(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】家具キャビネットに対して相対的に可動に支持された家具部分を動かすための家具駆動装置
(51)【国際特許分類】
E05F 1/14 20060101AFI20240610BHJP
E05D 3/16 20060101ALI20240610BHJP
A47B 49/00 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
E05F1/14 A
E05D3/16
A47B49/00 502D
(21)【出願番号】P 2022563397
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(86)【国際出願番号】 AT2021060110
(87)【国際公開番号】W WO2021212159
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-11-22
(32)【優先日】2020-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ガーベル
(72)【発明者】
【氏名】マルセル シュナイダー
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/192819(WO,A1)
【文献】独国実用新案第202010005934(DE,U1)
【文献】独国実用新案第212017000269(DE,U1)
【文献】国際公開第2020/003790(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102011077990(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D3/16
E05F1/10-1/14
A47B49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具キャビネット(2)に対して相対的に可動に支持された家具部分(3)
を動かすための家具駆動装置(1)であって、
-前記家具キャビネット(2)の家具板(5)表面にまたは家具板(5)内部に配置可能なケーシング(4)と、
-前記可動の家具部分(3)を取り付けることができる、前記ケーシング(4)に対して相対的に可動に支持された少なくとも1つの作動アーム(6)であって、前記ケーシング(4)は端面(7)を有しており、前記少なくとも1つの作動アーム(6)は、少なくとも1つの相対位置(8)で前記端面から突出する作動アーム(6)と、
-前記少なくとも1つの作動アーム(6)に力を加えることができる少なくとも1つのばね装置(9)と、
-前記少なくとも1つのばね装置(9)から前記少なくとも1つの作動アーム(6)に加えることができる力を設定するための少なくとも1つの設定装置(10)と、
-前記少なくとも1つの設定装置(10)によって実施可能な力設定を表示することができる少なくとも1つの表示装置(11)と、
を含み、
前記少なくとも1つの表示装置(11)は、前記少なくとも1つの設定装置(10)とは別個に形成されており、前記ケーシング(4)が前記端面(7)を除いて完全に前記家具キャビネット(2)の前記家具板(5)内に配置されている、前記家具駆動装置(1)の組付け位置(12)において、
視覚的に読み取り可能であ
り、
前記ケーシング(4)は、前記家具駆動装置(1)の内部に面した少なくとも1つの側面(15)を有しており、前記少なくとも1つの表示装置(11)の少なくとも一部は、前記家具駆動装置(1)の内部に面した前記少なくとも1つの側面(15)に配置されている
ことを特徴とする、家具駆動装置(1)。
【請求項2】
前記家具部分(3)は、水平の軸を中心として、前記家具キャビネット(2)に対して相対的に旋回可能な家具フラップである、請求項1記載の家具駆動装置(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの表示装置(11)は、前記家具駆動装置(1)の前記組付け位置(12)において、少なくとも、前記少なくとも1つの作動アーム(6)が前記ケーシング(4)の前記端面(7)から突出している相対位置(8)で
視覚的に読み取り可能である、請求項1
または2記載の家具駆動装置(1)。
【請求項4】
前記ケーシング(4)の前記端面(7)には少なくとも1つの開口(14)が配置されていて、前記少なくとも1つの表示装置(11)は、少なくとも所定の領域で前記ケーシング(4)の内部に配置されていて、前記少なくとも1つの開口(14)から前記ケーシング(4)の内部を見た場合に読み取り可能である、請求項1から
3までのいずれか1項記載の家具駆動装置(1)。
【請求項5】
前記ケーシング(4)は、互いに離隔された2つの側面(15)を有しており、前記側面は互いに実質的に平行に、かつ前記ケーシング(4)の前記端面(7)に対してそれぞれ横方向に配置されており、前記少なくとも1つの表示装置(11)は、少なくとも所定の領域で、前記2つの側面(15)の間にまたは前記2つの側面(15)の間の内法幅(16)内に配置され
ている、請求項1から
4までのいずれか1項記載の家具駆動装置(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの表示装置(11)は少なくとも部分的に前記少なくとも1つの設定装置(10)に配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の家具駆動装置(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの表示装置(11)は、前記少なくとも1つの設定装置(10)の、前記端面(7)に面した側に配置されている、請求項6記載の家具駆動装置(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの表示装置(11)は、前記端面(7)と前記少なくとも1つの設定装置(10)との間に配置されている、請求項7記載の家具駆動装置(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの表示装置(11)は、少なくとも1つの目盛り(17)と、前記目盛りに対して相対的に可動な少なくとも1つの指針(18)とを含んで
いる、請求項1から
8までのいずれか1項記載の家具駆動装置(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの目盛り(17)は、前記家具駆動装置(1)の少なくとも一部に刻み込まれていて、または前記家具駆動装置(1)の少なくとも一部の上に接着されている、請求項9記載の家具駆動装置(1)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの指針(18)は、前記少なくとも1つのばね装置(9)から前記少なくとも1つの作動アーム(6)に加えることのできる力を設定する際に、前記少なくとも1つの目盛り(17)に対して相対的に可動である、請求項9または10記載の家具駆動装置(1)。
【請求項12】
前記少なくとも1つのばね装置(9)から前記少なくとも1つの作動アーム(6)に加えることのできる力の設定は、前記少なくとも1つの目盛り(17)に対する前記少なくとも1つの指針(18)の相対位置(28a,28b)によって視覚的に読み取り可能である、請求項9から11までのいずれか1項記載の家具駆動装置(1)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの目盛り(17)は
、少なくとも1つのフィルム(19)に配置され
ている、請求項
9から12までのいずれか1項記載の家具駆動装置(1)。
【請求項14】
前記フィルム(19)は、透明である、請求項13記載の家具駆動装置(1)。
【請求項15】
前記ケーシング(4)は、少なくとも1つのケーシング開口(20)を有しており、前記ケーシング開口には、前記少なくとも1つのフィルム(19)が取り付け可能であってまたは取り付けられており、前記目盛り(17)は、前記少なくとも1つのフィルム(19)の、前記少なくとも1つの設定装置(10)に面した側に配置されている、請求項13または14記載の家具駆動装置(1)。
【請求項16】
前記ケーシング(4)は、少なくとも1つの側面(15)に、前記少なくとも1つのケーシング開口(20)を有している、請求項15記載の家具駆動装置(1)。
【請求項17】
前記少なくとも1つの目盛り(17)は、前記ケーシング(4)に対して相対的に可動な少なくとも1つの指針(18)に配置されており、少なくとも1つのマーキング(21)が、前記家具駆動装置(1)の少なくとも一部に設けられており、前記少なくとも1つの指針(18)は、前記少なくとも1つのばね装置(9)から前記少なくとも1つの作動アーム(6)に加えることのできる力を設定する際に、前記少なくとも1つのマーキング(21)に対して相対的に可動であって、かつ/または前記少なくとも1つのばね装置(9)から前記少なくとも1つの作動アーム(6)に加えることのできる力の設定は、前記少なくとも1つの指針(18)に対する前記少なくとも1つのマーキング(21)の相対位置(28a,28b)によって
視覚的に読み取り可能である、請求項
9から
16までのいずれか1項記載の家具駆動装置(1)。
【請求項18】
前記少なくとも1つの指針(18)は
、薄板(18a)の形態で、また
は線材(18b)の形態で形成されて
いる、請求項
9から
17までのいずれか1項記載の家具駆動装置(1)。
【請求項19】
前記少なくとも1つの指針(18)は、打ち抜かれた薄板(18a)の形態で形成されている、請求項18記載の家具駆動装置(1)。
【請求項20】
前記少なくとも1つの指針(18)は、拡大部(22)を備えた線材(18b)の形態で形成されている、請求項18記載の家具駆動装置(1)。
【請求項21】
前記少なくとも1つの指針(18)は、実質的に並進的に可動または回転可能である、請求項9から20までのいずれか1項記載の家具駆動装置(1)。
【請求項22】
前記少なくとも1つの設定装置(10)は
、調節装置(23)を有しており、前記調節装置(23)を介して、前記少なくとも1つのばね装置(9)から前記少なくとも1つの作動アーム(6)に加えることができる力の設定を調節することができる、請求項1から
21までのいずれか1項記載の家具駆動装置(1)。
【請求項23】
前記少なくとも1つの設定装置(10)は、工具受容部(23a)の形態の調節装置(23)を有している、請求項22記載の家具駆動装置(1)。
【請求項24】
前記少なくとも1つの表示装置(11)は、少なくとも1つの係止手段(24)を有しており、前記少なくとも1つの係止手段(24)は、少なくとも1つの受容手段(25)に係止可能であってまたは係止され
ている、請求項
22または23記載の家具駆動装置(1)。
【請求項25】
前記少なくとも1つの表示装置(11)は、前記少なくとも1つのばね装置(9)から前記少なくとも1つの作動アーム(6)に加えることのできる力の、前記少なくとも1つの設定装置(10)による設定を、所定の変換比で変換することができる変換部(29)を有している、請求項24記載の家具駆動装置(1)。
【請求項26】
前記変換比は、少なくとも2:1の変換比である、請求項25記載の家具駆動装置(1)。
【請求項27】
前記少なくとも1つの表示装置(11)の前記少なくとも一部は、少なくとも1つの目盛り(17)および/または少なくとも1つのマーキング(21)の形態で設けられて
いる、請求項
26記載の家具駆動装置(1)。
【請求項28】
前記少なくとも1つの表示装置(11)は、前記少なくとも1つの目盛り(17)および/または前記少なくとも1つのマーキング(21)に対して相対的に可動な、少なくとも1つの指針(18)を含む、請求項27記載の家具駆動装置(1)。
【請求項29】
前記指針(18)は、前記家具駆動装置(1)の内部に面した2つの側面(15)の間に配置されている、請求項28記載の家具駆動装置(1)。
【請求項30】
家具(26)であって、家具キャビネット(2)と、前記家具キャビネット(2)に対して相対的に可動に支持された少なくとも1つの家具部分(3
)を有している家具(26)において、
前記家具(26)は、請求項1から
29までのいずれか1項記載の少なくとも1つの家具駆動装置(1)を有しており、前記家具キャビネット(2)は
、少なくとも1つの家具板(5)を有しており、前記少なくとも1つの家具駆動装置(1)のケーシング(4)は、前記家具板(5)表面にまたは前記家具板(5)内部に配置されており、前記少なくとも1つの家具部分(3)は、前記少なくとも1つの家具駆動装置(1)の少なくとも1つの作動アーム(6)に取り付けられていてまたは取り付け可能で
ある
ことを特徴とする家具(26)。
【請求項31】
前記家具部分(3)は、前記家具(26)の使用位置(27)で、水平の軸(30)を中心として前記家具キャビネット(2)に対して相対的に旋回可能な家具フラップである、請求項30記載の家具(26)。
【請求項32】
前記家具板(5)は、垂直に配置されている、請求項30または31記載の家具(26)。
【請求項33】
前記少なくとも1つの家具部分(3)は、前記少なくとも1つの家具駆動装置(1)によって、前記家具キャビネット(2)に対して相対的に可動である、請求項30から32までのいずれか1項記載の家具(26)。
【請求項34】
前記少なくとも1つの家具駆動装置(1)の前記ケーシング(4)は、端面(7)を除いて完全に、前記家具キャビネット(2)の前記少なくとも1つの家具板(5)内に配置されている、請求項30から33までのいずれか1項記載の家具(26)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具キャビネットに対して相対的に可動に支持された家具部分を、特に水平の軸を中心として家具キャビネットに対して相対的に旋回可能な家具フラップを動かすための家具駆動装置であって、
-家具キャビネットの家具板表面にまたは家具板内部に配置可能なケーシング、
-可動の家具部分を取り付けることができる、ケーシングに対して相対的に可動に支持された少なくとも1つの作動アームであって、ケーシングは端面を有しており、少なくとも1つの作動アームは、少なくとも1つの相対位置で端面から突出する作動アーム、
-少なくとも1つの作動アームに力を加えることができる少なくとも1つのばね装置、
-少なくとも1つのばね装置から少なくとも1つの作動アームに加えることができる力を設定するための少なくとも1つの設定装置、および
-少なくとも1つの設定装置によって実施可能な力設定を表示することができる少なくとも1つの表示装置
を含んでいる家具駆動装置に関する。
【0002】
さらに本発明は、家具キャビネットと、家具キャビネットに対して相対的に可動に支持された少なくとも1つの家具部分、好ましくは、家具の使用位置で、水平の軸を中心として家具キャビネットに対して相対的に旋回可能な少なくとも1つの家具フラップとを有している家具に関する。
【0003】
このような家具駆動装置は、独国実用新案第202010005934号明細書により既に公知であり、この家具駆動装置では、ケーシングの開口を介して、作動アームの力設定を読み取ることができる。この場合、開口は、ケーシングの側面に配置されている。設定装置を介して力設定を操作することができる。家具駆動装置は、家具の家具キャビネットの家具板の内面に配置されている。
【0004】
従来技術の欠点は、家具キャビネットの家具板の内側において家具駆動装置を使用する場合、家具駆動装置の組付け作業者および/または操作者が、力設定に関する情報を生成することができないことにある。さらにこの場合、家具駆動装置の組付け作業者および/または操作者は、力設定の変更時に変更された力設定を特定するもしくは読み取ることができない。これにより力設定の調節は十分には保証され得ず、これにより家具駆動装置および/または家具の使用時の快適性が減じられる。これにより、力設定の精密な調節は、家具内の家具駆動装置の組付け位置では保証されない。しかしながら、家具板の外側に配置される露出した家具駆動装置によっては、一方では家具の収納スペースが減じられ、他方では、家具キャビネットの美的外観が損なわれる。
【0005】
したがって本発明の対象となる技術課題は、従来技術の欠点を少なくとも部分的に解消し、特に家具内の家具駆動装置の組込み位置における少なくとも1つの作動アームの精密に規定可能な力設定によって優れている、従来技術に対して改善された家具駆動装置、ならびに少なくともこのような家具駆動装置を備えた家具を提供することである。
【0006】
この課題は、請求項1の特徴により解決される。
【0007】
したがって本発明によれば、少なくとも1つの表示装置が、少なくとも1つの設定装置とは別個に形成されており、ケーシングが端面を除いて完全に家具キャビネットの家具板内に配置されている、家具駆動装置の組付け位置において、読み取り可能であることが想定されている。
【0008】
これにより初めて、操作者および/または組付け作業者が、家具駆動装置の組付け位置で力設定を精密に調節できることが可能となり、この場合、前方から家具キャビネットを見る視線方向により、少なくとも1つの表示装置を介して力設定が明示されるので、家具駆動装置を取り外し、改めて組み付ける必要はない。
【0009】
冒頭で述べたように、家具キャビネットと、家具キャビネットに対して相対的に可動に支持された少なくとも1つの家具部分、好ましくは、家具の使用位置で、水平の軸を中心として家具キャビネットに対して相対的に旋回可能な少なくとも1つの家具フラップとを有している家具であって、この家具は請求項のいずれか1項に記載の少なくとも1つの家具駆動装置を有しており、家具キャビネットは、好ましくは垂直に配置された少なくとも1つの家具板を有しており、少なくとも1つの家具駆動装置のケーシングは、家具板表面にまたは家具板内部に配置されており、少なくとも1つの家具部分は、少なくとも1つの家具駆動装置の少なくとも1つの作動アームに取り付けられている、または取り付け可能である家具に対しても特許請求を行う。
【0010】
「別個に」という概念は、固有の構成要素または構成群が、空間的に見て、場合によっては確かに設定装置に間接的にまたは直接的に(例えば材料接続的に)接続されている表示装置であると認められるが、これらの表示装置は、機能的には、設定装置によって行われる力設定の視覚化もしくは読み取り可能性のために働き、したがって力設定とは機能的に相互作用を有していない、というように説明することができる。
【0011】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項に規定されている。
【0012】
本発明の有利な構成によれば、少なくとも1つの表示装置は、家具駆動装置の組付け位置において、少なくとも、少なくとも1つの作動アームがケーシングの端面から突出している相対位置で読み取り可能であることが想定されている。
【0013】
これにより、少なくとも1つのばね装置から少なくとも1つの作動アームに加えることができる力の設定が、少なくとも1つの作動アームの少なくとも1つの相対位置で、ケーシングの端面を介して快適に読み取り可能となる。これは、使用者にとって容易な力設定の調節のために、重要な意味をもつ。
【0014】
有利には、少なくとも1つの表示装置は、少なくとも1つの作動アームがケーシングの端面から突出する相対位置でケーシングの外側に配置されている少なくとも1つの作動アームの領域に、好ましくは少なくとも1つの作動アームの内側に、少なくとも部分的に配置されていることが想定されている。
【0015】
少なくとも1つの作動アームは少なくとも1つの作動アーム開口を有しており、少なくとも1つの表示装置は、少なくとも1つの作動アームがケーシングの端面から突出している相対位置で、少なくとも1つの作動アーム開口から読み取り可能であると有利であることが実証されている。
【0016】
少なくとも1つの表示装置を少なくとも1つの作動アームに配置することにより、少なくとも1つの表示装置は、少なくとも1つの相対位置で特に良好に、ケーシングの端面から突出することができ、この場合、操作者および/または組付け作業者にとって力設定の読み取りが容易になり、かつ/または家具駆動装置の美しい外観を向上させることができる。
【0017】
本発明の有利な実施形態によれば、ケーシングの端面には少なくとも1つの開口が配置されていて、少なくとも1つの表示装置は、少なくとも所定の領域でケーシングの内部に配置されていて、少なくとも1つの開口からケーシングの内部を見た場合に読み取り可能であることが想定されている。
【0018】
少なくとも1つの開口により、ケーシングの内部における力設定の読み取りが可能となり、この場合、コンパクトな家具駆動装置を保証することができる。
【0019】
ケーシングは、互いに離隔された2つの側面を有しており、これらの側面は互いに実質的に平行に、かつケーシングの端面に対してそれぞれ横方向に配置されており、少なくとも1つの表示装置は、少なくとも所定の領域で、2つの側面の間にまたは2つの側面の間の内法幅内に配置されていると有利であることが実証されている。
【0020】
これにより、少なくとも1つの表示装置は、汚染から保護され、かつ/または家具内に組み込む際に剥離から保護されるという有利な効果が得られる。
【0021】
しかしながら一般的に、少なくとも1つの表示装置は、少なくとも1つの開口からケーシングの外部領域へと突出していてもよい。
【0022】
有利な変化態様では、少なくとも1つの表示装置が少なくとも部分的に少なくとも1つの設定装置に配置されており、この場合好ましくは、少なくとも1つの表示装置は、少なくとも1つの設定装置の、端面に面した側で、特に好ましくは端面と少なくとも1つの設定装置との間に配置されている。
【0023】
少なくとも1つの設定装置に少なくとも1つの表示装置を配置する構造的な構成により、少なくとも1つのばね装置から少なくとも1つの作動アームに加えることができる力の設定を、少なくとも1つの表示装置を介して読み取ることができる力設定に、特に良好に連結することができる。
【0024】
端面と少なくとも1つの設定装置との間に少なくとも1つの表示装置が配置されているならば、端面に対して斜めの視線方向において、少なくとも1つの表示装置を介して力設定を読み取ることができる。
【0025】
特に好適には、少なくとも1つの表示装置は、少なくとも1つの目盛りと、この目盛りに対して相対的に可動な少なくとも1つの指針とを含んでおり、好ましくはこの場合、少なくとも1つの目盛りは、家具駆動装置の少なくとも一部に刻み込まれている、または家具駆動装置の少なくとも一部の上に接着されている。
【0026】
少なくとも1つの目盛りに対する少なくとも1つの指針の相対位置により、家具駆動装置の操作者および/または組付け作業者は、力設定の程度を検知することができる。
【0027】
少なくとも1つの目盛りが接着されるならば、少なくとも1つの目盛りを迅速に更新することができる。
【0028】
一般的に、目盛りは、例えば刻み込むこともでき、描くこともでき、かつ/またはケーシングの材料における隆起部により形成することもできる。
【0029】
本発明の1つの実施例では、少なくとも1つの指針は、少なくとも1つのばね装置から少なくとも1つの作動アームに加えることのできる力を設定する際に、少なくとも1つの目盛りに対して相対的に可動であって、かつ/または少なくとも1つのばね装置から少なくとも1つの作動アームに加えることのできる力の設定は、少なくとも1つの目盛りに対する少なくとも1つの指針の相対位置によって読み取り可能であることが想定されている。
【0030】
力設定により、特に少なくとも1つの設定装置を介して行われる力設定の際に、少なくとも1つの指針が少なくとも1つの目盛りに対して相対的に動かされると、力の設定を少なくとも1つの表示装置に特に良好に伝達することができ、この場合、操作者および/または組付け作業者は、少なくとも1つの表示装置を見ることにより、少なくとも1つのばね装置によって少なくとも1つの作動アームにどの程度の力が負荷されるかを検知することができる。
【0031】
本発明の好適な実施例によれば、少なくとも1つの目盛りは、好ましくは透明の少なくとも1つのフィルムに配置されており、この場合好ましくは、ケーシングは、好ましくは場合によっては設けられている少なくとも1つの側面に、少なくとも1つのケーシング開口を有しており、ケーシング開口には、少なくとも1つのフィルムが取り付け可能であってまたは取り付けられており、この場合、目盛りは、少なくとも1つのフィルムの、少なくとも1つの設定装置に面した側に配置されていることが想定されている。
【0032】
少なくとも1つのフィルムによって、少なくとも1つの目盛りを、省スペースかつ安価に、家具駆動装置に取り付けることができる。目盛りが、設定装置に面した側の方向を向いているならば、ケーシング開口から見ることにより、組付け位置における力設定を特に快適に読み取ることができる。
【0033】
本発明の有利な変化態様では、少なくとも1つの目盛りは、ケーシングに対して相対的に可動な少なくとも1つの指針に配置されており、少なくとも1つのマーキングが、家具駆動装置の少なくとも一部に設けられており、少なくとも1つの指針は、少なくとも1つのばね装置から少なくとも1つの作動アームに加えることのできる力を設定する際に、少なくとも1つのマーキングに対して相対的に可動であって、かつ/または少なくとも1つのばね装置から少なくとも1つの作動アームに加えることのできる力の設定は、少なくとも1つの指針に対する少なくとも1つのマーキングの相対位置によって読み取り可能であることが想定されている。
【0034】
マーキングは、例えば接着されていてよく、刻み込まれていてよく、描かれていてよく、かつ/または家具駆動装置の一部の隆起部によって形成されてよい。
【0035】
少なくとも1つの指針が、好ましくは打ち抜かれた薄板の形態で、または好ましくは拡大部を備えた線材の形態で形成されていると有利であることが実証されている。
【0036】
指針が薄板として形成されるならば、特に薄い家具駆動装置を形成することができ、この場合、剛性的な指針により、力設定の特に精密な表示が可能である。指針が線材として形成されているならば、広い延在、複雑なジオメトリ、および/または家具駆動装置の接近しにくい位置にわたって、力設定の表示を特に良好に生成することができ、この場合、家具駆動装置の重量を低く保つことができる。
【0037】
少なくとも1つの指針の材料は、一般的に任意である。特に好適には、指針は金属またはプラスチックから形成されている。
【0038】
さらに好適には、少なくとも1つの指針が実質的に並進運動可能または回転可能であることが想定されている。
【0039】
本発明の有利な構成によれば、少なくとも1つの設定装置は、好ましくは工具受容部の形態の調節装置を有しており、この調節装置を介して、少なくとも1つのばね装置から少なくとも1つの作動アームに加えることができる力の設定を調節できることが想定されている。
【0040】
少なくとも1つの設定装置によって、力設定を、例えば市販のドライバおよび/または六角レンチによって調節することができる。
【0041】
さらなる実施形態では、少なくとも1つの表示装置は、少なくとも1つの係止手段を有しており、少なくとも1つの係止手段は、少なくとも1つの受容手段に係止可能であってまたは係止されていることが想定されており、この場合好ましくは、少なくとも1つの表示装置は、少なくとも1つのばね装置から少なくとも1つの作動アームに加えることのできる力の、少なくとも1つの設定装置による設定を、所定の変換比で、特に好適には少なくとも2:1の変換比で変換することができる変換部を有していることが想定されている。
【0042】
係止という概念は、この文脈では、係止手段が、受容手段内にまたは受容手段表面に配置されることを意味する。
【0043】
少なくとも1つの係止手段は、力設定の調節の際に、少なくとも1つの受容手段内に係止することができ、これにより少なくとも1つの指針は、特に回転運動によって、少なくとも1つの目盛りに沿って動かされ得る。これにより、少なくとも1つの目盛りならびに少なくとも1つの指針を少なくとも1つの設定装置に配置することができるので、目盛りが配置されている別個のフィルムは不要である。
【0044】
表示装置は、力設定の設定範囲が大きい場合には特に、変換部によりコンパクトに構成することができる。
【0045】
本発明の好適な実施形態によれば、ケーシングは、好ましくは家具駆動装置の内部に面した少なくとも1つの側面を有しており、少なくとも1つの表示装置の少なくとも一部は、好ましくは家具駆動装置の内部に面した少なくとも1つの側面に配置されていることが想定されている。
【0046】
本発明の有利な構成によれば、少なくとも1つの表示装置の少なくとも一部は、少なくとも1つの目盛りおよび/または少なくとも1つのマーキングの形態で設けられていることが想定されており、この場合好ましくは、少なくとも1つの表示装置は、少なくとも1つの目盛りおよび/または少なくとも1つのマーキングに対して相対的に可動な、好ましくは家具駆動装置の内部に面した2つの側面の間に配置された少なくとも1つの指針を含むことが想定されている。
【0047】
側面に配置された少なくとも1つの目盛りおよび/またはマーキングによって、家具駆動装置の使用者は、-細い家具駆動装置の場合には特に制限される-より大きな視野角に基づき、少なくとも1つの設定装置の力設定を、特に有利には少なくとも1つの表示装置により、家具駆動装置の前面から読み取ることができる。これは、例えば、2つの側面の間に配置された指針を介して、特に良好に実現され得る。
【0048】
例えば、フィルムを介して、少なくとも1つの目盛りおよび/または少なくとも1つのマーキングを、家具駆動装置の内部に面した側面に配置することができる。特に好適には、目盛りはフィルムを介して、家具駆動装置の外部に面した側面に配置され、この場合、少なくとも1つの目盛りは、家具駆動装置の内部の方向に向けられる。-この文脈では、内部に面した側面は、内部に面した側面が、例えばケーシングの金属面およびフィルムによって形成されてよいというように(
図7c参照)、広く理解されたい。
【0049】
側面に配置された目盛りと同様に、運動学的に逆の実施形態(
図5b参照)も可能であり、この場合少なくとも1つの目盛りは、ケーシングの2つの側面の間に配置された少なくとも1つの指針上に配置されており、少なくとも1つの指針は、少なくとも1つのマーキングに対して相対的に可動であり、この場合、少なくとも1つのマーキングは家具駆動装置の少なくとも一部に、かつ/または好ましくは家具駆動装置の内部に面した少なくとも1つの側面に配置されている。
【0050】
少なくとも1つのマーキングおよび/または少なくとも1つの目盛りは、一般的に、描かれてもよく、接着されてもよく、刻み込まれてもよく、隆起部等によって形成されてもよい。
【0051】
特に好適には、少なくとも1つの家具部分は、少なくとも1つの家具駆動装置によって家具キャビネットに対して相対的に可動である。
【0052】
これにより家具部分の開放および/または閉鎖が可能となり、この場合、家具キャビネットに対して相対的な家具部分の特に両方向の運動が特に好適である。
【0053】
本発明の好適な実施例によれば、少なくとも1つの家具駆動装置のケーシングは、端面を除いて完全に家具キャビネットの少なくとも1つの家具板内に配置されていることが想定されている。
【0054】
従来技術では、家具への家具駆動装置の組付けの際に、家具駆動装置は家具板に配置される。少なくとも1つの家具板内に家具駆動装置を組み込むことにより、より大きな収納スペースおよび/またはコンパクトかつ美しい外観の家具が得られ、この場合、少なくとも1つの家具板内側の家具駆動装置の組込み位置においても、少なくとも1つの作動アームの少なくとも相対位置で、力設定の読み取りが保証される。
【0055】
本発明のさらなる詳細および利点を、図面の説明につき、図面に示した実施例に関して以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】好適な実施例による家具駆動装置を家具板内に備えた好適な実施例による家具を示す前方から見た斜視図、および第1の相対位置にある表示装置の拡大詳細図である。
【
図2】
図1の実施例による家具を、第2の相対位置にある表示装置の拡大詳細図と共に示す図である。
【
図3】
図2の実施例による家具を示す前方から見た別の斜視図である。
【
図4】
図1の実施例による家具を示す前方から見た別の斜視図である。
【
図5a】ケーシングの側面が取り外された状態で、第2の相対位置にある表示装置を備えた
図1の実施例による家具駆動装置を、設定装置の拡大詳細図と共に示す側方から見た図である。
【
図5b】指針上の目盛りとフィルム上のマーキングとを備えた表示装置を側方から見た概略図である。
【
図6a】
図5aの実施例による家具駆動装置を第1の相対位置で示す図である。
【
図6b】表示装置が逆にされている、
図6aによる家具駆動装置を示す図である。
【
図7a】ケーシングの両側面を備えた
図6aの家具駆動装置を、表示装置の拡大詳細図と共に示す前方から見た斜視図である。
【
図7b】ケーシングの両側面を備えた
図6aの家具駆動装置を、表示装置の拡大詳細図と共に示す前方から見た斜視図である。
【
図7c】ケーシングに配置されたフィルムを備えた表示装置の拡大詳細図である。
【
図8a】
図7aの実施例による家具駆動装置を、1つの相対位置にある表示装置の拡大詳細図と共に示す斜視図である。
【
図8b】別の相対位置にある表示装置の拡大詳細図を示す斜視図である。
【
図8c】内部に位置する輪郭を示す拡大詳細図を示す斜視図である。
【
図9】ケーシングの第2の側面が取り外された状態で、第2の相対位置にある別の好適な実施例による家具駆動装置を、表示装置の拡大詳細図と共に示す斜視図である。
【
図10a】1つの相対位置にある、両側面を備えた
図8の家具駆動装置を表示装置の拡大詳細図と共に示す前方から見た図である。
【
図10b】別の相対位置にある、両側面を備えた
図8の家具駆動装置を表示装置の拡大詳細図と共に示す前方から見た図である。
【
図11】第1の相対位置にある
図8の家具駆動装置を、設定装置の拡大詳細図と共に示す図である。
【
図12】第2の相対位置にある
図8の家具駆動装置を、設定装置の拡大詳細図と共に示す図である。
【
図13a】表示装置が配置される前の
図8の家具駆動装置を示す斜視図である。
【
図13b】
図8に対して変更された変換部を備えた、1つの相対位置にある表示装置の拡大詳細図を示す斜視図である。
【
図13c】
図8に対して変更された変換部を備えた、別の相対位置にある表示装置の拡大詳細図を示す斜視図である。
【
図14a】側面が取り外された状態で示す別の好適な実施例による家具駆動装置を側方から見た図および1つの相対位置にある表示装置の拡大詳細図である。
【
図14b】側面が取り外された状態で示す別の好適な実施例による家具駆動装置の斜視図である。
【
図14c】別の相対位置にある表示装置の拡大詳細図である。
【
図15a】
図14の家具駆動装置を、1つの相対位置にある表示装置の拡大詳細図と共に示す斜視図である。
【
図15b】別の相対位置にある表示装置の拡大詳細図である。
【
図16a】
図14の家具駆動装置を、設定装置の拡大詳細図と共に示す斜視図である。
【
図16b】設定装置に配置された表示装置を備えた表示装置の拡大詳細図を示す斜視図である。
【
図16c】設定装置に配置された表示装置を備えていない表示装置の拡大詳細図を示す斜視図である。
【0057】
図1は、家具キャビネット2を含む家具26を示しており、この家具26は家具駆動装置1を有している。家具キャビネット2は、鉛直に配置された家具板5を有していて、家具駆動装置1のケーシング4は家具板5内に配置されている。一般的に、家具駆動装置1は、家具板5表面に配置されていてもよい。
【0058】
可動の家具部分3は、見易くするために、細い線で略示されており、以下の図では示されていないが、一般的には家具駆動装置1に配置されている。家具部分3は、家具駆動装置1の作動アーム6に、取付け手段を介して取り付けられている。家具部分3は、家具キャビネット2に対して相対的に可動に支持されており、家具26の使用位置27で、水平の軸30を中心として家具キャビネット2に対して相対的に旋回可能な家具フラップとして形成されている。
【0059】
家具部分3は、家具駆動装置1によって、家具キャビネット2に対して相対的に可動である。家具駆動装置1のケーシング4は、端面7を除いて完全に家具キャビネット2の家具板5内に配置されている。
【0060】
家具駆動装置1の数、家具板5の位置、ならびに家具駆動装置1が配置されている家具板5の数および/または向きは、一般的に任意である。
【0061】
詳細な部分図では、表示装置11が明らかであり、この表示装置によって、実質的に前方から家具26への視線方向で、または端面7への実質的に垂直な視線方向で、ばね装置9から作動アーム6に加えることのできる力の力設定を読み取ることができる。表示装置11の指針18は、相対位置28aにある。
図5a~
図16において、家具駆動装置1の構成要素を詳しく説明する。
【0062】
表示装置11は、設定装置10とは別個に形成されており、ケーシング4が、端面7を除いて完全に家具キャビネット2の家具板5内に配置されている、家具駆動装置1の組付け位置12において読み取り可能である。
【0063】
図2は、表示装置11の指針18が、変更された相対位置28bにある点でのみ
図1と異なっている。この相対位置28bでは、指針18が、目盛り17に対して相対的にさらに端面7の方向にずらされているので、ばね装置9から作動アーム6に加えることのできる力の設定は、
図1(相対位置28a)におけるよりも低く選択されている。
【0064】
しかしながら一般的には、指針18が端面7により近く位置している相対位置28bも、より高い力設定を示すこともできる。このような状況は、反転された目盛り17によって考慮することができる。相対位置28a,28bは、表示装置11に関して限定的なものではなく、それぞれ異なる力設定を有する任意の数の相対位置28a,28bが可能である。
【0065】
図3は、家具板5に対する視野角が、家具板5の反対側から形成されている点でのみ
図2と異なっている。表示装置11は、垂直線に対して傾斜した視野角をなす場合、端面7の両側から読み取ることができる。
【0066】
図4は、指針18が再度、第1の相対位置28aで、目盛り17に対して相対的に位置している点でのみ
図3と異なっている。
【0067】
図5aは、家具キャビネット2に対して相対的に可動に支持されている家具部分3を動かすための家具駆動装置1を示しており、この家具駆動装置は、家具キャビネット2の家具板5表面にまたは家具板5内部に配置することができるケーシング4と、ケーシング4に対して相対的に可動に支持された、可動の家具部分3が取り付け可能な作動アーム6とを有している。
【0068】
ケーシング4は端面7を有しており、作動アーム6は、複数の相対位置8で、この端面から突出する。家具駆動装置1は、作動アーム6に力を加えることができるばね装置9と、ばね装置9から少なくとも1つの作動アーム6に加えることができる力を設定するための設定装置10と、設定装置10によって実施可能な力設定を表示する表示装置11とを有している。ばね装置9はコイルばねを有しており、このコイルばねは、コイルばねが配置されているばね保持部を示すために、短縮して図示されている。しかしながら一般的には、コイルばねは、ばね保持部の長手方向延在全体にわたって延びている。
【0069】
しかしながら一般的には、ばね装置9は、別の形式の蓄力器、例えば流体蓄力器を有していてもよく、コイルばねの使用に限定されない。ばね装置9の上側には、作動アーム6の運動を減衰するための減衰装置32が配置されている。
【0070】
表示装置11は、家具駆動装置1の組付け位置12において、少なくとも作動アーム6がケーシング4の端面7から突出している相対位置8で読み取り可能である。
【0071】
図5bは指針18を示しており、この場合、ケーシング4に対して相対的に可動の指針18には目盛り17が配置されており、指針18は、設定装置10を介して力が設定される際に、フィルム上のマーキング21に対して相対的に動かされる。表示装置11は、作動アーム6に対するばね装置9の力が低く設定されている相対位置28bに位置している。マーキング21は、一般的に、ケーシング4に刻み込まれても、描かれても、またはケーシング4の隆起部および/または凹部によって形成されてもよい。
【0072】
指針18は、ばね装置9から作動アーム6に加えることのできる力の設定の際に、マーキング21に対して相対的に可動である。ばね装置9から作動アーム6に加えることのできる力の設定は、指針18に対するマーキング21の相対位置28bにより読み取り可能である。
【0073】
図6aは、打ち抜かれた薄板18aの形態の指針18が、目盛り17に対して相対的に別の相対位置28aに配置されている点でのみ
図5aと異なっており、これにより、特に組付け状態で、端面7に対して実質的に垂直にまたは端面7に対して僅かに傾斜して見た場合に、家具駆動装置1の操作者および/または組付け作業者によるより高い力の設定を見ることができる。
【0074】
図6bは、逆の運動学が示されている点でのみ
図6aと異なっており、この場合、第2の相対位置28bは、作動アーム6に結合されたレバー機構に対するばね装置9の、
図6aと比較して同一の作用点を示している。
【0075】
図7aおよび
図7bは、家具26における組付け位置12への家具駆動装置1の組付けに特に好適な完全なケーシング4と共に、家具駆動装置1を示している。
【0076】
ケーシング4の端面7には開口14が配置されていて、薄板18aの形態の指針18は完全にケーシング4の内部に配置されていて、2つの目盛り17は、それぞれ1つのフィルム19を介して外側からケーシング4に取り付けられたので、表示装置11は所定の領域でケーシング4の内部に配置されている。表示装置11は、開口14からケーシング4の内部を見た場合に読み取り可能である。表示装置11は一般に、ケーシング4の内側に完全に配置されていてもよい。
【0077】
ケーシング4は、互いに離隔された2つの側面15を有しており、これらの側面は互いに平行に、かつケーシング4の端面7に対して横方向に配置されている。表示装置11は所定の領域で、2つの側面15の間に配置されている。一般的に、表示装置11は、完全に側面15の内法の幅16の間にまたは内法幅16内に配置されていてもよい。
【0078】
表示装置11は部分的に設定装置10に配置されており、表示装置11は、設定装置10の、端面7に面した側で、端面7と少なくとも1つの設定装置10との間に配置されている。
【0079】
図7aでは、フィルム19は透明ではなく、取付け手段によってケーシング4に固定されている。
図7bでは、目盛り17は、プラスチック製の透明のフィルム19上に、ケーシング4の両側面15に、所定の領域でケーシング開口20を介して外側から接着されている。目盛り17は、フィルム19の、設定装置10に面した側のうちの1つに配置されている。特に好適には、プラスチック製のフィルム19は、側面15のうちの少なくとも1つに外側から接着され、この場合、目盛り17は、フィルム19の接着側に配置されている。
【0080】
図7cは表示装置11を示しており、この場合、目盛り17は、両側面15のうちの一方に配置されていて、第2のケーシング開口20は、フィルム19によって少なくとも部分的に覆われていない。目盛り17は、フィルム19の接着側に配置されており、目盛り17が配置されているフィルムの領域は、接着剤が設けられないように形成されている。
【0081】
一般的に、フィルム19の特性、数、位置決めは任意である。両側で外側から2つのケーシング開口20を介して接着され、目盛り17が接着側に位置決めされている2つの不透明なプラスチックフィルムが特に好ましいことが示されている。
【0082】
図8aは、側面15の間に配置された2つの指針18を備えた表示装置11を有した家具駆動装置1を示しており、これらの指針は、所定の領域で2つのケーシング開口20を介して配置された2つのフィルム19の間の相対位置によって、ばね装置9を介して行われる作動アーム6の力設定を、外側から家具駆動装置1の端面7を見る視線方向で操作者に表示する。
【0083】
図8bおよび
図8cは、第2の相対位置28bで
図8aを示しており、この第2の相対位置28bは、ばね装置9による作動アーム6への力の負荷が減じられるように変更された力設定を示している。
【0084】
図8bでは、指針18は、結合領域で設定装置に向かって曲げられた打ち抜かれた薄板18aの形態で形成されている。しかしながら一般的には、指針18は、例えば射出成形されたプラスチックから成っていてもよい。指針18は、端面7に対して垂直の運動方向で並進運動可能である。
【0085】
図8cには、表示装置11に関連する、フィルム19によってカバーされた構成要素の位置が破線で示されている。
【0086】
表示装置11は、2つの目盛り17と、この目盛りに対して移動可能な指針18とを含んでおり、2つの目盛り17はケーシング4に接着されている。一般的に、目盛り17は、家具駆動装置1の一部に刻み込まれていてもよい。
【0087】
指針18は、ばね装置9から作動アーム6に加えることのできる力の設定の際に、目盛り17に対して相対的に可動であって、ばね装置9から作動アーム6に加えることのできる力の設定は、目盛り17に対する指針18の相対位置28a,28bによって、端面7の両側で読み取り可能である。
【0088】
図9は、表示装置11を有した家具駆動装置1を示しており、この場合、表示装置11は、複数の係止手段24を含み、これらの係止手段24は、複数の受容手段25内に係止可能である。表示装置11は、設定装置10による、ばね装置9から少なくとも1つの作動アーム6に加えることができる力の設定を、所定の変換比で変換することができる変換部29を有している。
【0089】
表示装置11は、円セグメント上に配置された目盛り17を有しており、この場合、変換部29と指針とは、設定装置による作動アーム6の力設定の際に、端面7に対して平行な平面において回転可能に形成されている。
【0090】
力設定を調節するために、設定装置10は、工具受容部23aの形態の調節装置23を有しており、この調節装置23を介して、ばね装置9から作動アーム6に加えることができる力の設定を調節することができる。
【0091】
図10aは、組み付けられた両側面15を備えた、
図9による家具駆動装置を、端面7に対して垂直方向で見た図で示している。指針18は、ばね装置9による作動アーム6への最小の力の負荷が行われる相対位置28bが示されるように、目盛り17に対して相対的に配置されている。
【0092】
図10bは、表示装置11が変更された相対位置28aに位置している点でのみ
図10aと異なっており、この場合、家具駆動装置1の操作者は、端面7に対して垂直な視線方向で、作動アーム6のより高い力設定を読み取ることができる。
【0093】
図11は、表示装置11が相対位置28aにある点でのみ
図9と異なっている。作動アーム6に対して運動学的に連結されているレバー機構に対するばね装置9の作用点は不変であるので、例えば、減じられた質量を有する変更された可動の家具部分3が存在している。したがって、家具駆動装置1の操作者もしくは組付け作業者は、家具駆動装置1を利用して可動の家具部分3を動かすことができる力を見積もることができる。
【0094】
ばね装置9は、コイルばねが配置されるばね収容部を明示するために短縮されて図示されているコイルばねを有している。しかしながらコイルばねは、一般的にはばね収容部の長手方向延在全体にわたって延びている。
【0095】
図12は、設定装置10を介して力設定が操作された点でのみ
図11とは異なっており、この場合、ばね装置9の作用点は下に向かってずらされており、設定装置を介した力設定の調節により表示装置11は相対位置28bに位置しており、これにより、可動の家具部分3を動かすための変更された力が操作者に表示される。
【0096】
作動アーム6のレバー機構におけるばね装置9の作用点は、設定装置10を介して調節することができ、この作用点は力設定ならびに表示装置による表示に関連している。設定装置10を介した力設定の変更により、作動アーム6には変更されたトルクが作用し、これにより、可動の家具部分3に作用する力は変更される。
【0097】
家具駆動装置1には、家具キャビネット2の凹部内にケーシング4を取り付けるための取付け装置31が配置されている。
【0098】
取付け装置31は、回転可能に支持された操作エレメントと、凹部の壁内に挿入することができる、かつ/または壁に押し付けることができる2つの取付けエレメントとを含む。取付け装置31には連結装置が設けられており、この連結装置によって、操作エレメントの回転運動が、2つの取付けエレメントの挿入運動および/または押し付け運動に変換可能である。操作エレメントと2つの取付けエレメントとは、ケーシング4の同じ側に、ケーシングの長手方向で互いに離隔されて配置されている。取付けエレメントの数は一般的に任意である。
【0099】
図13aは、設定装置10を備えた家具駆動装置1を示しており、この場合、表示装置11はまだ組み付けられていない。
【0100】
図13bおよび
図13cは、2つの互いに異なる相対位置28a,28bにある組み付けられた表示装置11を備えた家具駆動装置1を示している。指針18は、受容手段25を備えたディスクの形態で存在している。指針18の回転は、受容手段25と表示装置の係止手段24との相互作用により行われる。
【0101】
図9と比較して変更された変換部29が組み付けられた。工具受容部23aを介した調節装置23による力設定と、指針18による目盛り17における表示との間の変換比は、一般的に任意である。少なくとも2:1の変換比が特に良好であることが示されている。
【0102】
指針18は、変換部29に材料接続的に結合されている。
【0103】
図14aは、家具駆動装置1を示しており、この場合、表示装置11は少なくとも部分的に、作動アーム6の内側の領域に配置されている。作動アーム6は、作動アーム6がケーシング4の端面7から突出している相対位置8で、ケーシング4の外側に配置されている。見易さのために、ケーシング4の側面15は取り外されている。
【0104】
作動アーム6の詳細図では、作動アーム6が作動アーム開口13を有していることが明らかであり、この場合、表示装置11は、作動アーム6がケーシング4の端面7から突出している相対位置8で、作動アーム開口13から読み取り可能である。作動アーム開口13は、作動アーム6の両側面に配置されており、これにより、力設定は、表示装置11を介して作動アーム6の両側で読み取り可能であり、部屋の角における家具26において特に好適に使用することができる。
【0105】
線材18bの形態の指針18は、自由端部に拡大部22を有しており、指針は第1の相対位置28aに配置されている。
【0106】
図14bは、作動アーム開口13が作動アーム6の下面に配置されている点でのみ
図14aと異なっており、この場合、
図14aでは、作動アーム開口13は、作動アーム6の両側面を連続的に貫通している。一般的に、作動アーム開口13は、表示装置11を介して力設定を操作者に表示するために、作動アーム6の一方の側面にのみ、または両方の側面に、または下面に配置されていてもよい。
【0107】
一般的に、別の表示装置11が設けられていてもよく、この場合、例えば設定装置10に指針18がかつ/または目盛り17がケーシング開口20に配置されている。
【0108】
図14cには、表示装置11の詳細図が別の相対位置28bで示されており、この場合、力設定は、
図14aに示された相対位置28aに対して、設定装置10を介して変更されている。
【0109】
図15aは、家具駆動装置を示しており、この場合、作動アーム開口13は、作動アーム6の下面に配置されていて、これにより、家具26の高所に配置された家具駆動装置1の場合には特に、力設定は表示装置11を介して、操作者および/または組付け作業者が、表示装置11を介して力の設定を特に快適に読み取ることを保証している。
【0110】
しかしながら一般的には、作動アーム6の上面に作動アーム開口13が配置されていてもよく、これにより、家具26の低所に配置された家具駆動装置1の場合には特に、使用者にとって容易な力設定の検知が可能となる。
【0111】
拡大詳細図では、表示装置11の拡大部22が、+マークのより近くに指針18が位置している相対位置28aによって、ばね装置9により作動アーム6に作用する力が高められていることを示している。
【0112】
図15bは、指針18が、作動アーム開口13における別の相対位置28bに配置されている点、および力設定の検知を容易にするために、作動アーム6の下面に付加的な目盛り17が配置されている点でのみ
図15aと異なっている。
【0113】
指針18は、拡大部22を備えた線材18bの形態で存在している。一般的に、線材18bは例えば、ボーデンケーブルを含んでよい。
【0114】
図16aに示された家具駆動装置1は、可動の家具部分3を動かすための、回転軸線の周りに支持された作動アーム6と、作動アーム6に力を負荷するための、-ばねホルダに配置された-ばね装置9と、ばね装置9からの力を作動アーム6に伝達するための、-レバー機構の形態の-伝達機構とを有しており、この伝達機構は、作用点を介してばね装置9に配置されている。
【0115】
作用点は、作用点の位置を調節するために設定装置10を介して調節可能であり、作用点が変更された場合、作動アーム6には、(見易さのために図示されていない)可動の家具部分3を動かすための変更されたトルクが作用する。
【0116】
設定装置10は完全に、伝達機構と作動アーム6とは部分的に、ケーシング4の内側に配置されている。設定装置10とは別個の表示装置11が設けられており、この場合、ばね装置9の作用点の位置による作動アーム6の力設定は、表示装置11によって読み取り可能である。
【0117】
目盛り17は、作動アーム6の下面に配置されている(図面には示されていない)。一般的に、目盛り17を省略することもでき、この場合、作動アーム6の力設定は、作動アーム6に関する指針18の相対位置により示され、または作動アーム6の下面に配置された作動アーム開口13の相対位置により示され、この場合、指針18は作動アーム開口13から見える。
【0118】
表示装置11は、作動アーム6の内側に部分的に配置された指針18を含む。
【0119】
図16bは、
図16aの家具駆動装置1を示しており、この場合、設定装置10に配置された指針18に加えてさらに、目盛り17を備えたフィルム19がケーシング4に配置されており、これにより、さらなる別の表示装置11によって、力設定のさらに快適な表示が、操作者および/または組付け作業者のために実現されている。
【0120】
図16cは、設定装置10に配置された指針18を有していない
図16aの家具駆動装置1を示しており、この場合、力設定の表示はもっぱら、作動アーム6に配置された表示装置11を介して行われる。