(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】連続的な標識スキームを使用した合成による配列決定方法
(51)【国際特許分類】
C07H 19/00 20060101AFI20240610BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20240610BHJP
C12Q 1/6874 20180101ALI20240610BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALI20240610BHJP
C12Q 1/6876 20180101ALI20240610BHJP
【FI】
C07H19/00
C12N15/09 Z ZNA
C12Q1/6874 Z
C12Q1/6869 Z
C12Q1/6876 Z
(21)【出願番号】P 2022536972
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 EP2020086902
(87)【国際公開番号】W WO2021123074
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-07-22
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196243
【氏名又は名称】運 敬太
(72)【発明者】
【氏名】アスティエ,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ベルクマン,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ハインドル,ディーター
【審査官】松村 真里
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/178393(WO,A1)
【文献】特開2002-360247(JP,A)
【文献】特表2005-516628(JP,A)
【文献】国際公開第2018/129214(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/053719(WO,A2)
【文献】特表2005-511058(JP,A)
【文献】特表2017-515887(JP,A)
【文献】特表2004-510433(JP,A)
【文献】WINKLER,Johannes,THER.DELIV.,2013年,Vol.4, No.7,pp.791-809
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H 19/00
C12Q 1/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体支持体上に配列された複数の標的ポリヌクレオチドを配列決定する方法であって、
(i) 4つの異なるヌクレオチドのうちの1つを、前記複数の標的ポリヌクレオチドの各々に相補的な新生核酸コピー鎖に取り込むこと、ここで、前記4つの異なるヌクレオチドの各々が、(i)3’-ヒドロキシル保護基、および(ii)切断可能なリンカーを介して核酸塩基に結合した第1の反応性基を含み、前記4つの異なるヌクレオチドの各々の異なるヌクレオチドが、異なる核酸塩基および異なる第1の反応性基を含むものであり、前記第1の反応性基がオリゴヌクレオチドであり、かつ、前記第1の反応性基がLNA修飾オリゴヌクレオチドまたはPNA修飾オリゴヌクレオチドを含むものであり;
(ii) ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の異なるサブセットを順次形成すること、ここで、形成されたヌクレオチド-コンジュゲート複合体の各々の異なるサブセット内の各ヌクレオチド-コンジュゲート複合体が、前記新生核酸コピー鎖に取り込まれた前記異なるヌクレオチドのうちの1つのみに由来するものであり、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の各々の異なるサブセットの前記順次形成が、以下を含むものである:
a. 検出可能な標識を含み、前記新生核酸
コピー鎖に取り込まれた前記4つの異なるヌクレオチドのうちの1つのみと直交反応性であるコンジュゲートを導入すること、ここで、前記コンジュゲートが前記第1の反応性基と相補的なオリゴヌクレオチドである第2の反応性基を含むものであり、前記第2の反応性基がLNA修飾オリゴヌクレオチドまたはPNA修飾オリゴヌクレオチドを含むものであり;
b. 導入された各コンジュゲートの標識を検出することによって、前記サブセット内の各ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の形成を検出すること;
c. 前記サブセット内の検出された各ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の前記固体支持体内の位置を決定すること;および
d. 前記サブセット内の形成された検出可能なヌクレオチド-コンジュゲート複合体の各々から少なくとも1つの検出可能な標識を切断すること;
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記4つの異なるヌクレオチドが、式(IC)、(ID)、(IE)および(IF):
【化1】
[式中、
W
Aはアデニン核酸塩基であり、W
Gはグアニン核酸塩基であり、W
Cはシトシン核酸塩基であり、W
Rはチミン核酸塩基またはウラシル核酸塩基の1つであり;
Z
1A、Z
1B、Z
1CおよびZ
1Dは、それぞれ異なる第1反応性基であり;
Yは-O-P(O)(OH)[-O-P(O)(OH)]
z-OHであり、ここで、zは2~約5の範囲であり;
PGは保護基であり;かつ
各L
1は、独立して、1~約60の間の炭素原子を有する、直鎖もしくは分枝鎖の、置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の脂肪族部分もしくは芳香族部分であるか、または、独立して、1つもしくは複数のヘテロ原子で置換されている1~約60の間の炭素原子を有する、直鎖もしくは分枝鎖の、置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の脂肪族部分もしくは芳香族部分であり、ただし、L
1は1つまたは複数の切断可能な基を含む]
の構造を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
導入された前記コンジュゲートが、式(IIA)または(IIB):
【化2】
[式中、
Dは、検出可能な標識または検出可能な標識を含むコンジュゲートであり;
L
2は、1~約60の間の炭素原子を有する、直鎖もしくは分枝鎖の、置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の脂肪族部分もしくは芳香族部分であるか、または、1つもしくは複数のヘテロ原子を含み、1~約60の間の炭素原子を有する、直鎖もしくは分枝鎖の、置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の脂肪族部分もしくは芳香族部分であり;
Z
2は、第2の反応性基であり;かつ
pは、2~約1000の範囲である]
のいずれか1つの構造を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
固体支持体上に配列された複数の標的ポリヌクレオチドの配列を決定する方法であって、
(i) 4つの異なるヌクレオチドのうちの1つを、前記複数の標的ポリヌクレオチドの各々に相補的な新生核酸鎖に取り込むこと、ここで、前記4つの異なるヌクレオチドの各々が、切断可能なリンカーおよび3’-ヒドロキシル保護基を介して核酸塩基に結合した第1の反応性基を含み、前記4つの異なるヌクレオチドの各々の異なるヌクレオチドが、異なる核酸塩基および異なる第1の反応性基を含むものであり、前記第1の反応性基がオリゴヌクレオチドであり、かつ、前記第1の反応性基がLNA修飾オリゴヌクレオチドまたはPNA修飾オリゴヌクレオチドを含むものであり;
(ii) 前記新生核酸鎖に取り込まれた前記4つの異なるヌクレオチドの各1つを順次標識することであって、前記順次標識が、以下を含むものである:
a. 検出可能な標識を含み、前記新生核酸鎖に取り込まれた前記4つの異なるヌクレオチドのうちの1つのみと直交反応性であるコンジュゲートを導入し、1つまたは複数の標識ヌクレオチドを得ること、ここで、前記コンジュゲートが前記第1の反応性基と相補的なオリゴヌクレオチドである第2の反応性基を含むものであり、前記第2の反応性基がLNA修飾オリゴヌクレオチドまたはPNA修飾オリゴヌクレオチドを含むものであり;
b. 前記1つまたは複数の標識ヌクレオチドの標識を検出すること;
c. 検出された前記標識に基づいて、前記1つまたは複数の標識ヌクレオチドの前記固体支持体内の位置を特定すること;および
d. 前記新生核酸鎖に取り込まれた前記1つまたは複数の標識ヌクレオチドから少なくとも1つの検出可能な標識を切断すること;
を含む、前記方法。
【請求項5】
式(IA):
【化3】
[式中、
Yは-O-P(O)(OH)[-O-P(O)(OH)]
z-OHまたは-O-P(O)(OH)-オリゴヌクレオチドであり、ここで、zは2~約5の範囲の整数であり;
PGは保護基であり;
Wは核酸塩基であり;
L
1は、1~約60の間の炭素原子を有する、直鎖もしくは分枝鎖の、置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の脂肪族部分もしくは芳香族部分であるか、または、1つもしくは複数のヘテロ原子を含み、1~約60の間の炭素原子を有する、直鎖もしくは分枝鎖の、置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の脂肪族部分もしくは芳香族部分であり、ただし、L
1は1つまたは複数の切断可能な基を含み;かつ
Z
1はオリゴヌクレオチドであり、かつ、LNA修飾オリゴヌクレオチドまたはPNA修飾オリゴヌクレオチドを含むものである]
によって定義される構造を有する化合物またはその塩。
【請求項6】
Z
1がβ-L-LNAモノマーを含む、請求項5に記載の化合物またはその塩。
【請求項7】
前記少なくとも1つの切断可能な基が、化学的に切断可能な基、酵素的に切断可能な基、および光切断可能な基からなる群から選択される、請求項5または6に記載の化合物またはその塩。
【請求項8】
前記化合物またはその塩が、式(IB):
【化4】
[式中、
Yは-O-P(O)(OH)[-O-P(O)(OH)-]
z-OHまたは-O-P(O)(OH)-オリゴヌクレオチドであり;ここで、zは2~約5の範囲であり;
PGは保護基であり;
Wは核酸塩基であり;
Q
1は、1~約25の間の炭素原子を有する、直鎖もしくは分枝鎖の、置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の脂肪族部分であるか、または、1つもしくは複数のヘテロ原子を含み、1~約25の間の炭素原子を有する、直鎖もしくは分枝鎖の、置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の脂肪族部分であり;
Q
2は、1~45の間の炭素原子を有する、直鎖もしくは分枝鎖の、置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の脂肪族部分もしくは芳香族部分であるか、または、1つもしくは複数のヘテロ原子を含み、1~45の間の炭素原子を有する、直鎖もしくは分枝鎖の、置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の脂肪族部分もしくは芳香族部分である;
X
1は切断可能な基であり;かつ
Z
1はオリゴヌクレオチドであり、かつ、LNA修飾オリゴヌクレオチドまたはPNA修飾オリゴヌクレオチドを含むものである]
の構造を有する、請求項5~7のいずれか一項に記載の化合物またはその塩。
【請求項9】
Q
1が、C
1~C
10直鎖または分枝鎖の、置換または非置換のアルキル基またはヘテロアルキル基を含む、請求項8に記載の化合物またはその塩。
【請求項10】
Q
2が、C
1~C
20直鎖または分枝鎖の、置換または非置換のアルキル基またはヘテロアルキル基を含む、請求項8または9に記載の化合物またはその塩。
【請求項11】
X
1が、光切断可能な基、酵素的に切断可能な基、化学的に切断可能な基およびpH感受性基からなる群から選択される、請求項8~10のいずれか一項に記載の化合物またはその塩。
【請求項12】
(i)3’-ヒドロキシル保護基、および(ii)切断可能なリンカーを介して核酸塩基に結合した反応性基を含むヌクレオチドであって、前記反応性基がLNA修飾オリゴヌクレオチドまたはベータ-L-LNA修飾オリゴヌクレオチドを含み、
前記LNA修飾オリゴヌクレオチドまたはベータ-L-LNA修飾オリゴヌクレオチドが、配列番号1~22または29~50のいずれかを有する配列を含む、前記ヌクレオチド。
【請求項13】
下記
(i)および(ii)を含むキットであって、
(i)請求項8~11のいずれか一項に記載の化合物もしくはその塩、または請求項
12に記載のヌクレオチドまたはその塩;および
(ii)
は、式(IIA)または(IIB)
のいずれかの構造を有するコンジュゲート:
【化5】
[式中、
Dは、検出可能な標識または検出可能な標識を含むコンジュゲートであり;
L
2は、1~約60の間の炭素原子を有する、直鎖もしくは分枝鎖の、置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の脂肪族部分もしくは芳香族部分であるか、または、1つもしくは複数のヘテロ原子を含み、1~約60の間の炭素原子を有する、直鎖もしくは分枝鎖の、置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の脂肪族部分もしくは芳香族部分であり;
Z
2は、Z
1のオリゴヌクレオチドに相補的なオリゴヌクレオチドであり;かつ
pは2~約1000の範囲の整数である]。
【請求項14】
式(IC)の1つのヌクレオチド、式(ID)の1つのヌクレオチド、式(IE)の1つのヌクレオチドおよび式(IF)の1つのヌクレオチド:
【化6】
[式中、
Yは-O-P(O)(OH)[-O-P(O)(OH)]
z-OHであり、ここで、zは2~約5の範囲であり;
PGは保護基であり;
W
Aはアデニン核酸塩基であり;
W
Gはグアニン核酸塩基であり;
W
Cはシトシン核酸塩基であり;
W
Rはチミン核酸塩基またはウラシル核酸塩基のいずれかであり;
L
1は、1~約60の間の炭素原子を有する、直鎖もしくは分枝鎖の、置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の脂肪族部分もしくは芳香族部分であるか、または、1つもしくは複数のヘテロ原子を含み、1~約60の間の炭素原子を有する、直鎖もしくは分枝鎖の、置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の脂肪族部分もしくは芳香族部分であり、ただし、L
1は1つまたは複数の切断可能な基を含み;かつ
Z
1A、Z
1B、Z
1CおよびZ
1Dは、それぞれ異なる第1反応性基を含み、前記第1の反応性基がオリゴヌクレオチドであり、かつ、前記第1反応性基がLNA修飾オリゴヌクレオチドまたはPNA修飾オリゴヌクレオチドを含むものである]
を含む、キット。
【請求項15】
(i)式(IA):
【化7】
[式中、
Yは-O-P(O)(OH)[-O-P(O)(OH)]z-OHであり、ここで、zは2~約5の範囲であり;
PGは保護基であり;
Wは核酸塩基であり;
L
1は、1~約60の間の炭素原子を有する、直鎖もしくは分枝鎖の、置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の脂肪族部分もしくは芳香族部分であるか、または、1つまたは複数のヘテロ原子で置換されている1~約60の間の炭素原子を有する、直鎖もしくは分枝鎖の、置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の脂肪族部分もしくは芳香族部分であり、ただし、L
1は、1つまたは複数の切断可能な基を含み;かつ
Z
1は、第1の反応性基であり、前記第1の反応性基がオリゴヌクレオチドであり、かつ、前記第1の反応性基がLNA修飾オリゴヌクレオチドまたはPNA修飾オリゴヌクレオチドを含むものである]
を有するヌクレオチドを、
(ii)式(IIA)または(IIB):
【化8】
[式中、
Dは、検出可能な標識または検出可能な標識を含むコンジュゲートであり;
L
2は、1~約60の間の炭素原子を有する、直鎖もしくは分枝鎖の、置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の脂肪族部分もしくは芳香族部分であるか、または、1つまたは複数のヘテロ原子を含み、1~約60の間の炭素原子を有する、直鎖もしくは分枝鎖の、置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の脂肪族部分もしくは芳香族部分であり;
Z
2は、前記第1の反応性基Z
1と相補的なオリゴヌクレオチドである第2の反応性基であり、前記第2の反応性基が、LNA修飾オリゴヌクレオチドまたはPNA修飾オリゴヌクレオチドを含むものであり;かつ
pは2~約1000の範囲の整数である]
のいずれか1つを有するコンジュゲートと反応させることを含むプロセスによって作製される、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体。
【請求項16】
間接的に結合した複数の新生核酸コピー鎖を含む固体支持体であって、前記複数の新生核酸コピー鎖が各々、式(IA):
【化9】
[式中、
Yは-O-P(O)(OH)-O-オリゴヌクレオチドであり、ここで、
PGは保護基であり;
Wは核酸塩基であり;
L
1は、1~約60の間の炭素原子を有する、直鎖もしくは分枝鎖の、置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の脂肪族部分もしくは芳香族部分であるか、または、1つもしくは複数のヘテロ原子を含み、1~約60の間の炭素原子を有する、直鎖もしくは分枝鎖の、置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の脂肪族部分もしくは芳香族部分であり、ただし、L
1は1つまたは複数の切断可能な基を含み;かつ
Z
1は、LNA修飾オリゴヌクレオチドまたはPNA修飾オリゴヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドである]
を有する取り込まれたヌクレオチドを含む、固体支持体。
【請求項17】
請求項16に記載の固体支持体と、磁気ナノ粒子を含むヌクレオチド-コンジュゲート複合体の形成された異なるサブセットを順次検出するのに適した磁気センサアレイとを含む、アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
開示の背景
DNAの配列決定の重要性は40年前の開始から劇的に高まっている。これは、生物学と医学のほとんどの分野で重要なテクノロジーとして、またパーソナライズされた精密医療の新しいパラダイムの基盤として認識されている。個人のゲノムとエピゲノムに関する情報は、疾患の傾向、臨床的予後、および治療への反応を明らかにするのに役立つが、医学におけるゲノム配列決定の日常的な適用には、タイムリーで費用効果の高い方法で提供される包括的なデータが必要である。
【0002】
周知の配列決定方法は、R.Tsien(国際公開第91/06678号)によって最初に記載されたSequencing-by-Synthesis(SBS)法である。この方法は、その3’-OH基で保護されている可逆的ターミネーターヌクレオチドを利用する。現在の配列決定システムは、蛍光標識を含む可逆的ターミネーターヌクレオチドを利用する。異なる可逆的ターミネーターヌクレオチドの混合物をフローセルに添加すると、DNAポリメラーゼが、合成されているDNA鎖に修飾ヌクレオチドを組み込み、鎖が画像化され、次いで取り込まれたヌクレオチドがその3’-OH基で脱保護され、ヌクレオチド組込みの別のサイクルが可能になる。
【0003】
より具体的には、可逆的終結による配列決定における各サイクルは、以下の3つのステップからなる:(i)フローセルに結合したDNA鎖への変異型DNAポリメラーゼによる相補的な可逆的ターミネーターヌクレオチドの組込み、(ii)異なる可逆的ターミネーターヌクレオチドの4つの塩基に対する異なる蛍光シグナルの検出、および(iii)終結部分および蛍光標識を切断することによる遊離3’-OH基の回復。いくつかの実施形態において、蛍光色素は、レーザー励起および画像化によって特定される。このサイクルの反復は、DNA鋳型の配列決定をもたらす。
【発明の概要】
【0004】
開示の簡単な概要
本出願人は、検出可能な磁気標識を組み込んだ磁気センサアレイおよび試薬を利用した合成による改善されたSBS方法を開発した。本出願人は、検出可能な磁気標識を含むそのような磁気センサアレイおよび試薬を使用してSBSを実行することにより、配列決定システムにおける高出力レーザーおよび高分解能光学系の必要性を排除しながら、配列決定スループットが劇的に増加し、配列決定のコストが削減されることを見出した。
【0005】
本開示の一態様は、固体支持体上に配列された複数の標的ポリヌクレオチドを配列決定する方法であって、(a)4つの異なるヌクレオチドのうちの1つを、複数の標的ポリヌクレオチドの各々に相補的な新生核酸コピー鎖に組み込むことを含み、4つの異なるヌクレオチドの各々が、(i)3’-ヒドロキシル保護基、および(ii)切断可能なリンカーを介して核酸塩基に結合した第1の反応性基を含み、4つの異なるヌクレオチドの各々の異なるヌクレオチドが、異なる核酸塩基および異なる第1の反応性基を含み;(b)異なるサブセットのヌクレオチド-コンジュゲート複合体を順次形成することを含み、ここで形成されたヌクレオチド-コンジュゲート複合体の各々の異なるサブセット内の各ヌクレオチド-コンジュゲート複合体が、新生核酸コピー鎖に取り込まれた異なるヌクレオチドのうちの1つのみに由来し、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の各々の異なるサブセットの順次形成が、(i)検出可能な標識を含み、新生核酸コピー鎖に取り込まれた4つの異なるヌクレオチドのうちの1つのみと直交反応性であるコンジュゲートを導入すること;(ii)導入された各コンジュゲートの標識を検出することによって、サブセット内の各ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の形成を検出すること;(iii)サブセット内の検出された各ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の固体支持体内の位置を決定すること;および(iv)場合により、サブセット内の形成された検出可能なヌクレオチド-コンジュゲート複合体の各々から少なくとも検出可能な標識を切断することを含む、方法である。
【0006】
いくつかの実施形態において、4つの異なるヌクレオチドのそれぞれの異なる第1の反応性基は、「クリックケミストリー」反応に関与することができる反応性官能基の対の第1のメンバー、指定結合実体の対の第1のメンバー、第1のオリゴヌクレオチド、およびホスト/ゲスト分子の対の第1のメンバーから独立して選択される。いくつかの実施形態において、導入されたコンジュゲートは、「クリックケミストリー」反応に関与することができる反応性官能基の対の第2のメンバー、特定結合実体の対の第2のメンバー、第1のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることができる第2のオリゴヌクレオチド、およびホスト/ゲスト分子の対の第2のメンバーから選択される第2の反応性基を含む。いくつかの実施形態において、第1および第2の反応性基は、互いにハイブリダイズすることができる第1および第2のオリゴヌクレオチドを含む。
【0007】
いくつかの実施形態において、4つの異なるヌクレオチドのそれぞれの異なる第1の反応性基は、異なる第1のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、異なる第1のオリゴヌクレオチドは、配列番号1~58のいずれか1つから選択され得る。いくつかの実施形態において、それぞれの異なる第1のオリゴヌクレオチドは、第1のLNA修飾オリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、第1のLNA修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1~22および29~50のいずれか1つから選択される配列を含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、導入されたコンジュゲートの第2の反応性基は、第1のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることができる第2のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、第1のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることができる第2のオリゴヌクレオチドは、配列番号1~58のいずれか1つから選択される。いくつかの実施形態において、第1のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることができる第2のオリゴヌクレオチドは、第2のLNA修飾オリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、第2のLNA修飾オリゴヌクレオチドは、3と12merの間を含む。いくつかの実施形態において、第2のLNA修飾オリゴヌクレオチドは、5と10merの間を含む。いくつかの実施形態において、第2のLNA修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1~22および29~50のいずれか1つから選択される配列を含む。いくつかの実施形態において、第1のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることができる第2のオリゴヌクレオチドは、L構成のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、第1のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることができる第2のオリゴヌクレオチドは、β-L-LNAオリゴヌクレオチドを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、切断可能なリンカーは、ジスルフィド基、α-アジドエーテル、ニトロベンジル系基およびフェナシル基からなる群から選択される少なくとも1つの切断可能な基を含む。いくつかの実施形態において、固体支持体上に存在する複数の標的ポリヌクレオチドのそれぞれに相補的な新生核酸コピー鎖への異なるヌクレオチドの組込みは、4つの異なるヌクレオチドの混合物を固体支持体に導入することを含む。いくつかの実施形態において、検出可能なヌクレオチド-コンジュゲート複合体の3つの異なるサブセットが形成および検出されるように、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の異なるサブセットの順次形成を3回行う。
【0010】
いくつかの実施形態において、本方法は、複数の標的ポリヌクレオチドの各々に相補的な新生核酸コピー鎖に取り込まれた異なるヌクレオチドから3’-ヒドロキシル保護基の各々を除去することをさらに含む。いくつかの実施形態において、3’-ヒドロキシル保護基は、アジドメチル基を含む。いくつかの実施形態において、本方法は、4つの異なるヌクレオチドの混合物を固体支持体に導入して、固体支持体上の複数の標的ポリヌクレオチドの各々に相補的な新生核酸鎖の各々を伸長することをさらに含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、4つの異なるヌクレオチドは、式(IC)、(ID)、(IE)および(IF):
【化1】
【0012】
[式中、
【0013】
WAはアデニン核酸塩基であり、WGはグアニン核酸塩基であり、WCはシトシン核酸塩基であり、WRはチミン核酸塩基またはウラシル核酸塩基の1つであり;
【0014】
Z1A、Z1B、Z1CおよびZ1Dは、それぞれ異なる第1反応性基であり;
【0015】
Yは-O-P(O)(OH)[-O-P(O)(OH)]z-OHであり、ここで、zは2~約5の範囲であり;
【0016】
PGは保護基であり;かつ
【0017】
各L1は、独立して、1と約60の間の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子で置換されていてもよい、直鎖または分枝鎖の、置換または非置換の、飽和または不飽和の脂肪族部分または芳香族部分であり、ただし、L1は1つまたは複数の切断可能な基を含む]
の構造を有する。
【0018】
いくつかの実施形態において、zは、2である。
【0019】
いくつかの実施形態において、導入された各コンジュゲートの検出可能な標識は、磁気ナノ粒子を含む。いくつかの実施形態において、磁気ナノ粒子は、FeO、Fe3O4、FePt、FePdおよびCoPtからなる群から選択される物質を含む。いくつかの実施形態において、磁気ナノ粒子は、磁気センサアレイを使用して検出される。
【0020】
いくつかの実施形態において、導入されたコンジュゲートは、式(IIA)および(IIB):
【化2】
【0021】
[式中、
【0022】
Dは、検出可能な標識または検出可能な標識を含むコンジュゲートであり;
【0023】
L2は、1と約60の間の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子を含んでもよい、直鎖または分枝鎖の、置換または非置換の、飽和または不飽和の脂肪族部分または芳香族部分であり;
【0024】
Z2は、第2の反応性基であり;かつ
【0025】
pは、2~約1000の範囲である]
のいずれか1つの構造を有する。
【0026】
いくつかの実施形態において、L2は切断可能な基を含む。いくつかの実施形態において、L2は、ビオチンに由来する部分を含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、本方法は、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の異なるサブセットの連続的な形成の前に、取り込まれていないヌクレオチドを除去することをさらに含む。
【0028】
本開示の一態様において、固体支持体上に配列された複数の標的ポリヌクレオチドを配列決定する方法であって:(a)4つの異なるヌクレオチドのうちの1つを、複数の標的ポリヌクレオチドの各々に相補的な新生核酸鎖に組み込むことを含み、4つの異なるヌクレオチドの各々が、切断可能なリンカーおよび3’-ヒドロキシル保護基を介して核酸塩基に結合した第1の反応性基を含み、4つの異なるヌクレオチドの各々の異なるヌクレオチドが、異なる核酸塩基および異なる第1の反応性基を含み、(b)新生核酸鎖に取り込まれた4つの異なるヌクレオチドの各1つを順次標識することを含み、順次標識が、(i)検出可能な標識を含み、新生核酸鎖に取り込まれた4つの異なるヌクレオチドのうちの1つのみと直交反応性であるコンジュゲートを導入して、1つまたは複数の標識ヌクレオチドを提供すること、(ii)1つまたは複数の標識ヌクレオチドの標識を検出すること;(iii)検出された標識に基づいて、1つまたは複数の標識ヌクレオチドの固体支持体内の位置を特定すること;および(iv)新生核酸鎖に取り込まれた1つまたは複数の標識ヌクレオチドから少なくとも検出可能な標識を場合により切断することを含む、方法である。
【0029】
いくつかの実施形態において、4つの異なるヌクレオチドの各々の異なる第1の反応性基は、「クリックケミストリー」反応に関与することができる反応性官能基の対の第1のメンバー、指定結合実体の対の第1のメンバー、第1のオリゴヌクレオチド、およびホスト/ゲスト分子の対の第1のメンバーからなる群から独立して選択される。いくつかの実施形態において、4つの異なるヌクレオチドの各々の異なる第1の反応性基は、異なる第1のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、導入されたコンジュゲートの各々は、第1のオリゴヌクレオチドの1つと相補的な第2のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、第1のオリゴヌクレオチドの1つに相補的な第2のオリゴヌクレオチドは、L構成のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、第1のオリゴヌクレオチドの1つに相補的な第2のオリゴヌクレオチドは、β-L-LNAオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、第1のオリゴヌクレオチドの1つに相補的な第2のオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数のLNAモノマーを含む。いくつかの実施形態において、第2のオリゴヌクレオチドは、配列番号1~22および29~50のいずれか1つからなる群から選択される配列を有する。いくつかの実施形態において、第1のオリゴヌクレオチドの1つに相補的な第2のオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数のPNAモノマーを含む。
【0030】
いくつかの実施形態において、切断可能なリンカーは、ジスルフィド基、α-アジドエーテル、ニトロベンジル系基およびフェナシル基からなる群から選択される少なくとも1つの切断可能な基を含む。いくつかの実施形態において、固体支持体上に存在する複数の標的ポリヌクレオチドの各々に相補的な新生核酸コピー鎖への異なるヌクレオチドの組込みは、4つの異なるヌクレオチドの混合物を固体支持体に導入することを含む。
【0031】
いくつかの実施形態において、順次標識は3回行われる。いくつかの実施形態において、順次標識は4回行われる。いくつかの実施形態において、方法は、複数の標的ポリヌクレオチドの各々に相補的な新生核酸鎖に取り込まれた異なるヌクレオチドから3’-ヒドロキシル保護基の各々を除去することをさらに含む。いくつかの実施形態において、3’-ヒドロキシル保護基は、アジドメチル基を含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、方法は、4つの異なるヌクレオチドの混合物を固体支持体に導入して、固体支持体上の複数の標的ポリヌクレオチドの各々に相補的な新生核酸鎖の各々を伸長することをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の異なるサブセットの順次形成の前に、取り込まれていないヌクレオチドを除去することをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、各順次標識の間の任意の未反応コンジュゲートを除去することをさらに含む。
【0033】
【0034】
[式中、
【0035】
Yは-O-P(O)(OH)[-O-P(O)(OH)]z-OHまたは-O-P(O)(OH)-オリゴヌクレオチドであり;ここで、zは2と約5の間の範囲であり;
【0036】
PGは保護基であり;
【0037】
Wは核酸塩基であり;
【0038】
L1は、1と約60の間の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子を含んでもよい、直鎖または分枝鎖の、置換または非置換の、飽和または不飽和の脂肪族部分または芳香族部分であり、ただし、L1は1つまたは複数の切断可能な基を含み;かつ
【0039】
Z1はオリゴヌクレオチドである]
によって定義される構造を有する化合物またはその塩である。
【0040】
いくつかの実施形態において、zは、2である。
【0041】
いくつかの実施形態において、Z1は、LNA修飾オリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、Z1は、PNA修飾オリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、Z1は、L-構成モノマー、例えば少なくとも1つのL-構成モノマーを含む。いくつかの実施形態では、L構成モノマーはL構成LNAモノマーである。いくつかの実施形態において、L構成LNAモノマーはβ-L-LNAモノマーである。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、4と12の間のmerを含む。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、5と10の間のmerを含む。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、配列番号1~22または29~50のいずれか1つから選択される配列を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの切断可能な基は、化学的に切断可能な基、酵素的に切断可能な基、および光切断可能な基からなる群から選択される。
【0042】
本開示の他の態様は、(i)3’-ヒドロキシル保護基、および(ii)切断可能なリンカーを介して核酸塩基に結合した反応性基を含むヌクレオチドであり、ここで、反応性基は、LNA修飾オリゴヌクレオチドまたはβ-L-LNA修飾オリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、LNA修飾オリゴヌクレオチドまたはβ-L-LNA修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1~22または29~50のいずれかを有する配列を含む。
【0043】
本開示の別の態様は、式(IC)の1つのヌクレオチド、式(ID)の1つのヌクレオチド、式(IE)の1つのヌクレオチド、および式(IF)の1つのヌクレオチド:
【化4】
【0044】
[式中、
【0045】
Yは-O-P(O)(OH)[-O-P(O)(OH)]z-OHであり、ここで、zは2~約5の範囲の整数であり;
【0046】
PGは保護基であり;
【0047】
WAはアデニン核酸塩基であり;
【0048】
WGはグアニン核酸塩基であり;
【0049】
WCはシトシン核酸塩基であり;
【0050】
WRはチミン核酸塩基またはウラシル核酸塩基の1つであり;
【0051】
L1は、1と約60の間の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子を含んでもよい、直鎖または分枝鎖の、置換または非置換の、飽和または不飽和の脂肪族部分または芳香族部分であり、ただし、L1は1つまたは複数の切断可能な基を含み;かつ
【0052】
Z1A、Z1B、Z1CおよびZ1Dは、それぞれ異なる第1反応性基を含む]
を含むキットである。
【0053】
いくつかの実施形態において、zは、2である。
【0054】
いくつかの実施形態において、Z1A、Z1B、Z1CおよびZ1Dの第1の反応性基は、独立して、「クリックケミストリー」反応に関与することができる反応性官能基の対の第1のメンバー、指定結合実体の対の第1のメンバー、第1のオリゴヌクレオチドおよびホスト/ゲスト分子の対の第1のメンバーからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、Z1A、Z1B、Z1CおよびZ1Dの第1の反応性基はそれぞれ、異なる第1のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、Z1A、Z1B、Z1CおよびZ1Dの第1の反応性基はそれぞれ、異なるLNA修飾された第1のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、Z1A、Z1B、Z1CおよびZ1Dの第1の反応性基はそれぞれ、異なるβ-L-LNA修飾された第1のオリゴヌクレオチドを含む。
【0055】
いくつかの実施形態において、キットは、少なくとも3つの異なるコンジュゲートをさらに含み、ここで、少なくとも3つの異なるコンジュゲートの各々は、Z1A、Z1B、Z1C
、およびZ1Dのうちの1つと直交性に反応する異なる第2の反応性基を含む。いくつかの実施形態において、各々異なる第2の反応性基は、Z1A、Z1B、Z1CおよびZ1Dの第1の反応性基のうちの1つと直交性に反応する。いくつかの実施形態において、各々異なる第2の反応性基は、異なる第2のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、各々異なる第2のオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのLNAモノマーを含む。いくつかの実施形態において、各々異なる第2のオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのβ-L-LNAモノマーを含む。
【0056】
本開示の他の態様は、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体であり、ここで、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体は、(i)式(IA):
【化5】
【0057】
[式中、
【0058】
Yは-O-P(O)(OH)-オリゴヌクレオチドであり;
【0059】
PGは保護基であり;
【0060】
Wは核酸塩基であり;
【0061】
L1は、1と約60との間の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子で置換されていてもよい、直鎖または分枝鎖の、置換または非置換の、飽和または不飽和の脂肪族部分または芳香族部分であり、ただし、L1は、1つまたは複数の切断可能な基を含み;かつ
【0062】
Z1は、第1の反応性基である]
の構造を有するヌクレオチドを
【0063】
【0064】
[式中、
【0065】
Dは、検出可能な標識または検出可能な標識を含むコンジュゲートであり;
【0066】
L2は、1と約60の間の炭素原子を有し、任意に1つまたは複数のヘテロ原子を含んでもよい、直鎖または分枝鎖の、置換または非置換の、飽和または不飽和の脂肪族部分または芳香族部分であり;
【0067】
Z2は、第1の反応性基Z1と直交反応する第2の反応性基であり;かつ
【0068】
pは、2~約1000の範囲の整数である]
のいずれか1つの構造を有するコンジュゲートと反応させることを含むプロセスによって作製される。
【0069】
いくつかの実施形態では、L2は、ビオチンまたはビオチンに由来する部分を含む。
【0070】
いくつかの実施形態において、コンジュゲートは、式(IIA)の構造を有する。いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、式(IIB)の構造を有し、式中、pは、2~約100の範囲である。
【0071】
いくつかの実施形態において、第1の反応性基は、「クリックケミストリー」反応に関与することができる反応性官能基の対の第1のメンバーを含む。いくつかの実施形態において、第1の反応性基は、特異的結合実体の対の第1のメンバーを含む。いくつかの実施形態において、特異的結合実体の対の第1のメンバーはハプテンである。いくつかの実施形態において、第1の反応性基は、ホスト/ゲスト分子の対の第1のメンバーを含む。いくつかの実施形態において、第1の反応性基は、第1のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、第1のオリゴヌクレオチドは、LNA修飾された第1のオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、LNA修飾された第1のオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのL構成LNAモノマーを含む。いくつかの実施形態において、LNA修飾された第1のオリゴヌクレオチドは、配列番号1~22または29~50のいずれか1つを有する配列を含む。
【0072】
いくつかの実施形態において、第2の反応性基は、第1のオリゴヌクレオチドに相補的な第2のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、第2のオリゴヌクレオチドは、LNA修飾された第2のオリゴヌクレオチドまたはβ-L-LNA修飾された第2のオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、LNA修飾された第2のオリゴヌクレオチドは、配列番号1~22または29~50のいずれか1つを有する配列を含む。
【0073】
いくつかの実施形態において、検出可能な標識は蛍光分子を含む。いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、磁気ナノ粒子を含む。いくつかの実施形態では、磁気ナノ粒子は、強磁気材料を含む。いくつかの実施形態において、磁気ナノ粒子は、FeO、Fe3O4、FePt、FePdおよびCoPtからなる群から選択される物質を含む。
【0074】
本開示の他の態様は、それに間接的に結合した複数の新生核酸コピー鎖を含む固体支持体であり、ここで、複数の新生核酸コピー鎖はそれぞれ、式(IA):
【化7】
【0075】
[式中、
【0076】
Yは-O-P(O)(OH)-O-オリゴヌクレオチドであり、ここで、
【0077】
PGは保護基であり;
【0078】
Wは核酸塩基であり;
【0079】
L1は、1と約60との間の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子を含んでもよい、直鎖または分枝鎖の、置換または非置換の、飽和または不飽和の脂肪族部分または芳香族部分であり、ただし、L1は1つまたは複数の切断可能な基を含み;かつ
【0080】
Z1は、第1のオリゴヌクレオチドである]
を有する取り込まれたヌクレオチドを含む。
【0081】
いくつかの実施形態において、第1のオリゴヌクレオチドは、LNA修飾された第1のオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、LNA修飾された第1のオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのL構成LNAモノマーを含む。いくつかの実施形態において、LNA修飾された第1のオリゴヌクレオチドは、3merと12merの間を含む。いくつかの実施形態では、LNA-第1の修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1~22または29~50のいずれかを有する配列を含む。
【図面の簡単な説明】
【0082】
本開示の特徴の一般的な理解のために、図面を参照する。図面では、同一の要素を特定するために、全体を通して同様の参照符号が使用されている。
【
図1A】
図1Aは、本開示の1つの実施形態による配列決定方法を記載するフローチャートを示す。
【
図1B】
図1Bは、本開示の一実施形態による、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の異なるサブセットを順次形成する方法を示すフローチャートを示す。
【
図2A】
図2Aは、本開示の一実施形態による配列決定方法を記載するフローチャートを示す。
【
図2B】
図2Bは、本開示の一実施形態による、核酸鎖に取り込まれたヌクレオチドを順次標識する方法を示すフローチャートを示す。
【
図3】
図3は、本開示の一実施形態による配列決定方法を示すフローチャートを示す。
【
図4A】
図4Aは、本開示の1つの実施形態による、本開示の4つの異なるヌクレオチドを4つの異なる核酸鎖に組み込み、次いで4つの異なる取り込まれたヌクレオチドの各々を順次標識する方法を示す。
【
図4B】
図4Bは、本開示の一実施形態による、順次形成されたヌクレオチド-コンジュゲート複合体のサブセットが順次検出される方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0083】
詳細な説明
反対に明確に示されない限り、複数のステップまたは行為を含む本明細書において特許請求の範囲に記載される任意の方法において、方法のステップまたは行為の順序は、必ずしも方法のステップまたは行為が記載される順序に限定されないことも理解されたい。
【0084】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。同様に、「または」という単語は、文脈が別途明確に指示しない限り、「および」を含むことを意図している。「含む」という用語は、「AまたはBを含む」がA、B、またはAおよびBを含むことを意味するように、包括的に定義される。
【0085】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「または」は、上記で定義された「および/または」と同じ意味を有することを理解されたい。例えば、リスト内の項目を区切る場合、「または」または「および/または」は、包括的であると解釈されるものとする。すなわち、要素の数またはリストの少なくとも1つを含むが、複数、および必要に応じて追加のリストに記載されていない項目を含むと解釈される。「のうちの1つのみ」または「のうちの正確に1つ」、または特許請求の範囲で使用される場合、「からなる」など、反対に明確に示される用語のみは、数または要素のリストのうちの正確に1つの要素を含むことを指す。一般に、本明細書で使用される「または」という用語は、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」または「のうちの正確に1つ」など、排他的な用語が先行する場合にのみ、排他的な代替案(すなわち、「一方または他方であるが双方ではない」)を示すものとしてのみ解釈されるものとする。「から本質的になる」は、特許請求の範囲で使用される場合、特許法の分野で使用される通常の意味を有するものとする。
【0086】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」などの用語は、交換可能に使用され、同じ意味を有する。同様に、「含む(comprises)」、「含む(includes)」、「有する(has)」などは、交換可能に使用され、同じ意味を有する。具体的には、各用語は、「含む(comprising)」の共通の米国特許法の定義と一致して定義され、したがって、「少なくとも以下」を意味するオープンタームであると解釈され、また、追加の特徴、制限、態様などを排除しないものと解釈される。したがって、例えば、「構成要素a、b、およびcを有する装置」は、装置が少なくとも構成要素a、bおよびcを含むことを意味する。同様に、語句:「工程a、b、およびcを含む方法」は、その方法が少なくとも工程a、b、およびcを含むことを意味する。さらに、工程およびプロセスは、本明細書において特定の順序で概説され得るが、当業者は、順序付けの工程およびプロセスが変化し得ることを認識するであろう。
【0087】
本明細書の明細書および特許請求の範囲で使用される場合、1つまたは複数の要素のリストに関連する「少なくとも1つ」という句は、要素のリストの任意の1つまたは複数の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきであるが、必ずしも要素のリスト内に具体的にリスト化されているありとあらゆる要素の少なくとも1つを含まなくてもなく、要素のリスト内の要素の任意の組合せを除外するものではない。この定義はまた、「少なくとも1つ」という句が参照する要素のリスト内で具体的に特定される要素以外の要素が、具体的に特定されるそれらの要素に関連するかどうかにかかわらず、必要に応じて存在することができることを可能にする。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または、同等に、「AまたはBの少なくとも1つ」、または同等に「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、少なくとも1つ、必要に応じて1つを超えるAを含み、Bが存在しない(および必要に応じて、B以外の要素を含む)を指すことができ、別の実施形態では、少なくとも1つ、必要に応じて1つを超えるBを含み、Aが存在しない(および必要に応じて、A以外の要素を含む)を指すことができ、さらに別の実施形態では、少なくとも1つ、必要に応じて1つを超えるAを含み、少なくとも1つ、必要に応じて1つを超えるBを含む(および必要に応じて、他の要素を含む)を指すことができるなどである。
【0088】
本明細書全体を通して「一実施形態」または「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して種々の場所における「一実施形態において」または「実施形態において」という句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すとは限らない。さらにまた、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において、任意の適切な方法で組み合わせられることができる。
【0089】
本明細書で使用される場合、「アナログ」または「誘導体」は、化学および生物学におけるその明白な通常の意味に従って使用され、別の化合物(すなわち、いわゆる「参照」化合物)と構造的に類似しているが、例えば、ある原子を異なる元素の原子で置き換える場合、または特定の官能基の存在下で、またはある官能基を別の官能基で置き換える場合、または参照化合物の1つまたは複数のキラル中心の絶対立体化学において、組成が異なる化合物を指す。したがって、アナログは、機能および外観が類似または同等であるが、構造または起源が参照化合物と類似していない化合物である。
【0090】
本明細書で使用される場合、「脂肪族」という用語は、飽和またはモノ-またはポリ不飽和であり得る、直鎖または分枝鎖の炭化水素鎖を意味する。不飽和脂肪族基は、1つまたは複数の二重結合および/または三重結合を含む。炭化水素鎖の分枝は、線状鎖ならびに非芳香族環状元素を含み得る。炭化水素鎖は、特に明記しない限り、任意の長さであり、任意の数の分枝を含み得る。主鎖および分枝の両方は、例えば、B、N、O、P、S、SeまたはSiなどのヘテロ原子をさらに含み得る。
【0091】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等)、分枝鎖アルキル基(イソプロピル、tert-ブチル、イソブチル等)、シクロアルキル(脂環式)基(シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル)、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基を含む飽和脂肪族基を含む。アルキルという用語は、炭化水素骨格の1つまたは複数の炭素を置換する酸素、窒素、硫黄またはリン原子をさらに含むことができるアルキル基をさらに含む。特定の実施形態において、直鎖または分枝鎖アルキルは、その骨格中に30個以下の炭素原子を有する(例えば、直鎖の場合はC1-C30、分枝鎖の場合はC1-C30)。さらに、アルキルという用語は、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含み、後者は、炭化水素骨格の1つまたは複数の炭素上の水素を置換する置換基を有するアルキル部分を指す。そのような置換基としては、例えば、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分が挙げられ得る。「アルキルアリール」または「アリールアルキル」部分は、アリール(例えば、フェニルメチル(ベンジル))で置換されたアルキルである。「アルキル」という用語には、天然アミノ酸および非天然アミノ酸の側鎖も含まれる。
【0092】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」という用語は、上記のアルキルと長さおよび可能な置換が類似しているが、少なくとも1つの二重結合を含む不飽和脂肪族基を含む。例えば、「アルケニル」という用語は、直鎖アルケニル基(例えば、エチレニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル等)、分枝鎖アルケニル基、シクロアルケニル(脂環式)基(シクロプロペニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル)、アルキルまたはアルケニル置換シクロアルケニル基、およびシクロアルキルまたはシクロアルケニル置換アルケニル基を含む。アルケニルという用語は、炭化水素骨格の1つまたは複数の炭素を置換する酸素、窒素、硫黄またはリン原子を含むアルケニル基をさらに含む。特定の実施形態において、直鎖または分枝鎖アルケニル基は、その骨格中に30個以下の炭素原子を有する(例えば、直鎖の場合はC2-C30、分枝鎖の場合はC3-C30)。さらに、アルケニルという用語は、「非置換アルケニル」および「置換アルケニル」の両方を含み、後者は、炭化水素骨格の1つまたは複数の炭素上の水素を置換する置換基を有するアルケニル部分を指す。そのような置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分が挙げられ得る。アルケニル基の他の例としては、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-メチル-エテニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-メチル-1-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-メチル-2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、1-メチル-l-ブテニル、2-メチル-l-ブテニル、3-メチル-l-ブテニル、1-メチル-2-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-メチル-3-ブテニル、2-メチル-3-ブテニル、3-メチル-3-ブテニル、1,1-ジメチル-2-プロペニル、1,2-ジメチル-1-プロペニル、1,2-ジメチル-2-プロペニル、1-エチル-1-プロペニル、1-エチル-2-プロペニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、5-ヘキセニル、1-メチル-l-ペンテニル、2-メチル-l-ペンテニル、3-メチル-l-ペンテニル、4-メチル-1-ペンテニル、1-メチル-2-ペンテニル、2-メチル-2-ペンテニル、3-メチル-2-ペンテニル、4-メチル-2-ペンテニル、1-メチル-3-ペンテニル、2-メチル-3-ペンテニル、3ーメチル-3-ペンテニル、4-メチル-3-ペンテニル、1-メチル-4-ペンテニル、2-メチル-4-ペンテニル、3-メチル-4-ペンテニル、4-メチル-4-ペンテニル、1,1-ジメチル-2-ブテニル、1,1-ジメチル-3-ブテニル、1,2-ジメチル-1-ブテニル、1,2-ジメチル-2-ブテニル、1,2-ジメチル-3-ブテニル、1,3-ジメチル-1-ブテニル、1,3-ジメチル-2-ブテニル、1,3-ジメチル-3-ブテニル、2,2-ジメチル-3-ブテニル、2,3-ジメチル-1-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-3-ブテニル、3,3-ジメチル-1-ブテニル、3,3-ジメチル-2-ブテニル、1-エチル-1-ブテニル、1-エチル-2-ブテニル、1-エチル-3-ブテニル、2-エチル-1-ブテニル、2-エチル-2-ブテニル、2-エチル-3-ブテニル、1,1,2-トリメチル-2-プロペニル、1-エチル-1-メチル-2-プロペニル、1-エチル-2-メチル-1-プロペニルおよび1-エチル-2-メチル-2-プロペニル基が挙げられるが、これらに限定されない。複数の二重結合を含有する基としては、限定されないが、ブタ-1,3-ジエニル、ペンタ-1,3-ジエニルまたはペンタ-1,4-ジエニル基が挙げられ得る。
【0093】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」という用語は、上記のアルキルと長さおよび可能な置換が類似しているが、少なくとも1つの三重結合を含む不飽和脂肪族基を含む。例えば、「アルキニル」という用語は、直鎖アルキニル基(例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル等)、分枝鎖アルキニル基、およびシクロアルキルまたはシクロアルケニル置換アルキニル基を含む。アルキニルという用語は、炭化水素骨格の1つまたは複数の炭素を置換する酸素、窒素、硫黄またはリン原子を含むアルキニル基をさらに含む。特定の実施形態において、直鎖または分枝鎖アルキニル基は、その骨格中に30個以下の炭素原子を有する(例えば、直鎖の場合はC2-C30、分枝鎖の場合はC3-C30)。さらに、アルキニルという用語は、「非置換アルキニル」および「置換アルキニル」の両方を含み、後者は、炭化水素骨格の1つまたは複数の炭素上の水素を置換する置換基を有するアルキニル部分を指す。そのような置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分が挙げられ得る。複数の三重結合を含有する基としては、限定されないが、ブタ-1,3-ジイニル、ペンタ-1,3-ジイニルまたはペンタ-1,4-ジイニル基が挙げられ得る。
【0094】
本明細書で使用される場合、「芳香族」という用語は、特に明記しない限り、共役二重結合の平面環状炭化水素部分を意味し、これは、単一の環であるか、または複数の縮合または共有結合した環を含み得る。環状炭化水素部分の主鎖は、特に明記しない限り、任意の長さであってもよく、例えばN、OおよびSなどの任意の数のヘテロ原子を含んでいてもよい。芳香族基は、O、S、N、PまたはSiのようなアルキル基またはヘテロ原子で置換されていてもよい。
【0095】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアルキル」という用語は、それ自体でまたは別の用語との組合せで、特に明記しない限り、少なくとも1つの炭素原子、ならびにO、N、P、SiおよびSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子からなる、安定した直鎖または分枝鎖、またはそれらの組合せを意味し、窒素および硫黄原子は場合により酸化されてもよく、窒素ヘテロ原子は場合により四級化されてもよい。ヘテロ原子O、N、P、SおよびSiは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置、またはアルキル基が分子の残部に付加される位置に置かれてもよい。ヘテロアルキルは環化されていない。例として、限定されるものではないが、以下が挙げられる:-CH2-CH2-O-CH3、-CH2-CH2-NH-CH3、-CH2-CH2-N(CH3)-CH3、-CH2-S-CH2-CH3、-CH2-O-CH3、-S(O)-CH3、-CH2-CH2-S(O)2-CH3、-CH-CH-O-CH3、-Si(CH3)3、-CH2-CH-N-OCH3、-CH-CH-N(CH3)-CH3、-O-CH3、-O-CH2-CH3および-CN。例えば、-CH2-NH-OCH3などの、最大2つのヘテロ原子が連続している場合がある。
【0096】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」という用語は、それ自体で、または他の用語と組み合わせて、特に明記しない限り、それぞれ、「アルキル」および「ヘテロアルキル」の環状バージョンを意味する。シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルは芳香族ではない。シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルは、例えば、ここに記載の置換基のいずれかでさらに置換することができる。
【0097】
上記の用語のそれぞれ(例えば、「アルキル」、「芳香族」、「ヘテロアルキル」、「シクロアルキル」など)は、示される基の置換形態および非置換形態の両方を含む。その点に関して、基または部分が「置換された」または「置換されていてもよい」(または「有してもよい」または「含んでもよい」)と記載されるときはいつでも、その基は非置換であるか、または示された置換基の1つまたは複数で置換され得る。同様に、基が置換されている場合に「置換または非置換」であると記載される場合、置換基は、示された置換基のうちの1つまたは複数から選択され得る。置換基が示されていない場合、示された「置換されていてもよい」または「置換された」基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル、アラルキル、ヘテロアラルキル、(ヘテロアリシクリル)アルキル、ヒドロキシ、保護ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、シアネート、ハロゲン、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、保護されたC-カルボキシ、O-カルボキシ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミド、エーテル、アミノ(例えば、一置換アミノ基または二置換アミノ基)、およびそれらの保護誘導体から個別にかつ独立して選択される1つまたは複数の基で置換され得ることを意味する。上記の基のいずれも、O、NまたはSを含む1つまたは複数のヘテロ原子を含み得る。例えば、部分がアルキル基で置換されている場合、そのアルキル基は、O、N、またはSから選択されるヘテロ原子を含み得る(例えば、-(CH2-CH2-O-CH2-CH3))。
【0098】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、目的の分子(または目的の高度に類似の分子の群)に特異的に結合し、他の分子への結合が実質的に排除されている、免疫グロブリンまたは免疫グロブリン様分子を指し、例として、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM、それらの組合せ、ならびに任意の脊椎動物(例えば、ヒト、ヤギ、ウサギおよびマウス等の哺乳動物)において免疫応答中に産生される類似の分子および抗体断片(例えば、当技術分野で公知のF(ab’)2断片、Fab’断片、Fab’-SH断片およびFab断片、組換え抗体断片(例えば、sFv断片、dsFv断片、二重特異性sFv断片、二重特異性dsFv断片、F(ab)’2断片、一本鎖Fvタンパク質(「scFv」)、ジスルフィド安定化Fvタンパク質(「dsFv」)、ダイアボディ、およびトリアボディ(当技術分野で公知の通り)、ならびにラクダ科抗体)が挙げられるが、これらに限定されない。抗体は、さらに、抗原のエピトープを特異的に認識して結合する少なくとも軽鎖または重鎖免疫グロブリン可変領域を含むポリペプチドリガンドを指す。抗体は、重および軽鎖で構成されてもよく、それらの各々には可変重(VH)領域および可変軽(VL)領域と呼ばれる可変領域がある。合わせて、VH領域およびVL領域は、抗体によって認識される抗原の結合を担う。抗体という用語はまた、インタクトの免疫グロブリン、ならびに当技術分野でよく知られているそれらの変異体および部分を含む。
【0099】
本明細書で使用される場合、「結合(couple)」または「結合する(coupling)」という用語は、ある分子または原子の別の分子または原子への結合(joining)、結合(bonding)(例えば、共有結合)、または連結を指す。
【0100】
本明細書で使用される場合、「相補的」という用語は、適切な温度およびイオン緩衝条件で2つのヌクレオチドの塩基間に好ましい熱力学的安定性および特異的対形成を形成する能力を指す。相補性は、アデニン、チミン(RNAにおいてはウラシル)、グアニンおよびシトシンの核酸塩基間の異なる相互作用によって達成され、ここで、アデニンはチミンまたはウラシルと対になっており、グアニンはシトシンと対になっている。
【0101】
本明細書で使用される場合、「ヘテロ原子」という用語は、ホウ素(B)、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、リン(P)およびケイ素(Si)を含むことを意味する。いくつかの実施形態において、「複素環」は、1つまたは複数のヘテロ原子を含み得る。他の実施形態において、脂肪族基は、1つまたは複数のヘテロ原子を含むか、または1つまたは複数のヘテロ原子で置換されていてもよい。
【0102】
本明細書で使用される場合、「ハイブリダイズする」という用語は、それらのヌクレオチド配列と一致する異なる核酸分子間の塩基対合を指す。
【0103】
本明細書で使用される場合、「標識」という用語は、原子または分子、あるいは原子または分子の集合体であり得る検出可能な部分を指す。標識は、光学的、電気化学的、磁気的、または静電的(例えば、誘導性、容量性)のシグネチャを提供することができ、これは検出することができる。
【0104】
本明細書で使用する場合、「核酸」という用語は、アデノシン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T)およびウラシル(U)を含むがこれらに限定されない1つまたは複数のサブユニット(天然に存在する、合成の、または修飾核酸塩基)を含み得る。これらの塩基の誘導体は、PCRシステム、試薬、および消耗品に例示されており(Perkin Elmer Catalogue 1996-1997,Roche Molecular Systems,Inc.,Branchburg,N.J.,USA)、参照により本明細書に全体が組み込まれる。いくつかの例において、核酸は、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)、あるいはそれらの誘導体である。核酸は、一本鎖または二本鎖であり得る。核酸は、DNA、RNA、およびそれらのハイブリッドまたは変形体を含むがこれらに限定されない、任意の核酸分子を含むことができる。
【0105】
本明細書で使用される場合、「核酸鋳型」という用語は、ポリメラーゼ触媒複製のためのガイドとして使用することができる核酸またはその一部を指す。核酸分子は、その長さに沿って複数の鋳型を含むことができ、あるいは、本明細書の特定の実施形態では単一の鋳型のみが使用され得る。核酸鋳型はまた、リガーゼ触媒プライマー伸長のためのガイドとして機能し得る。
【0106】
本明細書で使用される場合、「核酸塩基」という用語は、別の核酸塩基と非共有結合的に対を形成することができる複素環部分を指す。「核酸塩基」という用語は、「未修飾核酸塩基」および「修飾核酸塩基」の両方を包含する。「天然に存在する核酸塩基」または「非修飾核酸塩基」(交換可能に使用される)は、その天然に存在する形態に対して修飾されていない核酸塩基を指す。同様に、「修飾核酸塩基」は、天然の核酸塩基からの任意の置換および/または変化を意味する。核酸塩基(または塩基)の修飾または置換は、天然に存在するまたは合成の非修飾の核酸塩基とは構造的に区別可能であるが、機能的に交換可能である。天然の核酸塩基と修飾核酸塩基の両方が水素結合に関与することができる。そのような核酸塩基の修飾は、ヌクレアーゼ安定性、結合親和性、またはオリゴヌクレオチドに他のいくつかの有益な生物学的特性を与え得る。修飾核酸塩基には、合成および例えば、5-メチルシトシン(5-me-C)などの天然の核酸塩基が含まれる。5-メチルシトシン置換を含む特定の核酸塩基置換は、標的核酸に対する相補的なオリゴヌクレオチドの結合親和性を増加させるために特に有用である。例えば、5-メチルシトシン置換は、核酸二重鎖の安定性を約0.6~約1.2℃増加させることが示されている(Sanghvi,Y.S.,Crooke,S.T.and Lebleu,B.,eds.,Antisense Research and Applications,CRC Press,Boca Raton,1993,pp.276-278参照、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0107】
さらなる修飾核酸塩基としては、限定されないが、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、7-メチルグアニン、2-アミノアデニン、2-アミノプリン、イソ-C、イソ-G、チオT、チオG、5,6-ジヒドロウラシル、6-メチルアデニン、2-プロピルグアニンおよび他のアデニンおよびグアニンのアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミンおよび2-チオシトシン、5-ハロウラシルおよびシトシン、例えば5-ブロモ、5-トリフルオロメチルおよび他の5-置換ウラシルおよびシトシン、5-プロピニル
(-C≡C-CH3)ウラシルおよびシトシンならびにピリミジン塩基の他のアルキニル誘導体、6-アザウラシル、シトシンおよびチミン、ウラシル-5-イル(シュードウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシおよび他の8-置換アデニンおよびグアニン、7-メチルグアニンおよび7-メチルアデニン、2-F-アデニン、8-アザグアニンおよび8-アザアデニン、7-デアザグアニンおよび7-デアザアデニンおよび3-デアザグアニンおよび3ーデアザアデニン、8-アザ-7-デアザグアニンおよび8-アザ-7-デアザアデニンが挙げられる。さらなる核酸塩基は、Greco et.al.,Synthesis and site-specific incorporation of a simple fluorescent pyrimidine,Nature Protocols,vol.2,no.2,2007;Dien et.al.,Progress Toward a Semi-Synthetic Organism with an Unrestricted Expanded Genetic Alphabet,J.Am.Chem.Soc.2018,140,16115-16123;Zhang et.al.,Evolution of Functional Six-Nucleotide DNA,J.Am.Chem.Soc.2015,137,6734-6737;Biondi et.al.Artificially Expanded Genetic Information Systems for New Aptamer Technologies,Biomedicines 2018,6,53;Liu et.al.,Helix-Forming Properties of Size-Expanded DNA,an Alternative Four-Base Genetic Form,J.Am.Chem.Soc.9 Vol.127,No.5,2005,1396-1402;Tor et.al.,Designing new isomorphic fluorescent nucleobase analogues:the thieno[3,2-d]pyrimidine core,Tetrahedron 63(2007)3608-3614;Laos et.al.,Directed Evolution of Polymerases to Accept Nucleotides with Nonstandard Hydrogen Bond Patterns,Biochemistry 2013,52,5288-5294;Krueger et.al.,Synthesis and Properties of Size-expanded DNAs:Toward Designed,Functional Genetic Systems,Acc Chem Res.2007 February;40(2):141-150;Srivatsan et.al.,A highly fluorescent nucleoside analog based on thieno[3,4-d]pyrimidine senses mismatched pairing,Org.Biomol.Chem.,2008,6,1334-1338;Kim et.al.,Synthesis and Properties of 5-Cyano-Substituted Nucleoside Analog with a Donor-Donor-Acceptor Hydrogen-Bonding Pattern,J.Org.Chem.2012,77,3664-3669;およびNoe et.al.,Oligodeoxynucleotides Containing Multiple Thiophene-Modified Isomorphic Fluorescent Nucleosides,J.Org.Chem.2013,78,8123-8128に記載されており、その開示は引用によりその全体が本明細書に取り込まれている。
【0108】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオシド」という用語は、リボースまたは2’-デオキシリボースなどの糖に共有結合している核酸塩基を指す。
【0109】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオチド」という用語は、アデノシン5’-一リン酸(AMP)、アデノシン5’-二リン酸(ADP)、アデノシン5’-三リン酸(ATP)アデノシン5’-四リン酸またはその2’-デオキシ誘導体等のリン酸またはポリリン酸に共有結合したヌクレオシドを指す。
【0110】
本明細書で使用される場合、「オリゴヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチドまたはヌクレオシドモノマー単位のオリゴマーを指し、ここで、オリゴマーは、場合により、非ヌクレオチドモノマー単位、および/またはオリゴマーの内部および/または外部位置に結合した他の化学基を含む。オリゴマーは天然または合成であり得、天然に存在するオリゴヌクレオチド、または天然に存在しない(または修飾された)塩基、糖部分、ホスホジエステル-アナログ結合、および/または代替のモノマー単位キラリティーおよび異性体構造を有するヌクレオシドを含むオリゴマーを含み得る(例えば、5’-~2’-結合、L-ヌクレオシド、α-アノマーヌクレオシド、β-アノマーヌクレオシド、ロック核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA))。
【0111】
本明細書で使用される場合、「ポリメラーゼ」という用語は、重合反応を触媒することができる任意の酵素を指す。ポリメラーゼの例としては、核酸ポリメラーゼ、逆転写酵素またはリガーゼが挙げられるが、これらに限定されない。ポリメラーゼは重合酵素であり得る。「DNAポリメラーゼ」は、デオキシヌクレオチドの重合を触媒する。「RNAポリメラーゼ」は、リボヌクレオチドの重合を触媒する。ポリマーには、RNAテンプレートから相補的DNA(cDNA)を生成するために使用される酵素である逆転写酵素が含まれる場合がある。
【0112】
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」は、少なくとも2つのヌクレオチドを含むポリマーまたはオリゴマーである。ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドは、DNAポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド、RNAポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド、またはDNAポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドおよび/またはRNAポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの1つまたは複数のセクションを含み得る。
【0113】
本明細書で使用される場合、「反応性基」または「反応性官能基」という用語は、異なる部分の官能基と化学的に会合、相互作用、ハイブリダイズ、水素結合、または結合することができる官能基を指す。いくつかの実施形態において、2つの反応性基または2つの反応性官能基の間の「反応」は、2つの反応性基または2つの反応性官能基の間で共有結合が形成されることを意味し得;または、2つの反応性基または2つの反応性官能基が互いに会合し、互いに相互作用し、互いにハイブリダイズし、互いに水素結合すること等を意味し得る。したがって、いくつかの実施形態において、「反応」は、ハプテンと抗ハプテン抗体との結合、または超分子ホスト分子と結合するゲスト分子等の結合事象を含む。
【0114】
本明細書で使用される場合、「配列」という用語は、核酸に関して使用される場合、核酸中のヌクレオチド(または塩基)の順序を指す。異なる種のヌクレオチドが核酸中に存在する場合、配列は、核酸中のそれぞれの位置におけるヌクレオチド(または塩基)の種の特定を含む。配列は、核酸分子の全部または一部の特性である。この用語は、タンパク質ポリマーのアミノ酸モノマー単位等の他のポリマー中のモノマー単位の順序および位置同一性を説明するために同様に使用することができる。
【0115】
本明細書で使用される場合、「配列決定」という用語は、核酸中の塩基の順序および位置の決定を指す。
【0116】
本明細書で使用される場合、「鋳型核酸」、「標的ポリヌクレオチド分子」および「標的核酸」という用語は互換的に使用することができ、配列情報を得るために場合により配列決定反応によって調べることができる増幅反応の対象である核酸分子を指す。鋳型核酸は、クローン増幅法によって生成され、固体支持体上に固定化され得る、すなわちビーズまたはアレイ上に固定化され得る核酸であり得る。
【0117】
本明細書で提供される見出しは、便宜上のみものであり、開示される実施形態の範囲または意味を解釈するものではない。
【0118】
ヌクレオチド、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド
【0119】
本開示は、糖、例えば、リボースまたはデオキシリボースおよび核酸塩基を含むヌクレオチド、ヌクレオシドおよび/またはヌクレオシド(またはその任意の塩)に関する。いくつかの実施形態において、本開示のヌクレオチドは、新生核酸鎖に取り込まれ、それにより、取り込まれたヌクレオチドは、コンジュゲートと反応して、本明細書中に記載の取り込まれたヌクレオチド-コンジュゲート複合体を形成し得る。
【0120】
いくつかの実施形態において、本開示によるヌクレオチド、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチドおよび/またはポリヌクレオチド(その任意の塩を含む)は、式(IA):
【化8】
【0121】
[式中、
【0122】
Yは、-OH、-O-P(O)(OH)[-O-P(O)(OH)]z-OHまたは-O-P(O)(OH)-オリゴヌクレオチドであり、ここで、zは0または1~5の範囲の整数であり;
【0123】
PGは保護基であり;
【0124】
Wは核酸塩基であり;
【0125】
L1は、1と約60との間の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子で置換されていてもよい、直鎖または分枝鎖の、置換または非置換の、飽和または不飽和の脂肪族部分または芳香族部分であり、ただし、L1は、1つまたは複数の切断可能な基を含み;かつ
【0126】
Z1は、反応性基である]
によって定義される構造を有する。
【0127】
いくつかの実施形態において、zは、2である。
【0128】
いくつかの実施形態において、部分L1は、ワトソン-クリック塩基対形成が依然として行われ得るという条件で、核酸塩基(「W」)上の任意の位置に結合され得る。いくつかの実施形態では、プリン塩基との関連において、部分L1は、7-デアザプリンの7位を介して、8-修飾プリンを介して、N-6修飾アデニンを介して、またはN-2修飾グアニンを介して結合している。いくつかの実施形態において、ピリミジンとの関連において、部分L1の結合は、シトシン、チミンまたはウラシル上の5位およびシトシン上のN-4位を介する。
【0129】
上記のように、いくつかの実施形態において、部分L1は、1と約60との間の炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、部分L1は、1と約50の間の炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、部分L1は、1と約40の間の炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、部分L1は、1と約35の間の炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、部分L1は、1と約30の間の炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、部分L1は、2と約25の間の炭素原子を含む。さらに他の実施形態では、部分L1は、約5と約20の間の炭素原子を含む。さらに他の実施形態において、部分L1は、約5と約15の間の炭素原子を含む。さらなる実施形態において、部分L1は、約10と約20の間の炭素原子を含む。
【0130】
いくつかの実施形態において、部分L1は、約50g/mol~約1000g/molの範囲の分子量を有する。他の実施形態において、部分L1は、約40g/mol~約400g/molの範囲の分子量を有する。他の実施形態において、部分L1は、約50g/mol~約300g/molの範囲の分子量を有する。他の実施形態において、部分L1は、約50g/mol~約250g/molの範囲の分子量を有する。いくつかの実施形態において、部分L1は、約0.5nmと約70nmの間の範囲の長さを有する。いくつかの実施形態において、部分L1は、約0.5nmと約60nmの間の範囲の長さを有する。いくつかの実施形態において、部分L1は、約0.5nmと約50nmの間の範囲の長さを有する。いくつかの実施形態において、部分L1は、約0.5nmと約40nmの間の範囲の長さを有する。いくつかの実施形態において、部分L1は、約1nmと約40nmの間の範囲の長さを有する。
【0131】
いくつかの実施形態において、部分L1は、1と約40の間の炭素原子を有し、1つまたは複数の切断可能な基を含む置換または非置換のアルキル基またはヘテロアルキル基である。いくつかの実施形態において、部分L1は、1と約30の間の炭素原子を有し、1つまたは複数の切断可能な基を含む置換または非置換のアルキル基またはヘテロアルキル基である。いくつかの実施形態において、部分L1は、1と約20の間の炭素原子を有し、1つまたは複数の切断可能な基を含む置換または非置換のアルキル基またはヘテロアルキル基である。
【0132】
いくつかの実施形態において、部分L1は、2と約40の間の炭素原子を有し、1つまたは複数の切断可能な基を含む置換または非置換のアルケニル基またはヘテロアルケニル基である。いくつかの実施形態において、部分L1は、2と約30の間の炭素原子を有し、1つまたは複数の切断可能な基を含む置換または非置換のアルケニル基またはヘテロアルケニル基である。いくつかの実施形態において、部分L1は、2と約20の炭素原子を有し、1つまたは複数の切断可能な基を含む置換または非置換のアルケニル基またはヘテロアルケニル基である。
【0133】
いくつかの実施形態において、部分L1は、2と約40の間の炭素原子を有し、1つまたは複数の切断可能な基を含む置換または非置換のアルキニル基またはヘテロアルキニル基である。いくつかの実施形態において、部分L1は、2と約30の間の炭素原子を有し、1つまたは複数の切断可能な基を含む置換または非置換のアルキニル基またはヘテロアルキニル基である。いくつかの実施形態において、部分L1は、2と約20の間の炭素原子を有し、1つまたは複数の切断可能な基を含む置換または非置換のアルキニル基またはヘテロアルキニル基である。
【0134】
上記のように、部分L1は、切断することができる1つまたは複数の基、例えば、光切断可能な基、酵素的に切断可能な基、化学的に切断可能な基、および特定のpHで切断可能な基を含む。部分L1は切断可能な基を含むが、それが結合している核酸塩基から部分L1全体が除去されることを意味するものではない。むしろ、部分L1内の切断部位は、切断後に部分L1の一部が核酸塩基に結合したままであることを確実にするように部分L1内の任意の位置に位置することができる。いくつかの実施形態において、切断可能なリンカーの使用によって、式(IA)のヌクレオチドまたはヌクレオシドにさらに結合し任意の成分がその後に除去され得ることが確実になる。いくつかの実施形態において、切断可能な基は、酸、塩基、求核剤、求電子剤、ラジカル、金属、還元剤または酸化剤、光、温度、酵素等への曝露を含む任意の適切な方法によって切断し得る。適切な切断可能な基の非限定的な例としては、ジスルフィド基、α-アジドエーテル、ニトロベンジル系基、およびフェナシル基が挙げられる。適切な切断可能な基の他の非限定的な例は、本明細書にさらに記載されている。利用され得る切断可能な基または切断可能な基のクラスのさらに他の例としては、米国特許第9,605,310号、第7,414,116号および第7,057,026号に記載されているものが挙げられ、これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0135】
いくつかの実施形態において、部分L1は、一般構造-[リンカー]-[切断可能な基]-[リンカー]-を有し、ここで、各[リンカー]は同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、各[リンカー]は、独立して、約1~45の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子で置換されていてもよい、直鎖または分枝鎖の、置換または非置換の、飽和または不飽和の脂肪族部分または芳香族部分である。いくつかの実施形態において、各[リンカー]は、独立して、1と約35の間の炭素原子を有し、1つまたは分枝岐鎖の、置換または非置換の、飽和または不飽和の脂肪族部分または芳香族部分である。いくつかの実施形態において、各[リンカー]は、独立して、1と約25の間の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子で置換されていてもよい、直鎖または分枝鎖の、置換または非置換の、飽和または不飽和の脂肪族部分または芳香族部分である。いくつかの実施形態において、各[リンカー]は、独立して、1と約20の間の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子で置換されていてもよい、直鎖または分枝鎖の、置換または非置換の、飽和または不飽和の脂肪族部分または芳香族部分である。いくつかの実施形態において、各[リンカー]は、独立して、1と約10の間の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子で置換されていてもよい、直鎖または分枝鎖の、置換または非置換の、飽和または不飽和の、脂肪族部分または芳香族部分である。
【0136】
いくつかの実施形態において、各[リンカー]は、独立して、2と約45の間の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルケニル基またはヘテロアルケニル基である。いくつかの実施形態において、各[リンカー]は、独立して、2と約35の間の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルケニル基またはヘテロアルケニル基である。いくつかの実施形態において、各[リンカー]は、独立して、2と約25の間の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルケニル基またはヘテロアルケニル基である。いくつかの実施形態において、各[リンカー]は、独立して、2と約20の間の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルケニル基またはヘテロアルケニル基である。いくつかの実施形態において、各[リンカー]は、独立して、2と約10の間の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルケニル基またはヘテロアルケニル基である。いくつかの実施形態において、-[切断可能なリンカー]-は、光切断可能な基、酵素的に切断可能な基、化学的に切断可能な基、および特定のpHで切断可能な基である。
【0137】
いくつかの実施形態において、各[リンカー]は、独立して、2と約45の間の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルキニル基またはヘテロアルキニル基である。いくつかの実施形態において、各[リンカー]は、独立して、2と約35の間の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルキニル基またはヘテロアルキニル基である。いくつかの実施形態において、各[リンカー]は、独立して、2と約25の間の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルキニル基またはヘテロアルキニル基である。いくつかの実施形態において、各[リンカー]は、独立して、2と約20の間の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルキニル基またはヘテロアルキニル基である。いくつかの実施形態において、各[リンカー]は、独立して、2と約10の間の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルキニル基またはヘテロアルキニル基である。いくつかの実施形態において、-[切断可能なリンカー]-は、光切断可能な基、酵素的に切断可能な基、化学的に切断可能な基、および特定のpHで切断可能な基である。
【0138】
いくつかの実施形態において、各[リンカー]は、独立して、1と約45の間の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルキル基またはヘテロアルキル基である。いくつかの実施形態において、各[リンカー]は、独立して、1と約35の間の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルキル基またはヘテロアルキル基である。いくつかの実施形態において、各[リンカー]は、独立して、1と約25の間の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルキル基またはヘテロアルキル基である。いくつかの実施形態において、各[リンカー]は、独立して、1と約20の間の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルキル基またはヘテロアルキル基である。いくつかの実施形態において、各[リンカー]は、独立して、1と約10の間の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルキル基またはヘテロアルキル基である。いくつかの実施形態において、-[切断可能なリンカー]-は、光切断可能な基、酵素的に切断可能な基、化学的に切断可能な基、および特定のpHで切断可能な基である。
【0139】
いくつかの実施形態において、反応性基Z1は、反応性基の対の第1のメンバーである。例えば、本明細書中にさらに記載されるように、Z1は、第2の反応性基メンバーZ2と直交して反応する第1の反応性基メンバー、例えば、式(IIA)~(IIE)のいずれかを有し、本明細書中に記載されるコンジュゲートの反応性基メンバーZ2であってもよい。
【0140】
いくつかの実施形態において、Z1は、「クリックケミストリー」反応に関与することができる反応性基を含む。「クリックケミストリー」反応に関与するのに適した適切な反応性官能基(例えば、互いに反応性である官能基の対)の例を以下の表1に示す。一的般に、「クリックケミストリー」は、範囲が広く、化学収率が高く、無害な副生成物を生成し、化学特異的で、単純な反応条件を必要とし、すぐに利用できる出発物質および試薬を使用する、無溶媒であるか温和な溶媒(水など)を使用しているため、生成物の分離が容易であり、単一の反応生成物との反応に有利な大きな熱力学的駆動力を持ち、および/またはアトムエコノミー(atom economy)が高い、モジュラーアプリケーションを持つ反応を促進する。特定の一般的な基準は本質的に主観的なものである可能性があるが、全ての基準を満たす必要はない。
【0141】
「クリックケミストリー」は、SharplessおよびMeldalのグループによって独自に定義された化学哲学であり、小さなユニットを結合することによって物質を迅速かつ確実に生成するように調整された化学を説明する。「クリックケミストリー」は、信頼性が高く自律的な有機反応のコレクションに適用されている(Kolb,H.C.Finn,M.G.;Sharpless,K.B.Angew).Chem.Int.Ed.2001,40,2004-2021)。例えば、水中での信頼性の高い分子結合としての銅触媒によるアジド-アルキン[3+2]環化付加の特定(Rostovtsev,V.V.;et al.Angew.Chem.Int.Ed.2002,41,2596-2599)は、生体分子相互作用のいくつかのタイプの調査を補強するために使用されてきた(Wang,Q.;et al.J.Am.Chem.Soc.2003,125,3192-3193;Speers,A.E.;et al.J.Am.Chem.Soc.2003,125,4686-4687;Link,A.J.;Tirrell,D.A.J.Am.Chem.Soc.2003,125,11164-11165;Deiters,A.;et al.J.Am.Chem.Soc.2003,125,11782-11783)。さらに、有機合成(Lee,L.V.;et al.J.Am.Chem.Soc.2003,125,9588-9589)、創薬(Kolb,H.C.;Sharpless,K.B.Drug Disc.Today 2003,8,1128-1137;Lewis,W.G.;et al.Angew.Chem.Int.Ed.2002,41,1053-1057)、および表面の官能化(Meng,J.-C.;et al.Angew.Chem.Int.Ed.2004,43,1255-1260;Fazio,F.;et al.J.Am.Chem.Soc.2002,124,14397-14402;Collman,J.P.;et al.Langmuir 2004,ASAP,in press;Lummerstorfer,T.;Hoffmann,H.J.Phys.Chem.B 2004,印刷中)への応用も登場している。
【0142】
いくつかの実施形態において、Z
1は、Cu(I)触媒アジド-アルキン付加環化(CuAAC)を受けることができる反応性基(例えば、Meldal et.al.,’’Cu-Catalyzed Azide-Alkyne Cycloaddition,’’Chem Rev.2008,108,8,2952-3015参照)を含む。いくつかの実施形態において、Z
1は、銅を含まない歪み促進アジド-アルキン環化付加(SPAAC)を受けることができる反応性基を含む。いくつかの実施形態では、Z
1は、キレート化支援酢酸Cu(II)促進アジド-アルキン環化付加(CuAAC)を受けることができる反応性基を含む。いくつかの実施形態において、Z
1は、逆要請ディールス-アルダー環化付加反応(例えば、テトラジン歪みアルケンクリックケミストリー)を受けることができる反応性基を含む。
【表1】
表1:反応性官能基対の第1および第2のメンバー。
【0143】
いくつかの実施形態において、Z1は、結合事象に関与することができる反応性基を含む。結合事象の例としては、オリゴヌクレオチドの互いへのハイブリダイゼーション、ハプテンの抗体またはそのバリアントへの結合、およびホスト-ゲスト分子相互作用(すなわち、ホスト分子とゲスト分子との相互作用)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0144】
したがって、いくつかの実施形態において、Z1は、特異的結合実体を含む。本明細書で使用される場合、「特異的結合実体」という用語は、特異的結合対のメンバーを指す。特異的結合対は、他の分子への結合を実質的に排除して互いに結合することを特徴とする分子の対である(例えば、特異的結合対は、反応混合物または試料中の他の分子との結合対の2つのメンバーのいずれかの結合定数よりも少なくとも103M-1大きい、少なくとも104M-1大きい、または105M-1大きい結合定数を有し得る)。
【0145】
いくつかの実施形態において、特異的結合実体は、タンパク質、例えば、抗体、抗体断片、レクチン、アビジン(例えば、ストレプトアビジン)およびプロテインAである。いくつかの実施形態において、抗体は、抗ハプテン抗体である。
【0146】
他の実施形態において、特異的結合実態は、ハプテンである。本明細書で使用される場合、「ハプテン」は、抗体と特異的に結合することができるが、典型的には、担体分子との組合せを除いて免疫原性であることが実質的に不可能である小分子である。ハプテンの非限定的な例としては、ピラゾール(例えばニトロピラゾール);ニトロフェニル化合物;ベンゾフラザン;トリテルペン;尿素(例えば、フェニル尿素);チオ尿素(例えばフェニルチオ尿素);ロテノンおよびロテノン誘導体;オキサゾール(例えば、オキサゾールスルホンアミド);およびチアゾール(例えば、チアゾールスルホンアミド);クマリンおよびクマリン誘導体;およびシクロリグナン(例えば、ポドフィロトキシンおよびポドフィロトキシン誘導体)が挙げられる。いくつかの実施形態において、ハプテンは、ベンゾフランハプテンおよびチアゾールスルホンアミドハプテンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ハプテンは、5-ニトロ-3-ピラゾールカルバミド(NP)、2-アセトアミド-4-メチル-5-チアゾールスルホンアミド(TS)、7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルボン酸(DCC)、ジゴキシゲニン(DIG)、2,4-ジニトロフェニル(DNP)、フルオレセイン、3-ヒドロキシ-2-キノキサリンカルバミド、および2,1,3-ベンゾオキサジアゾール-5-カルバミド(BF)から選択される。本開示での使用に適した他のハプテンとしては、米国特許第8,846,320号、第8,618,265号;第7,695,929号;第8,481,270号;および第9,017,954号に記載のものが挙げられ、これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0147】
いくつかの実施形態において、Z
1は、オリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、約3と約30の間のヌクレオチド長、すなわち、約3merと約30merの間である。他の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、約3~約25ヌクレオチド長である。他の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、約3~約20ヌクレオチド長である。他の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、約3~約16ヌクレオチド長である。他の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、約3~約12ヌクレオチド長である。他の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、約3~約10ヌクレオチド長である。さらに他の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、約4~約6ヌクレオチド長である。さらなる実施形態において、オリゴヌクレオチドは5~6ヌクレオチド長である。適切なオリゴヌクレオチド配列の非限定的な例を以下の表2に示す。
【表2】
表2:オリゴヌクレオチド配列の非限定的な例。
【0148】
いくつかの実施形態において、配列番号1~22および29~50(表2に列挙)はLNA配列である。他の実施形態において、配列番号23~28および51~56(表2に列挙)はDNA配列である。
【0149】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の「鏡像」、「L構成」または「L形態」モノマー(例えば、L-デオキシリボースから構成されるモノマー)を含む。L形態モノマーから構成されるオリゴヌクレオチドは、天然に存在するβ-D-構成核酸、例えば配列決定されるDNA分子、配列決定プライマー等に結合しないと考えられる。β-L-構成オリゴヌクレオチドは、そのβ-D-構成オリゴヌクレオチド対応物と同じ物理化学的特徴(例えば、溶解度、二本鎖安定性、対形成選択性)を特徴とする。しかしながら、L-構成オリゴヌクレオチドはヌクレアーゼ消化に対して安定であり、左手型二本鎖を形成する。追加のタイプのモノマーは、J.Am.Chem.Soc.1991,113(21),8174-8175;and Nucleic Acids Research,Volume 20,Issue 13、1992年7月11日、頁3325-3332に開示されており、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0150】
他の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の2’-O-Me RNA塩基を含む。さらに他の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の融解温度(Tm)増強核酸塩基を含む。いくつかの実施形態において、Tm増強核酸塩基は、5-プロピニル-ウラシル、5-プロピニル-シトシン、7-プロピニル-7-デアザアデニン、7-プロピニル-7-デアザグアニン、7-デアザ-8-アザ-7-ブロモ-グアニン、および7-デアザ-8-アザ-7-ブロモ-2-アミノ-アデニンから選択される。
【0151】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは「LNA修飾オリゴヌクレオチド」である。「LNA修飾オリゴヌクレオチド」は、1つまたは複数のLNAモノマー(「ロック核酸」モノマー)で完全にまたは部分的に修飾されたオリゴヌクレオチドを指す。したがって、「LNA修飾オリゴヌクレオチド」は、全体がLNAモノマーから構成されていてもよく、または「LNA修飾オリゴヌクレオチド」は、1つのLNAモノマー、2つのLNAモノマー等を含んでもよい。本明細書で使用される場合、「LNAモノマー」という用語は、リボース環が2’-酸素と4’-炭素との間のメチレン結合によって拘束されている、すなわち2’位と4’位との間に共有結合架橋(2’-4’架橋)を含むヌクレオチド等の、配座が制限されたヌクレオチドアナログのクラスを指す。いくつかの実施形態において、LNAは、天然に存在する核酸に高親和性で結合する、そのベータ-D-構成で適用される。α-L-LNAも記載されており、また、天然に存在する核酸と高い親和性で対を形成する。α-L-LNAとは対照的に、β-L-LNAは、天然に存在する核酸には結合せず、β-L-DNAまたはβ-L-LNAのようなβ-L-構成核酸にのみ結合する。LNAモノマーは、米国特許第6,268,490号、米国特許第6,794,499号、米国特許第7,034,133号にさらに記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ロック核酸誘導体の合成は、米国特許第8,492,390号に記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。さらに他のモノマーは、PCT公開番号、国際公開第98/39352号、同第99/14226号および同第200066604号に開示されており、これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0152】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドに1つまたは複数のLNAモノマーを組み込むことにより、二重鎖の融解温度(Tm)を上昇させることによって、オリゴヌクレオチドの相補的RNAまたはDNA標的に対する親和性が上昇する。いくつかの実施形態において、二重鎖の熱安定性は、オリゴヌクレオチド中に存在するLNAモノマーあたり、実際の塩基に応じて、約3℃と約8℃の間の範囲で上昇する(Dwaine A.BraaschおよびDavid R.Corey,Chemistry and Biology 8(2001)1-7を参照のこと)。DNA/LNAミクスマーと比較して、全LNA二重鎖は非常に安定な二重鎖を形成する。したがって、非常に短い配列を結合対として使用することができる。いくつかの実施形態において、非常に短い配列の使用は、ヌクレオチドにおける修飾を可能な限り小さく保ち、ポリメラーゼによる取り込み効率を最小限に低下させることができるので、有利であると考えられる。さらに、β-L-LNAは、D-構成核酸(例えば、配列決定されるDNAを用いて)を妨害しないというさらなる利点を有する。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、全体がLNAモノマーで構成され、例えば、3~12のLNAモノマー、4~8のLNAモノマー、または5~6のLNAモノマーを含むオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、Z1基は、LNAモノマーを含み、配列番号1~22のいずれか1つの配列を有するオリゴヌクレオチド配列を含み得る。当業者は、導入された任意のコンジュゲート(本明細書に記載)が、LNAモノマーを含み、配列番号29~50のいずれか一つの配列を有する相補的なオリゴヌクレオチド配列を含むことを理解するであろう。例えば、ヌクレオチドが配列番号19を有するオリゴヌクレオチドを含むZ1基を含む場合、導入されたコンジュゲートは相補的な配列、すなわち配列番号47を有する。いくつかの実施形態において、第1および第2のオリゴヌクレオチド配列を交換することができ、すなわち、Z1基は、LNAモノマーを含み、配列番号29~50のいずれか1つの配列を有するオリゴヌクレオチド配列を含み得、次いで、導入された任意のコンジュゲートは、LNAモノマーを含み、配列番号1~22のいずれか1つの配列を有する相補的なオリゴヌクレオチド配列を含む。
【0153】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは「PNA修飾オリゴヌクレオチド」である。「PNA修飾オリゴヌクレオチド」は、1つまたは複数のPNAモノマー(「ペプチド核酸」モノマー)で完全にまたは部分的に修飾されたオリゴヌクレオチドを指す。PNAモノマーは、天然の核酸の糖リン酸骨格が、通常はN-(2-アミノ-エチル)-グリシン単位から形成される合成ペプチド骨格によって置換され、アキラルで電荷を帯びていない模倣物をもたらすヌクレオチドアナログのクラスを指す。PNAは電荷を含まないため、PNAとDNAとの間の結合ハイブリダイゼーションは、同じ配列についてのDNAとDNAとの間の結合ハイブリダイゼーションよりも強いと考えられる。LNA/LNA二本鎖と同様に、PNA/PNA二本鎖は高い二本鎖安定性を有する。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、全体がPNAモノマーで構成され、例えば、3~12のPNAモノマー、4~8のPNAモノマー、または5~6のPNAモノマーを含むオリゴヌクレオチドである。例として、オリゴヌクレオチドは、6のPNAモノマーを含み得、配列5’-ctgtca-3’(配列番号4)を有し得る。
【0154】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数のγ-PNAモノマーで構成される。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチド中の1または複数のPNAモノマーは、荷電部分(例えばリジン基)等でそのγ炭素において置換されていてもよい。
【0155】
いくつかの実施形態において、Z1は、ホスト分子またはゲスト分子(すなわち、ホスト/ゲストシステムの1つのメンバー)のうちの1つを含む。ホスト-ゲストシステムは、やや大きなホスト分子の空洞に嵌合し、引力非共有結合力(例えば、水素結合および/またはファンデルワールス引力)によってそこに保持された小さなゲスト分子を含む。異なる種類のホスト-ゲストシステムは、多様な結合配座および広範囲の結合親和性を示す。
【0156】
いくつかの実施形態において、ホスト分子はククルビット[n]ウリル化合物であり、ゲスト分子は、ククルビット[n]ウリル化合物の空洞内に存在し得る任意の化合物である。いくつかの実施形態において、ククルビット[n]ウリル化合物は、ククルビット[6]ウリル、ククルビット[7]ウリルまたはククルビット[8]ウリルである。他のホスト化合物としては、カリックスアレーン、例えばカリックス[4]アレーンが挙げられる。
【0157】
いくつかの実施形態において、ゲスト分子はアミノアダマンタンである。いくつかの実施形態において、ゲスト分子は、ジカチオン性フェロセン誘導体(例えば、ビス(トリメチルアンモニオメチル)フェロセン)である。他の実施形態において、ゲスト分子はジカチオン性N-アダマンチルエチレンジアミンである。さらに他の実施形態において、ホスト分子は、β-シクロデキストリン等のシクロデキストリンである。
【0158】
本開示で使用するのに適したさらに他のホスト/ゲスト分子は、米国特許出願公開第2005/0080068号、同第2009/0072191号、同第2010/0247477号および同第2017/0028374号に記載されており、これらの開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。さらに他のホスト/ゲスト分子が、Rekharsky et.al.,’’A synthetic host-guest system achieves avidin-biotin affinity by overcoming enthalpy-entropy compensation,’’PNAS,2007年12月26日、vol.104,no.52,20737-20742;Moghaddam et.al.,「Host-Guest Complexes with Protein-Ligand-like Affinities:Computational Analysis and Design」、Journal of the American Chemical Society 2009年,131,11,4012-4021;Sonzini et.al.,「High Affinity Recognition of a Selected Amino Acid Epitope within a Protein by Cucurbit[8]uril Complexation」、Angewandte Chemie,Vol.55,Issue 45、2016年11月;Chakraborty et.al.,「A styryl based fluorogenic probe with high affinity for a cyclodextrin derivative」、Organic&Biomolecular Chemistry,Issue 28,2019年;Iwamoto et.al.,「Energetics of guest binding to calix[4]arene molecular containers」、Tetrahedron,Vol.65,Issue 35、2009年8月、7259-7267にさらに記載されており、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0159】
いくつかの実施形態において、PGは、分子(例えば、式(IA)のいずれか等の他のヌクレオチド)の取り込みが式(IA)のヌクレオチドの3’位で反応するのを妨げる任意の保護基であるが、ここで、PG基は、(例えば、さらなるヌクレオチドの取り込みによって重合が起こることを可能にするために)規定の条件下で除去され得る。適切な保護基の非限定的な例としては、アジドメチル、3’-O-アリル(3’-O-CH2-CH=CH2)、3’-ニトレート(3’-O-NO2)、3-ジチオメチル(3’-O-CH2-S-S-R)、3’-O-シアノエチル(3’-O-CH2CH2CN)および3’-O-シアノエトキシメチル(3’-O-CH2-O-CH2CH2CN)が挙げられる。さらなる追加の保護基は、米国特許第5,990,300号;米国特許出願公開第2015/0140561号および同第2007/0117104号;およびPCT公開国際公開2008/037568号および国際公開第91/06678号に開示されており、それらの開示はそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。またさらなる保護基は、PCT出願番号PCT/US19/66670に開示されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。PCT出願番号PCT/US19/66670には、例えば、式-B(OR1)(OR2)を有する保護基が記載されており、式中、R1およびR2は、-H、メチル、またはエチルから独立して選択される。
【0160】
いくつかの実施形態において、本開示によるヌクレオチド、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチドおよび/またはポリヌクレオチド(その任意の塩を含む)は、式(IB):
【化9】
【0161】
[式中、
【0162】
Yは、-OH、-O-P(O)(OH)[-O-P(O)(OH)]z-OHまたは-O-P(O)(OH)-オリゴヌクレオチドであり、ここで、zは0または1~5の範囲の整数であり;
【0163】
PGは保護基であり;
【0164】
Wは核酸塩基であり;
【0165】
Q1は、1~25の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子で置換されていてもよい、直鎖または分枝鎖の、置換または非置換の、飽和または不飽和の脂肪族部分であり;
【0166】
Q2は、1~45の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子で置換されていてもよい、直鎖または分枝鎖の、置換または非置換の、飽和または不飽和の脂肪族部分または芳香族部分であり;
【0167】
X1は切断可能な基であり;かつ
【0168】
Z1は、反応性基である]
によって定義される構造を有する。
【0169】
いくつかの実施形態において、Q1は、C1~C25直鎖または分枝鎖の、置換または非置換のアルキルまたはヘテロアルキル基を含む。いくつかの実施形態において、Q1は、C1~C20直鎖または分枝鎖の、置換または非置換のアルキルまたはヘテロアルキル基を含む。いくつかの実施形態において、Q1は、C1~C15直鎖または分枝鎖の、置換または非置換のアルキルまたはヘテロアルキル基を含む。他の実施形態では、Q1は、C1~C8直鎖または分枝鎖の、置換または非置換のアルキルまたはヘテロアルキル基を含む。他の実施形態において、Q1は、C1~C6直鎖または分枝鎖の、置換または非置換のアルキルまたはヘテロアルキル基を含む。なおさらなる実施形態において、Q1は、C1~C4直鎖または分枝鎖の、置換または非置換のアルキルまたはヘテロアルキル基を含む。なおさらなる実施形態において、Q1は、C1~C4直鎖または分枝鎖の、置換または非置換のアルキル基を含む。なおさらなる実施形態において、Q2は、C1~C4直鎖または分枝鎖のアルキル基を含む。
【0170】
いくつかの実施形態において、Q1は、C3~C6シクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基を含む。いくつかの実施形態において、Q1は、C3~C4シクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基を含む。いくつかの実施形態において、Q1は、置換または非置換のC5~C7シクロアルキル基を含む。いくつかの実施形態において、Q1は、置換または非置換のC5~C6シクロアルキル基を含む。いくつかの実施形態において、Q1は、置換または非置換のC5~C7ヘテロシクロアルキル基を含む。いくつかの実施形態において、Q1は、置換または非置換のC5~C6ヘテロシクロアルキル基を含む。
【0171】
いくつかの実施形態において、Q1は、C2~C25置換または非置換のアルケニル基を含む。いくつかの実施形態において、Q1は、C2~C12置換または非置換のアルケニル基を含む。他の実施形態において、Q1は、C2~C6置換または非置換のアルケニル基を含む。いくつかの実施形態において、Q1は、C2~C25置換または非置換のアルキニル基を含む。いくつかの実施形態において、Q1は、C2~C12置換または非置換のアルキニル基を含む。他の実施形態において、Q1は、C2~C6置換または非置換のアルキニル基を含む。
【0172】
いくつかの実施形態において、Q2は、C1~C45直鎖または分枝鎖の、置換または非置換のアルキルまたはヘテロアルキル基を含む。いくつかの実施形態において、Q2は、C1~C35直鎖または分枝鎖の、置換または非置換のアルキルまたはヘテロアルキル基を含む。いくつかの実施形態において、Q2は、C1~C25直鎖または分枝鎖の、置換または非置換のアルキルまたはヘテロアルキル基を含む。他の実施形態において、Q2は、C1~C20直鎖または分枝鎖の、置換または非置換のアルキルまたはヘテロアルキル基を含む。さらに他の実施形態において、Q2は、C1~C15直鎖または分枝鎖の、置換または非置換のアルキルまたはヘテロアルキル基を含む。なおさらなる実施形態において、Q2は、C1~C10直鎖または分枝鎖の、置換または非置換のアルキルまたはヘテロアルキル基を含む。なおさらなる実施形態において、Q2は、C1~C6直鎖または分枝鎖の、置換または非置換のアルキルまたはヘテロアルキル基を含む。なおさらなる実施形態において、Q2は、C1~C6直鎖または分枝鎖の、置換または非置換のアルキル基を含む。なおさらなる実施形態において、Q2は、C1~C6直鎖または分枝鎖のアルキル基を含む。
【0173】
いくつかの実施形態において、Q2は、C3~C6シクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基を含む。いくつかの実施形態において、Q2は、C3~C4シクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基を含む。いくつかの実施形態において、Q2は、置換または非置換のC5~C7シクロアルキル基を含む。いくつかの実施形態において、Q2は、置換または非置換のC5~C6シクロアルキル基を含む。いくつかの実施形態において、Q2は、置換または非置換のC5~C7ヘテロシクロアルキル基を含む。いくつかの実施形態において、Q2は、置換または非置換のC5~C6ヘテロシクロアルキル基を含む。
【0174】
いくつかの実施形態において、Q2は、C2~C45置換または非置換のアルケニル基を含む。いくつかの実施形態において、Q2は、C2~C25置換または非置換のアルケニル基を含む。いくつかの実施形態において、Q2は、C2~C45置換または非置換のアルキニル基を含む。いくつかの実施形態において、Q2は、C2~C25置換または非置換のアルキニル基を含む。
【0175】
いくつかの実施形態において、Q1および/またはQ2のいずれかは、独立して、ポリエチレンオキシド部分またはポリプロピレンオキシド部分を含み得る。例えば、Q1および/またはQ2のいずれかは、基-[CH2-CH2-O]s-を含んでもよく、ここで、sは1~約27の範囲の整数である。いくつかの実施形態において、sは1~12の範囲である。例えば、Q2は、基-[CH2-CH(CH3)-O]s-を含んでもよく、ここで、sは、1~約27の範囲の整数である。いくつかの実施形態において、sは1~約12の範囲である。
【0176】
いくつかの実施形態において、Q1および/またはQ2は、独立して、置換または非置換のC5~C7アリール基を含む。他の実施形態において、Q1および/またはQ2のいずれかは、独立して、置換または非置換のC5~C6アリール基を含む。
【0177】
いくつかの実施形態において、X1は、任意の光切断可能、酵素的に切断可能、化学的に切断可能、pH感受性等の基であり得る。例えば、X1は、約200nmと約400nm(UV)の間または約400nmと約800nm(可視)の間の波長を有する電磁放射線源への曝露時に切断され得る基である。適切な光切断可能な基の例としては、アリールカルボニルメチル基(例えば、4-アセチル-2-ニトロベンジル、ジメチルフェナシル(DMP));2-(アルコキシメチル)-5-メチル-α-クロロアセトフェノン、2,5-ジメチルベンゾイルオキシラン、ベンゾイン基(例えば、3’,5’-ジメトキシベンゾイン(DMB))、o-ニトロベンジル基(例えば、1-(2-ニトロフェニル)エチル(NPE)、1-(メトキシメチル)-2-ニトロベンゼン、4,5-ジメトキシ-2-ニトロベンジル(DMNB)、α-カルボキシニトロベンジル(α-CNB));o-ニトロ-2-フェネチルオキシカルボニル基(例えば、1-(2-ニトロフェニル)エチルオキシカルボニルおよび2-ニトロ-2-フェネチル誘導体);o-ニトロアニリド(例えば、アシル化5-ブロモ-7-ニトロインドリン);クマリン-4-イル-メチル基(例えば、7-メトキシクマリン誘導体);9-置換キサンテンおよびアリールメチル基(例えば、o-ヒドロキシアリールメチル基)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0178】
いくつかの実施形態において、X1は、約700nmと約1000nmの間の波長を有する電磁放射線源に曝露されると切断され得る基である。適切な近赤外光切断可能な基としては、C4-ジアルキルアミン置換ヘプタメチンシアニンを含むシアニン基が挙げられる。
【0179】
いくつかの実施形態において、X1は、還元剤を含む異なる化学反応物質によって、またはpHの誘導された変化(例えば、約7未満のpHにおける基X1の切断)によって化学的に切断され得る基である。化学的に切断可能な基の非限定的な例としては、ジスルフィド系基;ジアゾベンゼン基(例えば、2-(2-アルコキシ-4-ヒドロキシ-フェニルアゾ);安息香酸骨格;エステル結合系基;および酸性感受性基(例えば、ジアルコキシジフェニルシラン基またはアシルヒドラゾン基)が挙げられる。求電子的に切断された基(例えば、p-アルコキシベンジルエステルおよびp-アルコキシベンジルアミド)は、プロトンによって切断され、酸に感受性の切断を含むと考えられている。
【0180】
いくつかの実施形態において、X1は、トリプシン切断可能な基およびV8プロテアーゼによって切断可能な基を含むがこれらに限定されない、酵素的に切断され得る基である。いくつかの実施形態において、基は、ウラシル-N-グリコシラーゼ、RNase A、β-グルクロニダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、またはTEV-プロテアーゼの1つによって酵素的に切断され得る。
【0181】
いくつかの実施形態において、基W、Z1、Q1、X1、およびQ2は、C-C結合、アミド結合、エステル結合、尿素結合、ウレタン結合、アミン結合、エーテル結合、チオエーテル結合、リン酸結合、1,2,3-トリアゾール結合、またはジヒドロピリダジン結合等の化学結合を介して結合される。例として、合成中、Q1は、X1の対応する反応性官能基(例えば、アミン反応性基、カルボン酸反応性基、またはチオール反応性基)へ結合するための第1の反応性官能基(例えば、アミン反応性基、カルボン酸反応性基、またはチオール反応性基)を含み得る。いくつかの実施形態において、アミン反応性基は、イソチオシアネート、イソシアネート、アシルアジド、NHSエステル、酸塩化物、例えば塩化スルホニル、アルデヒド、エポキシドおよびオキシラン、カーボネート、アリール化剤、イミドエステル、カルボジイミド、無水物、およびそれらの組合せを含む。適切なチオール反応性官能基としては、ハロアセチルおよびハロゲン化アルキル、マレイミド、アジリジン、アクリロイル誘導体、アリール化剤、チオール-ジスルフィド交換試薬、例えばピリジルジスルフィド、TNB-チオールおよびジスルフィド還元剤、ならびにそれらの組合せが挙げられる。カルボキシレート反応性官能基としては、ジアゾアルカン、ジアゾアセチル化合物、カルボニルジイミダゾール化合物、およびカルボジイミドが挙げられる。ヒドロキシル反応性官能基としては、エポキシドおよびオキシラン、カルボニルジイミダゾール、N,N’-ジスクシンイミジルカーボネートまたはN-ヒドロキシスクシンイミジルクロロホルメート、過ヨウ素酸塩酸化化合物、酵素酸化、アルキルハロゲンおよびイソシアネートが挙げられる。アルデヒドおよびケトン反応性官能基としては、ヒドラジン、シッフ塩基、還元的アミノ化生成物、マンニッヒ縮合生成物、およびそれらの組合せが挙げられる。活性水素反応性化合物としては、ジアゾニウム誘導体、マンニッヒ縮合生成物、ヨウ素化反応生成物、およびその組合せが挙げられる。光反応性化学官能基としては、アリールアジド、ハロゲン化アリールアジド、ベンゾホノン、ジアゾ化合物、ジアジリン誘導体、およびその組合せが挙げられる。
【0182】
式(IA)または(IB)のいずれかを有するヌクレオチドの非限定的な例を以下に示す。
【化10-1】
【化10-2】
【化10-3】
【0183】
コンジュゲート
【0184】
本開示はまた、式(IA)および(IB)のヌクレオチド、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチドおよび/またはポリヌクレオチド(またはその任意の塩)と反応することができるコンジュゲートを提供する。いくつかの実施形態において、コンジュゲートは、式(IIA)または(IIB):
【化11】
【0185】
[式中、
【0186】
Dは、検出可能な標識または検出可能な標識を含むコンジュゲートであり;
【0187】
L2は、結合または、1~60の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子を含んでもよい、直鎖または分枝鎖の、置換または非置換の、飽和または不飽和の脂肪族部分または芳香族部分であり;
【0188】
Z2は、反応性基であり;かつ
【0189】
pは、2~約1000の範囲である]
によって定義される構造を有する。
【0190】
いくつかの実施形態において、式(IIA)に関して、検出可能な標識または検出可能な標識「D」を含むコンジュゲートは、単一のZ2反応性基のみで、例えば基L2を介して官能化される。他の実施形態において、式(IIB)に関して、2つ以上のZ2反応性基は、単一の検出可能な標識または検出可能な標識「D」を含む単一のコンジュゲートにコンジュゲートされる。いくつかの実施形態において、pは、2~約500の範囲である。他の実施形態において、pは2~約250の範囲である。さらに他の実施形態において、pは2~約150の範囲である。さらなる実施形態において、pは2~約100の範囲である。なおさらなる実施形態において、pは2~約60の範囲である。なおさらなる実施形態において、pは2~約30の範囲である。
【0191】
いくつかの実施形態において、Z2は、反応性基の対の第2のメンバーである。例えば、Z2は、式(IA)および(IB)のいずれかのヌクレオチドの第1の反応性基メンバーZ1等の第1の反応性基メンバーZ1と特異的に反応する、すなわち直交性に反応する第2の反応性基メンバーであり得る。いくつかの実施形態において、Z2は、部分Z1に関して本明細書に記載される反応性基のいずれかから選択される。例えば、Z1がクリックコンジュゲートの対の第1のメンバーを含む場合、Z2はクリックコンジュゲートの対の第2のメンバーを含み、ここで、クリックコンジュゲートの対の第2のメンバーはクリックコンジュゲートの対の第1のメンバーと反応性である。他の例として、Z1が第1のオリゴヌクレオチドを含む場合、Z2は第2のオリゴヌクレオチドを含み、ここで、第2のオリゴヌクレオチドは第1のオリゴヌクレオチドと相補的であり、第1のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることができる。さらに他の例では、Z1がハプテンを含む場合、Z2は抗ハプテン抗体を含む。さらなる例において、Z1がホスト分子を含む場合、Z2はホスト分子と相互作用することができるゲスト分子を含む。いくつかの実施形態において、Z2は、Z1に関して本明細書に記載される化合物のいずれかから選択される。
【0192】
いくつかの実施形態において、部分L2は、1と約50の間の炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、部分L2は、1と約40の間の炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、部分L2は、2と約30の間の炭素原子を含む。さらに他の実施形態において、部分L2は、約5と約20の間の炭素原子を含む。さらに他の実施形態において、部分L2は、約5と約15の間の炭素原子を含む。さらなる実施形態において、部分L2は、約10と約20の間の炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、部分L2は、約20g/mol~約750g/molの範囲の分子量を有する。他の実施形態において、部分L2は、約20g/mol~500g/molの範囲の分子量を有する。さらに他の実施形態において、部分L2は、約20g/mol~250g/molの範囲の分子量を有する。
【0193】
いくつかの実施形態において、部分L2は、ビオチン(5-[(3aS,4S,6aR)-2-オキソ-1,3,3a,4,6,6a-ヘキサヒドロチエノ[3,4-d]イミダゾール-4-イル]ペンタン酸)またはその誘導体を含む。いくつかの実施形態において、L2は、構造:L4-L5-を有し、ここで、L4はビオチンまたはその誘導体であり、L5は、1~約50の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子を含んでもよい、直鎖または分枝鎖の、置換または非置換の、飽和または不飽和の脂肪族部分または芳香族部分である。いくつかの実施形態において、L5は、1~約20の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子を含んでもよい、直鎖または分枝鎖の、置換または非置換の、飽和または不飽和の脂肪族部分または芳香族部分である。いくつかの実施形態において、L5は、1つまたは複数の切断可能な基を含む。いくつかの実施形態において、L2はビオチンまたはその誘導体である。いくつかの実施形態において、L2は、少なくとも部分的にビオチンに由来する。いくつかの実施形態において、L2は、結合である。
【0194】
いくつかの実施形態において、部分L2は、1つまたは複数の切断可能な基、例えば、光切断可能な基、酵素的に切断可能な基、化学的に切断可能な基、および特定のpHにおいて切断可能な基を含んでもよい。部分L2が切断可能な基を含む実施形態において、切断可能な基は、部分L2内の任意の位置に位置することができる。部分L2が切断可能な基を含む実施形態において、切断可能な基は、L1またはX1に関して本明細書に記載されるもののいずれか(例えば、ジスルフィドまたはα-アジドエーテル)を含み得る。いくつかの実施形態において、部分L2は、1つの切断可能な基を含む。他の実施形態において、部分L2は、切断可能な基を含まない。いくつかの実施形態において、L2は存在せず、すなわち、L2は結合である。
【0195】
いくつかの実施形態において、部分L2は、1と約40の間の炭素原子を有し、1つまたは複数の切断可能な基を含んでもよい、置換または非置換のアルキル基またはヘテロアルキル基である。いくつかの実施形態において、部分L2は、1と約30の間の炭素原子を有し、1つまたは複数の切断可能な基を含んでもよい、置換または非置換のアルキル基またはヘテロアルキル基である。いくつかの実施形態において、部分L2は、1と約20の間の炭素原子を有し、1つまたは複数の切断可能な基を含んでもよい、置換または非置換のアルキル基またはヘテロアルキル基である。
【0196】
いくつかの実施形態において、部分L2は、一般構造-[リンカー]t-[切断可能な基]u-[リンカー]v-を有し、式中、各[リンカー]は、同じであっても異なっていてもよく、式中、t、uおよびvは、独立して、0または1~約5の範囲の整数である。いくつかの実施形態において、t、uおよびvは、独立して、0または1~約4の範囲の整数である。いくつかの実施形態において、t、uおよびvは、独立して、0または1~約3の範囲の整数である。いくつかの実施形態において、t、uおよびvは、独立して、0または1~2の範囲の整数である。いくつかの実施形態において、各[リンカー]は、独立して、1~約30の炭素原子を含んでいてもよく、各[リンカー]は、1つまたは複数のヘテロ原子で置換されていてもよい。いくつかの実施形態において、各[リンカー]は、独立して、2~約20の炭素原子を含んでいてもよく、各[リンカー]は、1つまたは複数のヘテロ原子で置換されていてもよい。いくつかの実施形態において、各[リンカー]は、独立して、3~約15の炭素原子を含んでいてもよく、各[リンカー]は、1つまたは複数のヘテロ原子で置換されていてもよい。いくつかの実施形態において、各[リンカー]は、独立して、1と約20の間の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルキル基またはヘテロアルキル基である。いくつかの実施形態において、各[リンカー]は、独立して、1と約10の間の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルキル基またはヘテロアルキル基である。いくつかの実施形態において、-[切断可能なリンカー]-は、光切断可能な基、酵素的に切断可能な基、化学的に切断可能な基、および特定のpHで切断可能な基を含む。
【0197】
いくつかの実施形態において、検出可能な標識または検出可能な標識「D」を含むコンジュゲートは、検出することができる任意の化学基または分子であり得る。いくつかの実施形態において、検出可能な標識または検出可能な標識「D」を含むコンジュゲートは、磁気ナノ粒子である。いくつかの実施形態において、磁気ナノ粒子は、常磁気、超常磁気または強磁気であり得る磁気材料から形成される。いくつかの実施形態において、磁気ナノ粒子は、構造が結晶性、多結晶性、または非晶質である強磁気材料から形成される。例えば、磁気ナノ粒子のコアは、Fe、Co、Ni、FeOFe2O3、NiOFe2O3、CuOFe2O3、MgOFe2O3、MnBi、MnSb、MnOFe2O3、Y3Fe5O12、CrO2、MnAs、SmCo、FePt、またはそれらの組合せ等の材料を含み得るが、これらに限定されない。他の実施形態において、磁気ナノ粒子は、受動金属と磁気金属との複合材または合金であるコア材料を含む。いくつかの実施形態において、受動金属はAu、Ag、PtまたはCuから選択され、磁気金属はFeおよびCoから選択される。ナノ粒子コアはまた、Au/Fe、Au/Cu、Au/Gd、Au/Zn、Au/Fe/Cu、Au/Fe/GdおよびAu/Fe/Cu/Gdを含む合金から形成されてもよい。他の非限定的な磁気ナノ粒子は、米国特許出願公開第2006/0233712号および第2003/0068187号;PCT公開番号国際公開第03/073444号、同第02/093140号および同第02/32404号;米国特許第6,531,304号、同第6,514,481号、同第6,254,662号、同第8,557,607号、同第9,623,126号および同第9,707,2984号に記載されており、これらの開示は各々、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0198】
いくつかの実施形態において、磁気ナノ粒子は、高い磁気異方性を有するものを含み得る。高い磁気異方性を有する磁気ナノ粒子の例としては、Fe3O4、FePt、FePdおよびCoPtが含まれるが、これらに限定されない。ヌクレオチドへの化学的結合を促進するために、粒子を合成し、SiO2でコーティングすることができる。例えば、M.Aslam,L.Fu,S.Li,and V.P.Dravid,「Silica encapsulation and magnetic properties of FePt nanoparticles」、Journal of Colloid and Interface Science,Volume 290,Issue 2,2005年10月15日、pp.444-449を参照されたい。高い磁気異方性を有する磁気ナノ粒子の例としては、FeO、Fe3O4、FePt、FePdおよびCoPtが含まれるが、これらに限定されない。ヌクレオチドへの化学的結合を促進するために、粒子を合成し、SiO2でコーティングすることができる(例えば、M.Aslam,L.Fu,S.Li,and V.P.Dravid,「Silica encapsulation and magnetic properties of FePt nanoparticles」、Journal of Colloid and Interface Science,Volume 290,Issue 2、2005年10月15日、pp.444-449参照、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0199】
いくつかの実施形態において、磁気ナノ粒子は、1つまたは複数のL2基に(例えば共有結合を介して)直接結合される。他の実施形態において、磁気ナノ粒子は、コンジュゲートに間接的に結合される。例えば、いくつかの実施形態において、磁気ナノ粒子は、複数のアビジンおよび/またはストレプトアビジン分子で官能化された表面を含み得る。いくつかの実施形態において、アビジンおよび/またはストレプトアビジン分子で官能化された磁気ナノ粒子は、ビオチン分子またはビオチン分子の誘導体を含むL2基と反応(例えば非共有結合的に)し得る。
【0200】
いくつかの実施形態において、コンジュゲートに(直接的または間接的に)結合した磁気ナノ粒子は、磁気センサアレイで検出することができる任意の磁気ナノ粒子を含み得る。いくつかの実施形態において、コンジュゲートに(直接的または間接的に)結合された磁性ナノ粒子は、複数の磁気センサ(例えば、線形アレイで構成されたもの)を含む磁気センサアレイで検出することができる任意の磁気ナノ粒子を含んでいてもよく、複数の磁気センサの各々は少なくとも1つのアドレス線に結合されている。いくつかの実施形態において、複数の磁気センサの少なくとも1つの特性を検出するために、少なくとも1つのアドレス線に磁場が印加される。いくつかの実施形態において、検出された特性は、検出可能な磁気ナノ粒子(例えば、本明細書中にさらに記載されるように、ヌクレオチド、オリゴ-/ポリヌクレオチドに、またはヌクレオチド-コンジュゲート複合体の一部として結合したもの)の存在を示す。磁気ナノ粒子を含む標識ヌクレオチドおよび/または形成されたヌクレオチド-コンジュゲート複合体(それぞれ本明細書に記載)を検出するための適切な磁気センサアレイは、同時係属中の米国仮特許出願第62/833,130号に記載されており、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0201】
いくつかの実施形態において、検出可能な標識「D」は蛍光分子を含む。フルオロフォアは、クマリン、フルオレセイン(またはフルオレセイン誘導体および類縁体)、ローダミン、オキサジン(レゾルフィンを含む)、BODIPY、発光団およびシアニンを含むいくつかの一般的な化学クラスに属する。蛍光分子の追加例は、Molecular Probes Handbook-A Guide to Fluorescent Probes and Labeling Technologies,Molecular Probes,Eugene,OR,ThermoFisher Scientific,第11版に記載されている。他の実施形態では、フルオロフォアは、キサンテン誘導体、シアニン誘導体、スクアライン誘導体、ナフタレン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、オキサジン誘導体、アクリジン誘導体、アリールメチン誘導体、およびテトラピロール誘導体から選択される。いくつかの実施形態において、フルオレセインファミリーの色素としては、例えば、FAM、HEX、TET、JOE、NANおよびZOEが挙げられる。ローダミンファミリーの色素としては、例えば、テキサスレッド、ROX、R110、R6GおよびTAMRAが挙げられる。FAM、HEX、TET、JOE、NAN、ZOE、ROX、R110、R6G、およびTAMRAは、例えばPerkin-Elmer,Inc.(Wellesley,Mass.,USA)から市販されており、テキサスレッドは、例えばLife Technologies(Molecular Probes,Inc.)(Grand Island,N.Y.)から市販されている。いくつかの実施形態において、シアニンファミリーの色素としては、例えば、CY2、CY3、CY5、CY5.5およびCY7が挙げられ、例えば、GE Healthcare Life Sciences(Piscataway,N.J.,USA)から市販されている。
【0202】
他の実施形態において、蛍光部分は、CF色素(Biotiumから入手可能)、DRAQおよびCyTRAKプローブ(BioStatusから入手可能)、BODIPY(Invitrogen)、Alexa Fluor(Invitrogen)、DyLight Fluor(例えば、DyLight 649)(Thermo Scientific、Pierceから入手可能)、AttoおよびTracy(Sigma Aldrichから入手可能)、FluoProbes(Interchimから入手可能)、Abberior Dyes(Abberiorから入手可能)、DY and MegaStokes Dyes(Dyomicsから入手可能)、Sulfo Cy dyes(Cyandyeから入手可能)、HiLyte Fluor(AnaSpecから入手可能)、Seta、SeTau およびSquare Dyes(SETA BioMedicalsから入手可能)、QuasarおよびCal Fluor dyes(Biosearch Technologiesから入手可能)、SureLight Dyes(APC、RPEPerCP、Phycobilisomesから入手可能)(Columbia Biosciences)、ならびにAPC、APCXL、RPE、BPE(Phyco-Biotech、Greensea、Prozyme、Flogenから入手可能)から選択される。
【0203】
本明細書中に記載されるコンジュゲートに結合される検出可能な標識および標識系のさらに他の種類としては、量子ドット、表面増強ラマン散乱粒子、散乱金属ナノ粒子、FRETシステム、固有蛍光、非蛍光発色団、化学発光標識、生物発光標識、放射性標識等が挙げられる。そのような検出可能な標識は、当技術分野で一般的に知られており、米国特許第6,399,335号、第5,866,366号、第7,476,503号、および第4,981,977号にさらに記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。適切な化学発光剤は、米国特許第7,256,299号および第4,363,759号に記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。化学発光剤の他の例は、アクリジニウムエステルである。
【0204】
いくつかの実施形態において、コンジュゲートは、式(IIC)、(IID)または(IIE):
【化12】
【0205】
[式中、
【0206】
Dは、検出可能な標識または検出可能な標識を含むコンジュゲートであり;
【0207】
Q3およびQ4は、独立して、1~30の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子で置換されていてもよい、直鎖または分枝鎖の、置換または非置換の、飽和または不飽和の脂肪族部分または芳香族の部分であり;
【0208】
X2は切断可能な基であり;
【0209】
Z2は、反応性基であり;
【0210】
nは0または1~3の範囲の整数であり;
【0211】
mおよびoは、それぞれ独立して、0または1であり、
【0212】
rは1~3の範囲の整数であり;かつ
【0213】
pは2~約1000の範囲の整数である]
のいずれかによって定義される構造を有する。
【0214】
いくつかの実施形態において、式(IIC)および(IID)に関して、検出可能な標識または検出可能な標識「D」を含むコンジュゲートは、単一のZ2反応性基のみで官能化される。他の実施形態において、式(IID)に関して、2つ以上のZ2反応性基は、単一の検出可能な標識または検出可能な標識「D」を含む単一のコンジュゲートにコンジュゲートされる。いくつかの実施形態において、pは、2~約500の範囲である。他の実施形態において、pは2~約250の範囲である。さらに他の実施形態において、pは2~約150の範囲である。さらなる実施形態において、pは2~約100の範囲である。なおさらなる実施形態において、pは2~約60の範囲である。なおさらなる実施形態において、pは2~約30の範囲である。
【0215】
いくつかの実施形態において、X2は、部分X1に関して本明細書に記載される切断可能な基のいずれかから選択される。いくつかの実施形態では、nは、0である。他の実施形態において、nは1~3の範囲の整数である。いくつかの実施形態において、nは、1である。
【0216】
いくつかの実施形態では、部分Q3は、ビオチン(5-[(3aS,4S,6aR)-2-オキソ-1,3,3a,4,6,6a-ヘキサヒドロチエノ[3,4-d]イミダゾール-4-イル]ペンタン酸)またはその誘導体を含む。いくつかの実施形態において、Q3はビオチンに由来する。
【0217】
いくつかの実施形態において、Q3およびQ4は、独立してC1~C25直鎖または分枝鎖の、置換または非置換のアルキル基またはヘテロアルキル基を含む。いくつかの実施形態において、Q3およびQ4は、独立してC1~C20直鎖または分枝鎖の、置換または非置換のアルキル基またはヘテロアルキル基を含む。さらに他の実施形態において、Q3およびQ4は、独立して、C1~C15直鎖または分枝鎖の、置換または非置換のアルキル基またはヘテロアルキル基を含む。なおさらなる実施形態において、Q3およびQ4は、独立して、C1~C10直鎖または分枝鎖の、置換または非置換のアルキル基またはヘテロアルキル基を含む。特定の実施形態において、Q3および/またはQ4は、二重結合または三重結合を含み得る。
【0218】
なおさらなる実施形態において、Q3およびQ4は、独立して、C1~C6直鎖または分枝鎖の、置換または非置換のアルキル基またはヘテロアルキル基を含む。なおさらなる実施形態において、Q3およびQ4は独立して、C1~C6直鎖または分枝鎖の、置換または非置換のアルキル基を含む。なおさらなる実施形態において、Q3およびQ4は独立して、C1~C6直鎖または分枝鎖のアルキル基を含む。なおさらなる実施形態において、Q3およびQ4は、独立して、C1~C4直鎖または分枝鎖の、置換または非置換のアルキル基またはヘテロアルキル基を含む。なおさらなる実施形態において、Q3およびQ4は独立して、C1~C4直鎖または分枝鎖の、置換または非置換のアルキル基を含む。なおさらなる実施形態において、Q3およびQ4は独立して、C1~C4直鎖または分枝鎖のアルキル基を含む。
【0219】
いくつかの実施形態において、Q3および/またはQ4は、独立して、ポリエチレンオキシド部分またはポリプロピレンオキシド部分を含む。例えば、Q3および/またはQ4は、独立して、基-[CH2-CH2-O]s-を含んでもよく、ここで、sは1~約27の範囲の整数である。いくつかの実施形態において、sは1~約12の範囲である。例えば、Q3および/またはQ4は、独立して、基-[CH2-CH(CH3)-O]s-を含んでもよく、ここで、sは1~約27の範囲の整数である。いくつかの実施形態において、sは1~12の範囲である。
【0220】
いくつかの実施形態において、Q3およびQ4は、独立して、置換または非置換のC5~C7アリール基を含む。いくつかの実施形態において、Q3およびQ4は、独立して、置換または非置換のC5~C6アリール基を含む。
【0221】
いくつかの実施形態において、Q3およびQ4は、独立して、置換または非置換のC5~C7シクロアルキル基を含む。いくつかの実施形態において、Q3およびQ4は、独立して、置換または非置換のC5~C6シクロアルキル基を含む。いくつかの実施形態において、Q3およびQ4は、独立して、置換または非置換のC5~C7ヘテロシクロアルキル基を含む。いくつかの実施形態において、Q3およびQ4は、独立して、置換または非置換のC5~C6ヘテロシクロアルキル基を含む。
【0222】
当業者は、基D、Z2、Q3、X2、およびQ4が、C-C結合、アミド結合、エステル結合、尿素結合、ウレタン結合、アミン結合、エーテル結合、チオエーテル結合、リン酸結合、1,2,3-トリアゾール結合、またはジヒドロピリダジン結合等の化学結合を介して結合されることを理解するであろう。例えば、合成中、Dは、Q3の対応する反応性官能基(例えば、アミン反応性基、カルボン酸反応性基、またはチオール反応性基)へ結合するための第1の反応性官能基(例えば、アミン反応性基、カルボン酸反応性基、またはチオール反応性基)を含み得る。結合に適した他の反応性官能基は、本明細書に記載されている(例えば、表1を参照されたい)。
【0223】
式(IIA)~(IIE)のいずれかを有するコンジュゲートの非限定的な例を以下:
【化13-1】
【化13-2】
に示し、式中、nは2~1000の範囲である。
【0224】
ヌクレオチドとコンジュゲートとの間の直交反応
【0225】
式(IA)または(IB)の適切に官能化されたヌクレオチドは、式(IIA)~(IIE)の対応する適切に官能化されたコンジュゲートと直交性に反応し得る。本明細書で述べるように、式(IA)または(IB)の異なるヌクレオチドおよび式(IIA)~(IIE)の異なるコンジュゲートは各々、互いに直交性に反応する反応性基(Z1およびZ2)の対を含み得る。例えば、式(IA)の第1のヌクレオチドは、反応性基の第1の対の第1のメンバーである第1の反応性基を含み得る。同様に、式(IIA)の第1のコンジュゲートは、反応性基の第1の対の第2のメンバーである第2の反応性基を含み得る。第1の反応性基の対の第1のメンバーを有する第1のヌクレオチドを、第1の反応性基の対の第2のメンバーを有する第1のコンジュゲートと接触させると、第1の反応性基の対の第1および第2のメンバーは、互いに直交性に反応し得、本明細書にさらに記載されるように、式(III)を有するもの等の化合物または中間体を提供し得る。
【0226】
当業者は、各々が異なるZ1部分を含む式(IA)の異なるヌクレオチドが開発され得ることを理解するであろう。これに関して、異なるZ1部分を有する各々の異なるヌクレオチドは、式(IIA)または(IIB)のいずれか1つの適切に官能化されたコンジュゲート、すなわちZ1部分と選択的に反応することができるZ2部分を有するものと選択的に反応することができる。例えば、第1のヌクレオチドは、第1のZ2部分Z2Aを有する第1のコンジュゲートと選択的に反応する第1のZ1部分Z1Aを有していてもよく;第2のヌクレオチドは、第2のZ2部分Z2Bを有する第2のコンジュゲートと選択的に反応する第2のZ1部分Z1Bを有していてもよく;第3のヌクレオチドは、第3のZ2部分Z2Cを有する第3のコンジュゲートと選択的に反応する第3のZ1部分Z1Cを有していてもよく;第4のヌクレオチドは、第4のZ2部分Z2Dを有する第4のコンジュゲートと選択的に反応する第4のZ1部分Z1Dを有し得る。
【0227】
この例にさらに続いて、第1、第2、第3および第4のヌクレオチド(部分Z1A、Z1B、Z1C、Z1Dを有する)の各々は、異なる核酸塩基、例えばA、G、CおよびTを含み得る。このようにして、以下に示すように、各々が異なる反応性官能基(Z1A、Z1B、Z1C、Z1D)および異なる核酸塩基(A、G、C、およびT)を含む4つの異なるヌクレオチドを提供することができる:
【0228】
ヌクレオチド1:核酸塩基(W)=Aであり;ここで、Z1=Z1Aである
【0229】
ヌクレオチド2:核酸塩基(W)=Gであり;ここで、Z1=Z1Bである
【0230】
ヌクレオチド3:核酸塩基(W)=Cであり;ここで、Z1=Z1Cである
【0231】
ヌクレオチド4:核酸塩基(W)=Tであり;ここで、Z1=Z1Dである
【0232】
次いで、この例におけるヌクレオチド1~4の各々を、Z2A、Z2B、Z2CまたはZ2D部分のうちの1つを有する4つの異なるコンジュゲートのうちの1つと独立して選択的に反応させることができる:
【0233】
コンジュゲート1:Z2=Z2Aであり、ここで、Z2AはZ1Aと反応する反応性基である
【0234】
コンジュゲート2:Z2=Z2Bであり、ここで、Z2BはZ1Bと反応する反応性基である
【0235】
コンジュゲート3:Z2=Z2Cであり、ここで、Z2CはZ1Cと反応する反応性基である
【0236】
コンジュゲート4:Z2=Z2Dであり、ここで、Z2DはZ1Dと反応する反応性基である
【0237】
式(IA)および(IB)の異なるヌクレオチドと式(IIA)および(IIB)の適切に官能的なコンジュゲートとの間の直交反応性を、本明細書において配列決定の観点からさらに記載する。
【0238】
キット
【0239】
いくつかの実施形態において、本開示は、各々が異なる核酸塩基(A、G、C、またはT)を有し、各々が異なるZ1部分をさらに有する4つの異なるヌクレオチドを含むキットを提供する。本開示はまた、式(IA)~(IB)の1つまたは複数のヌクレオチドおよび/または式(IIA)~(IIE)のいずれかの1つまたは複数のコンジュゲートを含むキットを提供する。
【0240】
いくつかの実施形態において、キットは、式(IC)の1つのヌクレオチド、式(ID)の1つのヌクレオチド、式(IE)の1つのヌクレオチド、および式(IF)の1つのヌクレオチド:
【化14】
【0241】
[式中、Y、PGおよびL1は本明細書で定義される通りであり;WAはアデニン核酸塩基であり、WGはグアニン核酸塩基であり;WCはシトシン核酸塩基であり;WRはチミン核酸塩基またはウラシル核酸塩基であり;およびZ1A、Z1B、Z1C
、およびZ1Dは、各々異なる反応性基(本明細書で定義される反応性基のいずれかを含む)を含む]
を含み得る。いくつかの実施形態において、式(IC)、(ID)、(IE)および(IF)のヌクレオチドの各々は、単一の容器またはディスペンサにおいて混合して提供し得る。いくつかの実施形態において、式(IC)、(ID)、(IE)および(IF)のヌクレオチドの各々は、別個の容器または別個のディスペンサにおいて提供し得る。
【0242】
いくつかの実施形態において、キットは、式(IIA)~(IIE)のいずれかの3つまたは4つの異なるコンジュゲートをさらに含んでいてもよく、異なるコンジュゲートの各々は、部分Z
1A、Z
1B、Z
1C、およびZ
1Dの1つと直交性に反応する部分Z
2を含む。例えば、キットは、式(IIF)、(IIG)、(IIH)および(III):
【化15】
【0243】
[式中、DおよびL2は本明細書で定義される通りであり、Z2A、Z2B、Z2C
、およびZ2Dは各々異なる反応性基を含み、Z2AはZ1Aと選択的に反応し、Z2BはZ1Bと選択的に反応し、Z2CはZ1Cと選択的に反応し、Z2DはZ1Dと選択的に反応する]のコンジュゲートのうち少なくとも3つをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、式(IIA)の異なるコンジュゲートの各々は、別個の容器またはディスペンサ中に提供される。いくつかの実施形態において、キット中の異なるコンジュゲートの各々は、同じ標識を有する。他の実施形態において、キット中の異なるコンジュゲートの各々は、異なる標識を有する。同様に、いくつかの実施形態において、異なるコンジュゲートの各々は、同じL2部分を含む。他の実施形態において、異なるコンジュゲートの各々は、異なるL2部分を有する。「D」が磁気ナノ粒子である実施形態において、L2-Z2A、L2-Z2B、L2-Z2C、L2-Z2Dは、式(IIB)、(IID)、および(IIE)のいずれか1つのように、2回以上存在し得る。
【0244】
ヌクレオチド-コンジュゲート複合体
【0245】
式(IA)または(IB)のヌクレオチド、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチドおよび/またはポリヌクレオチド(またはその塩)を、式(IIA)~(IIE)のいずれかの適切なコンジュゲートと反応させて、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体を得ることができる。いくつかの実施形態において、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体は、本明細書にさらに記載されるように、新生核酸鎖内に取り込まれる。例えば、本明細書にさらに記載されるように、式(IIA)のコンジュゲートが、新生核酸鎖に取り込まれた式(IA)のヌクレオチド等の式(IA)のヌクレオチドと反応すると、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体が形成され得る。一般的に、形成されたヌクレオチド-コンジュゲート複合体は、式(III):
【化16】
【0246】
[式中、Y、PG、W、L1、L2およびDの各々は、本明細書で定義される通りであり、Tは、反応性基Z1(式(IA)参照)とZ2(式(IB)参照)の間の「反応」の生成物を表す。当業者は、基W、L1、T、L2、およびDが、C-C結合、アミド結合、エステル結合、尿素結合、ウレタン結合、アミン結合、エーテル結合、チオエーテル結合、リン酸結合、1,2,3-トリアゾール結合、またはジヒドロピリダジン結合などの化学結合を介して互いに結合し得ることを理解するであろう。種々の部分を結合するのに適した他の種類の化学結合が本明細書にさらに記載されている。
【0247】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体は、(部分L1またはL2のいずれかの中にあり得る)少なくとも1つの切断可能な基を含む。他の実施形態において、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体は、少なくとも2つの切断可能な基(例えば、L1内の1つの切断可能な基およびL2内の他の切断可能な基)を含む。
【0248】
いくつかの実施形態において、反応性基間の「反応」の生成物は、新しい部分を含むか、または2つの分子間の相互作用(例えば、水素結合、ファンデルワールス相互作用、ハイブリダイゼーション)を表す。例えば、Tは、2つの反応性官能基(例えば、「クリックケミストリー」反応に関与することができる2つの異なる官能基の反応)の共有結合;ホスト/ゲスト分子間の水素結合および/またはファンデルワールス相互作用(例えば、ククルビット[7]ウリルとアミノアダマンタンとの間の相互作用);2つの相補的なオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション(例えば、第1のオリゴヌクレオチドと、第1のオリゴヌクレオチドに相補的な第2のオリゴヌクレオチドとの間;または、少なくとも1つのLNAモノマーを含む第1のオリゴヌクレオチドと、第1のオリゴヌクレオチドに相補的な少なくとも1つのLNAモノマーを含む第2のオリゴヌクレオチドとの間のハイブリダイゼーション);および/または2つの特異的結合実体間(例えば、ハプテンと抗ハプテン抗体との間)の相互作用の生成物を表し得る。
【0249】
いくつかの実施形態において、式(III)のヌクレオチド-コンジュゲート複合体は、スキーム1(同様に、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体は、新生核酸内に取り込まれる)に示されるように、SBS中に生成される中間体である。(本明細書にさらに記載する)SBS技術は一般的に、鋳型鎖に対するヌクレオチドの順次付加による新生核酸鎖の酵素的伸長を伴う。これに関して、スキーム1は、配列決定される核酸鋳型にハイブリダイズした新生核酸鎖等の単一の新生核酸鎖の伸長を示す。ここで、新生核酸は、式(IA)のヌクレオチド等のヌクレオチドの順次導入および取り込みを通して伸長される。さらに、スキーム1は、式(IIA)~(IIE)のいずれか1つを有する適切に官能化されたコンジュゲートの導入による式(III)の2つの異なる検出可能なヌクレオチド-コンジュゲート複合体の形成を示す。
【化17】
スキーム1:式(III)の異なる検出可能な種の形成を含む、式(I)のヌクレオチドの新生核酸鎖への順次導入の説明。
【0250】
より具体的には、スキーム1は、新生核酸鎖に結合したヌクレオチド1(第1の核酸塩基「WA」を有する式(IA)の第1のヌクレオチド)を示し、ここでヌクレオチド1は、新生核酸鎖のさらなる伸長を防ぐための保護基(「PG」)を含む。工程10において、取り込まれたヌクレオチド1とのみ反応性である式(IIA)~(IIE)のいずれか1つの第1のコンジュゲートが導入され得る。例えば、ヌクレオチド1は、式(IIA)~(IIE)のいずれか1つの第1の導入されたコンジュゲートのZ2A部分とのみ反応性であるZ1A部分を含み得る。ヌクレオチド1と式(IIA)~(IIE)のいずれか1つのコンジュゲートとの間の反応は、検出可能な標識「D」を含む第1のヌクレオチド-コンジュゲート複合体2を提供する。第1のヌクレオチド-コンジュゲート複合体2が形成され、検出された後、検出可能な標識「D」および保護基「PG」の両方を除去して(工程11)、取り込まれたヌクレオチド3を得ることができる。
【0251】
例えば、システアミンを使用して、硝酸塩基を含む切断可能な基を化学的に切断することができる。同様に、3’-O-アリル基は、Pd触媒脱アリル混合物を使用して脱アリルし得る。他の例として、いくつかの実施形態において、試料に可視、紫外線、または赤外線を照射して、切断可能な基L1および/またはL2を光化学的に切断する。切断可能な基が切断されると、基L1の断片である基L3が残る。いくつかの実施形態において、保護基は、検出可能な標識の切断前、切断後、または切断と同時に、取り込まれたヌクレオチドから除去される(工程11)。TCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン)を使用して、L1および/またはL2のアジドメチル保護基およびα-アジドエーテル結合を化学的に切断し得る。
【0252】
保護基「PG」の切断に続いて、他のヌクレオチド4(第2の核酸塩基「WG」を有する式(IA)の第2のヌクレオチド)を新生核酸鎖に取り込むことができる(工程12)。いくつかの実施形態において、核酸塩基4は、新生核酸鎖のさらなる伸長を防ぐための保護基(「PG」)を含む。工程13において、取り込まれたヌクレオチド4とのみ反応性である式(IIA)~(IIE)のいずれか1つの第2のコンジュゲートが導入され得る。例えば、ヌクレオチド4は、式(IIA)~(IIE)のいずれか1つの第2の導入されたコンジュゲートのZ2B部分とのみ反応性であるZ1B部分を含み得る。ヌクレオチド4と式(IIA)~(IIE)のいずれか1つのコンジュゲートとの間の反応は、検出可能な標識「D」を含む第2のヌクレオチド-コンジュゲート複合体5を提供する。式(IA)のヌクレオチドの取り込み、式(III)のヌクレオチド-コンジュゲート複合体(取り込まれたヌクレオチドに対応するもの等)の形成、および形成された式(III)のヌクレオチド-コンジュゲート複合体の検出の工程を繰り返してもよい(工程14)。
【0253】
SBS
【0254】
上述のように、SBS技術は、テンプレート鎖分子に対するヌクレオチドの順次付加による新生核酸コピー鎖の酵素的伸長を伴う。いくつかの実施形態において、SBSは、酵素(例えばポリメラーゼ)によって各新生核酸コピー鎖に単一の塩基のみが付加され得るように、可逆的ターミネータ(例えば、式(IA)のヌクレオチドの保護基)を含むヌクレオチドを利用する。いくつかの実施形態において、配列決定反応は、固体表面上に広がった非常に多数(例えば数百万)の異なる鋳型核酸分子に対して同時に行われる。いくつかの実施形態において、配列決定される核酸鋳型鎖は、DNA、RNAまたはそのアナログから構成され得る。いくつかの実施形態では、鋳型核酸の供給源は、ゲノムDNA、メッセンジャーRNA、または天然供給源由来の他の核酸であり得る。いくつかの実施形態において、そのような供給源に由来する鋳型核酸は、使用前に増幅され得る。配列決定方法および配列決定プロセス中に使用される材料を含むSBSの他の態様は、例えば、PCT出願公開番号、国際公開第91/06678号、同第2005/024010号、同第2006/120433号、同第2005/065814号および同第2006/064199号、米国特許第9,605,310号および第9,441,272号;米国特許出願公開第2019/0024162号明細書に記載されており、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0255】
上記スキーム1は、式(III)のヌクレオチド-コンジュゲート複合体の形成を例示しているが、スキームは、単一の新生鎖に沿って起こる化学、したがって単一の標的ポリヌクレオチドのみの配列決定を例示するものである。しかしながら、当業者は、複数(例えば数百万)の異なる標的(または同じ増幅された標的)ポリヌクレオチドの配列が同時に決定され得ることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、複数のセンサ(例えば、架橋増幅)の各々の中にクローン増幅があり得る。これらの実施形態では、単一のセンサまたは複数のセンサ上に複数の同一の核酸鎖が存在し得る。
【0256】
本開示は、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の異なるサブセットの順次形成が検出されるSBSの方法を提供する。これらの実施形態において、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の連続的に形成された異なるサブセットの検出は、ヌクレオチド組込みの各サイクル中に複数の標的ポリヌクレオチド分子のそれぞれの相補体に取り込まれた異なるヌクレオチドの順次決定を可能にする。したがって、本明細書に記載の方法によって、各反復伸長中にヌクレオチド-コンジュゲート複合体が順次形成され検出されるために、大規模並列配列決定が可能になる。
【0257】
本開示は、標的ポリヌクレオチド分子を配列決定するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、SBSの方法であって、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の異なるサブセット(式(III)のサブセット等)が複数の新生核酸コピー鎖の各反復伸長中に順次形成および検出され、各新生核酸コピー鎖が複数の標的ポリヌクレオチド分子のうちの1つに相補的である、方法を提供する。いくつかの実施形態において、複数の標的ポリヌクレオチド分子は、固体支持体上に配列される。いくつかの実施形態において、固体支持体はフローセルである。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体は、本明細書にさらに記載されるように、新生核酸鎖内に取り込まれる。
【0258】
いくつかの実施形態において、方法は、4つの異なるヌクレオチドのうちの1つを新生核酸コピー鎖の各々に取り込むことによって各新生核酸コピー鎖を伸長することを最初に含む。いくつかの実施形態において、4つの異なるヌクレオチドの各々は、(i)保護基、および(ii)切断可能なリンカーを介して核酸塩基に結合した反応性基を含み、ここで、4つの異なるヌクレオチドの各々の異なるヌクレオチドは、異なる核酸塩基および異なる反応性基を含む。当業者は、異なる新生核酸鎖が各々独立して、対応する相補的標的ポリヌクレオチド分子の配列に応じて異なるヌクレオチドで伸長され得ることを理解するであろう。
【0259】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチドは、式(IA)または(IB)の4つの異なるヌクレオチドのプールを導入することによって新生核酸コピー鎖に取り込まれ、4つの異なるヌクレオチドの各々は、異なる核酸塩基(例えば、A、G、C、T/U)および異なるZ1部分を含む。他の実施形態において、4つの異なるヌクレオチドのプールを導入することによってヌクレオチドを取り込み、ここで、第1のヌクレオチドは式(IC)を有し、第2のヌクレオチドは式(ID)を有し、第3のヌクレオチドは式(IE)を有し、および第4のヌクレオチドは式(IF)を有し、ただし、反応性基Z1A、Z1B、Z1CおよびZ1Dはそれぞれ異なる。
【0260】
次に、異なるサブセットのヌクレオチド-コンジュゲート複合体が順次形成される(例えば新生核酸内で形成される)。いくつかの実施形態において、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の任意の単一サブセット内の各々の形成されたヌクレオチド-コンジュゲート複合体は、新生核酸コピー鎖に取り込まれた異なるヌクレオチドのうちの1つのみに由来する。いくつかの実施形態において、検出可能な標識を含む異なるコンジュゲートを順次導入することによって、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の異なるサブセットが順次形成され、ここで、導入された異なるコンジュゲートの各々は、新生核酸コピー鎖内に取り込まれたヌクレオチドの1つのみと直交反応性である。例えば、式(IIA)~(IIE)のいずれかの少なくとも3つの異なるコンジュゲートを順次導入してもよく、ここで、式(IIA)~(IIE)のいずれかの少なくとも3つの異なるコンジュゲートの各異なるコンジュゲートは、式(IA)または(IB)の4つの取り込まれたヌクレオチドのうちの1つのみと直交して反応する。式(IIA)~(IIE)のいずれかの異なるコンジュゲートの逐次添加および式(IA)または(IB)の異なる取り込まれたヌクレオチドとのそれらの直交反応性を考えると、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の異なるサブセットの順次形成および検出は、新生核酸コピー鎖に取り込まれた異なるヌクレオチドの特定を容易にする。結果として、各々の対応する相補的な標的ポリヌクレオチド分子の配列を決定することができる。当業者は、上記のプロセスが1つまたは複数のサイクル、すなわち新生核酸コピー鎖の1つまたは複数の伸長の間繰り返され得ることを理解するであろう。
【0261】
図1Aおよび
図1Bは、複数の標的ポリヌクレオチド分子を含む核酸ライブラリーを配列決定する方法を示す。いくつかの実施形態において、SBSは、固体支持体上に配列された複数の異なる標的ポリヌクレオチドを用いて実施し得る。例えば、複数の標的ポリヌクレオチドは、リンカー分子を介して固体支持体上に固定化されても、または固体支持体に結合し得る粒子に結合してもよい。いくつかの実施形態において、SBSは、配列決定のために複数の異なる標的ポリヌクレオチド分子のライブラリーがロードされたフローセルを利用し得る。例えば、フローセルは、配列決定のための数百万の標的ポリヌクレオチド分子を含み得る。いくつかの実施形態において、核酸配列決定ライブラリーは、gDNA試料を断片化し、生成された断片の末端にアダプターをライゲーションすることによって調製され得る。次いで、ライブラリーをフローセルにロードし、断片をフローセル表面にハイブリダイズさせることができる。いくつかの実施形態において、各結合断片は、架橋増幅によってクローンクラスタに増幅され得る。固体支持体、フローセルおよび配列決定ライブラリーの調製は、米国特許出願公開第2010/00111768号およびPCT公開国際公開第2019/126040号、同第2018/119053号、および同第2018/119101号にさらに開示されており、それらの開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0262】
核酸ライブラリーが調製され、固体支持体上に配列された後、4つの異なるヌクレオチドのうちの1つが、固体支持体上に存在する各々の相補的な新生核酸コピー鎖に取り込まれ(工程101)、ここで、4つの異なるヌクレオチドの各々は、(i)3’-ヒドロキシル保護基、および(ii)切断可能なリンカーを介して核酸塩基に結合した反応性基を含み、ここで、4つの異なるヌクレオチドの各々の異なるヌクレオチドは、異なる核酸塩基および異なる反応性基を含む。いくつかの実施形態において、ヌクレオチドは、式(IA)の4つの異なるヌクレオチドのプールをフローセルに導入することによって取り込まれ、ここで、4つの異なるヌクレオチドの各々は、異なる核酸塩基(例えば、A、G、C、T/U)および異なるZ1部分を含む。いくつかの実施形態において、4つの異なるヌクレオチドのうちの第1のヌクレオチドは、式(IC)の構造を有し;4つの異なるヌクレオチドのうちの第2は、式(ID)の構造を有し;4つの異なるヌクレオチドのうちの第3は、式(IE)の構造を有し;4つの異なるヌクレオチドのうちの第4は式(IF)の構造を有し、ただし、反応性基Z1A、Z1B、Z1CおよびZ1Dは各々異なる。いくつかの実施形態において、反応性基Z1A、Z1B、Z1C
、およびZ1Dの各々は、異なるオリゴヌクレオチド配列を含み得る。
【0263】
各新生核酸コピー鎖が4つの異なるヌクレオチドのうちの1つで伸長された後(工程101)、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の異なるサブセットが順次形成され(ステップ102)、順次形成されたヌクレオチド-コンジュゲート複合体の各々の異なるサブセット内の各ヌクレオチド-コンジュゲート複合体は、新生核酸コピー鎖に取り込まれた異なるヌクレオチドのうちの1つのみに由来する(例えば、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体は、新生核酸内に取り込まれる)。いくつかの実施形態において、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の異なるサブセットを順次形成する工程は、3回行われる。他の実施形態において、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の異なるサブセットを順次形成する工程は、4回行われる。
【0264】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の異なるサブセットの順次形成(工程102)は:検出可能な標識を含み、相補的な新生核酸コピー鎖に取り込まれた4つの異なるヌクレオチドのうちの1つのみと直交反応性であるコンジュゲートを導入すること(工程110);導入された各コンジュゲートの標識を検出することによって、サブセット内の各ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の形成を検出すること(工程111);サブセット内の各々の検出されたヌクレオチド-コンジュゲート複合体の固体支持体内の位置を決定すること(工程112);サブセット内で形成された検出可能なヌクレオチド-コンジュゲート複合体の各々から少なくとも検出可能な標識を場合により切断すること(工程113)を含む。いくつかの実施形態において、導入された各々のコンジュゲートは、取り込まれたヌクレオチドの1つに結合したオリゴヌクレオチド配列に相補的なオリゴヌクレオチド配列を含む反応性基を含む。
【0265】
当業者は、上記プロセスが、固体支持体上の複数の標的ポリヌクレオチド分子に相補的な新生核酸コピー鎖の単一伸長のためのものであることを理解するであろう。次いで、このプロセスを、固体支持体上の複数の標的ポリヌクレオチド分子に相補的な新生核酸コピー鎖の反復伸長ごとに繰り返すことができる。相補的な新生核酸コピー鎖をさらに伸長し得る前に(すなわち、別のサイクルが実行される前に)、3’-ヒドロキシル保護基を、工程101で取り込まれた4つの異なるヌクレオチドから切断しなければならない(工程103)。さらに、検出可能な標識がまだ切断されていない場合、検出可能な標識は、次の伸長の前に切断されなければならない。いくつかの実施形態において、検出可能な標識および3’-ヒドロキシル保護基は、同じ試薬を使用して同時に切断される。いくつかの実施形態において、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の異なるサブセットの順次形成および検出は、各反復伸長中に各新生核酸鎖に取り込まれた各ヌクレオチドの決定を容易にする。
【0266】
図2Aおよび
図2Bは、固体支持体上に配列された複数の異なる標的ポリヌクレオチド分子等の複数の異なる標的ポリヌクレオチド分子を配列決定する本開示の方法をさらに示し、ここで、方法は、異なる取り込まれたヌクレオチドを、標識を有する異なるコンジュゲートで順次標識することを含む。いくつかの実施形態において、固体支持体は、配列決定される核酸ライブラリーがロードされたフローセルである。いくつかの実施形態において、4つの異なるヌクレオチドのうちの1つが、最初に、固体支持体上に存在する各々の新生核酸コピー鎖に取り込まれ(工程201)、ここで、4つの異なるヌクレオチドの各々は、(i)3’-ヒドロキシル保護基、および(ii)切断可能なリンカーを介して核酸塩基に結合した反応性基を含み、ここで、4つの異なるヌクレオチドの各々の異なるヌクレオチドは、異なる核酸塩基および異なる反応性基を含む。いくつかの実施形態において、ヌクレオチドは、式(IA)または(IB)の4つの異なるヌクレオチドのプールをフローセルに導入することによって取り込まれ、ここで、4つの異なるヌクレオチドの各々は、異なる核酸塩基(例えば、A、G、C、T/U)および異なるZ
1部分を含む。
【0267】
いくつかの実施形態において、4つの異なるヌクレオチドのうちの第1のヌクレオチドは、式(IC)の構造を有し;4つの異なるヌクレオチドのうちの第2は、式(ID)の構造を有し;4つの異なるヌクレオチドのうちの第3は、式(IE)の構造を有し;4つの異なるヌクレオチドのうちの第4は式(IF)の構造を有し、ただし、反応性基Z1A、Z1B、Z1CおよびZ1Dは各々異なる。いくつかの実施形態において、Z1A、Z1B、Z1C
、およびZ1D基の各々は、異なるオリゴヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、Z1A、Z1B、Z1C
、およびZ1D基の各々は、異なるLNA就職オリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、Z1A、Z1B、Z1C
、およびZ1D基のいずれか1つの異なるLNA修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1~22または配列番号29~50のいずれかの配列を有し、そのベータ-L-構成で用いられる。
【0268】
続いて、新生核酸鎖の各々に取り込まれた4つの異なるヌクレオチドのうちの少なくとも3つを順次標識する(工程202)。いくつかの実施形態において、新生核酸鎖の各々に取り込まれた4つの異なるヌクレオチドのうちの少なくとも3つは、3つの異なるコンジュゲート、例えば式(IIA)~(IIE)のいずれかを有する3つの異なるコンジュゲートを順次導入することによって順次標識される。いくつかの実施形態において、新生核酸鎖の各々に取り込まれた4つの異なるヌクレオチドのうちの4つは全て、4つの異なるコンジュゲート、例えば式(IIA)~(IIE)のいずれかを有する4つの異なるコンジュゲートを順次導入することによって順次標識される。いくつかの実施形態において、式(IIA)~(IIE)のいずれかの各々の異なる導入されたコンジュゲートは、4つの異なる取り込まれたヌクレオチドのうちの1つのみと直交性に反応する。いくつかの実施形態において、式(IIA)~(IIE)のいずれかのコンジュゲートの各々は、オリゴヌクレオチドを含む反応性部分を有する。いくつかの実施形態において、式(IIA)~(IIE)のいずれかのコンジュゲートの各々は、LNA-修飾オリゴヌクレオチドを含む反応性部分を有する。いくつかの実施形態において、導入されたコンジュゲートの異なるLNA修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号29~50または配列番号1~22のいずれかの配列を有し、ただし、コンジュゲートに対して選択される任意のLNA修飾オリゴヌクレオチド配列は、取り込まれたヌクレオチドのLNA修飾オリゴヌクレオチド配列の1つに相補的である。
【0269】
例えば、Z1Aが配列番号6を有するオリゴヌクレオチドを含む場合、コンジュゲートは配列番号34を有する相補的オリゴヌクレオチドを含む。他の例として、Z1Bが配列番号19を有するオリゴヌクレオチドを含む場合、コンジュゲートは配列番号47を有する相補的オリゴヌクレオチドを含む。例えば、Z1Cが配列番号4を有するオリゴヌクレオチドを含む場合、コンジュゲートは配列番号32を有する相補的オリゴヌクレオチドを含む。例えば、Z1Dが配列番号31を有するオリゴヌクレオチドを含む場合、コンジュゲートは配列番号3を有する相補的オリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、コンジュゲートの各々は、同じ検出可能な標識(例えば、同じ磁気ナノ粒子)を含む。他の実施形態において、コンジュゲートの少なくとも1つは、他のコンジュゲートに結合した検出可能な標識とは異なる検出可能な標識を含む。
【0270】
このようにして、異なるサブセットのヌクレオチド-コンジュゲート複合体(式(III)を有するもの等)が標識プロセスによって順次形成され、独立して検出される。異なるコンジュゲートの順次付加および異なる取り込まれたヌクレオチドとのそれらの直交反応性を考えると、異なる取り込まれたヌクレオチドの順次標識によって、新生核酸コピー鎖に取り込まれた異なるヌクレオチドの固体支持体またはフローセル内の位置の順次決定が可能になる。
【0271】
図2Bを参照すると、いくつかの実施形態において、各々の順次標識(工程202)は、検出可能な標識を含み、相補的な核酸鎖に取り込まれた4つの異なるヌクレオチドのうちの1つのみと直交反応性であるコンジュゲートを導入して、1つまたは複数の標識ヌクレオチドを提供すること(工程210);1つまたは複数の標識ヌクレオチドの標識を検出すること(工程211);検出された標識に基づいて、固体支持体またはフローセル内の1つまたは複数の標識ヌクレオチドの位置を特定すること(工程212);および場合により、1つまたは複数の標識ヌクレオチドから少なくとも検出可能な標識を切断すること(工程213)を含む。いくつかの実施形態において、順次標識の工程(工程202)は、3つの異なるコンジュゲートを用いて(例えば、検出可能な標識された取り込まれたヌクレオチドの3つの異なるセットを形成するために)3回行われる。他の実施形態において、順次標識の工程(工程202)は、4つの異なるコンジュゲートを用いて(例えば、検出可能な標識された取り込まれたヌクレオチドの4つの異なるセットを形成するために)4回行われる。
【0272】
当業者は、上記プロセス(工程201および202)が、固体支持体上またはフローセル内の複数の標的ポリヌクレオチド分子に相補的な新生核酸コピー鎖の単一伸長のためのものであることを理解するであろう。次いで、このプロセスを、固体支持体上の複数の標的ポリヌクレオチド分子に相補的な新生核酸コピー鎖の反復伸長ごとに繰り返すことができる。相補的な新生核酸コピー鎖をさらに伸長し得る前に(すなわち、別のサイクルが実行される前に)、3’-ヒドロキシル保護基を、工程201で取り込まれた4つの異なるヌクレオチドから切断しなければならない(工程203)。さらに、まだ切断されていない任意の残存している検出可能な標識は、次の伸長の前に切断されなければならない。いくつかの実施形態において、3’-ヒドロキシル保護基および検出可能な標識は、同じ試薬の導入によって除去される。
【0273】
図3を参照すると、いくつかの実施形態において、本開示は、固体支持体上の複数の異なる標的ポリヌクレオチド分子を配列決定する方法を提供する。いくつかの実施形態において、方法は、(i)4つの異なるヌクレオチドのうちの1つを、複数の標的ポリヌクレオチドの各々の相補的な核酸鎖に取り込むことを含み、ここで、4つの異なるヌクレオチドの各々は、切断可能なリンカーおよび3’-ヒドロキシル保護基を介して核酸塩基に結合した反応性基を含み、4つの異なるヌクレオチドの各々の異なるヌクレオチドが、異なる核酸塩基および異なる反応性基を含む(工程301)。いくつかの実施形態において、4つの異なるヌクレオチドは、式(IA)または(IB)のいずれかに示される構造を有する。
【0274】
続いて、方法は、(ii)検出可能な標識を有する第1のコンジュゲートを導入することによって、4つの異なる取り込まれたヌクレオチドのうちの第1を標識することを含み、第1のコンジュゲートは、4つの異なる取り込まれたヌクレオチドのうちの第1と直交反応性である(工程310)。いくつかの実施形態において、第1のコンジュゲートは、式(IIA)~(IIE)のいずれかのコンジュゲートのいずれかの構造を有する。
図3に示すように、4つの異なるヌクレオチドのうちの第1のヌクレオチドはアデニン核酸塩基を含み、したがって、第1のコンジュゲートは取り込まれたアデニンヌクレオチドのみと反応性である。いくつかの実施形態において、第1のコンジュゲートの導入は、検出可能である第1のヌクレオチド-コンジュゲート複合体の形成をもたらす。
【0275】
次に、方法は、(iii)取り込まれた4つの異なるヌクレオチドのうちの第1のヌクレオチドの標識を検出することによって、4つの異なるヌクレオチドのうちの第1のヌクレオチドが組み込まれている相補的な核酸鎖の固体支持体内の位置を決定することを含む(工程311)。次いで、方法は、(iv)取り込まれた4つの異なるヌクレオチドのうちの第1のヌクレオチドから検出可能な標識を切断してもよいことを含む(工程312)。次いで、このプロセスは、異なる取り込まれたヌクレオチド、例えば工程301で取り込まれたヌクレオチドの少なくとも2つ以上について繰り返される。
【0276】
いくつかの実施形態において、方法は、(v)検出可能な標識を有する第2のコンジュゲートを導入することによって、4つの異なる取り込まれたヌクレオチドのうちの第2のヌクレオチドを標識することを含み、第2のコンジュゲートは、4つの異なる取り込まれたヌクレオチドのうちの第2のヌクレオチドと直交反応性である(工程320)。いくつかの実施形態において、第2のコンジュゲートは、式(IIA)~(IIE)のいずれかのコンジュゲートのいずれかの構造を有する。
図3に示すように、4つの異なるヌクレオチドのうちの第2のヌクレオチドはグアニン核酸塩基を含み、したがって、第2のコンジュゲートは取り込まれたグアニンヌクレオチドのみと反応性である。いくつかの実施形態において、第2のコンジュゲートの導入は、検出可能である第2のヌクレオチド-コンジュゲート複合体の形成をもたらす。
【0277】
次に、方法は、(vi)取り込まれた4つの異なるヌクレオチドのうちの第2のヌクレオチドの標識を検出することによって、4つの異なるヌクレオチドのうちの第2のヌクレオチドが取り込まれている相補的な核酸鎖の固体支持体内の位置を決定することを含む(工程321)。次いで、方法は、(vii)取り込まれた4つの異なるヌクレオチドのうちの第2のヌクレオチドから検出可能な標識を切断してもよいことを含む(工程322)。
【0278】
いくつかの実施形態において、方法は、(viii)検出可能な標識を有する第3のコンジュゲートを導入することによって、4つの異なる取り込まれたヌクレオチドのうちの第3のヌクレオチドを標識することを含み、第3のコンジュゲートは、4つの異なる取り込まれたヌクレオチドのうちの第3のヌクレオチドと直交反応性である(工程330)。いくつかの実施形態において、第3のコンジュゲートは、式(IIA)~(IIE)のいずれかのコンジュゲートのいずれかの構造を有する。
図3に示すように、4つの異なるヌクレオチドのうちの第3のヌクレオチドはシトシン核酸塩基を含み、したがって、第3のコンジュゲートは取り込まれたシトシンヌクレオチドのみと反応性である。いくつかの実施形態において、第3のコンジュゲートの導入は、検出可能である第3のヌクレオチド-コンジュゲート複合体の形成をもたらす。
【0279】
次に、方法は、(ix)取り込まれた4つの異なるヌクレオチドのうちの第3のヌクレオチドの標識を検出することによって、4つの異なるヌクレオチドのうちの第3のヌクレオチドが取り込まれている相補的な核酸鎖の固体支持体内の位置を決定することを含む(工程331)。いくつかの実施形態において、方法は、(x)取り込まれた4つの異なるヌクレオチドのうちの第3のヌクレオチドから検出可能な標識を切断してもよいこと(工程332)をさらに含む。
【0280】
いくつかの実施形態において、4つの異なるヌクレオチドのうちの第4のヌクレオチドが取り込まれている相補的な核酸鎖の固体支持体内の位置は、推論によって決定される。例えば、第1、第2および第3の取り込まれたヌクレオチドの位置を知ることによって(例えば、上に列挙した工程によって)、第4の取り込まれたヌクレオチドの位置は、まだ検出されていない位置を特定することによって決定し得る。
【0281】
いくつかの実施形態において、方法は、(xi)検出可能な標識を有する第4のコンジュゲートを導入することによって、4つの異なる取り込まれたヌクレオチドのうちの第4のヌクレオチドを標識することを含み、第4のコンジュゲートは、4つの異なる取り込まれたヌクレオチドのうちの第4のヌクレオチドと直交反応性である(工程340)。いくつかの実施形態において、第4のコンジュゲートは、式(IIA)~(IIE)のいずれかのコンジュゲートのいずれかの構造を有する。
図3に示すように、4つの異なるヌクレオチドのうちの第4のヌクレオチドはチミンまたはウラシル核酸塩基を含み、したがって、第4のコンジュゲートは取り込まれたチミンまたはウラシルヌクレオチドのみと反応性である。いくつかの実施形態において、第4のコンジュゲートの導入は、検出可能である第4のヌクレオチド-コンジュゲート複合体の形成をもたらす。いつくかの実施形態において、方法は、(xii)取り込まれた4つの異なるヌクレオチドのうちの第4のヌクレオチドの標識を検出することによって、4つの異なるヌクレオチドのうちの第4のヌクレオチドが取り込まれている相補的な核酸鎖の固体支持体内の位置を決定することを含む(工程341)。いくつかの実施形態において、次いで、検出可能な標識を切断してもよい(工程342)。
【0282】
いくつかの実施形態において、方法は、取り込まれたヌクレオチドの各々から3’-ヒドロキシル保護基を除去すること(工程302)、例えば、工程(i)で取り込まれたヌクレオチドの全てから3’-ヒドロキシル保護基を除去すること(工程302参照)をさらに含む。いくつかの実施形態において、方法はまた、まだ切断されていない残存する任意の検出可能な標識を除去することを含む。他の実施形態において、任意の残存する検出可能な標識は、3’-ヒドロキシル保護基と同時に除去される。いくつかの実施形態において、少なくとも工程(i)~(ix)が、例えば各サイクルについて繰り返される。他の実施形態において、少なくとも工程(i)~(x)が、例えば各サイクルについて繰り返される。他の実施形態において、工程(i)~(xii)が繰り返される。
【0283】
図4Aは、核酸コピー鎖の伸長中に取り込まれた4つの異なるヌクレオチドの順次特定を示す。特に、
図4Aは、核酸コピー鎖伸長中に取り込まれた4つの異なるヌクレオチドのうちの少なくとも3つの順次標識および検出を示す。いくつかの実施形態において、4つの異なる取り込まれたヌクレオチドのうちの少なくとも3つの順次標識は、少なくとも3つの異なるヌクレオチド-コンジュゲート複合体の形成を提供し、ここで、各々の異なる形成されたヌクレオチド-コンジュゲート複合体は、異なる取り込まれたヌクレオチドに由来する。
【0284】
いくつかの実施形態において、
図4AのパネルAを参照すると、4つの異なるヌクレオチドのプール(式(IA)のもの等)が最初にフローセルに添加される。パネルAに示されるように、これらの4つの異なるヌクレオチドの各々は、4つの異なる新生核酸鎖(標識された「鎖1」、「鎖2」、「鎖3」および「鎖4」)の1つに取り込まれる。パネルAにさらに示されるように、4つの取り込まれたヌクレオチドの各々は、導入されたコンジュゲート(式(IIA)を有するもの等)の異なるZ
2部分(Z
2A、Z
2B、Z
2C、Z
2D)と直交性に「反応」することができる異なるZ
1部分(Z
1A、Z
1B、Z
1C、Z
1D)を含む。さらに、4つの異なる取り込まれたヌクレオチドの各々は、異なる核酸塩基、ここではA、G、CおよびTを含む。この特定の例では、ヌクレオチドのZ
1A部分がコンジュゲートのZ
2A部分と反応性であり;ヌクレオチドのZ
1B部分がコンジュゲートのZ
2B部分と反応性であり;ヌクレオチドのZ
1C部分がコンジュゲートのZ
2C部分と反応性であり;ヌクレオチドのZ
1D部分がコンジュゲートのZ
2D部分と反応性であると仮定する。
【0285】
続いて、この例ではZ
2B部分を含む第1のコンジュゲートである第1のコンジュゲート(式(IIA)の第1のコンジュゲート等)をフローセルに導入し得る。第1のコンジュゲートのZ
2B部分が、鎖2に取り込まれた第1のヌクレオチドのZ
1B部分のみと反応性であることを考えると、鎖2に取り込まれた第1のヌクレオチドのみが標識される(
図4AのパネルBの「星」を参照されたい)。言い換えれば、検出可能な第1のヌクレオチド-コンジュゲート複合体が形成され、ここで、第1のヌクレオチド-コンジュゲート複合体は、グアニン核酸塩基およびZ
1B部分を有する第1の取り込まれたヌクレオチドに対応する。次いで、この第1の標識ヌクレオチド(または第1のヌクレオチド-コンジュゲート複合体)を検出して、鎖2に取り込まれたヌクレオチドの決定が可能になり得る。いくつかの実施形態において、第1の取り込まれたヌクレオチドが標識された(または第1のヌクレオチド-コンジュゲート複合体が形成された)後、検出可能な標識は、最初に取り込まれたヌクレオチド(または第1のヌクレオチド-コンジュゲート複合体)から切断されてもよい。
【0286】
次いで、伸長中に取り込まれた他のヌクレオチドの少なくとも2つが順次標識されるように、このプロセスを繰り返す。この例ではZ
2D部分を含む第2のコンジュゲートである第2のコンジュゲート(式(IIA)の第2のコンジュゲート等)をフローセルに導入し得る。第2のコンジュゲートのZ
2D部分が、鎖4に取り込まれた第2のヌクレオチドのZ
1D部分のみと反応性であることを考えると、鎖4に取り込まれた第2のヌクレオチドのみが標識される(
図4AのパネルCの「星」を参照されたい)。言い換えれば、検出可能な第2のヌクレオチド-コンジュゲート複合体が形成され、ここで、第2のヌクレオチド-コンジュゲート複合体は、チミン核酸塩基およびZ
1D部分を有する式(IA)の取り込まれたヌクレオチドに対応する。次いで、この第2の標識ヌクレオチド(または第2のヌクレオチド-コンジュゲート複合体)を検出して、鎖4に取り込まれたヌクレオチドの決定が可能になり得る。いくつかの実施形態において、検出可能な標識は、第2の取り込まれたヌクレオチドの標識が検出された後で、第2の取り込まれたヌクレオチドから切断されてもよい。
【0287】
いくつかの実施形態において、この例ではZ
2C部分を含む第3のコンジュゲートである第3のコンジュゲート(式(IIA)の第3のコンジュゲート等)をフローセルに導入し得る。第3のコンジュゲートのZ
2C部分が、鎖3に取り込まれた第3のヌクレオチドのZ
1C部分のみと反応性であることを考えると、鎖3に取り込まれた第3のヌクレオチドのみが標識される(
図4AのパネルDの「星」を参照されたい)。言い換えれば、検出可能な第3のヌクレオチド-コンジュゲート複合体が形成され、ここで、第3のヌクレオチド-コンジュゲート複合体は、シトシン核酸塩基およびZ
1C部分を有する第3の取り込まれたヌクレオチドに対応する。次いで、この第3の標識ヌクレオチドを検出して、鎖3に取り込まれたヌクレオチドの決定が可能になり得る。いくつかの実施形態において、検出可能な標識は、第3の取り込まれたヌクレオチドの標識が検出された後で、第3の取り込まれたヌクレオチドから切断されてもよい。いくつかの実施形態において、プロセスは、鎖1に取り込まれた第4のヌクレオチを標識し、検出するために4回に行われるド(「星」が、取り込まれたアデニンヌクレオチドの標識を示す、
図4AのパネルEを参照されたい)。他の実施形態において、鎖1に取り込まれたヌクレオチドは、推論によって検出され得る。いくつかの実施形態において、検出可能な標識は、各検出後に切断されず、むしろ、3’-ヒドロキシル保護基が除去されると同時に、次の伸長の前に切断される。
【0288】
各新生核酸コピー鎖中の取り込まれたヌクレオチドの全てが特定されると、各新生核酸コピー鎖がさらに伸長され得るように、式(IA)の取り込まれたヌクレオチドのいずれかに存在する3’-ヒドロキシル保護基を除去することができる。3’-ヒドロキシル保護基の全ての除去に続いて、4つの異なるヌクレオチドのプールをその後に添加し、新生核酸コピー鎖の各々をさらに伸長することができる。再び、4つの添加されたヌクレオチドの各々は、異なる核酸塩基および式(IIA)を有する導入されたコンジュゲートの異なるZ
2部分(Z
2A、Z
2B、Z
2C、Z
2D)と直交性に「反応」することができる異なるZ
1部分(Z
1A、Z
1B、Z
1C、Z
1D)を含む。
図4AのパネルFは、4つの核酸コピー鎖の第2の伸長、特に4つの核酸コピー鎖への異なるヌクレオチドの取り込みを示す。この例では、鎖1および2に取り込まれた式(IA)のヌクレオチドは両方とも同じであるが、鎖3および4に取り込まれた式(IA)のヌクレオチドは共に異なる。続いて、式(IIA)の異なるコンジュゲートを、(例えば、上記と同じ順序で)順次添加してもよい。このプロセスは、複数の核酸コピー鎖伸長サイクルにわたって繰り返し得る。
【0289】
本開示のSBS方法を、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体(式(III)を有するヌクレオチド-コンジュゲート複合体等)の異なるサブセットの順次形成および検出を示す
図4Bを参照してさらに説明する。
図4Aは、4つの異なる新生核酸鎖への異なる取り込まれたヌクレオチド(式(IA)のもの等)の順次標識および検出を示すが、Bはこの概念を拡張し、並列配列決定における本開示の有用性を示す。特に、
図4Bは、式(IA)の異なる取り込まれたヌクレオチドを有する核酸コピー鎖の異なる集団が順次標識および検出され得るような、式(IIA)の異なるコンジュゲートの順次導入を示す。
【0290】
図4BのパネルAを参照すると、式(IA)または(IB)のいずれかの4つの異なるヌクレオチドのプールが混合物中でフローセル400に導入され、式(IA)の4つの異なるヌクレオチドの各々が異なる核酸塩基(例えば、A、G、C、T)および異なる部分Z
1を有すると仮定する。ここで、フローセル400に提供される式(IA)または(IB)のいずれかの4つの異なるヌクレオチドの各々は、個々の新生核酸鎖の各々に第1の塩基として独立して取り込まれる。この例における式(IA)または(IB)のいずれかの4つの異なるヌクレオチドの取り込みは、各々の個々の新生核酸鎖の第1の伸長を表す。
【0291】
次いで、第1の伸長に続いて、式(IIA)~(IIE)のいずれか1つの第1のコンジュゲートがフローセル400に添加され、式(IIA)~(IIE)のいずれか1つの第1のコンジュゲートは、新生核酸に取り込まれた4つの異なるヌクレオチドのうちの第1のヌクレオチドのみと反応性である部分Z
2を含む。例えば、式(IIA)~(IIE)のいずれか1つの第1のコンジュゲートは、Z
1B部分を有する式(IA)の取り込まれたヌクレオチドとのみ反応性であるZ
2B部分を含み得る。式(IIA)~(IIE)のいずれか1つの第1のコンジュゲートの導入は、式(III)の検出可能なヌクレオチド-コンジュゲート複合体の第1のサブセット(例えば、新生核酸内に取り込まれたヌクレオチド-コンジュゲート複合体の第1のサブセット)の形成をもたらす。式(IIA)~(IIE)のいずれか1つの第1のコンジュゲートの直交反応性を考えると、検出可能なヌクレオチド-コンジュゲート複合体の第1のサブセット中に形成された検出可能な第1のヌクレオチド-コンジュゲート複合体の各々は、新生核酸鎖に取り込まれた式(IA)または(IB)のいずれかのヌクレオチドの1つのみに由来する。ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の第1のサブセット内の1つまたは複数の形成された第1のヌクレオチド-コンジュゲート複合体の標識を検出することによって、4つの異なるヌクレオチドのうちの第1のヌクレオチドが取り込まれたフローセル400内の核酸コピー鎖の位置を決定することができる(それぞれ、パネルAの「X」によって表す)。いくつかの実施形態において、第1のサブセットにおいて形成された第1の検出可能なヌクレオチド-コンジュゲート複合体の各々の検出可能な標識は、切断され得る(これらのヌクレオチドはもはや検出できず、したがって
図4BのパネルBの「-」によって表される)。次いで、このプロセスを繰り返すことができ、例えば、さらに2回繰り返すか、またはさらに3回繰り返すことができる。
【0292】
例えば、次いで、式(IIA)~(IIE)のいずれか1つの第2のコンジュゲートをフローセル400に添加し、式(IIA)~(IIE)のいずれか1つの第2のコンジュゲートは、新生核酸に取り込まれた4つの異なるヌクレオチドのうちの第2のヌクレオチドのみと反応性である部分Z
2を含む。例えば、式(IIA)~(IIE)のいずれか1つの第2のコンジュゲートは、Z
1D部分を有する式(IA)の取り込まれたヌクレオチドとのみ反応性であるZ
2D部分を含み得る。式(IIA)~(IIE)のいずれか1つの第2のコンジュゲートの導入は、式(III)の検出可能なヌクレオチド-コンジュゲート複合体の第2のサブセットの形成をもたらす。式(IIA)~(IIE)のいずれか1つの第2のコンジュゲートの直交反応性を考えると、検出可能なヌクレオチド-コンジュゲート複合体の第2のサブセット中に形成された検出可能な第2のヌクレオチド-コンジュゲート複合体の各々は、新生核酸鎖に取り込まれた式(IA)または(IB)のいずれかのヌクレオチドの1つのみに由来する。ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の第2のサブセット内の1つまたは複数の形成された第2のヌクレオチド-コンジュゲート複合体の標識を検出することによって、4つの異なるヌクレオチドのうちの第2のヌクレオチドが取り込まれたフローセル400内の核酸コピー鎖の位置を決定することができる(それぞれ、パネルBの「X」によって表す)。いくつかの実施形態において、第2のサブセットにおいて形成された第2の検出可能なヌクレオチド-コンジュゲート複合体の各々の検出可能な標識は、切断され得る(これらのヌクレオチドはもはや検出できず、したがって
図4BのパネルCの「-」によって表される)。
【0293】
図4BのパネルCおよびDを参照すると、いくつかの実施形態において、(新生核酸鎖に取り込まれた4つの異なるヌクレオチドのうちの第3のヌクレオチドに由来する)ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の第3のサブセットおよび(新生核酸鎖に取り込まれた4つの異なるヌクレオチドのうちの第4のヌクレオチドに由来する)ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の第4のサブセットが順次形成および検出され得るように、上に列挙した工程の3回目が実施され、場合により4回目が実施される。新生核酸コピー鎖に取り込まれた4つ全ての塩基の位置が検出されると、残存している検出可能な標識が除去される。さらに、次いで、式(IA)または(IB)のいずれかの4つの異なる取り込まれたヌクレオチドの各々の3’-ヒドロキシル保護基を除去して、フローセル400内の個々の新生核酸の各々の第2の伸長を促進し得る。
【0294】
他の実施形態において、(新生核酸鎖に取り込まれた4つの異なるヌクレオチドのうちの第3のヌクレオチドに由来する)ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の第3のサブセットのみが検出され得るように、上に列挙したプロセスを3回目のみ実施する。この特定の実施形態において、新生核酸鎖に取り込まれた4つの異なるヌクレオチドのうちの第4のヌクレオチドは、推論によって決定し得る。例えば、フローセル400内の新生核酸コピー鎖内に取り込まれた第1、第2および第3のヌクレオチドに対応する検出された標識の位置を知ることによって、新生核酸コピー鎖内に取り込まれた第4のヌクレオチドの位置は、標識が検出されなかった位置を特定することによって決定し得る。
【0295】
いくつかの実施形態において、複数の標的ポリヌクレオチド分子を配列決定する方法は:(a)流体チャンバ内の近位壁に核酸鎖を結合させること;(b)1回または複数回の添加で、(i)伸長可能プライマー、および(ii)核酸ポリメラーゼの複数の分子を、流体チャンバに添加すること;(c)4つの異なるヌクレオチドを流体チャンバに添加し、4つの異なるヌクレオチドの各々が、(i)3’-ヒドロキシル保護基、および(ii)切断可能なリンカーを介して核酸塩基に結合した反応性基を含み、4つの異なるヌクレオチドの各々の異なるヌクレオチドが、異なる核酸塩基および異なる反応性基を含むこと;(d)複数の標的ポリヌクレオチド分子を配列決定することを含み、ここで複数の標的ポリヌクレオチド分子の配列決定は、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の異なるサブセットを順次形成することを含み、形成されたヌクレオチド-コンジュゲート複合体の各々の異なるサブセット内の各ヌクレオチド-コンジュゲート複合体は、流体チャンバに導入された異なるヌクレオチドのうちの1つのみに由来し、複数の標的ポリヌクレオチド分子の各々に相補的な新生核酸コピー鎖に組み込まれている。
【0296】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の異なるサブセットの順次形成は:検出可能な標識を含み、相補的な新生核酸コピー鎖に取り込まれた4つの異なるヌクレオチドのうちの1つのみと直交反応性であるコンジュゲートを導入すること;導入された各コンジュゲートの標識を検出することによって、サブセット内の各ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の形成を検出すること;サブセット内の各々の検出されたヌクレオチド-コンジュゲート複合体の固体支持体内の位置を決定すること;サブセット内で形成された検出可能なヌクレオチド-コンジュゲート複合体の各々から少なくとも検出可能な標識を切断してもよいことを含む。
【0297】
適切なポリメラーゼのいくつかの例としては、3’-5’エキソヌクレアーゼ活性を欠くBファミリー(B型)ポリメラーゼが挙げられる。
【0298】
いくつかの実施形態において、ポリメラーゼは、熱安定性ポリメラーゼである。耐熱性核酸ポリメラーゼのとしては、サーマスアクアティカスTaq DNAポリメラーゼ、サーマス種Z05ポリメラーゼ、サーマスフラブス(Thermus flavus)ポリメラーゼ;TMA-25およびTMA-30ポリメラーゼ等のサーモトガマリティマポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、サーモコッカス種9°N(ならびにバリアントTherminator DNAポリメラーゼおよびTherminator II DNAポリメラーゼ)、ピュロコックスフリオスス(Pfu)、ピュロコックスウォエセイ(woesei)(Pwo)、テルモトガマリティマ(Tma)およびテルモコッカスリトラリス(Thermococcus Litoralis)(TliまたはVent)、ならびにそれらの変異体等が挙げられる。
【0299】
いくつかの実施形態において、ポリメラーゼは、検出可能な5’-3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く。5’から3’ヌクレアーゼ活性を実質的に欠くDNAポリメラーゼの例としては、大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノウ断片;N末端235アミノ酸を欠くサーマスアクアティカスDNAポリメラーゼ(Taq)(「Stoffel断片」)が挙げられる、米国特許第5,616,494号参照のこと。他の例としては、5’-3’ヌクレアーゼ活性を担うドメインを排除または不活性化するのに十分な欠失(例えば、N末端欠失)、変異または修飾を有する熱安定性DNAポリメラーゼが挙げられる。例えば、米国特許第5,795,762号を参照されたい。
【0300】
いくつかの実施形態において、ポリメラーゼは、検出可能な3’-5’エキソヌクレアーゼ活性を欠く。3’-5’エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠くDNAポリメラーゼの例としては、Taqポリメラーゼおよびその誘導体、ならびにプルーフリーディングドメインの天然に存在するまたは操作された欠失を有する任意のBファミリー(B型)ポリメラーゼが挙げられる。
【0301】
いくつかの実施形態において、ポリメラーゼは、3’修飾ヌクレオチド等のヌクレオチドアナログの取り込みを可能にするかまたは増強するように修飾または操作されている;例えば、米国特許第10,150,454号、同第9,677,057号、および同第9,273,352号を参照されたい。
【0302】
いくつかの実施形態において、ポリメラーゼは、5’-リン酸修飾ヌクレオチド等のヌクレオチドアナログの取り込みを可能にするかまたは増強するように修飾または操作されている;例えば、米国特許第10,167,455号および第8,999,676号を参照されたい。いくつかの実施形態において、そのようなポリメラーゼは、phi29由来ポリメラーゼである;例えば、米国特許第8,257,954号および同第8,420,366号を参照されたい。いくつかの実施形態において、そのようなポリメラーゼは、phiCPV4由来のポリメラーゼである;例えば、米国特許出願公開第20180245147号を参照されたい。
【0303】
いくつかの実施形態において、ポリメラーゼは、所望の修飾ヌクレオチドを首尾よく取り込むために、または所望の精度および加工性でヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログを取り込むために選択によって修飾または操作される。そのような修飾ポリメラーゼを選択する方法は、当技術分野で公知であり;例えば、「Polymerase Compositions and Methods of Making and Using Same」と題する米国特許出願公開第20180312904号を参照されたい。
【0304】
ヌクレオチドおよびコンジュゲートの合成
【0305】
以下に記載されるのは、本明細書中に記載されるヌクレオチドおよびコンジュゲートの合成の例である。
【0306】
実施例1-5’-チオール修飾β-L-LNAオリゴヌクレオチドの合成:
【0307】
5’-チオール修飾β-L-LNAオリゴヌクレオチドは、標準の自動固相DNA合成手順を使用し、ホスホラミダイト化学を利用して、ABI 394 DNAシンセサイザーで2×1μmolスケールの合成で合成した。Glen UnySupport PS(Glen Researchカタログ番号26-5040)およびβ-L-LNAホスホラミダイトならびにチオール修飾剤C6 S-S(Glen Research cat.no.10-1936)を構成要素として使用した。β-L-LNAホスホラミダイトは、文献(Bioorg.Med.Chem.Lett.2014,24,2699-2702;Tetrahedron 1998,54,3607-3630;Synthesis 2002,6,802-808)に従ってβ-D-LNAホスホラミダイトと同様に合成したが、D-グルコースの代わりにL-グルコースから出発し、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。全てのホスホロアミダイトは、DNAグレードのアセトニトリルに0.1Mの濃度で適用された。延長した結合時間(180秒)、延長した酸化(45秒)、脱トリチル化時間(85秒)での標準DNAサイクル、ならびに標準合成試薬および溶媒を使用した。オリゴヌクレオチドをDMTonで合成した。標準的な切断プログラムを、濃アンモニアによる支持体からのLNAオリゴヌクレオチドの切断のために利用し、残留保護基も、濃アンモニアによる処理(56℃で8時間)によって切断した。粗製5’-ジスルフィド修飾β-L-LNAオリゴヌクレオチドを蒸発させ、0,1M酢酸トリエチルアンモニウムpH7/アセトニトリル勾配を使用したRP HPLC(カラム:PRP-1、7μm、250×21.5mm(Hamilton,、部品番号79352))によって精製した。生成物画分を合わせ、水に対する透析(MWCO 1000、SpectraPor 6、部品番号132638)によって脱塩し、濃縮した。その後、ジスルフィドをリン酸緩衝液中で、100mM DTT pH8.3~8.5によって室温にて30分間切断した。次いで、5’-チオール修飾オリゴヌクレオチドを水に対する透析(MWCO1000、SpectraPor6、部品番号132638)によって脱塩し、定量し、凍結乾燥させた。
【0308】
収量は、200~400nmolの範囲であった。
【0309】
5’-チオール修飾β-L-LNAオリゴヌクレオチドは、0.1M酢酸トリエチルアンモニウム pH7/アセトニトリルの勾配を使用して、RP18 HPLC(Chromolith RP18e,Merck part no.1.02129.0001)で分析した。典型的な純度は、90%超だった。5’-チオール修飾β-L-LNAオリゴヌクレオチドの同一性は、LC-MS分析によって確認した。
【0310】
5’-HS-ヘキシル-β-LNA(TATCGC)-3’(配列番号19)
【0311】
5’-HS-ヘキシル-β-LNA(TCTTCC)-3’(配列番号6)
【0312】
5’-HS-ヘキシル-β-LNA(CTGTCA)-3’(配列番号4)
【0313】
5’-HS-ヘキシル-β-LNA(ACCAAC)-3’(配列番号31)
【0314】
実施例2-5’-アミノ修飾β-L-LNAオリゴヌクレオチドの合成
【0315】
5’-アミノ修飾β-L-LNAオリゴヌクレオチドは、標準の自動固相DNA合成手順を使用し、ホスホラミダイト化学を利用して、ABI 394 DNAシンセサイザーで2×1μmolスケールの合成で合成した。Glen UnySupport PS(Glen Researchカタログ番号26-5040)およびβ-L-LNAホスホラミダイト(2019年6月7日に出願された「Hybridizing all-LNA nucleotides」と題する欧州特許出願第19179046.8号を参照されたい、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)ならびにスペーサーホスホラミダイト18(Sp18)(Glen Researchカタログ番号10-1918)および5’-アミノ修飾剤C6ホスホラミダイト(Glen Researchカタログ番号10-1906)を構成要素として使用した。全てのホスホロアミダイトは、DNAグレードのアセトニトリルに0.1Mの濃度で適用された。延長された結合時間(240秒)および延長された酸化(45秒)を有する標準的なDNAサイクル、ならびに標準的な合成試薬および溶媒を、MMTonで合成された5’-アミノ修飾β-L-LNAオリゴヌクレオチドの構築に使用した。標準的な切断プログラムを、濃アンモニアによる支持体からのLNAオリゴヌクレオチドの切断のために利用し、残留保護基も、濃アンモニアによる処理(56°Cで8時間)によって切断させた。粗製5’-修飾β-L-LNAオリゴヌクレオチドを蒸発させ、0,1M酢酸トリエチルアンモニウムpH7/アセトニトリル勾配を使用したRP HPLC(カラム:PRP-1、12~20μm、250×30mm(Hamilton,、部品番号79352))によって精製した。生成物画分を合わせ、水に対する透析(MWCO 1000、SpectraPor 6、部品番号.132638)によって脱塩し、それによってMMTon精製オリゴヌクレオチドのMMT基も切断した。最後に、5’-アミノ修飾オリゴヌクレオチドを定量し、凍結乾燥した。
【0316】
典型的な収率:約300~400nmol。
【0317】
5’-アミノ修飾β-L-LNAオリゴヌクレオチドは、0.1M酢酸トリエチルアンモニウム pH7/アセトニトリルの勾配を使用して、RP18 HPLC(Chromolith RP18e,Merck part no.1.02129.0001)で分析した。典型的な純度は、90%超だった。
【0318】
5’-アミノ修飾β-L-LNAオリゴヌクレオチドの同一性は、LC-MS分析によって確認した。
【0319】
5’-H2N-ヘキシル-Sp 18-β-LNA(GCGATA)-3’(配列番号47)
【0320】
5’-H2N-ヘキシル-Sp 18-β-LNA(GGAAGA)-3’(配列番号34)
【0321】
5’-H2N-ヘキシル-Sp18-β-LNA(TGACAG)-3’(配列番号32)
【0322】
5’-H2N-ヘキシル-Sp18-β-LNA(GTTGGT)-3’(配列番号3)
【0323】
実施例3-ヌクレオチドの合成
【0324】
本明細書には、本開示のヌクレオチドを合成する方法が例示され、記載される。
【化18-1】
【化18-2】
【化18-3】
【化18-4】
【化18-5】
【0325】
リンカー分子1は、米国特許出願公開第2017/0240961号に記載の手順に従って合成したが、PEG12ジアミンの代わりに3,6,9,12-テトラオキサテトラデカン-1,14-ジアミン(CAS68960-97-4、例えばCarbosynth製(FD164979))を使用した点が異なっていた。
【0326】
国際公開第2004/018497号に記載の手順に従って、ウラシルおよびシトシンの5位ならびに7-デアザ-アデニンおよび7-デアザグアニンの7位の3-アミノプロパ-1-イニル基によって修飾された3’-O-アジドメチル-ヌクレオシド三リン酸(化合物4~7)を合成した。プロパルギル修飾-3’-アジドメチル-dNTP(化合物4~7)はまた、MyChem,LLC,San Diego,Cal.から購入することもできる。
【0327】
リンカー分子3の合成:
【0328】
リンカー分子1(1mmol、534mg)をDMF(10ml)およびN-メチルモルホリン(1.2ml)に溶解した。この溶液に、マレイミド-PEG2-スクシンイミジルエステル2(Sigma Aldrich746223)(1.1mmol(468mg))のDMF(10ml)中の溶液をゆっくり添加し、次いで、周囲温度で16時間撹拌した。溶媒を真空下で除去した。残渣を1M HClの添加によって酸性化し、生成物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、乾燥させた(Na2SO4)。溶媒を減圧下で除去し、粗製生成物(0.8g)を次の工程に使用した。
【0329】
ヌクレオチドリンカーコンジュゲート8~11の合成:
【0330】
無水DMF(2ml)中のリンカー分子3(11.3mg、13.2μmol)の撹拌溶液に、N,N’-ジスクシンイミジルカーボネート(3.4mg、13.2μmol)および4-ジメチルアミノピリジン(1.6mg、13.2μmol)を添加した。反応混合物を周囲温度で2時間撹拌した。TLCは完全な変換を示した。この溶液を直接使用して、0.1M NaHCO3/Na2CO3緩衝液pH8.7(0.3ml)中のヌクレオチド4~7(13μmol)と結合させた。反応混合物を周囲温度で3時間撹拌し、逆相HPLCによって精製し、ヌクレオチドリンカーコンジュゲート8~11を得た。典型的な収率は6~8μmolであった。
【0331】
ヌクレオチドβ-L-LNAコンジュゲート16~19の合成:
【0332】
ヌクレオチドリンカーコンジュゲート8~11(240nmol)および5’-チオール修飾β-L-LNA(12~15)(200nmol)をそれぞれ2mlのダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(Sigma D8537)に溶解し、混合した。周囲温度で10分後、反応が完了した(RP-HPLCによって制御)。次いで、反応混合物を水に対して透析し(MWCO1000、SpectraPor6、部品番号132638)、濃縮し、0,1M酢酸トリエチルアンモニウムpH7/アセトニトリル勾配を用いてRP HPLC(カラム:XBridge prep C18 5μm OBD、19×250mm(Waters、P/N 186004021)によって精製した。生成物画分を合わせ、水に対する透析(MWCO1000、SpectraPor6、部品番号132638)によって脱塩し、定量化し、凍結乾燥させた。
【0333】
収量は、約120~160nmolの範囲であった。
【0334】
ヌクレオチドβ-L-LNAコンジュゲート16~19を、0,1M酢酸トリエチルアンモニウムpH7/アセトニトリル勾配を使用するRP18 HPLC(Chromolith RP 18e、メルク、部品番号1.02129.0001)によって分析した。典型的な純度は、95%超だった。ヌクレオチドβ-L-LNAコンジュゲート16~19の同一性をLC-MS分析によって確認した。
【0335】
実施例4-コンジュゲートの合成
【0336】
本明細書には、本開示のコンジュゲートを合成する方法が例示され、記載される。
【化19】
【0337】
カルボキシル鉄酸化物ナノ粒子(5~30nmの直径、例えば、Ocean NanoTech製)を、EDC/スルホ-NHSを使用して活性化し、続いて異なる比率を使用して5’-アミノ修飾β-L-LNAオリゴヌクレオチドにコンジュゲートし、低いオリゴヌクレオチドローディング(24~27)を有する磁気ナノ粒子を得た。
【0338】
0.2mLの再懸濁(DI水)磁気ナノ粒子(5mg/mL)を1.5mLマイクロ遠心管に分注し、次いで0.2mLの活性化緩衝液(25mM MES、pH6.0)を添加した。その後、0.01mLのスルホ-NHS溶液(10mg/mL DI水)および0.01mLのEDC溶液(10mg/mL DI水)を添加した。懸濁液を室温で15分間連続的に混合した。次いで、未反応のEDC/スルホ-NHSをNAP-10カラム(GE 17-0854-02)によって分離した。10mM PBS緩衝液pH7.4(ナノ粒子1mg当たり5nmol以下)中の5’-アミノ修飾オリゴヌクレオチドを、カラムから溶出した磁気ナノ粒子に添加し、連続的に混合しながら室温で2.5時間反応させた。その後、0.1mLのクエンチバッファー(100mM Tris-HCl、pH7.4)を磁気ナノ粒子懸濁液に添加し、連続混合しながら室温で30分間反応させた。次いで、非コンジュゲートオリゴヌクレオチドを磁気分離によって除去した。磁気ナノ粒子を保存緩衝液(10mM PBS、pH7.4)に再懸濁した。陰イオン交換HPLCまたはゲル電気泳動を使用して、異なる化学量論を有する磁気ナノ粒子を分離し、オリゴヌクレオチドで単官能化された磁気ナノ粒子を単離することができる。
【0339】
オリゴヌクレオチドが多重コンジュゲートしている場合:
【化20】
【0340】
実施例5
【0341】
Z1を含むヌクレオチドまたはオリゴ-/ポリヌクレオチドをZ2を含むコンジュゲート(過剰のコンジュゲート、例えば1pM~1mM、好ましくは0.1μM~25μM(チップ上のセンサおよび適用された過剰量に依存))と反応させるための反応条件:
【0342】
室温でのインキュベーション時間10秒~600秒、好ましくは10秒~60秒
【0343】
1)反応性基:オリゴヌクレオチド
【0344】
コンジュゲートを、例えば、Tris、Hepes、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、酢酸カリウム(好ましいpH6~8;好ましい塩濃度10~100mM(一価)および/または0~10mM二価イオン(Mg2+)を含有する緩衝溶液に適用し;界面活性剤、例えばポリドカノール(Thesit)を添加してもよい。
【0345】
2)反応性基:ハプテン/抗体
【0346】
コンジュゲートを、例えば、Tris、Hepes、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、酢酸カリウム(好ましいpH6~8;好ましい塩濃度10~100mMを含有する緩衝溶液に適用し;界面活性剤、例えばポリドカノール(Thesit))を添加してもよい。
【0347】
3)反応性基:ホスト/ゲスト
【0348】
コンジュゲートを、例えば、Tris、Hepes、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、酢酸カリウム(好ましいpH6~8に適用し;好ましい塩濃度10~100mMを含有する緩衝溶液に適用し;界面活性剤、例えばポリドカノール(Thesit))を添加してもよい。
【0349】
4)クリック
【0350】
4a)CuAAC
【0351】
コンジュゲート体を、例えば、Tris、Hepes、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、酢酸カリウム(好ましいpH6~8;好ましい塩濃度10~100mMおよびクリック試薬(0、25mM硫酸銅(II)、1.25mM THPTAリガンド、5mMアスコルビン酸ナトリウム、5mMアミノグアニジン))を含有する緩衝溶液に適用し;界面活性剤、例えばポリドカノール(Thesit)を添加してもよい。
【0352】
4b)銅フリークリック
【0353】
コンジュゲートを、例えば、Tris、Hepes、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、酢酸カリウム(好ましいpH6~8に適用し;好ましい塩濃度10~100mMを含有する緩衝溶液に適用し;界面活性剤、例えばポリドカノール(Thesit))を添加してもよい。
【0354】
4c)TCO/テトラジンクリック(逆要請ディールス-アルダー環化付加反応)
【0355】
コンジュゲートを、例えば、Tris、Hepes、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、酢酸カリウム(好ましいpH6~8に適用し;好ましい塩濃度10~100mMを含有する緩衝溶液に適用し;界面活性剤、例えばポリドカノール(Thesit))を添加してもよい。
【0356】
実施例6-5’-ビオチン化β-L-LNAオリゴヌクレオチドの合成
【0357】
5’-ビオチン化β-L-LNAオリゴヌクレオチドは、標準の自動固相DNA合成手順を使用し、ホスホラミダイト化学を利用して、ABI 394 DNAシンセサイザーで2×1μmolスケールの合成で合成した。Glen UnySupport PS(Glen Researchカタログ番号26-5040)およびβ-L-LNAホスホラミダイト(2019年6月7日に出願された「Hybridizing all-LNA nucleotides」と題する欧州特許出願第19179046.8号を参照されたい、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)ならびにスペーサーホスホラミダイト18(Sp18)(Glen Researchカタログ番号10-1918)および5’-ビオチンホスホラミダイト(Glen Researchカタログ番号10-5950)を構成要素として使用した。全てのホスホロアミダイトは、DNAグレードのアセトニトリルに0.1Mの濃度で適用された。延長された結合時間(240秒)および延長された酸化(45秒)を有する標準的なDNAサイクル、ならびに標準的な合成試薬および溶媒を、DMToffで合成された5’-ビオチン化β-L-LNAオリゴヌクレオチドの構築に使用した。標準的な切断プログラムを、濃アンモニアによる支持体からのLNAオリゴヌクレオチドの切断のために利用し、残留保護基も、濃アンモニアによる処理(56°Cで8時間)によって切断させた。粗製5’-ビオチン化β-L-LNAオリゴヌクレオチドを蒸発させ、0,1M酢酸トリエチルアンモニウムpH7/アセトニトリル勾配を使用したRP HPLC(カラム:PRP-1、12~20μm、250×30mm(Hamilton,、部品番号79352))によって精製した。生成物画分を合わせ、水に対する透析(MWCO1000、SpectraPor6、部品番号132638)によって脱塩した。最後に、5’-ビオチン化オリゴヌクレオチドを定量し、凍結乾燥した。
【0358】
典型的な収量は、約200~約400nmolの範囲であった。
【0359】
5’-ビオチン化β-L-LNAオリゴヌクレオチドは、0.1M酢酸トリエチルアンモニウム pH7/アセトニトリル勾配を使用して、RP18 HPLC(Chromolith RP18e,Merck,部品番号1.02129.0001)により分析した。典型的な純度は、90%超だった。
【0360】
5’-ビオチン化β-L-LNAオリゴヌクレオチドの同一性は、LC-MS分析によって確認した。
【0361】
5’-ビオチン-Sp 18-β-LNA(GCGATA)-3’(配列番号47)
【0362】
5’-ビオチン-Sp 18-β-LNA(GGAAGA)-3’(配列番号34)
【0363】
5’-ビオチン-Sp 18-β-LNA(TGAGTG)-3’(配列番号57)
【0364】
5’-ビオチン-Sp18-β-LNA(GTTGGT)-3’(配列番号3)
【0365】
実施例7-ストレプトアビジンコートナノ粒子(NP 10nm;NP20nm)と異なるビオチン化L-LNAとのコンジュゲーション
【0366】
【0367】
装置:
【0368】
1.5 mL LB-エッペンドルフバイアル
【0369】
Vivaspin(Sartorius 500)製のSpinfilterシステム:10K MWCO、フィルタ体積100μL、体積上清約500μL
【0370】
遠心分離:エッペンドルフ5415D;13 200rpm/16 100rcf最大
【0371】
遠心分離:エッペンドルフ5417R;25 000rcf最大、温度:(21℃)
【0372】
サーモシェーカー
【0373】
ボルテックス
【0374】
実験:
【0375】
以下に示すように、それぞれ8つの試料(2NP×4 L-LNA)を用いて3つの異なる実験を行った:
【0376】
(A)0.5mg NP;精製:遠心分離:エッペンドルフ5417R;25,000rcf最大、(21-∞C)
【0377】
(B)0.1mg NP;精製:スピンフィルタ10 K、0.5mL、遠心分離:エッペンドルフ5415D、8000rpm
【0378】
(C)0.3mg NP;精製:スピンフィルタ10 K、0.5mL、遠心分離:エッペンドルフ5417R,5000 rcf
【0379】
実験(A)
【0380】
0.5mg(500μL)のナノ粒子を1.5mL LB-エッペンドルフバイアルに移した(表2参照)。
【0381】
緩衝液交換:上清が無色になるまで試料を遠心分離し(15分(NP 20);60分(NP10)、25 000rcf)、上清(10mM PBS、pH7.4、0.02% NaN3、0.01% BSA)を除去し、500μLの反応緩衝液KP緩衝液(pH7.4)を添加し、試料をボルテックスによって再懸濁し、再び遠心分離し、KP緩衝液を除去し、最後に50μLのKP緩衝液を添加した(cNP=10 mg/mL)。
【0382】
ストレプトアビジンナノ粒子のビオチン結合容量に応じて(以後本明細書中ではNP10およびNP20については「BiKA」)(KP緩衝液pH7.4中100nmol/mL)、40倍過剰のそれぞれのL-LNAをナノ粒子懸濁液に添加し、それぞれ0.9および1.7mg/mLの反応濃度を得た。
【0383】
コンジュゲーションは、サーモシェーカーを使用して行った:1時間、21∞C,1000rpm
【0384】
精製:遊離L-LNAを除去するために、上清が無色になるまで試料を遠心分離し(15分(NP20);60分(NP10)、25000rcf)、上清を除去し、500μLのKP緩衝液(pH7.4)を添加した。この洗浄手順を2回繰り返した。
【0385】
最後に、ナノ粒子ペレットを50μLのKP緩衝液pH7.4(c=10mg/mL)に再懸濁した。
【0386】
実験(B)および(C)
【0387】
膜を濡らすためのスピンフィルタの前処理:2回500μLのKP緩衝液pH7.4を使用した遠心分離
【0388】
実験(B)のために、0.1mg(100μL)のナノ粒子をスピンフィルタに移した。
【0389】
実験(C)のために、0.3mg(300μL)のナノ粒子をスピンフィルタに移した。
【0390】
緩衝液交換:500μLの反応緩衝液KP緩衝液pH7.4をスピンフィルタに添加し、遠心分離し(3分;8000rpm(NP10、NP20))、この手順を2回繰り返した。
【0391】
フィルタ中のNP懸濁液を、100~200μLのKP緩衝液pH7.4を使用して1.5mL LB-エッペンドルフバイアルに移した。
【0392】
NP10およびNP20に対するBiKAに応じて、40倍過剰のそれぞれのL-LNAをナノ粒子懸濁液に添加し(B:100nmol/mL;C:KP緩衝液pH7.4中250nmol/mL)、実験Bについてはそれぞれ0.5および0.7mg/mLの反応濃度をもたらし、実験Cについては0.9および1.2mg/mLの反応濃度をもたらした。
【0393】
コンジュゲーションは、サーモシェーカーを使用して行った:1時間、21℃、1000rpm
【0394】
精製:遊離L-LNAを除去するために、スピンフィルタシステム(5~10分、8000rpm)を使用して、試料を500μLのKP緩衝液pH7.4で3~6回洗浄した。各遠心分離工程の後、ピペッティングによってNPをフィルタ内に再懸濁した。濾液を回収して、UV/Vis分光法(260nm)によってL-LNA量/洗浄有効性を確認した。
【0395】
最後に、ナノ粒子ペレットを約100μLのKP緩衝液pH7.4(c=1mg/mL)に再懸濁した。
【0396】
結果
【0397】
DLS
【0398】
反応系列Aの試料をDLS測定(水中の5μL NP懸濁液)によって分析した。
【表4】
【0399】
試料1、3、5、7(NP10)のDLS測定は、LNAコート粒子について約20~約40nmのサイズ分布を示した。これらの直径は前駆体粒子(10nmのカルボキシル粒子およびストレプトアビジン粒子)と同様であった。
【0400】
コンジュゲーションL-LNA(2700g/mol)によるサイズの検出可能な増加は観察されなかった
【0401】
試料2、4、6、8(NP20)のDLS測定は、ほとんど測定できなかった。これは、NP20コンジュゲートの凝集の問題に起因する可能性があった。
【0402】
両方のストレプトアビジンコート粒子(NP10およびNP20)は、異なる材料特性を示した。
【0403】
遠心分離プロセス(スピンフィルタありおよびなし)の適用は、NP20粒子の凝集をもたらす。NP20粒子がフィルタ膜に付着したと考えられる。両方の事実は、L-LNAとのコンジュゲーション反応においてNP20試料の収率の低下をもたらす。これは、NP10試料対NP20試料の褐色がかった色強度を比較することによって観察することができた。
【0404】
ビオチンフルオレセインを用いたBiKAアッセイ
【0405】
NP10:BiKA 3030~3060pmol/mg(約3、0nmol/mg)
【0406】
NP20:BiKA 10.400-11.500pmol/mg(約10.4~11.5nmol/mg)
【0407】
予想外にも、NP20粒子はNP10粒子よりも約3~約4倍高いBiKaを示した。
【0408】
実験において経験的に決定されたNP10およびNP20のBiKaは、以下のように決定された:
【0409】
NP10:2.5nmol/mgビーズ
【0410】
NP20:1.25 nmol/mgビーズ
【0411】
NP10については、ほぼ完全に一致する(2.5nmol/mg対3.0nmol/mg)。
【0412】
NP20については、実験的に決定されたBikaは約10倍高い(1.25nmol/mg対11nmol/mg)。
【0413】
それにもかかわらず、全ての実験で使用された40倍過剰のL-LNAは、100%ローディングを生成するのに十分でなければならず、これはビオチン-フルオレセインアッセイ(90~100% L-LNAローディング)によって確認することができた。
【0414】
追加の実施形態
【0415】
固体支持体上に配列された複数の標的ポリヌクレオチドを配列決定する方法であって、4つの異なるヌクレオチドのうちの1つを、複数の標的ポリヌクレオチドの各々に相補的な核酸コピー鎖に取り込むことであって、4つの異なるヌクレオチドの各々が、(i)3’-ヒドロキシル保護基、および(ii)切断可能なリンカーを介して核酸塩基に結合した反応性基を含み、4つの異なるヌクレオチドの各々の異なるヌクレオチドが、異なる核酸塩基および異なる反応性基を含む、新生核酸コピー鎖に取り込むことと;新生核酸鎖のヌクレオチド-コンジュゲート複合体の異なるサブセットを順次形成することであって、形成されたヌクレオチド-コンジュゲート複合体の各々の異なるサブセット内の各ヌクレオチド-コンジュゲート複合体が、新生核酸コピー鎖に取り込まれた異なるヌクレオチドのうちの1つのみに由来し、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の各々の異なるサブセットの順次形成が、検出可能な標識を含み、相補的な核酸鎖に取り込まれた4つの異なるヌクレオチドのうちの1つのみと直交反応性であるコンジュゲートを導入することと;導入された各コンジュゲートの標識を検出することによって、サブセット内の各ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の形成を検出することと;サブセット内の検出された各ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の固体支持体内の位置を決定することとサブセット内の形成された検出可能なヌクレオチド-コンジュゲート複合体の各々から少なくとも検出可能な標識を切断することとを含む、ヌクレオチド-コンジュゲート複合体の異なるサブセットを順次形成することとを含む、方法。
【0416】
本明細書中で言及されるおよび/または出願データシートにおいてリスト化される全ての米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許刊行物は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。実施形態の態様は、必要に応じて、様々な特許、出願、および刊行物の概念を使用してさらに別の実施形態を提供するように変更されることができる。
【0417】
本開示は、いくつかの例示的な実施形態を参照して説明されてきたが、本開示の原理の精神および範囲内に含まれるであろう多くの他の変更および実施形態が当業者によって考案されることができることを理解されたい。より具体的には、合理的な変形および変更は、本開示の精神から逸脱することなく、前述の開示、図面、および添付の特許請求の範囲内の主題の組合せ構成の構成部品および/または配置において可能である。構成部品および/または配置の変形および変更に加えて、代替の使用法も当業者にとって明らかであろう。
【配列表】