(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】放射線架橋性基及び水分架橋性基を有するポリシロキサン
(51)【国際特許分類】
C08G 77/28 20060101AFI20240610BHJP
C08G 77/20 20060101ALI20240610BHJP
C08G 77/26 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
C08G77/28
C08G77/20
C08G77/26
(21)【出願番号】P 2022562467
(86)(22)【出願日】2020-04-14
(86)【国際出願番号】 EP2020060378
(87)【国際公開番号】W WO2021209113
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns-Seidel-Platz 4, D-81737 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュテップ,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】チン,ヒョンデ
(72)【発明者】
【氏名】カラビイク,ウフク
(72)【発明者】
【氏名】マキ,ラビー
【審査官】今井 督
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/005393(WO,A1)
【文献】特開平07-165920(JP,A)
【文献】特開平03-281536(JP,A)
【文献】特開平10-008020(JP,A)
【文献】特開平06-128379(JP,A)
【文献】特開昭54-133600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 77/00- 77/62
CAplus/Registry(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の単位からなるオルガノ(ポリ)シロキサン(A)。
R
nSiO
(4-n/2)
(I)
[式中、
nは、0、1、2又は3であり、いずれの場合も一般式(I)の全単位に基づいて、n=0の単位の割合は50mol%以下であり、n=1の単位の割合は60mol%以下であり、
Rは、R
1、-OR
2、R
u、R
S及びQから選択され、ここで
R
1は、1~18個の炭素原子を有する一価の置換又は非置換の炭化水素基を示し、
R
2
は、水素原子又は1~6個の炭素原子を有する一価の置換又は非置換の炭化水素基を示し、
R
uは、2~18個の炭素原子を有する一価の脂肪族不飽和炭化水素基を示し、
R
Sは、1~18個の炭素原子を有する一価のチオール官能化炭化水素基を示し、
Qは、式(II)の窒素官能基であり、
-CR
5R
6-NR
4R
3 (II)、
式中、
R
3及びR
4はそれぞれ独立して水素又は1~18個の炭素原子を有する置換又は非置換の炭化水素基を示し、
R
5及びR
6はそれぞれ独立して水素又はメチル基を示し、
ただし、オルガノ(ポリ)シロキサン(A)は、1分子当たり一般式(III)の少なくとも1つの単位、少なくとも1つの脂肪族不飽和基R
u及び少なくとも2つのチオール官能化基R
Sを含み、
Q-Si(OR
7)
2O
1/2 (III)
式中、R
7はR
2に対し定義された通りである。]
【請求項2】
R
uがビニル基又はアリル基である、請求項1に記載のオルガノ(ポリ)シロキサン(A)。
【請求項3】
基R
Sが3~6個の炭素原子を有する直鎖状チオアルキル基を示す、請求項1又は2に記載のオルガノ(ポリ)シロキサン(A)。
【請求項4】
-NR
4R
3単位が、ジ-n-ブチルアミノ単位、アニリノ単位、シクロヘキシルアミノ単位、及びN-モルホリノ単位から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載のオルガノ(ポリ)シロキサン(A)。
【請求項5】
一般式(I)の単位を10~400個有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のオルガノ(ポリ)シロキサン(A)。
【請求項6】
一般式(I)の全単位の少なくとも0.5mol%が、一般式(III)の単位である、請求項1~5のいずれか一項に記載のオルガノ(ポリ)シロキサン(A)。
【請求項7】
基R
uに対する基R
Sのモル比が0.3~5の間の範囲内にある、請求項1~6のいずれか一項に記載のオルガノ(ポリ)シロキサン(A)。
【請求項8】
オルガノ(ポリ)シロキサン(A)の調製方法であって、一般式(IV)のアルコキシシランを
(R
2O)
3Si-CR
5R
6-NR
4R
3 (IV)
シラノール基と脂肪族不飽和基R
u及びチオール官能基R
Sの両方とを含むポリシロキサン(V)のシラノール基と縮合させる、方法。
[式中、
R
2
は、水素原子又は1~6個の炭素原子を有する一価の置換又は非置換の炭化水素基を示し、
R
3
及びR
4
はそれぞれ独立して水素又は1~18個の炭素原子を有する置換又は非置換の炭化水素基を示し、
R
5
及びR
6
はそれぞれ独立して水素又はメチル基を示す。]
【請求項9】
請求項1~7に記載のオルガノ(ポリ)シロキサン(A)を含む水分架橋性及び放射線架橋性オルガノ(ポリ)シロキサン混合物(M)。
【請求項10】
光開始剤(B)を含む、請求項9に記載のオルガノ(ポリ)シロキサン混合物(M)。
【請求項11】
望ましくないフリー基反応を避けるための安定剤(C)を含む、請求項9又は10に記載のオルガノ(ポリ)シロキサン混合物(M)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分への暴露及び照射の両方によって架橋することができるオルガノ(ポリ)シロキサン、及びこれらのオルガノ(ポリ)シロキサンを含むオルガノ(ポリ)シロキサン混合物に関する。
【背景技術】
【0002】
これら2つの異なる架橋機構により硬化するオルガノ(ポリ)シロキサン組成物は、一般的にデュアル硬化系と呼ばれ、既に知られている。純粋な水分硬化性オルガノ(ポリ)シロキサン調製物の問題点は、これらの調製物の硬化反応の速度が表面を通る水の拡散に依存することである。ある層厚を超えると、硬化は、もはや表面で迅速に、例えば数秒以内に起こることはできず、このことは、この種の硬化性オルガノ(ポリ)シロキサン調製物が、物質の接着又は密封特性が短時間内に達成される必要がある用途での使用には適さないことを意味する。反対に、放射線硬化性のオルガノ(ポリ)シロキサン混合物には、直接放射線に曝露されるとすぐに硬化するが、陰の領域では硬化がゆっくりとしか進行しないという欠点がある。
【0003】
したがって、これらの欠点を回避するために、両方の種類の架橋を組み合わせる試みがなされてきた。
【0004】
例えば、これは、OH末端ポリシロキサンをトリアルコキシシリル官能性アクリル誘導体と反応させることによって試みられてきた。ここで、アクリル官能性単位に加えて、アルコキシ基などの加水分解性基を有するオルガノ(ポリ)シロキサン組成物について述べたWO17201229A1号が参照される。十分に迅速な水分架橋のためには、これらの系に触媒を加える必要がある。ほとんどの場合、これらはスズ化合物であるが、これは毒性学的に懸念される。
【0005】
この場合、光架橋はアクリル重合に基づくが、この目的のためにフリーラジカル誘導チオール-エン架橋を用いる努力がなされてきた。なぜならば、これはアクリル架橋よりも幾つかの利点があるからである。例えば、大気中の酸素による阻害が少なく、より均質な、張力のないネットワークが形成されることである(Hoyle,C.E.、Bowman,C.N.、Angew.Chem.122,1584(2010)、第2.1.1節を参照)。
【0006】
WO2019/005393号及びWO2019/028013号は、例として、脂肪族不飽和基を有するポリシロキサン及びチオール官能基を有するポリシロキサンの混合物(それぞれが水分架橋性アルコキシ基を有することができる)を記載する。この場合、陰の領域に架橋されていない部分の移行はないが、2つの別々のポリマーを製造するのは非常に複雑で、費用対効果を低下させる。また、架橋触媒の存在が必要であり、これは混合物の保存安定性に悪影響を及ぼす可能性がある。電子部品と接触する用途では、特に金属含有触媒はそのイオン特性のため望ましくない。
【0007】
DE4120418A1号(WA9033S Wacker Chemie GmbH;1991年6月20日発行)では、1つのポリマーに水分架橋性H-アルコキシシリル基と放射線架橋性チオアルキル及びビニル基との両方を含む、そのような系の1つが記載されている。その結果、影の領域に架橋されていない構成成分の移行はない。水分架橋の促進には、オレイン酸などの長鎖カルボン酸が触媒として十分であるが、これらは腐食性を有し、即時使用の混合物全体の保存安定性に悪影響を及ぼす。短時間の後、水素の発生は閉じた容器でも起こり、圧力が蓄積し、圧力が放出されると可燃性ガス混合物になる。したがって、これらの混合物は安全性リスクを引き起こす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2017/201229号
【文献】国際公開第2019/005393号
【文献】国際公開第2019/028013号
【文献】独国特許出願公開第4120418号明細書
【非特許文献】
【0009】
【文献】Hoyle,C.E.、Bowman,C.N.、Angew.Chem.122,1584(2010)、第2.1.1節
【文献】WA9033S Wacker Chemie GmbH;1991年6月20日発行
【発明の概要】
【0010】
本発明は、一般式(I)の単位からなるオルガノ(ポリ)シロキサン(A)に関する。
RnSiO(4-n/2)
(I)
式中、
nは、0、1、2又は3であり、いずれの場合も一般式(I)の全単位に基づいて、n=0の単位の割合は50mol%以下であり、n=1の単位の割合は60mol%以下であり、
Rは、R1、-OR2、Ru、RS及びQから選択され、ここで
R1は、1~18個の炭素原子を有する一価の置換又は非置換の炭化水素基を示し、
R2は、水素原子又は1~6個の炭素原子を有する一価の置換又は非置換の炭化水素基を示し、
Ruは、2~18個の炭素原子を有する一価の脂肪族不飽和炭化水素基を示し、
RSは、1~18個の炭素原子を有する一価のチオール官能化炭化水素基を示し、
Qは、式(II)の窒素官能基であり、
-CR5R6-NR4R3 (II)、
式中、
R3及びR4はそれぞれ独立して水素又は1~18個の炭素原子を有する置換又は非置換の炭化水素基を示し、
R5及びR6はそれぞれ独立して水素又はメチル基を示し、
ただし、オルガノ(ポリ)シロキサン(A)は、1分子当たり一般式(III)の少なくとも1つの単位、少なくとも1つの脂肪族不飽和基Ru及び少なくとも2つのチオール官能化基RSを含み、
Q-Si(OR7)2O1/2 (III)
式中、R7はR2に対し定義された通りである。
【0011】
1分子中に水分架橋性基及び放射線架橋性基の両方を含むオルガノ(ポリ)シロキサン(A)を用いると、水分架橋に触媒を必要としない保存安定なオルガノ(ポリ)シロキサン組成物(M)を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
基R1は、好ましくは、1~18個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状の、任意に置換されていてもよいアルキル基及びアリール基であり、これらは隣接しない酸素原子に割り込まれていてもよい。
【0013】
基R1の例は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基若しくはtert-ペンチル基、n-ヘキシル基などのヘキシル基、n-ヘプチル基などのヘプチル基、n-オクチル基、2-エチル-1-ヘキシル基及び2,2,4-トリメチルペンチル基などのイソオクチル基などのオクチル基、n-ノニル基などのノニル基、n-デシル基などのデシル基、n-ドデシル基などのドデシル基、n-ヘキサデシル基などのヘキサデシル基などのアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル及びナフチル基などのアリール基、o-、m-又はp-トリル基、キシリル基、及びエチルフェニル基などのアルカリル基、ベンジル基、2-フェニル-1-プロピル基若しくはα-及びβ-フェニルエチル基などのアラルキル基である。
【0014】
置換炭化水素基R1の例は、2-メトキシ-1-エチル基、メトキシメチル基などのアルコキシアルキル基、クロロメチル基、3-クロロプロピル基、又は3,3,3-トリフルオロプロピル基などのハロアルキル基、及びアセトキシエチル基などのアシルオキシアルキル基である。
【0015】
メチル、フェニル及び3,3,3-トリフルオロプロピル基、特にメチル基が特に好ましい。
【0016】
基R2及びR7は、好ましくは、1~6個の炭素原子を有する一価の、任意に置換されていてもよいアルキル基である。基R2及びR7の例は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基又はtert-ブチル基などのアルキル基、及び2-メトキシ-1-エチル基又は2-n-ブトキシ-1-エチル基などの置換された基であり、メチル、エチル、n-プロピル、及びイソプロピル基が特に好ましく、メチル及びエチル基が特に好ましく、その毒性が低いことからエチル基が非常に特に好ましい。
【0017】
基Ruは、好ましくは、少なくとも1つの脂肪族炭素-炭素多重結合を有し、2~18の炭素原子を有する炭化水素基であり、これらはまた、置換されていてもよいし、又は隣接しない酸素原子によって割り込まれていてもよよい。
【0018】
基Ruの例は、ビニル基、アリル基、1-プロペン-1-イル基、プロパルギル基、アレニル基、n-ブタ-3-エニル基、n-ヘキサ-5-エニル基、n-ウンデク-10-エニル基、3-アリルオキシフェニル基、4-アリルオキシフェニル基、4-アリルオキシ-2-メチルフェニル基、4-アリルオキシベンジル基、4-アリルオキシフェノキシフェニル基、及びプロプ-2-インオキシ-n-プロピル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基、2-シクロヘキセニル-1-エチル基又は2-ノルボルネニルエチル基などの環内炭素-炭素多重結合を有する基である。基Ruはビニル基又はアリル基であることが好ましく、より好ましくはビニル基である。
【0019】
一価のチオール官能化基RSは、好ましくはチオール官能化炭化水素基であり、これは隣接しない酸素原子によって割り込まれていてもよく、1~18個の炭素原子及び少なくとも1つのSH基を有する。
【0020】
基RSの例は-(CH2)3SH、-(CH2)6SH、-(CH2)4CH(SH)CH3、2-(3-メルカプト-1-シクロヘキシル)-1-エチル、2-(3,4-ジメルカプト-1-シクロヘキシル)-1-エチル、(CH2)3O(CH2)3SH、-(CH2)3OCH2CH(SH)CH2SH、-(CH2)3OCH2CH(SH)CH3、-(CH2)3OOCCH2SH、-(CH2)3OOC(CH2)2SH、-(CH2)8SH、-(CH2)6CH(SH)CH3、-(CH2)7SH、-CH2SH、-(CH2)2SH、-(CH2)5CH=CH(CH2)5SH、-(CH2)5CH=CH(CH2)3CH(SH)CH3、-(CH2)5CH(SH)(CH2)4CH=CH2、-(CH2)6CH(SH)(CH2)3CH=CH2、-(CH2)6CH(SH)(CH2)3CH(SH)CH3、-(CH2)5CH(SH)(CH2)4CH(SH)CH3、-(CH2)5CH(SH)(CH2)6SH、-(CH2)6CH(SH)(CH2)6SH、1-メルカプト-4-シクロドデク-8-エニル、1-メルカプト-5-シクロドデク-8-エニル、1,6-ジメルカプト-10-シクロドデシル、1-メルカプト-2-シクロブチル、1-メルカプト-3-シクロブチル、1-メルカプト-2-シクロペンチル、1-メルカプト-3-シクロペンチル、1-メルカプト-2-シクロヘキシル、1-メルカプト-3-シクロヘキシル、1-メルカプト-4-シクロヘキシル、1-メルカプト-2-シクロヘプチル、1-メルカプト-3-シクロヘプチル、1-メルカプト-4-シクロヘプチル、1-メルカプト-2-シクロオクチル、1-メルカプト-3-シクロオクチル、1-メルカプト-4-シクロオクチル、1-メルカプト-5-シクロオクチル、1,2-ジメルカプト-4-シクロヘキシル、1-メルカプトシクロヘキス-3-エン-3-イル、1-メルカプトシクロヘキス-3-エン-4-イル、1-メルカプトシクロヘキス-2-エン-4-イル、-(CH2)3SCH2CH(SH)CH2SH、-(CH2)3S(CH2)3SH、-オルト-(CH2)3OC6H4SH、-メタ-(CH2)3OC6H4SH、-パラ-(CH2)3OC6H4SH、-オルト-(CH2)3OC6H4O(CH2)3SH、-メタ-(CH2)3OC6H4O(CH2)3SH、-パラ-(CH2)3OC6H4O(CH2)3SH、-オルト-(CH2)3C6H4SH、-メタ-(CH2)3C6H4SH、-パラ-(CH2)3C6H4SH、-オルト-C6H4SH、-メタ-C6H4SH、-パラ-C6H4SH、-(CH2)OOC(CH2)11SH及び(CH2)3OOC(CH2)9CH(SH)CH3である。
【0021】
基RSは、好ましくは、1~8個の炭素原子を有する直鎖状又は環状チオアルキル基であり、3~6個の炭素原子を有する直鎖状チオアルキル基、特に-(CH2)3SH、-(CH2)6SH及び-(CH2)4CH(SH)CH3が特に好ましい。
【0022】
一般式(II)の基Qは、その構造が特に急速な水分架橋を可能にし、これは触媒を好ましくは不要にすることができることを意味するので、特に重要である。
【0023】
基R3及びR4は、好ましくは水素であり、隣接しない酸素原子によって割り込まれていてもよい、任意に置換されている脂肪族炭化水素であり、基R3及びR4は環状構造に組み込まれることも可能であり、又は好ましくは1~8個の炭素原子を有する任意に置換されていてもよい芳香族炭化水素であってもよい。
【0024】
基R3及びR4の例は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、アリル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基又はtert-ペンチル基、n-ヘキシル基などのヘキシル基、n-ヘプチル基などのヘプチル基、n-オクチル基、2,2,3,3-テトラメチルブチル基又は2-エチル-1-ヘキシル基などのオクチル基などのアルキル基、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基などのアリール基、o-、m-又はp-トリル基、キシリル基などのアルカリル基、ベンジル基などのアルカリル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-イソプロポキシエチル基、3-メトキシプロピル基、3-エトキシプロピル基、3-イソプロポキシプロピル基、3-ブトキシプロピル基又は2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル基などの置換アルキル基、4-メトキシフェニル基などの置換アリール基、及び2-ピリジル基、N-イミダゾリル基又は2-テトラヒドロフラニル基などの複素環式芳香族基である。
【0025】
R3及びR4が環状構造の形態で存在する-NR4R3単位の例は、N-イミダゾリル基、N-ピロリル基、N-3-ピロリニル基、N-ピロリジニル基、N-ピペリジニル基、N-4-メチルピペラジニル基、N-ピロリジノニル基又はN-モルホリニル基である。
【0026】
NR4R3単位は、特に好ましくはジ-n-ブチルアミノ単位、アニリノ単位、シクロヘキシルアミノ単位又はN-モルホリノ単位であり、ジ-n-ブチルアミノ単位又はシクロヘキシルアミノ単位が非常に特に好ましい。
【0027】
基R5及びR6は水素であることが好ましい。
【0028】
本発明のオルガノ(ポリ)シロキサン(A)は、一般式(I)の単位の合計が平均して好ましくは10~400、より好ましくは10~200、特に10~100の単位からなる直鎖状、鎖形態のポリシロキサンであることが好ましい。
【0029】
一般式(I)の全単位に基づいて、n=0の単位の割合は20mol%以下であることが好ましく、特に10mol%以下である。
【0030】
一般式(I)の全単位に基づいて、n=1の単位の割合は20mol%以下であることが好ましく、特に10mol%以下である。
【0031】
一般式(I)の全単位の少なくとも0.5mol%が一般式(III)の単位であることが好ましい。
【0032】
本発明のポリシロキサン(A)中のアルコキシ基OR7の割合は、一般式(I)の全てのシロキサン単位に基づいて、好ましくは1~40mol%、2~15mol%の間、特に2~10mol%の間である。
【0033】
本発明のオルガノ(ポリ)シロキサン(A)は、好ましくは、少なくとも1つの脂肪族不飽和基Ru及び少なくとも2つのチオール官能化基RSを含む。十分な架橋密度を確保するために、放射線架橋性基Ru及びRSの濃度は、いずれの場合も一般式(I)の全てのシロキサン単位に基づいて、好ましくは1~30mol%、より好ましくは3~20mol%の間、特に5~15mol%の間の範囲内にある。基Ruに対する基RSのモル比は、好ましくは0.3~5の間、より好ましくは0.4~4の間、特に0.5~3の間の範囲内にある。
【0034】
本発明のオルガノ(ポリ)シロキサン(A)は、シリコーン化学において知られた方法によって調製することができる。一般式(IV)のアルコキシシランと、
(R2O)3Si-CR5R6-NR4R3 (IV)
脂肪族不飽和基Ru及びチオール官能化基RSの両方を含むポリシロキサン(V)のシラノール基との縮合が好ましい。このシラノール含有ポリシロキサン(V)の調製については、例えば、DE4120418A1号に記載されている。チオール官能化基RSは、好ましくは、対応するチオール官能化アルコキシシランを介してポリシロキサン骨格に組み込まれるので、ポリシロキサン(V)は、それらの調製の結果として、一般式(IV)のアルコキシシランとの縮合反応において好ましくは保持されるアルコキシ基を既に含み得る。
【0035】
好ましい実施形態において、オルガノ(ポリ)シロキサン(A)は、ポリシロキサン(V)に由来する末端単位(R
2
O)2R1SiO(1/2)を有する。オルガノ(ポリ)シロキサン(A)では、一般式(III)の単位と式(R
2
O)2R1SiO(1/2)の末端単位との比は、好ましくは20:80~90:10、より好ましくは40:60~80:20である。
【0036】
一般式(IV)のアルコキシシランの例は、N,N-ジメチルアミノメチルトリエトキシシラン、N,N-ジエチルアミノメチルトリエトキシシラン、N,N-ジイソプロピルアミノメチルトリエトキシシラン、N,N-ジエチルアミノメチルトリイソブトキシシラン、N,N-ジイソプロピルアミノメチルトリイソプロポキシシラン、N-ブチルアミノメチルトリエトキシシラン、N,N-ジブチルアミノメチルトリエトキシシラン、N-シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、N-シクロヘキシル-N-メチルアミノメチルトリエトキシシラン、N-モルホリノメチルトリエトキシシラン、N-アニリノメチルトリメトキシシラン、N-ピロリジノメチルトリエトキシシラン、1-[(トリエトキシシリル)メチル]-1H-ピロール、1-[(トリエトキシシリル)メチル]-ピペラジン、1-メチル-4-[(トリエトキシシリル)メチル]ピペラジン、1-[(トリエトキシシリル)メチル]ピペリジン、及び1-[1-(トリエトキシシリル)エチル]-2-ピロリジノンであり、N,N-ジブチルアミノメチルトリエトキシシラン、N-シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、及びN-モルホリノメチルトリエトキシシランが特に好ましい。記載した一般式(IV)のシランの混合物及び/又は部分加水分解物又は混合した部分加水分解物を単独で又は一般式(IV)のシランとの混合物で用いることもできる。
【0037】
ポリシロキサン(V)と一般式(IV)のアルコキシシランとの反応は室温かつ大気圧で行うことが好ましい。一般式(III)及び一般式(IV)のアルコキシシランの新しく生成した単位の両方が大気の水分と高い反応性を有するため、この反応は、例えば、乾燥した窒素雰囲気中で水分を排除して行うことが好ましい。ポリシロキサン(V)中に存在するシラノール基をできるだけ完全に一般式(III)の単位に変換するためには、シラノール基に対してアルコキシシラン(IV)を化学量論的に過剰に用いることが好ましい。この過剰は、好ましくは少なくとも5モル%、より好ましくは少なくとも20モル%、特に少なくとも50モル%である。反応後、必要に応じて減圧下で過剰のアルコキシシランを留去することができる。好ましくは、アルコキシシラン(IV)は混合物中に残る。過剰のアルコキシシラン(IV)が架橋速度及び水分硬化時に形成される加硫物の弾性率に影響を与えることができるようにするためには、最初から縮合反応でより高い割合のアルコキシシラン(IV)を使用し、架橋性オルガノ(ポリ)シロキサン混合物(M)中に過剰分を残すことが有利なことさえあり得る。
【0038】
混合物の粘度が非常に高く、及び/又は一般式(IV)のアルコキシシランが固体の場合には、溶媒を使用することが反応に有利であり得る。反応性を変化させる可能性のある、アルコキシシラン(IV)及びオルガノ(ポリ)シロキサン(A)のアルコキシ基の交換を避けるために、OH基のない溶媒を用いることが好ましい。アルコキシシラン(IV)中に存在するアルコキシ基の完全な又は部分的な置換が、例えば反応性を低下させるために望ましい場合、アルコール性OH基を有する溶媒を使用することができる。その結果、タイプ及びモル比、並びに時間、温度及び圧力などの反応条件を必要に応じて調整しなければならない。反応中又は反応後に、一般式(IV)のシランから放出されたアルコールは、アルコール性OH基を含む、添加された溶媒のあらゆる過剰分とともに、完全に又は部分的に留去されることが好ましい。
【0039】
溶媒の例は、例えばペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、及びイソオクタン又はその混合物などのアルカン、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、及びメシチレンなどの芳香族化合物、例えば塩化メチレン、クロロホルム、及び1,2,3-トリクロロプロパンなどのハロゲン化炭化水素、例えば酢酸ブチル及び酢酸エチルなどのカルボン酸エステル、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、メチルtert-ブチルエーテル、アニソール、及びジブチルエーテルなどのエーテル又は異なる溶媒の混合物である。アルコール性OH基を有する溶媒の例は、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、2-ブタノール、n-ペンタノール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、及びグリセロールである。
【0040】
異なるポリシロキサン(V)の混合物及び一般式(IV)のアルコキシシランの混合物の両方を互いに反応させることができる。ポリシロキサン(V)を複数のアルコキシシラン(IV)と連続的に反応させることもできる。本発明主要な利点は、ポリシロキサン(V)とアルコキシシラン(IV)との縮合反応又は水分架橋のいずれにも触媒が必要でないことである。いずれも室温で数分~数時間以内に進行する。
【0041】
本発明はまた、オルガノ(ポリ)シロキサン(A)を含む水分架橋性及び放射線架橋性オルガノ(ポリ)シロキサン混合物(M)を提供する。
【0042】
反応性が高いということは、本発明のオルガノ(ポリ)シロキサン(A)の保存中及びそれらが存在する混合物(M)において水分を排除しなければならないことを意味する。
【0043】
オルガノ(ポリ)シロキサン混合物(M)における光-架橋はフリーラジカル反応に基づく。したがって、オルガノ(ポリ)シロキサン混合物(M)は、光開始剤(B)を含むことが好ましい。本発明に有用な光開始剤は、照射されるとフリーラジカルを形成する任意の既知のタイプから選択され得る。好適な光開始剤には、UV開始剤、例えば、ベンゾフェノン及び置換ベンゾフェノン、アセトフェノン及び置換アセトフェノン、ベンジル及びそのジアルキルケタール、ベンゾイン及びそのアルキルエーテル、ジアシルホスファンオキシド、特にジベンゾイルホスファンオキシド、キサントン、及び置換キサントンが挙げられる。典型的な代表的なものは、アセトフェノン、2-エトキシ-2-メチルアセトフェノン、トリクロロブチルアセトフェノン、2-エトキシ-2-フェニルアセトフェノン、メシチルオキシド、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、キサントン、ジエトキシアセトフェノン(DEAP)、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ジエトキシキサントン、チオキサントン、3-クロロキサントン、クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、カルバゾール、N-ビニルカルバゾール、3-メチルアセトフェノン、4-メチルアセトフェノン、3-ブロモアセトフェノン、4-メチルベンゾフェノン、4-クロロベンゾフェノン、4,4-ジメトキシベンゾフェノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、アゾビスイソブチロニトリル、N-メチルジエタノールアミン-ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタール、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン(Darocur(R) 1173として知られている)、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスファンオキシド、及びこれらの組合せが挙げられる。
【0044】
光開始剤の選択は、層の厚さ/用途、照射波長、及び所望の硬化速度に依存し、また配合物の他の成分との混和性にも依存する。350nm未満のUV波長については、アルファ-ヒドロキシケトンタイプの光開始剤を用いることが好ましい。光開始剤は、それぞれの要件に最適な硬化条件を可能にする濃度で使用される。好ましい範囲は、オルガノ(ポリ)シロキサン組成物(M)の総重量に基づいて、約0.05~約5重量%、より好ましくは約0.1~約1重量%を含む。
【0045】
望ましくないフリーラジカル反応を回避するために、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、4-tert-ブチルピロカテコール、4-ニトロフェノール、及びブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)などのそのような副反応を防止する安定剤(C)を、本発明のオルガノ(ポリ)シロキサン混合物(M)に添加する。
【0046】
オルガノ(ポリ)シロキサン混合物(M)はまた、充填剤(D)を含み得、これは、未架橋混合物のレオロジー特性又は加硫物特性を最適化するために添加され得る。そのような充填剤の例は、HDK(R)などの沈降又は高度に分散したシリカ、チョーク、石英、デンプン、セルロース、適切な場合にはミクロセルロース、竹繊維、ポリエチレン繊維、及びポリアクリロニトリル粉末のような有機充填剤である。ある種の固体を加えて電気伝導度又は熱伝導度を変えることもできる。例は、カーボンブラック、グラフェン、カーボンナノチューブ、金属粉末、例えば、アルミニウム、鉄、銀、銅又は金粉末、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化鉄、ガラスビーズ、硫酸バリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、アパタイト、チタン酸バリウム、ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素又は炭化ホウ素である。また、複数の異なる充填剤を使用することも可能である。オルガノ(ポリ)シロキサン混合物(M)中のそれらの割合は、使用によって0~70%の間の範囲である。
【0047】
さらなる添加剤(E)は、例えば、色素、例えば、蛍光マーカー、例えば、Tinopal OB(BASF)、KB-140、及びKB-6002(Kustom Group)、フルオランテン、クマリン120、ピレン誘導体、及びペリレンである。接着促進剤(E)、例えば、Wacker(R)接着促進剤AMS 70、Geniosil(R)シリーズ、すなわち、GF31、GF62、GF91、GF92、GF93、GF95、及びGF96、又はエポキシ官能性化合物、例えば、Dynasylan(R) Glymo、エポキシ官能性ポリシロキサン若しくはその部分加水分解物を個々で、又は混合物として添加して、例えば、プリント基板又は金属基材へのオルガノ(ポリ)シロキサン混合物(M)の加硫物の接着性を改善することができる。
【0048】
粘度及び硬化挙動を改変し、及び加硫物の硬さも改変するために、反応性希釈剤として知られているものをオルガノ(ポリ)シロキサン混合物(M)に加えることもできる。これは、オルガノ(ポリ)シロキサン混合物(M)のオルガノ(ポリ)シロキサンと混和し、本発明の混合物の架橋により形成される加硫物の一部となるような方法で架橋過程中に反応することが好ましい。反応性希釈剤という用語自体は、この添加剤の添加が本発明のオルガノ(ポリ)シロキサン混合物(M)の粘度の低下をもたらすことを意味するのではなく、単に基本成分であるオルガノ(ポリ)シロキサン(A)が希釈されることを意味するだけである。これは経済的な理由による場合もあれば、特性プロファイルの改善に役立つためである場合もある。
【0049】
反応性希釈剤の例としては、チオール官能化アルコキシシラン、例えば、3-チオプロピルトリメトキシシラン、3-チオプロピルメチルジメトキシシラン、又はその部分加水分解物、又は他のアルコキシシランとの共部分加水分解物(他のアルコキシシランは、例えば、メチルトリメトキシシラン、n-ヘキサデシルトリメトキシシラン、若しくはビニルトリメトキシシランである)、又はチオール官能化有機架橋剤、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、若しくはトリメチロールプロパントリス(2-メルカプトアセテート)、又は一般式(IV)のアルコキシシラン若しくはその部分加水分解物若しくは共加水分解物、及び非官能性アルコキシシラン(例えば、テトラエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニリルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、n-ヘキサデシルトリメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、n-オクチルトリメトキシシラン、2,2,3,3-テトラメチルブチルトリメトキシシラン、2,2,3,3-テトラメチルブチルトリエトキシシラン)、若しくはその加水分解物若しくは部分加水分解物、シリコーン樹脂、好ましくは、架橋性アルコキシ基及び任意にビニル基及び/又はチオール基を有するもの、シリコーンオイル、好ましくは、本発明のオルガノ(ポリ)シロキサンの水分架橋と同等の条件下で水分架橋を受けるもの、例えば、WO2018/162033A1号に記載されているもの、及びDE102011081264A1号に記載されている反応性有機ポリマーである。また、水分架橋性は、陰の領域における架橋を可能にし、加硫物からの未架橋成分の不要なその後の移行を防止する。このため、本発明のオルガノ(ポリ)シロキサン(A)と同様の条件下で水分架橋可能な添加剤を用いることが好ましい。そのような反応性希釈剤は、オルガノ(ポリ)シロキサン混合物(M)中に、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下、特に10重量%以下の割合で使用される。添加された反応性希釈剤が、脂肪族不飽和基及び/又はチオール官能基の存在により放射線硬化にも関与することが可能な場合、対応する脂肪族不飽和基は、チオール官能基と化学量論的平衡にあることが好ましい。
【0050】
溶媒は、オルガノ(ポリ)シロキサン混合物(M)の個々の成分の粘度を下げる及び/又は混和性を改善するためにも使用できる。これには、ポリシロキサン(V)と一般式(IV)のアルコキシシランとの縮合の処理工程について前述したものと同じ溶媒を考えることができる。これらは、塗布後ではあるが、硬化前にほとんど蒸発することが好ましい。溶媒という用語は、全ての成分がそれに溶けなければならないことを意味するわけではない。好ましくは、溶媒は、0重量%~50重量%、より好ましくは0重量%~30重量%、特に0重量%の割合でオルガノ(ポリ)シロキサン混合物(M)に使用される。
【0051】
オルガノ(ポリ)シロキサン混合物(M)の調製のために、関連する混合物の全ての成分を任意の順序で互いに混合することができる。混合は室温で行うことが好ましい。
【0052】
オルガノ(ポリ)シロキサン混合物(M)が複数の成分から調製される場合、一般式(III)のシロキサン単位を含む成分の場合には、水分の存在下での保存はすべきではない。RS基及びRu基を含む成分の場合には、光を避けて保存すべきである。
【0053】
オルガノ(ポリ)シロキサン混合物(M)が単一成分からなる場合は、水分及び光線を排除した保存を確実に行うべきである。
【0054】
オルガノ(ポリ)シロキサン混合物(M)は、25℃で好ましくは1~100000mPa・s、より好ましくは30~5000mPa・s、特に30~1000mPa・sの粘度を有する。
【0055】
オルガノ(ポリ)シロキサン混合物(M)は、水分への曝露及び/又は照射によって架橋可能な組成物が現在まで使用されてきた全ての目的、特に被膜の製造のために使用することができる。
【0056】
本発明の混合物が被膜を製造するために塗布され得る基材の例は、電子プリント基板、マザーボード、セラミック対象物又はガラス繊維、ひいては光ファイバーをはじめとするガラス、クラフト紙又はグラシン紙などの紙、アスベストで作られたボードをはじめとする段ボール、セロファン、木材、コルク、プラスチックフィルム、例えばシリコーンフィルム、ポリエチレンフィルム又はポリプロピレンフィルム、PETフィルム、天然繊維又は合成有機繊維又はガラス繊維で作られた織布又は不織布、アルミ箔などの金属、ポリエチレン被覆クラフト紙又はポリエチレン被覆金属である。ポリエチレンが上で述べられた場合には、それはいずれの場合も、高圧、中圧又は低圧ポリエチレンを意味することができる。
【0057】
オルガノ(ポリ)シロキサン混合物(M)は、浸漬、ブラッシング、注入、噴霧、ローリング、ナイフコーティング又はスクイージーコーティングなどにより、液体物質からの被膜の製造に適した周知の任意の方法で被覆されるべき基材に塗布され得る。
【0058】
オルガノ(ポリ)シロキサン混合物(M)は電気部品又は電子部品の包埋に極めて適している。
【0059】
オルガノ(ポリ)シロキサン混合物(M)を用いて埋め込むことができる電子部品分の例は、ハイブリッド回路、例えば、電子発火、モジュール、太陽光発電機、及び他の半導体アレイである。
【0060】
好ましくは、オルガノ(ポリ)シロキサン混合物(M)は、被膜の製造、又は電気部品又は電子部品の包埋に使用する場合、紫外線により予め架橋され、加硫物上に指触乾燥した表面ができるように、照射時間を選択することが好ましい。その後加硫物の照射部の後架橋又は陰の領域での架橋は、オルガノ(ポリ)シロキサン混合物(M)に存在する一般式(III)のシロキサン単位(M)の水分架橋によって、好ましくは空気中で行われる。オルガノ(ポリ)シロキサン混合物(M)中の一般式(III)のシロキサン単位の割合が高く、相対湿度が高いほど、この架橋の速度は大きくなる。
【0061】
オルガノ(ポリ)シロキサン混合物(M)の放射線硬化は、UV光の周波数範囲で市販の照射装置で照射することにより実施することが好ましい。強度及び持続期間のような照射条件は、当業者が状況及び要件に容易に適合させることができる。この例では、mm範囲の深部硬化までの迅速なスキン形成につながる典型的な条件を記載する。しかし、それらは限定的と見なされるべきではない。
【0062】
粘度は、本発明との関連でA.Paar(ブルックフィールドシステム)製のDV 3 P回転粘度計で2.5rpmでスピンドル5を用いて23℃まで加熱した後、ISO2555に従って決定される。
【0063】
全ての粘度データは23℃の温度に関するもので、これを以下において室温ともいう。
【実施例】
【0064】
[実施例1(SH:Vi 約2.5:1のポリシロキサン(V)の調製)]
磁気的に結合させたガラスパドル撹拌機、滴下漏斗、温度計及びカラムヘッド付き還流冷却器を備えた0.5Lフランジフラスコに、ビニルメチルジクロロシラン(99%、Wacker Chemie AG)18.7gを仕込み、平均27個のジメチルシロキシ単位を有するα,ω-ジヒドロキシジメチルポリシロキサン(Wacker Chemie AG)152.2gを25~27℃で20分間かけて計量する。3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン(99%、Sigma-Aldrich)0.16gを安定剤として加え、その後混合物を100℃まで加熱し、この温度で1時間撹拌する。次に「PNCl2」(Wacker Chemie AG、平衡触媒)0.54gを加える。3-チオプロピルメチルジメトキシシラン(≧95%、Sigma-Aldrich)45gを20分間かけて透明な反応混合物に計量し、さらに「PNCl2」0.54gを加える。この混合物を100℃でさらに2時間撹拌し、80℃まで冷却し、1%塩酸30gを加え、その後15分間撹拌し、次いで脱イオン水20g中の酸化マグネシウム4gの懸濁液を加える。次いで、反応混合物を80℃で1時間撹拌し、その後、全ての揮発性物質を110℃まで1hPaで留去する。残渣を室温まで冷却した後、加圧吸引フィルターで濾過する。粘度65mPa・sの透明な液が濾液として得られる。
【0065】
生成物の組成は1H及び29Si NMRで決定した。これは以下の平均的な組成を与える。
X-Me2SiO1/2:X-MeViSiO1/2:Me2SiO2/2:MeViSiO2/2:MeSi(CH2CH2CH2-SH)O2/2=1.9:0.1:29.5:2:5.1
X=54%OH、46%OMe
【0066】
琥珀色のガラス瓶内で、室温で6か月保存した後、粘度は76mPa・sまでしか上昇しなかった。
【0067】
[実施例1a(SH:Vi 約2.5:1のポリシロキサン(V)の調製)]
実施例1を繰り返すが、1%塩酸30gの代わりに9%塩酸33gを用いる。
【0068】
同様の方法で精査を行うと、粘度が1203mPa・sの油状の液体が単離される。この液体は、NMRスペクトルによると、以下の平均的な組成を有している。
X-Me2SiO1/2:X-MeViSiO1/2:Me2SiO2/2:MeViSiO2/2:MeSi(CH2CH2CH2-SH)O2/2=1.8:0.2:116.6:6.6:16.4
X=95%OH、5%OMe
【0069】
琥珀色のガラス瓶中で、室温で5週間保存した後、ポリマーは架橋して透明なゲルを形成した。より低い残留メトキシ含有率はポリシロキサン(V)の保存安定性に不利である。
【0070】
[実施例2(SH:Vi 約1:2のポリシロキサン(V)の調製)]
磁気的に結合させたガラスパドル撹拌機、滴下漏斗、温度計及びカラムヘッド付き還流冷却器を備えた1Lの四つ首フラスコに、ビニルメチルジクロロシラン(99%、Wacker Chemie AG)18.7gを仕込み、メチルビニルシロキシ単位の割合が25mol%のα,ω-ジヒドロキシジメチルポリシロキサン(Wacker Chemie AG)47.7gを24℃で10分間かけて計量する。次に平均27個のジメチルシロキシ単位を有するα,ω-ジヒドロキシジメチルポリシロキサン(Wacker Chemie AG)104.5gを20分間かけて加える。3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン(99%、Sigma-Aldrich)0.16gを安定剤として加え、次に混合物を100℃まで加熱し、この温度で1時間撹拌する。次にトリフルオロメタンスルホン酸(Merk)0.5gを加える。3-チオプロピルメチルジメトキシシラン(≧95%、Sigma-Aldrich)22.7gを20分間かけて透明な反応混合物中に計量し、さらにトリフルオロメタンスルホン酸0.5gを加える。この混合物を100℃でさらに2時間撹拌し、80℃まで冷却し、脱イオン水46.6g中の酸化マグネシウム4gの懸濁液を添加する。次いで、反応混合物を80℃で1時間撹拌し、その後全ての揮発性物質を110℃まで1hPaで留去する。
【0071】
残渣を室温まで冷却した後、加圧吸引フィルターで濾過する。粘度473mPa・sの透明な液が濾液として得られた。
【0072】
生成物の組成は1H及び29Si NMRで決定した。これは以下の平均的な組成を与える。
X-Me2SiO1/2:X-MeViSiO1/2:Me2SiO2/2:MeViSiO2/2:MeSi(CH2CH2CH2-SH)O2/2=1.6:0.4:48.2:6.7:4
X=67%OH、33%OMe
【0073】
[実施例3(SH:Vi 約1:2のオルガノ(ポリ)シロキサン(A)の調製)]
実施例2のポリシロキサン60gをN,N-ジ-n-ブチルアミノメチルトリエトキシシラン18.6gと撹拌しながら室温で混合する。その直後に、透明混合物の1H-NMRスペクトル及び29Si-NMRスペクトルを記録する。個々のシロキシ単位のモル比を積分値から計算する。2つの末端基に対する正規化により、以下の組成が得られる。
MeO-Me2SiO1/2:MeO-MeViSiO1/2:Me2SiO2/2:MeViSiO2/2:MeSi(CH2CH2CH2-SH)O2/2:(nBu)2N-CH2-Si(OEt)2O1/2:(nBu)2N-CH2-Si(OEt)3=0.5:0.2:46.3:6:3.7:1.3:3.4
【0074】
これによると、全てのSiOH基はトリアルコキシシランと反応したが、過剰量のシラン及びメトキシ末端基は変化しないで存在する。
【0075】
[実施例4-架橋試験]
実施例3の生成物10gをテトラエトキシ部分加水分解物(Wacker TES40)1g、シリコーン樹脂(MQ樹脂803)4g、及び光開始剤Darocur(R)1173(Sigma-Aldrich、2-メチル-1-フェニル-プロパン-2-オール-1-オン)0.2gと混合する。粘度が709mPa・sの透明な混合物の一部を層厚約0.1mmでガラスボウルに注ぎ、UVチャンバー(Uvacube、Hoenle、Hgハロゲン化物ランプ、290~415nm、2000W)中でUV照射すると、15秒以内に透明な加硫物に架橋する。
【0076】
照射なしでは、混合物の表面に乾燥した粘着性のないスキンが約45分以内に空気中で形成され、試料は数時間後に完全に架橋する。
【0077】
[実施例5(SH:Vi 約1:2のオルガノ(ポリ)シロキサン(A)の調製)]
磁気的に結合させたガラスパドル撹拌機、滴下漏斗、温度計及びカラムヘッド付き還流冷却器を備えた0.5Lの三つ首フラスコに、平均420個のジメチルシロキシ単位を有するα,ω-ジヒドロキシジメチルポリシロキサン(Wacker Chemie AG、CT 6000)207.5gを仕込み、メチルビニルシロキシ単位の割合が25mol%のα,ω-ジヒドロキシジメチルポリシロキサン(Wacker Chemie AG)94.6gを加える。次にビニルメチルジクロロシラン(99%、Wacker Chemie AG)37.1gを25分間かけて計量する。3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン(99%、Sigma-Aldrich)0.3gを加え、混合物を100℃まで加熱し、この温度で約25分間撹拌する。トルエン中の「PNCl2」の10%溶液0.4gを添加し、次いで混合物を100℃でさらに2時間撹拌する。
【0078】
3-チオプロピルメチルジメトキシシラン(≧95%、Sigma-Aldrich)45gを30分間かけて透明な反応混合物中に計量し、さらに10%「PNCl2」溶液0.4gを加える。混合物を100℃でさらに2時間撹拌し、80℃まで冷却し、脱イオン水92.7g中の酸化マグネシウム7.9gの懸濁液を加える。80℃でさらに75分間撹拌を続け、次いで混合物を放冷する。静置すると、反応混合物は油相及び水相に分かれる。固体を5000rpmで遠心分離することによって油相から分離し、次いで、透明な液体を110℃まで5hPaで加熱する。
【0079】
粘度が約1500mPa・sの透明な液を単離する。生成物の組成は1H及び29Si NMRで決定する。これは以下の平均的な組成を与える。
X-Me2SiO1/2:X-MeViSiO1/2:Me2SiO2/2:MeViSiO2/2:MeSi(CH2CH2CH2-SH)O2/2=1.58:0.42:45.3:6.2:3.7
X=53%OH、47%OMe
【0080】
[実施例6a(SH:Vi 約1:2のオルガノ(ポリ)シロキサン(A)の調製)]
実施例5のポリシロキサン20gをN,N-ジ-n-ブチルアミノメチルトリエトキシシラン4.64gと撹拌しながら室温で混合する。
【0081】
[実施例6b(発明のポリシロキサン(SH:Vi約1:2を有する)の製造)]
実施例5のポリシロキサン20gを4.4gのN-シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシランと撹拌しながら室温で混合する。
【0082】
[実施例7-オルガノ(ポリ)シロキサン(A)の製造]
<7a) (SH:Vi 約1:2のポリシロキサン(V)の調製)及び2×0.01重量%のPNCl2触媒>
磁気的に結合させたガラスパドル撹拌機、滴下漏斗、温度計及びカラムヘッド付き還流冷却器を備えた2Lフランジフラスコに、ビニルメチルジクロロシラン(99%、Wacker Chemie AG)56gを仕込み、メチルビニルシロキシ単位の割合が25mol%のα,ω-ジヒドロキシジメチルポリシロキサン(Wacker Chemie AG)143g及び平均27個のジメチルシロキシ単位を有するα,ω-ジヒドロキシジメチルポリシロキサン(Wacker Chemie AG)313.5gを、それぞれ25~27℃で30分間かけて連続的に計量する。3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン(99%、Sigma-Aldrich)0.5gを安定剤として加え、次に混合物を100℃まで加熱し、この温度で1時間撹拌する。次にキシレン中の10%「PNCl2」溶液(Wacker Chemie AG、平衡触媒)0.6g(全混合物に基づいて0.01重量%に相当)を加える。3-チオプロピルメチルジメトキシシラン(≧95%、Sigma-Aldrich)68gを30分間かけて透明な反応混合物に計量し、さらに10%「PNCl2」溶液0.6gを加える。混合物を100℃でさらに2時間撹拌し、80℃まで冷却し、次いで脱イオン水140g中の酸化マグネシウム12gの懸濁液を添加する。次いで、反応混合物を75℃~80℃で75分間撹拌し、その後、全ての揮発性物質を110℃まで1hPaで留去する。残渣を室温まで冷却した後、加圧吸引フィルターで濾過する。粘度42mPa・sの透明な液が濾液として得られる。生成物の組成は1H及び29Si NMRで決定する。これは以下の平均的な組成を与える。
X-Me2SiO1/2:X-MeViSiO1/2:Me2SiO2/2:MeViSiO2/2:MeSi(CH2CH2CH2-SH)O2/2=1.74:0.26:21:3:1.7
X=39%OH、61%OMe
【0083】
<7b) 全混合物に基づき「PNCl2」を2×0.1重量%とした実施例7a)の繰返し>
同様の方法で精査すると、粘度65mPa・sの透明な液体を単離する。生成物の組成は1H及び29Si NMRで決定する。これは以下の平均的な組成を与える。
X-Me2SiO1/2:X-MeViSiO1/2:Me2SiO2/2:MeViSiO2/2:MeSi(CH2CH2CH2-SH)O2/2=1.67:0.33:27:3.8:2
X=64%OH、36%OMe
【0084】
<7c)-オルガノ(ポリ)シロキサン(A)の製造>
実施例7a)のポリマー60g(NMR分析によると、21mmol SiOH)をN,N-ジ-n-ブチルアミノトリエトキシシラン7.7g(25mmol)、ビニルトリエトキシシラン(99%、Wacker Chemie AG)11.2g(59mmol)、及び安定剤としての3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン(99%、Sigma-Aldrich)0.3gと撹拌しながら室温で混合する。その直後に、透明な混合物の1H-NMRスペクトル及び29Si-NMRスペクトルを記録する。個々のシロキシ単位のモル比を積分値から計算する。2つの末端基に対する正規化により、以下の組成が得られる。
MeO-Me2SiO1/2:MeO-MeViSiO1/2:Me2SiO2/2:MeViSiO2/2:MeSi(CH2CH2CH2-SH)O2/2:(nBu)2N-CH2-Si(OEt)2O1/2:ViSi(OEt)2O1/2:(nBu)2N-CH2-Si(OEt)3:ViSi(OEt)3=1.1:0.1:27:3.3:1.7:0.6:0.2:0.2:2=>60%MeO、30%DBA-DEO、10%Vi-DEO.
【0085】
これによると、全てのSiOH基はトリアルコキシシランと反応したが、過剰量のシラン及びメトキシ末端基は変化しないで存在する。空気中(23℃/相対湿度50%)では、ポリマーは数時間以内に架橋し、ゲル様加硫物を形成する。UVチャンバー(Uvacube、Hoenle、Hgハロゲン化物ランプ、290~415nm、2000W)におけるUV照射の際、1重量%のDarocur 1173を含むポリマーの混合物は、15秒以内に透明な加硫物に架橋する。
【0086】
<実施例6のポリマーの架橋>
1重量%の2-メチル-1-フェニル-プロパン-2-オール-1-オン(Darocur 1173)、又は1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Omnirad 184)、又はベンゾフェノン(Omnirad BP Flakes)、又は2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Omnirad BDK)(全ての光開始剤は、IGM、ノースカロライナ州から市販されている)を実施例6a又は6bのシロキサンに添加する。粘度1000mPa・s未満の無色透明の油状の混合物を、ドクターブレード(Byk Inc.製)を用いてポリエステルフィルムに層厚0.1mmで塗布する。次に、被覆されたポリエステル基材を空気の存在下で照射する。光開始剤にかかわらず、被膜はUVチャンバー(Hoenle製のUvacube 2000、ハロゲン化水銀金属(Fランプ)光源1000mJ/cm2を装備、波長範囲290nm~415nm)で30秒間の紫外線照射後に完全に硬化し、乾燥表面を形成する。別の試料を空気(相対湿度50%、23℃)の存在下及び光を排除した状態で同様にShore硬度測定用の鋳型に静置すると、40分未満でスキン形成(粘着なし)が起こる。UV架橋の直後、加硫物のShore OO硬度は50であり、その後、23℃及び50%相対湿度で1週間加硫物を保存した後、水分架橋は最大65に達する。
【0087】
<保存試験>
Omnirad BDK又はベンゾフェノンをそれぞれ1重量%含有するポリマー6a)及び6b)の混合物は、光を排除した閉鎖容器中で、70℃で2週間保存後、未変化のUV架橋挙動及び水分架橋挙動を示す。
【0088】
被覆されたプリント基板上での接着性の自動試験のために、Wackerの1% Elastosil(R)カラーペーストFL UV蛍光色素を適切な配合物に配合する。
【0089】
<試験>
上記の実施例を、市販のプリント基板(Uxcell(R) 3cm×7cm FR-4)を用いて試験する。これらの回路基板は、両面に錫を印刷した試作品である。被覆前に、50μlのフラックス(NC265LR)を塗布し、試験表面上で一晩乾燥させた。シロキサンP2及びPIを上記のように混合し、次いで、塗布した被膜をまずUV光で硬化させ、試料を大気湿度下で4日間保存して、完全に硬化させる。完全に硬化したプリント基板を、熱及び湿度(85℃/85%RH、2週間)の点から試験する。熱安定性(150℃、2週間)及び温度変化(1000時間-40℃/140℃)も試験する。これらの試験の後、接着性を、基板への被膜の接着性を決定するためのロバストな方法であるASTM3359-09規格クロスハッチ法に従って評価する。これは、メスで完全に硬化した被膜を基板表面までグリッドパターンで切断することによって行う。次に規格の粘着テープを加硫物表面に貼り付け、剥がす。次に、ASTM3359-09に記載されている絵表示に基づいて残っている四角形の数に従って、接着性を評価/定量化する。その結果を下表に示す。上記実施例を用いた試作板の試験では、接着促進剤を添加しなくても優れた接着性が認められ、加硫物強度及び接着性の安定性にも優れていた。その結果を表1に示す。
【0090】