(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】アンテナ装置及び無線通信装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 21/24 20060101AFI20240610BHJP
H01Q 5/371 20150101ALI20240610BHJP
H01Q 19/10 20060101ALI20240610BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
H01Q21/24
H01Q5/371
H01Q19/10
H01Q21/06
(21)【出願番号】P 2022571326
(86)(22)【出願日】2021-05-19
(86)【国際出願番号】 CN2021094709
(87)【国際公開番号】W WO2021233353
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-11-21
(31)【優先権主張番号】202010440048.X
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】丁 峰
(72)【発明者】
【氏名】奈 春英
(72)【発明者】
【氏名】袁 博
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第201549599(CN,U)
【文献】特開平08-181536(JP,A)
【文献】国際公開第2008/136455(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/047779(WO,A1)
【文献】特開2018-148351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 21/24
H01Q 5/371
H01Q 19/10
H01Q 21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板(1)と複数の放射器(2)と
反射パネル(4)とを備えるアンテナ装置であって、前記複数の放射器(2)のすべてが前記回路基板(1)上に位置し、前記複数の放射器(2)は少なくとも1つの放射器配列(20)を形成し、各放射器配列(20)は第1の放射器列(201)と第2の放射器列(202)とを備え、
各放射器配列(20)では、前記第1の放射器列(201)の偏波方向が前記第2の放射器列(202)の偏波方向に垂直であり、前記第1の放射器列(201)の放射器と、前記第2の放射器列(202)の放射器とは重ならず、前記第1の放射器列(201)の第1の放射器の端が、前記第2の放射器列(202)の隣接する第2の放射器の目標位置範囲に向いており、これにより、前記隣接する第1の放射器と前記第2の放射器との間のアイソレーションがアイソレーション要件を満たし、前記第1の放射器は前記第1の放射器列(201)の、いずれかの放射器で
あり、
前記反射パネル(4)には前記回路基板(1)が取り付けられ、前記反射パネル(4)と前記回路基板(1)との距離が、指定された値範囲に含まれ、
前記反射パネル(4)の箇所であって前記第1の放射器列(201)の第1の境界に対応する箇所が、第1の傾斜面(41)を形成するように前記回路基板(1)の方向に向かって曲げられ、前記第1の放射器列(201)の前記第1の境界は、前記第2の放射器列(202)から遠隔にある列境界であり、前記第1の傾斜面(41)は、前記第1の放射器列(201)が位置する部分である前記放射器配列(20)の前記第2の放射器列(202)によって放射された電磁波を反射するように構成され、
前記反射パネル(4)の箇所であって前記第2の放射器列(202)の第1の境界に対応する箇所が、第2の傾斜面(42)を形成するように前記回路基板(1)の前記方向に向かって曲げられ、前記第2の放射器列(202)の前記第1の境界は、前記第1の放射器列(201)から遠隔にある列境界であり、前記第2の傾斜面(42)は、前記第2の放射器列(202)が位置する部分である前記放射器配列(20)の前記第1の放射器列(201)によって放射された電磁波を反射するように構成される、アンテナ装置。
【請求項2】
回路基板(1)と複数の放射器(2)と反射パネル(4)とを備えるアンテナ装置であって、前記複数の放射器(2)のすべてが前記回路基板(1)上に位置し、前記複数の放射器(2)は少なくとも1つの放射器配列(20)を形成し、各放射器配列(20)は第1の放射器列(201)と第2の放射器列(202)とを備え、
各放射器配列(20)では、前記第1の放射器列(201)の偏波方向が前記第2の放射器列(202)の偏波方向に垂直であり、前記第1の放射器列(201)の放射器と、前記第2の放射器列(202)の放射器とは重ならず、前記第1の放射器列(201)の第1の放射器の端が、前記第2の放射器列(202)の隣接する第2の放射器の目標位置範囲に向いており、これにより、前記隣接する第1の放射器と前記第2の放射器との間のアイソレーションがアイソレーション要件を満たし、前記第1の放射器は前記第1の放射器列(201)の、いずれかの放射器であり、
前記反射パネル(4)には前記回路基板(1)が取り付けられ、前記反射パネル(4)と前記回路基板(1)との距離が、指定された値範囲に含まれ、
前記反射パネル(4)の箇所であって前記放射器配列(20)の前記第1の放射器列(201)と前記第2の放射器列(202)との交差部に対応する箇所が、第3の傾斜面(43)及び第4の傾斜面(44)を形成するように前記回路基板(1)の方向に向かって突出し、前記第3の傾斜面(43)は、前記第2の放射器列(202)によって放射された電磁波を反射するように構成され、前記第4の傾斜面(44)は、前記第1の放射器列(201)によって放射された電磁波を反射するように構成される、アンテナ装置。
【請求項3】
前記第2の放射器の前記目標位置範囲は、前記第2の放射器の中央位置と前記第2の放射器の前記中央位置の近傍の領域とによって形成される位置範囲である、請求項1
または2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記アンテナ装置は給電素子(3)をさらに備え、前記給電素子(3)は前記回路基板(1)上に位置し、前記給電素子(3)は前記複数の放射器(2)の各々に電気的に接続される、請求項1
または2に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第1の放射器列(201)の各放射器の偏波方向が+45度であり、前記第2の放射器列(202)の各放射器の偏波方向が-45度である、請求項1
または2に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記複数の放射器(2)の各々が高周波放射素子(21)と低周波放射素子(22)とを備え、前記高周波放射素子(21)と前記低周波放射素子(22)とが平行に前記回路基板(1)上に位置する、請求項1
または2に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記複数の放射器(2)の各々が、互いに対称である2つの放射素子を備え、前記2つの放射素子のうちの第1の放射素子が前記回路基板(1)の第1の面に位置し、前記2つの放射素子のうちの第2の放射素子が前記回路基板(1)の第2の面に位置し、前記第1の面は前記第2の面の反対側にある、請求項1
または2に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記アンテナ装置は保護カバーをさらに備え、前記保護カバー内には前記回路基板(1)と前記複数の放射器(2)との両方が位置する、請求項1
または2に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
無線装置と、請求項1から
8のいずれか一項に記載のアンテナ装置とを備える無線通信装置であって、前記アンテナ装置の給電素子(3)が前記無線装置に電気的に接続される、無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2020年5月22日に出願され、名称が‘‘ANTENNA APPARATUS AND RADIO COMMUNICATIONS DEVICE’’である中国特許出願第202010440048.X号の優先権を主張し、本中国特許出願の全体が参照によって本明細書に援用される。
【0002】
本出願は、無線通信の分野に関し、特にアンテナ装置及び無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0003】
アンテナ装置は電磁波の放射及び受信を行なう装置であり、電流と電磁波との転換を実施するように構成される。アンテナ装置は、電磁波の放射及び受信を行なうように構成される放射器と、放射器に給電するように構成される給電素子とを主に含む。
【0004】
偏波共用アンテナでは、偏波方向が互いに垂直である2つの放射器が重なり合って交差するように回路基板に配置される場合がある。しかし、このような配置方式では、多数の溶接技術や表面実装技術が製造に用いられる。この結果、アンテナ装置の加工プロセスと製造プロセスとが複雑になり、加工効率が比較的低くなる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願では、アンテナ加工プロセスと製造プロセスとを単純化することができるアンテナ装置と無線通信装置とが提供される。
【0006】
一態様に係れば、アンテナ装置が提供される。本アンテナ装置は回路基板と複数の放射器とを含み、複数の放射器のすべてが回路基板上に位置し、複数の放射器は少なくとも1つの放射器配列を形成し、各放射器配列は第1の放射器列と第2の放射器列とを含み、
各放射器配列では、第1の放射器列の偏波方向が第2の放射器列の偏波方向に垂直であり、第1の放射器列の放射器と、第2の放射器列の放射器とは重ならず、第1の放射器列の第1の放射器の端が、第2の放射器列の隣接する第2の放射器の目標位置範囲に向いており、これにより、隣接する第1の放射器と第2の放射器との間のアイソレーションがアイソレーション要件を満たし、隣接する第1の放射器と第2の放射器との距離が最短になっている。
【0007】
一例では、第1の放射器列の放射器と第2の放射器列の放射器とが重ならない。第1の放射器列の放射器と第2の放射器列の放射器とは互い違いにされて物理的に離間した位置にあり、これにより、アイソレーションが増加し、第1の放射器列の放射器と第2の放射器列の放射器との間の相互干渉が抑えられ、相互干渉が避けられることさえある。
【0008】
一例では、隣接する2つの放射器(一方が第1の放射器列に位置し、他方が第2の放射器列に位置する)の間のアイソレーションがアイソレーション要件の最低要件を満たした上で、第1の放射器列と第2の放射器列とが可能な限り互いに近づけられ、これにより、本アンテナ装置によって占められるスペースが削減され、本アンテナ装置が小型化される。たとえば、第1の放射器列の第1の放射器の端が第2の放射器列の隣接する第2の放射器の目標位置範囲に向く。第1の放射器は第1の放射器列の、いずれかの放射器であり、第2の放射器は第2の放射器列の放射器である。
【0009】
図3に示されているように、隣接する第1の放射器と第2の放射器とが、第1の放射器列に位置する放射器と、第2の放射器列に位置する放射器とであってもよいし、第1の放射器列に位置する放射器と、第2の放射器列に位置する放射器とであってもよい。
【0010】
一例では、第1の放射器列の放射器の端が、第2の放射器列の隣接する放射器の目標位置範囲に向き、放射器の間のアイソレーションがアイソレーション要件の最低要件を満たす場合、第1の放射器列と第2の放射器列との間の間隔も最小である。
【0011】
アイソレーション要件を満たすことが、アイソレーション要件の最低要件を満たすことであってもよい。アイソレーション要件の最低要件を満たすことが、最小アイソレーションに厳密に等しいことであってもよいし、最小アイソレーションよりも僅かに大きいことであってもよい。たとえば、アイソレーション要件の最低要件が18db(decibel,デシベル)である場合、放射器の間のアイソレーションが厳密に18dbであってもよいし、18dbよりも僅かに大きくてもよい。
【0012】
放射器(いずれかの放射器)の目標位置範囲は、放射器の中央位置と放射器の中央位置の近傍の領域とによって形成される位置範囲であってもよい。たとえば、線状の形状の外観を持つ放射器の目標位置範囲は、直線を用いて形成される位置範囲であってもよく、その直線では、座標軸として放射器が位置し、原点として放射器の中央位置が位置し、この場合、放射器は指定された距離だけ左に移動し、指定された距離だけ右に移動することができる。このようにして、第1の放射器列の各放射器の端が、第2の放射器列の隣接する放射器の中央位置に向いたり、第2の放射器列の隣接する放射器の中央位置の近傍の特定の位置に向いたりすることができる。
【0013】
アイソレーション要件の最低要件が満たされることが可能でありかつ本アンテナ装置がこれ以上なく小型化されるのであれば、本出願によって、第1の放射器列の各放射器の端が向く特定の位置に対する絶対的な限定は課されない。
【0014】
放射器の端が別の放射器の目標位置範囲に向いてもよいし、この放射器の端に別の放射器の端が向いてもよい。
【0015】
一例では、
図1に示されているように、第1の放射器列が放射器2a、放射器2b及び放射器2cの3つの放射器を含み、第2の放射器列が放射器2d、放射器2e及び放射器2fの3つの放射器を含む場合、第1の放射器列の各放射器は第2の放射器列の1つ又は2つの放射器に隣接し、第2の放射器列の各放射器は第1の放射器列の1つ又は2つの放射器に隣接する。たとえば、
図3に示されているように、第2の放射器列の放射器2f及び放射器2eに隣接する第1の放射器列の放射器2aについて、放射器2aの端が第2の放射器列の放射器2fの目標位置範囲に向き、放射器2aの目標位置範囲には第2の放射器列の放射器2eの端が向く。同様に、第1の放射器列の放射器2a及び放射器2bに隣接する第2の放射器列の放射器2eについて、放射器2eの端が第1の放射器列の隣接する放射器2aの目標位置範囲に向き、放射器2eの目標位置範囲には第1の放射器列の別の隣接する放射器2bの端が向く。
【0016】
上記の説明に基づけば、アレイアンテナ装置の放射器のすべてが1つの回路基板上に位置する、すなわち、回路基板を共有する。放射器配列の第1の放射器列の各放射器の端が第2の放射器列の隣接する放射器の目標位置範囲に向く。このようにして、アイソレーション要件の要件が満たされつつ、第1の放射器列と第2の放射器列とが可能な限り互いに近くなり、これにより、本アンテナ装置の小型化が実施される。関連技術の、放射器を重ねることによって実施される二重偏波と比較して、上記の配置を持つ偏波共用アンテナ装置では、すべての放射器が回路基板に印刷される。加工プロセスと製造プロセスとが単純であり、製造効率が高く、製造コストが低く、本アンテナ装置の大規模生産が実施されることが可能である。
【0017】
可能な実現例では、第2の放射器の目標位置範囲は、第2の放射器の中央位置と第2の放射器の中央位置の近傍の領域位置とによって形成される位置範囲である。
【0018】
可能な実現例では、各放射器配列では、第1の放射器列の物理的な位置と第2の放射器列の物理的な位置とが互い違いにされる。
【0019】
一例では、第1の放射器列の放射器の端のすべてが第2の放射器列の配列内まで延び、第2の放射器列の放射器の端のすべてが第1の放射器列の配列内まで延びる。たとえば、
図3を引き続き参照して、第1の放射器列に位置する放射器2a、放射器2b及び放射器2cの端のすべてが第2の放射器列の配列内まで延び、第2の放射器列の放射器2d、放射器2e及び放射器2fの端のすべてが第1の放射器列の配列内まで延びる。
【0020】
このようにして、本アンテナ装置の各放射器配列の2つの放射器列が互い違いにされる。これにより、本アンテナ装置の空間利用を改善して本アンテナ装置の小型化を容易にすることができる。
【0021】
可能な実現例では、本アンテナ装置は給電素子をさらに含み、給電素子は回路基板上に位置し、給電素子は複数の放射器の各々に電気的に接続される。
【0022】
一例では、給電素子を回路基板に垂直にすることと比較して、回路基板上に給電素子を配置することにより、給電素子と放射器との接続を単純化して多数の溶接プロセスや実装プロセスを省くことができる。
【0023】
給電素子と放射器とが1つの回路基板を共有する、すなわち、給電素子と放射器とが印刷されるように同一の回路基板上に配置される。これにより、本アンテナ装置の加工と製造とを大幅に単純化し、製造効率と加工効率とを改善し、コストを下げ、本アンテナ装置の大規模生産を容易にすることができる。
【0024】
可能な実現例では、本アンテナ装置は反射パネルをさらに含み、反射パネルには回路基板が取り付けられ、反射パネルと回路基板との距離が、指定された値範囲に含まれる。
【0025】
一例では、反射パネルにより、本アンテナ装置が指向性アンテナであることを可能にすることができ、指定された方向に電磁波が送信され、指定された方向に送られた電磁波が受信され、これにより、本アンテナ装置への指向性付与が実施される。
【0026】
可能な実現例では、
反射パネルの箇所であって第1の放射器列の第1の境界に対応する箇所が、第1の傾斜面を形成するように回路基板の方向に向かって曲げられ、第1の放射器列の第1の境界は、第2の放射器列から遠隔にある列境界であり、第1の傾斜面は、第1の放射器列が位置する部分である放射器配列の第2の放射器列によって放射された電磁波を反射するように構成され、
反射パネルの箇所であって第2の放射器列の第1の境界に対応する箇所が、第2の傾斜面を形成するように回路基板の方向に向かって曲げられ、第2の放射器列の第1の境界は、第1の放射器列から遠隔にある列境界であり、第2の傾斜面は、第2の放射器列が位置する部分である放射器配列の第1の放射器列によって放射された電磁波を反射するように構成される。
【0027】
一例では、第1の傾斜面は第2の放射器列の放射器によって発せられた電磁波を反射し、第2の傾斜面は第1の放射器列の放射器によって発せられた電磁波を反射する。これにより、本アンテナ装置の指向性パターンを最適化して指向性パターンの対称性を改善することができる。
【0028】
可能な実現例では、反射パネルの箇所であって放射器配列の第1の放射器列と第2の放射器列との交差部に対応する箇所が、第3の傾斜面及び第4の傾斜面を形成するように回路基板の方向に向かって突出し、第3の傾斜面は、第2の放射器列の電磁波を反射するように構成され、第4の傾斜面は、第1の放射器列の電磁波を反射するように構成される。
【0029】
本アンテナ装置により、本アンテナ装置の指向性パターンが最適化され、放射器の電磁波に対する反射パネルの第1の傾斜面、第2の傾斜面、第3の傾斜面及び第4の傾斜面の反射作用を用いて指向性パターンの対称性が改善され、これにより、本アンテナ装置のカバーエリアが均一になり、通信品質が改善される。
【0030】
可能な実現例では、第1の放射器列の各放射器の偏波方向が+45度であり、第2の放射器列の各放射器の偏波方向が-45度である。
【0031】
一例では、第1の放射器列の偏波方向が+45度であってもよく、第2の放射器列の偏波方向が-45度であってもよい。これの代わりに、第1の放射器列の偏波方向が-45度であってもよく、第2の放射器列の偏波方向が+45度であってもよい。これにより、本アンテナ装置が二重偏波の特徴を持つことがさらに可能になる。
【0032】
可能な実現例では、放射器の各々が高周波放射素子と低周波放射素子とを含み、高周波放射素子と低周波放射素子とが平行に回路基板上に位置する。
【0033】
高周波放射素子の動作バンドは5GHzであってもよく、低周波放射素子の動作バンドは2.4GHzであってもよい。本アンテナ装置は2.4GHz及び5GHzの2つの動作バンドを有し、これにより、本アンテナ装置はデュアルバンド偏波共用アンテナになり、これにより、本アンテナ装置の機能が拡張される。
【0034】
可能な実現例では、複数の放射器の各々が、互いに対称である2つの放射素子を含み、2つの放射素子のうちの第1の放射素子が回路基板の第1の面に位置し、2つの放射素子のうちの第2の放射素子が回路基板の第2の面に位置し、第1の面は第2の面の反対側にある。
【0035】
可能な実現例では、本アンテナ装置は保護カバーをさらに含み、保護カバー内には回路基板と複数の放射器との両方が位置する。
【0036】
一例では、回路基板と放射器とを保護するために、回路基板と、回路基板上に位置する複数の放射器との各々が覆われて保護カバー内にある。
【0037】
別の態様に係れば、無線通信装置がさらに提供される。無線通信装置は無線装置と上述のアンテナ装置とを含む。アンテナ装置の給電素子が無線装置に電気的に接続される。
【0038】
本出願で提供されているアンテナ装置は回路基板と、回路基板上に位置する複数の放射器とを含む。複数の放射器は少なくとも1つの放射器配列を形成してもよく、各放射器配列は第1の放射器列と第2の放射器列とを含んでもよい。第1の放射器列の各放射器の端が第2の放射器列の隣接する放射器の目標位置範囲に向き、これにより、アイソレーション要件の要件が満たされ、本アンテナ装置の小型化に対応する。上記の配置を備える偏波共用アンテナ装置では、偏波方向が互いに垂直である第1の放射器列と第2の放射器列とが同一の回路基板に印刷され、加工プロセスと製造プロセスとが単純化され、製造コストが削減される。これに加えて、偏波方向が互いに垂直である第1の放射器列と第2の放射器列とが互い違いにされ、これにより、アイソレーション要件が満たされつつ、本アンテナ装置がより小型化されることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本出願に係るアンテナ装置の構成の概略図である。
【
図2】本出願に係るアンテナ装置の構成の概略図である。
【
図3】本出願に係るアンテナ装置の構成の概略図である。
【
図4】本出願に係るアンテナ装置の構成の概略図である。
【
図5】本出願に係るアンテナ装置の構成の概略図である。
【
図6】本出願に係るアンテナ装置の構成の概略図である。
【
図7】本出願に係るアンテナ装置の構成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本出願はアンテナ装置に関する。アンテナ装置は無線アクセスポイントのアンテナ装置、基地局のアンテナ装置、ルータのアンテナ装置などであってもよい。アンテナ装置は電磁波の放射、電磁波の受信、又は電磁波の放射及び受信を行なうように構成されてもよい。
【0041】
図1に示されているように、アンテナ装置は回路基板1と複数の放射器2(
図1に示されている放射器2a~2f)とを含んでもよい。複数の放射器2のすべてが回路基板1上に位置する。複数の放射器2は少なくとも1つの放射器配列20を形成する。各放射器配列20は第1の放射器列201と第2の放射器列202とを含む。各放射器配列20では、第1の放射器列201の偏波方向が第2の放射器列202の偏波方向に垂直であり、第1の放射器列201の放射器2a~2cと、第2の放射器列202の放射器2d~2fとは重ならない。第1の放射器列201の第1の放射器(たとえば、
図1の放射器2a、放射器2b及び放射器2cのいずれか1つ)の端が、第2の放射器列202の隣接する第2の放射器の目標位置範囲に向いており、これにより、隣接する第1の放射器と第2の放射器との間のアイソレーション(isolation degree)がアイソレーション要件を満たし、隣接する第1の放射器と第2の放射器との距離が最短になっている。2つの放射器の間の距離が最短になっていることを、第1の放射器列201と第2の放射器列202との距離が最短になっているとも考えることができる。
【0042】
一例では、
図1に示されているように、複数の放射器2が1つの放射器配列20を形成してもよい。各放射器配列20は2つの放射器列を含んでもよく、これらは第1の放射器列201及び第2の放射器列202と記載される場合がある。たとえば、
図1に示されているように、6つの放射器2a~2fが1つの放射器配列20を形成する。放射器配列20では、第1の放射器列201は3つの放射器2を含み、これらは区別を容易にするために放射器2a、放射器2b及び放射器2cとそれぞれ記載される場合があり、第2の放射器列202は3つの放射器2を含み、これらは区別を容易にするために放射器2d、放射器2e及び放射器2fとそれぞれ記載される場合がある。別の例では、
図2に示されているように、12個の放射器が2つの放射器配列20を形成してもよく、これらは区別を容易にするために放射器配列20a及び放射器配列20bとそれぞれ記載される場合がある。放射器配列20aでは、第1の放射器列201aは放射器2a、放射器2b及び放射器2cを含み、第2の放射器列202aは放射器2d、放射器2e及び放射器2fを含む。放射器配列20bでは、第1の放射器列201bは放射器2g、放射器2h及び放射器2iを含み、第2の放射器列202bは放射器2j、放射器2k及び放射器2mを含む。
【0043】
本実施形態ではアンテナ装置に含まれる放射器配列20の個数は限定されず、当業者はアンテナ装置が置かれた環境に基づいて柔軟な選択を行なうことができる。
【0044】
以下、別段記載されていない限り、第1の放射器列201と第2の放射器列202とが同一の放射器配列20中の2つの放射器列である。
【0045】
一例では、アンテナ装置が二重偏波(dual polarization)の特徴を持つことを可能にするために、これに対応して、第1の放射器列201の偏波方向が第2の放射器列202の偏波方向に垂直になっている。たとえば、第1の放射器列201の偏波方向が+45度であり、第2の放射器列202の偏波方向が-45度である。あるいは、第1の放射器列201の偏波方向が-45度であり、第2の放射器列202の偏波方向が+45度である。
【0046】
一例では、第1の放射器列201の放射器2と第2の放射器列202の放射器2との相互干渉を避けるために、これに対応して、第1の放射器列201の放射器2と第2の放射器列202の放射器2とは重ならない。第1の放射器列201の放射器2と第2の放射器列202の放射器2とは互い違いにされて物理的に離間した位置にあり(at physical spatial locations)、これにより、アイソレーションが増加する。
【0047】
隣接する2つの放射器2(一方が第1の放射器列201に位置し、他方が第2の放射器列202に位置する)の間のアイソレーションがアイソレーション要件の最低要件を満たした上で、第1の放射器列201と第2の放射器列202とが可能な限り互いに近づけられてもよく、これにより、アンテナ装置によって占められるスペースが削減され、アンテナ装置の小型化に対応する。これとは別に、第1の放射器列201の第1の放射器の端が第2の放射器列202の隣接する第2の放射器の目標位置範囲に向く。第1の放射器は第1の放射器列201の、いずれかの放射器であり、第2の放射器は第2の放射器列202の放射器である。
【0048】
図3に示されているように、隣接する第1の放射器と第2の放射器とが、第1の放射器列201に位置する放射器2aと、第2の放射器列202に位置する放射器2fとであってもよいし、第1の放射器列201に位置する放射器2aと、第2の放射器列202に位置する放射器2eとであってもよい。
【0049】
一例では、第1の放射器列201の放射器2aの端が、第2の放射器列202の隣接する放射器2fの目標位置範囲に向き、放射器2aと放射器2fとの間のアイソレーションがアイソレーション要件の最低要件を満たす場合、第1の放射器列201と第2の放射器列202との間の間隔も最小である。
【0050】
アイソレーション要件を満たすことが、アイソレーション要件の最低要件を満たすことであってもよい。アイソレーション要件の最低要件を満たすことが、最小アイソレーションに厳密に等しいことであってもよいし、最小アイソレーションよりも僅かに大きいことであってもよい。たとえば、アイソレーション要件の最低要件が18デシベル(decibel,db)である場合、放射器2aと放射器2fとの間のアイソレーションが厳密に18dbであってもよいし、18dbよりも僅かに大きくてもよい。
【0051】
放射器(いずれかの放射器)の目標位置範囲は、放射器の中央位置と放射器の中央位置の近傍の領域とによって形成される位置範囲であってもよい。たとえば、線状の形状の外観を持つ放射器の目標位置範囲は、直線を用いて形成される位置範囲であってもよく、その直線では、座標軸として放射器が位置し、原点として放射器の中央位置が位置し、この場合、放射器は指定された距離だけ左に移動し、指定された距離だけ右に移動することができる。このようにして、第1の放射器列201の各放射器の端が、第2の放射器列202の隣接する放射器の中央位置に向いたり、第2の放射器列202の隣接する放射器の中央位置の近傍の特定の位置に向いたりすることができる。
【0052】
アイソレーション要件の最低要件が満たされることが可能でありかつアンテナ装置がこれ以上なく小型化されるのであれば、本実施形態によって、第1の放射器列201の各放射器の端が向く特定の位置に対する絶対的な限定は課されない。
【0053】
放射器の端が別の放射器の目標位置範囲に向いてもよいし、この放射器の端に別の放射器の端が向いてもよい。
【0054】
一例では、
図1に示されているように、第1の放射器列201が放射器2a、放射器2b及び放射器2cを含み、第2の放射器列202が放射器2d、放射器2e及び放射器2fを含む場合、第1の放射器列201の各放射器は第2の放射器列202の1つ又は2つの放射器に隣接し、第2の放射器列202の各放射器は第1の放射器列201の1つ又は2つの放射器に隣接する。たとえば、
図3に示されているように、第2の放射器列202の放射器2f及び放射器2eに隣接する第1の放射器列201の放射器2aについて、放射器2aの端が第2の放射器列202の放射器2fの目標位置範囲に向き、放射器2aの目標位置範囲には第2の放射器列202の放射器2eの端が向く。同様に、第1の放射器列201の放射器2a及び放射器2bに隣接する第2の放射器列202の放射器2eについて、放射器2eの端が第1の放射器列201の隣接する放射器2aの目標位置範囲に向き、放射器2eの目標位置範囲には第1の放射器列201の別の隣接する放射器2bの端が向く。
【0055】
上記の説明に基づけば、アレイアンテナ装置の放射器2のすべてが1つの回路基板1上に位置する、すなわち、回路基板を共有する。放射器配列の第1の放射器列201の各放射器の端が第2の放射器列202の隣接する放射器の目標位置範囲に向く。このようにして、アイソレーション要件の要件が満たされつつ、第1の放射器列201と第2の放射器列202とが可能な限り互いに近くなり、これにより、アンテナ装置の小型化が実施される。関連技術の、放射器を重ねることによって実施される二重偏波と比較して、上記の配置を持つ偏波共用アンテナ装置では、すべての放射器が回路基板に印刷される。加工プロセスと製造プロセスとが単純であり、製造効率が高く、製造コストが低く、本アンテナ装置の大規模生産が実施されることが可能である。
【0056】
一例では、
図1~
図3に示されているように、アンテナ装置がアイソレーション要件の限界条件(boundary condition)を満たすことができる状態で、第1の放射器列201と第2の放射器列202とが可能な限り互いに近くなり、これにより、各放射器配列20では、第1の放射器列201の物理的な位置と第2の放射器列202の物理的な位置とが互い違いにされる。
【0057】
言い換えると、第1の放射器列201の放射器2の端のすべてが第2の放射器列202の配列内まで延び、第2の放射器列202の放射器2の端のすべてが第1の放射器列201の配列内まで延びる。たとえば、
図3を引き続き参照して、第1の放射器列201に位置する放射器2a、放射器2b及び放射器2cの端のすべてが第2の放射器列202の配列内まで延び、第2の放射器列202の放射器2d、放射器2e及び放射器2fの端のすべてが第1の放射器列201の配列内まで延びる。
【0058】
このようにして、アンテナ装置の各放射器配列20の2つの放射器列が互い違いにされる。これにより、本アンテナ装置の空間利用を改善して本アンテナ装置の小型化を容易にすることができる。
【0059】
一例では、アンテナ装置は放射器2に給電するように構成される給電素子3をさらに含む。アンテナ装置の加工プロセスと製造プロセスとをさらに改善するために、これに対応して、アンテナ装置の給電素子3が回路基板1に印刷されることも行なわれてもよい。
図4に示されているように、給電素子3は回路基板1上に位置し、給電素子3は複数の放射器2の各々に電気的に接続されている。
【0060】
給電素子3を回路基板1に垂直にすることと比較して、回路基板1上に給電素子3を配置することにより、給電素子3と放射器2との接続を単純化して多数の溶接プロセスや実装プロセスを省くことができる。
【0061】
給電素子3と放射器2とが1つの回路基板1を共有する、すなわち、給電素子3と放射器2とが印刷されるように同一の回路基板1上にレイアウトされる。これにより、本アンテナ装置の加工と製造とを大幅に単純化し、製造効率と加工効率とを改善し、コストを下げ、本アンテナ装置の大規模生産を容易にすることができる。
【0062】
一例では、アンテナ装置への指向性付与(directionalization)を実施するために、これに対応して、アンテナ装置は反射パネル4をさらに含む。反射パネル4には回路基板1が堅固に取り付けられてもよく、反射パネル4と回路基板1とが互いに平行であってもよく、反射パネル4と回路基板1との距離が、指定された値範囲に含まれる。
【0063】
指定された値範囲はアンテナ装置の指向性パターンの各パラメータの指数に基づいて決定されてもよく、たとえば、指向性パターンの対称性、指向性パターンのメインローブの特徴や、指向性パターンのサイドローブの特徴に基づいて決定されてもよい。
【0064】
反射パネル4のサイズは回路基板1上の複数の放射器2によって占められる回路基板1上の広さに応じたサイズであってもよい。たとえば、反射パネル4の面積は回路基板1上のアンテナ装置の、すべての放射器2によって占められる総面積に応じた面積である。
【0065】
一例では、アンテナ装置の指向性パターンをさらに最適化するために、これに対応して、反射パネル4は放射器2の電磁波を反射する傾斜面を有してもよい。
【0066】
たとえば、
図5に示されているように、反射パネル4の箇所であって第1の放射器列201の第1の境界に対応する箇所が、第1の傾斜面41を形成するように回路基板1の方向に向かって曲げられ、第1の放射器列201の第1の境界は、第2の放射器列202から遠隔にある列境界であり、第1の傾斜面41は、第1の放射器列201が位置する部分である放射器配列20の第2の放射器列202によって放射された電磁波を反射するように構成され、反射パネル4の箇所であって第2の放射器列202の第1の境界に対応する箇所が、第2の傾斜面42を形成するように回路基板1の方向に向かって曲げられ、第2の放射器列202の第1の境界は、第1の放射器列201から遠隔にある列境界であり、第2の傾斜面42は、第2の放射器列202が位置する部分である放射器配列20の第1の放射器列201によって放射された電磁波を反射するように構成される。
【0067】
第1の放射器列201の列境界は第1の放射器列201の放射器2の端によって形成される境界であり、第2の放射器列202の列境界は第2の放射器列202の放射器2の端によって形成される境界である。
【0068】
一例では、第1の放射器列201の第1の境界は、第1の放射器列201の放射器2の端であって第2の放射器列202から離れている端によって形成される境界であり、第1の放射器列201の第2の境界は、第1の放射器列201の放射器2の端であって第2の放射器列202に隣接する端によって形成される境界である。同様に、第2の放射器列202の第1の境界は、第2の放射器列202の放射器2の端であって第1の放射器列201から離れている端によって形成される境界であり、第2の放射器列202の第2の境界は、第2の放射器列202の放射器2の端であって第1の放射器列201に隣接する端によって形成される境界である。
【0069】
明確に説明することを容易にするために、位置的な用語「上」及び「下」が導入されている場合がある。たとえば、
図5に示されているように、回路基板1が位置する位置が「上の」位置である場合があり、反射パネル4が位置する位置が「下の」位置である場合がある。
【0070】
一例では、反射パネル4の箇所であって第1の放射器列201の第1の境界に対応する箇所が、第1の傾斜面41を形成するように回路基板1の方向に向かって曲げられる。言い換えると、反射パネル4の部分であって第1の放射器列201の第1の境界の下に位置する部分が、回路基板1の方向に向かって曲げられ、第1の傾斜面41を形成するように、指定された高さだけ立ち上がっている。
【0071】
同様に、反射パネル4の箇所であって第2の放射器列202の第1の境界に対応する箇所が、第2の傾斜面42を形成するように回路基板1の方向に向かって曲げられる。言い換えると、反射パネル4の部分であって第2の放射器列202の第1の境界の下に位置する部分が、回路基板1の方向に向かって曲げられ、第2の傾斜面42を形成するように、指定された高さだけ立ち上がっている。
【0072】
このようにして、第1の傾斜面41によって第2の放射器列202の電磁波が反射され、第2の傾斜面42によって第1の放射器列201の電磁波が反射される。
【0073】
指定された高さは反射パネル4の本体部分に対する第1の傾斜面41及び第2の傾斜面42の傾斜角度に依存し、反射パネル14の本体部分に対する第1の傾斜面41及び第2の傾斜面42の傾斜角度はアンテナ装置の指向性パターンによって決定されてもよい。たとえば、反射パネル4の本体部分に対する第1の傾斜面41及び第2の傾斜面42の傾斜角度は45度であってもよいし、60度であってもよい。本実施形態によって、反射パネル4の本体部分に対する第1の傾斜面41及び第2の傾斜面42の傾斜角度に対する限定は課されず、当業者は実際の状況に基づいて傾斜角度を柔軟に調節することができる。
【0074】
さらにアンテナ装置の指向性パターンを最適化するために、これに対応して、
図6に示されているように、反射パネル4の箇所であって放射器配列20の第1の放射器列201と第2の放射器列202との交差部に対応する箇所が、第3の傾斜面43及び第4の傾斜面44を形成するように回路基板1の方向に向かって突出し、第3の傾斜面43は第2の放射器列202の電磁波を反射し、第4の傾斜面44は第1の放射器列201の電磁波を反射する。
【0075】
第1の放射器列201と第2の放射器列202との交差部の箇所は第1の放射器列201と第2の放射器列202とが互いに近接した箇所、すなわち、第1の放射器列201の第2の境界と第2の放射器列202の第2の境界との交差部である。
【0076】
一例では、反射パネル4の箇所であって第1の放射器列201と第2の放射器列202との交差部の下直に位置する箇所が、第3の傾斜面43及び第4の傾斜面44を形成するように指定された距離だけ回路基板1の方向に向かって突出する。
図6に示されているように、第3の傾斜面43は第2の放射器列202の電磁波を反射するように第2の放射器列202に面し、第4の傾斜面44は第1の放射器列201の電磁波を反射するように第1の放射器列201に面する。
【0077】
第1の傾斜面41及び第2の傾斜面42はアンテナ装置の指向性パターンに粗大な最適化作用を及ぼすことができ、第3の傾斜面43及び第4の傾斜面44はアンテナ装置の指向性パターンに微細な最適化作用を及ぼすことができる。
【0078】
このようにして、本アンテナ装置により、アンテナ装置の指向性パターンが最適化され、放射器2の電磁波に対する反射パネル4の第1の傾斜面41、第2の傾斜面42、第3の傾斜面43及び第4の傾斜面44の反射作用を用いて指向性パターンの対称性が改善され、これにより、アンテナ装置のカバーエリアが均一になり、通信品質が改善される。
【0079】
一例では、複数の放射器2の各々が対称な2つの放射素子を含んでもよく、2つの放射素子は回路基板1上に位置する。たとえば、対称な2つの放射素子の一方が回路基板1の第1の面に位置し、他方の放射素子が回路基板1の第2の面に位置する。回路基板1の第1の面と第2の面とは互いに反対側にある面である。回路基板1の第1の面に位置する放射素子が第1の放射素子として記載されている場合がある。第2の面に位置する放射素子が第2の放射素子として記載されている場合がある。
【0080】
一例では、アンテナ装置がシングルバンドアンテナであってもよく、これに対応して、各放射器2が対称な2つの放射素子を含んでもよい。対称な2つの放射素子の一方が回路基板1の第1の面に位置し、他方の放射素子が回路基板1の第2の面に位置する。
【0081】
一例では、上記の代わりにアンテナ装置がデュアルバンドアンテナであってもよい。これに対応して、
図7に示されているように、各放射器2が高周波放射素子21と低周波放射素子22とを含んでもよい。高周波放射素子21と低周波放射素子22とが平行に回路基板1上に位置する。
図7は例として第1の放射器列201の放射器2a及び第2の放射器列202の放射器2fのみを示している。他の放射器は同様の具体的構成を持つが、個別に説明はしない。
【0082】
高周波放射素子21の動作バンドは5GHzであってもよく、低周波放射素子22の動作バンドは2.4GHzであってもよい。アンテナ装置は2.4GHz及び5GHzの2つの動作バンドを有する。
【0083】
一例では、シングルバンドアンテナと同様に、デュアルバンドアンテナの高周波放射素子21も対称な2つの放射素子211を含んでもよく、低周波放射素子22も対称な放射素子221を含んでもよい。たとえば、
図7に示されているように、第1の放射器列201の放射器2aは高周波放射素子21と低周波放射素子22とを含む。高周波放射素子21は放射素子211aと放射素子211bとを含む。放射素子211aは回路基板1の第1の面に位置し、放射素子211bは回路基板1の第2の面に位置する。低周波放射素子22は放射素子221aと放射素子221bとを含む。放射素子221aは回路基板1の第1の面に位置し、放射素子221bは回路基板1の第2の面に位置する。
【0084】
同様に、第2の放射器列202の放射器2fは高周波放射素子21と低周波放射素子22とを含む。高周波放射素子21は放射素子211aと放射素子211bとを含む。放射素子211aは回路基板1の第1の面に位置してもよく、放射素子211bは回路基板1の第2の面に位置してもよい。低周波放射素子22は放射素子221aと放射素子221bとを含む。放射素子221aは回路基板1の第1の面に位置し、放射素子221bは回路基板1の第2の面に位置する。
【0085】
第1の放射器列201の別の放射器の具体的構成は放射器2aの具体的構成と同様であり、第2の放射器列202の別の放射器の具体的構成は放射器2fの具体的構成と同様である。
【0086】
アンテナ装置がデュアルバンド偏波共用アンテナであってもよく、アンテナ装置の2つの動作バンドのそれぞれの放射器が同一の回路基板上に位置することで、アンテナ装置の回路基板の共有と開口の共有とが実施されることが分かる。開口の共有は、アンテナ装置の高周波動作バンドと低周波動作バンドとが1つの放射器配列を共有することを意味する。この仕方では、高周波放射素子と低周波放射素子とがマルチプレクサを通じて開口を共有することを実施する必要はもはやなく、これにより、加工プロセスと製造プロセスとがさらに単純化される。
【0087】
一例では、アンテナ装置は保護カバーをさらに含んでもよく、保護カバー内には回路基板1と複数の放射器2との両方が位置する。たとえば、保護カバーは反射パネル4を覆ってもよい。反射パネル4はアンテナ装置の底部として用いられてもよい。保護カバーは反射パネル4を覆い、アンテナ装置の上カバーとして用いられる。反射パネル4と保護カバーとによって形成された密閉空間に回路基板1と、回路基板1上に配置された複数の放射器2との両方が位置する。
【0088】
上記の代わりに、アンテナ装置は底部をさらに含んでもよい。底部には反射パネル4が取り付けられ、反射パネル4には回路基板1が取り付けられ、回路基板1には複数の放射器2と給電素子3とが印刷され、底部は保護カバーによって覆われる。反射パネル4と、回路基板1と、回路基板1上に位置する複数の放射器2及び給電素子3とのすべてが底部と保護カバーとによって形成された密閉空間に位置する。
【0089】
本出願では、本アンテナ装置は回路基板上に位置する回路基板と複数の放射器とを含む。複数の放射器は少なくとも1つの放射器配列を形成してもよく、各放射器配列は第1の放射器列と第2の放射器列とを含んでもよい。第1の放射器列の各放射器の端が第2の放射器列の隣接する放射器の目標位置範囲に向き、これにより、アイソレーション要件の要件が満たされ、本アンテナ装置の小型化に対応する。上記の配置を備える偏波共用アンテナ装置では、偏波方向が互いに垂直である第1の放射器列と第2の放射器列とが同一の回路基板に印刷され、加工プロセスと製造プロセスとが単純化され、製造コストが削減される。これに加えて、偏波方向が互いに垂直である第1の放射器列と第2の放射器列とが互い違いにされ、これにより、アイソレーション要件が満たされつつ、本アンテナ装置がより小型化されることが可能である。
【0090】
これに加えて、アンテナ装置の放射器及び給電素子のすべてが同一の回路基板に印刷される。これにより、加工プロセスと製造プロセスとが単純化され、コストが削減され、アンテナ装置の大規模生産が容易になることが可能である。
【0091】
本出願の実施形態では無線通信装置がさらに提供される。無線通信装置は信号装置と上記のアンテナ装置とを含んでもよい。信号装置はアンテナ装置の給電素子に電気的に接続される。信号装置は、信号送信器であってもよいし、信号受信器であってもよいし、信号の送信及び受信を行なうことができる信号トランシーバであってもよい。
【0092】
上述されているように、無線通信装置のアンテナ装置は回路基板と、回路基板上に位置する複数の放射器とを含んでもよい。複数の放射器は少なくとも1つの放射器配列を形成してもよく、各放射器配列は第1の放射器列と第2の放射器列とを含んでもよい。第1の放射器列の各放射器の端が第2の放射器列の隣接する放射器の目標位置範囲に向き、これにより、アイソレーション要件の要件が満たされ、アンテナ装置の小型化に対応する。上記の配置を備える偏波共用アンテナ装置では、偏波方向が互いに垂直である第1の放射器列と第2の放射器列とが同一の回路基板に印刷されて回路基板を共有し、加工プロセスと製造プロセスとが単純化され、製造コストが削減される。これに加えて、偏波方向が互いに垂直である第1の放射器列と第2の放射器列とが互い違いにされ、これにより、アイソレーション要件が満たされつつ、本アンテナ装置がより小型化されることが可能である。
【0093】
上記の説明は本出願の単なる実施形態にすぎず、一方で、本出願を限定することを意図していない。本出願の原理を逸脱しない範囲でなされるいかなる修正、均等置換や改良も本出願の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0094】
1 回路基板
2 放射器
3 給電素子
4 反射パネル
20 放射器配列
21 高周波放射素子
22 低周波放射素子
41 第1の傾斜面
42 第2の傾斜面
43 第3の傾斜面
44 第4の傾斜面
201 第1の放射器列
202 第2の放射器列
211 高周波放射素子の放射素子
221 低周波放射素子の放射素子