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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】オブジェクトのレーダ断面積の決定
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/41 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
G01S7/41
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022548469
(86)(22)【出願日】2021-02-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(86)【国際出願番号】 GB2021050287
(87)【国際公開番号】W WO2021161000
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-08-29
(31)【優先権主張番号】2001743.0
(32)【優先日】2020-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】20275031.1
(32)【優先日】2020-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390038014
【氏名又は名称】ビ-エイイ- システムズ パブリック リミテッド カンパニ-
【氏名又は名称原語表記】BAE SYSTEMS plc
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ペトラス、アダム・トーマス
【審査官】▲高▼場 正光
(56)【参考文献】
【文献】W. A. van Cappellen et al.,Potentials of Ultra-Short-Pulse Time Domain Scattering Measurement,IEEE Antennas and Propagation Magazine,2000年08月01日,Vol. 42, No. 4,pp. 35-45
【文献】C. Alexandrov,Radar Target Signature Evaluation Using Numerical Deconvolution,2014 18th International Symposium on Electronical Apparatus and Technologies,2014年05月29日,pp. 1-4
【文献】F. Amin et al.,Implementation and Results of an RCS Measurement System in CATR,2012 IEEE Asia-Pacific Conference on Applied Electromagnetics (APACE 2012),2012年12月11日,pp. 262-267
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 - G01S 7/42
G01S 13/00 - G01S 13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクトのレーダ断面積を測定する方法であって、
パルスプロファイルを決定すること、前記パルスプロファイルは、パルス周波数、パルス幅、及びレンジウォーク長を含む、と、
1つまたは複数のレーダパルスを前記オブジェクトに送信することと、前記1つまたは複数のレーダパルスの各々は、前記パルスプロファイルを有し、
前記1つまたは複数のレーダパルスの各々について、所定の遅延時間におけるパルスリターン値を測定すること、前記所定の遅延時間における前記パルスリターン値は、前記オブジェクトに沿った所与の距離における前記オブジェクトによって反射された前記レーダパルスの前記パルスリターン値であり、と、
正規化された前記送信したレーダパルスの値にフーリエ変換を実行することと、
前記測定したパルスリターン値にフーリエ変換を実行することと、
前記測定したパルスリターン値のフーリエ変換を前記送信したレーダパルスの値のフーリエ変換で除算することと、
所与の距離におけるオブジェクトのレーダ断面積を決定するために、前記除算した値に逆フーリエ変換を実行することと、
を備える、方法。
【請求項2】
前記パルス周波数を前記決定することは、複数の異なる周波数における無線周波数干渉のレベルを決定するために無線周波数干渉リスニングテストを実行することと、最小レベルの無線周波数干渉が存在する周波数を前記複数の異なる周波数から選択することとを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、前記1つまたは複数のレーダパルスについてのパルス幅を決定することをさらに備え、
前記決定されたパルス幅を有する前記1つまたは複数のパルスが送信され、
前記パルス幅を決定することは、
初期パルス幅を有するレーダパルスを送信および測定することと、
公称最大信号振幅が測定されるまで、前記初期パルス幅を増分値だけ反復的に増加させることと、
前記パルス幅を、前記公称最大信号振幅に関連付けられた前記パルス幅に等しく設定することと、
を備える、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、
前記レーダパルスの前記送信中に前記オブジェクトを回転させることと、
前記測定されたパルスリターンを固定角度グリッド上に補間することと、
をさらに備え、
前記測定されたパルスリターン値を前記フーリエ変換することは、前記固定角度グリッドにおける各角度について実行される、
請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記固定角度グリッドの角度ステップサイズが、最大離散フーリエ変換周波数に等しい、請求項に記載の方法。
【請求項6】
オブジェクトのレーダ断面積を測定するためのシステムであって、
パルスプロファイルを決定するように構成されたレーダコントローラと、前記パルスプロファイルは、パルス周波数、パルス幅、及びレンジウォーク長を含む、
1つまたは複数のレーダパルスを前記オブジェクトに送信するように構成されたレーダ送信機と、前記1つまたは複数のレーダパルスは、前記パルスプロファイルを有し、
1つまたは複数の所定の遅延時間におけるパルスリターン値を測定するように構成されたレーダ受信機と、前記1つまたは複数の前記所定の遅延時間におけるパルスリターン値は、前記オブジェクトに沿った所与の距離における前記オブジェクトによって反射された前記1つまたは複数のレーダパルスの前記パルスリターン値であり、
1つまたは複数のプロセッサと、
を備え、前記1つまたは複数のプロセッサは、
正規化された前記送信したレーダパルスの値にフーリエ変換を実行することと、
前記測定したパルスリターン値にフーリエ変換を実行することと、
前記測定したパルスリターン値のフーリエ変換を前記送信したレーダパルスの値のフーリエ変換で除算することと、
所与の距離におけるオブジェクトのレーダ断面積を決定するために、前記除算した値に逆フーリエ変換を実行することと、
を行うように構成される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オブジェクトのレーダ断面積を測定または決定することに関する。
【背景技術】
【0002】
外部環境において、オブジェクト、特に低レーダシグネチャターゲット(例えば、低可観測性航空機等)のレーダ断面積を測定することは、モバイル電話、TV、衛星などの他の送信機、および航空交通管制レーダなどの他のレーダから存在する無線周波数干渉(RFI)量に起因してますます困難になっている。
【0003】
従来、この問題は、信号対雑音比を増加させることを可能にするより大きい増幅器を実装することによって対処され得る。
【0004】
しかしながら、より大きい増幅器およびより高い電力信号を使用すると、エリア内の他の送信に望ましくない途絶を生じさせる恐れがあり、そのため、より大きい増幅器およびより高い電力信号の使用が制限されるか、または許可されない場合がある。
【発明の概要】
【0005】
従来、テストレンジ上のターゲットについてのレーダ断面積プロファイルは、送信されたレーダ信号の周波数をスイープしてターゲットを測定することによって取得される。
【0006】
対照的に、本発明は、タイムゲーティングを使用するとともにレーダシステムおよび後処理ソフトウェアの能力を利用して、送信されたレーダパルスを、測定中のターゲットが位置するテストレンジに沿って効果的に「ウォーク(walk)」させる。
【0007】
ターゲットは、低レベルのRFIが存在する同じ周波数または狭周波数範囲を各々が有するレーダパルスのシーケンスによって測定される。各パルスについて、レーダ受信機は、パルスの送信からそれぞれの遅延時間が経過した後に、当該パルスについてのリターンを測定する。レーダパルスのシーケンスについての遅延時間は変更され、例えば、遅延時間は、レーダパルスのシーケンス内の各連続パルスについて固定時間Δtだけ増加され得る。したがって、各パルスは、レーダアンテナからのそれぞれの距離(またはレンジ)でターゲットを測定する。このようにして、ターゲットからの情報が得られて、ターゲットについてのダウンレンジプロファイルを生成する。これは、有利なことに、RFIを軽減するのに役立つ。また、高価で大きい増幅器およびより高い電力伝送の使用が回避される傾向がある。
【0008】
本技法は、RFIが問題となる全範囲レーダシステム上で利用することができる。
【0009】
第1の態様において、本発明は、オブジェクトのレーダ断面積を測定する方法を提供する。本方法は、1つまたは複数のレーダパルスをオブジェクトに送信することと、1つまたは複数のパルスの各々は、所定のパルスプロファイルを有し、1つまたは複数のパルスの各々について、パルスリターンを測定することと、パルスリターンは、オブジェクトによって反射されたレーダパルスであり、所定のパルスプロファイルを使用して、測定された1つまたは複数のパルスリターンをデコンボリューションすることと、デコンボリューションされた1つまたは複数のパルスリターンを使用してオブジェクトのレーダ断面積を決定することと、を備えるものである。
【0010】
1つまたは複数のパルスは、所定の周波数で送信され得る。本方法は、1つまたは複数のレーダパルスを送信するための周波数を決定することをさらに備え得る。周波数を決定することは、複数の異なる周波数における無線周波数干渉のレベルを決定するために無線周波数干渉リスニングテストを実行することと、最小レベルの無線周波数干渉が存在する周波数を複数の異なる周波数から選択することとを備え得る。
【0011】
1つまたは複数のレーダパルスは、レーダアンテナによって送受信され得る。1つまたは複数のパルスリターンを測定することは、レーダアンテナからの複数の異なる距離でオブジェクトを測定するためにレーダリターンをタイムゲーティングすることを備え得る。
【0012】
本方法は、正則化定数を決定することをさらに備え得、測定された1つまたは複数のパルスリターンをデコンボリューションすることは、決定された正則化定数を使用して実行される。測定された1つまたは複数のパルスリターンをデコンボリューションすることは、Hを計算することを備え得、ここで、
【数1】
であり、ここで、Hは、オブジェクトのレーダプロファイルの離散フーリエ変換であり、γは、正則化定数(正の実数であり得る)であり、Pは、基準パルスの離散フーリエ変換であり、P は、Pの複素共役であり、Δtは、時間期間である。
【0013】
本方法は、スケーリング定数を決定することと、Hにスケーリング定数を乗算することとをさらに備え得る。スケーリング定数を決定することは、較正プロセスを実行することを備え得る。スケーリング定数を決定するための較正プロセスは、レーダパルスを較正ターゲットに送信することと、較正ターゲットは、既知のレーダ断面積を有するオブジェクトであり、較正ターゲットに送信されたレーダパルスに関連付けられた較正パルスリターンを測定することと、測定された較正パルスリターンのピークを識別することと、識別されたピークにわたるレーダエネルギーをコヒーレントに加算することと、較正ターゲットについての既知の較正レベルを達成するために加算されたエネルギー値に乗算される定数値を、スケーリング定数として決定することと、を備え得る。正則化定数を決定することは、較正プロセスを実行することを備え得る。正則化定数を決定するための較正プロセスは、レーダパルスを較正ターゲットに送信することと、較正ターゲットは、既知のレーダ断面積を有するオブジェクトであり、較正ターゲットに送信されたレーダパルスに関連付けられた較正パルスリターンを測定することと、較正ターゲットが位置していない測定された較正パルスリターンのセクションを識別することと、識別されたセクションのノイズレベルを決定することと、決定されたノイズレベルおよび測定された較正パルスリターンを使用して信号対雑音レベルを定義することと、正則化定数の初期値を選択することと、最大の信号対雑音レベルに対応する精密化された正則化定数を決定するために、正則化定数の初期値に対して最適化プロセスを実行することと、を備え得る。精密化された正則化定数は、測定されたパルスリターンのデコンボリューションにおいて使用される正則化定数であり得る。最適化プロセスは、正則化定数についての可変値を使用して測定された較正パルスリターンをデコンボリューションすることを備える。最適化プロセスは、ニュートン-ラフソン法を実施することを備え得る。
【0014】
本方法は、1つまたは複数のパルスについてのパルス幅を決定することをさらに備え得る。決定されたパルス幅を有する1つまたは複数のパルスが送信され得る。パルス幅を決定することは、初期パルス幅を有するレーダパルスを送信および測定することと、公称最大信号振幅が測定されるまで、初期パルス幅を増分値だけ反復的に増加させることと、パルス幅を、公称最大信号振幅に関連付けられたパルス幅に等しく設定することと、を備え得る。
【0015】
本方法は、レーダパルスの送信中にオブジェクトを回転させることと、測定されたパルスリターンを固定角度グリッド上に補間することとをさらに備え得る。測定されたパルスリターンをデコンボリューションすることは、固定角度グリッドにおける各角度について実行され得る。固定角度グリッドの角度ステップサイズが、最大離散フーリエ変換周波数に等しくてよい。
【0016】
さらなる態様において、本発明は、オブジェクトのレーダ断面積を測定するためのシステムを提供する。本システムは、1つまたは複数のレーダパルスをオブジェクトに送信するように構成されたレーダ送信機と、1つまたは複数のレーダパルスは、所定のパルスプロファイルを有し、1つまたは複数のパルスリターンを測定するように構成されたレーダ受信機と、1つまたは複数のパルスリターンは、オブジェクトによって反射された1つまたは複数のレーダパルスであり、1つまたは複数のプロセッサと、を備え、1つまたは複数のプロセッサは、所定のパルスプロファイルを使用して、測定された1つまたは複数のパルスリターンをデコンボリューションすることと、デコンボリューションされた1つまたは複数のパルスリターンを使用してオブジェクトのレーダ断面積を決定することと、を行うように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ターゲットのレーダ断面積を測定するためのシステムを示す概略図(正確な縮尺でない)である。
図2】RCS測定システムを較正するための較正プロセスを示すプロセスフローチャートである。
図3】ターゲットのRCSを測定するためのプロセスを示すプロセスフローチャートである。
図4a図3のプロセス中に実行される較正ターゲットのレンジウォーク測定を例示する概略図(正確な縮尺でない)である。
図4b図3のプロセス中に実行される較正ターゲットのレンジウォーク測定を例示する概略図(正確な縮尺でない)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、ターゲット102のレーダ断面積(RCS)を測定するためのシステム100を示す概略図(正確な縮尺でない)である。
【0019】
ターゲット102は、RCSを知ることが望まれる任意の適切なタイプのオブジェクトであり得る。例えば、ターゲット102は航空機であり得、航空機のRCSは、航空機のミッション制限または性能を評価するために測定される。ターゲット102は、テストレンジ104の一端に位置する。ターゲット102は、地面より上にターゲット102を保持する支持構造106に取り付けられる。支持構造106は、ターゲット102がレーダモジュール108によって測定されるときに、ターゲット102を連続的に回転させるように構成される。
【0020】
レーダモジュール108は、テストレンジ104のターゲット102とは反対側の端部に位置する。レーダモジュール108は、レーダアンテナ110と、レーダ送信機112と、レーダ受信機114と、レーダコントローラ116と、レーダ信号プロセッサ118とを備える。
【0021】
レーダモジュール108は、レーダ波をテストレンジ104に沿ってターゲット102に送信する送信モードで、またはターゲット102から反射されたレーダ波を受信する受信モードで動作し得る。
【0022】
レーダコントローラ116は、レーダモジュール108の動作をあらゆる面で制御するように構成され得る。レーダコントローラ116は、送信モード中、レーダアンテナ110によって送信されるべき適切な波形を決定および生成するように構成される。レーダコントローラ116は、レーダ送信機112に動作的に結合される。レーダコントローラ116は、生成した波形をレーダ送信機112に送信するように構成される。レーダ送信機112は、レーダアンテナ110に動作的に結合される。レーダ送信機112は、受信した波形の電力をブーストし、エネルギーを送信のためにレーダアンテナ110に送信するように構成される。レーダアンテナ110は、レーダ送信機112から受信した波形を送信するように構成される。レーダアンテナ110は、テストレンジ104の長さに沿ってターゲット102のほうに向けられる。
【0023】
したがって、レーダアンテナ110によって送信されるレーダ波(図1において矢印および参照番号120によって示される)は、ターゲット102に向かい衝突する。また、ターゲット102によって反射された入射レーダ波(図1において矢印および参照番号122によって示される)は、レーダアンテナ110に向かい、入射し、受信される。
【0024】
レーダアンテナ110は、レーダ受信機114にも動作的に結合される。レーダ受信機114は、レーダ信号プロセッサ118に動作的に結合される。レーダ受信機114は、受信モード中、レーダアンテナ110からの信号を収集し、それらをレーダ信号プロセッサ118に転送するように構成される。
【0025】
レーダ信号プロセッサ118は、レーダ受信機114から受信した信号(すなわち、ターゲット102から反射されたレーダ波に対応する信号)を処理し、ターゲット102のRCSを決定するためにそれらの信号を処理するように構成される。この信号処理は、レーダコントローラ116からレーダ信号プロセッサ118によって受信された入力を使用し得る。この信号処理については、図2および図3を参照して以下でより詳細に後述する。
【0026】
上記配置構成を実現し、以下で後述する方法ステップを実行するための、レーダコントローラ116および/またはレーダ信号プロセッサ118を含む装置が、例えば1つまたは複数のコンピュータまたは他の処理装置もしくはプロセッサなどの任意の好適な装置を構成または適応させること、および/または追加のモジュールを提供することによって提供され得る。本装置は、コンピュータメモリ、コンピュータディスク、ROM、PROM等、または、これらのもしくは他の記憶媒体の任意の組合せなどの機械可読記憶媒体において、または機械可読記憶媒体上に記憶された1つまたは複数のコンピュータプログラムの形態でデータおよび命令を含む、命令を実装し、かつデータを使用するためのコンピュータ、コンピュータのネットワーク、または1つまたは複数のプロセッサを備え得る。
【0027】
次に、図1に示され、より詳細に上述したシステム100によって実行され得る方法について図2および図3を参照して説明する。図2および図3のフローチャートにおいて示され、以下で説明されるプロセスステップのうちの特定のものを省略してもよいこと、または、そのようなプロセスステップを、以下で提示され、図2および図3に示されるものとは異なる順序で実行してもよいことに留意されたい。さらに、すべてのプロセスステップは、便宜上また理解しやすくするために、別個の時間的に連続するステップとして図示されているが、プロセスステップのいくつかを、実際には、同時に、または少なくともある程度時間的に重複して実行してもよい。
【0028】
図2は、RCS測定システム100を較正するための較正プロセス200の特定のステップを示すプロセスフローチャートである。
【0029】
ステップs202において、較正ターゲットがテストレンジ104上に設置される。この実施形態では、較正ターゲットは支持構造106に取り付けられる。
【0030】
較正ターゲットは、既知のRCSシグネチャを有するオブジェクトである。適切な較正ターゲットの例には、球面または二面体のオブジェクトが含まれるが、これらに限定されない。
【0031】
ステップs204において、レーダ送信のための特定の周波数が決定または選択される。これは、例えば、レーダコントローラ116によって実行され得る。好ましくは、低いまたは最小レベルのRFIが存在する特定の周波数が選択される。より好ましくは、実質的にRFIが存在しない特定の周波数が選択される。特定の周波数の決定または選択は、システムの近傍でRFIリスニングテストを実行することと、低いもしくは最小のRFIが存在する、またはRFIが存在しない周波数を選択することとを備え得る。
【0032】
ステップs206において、レーダ送信のためのパルス幅が決定または選択される。これは、例えば、レーダコントローラ116によって実行され得る。
【0033】
この実施形態では、パルス幅は、レーダモジュール108の内部ループを測定することによって決定される。この実施形態では、レーダモジュール108の伝送線は、受信機114内に直接配線されており、これはレーダモジュール108の内部ループを画定する。いくつかの実施形態では、受信機114が送信機112から受信された信号によって損傷を受けないように、電力を低減するために減衰器が挿入され得る。この実施形態では、レーダモジュール108の内部ループは、小さい初期最小パルス幅(例えば、5ナノ秒以下、例えば1ns、2ns、3ns、4ns、もしくは5nsなど、または10ナノ秒以下のパルス幅)を使用し、公称最大信号振幅が達成されるまで初期パルス幅を小さい増分(例えば、約2波長、例えば、約1nsまたは約2ns)だけ反復的に増加させることによって測定される。公称最大信号振幅が達成されたことは、任意の適切な方法で決定され得る。例えば、公称最大信号振幅は、パルス幅の2回の反復する段階的増加が行われた後に、(レーダモジュールの内部ループを介して送信されたパルスからの)リターン電圧が増加しない(または閾値量、例えば約0.3dB未満だけ増加する)ことに応答して、達成されたとみなされ得る。
【0034】
ステップs208において、決定されたパルス幅は、例えばレーダモジュール108のメモリに記憶される。
【0035】
ステップs210において、レンジウォーク長が決定または選択される。これは、例えば、レーダコントローラ116によって実行され得る。
【0036】
この実施形態では、レンジウォーク長は、テストレンジ104の長さに沿った方向におけるターゲット102の長さ(図1では参照記号Lで示される)、およびパルス幅(ステップs206で決定される)の一方または両方に基づく。例えば、レンジウォーク長は、以下のように決定され得る。
R=L+2p+A (式1)
ここで、以下の通りである。
R=レンジウォーク長、
L=ターゲットのスイープされた長さ(ターゲットがその幾何学的重心が回転中心にある状態で配置されず、オフセットロケーションに配置される場合、ターゲットは、回転されると、より大きい長さをスイープアウトする)、
=パルス幅(項2pは、ターゲット102の前後のパルス幅距離に対応する)、
A=マルチパスリターン、すなわちターゲット102上の複数のロケーションの散乱から生じるレーダリターンを考慮するための追加の距離。この追加の長さAは、ターゲット102の長さに依存し得る(例えば、ターゲット102の長さの約50%)。
【0037】
ステップs212において、決定されたレンジウォーク長(例えば、決定されたサンプル長およびサンプルの数)は、例えば、レーダモジュール108のメモリに記憶される。
【0038】
ステップs214において、レーダモジュール108の基準パルスが測定される。
【0039】
この実施形態では、レーダコントローラ116は、ステップs204およびs206においてそれぞれ決定された特定の周波数およびパルス幅を有する基準パルスを送信するようにレーダ送信機112を制御する。レーダ送信機112の出力は、レーダ受信機114にループバックされる。換言すれば、信号がレーダアンテナ110から送信されることなく、レーダモジュール108の内部ループを使用してインパルスが測定される。
【0040】
いくつかの実施形態では、レーダ受信機114を保護し、アナログデジタル(A2D)変換器の飽和を防止するために、減衰器が内部ループに挿入される。
【0041】
ステップs216において、測定された基準パルスは、例えば、レーダモジュール108のメモリに記憶され得る。
【0042】
ステップs218において、測定された基準パルスは正規化される。この実施形態では、正規化された基準パルスは、パラメータp(t)を定義し、これは、以下でより詳細に後述するように、後処理で使用される。正規化は、例えば、レーダ信号プロセッサ118によって実行され得る。正規化は、例えば、測定された基準パルスの定義された上昇パーセンタイルと下降パーセンタイルとの間の中間点を使用して基準パルスの中心を計算することと、例えば、虚数成分がパルス中心において0になるように、測定された基準パルスの位相を回転させることと、任意選択的に、リングダウンが存在する領域において基準パルスの終わりをウィンドウ処理/フィルタリング除去する(すなわち、除去する)こととを備え得る。
【0043】
この実施形態では、測定された基準パルスの位相は、(例えば、0に)正規化される。また、この実施形態では、測定された基準パルスの大きさは、(例えば、1に)正規化される。
【0044】
この実施形態では、測定された基準パルスは、後のデコンボリューション段階(以下でより詳細に後述するステップs226を参照)に備えて処理される。
【0045】
ステップs220において、正規化された基準パルスp(t)は、例えば、レーダモジュール108のメモリに記憶される。
【0046】
ステップs222において、レーダモジュール108は、較正ターゲットを測定する。この実施形態では、較正ターゲットの「レンジウォーク」測定が実行される。
【0047】
図4aおよび図4bは、ステップs222で実行される較正ターゲット400の測定を例示する概略図(正確な縮尺でない)である。この実施形態では、較正ターゲットは、レーダパルスのシーケンスを使用して測定される。図4aは、レーダパルスのシーケンス内の第1のパルスを例示し、図4bは、パルスのシーケンス内の第2のパルスを例示し、第2のパルスは、シーケンス内で第1のパルスに後続している。
【0048】
この実施形態では、レーダコントローラ116は、較正ターゲット400に送信されることになるパルス402の適切な波形を決定および生成する。この実施形態では、送信されることになるパルス402は、ステップs206で決定されたパルス幅pに等しいパルス幅を有する。決定されたレンジウォーク長Rは、サンプルの数(すなわち、シーケンス内のパルスの数)を定義し得る。レーダコントローラ116は、生成した波形をレーダ送信機112に送信する。レーダ送信機112は、受信した波形の電力をブーストし、エネルギーをレーダアンテナ110に送信する。レーダアンテナ110は、較正ターゲット400に向けてパルス402のシーケンスを送信する120。パルス402は、ステップs204で決定または選択された特定の周波数で送信される。較正ターゲットは入射パルス402を反射する122。反射されたパルスは、レーダアンテナ110に入射する。レーダ受信機114は、反射されたレーダエネルギーに対応する信号をレーダアンテナ110から収集し、それらをレーダ信号プロセッサ118に転送する。
【0049】
この実施形態では、レーダ受信機114は、各パルス402の送信からそれぞれの遅延時間が経過した後に、当該パルス402についてのリターンを測定する。レーダパルス402のシーケンスについての遅延時間は変更される。これは、受信機114のタイムゲーティングを使用して達成される。特に、この実施形態では、レーダパルスのシーケンス内の各連続パルス402について、受信機114を起動/開放する前の(パルス送信からの)遅延時間は、固定時間Δtだけ増加される。
【0050】
したがって、実際には、各パルス402は、レーダアンテナ110からのそれぞれの距離(またはレンジ)で較正ターゲット400を「測定」する。換言すれば、複数のサンプルが測定され、各サンプルは、レーダモジュール108からの異なるそれぞれの距離におけるターゲット400の異なるそれぞれの部分である。そのようなサンプルまたは測定値は、図4Aおよび図4Bにおいて、斜線領域および参照番号406によって例示されている。このようにして、較正ターゲット400のダウンレンジ画像が構築される。
【0051】
以下の情報は、後述するデコンボリューションプロセスを理解するのに有用である。
【0052】
レンジウォーク測定からのリターン信号は、以下のように定義することができる。
【数2】
ここで、
【数3】
は正規化された基準パルスであり、
【数4】
は測定中のオブジェクト(単数または複数)のダウンレンジプロファイルである。測定値w(t)は、オブジェクトにわたってサンプル位置を変化させることによって、すなわち、レンジウォークを実行することによって測定することができる。オブジェクトについてのダウンレンジプロファイルを得るために、上記式(式2)を解いてh(t)を決定することができる。
【0053】
上記式(式2)は、周波数領域において解くのがより容易である傾向がある。
【0054】
畳み込み定理によって、次式となる。
【数5】
【0055】
スペクトル分割を適用すると、次式が得られる。
【数6】
ここで、
H(f)=G(h(t))、
W(f)=G(w(t))、
P(f)=G(p(t))であり、
Gは、フーリエ変換、すなわち、
【数7】
である。
【0056】
H(f)を計算すると、フーリエ変換を逆にしてh(t)を得ることができる。
【0057】
離散パルスを使用して、そのリターンが、Δtだけ分離した離散時間期間で測定され、次いで次式となる。
【数8】
ここで、h、w、およびpは、h(t)、w(t)、およびp(t)に対応する。h、w、およびpは、経時的(t=1、2、3、...)な値のシーケンスである。
【0058】
この場合、
【数9】
であり、f=0、1、2、3、...、N-1であり、
ここで、H、W、Pは、それぞれ、h、w、およびpの離散フーリエ変換であり、
Nは、シリーズの各々における離散点H、W、P、h、w、およびpの数である。
【0059】
について解くと、次式が得られる。
【数10】
【0060】
ベクトルHを計算すると、離散フーリエ変換を逆にしてh(t)を得ることができる。しかしながら、式7の分母、すなわちPは、少なくともいくつかの周波数については0である場合がある。したがって、Hは未定義であってよく、離散フーリエ変換は可逆的でなくてもよい。Pが非0である場合でも、いくつかの周波数については小さい場合がある。このような周波数においてPにノイズがある場合、このノイズは大幅に増幅されることになる。
【0061】
この問題に対処する方法がいくつかある。例として、0もしくは小さい値のPまたは未定義のHの問題に対処するために、チホノフ正則化が実行され得る。チホノフ正則化を使用すると、式7は式8となる。
【数11】
ここで、γは、選択された正の実数(以下、「正則化定数」と呼ぶ)であり、P は、Pの複素共役である。
【0062】
ここで図2のプロセスの説明に戻り、ステップs224において、正則化定数γが決定される。これは、信号プロセッサ118によって実行され得る。
【0063】
γの選択は、ノイズの最小化と減衰とのトレードオフである。γが小さすぎる場合、解は、Pが小さい周波数において非常にノイズが多くなる。これに対して、γが大きすぎる場合、すべての周波数が減衰される。
【0064】
この実施形態では、正則化定数γの値は以下のように決定される。
【0065】
最初に、測定されたレーダリターンの、オブジェクトが予想されないセクション(例えば、リーディングセクション)が、「ノイズ領域」として定義される。次いで、ノイズ領域の二乗平均平方根値を計算することによってノイズレベルが決定される。測定値のピークリターンおよび計算されたノイズレベルの両方が、信号対雑音レベルを定義するために使用される。次いで、デコンボリューションプロセス(式8によって定義される)が、γの可変値を用いて複数回実行される。最大の信号対雑音レベルに対応するγの初期値が選択される。次いで、このγの初期値は、例えば、ニュートン-ラフソン法などの適切な最適化プロセスを使用して改善または最適化されて、γの精密化された値が決定される。最適化プロセスは、例えば、実質的に最大(例えば、極大値)のSNRが達成されるまでγの値を変化させることを備え得、最大SNRに対応するγの値は、「γの精密化された値」であり得る。次いで、γの精密化された値は、図3を参照して以下でより詳細に後述するように、ターゲット102の測定値とともに使用するために、例えばレーダモジュール108のメモリに記憶され得る。
【0066】
ステップs226において、決定された精密化/最適化された正則化定数γを使用して、較正ターゲットについてダウンレンジプロファイルh(t)が決定され、すなわち、距離の関数としてのターゲットのレーダ断面積が決定される。これは、信号プロセッサ118によって実行され得る。
【0067】
この実施形態では、これは、決定された精密化/最適化された正則化定数γを使用してデコンボリューションを実行することによって実行される。より具体的には、較正ターゲットのプロファイルは、上記式8を使用してHを計算すること、およびHを周波数領域から時間領域hに変換することによって決定され、ここで、Wは、測定されたリターンwの離散フーリエ変換であり、Pは、p(pは、送信されたパルスの内部ループバックを表すものである)の離散フーリエ変換であり、γは、精密化/最適化された正則化定数であり、Δtは、連続パルスが受信機によって測定される送信からの時間の合間の時間デルタである。
【0068】
ステップs228において、いわゆる「平方メートルスケール定数」が決定される。
【0069】
この時点までのデータ処理は、生の未較正データ、すなわち、レーダモジュール108内のアナログデジタル(A2D)変換器上で測定された生の電圧を用いて実行され得る。この実施形態では、これらの電圧に定数を乗算して、電力レベルを等価平方メートルRCSレベルに変換する。
【0070】
平方メートルスケール定数は、既知の較正ターゲットに関連付けられたピークを識別し、識別されたピークにわたるエネルギーをコヒーレントに加算することによって決定され得る。「コヒーレントに加算する」という用語は、本明細書では、対応する実数部および虚数部を加算することによる、すなわち、複素数の大きさを加算することとは対照的な、複素数の加算を指すために使用され得る。次いで、平方メートルスケール定数(すなわち、較正ターゲットについての既知の較正レベルを決定するために、加算されたエネルギー値に乗算される定数)が決定される。
【0071】
ステップs230において、決定された平方メートルスケール定数は、例えば、レーダモジュール108のメモリに記憶される。
【0072】
このように、RCS測定システム100を較正するための較正プロセス200が提供される。ターゲット102を測定するときにレーダシステムを較正するための様々なパラメータが決定され、記憶される。これらのパラメータは、精密化/最適化された正則化定数γおよび平方メートルスケール定数を含む。
【0073】
図3は、ターゲット102のRCSプロファイルを決定するための方法300のある特定のステップを示すプロセスフローチャートである。この実施形態では、図3のプロセスは、図2のプロセスに続いて実行される。
【0074】
ステップs302において、ターゲット102がテストレンジ104上に設置される。この実施形態では、ターゲット102は、図1を参照してより詳細に上述したように、支持構造106に取り付けられる。
【0075】
ステップs304において、レーダモジュール108はターゲット102を測定する。この実施形態では、ターゲット102の「レンジウォーク」測定が実行される。これは、必要な変更を加えて、図2のステップs222を参照してより詳細に上述した較正ターゲットの場合と同じように実行することができる。
【0076】
この実施形態では、ターゲットの測定は、ステップs204で決定されたものと同じ特定の周波数を使用して、およびステップs206で決定されたものと同じパルス幅pを用いて行われる。
【0077】
ターゲット102の測定は、ナイキストレート(Nyquist rate)、すなわち、使用されているレーダ信号(単数または複数)のためのナイキストサンプリング基準を満たす最小サンプリングレートで行われ得る。
【0078】
ステップs306において、レーダモジュール108に対するターゲット102の相対運動、すなわち回転が補償される。この動き補償は、レーダ信号プロセッサ118によって実行される信号後処理によって実行され得る。
【0079】
この実施形態では、ターゲット102は、連続的に回転されながら測定される。したがって、所与のレンジにおける離散的リターンは、定角で測定されない場合がある。この実施形態では、この動きを考慮するために、レーダリターンデータ(直交信号またはIQ信号であり得る)が、最大離散フーリエ変換周波数によって設定された角度ステップサイズを有する固定角度グリッド上に補間される。これは、ナイキストサンプリング基準を満たすことを確実にするのに役立つ。固定角度グリッドの角度ステップサイズは、w(t)、h(t)、またはp(t)のフーリエ変換を行うことによって決定される最大周波数についてのナイキスト角度未満であり得る。代替的に、固定角度グリッドの角度ステップサイズは、(4cΔt)/Lラジアンであってもよい。固定角度グリッドの角度ステップサイズは、(4cΔt)/Lラジアン、およびw(t)、h(t)、またはp(t)のフーリエ変換を行うことによって決定される最大周波数についてのナイキスト角度の最小値であり得る。
【0080】
ステップs308において、固定角度グリッドにおける各角度について、正則化を介したデコンボリューションが実行される。これは、レーダ信号プロセッサ118によって実行され得る。
【0081】
より具体的には、この実施形態では、より詳細に上述した較正プロセス中に決定された較正パラメータ、すなわち、精密化/最適化された正則化定数γおよび平方メートルスケール定数を使用して、角度グリッドにおける補間された各離散角度に対してデコンボリューションプロセスが実行される。
【0082】
この実施形態のデコンボリューションプロセスは、上記式8を使用してHを計算することを備える。
【0083】
上記式8の右辺に平方メートルスケール定数が乗算され、較正されたスケールに値をスケーリングし得る。
【0084】
ステップs308において実行される正則化プロセスを介したデコンボリューションは、ターゲット102のダウンレンジプロファイルを生成する。
【0085】
ステップs310において、正則化プロセスを介したデコンボリューションの出力、すなわち、ターゲット102のダウンレンジプロファイルは、逆合成開口レーダ(ISAR)イメージングソフトウェアでの分析のために互換性のあるフォーマットにエクスポートされる。例えば、特定のISARイメージングソフトウェアは、周波数領域データを使用する。
【0086】
ステップs310において、ISARイメージングソフトウェアを使用して、ターゲット102のRCSシグネチャが生成される。
【0087】
このように、ターゲット102のRCSプロファイルを決定するための方法が提供される。
【0088】
上述した方法および装置は、同じ特定の周波数を有する一連のレーダパルスを使用してターゲットを測定する。この特定の周波数は、低レベルのRFIが存在する周波数である。有利なことに、これはRFIの影響を軽減するのに役立つ。また、高価で大きい増幅器およびより高い電力伝送の使用が回避される傾向がある。
【0089】
上述したシステムおよび方法は、低周波数におけるターゲットの測定を可能にするまたは改善するのに役立つ。低周波数におけるRFIは、例えば、それらのより低い周波数で動作する他の送信機の数が増加することに起因して、より高い周波数におけるRFIよりも悪化する傾向がある。
【0090】
上述したシステムおよび方法は、ターゲットの評価(例えば、航空機のミッション制限または性能の評価)を容易にするのに役立つ。また、上述したシステムおよび方法は、例えば、特定のタイプの航空機などの特定のターゲットに関して、レーダシステムの性能を評価するために使用され得る。
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
オブジェクトのレーダ断面積を測定する方法であって、
1つまたは複数のレーダパルスを前記オブジェクトに送信することと、前記1つまたは複数のパルスの各々は、所定のパルスプロファイルを有し、
前記1つまたは複数のレーダパルスの各々について、パルスリターンを測定することと、前記パルスリターンは、前記オブジェクトによって反射された前記レーダパルスであり、
前記所定のパルスプロファイルを使用して、前記測定された1つまたは複数のパルスリターンをデコンボリューションすることと、
前記デコンボリューションされた1つまたは複数のパルスリターンを使用して前記オブジェクトの前記レーダ断面積を決定することと、
を備える、方法。
[C2]
前記送信された1つまたは複数のパルスは、所定の周波数で送信される、C1に記載の方法。
[C3]
前記1つまたは複数のレーダパルスを送信するための前記周波数を決定することをさらに備え、前記周波数を前記決定することは、複数の異なる周波数における無線周波数干渉のレベルを決定するために無線周波数干渉リスニングテストを実行することと、最小レベルの無線周波数干渉が存在する周波数を前記複数の異なる周波数から選択することとを備える、C2に記載の方法。
[C4]
前記1つまたは複数のレーダパルスは、レーダアンテナによって送受信され、
前記1つまたは複数のパルスリターンを前記測定することは、前記レーダアンテナからの複数の異なる距離で前記オブジェクトを測定するために前記レーダリターンをタイムゲーティングすることを備える、
C1~3のいずれか一項に記載の方法。
[C5]
正則化定数を決定することをさらに備え、前記測定された1つまたは複数のパルスリターンを前記デコンボリューションすることは、前記決定された正則化定数を使用して実行される、C1~4のいずれか一項に記載の方法。
[C6]
前記測定された1つまたは複数のパルスリターンを前記デコンボリューションすることは、H を計算することを備え、ここで、
【数12】
であり、ここで、
は、前記オブジェクトのレーダプロファイルの離散フーリエ変換であり、
γは、前記正則化定数であり、
は、基準パルスの離散フーリエ変換であり、
は、P の複素共役であり、
Δtは、時間期間である、
C5に記載の方法。
[C7]
スケーリング定数を決定することと、H に前記スケーリング定数を乗算することとをさらに備える、C6に記載の方法。
[C8]
スケーリング定数を前記決定することは、較正プロセスを実行することを備え、
前記較正プロセスは、
前記レーダパルスを較正ターゲットに送信することと、前記較正ターゲットは、既知のレーダ断面積を有するオブジェクトであり、
前記較正ターゲットに送信された前記レーダパルスに関連付けられた較正パルスリターンを測定することと、
前記測定された較正パルスリターンのピークを識別することと、
前記識別されたピークにわたるレーダエネルギーをコヒーレントに加算することと、
前記較正ターゲットについての既知の較正レベルを達成するために前記加算されたエネルギー値に乗算される前記定数値を前記スケーリング定数として決定することと、
を備える、C7に記載の方法。
[C9]
前記正則化定数を前記決定することは、較正プロセスを実行することを備え、
前記較正プロセスは、
前記レーダパルスを較正ターゲットに送信することと、前記較正ターゲットは、既知のレーダ断面積を有するオブジェクトであり、
前記較正ターゲットに送信された前記レーダパルスに関連付けられた較正パルスリターンを測定することと、
前記較正ターゲットが位置していない前記測定された較正パルスリターンのセクションを識別することと、
前記識別されたセクションのノイズレベルを決定することと、
前記決定されたノイズレベルおよび前記測定された較正パルスリターンを使用して信号対雑音レベルを定義することと、
前記正則化定数の初期値を選択することと、
最大の信号対雑音レベルに対応する精密化された正則化定数を決定するために、前記正則化定数の前記初期値に対して最適化プロセスを実行することと、
を備え、
前記精密化された正則化定数は、前記測定されたパルスリターンの前記デコンボリューションにおいて使用される前記正則化定数である、
C5~8のいずれか一項に記載の方法。
[C10]
前記最適化プロセスは、前記正則化定数についての可変値を使用して前記測定された較正パルスリターンをデコンボリューションすることを備える、C9に記載の方法。
[C11]
前記最適化プロセスは、ニュートン-ラフソン法を実施することを備える、C9または10に記載の方法。
[C12]
前記方法は、前記1つまたは複数のパルスについてのパルス幅を決定することをさらに備え、
前記決定されたパルス幅を有する前記1つまたは複数のパルスが送信され、
前記パルス幅を決定することは、
初期パルス幅を有するレーダパルスを送信および測定することと、
公称最大信号振幅が測定されるまで、前記初期パルス幅を増分値だけ反復的に増加させることと、
前記パルス幅を、前記公称最大信号振幅に関連付けられた前記パルス幅に等しく設定することと、
を備える、C1~11のいずれか一項に記載の方法。
[C13]
前記方法は、
前記レーダパルスの前記送信中に前記オブジェクトを回転させることと、
前記測定されたパルスリターンを固定角度グリッド上に補間することと、
をさらに備え、
前記測定されたパルスリターンを前記デコンボリューションすることは、前記固定角度グリッドにおける各角度について実行される、
C1~12のいずれか一項に記載の方法。
[C14]
前記固定角度グリッドの角度ステップサイズが、最大離散フーリエ変換周波数に等しい、C13に記載の方法。
[C15]
オブジェクトのレーダ断面積を測定するためのシステムであって、
1つまたは複数のレーダパルスを前記オブジェクトに送信するように構成されたレーダ送信機と、前記1つまたは複数のレーダパルスは、所定のパルスプロファイルを有し、
1つまたは複数のパルスリターンを測定するように構成されたレーダ受信機と、前記1つまたは複数のパルスリターンは、前記オブジェクトによって反射された前記1つまたは複数のレーダパルスであり、
1つまたは複数のプロセッサと、
を備え、前記1つまたは複数のプロセッサは、
前記所定のパルスプロファイルを使用して、前記測定された1つまたは複数のパルスリターンをデコンボリューションすることと、
前記デコンボリューションされた1つまたは複数のパルスリターンを使用して前記オブジェクトの前記レーダ断面積を決定することと、
を行うように構成される、システム。
図1
図2
図3
図4A
図4B