(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】移動ルート提案システム及び移動ルート提案方法
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20240610BHJP
G08G 1/123 20060101ALI20240610BHJP
G06Q 10/02 20120101ALI20240610BHJP
G06Q 50/40 20240101ALI20240610BHJP
【FI】
G01C21/36
G08G1/123 A
G06Q10/02
G06Q50/40
(21)【出願番号】P 2022014803
(22)【出願日】2022-02-02
【審査請求日】2023-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】521042770
【氏名又は名称】ウーブン・バイ・トヨタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中林 良太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴博
(72)【発明者】
【氏名】城戸 滋之
(72)【発明者】
【氏名】桑田 直也
(72)【発明者】
【氏名】深津 弘樹
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/001413(WO,A1)
【文献】特開平10-267673(JP,A)
【文献】特開2020-173133(JP,A)
【文献】特開2007-10339(JP,A)
【文献】特開2011-252754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 - 21/36
G08G 1/00 - 1/16
G06Q 10/00 - 10/30
G06Q 30/00 - 30/08
G06Q 50/00 - 99/00
G09B 29/00 - 29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の利用者の目的地に応じた駐車施設及び移動ルートを当該利用者に提案する移動ルート提案システムであって、
1つ又は複数のプログラムを記憶した1つ又は複数のメモリと、
前記1つ又は複数のメモリと結合された1つ又は複数のプロセッサと、
ユーザーインターフェースと、を備え、
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記1つ又は複数のプログラムの実行時、
前記ユーザーインターフェースから目的地情報の入力を受け付け、
前記目的地へ移動する場合に候補となる1つ又は複数の駐車施設に関する駐車施設利用情報と、任意の地点間の輸送を行う輸送サービスに関する輸送サービス利用情報と、を取得し、
前記目的地情報と、前記駐車施設利用情報と、前記輸送サービス利用情報と、に基づいて、前記目的地から所定圏外の駐車施設まで前記車両を利用して移動するための第一ルートと、前記駐車施設から前記目的地まで前記輸送サービスを利用して移動する第二ルートと、を組み合わせた複合ルートの候補を含む移動ルート候補情報を生成し、当該移動ルート候補情報を前記ユーザーインターフェースに出力する移動ルート提案処理を行い、
前記移動ルート候補情報の候補の中から前記複合ルートを選択する入力を前記ユーザーインターフェースから受け付けた場合、当該複合ルートを前記移動ルートに設定するとともに、前記輸送サービスの利用予約を行う移動ルート設定処理を行う
ように構成され
、
前記車両が前記駐車施設へ向かって移動中、前記1つ又は複数のプロセッサは、前記駐車施設への到着予測情報を前記輸送サービスに提供する
ように構成されることを特徴とする移動ルート提案システム。
【請求項2】
前記移動ルート提案処理において、前記1つ又は複数のプロセッサは、
前記目的地情報と、前記駐車施設利用情報と、前記輸送サービス利用情報と、に基づいて、前記目的地から所定圏内の駐車施設まで前記車両を利用して移動し、当該駐車施設から前記輸送サービスを利用せずに前記目的地へ移動する単独ルートの候補を含む前記移動ルート候補情報を生成するように構成され、
前記移動ルート設定処理において、前記移動ルート候補情報の候補の中から前記単独ルートの候補を選択する入力を前記ユーザーインターフェースから受け付けた場合、前記1つ又は複数のプロセッサは、当該単独ルートを前記移動ルートに設定する
ように構成されることを特徴とする請求項1に記載の移動ルート提案システム。
【請求項3】
前記移動ルート設定処理において、前記移動ルート候補情報の候補の中から前記複合ルートの候補を選択する入力を前記ユーザーインターフェースから受け付けた場合、前記1つ又は複数のプロセッサは、前記駐車施設の利用予約を行う
ように構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の移動ルート提案システム。
【請求項4】
前記移動ルート提案処理において、前記1つ又は複数のプロセッサは、
前記ユーザーインターフェースから前記移動ルートに対する優先種別を受け付け、
前記優先種別に基づいて、前記移動ルート候補情報の中から推奨する移動ルートを決定し、推奨移動ルートとして前記ユーザーインターフェースに出力する
ように構成される請求項1から請求項
3の何れか1項に記載の移動ルート提案システム。
【請求項5】
車両の利用者の目的地に応じた駐車施設及び移動ルートを当該利用者に提案する移動ルート提案方法であって、
ユーザーインターフェースから目的地情報の入力を受け付ける工程と、
前記目的地へ移動する場合に候補となる1つ又は複数の駐車施設に関する駐車施設利用情報と、任意の地点間の輸送を行う輸送サービスに関する輸送サービス利用情報と、を取得する工程と、
前記目的地情報と、前記駐車施設利用情報と、前記輸送サービス利用情報と、に基づいて、前記目的地から所定圏外の駐車施設まで前記車両を利用して移動するための第一ルートと、前記駐車施設から前記目的地まで前記輸送サービスを利用して移動する第二ルートと、を組み合わせた複合ルートの候補を含む移動ルート候補情報を生成し、当該移動ルート候補情報を前記ユーザーインターフェースに出力する工程と、
前記移動ルート候補情報の候補の中から前記複合ルートを選択する入力を前記ユーザーインターフェースから受け付けた場合、当該複合ルートを前記移動ルートに設定するとともに、前記輸送サービスの利用予約を行う工程と、
前記車両が前記駐車施設へ向かって移動中、前記駐車施設への到着予測情報を前記輸送サービスに提供する工程と、
を含むことを特徴とする移動ルート提案方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の利用者に対して目的地への移動ルートを提案する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、目的地まで到達するための経路を探索し、案内を行うナビゲーション装置に関する技術が開示されている。この技術では、目的地が自車の走行が規制される規制エリア内に存在する場合に、自車の乗員情報に基づいて、自車の代替となる交通手段で目的地まで到達するための経路を選択して案内を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ナビゲーション装置を利用して車両の利用者が目的地に向かうルートを設定する状況を考える。この場合、利用者は、できるだけ目的地に近い駐車施設を利用することを希望する。しかし、目的地の周辺の駐車施設は、料金が高い、常時満車で駐車が困難、道路が混雑していて車で立ち入りたくない、といった事情がある場合がある。このような場合、目的地から離れた駐車施設を利用し、駐車施設から目的地への移動は、特許文献1の技術のように自車の代替となる輸送サービスを利用する選択肢も考えられる。しかしながら、この場合、駐車施設に到着してから輸送サービスを受けるまでの一連の手続がスムーズに行われないと、待ち時間の増加、目的地へ到着遅延、手続の煩雑さ等、利用者が不満を抱くおそれがある。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、利用者の車両による駐車施設への移動から、駐車施設から目的地への輸送サービスを利用した移動への乗り継ぎをスムーズに行うことが可能な移動ルートを提案することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上記目的を達成するため、車両の利用者の目的地に応じた駐車施設及び移動ルートを当該利用者に提案する移動ルート提案システムに提供される。移動ルート提案システムは、1つ又は複数のプログラムを記憶した1つ又は複数のメモリと、1つ又は複数のメモリと結合された1つ又は複数のプロセッサと、ユーザーインターフェースと、を備える。1つ又は複数のプロセッサは、1つ又は複数のプログラムの実行時、ユーザーインターフェースから目的地情報の入力を受け付け、目的地へ移動する場合に候補となる1つ又は複数の駐車施設に関する駐車施設利用情報と、任意の地点間の輸送を行う輸送サービスに関する輸送サービス利用情報と、を取得し、目的地情報と、駐車施設利用情報と、輸送サービス利用情報と、に基づいて、目的地から所定圏外の駐車施設まで車両を利用して移動するための第一ルートと、駐車施設から目的地まで輸送サービスを利用して移動する第二ルートと、を組み合わせた複合ルートの候補を含む移動ルート候補情報を生成し、当該移動ルート候補情報をユーザーインターフェースに出力する移動ルート提案処理を行い、移動ルート候補情報の候補の中から複合ルートを選択する入力をユーザーインターフェースから受け付けた場合、当該複合ルートを移動ルートに設定するとともに、輸送サービスの利用予約を行う移動ルート設定処理を行うように構成される。
【0007】
移動ルート提案処理において、1つ又は複数のプロセッサは、目的地情報と、駐車施設利用情報と、輸送サービス利用情報と、に基づいて、目的地から所定圏内の駐車施設まで車両を利用して移動し、当該駐車施設から輸送サービスを利用せずに目的地へ移動する単独ルートの候補を含む移動ルート候補情報を生成するように構成され、移動ルート設定処理において、移動ルート候補情報の候補の中から単独ルートの候補を選択する入力をユーザーインターフェースから受け付けた場合、1つ又は複数のプロセッサは、当該単独ルートを移動ルートに設定するように構成されていてもよい。
【0008】
また、移動ルート設定処理において、移動ルート候補情報の候補の中から複合ルートの候補を選択する入力をユーザーインターフェースから受け付けた場合、1つ又は複数のプロセッサは、駐車施設の利用予約を行うように構成されていてもよい。
【0009】
また、車両が駐車施設へ向かって移動中、1つ又は複数のプロセッサは、駐車施設への到着予測情報を輸送サービスに提供するように構成されていてもよい。
【0010】
また、移動ルート提案処理において、1つ又は複数のプロセッサは、ユーザーインターフェースから移動ルートに対する優先種別を受け付け、優先種別に基づいて、移動ルート候補情報の中から推奨する移動ルートを決定し、推奨移動ルートとしてユーザーインターフェースに出力するように構成されていてもよい。
【0011】
本開示に係る移動ルート提案方法は、車両の利用者の目的地に応じた駐車施設及び移動ルートを当該利用者に提案する方法であり、第1乃至第4の工程を含む方法である。
【0012】
第1の工程では、ユーザーインターフェースから目的地情報の入力が受け付けられる。
【0013】
第2の工程では、前記目的地へ移動する場合に候補となる1つ又は複数の駐車施設に関する駐車施設利用情報と、任意の地点間の輸送を行う輸送サービスに関する輸送サービス利用情報と、が取得される。
【0014】
第3の工程では、目的地情報と、駐車施設利用情報と、輸送サービス利用情報と、に基づいて、目的地から所定圏外の駐車施設まで車両を利用して移動するための第一ルートと、駐車施設から目的地まで輸送サービスを利用して移動する第二ルートと、を組み合わせた複合ルートの候補を含む移動ルート候補情報が生成され、当該移動ルート候補情報がユーザーインターフェースに出力される。
【0015】
第4の工程では、移動ルート候補情報の候補の中から複合ルートを選択する入力をユーザーインターフェースから受け付けた場合、当該複合ルートが移動ルートに設定されるとともに、輸送サービスの利用予約が行われる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、駐車施設まで車両を利用して移動するための第一ルートと、駐車施設から目的地まで輸送サービスを利用して移動する第二ルートと、を組み合わせた複合ルートが利用者に対して提案される。そして、複合ルートが利用者によって選択された場合、当該複合ルートが移動ルートに設定されるとともに、輸送サービスの利用予約が行われる。これにより、利用者は、車両を利用した駐車施設までの移動と、駐車施設から目的地までの輸送サービスを利用した移動との乗り継ぎをスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施の形態に係る移動ルート提案システムの概要を説明するための図である。
【
図2】移動ルート提案システム100の構成を示すブロック図である。
【
図3】移動ルート提案処理の手順を示すフローチャートである。
【
図4】移動ルート設定処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。ただし、以下に示す実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、本開示に係る技術思想が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態において説明する構造等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、本開示に係る技術思想に必ずしも必須のものではない。
【0019】
1.移動ルート提案システムの概要
本開示の実施の形態に係る移動ルート提案システムは、車両による移動と輸送サービスを利用した移動とを組み合わせた複合ルートによる移動を提案するシステムである。本実施形態に係る移動ルート提案システムが適用される車両に限定はない。移動ルート提案システムが適用される車両は、例えば自動運転車両である。自動運転車両では、従来車両で運転者が担っていた認知、予測、判断、及び操作は、自動運転システムによって行われる。或いは、移動ルート提案システムが適用される車両は、認知、予測、判断、及び操作の少なくとも何れかを運転者自身が担う従来車両である。
【0020】
利用者が車両を利用して目的施設へと向かう移動ルートを設定する場合、目的施設から離れた駐車施設を利用し、駐車施設から目的施設への移動は、任意の地点間の輸送を行う輸送サービスを利用する選択肢も考えられる。本実施の形態の移動ルート提案システムは、このような車両による移動ルートと輸送サービスによる移動ルートとを組み合わせた複合ルートを提案するにあたり、当該複合ルートにおける乗り継ぎをスムーズに行うための種々の機能を備えたシステムである。
【0021】
以下、
図1を用いて、本実施の形態に係る移動ルート提案システムによる移動ルート提案方法の概要を説明する。
図1において、車両10は本実施の形態の移動ルート提案システム100が適用された車両である。車両10の利用者は、ユーザーインターフェース30から目的地情報DINFを入力する。ユーザーインターフェース30は、車両10に搭載されたカーナビゲーション装置や、利用者が所持するスマートフォンやタブレット等の携帯端末が例示される。目的地情報DINFは、出発地、目的地、到着希望時間、等を含む。出発地は、車両10又は携帯端末装置に搭載されたGPS装置が取得する位置情報を利用してもよい。
【0022】
移動ルート提案システム100は、目的地情報DINFの入力を受けて、車両10を利用して目的地まで移動するための移動ルートの候補を提案する。ここで、目的地の近隣には1つ又は複数の駐車施設が存在している。目的地から徒歩での移動が困難な徒歩圏外等、車両による移動手段が必要な所定圏外の場所にある駐車施設P1を利用する場合、出発地から駐車施設P1までの第一ルートは車両10で移動し、駐車施設から目的地までの第二ルートは事前予約が可能な輸送サービスの乗物Vを利用して移動する移動ルートが考えられる。このような事前予約が可能な輸送サービスとしては、例えばライドシェア、タクシー、シャトルバス、人力車などが考えられる。以下の説明では、車両10を利用した第一ルートと輸送サービスの乗物を利用した第二ルートとを組み合わせた移動ルートを「複合ルート」と呼ぶ。
【0023】
一方、目的地から徒歩圏内の場所にある駐車施設P2を利用する場合、駐車施設P2まで車両10で移動し、駐車施設から目的地までは利用者が徒歩で移動する移動ルートも考えられる。以下の説明では、輸送サービスの乗物を利用しない移動ルートを「単独ルート」と呼ぶ。
【0024】
目的地情報DINFの入力を受けた移動ルート提案システム100は、外部データベースにアクセスすることによって駐車施設利用情報PINFと輸送サービス利用情報TINFとを取得する。駐車施設利用情報PINFは、目的地の近隣の1つ又は複数の駐車施設の利用情報であって、駐車施設の位置情報、空き情報、及び料金情報、等を含む。輸送サービス利用情報TINFは、輸送サービスの利用情報であって、サービス提供エリア、予約空き情報、及び料金情報、等を含む。
【0025】
移動ルート提案システム100は、取得した駐車施設利用情報PINF及び輸送サービス利用情報TINFに基づいて、1つ又は複数の移動ルート候補の情報を生成する。生成された情報は、以下「移動ルート候補情報」と呼ばれる。移動ルート候補情報は、各移動ルート候補のルート詳細、利用料金、及び所要時間を含む。また、移動ルート候補情報は、少なくとも1つの複合ルートを移動ルート候補として含む。移動ルート提案システム100は、生成した候補情報をユーザーインターフェース30に出力する。この一連の処理は、以下「移動ルート提案処理」と呼ばれる。
【0026】
利用者は、ユーザーインターフェース30に表示された候補情報を確認して希望する移動ルート候補を選択する。利用者による移動ルート候補の選択を受けて、移動ルート提案システム100は、選択された移動ルート候補を最終的な移動ルートとして設定する。また、選択された移動ルート候補が複合ルートである場合、移動ルート提案システム100は、輸送サービスの利用予約を行う。ここでの利用予約には、利用場所、利用開始時間、及び目的地に関する情報の伝達が含まれる。この一連の処理は、以下「移動ルート設定処理」と呼ばれる。
【0027】
以上が移動ルート提案システム100の概要である。移動ルート提案システム100による移動ルート提案方法によれば、利用者によって複合ルートが選択された場合、利用者は車両10を利用して駐車施設へ移動した後、輸送サービスを利用した移動にスムーズに移行することができる。これにより、車両10を利用して目的地へと移動する利用者の利便性を高めることが可能となる。以下、移動ルート提案システム100の構成と処理の詳細について説明する。
【0028】
2.移動ルート提案システム100の構成
図2は、移動ルート提案システム100の構成を示すブロック図である。移動ルート提案システム100は、ユーザーインターフェース30と、制御装置50と、から構成されている。ユーザーインターフェース30は、利用者が所持する携帯端末又は車両10に搭載されたナビゲーション装置であり、利用者が制御装置50へ情報を入力する入力装置32と、当該制御装置50から情報を出力する出力装置34と、を備えている。入力装置32は、例えば、タッチパネルやキーボードによる入力、マイクによる音声入力、等が例示される。また、出力装置34は、例えば、タッチパネルディスプレイ等の表示装置への表示、スピーカからの音声出力、等が例示される。ユーザーインターフェース30がナビゲーション装置の場合、制御装置50と、ユーザーインターフェース30とは、CAN(Controller Area Network)などの車内ネットワークによって接続されている。或いは、ユーザーインターフェース30が携帯端末の場合、制御装置50と、ユーザーインターフェース30とは、インターネット等の無線通信ネットワークによって接続されている。また、制御装置50は、自動運転に必要な様々なセンサやアクチュエータとも車内ネットワークによって接続されている。
【0029】
制御装置50は、1つ又は複数のプロセッサ52と、当該1つ又は複数のプロセッサ52と結合された1つ又は複数のメモリ54とを備えるECU(Electronic Control Unit)である。メモリ54には、種々のプログラムやデータが記憶されている。ここで言うメモリ54には、RAM(Random Access Memory)のような狭義のメモリに加えて、HDDなどの磁気ディスク、DVDなどの光学ディスク、SSDなどのフラッシュメモリ記憶装置などのデータ保存装置が含まれてもよい。メモリ54には、データとして、地図情報MAPが記憶されている。また、メモリ54には、取得した各種データとして、目的地情報DINFと、駐車施設利用情報PINFと、輸送サービス利用情報TINFとが格納される。また、メモリ54には、プログラムとして、少なくとも移動ルート提案プログラムRRPと移動ルート設定プログラムRSPが記憶されている。メモリ54に記憶された移動ルート提案プログラムRRPは、プロセッサ52によって実行される。
【0030】
3.移動ルート提案処理
移動ルート提案システム100は、利用者が入力した目的地へスムーズに移動するための移動ルートを提案する移動ルート提案処理を行う。移動ルート提案システム100による移動ルート提案処理は、プロセッサ52によって移動ルート提案プログラムRRPが実行されることによって実行される。以下、
図3のフローチャートを用いて、移動ルート提案プログラムRRPによる移動ルート提案処理の手順について説明する。
【0031】
図3は、移動ルート提案処理の手順を示すフローチャートである。ステップS100において、移動ルート提案プログラムRRPは、利用者によってユーザーインターフェース30から目的地情報DINFが入力されたかどうかを判定する。その結果、目的地情報DINFが入力されていない場合、ステップS100の処理が繰り返し実行される。目的地情報DINFが入力された場合、処理はステップS102に進む。
【0032】
移動ルート提案プログラムRRPは、ユーザーインターフェース30の入力装置32に入力された目的地情報DINFを処理する。目的地情報DINFは、目的地の位置情報の他、出発地、到着希望時間を含む。出発地は、車両10又は携帯端末装置に搭載されたGPS装置が取得する位置情報を利用してもよい。ステップS102において、移動ルート提案プログラムRRPは、地図情報MAPと、目的地情報DINFのうちの目的地の位置情報とを用いて、目的地の近隣の1つ又は複数の駐車施設を検索し、外部データベースにアクセスすることによってそれぞれの位置情報、空き情報、及び料金情報を含んだ駐車施設利用情報PINFを取得する。
【0033】
また、ステップS104において、移動ルート提案プログラムRRPは、目的地情報DINFのうちの目的地の位置情報を用いて、目的地の近隣において運行している輸送サービスを外部データベースにアクセスすることによって検索し、サービス提供エリア、予約空き情報、及び料金情報を含む輸送サービス利用情報TINFを取得する。
【0034】
ステップS106において、移動ルート提案プログラムRRPは、地図情報MAP、取得した目的地情報DINF、駐車施設利用情報PINF、及び輸送サービス利用情報TINFを用いて、移動ルート候補情報を生成する。ここでは、例えば、目的地から徒歩圏外の駐車施設P1が利用可能であり、また、駐車施設P1から目的地までの輸送サービスの利用が可能である場合、移動ルート提案プログラムRRPは、駐車施設P1と輸送サービスを利用して目的地へ移動する複合ルートの移動ルート候補情報を生成する。また、例えば、目的地から徒歩圏内の駐車施設P2が利用可能である場合、移動ルート提案プログラムRRPは、駐車施設P2を利用して目的地へ移動する単独ルートの移動ルート候補情報を生成する。それぞれの移動ルート候補情報は、ルートの詳細、利用料、及び所要時間を含む。このように、移動ルート提案プログラムRRPは、実現可能な1つ又は複数の移動ルート候補の移動ルート候補情報を生成する。
【0035】
また、ここでの輸送サービスは、主にライドシェアを想定している。ライドシェアは、タクシーに代表される他の輸送サービスに比べて、アプリケーションを利用した事前予約のし易さや料金面においてメリットが大きいことが考えられる。
【0036】
ステップS108において、移動ルート提案プログラムRRPは、生成した移動ルート候補情報を、ユーザーインターフェース30の出力装置34に出力する。なお、移動ルート提案プログラムRRPは、実現可能な全ての移動ルート候補の移動ルート候補情報を表示してもよいし、所定条件に従い表示候補数に制限を加えてもよい。このような条件としては、例えば、料金が割安な順に第3候補まで、所要時間が短い順に第3候補まで、複合ルートと単独ルートを各1候補ずつ、等が例示される。利用者は、出力装置34に出力された移動ルート候補情報を参照することによって、希望する移動ルート候補を選択することができる。
【0037】
4.移動ルート設定処理
移動ルート提案システム100は、利用者が選択した移動ルート候補を設定する移動ルート設定処理を行う。移動ルート提案システム100による移動ルート設定処理は、プロセッサ52によって移動ルート設定プログラムRSPが実行されることによって実行される。以下、
図4のフローチャートを用いて、移動ルート設定プログラムRSPによる移動ルート設定処理の手順について説明する。
【0038】
図4は、移動ルート設定処理の手順を示すフローチャートである。ステップS110において、移動ルート設定プログラムRSPは、ユーザーインターフェース30の入力装置32から移動ルート候補の選択を受け付ける。利用者によって選択された移動ルート候補が複合ルートである場合、処理はステップS112に進み、移動ルート候補が単独ルートである場合、処理はステップS116に進む。
【0039】
ステップS112において、移動ルート設定プログラムRSPは、輸送サービスの利用予約を行う。また、利用する駐車施設が利用予約可能な施設である場合、移動ルート設定プログラムRSPは、駐車施設の利用予約を行ってもよい。そして、ステップS114において、移動ルート設定プログラムRSPは、選択された複合ルートを車両10の移動ルートとして自動運転システム或いはナビゲーション装置に設定する。
【0040】
また、利用者によって選択された移動ルート候補が単独ルートである場合、輸送サービスの利用予約は必要ない。そこで、ステップS116において、移動ルート設定プログラムRSPは、選択された単独ルートを車両10の移動ルートとして自動運転システム或いはナビゲーション装置に設定する。また、利用する駐車施設が利用予約可能な施設である場合、移動ルート設定プログラムRSPは、駐車施設の利用予約を行ってもよい。
【0041】
以上の説明から明らかなように、本実施の形態に係る移動ルート提案システム100によれば、利用者が複合ルートを選択した場合に、輸送サービスの利用予約が行われる。これにより、利用者は、車両10による駐車施設への移動と、当該駐車施設から目的地への移動をスムーズに行うことが可能となる。
【0042】
5.変形例
本実施の形態に係る移動ルート提案システム100は、以下のように変形した態様を適用してもよい。
【0043】
5-1.推奨移動ルートの提案
移動ルート提案システム100は、移動ルート候補を生成する際に、利用者の希望を反映させた推奨移動ルートを提案してもよい。この場合、移動ルート提案システム100は、利用者が目的地を入力する際に、移動ルートに対する優先種別を入力させる。ここでの優先種別は、例えば、料金、所要時間、等が例示される。そして、移動ルート提案システム100は、ステップS106の処理において、優先種別に従い推奨移動ルートを生成する。ここでは、生成した1つ又は複数の移動ルート候補のうち、優先種別が最も反映された移動ルート候補を推奨ルート候補として生成する。そして、ステップS108において、移動ルート提案システム100は、推奨ルート候補に対して推奨表示を付加する。このような処理によれば、利用者は、自身の希望に沿った移動ルートを手早く選択することができるので、利用者の利便性が向上する。
【0044】
5-2.到着予測情報の提供
移動ルート提案システム100は、複合ルートによって設定された駐車施設への移動中に、輸送サービスに対して車両10の到着予測情報を提供するように構成されていてもよい。ここでの到着予測情報は、例えば現在地、到着予測時間、遅延時間、等が例示される。これにより、輸送サービスの事業者は、車両10の到着に合わせてスムーズに移動サービスを提供することができるので、利用者の利便性が向上する。
【符号の説明】
【0045】
10 車両
30 ユーザーインターフェース
32 入力装置
34 出力装置
50 制御装置
52 プロセッサ
54 メモリ
100 移動ルート提案システム