像821は、第1商品までのキャッシュレス決済を行う場合の決済時間20の画像であり、後述するが、この決済時間20の満了前に次の第2商品の購入金額9の認識がされた場合には、決済実行にはならず、(C)のような表示に更新される。
【0082】
図8の(C)の表示画面300は、携帯端末3のカメラ30によって、第2商品、例えば商品64とその値札6b4が認識されている状態を示す。この表示画面300には、第3時点で撮影された第3画像において、商品64の購入金額9(例えば¥64)の画像情報805とその時点の合計の決済金額(例えば¥284)の画像情報806とが重畳表示されている。また、この表示画面300では、第2商品の購入金額9の認識に応じて、決済時間20の表示が更新されて画像822となっている。(B)の決済時間20のタイマのカウントは、第2商品の購入金額9の認識に応じてリセットされ、(C)の決済時間20のタイマのカウントが開始される。本例では、決済時間20は、購入者2による金額等の確認のための時間的余裕を考慮して、例えば10秒として設定されている。決済時間20が満了した時点で、自動的に決済命令が発行される。
【0083】
図8の(D)の表示画面300は、決済処理完了確認時の表示例を示す。この表示画面300では、一定の背景上に、店舗情報804、決済金額の画像情報806、決済処理完了確認のためのメッセージ21、およびキーコード25が表示されている。これにより、購入者2は、キャッシュレス決済の内容と完了を確認できる。無人店舗の場合、これでキャッシュレス決済の手続きが完了する。有人店舗の場合、購入者2は(D)の表示画面300を店員5に見せて、店員5が確認を行えばよい。
【0084】
[3-3:処理フロー]
図9は、実施の形態3でのアプリ41による処理フローを示す。
図9のフローは、前述のフローに対し異なる構成点としては、ステップS31,S32,S33を有する。ステップS10の後、ステップS31で、携帯端末3は、カメラ30による撮影として、例えば第1画像をキャプチャする。ステップS12で、携帯端末3は、第1画像からQRコード8の内容である決済先情報を認識する。QRコード8が認識された場合(YES)、ステップS32で、携帯端末2は、カメラ30による撮影として、第2画像をキャプチャする。ステップS14で、携帯端末3は、第2画像から商品6の値札6bに基づいて購入金額9を認識する。携帯端末3は、購入金額9が認識された場合(S15-YES)、ステップS16で、その時点までの各商品6の購入金額9の合計による決済金額を算出して表示するとともに、決済時間20を表示してタイマを起動させる。
【0085】
ステップS17で、携帯端末3は、所定のキャンセル動作(例えばシェイク動作)を検出した場合(YES)にはステップS31へ戻る。ステップS18で、携帯端末3は、決済時間20のタイマが満了したかを確認し、満了前の場合(NO)、ステップS33で、カメラ30による新たな撮像の動作が有るかどうかを確認する。これは、前述のように購入者2が連続的に次の商品6を購入する場合に対応する確認である。撮像の動作が有る場合(YES)にはステップS32に戻り、無い場合(NO)にはステップS17に戻る。ステップS32に戻った場合、携帯端末3は、新たな画像(例えば第3画像)をキャプチャし、ステップS14以下の処理を同様に繰り返す。その場合、ステップS16での決済時間20の表示の更新の際には、タイマのカウントがリセットされる。決済時間20のタイマが満了した場合(YES)、ステップS19で、携帯端末3は、決済命令を発行する。以降の処理は前述と同様である。
【0086】
[3-4:効果等]
以上のように、実施の形態3によれば、実施の形態1,2と同様の効果に加え、無人店舗等の場合でも有人店舗の場合とほぼ同様の方式でキャッシュレス決済が可能である。実施の形態3では、店舗1側の設備としては、キャッシュレジスタ等のストア端末7の設備を必要とせず、よって、設備投資の少ない店舗1への適用に好適である。
【0087】
実施の形態3の変形例として以下も可能である。まず、
図7で、店舗1内の商品6に値札6bとして商品管理用のバーコード等が記載されたタグが設けられている場合、以下のように対応できる。携帯端末3は、カメラ30の画像に基づいて、QRコード8から決済先情報を認識した後、購入する商品6の値札6bからバーコードを認識して、購入金額等の情報を得る。携帯端末3は、表示画面300にその購入金額や、合計による決済金額等の情報を表示する。そして、携帯端末3は、決済時間20を表示し、前述と同様に処理を行う。
【0088】
実施の形態3では、
図8のように購入する商品6毎の購入金額9の認識に応じて決済時間20を更新する構成を示したが、これに限らず可能である。変形例では、情報端末3は、表示画面300内に、合計金額すなわち決済金額を算出および表示させるためのボタン等のGUI部品を設ける。このボタンは、言い換えれば、決済実行へ移行させる指示のためのボタンである。情報端末3は、購入者2がそれらのボタン等を操作した場合、表示画面300にはじめて決済時間20を表示し、タイマのカウントを開始し、満了後に決済命令を発行する。他の変形例としては、携帯端末3は、決済時間20の経過後に、表示画面300に、最終確認用の決済命令発行のためのボタン等を表示し、そのボタン等の操作に応じて決済命令を発行してもよい。
【0089】
<実施の形態4>
図10を用いて、本発明の実施の形態4について説明する。実施の形態4では、情報端末3としてHMD(ヘッドマウントディスプレイ)やウェアラブル端末を用いる場合を示す。
【0090】
[4-1:キャッシュレス決済システム]
図10は、実施の形態4のキャッシュレス決済システムの構成を示す。このキャッシュレス決済システムは、購入者2の情報端末3(キャッシュレス決済端末)を構成する2台のデバイスを有し、それらのうち第1情報端末としてのHMD3Aと、第2情報端末としてのウェアラブル端末3Bとを有する。HMD3Aは、購入者2が頭部に装着し、購入者2の視界に対応させた表示画面300A(例えばシースルー型の表示面)に、拡張現実(AR)等に対応する画像を表示可能な機能を持つデバイスである。ウェアラブル端末3Bは、例えば購入者2が腕部に装着するスマートウォッチであり、表示画面300Bに画像を表示可能である表示機能を有する。ウェアラブル端末3Bは、表示機能を用いて、店員5に対し前述の決済処理完了確認情報を見せることができる。
【0091】
HMD3Aとウェアラブル端末3Bは、例えばBluetooth(登録商標)等の通信インタフェースによる低電力通信・近距離通信で接続され、両者が連携して機能する。HMD3Aは、アプリ(キャッシュレス決済アプリ)41Aおよびカメラ70等を備える。ウェアラブル端末3Bは、アプリ41Aと連携するアプリを備えてもよい。ウェアラブル端末3Bは、表示機能を持つデバイスであればよく、他にはスマートフォン等でもよい。
【0092】
購入者2は、キャッシュレス決済の際には、HMD3Aのカメラ70によって、QRコード8と購入金額9を撮影する。HMD3Aは、カメラ70の撮影画像から、QRコード8の認識によって決済先情報を取得し、購入金額9の認識によって決済金額を取得する。HMD3Aは、2つの情報を認識すると、表示画面300Aに決済時間20を表示し、決済時間20の満了に応じて決済命令をサーバ12に送信する(信号4a)。サーバ12は、受信した決済命令における、購入者2および情報端末3(HMD3A)の情報と、決済先情報と、決済金額情報とを用いて、キャッシュレス決済処理を実行する。サーバ12は、決済処理完了確認情報をHMD3Aに送信する(信号4b)。サーバ12は、情報端末3側と対応させた決済処理完了確認情報をストア端末7に送信してもよい(信号4c)。
【0093】
HMD3Aは、サーバ12から受信した決済処理完了確認情報に基づいて、キーコード等の情報を信号4dとしてウェアラブル端末3Bに転送する。ウェアラブル端末3Bは、そのキーコード等の情報を表示画面300Bに表示する。購入者2は、ウェアラブル端末3Bの表示画面300Bに表示されたキーコード等の情報を店員5に見せる。これにより、購入者2と店員5は、キャッシュレス決済処理の完了が確認できる。
【0094】
[4-2:表示画面]
図11は、実施の形態4でのキャッシュレス決済の過程におけるHMD3Aおよびウェアラブル端末3Bの表示画面例を示す。
図11の(A)は、HMD3Aでの表示画面300Aの例を示す。この表示画面300Aでは、カメラ70の撮影画像の中から、QRコード8の領域1101が認識されて、枠等の画像g1が表示され、また、購入金額9の領域1102が認識されて、枠等の画像g2が表示されている。さらに、この表示画面300Aでは、それらの2つの情報の認識に応じて、例えば上側の領域に、決済時間20の画像が重畳表示されている。HMD3Aは、決済時間20が満了した時、決済命令を発行してサーバ12に送信する。
【0095】
図11の(B)は、HMD3Aでの決済処理完了確認情報を表示する表示画面300Aの例を示す。この表示画面300Aでは、サーバ12から受け取った決済処理完了確認情報に基づいて、メッセージ21およびキーコード25が重畳表示されている。これにより、購入者2は、キャッシュレス決済処理の完了を確認できる。HMD3Aは、決済処理完了確認情報のうちのキーコードと決済金額とを含む情報をウェアラブル端末3Bに転送する(信号4d)。
【0096】
図11の(C)は、ウェアラブル端末3Bの表示画面300Bの例を示す。ウェアラブル端末3Bは、HMD3Aから受信した情報に基づいて、表示画面300Bに、キーコード25と決済金額24とを表示する。購入者2は、この表示画面300Bを店員5に見せる。これにより、店員5もキャッシュレス決済処理の完了を確認できる。ストア端末7の店員5側の表示装置にサーバ12からの決済処理完了確認情報のキーコード等が表示されている場合、店員5は、そのキーコードと、購入者2側の表示画面300Bのキーコード25とを比較して確認ができる。なお、実施の形態4を無人店舗に適用する場合、ウェアラブル端末3Bの表示画面300Bを店舗1側の店員5に見せる手順については省略される。
【0097】
[4-3:HMD]
図12は、HMD3Aの外観構成例を示す。HMD3Aは、カメラ70、測距デバイス71、投影光学系72(72a,72b)、レンズやスクリーン等の表示光学系73、ノーズパッド74、コントローラ75、スピーカ76、マイク77、フレーム筐体78(78a,78b,78c)等を有する。フレーム筐体78(78a,78b,78c)には、コントローラ75、カメラ70、測距デバイス71、スピーカ76、およびマイク77等が配置されている。配置は
図12の通りでなくてもよい。ユーザは、フレーム筐体78とノーズパッド74によってHMD3Aを顔部に装着する。
【0098】
カメラ70は、ユーザの視線前方を撮影するように取り付けられている。測距デバイス71は、カメラ70の撮影画像が捉える現実空間の現実物体との距離を測定する。測距デバイス71は、現実物体の輪郭等の特徴点に対してステレオカメラのような方式で距離を算出するものでもよいし、TOF(Time Of Flight)方式のように2次元的に光線を照射して距離を計測するものでもよい。測距デバイス71は、HMD3Aと撮影される現実物体との距離を測定できるものであればよい。
【0099】
HMD3Aの表示部(表示画面300A)は、投影光学系72と表示光学系73によって構成されている。投影光学系72(72a,72b)は、コンピュータグラフィックス等で作成した仮想物体の画面(対応する仮想画像)を、左目で確認する画像と右目で確認する画像として、表示光学系73に投影して表示する。購入者2は、前方の風景や現実物体を、表示光学系73を透過して見ることができ、投影光学系72から投影する仮想物体の画面は、表示光学系73を介して、現実空間の現実物体と区別しやすい任意の位置に表示させることができる。HMD3Aは、測距デバイス71による測拒情報を用いて、選択した位置に仮想物体の画面を表示してもよい。なお、測距デバイス71が無い構成でもよい。この場合、仮想物体の画面は、現実空間内のプリセットした位置に表示される。
【0100】
コントローラ75は、カメラ70で撮影した現実空間の画像、測距デバイス71で取得した現実物体等の現実空間内の位置データを取り込み、内部のメモリやCPUに供給する。さらに、コントローラ75は、投影光学系72で投影する画像や、スピーカ76に出力する音を作成する。
【0101】
図13は、HMD3Aの機能ブロック構成例を示す。HMD3Aのコントローラ75は、通信部83、CPU84、RAM85、画像RAM86、フラッシュROM87、距離算出処理部81、センサ群82等を有し、これらが内部バス80に接続されている。また、内部バス80には、カメラ70、測距デバイス71、投影光学系72、表示光学系73、スピーカ76、マイク77等が接続されている。HMD3Aは、ジャイロセンサ、加速度センサ、地磁気センサ、位置センサ(GPS受信器)、視線検出センサ等を含むセンサ群82を内蔵している。コントローラ75は、センサ群82の検出情報を用いながら制御を行う。
【0102】
投影光学系72は、左側の投影光学系72aによる左目の画像と右側の投影光学系72bによる右目の画像とを独立に表示光学系73に投影させる。投影光学系72は、他に、1つのプロジェクタでインタリーブした左目の画像と右目の画像を投影し、シャッタ光学系で、左目の画像と右目の画像をそれぞれの目に透過させるものであってもよい。さらには、投影光学系72は、ホログラフィックレンズを用いた光学系としもよい。
【0103】
通信部83は、モバイル通信、無線LAN、近距離通信等の複数の通信インタフェースに対応する複数の通信機能を有する。近距離通信は、例えばBluetooth(登録商標)等を適用できる。通信部83は、HMD3Aを、
図1の基地局10を介してネットワーク11に接続する。また、通信部83は、BlueTooth通信等によって、ウェラブル端末3Bとの間で一対一通信を行う。
【0104】
フラッシュROM87には、格納されている処理プログラムとして、基本動作プログラム88や、アプリ(キャッシュレス決済アプリ)41Aが含まれる。CPU84によってこれらのプログラムがRAM85に展開されてそのプログラムに従った処理が実行されることで、HMD3Aの各機能が実現される。また、フラッシュROM87には、プログラム処理の過程および結果で発生するデータを格納できる。また、投影光学系72に送出する画像データは、画像RAM86に格納され、画像RAM86から読み出される。
【0105】
[4-4:処理フロー]
図14は、実施の形態4でのアプリ41Aの処理フローを示す。HMD3Aは、ステップS50で、アプリ41Aを起動し、サーバ12にログインする。ステップS51で、HMD3Aは、カメラ70による撮影(なお静止画でも動画でもよい)を行い、撮影画像をRAM85にキャプチャする。ステップS52で、HMD3Aは、撮影画像をスキャンしてQRコード8を認識して決済先情報を取得する。QRコード8の認識ができない場合(S53-NO)にはステップS51に戻る。QRコード8の認識ができた場合(S53-YES)、ステップS54で、HMD3Aは、撮影画像をスキャンして購入金額9に対応する決済金額を認識する。購入金額が認識できない場合(S55-NO)にはステップS51に戻る。
【0106】
ステップS56で、HMD3Aは、表示画面300Aに決済時間20を表示し、タイマを起動させる。ステップS57で、HMD3Aは、決済時間20の途中にキャンセル動作を検出した場合(YES)にはステップS51に戻る。実施の形態4では、このキャンセル動作は、例えば、購入者2が頭部(対応するHMD3A)を振るシェイク動作である。アプリ41Aには、予め、そのシェイク動作がキャンセル動作として設定されている。HMD3Aは、センサ群82によってシェイク動作を検出できる。
【0107】
ステップS58で、決済時間20のタイマが満了した場合(YES)、ステップS59で、HMD3Aは、決済命令を発行してサーバ12へ送信する。ステップS60で、HMD3Aは、サーバ12からの決済処理完了確認情報を受けると、表示画面300Aに、
図11の(B)の例のように、決済処理完了確認情報を表示する。ステップS61では、HMD3Aは、決済処理完了確認情報におけるキーコードと決済金額とを含む情報をウェアラブル端末3Bへ転送する。ウェアラブル端末3Bは、HMD3Aから受信した情報に基づいて、表示画面300Bに、決済処理完了確認情報におけるキーコードと決済金額とを表示する。ステップS62で、手続きを継続する場合(YES)にはステップS51に戻り、終了する場合(NO)には、ステップS62で、HMD3Aは、サーバ12からログアウトして、アプリ41Aを終了させる。
【0108】
[4-5:効果等]
以上のように、実施の形態4によれば、実施の形態1等と同様の効果に加え、購入者2は、
図10のような2つのデバイスを用いることで、商品6の購入に伴うキャッシュレス決済をハンズフリーで行うことができる。
【0109】
<実施の形態5>
図15を用いて、本発明の実施の形態5について説明する。実施の形態5では、音声信号を用いる場合を示す。
【0110】
[5-1:キャッシュレス決済システム]
図15は、実施の形態5のキャッシュレス決済システムの構成を示す。
図15の構成は、
図10の構成と主に異なる点として、購入者2は、HMD3Aを装着しているがウェアラブル端末3Bを装着していない点がある。また、購入者2(またはHMD3A)から、音声信号1501によって、決済処理完了確認情報(例えばキーコード)を店員5に伝える点がある。
【0111】
[5-2:表示画面]
実施の形態5でのキャッシュレス決済の過程におけるHMD3Aの表示画面300Aの例は、前述の
図11の(A),(B)と同様である。実施の形態5では、購入者2は、サーバ12からHMD3Aに得て表示画面300Aに表示された決済処理完了確認情報におけるキーコード25(例えば
図11の(B))を、購入者2による発声によって、音声信号1501として、店員5に伝える。
【0112】
本例では、キーコード25は、
図11の(B)のように、複数(例えば4個)の英数字列から構成されている。購入者2は、キーコード25の複数の英数字列の中から、任意の1つを選び、あるいは、予め定められた箇所(例えば最も下の4桁)の英数字列を選び、選んだ英数字列を、音声信号1501によって店員5に伝える。店員5は、音声信号1501によって伝えられた英数字列と、ストア端末7の店員5側の表示装置に表示された決済処理完了確認情報のキーコードとから、キャッシュレス決済の完了を確認する。
【0113】
[5-3:処理フロー]
実施の形態5でのHMD3Aのアプリ41Aによる処理フローは、
図4の実施の形態1のフローや
図14の実施の形態4のフローと概略同様であるが、異なる点としては以下がある。
図14のフローのステップS60の後、ステップS61の代わりに、購入者2は、HMD3Aの表示画面300Aに表示された決済処理完了確認情報におけるキーコード25(例えば
図11の(B))を、音声信号1501によって店員5に伝える。
【0114】
[5-4:効果等]
以上のように、実施の形態5によれば、購入者2は、ウェアラブル端末3Bを必要とせず、HMD3Aによって、商品の購入に伴うキャッシュレス決済をハンズフリーで行うことができ、店舗属性に係らずにほぼ同一の方式でキャッシュレス決済を行うことができる。
【0115】
実施の形態5の変形例として以下も可能である。HMD3Aが音声合成および音声出力機能を持つ場合、HMD3Aがその機能を用いて、決済処理完了確認情報におけるキーコード25を音声信号1501に変換して出力してもよい。この場合、購入者2による発声を省略できる。
【0116】
<実施の形態6>
図16,
図17を用いて、本発明の実施の形態6について説明する。実施の形態6において、
図1のシステムや
図3の情報端末3等が概ね共通に適用できる。
【0117】
[6-1:表示画面]
図16は、実施の形態6でのキャッシュレス決済の過程における情報端末3の表示画面300の例を示す。情報端末3のカメラ30は、撮像の際、
図1のようなストア端末7を捉えて、表示画面300に映し出す。
図16の表示画面300では、撮影画像の中からQRコード8の領域1601と購入金額9の領域1602が認識されており、枠等の画像g1,g2も表示されている。さらに、情報端末3は、この表示画面300に、GUI部品として、決済取消ボタン1611と決済実行ボタン1612とを表示し、購入者2に操作を促している。情報端末3は、購入者2による決済取消ボタン1611の押下操作を受けた場合、決済の手続きをキャンセルするように制御する。情報端末3は、購入者2による決済実行ボタン1612の押下操作を受けた場合、決済命令を発行しサーバ12に送信する。サーバ12での決済処理の完了後、情報端末3で決済処理完了確認情報を表示する表示画面300の例は、前述の
図2の(B)と同様となる。このように、実施の形態6では、情報端末3は、2つの情報の認識後、前述の決済時間20の表示を省略し、決済実行ボタン1612等を表示する。
【0118】
[6-2:フロー]
図17は、実施の形態6での情報端末3のアプリ41による処理フローを示す。
図17のフローは、
図4の実施の形態1のフローと異なる点として、前述のステップS16~S18の代わりに、ステップS601~S603を有する。情報端末3は、QRコード8と購入金額9との2つが認識された後(S15-YES)、ステップS601で、
図16の表示画面300のような決済前画面を表示する。ステップS602では、情報端末3は、決済前画面での決済取消ボタン1611の操作が有る場合(YES)、ステップS11に戻る。ステップS603では、情報端末3は、決済実行ボタン1612の操作が有る場合(YES)にはステップS19に進み、無い場合(NO)にはステップS602に戻る。ステップS19で、情報端末3は、決済命令を発行する。
【0119】
[6-3:効果等]
以上のように、実施の形態6では、決済時間20を待つことの代わりに、購入者2による決済実行ボタン1612等の入力操作となり、実施の形態1と同様の効果が得られる。なお、実施の形態6の変形例として、情報端末3の表示画面300に、実施の形態1のように決済時間20を表示すると共に、
図16のように決済実行ボタン1612等を表示してもよい。この場合、購入者2は、決済時間20の途中でボタンを操作する場合には決済のキャンセルまたは実行が可能であると共に、決済時間20の満了時には自動的に決済の実行が可能である。
【0120】
<実施の形態7>
図18を用いて、本発明の実施の形態7について説明する。実施の形態7では、
図10の実施の形態4や
図15の実施の形態5と同様に、HMDを用いる。
【0121】
[7-1:表示画面]
図18は、実施の形態7でのキャッシュレス決済の過程におけるHMD3Aの表示画面300Aの例を示す。
図18の表示画面300Aは、カメラ70の撮影画像の中からQRコード8の領域1801と購入金額9の領域1802が認識されており、枠等の画像g1,g2も表示されている。さらに、HMD3Aは、表示画面300Aに、GUI部品として、「ジェスチャ1で決済取消」ボタン1811と、「ジェスチャ2で決済実行」ボタン1812とを表示し、購入者2に操作を促す。予め、HMD3Aのカメラ70やセンサ群82(
図13)によって検出可能である所定のジェスチャが規定されている。例えば、第1ジェスチャ(「ジェスチャ1」)は、HMD3Aの表示画面300Aの前にユーザが指を置き、その指を左方向に動かす動作であり、第2ジェスチャ(「ジェスチャ2」)は、指を右方向に動かす動作である。これらのジェスチャの詳細については限定せず、カメラ70等を用いて区別して検出できるジェスチャであればよい。
【0122】
購入者2は、表示画面300Aを見て、所定のジェスチャによって、決済に係わる操作を行う。購入者2は、決済を取り消す場合には「ジェスチャ1」を行い、実行する場合には「ジェスチャ2」を行う。HMD3Aは、購入者2による「ジェスチャ1」を認識した場合には、「ジェスチャ1で決済取消」ボタン1811を押すように表示状態を更新し、決済をキャンセルする。HMD3Aは、「ジェスチャ2」を認識した場合には、「ジェスチャ2で決済実行」ボタン1812を押すように表示状態を更新し、決済命令を発行する。決済完了確認時の表示画面300Aは、例えば
図11の(B)と同様となる。
【0123】
変形例として、HMD3Aが視線センサを備える場合には、視線センサによって購入者2の視線を検出し、予め規定された視線操作を検出した場合に、上記のような決済取り消しまたは決済実行と対応付けて制御してもよい。視線操作は、例えば、視線が左を向く操作や右を向く操作が挙げられる。あるいは、他の視線操作は、「ジェスチャ1で決済取消」ボタン1811等を注視する操作としてもよい。
【0124】
[7-2:フロー]
実施の形態7でのHMD3Aのアプリ41Aによる処理フローは、実施の形態6の
図17のフローと概略同様であるが、異なる点として、ステップS601~S603は、以下のようなステップとなる。ステップS601で、HMD3Aは、
図18の表示画面300Aのような決済前画面を表示する。ステップS602で、HMD3Aは、「ジェスチャ1で決済取消」ボタン1811に対応する「ジェスチャ1」を検出した場合(YES)にはステップS11に戻る。ステップS63で、HMD3Aは、「ジェスチャ2で決済実行」ボタン1812に対応する「ジェスチャ2」を検出した場合(YES)にはステップS19へ進み、検出しない場合(NO)にはステップS602に戻る。
【0125】
[7-3:効果等]
以上のように、実施の形態7によれば、HMDでのジェスチャを用いて、実施の形態6と同様の効果が得られる。
【0126】
<実施の形態8>
図19を用いて、本発明の実施の形態8のキャッシュレス決済システム等について説明する。実施の形態1等では、時間的な順序として、先にQRコードの決済先情報を認識し、後に決済金額を認識する方式を示した。それに対し、実施の形態8では、時間的な順序として、先に決済金額を認識し、後にQRコードの決済先情報を認識する方式を示す。実施の形態8でも、実施の形態1の
図1のような環境を同様に適用できる。
【0127】
[8-1:処理フロー]
図19は、実施の形態8での情報端末3のアプリ41による処理フローを示す。本例では、カメラ30による撮影画像として動画を用いる場合を示すが、複数の静止画を用いる場合も同様に可能である。
図19のフローは、
図6の実施の形態2でのフローに対し、異なる点として、ステップS12~S15の代わりに、ステップS81~S84を有し、図示の通り、2つの情報の認識の順序が逆となっている。情報端末3は、ステップS11Bで、カメラ30による動画の撮影を開始する。情報端末3は、ステップS81で、動画のうちの第1画像からのスキャンによって購入金額9に対応する決済金額を認識する。購入金額9の認識が有る場合(YES)、ステップS82で、情報端末3は、動画のうちの第2画像からのスキャンによってQRコード8の決済先情報を認識する。なお、第2画像が第1画像と同じでもよい。すなわち1枚の画像から購入金額9とQRコード8との両方が認識できる場合にも、同様の判断が成立する。情報端末3は、上記2つの情報の認識後(S84-YES)、ステップS16以降の処理を前述の形態と同様に行う。
【0128】
[8-2:効果等]
以上のように、実施の形態8でも、実施の形態1と同様の効果が得られる。実施の形態8の場合、1つ以上の購入金額9を認識した後、1つのQRコード8を認識すれば、決済時間20の表示へ遷移できる。
【0129】
[8-3:変形例]
図20は、実施の形態1や実施の形態8に関する変形例における情報端末3の処理フローを示す。この変形例は、実施の形態1と実施の形態8を1つに併合した形態と捉えることができる。すなわち、この変形例は、カメラ撮影画像から
図1のようなQRコード8と1つ以上の購入金額9との2種類の情報を認識する際に、それらの認識の順序がいずれであっても構わず、任意の順序で対応できるという構成を示す。
【0130】
図20のフローは、前述のフローの構成に対し、異なる点として、ステップS85,S86を有する。ステップS11Bで、情報端末3は、カメラ30による動画の撮影を開始する。ステップS85で、情報端末3は、動画のうちの任意の画像からのスキャンによって、QRコード8と購入金額9との2つの情報を、任意の順序で認識する。情報端末3は、ステップS86で、それらの両方の情報が認識できたか確認し、認識できるまで(S86-NO)、ステップS85に戻って繰り返す。2つの情報の認識後(S86-YES)、ステップS16以降の処理が、前述と同様に行われる。
【0131】
<実施の形態9>
図21~
図23を用いて、本発明の実施の形態9について説明する。実施の形態9は、実施の形態1等の変形例であり、購入金額の認識処理に関する詳細構成例を示す。
【0132】
[9-1:処理フロー]
図21は、実施の形態9での情報端末3のアプリ41による処理フロー例を示す。このフローは、特に、実施の形態1の
図4のフロー中のステップS14の購入金額の認識処理に関する詳細構成例を示す。この構成例は、各実施の形態のフローにおける同様のステップにも適用できる。この構成例は、店舗1の環境等に応じて、カメラ撮像画像内に真の購入金額9の文字列(数字列等)以外の文字列が含まれてしまう場合等に有効である。
【0133】
図22の情報端末3の表示画面300は、店舗1内のストア端末7の付近をカメラ30で撮影した場合の画像の一例を示す。本例では、ストア端末7に掲示されているQRコード8や購入金額9の近くに、広告物2200がある。この画像には、QRコード8の領域2201や購入金額9の領域2202だけでなく、広告物2200に記載の文字列2203(例えばセールス商品の金額)が写っている。このような場合に、画像内の複数の文字列から、正しい購入金額9を認識する必要がある。
【0134】
図21で、決済金額の認識のステップS14は、ステップS91,S92,S93,S94を有する。ステップS91では、情報端末3は、カメラ撮像画像から、文字列をスキャンして検出する。この際、
図22の画像例では、購入金額9の領域2202の文字列と、広告物2200の文字列2203とが、候補として検出されることになる。ステップS91の際、情報端末3は、例えば、カメラ撮影画像内の領域において、それよりも小さいサイズの矩形領域を動かしながら探索して、その矩形領域に含まれる数字列を、候補文字列として検出する。
【0135】
なお、情報端末3は、撮影画像から数字列が認識できない場合には、例外的な処理として、音声認識機能を用いることで、店員5または購入者2が音声で読み上げた数字列を、購入金額9の候補文字列としてもよい。例えば、情報端末3は、画像から認識できない場合に、音声で読み上げるように、ガイダンスを購入者2等に出力してもよい。このように、画像認識とは別途に音声認識を利用する形態も可能である。また、それに限らず、カメラ撮影画像からの購入金額9の認識と並列に、最初から音声入力による音声認識を行う形態としてもよい。店舗1が有人店舗である場合で、店員5による音声情報が利用できる場合には、それを補助的に利用できる。
【0136】
ステップS92は、ステップS91で検出した候補文字列に関して、真の購入金額9に相当するかどうかを評価する処理のステップである。ステップS92は、詳細には、例えば、項目A~項目Eに対応して、ステップS92A~S92Eを有する。これらの各ステップは、評価項目毎の評価処理のステップである。情報端末3は、候補文字列毎に、評価項目毎の評価処理を行い、それぞれ評価値であるスコアを算出する。評価項目数やその処理内容は、これに限らず、より多くても少なくてもよい。また、評価処理を試みた結果、評価ができなかった項目が生じても構わない。
【0137】
ステップS92Aの項目Aの評価処理は、評価対象の数字列(候補文字列)を含むカメラ撮影画像において、背景に、ストア端末7(または表示装置7b)らしきものがあるかどうかに関する評価処理である。あるいは、その候補文字列とその近傍のストア端末7等の部分との距離の近さに関する評価処理である。情報端末3は、この評価処理の際、ストア端末7(または表示装置7b等)の形状や色のデータを用いてもよい。例えば、候補文字列の背景にストア端末7が写っている場合には、この項目Aのスコアが高くされる。
【0138】
ステップS92Bの項目Bの評価処理は、画像内で、候補文字列に対し、前後のいずれかに、特定の記号、例えば通貨記号(例えば“¥”や“円”等)があるかどうかに関する評価処理である。情報端末3は、この評価処理の際、予め設定された特定の記号を含む認識対象フォーマット情報に基づいて評価処理を行う。
【0139】
ステップS92Cの項目Cの評価処理は、画像内の候補文字列に対し、店員5または購入者2が音声で読み上げて音声認識結果として入力された数字列がある場合に、それらが等しいかまたは類似かどうかに関する評価処理である。
【0140】
ステップS92Dの項目Dの評価処理は、画像内の候補文字列の位置が、認識されたQRコード8の位置に対して近いかどうかに関する評価処理である。
図22のように、店舗1内で購入金額9とQRコード8とがある程度近い位置に配置されている構成の場合、この項目Dの評価処理が行われる。例えば、検出された候補文字列の位置が、認識されたQRコード8の位置に対して近いほど、この項目Dのスコアが高くされる。
【0141】
ステップS92Eの項目Eの評価処理は、カメラ30の画像内における候補文字列の位置が、カメラ30の画像の中心位置に対し近いかどうかに関する評価処理である。中心に近いほど、この項目Eのスコアが高くされる。
【0142】
ステップS93は、ステップS92の評価の結果である候補文字列毎の評価項目毎のスコアに基づいて、総合的スコア、言い換えると総合的評価値を計算し、その総合的スコアから、最も購入金額9に相当すると推定される文字列を判断し選択する処理のステップである。ステップS93では、情報端末3は、例えば、候補文字列毎に、評価項目毎のスコアを重み付け加算したスコアを総合的スコアとして算出する。情報端末3は、得られた候補文字列毎の総合的スコアのうち、予め設定された最低限の総合的スコア閾値以上となるものの中から最大値のものを選択し、それに対応する候補文字列を、真の購入金額9と推定されるものとして決定する。なお、上記算出された総合的スコアにおいて、総合的スコア閾値未満のものしか無い場合、その画像には真の購入金額9が無いと判断され、他の画像からの評価処理を行うように制御される。
【0143】
ステップS94は、ステップS93の選択結果の候補文字列に従って、購入金額9に対応する決済金額を認識する処理のステップである。
図22の例では、ステップS94までの結果、領域2202の数字列が、購入金額9として認識されることになる。
【0144】
[9-2:効果等]
上記のように、実施の形態9によれば、カメラ画像内に複数の文字列が写るような場合でも、自動的に真の購入金額9を認識して、キャッシュレス決済を行うことができる。
【0145】
図23は、実施の形態9の変形例における情報端末3の表示画面300の例を示す。情報端末3は、
図21の評価処理の結果に基づいて、この表示画面300で、総合的スコアの順序で、上位のいくつかの候補文字列(例えば総合的スコア閾値以上のもの)を、購入金額候補リスト2300として表示する。本例では、カメラ撮影画像上の下側領域に購入金額候補リスト2300の画像が重畳表示されている。本例では、購入金額候補リスト2300において、総合的スコア順に上位の3個の候補文字列が表示されている。1番上にある、総合的スコアが最も高かった候補文字列「¥12,765」は、例えば、仮選択状態とされて、それを表す枠等の画像g23を付けて強調表示されている。2番目の文字列「¥777」や3番目の文字列「36,958」は、評価対象画像に写っていた他の文字列である。購入者2は、この購入金額候補リスト2300中から、タッチ操作等の操作によって、1つの文字列(例えば「¥12,765」)を購入金額9として選択し設定できる。
【0146】
また、変形例として、情報端末3は、図示のように、表示画面300内に、GUI部品として、「次候補」ボタン2301や「選択」ボタン2302等を表示してもよい。「次候補」ボタン2301は、購入金額候補リスト2300中の複数の候補のうちの仮選択状態の1つの候補を、次(例えば1つ下)の候補に変更するためのボタンである。なお1番下の候補からは1番上の候補に巡回するように戻る。「選択」ボタン2302は、その時の購入金額候補リスト2300中の仮選択状態の候補を購入金額9として選択・決定するためのボタンである。
【0147】
他の変形例として、情報端末3は、
図22の表示画面300の例で、カメラ画像から認識した各候補文字列の領域2201,2202を、例えば枠の画像を付ける等して強調表示する。そして、購入者2は、その表示画面300の画像から、自身が購入金額9として選択したい候補文字列の部分を、タッチ操作あるいは注視等の操作によって選択する。情報端末3は、購入者2が操作によって選択した候補文字列を、購入金額9として決定する。なお、上記のように表示画面300内のカメラ撮影画像から購入金額9を認識しようとする際に、一旦認識済みのQRコード8の部分については、その画像内に写っていない状態でもよい。
【0148】
<実施の形態10>
図24~
図26を用いて、本発明の実施の形態10について説明する。実施の形態10は、情報端末3とストア端末7との間で一部の通信を行う構成例を示す。
【0149】
[10-1:キャッシュレス決済システム]
図24は、実施の形態10でのキャッシュレス決済システムの構成を示す。この構成は、
図1と多くの部分は同様であるが、異なる構成点として、情報端末3とストア端末7との間で一部の情報に関する通信を行う点がある。本例では、情報端末3は、ストア端末7から、例えば近距離無線通信によって決済金額情報を取得する。この決済金額情報は、購入金額9(対応する決済金額)に関する情報である。信号4eおよび信号4fは、その通信の際の信号例である。信号4eは、情報端末3からストア端末7へ決済金額情報の要求を送信する場合の信号や、キーコード情報を送信する場合の信号である。信号4fは、ストア端末7から情報端末7へ応答として決済金額情報を送信する場合の信号である。
【0150】
また、実施の形態10では、情報端末3のカメラ30による撮影画像としては、少なくともQRコード8を捉えればよく、表示装置7dに表示された購入金額9の撮影は必須ではない。例えば、情報端末3は、カメラ30の画像からQRコード8のみを認識して決済先情報を得る。なお、QRコード8内に、情報端末3からストア端末7へ通信でアクセスするための情報(例えばストア端末7の通信ID等)が記述されていてもよい。
【0151】
また、実施の形態10では、情報端末3での決済処理完了確認情報の表示の際、前述のキーコード(例えば
図2の(B)のキーコード25)の情報を、上記近距離無線通信によって、ストア端末7に送信してもよい。ストア端末7は、受信したキーコードを、店員55側の表示画面に表示する。
【0152】
[10-2:処理フロー]
図25は、実施の形態10での情報端末3の処理フローを示す。
図25のフローは、
図6のフローに対し異なる点としては、ステップS101,S102,S103を有する。例えば、ステップS11Bで、情報端末3は、カメラ30による動画の撮影を開始する。ステップS12で、情報端末3は、カメラ撮影画像からQRコード8を認識し、決済先情報等を得る。QRコード8が認識できた場合(S13-YES)、ステップS101で、情報端末3は、自動的に、ストア端末7の通信ID等を用いて、ストア端末7との間での近距離無線通信による無線接続を要求する。この際の通信は、例えばBluetooth(登録商標)を用いることができる。この無線接続要求に基づいて、情報端末3とストア端末7との間での無線接続が確立される。確立に基づいて、情報端末3は、ストア端末7に、決済金額情報の要求を信号4eとして送信する。ストア端末7は、要求に対し、ストア端末7で読み取った1つ以上の購入金額9の合計による決済金額を含む決済金額情報を、応答の信号4fとして情報端末3へ送信する。情報端末3は、その決済金額情報を受信して取得し、決済金額として把握する。情報端末3は、表示画面300に、ストア端末7から得た決済金額の情報を表示してもよい。
【0153】
また、次のステップS102では、情報端末3は、カメラ30の撮影画像から、ストア端末7の表示装置7bに表示されている購入金額9の文字列が認識できた場合には、その購入金額9の文字列も取得して表示画面300内に画像情報を表示してもよい。このステップS102を省略する形態としてもよい。
【0154】
その後、ステップS15で、情報端末3は、キャッシュレス決済処理に使用するための決済金額が認識・取得できたかを確認し、認識・取得できた場合(YES)にはステップS16へ進み、認識・取得できない場合(NO)にはステップS102へ戻る。特に、情報端末3は、ステップS101でストア端末7から取得した決済金額と、ステップS102でカメラ画像から取得した決済金額とを比較して一致するか確認してもよい。それらが一致しない場合、一方の情報が誤っている可能性があるので、情報端末3は、ステップS102またはステップS101、あるいは最初の方のステップに戻って、プロセスをやり直してもよい。
【0155】
ステップS16では、情報端末3は、決済時間20を表示画面300に表示する。ステップS17,S18は前述と同様の処理である。その後、ステップS103で、情報端末3は、決済命令を発行し、サーバ12からの決済処理完了確認情報を受信して表示画面300に表示する。また、情報端末3は、決済処理完了確認情報のうちのキーコードを含む情報を、信号4eとして、ストア端末7へ送信する。この際、ストア端末7へ送信されるキーコード情報は、文字情報としてもよいし、画像情報としてもよい。ストア端末7は、情報端末3から得たキーコードを店員5側の表示画面に表示する。これにより、店員5は、そのキーコードを見て決済処理完了を確認できる。
【0156】
[10-3:表示画面]
図26は、情報端末3の表示画面300の例を示す。(A)の表示画面300の例は、ステップS101の際にストア端末7から取得した決済金額情報を表示する場合の例である。本例では、QRコード8や表示装置7dの購入金額9が写っているカメラ撮影画像上の例えば下側領域に、ストア端末7から取得した決済金額情報による決済金額の画像2601が重畳表示されている。同様に、情報端末3は、ステップS102で購入金額9を認識した場合には、その認識した文字列を表示画面300に表示してもよい。
【0157】
(B)の表示画面300の例は、サーバ12から得た決済処理完了確認情報のうちのキーコード25を表示する例であり、このキーコード25が、情報端末3からストア端末7へ送信するキーコードに相当する。本例では、情報端末3のカメラ30から見える店舗1内の様子、特にストア端末7および表示装置7bの購入金額9を含む様子が撮影された画像上に、キーコード25の画像が重畳表示されている。
【0158】
(C)の表示画面300の例は、キーコード25に関する他の表示例を示す。この表示画像300の画像例は、購入者2による自分撮影によって購入者2自身の顔2603を含む様子が撮影された画像であり、その画像上に、キーコード25の画像が重畳表示されている。
【0159】
情報端末3は、例えば(B)と(C)とのいずれかの画像を含むキーコード情報をストア端末7へ送信する。なお、上記で、情報端末3からストア端末7に送信する情報は、キーコード25の文字情報または画像情報のみとしてもよいし、カメラ撮影画像にキーコード25の画像を重畳したものとしてもよいし、それらのセットの情報としてもよい。
【0160】
店員5側から(B)または(C)のようなキーコード画像情報を見た場合、(C)のように購入者2の顔2603が映っている場合の方が、最も人違いの可能性が少なく、確実な確認が可能である。しかし、自分の顔画像を店舗1側に提供することを嫌がるユーザや、HMDのように自分の顔画像を撮影できないデバイスの場合には、(B)のようなキーコード画像を送信すればよい。(B)の画像は、購入者2が立っている位置からストア端末7または店員5の方を見た位置関係での像である。そのため、店員5は、確認時に、この画像から分かる位置関係から、目の前のユーザ(購入者2)からの通信であること、すなわち正しい決済対象者であることを確認できる。
【0161】
<実施の形態11>
図27を用いて、本発明の実施の形態11について説明する。実施の形態11は、実施の形態1等の変形例であり、QRコード8と購入金額9との配置関係を利用する場合を示す。
図27は、実施の形態11における店舗1の例を示す。本例では、会計机13上、ストア端末7にはQRコード8が掲示されておらず、ストア端末7の近くに設置された媒体8bにQRコード8が掲示されている。
【0162】
実施の形態11では、キャッシュレス決済の際に使用する、QRコード8と購入金額(対応する決済金額)9との2つの要素について、情報端末3のカメラ30で画像を撮影して認識する際に、予め、空間内での2つの要素の配置関係2700が規定されている。この配置関係2700は、購入者2の情報端末3側からストア端末7や店員5の方を見た方向での配置関係である。実施の形態11では、このような配置関係2700を条件として設ける。これに関して、詳しくは例えば以下のような各方式が適用できる。
【0163】
[11-1:第1方式]
キャッシュレス決済の第1方式におけるルールの1つとして、予め、QRコード8と決済金額との2つの要素の配置関係2700が固定的に設定される。すなわち、この方式の適用対象となる全ての店舗1においては、この配置関係2700を含むルールが同様に適用される。購入者2の情報端末3の特にカメラ30からストア端末7を見る方向での平面視、例えば
図27のような平面視を考える。この平面で、QRコード8の位置L1と、購入金額9が表示される位置L2とにおける配置関係2700が規定されている。この配置関係2700は、例えばQRコード8内に記述される決済ルール情報2702のうちの1つの項目である配置関係情報2703として記述される。このように、QRコード8内に、決済先情報(店舗情報)2701と決済ルール情報2702が記述されてもよい。すなわち、情報端末3は、QRコード8からの認識によって、それらの情報が得られる。あるいは、決済ルール情報2702は、決済先情報2701との関連付けと共に、
図1のサーバ12に保持されていてもよい。決済ルール情報2702は、情報端末3およびストア端末7がこのキャッシュレス決済方式で手続きを行う際のルールとして参照される。
【0164】
配置関係情報2703では、QRコード8の位置L1と購入金額9の位置L2との配置関係が記述されている。
図27の例では、QRコード8の位置L1(すなわち画像内で認識された位置)を基準とした場合に、購入金額9の位置L2は、概略的に左斜め上の方向にあることが規定されている。さらに、位置L1から位置L2までの距離についても、条件の1つとして規定されてもよい。例えば、配置関係情報2703において、位置L1から所定の距離の範囲2705内に位置L2があるという条件が記述される。
【0165】
情報端末3は、例えば実施の形態1と同様に、カメラ30の撮影画像から、まずQRコード8を認識して決済先情報2701等を得る。次に、情報端末3は、撮影画像から、購入金額9を認識する際に、決済ルール情報2702の配置関係情報2703を参照し、その規定に従って、購入金額9の認識処理を行う。例えば、情報端末3は、撮影画像内におけるQRコード8が認識された位置L1から、配置関係2700に従って、左斜め上方向を探索して、購入金額9に対応する候補文字列を発見する。情報端末3は、撮影画像内から複数の文字列が発見された場合には、配置関係2700の条件と照らして、最も可能性が高いものを購入金額9であると推定して選択してもよい。
【0166】
他の例として、実施の形態8のように、先に購入金額9を認識する場合、配置関係2700の規定としては、購入金額9の位置L2を基準としたQRコード8の位置L1に関する条件としてもよい。また、他の条件の例としては、QRコード8の位置L1に対して位置L2が上側にあることや、QRコード8の位置L1に対して位置L2が右側にあること等としてもよい。また、他の条件の例としては、範囲2705内で位置L1から最も近い文字列を選択することや、i番目に近い文字列を選択すること等としてもよい。
【0167】
[11-2:第2方式]
第2方式として、店舗1毎に、配置関係2700を含む決済ルールが設定されてもよい。例えば、店舗1内のQRコード8から、決済先情報(店舗情報)2701と、その店舗1に設定されている決済ルール情報2702とが取得される。情報端末3は、その決済ルール情報2702のうちの配置関係情報2703を参照する。あるいは、情報端末3は、QRコード8から得た決済先情報2701等に基づいて、サーバ12またはストア端末7から通信によって、その店舗1用の決済ルール情報2702を取得してもよい。第2方式の場合、店舗1毎に好適なルールを設定できる。
【0168】
変形例としては、商品6毎に異なる決済ルール情報2702を設定することもできる。例えば、商品6の種別毎や購入金額9の高低毎に異なる決済ルール情報2702を設定することもできる。決済ルール情報2702は、前述のように、処理フローに関する規定とすることもでき、必要なセキュリティレベルに応じたログイン要否等の設定や決済時間20の長さの設定等も可能である。
【0169】
[11-3:効果等]
上記のように、実施の形態11では、認識処理に係わる配置関係2700の条件があるので、情報端末3は、撮影画像からより効率的に購入金額9等を認識できる可能性がある。例えば、候補文字列の数が低減できるので、認識処理の高速化、ひいてはキャッシュレス決済の短時間化、等の効果が期待できる。
【0170】
以上、本発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は前述の実施の形態に限定されず、要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。実施の形態の構成要素の追加や削除や置換、各種の組合せによる構成が可能である。前述した機能等は、一部または全部をハードウェアで実装してもよいし、ソフトウェアプログラム処理で実装してもよい。機能等を構成するプログラムやデータは、コンピュータ読取可能な記憶媒体に格納されてもよいし、通信網上の装置に格納されてもよい。実施の形態では、キャッシュレス決済を、店舗での商品の購入金額の支払いに利用する場合を説明したが、これに限らず、例えば交通違反時の支払い、自動販売機での支払い、個人間売買時の支払い等、各種の場面での適用が可能である。
【符号の説明】
【0171】
1…店舗、2…購入者(ユーザ)、3…情報端末(キャッシュレス決済端末)、5…店員、6…商品、7…ストア端末、7b…表示装置、8…QRコード、9…購入金額、10…基地局、11…ネットワーク、12…サーバ(決済アプリサーバ)、13…会計机、30…カメラ、41…アプリ(キャッシュレス決済アプリ)。