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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】電池セル、および電気機器
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/581 20210101AFI20240610BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20240610BHJP
   H01M 50/627 20210101ALI20240610BHJP
   H01M 50/593 20210101ALI20240610BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20240610BHJP
   H01M 50/284 20210101ALI20240610BHJP
   H01M 50/202 20210101ALI20240610BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALI20240610BHJP
   H01M 50/103 20210101ALI20240610BHJP
   H01M 50/15 20210101ALI20240610BHJP
【FI】
H01M50/581
H01M50/55 101
H01M50/627
H01M50/593
H01M50/588
H01M50/284
H01M50/202 401H
H01M10/6554
H01M50/103
H01M50/15
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022146535
(22)【出願日】2022-09-14
(65)【公開番号】P2023043866
(43)【公開日】2023-03-29
【審査請求日】2022-09-14
(31)【優先権主張番号】202111087712.8
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513054978
【氏名又は名称】寧徳新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Ningde Amperex Technology Limited
【住所又は居所原語表記】No.1 Xingang Road, Zhangwan Town, Jiaocheng District, Ningde City, Fujian Province, 352100, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】黎 勝
【審査官】山下 裕久
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-505665(JP,A)
【文献】国際公開第2021/176919(WO,A1)
【文献】特開2000-311667(JP,A)
【文献】国際公開第2019/187939(WO,A1)
【文献】特開2015-011848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-598
H01M 50/20-298
H01M 50/627
H01M 10/6554
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース、電極組立体、正極柱および負極柱を備える電池セルであって、
前記ケースは、前記電極組立体が収容される収容室を備え、
前記正極柱および前記負極柱の一端は、それぞれ、前記電極組立体に電気的に接続され、
前記正極柱および前記負極柱は、それぞれ、前記ケースの外端面に突出して設けられており、
前記外端面は、前記収容室内に向けて凹部が凹んで形成されており、前記凹部は、前記正極柱と前記負極柱との間に設けられており、
前記凹部に設けられ、一端が前記正極柱と電気的に接続され、他端が外部機器や外部回路と電気的に接続される保護体をさらに備え、
前記凹部には、前記収容室内に電解液を注入するための注液ポートが設けられていることを特徴とする電池セル。
【請求項2】
前記凹部の底部に設けられ、前記保護体と前記凹部の底部との間に設けられた伝熱材をさらに備える請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
両端が前記保護体及び前記正極柱にそれぞれ電気的に接続される第1コネクタと、第1端が前記保護体に接続され、第2端が前記外部機器又は前記外部回路と電気的に接続する第2コネクタと、をさらに備える請求項1に記載の電池セル。
【請求項4】
前記第1コネクタと前記ケースとの外端面との間に設けられ、前記第1コネクタと前記ケースとを絶縁する第1絶縁材をさらに備える請求項に記載の電池セル。
【請求項5】
前記第2コネクタと前記凹部に位置する前記外端面との間に設けられ、前記第2コネクタと前記ケースとを絶縁する第2絶縁材をさらに備える請求項に記載の電池セル。
【請求項6】
前記電池セルは、前記凹部内の前記外端面と前記保護体との間に充填され、前記保護体を前記凹部内に固定するための固定具をさらに備え、
前記第1コネクタ及び前記第2コネクタはそれぞれ前記固定具から延出することを特徴とする請求項に記載の電池セル。
【請求項7】
前記固定具は、さらに、前記凹部の底部と背向する前記保護体の外面を完全に覆うことを特徴とする請求項に記載の電池セル。
【請求項8】
前記固定具は、流動樹脂を前記凹部に流し込んだ後に固化することにより形成されることを特徴とする請求項に記載の電池セル。
【請求項9】
前記第2コネクタは、前記ケースの外側へ屈曲して延びており、
前記第2コネクタの前記第2端は、前記正極柱と前記負極柱との間に位置していることを特徴とする請求項に記載の電池セル。
【請求項10】
前記第2コネクタは前記ケースの外側及び前記正極柱への方向に屈曲して延びており、前記第2コネクタの前記第2端は前記正極柱の上方まで屈曲して延びていることを特徴とする請求項に記載の電池セル。
【請求項11】
前記保護体は、TCO、PTC、PCBを含むことを特徴とする請求項1~10の何れか一項に記載の電池セル。
【請求項12】
請求項1~10の何れか一項に記載の電池セルを備える電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー貯蔵技術分野に係り、特に電池セル、および電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電池セルは、外部のエネルギーを電気エネルギーに変換してその内部に貯えて、外部機器、例えば携帯電子機器等に必要なタイミングで給電する装置である。電池セルは日常生活に広く適用され、人々の日常生活のために大きい便利さと豊かさに貢献する。一般に、電池セルは、ケースと電極組立体とを含み、電極組立体はケース内に収容されている。ところで、近年、大電力ハードウェアの使用に伴い、電池セルの容量も大きくなり、電池の放電や充電の電流も大きくなってきているが、電池の安全性能を保障するため、通常、電池にヒューズを配置して、電池の放電電流又は充電電流が過負荷になると、ヒューズが溶断して、放電電流又は充電電流が過負荷になることで電池の温度が上がりすぎて自然発火を起こすリスクを回避する。
【0003】
本出願の発明者は、本願出願を実現する過程で、従来は、ケースにヒューズを取り付けるために、ケースに凹部を直接的に掘り、凹部内にヒューズを取り付けるのが一般的であったが、ケースに凹部を掘るためには、ケースの厚さを増やす必要があり、ケースの重量を増すだけでなく、電池セルのED(エネルギー密度)もロスしてしまうことを見出した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記問題に鑑み、本願出願は、上記ケースに凹部を掘ってヒューズを置くことにより、ケースの厚さを増やす必要があるという問題を解決あるいは少なくとも部分的に解決した電池セル及び電気機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の実施例の一態様によれば、ケース、電極組立体、正極柱および負極柱を備える電池セルが提供され、前記ケースは、前記電極組立体が収容される収容室を備え、前記正極柱および負極柱の一端は、それぞれ、前記電極組立体に電気的に接続され、前記正極柱および負極柱は、それぞれ、前記ケースの外端面に突出して設けられており、前記外端面は、前記収容室内に向けて凹部が凹んで形成されており、前記凹部は、前記正極柱と前記負極柱との間に設けられており、前記凹部に設けられ、一端が前記正極柱と電気的に接続され、他端が外部機器や外部回路と電気的に接続される保護体をさらに備える。本発明のケースにおける凹部は、ケースの収容室内に向かって凹んで形成されるが、従来はケースに凹部が掘られて保護体を載置していたのに対して、凹部の設置によってケースの厚みが余分に増すことがなく、凹部の設置によって電池セルの重量が余分に増すことがない。本発明のケースにおける凹部は、ケースの収容室内に向かって凹んで形成されており、凹部が保護体を載置し、すなわち、本発明のケースの内部の収容室のスペースを電池セルにおける保護体でが利用でき、ひいては、電池セル全体のスペース利用率を向上でき、電池セルのエネルギー密度を向上できる。
【0006】
一態様において、前記電池セルは、前記凹部の底部に設けられ、前記保護体と前記凹部の底部との間に設けられた伝熱材をさらに備える。
【0007】
一態様において、前記電池セルは、前記凹部に形態において前記収容室内に電解液を注入するための注液ポートが設けられている。
【0008】
一態様において、前記電池セルは、両端が前記保護体及び前記正極柱にそれぞれ電気的に接続される第1コネクタと、第1端が前記保護体に接続され、第2端が前記外部機器又は外部回路と電気的に接続する前記第2コネクタと、をさらに備える。
【0009】
一態様において、前記電池セルは、前記第1コネクタと前記ケースとの外端面との間に設けられ、前記第1コネクタと前記ケースとを絶縁する第1絶縁材をさらに備える。
【0010】
一態様において、前記電池セルは、前記第2コネクタと前記凹部に位置する前記外端面との間に設けられ、前記第2コネクタと前記ケースとを絶縁する第2絶縁材をさらに備える。
【0011】
一態様において、前記電池セルは、前記凹部内の前記外端面と前記保護体との間に充填され、前記保護体を前記凹部内に固定するための固定具をさらに備え、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタはそれぞれ前記固定具から延出する。固定具は、保護体の移動を規制することで、保護体の衝突による損傷が低減される。固定具は、第1コネクタと保護体との接続端を規定し、第1コネクタと保護体との接続端が衝撃により損傷することを低減する。固定具は、第2コネクタと保護体とを接続する第1端を規定して、第2コネクタと保護体とを接続する第1端が衝撃で損傷することを低減する。
【0012】
一態様において、固定具は、凹部の底部と背向した保護体の外面を完全に覆うことで、保護体をケースに固定することもできるし、保護体の防水.防食性能を増加させることもでき、ひいては電池セル全体の対落下性能を向上させることができる。
【0013】
一態様において、固定具は、流動樹脂を凹部に流し込んだ後に固化することにより形成される。
【0014】
一態様において、前記第2コネクタは、前記ケースの外側へ屈曲して延びており、前記第2コネクタの第2端は、前記正極柱と前記負極柱との間に位置している。
【0015】
一態様において、前記第2コネクタは前記ケースの外側及び前記正極柱への方向に屈曲して延びており、前記第2コネクタの第2端は前記正極柱の上方まで屈曲して延びている。
【0016】
一態様において、前記電池セルは、前記正極柱の上方に位置し、第2コネクタと第1コネクタとの間に位置する第3絶縁材を備える。
【0017】
幾つかの実施例において、第3絶縁材は、第2コネクタ及び正極柱の上方にも位置している。
【0018】
幾つかの実施例において、第3絶縁材は、第2コネクタに貼り付けられ、及び/又は、第1コネクタに貼り付けられ、及び/又は、正極柱の上方に貼り付けられる。
【0019】
一態様において、前記保護体は、TCO、PTC、PCBを含む。
【0020】
ここで、TCO(Temperature cut-off)は、温度遮断器であり、電池セルの温度が予設値を超えると、保護体と正極柱との電気的接続を遮断し、さらに外部機器や外部回路と電極組立体との電気的接続を遮断するためのであり、電極組立体の発火爆発リスクを低減し、外部機器や外部回路等へのダメージを低減することができる。
【0021】
ここで、PTC(Positive temperature coefficient)は正温度係数サーミスタであり、電池セルの温度がスイッチング温度を超えると、速やかに回路における電流を下げて、電極組立体及び電極組立体に接続される外部機器や外部回路等を保護するためのものである。
【0022】
ここで、PCB(Printed circuit board)は、プリント配線板(配線板、略称)であり、電極組立体と外部回路または外部機器との電気的接続に用いられ、PCBとは、電極組立体の充放電を管理して、過電圧、過電流、昇温等の原因による電極組立体の外部機器や外部回路等へのダメージを低減するためにも用いられる。
【0023】
一態様において、ケースの外端面は、収容室1内に向けて凹部が凹んで形成されるとともに、さらに凸部が形成され、凹部は、ケース外に面している。凸部は、ケース内の収容室に面している。電池セルは、絶縁ガスケットをさらに備え、絶縁ガスケットは、収容室に収容されており、ケースの凸部と電極組立体との間に位置し、ケースと電極組立体とを絶縁する。電池セルの正極柱は、電極組立体と接続して絶縁ガスケットを通過した後、ケースの外端面を通過する。絶縁ガスケットには、貫通孔も設けられ、貫通孔は、注液ポートに対向しており、貫通孔と注液ポートは、ケースの収容室に電解液を注入する。
【0024】
本出願の実施例の一態様によれば、上記電池セルを備える電気機器が提供される。
【発明の効果】
【0025】
本発明の実施例による発明は、ケース、電極組立体、正極柱、負極柱及び保護体を備える電池セルを提供し、ケースには、電極組立体が収容された収容室が設置されている。正極柱及び負極柱の一端は、それぞれ電極組立体に接続されている。正極柱及び負極柱の他端は、それぞれケースの外端面に突出して設けられている。電池セルの外端面は、収容室内に向けて凹部が凹んで形成されており、凹部は、正極柱と負極柱との間に設けられている。保護体は、凹部に設けられ、一端が正極柱に電気的に接続され、他端が外部機器又は外部回路と電気的に接続するために用いられる。本発明のケースにおける凹部は、ケースの収容室内に向かって凹んで形成されるが、従来はケースに凹部が掘られて保護体を載置していたのに対して、凹部の設置によってケースの厚みが余分に増すことがなく、凹部の設置によって電池セルの重量が余分に増すことがない。また、本発明のケースにおける凹部は、ケースの収容室内に向かって凹んで形成されており、凹部が保護体を載置することにより、電池セルにおける保護体は、ケースの内部の収容室のスペースを利用することができ、ひいては、電池セル全体のスペース利用率を向上でき、電池セルのエネルギー密度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
1つ又は複数の実施例は、特に明記しない限り、実施例を限定する趣旨ではなく、図面において同一の符号を付したものは類似の素子とし、図面中の図は、特に記載がない限り、比率制限を構成しない。
【0027】
図1】本出願の実施例によって提供された電池セルの一実施形態を示す図である。
図2】本出願の実施例によって提供された図1におけるP部の拡大図である。
図3】本出願の実施例によって提供された図1のA-A線に沿った断面図である。
図4】本出願の実施例によって提供された電池セルのもう一つの実現形態を示す図である。
図5】本出願の実施例によって提供された図4のQ部の拡大図である。
図6】本出願の実施例によって提供された図4中のB-B線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本出願を理解するために、図面および具体的な実施例を参照して、本願発明を詳細に説明する。ある要素がもう1つの要素に「固定された」と表現される場合、直接にもう1つの要素に存在してもよく、あるいはその間に1つまたは複数の要素が存在してもよい。1つの要素がもう1つの要素に「接続される」と表現される場合、それは前記もう1つの要素に直接に接続されてもよいし、他の要素を介して前記もう1つの要素に接続されてもよい。本明細書で使用される用語「垂直的な」、「水平的な」、「左」、「右」、「内」、「外」及び類似する表現は、説明の目的だけに使用される。
【0029】
別段の定義がない限り、本明細書で使用するすべての技術及び科学的用語は、本出願の技術分野に属する技術者が一般的に理解する意味と同様である。本出願の明細書で使用される用語は、具体的に実施例を説明するためのものであり、本出願を限定するものではない。本明細書で使用される用語「及び/又は」は、1つ又は複数の関連する項目の任意及びすべての組み合わせを含む。
【0030】
図1図2および図3を参照して、電池セル100は、電極組立体101と、正極柱102と、負極柱103と、ケース104と、保護体105と、伝熱材106と、第1コネクタ107と、第2コネクタ108と、第1絶縁材109と、第2絶縁材110と、固定具111と、絶縁ガスケット112とを備える。電極組立体101は、ケース104内に収容されている。正極柱102の一端は電極組立体101に接続されており、正極柱102の他端はケース104から延出する。正極柱102の他端は、ケース104に突出して設けられている。電極組立体101は、ケース104に電気的に接続され、負極柱103は、ケース104に突出して設けられ、負極柱103は、ケース104に電気的に接続されている。保護体105は、ケース104に位置している。伝熱材106は、保護体105とケース104との間に位置している。第1コネクタ107の両端は、それぞれ、保護体105と正極柱102とを電気的に接続している。第2コネクタ108は、保護体105に電気的に接続されており、外部機器又は外部回路と電気的に接続するためのものである。第1絶縁材109は、第1コネクタ107とケース104との絶縁に用いられる。第2絶縁材110は、第2コネクタ108とケース104との絶縁に用いられる。固定具111は、保護体105とケース104との固定に用いられる。絶縁ガスケット112は、ケース104と電極組立体101との絶縁に用いられる。
【0031】
なお、電池セル100は、上述した伝熱材106、第1コネクタ107、第2コネクタ108、第1絶縁材109、第2絶縁材110、固定具111、及び絶縁ガスケット112を備えていなくても、本出願の出願目的を達成することができる。
【0032】
上記電極組立体101について、図3を参照すると、電極組立体101は、外部機器への給電のために使用されるか、または外部電源、外部電力網等も電極組立体101を充電することができる。前記電極組立体101は、順に積層された第1電極シート1011、ダイヤフラム1013および第2電極シート1012を備える。第1電極シート1011と第2電極シート1012とは極性が反対であり、例えば第1電極シート1011が正極シートであれば第2電極シート1012は負極シート、あるいは第1電極シート1011が負極シートであれば第2電極シート1012は正極シートである。第1電極シート1011、ダイヤフラム1013及び第2電極シート1012は、積層して捲回してなる捲回構造であってもよいし、単に積層して、捲回しない積層構造であってもよいし、電極組立体101が捲回構造であっても、積層構造であっても、その構成の技術は本出願の出願の目的を達成することができる。
【0033】
上記正極柱102及び負極柱103について、図1及び図3を参照して、正極柱102の一端は電極組立体101の第1電極シート1011に電気的に接続され、正極柱102の他端はケース104から延出して外部機器、外部回路、外部電源又は外部電力網等に電気的に接続される。
【0034】
幾つかの実施例では、負極柱103の一端は電極組立体101の第2電極シート1012に電気的に接続され、負極柱103の他端はケース104から延出して外部機器、外部回路、外部電源又は外部電力網等に電気的に接続されている。
【0035】
他の幾つかの実施形態では、電極組立体101における第2電極シート1012は、電極端子又は導電シート等を介してケース104に接続されており、ケース104には、上記負極柱103が突設されており、負極柱103は、外部機器、外部回路、外部電源又は外部電力網等と電気的に接続されている。
【0036】
上記ケース104について、図3を参照すると、ケース104は、電極組立体101を収容する収容室1041が設けられている。ケース104は、電極組立体101と電気的に接続された正極柱102を延出させるための外端面1042を備え、該外端面1042は、負極柱103の設置のためにも用いられる。ケース104は、負極柱103と電気的に接続されているが、正極柱102と絶縁されている。
【0037】
いくつかの実施例では、ケース104は、直方体であり、6つの外面を有しており、本出願で言及する外端面1042は、ケース104の6つの外面のうちの1つである。
【0038】
いくつかの実施例では、ケース104は円柱体であり、3つの外面を有しており、本出願でいう外端面1042は、ケース104の3つの外面のうちの1つである。
【0039】
ケース104の外端面1042は、収容室1041内に向けて凹部1043と凸部1044とが凹んで形成されており、凹部1043と凸部1044とは、ケース104の外端面1042が収容室1041内に向けて凹んだときに同時に形成される。凹部1043は、ケース104外に面している。凸部1044は、ケース104内の収容室041に面している。凹部1043は、正極柱102と負極柱103との間に位置する。凹部1043は、保護体105の設置に用いられる。本発明のケース104における凹部1043は、ケース104の収容室1041内に向かって凹んで形成されるが、従来のケース104に凹部1043が掘られて保護体105を載置していたのに対して、凹部1043の設置によってケース104の厚みが余分に増すことがなく、凹部1043の設置によって電池セル100の重量が余分に増すことがない。本発明のケース104における凹部1043は、ケース104の収容室1041内に向かって凹んで形成されており、電池セル100のケース104内部の収容室1041に相当する空間が適切に利用され、電池セル100全体の空間利用率を向上させ、電池セル100のエネルギー密度を向上させることができる。
【0040】
幾つかの実施例では、凹部1043は、正極柱102と負極柱103との間に位置し、正極柱102に近接して設けられているため、凹部1043内に設けられた保護体105と正極柱102との電気的接続が容易になる。
【0041】
幾つかの実施例では、図3を参照して、凹部1043は、収容室1041に連通する注液ポート1045をさらに設ける。注液ポート1045は、収容室1041内に電解液を注入するためのものである。注液ポート1045は、ケース104の収容室1041内の電解液の交換に利用されてもよい。注液ポート1045は、ケース104の外端面1042において凹部1043を除く他の部分ではなく、凹部1043に設けられているため、注液ポート1045の設置による外端面1042の占有がなく、凹部1043の寸法を大きく設定することができ、外端面1042は、正極柱102の延出用および負極柱103の設置用の領域以外は凹部1043としてもよい。
【0042】
いくつかの実施例において、図3を参照して、正極柱102から負極柱103に向かう方向F1に沿って、凹部1043の寸法Dは、2mm~102mmである。凹部1043の寸法Dが2mmより大きいと、凹部1043の加工成形が容易になる。一般的な電池セル100において、正極柱102から負極柱103への方向F1に沿って、電池セル100の幅を110mm以下、正極柱102の最小幅を4mm、負極柱103の最小幅を4mmとすると、凹部1043の寸法Dの値を102mmとすればよい。
【0043】
そこで、いくつかの実施例において、正極柱102から負極柱103に向かう方向F1は、電池セル100の幅方向ともいう。
【0044】
上記ケース104について、ケース104の地合いが硬く、その耐圧性、耐変形性が強く、収容室1041に収容された電極組立体101を防護することができる。
【0045】
幾つかの実施形態では、ケース104は、金属材質、例えば、鋼合金、アルミニウム合金、鉄合金、銅合金等であり、金属材質は、実際のニーズに応じて適宜調整されることができる。
【0046】
上記保護体105は、図1図2および図3を参照して、凹部1043に設けられ、保護体105の一端が正極柱102に電気的に接続され、他端が外部機器や外部回路と電気的に接続するために用いられる。
【0047】
保護体105は、電池セル100を保護する役目を果たし、過電圧、過電流、昇温等の原因による電池組立体の外部機器や外部回路等へのダメージを低減し、保護の役目を果たす。
【0048】
保護体105は、TCO、PTC、PCBを含む。
【0049】
ここで、TCO(Temperature cut-off)は、温度遮断器であり、電池セル100の温度が予設値を超えると、保護体105と正極柱102との電気的接続を遮断し、さらに外部機器や外部回路と電極組立体101との電気的接続を遮断するためのであり、電極組立体101の発火爆発リスクを低減し、外部機器や外部回路等へのダメージを低減することができる。
【0050】
ここで、PTC(Positive temperature coefficient)は正温度係数サーミスタであり、電池セル100の温度がスイッチング温度を超えると、速やかに回路における電流を下げて、電極組立体101及び電極組立体101に接続される外部機器や外部回路等を保護するためのものである。
【0051】
ここで、PCB(Printed circuit board)は、プリント配線板(配線板、略称)であり、電極組立体101と外部回路または外部機器との電気的接続に用いられ、PCBとは、電極組立体101の充放電を管理して、過電圧、過電流、昇温等の原因による電極組立体の外部機器や外部回路等へのダメージを低減するためにも用いられる。
【0052】
いくつかの実施例では、保護体が凹部1043の底部を背向する外面は、ケース104の外端面1042と面一、又は、正極柱102又は負極柱103が電極組立体101を背向する側と面一となるため、電池セル100の外形が正規となっている。
【0053】
上記伝熱材106について、図3を参照して、伝熱材106は凹部1043の底部に設けられ、伝熱材106は保護体105と凹部1043の底部との間に設けられる。電極組立体101の発熱が生じると、その熱を保護体105に伝導するため、伝熱材106を設けることで、保護体105と電極組立体101との熱差が小さくなり、保護体105による電極組立体101等の保護性能が向上する。
【0054】
いくつかの実施例において、伝熱材106は、熱伝導グリス又は熱伝導合紙である。
【0055】
いくつかの実施例では、伝熱材106は、凹部1043の底部に貼り付けられ、さらに保護体105に貼り付けられることで、保護体105がケース104に固定され、保護体105ががたつきにより損傷することが低減される。
【0056】
これら第1及び第2コネクタ107、108について、図1図2及び図3を参照して、第1コネクタ107の両端は、それぞれ、保護体105及び正極柱102に電気的に接続されている。第2コネクタ108の第1端1081は、保護体105と電気的に接続されており、第2コネクタ108の第2端1082は、外部機器や外部回路と電気的に接続する。
【0057】
第1コネクタ107と第2コネクタ108はいずれも導電性であり、または、少なくとも第1コネクタ107の部分は導電性であり、第2コネクタ108の部分は導電性であることは理解される。
【0058】
あるいは、図1図2および図3を参照して、第2コネクタ108は、ケース104の外側へ屈曲して延びており、正極柱102と負極柱103との間には、第2コネクタ108の第2端1082が位置している。
【0059】
あるいは、図4図5および図6を参照して、第2コネクタ108はケース104の外側及び正極柱102への方向に屈曲して延びており、第2コネクタ108の第2端1082は正極柱102の上方まで屈曲して延びている。
【0060】
ここで、「正極柱102の上方」とは、正極柱102が電極組立体101から離れる側である。
【0061】
上記第1絶縁材109について、図3または図6を参照して、第1コネクタ107とケース104の外端面1042との間には、第1コネクタ107とケース104とを絶縁するための第1絶縁材109が設けられている。
【0062】
幾つかの実施形態では、第1絶縁材109は、第1コネクタ107に貼り付けられ、及び/又は、第1絶縁材109は、ケース104の外端面1042に貼り付けられる。
【0063】
上記第2絶縁材110について、図3または図6を参照して、第2コネクタ108と凹部1043の外端面1042との間には、第2コネクタ108とケース104とを絶縁するための第2絶縁材110が設けられている。
【0064】
幾つかの実施形態では、第2絶縁材110は、第2コネクタ108に貼り付けられ、及び/又は、凹部1043における外端面1042に貼り付けられる。
【0065】
図6を参照して、電池セル100は、第2コネクタ108がケース104の外側および正極柱102への方向に屈曲して延びるとともに、第2コネクタ108の第2端1082が正極柱102の上方まで屈曲して延びている場合、正極柱102の上方に位置し、第2コネクタ108と第1コネクタ107との間に位置する第3絶縁材113をさらに備える。
【0066】
幾つかの実施形態では、第3絶縁材113は、第2コネクタ108及び正極柱102の上方にも位置している。
【0067】
幾つかの実施形態では、第3絶縁材113は、第2コネクタ108に貼り付けられ、及び/又は、第1コネクタ107に貼り付けられ、及び/又は、正極柱102の上方に貼り付けられる
【0068】
上記固定具111について、図3又は図6を参照して、固定具111は、凹部1043内の外端面1042と保護体105との間に充填され、保護体105を凹部1043内に固定するための固定具111によって、保護体105の移動が規制され、保護体105の衝突による損傷が低減される。
【0069】
固定具111は、流動樹脂を凹部1043に流し込んだ後に固化することにより形成される。
【0070】
第1コネクタ107が固定具111から突出することで、固定具111は、第1コネクタ107と保護体105との接続端を規定し、第1コネクタ107と保護体105との接続端が衝撃により損傷することを低減する。
【0071】
第2コネクタ108が固定具111から延出することで、固定具111が第2コネクタ108と保護体105とを接続する第1端1081を規定して、第2コネクタ108と保護体105とを接続する第1端1081が衝撃で損傷することを低減する。
【0072】
あるいは、固定具111は、第1絶縁材109を凹部1043内に固定する。
【0073】
あるいは、固定具111は、第2絶縁材110を凹部1043内に固定する。
【0074】
幾つかの実施例では、固定具111は、埋め込み接着剤である。
【0075】
幾つかの実施例では、固定具111は、射出成形品である。
【0076】
幾つかの実施例では、固定具111は、凹部1043の底部と背向した保護体105の外面を完全に覆うことで、保護体105をケース104に固定することもできるし、保護体105の防水.防食性能を増加させることもでき、ひいては電池セル100全体の対落下性能を向上できる。
【0077】
上記絶縁ガスケット112について、図3または図6を参照して絶縁ガスケット112は、収容室1041に収容されており、ケース104の凸部1044と電極組立体101との間に位置し、ケース104と電極組立体101とを絶縁する。電池セル100の正極柱102は、電極組立体101と接続して絶縁ガスケット112を通過した後、ケース104の外端面1042を通過する。絶縁ガスケット112には、貫通孔1121も設けられ、貫通孔1121は、注液ポート1045に対向しており、貫通孔1121と注液ポート1045は、ケース104の収容室1041に電解液を注入する。
【0078】
本出願の実施例では、電池セル100は、ケース104、電極組立体101、正極柱102、負極柱103及び保護体105を備え、ケース104には、電極組立体101が収容された収容室1041が設置されている。正極柱102及び負極柱103の一端は、それぞれ電極組立体101に接続されている。正極柱102及び負極柱103の他端は、それぞれケース104の外端面1042に突出して設けられている。ケース104の外端面1042は、収容室1041内に向けて凹部1043が凹んで形成されており、凹部1043は、正極柱102と負極柱103との間に設けられている。保護体105は、凹部1043に設けられ、一端が正極柱102に電気的に接続され、他端が外部機器又は外部回路と電気的に接続するために用いられる。本発明のケース104における凹部1043は、ケース104の収容室1041内に向かって凹んで形成されるが、従来のケース104に凹部1043が掘られて保護体105を載置していたのに対して、凹部1043の設置によってケース104の厚みが余分に増すことがなく、凹部1043の設置によって電池セル100の重量が余分に増すことがない。また、本発明における正極柱102と負極柱103は、いずれもケース104の外端面1042に突出して設けられている、つまり正極柱102と負極柱103がケース104の同じ側に位置しており、正極柱102と負極柱103を結線するのに便利である。本発明のケース104における凹部1043は、ケース104の収容室1041内に向かって凹んで形成されており、凹部1043が保護体105を載置することで、ケース104の内部の収容室1041のスペースを電池セル100における保護体105が利用でき、ひいては、電池セル100全体のスペース利用率を向上でき、電池セル100のエネルギー密度を向上できる。
【0079】
本発明の実施例は、上記電池セル100と負荷とを備える電気機器の例をさらに提供する。電池セル100は、負荷に接続され、負荷に電力を供給する。電池セル100の構造および機能については、上述の実施形態を参照すればよいので、説明を省略する。
【0080】
電気機器は、貯能製品、携帯電話、タブレット、ドローン、一輪または二輪以上の電動車両、あるいは電動掃除用具などであってよい。
【0081】
例えば、上記ドローンについて、ドローンにバッテリパックが搭載され、バッテリパックは、ドローンに飛行系、制御系及び撮像系等を含む負荷に給電するために用いられる。
【0082】
なお、本出願の明細書及びその図面には、本願発明の好ましい実施例が示されているが、本願発明は多くの異なる形態にて実現することができ、本明細書に記載された実施例に限定されるものではなく、これらの実施例は本出願の内容に対してさらに制限を加えることなく、これらの実施例を提供する目的は、本出願の開示内容の理解をよりいっそう完全なものとすることである。また、上記の各技術的特徴は、引き続き相互に組み合わされ、上記の列挙されていない様々な実施例が形成されていて、すべて本出願明細書に記載された範囲とされ、さらに、上記説明から当業者にとって改良や変更が可能であって、それらすべての改良や変更が本出願の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に属するものと理解される。
【符号の説明】
【0083】
101 電極組立体
102 正極柱
103 負極柱
104 ケース
105 保護体
1041 収容室
1042 外端面
1043 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6