(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】最終的な駆動歯車に対して負荷を共有する平行なツイン歯車対を有する変速機を備える電気駆動モジュール
(51)【国際特許分類】
F16H 1/22 20060101AFI20240610BHJP
B60K 17/356 20060101ALI20240610BHJP
B60T 1/06 20060101ALI20240610BHJP
F16H 63/34 20060101ALI20240610BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
F16H1/22
B60K17/356 B
B60T1/06 G
F16H63/34
H02K7/116
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022039016
(22)【出願日】2022-03-14
【審査請求日】2022-04-18
【審判番号】
【審判請求日】2023-08-29
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501090308
【氏名又は名称】アメリカン アクスル アンド マニュファクチャリング,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・ピー.・ダウンズ
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ジェイ.・バレンテ
【合議体】
【審判長】中屋 裕一郎
【審判官】尾崎 和寛
【審判官】平城 俊雅
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-173833(JP,A)
【文献】特開2019-94933(JP,A)
【文献】特開2020-143779(JP,A)
【文献】特開2005-125920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気駆動ユニットであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに結合されたモータと、前記モータは、モータ軸周りで回転可能なモータ出力シャフトを有する、
前記ハウジング内に受け入れられ、入力ピニオンおよび1対の第1の複合歯車を有する変速機と、前記入力ピニオンは、共に回転するように前記モータ出力シャフトに結合され、前記第1の複合歯車のそれぞれが、前記モータ軸に平行な第1の中間軸周りで回転可能であり、前記第1の複合歯車のそれぞれは、前記入力ピニオンとかみ合い係合される第1の歯車、および共に回転するように前記第1の歯車に結合された第2の歯車を有する、
前記ハウジング内に受け入れられ、出力軸周りで回転可能な出力歯車と、前記出力歯車は、前記変速機によって駆動される、
差動入力部材および1対の差動出力部材を有する差動組立体と、前記差動入力部材は、前記出力軸周りで共に回転するように前記出力歯車に結合され、前記差動出力部材のそれぞれは、前記出力軸周りで前記差動入力部材に対して回転可能である、
を備え、
前記出力軸は、前記第1の中間軸および前記モータ軸に対して平行であり、かつ、オフセットされており、そして
前記出力軸は、前記モータ
出力シャフトを通過しない、電気駆動ユニット。
【請求項2】
前記電気駆動ユニットは、差動出力部材を、所定の回転出力速度で回転するように動作可能であり、前記モータ出力シャフトは、1分当たり19,000回転以上の回転速度で回転し、前記第1の歯車および前記第2の歯車のそれぞれのピッチ線速度は、前記差動出力部材が前記所定の回転出力速度で駆動されたとき、37メートル/秒以下である、請求項1に記載の電気駆動ユニット。
【請求項3】
前記差動出力部材が、前記所定の回転出力速度で駆動されたとき、前記モータ出力シャフトが回転する前記回転速度は、1分当たり20,000回転以上である、請求項2に記載の電気駆動ユニット。
【請求項4】
前記差動出力部材が、前記所定の回転出力速度で駆動されたとき、前記モータ出力シャフトが回転する前記回転速度は、1分当たり22,000回転以上である、請求項3に記載の電気駆動ユニット。
【請求項5】
前記差動出力部材が、前記所定の回転出力速度で駆動されたとき、前記モータ出力シャフトが回転する前記回転速度は、1分当たり24,000回転以上である、請求項4に記載の電気駆動ユニット。
【請求項6】
前記第1の歯車および前記第2の歯車のそれぞれの前記ピッチ線速度は、35メートル/秒以下である、請求項2に記載の電気駆動ユニット。
【請求項7】
前記第1の歯車は、両方の歯が互いに逆相になるように配置される、請求項1に記載の電気駆動ユニット。
【請求項8】
前記第2の歯車は、両方の歯が互いに同相になるように配置される、請求項7に記載の電気駆動ユニット。
【請求項9】
前記モータ軸および前記第1の中間軸は、共通平面内に配置される、請求項1に記載の電気駆動ユニット。
【請求項10】
前記第1の複合歯車のそれぞれは、シャフトを備え、前記第2の歯車は、前記シャフトと一体化して単一に形成され、前記第1の歯車は、前記シャフトに組み立てられる、請求項1に記載の電気駆動ユニット。
【請求項11】
前記変速機は、第2の中間軸周りで回転可能な第2の複合歯車を含み、前記第2の複合歯車は、前記第2の歯車とかみ合い係合される第3の歯車と、前記出力歯車とかみ合い係合される第4の歯車とを有する、請求項1に記載の電気駆動ユニット。
【請求項12】
前記出力歯車および前記第2の歯車は、べべロイド歯車、ハイポイド歯車、および非直交歯車からなる1群の歯車から選択される、請求項1に記載の電気駆動ユニット。
【請求項13】
電気駆動ユニットであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに結合されたモータと、前記モータは、モータ軸周りで回転可能なモータ出力シャフトを有する、
前記ハウジング内に受け入れられ、入力ピニオンおよび1対の第1の複合歯車を有する変速機と、前記入力ピニオンは、共に回転するように前記モータ出力シャフトに結合され、前記第1の複合歯車のそれぞれが、前記モータ軸に平行な第1の中間軸周りで回転可能であり、前記第1の複合歯車のそれぞれは、前記入力ピニオンとかみ合い係合される第1の歯車、および共に回転するように前記第1の歯車に結合された第2の歯車を有する、 前記ハウジング内に受け入れられ、出力軸周りで回転可能な出力歯車と、前記出力歯車は、前記変速機によって駆動される、
差動入力部材および1対の差動出力部材を有する差動組立体と、前記差動入力部材は、前記出力軸周りで共に回転するように前記出力歯車に結合され、前記差動出力部材のそれぞれは、前記出力軸周りで前記差動入力部材に対して回転可能である、
を備え、
前記モータ軸は前記出力軸と同軸でなく、
前記第2の歯車は、前記出力歯車とかみ合い係合される、電気駆動ユニット。
【請求項14】
前記第1の複合歯車のそれぞれは、シャフトを備え、前記第2の歯車は、前記シャフトと一体化して単一に形成され、前記第1の歯車は、前記シャフトに組み立てられる、請求項13に記載の電気駆動ユニット。
【請求項15】
電気駆動ユニットであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに結合されたモータと、前記モータは、モータ軸周りで回転可能なモータ出力シャフトを有する、
前記ハウジング内に受け入れられ、入力ピニオンおよび1対の第1の複合歯車を有する変速機と、前記入力ピニオンは、共に回転するように前記モータ出力シャフトに結合され、前記第1の複合歯車のそれぞれが、前記モータ軸に平行な第1の中間軸周りで回転可能であり、前記第1の複合歯車のそれぞれは、前記入力ピニオンとかみ合い係合される第1の歯車、および共に回転するように前記第1の歯車に結合された第2の歯車を有する、 前記ハウジング内に受け入れられ、出力軸周りで回転可能な出力歯車と、前記出力歯車は、前記変速機によって駆動される、
差動入力部材および1対の差動出力部材を有する差動組立体と、前記差動入力部材は、前記出力軸周りで共に回転するように前記出力歯車に結合され、前記差動出力部材のそれぞれは、前記出力軸周りで前記差動入力部材に対して回転可能である、
を備え、
前記モータ軸は前記出力軸と同軸でなく、
前記変速機は、第2の中間軸周りで回転可能な第2の複合歯車を含み、前記第2の複合歯車は、前記第2の歯車とかみ合い係合される第3の歯車と、前記出力歯車とかみ合い係合される第4の歯車とを有する、電気駆動ユニット。
【請求項16】
前記電気駆動ユニットは、差動出力部材を、所定の回転出力速度で回転するように動作可能であり、前記モータ出力シャフトは、1分当たり19,000回転以上の回転速度で回転し、前記第1の歯車および前記第2の歯車のそれぞれのピッチ線速度は、前記差動出力部材が前記所定の回転出力速度で駆動されたとき、37メートル/秒以下である、請求項13又は15に記載の電気駆動ユニット。
【請求項17】
前記差動出力部材が、前記所定の回転出力速度で駆動されたとき、前記モータ出力シャフトが回転する前記回転速度は、1分当たり20,000回転以上である、請求項16に記載の電気駆動ユニット。
【請求項18】
前記差動出力部材が、前記所定の回転出力速度で駆動されたとき、前記モータ出力シャフトが回転する前記回転速度は、1分当たり22,000回転以上である、請求項17に記載の電気駆動ユニット。
【請求項19】
前記差動出力部材が、前記所定の回転出力速度で駆動されたとき、前記モータ出力シャフトが回転する前記回転速度は、1分当たり24,000回転以上である、請求項18に記載の電気駆動ユニット。
【請求項20】
前記第1の歯車および前記第2の歯車のそれぞれの前記ピッチ線速度は、35メートル/秒以下である、請求項16に記載の電気駆動ユニット。
【請求項21】
前記第1の歯車は、両方の歯が互いに逆相になるように配置される、請求項13に記載の電気駆動ユニット。
【請求項22】
前記第2の歯車は、両方の歯が互いに同相になるように配置される、請求項21に記載の電気駆動ユニット。
【請求項23】
前記モータ軸および前記第1の中間軸は、共通平面内に配置される、請求項13又は15に記載の電気駆動ユニット。
【請求項24】
前記出力歯車および前記第2の歯車は、べべロイド歯車、ハイポイド歯車、および非直交歯車からなる1群の歯車から選択される、請求項13又は15に記載の電気駆動ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]関連出願に対する相互参照
本出願は、2019年12月2日に出願された米国特許仮出願第62/942496号の利益を主張する、2020年11月30に出願された国際特許出願第PCT/US2020/062541号のバイパス一時継続出願である。本出願はまた、2021年3月15日に出願された米国特許仮出願第63/161218号、および2021年3月15日に出願された米国特許仮出願第63/161164号の利益を主張するものである。上記で参照された出願の開示は、各出願が、本明細書に詳細に完全に記載されている場合と同様に参照により組み込まれる。
【0002】
[0002]本開示は、最終的な駆動歯車に対して負荷を共有する平行な歯車対を有する変速機を備える電気駆動モジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]このセクションは、本開示に関連する背景情報を提供するが、それは必ずしも先行技術ではない。
【0004】
[0004]変速機を介して差動組立体を駆動する電気モータを有する電気駆動モジュールを提供することが、当技術分野において知られている。知られた電気駆動モジュール構成は、電気モータの出力シャフト、差動組立体、および変速機の入出力が、共通の回転軸周りに配置される同軸の構成、または電気モータの出力シャフト、差動組立体、および変速機の入出力が、互いに平行な2つ以上の回転軸周りに配置される構成を有することができる。このような構成は、それらの意図される目的によく適しているが、側方もしくは横方向に、または半径方向に十分な空間がないこともあるので、いくつかの乗物の中に収めること、または嵌合させることは幾分困難になり得る。したがって、比較的小型に設計された電気駆動モジュールが、当技術分野で求められている。
【発明の概要】
【0005】
[0005]このセクションは、本開示の概略的な要約を提供するものであり、その完全な範囲、またはその特徴のすべてを包含する開示ではない。
【0006】
[0006]一形態では、本開示は、電気モータと、差動組立体と、電気モータと差動組立体の間で回転力を伝達する変速機とを含む電気駆動モジュールを提供する。変速機は、第1の減速機および第2の減速機を有する。第1の減速機は、第1の軸周りで回転可能な駆動歯車と、駆動歯車に対してそれぞれかみ合い係合され、各第2の軸周りで回転可能な1対の第1の減速歯車とを有する。第2の軸は互いに離間されており、第1の軸に平行である。第2の減速機は、被駆動歯車と、1対の第2の減速歯車とを有する。被駆動歯車は、第1の軸に平行な第3の軸周りで回転可能である。第2の減速歯車のそれぞれは、被駆動歯車にかみ合い係合され、また第1の減速歯車の関連するものに非回転可能に結合される。
【0007】
[0007]さらなる適用可能な領域は、本明細書で提供される記述から明らかになろう。この要約における記述および特定の例は、例示のためだけに意図されており、本開示の範囲を限定するようには意図されていない。
【0008】
[0008]本明細書で述べられる図面は、すべての可能な実装形態ではなく、選択された実施形態を例示するためだけのものであり、また本開示の範囲を限定するようには意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】[0009]本開示の教示に従って構成された電気駆動モジュールを有する例示的な乗物の概略図。
【
図2】[0010]電気モータおよび変速機をより詳細に示した、
図1の電気駆動モジュールの一部が分解された斜視図。
【
図3】[0011]変速機の最終的な駆動歯車と差動組立体とを示す、
図1の電気駆動モジュールの一部の横断面図。
【
図4】[0012]
図1のものと同様であるが、電気モータ、変速機、および差動組立体の一般的な相対位置を示す電気駆動モジュールの一部の概略図。
【
図4A】[0013]
図2で示される、電気モータ、変速機、および差動組立体の相対位置を示す
図1の電気駆動モジュールの一部の概略図。
【
図5】[0014]任意選択の駐車ロック機構を示す
図1の電気駆動モジュールの一部の斜視図。
【
図6】[0015]電気駆動モジュールの中間軸を固定するように1対の駐車歯車と係合状態に配置された歯止めを示す駐車ロック機構の一部の平面図。
【
図7】[0016]第1の回転位置に方向付けられたカムプレートと、延長位置に配置された1対のプランジャとを示す、駐車ロック機構の一部を通る断面図。
【
図8】[0017]1対の駐車歯車から係合解除されて、電気駆動モジュールの中間シャフトが回転できる状態の歯止めを示す駐車ロック機構の一部の斜視図。
【
図9】[0018]第2の回転位置に方向付けられたカムプレートと、後退位置に配置された1対のプランジャとを示す、駐車ロック機構の一部を通る断面図。
【
図10】[0019]駐車ロック機構の一部が断面化された斜視図。
【
図11】[0020]カムプレートの第1の面をより詳細に示す駐車ロック機構の一部の斜視図。
【
図12】[0021]ロックアクチュエータをより詳細に示す駐車ロック機構の一部の断面図。
【
図13】[0022]カムプレートの第2の面に形成されたロック開口部を示すカムプレートの一部の斜視図。
【
図14】[0023]延長位置にあるプランジャと、係合位置にある歯止めとを示す駐車ロック機構の一部の斜視図。
【
図15】[0024]本開示の教示に従って構成された別の電気駆動モジュールの斜視図。
【
図18】[0027]本開示の教示に従って構成されたさらに別の電気駆動モジュールの斜視図。
【
図20】[0029]駆動ユニットの一部をより詳細に示す
図18の電気駆動モジュールの一部の正面図。
【
図21】[0030]駆動ユニットの一部をより詳細に示す
図18の電気駆動モジュールの一部の斜視図。
【
図22】[0031]変速機のシャフト部材および第1の減速歯車をより詳細に示す
図21で示された駆動ユニットの一部の斜視図。
【
図23】[0032]シャフト部材および第1の減速歯車の斜視断面図。
【
図24】[0033]シャフト部材と、第1の減速歯車と、ハウジングとを含む駆動ユニットの一部を示す斜視断面図。
【
図25】[0034]シャフト部材と、第2の減速歯車と、ハウジングとを含む駆動ユニットの一部を示す斜視断面図。
【
図26】[0035]
図18の電気駆動モジュールのハウジングの一部の正面図。
【
図27】[0036]本開示の教示に従って構成された別の電気駆動モジュールの上面図。
【
図28】[0037]
図27の電気駆動モジュールの一部の正面図。
【
図29】[0038]
図27の電気駆動モジュールの一部の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0039]対応する参照数字は、図面のいくつかの図にわたって対応する部分を示す。
【0011】
[0040]図面の
図1を参照すると、本開示の教示に従って構成された駆動モジュールを有する例示的な乗物は、全体的に参照数字10によって示される。乗物10は、前部または第1の動力伝達装置14と、後部または第2の動力伝達装置16とを含むことができる。前部動力伝達装置14は、エンジン18と変速機20とを備えることができ、また前部もしくは第1の組の駆動輪22を駆動するように構成され得る。後部動力伝達装置16は、必要に応じて、または「要求に応じて」、後部または第2の組の駆動輪26を駆動するように構成され得る電気駆動モジュール24を備えることができる。前輪22は、本例においては、第1の動力伝達装置14に関連付けられ、また後輪26は、第2の動力伝達装置16に関連付けられるが、代替形態では、後輪が第1の動力伝達装置により駆動され、前輪が第2の動力伝達装置により駆動され得ることが理解されよう。さらに電気駆動モジュール24は、この例では、一部の時間に第2の組の駆動輪を駆動するように構成されるものとして示されているが、本教示に従って構成された駆動モジュールは、乗物を推進するための単独の手段として、または推進する別の手段と共に、フルタイムに駆動輪(例えば、前輪または1組の車輪)のうちの1組の(前部、後部、または他の)駆動輪を駆動するようにも使用され得ることが理解されよう。電気駆動モジュール24は、駆動ユニット30と、1対の出力シャフト32とを備えることができる。
【0012】
[0041]
図2および
図3を参照すると、駆動ユニット30は、ハウジング40と、モータ組立体42と、変速機44と、差動組立体46とを備えることができる。ハウジング40は、駆動ユニット30の他の構成要素が取り付けられる構造を画定することができる。ハウジング40は、複数のねじ付きの締結具によるなど、共に固定して結合され得る2つ以上のハウジング要素から形成され得る。モータ組立体42は、永久磁石モータなど、任意のタイプの電気モータを含むことができる。モータ組立体42は、ハウジング40上のフランジ(具体的に示されていない)に取り付けられ、モータ出力または第1の回転軸58(
図4)に沿って配置され、ハウジング40の中に受け入れられ得るモータ出力シャフト56を有することができる。
【0013】
[0042]
図2および
図4を参照すると、変速機44は、モータ組立体42の出力シャフトにより駆動される変速機入力と、差動組立体46を駆動する変速機出力とを提供する1つまたは複数の変速機段、または減速機を備えることができる。変速機44は、複数レベルの歯車減速を提供する1つまたは複数の変速機段または減速機を備えることができ、また任意選択で、1つまたは複数の多速度変速機段を含むことができる。さらに任意選択で、差動組立体46を、モータ組立体42から選択的に結合を解除するために、変速機出力と差動組立体46の間で、クラッチ(示されていない)が使用され得る。提供される例では、変速機44は、駆動歯車もしくは入力ピニオン60と、複数の第1の減速歯車62と、複数の第2の減速歯車64と、被駆動歯車もしくは最終的な駆動歯車66とを備える。入力ピニオン60は、共に回転するためのモータ組立体42の出力シャフトに結合され得る。第1の減速歯車62は、入力ピニオン60とかみ合い係合され、入力ピニオン60よりも多くの歯を有し、また入力ピニオン60のピッチ円直径よりも比較的大きいピッチ円直径を有する。第1の減速歯車62のそれぞれは、複合減速(ツイン)歯車70を形成するために、第2の減速歯車64の関連するものに固定して結合され得る。第2の減速歯車64は、第1の減速歯車62よりもピッチ円直径が大きく、より多くの歯を有する。複合減速歯車70のそれぞれは、第1の回転軸58に平行であり、オフセットされた第2の回転軸74周りで回転するようにハウジング40に取り付けられた中間シャフトまたは軸72上に配置され得る。中間シャフト72のそれぞれは、ハウジング40に取り付けられ得る1対の軸受により支持され得る。中間シャフト72のそれぞれは、複合減速歯車70の対応するものに組み立てられ得る別個の構成要素として形成され得る、または複合減速歯車70の対応するものと単体として一体に形成され得ることも理解されよう。
図2で示された例では、複合歯車70の回転軸74および第1の回転軸58は、平面P内に配置される。
図4は、変速機44の一般的な例を示しており、その場合、第2の回転軸74は、第1の回転軸58に平行であるが、オフセットされており、3軸のすべてが共通平面内に配置されてはいない。
図4Aは、
図4のものと類似した図であるが、第1および第2の回転軸58および74の位置を、より正確に示している。
【0014】
[0043]最終的な駆動歯車66は、出力軸76周りで回転するために、ハウジング40により支持され得る。提供される例では、出力軸76は、第2の回転軸74および第1の回転軸58に平行であり、またオフセットされており、入力ピニオン60、第1の減速歯車62、第2の減速歯車64、および最終的な駆動歯車66は、はすば歯車である、また第1の減速歯車62および第2の減速歯車64は、入力ピニオン60と第1の減速歯車62の間、および第2の減速歯車64と最終的な駆動歯車66の間の回転動力の伝達に関連する、複合減速歯車70に対する軸方向力を打ち消すために反対回りである。変速機44は、はすば歯車を使用するものとして述べられているが、これらの歯車のいくつか、またはすべては、平歯車としても構成され得ることが理解されよう。
【0015】
[0044]
図3を参照すると、差動組立体46は、差動入力部材と、1対の差動出力部材とを含むことができる。差動入力部材は、出力軸76周りで共に回転するための最終的な駆動歯車66に結合され得るが、差動出力部材のそれぞれは、出力シャフト32の対応するものと回転するように結合され得る。提供される特定の例では、差動組立体46は、差動ケース80と差動歯車セット82とを含む。差動ケース80は、差動入力部材として機能することができ、1対の軸受84により、出力軸76周りでハウジング40上で回転するように支持され得る。軸受84は、提供される例では、テーパの付いた回転軸受として示されているが、軸受84は、代替形態では、アンギュラ玉軸受、または玉軸受としても構成され得ることが理解されよう。差動歯車セット82は、1対の差動ピニオン90と1対のサイド歯車92とを含むことができる。差動ピニオン90は、差動ケース80に受け入れることができ、また差動ケース80に取り付けられたクロスピン94上で回転可能に配置される。クロスピン94は、差動ケース80を少なくとも部分的に通って延びることができ、出力軸76に対して直角に方向付けられる。サイド歯車92は、提供される例における差動出力部材である。サイド歯車92は、差動ケース80内に受け入れられ、出力軸76周りで差動ケース80に対して回転することができる。サイド歯車92のそれぞれは、差動ピニオン90とかみ合い係合される。
【0016】
[0045]出力シャフト32のそれぞれは、サイド歯車92の対応するものに対して、非回転であるが、軸方向に摺動可能に係合され得る。提供される例では、出力シャフト32のそれぞれは、サイド歯車92の対応するものにおける内部にスプラインが付けられた開口部102に嵌合して係合される雄のスプラインが付けられたセグメント100を有する。出力シャフト32のそれぞれは、サイド歯車92の一方と、乗物の車輪の関連するものとの間で回転動力を伝達するように構成される。
【0017】
[0046]駆動ユニット30は、所定範囲の回転速度にわたり、差動出力部材(例えば、サイド歯車92)と出力シャフト32とを駆動するように構成され、所定範囲の回転速度は、所定の最大値または大きさを有する。変速機44は、駆動ユニット30が、差動出力部材を所定の最大の大きさに等しい回転速度で駆動するとき、モータ出力シャフト56は、1分当たり19,000回転以上の回転速度で回転するが、歯車の任意のかみ合いセットの間(すなわち、駆動歯車60と第1の減速歯車62の間、または第2の減速歯車64と被駆動歯車66の間)のピッチ線速度は、1秒当たり37メートル以下であるように構成される。駆動ユニット30が、差動出力部材を、所定の最大の大きさに等しい回転速度で駆動するように動作される場合、モータの出力シャフト56の回転速度が1分当たり20,000回転以上であるとき、より好ましくは、1分当たり22,000回転以上、さらにより好ましくは1分当たり24,000回転以上であるとき、各かみ合いセットの歯車の間のピッチ線速度は、1秒当たり37メートル以下であることが好ましい。好ましくは、駆動ユニット30が、差動出力部材を、所定の最大の大きさに等しい回転速度で駆動するように動作されるとき(すなわち、モータ出力シャフト56の回転速度が、上記の論議において詳細に述べた回転速度のいずれか以上であるとき)、かみ合っている歯車の各セットの間のピッチ線速度は、1秒当たり35メートル以下である。上記の見解を考慮すると、変速機44は、比較的寸法が小さく、比較的低トルクであり、また比較的高い回転速度の出力能力を有するモータ組立体(すなわち、比較的費用のかからないモータ組立体)を使用できるので有利である。さらに、変速機44の構成はまた、最終的な駆動歯車66との2つの歯車(すなわち、第2の減速歯車64)の係合のために重要である。これに関して、最終的な駆動歯車66との2つの第2の減速歯車64の係合は、最終的な駆動歯車66の歯に対する負荷を低減する。別の言い方をすれば、互いに平行な複合またはツイン歯車70は、最終的な駆動歯車66に伝達される負荷を共有する。こうすることは、最終的な駆動歯車66のすべての外側寸法が、最終的な駆動歯車66が単一の歯車により係合される構成に対して、数2の平方根分の1に(すなわち、26%だけ)低減される。この寸法の低減は、変速機44の全体寸法を低減するのに非常に有利であり、乗物の中にさらに容易に収めることができるようになる。
【0018】
[0047]変速機44の構成は、いくつかの側面において有利である。例えば、複合減速歯車70は、比較的高速の電気モータおよび比較的小さな入力ピニオンを使用することができ、それは、ピッチ線速度を低下させ、したがって、入力ピニオン60および第1の減速歯車62の曲げ応力、負荷能力、および耐用年数に対して良い影響を与える。別の例として、最終的な駆動歯車66に対する負荷は、第2の減速歯車64にわたって共有されて、(負荷全体が、単一の歯車により最終的な駆動歯車66へと伝達される構成とは反対に)第2の減速歯車64の寸法を低減することができる。その結果、モータ組立体42と最終的な駆動歯車66の間の歯車の取付け構成は、駆動ユニット30のパッケージサイズを低減させ、さらに、これらの歯車は、知られた電気駆動ユニットの構成要素よりも比較的小さく、および/または費用のかからない材料から形成されて、それにより、電気駆動モジュール24のコストを削減し、質量を低下させることができる。
【0019】
[0048]望ましい場合、駐車ロック機構(示されていない)が、電気駆動モジュール24に組み込まれ得る。
図2および
図4を参照すると、駐車ロック機構は、ハウジング40に枢動可能に結合される歯止めと、最終的な駆動歯車66に、または出力軸76周りで回転可能な差動組立体46の構成要素に回転可能に結合される歯付きロッキングホイールとを用いて、従来方法で構成され得る。歯止めは枢動して、ハウジング40に対して、最終的な駆動歯車66の回転を阻止するために、歯付きロッキングホイール上の歯と係合することも、外れることもできる。代替的に、駐車ロック機構は、中間シャフト72をハウジング40へと選択的にロックするようにも構成され得る。はさみ機構、またはシーソーするレバー機構が、中間シャフト72をハウジング40に同時にロックするために使用され得る。
【0020】
[0049]
図5から
図7までを参照すると、任意選択の駐車ロック機構200が、駆動ユニット30の中に組み込まれ得る。駐車ロック機構200は、1対の駐車歯車202と、歯止め204と、1対のプランジャ206と、1対のプランジャ付勢ばね208と、アクチュエータ210とを含むことができる。
【0021】
[0050]駐車歯車202のそれぞれは、中間シャフト72の関連するものに対して非回転可能に結合され、複数の歯216と複数の谷218とを画定することができる。谷218のそれぞれは、歯216の各対の間に配置される。
【0022】
[0051]歯止め204は、歯止め本体220と、歯止め本体220の両端に配置される1対の係合歯222とを含む。歯止め本体220は、歯止め204が、係合歯222のそれぞれが駐車歯車202の関連するものと係合し(すなわち、各係合歯222が、駐車歯車202の関連するものの谷218の中に受け入れられる)、それにより、駐車歯車202および中間シャフト72をハウジング40に回転してロックする係合位置(
図6)と、各係合歯222が、駐車歯車202の関連するものの歯216を離れて、歯止め204が、ハウジング40に対して、駐車歯車202または中間シャフト72の回転を阻止しないようにする係合解除位置(
図8)との間で移動され得るように、駆動ユニット30のハウジング40に枢動可能に結合される。提供される例では、枢動軸226は、ハウジング40に取り付けられて、歯止め204を通り、アクチュエータ210の中へと延びる。歯止め204は、枢動軸226に幾分ゆるく受け入れられて、駐車ロック機構200を通って伝達される負荷が、確実に駐車歯車202によって、ならびに係合歯222によって等しく共有されるようにする。歯止め204は、係合解除位置など、望ましい回転位置に向けて、枢動軸226周りで付勢され得る。提供される例では、螺旋状のねじりばね258が、枢動軸226周りに配置され、ハウジング40と歯止め本体220に係合される。
【0023】
[0052]
図7を参照すると、プランジャ206のそれぞれは、ガイド部分230と、第1の本体部分232と、遷移部分234と、第2の本体部分236とを備えるプランジャ本体を有することができる。ガイド部分230は、プランジャ206の第1の軸方向端部に配置され、また第1の直径を備えた円筒形の形状であり得る。第1の本体部分232は、ガイド部分230と遷移部分234の間に配置され、望ましいように寸法を付すことができる。例えば、第1の本体部分232は、第1の直径など、望ましい直径を有する概して円筒形の形状にすることもできる。提供される例では、第1の本体部分232は、円錐台状の形状をしており、(第1の本体部分232がガイド部分230と交差する)ベースを有し、第1の直径に等しい直径と、第1の本体部分232の外側表面を、ガイド部分230と遷移部分234の間で、2度から30度、好ましくは5度から15度などの望ましい量だけ、プランジャ206の中心軸の方向に内側にテーパを付けさせる比較的浅い円錐角とを備える。
【0024】
[0053]第2の本体部分236はまた、円筒形の形状とすることができるが、第1の直径よりも小さい第2の直径を有する。遷移部分234は、第1の本体部分232と第2の本体部分236の間でテーパを付けるために、円錐台形状にされ得る。ばね開口部240が、プランジャ206の第1の軸方向端部に形成され、そこにプランジャ付勢ばね208の対応するものを受け入れるような寸法にされる。提供される例では、プランジャ付勢ばね208のそれぞれは、螺旋コイル圧縮ばねであるが、他のタイプのばねが、螺旋コイル圧縮ばねに代えて、またはそれに加えて使用され得ることが理解されよう。
【0025】
[0054]各プランジャ206およびプランジャ付勢ばね208は、ハウジング40内のプランジャ開口部244の中に受け入れられる。示された例では、ハウジング40は、硬化鋼など、適切な材料から形成され得る任意選択のプランジャブッシング246の対を含む。プランジャブッシング246のそれぞれは、プランジャ206の対応するものの第1の本体部分232と、プランジャ付勢ばね208の対応するものを受け入れるような寸法であるプランジャ開口部244を画定する。プランジャ開口部244は、めくら穴とすることができ、したがって、プランジャブッシング246は、プランジャ付勢ばね208の対応するものの端部がそれに対して当接できる内壁248を画定する。
【0026】
[0055]プランジャ206のそれぞれは、プランジャ206のそれぞれの第1の本体部分232が、歯止め本体220の回転経路に配置される延長位置(
図6および
図7で示される)と、後退位置(
図8および
図9で示される)との間で、ハウジング40に対してその長手方向に沿って移動可能である。プランジャ206を延長位置に配置するために、係合歯222は、駐車歯車202に係合される必要がある。第1の本体部分232の外側表面にテーパが付けられている場合(円錐台状に)、プランジャ付勢ばね208は、プランジャ206をプランジャ開口部244から外方向に圧迫し、各プランジャ206の第1の本体部分232の外側表面が歯止め本体220に接触するようにする。プランジャ206が、その後退位置に配置されたとき、歯止め204は、ねじりばね258により、係合解除位置へと回転され得る。歯止め204は、歯止め204が係合解除位置にあるとき、プランジャ206の一方または両方の第2の本体部分236と接触することができる。
【0027】
[0056]
図7および
図10を参照すると、アクチュエータ210は、延長位置と後退位置の間で、プランジャ206の動きを制御するように構成される。アクチュエータ210は、1対のカムフォロワ250と、アクチュエータハブ252と、カムプレート254と、軸受256と、ねじりばね258と、回転アクチュエータ260と、ロックアクチュエータ262とを含むことができる。
【0028】
[0057]
図7および
図9を参照すると、カムフォロワ250のそれぞれは、プランジャ206の関連するものと一列に配置され得る。提供される例では、カムフォロワ250のそれぞれは、プランジャ206の関連するものと単体として一体に形成される。より具体的には、カムフォロワ250は、第1の軸端とは反対にあるプランジャ206の第2の軸端上の球状の半径とすることができる。
【0029】
[0058]アクチュエータハブ252は、歯止め204が周りで枢動する軸と同心に、ハウジング40に固定的に結合され得る。提供される例では、アクチュエータハブ252は、枢動軸226に圧入嵌めされる。アクチュエータハブ252は、中心部分270と、軸受取付け部272と、ロックアクチュエータ取付け部274とを含むことができる。中心部分270は、共通軸に沿って位置合せされた枢動軸開口部280と、ねじ付き開口部282とを画定することができる。枢動軸開口部280は、中心部分270の第1の軸側を通って形成され、圧入嵌めで枢動軸226に係合するような寸法である。ねじ付き開口部282は、第2の、中心部分270の軸方向の反対側を通って形成される。軸受取付け部272は、中心部分270の周囲に同心に配置され、フランジ部材284を介して、または代替的に、複数のスポークまたはウェブを介して中心部分270に結合され得る。軸受取付け部272は、外側の円周方向表面286と、外側の円周方向表面から外側半径方向に延びる肩部288と、外側の円周方向表面286の中に形成される保持リング溝290とを有する。ロックアクチュエータ取付け部274は、
図5で最もよく見られるが、腎臓(すなわち、インゲン豆)の形を有することができ、また中心部分270から半径方向にオフセットされるように、軸受取付け部272に固定して結合され得る(例えば、一体に形成される)。
【0030】
[0059]
図5、
図7、および
図11を参照すると、カムプレート254は、環状プレート300と、歯車部分302と、ねじりばね取付け部304と、1対のセンサターゲット306a、306bとを備えることができる。環状プレート300は、適切な材料から形成され得る。環状プレート300は、内側の円周方向表面310を有することができ、また1対のカム312を画定することができる。カム312のそれぞれは、カムフォロワ250およびプランジャ206の方向に向いた環状プレート300の第1の面へと形成される。カム312のそれぞれは、環状プレート300の第1の面において、円周方向に延びる溝とすることができる。カム312のそれぞれは、溝が最も深い、溝の第1の円周方向端部320(
図11)と、溝が最も浅い、溝の第2の反対側の円周方向端部322(
図11)との間でテーパを付けることができる。カムフォロワ250のそれぞれは、カム312(すなわち、溝)の対応するものの中に受け入れられ、したがって、歯止め204がその周りで枢動する軸周りでカムプレート254が回転すると、プランジャ206の対応する直線運動を生ずる。より具体的には、
図7で示されるように、カムフォロワ250を、カム312の関連するものの最も深い部分(すなわち、カム312の関連するものを形成する溝の第1の円周方向端部320)の中に配置することは、プランジャ付勢ばね208の対応するものが、プランジャ206の関連するものを、その延長位置へと強制できるようにするが、
図9で示されるように、カム312の関連するものの最も浅い部分(すなわち、カム312の関連するものを形成する溝の第2の円周方向端部)にカムフォロワ250を配置することは、プランジャ206の対応するものを、プランジャ付勢ばね208の対応するものの付勢に対してその後退位置に配置する。歯車部分302は、環状プレート300に固定して結合され得る複数の歯車の歯を含むことができ、歯車の歯が、内側の円周方向表面310と同心になるようにする。提供される例では、歯車の歯は、環状プレート300と単体として一体に形成される。歯車の歯は、提供される例で示されるように、環状プレート300の全周の周りに配置され得る、または環状プレート300のセクタの周りに形成することもできる。ねじりばね取付け部304は、第1の面とは反対の、環状プレート300の第2の面から延びることができる円筒形の柱または突起とすることができる。センサターゲット306a、306bのそれぞれは、環状プレート300に取り付けることができ、またカムプレート254が、ハウジング40に対して所定の回転位置にあるとき、センサ328(
図10)によって感知されるように構成される。提供される例では、センサターゲット306a、306bのそれぞれは磁石であり、またセンサ328は、ハウジング40に結合されるホール効果センサである。
【0031】
[0060]
図7を参照すると、軸受256は、アクチュエータハブ252に対して回転するように、カムプレート254を支持するように構成される。軸受256は、内側の軸受軌道輪330と、外側の軸受軌道輪332と、内側の軸受軌道輪330と外側の軸受軌道輪332の間に受け入れられる複数の軸受要素334とを含むことができる。内側の軸受軌道輪330は、軸受取付け部272の外側の円周方向表面286上に受け入れられ、肩部288に当接することができる。望ましい場合、内側の軸受軌道輪330は、軸受取付け部272の外側の円周方向表面286に圧入嵌めされ得る。外側の保持リング336が、保持リング溝290の中に受け入れられ、肩部288から離れる方向への、アクチュエータハブ252上の内側の軸受軌道輪330の軸方向移動を阻止することができる。外側の軸受軌道輪332は、任意の望ましい方法で、カムプレート254に結合され得る。例えば、外側の軸受軌道輪332は、環状プレート300の内側の円周方向表面310に、圧入嵌め、または接着剤で接合され得る。代替的に、環状プレートが、プラスチック材料から形成される例では、環状プレート300は、外側の軸受軌道輪332が、環状プレート300に対して凝集力により(cohesively)接合されるように、外側の軸受軌道輪332にオーバーモールドされてもよい。
【0032】
[0061]
図5および
図7を参照すると、ねじりばね258は、中心部分270の周りに巻かれて、アクチュエータハブ252に対して作用することのできる第1の突起部(tang)340と、カムプレート254上のねじりばね取付け部304に作用することのできる第2の突起部342とを有することができる。提供される例では、第1の突起部340は、フランジ部材284に形成される穴の中に受け入れられる。ねじりばね258は、ワッシャ346により、また中心部分270におけるねじ付き開口部282にねじ込まれるねじ付き締結具348により、中心部分270に固定され得る。ねじりばね258は、カムプレート254を、その回転軸周りで、第1の回転位置に向けて回転方向に付勢するように構成され、それは、カム312の最も深い部分をカムフォロワ250に向ける位置とすることができる。代替的に、ねじりばね258は、カムプレート254を、その回転軸周りで、カム312の最も浅い部分がカムフォロワ250に方向付けられる位置へと、回転方向に付勢するようにも構成され得る。
【0033】
[0062]
図10を参照すると、回転アクチュエータ260が、第1の回転位置と第2の回転位置の間で、その回転軸周りで、カムプレート254の回転を制御するように構成される。回転アクチュエータ260は、回転電気モータ(具体的に示されていない)と、カムプレート254の歯車部分302の歯車の歯にかみ合い係合される出力ピニオン(具体的に示されていない)とを含むことができる。電気モータは、ハウジング40に結合され得る(例えば、取り付けられる)。出力ピニオンは、直接的に(例えば、出力ピニオンは、電気モータの出力シャフトに取り付けられる)、または電気モータと出力ピニオンの間の動力伝達経路に配置される1つまたは複数の歯車(示されていない)を有する変速機(示されていない)を介することより、電気モータによって駆動され得る。
【0034】
[0063]電気モータは、カムプレート254を、第2の回転位置へと駆動するように動作され得るが、それは、カムフォロワ250に対して、カム312の最も浅い部分など、カム312の反対側の円周方向端部に方向付ける位置とすることができる。いくつかの形態では、電気モータは、カムプレート254を望ましい回転位置へと駆動し、その後に、カムプレート254をこの回転位置に保持するために使用され得る。任意選択で、カムプレート254は、電気モータが、カムプレート254を、望ましい回転位置へと回転させる、または駆動したとき、ハウジング40に結合される嵌合停止部材(示されていない)に当接する停止部材(示されていない)を備えて構成され得る。しかし、提供される例では、電気モータへの電力は維持される必要がないように、カムプレート254を望ましい回転位置に維持するために、センサターゲット306b、センサ328、およびロックアクチュエータ262が使用される。
【0035】
[0064]第1および第2の回転位置のそれぞれへのカムプレート254の配置は、センサ328によって感知することができ、またセンサ328は、それに応じて、対応するセンサ信号を生成することができる。例えば、カムプレート254を第1の回転位置に配置することは、センサターゲット306aをセンサ328に方向付けて、センサ328は、それに応じて、第1のセンサ信号を生成するが、第2の回転位置にカムプレート254を配置することは、センサターゲット306bをセンサ328に方向付けて、センサ328は、それに応じて、第2のセンサ信号を生成する。第2のセンサ信号の受信に応じて、制御装置(示されていない)は、ロックアクチュエータ262を制御して、ロックアクチュエータ262をカムプレート254に係合させて、第2の回転位置から外れる(すなわち、ねじりばね258によりカムプレート254に加えられるモーメントに起因する)カムプレート254の回転を阻止することができる。
【0036】
[0065]
図10および
図12を参照すると、ロックアクチュエータ262は、ハウジング40に対するカムプレート254の回転を阻止するための任意の手段を備えることができる。提供される例では、ロックアクチュエータ262は、ソレノイド組立体400とロック開口部402とを備える。ソレノイド組立体400は、ハウジング40に結合することができ、ソレノイド410と、ソレノイドプランジャ412と、ソレノイドばね414とを含むことができる。ソレノイドプランジャ412は、延ばされた、または掛止された位置と、後退した、または掛止解除された位置との間で、ソレノイド410内で移動可能である。ソレノイドばね414は、ソレノイドプランジャ412を延ばされた、または掛止された位置へと付勢する。ロック開口部402は、環状プレート300の第2の面に形成され、カムプレート254が、第2の回転位置にあるとき、その中にソレノイドプランジャ412を受け入れるように構成される。示された例では、ソレノイドプランジャ412は、球状の半径によって画定される先端420を有し、またロック開口部402は、円錐台形状の側壁422を有する。ソレノイドプランジャ412の先端420の輪郭、およびロック開口部402の側壁422の輪郭は、電力がソレノイド410または電気モータに提供されないとき、ソレノイドプランジャ412が、ねじりばね258により、後退した、または掛止解除された位置に向けて駆動されるようにする。
【0037】
[0066]
図5、
図7、および
図12を参照すると、駆動ユニット30の動作中に、電力が電気モータまたはソレノイド410に提供されない場合、ねじりばね258は、
図7で示されるように、カム312の最も深い部分がカムフォロワ250に位置合せされる第1の回転位置へと、カムプレート254を付勢し、したがって、プランジャ206は、その延長位置に配置されて、第1の本体部分232が、歯止め本体220に接触し、歯止め204が、枢動軸226周りで、
図6で示されるように、係合歯222が駐車歯車202に係合するように配置される。この状態において、中間シャフト72は、ハウジング40に対して、有効に、非回転可能にロックされ、また駐車ロック機構200の構成に起因して、各係合歯222および各駐車歯車202により伝達される負荷は等しくなる。この状態において、センサターゲット306aは、センサ328に位置合せされ、センサ328は、それに応じて第1のセンサ信号を生成する。第1のセンサ信号は、制御装置(示されていない)により受け取られて、カムプレート254が回転位置にあると決定するために使用することができ、それは、駐車ロック機構200に、中間シャフト72をハウジング40に対してロックさせる。ロックアクチュエータ262のソレノイドばね414は、ソレノイドプランジャ412の先端420を、環状プレート300の第2の面に対して付勢する。
【0038】
[0067]ハウジング40に対して中間シャフト72が回転できるように、中間シャフト72をハウジング40からロックを解除するために、電力を電気モータに加えることができ、出力ピニオンを駆動して、カムプレート254を、その回転軸周りで第1の回転方向に対応して回転させるようにする。
図9で示されるように、カムプレート254の第2の回転方向への回転は、カムフォロワ250に対して、溝またはカム312のより浅い部分へと徐々に位置合せして、プランジャ206を、その延長位置から後退した位置へと移動させる。プランジャ206の第1の本体部分232および遷移部分234のテーパの付いた構成、ならびにねじりばね258により歯止め204に加えられたモーメントにより、係合歯222は、プランジャ206が徐々にその後退位置の方に移動すると、駐車歯車202の歯216から徐々に離れるように移動される。
図8および
図9で示されるように、プランジャ206の第2の本体部分236と接触する歯止め204の配置は、係合歯222を、駐車歯車202から離れて、駐車歯車202、したがって、中間シャフト72が、ハウジング40に対して自由に回転できる位置に位置決めする。第1の回転方向へのカムプレート254のさらなる回転は、カムプレート254を第2の回転位置に位置決めし、それは、センサターゲット306bをセンサ328へと方向付け、したがって、センサ328は、それに応じて、第2のセンサ信号を生成する。第2のセンサ信号に受信に応じて、制御装置は、電力をソレノイド410に提供して、ソレノイドプランジャ412をロック開口部402の中へと駆動し、ソレノイドプランジャ412をこの位置に保持することができる。任意選択で、制御装置はまた、モータへの電力の供給を終了することもできる。カムプレート254を第1の回転位置に向けて強制するために、ねじりばね258によってカムプレート254に加えられるモーメントは、電力がソレノイド410に供給されたとき、ソレノイドプランジャ412をロック開口部402の外へと強制するには不十分である。
【0039】
[0068]ハウジング40に対して中間シャフト72を再度ロックして、ハウジング40に対する中間シャフト72の回転を阻止するために、ソレノイド410に対する電力の供給が終了される。カムプレート254を、第1の回転位置に向けて強制するために、ねじりばね258によってカムプレート254に加えられるモーメントは、ソレノイドばね414によってソレノイドプランジャ412に加えられる力に打ち勝つには十分であり、ソレノイドプランジャ412を強制してロック開口部402の外に出す。ねじりばね258によりカムプレート254に加えられるモーメントは、カムプレート254を、第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に回転させる。カムプレート254が、第1の回転位置に向けて回転し、その位置になると、第2の回転方向へのカムプレート254の回転は、歯車部分302の歯車の歯に、出力ピニオンを逆駆動させることができる。第2の回転方向へのカムプレート254の回転はまた、カムフォロワ250に対して、溝またはカム312のより深い部分に徐々に位置を合わせ、プランジャ206をその後退位置からその延長位置へと移動させる。プランジャ206のそれぞれの遷移部分234および第1の本体部分232のテーパの付いた構成のため、カムプレート254が第2の回転方向に回転されたとき、歯止め本体220とプランジャ206の間の接触は、歯止め204を枢動軸226周りで駆動し、したがって、係合歯222は、その各駐車歯車202に向けて回転する。係合歯222は、駐車歯車202が受入れ位置に方向付けられている状況において、駐車歯車202の谷218の中に直接移動することができる。他の状況では、谷218の中への係合歯222の移動はブロックされ得るが、それは、駐車歯車202が、各係合歯222が、駐車歯車202の関連するものの歯に接触する位置を向いているからである。しかし、プランジャ付勢ばね208は、中間シャフト72がわずかに回転したとき、プランジャ206をその延長位置へと駆動する順応性を提供する(第1の本体部分232の外側表面が歯止め204と係合し、それにより係合歯222を駆動して、駐車歯車202と係合させるようにする)。
【0040】
[0069]
図15から
図17を参照すると、本開示の教示に従って構成された別の電気駆動モジュールが、全体的に参照数字24aにより示されている。電気駆動モジュール24aは、変速機44aの構成、および変速機44aを収容するためのハウジング40aに対する変更を除いて、上記で詳細に述べられた電気駆動モジュール24(
図1)と概して同様のものである。変速機44aは、第2の減速歯車64と最終的な駆動歯車66の間でさらなる減速機を使用し、したがって、第2の減速歯車64は、最終的な駆動歯車66と直接かみ合うことはない。より具体的には、変速機44aは、複合減速歯車70の第2の減速歯車64にかみ合い係合される第3の減速歯車62aを有する第2の複合歯車70aと、第3の減速歯車62aに非回転可能に結合されて、最終的な駆動歯車66にかみ合い係合される第4の減速歯車64aとを含む。複合歯車70および70aのそれぞれは、1対の軸受(示されていない)によりハウジング40aに対して回転方向に、または軸方向に支持され得ることが理解されよう。
【0041】
[0070]
図18および
図19では、本開示の教示に従って構成された第3の例示的な電気駆動モジュールが、全体的に参照数字24bにより示されている。本明細書において明示的に述べられていない、または添付図面において、(部分的に、または完全に)示されていない電気駆動モジュール24bの構成要素、態様、特徴、および機能は、2020年1月24日に出願された同時係属の米国特許出願第16/751596号、2020年5月4日に出願された米国特許出願第16/865912号、2020年12月21日に出願された米国特許出願第17/128288号、2020年4月24日に出願された国際特許出願第PCT/US2020/029925号、2020年11月30日に出願された国際特許出願第PCT/US2020/062541号、および/または2021年3月11日に出願された米国特許仮出願第63/159511号において述べられた電気駆動ユニットの構成要素、態様、特徴、および/または機能と同様に構成される、または機能することができ、その開示は、本明細書に詳細に完全に記載されている場合と同様に、参照により組み込まれる。簡単には、電気駆動モジュール24bは、ハウジング40bと、モータ組立体42bと、変速機44と、差動組立体46と、1対の出力シャフト32とを含む。
【0042】
[0071]ハウジング40bは、モータ組立体42b、変速機44、差動組立体46、および出力シャフト32が、少なくとも部分的に収容され得る1つまたは複数の空洞部(具体的に示されていない)を画定することができる。示された例では、ハウジング40bは、歯車箱カバー500と、歯車箱502と、モータハウジング504と、モータハウジングカバー506と、端部カバー508とを含む。歯車箱カバー500および歯車箱502は、互いに当接し、変速機44および差動組立体46が中に受け入れられる空洞部を形成するが、歯車箱502、モータハウジング504、およびモータハウジングカバー506は、互いに当接して、モータ組立体42bが中に受け入れられる空洞部を形成する。
【0043】
[0072]
図19を特に参照すると、モータ組立体42bは、電気モータ510と、インバータ514を含むモータ制御ユニット512とを備える。電気モータ510は、ステータ516と、第1の回転軸58周りで回転可能なロータ518とを含む。ロータ518は、モータ出力シャフト56を含む。
【0044】
[0073]
図19および
図20を参照すると、変速機44は、モータ出力シャフト56と、差動組立体46の差動入力部材80bの間で回転動力を伝達するために、任意の望ましい方法で構成され得る。変速機44は、任意の望ましいタイプの1つまたは複数の固定された減速機を備えることができるが、あるいは2つ以上の代替的に係合可能な減速機(および任意選択で1つまたは複数の固定された減速機)を有する多速度変速機としても構成され得る。固定された、または多速度減速機は、モータ出力シャフト56の回転軸が、望ましい方法で、出力軸76に対して方向付けられるように(例えば、平行でありオフセットされる、一致する、横方向に、直角である、傾くなど)、任意の望ましい方法で構成され得る。
【0045】
[0074]
図20および
図21で示された例において、変速機44は、複数のはすば歯車を使用する単一速度の多段変速機である。変速機44は、モータ出力シャフト56と回転するように結合された変速機入力歯車60と、1対の複合歯車70と、変速機出力歯車66とを備える。複合歯車70のそれぞれは、第1の回転軸58に対して平行であり、オフセットされた第2の回転軸74周りで回転可能であり、また変速機入力歯車60にかみ合い係合され得る第1の減速歯車62と、共に回転するように第1の減速歯車62に結合され、変速機出力歯車66にかみ合い係合される第2の減速歯車64とを含むことができる。
【0046】
[0075]
図22および
図23を参照すると、複合歯車70のそれぞれは、第2の減速歯車64が、シャフト部材530と一体化して単一に形成され、また第1の減速歯車62が、レーザ溶接によるなど、望ましい方法で、シャフト部材530に回転可能に結合されるように構成され得る。しかし、シャフト部材530は、第2の減速歯車64ではなく、第1の減速歯車62と一体化して単一に形成され得ること、またはシャフト部材530は、第1の減速歯車62と第2の減速歯車64の両方が、回転可能に結合される別個の構成要素であり得ること、または第1の減速歯車62と第2の減速歯車64とが、シャフト部材530と単体として一体に形成され得ることが理解されよう。シャフト部材530は、第1の減速歯車62および第2の減速歯車64のそれぞれから軸方向外側に延びることができる。提供される特定の例では、シャフト部材530および第2の減速歯車64は、複合歯車70のそれぞれにおいて、同一の構成要素である。しかし、シャフト部材530および第2の減速歯車64は、複合歯車70のそれぞれにおいて、特有のものであり得ること、または複合歯車70(すなわち、提供される例においては、第1の減速部材62および第2の減速部材64、ならびにシャフト部材530)は、同一のものであり得ることが理解されよう。いくつかの状況では、第1の減速歯車62のそれぞれの特定の歯が、変速機入力歯車60の特定の谷とかみ合い係合する(またはその反対も同様である)ように、および/または第2の減速歯車64のそれぞれの特定の歯が、変速機出力歯車66の特定の谷とかみ合い係合する(またはその反対も同様である)ように、複合歯車70を調節することが必要である、および/または望ましい可能性がある。他の状況においては、複合歯車70は、変速機入力歯車60および変速機出力歯車66のいずれかに調節する必要がないように変速機を構成することが望ましいこともあり得る。
【0047】
[0076]
図20および
図21に戻ると、第1の減速歯車62は、互いに対して逆相に配置され得る。この点に関して、第1の減速歯車62の一方は、その歯の1つが、変速機入力歯車60上の2つの隣接する歯の間に、またその中央に受け入れられるように、また変速機入力歯車60の歯の1つが、第1の減速歯車62の他方の2つの隣接する歯の間に配置されるように配置することができる。しかし、他の位相合せも使用され得ること、また第1の減速歯車62の両方の歯が、互いに同相であり得ることも理解されよう。第2の減速歯車64は、互いに同相に配置され得る。この点に関して、第2の減速歯車64の第1のものの歯のうちの1つは、変速機出力歯車66上の隣接する歯の第1の対の間に受け入れられてその中心にあるが、同時に、第2の減速歯車64の第2のものの歯のうちの1つは、変速機出力歯車66上の隣接する歯の第2の対の間に受け入れられてその中心にある。しかし、他の位相合せも使用され得ること、第2の減速歯車64の歯が、互いに逆相に方向付けることもできること、また第2の減速歯車64の位相合せは、第1の減速歯車62の位相合せと同じ、または異なることもできることが理解されよう。
【0048】
[0077]
図21、
図24、および
図25を参照すると、各複合歯車70は、第1の軸受542および第2の軸受544によって、ハウジング40bに対して回転するように支持され得る。複合歯車70とハウジング40bの間の半径方向に向いた力を処理し、伝達する能力に加えて、第1の軸受542は、回転動力が、変速機44を介して伝達されたとき、複合歯車70の第2の回転軸74に沿って軸方向に向けられた力を処理し、伝達するように構成された玉軸受のタイプとすることができる。例えば、第1の軸受542は、アンギュラコンタクト軸受、または深溝玉軸受のタイプとすることもできる。第1の軸受542は、歯車箱カバー500に形成された穴546に受け入れることができ、またスナップリング548または他のタイプの係合が、第1の軸受542の外側の軸受軌道輪に、また歯車箱カバー500の軸端部に形成された、または結合された肩部に固定されて、第2の回転軸74(すなわち、複合歯車70の回転軸)に沿って第1の軸方向に、第1の軸受542の軸方向移動を阻止することができる。ハウジング40bは、歯車箱カバー500に取り付けられて、歯車箱カバー500内で穴546を閉じ、第1の軸受542を覆うことができる軸受カバー550をさらに備えることができる。望ましい場合、パッドまたはボス552(
図26)が、軸受カバー550に形成され、第1の軸受542の外側の軸受軌道輪に半径方向に重なり、軸方向に当接して、第1の軸受542をさらに支持し、安定化させることができる。加えて、または代替的に、通路554(
図26)が軸受カバー550に設けられて、潤滑油が第1の軸受542を通過できるようにし、歯車箱カバー500における油排出チャネル560へと流すことができ、油だめ562(
図19)などの望ましいエリアに潤滑油を流すことができるようにする。
【0049】
[0078]
図21および
図25を参照すると、第2の軸受544は、複合歯車70とハウジング40bの間で半径方向の力を少なくとも実質的に、または排他的に処理し、伝達するように構成されたタイプの軸受とすることができる。示された例では、第2の軸受544は、内側の軸受軌道輪と外側の軸受軌道輪の間に円筒形のローラを使用する転がり軸受である。第2の軸受544は、歯車ケース500内に形成された穴570の中に受け入れられ得る。望ましい場合、内側の軸受軌道輪600は、それに対して第1および第2の減速歯車62および64が、回転可能に結合されるシャフト部材530上に形成され得る。
【0050】
[0079]新たに
図20および
図21を参照すると、第2の回転軸74(すなわち、複合歯車70の回転軸)は、変速機44の全体速度もしくは歯車の減速、電気駆動モジュール24b(
図18)が中に収められ得る外囲器の寸法、および/または第1の減速歯車62の歯の負荷が等しくなる程度などの基準を満足させる、またはそれに適合させるように、任意の望ましい方法で、第1の回転軸58に対して配置され得る。示された例では、第2の回転軸74および第1の回転軸58は、平面P内に配置され、また偶数の歯が、変速機入力歯車60上に形成される。このような構成は、第1の減速歯車62のそれぞれと変速機入力歯車60の間で伝達される負荷をバランスさせるのに役立つことができる。
【0051】
[0080]
図27から
図29において、本開示の教示に従って構成された第4の例示的な電気駆動モジュールの一部が、全体的に参照数字24cにより示されている。本明細書で明示的に述べられていない、または添付図面で(部分的に、または完全に)示されていない、電気駆動モジュール24cの構成要素、態様、特徴、および機能は、前に述べられた諸実施形態のいずれかで述べられた電気駆動ユニットの構成要素、態様、特徴、および/または機能と同様に構成される、または機能することができる。この例では、第1の回転軸58および第2の回転軸74は、互いに平行であるが、出力軸76に対して平行ではない。そうではなくて、第2の回転軸74は、例えば、15度など、ゼロ(0)度を超える傾斜角だけ出力軸76に対して傾いている。したがって、複合減速歯車70cの第2の減速歯車64c、および駆動歯車66cは、非円筒形歯車として形成され得る(例えば、べべロイド歯車、ハイポイド歯車、または他の非直交歯車など)。このような構成は、モータ組立体が、ハウジングから離れて延び、第1の回転軸58に沿って、入力ピニオン60からの距離が増加するようにする。提供される例では、第2の減速歯車64cおよび駆動歯車66cの非直交構成は、ハウジングの管の1つと、入力ピニオン60の反対側にあるモータ組立体の端部との間にさらなる間隔を提供する。示されるように、ハウジングは、中心のハウジング部材上に形成された管状の突起部の中に圧入嵌めされる1対の管を含む。溶接スラグが、管状の突起部における開口部を通して受け入れられ、管の関連するものに溶接されて、中心のハウジング部材に対する管の軸方向の動き、および回転運動を阻止する。
【0052】
[0081]諸実施形態の前述の記述は、例示および説明のために提供されている。それは、網羅的であるように、または本開示を限定するように意図されるものではいない。特定の実施形態の個々の要素または特徴は、概して、その特定の実施形態に限定されるのではなく、適用可能な場合は、具体的に示されていない、または述べられていない場合であっても、相互に交換可能であり、また選択された実施形態で使用され得る。本開示はまた、多くの方法で変更することができる。このような変更は、本開示からの逸脱であると見なすべきではなく、このような修正のすべては、本開示の範囲内に含まれるように意図されている。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 電気駆動モジュールであって、
モータ出力シャフトを有する電気モータと、
被駆動歯車と、
前記被駆動歯車により駆動される差動組立体と、
前記電気モータと前記被駆動歯車の間で回転動力を伝達する変速機と、前記変速機は、駆動歯車、1対の第1の減速歯車、および1対の第2の減速歯車を含み、前記駆動歯車は、第1の軸周りで共に回転する前記モータ出力シャフトに結合され、前記第1の減速歯車のそれぞれは、前記駆動歯車にかみ合い係合されて、各第2の軸周りで回転可能であり、ここにおいて、前記第2の軸は、互いに離間され、また前記第1の軸に対して平行であり、前記第2の減速歯車のそれぞれは、前記被駆動歯車にかみ合い係合され、前記第1の減速歯車の関連するものに非回転可能に結合される、
を有し、前記被駆動歯車は、第3の軸周りで回転可能である、電気駆動モジュール。
[2] 前記差動組立体は、差動入力部材を含み、前記被駆動歯車は、前記第3の軸周りで共通の回転を行うように前記差動入力部材に結合される、[1]に記載の電気駆動モジュール。
[3] 前記差動組立体は、差動歯車セットを含む、[2]に記載の電気駆動モジュール。
[4] 前記差動歯車セットは、1対のサイド歯車とかみ合い係合される複数の差動ピニオンを備える、[3]に記載の電気駆動モジュール。
[5] 1対の前記差動ピニオンは、前記差動入力部材に取り付けられたクロスピンに取り付けられる、[4]に記載の電気駆動モジュール。
[6] 前記変速機および前記差動組立体が中に受け入れられるハウジングと、
1対の駐車歯車と、前記駐車歯車のそれぞれは、前記第2の減速歯車の関連するものに非回転可能に結合される、
1対の係合歯を有する歯止めと、前記歯止めは、前記ハウジングに結合され、また前記係合歯のそれぞれが前記駐車歯車の対応するものと係合する係合位置と、前記係合歯が前記駐車歯車から係合解除される係合解除位置との間で枢動可能である、
第1の位置と第2の位置の間で移動可能な1対のプランジャと、前記プランジャのそれぞれが、第1の本体部分、および前記第1の本体部分よりも直径が小さい第2の本体部分を有し、ここにおいて、前記プランジャの前記第1の本体部分と前記歯止めとの間の接触が、前記歯止めを前記係合位置に位置決めし、ここにおいて、前記プランジャの前記第2の本体部分が、前記歯止めに接触したとき、前記歯止めは、前記係合解除位置に配置される、
をさらに備える、[1]に記載の電気駆動モジュール。
[7] 前記歯止めが、前記係合位置にあるとき、前記係合歯の第1のものと、前記駐車歯車の第1のものとの間で伝達される第1の負荷は、前記係合歯の第2のものと、前記駐車歯車の第2のものとの間で伝達される第2の負荷に等しい、[6]に記載の電気駆動モジュール。
[8] 前記歯止めは、枢動軸上で枢動可能に配置され、前記歯止めと前記枢動軸の間の嵌合は、前記枢動軸に対する前記歯止めの非回転の動きを可能にして、前記係合歯と前記駐車歯車の間で伝達される負荷が等しくなるようにする、[6]に記載の電気駆動モジュール。
[9] 前記プランジャの前記第1の本体部分は、円錐台形状をしている、[6]に記載の電気駆動モジュール。
[10] 各プランジャは、前記第1の本体部分と前記第2の本体部分の間に配置される遷移部分をさらに備え、前記遷移部分は、円錐台形状をしており、前記第1の本体部分の円錐角は、前記遷移部分の円錐角よりも小さい、[9]に記載の電気駆動モジュール。
[11] 前記第1の位置と前記第2の位置の間で前記プランジャの動きを制御するためのアクチュエータをさらに備え、前記アクチュエータは、アクチュエータハブと、カムプレートと、複数のカムフォロワとを備え、前記アクチュエータハブは前記ハウジングに結合され、前記カムプレートは、前記アクチュエータハブ周りで回転可能であり、また1対のカムを画定し、前記カムのそれぞれは、第1の円周方向端部と第2の円周方向端部の間でテーパの付いた深さを有する円周方向に延びる溝であり、前記カムフォロワのそれぞれは、前記カムの対応するものに受け入れられ、また前記プランジャの関連するものと1列に配置される、[6]に記載の電気駆動モジュール。
[12] 前記カムフォロワのそれぞれは、前記プランジャの前記関連するものに対して固定して結合される、[11]に記載の電気駆動モジュール。
[13] 前記アクチュエータは、前記アクチュエータハブと前記カムプレートの間に配置されたねじりばねをさらに含み、前記ねじりばねは、前記カムプレートを、前記アクチュエータハブに対して第1の回転位置に向けて付勢する、[11]に記載の電気駆動モジュール。
[14] 前記アクチュエータは、ロックアクチュエータをさらに含み、前記ロックアクチュエータは、ソレノイド組立体とロック開口部とを有し、前記ソレノイド組立体はソレノイドプランジャを有し、前記ロック開口部は前記カムプレートに形成され、前記ソレノイド組立体は、前記カムプレートが、前記カムの前記第2の円周方向端部を前記カムフォロワに位置合せする回転位置へと回転されたとき、付勢されて前記ソレノイドプランジャを前記ロック開口部の中に受け入れて前記カムプレートに係合させる、[11]に記載の電気駆動モジュール。
[15] 軸受が、前記アクチュエータハブと前記カムプレートの間に半径方向に配置される、[11]に記載の電気駆動モジュール。
[16] 前記第3の軸は、前記第1の軸に平行である、[1]に記載の電気駆動モジュール。
[17] 前記被駆動歯車および前記第2の減速歯車は、べべロイド歯車、ハイポイド歯車、および非直交歯車からなる1群の歯車から選択される、[1]に記載の電気駆動モジュール。
[18] 電気駆動ユニットであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに結合されたモータと、前記モータは、モータ軸周りで回転可能なモータ出力シャフトを有する、
前記ハウジング内に受け入れられ、入力ピニオンおよび1対の第1の複合歯車を有する変速機と、前記入力ピニオンは、共に回転するように前記モータ出力シャフトに結合され、前記第1の複合歯車のそれぞれが、前記モータ軸に平行な第1の中間軸周りで回転可能であり、前記第1の複合歯車のそれぞれは、前記入力ピニオンとかみ合い係合される第1の歯車、および共に回転するように前記第1の歯車に結合された第2の歯車を有する、
前記ハウジング内に受け入れられ、出力軸周りで回転可能な出力歯車と、前記出力歯車は、前記変速機によって駆動される、
差動入力部材および1対の差動出力部材を有する差動組立体とを備え、前記差動入力部材は、前記出力軸周りで共に回転するように前記出力歯車に結合され、前記差動出力部材のそれぞれは、前記出力軸周りで前記差動入力部材に対して回転可能である、電気駆動ユニット。
[19] 前記第2の歯車は、前記出力歯車とかみ合い係合される、[18]に記載の電気駆動ユニット。
[20] 前記第1の複合歯車のそれぞれは、シャフトを備え、前記第2の歯車は、前記シャフトと一体化して単一に形成され、前記第1の歯車は、前記シャフトに組み立てられる、[19]に記載の電気駆動ユニット。
[21] 前記変速機は、第2の中間軸周りで回転可能な第2の複合歯車を含み、前記第2の複合歯車は、前記第2の歯車とかみ合い係合される第3の歯車と、前記出力歯車とかみ合い係合される第4の歯車とを有する、[19]に記載の電気駆動ユニット。
[22] 前記電気駆動ユニットは、差動出力部材を、所定の回転出力速度で回転するように動作可能であり、前記モータ出力シャフトは、1分当たり19,000回転以上の回転速度で回転し、前記第1の歯車および前記第2の歯車のそれぞれのピッチ線速度は、前記差動出力部材が前記所定の回転出力速度で駆動されたとき、37メートル/秒以下である、[18]に記載の電気駆動ユニット。
[23] 前記差動出力部材が、前記所定の回転出力速度で駆動されたとき、前記モータ出力シャフトが回転する前記回転速度は、1分当たり20,000回転以上である、[22]に記載の電気駆動ユニット。
[24] 前記差動出力部材が、前記所定の回転出力速度で駆動されたとき、前記モータ出力シャフトが回転する前記回転速度は、1分当たり22,000回転以上である、[22]に記載の電気駆動ユニット。
[25] 前記差動出力部材が、前記所定の回転出力速度で駆動されたとき、前記モータ出力シャフトが回転する前記回転速度は、1分当たり24,000回転以上である、[24]に記載の電気駆動ユニット。
[26] 前記第1の歯車および前記第2の歯車のそれぞれの前記ピッチ線速度は、35メートル/秒以下である、[22]に記載の電気駆動ユニット。
[27] 前記第1の歯車は、互いに対して逆相になるように配置される、[18]に記載の電気駆動ユニット。
[28] 前記第2の歯車は、互いに対して同相になるように配置される、[27]に記載の電気駆動ユニット。
[29] 前記モータ軸および前記第1の中間軸は、共通平面内に配置される、[18]に記載の電気駆動ユニット。
[30] 前記出力軸は、前記第1の中間軸に対して平行である、[18]に記載の電気駆動ユニット。