IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イーオーピー マリーネ ア−・エスの特許一覧

特許7500710インジェクションバルブのバルブボディをテストする方法及びインジェクションバルブをテストする方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】インジェクションバルブのバルブボディをテストする方法及びインジェクションバルブをテストする方法
(51)【国際特許分類】
   F02M 65/00 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
F02M65/00 306Z
F02M65/00 302
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022514634
(86)(22)【出願日】2020-08-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-14
(86)【国際出願番号】 DK2020050241
(87)【国際公開番号】W WO2021043380
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2023-06-23
(31)【優先権主張番号】PA201901059
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】514098849
【氏名又は名称】イーオーピー マリーネ ア-・エス
【氏名又は名称原語表記】IOP MARINE A/S
【住所又は居所原語表記】Engager 7 DK-2605 Brondby Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】ソウィンスキー グジェゴジュ
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-513303(JP,A)
【文献】特表2014-532884(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0318221(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 39/00-71/04
F02B 43/00-45/10
F02M 21/00-21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のインジェクションバルブのバルブボディをテストする方法であって、前記バルブボディは、
圧縮室を形成するプランジャーピストン室と、サクションピストンを有するサクションバルブと、一つ又は複数の燃料フルード経路と、ノズルピストンを有するノズル弁と、一つ又は複数のノズル開口部と、コントロールオイル経路とを保持し、前記燃料フルード経路は、前記プランジャーピストン室内の流体圧によって提供される前記サクションピストンの圧力で前記サクションバルブが開き、前記コントロールオイル経路を通じて供給されるコントロールオイル圧力によって提供される前記ノズルピストンの圧力で前記ノズル弁が開くとき、前記プランジャーピストン室から前記ノズル開口部への流体的接続を提供し、前記方法は、
前記コントロールオイル経路を通じて前記ノズルピストンに、第1コントロールオイル圧力でコントロールオイルを供給すること、ただし前記第1コントロールオイル圧力は、前記ノズル弁が開くように設定された既定のコントロールオイル開弁圧力以上である、前記供給することと;
前記プランジャーピストン室を通じて前記サクションピストンに、第1テストガス圧力でテストガスを供給すること、ただし前記第1テストガス圧力は、前記サクションバルブが開くように設定された既定のテストガス開弁圧力未満である、前記供給することと;
前記供給したテストガスが前記ノズル開口部を通じて外部に到達しているかをチェックすることと;
を含む、方法。
【請求項2】
前記バルブボディはホルダにセットされ;
フレキシブルホースが前記ノズル開口部に接続され、更に液体が入った外部容器にも接続され、前記ノズル開口部を通じて前記フレキシブルホース内に達したテストガスは、前記外部容器の前記液体内の泡として観察される;
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コントロールオイルは第1コントロールオイル圧力で供給され、ここで前記第1コントロールオイル圧力は280-320barである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記テストガスは、30bar未満の第1テストガス圧力で供給される、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
テストガスを、前記サクションバルブを開くために必要な前記既定のテストガス開弁圧力以上の第2テストガス圧力で、前記プランジャーピストン室経由で前記サクションピストンに供給することと;
前記ノズル開口部を通じて外部に到達したテストガスの量をチェックすることと;
を含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記ノズル開口部を通じて外部に到達したテストガスの量をチェックすることは、前記外部容器の前記液体内のテストガス泡の量をチェックすることを含む、請求項2を直接的又は間接的に引用する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のテストガス圧力で供給される前記テストガスは30barより高い圧力で供給される、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記ノズルピストンが、前記ノズル弁が閉じる位置にあるようにするために、前記既定のコントロールオイル開弁圧力未満の圧力におけるコントロールオイルの供給又はコントロールオイルを供給することを防ぐことと;
テストガスを、前記サクションバルブを開くために必要な前記既定のテストガス開弁圧力以上のテストガス圧力で、前記プランジャーピストン室経由で前記サクションピストンに供給することと;
前記ノズル開口部を通じてテストガスが外部に到達しているかをチェックすることと;
を含む、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記ノズル開口部を通じてテストガスが外部に到達しているかチェックすることは、前記外部容器の前記液体内にテストガス泡が存在するかをチェックすることを含む、請求項2を直接的又は間接的に引用する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記サクションバルブを開くために必要な前記既定のテストガス開弁圧力以上の圧力で供給される前記テストガスは、30barより高い圧力で供給される、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の方法であって、
コネクティングピースが提供され、
前記コネクティングピースは、第1フルードインレットポート及び第2フルードインレットポートを有する上部パーツと、前記第2フルードインレットポートと流体的に接続されるテストフルード経路を有するダミースラストピースとを備え;
前記方法は、コントロールオイル及びテストガスを供給する前に、
前記テストフルード経路が前記プランジャーピストン室を通じて前記サクションバルブに達するように、前記ダミースラストピースを前記プランジャーピストン室に挿入することによって、前記コネクティングピースを前記バルブボディに接続し、前記コントロールオイル経路を前記第1フルードインレットポートに接続することを含み;
前記コントロールオイルは、前記第1フルードインレットポートに供給され、前記コントロールオイル経路を通じて前記ノズルピストンに達し、
前記テストガスは前記第2フルードインレットポートに供給され、前記プランジャーピストン室内で前記テストフルード経路を流れ、前記サクションピストンに達する、
方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記インジェクションバルブは、
コントロールオイルインレットポートを有するトップカバーと、カバー流路を通じて前記コントロールオイルインレットポートと流体的に接続するカバー室と;
プランジャー室を有するプランジャーピストンと、プランジャーバルブと、一つ又は複数のプランジャーフルード経路と;
を備え、
前記プランジャーピストンは、前記コントロールオイルインレットポートから前記カバー室に供給されるコントロールオイルによって制御され、
前記コネクティングピースを前記バルブボディに接続する前に、前記トップカバー及び前記プランジャーピストンが前記バルブボディに接続され、
前記バルブボディは、前記プランジャーピストンと共に圧縮室を形成する前記プランジャーピストン室を有し、前記プランジャーピストンは前記プランジャーピストン室に挿入され、前記プランジャーバルブが開いているとき、前記圧縮室は前記プランジャーフルード経路を通じて前記プランジャー室と流体的に接続し、
前記コントロールオイル経路は、コントロールオイルの供給のために、前記カバー室及び前記カバー流路を通じて前記コントロールオイルインレットポートと流体的に接続する、
方法。
【請求項13】
前記トップカバーは更にシールオイルインレットポートを有し、前記バルブボディはシールオイル経路及びノズル弁室を有し、前記ノズル弁室は前記ノズルピストンを有し、前記シールオイル経路は前記シールオイルインレットポートに流体的に接続していると共に、前記プランジャーピストンをシールするために前記プランジャーピストン室と流体的に接続し、更に前記ノズルピストンをシールするために前記ノズル弁室と流体的に接続する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記バルブボディは、第1燃料注入路を通じて前記プランジャー室に流体的に接続する第1燃料インレットポートを備え、前記第1燃料インレットポートから前記プランジャー室に供給されるフルードの圧力で前記プランジャーバルブが開き、
前記バルブボディは更に、第2燃料注入路を通じて前記圧縮室に流体的に接続する第2燃料インレットポートを備える、
請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記コネクティングピースを前記バルブボディに接続する前に、前記トップカバー及び前記プランジャーピストンを前記バルブボディから取り外される、請求項12から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記テストガスは窒素である、請求項1から15のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の開示事項は、メタノールのような液体ガスのためのインジェクションバルブをテストする方法に関し、また、インジェクションバルブのバルブボディをテストする方法に関する。
【背景】
【0002】
WO2016/155746は、メタノールのような液体ガスのためのインジェクションバルブをテストする方法を開示している。インジェクションバルブは2ストローク内燃機関に用いられうる。液体ガスの供給を制御するため、インジェクションバルブには、シールオイルとコントロールオイルが供給される。WO2016/155746に開示されるインジェクションバルブは、圧縮室を形成するプランジャーピストン室と、サクションピストンを有するサクションバルブと、ノズルピストンを有するノズル弁と、一つ又は複数のノズル開口部と、コントロールオイル経路を備える。プランジャーピストン室の圧力によって提供されるサクションピストンの圧力で、サクションバルブが開き、コントロールオイル経路を通じて供給されるコントロールオイル圧力によって提供されるノズルピストンの圧力でノズル弁が開くとき、燃料フルード経路がプランジャーピストン室からノズル開口部への流体的接続を提供する。WO2016/155746で開示されるテストにおいて、インジェクションバルブはホルダに置かれる。またトップカバーは除去されてコネクティングピースで置換される。ノズル弁が開弁圧力に達するまでコントロールオイルの圧力が増加させられ、インジェクションバルブがノズル開口部からスプレー室へとオイルを噴霧する。その結果、ノズル弁の開弁圧力が検査される。しかし、サクションバルブのリークテストについては何ら開示されていない。
【0003】
MAN Diesel&Turboによって、2ストローク内燃機関のためのメタノール用の新しいインジェクションバルブが開発された。液体ガスの供給を制御するため、インジェクションバルブには、シールオイルとコントロールオイルが供給される。リークが存在すれば、それは非常に危険である。
【0004】
従って、リークについてインジェクションバルブをテストする、改良された方法が必要とされており、また、インジェクションバルブの動作テストのための、改良された方法が必要とされている。
【摘要】
【0005】
本願の開示事項の目的は、バルブリークについてインジェクションバルブをテストする、改良された方法を提供することである。
【0006】
この目的は、本発明の第1の捉え方に従って、次の方法を提供することによって達成される。この方法は、内燃機関のインジェクションバルブのバルブボディをテストする方法であって、前記バルブボディは圧縮室を形成するプランジャーピストン室と、サクションピストンを有するサクションバルブと、一つ又は複数の燃料フルード経路と、ノズルピストンを有するノズル弁と、一つ又は複数のノズル開口部と、コントロールオイル経路とを有し、前記燃料フルード経路は、前記プランジャーピストン室内の流体圧によって提供される前記サクションピストンの圧力で前記サクションバルブが開き、前記コントロールオイル経路を通じて供給されるコントロールオイル圧力によって提供される前記ノズルピストンの圧力で前記ノズル弁が開くとき、前記プランジャーピストン室から前記ノズル開口部への流体的接続を提供し、前記方法は、
前記コントロールオイル経路を通じて前記ノズルピストンに、第1コントロールオイル圧力でコントロールオイルを供給すること、ただし前記第1コントロールオイル圧力は、前記ノズル弁が開くように設定された既定のコントロールオイル開弁圧力以上である、前記供給することと;
前記プランジャーピストン室を通じて前記サクションピストンに、第1テストガス圧力でテストガスを供給すること、ただし前記第1テストガス圧力は、前記サクションバルブが開くように設定された既定のテストガス開弁圧力未満である、前記供給することと;
前記供給したテストガスが前記ノズル開口部を通じて外部に到達しているかをチェックすることと;
を含む。
【0007】
前記供給したテストガスは、前記サクションバルブ、前記燃料フルード経路、前記ノズル弁を経由して、前記ノズル開口部.を通じて、外部に到達してもよい。
【0008】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、フレキシブルホースが、前記ノズル開口部に接続され、更に液体が入った外部容器に接続され、前記ノズル開口部を通じて前記フレキシブルホース内に達したテストガスは、前記外部容器の前記液体内の泡として観察される。前記液体は水であってもよい。
【0009】
前記外部容器内にガスの泡が観測された場合、前記サクションバルブは完全には閉じていない。泡が観測されない場合、前記サクションバルブは閉じている。
【0010】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、前記コントロールオイルは第1コントロールオイル圧力で供給される。前記第1コントロールオイル圧力は280-320barであり、例えば約300barである。
【0011】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、前記テストガスは、30bar未満の第1テストガス圧力で供給される。
【0012】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、前記方法は更に、
テストガスを、前記サクションバルブを開くために必要な前記既定のテストガス開弁圧力以上の第2テストガス圧力で、前記プランジャーピストン室経由で前記サクションピストンに供給することと;
前記ノズル開口部を通じて外部に到達したテストガスの量をチェックすることと;
を含む。
【0013】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、前記ノズル開口部を通じて外部に到達したテストガスの量をチェックすることは、前記外部容器の前記液体内のテストガス泡の量をチェックすることを含む。
【0014】
前記第1テストガス圧力において観察されたテストガス泡の量に比べて、テストガス泡の量の増加が観察された場合、前記サクションバルブは供給された通り開いた。
【0015】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、前記第2のテストガス圧力で供給される前記テストガスは30barより高い圧力で供給される。例えば40bar以上で、例えば50bar以上で供給され、例えば約100barで供給される。
【0016】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、前記方法は更に、
前記ノズルピストンが、前記ノズル弁が閉じる位置にあるようにするために、前記既定のコントロールオイル開弁圧力未満の圧力におけるコントロールオイルの供給又はコントロールオイルを供給することを防ぐことと;
テストガスを、前記サクションバルブを開くために必要な前記既定のテストガス開弁圧力以上のテストガス圧力で、前記プランジャーピストン室経由で前記サクションピストンに供給することと;
前記ノズル開口部を通じてテストガスが外部に到達しているかをチェックすることと;
を含む。
【0017】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、前記ノズル開口部を通じてテストガスが外部に到達しているかチェックすることは、前記外部容器の前記液体内にテストガス泡が存在するかをチェックすることを含む。
【0018】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、前記サクションバルブを開くために必要な前記既定のテストガス開弁圧力以上の圧力で供給される前記テストガスは、30barより高い圧力で供給される。例えば40bar以上で、例えば50bar以上で供給され、例えば約100barで供給される。
【0019】
テストガスの泡が観測された場合、前記ノズル弁は完全には閉じていない。泡が観測されない場合、前記ノズル弁は閉じている。
【0020】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、コネクティングピースが提供される。前記コネクティングピースは、第1フルードインレットポート及び第2フルードインレットポートを有する上部パーツと、前記第2フルードインレットポートと流体的に接続されるテストフルード経路を有するダミースラストピースとを備える。また前記方法は、コントロールオイル及びテストガスを供給する前に、
前記テストフルード経路が前記プランジャーピストン室を通じて前記サクションバルブに達するように、前記ダミースラストピースを前記プランジャーピストン室に挿入することによって、前記コネクティングピースを前記バルブボディに接続し、前記コントロールオイル経路を前記第1フルードインレットポートに接続することを含み;
前記コントロールオイルは、前記第1フルードインレットポートに供給され、前記コントロールオイル経路を通じて前記ノズルピストンに達し、
前記テストガスは前記第2フルードインレットポートに供給され、前記プランジャーピストン室内で前記テストフルード経路を流れ、前記サクションピストンに達する。
【0021】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、前記インジェクションバルブは更に、
コントロールオイルインレットポートを有するトップカバーと、カバー流路を通じて前記コントロールオイルインレットポートと流体的に接続するカバー室と;
プランジャー室を有するプランジャーピストンと、プランジャーバルブと、一つ又は複数のプランジャーフルード経路と;
を備え、前記プランジャーピストンは、前記コントロールオイルインレットポートから前記カバー室に供給されるコントロールオイルによって制御され、
前記コネクティングピースを前記バルブボディに接続する前に、前記トップカバー及び前記プランジャーピストンが前記バルブボディに接続され、
前記バルブボディは、前記プランジャーピストンと共に圧縮室を形成する前記プランジャーピストン室を有し、前記プランジャーピストンは前記プランジャーピストン室に挿入され、前記プランジャーバルブが開いているとき、前記圧縮室は前記プランジャーフルード経路を通じて前記プランジャー室と流体的に接続し、
前記コントロールオイル経路は、コントロールオイルの供給のために、前記カバー室及び前記カバー流路を通じて前記コントロールオイルインレットポートと流体的に接続する。
【0022】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、前記トップカバーは更にシールオイルインレットポートを有し、前記バルブボディはシールオイル経路及びノズル弁室を有し、前記ノズル弁室は前記ノズルピストンを有し、前記シールオイル経路は前記シールオイルインレットポートに流体的に接続していると共に、前記プランジャーピストンをシールするために前記プランジャーピストン室と流体的に接続し、更に前記ノズルピストンをシールするために前記ノズル弁室と流体的に接続し、
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、前記バルブボディは更に、
第1燃料注入路を通じて前記プランジャー室に流体的に接続する第1燃料インレットポートを備え、前記第1燃料インレットポートから前記プランジャー室に供給されるフルードの圧力で前記プランジャーバルブが開く。
【0023】
前記バルブボディは更に、第2燃料注入路を通じて前記圧縮室に流体的に接続する第2燃料インレットポートを備える。
【0024】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、前記方法は、前記コネクティングピースを前記バルブボディに接続する前に、前記トップカバー及び前記プランジャーピストンを前記バルブボディから切断することを含む。
【0025】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、前記テストガスは不燃性ガスであり、例えば窒素である。
【0026】
本願の開示事項の目的は、インジェクションバルブの動作テストのための、改良された方法を提供することである。
【0027】
この目的は、本発明の第2の捉え方に従って、次の方法を提供することによって達成される。この方法は、液化石油ガスの内燃機関への噴射に用いるインジェクションバルブをテストする方法であって、
前記インジェクションバルブは、
プランジャー室及びプランジャーバルブを有するプランジャーピストンを備え、前記プランジャーピストンは、コントロールオイル圧力のコントロールオイルの供給により制御され;
前記インジェクションバルブは更にバルブボディを備え、前記バルブボディは、前記プランジャーピストンと共に圧縮室を形成するプランジャーピストン室を有し、前記プランジャーピストンは前記プランジャーピストン室に挿入され、前記プランジャーバルブが開いているとき、前記圧縮室は前記プランジャー室と流体的に接続し、前記バルブボディは、
前記プランジャー室に流体的に接続する第1燃料インレットポートを備え、前記第1燃料インレットポートから前記プランジャー室に供給されるフルードの圧力の関数として前記プランジャーバルブが開弁又は閉鎖し;
前記インジェクションバルブは更に、サクションピストンを有するサクションバルブ、一つ又は複数の燃料フルード経路、ノズルピストンを有するノズル弁、一つ又は複数のノズル開口部、コントロールオイル経路、シールオイル経路、前記ノズルピストンを有するノズル弁室を備え;
前記圧縮室内のフルード圧力により提供される前記サクションピストンの圧力により前記サクションバルブが開き、前記コントロールオイル経路を通じて供給されるコントロールオイル圧力により提供される前記ノズルピストンの圧力により前記ノズル弁が開くとき、前記燃料フルード経路は、前記圧縮室から前記ノズル開口部への流体的接続を提供し、
前記シールオイル経路は、前記プランジャーピストンをシールするために前記プランジャーピストン室と流体的に接続すると共に、前記ノズルピストンをシールするために前記ノズル弁室と流体的に接続し、
前記方法は、
シールオイルを、第1シールオイル圧力で、前記シールオイル経路で、前記プランジャーピストン室及び前記ノズル弁室で供給すること、ただし前記第1シールオイル圧力は、前記プランジャーピストン室内で前記プランジャーピストンをシールするため及び前記ノズル弁室内で前記ノズルピストンをシールするために必要な既定のシールオイル圧力以上である、前記供給することと;
油圧オイルを、第1燃料インレット圧力で、前記プランジャー室に供給すること、ただし前記第1燃料インレット圧力は、前記プランジャーバルブを開いて前記油圧オイルを前記プランジャーバルブを通って前記圧縮室に送るために十分な高圧である既定の燃料インレット圧力以上である、前記供給することと;
コントロールオイルを、既定の動作コントロールオイル圧力以上の第1動作テストコントロールオイル圧力で、前記プランジャーピストンに、また前記コントロールオイル経路で前記ノズルピストンに供給すること、ただし前記既定の動作コントロールオイル圧力は、前記ノズルピストンが前記ノズル弁を開くために必要な圧力であり、また、且つ前記プランジャーピストンが前記圧縮室の前記油圧オイルを圧縮して、前記サクションバルブを開くために必要な圧力より高い圧力を伝達するために必要な圧力である、前記供給することと;
前記供給した油圧ガスが前記ノズル開口部から外部に到達しているかをチェックすることと;
を含む。
【0028】
前記第2の捉え方の実装形態の一例において、前記コントロールオイルを、前記第1動作テストコントロールオイル圧力で、前記プランジャーピストンへ、また前記コントロールオイル経路を通じて前記ノズルピストンへ供給することは、前記第1シールオイル圧力でシールオイルを供給することを始めた後で且つ前記第1燃料インレット圧力で油圧オイルを供給することを始めた後に、開始される。
【0029】
前記第2の捉え方の実装形態の一例において、前記第1シールオイル圧力でシールオイルを供給することは、前記第1燃料インレット圧力で油圧オイルを供給することを始めた後に、開始される。
【0030】
前記供給したテストガスは、前記圧縮室から、前記サクションバルブ、前記燃料フルード経路、前記ノズル弁を経由して、前記ノズル開口部を通じて、外部に到達してもよい。
【0031】
前記ノズル開口部から油圧オイルが噴霧された場合、インジェクションバルブのバルブは、通常動作モードで気体されているように開いている。
【0032】
前記第2の捉え方の実装形態の一例において、前記インジェクションバルブはホルダに置かれ、前記インジェクションバルブの底部にはスプレー室が位置し、前記ノズル開口部は前記スプレー室に達している。
【0033】
前記第2の捉え方の実装形態の一例において、前記バルブボディは更に、前記圧縮室と流体的に接続する第2燃料インレットポートを有し、前記油圧オイルは第1燃料インレットポート経由で前記プランジャー室に供給されると共に、前記第1燃料インレット圧力で、前記第2燃料インレットポート経由で前記圧縮室に供給される。
【0034】
前記第2の捉え方の実装形態の一例において、前記バルブボディは更に第1燃料注入路と第2燃料注入路とを有する。前記第1燃料注入路は、前記プランジャーピストンの全ての位置において、前記第1燃料インレットポートと前記プランジャー室との間の流体的接続を提供する。前記第2燃料注入路は、前記プランジャーピストンにコントロールオイル圧力が全く提供されていないときに、前記第2燃料インレットポートと前記圧縮室との間の流体的接続を提供するように構成されると共に、前記プランジャーピストンに前記第1動作テストコントロールオイル圧力で前記コントロールオイル圧力が提供されているときに、前記第2燃料インレットポートと前記圧縮室との間の流体的接続を閉じるように構成される。
【0035】
前記第2の捉え方の実装形態の一例において、前記シールオイルは第1シールオイル圧力で供給される。前記第1シールオイル圧力は70-90barであり、例えば約80barである。
【0036】
前記第2の捉え方の実装形態の一例において、前記油圧オイルは第1燃料インレット圧力で供給される。前記第1燃料インレットオイル圧力は40-60barであり、例えば約50barである。
【0037】
前記第2の捉え方の実装形態の一例において、前記コントロールオイルは第1動作テストコントロールオイル圧力で供給される。前記第1動作テストコントロールオイル圧力は200-300barであり、例えば約240barである。
【0038】
前記第2の捉え方の実装形態の一例において、前記方法は更に、前記コントロールオイルの供給を、前記第1動作テストコントロールオイル圧力未満の第2動作テストコントロールオイル圧力に低下させることを含む。前記第2動作テストコントロールオイル圧力は、前記プランジャーピストンが、前記サクションバルブを開くために必要な圧力を超える圧力を伝達すべく、前記圧縮室で前記油圧オイルを圧縮するためには十分に高い。また前記第2動作テストコントロールオイル圧力は、前記ノズル弁を開くために必要な圧力よりは低い。また前記方法は、前記供給した油圧ガスが前記ノズル開口部から外部に到達しているかをチェックすることを含む。
【0039】
前記供給したテストガスは、前記圧縮室から、前記サクションバルブ、前記燃料フルード経路、前記ノズル弁を経由して、前記ノズル開口部を通じて、外部に到達してもよい。
【0040】
前記ノズル開口部から前記油圧オイルが噴出する場合、前記ノズル弁は完全には閉じていない。油圧オイルが観測されない場合、前記ノズル弁は閉じている。
【0041】
前記第2の捉え方の実装形態の一例において、前記第2動作テストコントロールオイル圧力で供給される前記コントロールオイルは、130-170barの範囲の圧力で供給され、例えば約150barで供給される。
【0042】
上述の目的やその他の目的が、独立請求項に記載の特徴により達成される。更なる実装形態は、従属請求項や発明の詳細な説明、図面から明らかになるだろう。本発明の上述の態様及び他の態様は、以下に説明される実施例により更に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
以下、図面に示される例示的な実施形態を参照しつつ、様々な側面や実施形態、実装例を詳細に説明する。
図1】ある例示的実施形態に従う、組み立てられたインジェクションバルブの斜視図である。このインジェクションバルブは、プランジャーピストン及びトップカバーを有するバルブボディを備える。
図2】ある例示的実施形態に従う、図1の組み立てられたインジェクションバルブが、バルブホルダ及びスプレー室にセットされる様子を描いた図である。
図3a】ある例示的実施形態に従う図1のインジェクションバルブのトップカバーを示す。
図3b】ある例示的実施形態に従う図1のインジェクションバルブのプランジャーピストンを示す。
図4】ある例示的実施形態に従う図1のインジェクションバルブにセットされるコネクティングピースを示す。
図5】ある例示的実施形態に従い、バルブホルダ及びスプレー室にセットにセットされ、トップカバーとプランジャーピストンがコネクティングピースに置換されたインジェクションバルブを描いている。
図6】ある例示的実施形態に従う、コネクティングピースがセットされ、バルブボディにセットされた、インジェクションバルブの長手方向断面図である。
図7】ある例示的実施形態に従う図1のインジェクションバルブの、バルブの中央軸から離れた位置から見た長手方向断面図である。
図8図8aは、ある例示的実施形態に従うインジェクションバルブの下部の長手方向断面図であり、図8bは、図8aで丸で囲んだ部分の拡大図である。
図9】ある例示的実施形態に従う、図8aの断面図の下部の拡大図である。
図10】は、ある例示的実施形態に従う、コネクティングピースが装着されたインジェクションバルブの下部の長手方向断面図である。図8aの長手方向断面図とは別の角度から描かれている。
図11】ある例示的実施形態に従う、図10の断面図の下部の拡大図である。
図12】ある例示的実施形態に従う、インジェクションバルブのサクションバルブの閉弁位置を示す長手方向断面図である。
図13】ある例示的実施形態に従う、図12のサクションバルブの開弁位置を示す長手方向断面図である。
図14図14aは、ある例示的実施形態に従う、図1の組み立てられたインジェクションバルブの長手方向断面図である。図14bも、ある例示的実施形態に従う、図1の組み立てられたインジェクションバルブの長手方向断面図であるが、図14aとは別の角度から描かれている。
図15】ある例示的実施形態に従う、図3bのプランジャーピストンの下部の長手方向断面図である。プランジャーピストンは、図1の組み立てられたインジェクションバルブの中に位置している。
図16】ある例示的実施形態に従う、図3aのトップカバーの断面図である。
図17】ある例示的実施形態に従う、図3bのプランジャーピストンの上部の長手方向断面図である。プランジャーピストンは、図1の組み立てられたインジェクションバルブの中に位置している。
図18】ある例示的実施形態に従う、図2の組み立てられたインジェクションバルブの長手方向断面図である。インジェクションバルブはバルブホルダ及びスプレー室に設置されている。
図19図19aは、図18の一部の詳細を示す長手方向拡大断面図である。図3bのプランジャーピストン内のプランジャー室に流体的接続を提供する第1燃料注入路を示している。図19bは、図18の一部の詳細を示す長手方向拡大断面図である。図19aとは別の角度から描かれている。プランジャーピストンの下のプランジャーピストン室に流体的接続を提供する第2燃料注入路を示している。
図20】ある例示的実施形態に従うテストシステムの概略図である。このテストシステムは、図1のインジェクションバルブをテストするためのコントロールオイル及びテストガスの供給のための経路を有する。インジェクションバルブのトップカバー及びプランジャーピストンは図4のコネクティングピースに置換されている。
図21】テストシステムの概略図である。このテストシステムは、図1の組み立てられたインジェクションバルブをテストするために、シールオイル供給のための経路と、燃料インレットと、コントロールオイル又はパージオイルを有する。
【詳細説明】
【0044】
MAN Diesel&Turboは、一般的な重油燃料や、プロパンのような液化石油ガス(LPG)で動作することができる二元燃料2ストローク内燃機関のために、インジェクションバルブを設計した。
【0045】
このインジェクションバルブは、液化石油ガス(LPG)のための燃料ブースターインジェクションバルブとして使用されることができる。また、LPGを所望の噴射圧まで加圧することと、LPG噴射のタイミング及び期間が適切に行われるようにすることの、2つの機能を遂行するように設計されてもよい。
【0046】
通常動作において、インジェクションバルブにはシールオイル、プランジャーオイル、コントロールオイルが供給され、また燃料として液化石油ガス(LPG)が供給される。シールオイルは、インジェクションバルブの意図されていない領域への液化ガスの内部リークを防ぐためのものである。プランジャーオイルは燃料(LPG)を加圧するためのものである。コントロールオイルは、加圧された燃料ガスを燃焼室へ届けるためにインジェクションバルブを開弁するタイミングを制御するためのものである。液化燃料はインジェクションバルブにコンスタントに供給される。
【0047】
インジェクションバルブ10の実施例と、インジェクションバルブをテストするためのバルブホルダ1及びコネクティングピース6の実施例が、図1から19を参照して以下に説明される。
【0048】
インジェクションバルブ10はトップカバー11、プランジャーピストン16及びバルブボディ22を有する。図1,7,14a、14bを参照されたい。インジェクションバルブが組み立てられた時には、プランジャーピストン16は、バルブボディ22に有されるプランジャーピストン室23に挿入される。トップカバー11はバルブボディ22の頂部に固定される。プランジャーピストン16はプランジャーピストン室23内で移動可能にされる。
【0049】
トップカバー11はプランジャーオイルインレットポート12a、コントロールオイルインレットポート13、シールオイルインレットポート14を有する(図3a)。トップカバー11また、カバー室12bを有する。カバー室12bは、プランジャーオイルインレットポート12aと直接的な流体的接続を有する。またカバー室12bは、2つのカバー流路15a,15bを通じてコントロールオイルインレットポート13と流体的に接続している。図16を参照されたい。図16にはトップカバー11の断面図が示されており、プランジャーオイルインレットポート12aとコントロールオイルインレットポート13との間の流体的接続を提供する流路15a,15bが描かれている。
【0050】
プランジャーピストン16はプランジャー室17と、プランジャーバルブピストン19により形成されるプランジャーバルブ18と、プランジャーバルブスプリング20とを有する。図3b,14a、14bを参照されたい。プランジャーピストン16はまた、プランジャーフルード経路21を有する(図15)。プランジャーバルブピストン19が下向きに押されることによりプランジャーバルブ18が開くとき、プランジャーフルード経路21は、プランジャー室17からプランジャーピストン16底部への流体的接続を提供する。プランジャーピストン16がプランジャーピストン室23に挿入されると、バルブボディ22に圧縮室が形成される。すなわち、プランジャーピストン16の下に圧縮室25が形成される。プランジャーバルブ18が開いているとき、圧縮室25は、プランジャーフルード経路21を通じてプランジャー室17と流体的に接続している。プランジャーピストン16の下方向への移動は、プランジャーオイルインレットポート12aからカバー室12bへ供給されたコントロールオイルによって制御されてもよい。
【0051】
バルブボディ22は、第1燃料注入路27aを通じてプランジャー室17と流体的に接続している第1燃料インレットポート26を有する(図14a、19a)。そして、第1燃料インレットポート26からプランジャー室17に供給される燃料フルードの圧力は、プランジャーバルブ18を開弁してもよい。また燃料フルードは、プランジャーフルード経路21を通じてプランジャー室から圧縮室25内へと流れてもよい。バルブボディはまた、第2燃料注入路29を通じて圧縮室25と直接に流体的に接続されている第2燃料インレットポート28を有する(図14b、19b)。
【0052】
プランジャー室17、及び、プランジャー室17に燃料フルードを送達する第1燃料注入路27aの一部は、プランジャーピストン16がどの位置にあっても、第1燃料インレットポート26とプランジャー室17との間の流体的接続を提供するように構成される。圧縮室25及び第2燃料注入路29は、プランジャーピストン16が最も上の位置にあってプランジャーピストン16にコントロールオイル圧力が供給されていないときに、第2燃料インレットポート28と圧縮室25との間の流体的接続を提供するように構成される。また、カバー室12bを通じて供給される油圧でプランジャーピストン16が下方に移動すると、第2燃料インレットポート28と圧縮室25との間の流体的接続を閉じるように構成される。
【0053】
バルブボディ22は、圧縮室25の底部に、サクションバルブ室34及びサクションバルブ32を保持する(図8a)。サクションバルブ32はサクションピストン35及びサクションピストンスプリング36を含む。バルブボディ22はまた、ノズル弁室39及びノズル弁38を保持する。ノズル弁38はノズルピストン41及びノズル弁スプリング40を含む。バルブボディ22の底部には、液体燃料のアウトプットのために、ノズル開口部46を有するノズル45が保持される。図10及び11に示されるように、いくつかの燃料フルード経路37がバルブボディ22内に形成される。燃料フルード経路37は、圧縮室25内の流体圧力によって提供されるサクションピストン35の圧力でサクションバルブ32が開き、ノズルピストン41の圧力でノズル弁38が開いたときに、圧縮室25からノズル開口部46への流体的接続を提供するように構成される。
【0054】
コントロールオイル経路30はバルブボディ22内に設けられる。図9及び14aを参照されたい。通常動作において、コントロールオイルは、コントロールオイルインレットポート13経由でコントロールオイル経路に供給される。コントロールオイル経路30は、ノズルピストン41の上行運動のための圧力を提供するように構成される。それによってノズル弁38が開き、液体燃料がノズル開口部46を通じて脱出することが可能となる。
【0055】
プランジャー室17に燃料フルードを供給することに加えて、第1燃料インレットポート26は、第1燃料注入路27b及びサクションバルブ燃料油経路33を通じてサクションバルブ室34に燃料フルードを供給する。それによって、サクションピストン35に上向きの圧力を提供することに関して、サクションピストンスプリング36を補助する。図8aを参照されたい。第1燃料インレットポート26は更に、ノズルピストン41を囲むノズルピストン燃料油室44に、第1燃料注入路27b経由で燃料フルードを供給する。
【0056】
バルブボディ22内にはシールオイル経路31も設けられる。通常動作において、シールオイルは、シールオイルインレットポート14経由でシールオイル経路に供給される。図14bを参照されたい。シールオイル経路31は、プランジャーピストン室23内でプランジャーピストン16をシールするために、プランジャーピストンシール室24にシールオイルを送達するように構成される。図14b、図17を参照されたい。シールオイル経路31はまた、ノズル弁スプリング40を保持するノズル弁室39にシールオイルを送達するように構成される。図14bを参照されたい。ノズルピストン41はノズルピストンオイル経路42を有する。ノズルピストンオイル経路42は、ノズルピストン41を囲むノズルピストンシール室43と流体的に接続している。図8a、8bを参照されたい。シールオイルはノズル弁スプリング40を通過し、ノズルピストンオイル経路42を通じてノズルピストンシール室43へと流れていく。それによってノズルピストン41をシールすると共に、ノズルピストン41に下向きの圧力を提供する。
【0057】
図12は、圧縮室25の下の、インジェクションバルブ10のサクションバルブ32の長手方向断面拡大図である。サクションピストン35は、サクションバルブ32を閉じる、その最も上の位置にあり、それによって圧縮室25から燃料フルード経路37内へのフルードの流れを遮断している。図13は、サクションピストン35が下方に圧力を受けており、それによってサクションバルブ32を開き、圧縮室25と燃料フルード経路37との間の流体的接続を提供している様子を描いている。
【0058】
図11は、図10の断面図の下部の拡大図であり、上方に圧力を受けたノズルピストン41によってノズル弁38が開き、燃料フルード経路37とノズル開口部46との間の流体的接続を提供している様子を描いている。
【0059】
図2及び18は、図1のインジェクションバルブ10を描いている。インジェクションバルブ10は、組み立てられたインジェクションバルブをテストするためにバルブホルダ1内に搭載されている。バルブホルダ1はスプレー室5aに接続されている。バルブホルダ1には上プレート2a及び下プレート2bが設けられ、下プレート2bがスプレー室5a.に接続されている。インジェクションバルブ10は、トップカバー11を上プレート2aに固定する上側ナット3aと、上プレート2aを下プレート2bに固定する下側ナットにより、バルブホルダ1に接続されている。バルブホルダ1には、バルブボディ22の第1及び第2インレットポート26,28に燃料フルードを導入する入口である燃料インレット4aが設けられる(図19a,19b)。バルブホルダ1にはまた、テスト中にインジェクションバルブ10から漏れ出すオイルの出口となるリークアウトレット4bが設けられる。バルブボディ22の上部は上プレート2aの開口部に挿入され、バルブボディ22のノズル45は下プレート2bの開口部を通ってスプレー室5aに達する。
【0060】
図19aは、バルブボディ22がどのようにしてバルブホルダ1にセットされるのかを示している。第1燃料インレットポート26が、バルブホルダ1の燃料インレット4aと流体的に接続するようにセットされていることが示されている。バルブホルダ1の内側とバルブボディ22の外側は、バルブボディ22を囲む燃料インレット室を構成するように形成されており、下側シールリングと上側シールリングでシールされている。第1燃料インレットポート26と第2燃料インレットポート28の両方が、この燃料インレット室内まで延びており、それによって燃料油が、燃料インレット4a経由で第1及び第2燃料インレットポート26,28へと供給されることができる。
【0061】
サクションバルブ32及びノズル弁38に漏れがないことをテストするために、コネクティングピース6が提供される。この種のテストのために、トップカバー11及びプランジャーピストン16はバルブボディ22から取り外され、コネクティングピース6がバルブボディ22.のプランジャーピストン室23に挿入される。
【0062】
図4は、このようなコネクティングピース6、すなわち、図1に示されたインジェクションバルブ10のバルブボディ22から、トップカバー11及びプランジャーピストン16が取り外された後に、バルブボディ22にセットされるべきコネクティングピース6の実施例を描いている。コネクティングピース6は上部パーツ7及びダミースラストピース9aを有する。上部パーツ7は上部パーツ第1フルードインレットポート8a及び上部パーツ第2フルードインレットポート8bを有する。ダミースラストピース9aは上部パーツ7の下に延在する。ダミースラストピース9aは、自身の内部を走るスラストピース流路9bを有する。図6,を参照されたい。スラストピース流路9bの頂部は、フルードの供給のために上部パーツ第1フルードインレットポート8aに接続されている。スラストピース流路9bの底部は、フルードの排出のために、開放されている。
【0063】
図5は、トップカバー11及びプランジャーピストン16がコネクティングピース6に置換された時に、バルブホルダ1及びスプレー室5aにセットされたインジェクションバルブ10を描いている。コネクティングピース6の上部パーツ7は、コネクティングピースナット8cによってバルブボディ22に固定されている。バルブホルダ1には上プレート2a及び下プレート2bが設けられ、下プレート2bがスプレー室5a.に接続されている。バルブボディ22及びコネクティングピース6は、コネクティングピース6の上部パーツ7を上プレート2aに固定する上側ナット3aと、上プレート2aを下プレート2bに固定する下側ナットにより、バルブホルダ1に接続されている。バルブホルダ1には、バルブボディ22の第1及び第2インレットポート26,28に燃料フルードを導入する入口である燃料インレット4aが設けられてもよい(図19a,19b)。バルブホルダ1にはまた、テスト中にインジェクションバルブ10から漏れ出すオイルの出口となるリークアウトレット4bが設けられる。しかし、サクションバルブ32及びノズル弁38をテストするために、燃料インレット4aを通じたバルブボディ22への燃料インレットは存在しない。
【0064】
サクションバルブ32及びノズル弁38をテストするための好適な実施形態においては、スプレー室5aはフレキシブルホース5bに置換される。フレキシブルホース5bはバルブボディ22のノズル開口部46に流体的に接続し、また水などの液体を貯める外部容器5cに接続している。図20を参照されたい。ノズル開口部46は、逆止弁5dに接続される管端を有する管に繋がっていると共に、例えば0.3mmのような比較的小さな直径を有し、フレキシブルホース5bに接続される管口にも繋がっている。逆止弁5dは、例えば3barの圧力で開くように設計されてもよい。従って、ノズル開口部46から何らかのテストガスが出てくることがあれば、そのテストガスは外部容器5cの液体の泡として観察することができる。
【0065】
もし、ノズル開口部46から漏れ出すテストガスの圧力が逆止弁5dの開弁圧力より上であれば、逆止弁5dが開いて、たくさんのテストガスが外部容器5c内の液体を通って噴き出ることを防止する。
【0066】
図6は、バルブボディ22の長手方向断面図である。コネクティングピース6がバルブホルダ1に取り付けられてプランジャーピストン室23に挿入されている。図5も参照されたい。コネクティングピース6の上部パーツ7は、コネクティングピースナット8cによってバルブボディ22に固定されている。バルブホルダ1には上プレート2a及び下プレート2bが設けられ、下プレート2bがスプレー室5a.に接続されている。バルブボディ22及びコネクティングピース6は、コネクティングピース6の上部パーツ7を上プレート2aに固定する上側ナット3aと、上プレート2aを下プレート2bに固定する下側ナットにより、バルブホルダ1に接続されている。バルブホルダ1には燃料インレット4aが設けられてもよい。しかし、サクションバルブ32及びノズル弁38をテストするために、燃料インレット4aを通じたバルブボディ22への燃料インレットは存在しない。
【0067】
図6は、ダミースラストピース9aがどのようにプランジャーピストン室23に挿入されるかを示している。フルードの供給のために、ダミースラストピース9aの内部を走るスラストピース流路9bが上部パーツ第1フルードインレットポート8aに接続され、ダミースラストピース9aの底部の開口部はプランジャーピストン室23の底部を通って、サクションバルブ32にフルードの圧力を伝えている。図6はまた、ノズル弁スプリングを有するノズル弁38の構成も示している。ノズル開口部からバルブホルダ1の下プレート2bの下にフルードが出ることを可能にするために、ノズル45が下プレート2bの開口部を通り抜けている。サクションバルブ32とノズル弁38の両方が開いていると、スラストピース流路9bを通って届けられたフルードは、サクションバルブ38を通過し、燃料フルード経路37を通って流れ(図10)、ノズル弁38を通過してノズル開口部46へと流れる。
【0068】
図20はテストシステム100のダイアグラムである。図1のインジェクションバルブ10のバルブボディ22のサクションバルブ32及びノズル弁38をテストするための、コントロールオイル100dやテストガス100cを供給するためのラインが示されている。トップカバー11及びプランジャーピストン16は図4のコネクティングピース6に置換されている。
【0069】
このテストのために、プランジャーピストン室23に挿入されたコネクティングピース6を有するバルブボディ22がバルブホルダ1に取り付けられている。図5及び6も参照されたい。窒素の形であるテストガスが、ガスアウトレット100cを通じて、コネクティングピース6の上部パーツ7の第1フルードインレットポート8aへとシステムから供給される。また、コントロールオイルが、コントロールオイルアウトレット100dを通じて、上部パーツ7の第2フルードインレットポート8bへと供給される。ノズル開口部46は、逆止弁5dに接続される管端を有する管に接続されている。逆止弁5dの手前に位置する管口はフレキシブルホース5bに接続されている。フレキシブルホース5bは外部容器5cの液体の中まで延びており、テストガスがノズル開口部を通じて流れ出ると、外部容器5cの液体内の泡として観察することができる。
【0070】
図20及び21に描かれるテストシステム100は、7-10barの範囲の圧力の空気を取り入れるためのエアーインレット100bを備える。この加圧された空気は、3つの圧力制御弁、すなわちコントロールオイル圧力制御弁108、シールオイル圧力制御弁115、燃料油圧力制御弁120への入力として使用される。ガスインレット100aは、テストガスを取り入れるために設けられる。テストガスは窒素の形態であり、200-300barの範囲の圧力を有する。加圧された窒素はガス塞止弁110に供給される。また、ガス塞止弁110からガスアウトレット100cへと出てくるガスの圧力を制御するために、ガス圧力制御弁112が設けられる。ガス塞止弁110とガスアウトレット100cとの間のガスラインにガス圧力逃し弁111が接続している。ガスの圧力はガス圧力ゲージ113で読み取ることができる。
【0071】
油圧オイルの形であるテストフルードを届けるために、油圧オイルを保持するオイルタンク109が設けられる。油圧オイルは、粘度が10センチストローク(cSt)のミネラル油圧オイルであってもよい。オイルタンク109の出口は、3つのエアー駆動式ポンプに接続される。これらは、コントロールオイル圧力制御弁108によって制御されるコントロールオイルエアー駆動式ポンプ107と、シールオイル圧力制御弁115によって制御されるシールオイルエアー駆動式ポンプ118と、燃料油圧力制御弁120によって制御される燃料油エアー駆動式ポンプ123である。コントロールオイルエアー駆動式ポンプ107からの油圧はコントロールオイル圧力ゲージ106で読み取ることができる。コントロールオイルエアー駆動式ポンプ107からの油圧は、コントロールオイル圧力逃し弁102で解放することができる。その場合、放出される油圧オイルはオイルタンク109へと戻される。
【0072】
コントロールオイル塞止弁103の開閉で蓄圧されうる油圧アキュムレータ105も設けられる。油圧アキュムレータ105を高圧から守るために、コントロールオイル圧力安全弁104も設けられる。これは、最大動作圧力を240barに設定した安全弁である。油圧アキュムレータ105は膜式のアキュムレータである。これは、ゴムの膜で分離されたチャンバー(室)を有する。膜の一方の側には圧力120barの窒素が存在し、別の側にはコントロールオイルエアー駆動式ポンプ107から供給された油圧オイルが存在する。油圧オイルの圧力が0barである間は、アキュムレータの全容積が窒素で満たされる。120barより高い圧力の油圧オイルを供給すると、窒素が圧縮され、油圧オイルが油圧アキュムレータの容積を満たし始める。テストシステム100におけるアキュムレータ105の目的は、油圧オイルを圧力で内部に蓄積することである。油圧を解放している間、アキュムレータ105から、高いピークのオイル流量を得ることができる。
【0073】
コントロールオイル方向弁101は、コントロールオイルエアー駆動式ポンプ107及び油圧アキュムレータ105からコントロールオイルアウトレット100dへのコントロールオイルの供給路を開いたり閉じたりするために設けられる。組み立てられたインジェクションバルブ10をテストする間、コントロールオイル方向弁101を通ってコントロールオイルアウトレット100dへと、高い流量のコントロールオイルを短時間で供給する必要がある。ポンプ107だけでは、要求される流量のコントロールオイルを提供することができない。そこで、油圧アキュムレータ105からの高いピークのコントロールオイルの送達が必要とされるのである。
【0074】
シールオイルは、シールオイルエアー駆動式ポンプ118からシールオイルアウトレット100eへと供給される。シールオイルエアー駆動式ポンプ118からの圧力はシールオイル圧力ゲージ117で読み取ることができる。シールオイルエアー駆動式ポンプ118からの圧力は、シールオイル圧力逃し弁114で解放することができる。解放するときに放出される油圧オイルはオイルタンク109へと戻っていく。シールオイル圧力安全弁116は、シールオイル圧力ゲージ117の保護のために設けられる。シールオイル圧力安全弁116は、シールオイルエアー駆動式ポンプ118の出力側における最大動作圧力が150barに設定される。シールオイル圧力が150barを超えると、シールオイル安全弁116が開いて油圧オイルがオイルタンク109へと戻っていく。
【0075】
燃料油は、燃料油エアー駆動式ポンプ123から燃料油アウトレット100fへと供給される。燃料油エアー駆動式ポンプ123の圧力は燃料油圧力ゲージ122で読み取ることができる。燃料油エアー駆動式ポンプ123からの圧力は、燃料油圧力逃し弁119で解放することができる。解放するときに放出される油圧オイルはオイルタンク109へと戻っていく。燃料油圧力安全弁121は、燃料油圧力ゲージ122の保護のために設けられる。燃料油圧力安全弁121は、燃料油エアー駆動式ポンプ123の出力側における最大動作圧力が150barに設定される。燃料油圧力が150barを超えると、燃料油安全弁121が開き、油圧オイルはオイルタンク109へと戻っていく。
【0076】
図21は、図20に関連して上に説明したテストシステム100の概略図である。テストシステム100は、図1の組み立てられたインジェクションバルブ10の動作テストのために、シールオイル供給のためのシールオイルアウトレット100e、燃料油供給のための燃料油アウトレット100f、コントロールオイル又はプランジャーオイル供給のためのアウトレット100dを有する。
【0077】
この動作テストのために、バルブボディ22やプランジャーピストン16,トップカバー11を有する組み立てられたインジェクションバルブ10は、バルブホルダ1に固定される。図2に関連して以前に説明した通りである。バルブホルダ1はスプレー室5aに接続され、ノズル45はスプレー室に入り込んでおり、ノズル開口部に達した油圧オイルはスプレー室5aに噴霧される。トップカバー11のプランジャーオイルインレットポート12aには、コントロールオイルアウトレット100dからの油圧オイルが供給される。トップカバー11のシールオイルインレットポート14には、シールオイルアウトレット100e,からの油圧オイルが供給される。バルブホルダ1の燃料インレット4aには燃料油アウトレット100fからの油圧オイルが供給される。燃料インレット4aに供給された油圧オイルは、燃料インレット4aから更に、バルブボディの第1及び第2燃料インレットポート26,28へと供給される。図19a及び19bに関連して前に説明した通りである。このテストのために、コントロールオイルインレットポート13が閉じられ、供給された油圧オイルがプランジャーオイルインレットポート12aからカバー流路15a,15bを通じてコントロールオイル経路30へと達する。
【0078】
〔サクションバルブ32のテスト〕
このテストはテストシステム100を使って、また図20に関連して図示し説明してきたテストセットアップを使って行われる。このテストの目的は、サクションピストン35が燃料フルード経路37への入力を完全に閉じるときに、サクションバルブ32がきっちりと閉じているかを確認することである。図12及び13も参照されたい。
[1]トップカバー11及びプランジャーピストン16をバルブボディ22から取り外し、コネクティングピース6をバルブボディ22に装着する。そして、コネクティングピース6が取り付けられたバルブボディ22をバルブホルダ1に装着する。
[2]コントロールオイルアウトレット100dを上部パーツ7の第2フルードインレットポート8bに接続する。
[3]コントロールオイル圧力逃し弁102を閉じる。
[4]コントロールオイル塞止弁103を閉じる。
[5]コントロールオイル方向弁101を開弁位置にセットする。
[6]ガス塞止弁110を開く。
[7]コントロールオイル圧力制御弁118によってコントロールオイル圧力を300barに上昇させる。第1コントロールオイル圧力である300barでコントロールオイルを供給することにより、この第1コントロールオイル圧力はコントロールオイル経路30を通じてノズルピストン41に達する。この第1コントロールオイル圧力は、ノズル弁38を開くための既定のコントロールオイル開弁圧力以上であるので、ノズルピストン41がリフトしてノズル弁38が開く。
[8]フレキシブルガスホースを使って、ガスアウトレット100cを上部パーツ7の第1フルードインレットポート8aに接続する。それによって、窒素ガスであるテストガスが、スラストピース流路9bを通じてサクションピストン32に供給されることを可能にする。スラストピース流路9bは、コネクティングピース6のダミースラストピース9aに設けられている。
[9]ガス圧力逃し弁111を閉じる。
[10]ガス圧力制御弁112によって窒素圧力を30barに上昇させる。窒素ガスの圧力はガス圧力ゲージ113に示される。第1ガス圧力は30barであり、サクションピストン35の圧力でサクションバルブ32を開くために必要な既定のガス圧力より低い。その第1ガス圧力で窒素を供給するため、サクションバルブ32は閉じたままである。
[11]外部容器5cの液体内に窒素の泡が観察されるかどうかをチェックする。
【0079】
外部容器5c内にガスの泡が観測された場合、サクションバルブ32は完全には閉じていない。泡が観測されない場合、サクションバルブ32はしっかりと閉じている。
【0080】
サクションバルブ32のテストは、更に次のステップを含んでもよい。
[12]ガス圧力制御弁112によって窒素圧力を40-50barに上昇させる。窒素ガスの圧力はガス圧力ゲージ113に示される。第2ガス圧力は30barより高く、サクションピストン35の圧力でサクションバルブ32を開くために必要な既定のガス圧力より高い。その第2ガス圧力で窒素を供給するため、サクションバルブ32は開く。
[13]外部容器5cの液体内に窒素の泡が観察されるかどうかをチェックする。
30barである第1テストガス圧力において観察されたテストガス泡の量に比べて、テストガス泡の量の増加が観察された場合、サクションバルブ32は要求されたとおり開いた。
【0081】
〔ノズル弁38のテスト〕
このテストはテストシステム100を使って、また図20に関連して図示し説明してきたテストセットアップを使って行われる。このテストの目的は、ノズルピストン41が燃料フルード経路37からの出力を完全に閉じるときに、ノズル弁38がきっちりと閉じているかを確認することである。図10及び11も参照されたい。
[14]コントロールオイル方向弁101を閉鎖位置にセットし、コントロールオイルアウトレット100dからトップカバー11の第2フルードインレットポート8bにコントロールオイルが供給されないようにする。コントロールオイルがもはや第2フルードインレットポート8bに供給されないようにすることで、ノズルピストン41をリフトさせるコントロールオイル圧力が存在せず、ノズル弁38は閉じる。
[15]コントロールオイル圧力制御弁108を反時計方向に回し、コントロールオイルエアー駆動式ポンプ107を停止する。
[16]コントロールオイル圧力逃し弁102を開き、放出された油圧オイルがオイルタンク109に還流することを可能にする。
[17]ガス塞止弁110を開く。
[18]ガス圧力制御弁112によって窒素圧力を100barに上昇させる。窒素ガスの圧力はガス圧力ゲージ113に示される。サクションピストン35の圧力でサクションバルブ32を開くために必要な既定のガス圧力より高い圧力である100barで窒素を供給するため、サクションバルブ32が開き、燃料フルード経路37への入力が開く。
[19]外部容器5cの液体内に窒素の泡が観察されるかどうかをチェックする。
[20]ガス塞止弁110を閉じる。
[21]ガス圧力逃し弁111により窒素の圧力を解放する。ガス圧力ゲージ113は0barを示すだろう。
【0082】
ステップ19でテストガスの泡が観測された場合、ノズル弁38は完全には閉じていない。泡が観測されない場合、ノズル弁38はしっかりと閉じている。
【0083】
〔組み立てられたインジェクションバルブ10の動作テスト〕
このテストはテストシステム100を使って、また図21に関連して図示し説明してきたテストセットアップを使って行われる。このテストの目的は、組み立てられたインジェクションバルブ10が、通常動作モードにおいて期待される通りに動作することを確認することである。このテストのために、インジェクションバルブ10は完全に組み立てられる。このテストのために、コントロールオイルインレットポート13は閉じられ、供給された油圧オイルはカバー室12bを通じてプランジャーオイルインレットポート12aからプランジャーピストン室23へと達し、プランジャーピストン16に圧力を提供する。また、カバー流路15a,15bを通じてプランジャーオイルインレットポート12aからコントロールオイル経路30に流入し、ノズルピストン41に圧力を提供する。
[1]コネクティングピース6をバルブボディ22から取り外す。
[2]インジェクションバルブ10を組み立てる。プランジャーピストン16をバルブボディ22に挿入し、トップカバー11をバルブボディに取り付ける。トップカバーが取り付けられたインジェクションバルブ10を、スプレー室5aを有するバルブホルダに取り付ける。
[3]コントロールオイルアウトレット100dをプランジャーオイルインレットポート12aに接続し、シールオイルアウトレット100eをシールオイルインレットポート14に接続する。
[4]燃料油アウトレット100fを燃料インレット4aに接続する。
[5]コントロールオイル塞止弁103を開く。
[6]圧力逃し弁102,114,119を閉じる。
[7]燃料油圧力制御弁120によって燃料油の圧力を50barに上昇させる。窒素ガスの圧力は燃料油圧力ゲージ122に示される。油圧オイルの形で燃料油を、50barの第1燃料インレット圧力でバルブホルダ1の燃料インレット4aに供給することで、供給された燃料油は、第1燃料インレットポート26及び第1燃料注入路27aを通じて第1燃料インレット圧力でプランジャー室17に到達する。第1燃料インレット圧力は、プランジャーバルブ18を開くために十分高い圧力である既定の燃料インレット圧力以上の圧力である。このためプランジャーバルブ18は、プランジャーバルブピストン19が下方に押すことで開き、油圧オイルがプランジャーバルブ18を通って圧縮室25に入ることが可能になる。
[8]シールオイル圧力制御弁115によって燃料油の圧力を80barに上昇させる。シールオイルの圧力はシールオイル圧力ゲージ117に示される。シールオイルを、80barである第1シールオイル圧力でシールオイルインレットポート14に供給することで、供給されたシールオイルは、シールオイル経路31を通じてプランジャーピストンシール室24及びノズル弁室39にこの第1シールオイル圧力で到達する。第1シールオイル圧力は、プランジャーピストン室23内でプランジャーピストン16をシールするために必要な圧力及びノズル弁室39内でノズルピストン41をシールするために必要な圧力以上の圧力である。
[9]コントロールオイル方向弁101を閉鎖位置にセットする。
[10]コントロールオイル圧力制御弁108によってコントロールオイルの圧力を240barに上昇させる。コントロールオイルの圧力はコントロールオイル圧力ゲージ106に示される。コントロールオイルエアー駆動式ポンプ107が動作を開始し、油圧アキュムレータ105を油圧オイルで満たす。
[11]コントロールオイルの供給を開始すべく、コントロールオイル方向弁101を素早く開弁位置にセットする。油圧アキュムレータ105内に蓄積された油圧が、ポンプ107が送給可能な流量よりも大きな流量を送り出す。そのような大きな流量は、インジェクションバルブ10の正しい動作のために必要である。コントロールオイルを、第1動作テストコントロールオイル圧力である240barでプランジャーオイルインレットポート12aに供給することにより、供給されたコントロールオイルは、この第1動作テストコントロールオイル圧力でプランジャーピストン16に達すると共に、コントロールオイル経路30を通じてノズルピストン41にも第1動作テストコントロールオイル圧力で到達する。第1動作テストコントロールオイル圧力は、既定の動作コントロールオイル圧力以上の圧力である。既定の動作コントロールオイル圧力は、圧縮室25内でプランジャーピストン16が油圧オイルを圧縮し、サクションバルブ32を開くために必要な圧力より高い圧力を伝達するために必要な圧力である。既定の動作コントロールオイル圧力はまた、ノズルピストン41がノズル弁38を開くために十分な高圧である。このため、サクションバルブ32,ノズル弁38は開く。
[12]圧縮されたオイルがノズル開口部46からスプレー室5aに噴霧されるかどうかをチェックする。
[13]コントロールオイル方向弁101を閉鎖位置にセットする。
[14]圧力制御弁108,115,120を反時計方向に回す。
[15]圧力逃し弁102,114,119を開き、コントロールオイル圧力,シールオイル圧力,燃料油圧力を逃がす。
【0084】
ステップ12においてノズル開口部46からスプレー室に油圧オイルが噴霧された場合、完成したインジェクションバルブ10のバルブ18,32,38は、通常動作モードにおいて期待されているように開いている。
【0085】
動作テストは更にノズル弁38のシールテストを含んでもよい。
[16]圧力逃し弁102,114,119を閉じる。
[17]燃料油圧力制御弁120によって燃料油の圧力を50barに上昇させる。窒素ガスの圧力は燃料油圧力ゲージ122に示される。
[18]シールオイル圧力制御弁115によって燃料油の圧力を80barに上昇させる。シールオイルの圧力はシールオイル圧力ゲージ117に示される。
[19]コントロールオイル圧力制御弁108によってコントロールオイルの圧力を150barに上昇させる。コントロールオイルの圧力はコントロールオイル圧力ゲージ106に示される。コントロールオイルエアー駆動式ポンプ107が動作を開始し、油圧アキュムレータ105を油圧オイルで満たす。
[20]コントロールオイルの供給を開始すべく、コントロールオイル方向弁101を素早く開弁位置にセットする。油圧アキュムレータ105内に蓄積された油圧が、ポンプ107が送給可能な流量よりも大きな流量を送り出す。コントロールオイルを、第2動作テストコントロールオイル圧力である150barでプランジャーオイルインレットポート12aに供給することにより、供給されたコントロールオイルは、この第2動作テストコントロールオイル圧力でプランジャーピストン16に達すると共に、コントロールオイル経路30を通じてノズルピストン41にも第2動作テストコントロールオイル圧力で到達する。第2動作テストコントロールオイル圧力は、圧縮室25内でプランジャーピストン16が油圧オイルを圧縮し、サクションバルブ32を開くために必要な圧力より高い圧力を伝達するために十分に高圧である。サクションバルブ32は開く。しかし第2動作テストコントロールオイル圧力は、ノズル弁38を開くために必要な圧力より低い。このためノズル弁38は閉じたままである。
[21]圧縮されたオイルがノズル開口部46からスプレー室5aに噴霧されるかどうかをチェックする。
[22]コントロールオイル方向弁101を閉鎖位置にセットする。
[23]圧力制御弁108,115,120を反時計方向に回す。
[24]圧力逃し弁102,114,119を開き、コントロールオイル圧力,シールオイル圧力,燃料油圧力を逃がす。
【0086】
ノズル開口部46からスプレー室5aに油圧オイルが噴霧されれば、ノズル弁38は完全に閉じてはいない。油圧オイルが観測されない場合、ノズル弁38はしっかりと閉じている。
【0087】
様々な実施例を用いて、本発明を説明してきた。しかし、本願の明細書や図面、特許請求の範囲を検討すれば、当業者は、特許請求の範囲に記載される発明を実施するにおいて、説明された実施例に加えて多くのバリエーションが存在することを理解し、また具現化することができるであろう。特許請求の範囲に記載される「備える」「有する」「含む」との語句は、記載されていない要素やステップが存在することを排除しない。特許請求の範囲において記載される要素の数が複数であると明示されていなくとも、当該要素が複数存在することを除外しない。
【符号の説明】
【0088】
インジェクションバルブ 10
トップカバー 11
プランジャーオイルインレットポート 12a
コントロールオイルインレットポート 13
シールオイルインレットポート 14
カバー室 12b
カバー流路 15a, 15b
プランジャーピストン 16
プランジャー室 17
プランジャーバルブ 18
プランジャーバルブピストン 19
プランジャーバルブスプリング 20
プランジャーフルード経路 21
バルブボディ22
プランジャーピストン室23
プランジャーピストンシール室 24
圧縮室 25
第1燃料インレットポート 26
第1燃料注入路 27a, 27b
第2燃料インレットポート 28
第2燃料注入路 29
コントロールオイル経路 30
シールオイル経路 31
サクションバルブ 32
サクションバルブ燃料油経路 33
サクションバルブ室 34
サクションピストン 35
サクションピストンスプリング 36
燃料フルード経路 37
ノズル弁 38
ノズル弁室 39
ノズル弁スプリング 40
ノズルピストン 41
ノズルピストンオイル経路 42
ノズルピストンシール室 43
ノズルピストン燃料油室 44
ノズル 45
ノズル開口部 46
バルブホルダ 1
上プレート 2a
下プレート 2b
上側ナット 3a
下側ナット 3b
燃料インレット 4a
リークアウトレット 4b
スプレー室 5a
コネクティングピース 6
上部パーツ 7
上部パーツ第1フルードインレットポート 8a
上部パーツ第2フルードインレットポート 8b
ダミースラストピース 9a
スラストピース流路 9b
コネクティングピースナット 8c
フレキシブルホース 5b
外部容器 5c
逆止弁 5d
テストシステム 100
ガスインレット 100a
エアーインレット 100b
ガスアウトレット 100c
コントロールオイルアウトレット 100d
シールオイルアウトレット 100e
燃料油アウトレット 100f
コントロールオイル方向弁 101
コントロールオイル圧力逃し弁 102
コントロールオイル塞止弁 103
コントロールオイル圧力安全弁 104
油圧アキュムレータ 105
コントロールオイル圧力ゲージ 106
コントロールオイルエアー駆動式ポンプ 107
コントロールオイル圧力制御弁 108
オイルタンク 109
ガス塞止弁 110
ガス圧力逃し弁 111
ガス圧力制御弁 112
ガス圧力ゲージ 113
シールオイル圧力逃し弁 114
シールオイル圧力制御弁 115
シールオイル圧力安全弁 116
シールオイル圧力ゲージ 117
シールオイルエアー駆動式ポンプ 118
燃料油圧力逃し弁 119
燃料油圧力制御弁 120
燃料油圧力安全弁 121
燃料油圧力ゲージ 122
燃料油エアー駆動式ポンプ 123
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21