(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】処理装置及び分析システム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20240610BHJP
B65G 1/137 20060101ALI20240610BHJP
B66F 9/24 20060101ALI20240610BHJP
G06Q 10/0639 20230101ALI20240610BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
B65G1/137 Z
B66F9/24 Z
G06Q10/0639
(21)【出願番号】P 2022091325
(22)【出願日】2022-06-06
(62)【分割の表示】P 2019161888の分割
【原出願日】2018-04-19
【審査請求日】2022-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏昌
【審査官】後藤 泰輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-139000(JP,A)
【文献】特開2012-218861(JP,A)
【文献】実開平05-033206(JP,U)
【文献】特開2018-004302(JP,A)
【文献】特許第6292645(JP,B1)
【文献】特開2013-056736(JP,A)
【文献】国際公開第2017/159365(WO,A1)
【文献】特開2012-197069(JP,A)
【文献】特開2006-171904(JP,A)
【文献】特開2008-128686(JP,A)
【文献】特開2015-115061(JP,A)
【文献】特開2017-076231(JP,A)
【文献】国際公開第2016/157730(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G06Q 10/0639
B65G 1/137
B66F 9/24
G01S 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を運ぶ運搬機械の動きを直接的に検出する第1検出器から送信された第1信号を取得し、前記第1信号に含まれる前記
運搬機械の動きを示す情報を第1閾値と比較することで前記
運搬機械の動きの有無を判定し、
前記
運搬機械の稼働状況を、
前記第1信号と、前記
運搬機械における物品の有無を検出する第2検出器から送信された第2信号と、
前記運搬機械付近における人物の有無を検出する第3検出器から送信された第3信号と、に基づいて
複数の分類のいずれかに分類し、
前記
運搬機械の位置を示す情報を用いて、分類された前記稼働状況ごとに、前記
運搬機械の移動経路、前記移動経路を通過する頻度、前記
運搬機械が滞在していた場所、及び前記場所における滞在時間の長さの少なくともいずれかを示す情報を出力可能であ
り、
前記複数の分類は、
前記運搬機械が動き、物品を保持していることを示す第1分類と、
前記運搬機械が動き、物品を保持していないことを示す第2分類と、
前記運搬機械が動いておらず、前記運搬機械付近に作業者がいないことを示す第3分類と、
前記運搬機械が動いておらず、前記運搬機械付近に作業者がいることを示す第4分類と、
を含む、処理装置。
【請求項2】
分類されたそれぞれの前記稼働状況の時間に対する割合を出力可能である請求項
1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記第1検出器は、加速度センサ、角速度センサ、撮像装置、測距センサ、又は電波センサであり、
前記第2検出器は、赤外線センサ、荷重センサ、測距センサ、圧力計、又は電力計である請求項
1又は2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記第1検出器及び前記第2検出器の少なくともいずれかは、前記
運搬機械に対して外部から取り付け可能である請求項1~
3のいずれか1つに記載の処理装置。
【請求項5】
前記情報を可視化して表示部に表示させる、請求項1~
4のいずれか1つに記載の処理装置。
【請求項6】
前記第1信号と、前記第2信号と、前記稼働状況の分類と、の関係を表すユーザインタフェースを前記表示部に表示させ、前記ユーザインタフェースにおいて、前記第1信号と、前記第2信号と、前記稼働状況の分類と、の関係を変更可能とする請求項
5記載の処理装置。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか1つに記載された処理装置と、
建物の内部に設けられ、第1識別情報を含む第1電波を送信する第1発信機と、
前記建物の外部に設けられ、第2識別情報を含む第2電波を送信する第2発信機と、
前記建物の内部に設けられ、第3識別情報を含む第3電波を送信する第3発信機と、
前記
運搬機械に取り付けられ、GPS信号を受信する第1受信機と、
前記
運搬機械に取り付けられ、前記第1電波、前記第2電波、及び前記第3電波を受信する第2受信機と、
を備え、
前記処理装置は、前記第1電波の強度が前記第2電波の強度よりも大きくなると、前記第3電波を用いて前記
運搬機械の位置を検出し、前記第2電波の強度が前記第1電波の強度よりも大きくなると、前記GPS信号を用いて前記
運搬機械の位置を検出する、分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、処理装置及び分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
製造現場などでは、物品を搬送する搬送装置(例えばフォークリフト)が用いられている。搬送装置をより効率的に稼働させることで、生産効率を向上させることができる。搬送装置のより効率的な稼働のために、搬送装置の稼働状況を分析する分析システムがある。分析システムについては、稼働状況をより細かく分類できることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、搬送装置の稼働状況をより細かく分類できる、処理装置及び分析システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る処理装置は、物品を運ぶ運搬機械の動きを直接的に検出する第1検出器から送信された第1信号を取得し、前記第1信号に含まれる前記運搬機械の動きを示す情報を第1閾値と比較することで前記運搬機械の動きの有無を判定する。前記処理装置は、前記第1信号に基づいて前記運搬機械が動いていると判定されるときの前記運搬機械の稼働状況を、前記運搬機械における物品の有無を検出する第2検出器から送信された第2信号に基づいてさらに分類する。前記処理装置は、前記運搬機械の位置を示す情報を用いて、分類された前記稼働状況ごとに、前記運搬機械の移動経路、前記移動経路を通過する頻度、前記運搬機械が滞在していた場所、及び前記場所における滞在時間の長さの少なくともいずれかを示す情報を出力可能である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る分析システムの構成を表すブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係る分析システムの適用例を表す模式図である。
【
図3】第1実施形態の変形例に係る分析システムの構成を表すブロック図である。
【
図4】第1実施形態の変形例に係る分析システムによる出力結果の一例である。
【
図5】第2実施形態に係る分析システムの構成を表すブロック図である。
【
図6】第2実施形態に係る分析システムの適用例を表す模式図である。
【
図7】第2実施形態に係る分析システムによる出力結果の一例である。
【
図8】第3実施形態に係る分析システムの構成を表すブロック図である。
【
図9】第3実施形態に係る分析システムによる出力結果の一例である。
【
図10】表示部に表示されるユーザインタフェースを例示する模式図である。
【
図11】表示部に表示されるユーザインタフェースを例示する模式図である。
【
図12】第3実施形態に係る分析システムによる出力結果の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
また、本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る分析システムの構成を表すブロック図である。
実施形態に係る分析システム100は、物品を搬送する搬送装置90に関する分析を行う。
図1に表したように、分析システム100は、処理部1を備える。
図1に表した例では、分析システム100は、入力部2、出力部3、表示部4、第1検出器11、及び第2検出器12をさらに備える。
【0009】
第1検出器11は、搬送装置90の動きを検出する。第1検出器11は、検出された第1信号を処理部1に送信する。第2検出器12は、搬送装置90における物品の有無を検出する。第2検出器12は、検出された第2信号を、処理部1に送信する。処理部1は、受信した第1信号及び第2信号を用いて、搬送装置90の稼働状況を分類する。
【0010】
分析対象となる搬送装置90は、例えば、フォークリフト、クレーン、又は無人搬送車(AGV)などである。搬送装置90は、これら以外の、物品を搬送するための装置であっても良い。
【0011】
稼働状況の分類には、例えば、第1分類~第3分類が含まれる。第1分類は、搬送装置が動いており、物品を保持していることを示す。第1分類は、例えば「主作業」と呼ばれる。第2分類は、搬送装置が動いており、物品を保持していないことを示す。第2分類は、例えば、「付随」又は「付帯」と呼ばれる。第3分類は、搬送装置が動いていないことを示す。第3分類は、例えば、「ムダ」又は「余裕」と呼ばれる。
【0012】
処理部1には、入力部2から情報が入力される。例えば、ユーザは入力部2を操作し、稼働状況の分析を開始又は停止させる。あるいは、ユーザは、入力部2を通して、分析に用いられる情報を処理部1に入力する。入力部2は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、及びマイク(音声入力)の少なくともいずれかを含む。又は、入力部2は、既存のファイルの読込機能であっても良い。入力部2によりファイルが読み込まれ、当該ファイルに含まれる情報が処理部1へ入力される。
【0013】
出力部3は、処理部1による分析結果を表示部4へ出力する。出力部3は、例えば、CSV(Comma-Separated Values)などの所定の形式のファイルを出力する。表示部4は、出力部3により出力された結果を、可視化して表示する。表示部4は、例えば、ディスプレイ、プリンタ、及びプロジェクタの少なくともいずれかを含む。表示部4がディスプレイである場合、処理部1は、表示部4にユーザインターフェース(UI)を表示させても良い。この場合、処理部1は、UIに分析結果を表示させることができる。また、ユーザは、UIを通して、処理部1へ情報を入力することができる。
【0014】
図2は、第1実施形態に係る分析システムの適用例を表す模式図である。
図2に表した例では、搬送装置90は、フォークリフトである。第1検出器11は、例えば、フォークリフトに取り付けられた加速度計である。第2検出器12は、例えば、フォークリフトのフォークに取り付けられた赤外線センサである。第2検出器12は、フォーク上方の物品が保持される空間に向けて赤外線を照射し、反射光を受信する。
【0015】
この例では、第1検出器11としてスマートフォンSP1が用いられている。スマートフォンSP1の加速度計が第1検出器11として機能する。また、スマートフォンSP1のCPUなどが処理部1及び出力部3として機能する。さらに、スマートフォンSP1は、Bluetooth(登録商標)などの無線通信により、第2検出器12から信号を受信する。その他、スマートフォンSP1のタッチパネルが、入力部2及び表示部4として用いられても良い。
【0016】
この例の場合、第1検出器11により検出される第1信号は、搬送装置の加速度を示す。加速度が大きいと、搬送装置が稼働中であることを示す。第2検出器12により検出される第2信号は、反射光の強度を示す。第2信号の強度が大きいと、搬送装置が物品を保持していることを示す。
【0017】
例えば、処理部1は、搬送装置の加速度を第1閾値と比較し、第2信号の強度を第2閾値と比較する。第1閾値及び第2閾値は、ユーザ又は処理部1により予め設定される。
【0018】
加速度が第1閾値以上であり、且つ第2信号の強度が第2閾値以上のとき、処理部1は、搬送装置の稼働状況を第1分類に分類する。すなわち、搬送装置が動いており且つ物品を保持している、と判定される。
【0019】
加速度が第1閾値以上であり、且つ第2信号の強度が第2閾値未満のとき、処理部1は、搬送装置の稼働状況を、第2分類に分類する。すなわち、搬送装置が動いているが、物品を保持していない、と判定される。フォークリフトの例では、物品を搬送するために移動しているとき、物品を搬送した後に別の場所へ移動しているとき、などが第2分類に分類される。
【0020】
例えば、加速度が第1閾値未満のとき、処理部1は、搬送装置の稼働状況を、第3分類に分類する。すなわち、搬送装置が動いていない、と判定される。例えば、加速度が第1閾値未満であれば、第2信号の強度に拘わらず、稼働状況は第3分類に分類される。
【0021】
以下で第1実施形態の効果を説明する。
まず、参考例に係る分析システムを説明する。参考例に係る分析システムでは、処理部1が第1信号のみを用いて稼働状況を分類する。この場合、処理部1には、搬送装置が動いている、または動いていないことを示す信号しか送信されない。処理部1は、例えば、第1信号を用いて、搬送装置の稼働状況を、稼働又は非稼働のいずれかに分類する。参考例によれば、搬送装置の稼働状況を大まかに分類できる。
しかし、搬送装置が動いているときでも、搬送装置が物品を運んでいない場合がある。搬送装置の稼働効率を高めるためには、このような状況の時間がより短いことが望ましい。参考例に係る分析システムによれば、搬送装置の稼働状況について、具体的な分類ができず、搬送装置の稼働効率を向上させるための詳細な分析が困難であった。
【0022】
第1実施形態に係る分析システム100では、処理部1は、第1検出器11及び第2検出器12から送信された第1信号及び第2信号を用いて、搬送装置の稼働状況を分類する。
例えば、第1信号及び第2信号を用いることで、搬送装置が動いているときに、当該搬送装置が主たる作業を行っているのか、主作業に付随する作業を行っているのか判別できる。
このように、第1実施形態によれば、稼働状況をより細かく分類し、稼働状況についてより詳細な分析が可能となる。この結果、例えば、搬送装置の稼働効率をより容易に向上させることが可能となる。
【0023】
第1検出器11としては、加速度計以外に、角速度センサ、撮像装置、測距センサ、又は電波センサなどが用いられる。例えば、角速度センサにより、搬送装置90の動きを検出しても良い。または、撮像装置で搬送装置90を撮影し、取得した画像に基づいて搬送装置90の動きを検出しても良い。あるいは、ある場所に測距センサ及び電波センサを取り付け、これらのセンサと搬送装置90との間の距離及び移動方向を検出することで、搬送装置90の動きを検出しても良い。いずれの場合においても、第1信号に含まれる、搬送装置90の動きに関する情報を第1閾値と比較することで、搬送装置90の動きの有無を検出できる。
【0024】
第2検出器12としては、赤外線センサ以外に、荷重センサ、測距センサ、圧力計、又は電力計などが用いられる。例えば、荷重センサ又は測距センサで、搬送装置90の物品を保持する部分に加わる荷重を検出し、物品の有無を検出しても良い。例えば、フォークリフトのフォーク又はクレーンに加わる圧力(油圧、空圧、又は気圧)又は電力を検出し、物品の有無を検出しても良い。いずれの場合においても、第2信号の強度を第2閾値と比較することで、搬送装置90における物品の有無を検出できる。
【0025】
第1検出器11及び第2検出器12の具体的な構成は、それぞれ、搬送装置90の動き及び物品の有無を検出できれば、上述した例に限定されない。ただし、第1検出器11及び第2検出器12は、搬送装置90に対して外部から取り付け可能であるものが望ましい。第1検出器11及び第2検出器12が、上述した例のいずれかである場合、搬送装置90に対する改造等を行わずに、第1検出器11及び第2検出器12を搬送装置90に取り付けることができる。従って、既に稼働している搬送装置90に対しても、分析システム100を容易に適用することができる。
【0026】
(変形例)
図3は、第1実施形態の変形例に係る分析システムの構成を表すブロック図である。
図3に表した変形例に係る分析システム110では、第3検出器13がさらに用いられる。第3検出器13は、搬送装置付近における作業者の有無を検出する。処理部1は、第1信号及び第2信号に加えて、第3検出器13から送信される第3信号を用いて、搬送装置の稼働状況を分類する。
【0027】
例えば、搬送作業に関わる作業者OPは、特定の周波数の電波を発する発信機13aを携帯する。第3検出器13は、その周波数の電波を受信する受信機である。また、発信機13aから発せられる電波は、別の発信機と区別するための固有の情報を含む。第3検出器13は、その情報を含む電波のみを検出する。これにより、搬送装置90付近における特定の作業者の有無のみが、第3検出器13により検出される。第3信号は、受信した電波の強度を示す。第3信号の強度が大きいと、作業者OPが搬送装置90付近にいることを示す。
【0028】
稼働状況の分類には、例えば、上述した第1分類及び第2分類と、以下の第3分類及び第4分類と、が含まれる。第3分類は、搬送装置が動いておらず、作業者が搬送装置付近にいないことを示す。第3分類は、「ムダ」又は「余裕」と呼ばれる。第4分類は、搬送装置が動いておらず、作業者が搬送装置付近にいることを示す。第4分類は、例えば「段取り」と呼ばれる。作業者が搬送装置付近で搬送の準備をしている場合などが第4分類に分類される。
【0029】
例えば、処理部1は、第3信号の強度を、予め設定された第3閾値と比較する。第1信号の強度が第1閾値未満であり、且つ第3信号の強度が第3閾値未満のとき、処理部1は、搬送装置の稼働状況を、第3分類に分類する。第1信号の強度が第1閾値未満であり、且つ第3信号の強度が第3閾値以上のとき、処理部1は、搬送装置の稼働状況を、第4分類に分類する。例えば、処理部1は、第1信号及び第3信号が上記条件を満たす場合、第2信号の強度に拘わらず、稼働状況を第3分類又は第4分類に分類する。
【0030】
図4は、第1実施形態の変形例に係る分析システムによる出力結果の一例である。
例えば、分析システム110は、ある期間中、搬送装置の稼働状況を継続的に分析する。処理部1は、当該期間中の各時点における稼働状況を分類し、各分類の合計時間を算出する。ここでは、処理部1が稼働状況を第1分類~第4分類のいずれかに分類する場合について説明する。
【0031】
表示部4は、例えば
図4(a)に表したような円グラフを表示する。
図4(a)に表した円グラフにおいて、第1分類CL1~第4分類CL4の面積の大きさは、その分類の合計時間の長さを示している。円グラフが表示されることで、ユーザは、ある期間における搬送装置の稼働状況の概略を容易に理解できる。
【0032】
又は、表示部4は、
図4(b)に表したようなグラフを表示しても良い。グラフにおいて、横軸は日付を表し、縦軸はその日における各分類の合計時間の割合を表している。
図4(b)に表した例では、第1分類の実績が実線で示され、第3分類の実績が破線で示されている。例えば、ユーザは、実績を表示させる分類を選択できる。グラフが表示されることで、ユーザは、ある分類の割合の変化を容易に理解できる。
【0033】
あるいは、表示部4は、
図4(c)に表したようなガントチャートを表示しても良い。ガントチャートにおいて、横軸は時間を表し、縦軸は日付を表している。ガントチャートが表示されることで、ユーザは、それぞれの日において、どの分類がどの程度の割合を占めているかを容易に理解できる。
【0034】
図4(a)~
図4(c)に表したように、稼働状況を分類した結果が可視化して出力されることで、ユーザがその結果を容易に理解できる。これにより、その結果を用いた分析が実行しやすくなる。
【0035】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態に係る分析システムの構成を表すブロック図である。
図5に表したように、第2実施形態に係る分析システム200では、処理部1は、第1受信機21及び第2受信機22から送信された信号を受信する。第1受信機21及び第2受信機22は、搬送装置90の位置を検出するために、搬送装置90に取り付けられる。第1受信機21は、GPS(Global Positioning System)信号を受信する。第2受信機22は、固有の識別情報を含む信号(電波)を受信する。例えば、第2受信機22は、ビーコン信号を受信する。処理部1は、第1受信機21又は第2受信機22で受信した信号に基づき、搬送装置90の位置を検出する。
【0036】
図6は、第2実施形態に係る分析システムの適用例を表す模式図である。
例えば、搬送装置90は、建物91内部と、建物91外部と、の間を移動する。建物91内部には、第1発信機31及び複数の第3発信機33が設けられている。建物91外部には、第2発信機32が設けられている。各発信機は、例えばビーコンタグであり、固有の識別情報(ID)を含む電波を発する。
【0037】
処理部1は、第1受信機21からGPS信号が送信されると、GPS信号に基づいて搬送装置90の位置を検出する。
処理部1は、第2受信機22から発信機の識別情報が送信されると、以下の方法により搬送装置90の位置を検出する。例えば、不図示のデータベースに、ビーコンの識別情報と、各識別情報に対応する位置情報と、が記憶されている。処理部1は、第2受信機22から識別情報を受信すると、このデータベースにアクセスする。処理部1は、受信した識別情報に対応する位置情報を抽出する。これにより、抽出された位置情報が示す位置に搬送装置90が有ると判定される。なお、第2受信機22が複数の発信機から電波を受信した場合、処理部1は、最も強度が大きい電波に含まれる識別情報を位置の検出に用いる。
【0038】
搬送装置90の位置は、GPS信号を用いて検出することが望ましい。搬送装置90の位置をより正確に検出できるためである。ただし、建物91内部に搬送装置90が有る場合、第1受信機21でGPS信号を受信できない可能性がある。
【0039】
このため、分析システム200において、処理部1は、搬送装置90が建物の内部に有るか否かに応じて、位置情報の検出に利用する信号を切り替える。具体的には、第1発信機31及び第2発信機32が、建物91の出入口92付近に取り付けられる。第1発信機31は建物91内部に取り付けられ、第2発信機32は建物91外部に取り付けられる。
【0040】
搬送装置90が建物91内部から外部へ移動する場合を考える。搬送装置90が建物91内部の出入口92付近に有るとき、第2受信機22は、第1発信機31から送信された信号(第1電波)のみを受信し、第2発信機32から送信された信号(第2電波)を受信しない。又は、第2受信機22は、第1電波及び第2電波を受信するが、第2電波の強度は第1電波の強度よりも小さい。
【0041】
その後、搬送装置90が出入口92を通過すると、第2電波の強度が第1電波の強度よりも大きくなる。このとき、処理部1は、搬送装置90が建物91外部へ移動したと判定する。この判定後、処理部1は、GPS信号を利用して搬送装置90の位置を検出する。
【0042】
次に、搬送装置90が建物91外部から内部へ移動する場合を考える。搬送装置90が建物91外部の出入口92付近に有るとき、第1電波の強度は第2電波の強度よりも小さい。
【0043】
その後、搬送装置90が出入口92を通過すると、第1電波の強度が、第2電波の強度よりも大きくなる。このとき、処理部1は、搬送装置90が建物91内部へ移動したと判定する。この判定後、処理部1は、第3発信機33から送られる識別情報(第3識別情報)を利用して搬送装置90の位置を検出する。
【0044】
処理部1は、例えば、搬送装置90の位置を継続的に検出する。処理部1は、検出結果に基づき、搬送装置90の位置に関する分析を実行しても良い。例えば、処理部1は、検出した位置を用いて、搬送装置90の移動経路、移動経路を通過する頻度、搬送装置90が滞在していた場所、及び各場所における滞在時間の長さ、の少なくともいずれかを算出する。処理部1は、その算出結果を出力部3から表示部4へ出力する。
【0045】
第1受信機21及び第2受信機22は、別々の機器であっても良いし、1つの機器であっても良い。例えば、
図2に表したように、搬送装置90にスマートフォンSP1が取り付けられる場合、このスマートフォンSP1がGPS信号及びビーコン信号を受信しても良い。スマートフォンSP1は、例えば、ビーコン信号をBluetooth(登録商標)により受信する。
【0046】
図7は、第2実施形態に係る分析システムによる出力結果の一例である。
表示部4は、
図7(a)に表したように、搬送装置90が通過した経路と、搬送装置90が各経路を通過する頻度と、を示す画像を表示する。
図7(a)に表した例において、ピンP1~P9は、搬送装置90が滞在していた場所を示す。ピン同士を結ぶ線分は、搬送装置90が移動した経路を示す。線分の太さは、搬送装置90がその経路で移動した頻度を示す。
【0047】
又は、表示部4は、
図7(b)に表したように、搬送装置90が通過した経路と、各点における滞在時間と、を示す画像を表示する。
図7(b)に表した例において、ピンP1~P9が付された点における円C1~C9の面積は、その点における滞在時間を示す。円の面積が大きいほど、滞在時間が長いことを示す。
【0048】
このような表示が行われることで、搬送装置90の稼働状況をより効率的に分析することができる。また、上述したように、本実施形態では、建物の内部と外部とで、処理部1は、搬送装置90の位置の検出に用いる信号を切り替える。このため、搬送装置90が建物の内部と外部の間を移動する場合でも、搬送装置90の位置をより正確に検出することが可能となる。
【0049】
(第3実施形態)
図8は、第3実施形態に係る分析システムの構成を表すブロック図である。
図8に表したように、第3実施形態に係る分析システム300では、処理部1は、第1検出器11~第3検出器13、第1受信機21、及び第2受信機22から送信された信号を用いる。処理部1は、第1実施形態と同様に、第1検出器11~第3検出器13から送信された信号を用いて、搬送装置90の稼働状況を分類する。処理部1は、さらに、第2実施形態と同様に、第1受信機21及び第2受信機22から送信された信号を用いて、搬送装置90の位置を検出する。
【0050】
例えば、処理部1は、各時点において、稼働状況を分類するとともに、搬送装置90の位置を検出する。この結果、稼働状況の分類と、搬送装置90の位置と、を紐付けることが可能となる。
【0051】
例えば、搬送装置90には、撮像装置が取り付けられる。処理部1は、所定時間の間、搬送装置90の稼働状況が継続して所定の分類に分類されると、撮像装置を起動させる。処理部1は、撮像装置により周囲の状況を撮影し、記録する。又は、撮影した画像を予め設定した宛先へ送信する。
処理部1は、例えば、搬送装置90が所定時間の間動いておらず、稼働状況が継続的に第3分類に分類されている場合に、撮像装置を起動させる。これにより、搬送装置90が所定時間の間動いていないときに、ユーザが、そのときの周囲の状況を後で確認できる。例えば、ユーザは、その画像から、搬送装置90が動いていない理由、搬送装置90の稼働効率を向上させるための対策などを検討できる。
【0052】
処理部1は、稼働状況の分類ごとに、搬送装置90の移動経路、移動経路を通過する頻度、搬送装置90が滞在していた場所、及び各場所における滞在時間の長さ、の少なくともいずれかを算出しても良い。この算出結果を基に、処理部1は、
図7(a)及び
図7(b)に表したようなUIを表示部4に表示させ、UI上で以下の操作を実行可能にしても良い。
【0053】
例えば、ユーザが、
図7(a)に表した結果において、いずれかの経路を選択すると、その経路を移動する際の稼働状況の分類の内訳を確認できる。
又は、ユーザが、
図7(b)に表した結果において、いずれかのピンを選択すると、そのピンの場所で搬送装置90が滞在していた時間の分類の内訳を確認できる。
あるいは、ユーザは、稼働状況の分類ごとに、
図7(a)に表した移動経路及び経路の通過頻度、
図7(b)に表した搬送装置90の滞在場所及び滞在時間を表示させることができる。
【0054】
図9は、第3実施形態に係る分析システムによる出力結果の一例である。
処理部1は、移動経路を、稼働状況の分類に応じて区別可能に表示しても良い。処理部1は、滞在場所を、稼働状況の分類に応じて区別可能に表示しても良い。
【0055】
図9に表した例において、ピンP1~P9が付された場所同士は、実線又は点線で結ばれている。実線は、搬送装置90がその経路を移動しているときに、稼働状況が第1分類(主作業)に分類されていることを示す。点線は、搬送装置90がその経路を移動しているときに、稼働状況が第2分類(付随)に分類されていることを示す。
また、ピンP1~P9が付された場所には、円又は四角が付されている。円は、搬送装置90がその場所に滞在していたときに、稼働状況が第3分類(ムダ)に分類されていることを示す。四角は、搬送装置90がその場所に滞在していたときに、稼働状況が第4分類(段取り)に分類されていることを示す。
【0056】
このように、稼働状況を分類するとともに搬送装置90の位置を検出することで、搬送装置90について、より詳細な分析が可能となる。
【0057】
以下で、実施形態に係る分析システムのユーザインタフェースについて説明する。
図10及び
図11は、表示部に表示されるユーザインタフェースを例示する模式図である。
【0058】
処理部1は、各分類の条件を設定するための設定画面を、表示部4に表示させることができる。設定画面は、例えば
図10に表したように、テーブル5を含む。例えば、テーブル5は、列L1~L5を含む。列L1は分類のIDを表し、列L2は分類の名称を表す。列L3~L5は、それぞれ、第1検出器11~第3検出器13による検出結果を表す。
【0059】
ユーザは、テーブル5においてセルCeの項目を操作することで、各分類の条件を変更できる。例えば、列L2において「主作業」と入力された行では、稼働状況が主作業(第1分類)に分類される条件が設定される。この例では、搬送装置に動きが有り、搬送装置に物品が有る場合に、作業者の有無に拘わらず、主作業と分類されるよう条件が設定されている。同様に、列L2において「ムダ」、「付随」、「段取り」と入力された行では、それぞれ、稼働状況がムダ(第3分類)、付随(第2分類)、段取り(第4分類)に分類される条件が設定されている。
【0060】
このように、分類の条件を変更するためのテーブルを表示部4に表示させることで、ユーザが、搬送装置の実際の稼働状況に応じて、条件を容易に変更できる。また、列L3~列L5の検出結果を必要に応じて組み合わせることで、搬送装置の稼動状況を所望な程度までに具体的に分類することができる。これにより、分析システムの使い勝手を向上させることができる。
【0061】
処理部1は、第1信号~第3信号に対する第1閾値~第3閾値を変更するための編集画面を、表示部4に表示させても良い。処理部1は、例えば、
図10に表した画面を表示部4に表示させる。
【0062】
図11(a)に表した例では、領域R1に、稼働状況の分析対象となる装置名が表示される。領域R2には、分析システムを操作するためのアイコンが表示されている。アイコンIC1~IC3は、それぞれ、稼働状況の分析を開始、停止、中断させるためのアイコンである。アイコンIC4は、第2受信機22にビーコンの電波を受信させ、読み込ませるためのアイコンである。
【0063】
アイコンIC5は、上述した第1閾値~第3閾値を変更する画面を開くためのアイコンである。領域R3には、直近に読み込まれたビーコンの識別情報が表示されている。領域R4では、直近に受信した第1信号の情報が表示されている。この例では、当該情報として、搬送装置90の加速度、角速度、及びジャイロ(慣性)が表示されている。また、例えば、ユーザがアイコンIC6を選択すると、
図11(b)に表したように、搬送装置90の一覧Liが表示される。表示された一覧Liから、設定を変更する搬送装置を選択できる。
【0064】
このように、少なくともいずれかの検出器で検出された信号(情報)、第1閾値~第3閾値の少なくともいずれかを設定変更するための画面、発信機から発せられる電波を第2受信機22に受信させるためのアイコンの少なくともいずれかを表示部4に表示させることで、分析システムの使い勝手を向上させることができる。
【0065】
図12は、第3実施形態に係る分析システムによる出力結果の一例である。
出力部3は、
図12に表したように、分類ごとに、分類された時刻、その合計時間、位置に関する情報(搬出元及び搬出先)を可視化して出力しても良い。出力部3は、例えば、
図12に示した表を、所定の形式(CSVなど)で出力、または印刷する。
【0066】
このように、分類ごとに、時刻、合計時間、及び位置に関する情報の少なくともいずれかが出力されることで、分析システム300の使い勝手を向上できる。また、搬送装置90について、より詳細な分析が可能となる。
【0067】
以上で説明した実施形態に係る分析システム及び分析方法を用いることで、物品を搬送する搬送装置について、稼働状況をより細かく分類できる。同様に、コンピュータを分析システムとして動作させるためのプログラムを用いることで、コンピュータに搬送装置の稼働状況をより細かく分類させることができる。
【0068】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 処理部、 2 入力部、 3 出力部、 4 表示部、 11 第1検出器、 12 第2検出器、 13 第3検出器、 13a 発信機、 21 第1受信機、 22 第2受信機、 31 第1発信機、 32 第2発信機、 33 第3発信機、 90 搬送装置、 91 建物、 92 出入口、 100、110、200、300 分析システム、 SP1 スマートフォン