(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】DVOの最後の一滴の引出しを目的とする、フラッシュを備えたプラスチックスパイクを収容するプロテクタ
(51)【国際特許分類】
A61J 1/20 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
A61J1/20 314B
(21)【出願番号】P 2022074069
(22)【出願日】2022-04-28
(62)【分割の表示】P 2020555904の分割
【原出願日】2019-04-09
【審査請求日】2022-05-20
(32)【優先日】2018-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514221366
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン アンド カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】マリシ,ポール,パイア
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-294809(JP,A)
【文献】特表2016-511083(JP,A)
【文献】国際公開第2018/064206(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/20
A61M 5/00-5/32
A61M 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体容器から外部に流体を移送する装置であって、
前記流体容器のシール部材を貫通させるための遠位端と近位端を有し、および流体流通
のための長手方向の流路を画定し、第一の開口部がその該遠位端に配置され、該第一の開
口部が該長手方向の流路に流体的に連通している穿刺部材と、
前記第一の開口部を覆って配置されたカバーとを備え、
前記カバーは、前記カバーを前記穿刺部材に接続する少なくとも1つのヒンジとプレカ
ットパターンとを有し、
前記カバーは、前記穿刺部材の前記流路を通って
移送部材
が延びた場合、前記長手方向の流路に沿う前記遠位端に向けられた力の印加
によって、前記プレカットパターンに沿って開くように構成されている装置。
【請求項2】
前記流路を通って延び、前記カバーに接触して、前記遠位に向けられた力を加える前記
移送部材は、カニューレを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
流体容器から外部に流体を移送する装置であって、
前記流体容器のシール部材を貫通させるための遠位端と近位端を有し、および流体流通
のための長手方向の流路を画定し、第一の開口部がその該遠位端に配置され、該第一の開
口部が該長手方向の流路に流体的に連通している穿刺部材と、
前記第一の開口部を覆って配置されたカバーとを備え、
前記カバーは、プレカットパターンを有し、
前記カバーは、前記穿刺部材の前記流路を通って
移送部材
が延びた場合、前記長手方向の流路に沿う前記遠位端に向けられた力の印加
によって、前記プレカットパターンに沿って開くように構成され、
前記カバーは、前記第一の開口部を覆って成形される膜を備える装置。
【請求項4】
前記カバーは、該カバーを前記穿刺部材に接続する少なくとも一つのヒンジを含む、請
求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも一つのヒンジはリビングヒンジを備え、前記カバーは、該少なくとも一
つのヒンジを介して前記穿刺部材に付着したままである、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも一つのヒンジは、第一のカバー部を前記穿刺部材の第一の部分に固定す
る第一のヒンジと、該穿刺部材の該第一の部分の反対側の位置において、第二のカバー部
を該穿刺部材の第二の部分に固定する第二のヒンジと、を備える、請求項4に記載の装置
。
【請求項7】
前記カバーは、前記第一の開口部に対して外側方向で前記第一のヒンジおよび第二のヒ
ンジに沿って開く、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記プレカットパターンは、前記第一の部分および第二の部分を除いて、前記第一の開
口部を部分的に包囲する切れ目を備え、その結果、前記カバーは、前記第一のヒンジおよ
び第二のヒンジを介して前記穿刺部材に付着したままである、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記第一の開口部を含む前記穿刺部材の前記遠位端は、前記遠位端の先端から形成され
た傾斜面であるテーパーを有し、前記テーパーは、前記シール部材を有する前記容器から
の最後の一滴の引き出しを前記先端からシール部材の厚さを越える長さの前記傾斜面に伝
わすことで容易にし、シール部材のさまざまな厚さに対しての使用のために構成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記穿刺部材は、長手方向の通気路を画定し、および該穿刺部材の前記遠位端に第二の
開口部を画定し、前記装置は、該穿刺部材の前記近位端から延びている本体をさらに備え
、該本体は、嵌合コネクタを受け入れるように構成された第一の接続部と、該本体を容器
に取付けるように構成された第二の接続部とを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記穿刺部材の前記長手方向の通気路と流体的に連通している均圧構成をさらに備える
、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記穿刺部材の前記第一の開口部は、該穿刺部材の該遠位端から長手方向に延びている
、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
流体容器から外部に流体を移送する装置であって、
前記流体容器のシール部材を貫通させるための遠位端と近位端を有し、および流体流通
のための長手方向の流路を画定し、第一の開口部がその該遠位端に配置され、該第一の開
口部が該長手方向の流路に流体的に連通している穿刺部材と、
前記第一の開口部を覆って配置されたカバーとを備え、
前記カバーは、プレカットパターンを有し、
前記カバーは、前記穿刺部材の前記流路を通って
移送部材
が延びた場合、前記長手方向の流路に沿う前記遠位端に向けられた力の印加
によって、前記プレカットパターンに沿って開くように構成され、
前記穿刺部材の前記近位端から該穿刺部材の前記遠位端へ延びる方向における該穿刺部
材の前記第一の開口部の長さは、該穿刺部材がシール部材を貫通したときに、該穿刺部材
の該第一の開口部の少なくとも一部が、流体容器の該シール部材の最内側に隣接して位置
するように確保している装置。
【請求項14】
前記穿刺部材は、前記遠位端に先端を備えた円筒形である、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記穿刺部材は、第一の平坦面を画定する第一の平坦部と、第二の平坦面を画定する第
二の平坦部とを備え、該第一の平坦部および第二の平坦部は、前記遠位端の前記先端から
延びており、それぞれ異なる平面上に配置され、該第一の平坦部および第二の平坦部を有
していない前記穿刺部材と比較して、流体容器のシール部材を貫通するのに必要な貫通力
を低減するように構成される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
流体容器から外部に流体を移送する装置であって、
第一の側および第二の側を有する本体と、
該本体の該第二の側から延び、前記流体容器のシール部材を貫通させるための遠位端と
近位端を有し、および流体流通のための長手方向の流路を画定する穿刺部材と、
該穿刺部材の該遠位端に配置され、前記長手方向の流路と流体的に連通している少なく
とも一つの第一の開口部と、
前記第一の開口部を覆って配置されたカバーとを備え、
前記カバーは、前記カバーを前記穿刺部材に接続する少なくとも1つのヒンジとプレ
カットパターンとを有し、
前記カバーは、前記穿刺部材の前記流路を通って移送部材
が延びた場合、前記長手方向の流路に沿う前記遠位端に向けられた力の印加
によって、前記プレカットパターンに沿って開くように構成されている装置。
【請求項17】
前記カバーは、前記第一の開口部に対して外側方向で
少なくとも一つのヒンジに沿って開き、前記プレカットパターンは、
前記少なくとも一つのヒンジを除いて、前記第一の開口部を部分的に包囲する切れ目を備え、その結果、該カバーは、前記
少なくとも一つのヒンジを介して前記穿刺部材に付着したままである、請求項
16に記載の装置。
【請求項18】
前記第一の開口部を含む前記穿刺部材の前記遠位端は、前記遠位端の先端から形成され
た傾斜面であるテーパーを備え、前記テーパーは、前記シール部材を有する前記容器から
の最後の一滴の引出しを前記先端からシール部材の厚さを越える長さの前記傾斜面に伝わ
すことで容易にし、シール部材のさまざまな厚さに対しての使用のために構成される、請
求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記穿刺部材は、長手方向の通気路を含み、および該穿刺部材の前記遠位端に第二の開
口部を画定し、前記装置の前記本体は、該穿刺部材の前記近位端から延び、該本体は、嵌
合コネクタを受け入れるように構成された第一の接続部と、該本体を容器に取付けるよう
に構成された第二の接続部と、を含む、請求項16に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年4月10日に出願された“Protector Housing Plastic Spike with Flash Intended for DVO Last Drop Extraction”というタイトルの米国特許仮出願第
62/655,427号に対する優先権を主張し、該特許の開示全体は、その全体の参照
によって本願明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
発明の分野
本発明は、クローズドシステム移送装置に使用されるスパイクに関し、該スパイクは、
流体開口部を覆って、最後の一滴の引出しを容易にし、およびコアリングを減らすプレカ
ットフラッシュを含む。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
医療用の医薬品や溶剤は、多くの場合、ゴム、プラスチックまたはエラストマー栓、栓
、膜または穿刺可能なキャップによってシールされているバイアル、瓶またはバッグ等の
ガラスまたはプラスチック製の容器内に供給される。このようなシール部材は、該医薬品
の劣化または汚染を防止し、シェイクすることによって容器の内容物が混合されることを
可能にし、および該容器の該内容物が漏出することや周囲を汚染することを防ぐ。流路お
よび該流路と連通する開口部を備えているカニューレまたは中空スパイクは、一般的に、
流体を該容器に供給して、そこから流体を引き出すようなシール部材を介して挿入される
。
【0004】
該容器にアクセスするのに使用される従来の装置は、容器の該シール部材を貫通して、
穿刺部材の遠位端に開口部を画定する該穿刺部材を利用する。典型的には、該穿刺部材が
該バイアルにアクセスした後に、該バイアルは、上下を逆にされて、該容器から薬剤が引
き出される。流体容器の該内容物が、一端、該穿刺部材の該開口部の最外縁の真下のレベ
ルまで排出されると、該穿刺部材がわずかでも引っ込められない限り、流体は、該流体容
器からそれ以上排出することができない。したがって、多くの場合、(非常に高価および
/または有毒である可能性のある)該薬剤の該最後の数滴は、該容器から完全に取出され
ず、そのことが無駄を生じ、および該容器の洗浄/処分が必要になる。該容器内の残りの
薬剤を取り出すために、該穿刺部材が該容器の該シール部材を介して後退される場合、こ
のような操作中に、有毒な薬物または薬剤が漏出して、周囲環境を汚染する可能性があり
、また、ダスト、花粉または細菌等の好ましくない粒子を含有する非ろ過空気が該穿刺部
材内に引き込まれて、中の該薬剤を汚染する可能性がある。したがって、多くの従来の装
置は、該穿刺部材が該バイアルに十分に入った後に、該容器またはバイアルにロックされ
る。場合により、容器には、すべての薬物が該容器から引き出されるわけではないという
ことを許容するために引き出すべき余分な量の薬物が備えられている。その場合、ユーザ
は、推奨された投与回数分を該容器から引き出すことができるが、そうすることが、医療
用流体の各容器のコストを増加させ、廃棄物を増加させ、および該容器の洗浄または廃棄
をより複雑にさせるであろう。
【0005】
Becton,Dickinson and Company Ltd.が所有する特許文献1(米国特許第9,919,
826号明細書)は、該容器シール部材を貫通するスパイクを有する流体容器に、または
該流体容器から流体を移送するクローズドシステム移送装置を開示している。該スパイク
は、流路との連通のための第一の開口部と、通気口との連通のための第二の開口部とを含
む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
シール部材は、幅広い構成、サイズおよび厚さにおいて利用可能であるため、該バイア
ル内の該薬物の使用を安全かつ便利な方法で最適化しながら、複数の異なるシール部材に
使用するのに適しているスパイクを設計することは困難である。また、多くの場合、該バ
イアルの該シール部材を介した該スパイクの挿入時および/または注射器カニューレを用
いた該シール部材の最初の貫通および繰り返しの貫通時に、シール部材のコアリングが起
きる。したがって、該スパイクの挿入時および該注射器カニューレによる初期のおよび/
または繰り返しの貫通時のコアリングを防ぐための覆いを含むスパイクを設計する必要が
ある。また、該バイアルの内容物の最後の一滴の引出しを容易にするための傾斜したオリ
フィス等のデザイン/形状を有するスパイクに対する要求、およびさまざまな栓のサイズ
/厚さに対して使用できるデザイン/形状を有するスパイクに対する要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の態様によれば、流体を移送する装置は、遠位端および近位端を有し、および長
手方向の流路を画定する穿刺部材を含む。第一の開口部が、該穿刺部材の該遠位端に位置
している。該第一の開口部は、該長手方向の流路と流体的に連通している。カバーまたは
「フラッシュ(flash)」が、該第一の開口部を覆って位置している。該カバーは、プレ
カットパターンを含んでいるため、このカバーは、該長手方向の流路から遠位に向けられ
た力の印加時に、該プレカットパターンに沿って開く。本発明によれば、「フラッシュ」
は、成形時の形態において、該穿刺部材の該流体オリフィスを閉じる覆いとして定義され
る。
【0009】
この遠位に向けられた力は、該流路を通って延びているカニューレを介して加えること
ができ、該カニューレは、該カバーに接触して該カバーに力を加えて、該カバーを該プレ
カットパターンに沿って破断させる。
【0010】
一つの実施形態によれば、該カバーは、該第一の開口部を覆って成形される膜とするこ
とができる。該カバーは、該カバーを該穿刺部材に接続する少なくとも一つの成形ヒンジ
を含むことができる。別の実施形態によれば、該プレカットパターンは、該カバーを第一
の部分と第二部分とに分ける、該カバーの中心部に沿った切れ目を含むことができ、およ
び該少なくとも一つの成形ヒンジは、該第一のカバー部を該穿刺部材の第一の部分に固定
する第一のヒンジと、該穿刺部材の該第一の部分の反対側の位置において、第二のカバー
部を該穿刺部材の第二の部分に固定する第二のヒンジとを備えることができる。使用時に
おいて、該遠位に向けられた力の印加時に、該カバーは、該第一の開口部に対して外側方
向で該第一および第二のヒンジに沿って開く。
【0011】
一つの実施形態によれば、該少なくとも一つの成形ヒンジおよび/または該第一および
第二のヒンジはリビングヒンジから成り、および該カバーは、該少なくとも一つの成形ヒ
ンジおよび/または該第一および第二のヒンジを介して、該穿刺部材に付着したままであ
る。
【0012】
該プレカットパターンは、該第一および第二の部分を除いて、該開口部を部分的に包囲
する切れ目を備えることができ、その結果、使用中において、該カバーは、該第一および
第二のヒンジを介して該穿刺部材に付着したままである。
【0013】
該第一の開口部を含む該穿刺部材の該遠位端は、シール部材を有する容器からの最後の
一滴の引出しを容易にするためのスティープテーパーを含むことができ、この場合、該穿
刺部材の該スティープテーパーは、シール部材のさまざまな厚さに対しての使用のために
構成される。
【0014】
該穿刺部材は、長手方向の通気路を画定し、および該穿刺部材の該遠位端に第二の開口
部を画定し、および流体を移送する該装置は、該穿刺部材の該近位端から延びている本体
をさらに備え、この場合、該本体は、嵌合コネクタを受け入れるように構成された第一の
接続部と、該本体を容器に取付けるように構成された第二の接続部とを含む。該装置は、
該穿刺部材の該長手方向の通気路と流体的に連通している均圧構成をさらに含む。
【0015】
該穿刺部材の該第一の開口部は、該穿刺部材の該遠位端から長手方向に延びている。該
穿刺部材の該近位端から該穿刺部材の該遠位端へ延びる方向における該穿刺部材の該第一
の開口部の長さは、該穿刺部材が該シール部材を貫通したときに、該穿刺部材の該第一の
開口部の少なくとも一部が、流体容器のシール部材の最内側に隣接して位置していること
を確保している。
【0016】
一つの実施形態によれば、該穿刺部材は、該遠位端に先端を備えた円筒形状を有するこ
とができる。別の実施形態によれば、該穿刺部材は、第一の平坦面を画定する第一の平坦
部と、第二の平坦面を画定する第二の平坦部とを備えることができ、この場合、該第一お
よび第二の平坦部は、該第一および第二の平坦部を有していない穿刺部材と比較して、流
体容器のシール部材を貫通するのに必要な貫通力を低減するように構成されている。
【0017】
本開示の別の態様によれば、流体を移送する装置は、第一の側および第二の側を有する
本体を含む。穿刺部材は、該本体の該第二の側から延びており、この場合、該穿刺部材は
、長手方向の流路を画定する遠位端および近位端を有している。少なくとも一つの開口部
が、該穿刺部材の該遠位端に配置され、また、該少なくとも一つの開口部は、該長手方向
の流路に流体的に連通している。カバーが該第一の開口部を覆って配置されている。該カ
バーは、プレカットパターンを含み、この場合、該カバーは、該長手方向の流路からの遠
位に向けられた力の印加時に、該プレカットパターンに沿って開く。
【0018】
一つの実施形態によれば、該カバーは、該第一の開口部を覆って成形される膜を備え、
また、該プレカットパターンは、該カバーを第一の部分と第二の部分とに分ける該カバー
の中心部に沿った切れ目を備えている。また、該カバーは、該第一のカバー部を該穿刺部
材の第一の部分に固定する第一のヒンジと、該穿刺部材の該第一の部分の反対側の位置に
おいて、該第二のカバー部を該穿刺部材の第二の部分に固定する第二のヒンジとを含む。
該遠位に向けられた力による貫通時に、該カバーは、該第一の開口部に対して外側方向で
該第一および第二のヒンジに沿って開く。この開きを容易にするために、該プレカットパ
ターンは、該第一および第二の部分を除いて、該開口部を部分的に包囲する切れ目を備え
ているため、該カバーは、該第一および第二のヒンジを介して、該穿刺部材に付着したま
まである。該第一の開口部を含む該穿刺部材の該遠位端は、シール部材を有する容器から
の最後の一滴の引出しを容易にするためのスティープテーパーを有し、この場合、該穿刺
部材の該スティープテーパーは、シール部材のさまざまな厚さに対しての使用のために構
成される。
【0019】
また、該穿刺部材は、長手方向の通気路も画定し、および該穿刺部材の該遠位端に第二
の開口部を画定している。該流体移送装置の該本体は、該穿刺部材の該近位端から延びて
いる。該本体は、嵌合コネクタを受け入れるように構成された第一の接続部と、該本体を
容器に取付けるように構成された第二の接続部とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】従来技術による容器アクセス装置の斜視図である。
【
図2】該従来技術による
図1の該装置の正面分解図である。
【
図3】スリーブが取外された状態の該装置を示す、該従来技術による
図1の該装置の底部の左側斜視図である。
【
図4】スリーブが取外された状態の該装置を示す、該従来技術による
図1の該装置の底部の右側斜視図である。
【
図5】スリーブが取外された状態の該装置を示す、該従来技術による
図1の該装置の左側の断面図である。
【
図6】スリーブが取外された状態の該装置を示す、該従来技術による
図1の該装置の底面図である。
【
図6A】該従来技術による
図6に示す領域の拡大図である。
【
図7】スリーブが取外された状態の該装置を示す、該従来技術による
図1の該装置の左側面図である。
【
図8】スリーブが取外された状態の該装置を示す、該従来技術による
図1の該装置の背面図である。
【
図8A】該従来技術による
図8に示す該領域の拡大図である。
【
図9】該従来技術による
図6の線9-9に沿った断面図である。
【
図9A】該従来技術による
図9に示す該領域の拡大図である。
【
図10】容器にアクセスして装着される過程の該装置を示す、該従来技術による
図1の該装置の断面図である。
【
図11】容器にアクセスしている該装置を示す、該従来技術による
図1の該装置の断面図である。
【
図12】該従来技術の第二の実施形態による容器アクセス装置の断面図である。
【
図13】該従来技術の第三の実施形態による容器アクセス装置の断面図である。
【
図14】本発明の実施形態による該穿刺部材を含む流体移送装置の一部の斜視図である。
【
図14A】本発明の実施形態による
図14のスパイクの拡大斜視図である。
【
図15】本発明の実施形態による、覆い/フラッシュが閉じられている
図14の該流体移送装置の一部の側部斜視図である。
【
図15A】本発明の実施形態による
図15の該スパイクおよびフラッシュの拡大正面図である。
【
図15B】本発明の実施形態による、該覆い/フラッシュの該プレカットパターンのカッティングパターンを示す、
図15Aの該覆い/フラッシュの部分正面図である。
【
図16】本発明の実施形態による、該覆い/フラッシュが開いている
図14の流体移送装置の一部の側面斜視図である。
【
図16A】本発明の実施形態による
図16の該スパイクの拡大正面斜視図である。
【
図16B】本発明の実施形態による
図16の該スパイクの拡大側面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
本願明細書における以下の説明のために、「端部」、「上方」、「下方」、「右」、「
左」、「垂直方向」、「水平方向」、「上部」、「底部」、「横方向」、「長手方向」お
よびこれらの派生語等の用語は、図面において特定の方向に向けられているように本発明
に関連するものとする。しかし、本発明は、明確に記述されていない限り、さまざまな代
替的な変形例および工程の順序を想定することができることを理解すべきである。また、
添付図面に図示されている、および以下の明細書に記載されている特定の装置およびプロ
セスは、本発明の単に例示的な実施形態であることも理解すべきである。したがって、本
願明細書に開示された該実施形態に関連する具体的な寸法および他の物理的特性は、限定
的であると見なすべきではない。さらに、本発明は、明確に記述されていない限り、さま
ざまな代替的な変形例および工程の順序を想定することができることを理解すべきである
。
【0022】
図1~
図11Aを参照すると、該従来技術による容器アクセス装置10は、第一の側1
4および第二の側16を有する本体12と、該本体12の該第二の側16から延びている
穿刺部材18と、該穿刺部材18を包囲している退避可能スリーブ20とを含む。該容器
アクセス装置10は、シール部材24を有する流体容器22から流体を移送するように構
成され、このことは
図10に示されている。該流体容器22は、限定するものではないが
、バイアル、瓶、および輸液バッグ等の袋を含んでもよい。
【0023】
図2~
図11Aを参照すると、該穿刺部材18は、近位端26および遠位端28を有し
て、長手方向の流路30を画定している。尖った先端32が、該容器22の該シール部材
24を貫通するために該遠位端28に設けられている。該穿刺部材18は、丸みのある断
面を有しているが、限定するものではないが、長円形、正方形およびさまざまな断面を含
む他の適当な断面を利用してもよい。好ましくは、該穿刺部材18は、該装置が使用され
るときに、該シール部材24に対して十分なシールを形成する丸みのある断面を有してい
る。該穿刺部材18は、該穿刺部材18の該遠位端28から該穿刺部材18の該近位端2
6に向かって延びている該長手方向の流路30と流体的に連通している流体開口部34を
画定している。該流体開口部34は、限定するものではないが、矩形状、正方形、円形、
長円形または鍵穴状を含む任意の適当な形状とすることができる。
図2~
図11Aに示す
該実施形態において、該流体開口部34は長円形状である。該流体開口部34は、該装置
10の使用時に、該流体開口部34の少なくとも一部が、確実に該シール部材24の最内
側36に実質的に隣接して位置するように、該穿刺部材18の該遠位端28から、または
、該穿刺部材18の該遠位端28から数ミリのいずれかから、該穿刺部材18の長さの約
50%にわたって長手方向に沿って延在している。該流体開口部34の該長さは、貫通す
ることが意図されている最も薄いシール部材24の厚さと、該穿刺部材18が該シール部
材24を貫通することが意図されている距離とに基づいて選択することができる。
図11
に示すように、該シール部材24は、該装置11が該容器22に十分に係合している場合
、該流体開口部34に重なり合う。該流体開口部34の最大幅は、該穿刺部材18の最大
幅の少なくとも20%に等しくすることができ、および好ましくは、該穿刺部材18の該
最大幅の少なくとも50%である。該流体開口部34は、必ずしも該装置10の長手方向
軸に平行な方向に、または、該軸と同一直線上に延びている必要はなく、および該穿刺部
材18の該長さに沿ってジグザグ状に延びていてもよく、または、該装置10の該長手方
向軸を横切って延びている複数の開口部によって画定してもよい。
【0024】
図2~
図11Aをさらに参照すると、該本体12は、該本体12の該第一の側14から
延びている第一の接続部38を含む。該第一の接続部38は、該流体容器22からの流体
の除去または該容器への流体の挿入を可能にするために、該装置10をシリンジアダプタ
または他の適当な装置または容器に装着するように構成されている。
図9に示すように、
該第一の接続部38は、嵌合コネクタ、例えば、コレット構成を受け入れるように形成お
よび構成されるが、限定するものではないが、ルアー構成、スナップフィット機構、ねじ
式ルアーロック、およびその他の適当な機構式または非機構式接続構成を含む他の適当な
接続を利用してもよい。該長手方向の流路30は、該本体12の中を通って延びており、
および該第一の接続部38と流体的に連通している。該第一の接続部38は、該第一の接
続部38において該流路30をシールするために、隔壁または膜40を含んでいてもよい
。また、該本体12は、該装置10を該流体容器22に取付けるように構成されている、
該装置10の該本体12の該第二の側16から延びている第二の接続部42を含んでいて
もよい。該第二の接続部42は、該穿刺部材18が、該流体容器22の該シール部材24
を貫いて押込まれているときに、該流体容器22の周縁に係合する突起部46を有する複
数の弾性アーム44を含んでいるが、該第二の接続部42用の他の適当な構成を利用して
もよい。
図10および
図10Aに示すように、該弾性アーム44は、該装置10が、該流
体容器22に装着される過程で、径方向外側に撓み、
図11および
図11Aに示すように
、該容器に完全に固定された後に、該アームの元の位置に戻る。
【0025】
再び
図2~
図11Aを参照すると、該装置10は、膨張可能なチャンバ52の利用を介
した流体移送中に、該容器22内の圧力を均等化するように構成されている均圧構成50
をさらに含む。該穿刺部材18は、長手方向の通気路60と、該穿刺部材18の該遠位端
28から、または、該穿刺部材18の該遠位端28から該穿刺部材18の該近位端26に
向かって数ミリメートル延びている通気開口部62とを画定している。該通気開口部62
は、該長手方向の通気路60と流体的に連通している。該長手方向の通気路60は、該装
置10の該本体12を通って延びており、および該均圧構成50の該膨張可能なチャンバ
52と流体的に連通している。具体的には、該装置10の使用時に、該長手方向の通気路
60と該均圧構成50は、該流体容器22内の該圧力を調節するのに利用され、および該
薬剤および任意の気化物質を該装置10内および該流体容器22内に収容する。該均圧構
成50は、参照により、その全体が本願明細書に組み込まれる米国特許第8,523,8
38号明細書に示されているバルーンまたは膜構成であってもよいが、限定するものでは
ないが、フィルタ式通気出口等の他の適当な均圧構成を利用してもよい。さらに、図示さ
れていないが、該均圧構成は、該チャンバ52と該長手方向の通気路60との間に配置さ
れた疎水性フィルタ等のフィルタを含んでいてもよい。該長手方向の流路30と長手方向
の通気路60は、限定するものではないが、丸み、長円形、楕円形、半円形および正方形
を含む任意の適当な断面を有していてもよい。
図6Aにより明確に図示されているように
、該長手方向の流路30および長手方向の通気路60の該断面は、楕円形または半円形で
あるため、それらの断面積は、該円筒形の穿刺部材18内で最大化することができる。
【0026】
図2~
図8Aを参照すると、該穿刺部材18は、第一の平坦部64が第二の平坦部66
と対向して配置されている状態で、該通気開口部62と該流体開口部34との間の周方向
に配置された該第一および第二の平坦部64,66を含む。該第一および第二の平坦部6
4,66は、それぞれ、第一の端部68,72および第二の端部70,74を含む。該平
坦部64,66の該第一および第二の端部68,70,72,74は、該第一および第二
の端部68,70,72,74よりも狭いテーパ状中間部を有する概して球根状になって
いる。該第一および第二の平坦部64,66は、概して平坦である。該第一および第二の
平坦部64,66は、該穿刺部材18が該流体容器22の該シール部材24を貫通するの
に必要な力を少なくするように構成されている。
【0027】
図1、
図2、
図9および
図9Aを参照すると、該退避可能スリーブ20は、遠位端76
および近位端78を有して、該穿刺部材18を包囲している。該退避可能スリーブ20は
、限定するものではないが、シリコーンゴムを含む、限定するものではないが、熱可塑性
または熱硬化性エラストマーを含むエラストマー材料で形成することができる。該退避可
能スリーブ20は、該穿刺部材18の該近位端26を包囲している近位開口部80と、該
長手方向において、該穿刺部材18の該遠位端28を越えて位置している遠位開口部82
とを有している。したがって、該スリーブ20の該遠位開口部82と、該穿刺部材18の
該遠位端28との間には空間がある。該退避可能スリーブ20の内側面は、該穿刺部材1
8の外側面の形状に似ている形状を有している。該退避可能スリーブ20の該内側面と、
該穿刺部材18の該外側面との間には、隙間84が画定されている。該隙間84は、実質
的に均一な幅を有していてもよく、すなわち、該退避可能スリーブ20の該内側面と、該
穿刺部材18の該外側面との間の距離は、実質的に均一である。該退避可能スリーブ20
の該遠位開口部82は、該隙間84と流体的に連通しているため、ETOガス等の滅菌ガ
スまたは液体は、該隙間84に入って、該退避可能スリーブ20の該内側面と、該穿刺部
材18の該外側面の両方を滅菌することができる。該退避可能スリーブ20の該近位端7
8と、該穿刺部材18の該近位端26との間にはシールが存在する。該退避可能スリーブ
20の該近位端78と、該穿刺部材18の該近位端26との間の該シールの合わせ面は、
該装置10の使用中であっても大気に曝されることは決してない。
【0028】
図9および
図9Aを参照すると、該退避可能スリーブ20と該穿刺部材18との間の該
シールは、該退避可能スリーブ20の該近位端78と、該穿刺部材18の該近位端26と
の間の締りばめによって形成することができる。該締りばめは、該スリーブの近位端78
における該退避可能スリーブ20の該断面厚さを増すことによって実現することができる
。また、該退避可能スリーブ20には、縁86を該近位端78に設けてもよい。この縁8
6は、該本体12の該第二の側16に当接するように構成され、および該装置10の該本
体12によって画定されている環状溝88によって収容することができる。該縁86は、
該退避可能スリーブ20を剛性の管状ツール内に配置することにより、該退避可能スリー
ブ20が該穿刺部材18を覆って容易に組み付けることができるようになっており、その
結果、該ツールの端部が該縁86に当接する。この場合、該ツールは、該退避可能スリー
ブ20を該穿刺部材18上に押し込むのに利用することができる。
【0029】
図12および
図12Aを参照すると、容器アクセス装置90のさらなる実施形態が図示
されている。該アクセス装置90は、
図1~
図11Aに示す該装置10と似ており、類似
の参照数字を同様の要素に用いるものとする。しかし、
図12に示す該アクセス装置90
は、該装置10の使用時に、該流体容器22の該シール部材24に対してより良好なシー
ルを形成するために、該遠位開口部82に隣接して縁86を含んでいる。
【0030】
図13および
図13Aを参照すると、容器アクセス装置96の別の実施形態が図示され
ている。該アクセス装置96は、
図1~
図11Aに示す該装置10と似ており、類似の参
照数字を同様の要素に対して用いるものとする。しかし、
図13の該アクセス装置96は
、該穿刺部材の近位端26において、該穿刺部材18の部分98の厚さを増すことにより
、該退避可能スリーブ20と該穿刺部材18との間の締りばめを達成している。また、図
13に図示されているように、該アクセス装置96は、長手方向の流路30のみを有して
、通気開口部は有していなくてもよい。
【0031】
再び
図1、
図2および
図9~
図11Aを参照すると、該退避可能スリーブ20は、該装
置10が既に流体容器22内に挿入されている場合に、該シール部材24の最外側99に
当接するように、および該穿刺部材18が、より深く該シール部材24を貫通するにつれ
て退避するように構成されている。該装置10が、
図11に示すように、該流体容器22
の該シール部材24に十分に挿入されると、該流体開口部34の少なくとも一部が、該流
体容器22の内部に露出されるとともに、該流体開口部34の残りの部分は、該流体容器
22の該シール部材24によってシールされ、それにより、該流体容器22の内容物の劣
化および汚染が防止され、および該流体容器22の該内容物が漏出すること、および周囲
環境を汚染することが防止される。より具体的には、
図10および
図10Aに示すように
、該穿刺部材18が該流体容器22に入るにつれて、該流体開口部34は、該流体容器2
2の該シール部材24の厚みに及んでいく。該退避可能スリーブ20がない場合、有毒な
蒸気または物質が該周囲環境に放出される可能性があり、または、汚染物が、該流体容器
22内に入る可能性がある。該退避可能スリーブ20は、該流体容器22内へのいかなる
流入または該流体容器からのいかなる漏出も防ぐために、該流体容器22の該シール部材
24に対してシールを形成し、および該穿刺部材18が該流体容器22に挿入されるにつ
れて退避する。さらに、該流体開口部34の細長いサイズおよび形状は、該流体容器22
からの薬剤の引き込み中に典型的である、該流体容器22が逆さにされたときに、該流体
容器22を完全に空にできるようになっている。該流体開口部34全体が該流体容器22
内に配置されている場合、該シール部材24の該サイズにより、該薬剤のすべてが該流体
容器22から排出されない可能性がある。
【0032】
該穿刺部材18が該シール部材24を貫いて該流体容器22内に挿入されるにつれて、
該退避可能スリーブ20は、
図10~
図11Aに示すように、該シール部材24と、該装
置10の本体12との間で圧縮される。このことが、該退避可能スリーブ20と該シール
部材24との間に、および該退避可能スリーブ20と該装置10の該本体12との間にシ
ールを形成し、それにより、該流体の移送中に、該流体容器22の該内容物が一切該大気
中に露出されないことを確実にする。
【0033】
該穿刺部材18、該流体開口部34および該退避可能スリーブ20の長さは、該装置1
0が該流体容器22の該シール部材24に挿入されたときに、いくつかの条件が満たされ
るように選択することができる。第一に、該穿刺部材18内の該長手方向の流路30を介
して、流体が該流体容器22に流入し、または該流体容器から流出することを可能にする
ように、該流体開口部34の一部が該流体容器22内に配置される。第二に、該退避可能
スリーブ20は、該退避可能スリーブ20の該遠位端76が、該シール部材24に対して
シールを形成し、および該退避可能スリーブ20の該近位端78が、該装置10の該本体
12に対してシールを形成するように圧縮される。
【0034】
さらに、該装置10の構成は、異なる構成および異なる厚さのシール部材24を有する
さまざまな該流体容器22から流体の最後の一滴まで引き出せるようになっている。同時
に、該退避可能スリーブ20の構成は、該流体容器22へのアクセスおよび該流体の移送
がシール状態で行われ、その結果、システム全体を滅菌できるようにしながらも、流体ま
たはガスが該システムから漏出したり、または該システムに流入したりすることがないこ
とを確保する。具体的には、該退避可能スリーブ20と該穿刺部材18との間の隙間84
は、該穿刺部材18と、該退避可能スリーブ20の該内側面とを滅菌できるようになって
いる。また、該退避可能スリーブ20は、該穿刺部材18が該流体容器22に挿入される
前の該穿刺部材の接触汚染も防止する。
【0035】
次に、
図14~
図16Bに関して説明すると、これらは、本発明による、全体として符
号110で示す、流体移送装置に使用するための、全体として符号118で示す穿刺部材
を示す。該穿刺部材118は、遠位端128および近位端126を有し、および長手方向
の流路130を画定している。該穿刺部材118は、丸みのある断面を有することができ
るが、該穿刺部材が、限定するものではないが、長円形、正方形およびさまざまな断面を
含む他の断面を有することができることは正しく認識することができる。第一の開口部1
34は、該穿刺部材118の該遠位端128に配置されている。該第一の開口部134は
、該長手方向の流路130と流体的に連通している。カバーまたは「フラッシュ」135
は、該第一の開口部134を覆って配置されている。該カバー135は、プレカットパタ
ーン136を含んでいるため、該カバー135は、該長手方向の流路から遠位に向けられ
た力の印加時に、該プレカットパターン136に沿って開く。本発明によれば、「フラッ
シュ」は、成形時の形態において、該穿刺部材118の流体オリフィスまたは第一の開口
部134を閉じる覆いとして画定されている。
【0036】
この遠位に向けられた力は、
図16、
図16Aおよび
図16Bに示すように、カニュー
レ139を介して印加することができ、該カニューレは、該カバー135に接触して力を
該カバーに加えて、該カバー135を該プレカットパターン136に沿って破断させる遠
位先端141を有する該流路130を通って延びている。
【0037】
一つの実施形態によれば、該カバー135は、該第一の開口部134を覆って成形され
る膜とすることができる。該カバー135は、該カバー135を該穿刺部材118に接続
する少なくとも一つの成形ヒンジ143を含むことができる。別の実施形態によれば、該
プレカットパターン136は、該カバーを第一のカバー部137aと第二のカバー部13
7bとに分割する、該カバーの中心部137に沿った切れ目を含むことができ、また、該
少なくとも一つの成形ヒンジ143は、該第一のカバー部137aを該穿刺部材118の
第一の部分118aに固定する第一のヒンジ143aと、該第二のカバー部137bを該
穿刺部材118の第二の部分118bに固定する第二のヒンジ143bとを備えることが
できる。該第二のカバー部137bを該穿刺部材118の該第二の部分118bに固定す
る該第二のヒンジ143bは、該第一のカバー部137aを該穿刺部材118の該第一の
部分118aに固定する該第一のヒンジ143aと反対側にある位置にある。該装置10
の使用時、該遠位に向けられた力の印加は、
図16~
図16Bに示すように、該第一の開
口部134に対して外側方向において、該カバー135を該第一および第二のヒンジ14
3a、143bに沿って開かせる。
【0038】
一つの実施形態によれば、該少なくとも一つの成形ヒンジ143および/または該第一
および第二のヒンジ143a、143bは、リビングヒンジとすることができ、および該
カバー135は、該少なくとも一つの成形ヒンジ143および/または該第一および第二
のヒンジ143a、143bを介して該穿刺部材118に固定されたままである。
【0039】
図15Bを参照すると、該プレカットパターンは、該第一および第二の部分118a、
118bを除いて、該第一の開口部134を部分的に包囲する切断部145を含むことが
でき、その結果、使用中、該カバー135は、該第一および第二のヒンジ143a、14
3bを介して該穿刺部材118に付着したままである。
【0040】
該穿刺部材118の該遠位端128は、
図14Aおよび
図14Bに示すように、該第一
の開口部134の位置にスティープテーパー119を含むことができる。該スティープテ
ーパー119は、容器、例えば、
図10に示す容器22からの最後の一滴の引出しを容易
にする、該第一の開口部134用の傾斜オリフィスを構成している。
図10に示すように
、該容器22は、シール部材24を有している。本発明の該穿刺部材118にスティープ
テーパー119を設けることにより、該穿刺部材118を、さまざまな厚さおよび/また
はサイズを有するシール部材24に対して使用できるようになっている。
【0041】
引き続き
図14Aおよび
図14Bを参照すると、該穿刺部材118は、長手方向の通気
路160を画定し、および該穿刺部材118の該遠位端128に第二の開口部162を画
定している。さらに
図14および
図15を参照すると、該流体移送装置110は、該穿刺
部材118の該近位端126から延びている本体112をさらに備えている。この本体1
12は、嵌合コネクタ、例えば、コレット構成を受け入れるために構成された第一の接続
部138を含むことができるが、限定するものではないが、ルアー構成、スナップフィッ
ト機構、ねじ式ルアーロック、およびその他の適当な機構式または非機構式接続構成を含
む他の適当な接続を利用してもよい。第二の接続部142は、該本体112を容器に取付
けるように構成されている。該第二の接続部142は、該穿刺部材118が、該流体容器
の該シール部材を貫いて押込まれているときに、該流体容器の周縁に係合する突起部14
6を有する複数の弾性アーム144を含むことができるが、該第二の接続部142用の他
の適当な構成を利用してもよい。該弾性アーム144は、該装置110が、該流体容器に
装着される過程で径方向外側に撓み、および該容器に完全に固定された後に、該アームの
元の位置に戻るようにデザインされている。
【0042】
該装置は、該穿刺部材118の該長手方向の通気路160と流体的に連通している均圧
構成150をさらに含んでいる。該均圧構成150は、
図9に符号52として示すように
、膨張可能なチャンバの利用を介した流体移送中に、該容器内の圧力を均等化するように
構成されている。
図14Bにさらに示すように、および上述したように、該穿刺部材11
8は、長手方向の通気路160と、該穿刺部材118の該遠位端128から、または、該
穿刺部材118の該遠位端128から該穿刺部材118の該近位端126に向かって数ミ
リメートル延びている通気開口部または第二の開口部162とを画定している。該通気開
口部または第二の開口部162は、該長手方向の通気路160と流体的に連通している。
該長手方向の通気路160は、該装置110の該本体112を通って延びており、および
該均圧構成150の該膨張可能なチャンバと流体的に連通している。具体的には、該装置
110の使用時に、該長手方向の通気路160と該均圧構成150は、該流体容器内の該
圧力を調節するのに利用され、および該薬剤および任意の気化物質を該装置110内およ
び該流体容器に収容する。該均圧構成150は、参照により、その全体が本願明細書に組
み込まれる米国特許第8,523,838号明細書または同第9,919,826号明細
書に示されているバルーンまたは膜構成であってもよいが、限定するものではないが、フ
ィルタ式通気出口等の他の適当な均圧構成を利用してもよい。さらに、図示されていない
が、該均圧構成は、該チャンバと該長手方向の通気路160との間に配置された疎水性フ
ィルタ等のフィルタを含んでいてもよい。該長手方向の流路130と長手方向の通気路1
60は、限定するものではないが、丸み、長円形、楕円形、半円形および正方形を含む任
意の適当な断面を有していてもよい。
【0043】
該穿刺部材118の該第一の開口部134は、該穿刺部材118の該遠位端128から
長手方向に延びている。該穿刺部材118の該近位端126から該穿刺部材118の該遠
位端128まで延びている方向における、該穿刺部材118の該第一の開口部134の長
さは、該穿刺部材118が、例えば、流体容器22のシール部材24を示し、この場合、
該流体開口部34が該シール部材24の最内側に隣接している
図10~
図11Aに例示の
ために図示されているように、該穿刺部材118が該シール部材を貫通しているときに、
該穿刺部材118の該第一の開口部134の少なくとも一部が、流体容器のシール部材の
最内側に隣接して位置していることを確保している。
【0044】
一つの実施形態によれば、該穿刺部材118は、該遠位端128に尖った先端132を
備えた円筒形状を有することができる。別の実施形態によれば、および
図14および
図1
4Aを参照すると、該穿刺部材118は、第一の平坦面を画定する第一の平坦部153と
、第二の平坦面を画定する第二の平坦部155とを備えることができ、この場合、該第一
および第二の平坦部153,155は、該第一および第二の平坦部を有していない穿刺部
材と比較して、流体容器のシール部材を貫通するのに必要な貫通力を低減するように構成
されている。
【0045】
図14~
図16Bには図示されていないが、本発明の該流体移送装置110が、本開示
の
図1、
図12および
図13に示すような該従来技術の該退避可能スリーブ20を含むこ
とができることは正しく認識することができる。
【0046】
本発明のいくつかの例示的な実施形態を、本発明のいくつかの好適な実施形態に関連し
て示して説明してきたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、構成および詳
細のさまざまな変形を実行できることは当業者には理解されるであろう。