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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】架橋粒子
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/14 20060101AFI20240610BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20240610BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20240610BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20240610BHJP
   A61K 47/59 20170101ALI20240610BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
A61K9/14
A61K47/34
A61K31/573
A61K31/337
A61K47/59
A61P35/00
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022109826
(22)【出願日】2022-07-07
(62)【分割の表示】P 2021037974の分割
【原出願日】2016-10-07
(65)【公開番号】P2022130727
(43)【公開日】2022-09-06
【審査請求日】2022-08-05
(31)【優先権主張番号】62/239,758
(32)【優先日】2015-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/281,631
(32)【優先日】2016-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/313,013
(32)【優先日】2016-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518119744
【氏名又は名称】レ デベデック フランツ
(73)【特許権者】
【識別番号】518119755
【氏名又は名称】アレン クリスティン ジェーン
(73)【特許権者】
【識別番号】518119766
【氏名又は名称】スティーブンス デイビッド マイケル
(73)【特許権者】
【識別番号】518119777
【氏名又は名称】レイジャー‐アギアール ディーン ジェームズ
(73)【特許権者】
【識別番号】518119788
【氏名又は名称】ルカ ティモシー トーデラ
(73)【特許権者】
【識別番号】518119799
【氏名又は名称】エルムキスト カール エリック
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】レ デベデック フランツ
(72)【発明者】
【氏名】アレン クリスティン ジェーン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブンス デイビッド マイケル
(72)【発明者】
【氏名】レイジャー‐アギアール ディーン ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ルカ ティモシー トーデラ
(72)【発明者】
【氏名】エルムキスト カール エリック
【審査官】高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/082432(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/191940(WO,A1)
【文献】Polymer Chemistry,2014年,Vol.5,p.4820-4870
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
複数のアリル基を含有するポリエステル骨格、多官能性チオール、および光開始剤を少なくとも1つの溶媒に溶解して、溶液を形成する工程であって、該ポリエステル骨格が、ポリグリコール酸を含む、工程
溶液を水相中で乳化して、エマルジョンを形成する工程;
多官能性チオールとアリル基2個が反応するようエマルジョンにUV光を照射して、架橋を形成する工程;
エマルジョンから溶媒の少なくとも一部を蒸発させる工程;および
架橋された生分解性粒子を単離する工程、
を含む、架橋された生分解性粒子を調製する方法であって、
該架橋された生分解性粒子は、約5μm~約100μmの直径を有し、水性環境中で少なくとも1か月の期間にわたってその中に分散された薬物を放出するように構成されている、前記方法。
【請求項2】
ポリエステル骨格が、リカプロラクトン、ポリ乳酸、リアリルラクチド、またはその組み合わせをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
多官能性チオールが、1,6-ヘキサンジチオールである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
光開始剤が、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノンである、請求項1記載の方法。
【請求項5】
溶媒が、テトラヒドロフランである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
架橋された生分解性粒子を単離する工程が、遠心分離を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
架橋された生分解性粒子が約5μm~約20μmの直径を有する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
架橋された生分解性粒子が、その中に分散された薬物をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
薬物が、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド、およびパクリタキセルからなる群より選択される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
薬物が、架橋された生分解性粒子に共有結合される、請求項8記載の方法。
【請求項11】
薬物が、非共有相互作用によって架橋された生分解性粒子内に含有される、請求項8記載の方法。
【請求項12】
以下の工程を含む、架橋された生分解性粒子を調製する方法:
複数のアリル基を含有するポリエステル骨格、多官能性チオール、および光開始剤を第一の溶媒に溶解して、溶液を形成する工程であって、該ポリエステル骨格が、ポリグリコール酸を含む、工程
溶液を水相中で乳化して、エマルジョンを形成する工程;
多官能性チオールとアリル基2個が反応するようエマルジョンにUV光を照射して、架橋を形成する工程;
エマルジョンから第一の溶媒の少なくとも一部を蒸発させる工程;
架橋された生分解性粒子を単離する工程であって、該架橋された生分解性粒子は、約5μm~約100μmの直径を有し、水性環境中で少なくとも1か月の期間にわたってその中に分散された薬物を放出するように構成されている、工程;
架橋された生分解性粒子を第二の溶媒で膨潤させて、膨潤した架橋された生分解性粒子を形成する工程であって、該第二の溶媒がその中に分散された薬物をさらに含む、工程;および
水の添加によって、該溶媒からその中に分散された薬物を伴う膨潤した架橋された生分解性粒子を分配する工程。
【請求項13】
水相が、界面活性剤またはエマルジョン安定剤をさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
界面活性剤が、tween、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、およびポリエチレングリコールからなる群より選択される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
薬物が、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド、およびパクリタキセルからなる群より選択される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
架橋された生分解性粒子が約5μm~約20μmの直径を有する、請求項12記載の方法。
【請求項17】
以下の工程を含む、架橋された生分解性粒子を調製する方法:
複数のアリル基を含有するポリエステル骨格、1,6-ヘキサンジチオール、および2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノンをテトラヒドロフランに溶解して、溶液を形成する工程であって、該ポリエステル骨格が、ポリカプロラクトンを含む、工程
溶液を水中で乳化して、エマルジョンを形成する工程;
1,6-ヘキサンジチオールとアリル基2個が反応するようエマルジョンにUV光を照射して、チオエーテルを形成する工程;
エマルジョンからテトラヒドロフランの少なくとも一部を蒸発させる工程;および
架橋された生分解性粒子を単離する工程。
【請求項18】
架橋された生分解性粒子が、その中に分散された薬物をさらに含み、該薬物が、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド、およびパクリタキセルからなる群より選択される、請求項17記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2015年10月9日に出願された米国仮特許出願第62/239,758号;2016年1月21日に出願された米国仮特許出願第62/281,631号;および2016年3月24日に出願された米国仮特許出願第62/313,013号の、35 U.S.C §119(e)下での恩典を主張するものであり、その開示は、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の分野
本開示は、薬物を保存および放出することが可能な架橋粒子(例えば、ミクロ粒子またはナノ粒子)を教示する。該粒子は、分解、エロージョン、拡散、または機序の組み合わせによって薬物を放出することができる。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
薬剤溶出性の生分解性ナノ粒子は、創傷治癒および関節炎治療などの様々な生物学的用途に使用することができる(例えば、米国特許第7,935,782号(特許文献1)および国際公開公報第2009/061854号(特許文献2)を参照のこと、その内容全体は、参照によって本明細書に組み入れられる)。しかしながら、粒子のサイズおよび形態学を制御して再現可能な結果でナノ粒子を実現するのは困難な可能性がある。加えて、架橋粒子を生産するこれまでの試みは、サイズに制約があり、それ故、所与の薬物を限定量しか装填できなかった。また、より小さな粒子は、より大きな粒子よりも急速に生分解する傾向があり、それ故、所望の期間の持続放出を提供することができなかった。
【0004】
さらに、現在の薬物送達粒子は、その中に分散されている薬物の大部分が短期間に急速に、続いて、より低い放出速度で放出されるという、バースト効果の問題を抱えている可能性がある。これは、最初に患者に過量投薬して、その後に患者に過少量投薬することをもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第7,935,782号
【文献】国際公開公報第2009/061854号
【発明の概要】
【0006】
本開示は、架橋されかつインビボで使用することができる粒子(例えば、ミクロ粒子)を教示する。架橋粒子は、薬物を含むことができ、かつ、インビボで使用されたとき薬物を放出することができる。幾つかの態様において、粒子が分解するにつれて薬物が放出される。したがって、ミクロ粒子を使用することで、創傷の部位で薬物を放出することも、外科手術後に治療剤を放出して回復を早める手助けをすることもできる。加えて、本開示の粒子を関節炎の処置に使用することができる。例えば、関節炎治療薬を含む粒子を、関節炎痛の部位に投与(例えば、注射によって)することができる。幾つかの態様において、本開示は、再現可能なサイズおよび形態を有する架橋粒子、例えばミクロ粒子を提供する。幾つかの態様において、本開示はまた、ある期間持続して(例えば、1か月超)薬物を放出することができかつバースト効果(例えば、溶媒中への浸漬直後の薬物のかなりの量の放出)の問題を有さない、粒子を提供する。
【0007】
一局面において、本開示は、以下を含む、架橋された分解性粒子を提供する:
複数のポリエステル骨格であって、チオエーテル、トリアゾール、またはアミドを介して架橋されている、複数のポリエステル骨格;および
架橋された分解性粒子内に分散された薬物。
【0008】
別の局面において、本開示は、以下を含む、架橋された分解性粒子を提供する:
ラクトンモノマー残基から得られる複数のポリマー骨格であって、チオエーテル、トリアゾール、またはアミドを介して架橋されている、複数のポリマー骨格;および
架橋された分解性粒子内に分散された薬物であって、架橋された分解性粒子が1μm~100μmの公称直径を有する、薬物。
【0009】
別の局面において、本開示は、以下を含む、架橋された分解性粒子を提供する:
ラクトンモノマー残基から得られる複数のポリマー骨格であって、チオエーテル、トリアゾール、またはアミドを介して架橋されている、複数のポリマー骨格;および
架橋された分解性粒子内に分散された薬物であって、架橋された分解性粒子が1ミクロン~100ミクロンの公称直径を有する、薬物。
【0010】
別の局面において、本開示は、以下の工程を含む、架橋された分解性粒子を調製する方法を提供する:
複数の官能基を含有するポリエステルと架橋剤とを合わせて、混合物を形成する工程;および
官能基と架橋剤とを反応させて、架橋された分解性粒子を形成する工程。
【0011】
別の局面において、本開示は、以下の工程を含む、架橋された分解性粒子を調製する方法を提供する:
複数のアリル基を含有するポリエステル、ジチオール、および光開始剤を少なくとも1つの溶媒に溶解して、溶液を形成する工程;
溶液を水相中で乳化して、エマルジョンを形成する工程;
ジチオールとアリル基2個が反応するようエマルジョンにUV光を照射して、架橋を形成する工程;および
エマルジョンから溶媒の少なくとも一部を蒸発させる工程。
【0012】
別の局面において、本開示は、以下の工程を含む、架橋された分解性粒子を調製する方法を提供する:
複数のプロパルギル基を含有するポリエステルおよびジアジドを少なくとも1つの溶媒に溶解して、溶液を形成する工程;
溶液を水相中で乳化して、エマルジョンを形成する工程;
ジアジドとプロパルギル基2個が反応するようエマルジョンを処理して、架橋を形成する工程;および
エマルジョンから溶媒の少なくとも一部を蒸発させる工程。
【0013】
別の局面において、本開示は、以下の工程を含む、架橋された分解性粒子を調製する方法を提供する:
複数のエポキシド基を含有するポリエステルおよびジアミンを少なくとも1つの溶媒に溶解して、溶液を形成する工程;
溶液を水相中で乳化して、エマルジョンを形成する工程;
ジアミンをエポキシド基と反応させて、架橋を形成する工程;および
エマルジョンから溶媒の少なくとも一部を蒸発させる工程。
【0014】
別の局面において、本開示は、以下の工程を含む、架橋された分解性粒子を調製する方法を提供する:
複数のカルボン酸基を含有するポリエステルおよびジアミンを少なくとも1つの溶媒に溶解して、溶液を形成する工程;
溶液を水相中で乳化して、エマルジョンを形成する工程;
ジアミンとカルボン酸基とが反応するようエマルジョンを処理して、架橋を形成する工程;および
エマルジョンから溶媒の少なくとも一部を蒸発させる工程。
【0015】
別の局面において、本開示は、複数の架橋された分解性粒子の凝集を低減させる方法であって、複数のポリエチレングリコール鎖を複数の架橋された分解性粒子の外部に結合させる工程を含む方法を提供する。
【0016】
別の局面において、本開示は、以下を含む、架橋された分解性粒子内に薬物を分散させる方法を提供する:
架橋された分解性粒子を溶媒で膨潤させて、膨潤した架橋された分解性粒子を形成する工程であって、溶媒がその中に分散された薬物をさらに含む、工程;および
溶媒から架橋された分解性粒子を取り出す工程。
【0017】
別の局面において、本開示は、
複数の官能基を含有するポリエステルおよび架橋剤を少なくとも1つの溶媒に溶解して、溶液を形成する工程;
架橋剤と官能基2個が反応するよう溶液を処理して、架橋を形成する工程;
を含む、架橋された分解性インプラントを調製する方法であって、
架橋された分解性インプラントが少なくとも約1ミリメートルの直径を有する、方法を提供する。
【0018】
別の局面において、本開示は、以下を含む、架橋された分解性粒子の分布の平均サイズを制御する方法を提供する:
均一なサイズおよび形状の複数の鋳型を調製する工程;
複数の官能基を含有するポリエステルと架橋剤とを合わせて、混合物を形成する工程;
混合物を鋳型内に分散させる工程;および
架橋剤と官能基2個が反応するよう混合物を処理して、架橋を形成する工程。
【0019】
別の局面において、本開示は、以下を含む、架橋された分解性粒子の分布の平均サイズを制御する方法を提供する:
複数の官能基を含有するポリエステルおよび架橋剤を少なくとも1つの非水性溶媒中で合わせて、エマルジョンを形成する工程であって、非水性溶媒が均一なサイズの液滴を含み、ポリエステルおよび架橋剤が非水性溶媒液滴中に溶解される、工程;および
架橋剤と官能基2個が反応するようエマルジョンを処理して、架橋を形成する工程であって、非水性溶媒中に溶解される間に粒子が架橋される、工程。
【0020】
別の局面において、本開示は、以下の工程によって形成される、架橋された分解性粒子を提供する:
複数の官能基を含有するポリエステルおよび架橋剤を形成して、混合物を形成する工程;および
官能基と架橋剤とを反応させて、架橋された分解性粒子を形成する工程。
【0021】
別の局面において、本開示は、以下を含む、疾患を処置する方法を提供する:
薬物を含有する治療有効量の本開示の架橋された分解性粒子を、それを必要とする対象に投与する工程。
【0022】
別の局面において、本開示は、疾患の処置のための本開示の架橋された分解性粒子の使用を提供する。幾つかの態様において、架橋粒子は、薬物を含有する。
【0023】
別の局面において、本開示は、疾患の処置のための医薬の製造における本開示の架橋された分解性粒子の使用を提供する。幾つかの態様において、架橋粒子は、薬物を含有する。
【0024】
別の局面において、本開示は、以下を含む、架橋された分解性粒子を提供する:
式Iのポリエステル骨格:
式中:
R1は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
R2は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
R3は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
aは、0、1、または2であり;
mは、出現毎に独立して、1以上1000以下の整数であり;
nは、出現毎に独立して、1以上1000以下の整数であり;
pは、出現毎に独立して、0以上5以下の整数であり;
qは、出現毎に独立して、0以上1000以下の整数であり;
rは、出現毎に独立して、0以上1000以下の整数であり;
tは、出現毎に独立して、0以上5以下の整数である。
【0025】
別の局面において、本開示は、以下を含む、架橋された分解性粒子を提供する:
式IIのポリエステル骨格:
式中:
R1は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
R2は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
R3は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
aは、0、1、または2であり;
mは、出現毎に独立して、1以上1000以下の整数であり;
nは、出現毎に独立して、1以上1000以下の整数であり;
pは、出現毎に独立して、0以上5以下の整数であり;
qは、出現毎に独立して、0以上1000以下の整数であり;
rは、出現毎に独立して、0以上1000以下の整数であり;
tは、出現毎に独立して、0以上5以下の整数である。
【0026】
別の局面において、本開示は、以下を含む、架橋された分解性粒子を提供する:
式IIIのポリエステル骨格:
式中:
R1は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
R2は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
R3は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
aは、0、1、または2であり;
mは、出現毎に独立して、1以上1000以下の整数であり;
nは、出現毎に独立して、1以上1000以下の整数であり;
pは、出現毎に独立して、0以上5以下の整数であり;
qは、出現毎に独立して、0以上1000以下の整数であり;
rは、出現毎に独立して、0以上1000以下の整数であり;
tは、出現毎に独立して、0以上5以下の整数である。
【0027】
別の局面において、本開示は、以下を含む、架橋された分解性粒子を提供する:
式IVのポリエステル骨格:
式中:
R1は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
R2は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
R3は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
aは、0、1、または2であり;
mは、出現毎に独立して、1以上1000以下の整数であり;
nは、出現毎に独立して、1以上1000以下の整数であり;
pは、出現毎に独立して、0以上5以下の整数であり;
qは、出現毎に独立して、0以上1000以下の整数であり;
rは、出現毎に独立して、0以上1000以下の整数であり;
tは、出現毎に独立して、0以上5以下の整数である。
【0028】
別の局面において、本開示は、以下を含む、架橋された分解性粒子を提供する:
式Vのポリエステル骨格:
式中:
R1は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
R2は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
R3は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
aは、0、1、または2であり;
mは、出現毎に独立して、1以上1000以下の整数であり;
nは、出現毎に独立して、1以上1000以下の整数であり;
pは、出現毎に独立して、0以上5以下の整数であり;
qは、出現毎に独立して、0以上1000以下の整数であり;
rは、出現毎に独立して、0以上1000以下の整数であり;
tは、出現毎に独立して、0以上5以下の整数である。
【0029】
別の局面において、本開示は、以下を含む、架橋された分解性粒子を提供する:
式VIのポリエステル骨格:
式中:
R1は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
R2は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
R3は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
aは、0、1、または2であり;
mは、出現毎に独立して、1以上1000以下の整数であり;
nは、出現毎に独立して、1以上1000以下の整数であり;
pは、出現毎に独立して、0以上5以下の整数であり;
qは、出現毎に独立して、0以上1000以下の整数であり;
rは、出現毎に独立して、0以上1000以下の整数であり;
tは、出現毎に独立して、0以上5以下の整数である。
【0030】
別の局面において、本開示は、以下を含む、架橋された分解性粒子を提供する:
式VIIのポリエステル骨格:
式中:
Rは、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
R1は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
R2は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
R3は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
aは、0、1、または2であり;
mは、出現毎に独立して、1以上1000以下の整数であり;
nは、出現毎に独立して、1以上1000以下の整数であり;
pは、出現毎に独立して、0以上5以下の整数であり;
qは、出現毎に独立して、0以上1000以下の整数であり;
rは、出現毎に独立して、0以上1000以下の整数であり;
tは、出現毎に独立して、0以上5以下の整数である。
【0031】
[本発明1001]
以下を含む、架橋された分解性粒子:
複数のポリエステル骨格であって、チオエーテル、トリアゾール、またはアミドを介して架橋されている、複数のポリエステル骨格;および
架橋された分解性粒子内に分散された薬物。
[本発明1002]
ポリエステル骨格がチオエーテルを介して架橋されている、本発明1001の架橋粒子。
[本発明1003]
ポリエステル骨格がトリアゾールを介して架橋されている、本発明1001の架橋粒子。
[本発明1004]
ポリエステル骨格がアミドを介して架橋されている、本発明1001の架橋粒子。
[本発明1005]
生分解性である、本発明1001の架橋粒子。
[本発明1006]
約1μm~約100μmの直径を有する、本発明1001の架橋粒子。
[本発明1007]
約5μm~約20μmの直径を有する、本発明1006の架橋粒子。
[本発明1008]
約7μm~約15μmの直径を有する、本発明1007の架橋粒子。
[本発明1009]
約10μmの直径を有する、本発明1008の架橋粒子。
[本発明1010]
薬物が、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド、およびパクリタキセルからなる群より選択される、本発明1001の架橋粒子。
[本発明1011]
薬物が粒子に共有結合されている、本発明1001の架橋粒子。
[本発明1012]
薬物が、非共有相互作用によって粒子内に含有される、本発明1001の架橋粒子。
[本発明1013]
水性環境中で少なくとも1か月の期間にわたって薬物を放出する、本発明1001の架橋粒子。
[本発明1014]
薬物を放出するにつれて分解する、本発明1001の架橋粒子。
[本発明1015]
ポリエステル骨格が、ポリバレロラクトン、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、またはその組み合わせを含む、本発明1001の架橋粒子。
[本発明1016]
ミクロ粒子である、本発明1001の架橋粒子。
[本発明1017]
ナノ粒子である、本発明1001の架橋粒子。
[本発明1018]
ポリエステル骨格がポリエチレングリコールをさらに含む、本発明1001の架橋粒子。
[本発明1019]
以下を含む、架橋された分解性粒子:
ラクトンモノマー残基から得られる複数のポリマー骨格であって、チオエーテル、トリアゾール、またはアミドを介して架橋されている、複数のポリマー骨格;および
架橋された分解性粒子内に分散された薬物であって、架橋された分解性粒子が1μm~100μmの公称直径を有する、薬物。
[本発明1020]
ポリエステル骨格がチオエーテルを介して架橋されている、本発明1019の架橋粒子。
[本発明1021]
ポリエステル骨格がトリアゾールを介して架橋されている、本発明1019の架橋粒子。
[本発明1022]
ポリエステル骨格がアミドを介して架橋されている、本発明1019の架橋粒子。
[本発明1023]
生分解性である、本発明1019の架橋粒子。
[本発明1024]
約5μm~約20μmの直径を有する、本発明1019の架橋粒子。
[本発明1025]
約7μm~約15μmの直径を有する、本発明1024の架橋粒子。
[本発明1026]
約10μmの直径を有する、本発明1025の架橋粒子。
[本発明1027]
薬物が、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド、およびパクリタキセルからなる群より選択される、本発明1019の架橋粒子。
[本発明1028]
薬物が粒子に共有結合されている、本発明1019の架橋粒子。
[本発明1029]
薬物が、非共有相互作用によって粒子内に含有される、本発明1019の架橋粒子。
[本発明1030]
水性環境中で少なくとも1か月の期間にわたって薬物を放出する、本発明1019の架橋粒子。
[本発明1031]
薬物を放出するにつれて分解する、本発明1019の架橋粒子。
[本発明1032]
ポリマー骨格が、バレロラクトン、カプロラクトン、乳酸、グリコール酸、またはその組み合わせから得られる、本発明1019の架橋粒子。
[本発明1033]
ミクロ粒子である、本発明1019の架橋粒子。
[本発明1034]
ナノ粒子である、本発明1019の架橋粒子。
[本発明1035]
ポリマー骨格がポリエチレングリコールをさらに含む、本発明1019の架橋粒子。
[本発明1036]
以下を含む、架橋された分解性粒子:
ラクトンモノマー残基から得られる複数のポリマー骨格であって、チオエーテル、トリアゾール、またはアミドを介して架橋されている、複数のポリマー骨格;および
架橋された分解性粒子内に分散された薬物であって、架橋された分解性粒子が1ミクロン~100ミクロンの公称直径を有する、薬物。
[本発明1037]
ポリマー骨格がチオエーテルを介して架橋されている、本発明1036の架橋粒子。
[本発明1038]
ポリマー骨格がトリアゾールを介して架橋されている、本発明1036の架橋粒子。
[本発明1039]
ポリマー骨格がアミドを介して架橋されている、本発明1036の架橋粒子。
[本発明1040]
生分解性である、本発明1036の架橋粒子。
[本発明1041]
約5μm~約20μmの直径を有する、本発明1040の架橋粒子。
[本発明1042]
約7μm~約15μmの直径を有する、本発明1041の架橋粒子。
[本発明1043]
約10μmの直径を有する、本発明1042の架橋粒子。
[本発明1044]
薬物が、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド、およびパクリタキセルからなる群より選択される、本発明1036の架橋粒子。
[本発明1045]
薬物が粒子に共有結合されている、本発明1036の架橋粒子。
[本発明1046]
薬物が、非共有相互作用によって粒子内に含有される、本発明1036の架橋粒子。
[本発明1047]
水性環境中で少なくとも1か月の期間にわたって薬物を放出する、本発明1036の架橋粒子。
[本発明1048]
薬物を放出するにつれて分解する、本発明1036の架橋粒子。
[本発明1049]
ラクトンモノマーが、乳酸、グリコール酸、バレロラクトン、カプロラクトン、ラクチド、またはその組み合わせからなる群より選択される、本発明1036の架橋粒子。
[本発明1050]
バレロラクトン、カプロラクトン、乳酸、ラクチド、またはグリコール酸のいずれかが、アリル基、プロパルギル基、またはカルボン酸基から選択される官能基で官能化される、本発明1049の架橋粒子。
[本発明1051]
ポリマー骨格がポリエチレングリコールをさらに含む、本発明1036の架橋粒子。
[本発明1052]
ミクロ粒子である、本発明1036の架橋粒子。
[本発明1053]
ナノ粒子である、本発明1036の架橋粒子。
[本発明1054]
以下の工程を含む、架橋された分解性粒子を調製する方法:
複数の官能基を含有するポリエステルと架橋剤とを合わせて、混合物を形成する工程;および
官能基と架橋剤とを反応させて、架橋された分解性粒子を形成する工程。
[本発明1055]
ポリエステルと架橋剤とが溶媒中で合わせられて、混合物を形成する、本発明1054の方法。
[本発明1056]
混合物を乳化する工程であって、ポリエステルおよび架橋剤が同じ相内にある、工程
をさらに含む、本発明1054の方法。
[本発明1057]
官能基と架橋剤とを反応させた後に溶媒の少なくとも一部を蒸発させる工程をさらに含む、本発明1054の方法。
[本発明1058]
官能基がオレフィン基を含む、本発明1054の方法。
[本発明1059]
オレフィン基がアリル基である、本発明1058の方法。
[本発明1060]
官能基がプロパルギル基を含む、本発明1054の方法。
[本発明1061]
官能基がエポキシ基を含む、本発明1054の方法。
[本発明1062]
官能基がカルボン酸基を含む、本発明1054の方法。
[本発明1063]
架橋剤がジチオール基を含む、本発明1054の方法。
[本発明1064]
ジチオール基が、ポリエステル骨格上のオレフィン官能基とチオエーテルを形成する、本発明1063の方法。
[本発明1065]
架橋剤がジアジドを含む、本発明1054の方法。
[本発明1066]
ジアジドが、ポリエステル骨格上のプロパルギル官能基とトリアゾールを形成する、本発明1065の方法。
[本発明1067]
架橋剤がジアミンを含む、本発明1054の方法。
[本発明1068]
ジアミンが、ポリエステル骨格上のエポキシド官能基とβ-ヒドロキシアミンを形成する、本発明1067の方法。
[本発明1069]
ジアミンが、ポリエステル骨格上のカルボン酸官能基とアミドを形成する、本発明1067の方法。
[本発明1070]
粒子が生分解性である、本発明1054の方法。
[本発明1071]
粒子が約1μm~約100μmの直径を有する、本発明1054の方法。
[本発明1072]
粒子が約5μm~約20μmの直径を有する、本発明1071の方法。
[本発明1073]
粒子が約7μm~約15μmの直径を有する、本発明1072の方法。
[本発明1074]
粒子が約10μmの直径を有する、本発明1073の方法。
[本発明1075]
粒子が、その中に分散された薬物をさらに含む、本発明1054の方法。
[本発明1076]
薬物が、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド、およびパクリタキセルからなる群より選択される、本発明1075の方法。
[本発明1077]
薬物が粒子に共有結合される、本発明1075の方法。
[本発明1078]
薬物が、非共有相互作用によって粒子内に含有される、本発明1075の方法。
[本発明1079]
粒子が、薬物を放出するにつれて分解する、本発明1075の方法。
[本発明1080]
ポリエステルが、ポリバレロラクトン、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、またはその組み合わせを含む、本発明1054の方法。
[本発明1081]
ポリエステルがポリエチレングリコールをさらに含む、本発明1054の方法。
[本発明1082]
粒子がミクロ粒子である、本発明1054の方法。
[本発明1083]
粒子がナノ粒子である、本発明1054の方法。
[本発明1084]
以下の工程を含む、架橋された分解性粒子を調製する方法:
複数のアリル基を含有するポリエステル、ジチオール、および光開始剤を少なくとも1つの溶媒に溶解して、溶液を形成する工程;
溶液を水相中で乳化して、エマルジョンを形成する工程;
ジチオールとアリル基2個が反応するようエマルジョンにUV光を照射して、架橋を形成する工程;および
エマルジョンから溶媒の少なくとも一部を蒸発させる工程。
[本発明1085]
以下の工程を含む、架橋された分解性粒子を調製する方法:
複数のプロパルギル基を含有するポリエステルおよびジアジドを少なくとも1つの溶媒に溶解して、溶液を形成する工程;
溶液を水相中で乳化して、エマルジョンを形成する工程;
架橋を形成するために、ジアジドとプロパルギル基2個が反応するようエマルジョンを処理する工程;および
エマルジョンから溶媒の少なくとも一部を蒸発させる工程。
[本発明1086]
エマルジョンを処理する工程が、エマルジョンを加熱することまたは触媒を加えることを含む、本発明1082の方法。
[本発明1087]
触媒が銅(I)塩である、本発明1083の方法。
[本発明1088]
以下の工程を含む、架橋された分解性粒子を調製する方法:
複数のエポキシド基を含有するポリエステルおよびジアミンを少なくとも1つの溶媒に溶解して、溶液を形成する工程;
溶液を水相中で乳化して、エマルジョンを形成する工程;
ジアミンをエポキシド基と反応させて、架橋を形成する工程;および
エマルジョンから溶媒の少なくとも一部を蒸発させる工程。
[本発明1089]
以下の工程を含む、架橋された分解性粒子を調製する方法:
複数のカルボン酸基を含有するポリエステルおよびジアミンを少なくとも1つの溶媒に溶解して、溶液を形成する工程;
溶液を水相中で乳化して、エマルジョンを形成する工程;
架橋を形成するために、ジアミンとカルボン酸基とが反応するようエマルジョンを処理する工程;および
エマルジョンから溶媒の少なくとも一部を蒸発させる工程。
[本発明1090]
エマルジョンを処理する方法が、触媒を加えることを含む、本発明1086の方法。
[本発明1091]
触媒が、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミドまたはジイソプロピルカルボジイミドである、本発明1087の方法。
[本発明1092]
複数の架橋された分解性粒子の凝集を低減させる方法であって、複数のポリエチレングリコール鎖を複数の架橋された分解性粒子の外部に結合させる工程を含む、方法。
[本発明1093]
粒子がポリエステル骨格を含む、本発明1089の方法。
[本発明1094]
ポリエステル骨格が、ポリバレロラクトン、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、またはその組み合わせを含む、本発明1090の方法。
[本発明1095]
ポリエステル骨格がチオエーテルによって架橋されている、本発明1090の方法。
[本発明1096]
ポリエステル骨格がトリアゾールによって架橋されている、本発明1090の方法。
[本発明1097]
ポリエステル骨格がアミドによって架橋されている、本発明1090の方法。
[本発明1098]
粒子が生分解性である、本発明1089の方法。
[本発明1099]
粒子が約1μm~約100μmの直径を有する、本発明1089の方法。
[本発明1100]
粒子が約5μm~約20μmの直径を有する、本発明1096の方法。
[本発明1101]
粒子が約7μm~約15μmの直径を有する、本発明1097の方法。
[本発明1102]
粒子が約10μmの直径を有する、本発明1098の方法。
[本発明1103]
架橋粒子が薬物をさらに含む、本発明1089の方法。
[本発明1104]
薬物が、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド、およびパクリタキセルからなる群より選択される、本発明1100の方法。
[本発明1105]
薬物が粒子に共有結合される、本発明1100の方法。
[本発明1106]
薬物が、非共有相互作用によって粒子内に含有される、本発明1100の方法。
[本発明1107]
粒子が、水性環境中で少なくとも1か月の期間にわたって薬物を放出する、本発明1100の方法。
[本発明1108]
粒子が、薬物を放出するにつれて分解する、本発明1089の方法。
[本発明1109]
粒子がミクロ粒子である、本発明1089の方法。
[本発明1110]
粒子がナノ粒子である、本発明1089の方法。
[本発明1111]
以下の工程を含む、架橋された分解性粒子内に薬物を分散させる方法:
架橋された分解性粒子を溶媒で膨潤させて、膨潤した架橋された分解性粒子を形成する工程であって、溶媒がその中に分散された薬物をさらに含む、工程;および
溶媒から架橋された分解性粒子を取り除く工程。
[本発明1112]
ポリマー骨格がチオエーテルを介して架橋されている、本発明1111の方法。
[本発明1113]
ポリマー骨格がトリアゾールを介して架橋されている、本発明1111の方法。
[本発明1114]
ポリマー骨格がアミドを介して架橋されている、本発明1111の方法。
[本発明1115]
粒子が生分解性である、本発明1111の方法。
[本発明1116]
粒子が約1μm~約100μmの直径を有する、本発明1111の方法。
[本発明1117]
粒子が約5μm~約20μmの直径を有する、本発明1116の方法。
[本発明1118]
粒子が約7μm~約15μmの直径を有する、本発明1117の方法。
[本発明1119]
粒子が約10μmの直径を有する、本発明1118の方法。
[本発明1120]
薬物が、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド、およびパクリタキセルからなる群より選択される、本発明1111の方法。
[本発明1121]
薬物が、非共有相互作用によって粒子内に含有される、本発明1111の方法。
[本発明1122]
粒子が、水性環境中で少なくとも1か月の期間にわたって薬物を放出する、本発明1111の方法。
[本発明1123]
粒子が、薬物を放出するにつれて分解する、本発明1122の方法。
[本発明1124]
ポリエステル骨格が、ポリバレロラクトン、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、またはその組み合わせを含む、本発明1111の方法。
[本発明1125]
ポリバレロラクトン、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、またはポリグリコール酸のいずれかが、アリル基、プロパルギル基、またはカルボン酸基から選択される官能基で官能化される、本発明1111の方法。
[本発明1126]
ポリエステル骨格がポリエチレングリコールをさらに含む、本発明1111の方法。
[本発明1127]
溶媒が界面活性剤をさらに含む、本発明1111の方法。
[本発明1128]
粒子がミクロ粒子である、本発明1111の方法。
[本発明1129]
粒子がナノ粒子である、本発明1111の方法。
[本発明1130]
以下の工程:
複数の官能基を含有するポリエステルおよび架橋剤を少なくとも1つの溶媒に溶解して、溶液を形成する工程;
架橋を形成するために、架橋剤と官能基2個が反応するよう溶液を処理する工程;
を含む、架橋された分解性インプラントを調製する方法であって、
架橋された分解性インプラントが少なくとも約1ミリメートルの直径を有する、方法。
[本発明1131]
ポリエステルが、ポリバレロラクトン、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、またはその組み合わせを含む、本発明1130の方法。
[本発明1132]
官能基がオレフィン基を含む、本発明1130の方法。
[本発明1133]
オレフィン基がアリル基である、本発明1132の方法。
[本発明1134]
官能基がプロパルギル基を含む、本発明1130の方法。
[本発明1135]
官能基がエポキシ基を含む、本発明1130の方法。
[本発明1136]
官能基がカルボン酸基を含む、本発明1130の方法。
[本発明1137]
架橋剤がジチオール基を含む、本発明1130の方法。
[本発明1138]
ジチオール基が、ポリエステル骨格上のオレフィン官能基とチオエーテルを形成する、本発明1137の方法。
[本発明1139]
溶液が開始剤をさらに含む、本発明1130の方法。
[本発明1140]
開始剤が光開始剤である、本発明1139の方法。
[本発明1141]
溶液を処理する工程が、光開始剤に紫外線を照射することを含む、本発明1140の方法。
[本発明1142]
架橋剤がジアジドを含む、本発明1127の方法。
[本発明1143]
ジアジドが、ポリエステル骨格上のプロパルギル官能基とトリアゾールを形成する、本発明1136の方法。
[本発明1144]
溶液を処理する工程が、環化触媒を添加することを含む、本発明1130の方法。
[本発明1145]
触媒が銅塩である、本発明1144の方法。
[本発明1146]
架橋剤がジアミンを含む、本発明1130の方法。
[本発明1147]
ジアミンが、ポリエステル骨格上のエポキシド官能基とβ-ヒドロキシアミンを形成する、本発明1146の方法。
[本発明1148]
ジアミンが、ポリエステル骨格上のカルボン酸官能基とアミドを形成する、本発明1146の方法。
[本発明1149]
溶液を処理する工程が、アミドカップリング触媒を溶液に加えることを含む、本発明1130の方法。
[本発明1150]
アミドカップリング触媒が、ジシクロヘキシルカルボジイミドまたはジイソプロピルカルボジイミドである、本発明1149の方法。
[本発明1151]
インプラントが生分解性である、本発明1130の方法。
[本発明1152]
インプラントが、その中に分散された薬物をさらに含む、本発明1130の方法。
[本発明1153]
薬物が、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド、およびパクリタキセルからなる群より選択される、本発明1130の方法。
[本発明1154]
薬物がインプラントに共有結合される、本発明1130の方法。
[本発明1155]
薬物が、非共有相互作用によってインプラント内に含有される、本発明1130の方法。
[本発明1156]
インプラントが、水性環境中で少なくとも1か月の期間にわたって薬物を放出する、本発明1142の方法。
[本発明1157]
インプラントが、薬物を放出するにつれて分解する、本発明1156の方法。
[本発明1158]
ポリエステル骨格が、ポリバレロラクトン、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、またはその組み合わせを含む、本発明1130の方法。
[本発明1159]
ポリエステル骨格がポリエチレングリコールをさらに含む、本発明1130の方法。
[本発明1160]
以下の工程を含む、架橋された分解性粒子の分布の平均サイズを制御する方法:
均一なサイズおよび形状の複数の鋳型を調製する工程;
複数の官能基を含有するポリエステルと架橋剤とを合わせて、混合物を形成する工程;
混合物を鋳型内に分散させる工程;および
架橋剤と官能基2個が反応するよう混合物を処理して、架橋を形成する工程。
[本発明1161]
ポリエステルが、ポリバレロラクトン、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、またはその組み合わせを含む、本発明1160の方法。
[本発明1162]
官能基がオレフィン基を含む、本発明1160の方法。
[本発明1163]
オレフィン基がアリル基である、本発明1152の方法。
[本発明1164]
官能基がプロパルギル基を含む、本発明1160の方法。
[本発明1165]
官能基がエポキシ基を含む、本発明1160の方法。
[本発明1166]
官能基がカルボン酸基を含む、本発明1160の方法。
[本発明1167]
架橋剤がジチオール基を含む、本発明1160の方法。
[本発明1168]
ジチオール基が、ポリエステル骨格上のオレフィン官能基とチオエーテルを形成する、本発明1167の方法。
[本発明1169]
架橋剤がジアジドを含む、本発明1160の方法。
[本発明1170]
ジアジドが、ポリエステル骨格上のプロパルギル官能基とトリアゾールを形成する、本発明1169の方法。
[本発明1171]
架橋剤がジアミンを含む、本発明1160の方法。
[本発明1172]
ジアミンが、ポリエステル骨格上のエポキシド官能基とβ-ヒドロキシアミンを形成する、本発明1171の方法。
[本発明1173]
ジアミンが、ポリエステル骨格上のカルボン酸官能基とアミドを形成する、本発明1171の方法。
[本発明1174]
粒子が生分解性である、本発明1160の方法。
[本発明1175]
粒子が約1μm~約100μmの直径を有する、本発明1160の方法。
[本発明1176]
粒子が約5μm~約20μmの直径を有する、本発明1175の方法。
[本発明1177]
粒子が約7μm~約15μmの直径を有する、本発明1176の方法。
[本発明1178]
粒子が約10μmの直径を有する、本発明1177の方法。
[本発明1179]
粒子が、その中に分散された薬物をさらに含む、本発明1160の方法。
[本発明1180]
薬物が、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド、およびパクリタキセルからなる群より選択される、本発明1179の方法。
[本発明1181]
薬物が粒子に共有結合される、本発明1179の方法。
[本発明1182]
薬物が、非共有相互作用によって粒子内に含有される、本発明1179の方法。
[本発明1183]
粒子が、水性環境中で少なくとも1か月の期間にわたって薬物を放出する、本発明1179の方法。
[本発明1184]
粒子が、薬物を放出するにつれて分解する、本発明1179の方法。
[本発明1185]
ポリエステル骨格がポリエチレングリコールをさらに含む、本発明1160の方法。
[本発明1186]
粒子がミクロ粒子である、本発明1160の方法。
[本発明1187]
粒子がナノ粒子である、本発明1160の方法。
[本発明1188]
以下の工程を含む、架橋された分解性粒子の分布の平均サイズを制御する方法:
複数の官能基を含有するポリエステルおよび架橋剤を少なくとも1つの非水性溶媒中で合わせて、エマルジョンを形成する工程であって、非水性溶媒が均一なサイズの液滴を含み、ポリエステルおよび架橋剤が非水性溶媒液滴中に溶解される、工程;および
架橋を形成するために、架橋剤と官能基2個が反応するようエマルジョンを処理する工程であって、非水性溶媒中に溶解される間に粒子が架橋される、工程。
[本発明1189]
ポリエステルが、ポリバレロラクトン、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、またはその組み合わせを含む、本発明1188の方法。
[本発明1190]
官能基がオレフィン基を含む、本発明1188の方法。
[本発明1191]
オレフィン基がアリル基である、本発明1190の方法。
[本発明1192]
官能基がプロパルギル基を含む、本発明1188の方法。
[本発明1193]
官能基がエポキシ基を含む、本発明1188の方法。
[本発明1194]
官能基がカルボン酸基を含む、本発明1188の方法。
[本発明1195]
架橋剤がジチオール基を含む、本発明1188の方法。
[本発明1196]
ジチオール基が、ポリエステル骨格上のオレフィン官能基とチオエーテルを形成する、本発明1188の方法。
[本発明1197]
溶液が開始剤をさらに含む、本発明1188の方法。
[本発明1198]
開始剤が光開始剤である、本発明1197の方法。
[本発明1199]
溶液を処理する工程が、光開始剤に紫外線を照射することを含む、本発明1198の方法。
[本発明1200]
架橋剤がジアジドを含む、本発明1188の方法。
[本発明1201]
ジアジドが、ポリエステル骨格上のプロパルギル官能基とトリアゾールを形成する、本発明1200の方法。
[本発明1202]
溶液を処理する工程が、環化触媒を添加することを含む、本発明1201の方法。
[本発明1203]
触媒が銅塩である、本発明1202の方法。
[本発明1204]
架橋剤がジアミンを含む、本発明1188の方法。
[本発明1205]
ジアミンが、ポリエステル骨格上のエポキシド官能基とβ-ヒドロキシアミンを形成する、本発明1203の方法。
[本発明1206]
ジアミンが、ポリエステル骨格上のカルボン酸官能基とアミドを形成する、本発明1204の方法。
[本発明1207]
溶液を処理する工程が、アミドカップリング触媒を溶液に加えることを含む、本発明1206の方法。
[本発明1208]
アミドカップリング触媒が、ジシクロヘキシルカルボジイミドまたはジイソプロピルカルボジイミドである、本発明1207の方法。
[本発明1209]
粒子が生分解性である、本発明1188の方法。
[本発明1210]
粒子が約1μm~約100μmの直径を有する、本発明1188の方法。
[本発明1211]
粒子が約5μm~約20μmの直径を有する、211161、
粒子が約7μm~約15μmの直径を有する、本発明1210の方法。
[本発明1212]
粒子が約10μmの直径を有する、本発明1212の方法。
[本発明1213]
粒子が、その中に分散された薬物をさらに含む、本発明1188の方法。
[本発明1214]
薬物が、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド、およびパクリタキセルからなる群より選択される、本発明1213の方法。
[本発明1215]
薬物が粒子に共有結合される、本発明1213の方法。
[本発明1216]
薬物が、非共有相互作用によって粒子内に含有される、本発明1213の方法。
[本発明1217]
粒子が、水性環境中で少なくとも1か月の期間にわたって薬物を放出する、本発明1213の方法。
[本発明1218]
粒子が、薬物を放出するにつれて分解する、本発明1213の方法。
[本発明1219]
ポリエステル骨格がポリエチレングリコールをさらに含む、本発明1188の方法。
[本発明1220]
以下の工程を含む、疾患を処置する方法:
薬物を含有する本発明1001の治療有効量の架橋された分解性粒子を、それを必要とする対象に投与する工程。
[本発明1221]
以下の工程によって形成される、架橋された分解性粒子:
複数の官能基を含有するポリエステルおよび架橋剤を形成して、混合物を形成する工程;および
官能基と架橋剤とを反応させて、架橋された分解性粒子を形成する工程。
[本発明1222]
ポリエステルが、乳酸残基、グリコール酸残基、バレロラクトン残基、カプロラクトン残基、ラクチド残基、またはその組み合わせから選択されるモノマーから形成される、本発明1221の粒子。
[本発明1223]
官能基がオレフィン基を含む、本発明1221の架橋粒子。
[本発明1224]
オレフィン基がアリル基である、本発明1223の架橋粒子。
[本発明1225]
官能基がプロパルギル基を含む、本発明1221の架橋粒子。
[本発明1226]
官能基がエポキシ基を含む、本発明1221の架橋粒子。
[本発明1227]
官能基がカルボン酸基を含む、本発明1221の架橋粒子。
[本発明1228]
架橋剤がジチオール基を含む、本発明1221の架橋粒子。
[本発明1229]
ジチオール基が、ポリエステル骨格上のオレフィン官能基とチオエーテルを形成する、本発明1228の架橋粒子。
[本発明1230]
チオエーテルが、ラジカル反応によって形成される、本発明1229の架橋粒子。
[本発明1231]
ラジカル反応が、光開始剤および紫外線での処理によって開始される、本発明1230の架橋粒子。
[本発明1232]
架橋剤がジアジドを含む、本発明1221の架橋粒子。
[本発明1233]
ジアジドが、ポリエステル骨格上のプロパルギル官能基とトリアゾールを形成する、本発明1232の架橋粒子。
[本発明1234]
トリアゾールが銅(I)触媒の存在下で形成される、本発明1233の架橋粒子。
[本発明1235]
架橋剤がジアミンを含む、本発明1221の架橋粒子。
[本発明1236]
ジアミンが、ポリエステル骨格上のエポキシド官能基とβ-ヒドロキシアミンを形成する、本発明1235の架橋粒子。
[本発明1237]
ジアミンが、ポリエステル骨格上のカルボン酸官能基とアミドを形成する、本発明1235の架橋粒子。
[本発明1238]
アミドがアミドカップリング触媒の存在下で形成される、本発明1237の架橋粒子。
[本発明1239]
アミドカップリング触媒が、ジシクロヘキシルカルボジイミドまたはジイソプロピルカルボジイミドから選択される、本発明1238の架橋粒子。
[本発明1240]
生分解性である、本発明1221の架橋粒子。
[本発明1241]
約1μm~約100μmの直径を有する、本発明1221の架橋粒子。
[本発明1242]
約5μm~約20μmの直径を有する、本発明1241の架橋粒子。
[本発明1243]
約7μm~約15μmの直径を有する、本発明1242の架橋粒子。
[本発明1244]
約10μmの直径を有する、本発明1243の架橋粒子。
[本発明1245]
その中に分散された薬物をさらに含む、本発明1221の架橋粒子。
[本発明1246]
薬物が、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド、およびパクリタキセルからなる群より選択される、本発明1245の架橋粒子。
[本発明1247]
薬物が粒子に共有結合されている、本発明1245の架橋粒子。
[本発明1248]
薬物が、非共有相互作用によって粒子内に含有される、本発明1245の架橋粒子。
[本発明1249]
薬物を放出するにつれて分解する、本発明1245の架橋粒子。
[本発明1250]
ポリエステルが、ポリバレロラクトン、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、またはその組み合わせを含む、本発明1221の架橋粒子。
[本発明1251]
ポリエステルがポリエチレングリコールをさらに含む、本発明1221の架橋粒子。
[本発明1252]
ミクロ粒子である、本発明1221の架橋粒子。
[本発明1253]
ナノ粒子である、本発明1221の架橋粒子。
[本発明1254]
以下を含む、架橋された分解性粒子:
式Iのポリエステル骨格:
式中:
R1は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
R2は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
R3は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
aは、0、1、または2であり;
mは、出現毎に独立して、1以上100以下の整数であり;
nは、出現毎に独立して、1以上100以下の整数であり;
pは、出現毎に独立して、0以上5以下の整数であり;
qは、出現毎に独立して、0以上100以下の整数であり;
rは、出現毎に独立して、0以上100以下の整数であり;
tは、出現毎に独立して、0以上5以下の整数である。
[本発明1255]
以下を含む、架橋された分解性粒子:
式IIのポリエステル骨格:
式中:
R1は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
R2は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
R3は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
aは、0、1、または2であり;
mは、出現毎に独立して、1以上100以下の整数であり;
nは、出現毎に独立して、1以上100以下の整数であり;
pは、出現毎に独立して、0以上5以下の整数であり;
qは、出現毎に独立して、0以上100以下の整数であり;
rは、出現毎に独立して、0以上100以下の整数であり;
tは、出現毎に独立して、0以上5以下の整数である。
[本発明1256]
以下を含む、架橋された分解性粒子:
式IIIのポリエステル骨格:
式中:
R1は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
R2は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
R3は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
aは、0、1、または2であり;
mは、出現毎に独立して、1以上100以下の整数であり;
nは、出現毎に独立して、1以上100以下の整数であり;
pは、出現毎に独立して、0以上5以下の整数であり;
qは、出現毎に独立して、0以上100以下の整数であり;
rは、出現毎に独立して、0以上100以下の整数であり;
tは、出現毎に独立して、0以上5以下の整数である。
[本発明1257]
以下を含む、架橋された分解性粒子:
式IVのポリエステル骨格:
式中:
R1は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
R2は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
R3は、出現毎に独立して、-H、または-C1~C6アルキルであり;
aは、0、1、または2であり;
mは、出現毎に独立して、1以上100以下の整数であり;
nは、出現毎に独立して、1以上100以下の整数であり;
pは、出現毎に独立して、0以上5以下の整数であり;
qは、出現毎に独立して、0以上100以下の整数であり;
rは、出現毎に独立して、0以上100以下の整数であり;
tは、出現毎に独立して、0以上5以下の整数である。
本開示の架橋粒子(例えば、マクロ粒子、ミクロ粒子またはナノ粒子)は、均一なサイズおよび形状を安定性などの他の特性と共に有することができる。これは、本開示の架橋粒子を医療の場において高い再現性および信頼性で使用することを可能にすることができる。本開示の追加の特徴および利点は、当業者に明らかであろうし、かつ、以下の詳細な説明に示される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1A】ポリカプロラクトン(PCL),ポリバレロラクトン/ポリアリルバレロラクトンコポリマー(PVL-co-PAVL)ミクロ粒子の約1500μmスケールの写真を示す。
図1B】PCL,PVL-co-PAVLミクロ粒子の約400μmスケールの写真を示す。
図1C】PCL,PVL-co-PAVLミクロ粒子の約600μmスケールの写真を示す。
図1D】PCL,PVL-co-PAVLミクロ粒子の約20μmスケールの写真をサイズ分布スキームと共に示す。
図2A】PVL-co-PAVLミクロ粒子の約1500μmスケールの写真を示す。
図2B】PVL-co-PAVLミクロ粒子の約400μmスケールの写真を示す。
図2C】PVL-co-PAVLミクロ粒子の約600μmスケールの写真を示す。
図2D】PVL-co-PAVLミクロ粒子の約20μmスケールの写真をサイズ分布スキームと共に示す。
図3A】両親媒性ブロックコポリマーのミセル構造への自己集合の概略図を示す。
図3B】本開示のポリマーおよび架橋剤の、脂質-水エマルジョンの脂質相へのカプセル化の概略図を示す。
図4】本開示の粒子への薬物装填の一般概略図を示す。
図5】架橋されたmPEG-b-PVL-co-PAVLナノ粒子の水中のDLSプロットを示す。
図6】架橋されたmPEG-b-PVL-co-PAVLナノ粒子のジメチルスルホキシド(DMSO)中のDLSプロットを示す。
図7】架橋されたmPEG-b-PVL-co-PAVLナノ粒子のTHF中のDLSプロットを示す。
図8】架橋されていないmPEG-b-PVL-co-PAVLナノ粒子の水中のDLSプロットを示す。
図9A】25% PVL-co-PAVLミクロ粒子の架橋後のヒストグラムおよび画像を示す。
図9B】同じミクロ粒子のDMSO洗浄工程後のヒストグラムおよび顕微鏡画像を示す。
図9C】粒子のエタノール洗浄工程後のヒストグラムおよび顕微鏡画像を示す。
図9D】粒子のTHF中での膨潤後のヒストグラムおよび顕微鏡画像を示す。
図10A】PVL-co-PAVLポリマーの1HNMRスペクトルを示す。
図10B】6% PAVL、10% PAVL、および25% PAVLを含むPVL-co-PAVLポリマー骨格のゲル浸透クロマトグラフィープロットを示す。
図11A】mPEG-b-PVL-co-PAVLマクロ粒子(80:20)の約1mmの分解能での顕微鏡画像を示す。
図11B】mPEG-b-PVL-co-PAVLマクロ粒子(80:20)の約200μmの分解能での顕微鏡画像を示す。
図11C】mPEG-b-PVL-co-PAVLマクロ粒子(80:20)の約10μmの分解能での第一の顕微鏡画像を示す。
図11D】mPEG-b-PVL-co-PAVLマクロ粒子(80:20)の約10μmの分解能での第二の顕微鏡画像を示す。
図12】架橋されていないミクロ粒子の水中の顕微鏡写真を示す。
図13】本開示のある態様に係るマクロ粒子の薬物装填容量(loading capacity)を示す。
図14】クルクミン、パクリタキセル、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンヘキサセトニドが装填されたミクロ粒子、および薬物なしのミクロ粒子のDSCプロットを示す。
図15】クルクミン、パクリタキセル、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンヘキサセトニドが装填された本開示のミクロ粒子、および薬物なしの本開示のミクロ粒子のFTIRスペクトルを示す。
図16】ミクロ粒子フレークの一晩乾燥させた後の顕微鏡画像を示す。
図17】ミクロ粒子フレークからのクルクミン放出の放出プロファイルを示す。
図18A】共溶媒としての25% PEGを含むTHF中で乾燥させた後の、1% tweenを含有する水に溶解された、クルクミンが装填された粒子を示す。
図18B】共溶媒としての25% PEGを含むTHF中で乾燥させた後の、1% tweenを含有する水に溶解された、クルクミンが装填された粒子のクローズアップ写真を示す。
図19A】共溶媒としての2.5% PEGで乾燥させた後のミクロ粒子フレークの水中の顕微鏡画像を示す。
図19B】共溶媒としての2.5% PEGで乾燥させた後のミクロ粒子フレークのTHF中の顕微鏡画像を示す。
図19C】共溶媒としての5% PEGで乾燥させた後のミクロ粒子フレークの水中の顕微鏡画像を示す。
図19D】共溶媒としての5% PEGで乾燥させた後のミクロ粒子フレークのTHF中の顕微鏡画像を示す。
図20A】トリアムシノロンアセトニドの界面活性剤Tween80およびSDSの存在下での水溶解度プロットを示す。
図20B】トリアムシノロンヘキサセトニドの界面活性剤Tween80およびSDSの存在下での水溶解度プロットを示す。
図20C】パクリタキセルの界面活性剤Tween80およびSDSの存在下での水溶解度プロットを示す。
図21】マクロ粒子からのクルクミンの7日間の放出プロファイルを示す。
図22】13mgおよび12mgのマクロ粒子からの20日間のクルクミン放出プロファイルを示す。
図23】2つのマクロ粒子からのトリアムシノロンヘキサセトニドの6日間の放出プロファイルを示す。
図24】13.3mgおよび9.2mgのマクロ粒子からの20日間のトリアムシノロンヘキサセトニド放出プロファイルを示す。
図25】クルクミン、トリアムシノロンヘキサセトニド(TAH)、トリアムシノロンアセトニド(TAA)、およびパクリタキセル(PTX)の放出プロファイルの比較を示す。
図26】フォトリソグラフィテンプレートの顕微鏡写真を示す。
図27A】顕微鏡下での、隆起したペグを備えたゼラチンテンプレートを示す。
図27B】ゼラチンヒドロゲルテンプレート法によって調製されたミクロ粒子の第一の顕微鏡画像を示す。
図27C】ゼラチンヒドロゲルテンプレート法によって調製されたミクロ粒子の第二の顕微鏡画像を示す。
図28A】架橋なしの対照ミクロ粒子のDSCプロットを示す。
図28B】50%架橋を有するミクロ粒子のDSCプロットを示す。DSCプロットは、約30%の結晶度を示す。
図28C】100%架橋を有するミクロ粒子のDSCプロットを示す。
図29A】架橋なしの対照ミクロ粒子のDSCプロットを示す。
図29B】50%架橋を有するミクロ粒子のDSCプロットを示す。DSCプロットは、1%未満の結晶度を示す。
図29C】100%架橋のDSCプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
発明の詳細な説明
本開示は、医学用途において(例えば、薬物を局所的に放出するために)使用することができる架橋粒子(例えば、ミクロ粒子、ミクロ粒子またはナノ粒子)を提供する。幾つかの態様において、本開示は、適切な架橋試薬の存在下でポリエステル骨格に沿って配置された官能基を介して架橋することができるポリエステル骨格を含むミクロ粒子を提供する。
【0034】
幾つかの態様において、ポリエステル骨格は、チオエーテルを介して架橋されている。ポリエステル骨格を、トリアゾールを介して架橋することができる。ポリエステル骨格を、アミドを介して架橋することができる。ポリエステル骨格を、アミンを介して架橋することができる(例えば、アミン-エポキシド反応を介して)。ポリエステル骨格を、テトラジン-trans-シクロオクテン反応によって架橋することができる。ポリエステル骨格を、チオール-ノルボルネン反応によって架橋することができる。ポリエステル骨格を、アミン-カルボニル(例えば、アルデヒドまたはケトン)還元的アミノ化によって架橋することができる。該粒子は、生分解性であることができる。
【0035】
本開示のミクロ粒子は、約1μm~約999μm(その間の全ての範囲および部分範囲を含む)の直径を有することができ、より好ましくは、ミクロ粒子は、約1μm~約100μm(その間の全ての範囲および部分範囲を含む)の直径を有することができる。幾つかの態様において、本開示のミクロ粒子は、約5μm~約30μm(その間の全ての範囲および部分範囲を含む)(例えば、約7μm~約15μm、または約10μm)の直径を有することができる。
【0036】
本開示のマクロ粒子は、約1000μm超の平均直径を有することができる。
【0037】
幾つかの態様において、本開示のミクロ粒子内に分散される薬物は、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド、およびパクリタキセルであることができる。幾つかの態様において、クルクミンなどの他の化合物を粒子内に分散させることができる(例えば、クルクミンを使用して放出速度論をより容易に可視化することができる)。幾つかの態様において、薬物の代用物としてクルクミンを使用することができる。幾つかの態様において、薬物は、粒子に共有結合される。幾つかの態様において、薬物は、非共有相互作用によって粒子内に含有される。幾つかの態様において、粒子は、水性環境中で、少なくとも1週間(例えば、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、または少なくとも6か月)の期間にわたって薬物を放出する。幾つかの態様において、粒子は、薬物を放出するにつれて分解する。
【0038】
幾つかの態様において、ポリエステル骨格は、ポリバレロラクトン(PVL)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGC)、またはその組み合わせを含む。幾つかの態様において、粒子は、マクロ粒子である。幾つかの態様において、粒子は、ミクロ粒子である。幾つかの態様において、粒子は、ナノ粒子である。幾つかの態様において、ポリエステル骨格は、ポリエチレングリコール(PEG)をさらに含む。幾つかの態様において、ポリマー骨格は、バレロラクトン(例えば、ポリバレロラクトン)、カプロラクトン(例えば、ポリカプロラクトン)、乳酸(例えば、ポリ乳酸)、グリコール酸(例えば、ポリグリコール酸)、またはその組み合わせを含むモノマー残基から得られる。幾つかの態様において、ラクトンモノマーは、乳酸、グリコール酸、バレロラクトン、カプロラクトン、ラクチド、またはその組み合わせからなる群より選択される。
【0039】
一つのまたは複数の態様において、バレロラクトン、カプロラクトン、乳酸、ラクチド、またはグリコール酸のいずれかは、官能基で官能化される。幾つかの態様において、官能基をアリル基、プロパルギル基、またはカルボン酸基から選択することができる(例えば、官能基は、アリルラクチド、アリルバレロラクトンなどであることができる)。あるいは、官能基は、trans-シクロオクテン、ノルボルネン、またはカルボニル基(例えば、アルデヒドまたはケトン)であることができる。あるいは、官能基は、チオール基、アミン、またはテトラジンであることができる。
【0040】
一つのまたは複数の態様において、ポリエステルと架橋剤とが溶媒中で合わせられて、混合物を形成する。上記方法のいずれかの幾つかの態様において、本開示の粒子は、混合物を乳化する工程であって、ポリエステルおよび架橋剤が同じ相内にある工程によって製造される。幾つかの態様において、該方法は、官能基と架橋剤とを反応させる前に溶媒の少なくとも一部を蒸発させる工程をさらに含む。幾つかの態様において、ポリエステル骨格の官能基は、オレフィン基(例えば、アリル基)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基)、エポキシ基、カルボン酸基、またはカルボン酸誘導体(例えば、エステルまたはアミド)を含む。
【0041】
幾つかの態様において、本開示の粒子(例えば、ミクロ粒子)を電子噴霧によって形成することができる。幾つかの態様において、本開示の粒子(例えば、ミクロ粒子)を噴霧乾燥によって形成することができる。
【0042】
幾つかの態様において、架橋剤は、ジチオール基を含む。幾つかの態様において、ジチオール基は、ポリエステル骨格上のオレフィン官能基とチオエーテルを形成する。幾つかの態様において、架橋剤は、ジアジドを含む。幾つかの態様において、ジアジドは、ポリエステル骨格上のプロパルギル官能基とトリアゾールを形成する。幾つかの態様において、架橋剤は、ジアミンを含む。幾つかの態様において、ジアミンは、ポリエステル骨格上のエポキシド官能基とβ-ヒドロキシアミンを形成する。幾つかの態様において、ジアミンは、ポリエステル骨格上のカルボン酸官能基とアミドを形成する。
【0043】
幾つかの態様において、エマルジョンを処理する工程は、エマルジョンを加熱する工程または触媒(例えば、環化触媒、例えば銅またはロジウム塩、例えば銅(I)塩)を加える工程を含む。幾つかの態様において、アミド架橋剤を形成するための触媒は、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミドまたはジイソプロピルカルボジイミドなどのアミドカップリング触媒である。幾つかの態様において、ポリエステル骨格は、ポリバレロラクトン、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、またはその組み合わせを含む。幾つかの態様において、ポリエステル骨格は、チオエーテル、トリアゾール、またはアミドによって架橋されている。例えば、上記態様のいずれかにおいて、複数の官能基を有するポリエステルと架橋剤とを合わせる行為はまた、開始剤(例えば、光開始剤)および/または触媒(例えば、銅触媒)を加える工程をさらに含むことができる。
【0044】
上記方法のいずれかの幾つかの態様において、溶液(例えば、粒子が形成されるエマルジョン)は、開始剤(例えば、光開始剤)をさらに含む。幾つかの態様において、溶液を処理する方法は、光開始剤に紫外線を照射する工程を含む。幾つかの態様において、ジチオール基は、ポリエステル骨格上のオレフィン官能基とチオエーテルを形成する。幾つかの態様において、チオエーテルは、ラジカル反応によって形成される。幾つかの態様において、ラジカル反応は、光開始剤および紫外線での処理によって開始される。幾つかの態様において、架橋剤は、ジアジドを含む。幾つかの態様において、ジアジドは、ポリエステル骨格上のプロパルギル官能基とトリアゾールを形成する。幾つかの態様において、トリアゾールは、銅(I)触媒の存在下で形成される。
【0045】
定義
冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、本開示において、1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)のその冠詞の文法上の目的語を指すために使用される。例として、「1つの要素(an element)」は、1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
【0046】
用語「および(ならびに)/または(もしくは)」は、本開示において、他の指示のない限り、「および(ならびに)」または「または(もしくは)」のいずれかを意味するために使用される。
【0047】
「アルキル」は、直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素を指す。C1~C6アルキル基は、1~6個の炭素原子を含有する。C1~C6アルキル基の例は、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチル、イソペンチルおよびネオペンチルを含む。
【0048】
対象に関する用語「処置する」は、対象の障害の少なくとも1つの症状を改善することを指す。処置することは、障害を治癒すること、改善すること、または少なくとも部分的に和らげることを含む。
【0049】
用語「障害」は、本開示において、他の指示のない限り、疾患、病態、または病気という用語を意味するために使用され、かつ、それらの用語と互換的に使用される。
【0050】
用語「投与する(administer)」、「投与すること(administering)」、または「投与(administration)」は、本開示において使用される場合、開示される粒子(例えば、ミクロ粒子)もしくは開示される粒子の薬学的に許容し得る塩、または組成物のいずれかを対象に直接投与することを指す。
【0051】
本明細書において使用される場合、用語「骨格」は、ポリエステル鎖を意味すると理解される。本開示のポリエステル骨格を架橋して、本明細書に開示される通りの粒子、例えばミクロ粒子またはナノ粒子を形成することができる。
【0052】
本明細書において使用される場合、「粒子」は、架橋されている本明細書に示される通りのポリマー骨格を含む個別単位である。粒子は、ナノ粒子、ミクロ粒子、またはマクロ粒子であることができる。粒子は、その中に分散された薬物を含み得る。
【0053】
「ナノ粒子」は、約1nm~約999nm(その間の全てのサイズ範囲および部分範囲を含む)の直径を有する本開示の架橋粒子として理解される。
【0054】
「ミクロ粒子」は、本明細書において使用される場合は、約1μm(1,000nm)~約999μm(その間の全てのサイズ範囲および部分範囲を含む)の直径を有する本開示の架橋粒子として理解される。上に述べた通り、ミクロ粒子は、約1μm~約100μm(その間の全ての範囲および部分範囲を含む)の直径を有することができる。幾つかの態様において、本開示のミクロ粒子は、約5μm~約30μm(その間の全ての範囲および部分範囲を含む)(例えば、約7μm~約15μm、または約10μm)の直径を有することができる。
【0055】
「マクロ粒子」は、本明細書において使用される場合は、約1mm(1,000μm)~約100mm(その間の全てのサイズ範囲および部分範囲を含む)の直径を有する本開示の架橋粒子として理解される。本明細書において使用される場合、「マクロ粒子」は、デバイスまたはインプラントであることができる。幾つかの態様において、単一のマクロ粒子は、肉眼で見ることができる。幾つかの態様において、マクロ粒子は、「シリンダー」と称される。
【0056】
本明細書において使用される場合、「薬物」は、任意の低分子治療剤である。薬物は、非限定的に、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンヘキサセトニドなどのステロイド、またはパクリタキセルであることができる。「薬物」はまた、クルクミンなどの可視化剤を含むことができる。
【0057】
「患者」または「対象」は、哺乳動物、例えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、またはヒト以外の霊長類、例えばサル、チンパンジー、ヒヒ、もしくはアカゲザルである。
【0058】
本開示の粒子を医学用途において使用することができる。例えば、粒子を使用して創傷を治癒することができる(例えば、消毒薬として)。創傷は、生体組織への傷害として理解される。創傷は、切断、強打、または衝突によって引き起こされる可能性がある。創傷はまた、外科手術の結果である可能性がある。したがって、幾つかの態様において、本開示の化合物を使用して、外科手術後の創傷の治癒を助けることができる。本開示の粒子を注射(例えば、シリンジで)することができる。幾つかの態様において、本開示の粒子は、外科手術の間に投与され、かつ、外科手術後(例えば、1~6か月の期間)に残留する。
【0059】
粒子の架橋密度の定義は、線状のポリマー前駆体(例えば、ポリエステル)に対するペンダント官能基(例えば、アリル、プロパルギル、またはエポキシ)の百分率に基づく(van der Ende、A.E., et al.. (2008) J. Am Chem. Soc. 130, p. 8706)。本明細書において使用される場合、用語「架橋密度」は、使用されるモノマーの重量百分率として表される、コポリマーなどのポリマーの調製において使用される官能化されたモノマー(例えば、アリルバレロラクトン)の割合を指す。例えば、4%(重量)アリルバレロラクトンおよび96%バレロラクトンがポリマー骨格を調製するために使用される場合、得られた粒子の架橋密度は、4%であると理解される。実際の架橋密度を、赤外分光法、熱分解ガスクロマトグラフィー、および核磁気共鳴を非限定的に含む分析技術によって決定することができる。
【0060】
本開示の粒子の架橋密度は、1%以上100%以下であることができる。幾つかの態様において、架橋密度は、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%である。
【0061】
本明細書において使用される場合、用語「VL」は、バレロラクトンを意味すると理解される。
【0062】
ミクロ粒子の調製
本開示のミクロ粒子は、官能化されたポリエステルを架橋剤と共に溶媒に溶解し、その後、混合物を架橋することによって調製することができる。得られた生成物は、複数の架橋されたミクロ粒子である。実施例3および4に示される通り、(ポリアリルバレロラクトン-ポリバレロラクトン)PAVL-PVLと共にPCLを含むミクロ粒子(実施例3)およびPAVL-PVLを含むミクロ粒子(実施例4)を、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(DMPA)の存在下でヘキサンジチオールを使用して、紫外線(UV)光を照射することによって架橋した。そのように生産されたミクロ粒子(例えば、図1A~2Dを参照のこと)は、ジメチルスルホキシド(DMSO)に不溶性であった。これは、本明細書に記載の通り生産された粒子がポリマー(例えば、ポリエステル)前駆体(または骨格)とは構造的に異なる個別単位であることを実証している。理論に束縛されるものではないが、架橋は、粒子に構造的完全性を与える。
【0063】
架橋粒子と対照的に、比較例3および4は、架橋剤の非存在下で生産されるミクロ粒子を実証している。比較例3および4は、PCLをPAVL-PVLと共に(比較例3)、およびPAVL-PVL(比較例4)を、架橋剤(例えば、ヘキサンジチオール)の非存在下でUV光と組み合わせる。架橋剤の非存在下では架橋は起こることができないので、ミクロ粒子は形成されなかった。したがって、ポリエステルは、未変化のままであり、かつ、DMSOに可溶性であった。それ故、幾つかの態様において、ミクロ粒子を形成するためにならびに安定性およびサイズなどの所望の特性を確保するために、本明細書に記載のポリエステルを架橋することが必要である。
【0064】
理論に束縛されるものではないが、架橋することができないポリマー骨格(例えば、PLGAポリマー)は、形成するためには、ミセル濃度に依存することができる。例えば、図3Aに示される通り、両親媒性ブロックコポリマーは、ミセル構造へ自己集合することができる。しかしながら、このようなミセルは、臨界ミセル濃度(CMC)以下で崩壊する可能性がある。
【0065】
対照的に、図3Bに示される通り、本開示の化合物は、官能化されたポリマーおよび反応性の架橋剤を含み、かつ、粒子(例えば、ナノ粒子またはミクロ粒子)構造内で共有的に架橋される。したがって、本開示の粒子は、濃度に関係なく未変化のままであり、かつ、臨界ミセル濃度に依存しない。
【0066】
本開示の態様によれば、ミクロ粒子は架橋される。以下のスキーム1~3は、本開示の架橋粒子への一般経路を示す。
【0067】
スキーム1:PAVL-PVL骨格および2,2'-(エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-1-チオール)架橋剤を使用した一般架橋スキーム
【0068】
スキーム1に示される通り、ポリバレロラクトンおよびポリアリルバレロラクトンを含むポリエステル(1)を、ラジカル開始剤(例えば、DMPAなどの光開始剤)の存在下、ジスルフィド(2)を使用して架橋することができる。1アリル基当たりのDMPAの比を調整して、得られるミクロ粒子の特性を制御する(例えば、より多いまたはより少ない架橋を生産する)ことができる。例えば、幾つかの態様において、1アリル基当たり0.2当量のDMPAを加えることができる。幾つかの態様において、(1)中の各アリル基に、(2)中のチオール基1つが付加することができる。(1)および(2)の混合物のUV光(例えば、365nm)での処理によって、アリル基が架橋剤のチオール基と架橋して、架橋されたミクロ粒子(3)を生産することができる。スキーム1において使用される通り、d、e、およびfの値は、各々独立して、1以上1000以下の任意の整数であることができる。
【0069】
スキーム2:PAVL-PVL骨格および1,6-ヘキサンジチオール架橋剤を使用した一般架橋スキーム
【0070】
スキーム2に示される通り、ポリバレロラクトンおよびポリアリルバレロラクトンを含むポリエステル(4)を、ラジカル開始剤(例えば、DMPAなどの光開始剤)の存在下、ジスルフィド(5)を使用して架橋することができる。アリル基に対するDMPAの比を調整して、得られるミクロ粒子の特性を制御する(例えば、架橋の比率を調整するならびにより多いまたはより少ない架橋を生産する)ことができる。例えば、幾つかの態様において、1アリル基当たり0.2当量のDMPAを加えることができる。幾つかの態様において、(4)中の各アリル基に、(5)中のチオール基1つが付加することができる。UV光(例えば、365nm)での処理によって、アリル基が架橋剤のチオール基と架橋して、架橋されたミクロ粒子(6)を生産することができる。スキーム2において使用される通り、d、e、およびfの値は、各々独立して、1以上1000以下の任意の整数であることができる。
【0071】
幾つかの態様において、架橋は、アミン基とカルボニルとの反応(例えば、還元的アミノ化)によって起こりうる。以下のスキーム3に示される通り、カルボニル基(例えば、アルデヒドまたはケトン、例えばメチルケトン)で官能化されたポリマー骨格をジアミンと反応させて、炭素-窒素結合を形成することができる。このような反応は、還元剤(例えば、シアノ水素化ホウ素ナトリウム)によって、場合により酸(例えば、酢酸)の存在下で容易にすることができる。
【0072】
スキーム3:カルボニルで官能化された骨格およびジアミン架橋剤を使用した一般架橋スキーム
【0073】
スキーム3は、架橋されたポリマー(9)を生産する、ジアミン(8)とアルデヒドおよびメチルケトンで官能化されているポリマー骨格(7)との間の還元的アミノ化を示す。当業者は、架橋還元的アミノ化を、例えば、アルデヒドだけ、またはケトン(例えば、フェニルケトン、エチルケトンなど)だけ、またはアルデヒドおよびケトンの両方の混合物を使用して実施することが可能であると理解するだろう。スキーム3に示される通り、変数d、e、およびfは、1以上1000以下の整数であることができる。
【0074】
幾つかの態様において、本開示のミクロ粒子を、官能化されたポリマー骨格から製造することができる。すなわち、以下に示される通り、ポリマー骨格を、例えば、オレフィン(例えば、アリル)、アルキニル(例えば、プロパルギル)、またはエポキシ基で官能化することができる。したがって、態様において、本開示の粒子は、その全体が、歴史的に官能化することが困難である可能性がある非官能化ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)から製造されることはない。しかしながら、幾つかの態様において、コポリマー骨格の部分(そのコポリマー骨格中に、他の官能化されたポリマーをも含むもの)に、非官能化PLGAを組み込むこともできる。
【0075】
本開示のポリマーの官能化は、当業者が粒子の特徴をカスタマイズできるようにする。例えば、以下に示される通り、架橋剤およびポリマーの比および種類の調整は、例えば、多孔度、薬物の装填および放出、ならびに分解の速度の変更を可能にすることができる。
【0076】
ポリエステル
様々な異なるポリエステル骨格を使用して、本開示の粒子を形成することができる。例えば、幾つかの態様において、ポリエステル骨格は、ポリカプロラクトン(PCL)から製造される。幾つかの態様において、ポリエステル骨格は、ポリバレロラクトン(PVL)から製造される。幾つかの態様において、PCLまたはPVLを、アリル基で官能化して、ポリアリルカプロラクトン(PACL)またはポリアリルバレロラクトン(PAVL)を生産することができる。幾つかの態様において、本開示のポリエステルは、2以上の異なるモノマーを含むコポリマーである。例えば、ポリエステルは、PVLおよびPAVL;PCLおよびPACL;PVLおよびPACL;またはPCLおよびPAVLを含むことができる。幾つかの態様において、本開示のポリエステルは、ポリ乳酸および/またはポリグリコール酸をさらに含むことができる。幾つかの態様において、ポリバレロラクトン、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、またはポリグリコール酸のいずれかを、官能基で官能化することができる。例えば、ポリバレロラクトン、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、またはポリグリコール酸のいずれかは、ポリマー骨格に沿って配置されたアリル基、プロパルギル基、またはカルボン酸(またはカルボン酸誘導体)をさらに含むことができる。官能基を使用して、ポリマー骨格を別のポリマー骨格と架橋させることができる。幾つかの態様において、本開示のコポリマーは、ブロックコポリマーまたはランダムコポリマーであることができる。
【0077】
例えば、一態様において、ポリエステル骨格は、ポリバレロラクトンおよびポリアリルバレロラクトンのコポリマー(PVL-co-PAVL):
を含むことができる。
mおよびnの値は、整数であり、かつ、各々独立して、約1~1,000であることができる。例えば、nが約48であり、mが約15であるとき、分子量は、約7,000g/molである。nが約128であり、mが約14であるとき、分子量は、約14,760g/molである。
【0078】
別の態様において、ポリエステル骨格は、安定剤(例えば、PEG安定剤)を含むことができる。例えば、ポリエステル骨格は、mPEG2k-b-PVL-co-PAVL:
を含むことができる。
m、nおよびqの値は、各々整数であり、かつ、各々独立して、約1~1,000であることができる。例えば、qが約50であり、nが約40であり、mが約9であるとき、ポリエステルの分子量は、約7,500g/molである。
【0079】
別の態様において、ポリエステル骨格は、ポリアリルラクチドを含むことができる。ポリアリルラクチドをアリルラクチドの重合から形成することができる。例えば、ポリエステル骨格は、ポリバレロラクトンおよびポリアリルラクチドのコポリマー(PVL-co-PAL):
を含むことができる。
【0080】
本開示のポリエステルを、様々な異なる好適なモノマーを使用して調製することができる。例えば、バレロラクトンを使用して、ポリバレロラクトンを調製することができ、アリルバレロラクトンを使用して、ポリアリルバレロラクトンを調製することができる。同様に、カプロラクトンを使用して、ポリカプロラクトンを調製することができ、アリルカプロラクトンを使用して、ポリアリルカプロラクトンを調製することができる。幾つかの態様において、乳酸、グリコール酸、アリルラクチド、およびその組み合わせをモノマーとして使用して、本明細書に開示のポリエステルを調製することができる。当業者は、所望のポリエステル骨格に到達するために、適切なモノマーをどのように選択すればよいかを容易に理解するだろう。
【0081】
本明細書に開示の態様のいずれかにおいて、本開示のポリエステルは、ポリエチレングリコール(PEG)をさらに含むことができる。幾つかの態様において、PEGは、ポリエステルの2つの異なる区分を接続することができる。すなわち、PEGを、ポリエステル骨格のエステル含有部分間に分散させることができる。あるいは、幾つかの態様において、PEGを、ポリマーの端部に結合させることができる(すなわち、PEGは、ポリマーの末端部分を構成することができる)。したがって、幾つかの態様において、PEGは、主に、ミクロ粒子の外側に見いだされる。
【0082】
幾つかの態様において、本開示の架橋されたポリマーは、その中に絡み合わされた追加のポリマーをさらに含むことができる。幾つかの態様において、本開示の組成物は、一緒に架橋されたPVLおよび/またはPAVLポリマー骨格を含むことができる。幾つかの態様において、本開示は、その中に絡み合わされたPCLと一緒に架橋されたPVLおよび/またはPAVLポリマー骨格を含む。幾つかの態様において、本開示は、PCL骨格上に重合されたPVLおよび/もしくはPAVL、または一緒に架橋されたPVLおよび/もしくはPAVL部分を含むことができる。幾つかの態様において、本開示は、一緒に架橋されたPVLおよび/またはPAVLとPEGポリマー骨格とを含むことができる。
【0083】
架橋剤
本開示は、架橋して本明細書に記載のミクロ粒子を形成するために使用することができる、多数の異なる架橋剤および架橋戦略を提供する。一態様において、架橋は、ラジカル開始剤(例えば、光開始剤)の存在下で起こりうる。幾つかの態様において、架橋反応は、ラジカルチオール-エン反応であることができる。例えば、実施例3および4に示される通り、光開始剤(すなわち、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン)を使用して、ヘキサンジチオール架橋剤をPAVL-PVLポリマー骨格上に存在するアリル官能基と架橋させることができる。当業者は、光開始剤を使用してラジカルを生成することができる(例えば、UV光の存在下で)ことを認識するだろう。幾つかの態様において、光開始剤は、ラジカルを生産するのに熱を必要としない。そのように生成されたラジカルは、ヘキサンジチオール上のチオールとPAVLのオレフィン官能性(例えば、アリル基の)との間でチオール-エン連鎖反応を開始して、ポリエステル骨格を架橋して粒子(例えば、ミクロ粒子またはナノ粒子)を生産することができる。当業者は、追加のラジカル開始剤を使用してチオール-エン反応などの架橋反応を開始することができると認識するだろう。例えば、他のラジカル開始剤は、非限定的に、熱開始剤や、塩素、臭素、およびヨウ素などのハロゲン、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)などのアゾ化合物、ならびに、過酸化ジ-tert-ブチルおよび過酸化ベンゾイルなどの有機過酸化物を含むことができる。
【0084】
幾つかの態様において、ラジカル開始剤は、薬物それ自体であることができる。例えば、架橋連鎖反応を開始するラジカルを形成することができる薬物を使用することは、同時に架橋粒子(例えば、ミクロ粒子)の生成を導くことができ、なおかつ、薬物が確実に粒子内に分散されるようにすることができる。幾つかの態様において、薬物は、本開示の粒子を形成するための、ポリマー骨格(例えば、ポリエステル骨格)の架橋のための開始剤であることができる。加えて、本開示のラジカル開始剤は、光開始剤である必要はない。幾つかの態様において、本明細書において使用されるラジカル開始剤は、ラジカルを、例えば、熱的に(例えば、加熱によって)生成することができる。UV曝露を使用してポリエステルを架橋するのに必要な時間は、例えば、約1~約60分であることができる。例えば、本開示のエマルジョンを、UV光に、約1、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、または約60分間曝露させることができる。
【0085】
加えて、アルキン基とアジド基との間の反応からのトリアゾールの形成を介して架橋が起こりうる。例えば、本開示のポリエステルを、アルキニル基(例えば、プロパルギル基)で官能化することができる。アルキニル基は、ジアジド(例えば、1,6-ヘキサンジアジド)の存在下で反応することができる。ポリエステル鎖上のアルキニル基は、架橋剤と反応してトリアゾールを形成することで(例えば、アジド-アルキンヒュスゲン環化付加を介して)、粒子(例えば、ミクロ粒子)を生成することができる。当業者は、この反応を触媒の存在下で実施することができると理解するだろう。例えば、環化付加反応を、銅(I)塩(例えば、臭化銅またはヨウ化銅)の存在下で実施することができる。幾つかの態様において、該反応を、インサイチューで銅(I)を生産するための銅(II)塩(例えば、硫酸銅(II))および還元剤(例えば、アスコルビン酸ナトリウム)の存在下で実施することができる。幾つかの態様において、環化付加反応は、触媒の非存在下で起こる。例えば、幾つかの態様において、環化付加反応は、混合物を加熱すると起こりうる。
【0086】
幾つかの態様において、アミド結合(-C(O)NR-)の形成を介して架橋が起こりうる。例えば、幾つかの態様において、架橋を、カルボン酸基(またはカルボン酸誘導体)で官能化されている本開示のポリエステルとジアミン(例えば、1,6 ヘキサンジアミン)との間でアミド形成することによって達成することができる。アミド形成は、ペプチドカップリング触媒、例えばN,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(「DCC」)、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(「HBTU」)、または1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム 3-オキシドヘキサフルオロホスファート(「HATU」)の存在下で起こりうる。幾つかの態様において、カルボン酸基およびジアミンが同じ相に溶解された後にアミドカップリング試薬を加えることができる。当業者は、ペプチドカップリング試薬の非存在下でアミド連結を形成することが可能であることをさらに認識するだろう。例えば、カルボン酸基の混合物を加熱することによってアミド結合を形成することができる(例えば、酸の存在下で)。あるいは、アミンとカルボン酸誘導体との間でアミド結合を形成することができる。例えば、エステルまたは架橋されていないアミドを架橋アミン基で処理することによって架橋アミド結合を形成することができる。
【0087】
幾つかの態様において、β-ヒドロキシアミンの形成を介して架橋が起こりうる。例えば、本明細書に記載の通りのポリエステル骨格に沿って配置されたエポキシド基とアミン部分との間で架橋が起こりうる。ジアミンがエポキシドと反応して(例えば、求核攻撃)、炭素-窒素結合を形成することができる。当業者は、反応条件(例えば、酸または塩基触媒の使用)によってβ-ヒドロキシアミン形成反応の位置化学を制御することができると理解するだろう。例えば、単置換されたエポキシドが末端位置で開環するかどうかを、塩基触媒を使用することによって左右することができる。したがって、以下のスキーム4に示される通り、当業者は、架橋粒子(12)に到達する、エポキシドで官能化された骨格(10)とジアミン(11)との間の反応において、アミン-エポキシ反応の複数の結果がありうると理解するだろう。
【0088】
スキーム4:アミンとエポキシ基との架橋反応の可能な位置化学
【0089】
幾つかの態様において、求核剤は、求核部位の有する原子が、追加の孤立電子対(求核原子のアルファ位にある原子のもの)を伴う分子であることができる(例えば、「アルファ効果」求核剤であることができる)。例えば、架橋剤の求核部分は、ヒドラジン、過酸化物、またはヒドロキシルアミンであることができる。
【0090】
幾つかの態様において、本開示の粒子(例えば、ミクロ粒子)を、テトラジンとtrans-シクロオクテンとの間の反応によって架橋することができる。例えば、以下のスキーム5に示される通り架橋が起こりうる。当業者は、テトラジン-trans-シクロオクテン反応によって様々な異なる位置化学が可能であると理解するだろう。
【0091】
スキーム5:trans-シクロオクテンとテトラジンとの間の例示的な架橋反応
【0092】
スキーム5に示される通り、trans-シクロオクテンで官能化された骨格(13)の処理は、ジテトラジン(14)と架橋させることができる。テトラジン基は、シクロオクテン基のtrans-オレフィンと反応することができる(例えば、ディールス・アルダー環化付加、続く、窒素ガスの脱離)。上記スキーム5に示される通り、テトラジン付加の位置化学は、変動することができる。また、位置化学的な架橋のフレキシビリティが式Vに示される。式Vは、架橋反応が特定の位置化学に限定されないことを示していることを、当業者は理解するだろう(例えば、trans-シクロオクテンを、示された位置と異なる位置でポリマー骨格に結合させることができる)。
【0093】
幾つかの態様において、本開示の粒子(例えば、ミクロ粒子)を、チオールとノルボルネンとの間の反応によって架橋することができる。例えば、以下のスキーム6に示される通り架橋が起こりうる。当業者は、チオール-ノルボルネン反応によって様々な異なる位置化学が可能であること、本開示が特定の位置化学に限定されないことを理解するだろう。
【0094】
スキーム6:ノルボルネンとチオール基との架橋反応の可能な位置化学
【0095】
スキーム6に示される通り、ノルボルナンで官能化された骨格(16)の処理は、紫外線の存在下でジチオール(17)と架橋して、架橋粒子(18)を形成することができる。幾つかの態様において、光開始剤を加えることができる。チオール基は、ノルボルニル基のオレフィンと反応して、硫黄-炭素結合を形成することができる(例えば、ラジカル付加によって)。上記スキーム6に示される通り、チオール付加の位置化学は、変動することができる。また、位置化学的な架橋のフレキシビリティが式VIに示される。式VIは、ノルボルニル基をポリマー骨格に接続することができ、かつ、ジチオールを介して様々な異なる架橋位置化学で架橋させることができることを示しており、本開示が特定の位置化学に限定されないことを、当業者は理解するだろう。
【0096】
当業者は、上記のスキームが、本発明を説明するものであって限定するものであると解釈されないことを理解するだろう。例えば、当業者は、本開示の精神から逸脱することなしに、上記の官能基のいずれか(例えば、ノルボルネン基、trans-シクロオクテン基、テトラジン基)を置換することができると容易に理解するだろう。例えば、上に示される官能基のいずれかは、例えば、メチル置換基を有することができる。
【0097】
当業者は、本明細書に開示の官能基および架橋剤の性質を交換して、本明細書に開示されるものと類似の結果に到達することが可能であると理解するだろう。すなわち、当業者は、例えば、ポリエステル骨格に沿って配置された官能基を用いてジオレフィン(例えば、1,5-ヘキサジエン)と架橋させ、類似の結果に到達することが可能であると理解するだろう。
【0098】
幾つかの態様において、架橋剤は、2つの官能基を有することができる(すなわち、架橋剤は、線状であることができ、かつ、各端部に官能基を有することができる)。このような二官能性架橋剤の例は、1,6-ヘキサンジチオールである。幾つかの態様において、架橋剤は、多官能性であることができる(例えば、3以上の官能基を有することができる)。例えば、四官能性架橋剤は、4,4-ビス(3-アミノプロピル)ヘプタン-1,7-ジアミンの構造:
を有することができる。
【0099】
当業者は、このような四官能性架橋剤を、例えば、エポキシで官能化されたポリマー骨格の存在下で使用することができると理解するだろう。加えて、当業者は、アミン官能性をチオール基に置き換えることで四官能性架橋剤がチオール-エン反応において可能になると理解するだろう。
【0100】
加えて、当業者は、他の化学反応(例えば、「クリック」反応などのロバストな化学反応)を使用して本明細書に記載の通りの架橋を形成することが可能であると理解するだろう。
【0101】
本明細書において使用される場合、本開示の架橋剤は、ポリマー(例えば、ポリエステル、ポリカーボネート骨格)を含むことができる。言い換えれば、架橋剤は、別のポリマーの官能基と反応することが可能な官能基が上に配置されたポリマーを含むことができる。例えば、その上に配置された複数のアリル基を含むポリエステル骨格を、その上に配置された複数の遊離チオール基を含むポリエステルポリマーによって架橋することができる。幾つかの態様において、架橋ポリマーは、複数のモノマー単位(例えば、100以上、200以上、300以上、または1000以上のモノマー単位)を含むことができる。幾つかの態様において、モノマー単位は、官能化されているまたは官能化されていないバレロラクトン単位であることができる。
【0102】
サイズ制御技術
本開示は、制御可能なサイズの粒子の調製を提供する。幾つかの態様において、該粒子は、ミクロ粒子またはナノ粒子であることができる。例えば、本明細書に記載の粒子は、約1~999μm(その間の全ての範囲および部分範囲を含む)(例えば、約5~約500μm;または約10μm;約20μm;約50μm;約100μm;もしくは約200μm)の直径を有することができる。
【0103】
サイズ最適化またはサイズ制御は、本明細書に記載の多数の異なる方法によって達成することができる。例えば、幾つかの態様において、本明細書に記載のポリマーおよび架橋剤を非水性(例えば、有機)溶媒に溶解することができる。ポリマーおよび架橋剤(および場合により、開始剤または触媒)の混合物を、水相(例えば、ポリビニルアルコール、PVA、またはPEGなどの乳化剤を場合により含む水)で乳化することができる。エマルジョンパラメーターを使用して、得られる粒子サイズを制御することができる。すなわち、幾つかの態様において、粒子前駆体(例えば、ポリマー、架橋剤および開始剤)を、エマルジョンの非水性溶媒の液滴内に溶解することができる。次いで、架橋反応が、粒子前駆体をエマルジョンの非水性溶媒に溶解しながら起こりうる。言い換えれば、エマルジョン(すなわち、非水相)は、均一に分散されたミクロ粒子を可能にする鋳型またはキャストとして作用することができる。幾つかの態様において、架橋は、エマルジョン(すなわち、非水相)内で起こりうる。例えば、特定の前駆体(例えば、ポリエステル骨格および架橋剤)がその中に溶解された非水性液滴を含むエマルジョンに照射することができる。幾つかの態様において、反応の成分の全ては、水に不溶性であり、それ故、エマルジョンの非水性液滴に溶解する。
【0104】
したがって、幾つかの態様において、ミクロ粒子のサイズは、非水性溶媒の液滴(例えば、ミクロ液滴)のサイズと相関する。したがって、幾つかの態様において、エマルジョンの撹拌またはアジテーションの速度を使用して、非水性液滴のサイズ、ひいては得られるミクロ粒子のサイズを制御することができる。幾つかの態様において、超音波処理(例えば、プローブチップまたはホーンによる)を使用して、非水性液滴のサイズ、ひいては得られるミクロ粒子のサイズを制御することができる。
【0105】
したがって、幾つかの態様において、ポリマー前駆体(例えば、PCL)を高濃度(例えば、50mg/mL超)で加えることができる。幾つかの態様において、エマルジョンプロセスの速度を、約10,000rpm~22,000rpmで調整することができる。例えば、エマルジョンプロセスの速度は、約10,000rpm、約11,000rpm、約12,000rpm、約13,000rpm、約14,000rpm、約15,000rpm、約16,000rpm、約17,000rpm、約18,000rpm、約19,000rpm、約20,000rpm、約21,000rpm、または約22,000rpmであることができる。幾つかの態様において、また、水相中の界面活性剤(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンまたはポリエチレングリコール)の百分率を使用して、液滴サイズ(ひいては得られる粒子のサイズ)を制御することができる。例えば、ポリビニルアルコールの量によって水相の粘性を制御することができる。幾つかの態様において、ポリビニルアルコールの百分率は、約5%(wt)~約20%(wt)であることができる。例えば、ポリビニルアルコールの百分率は、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、または約20%(重量)であることができる。同様に、幾つかの態様において、界面活性剤(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンまたはポリエチレングリコール)の分子量を使用して、液滴サイズ(ひいては得られる粒子のサイズ)を制御することができる。
【0106】
また、水性溶媒と非水性溶媒の比を使用して、粒子のサイズを制御することができる。例えば、幾つかの態様において、約1~100mLの水性溶媒が使用される(例えば、約1、約5、約10、または約15mLの水性溶媒)。幾つかの態様において、約1~約10mLの非水性溶媒が使用される(例えば、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9または約10mLの非水性溶媒が使用される)。幾つかの態様において、水性溶媒と非水性溶媒の比は、約1:1~約10:1である。
【0107】
非水相中で粒子を架橋した後、溶媒(例えば、非水性溶媒、水性溶媒、または両方)を除去することができる。幾つかの態様において、溶媒の除去は、エマルジョンをガス流(例えば、N2流)に曝露させる工程を含む。ガス流は、何時間か(例えば、約1時間、約3時間、約6時間、約12時間、または約24時間)続けることができる。
【0108】
別の態様において、本開示のミクロ粒子およびマクロ粒子をフォトリソグラフィによって制御することができる。実施例12に示される通り、均一なサイズおよび形状のペグを作製することによってテンプレートを形成し、該ペグは、同じく均一なサイズおよび形状であるウェルを作製するために使用した。ポリエステルおよび架橋剤をウェル内で溶解し、生成された均一サイズのミクロ粒子およびマクロ粒子に架橋させた。次いで、得られた粒子をウェルから取り出し、これを使用することができる。幾つかの態様において、成形溶液はまた、充填剤(例えば、可塑剤)を含有することができる。幾つかの態様において、充填剤を使用して、得られる粒子の多孔度を制御することができる。
【0109】
別の態様において、粒子(例えば、ミクロ粒子またはナノ粒子)のサイズを、対応するマクロ粒子のミリング加工によって制御することができる。例えば、幾つかの態様において、本開示の架橋反応を単一相(すなわち、エマルジョンではない)で実施して、巨視的な粒子(例えば、>10mgの質量の粒子)を作製することができる。次いで、得られたマクロ粒子をミリング加工(例えば、粉砕)して、複数のナノ粒子またはミクロ粒子を作製することができる。
【0110】
抗凝集技術
幾つかの態様において、本開示の粒子は、ポリエステル粒子骨格に結合されたPEGポリマーを含むことができる。幾つかの態様において、PEGポリマーを、これらが粒子の外側に配置されるように結合させることができる。例えば、PEGポリマーをポリエステル粒子骨格の末端部分で結合させることができる。
【0111】
幾つかの態様において、PEGポリマーの結合は、本開示の粒子の凝集を低減させる手助けをすることができる。幾つかの態様において、他のポリマー、例えばポリビニルピロリドンまたはプルロニックをPEGの代わりに使用して、凝集を防止する手助けをすることができる。また、PEGポリマーの結合は、粒子をより親水性にし、かつ、薬物装填を容易にする手助けをすることができる。例えば、本明細書に開示の方法に従ってPVL-co-PAVLミクロ粒子を調製した。理論に束縛されるものではないが、得られた粒子は、疎水性であり、いくらかの凝集を実証した。幾つかの態様において、得られた粒子は無孔質および疎水性であったので、粒子に薬物を装填するのは困難である可能性もある。
【0112】
幾つかの態様において、PEGポリマーの結合は、ヒドロキシ-PEG分子を重合反応用の開始剤として(例えば、ポリエステル形成用の開始剤として)使用することによって達成することができる。例えば、PEGデンドリマーまたは6アームヒドロキシ末端PEGなどのマルチアームPEGを重合開始剤として使用することができる。
【0113】
対照的に、mPEG-2K-PVL-co-PAVLを含む粒子(すなわち、PEGが粒子の外側に配置された粒子)の調製は、より大きい親水性、より少ない凝集、およびより容易な薬物装填を実証した。幾つかの態様において、少なくとも約2.5% PEGを使用して(例えば、共溶媒として)、薬物粒子の凝集を低減させることができる(例えば、少なくとも約2.5%、少なくとも約5%、または少なくとも約10%)。例えば、図18Aは、共溶媒としての25% PEGを含むTHF中で乾燥させた後の、1% tweenを含有する水に溶解されたクルクミンが装填された粒子を示す。また、図18Bは、共溶媒としての25% PEGを含むTHF中で乾燥させた後の、1% tweenを含有する水に溶解されたクルクミンが装填された粒子のクローズアップ写真を示す。理論に束縛されるものではないが、結果は、界面活性剤を含む水に溶解させることは、粒子のクランピングを低減させる手助けができることを示唆している。
【0114】
薬物装填および放出
幾つかの態様において、薬物を含有する溶媒(例えば、水、テトラヒドロフラン(THF)またはジメチルスルホキシド(DMSO))に粒子を浸漬することによって、薬物を本開示の粒子中に装填することができる。幾つかの態様において、薬物は、トリアムシノロン、トリアムシノロンヘキサセトニド、パクリタキセルを非限定的に含む低分子であることができる。他の薬物は、限定されないが、ビマトプロスト、トラボプロスト、ブリモニジン、カンプトテシン、タモキシフェン、ケルセチン、チオストレプトン、テモゾロミド、トラメチニブ、セリシクリブ、fN’LFN’YK、
、肝細胞成長因子(HGF)、および骨形成タンパク質2(BMP2)を含む。
【0115】
幾つかの態様において、本開示の粒子から放出される薬物は、疎水性であることができる。幾つかの態様において、このような疎水性薬物の粒子への装填およびその後の粒子からの放出は、このような疎水性薬物の投与(例えば、インビボ)を容易にすることができる。図13は、薬物:クルクミン(薬物の可視の代用物として)、パクリタキセル、トリアムシノロンアセトニド、およびトリアムシノロンヘキサセトニドについての、本開示のマクロ粒子の装填容量を与える。
【0116】
幾つかの態様において、粒子(例えば、10μmのミクロ粒子などのミクロ粒子)は、関連のある動物モデルにおいて持続放出(例えば、約3か月の薬物(例えば、トリアムシノロンヘキサセトニド)の持続放出)を提供することができる。
【0117】
図4は、本開示の粒子への薬物装填のための方法の概略図を示す。図4に示される通り、薬物を含有する有機溶媒に粒子を懸濁する。得られた混合物を撹拌し、薬物を粒子の多孔質領域に組み込むことができる。精製後、薬物を凍結乾燥して、使用まで保存することができる。
【0118】
幾つかの態様において、装填手順は、本開示の粒子に吸着される薬物の量に影響を与えうる。例えば、実施例7および8に示される通り、25mgの75:25(mPEG-PVL-PAVL:PVL-PAVL)粒子を、THF中2mg/mLのトリアムシノロンヘキサセトニドで一晩膨潤させた。しかしながら、理論に束縛されるものではないが、より多くの量の水の低速添加(slow addition)は、薬物を粒子に優先的に分配させることによって、トリアムシノロンヘキサセトニドのより多くの取り込みを容易にすることができる。実施例7および8に示される通り、水の低速添加は、67%の装填効率を可能にした。水の添加速度に加えて、本開示の粒子への薬物の装填に影響を与えることができる追加のパラメーターは、例えば、薬物が溶解される溶媒、粒子を薬物と共に浸漬する時間、および使用される水の量である。他のパラメーターは、溶媒のpHおよびイオン強度を含む。例えば、水の代わりにメタノールまたはエタノールなどのプロトン性有機溶媒を使用して、本開示の粒子への薬物の装填を容易にすることができる。
【0119】
理論に束縛されるものではないが、本開示の粒子を浸漬すること(例えば、THF中、薬物の存在下)は、粒子を膨潤させることができる。例えば、実施例5は、本開示の粒子が入れられる溶媒に依存して、そのサイズが変化することができる(例えば、膨潤することができる)ことを示す。図5は、水中に入れられたとき約79nmの平均直径を有したことを実証している、架橋されたmPEG-b-(PVL-coPAVL)ミクロ粒子のヒストグラムを示す。幾つかの態様において、同じ粒子は、図6に示される通り、ジメチルスルホキシド(DMSO)中に浸漬されたとき直径が約85nmに膨潤した。該粒子は、図7に示される通り、THF中に浸漬されたとき直径が約208nmに膨潤した。幾つかの態様において、粒子の体積の差は、5~20倍で変動することができる。例えば、THF中に浸漬された粒子は、水中に浸漬された粒子の約2倍の大きさ、約3倍の大きさ、約4倍の大きさ、約5倍の大きさ、約6倍の大きさ、約7倍の大きさ、約8倍の大きさ、約9倍の大きさ、約10倍の大きさ、約11倍の大きさ、約12倍の大きさ、約13倍の大きさ、約14倍の大きさ、約15倍の大きさ、約16倍の大きさ、約17倍の大きさ、約18倍の大きさ、約19倍の大きさ、または約20倍の大きさであることができる。比較のために、図8は、架橋されていないmPEG-b-PVL-co-PAVLミクロ粒子の水中に浸漬した後のヒストグラムを示す。
【0120】
加えて、図9は、THF中に懸濁されている粒子の膨潤を示す。図9Aは、ミクロ粒子の架橋後のヒストグラムおよび画像を示し、図9Bおよび図9Cは、それぞれ、ミクロ粒子のDMSO洗浄工程およびエタノール洗浄工程後のヒストグラムおよび画像を示す。図9Dは、THF中に浸漬された粒子の画像およびヒストグラムを示す。図9Dに示される通り、THFに浸漬された粒子は、水またはエタノールなどの他の溶媒中に浸漬された粒子よりも大きくあることができる。
【0121】
本開示の粒子からの薬物の放出は、粒子の架橋密度に依存することができる。例えば、高い架橋密度は、粒子のより遅い加水分解、ひいてはより遅い分解を導くことができるため、高い架橋密度は、より遅い薬物放出を導くことができる。
【0122】
本開示の粒子からの薬物の放出は、粒子の密度に依存することができる。例えば、幾つかの態様において、架橋剤の長さを増加させることは、粒子の密度を減少させることができ、かつ、所与の粒子からの薬物のより速い放出を可能にする。
【0123】
幾つかの態様において、本明細書に開示の粒子は、低い結晶度を呈する。理論に束縛されるものではないが、低い結晶度は、拡散媒介性放出にとって有利であることができる。図28および29は、本開示のミクロ粒子が高い架橋密度で低い結晶度を有することを示す。
【実施例
【0124】
本開示は、以下の実施例および合成例によってさらに説明されるが、これらは、本開示を範囲または精神において本明細書に記載の特定の手順に限定するものと解釈されるべきではない。該実施例が特定の態様を説明するために提供されること、ならびに、それによる本開示の範囲に対する制限が意図されないことが理解されるべきである。さらに、本開示の精神および/または添付の特許請求の範囲から逸脱することなくそれ自体当業者に示唆され得る、その種々の他の態様、改変、および等価物に頼ってよいことが理解されるべきである。
【0125】
HPLC法
他の指示のない限り、HPLC法を使用して薬剤の定量を実施した。本明細書において使用される薬物(例えば、トリアムシノロン、トリアムシノロンヘキサセトニド、トリアムシノロンアセトニド、パクリタキセル、およびクルクミン)の較正曲線を、既知濃度の薬物を注入して各濃度における曲線下面積を測定することによって作成した。12.5×4.6mmのガードカラムを備えたAgilent Zorbax Eclipse XDB-C18カラム(内径150×4.6mm)を使用して分析を実施した。各薬物のパラメーターを以下の表1に与える。
【0126】
(表1)薬物濃度の較正パラメーター
【0127】
実施例1 PVL-co-PAVLコポリマーの調製
ベンジルアルコール(60μl)、バレロラクトン(8mL)およびアリルバレロラクトン(2mL)をトルエン(20mL)に溶解し、トリアザビシクロデセン(触媒)を2% mol:モノマーで加え、室温で4時間撹拌した。図10は、17200g/molの分子量を有するPVL-co-PAVLポリマー(すなわち、約128単位のバレロラクトンおよび約14単位のアリルバレロラクトン)の1HNMRスペクトルを示す。ポリマーの数平均分子量は約12,200g/molであり、ピーク分子量は約14100g/molであった。多分散指数は約1.41であった。融解温度は約35℃であった。回収温度は約11℃であった。図10Bは、PVL-co-PAVLナノ粒子のゲル浸透クロマトグラフィープロットを示す。
【0128】
混合物をゲル浸透クロマトグラフィーに供した。重量平均分子量は、約17,200g/molであった。
【0129】
実施例2 ポリバレロラクトン/ポリアリル乳酸(PVL-co-PAL)の調製
アリルラクチドは、Markland等による米国特許第8,758,828号に開示されている方法に従って調製される。ベンジルアルコール、バレロラクトンおよびアリルラクチドをトリアザビシクロデセンに溶解し、室温で4時間撹拌する。得られたポリマーを単離し、ミクロ粒子の架橋に使用する。
【0130】
実施例3 ポリカプロラクトンおよびポリアリルバレロラクトンを含む架橋されたミクロ粒子の調製
ポリカプロラクトンホモポリマー(PCL;50mg;50kDa;1mmol)、ポリバレロラクトン(PVL;50mg)およびポリアリルバレロラクトン(PAVL;50mg(6700g/mol;19%アリルバレロラクトンおよび81%バレロラクトン))ならびにヘキサンジチオール(1アルケン当たり1つの-SH基)をジクロロメタン1mLに溶解した。2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(DMPA;3.4mg;1アルケン当たり0.2当量)を加え、溶液を、5%ポリビニルアルコールを含有する水20mLに滴下した。混合物を、5分間撹拌して(すなわち、Polytron(登録商標)メカニカルホモジナイザーにて22,000rpmで)ホモジナイズした。ホモジナイズした混合物に365nm - 4mWを撹拌下で30分間照射した。
【0131】
混合物を3時間撹拌して、ジクロロメタンを蒸発させた。次いで、混合物を4000rpmにて10℃で10分間遠心分離した。ポリビニルアルコールを含有する水溶液を流し出し、粒子を蒸留水ですすいだ。次いで、粒子を更に3回上記の通り遠心分離して水ですすいだ。
【0132】
次いで、粒子をDMSO中に分散し、4000rpmにて20℃で10分間遠心分離した。DMSOを流し出し、プロセスをさらに2回繰り返した。得られた架橋粒子は膨潤して半透明であり、これはDMSOに溶解しなかった。
【0133】
図1Aは、上記方法によって生産されたPCL-co-PAVLコポリマーの約1500μmスケールの写真を示す。図1B、1C、および1Dは、それぞれ、上記方法によって生産されたPCL-co-PAVL/PVLコポリマーの400μm、600μm、および20μmスケールの写真を示す。粒子は、0.01%~20%のポリアリルバレロラクトン(PAVL)を含み、残りはポリカプロラクトン(PCL)およびポリバレロラクトン(PVL)を含んでいた。
【0134】
比較例3 ポリカプロラクトンおよびポリアリルバレロラクトンを含む架橋されていないミクロ粒子の調製の試み
ポリカプロラクトンホモポリマー(PCL;50mg;50kDa;1mmol)およびポリアリルバレロラクトン(PVL-co-PAVL;50mg)をジクロロメタン1mLに溶解した。溶液を、5%ポリビニルアルコールを含有する水20mLに滴下した。混合物を、5分間撹拌して(すなわち、Polytron(登録商標)メカニカルホモジナイザーにて22,000rpmで)ホモジナイズした。ホモジナイズした混合物に365nm - 4mWを撹拌下で30分間照射した。架橋剤もDMPAも加えなかった。
【0135】
混合物を3時間撹拌して、ジクロロメタンを蒸発させた。次いで、混合物を4000rpmにて10℃で10分間遠心分離した。ポリビニルアルコールを含有する水溶液を流し出し、粒子を蒸留水ですすいだ。次いで、粒子を更に3回上記の通り遠心分離して水ですすいだ。
【0136】
次いで、混合物をDMSO中に分散し、4000rpmにて20℃で10分間遠心分離した。DMSOを流し出し、プロセスをさらに2回繰り返した。粒子が形成されたが、粒子前駆体はDMSOに溶解し回収されなかった。この例を対照実験として実施し、結果は、本開示のミクロ粒子を生産するために架橋が必要であることを実証している。
【0137】
実施例4 ポリアリルバレロラクトンを含む架橋されたミクロ粒子の調製
ポリアリルバレロラクトン(PAVL;100mg(6700g/mol;19%アリルバレロラクトンおよび81%バレロラクトン))およびヘキサンジチオール(1アルケン当たり1つの-SH基)をジクロロメタン1mLに溶解した。2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(DMPA;1アルケン当たり0.2当量)を加え、溶液を、5%ポリビニルアルコールを含有する水20mLに滴下した。混合物を、5分間撹拌して(すなわち、Polytron(登録商標)メカニカルホモジナイザーにて22,000rpmで)ホモジナイズした。ホモジナイズした混合物に365nm - 4mWを撹拌下で30分間照射した。
【0138】
混合物を3時間撹拌して、ジクロロメタンを蒸発させた。次いで、混合物を4000rpmにて10℃で10分間遠心分離した。ポリビニルアルコールを含有する水溶液を流し出し、粒子を蒸留水ですすいだ。次いで、粒子を更に3回上記の通り遠心分離して水ですすいだ。
【0139】
次いで、粒子をDMSO中に分散し、4000rpmにて20℃で10分間遠心分離した。DMSOを流し出し、プロセスをさらに2回繰り返した。得られた架橋粒子は膨潤して半透明であり、これはDMSOに溶解しなかった。
【0140】
図2Aは、上記方法によって生産されたPVL-co-PAVLコポリマーの約1500μmスケールの写真を示す。図2B、2C、および2Dは、それぞれ、上記方法によって生産されたPVL-co-PAVLコポリマーの400μm、600μm、および20μmスケールの写真を示す。
【0141】
比較例4 ポリアリルバレロラクトンを含む架橋されていないミクロ粒子の調製の試み
ポリアリルバレロラクトン(PAVL;100mg)をジクロロメタン1mLに溶解した。溶液を、5%ポリビニルアルコールを含有する水20mLに滴下した。混合物を、5分間撹拌して(すなわち、Polytron(登録商標)メカニカルホモジナイザーにて22,000rpmで)ホモジナイズした。DMPAも架橋剤も加えなかった。ホモジナイズした混合物に365nm - 4mWを撹拌下で30分間照射した。
【0142】
混合物を3時間撹拌して、ジクロロメタンを蒸発させた。次いで、混合物を4000rpmにて10℃で10分間遠心分離した。ポリビニルアルコールを含有する水溶液を流し出し、粒子を蒸留水ですすいだ。次いで、粒子を更に3回上記の通り遠心分離して水ですすいだ。
【0143】
次いで、混合物をDMSO中に分散し、4000rpmにて20℃で10分間遠心分離した。DMSOを流し出し、プロセスをさらに2回繰り返した。粒子が形成されたが、粒子前駆体はDMSOに溶解し回収されなかった。この例を対照実験として実施し、結果は、本開示のミクロ粒子を生産するために架橋が必要であることを実証している。
【0144】
実施例5 ポリバレロラクトン、ポリアリルバレロラクトン、およびPEGを含む架橋されたミクロ粒子の調製
mPEG-PVL-PAVL 50mg(6.0×10-5molアリル)、DMPA 5mg(0.25当量/アリル)および1,6-ヘキサンジチオール 4.4μL(0.5当量/アリル)をTHF 3mLに溶解した。THF中のポリマー溶液を、撹拌しながら、20mLのガラスバイアル中の脱イオン水10mLに滴下した。溶媒を約18時間蒸発させ、次いで、溶液にUV光(365nm)を5分間照射した。得られたミクロ粒子を、動的光散乱法(DLS)を介して特性決定した。
【0145】
図5は、架橋粒子の水中のDLSプロットを示す。示される通り、粒子は、直径約100nmである。以下の表2は、DLS分析の結果を示す。
【0146】
(表2)架橋されたmPEG-b-(PVL-coPAVL)ミクロ粒子の水中のDLS分析
【0147】
図6は、架橋粒子のDMSO中のDLSプロットを示す。示される通り、粒子は、直径約100nmである。以下の表3は、DLS分析の結果を示す。
【0148】
(表3)架橋されたmPEG-b-(PVL-coPAVL)ミクロ粒子のDMSO中のDLS分析
【0149】
図7は、架橋粒子のTHF中のDLSプロットを示す。示される通り、粒子は、直径約100nm~1000nmである。以下の表4は、DLS分析の結果を示す。
【0150】
(表4)架橋されたmPEG-b-(PVL-coPAVL)ミクロ粒子のTHF中のDLS分析
【0151】
図11Aは、この方法によって生産されたmPEG-b-PAVL-co-PVLマクロ粒子(80:20)の約1mmの分解能での顕微鏡画像を示す。
【0152】
図11Bは、この方法によって生産されたmPEG-b-PAVL-co-PVLマクロ粒子(80:20)の約200μmの分解能での顕微鏡画像を示す。
【0153】
図11Cは、この方法によって生産されたmPEG-b-PAVL-co-PVLマクロ粒子(80:20)の約10μmの分解能での第一の顕微鏡画像を示す。
【0154】
図11Dは、この方法によって生産されたmPEG-b-PAVL-co-PVLマクロ粒子(80:20)の約10μmの分解能での第二の顕微鏡画像を示す。
【0155】
実施例6 ポリバレロラクトン、ポリアリルバレロラクトン、およびPEGを含む架橋されていないナノ粒子の調製
mPEG-PVL-PAVL 50mg(6.0×10-5molアリル)および1,6-ヘキサンジチオール 4.4μL(0.5当量/アリル)をTHF 3mLに溶解した。THF中のポリマー溶液を、撹拌しながら、20mLのガラスバイアル中の脱イオン水10mLに滴下した。対照の評価基準として、光開始剤を加えずに、エマルジョンにUV光(365nm)を5分間照射した。溶媒を約18時間蒸発させ、得られたミセルを、動的光散乱法を介して特性決定した。
【0156】
図8は、上記方法の通り生産された架橋されていないミクロ粒子の水中のDLS画像を示し、図12は、架橋されていない粒子の水中のDLSプロットを示す。示される通り、粒子は、直径約100nmである。以下の表5は、DLS分析の結果を示す。理論に束縛されるものではないが、粒子は架橋されなかったので、これらは有機溶媒に再溶解した。
【0157】
(表5)架橋されていないmPEG-b-(PVL-coPAVL)ミクロ粒子の水中のDLS分析
【0158】
実施例7 トリアムシノロンヘキサセトニドのミクロ粒子への装填
75:25(mPEG-PVL-PAVL:PVL-PAVL)粒子25mgを、THF中2mg/mLのトリアムシノロンヘキサセトニドで一晩膨潤させた。次いで、0.1% tweenを含む水10mLを滴下した。得られた混合物を遠心分離し、上清を収集し、0.1% tweenを含む水10mLを再度滴下した(2×;合計30mL)。
【0159】
最初の遠心分離後、粒子が0.1% tweenを含有する水10mLに容易に再懸濁されなかったことが観察された。理論に束縛されるものではないが、これは、トリアムシノロンヘキサセトニドが粒子の表面に結晶化したことが原因であり得る。理論に束縛されるものではないが、これは、比較的速い水の添加およびトリアムシノロンヘキサセトニドの限定された溶解度が原因であり得、これがトリアムシノロンヘキサセトニドを結晶化させた。また、理論に束縛されるものではないが、放出プロファイルは、粒子からの比較的急速な放出を示したが、これは、表面に結晶化した薬物が溶液に再溶解した結果である可能性が高い。
【0160】
実施例8 水の低速添加によるトリアムシノロンヘキサセトニドの粒子への装填
マクロ粒子15mgを、薬物15mgを含有するTHF 0.5mL中に入れた。2時間の膨潤の後、シリンダーを新鮮なTHFで洗浄し、室温で24時間乾燥させた。
【0161】
ミクロ粒子40mgを、薬物10mgを含有するテトラヒドロフラン0.5mL中で膨潤させた。水の低速添加を、幾つかの態様において、ミクロ粒子への添加に使用した。
【0162】
表面に結合した薬物または溶液中の遊離薬物を含めた装填効率は67%であった。粒子を溶解媒体に懸濁することによって、トリアムシノロンヘキサセトニドの20%が1時間以内に放出され、30%が2時間以内に放出された。
【0163】
理論に束縛されるものではないが、より多くの量の水の非常に低速な添加は、トリアムシノロンヘキサセトニドをマクロ粒子に優先的に分配する機会を与えることができる。したがって、図13は、クルクミン(CCM)、トリアムシノロンヘキサセトニド(TAH)、トリアムシノロンアセトニド(TAA)、およびパクリタキセル(PTX)での、本開示のマクロ粒子15mgの装填容量を示す。
【0164】
図14は、クルクミン(CCM)、トリアムシノロンヘキサセトニド(TAH)、トリアムシノロンアセトニド(TAA)、およびパクリタキセル(PTX)が装填されたマクロ粒子、ならびに薬物なしのマクロ粒子の示差走査熱量測定プロットを示す。図15は、クルクミン(CCM)、トリアムシノロンヘキサセトニド(TAH)、トリアムシノロンアセトニド(TAA)、およびパクリタキセル(PTX)が装填されたミクロ粒子、ならびに薬物なしのミクロ粒子のFTIRスペクトルを示す。
【0165】
実施例9 ミクロ粒子フレークの形成
THFに一晩浸漬し、続いて0.1% Tweenを含有するPBS 50mLを低速添加することによって、架橋されたミクロ粒子(15mg)にクルクミン2.5mgを装填した。ミクロ粒子をTHFですすいで遊離クルクミンを除去し、一晩乾燥させた。
【0166】
そのように生産されたミクロ粒子が、乾燥後THFにもPBS緩衝液にも再懸濁できなかった「フレーク」を形成したことが観察された。一晩乾燥させた後のフレークの顕微鏡画像を図16に示し、図17は、微視的フレークからのクルクミンの放出プロファイルを示す。フレークは、PBS緩衝液に再懸濁できなかった。
【0167】
上記の方法によって生産されたミクロ粒子フレークのクルクミンの放出プロファイル。放出プロファイルは、以下の表6にさらに数値化される。
【0168】
(表6)ミクロ粒子フレークの放出プロファイル
【0169】
上記表6に示される通り、クルクミンの51%が48時間後に放出され、57%がフレークの放出後抽出で回収された。
【0170】
ミクロ粒子フレークを再懸濁する問題に取り組むために、共溶媒としての25% PEG400で粒子を乾燥させた。PEG中で乾燥させた粒子(クルクミンが装填されている粒子を含む)は、TweenまたはTHFを含む水に再懸濁できた。図18Aおよび18Bは、共溶媒としての25% PEG400で乾燥させた後の本発明のミクロ粒子の顕微鏡画像を示す。図19Aは、共溶媒としての2.5% PEG400で乾燥させた後の水中のミクロ粒子フレークの顕微鏡画像を示す。図19Bは、共溶媒としての2.5% PEG400で乾燥させた後のTHF中のミクロ粒子フレークの顕微鏡画像を示す。図19Cは、共溶媒としての5% PEG400で乾燥させた後の水中のミクロ粒子フレークの顕微鏡画像を示す。図19Dは、共溶媒としての5% PEG400で乾燥させた後のTHF中のミクロ粒子フレークの顕微鏡画像を示す。図18および19は、わずか2.5%のPEG400でミクロ粒子フレークを再懸濁することが可能であったことを実証している。
【0171】
図9Aは、25% PVL-co-PAVLミクロ粒子の架橋後のヒストグラムおよび光学顕微鏡画像を示す。平均直径は、6.8μm±2.5nmであった。図9Bは、同じミクロ粒子のDMSO洗浄工程後のヒストグラムおよびOM画像を示し(平均直径6.4μm±1.8nm)、図9Cは、粒子のエタノール洗浄工程後のヒストグラムおよびOM画像を示す(平均直径8μm±2.5nm)。図9Dは、粒子のTHF中での膨潤後のヒストグラムおよびOM画像を示し、その後の平均直径は、11.1μm±4.5nmであった。結果は、幾つかの態様において、粒子をTHFに懸濁することが粒子を膨潤させることを示す。
【0172】
実施例10 薬物の水溶解度
トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド、およびパクリタキセルを、共溶媒として様々な濃度の界面活性剤を含む水に溶解した。ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)は、臨界ミセル濃度(CDC)が8.2mMである、陰イオン性界面活性剤である。疎水性親油性バランス(HLB)は40である。Tween80は、臨界ミセル濃度(CMC)が0.012mMで疎水性親油性バランス(HLB)が15である、非イオン性界面活性剤である。
【0173】
図20は、特定の薬物が、疎水性であることができ、かつ、水中に溶解するために界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウムおよびTween80)の添加を必要とすることができることを示す。図20Aは、トリアムシノロンアセトニドの界面活性剤Tween80およびSDSの存在下での水溶解度プロットを示す。図20Bは、トリアムシノロンヘキサセトニドの界面活性剤Tween80およびSDSの存在下での水溶解度プロットを示す。図20Cは、パクリタキセルの界面活性剤Tween80およびSDSの存在下での水溶解度プロットを示す。
【0174】
実施例11 架橋されたマクロ粒子からの予備薬物放出
THF中に一晩浸漬して、続いて、0.1% Tweenを含有するPBS 50mLの低速添加によって、PVL-co-PAVL(MW=14760g/mol、13% AVL、87% VL)を含む重量約15mgの架橋されたマクロ粒子にパクリタキセル2.5mgを装填した。
【0175】
マクロ粒子をPBS(0.1% Tween)に懸濁し、放出速度を観察した。マクロ粒子は、室温で3時間後にパクリタキセルの5%、室温で24時間後に約5%を放出した。装填容量は1.7% w/wであることが判明し、装填効率は30%であった。
【0176】
第二のシリンダーにクルクミンを装填し、THFに溶解した。シリンダー中の薬物の量は、1.176mg(装填容量9.64%)であった。放出プロファイルを図21に示す。図21は、クルクミンのほとんど全てが約8日後に放出されることを示す。理論に束縛されるものではないが、機械的撹拌(例えば、スターラーバーを用いた撹拌)が本開示の粒子の放出パラメーターに影響を及ぼし、より速い放出を引き起こすことができることが示される。
【0177】
図22は、13mgおよび12mgのマクロ粒子からの20日間のクルクミン放出プロファイルを示す。
【0178】
2つのシリンダーにトリアムシノロンヘキサセトニドを装填し、THFに溶解した。第一のシリンダー(丸でラベルした)中の薬物の量は1.118mg(装填容量9.12%)であり、第二のシリンダー(「X」でラベルした)中の薬物の量は0.901(装填容量11.651%)であった。両シリンダーの放出プロファイルを図23に示す。図23は、両シリンダーについての放出プロファイルが非常によく似ていること、および薬物全体の約60%が約6日後に放出されることを示す。
【0179】
図24は、13.3mgおよび9.2mgのマクロ粒子からの20日間のトリアムシノロンヘキサセトニド放出プロファイルを示す。
【0180】
図25は、クルクミン、トリアムシノロンヘキサセトニド(TAH)、トリアムシノロンアセトニド(TAA)、およびパクリタキセル(PTX)の放出プロファイルの比較を示す。
【0181】
実施例12 ミクロ粒子のフォトリソグラフィ
ミクロ粒子を、分解性ゼラチンテンプレートの反形として役立つ10μmの円筒状ペグを備えたシリコンマスターテンプレートで作製した(すなわち、ペグは、ウェルのサイズを制御することができる)。ゼラチンテンプレート上のウェルに、ポリマー溶液を充填し、架橋し、収集した。得られた粒子は、均一なサイズ分布を有していた。図26は、フォトリソグラフィテンプレートの例示的な顕微鏡写真を示す(G. Acharyo; Journal of Controlled Release 141; 2010; pp. 314-319)。
【0182】
実施例13 フォトリソグラフィのためのゼラチンヒドロゲルテンプレート法
工程1-テンプレートの調製
暖かい30%(w/v)ゼラチン溶液5mLを、ペグが固定されたシリコンテンプレート上に注いだ。溶液およびテンプレートを冷蔵庫で5分間冷却した。テンプレートをゼラチン鋳型から剥がして、個別ウェルを備えたゼラチン鋳型を生産した。
【0183】
工程2-ミクロ粒子の調製
ジクロロメタン中20%PAVL-PVL 100μLを、1,6-ヘキサンジチオールおよび20%DPMA(1アリル基当たり)と共にテンプレート上に広げた。テンプレートおよびポリマー混合物をガラススライドで被覆し、氷上でUV光(365nm)を10分間照射した。ガラススライドを取り除き、溶媒を蒸発させた。テンプレートを水に溶解し、遠心分離によってミクロ粒子を収集した。
【0184】
図27Aは、顕微鏡下でのペグを備えたゼラチンテンプレートを示す。図27Bおよび27Cは、上記方法によって調製されたミクロ粒子の顕微鏡画像を示す。
【0185】
実施例14 ミクロ粒子の安定性および特性決定
本開示の粒子を、示差走査熱量測定(DSC)を使用して評価した。粒子は、PVL-co-PAVL(MW=6700g/mol、19% AVL、81% VL)を含んでいた。図28は、異なる架橋度を有するミクロ粒子のDSCプロットを示す。DSCプロットは、4日間凍結乾燥させた粒子の融解エンタルピー(Δ°Hm)を測定した。図28Aは、架橋なしの対照ミクロ粒子のDSCプロットを示し、かつ、比較的高い結晶度を示す。図28Bは、50%架橋を有するミクロ粒子のDSCプロットを示す。DSCプロットは、比較的低い結晶度を示す。図28Cは、100%架橋を有するミクロ粒子のDSCプロットを示す。DSCプロットは、50%架橋粒子よりもさらに低い結晶度を示す。
【0186】
同様に、図29は、異なる架橋度を有するミクロ粒子のDSCプロットを示す。DSCプロットは、4日間凍結乾燥させた粒子の融解エンタルピー(Δ°Hm)を測定した。図29Aは、架橋なしの対照ミクロ粒子のDSCプロットを示す(すなわち、ポリマー骨格だけが分析される)。図29Bは、50%架橋を有するミクロ粒子のDSCプロットを示す。DSCプロットは、低い結晶度を示す。図29Cは、100%架橋のDSCプロットを示す。DSCプロットは、低い結晶度を示す。理論に束縛されるものではないが、薬物の低い結晶度は、拡散媒介性放出を容易にする手助けをすることができる。
【0187】
中央トレースは、微量の10% PAVLミクロ粒子を示す。数平均分子量(Mn)は12,000であり、重量平均分子量(Mw)は17,500であった。多分散指数(PDI)は1.45であった。粒子は半結晶であることが判明し、融解温度は約25~35℃であることが判明した。
【0188】
上部トレースは、微量の8% PAVLミクロ粒子を示す。数平均分子量(Mn)は32,700であり、重量平均分子量(Mw)は50,000であった。多分散指数(PDI)は1.55であった。粒子は非結晶質のゴム状物であることが判明した。
【0189】
実施例15 マウスにおける腫瘍に対する粒子の有効性
ヌードマウスの後肢にGL261グリオーマ細胞を移植し、蛍光標識されたGIRLRGペプチドおよび毎日の3Gyでの照射で3日間処置した。マウスを、タキソール(全身投与)、タキソールが装填された対照のペプチド粒子、タキソールが装填された標的ミクロ粒子、および裸の粒子で同様に処置した。
【0190】
実施例16 テトラジン-trans-シクロオクテンでの架橋による粒子の調製
ポリバレロラクトン(PVL;50mg)およびポリ(trans-シクロオクテン)バレロラクトン(PtCOVL;50mg(6700g/mol;19%(trans-シクロオクテン)バレロラクトンおよび81%バレロラクトン))ならびにヘキサンジ-テトラジン(1つのtrans-シクロオクテン当たり1つのテトラジン基)をジクロロメタン1mLに溶解する。溶液を、5%ポリビニルアルコールを含有する水20mLに滴下する。混合物を、5分間撹拌して(すなわち、Polytron(登録商標)メカニカルホモジナイザーにて22,000rpmで)ホモジナイズする。ホモジナイズした混合物を追加で約12~48時間撹拌する。
【0191】
次いで、混合物を4000rpmにて10℃で10分間遠心分離する。ポリビニルアルコールを含有する水溶液を流し出し、粒子を蒸留水ですすぐ。次いで、粒子を更に3回上記の通り遠心分離して水ですすぐ。
【0192】
実施例17 電子噴霧によるミクロ粒子の形成
ポリアリルバレロラクトン(PAVL;100mg(6700g/mol;19%アリルバレロラクトンおよび81%バレロラクトン))およびヘキサンジチオール(1アルケン当たり1つの-SH基)をジクロロメタン1mLに溶解する。2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(DMPA;1アルケン当たり0.2当量)を加え、溶液を、電子噴霧器を使用して5%ポリビニルアルコールを含有する水浴20mL上に噴霧する。電子噴霧した液滴およびホモジナイズした混合物に365nm - 4mWを撹拌下で30分間照射する。
【0193】
混合物を3時間撹拌して、ジクロロメタンを蒸発させる。次いで、混合物を、4000rpmにて10℃で10分間遠心分離する。ポリビニルアルコールを含有する水溶液を流し出し、粒子を蒸留水ですすぐ。次いで、粒子を更に3回上記の通り遠心分離して水ですすぐ。
【0194】
次いで、粒子をDMSOに分散し、4000rpmにて20℃で10分間遠心分離する。DMSOを流し出し、プロセスをさらに2回繰り返す。
【0195】
実施例18 噴霧乾燥によるミクロ粒子の形成
ポリアリルバレロラクトン(PAVL;100mg(6700g/mol;19%アリルバレロラクトンおよび81%バレロラクトン))およびヘキサンジチオール(1アルケン当たり1つの-SH基)をジクロロメタン1mLに溶解する。2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(DMPA;1アルケン当たり0.2当量)を加え、溶液を、噴霧乾燥器を使用して5%ポリビニルアルコールを含有する水浴20mL上に噴霧する。噴霧乾燥した液滴およびホモジナイズした混合物に365nm - 4mWを撹拌下で30分間照射する。
【0196】
混合物を3時間撹拌して、ジクロロメタンを蒸発させる。次いで、混合物を、4000rpmにて10℃で10分間遠心分離する。ポリビニルアルコールを含有する水溶液を流し出し、粒子を蒸留水ですすぐ。次いで、粒子を更に3回上記の通り遠心分離して水ですすぐ。
【0197】
次いで、粒子をDMSOに分散し、4000rpmにて20℃で10分間遠心分離する。DMSOを流し出し、プロセスをさらに2回繰り返す。
【0198】
等価物
本発明は、上に示される特定の態様と併せて記載されているが、その多くの変更、改変および他の変形が当業者に明らかであろう。全てのこのような変更、改変および変形は、本発明の精神および範囲の範囲内にあることが意図される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図11D
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図19A
図19B
図19C
図19D
図20A
図20B
図20C
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27A
図27B
図27C
図28A
図28B
図28C
図29A
図29B
図29C