(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】バクテリアセルロース系エアーフィルター及びその用途
(51)【国際特許分類】
B01D 39/16 20060101AFI20240610BHJP
A61L 9/01 20060101ALI20240610BHJP
A61L 9/00 20060101ALI20240610BHJP
D04H 1/425 20120101ALI20240610BHJP
【FI】
B01D39/16 E
B01D39/16 A
A61L9/01 P
A61L9/00 C
D04H1/425
(21)【出願番号】P 2022572746
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(86)【国際出願番号】 CN2020093268
(87)【国際公開番号】W WO2021237679
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】521476399
【氏名又は名称】ヂョン チュンイェン
(73)【特許権者】
【識別番号】521476403
【氏名又は名称】ヂョン ユーグゥァン
(73)【特許権者】
【識別番号】521476425
【氏名又は名称】ハイナン イェーゴー フーズ シーオー., エルティーディー
(73)【特許権者】
【識別番号】521476414
【氏名又は名称】ハイナン グゥァンユー バイオテクノロジー シーオー., エルティーディー
【住所又は居所原語表記】The First Floor of No. 2 Technical Factory Building No. 26 Jinpan Road Haikou, Hainan 570100 CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522272417
【氏名又は名称】ナンジン イェーゴー フーズ シーオー.,エルティーディー
(73)【特許権者】
【識別番号】522272428
【氏名又は名称】バオディン グゥァンユー フルーツ プロセッシング フード シーオー.,エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヂョン ユーグゥァン
(72)【発明者】
【氏名】ヂョン チュンイェン
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102225281(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103481600(CN,A)
【文献】特開平11-342310(JP,A)
【文献】特開平10-265586(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103521010(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/00-41/04
A61L 9/00-9/22
D04H 1/00-18/04
B01D 46/00-46/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2層の高分子繊維フィルターの間に1層のバクテリアセルロース系フィルターが挟持される3層構造であり、
前記高分子繊維フィルターは、高分子繊維の混紡糸を編成してなる均一なサイズを持つ網目フィルターで
ある、バクテリアセルロース系エアーフィルター。
【請求項2】
前記高分子繊維フィルターの厚みが0.5~5mmであり、前記高分子繊維フィルターの網目の辺の長さが0.5~5mmであり、
前記バクテリアセルロース系フィルターの厚みが1~5mmである、
請求項1に記載のバクテリアセルロース系エアーフィルター。
【請求項3】
巻曲げ装置をさらに含み、
前記巻曲げ装置は、挟持するバクテリアセルロース系フィルターの両端にそれぞれ位置し、高分子繊維フィルターに挟持されているバクテリアセルロース系フィルターの連続交換を実現するようにバクテリアセルロース系フィルターを巻き付けるための2つのリールを備えている、
請求項1に記載のバクテリアセルロース系エアーフィルター。
【請求項4】
前記高分子繊維フィルターは、第1の短繊維、第2の短繊維、第3の短繊維が質量比1:(1~2):(0.3~1)で混紡糸編成されてなるものであり、
前記第1の短繊維は、ポリウレタン繊維、ナイロン繊維、再生セルロース繊維、コーマ綿繊維、アセテート繊維の1種または複数種の短繊維の組み合わせを含み、
前記第2の短繊維は、微孔性ポリエステル繊維、ポリアクリロニトリル繊維、微孔性ポリカーボネート繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、及びポリテトラフルオロエチレン繊維の1種または複数種の短繊維の組み合わせを含み、
前記第3の短繊維は、ナノチタニア含有ポリエステル短繊維を含む、
請求項1に記載のバクテリアセルロース系エアーフィルター。
【請求項5】
前記第1の短繊維、前記第2の短繊維及び前記第3の短繊維の質量比は1:1:0.5である、
請求項4に記載のバクテリアセルロース系エアーフィルター。
【請求項6】
前記第3の短繊維における、前記ナノチタニアの含有量が10wt%~20wt%である、
請求項4に記載のバクテリアセルロース系エアーフィルター。
【請求項7】
前記ナノチタニアの結晶形はルチルまたはアナターゼである、
請求項6に記載のバクテリアセルロース系エアーフィルター。
【請求項8】
前記バクテリアセルロース系フィルターは不織布を含み、
前記不織布は、ナノチタニア含有ポリプロピレン短繊維と、活性炭含有再生セルロース繊維とが質量比1:(0.5~2)で混合した後、スパンレースまたはニードルパンチ加工によって得られた複合不織布である、
請求項1に記載のバクテリアセルロース系エアーフィルター。
【請求項9】
ナノチタニア含有ポリプロピレン短繊維における前記ナノチタニアの含有量が10wt%~20wt%であり、活性炭含有再生セルロース繊維における前記活性炭の含有量が20wt%~30wt%である、
請求項8に記載のバクテリアセルロース系エアーフィルター。
【請求項10】
前記再生セルロース繊維は、ビスコース繊維、バンブービスコース繊維、モダール繊維、及びリヨセル繊維の1種または複数種の組み合わせを含む、
請求項8に記載のバクテリアセルロース系エアーフィルター。
【請求項11】
前記バクテリアセルロース系フィルターが、不織布にバクテリアセルロースをバクテリア発酵によってin-situ合成したものである、請求項1に記載のバクテリアセルロース系エアーフィルターの準備方法。
【請求項12】
不織布にバクテリアセルロースをバクテリア発酵によってin-situ合成する方法は、
バクテリアセルロースを産生する菌株を選び、それを活性化してシード液に調製し、シード液を発酵培地に入れて培養し、発酵原液を調製することと、
不織布を滅菌処理後、発酵原液に浸漬し、温度を20~37℃に制御して12~72時間培養後、精製・乾燥してバクテリアセルロース系フィルターを得ること、を含む、
請求項
11に記載のバクテリアセルロース系エアーフィルター
の準備方法。
【請求項13】
バクテリアセルロースを産生する菌株は、アセトバクターキシリナム、リゾビウム属、サルシナ属、シュードモナス属、アクロモバクター属、アルカリゲネス属、アエロバクター属、及びアゾトバクター属の1種または複数種の組み合わせを含む、
請求項
12に記載のバクテリアセルロース系エアーフィルター
の準備方法。
【請求項14】
前記精製は、発酵後の複合物を10wt%~20wt%の水酸化ナトリウム水溶液で10~30分間高温蒸煮することである、
請求項
12に記載のバクテリアセルロース系エアーフィルター
の準備方法。
【請求項15】
前記乾燥は、凍結乾燥、真空乾燥または自然乾燥を含み、
前記滅菌処理は、高圧滅菌、照射滅菌、またはエチレンオキサイド滅菌を含む、
請求項
12に記載のバクテリアセルロース系エアーフィルター
の準備方法。
【請求項16】
請求項1に記載のバクテリアセルロース系エアーフィルターの、網戸、エアコンフィルター、空気浄化フィルターの製造における用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気浄化の技術分野に属し、バクテリアセルロース系エアーフィルター及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
現代社会では、人の健康を害する2つの要因には、スモッグとホルムアルデヒドがある。
【0003】
近年、空気の質が次第に悪化することにつれて、スモッグという天気現象の発生頻度がますます高くなり、不用意に人の気道や肺葉に侵入して、呼吸器系疾患、心血管系疾患、血液系疾患、生殖器系疾患などの疾患、咽頭炎、肺気腫、喘息、鼻炎、気管支炎などのような炎症を引き起こし、長期にわたってこのような環境に生活すると肺がん、心筋虚血と心肌損傷を誘発してしまう。スモッグ天気は心血管疾患を誘発しやすい。スモッグ天気では、気圧が低く、湿度が高く、人体が発汗できず、心臓疾患を誘発する可能性がますます高くなる。スモッグ天気は呼吸器疾患を誘発しやすい。スモッグには多量の粒子状物質が含まれており、一旦、重金属などの有害物質を含む粒子状物質が気道に入って肺胞に付着すると、軽度の場合では鼻炎などの鼻の病気を引き起こしてしまい、重度の場合では肺が硬化して肺がんを引き起こす可能性がある。中国では、大気汚染は主にPM2.5(微小粒子状物質)濃度によって評価される。2018年5月の世界保健機関(WHO)の予測によると、世界中で毎年約700万人の死亡が空気中の微小粒子状物質に関連しており、これらの物質が、脳卒中、心臓疾患、肺がん、慢性閉塞性肺疾患、肺炎などの呼吸器感染症を引き起こす可能性がある。
【0004】
ホルムアルデヒドは、新生児の奇形、小児白血病、青少年の記憶力と知力の低下を招く主な原因であり、WHOによって「発がん性及び催奇形性物質」として認定されている。
このことから、ホルムアルデヒドとスモッグは密に関連してつなぎ合っており、どちらも人体に大きな害を及ぼすことが判る。スモッグがひどくなると、外出を控える方も多いが、窓を開けて室内の換気をする必要があり、通常の網戸では網目の隙間が大きく、花粉やホコリ、排ガスなどの微小粒子状物質をブロックすることができない。室内でホルムアルデヒドなどの有害ガスを人体が吸い込んだ後、軽度の場合は目や鼻の調子が悪く、重度の場合はめまい、咳、呼吸困難、さらには死に至る可能性がある。
【0005】
一般的に使用される空気浄化方法には、ろ過法、吸着法、低温プラズマ浄化法、触媒浄化法、オゾン消毒法などがある。その中でも、活性炭繊維は独自の微細孔構造、超高比表面積、及びさまざまな官能基を有するので、吸着法によって空気を浄化できる。しかし、通常のろ過法や吸着法ではスモッグやホルムアルデヒドに対する浄化効果が比較的に劣り、低温プラズマ浄化法では環境条件が高く、触媒浄化法では一般的に化学反応を伴ってしまい、オゾン消毒法(オゾンは人体に有害である)では産業または医療衛生現場で使用されることが多い。これらの方法はいずれも日常の家庭での使用には適していない。
【発明の概要】
【0006】
先行技術の欠点に基づいて、本発明の1つの目的は、バクテリアセルロース系エアーフィルターを提供することである。本発明の別の目的は、網戸、エアコンフィルター、及び空気浄化フィルターの製造における該バクテリアセルロース系エアーフィルターの用途を提供することである。
【0007】
本発明の目的は、以下の技術案によって実現される。
一態様では、本発明は、
2層の高分子繊維フィルターの間に1層のバクテリアセルロース系フィルターが挟持される3層構造を含み、
前記高分子繊維フィルターが、高分子繊維の混紡糸を編成してなる均一なサイズを持つ網目フィルターであり、
前記バクテリアセルロース系フィルターが、不織布にバクテリアセルロースをバクテリア発酵によってin-situ合成したものである、バクテリアセルロース系エアーフィルターを提供する。
【0008】
本発明において、バクテリアセルロースは、新規で天然な、環境に優しく、優れた性能を持つナノ生態繊維機能材料であり、良好なナノ繊維ネットワーク構造特性を有し、既知の繊維の中で最も細く、多孔性構造、比表面積が大きい及び孔隙が多いなどの利点があり、重金属イオン、NO2、ホルムアルデヒドに対して一定の吸着性能を備えている。バクテリアセルロースをバクテリア発酵により不織布上にin-situ合成したバクテリアセルロース系フィルターと高分子繊維フィルターとからなるバクテリアセルロース系エアーフィルターは、スモッグ防止、ホルムアルデヒド除去、抗菌性能を持ち合わせた多機能エアーフィルターであり、網戸、エアコンフィルター、空気浄化フィルターなどに使用できる。本発明のバクテリアセルロース系エアーフィルターは、製造しやすくて取り扱いが便利であり、コストが低い。そして、その中のバクテリアセルロース系フィルターは機械的強度が良く、洗浄しやく、スモッグ防止、ホルムアルデヒド除去、抗菌性能などの複数の特性を有する。
【0009】
上記のバクテリアセルロース系エアーフィルターにおいて、好ましくは、前記高分子繊維フィルターの厚みが0.5~5mmであり、前記高分子繊維フィルターの網目の辺の長さが0.5~5mm(網目線の厚みを除く)であり、前記バクテリアセルロース系フィルターの厚みが1~5mmである。
【0010】
本発明のバクテリアセルロース系エアーフィルターにおいて、高分子繊維フィルター及びバクテリアセルロース系フィルターの長さ及び幅は、具体的な用途に応じて合理的に設定される。例えば、スモッグ防止網戸の製造に使用する場合、当該バクテリアセルロース系エアーフィルターを窓の端のウィンドウフレームに適正に固定するように窓のサイズに応じて設定すればよい。
【0011】
上記のバクテリアセルロース系エアーフィルターにおいて、好ましくは、巻曲げ装置を更に含む。前記巻曲げ装置は、挟持するバクテリアセルロース系フィルターの両端にそれぞれ位置し、高分子繊維フィルターに挟持されているバクテリアセルロース系フィルターの連続交換を実現するようにバクテリアセルロース系フィルターを巻き付けるための2つのリールを備えている。
【0012】
巻曲げ装置を取り付けると、高分子繊維フィルターの間に挟持されるバクテリアセルロース系フィルターの両端の露出部分をそれぞれ巻曲げ装置のリールに巻き付くことができる。リールに大量に(例えば、10~50m)バクテリアセルロース系フィルターを巻き付くことができる。バクテリアセルロース系フィルターを一定期間使用した後、両端の巻曲げ装置を回転させることで中間層であるバクテリアセルロース系フィルターを一端に巻き付くことができるため、中間層であるバクテリアセルロース系フィルターが更新される状態を維持させ、エアーフィルター全体の使用期間が延びる。
【0013】
上記のバクテリアセルロース系エアーフィルターにおいて、好ましくは、前記高分子繊維フィルターは、第1の短繊維、第2の短繊維、第3の短繊維が質量比1:(1~2):(0.3~1)で混紡糸編成されてなるものである。
前記第1の短繊維は、ポリウレタン繊維、ナイロン繊維、再生セルロース繊維、コーマ綿繊維、アセテート繊維の1種または複数種の短繊維の組み合わせを含む。
前記第2の短繊維は、微孔性ポリエステル繊維、ポリアクリロニトリル繊維、微孔性ポリカーボネート繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、及びポリテトラフルオロエチレン繊維の1種または複数種の短繊維の組み合わせを含む。
前記第3の短繊維は、ナノチタニア含有ポリエステル短繊維を含む。
上記のバクテリアセルロース系エアーフィルターにおいて、前記第1の短繊維と前記第2の短繊維に用いた材料は誘電率が異なり、2種の短繊維の誘電率が大きく異なることにより、得られた高分子繊維フィルターには静電効果が発生しやすく、ろ過効率を向上させることができる。
上記の混紡糸編成は、当該技術分野において通常の方法である。
上記のバクテリアセルロース系エアーフィルターにおいて、短繊維の長さが35~150mmである。
上記のバクテリアセルロース系エアーフィルターにおいて、好ましくは、前記第1の短繊維、前記第2の短繊維及び前記第3の短繊維の質量比が1:1:0.5である。
【0014】
上記のバクテリアセルロース系エアーフィルターにおいて、好ましくは、前記第3の短繊維における前記ナノチタニアの含有量が10wt%~20wt%である。
上記のバクテリアセルロース系エアーフィルターにおいて、好ましくは、前記ナノチタニアの結晶形が、ルチルまたはアナターゼである。
【0015】
上記のバクテリアセルロース系エアーフィルターにおいて、好ましくは、前記不織布は、ナノチタニア含有ポリプロピレン短繊維と、活性炭含有再生セルロース繊維とが質量比1:(0.5~2)で混合した後、スパンレースまたはニードルパンチ加工によって得られた複合不織布である。ポリプロピレン短繊維の長さが35~150mmである。
【0016】
上記のバクテリアセルロース系エアーフィルターにおいて、使用される不織布は、ナノチタニア含有ポリプロピレン短繊維と活性炭含有再生セルロース繊維とを混合して加工した不織布である(1)基礎材料であるポリプロピレンと再生セルロース繊維は、誘電率の差が大きい材料であり、静電効果を発生させやすく、ろ過・吸着効率を向上させられること、(2)チタニアは光触媒材料であり、光触媒機能を有する光半導体材料であり、紫外線及び可視光の作用下で、チタニアは強力な触媒分解機能を発揮し、空気中の有毒ガス及び有害ガスを効果的に分解することができるし、さまざまなバクテリアを効果的に殺すことができ、バクテリアやカビによって放出される毒素を分解及び無害化することができ、同時に、ホルムアルデヒド除去、脱臭、防汚、空気浄化機能もあること、(3)活性炭は良好な吸着材であり、ホルムアルデヒドを効果的に吸着し、脱臭もできること、など多くの利点を持っている。以上により、本発明の不織布は、静電吸着作用、光触媒作用及び物理吸着作用を効果的に組み合わせた複数の機能を有する。
【0017】
上記のバクテリアセルロース系エアーフィルターでは、3層フィルター構造にすべてがナノチタニアを含んでいる。チタニアは光触媒材料であり、光触媒機能を持つ光半導体材料である。紫外光と可視光の作用の下で、チタニアは強力な触媒分解機能を発揮でき、空気中の有毒ガス及び有害ガスを効果的に分解することができる。さまざまなバクテリアを効果的に殺すことができ、バクテリアやカビによって放出される毒素を分解及び無害化することができる。同時に、ホルムアルデヒド除去、脱臭、防汚、空気浄化機能もある。
不織布を加工するための上記のスパンレースまたはニードルパンチは、当分野において通常の方法である。
【0018】
上記のバクテリアセルロース系エアーフィルターにおいて、好ましくは、前記不織布の厚みが0.6~4.5mmである。
【0019】
上記のバクテリアセルロース系エアーフィルターにおいて、好ましくは、ナノチタニア含有ポリプロピレン短繊維における前記ナノチタニアの含有量が10wt%~20wt%であり、活性炭含有再生セルロース繊維における前記活性炭の含有量が20wt%~30wt%である。
【0020】
ナノチタニア含有ポリプロピレン短繊維及び活性炭含有再生セルロース繊維の調製では、通常の方法が用いられる。具体的には、ポリプロピレン短繊維の紡糸溶液にナノチタニアを添加してスピニング成形し、再生セルロース繊維の紡糸溶液に活性炭粒子を添加してスピニング成形する。
【0021】
上記のバクテリアセルロース系エアーフィルターにおいて、好ましくは、前記再生セルロース繊維は、ビスコース繊維、バンブービスコース繊維、モダール繊維、及びリヨセル繊維の1種または複数種の組み合わせを含む。
【0022】
上記のバクテリアセルロース系エアーフィルターにおいて、好ましくは、不織布にバクテリアセルロースをバクテリア発酵によってin-situ合成する方法は、
バクテリアセルロースを産生する菌株を選び、それを活性化してシード液が調製され、シード液を発酵培地に入れて培養し、発酵原液を調製することと、
不織布を滅菌処理後、発酵原液に浸漬し、温度を20~37℃に制御して12~72時間培養後、精製・乾燥してバクテリアセルロース系フィルターを得ること、を含む。
上記の発酵培地は、当分野においてバクテリアセルロース生産株を培養するために使用される通常の培地である。
上記のバクテリアセルロース系エアーフィルターにおいて、好ましくは、バクテリアセルロースを産生する菌株は、アセトバクターキシリナム、リゾビウム属、サルシナ属、シュードモナス属、アクロモバクター属、アルカリゲネス属、アエロバクター属、及びアゾトバクター属の1種または複数種の組み合わせを含む。
上記のバクテリアセルロース系エアーフィルターにおいて、好ましくは、前記精製は、発酵後の複合物を10~20wt%の水酸化ナトリウム水溶液で10~30分間高温蒸煮することである。
【0023】
上記のバクテリアセルロース系エアーフィルターにおいて、好ましくは、前記乾燥が、凍結乾燥、真空乾燥または自然乾燥を含む。前記滅菌処理は、高圧滅菌、照射滅菌、またはエチレンオキサイド滅菌を含む。
【0024】
上記のバクテリアセルロース系エアーフィルターにおいて、バクテリアセルロースをin-situ発酵によって不織布上で発酵して生産する。該方法は、以下の利点を有する。(1)チタニアの担持量を確保できる。チタニアの一部がポリプロピレン繊維の内部にあり、もう一部はポリプロピレン繊維の表面にある。この構造には徐放効果があり、チタニアの有効使用時間が延びる。(2)まず、ナノチタニア含有ポリプロピレン短繊維と活性炭含有再生セルロース繊維とを混合して不織布に加工し、次にバクテリアセルロースを発酵・培養する。このプロセスにより、チタニアと活性炭が繊維に付着し、脱落しにくくなることが確保される。(3)バクテリアセルロースが不織布の孔隙内で成長し、ナノスケールのセルロース繊維とマイクロスケールのポリプロピレン繊維/再生セルロース繊維との絡み合いを形成し、得られた複合材料は高強度で多機能である。(4)バクテリアセルロースにはナノフィルターの機能があり、重金属イオン、NO2、ホルムアルデヒドなどに対する一定の吸着性能を備える。同時にナノ強化効果があり、マイクロスケールのポリプロピレン繊維と絡み合い、フィルターの強度を向上させる。
【0025】
他方で、本発明はさらに、網戸、エアコンフィルター及び空気浄化フィルターの製造における上記バクテリアセルロース系エアーフィルターの用途を提供する。
【発明の効果】
【0026】
(1)本発明のバクテリアセルロース系エアーフィルターにおいて使用されるバクテリアセルロースは、新規で天然な、環境に優しく、優れた性能を持つナノ生態繊維機能材料であり、良好なナノ繊維ネットワーク構造特性を有し、既知の繊維の中で最も細く、多孔性構造、比表面積が大きい及び孔隙が多いなどの利点があり、重金属イオン、NO2、ホルムアルデヒドに対して一定の吸着性能を備えている。バクテリアセルロースをバクテリア発酵により不織布上にin-situ合成したバクテリアセルロース系フィルターと高分子繊維フィルターとからなるバクテリアセルロース系エアーフィルターは、スモッグ防止、ホルムアルデヒド除去、抗菌性能を持ち合わせた多機能エアーフィルターであり、網戸、エアコンフィルター、空気浄化フィルターなどに使用できる。本発明のバクテリアセルロース系エアーフィルターは、製造しやすくて取り扱いが便利で、コストが低い。そして、その中のバクテリアセルロース系フィルターは、良好な機械的強度を有し、洗浄しやすく、スモッグ防止、ホルムアルデヒド除去、抗菌性能などの複数の性能を有する。
【0027】
(2)本発明のバクテリアセルロース系エアーフィルターにおいて、3層フィルター構造はすべてがナノチタニアを含んでいる。チタニアは光触媒材料であり、光触媒機能を持つ光半導体材料である。紫外光と可視光の作用の下で、チタニアは強力な触媒分解機能を発揮でき、空気中の有毒ガス及び有害ガスを効果的に分解することができ、さまざまなバクテリアを効果的に殺すことができ、バクテリアやカビによって放出される毒素を分解及び無害化することができる。同時に、ホルムアルデヒド除去、脱臭、防汚、空気浄化機能もある。
【0028】
(3)本発明のバクテリアセルロース系エアーフィルターにおいて、巻曲げ装置を取り付けると、高分子繊維フィルターの間に挟持されるバクテリアセルロース系フィルターの両端の露出部分をそれぞれ巻曲げ装置のリールに巻き付くことができる。リールに大量に(例えば、10~50m)バクテリアセルロース系フィルターを巻き付くことができる。バクテリアセルロース系フィルターを一定期間使用した後、両端の巻曲げ装置を回転させることで中間層であるバクテリアセルロース系フィルターを一端に巻き付くことができるため、中間層であるバクテリアセルロース系フィルターが更新される状態を維持させ、エアーフィルター全体の使用期間が延びる。
【0029】
(4)本発明のバクテリアセルロース系エアーフィルターは、網戸、エアコンフィルター、空気浄化フィルター等に使用でき、用途が広い。
【0030】
(5)本発明のバクテリアセルロース系エアーフィルターは、より優れた粒子ろ過効果、より優れたホルムアルデヒド吸着容量、より優れた抗菌性能、及び優れた静電容量を有する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本発明の実施例におけるバクテリアセルロース系エアーフィルターの構造の概略図である。
【符号の説明】
【0032】
1.リール、2.高分子繊維フィルター、3.バクテリアセルロース系フィルター、4.高分子繊維フィルター、5.リール。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の技術特徴、目的と有利な效果をより分かりやすくするために、ここで本発明の技術案を以下のように詳しく説明するが、本発明の実施可能な範囲に対する限定だと理解すべきではない。
以下の実施例に使用される実験方法は、特に断らない限り、いずれも常法である。
以下の実施例に用いられる材料、試薬等は、特に断らない限り、いずれも商業的に入手できる。
【0034】
実施例1
本実施例は、バクテリアセルロース系エアーフィルターを提供する。
図1に示すように、該バクテリアセルロース系エアーフィルターは3層構造であり、高分子繊維フィルター2と高分子繊維フィルター4の間にバクテリアセルロース系フィルター3が挟持されている。高分子繊維フィルター2と高分子繊維フィルター4は、高分子繊維の混紡糸を編成してなる均一なサイズを持つ網目フィルターである。バクテリアセルロース系フィルター3は、不織布にバクテリアセルロースをバクテリア発酵によってin-situ合成して形成されたものである。
【0035】
本実施例の好ましい実施形態では、該バクテリアセルロース系エアーフィルターは巻曲げ装置をさらに含む。前記巻曲げ装置は、挟持したバクテリアセルロース系フィルター3の両端にそれぞれ位置し、高分子繊維フィルター2と高分子繊維フィルター4に挟持されているバクテリアセルロース系フィルター3の連続交換を実現するようにバクテリアセルロース系フィルター3を巻き付けるリール1及びリール5を含む。
【0036】
本実施例の高分子繊維フィルターの製造方法は次の通りである。
本実施例の高分子繊維フィルターは、3種の材料の短繊維を紡績して得た混紡糸であった。3種の材料はそれぞれ、ポリウレタン繊維(第1の短繊維)、微孔性ポリエステル繊維(第2の短繊維)、ナノチタニア含有ポリエステル短繊維(第3の短繊維)であった。3種の短繊維の長さはどれも38mmであった。混紡後の糸において第1の短繊維、第2の短繊維及び第3の短繊維の質量比は4:4:2であり、第3の短繊維におけるナノチタニアの含有量は10wt%であり、ナノチタニアの結晶形はアナターゼであった。混紡糸は、均一なサイズの正方形の網目を形成するように編成された。該高分子繊維フィルターは厚み0.5mmに混紡し編成したもので、高分子繊維フィルターの網目の辺の長さは0.5mmであった。
【0037】
本実施例のバクテリアセルロース系フィルターの製造方法は以下の通りである。
(1)バクテリアセルロース菌液の調製:バクテリアセルロースを産生するためにアセトバクターキシリナムを選び、それを活性化してシード液に調製した。シード液を発酵培地に入れて培養し、発酵原液を調製した。
(2)in-situ合成:不織布は、ナノチタニア含有ポリプロピレン短繊維と、活性炭含有ビスコース繊維とを質量比1:0.5で混合して、ニードルパンチにより得た不織布であった。具体的には、ナノチタニア含有ポリプロピレン短繊維におけるナノチタニアの含有量は10wt%であり、活性炭含有ビスコース繊維における活性炭の含有量は20wt%であった。不織布を高圧滅菌してから、発酵原液に浸漬し、温度20℃で72時間培養し、10wt%の水酸化ナトリウム水溶液で30分間高温蒸煮して精製し、凍結乾燥してバクテリアセルロース系フィルターを得た。
【0038】
本実施例のバクテリアセルロース系フィルターの厚みは5mmであった。両端に巻曲げ装置を設置すれば、リールへの巻き付き長さは10~50mとなり得る。バクテリアセルロース系エアーフィルターを30日間使用した後、両端の巻曲げ装置を回転させることで、中間層であるバクテリアセルロース系フィルターを一端に巻き付けるため、中間層であるバクテリアセルロース系フィルターが更新される状態を維持させ、エアーフィルター全体の使用期間が延びる。
【0039】
実施例2
本実施例は、バクテリアセルロース系エアーフィルターを提供し、その構造は実施例1のものと同じである。
【0040】
本実施例の高分子繊維フィルターの製造方法は次の通りである。
本実施例の高分子繊維フィルターは、3種の材料の短繊維を紡績して得た混紡糸であった。3種の材料はそれぞれ、ナイロン繊維(第1の短繊維)、ポリアクリロニトリル繊維(第2の短繊維)、ナノチタニア含有ポリエステル短繊維(第3の短繊維)であった。3種の短繊維の長さはどれも30mmであった。混紡後の糸において第1の短繊維、第2の短繊維及び第3の短繊維の質量比は10:10:3であり、第3の短繊維におけるナノチタニアの含有量は12wt%であり、ナノチタニアの結晶形はルチル型であった。混紡糸は、均一なサイズの正方形の網目を形成するように編成された。該高分子繊維フィルターは厚み1mmに混紡し編成したもので、高分子繊維フィルターの網目の辺の長さは0.5mmであった。
【0041】
本実施例のバクテリアセルロース系フィルターの製造方法は以下の通りである。
(1)バクテリアセルロース菌液の調製:バクテリアセルロースを産生するためにリゾビウム属及びサルシナ属を選び、それらを活性化してシード液に調製した。シード液を発酵培地に入れて培養し、発酵原液を調製した。
(2)in-situ合成:不織布は、ナノチタニア含有ポリプロピレン短繊維と、活性炭含有バンブービスコース繊維とを質量比1:1で混合して、ニードルパンチによって得た不織布であった。具体的には、ナノチタニア含有ポリプロピレン短繊維におけるナノチタニアの含有量は12wt%であり、活性炭含有バンブービスコース繊維における活性炭の含有量は25wt%であった。不織布を高圧滅菌してから、発酵原液に浸漬し、温度37℃で12時間培養し、20wt%の水酸化ナトリウム水溶液で10分間高温蒸煮して精製し、凍結乾燥してバクテリアセルロース系フィルターを得た。
【0042】
本実施例のバクテリアセルロース系フィルターの厚みは2mmであった。両端に巻曲げ装置を設置すれば、リールへの巻き付き長さは10~50mとなり得る。バクテリアセルロース系エアーフィルターを30日間使用した後、両端の巻曲げ装置を回転させることで、中間層であるバクテリアセルロース系フィルターを一端に巻き付けるため、中間層であるバクテリアセルロース系フィルターが更新される状態を維持させ、エアーフィルター全体の使用期間が延びる。
【0043】
実施例3
本実施例は、バクテリアセルロース系エアーフィルターを提供し、その構造は実施例1のものと同じである。
【0044】
本実施例の高分子繊維フィルターの製造方法は次の通りである。
本実施例の高分子繊維フィルターは、3種の材料の短繊維を紡績して得た混紡糸であった。3種の材料はそれぞれ、再生セルロース繊維(第1の短繊維)、微孔質ポリカーボネート繊維(第2の短繊維)、ナノチタニア含有ポリエステル短繊維(第3の短繊維)であった。3種の短繊維の長さはどれも51mmであった。混紡後の糸において第1の短繊維、第2の短繊維及び第3の短繊維の質量比は5:5:2であり、第3の短繊維におけるナノチタニアの含有量は14wt%であり、ナノチタニアの結晶形はアナターゼであった。混紡糸は、均一なサイズの正方形の網目を形成するように編成された。該高分子繊維フィルターは厚み3mmに混紡し編成したもので、高分子繊維フィルターの網目の辺の長さは1mmであった。
【0045】
本実施例のバクテリアセルロース系フィルターの製造方法は以下の通りである。
(1)バクテリアセルロース菌液の調製:バクテリアセルロースを産生するためにシュードモナス属及びアクロモバクター属を選び、それらを活性化してシード液に調製した。シード液を発酵培地に入れて培養し、発酵原液を調製した。
(2)in-situ合成:不織布は、ナノチタニア含有ポリプロピレン短繊維と、活性炭含有モダール繊維とを質量比1:1.5で混合して、ニードルパンチにより得た不織布であった。具体的には、ナノチタニア含有ポリプロピレン短繊維におけるナノチタニアの含有量は14wt%であり、活性炭を含むモダール繊維における活性炭の含有量は30wt%であった。不織布を高圧滅菌してから、発酵原液に浸漬し、温度30℃で36時間培養し、15wt%の水酸化ナトリウム水溶液で10分間高温蒸煮して精製し、凍結乾燥してバクテリアセルロース系フィルターを得た。
【0046】
本実施例のバクテリアセルロース系フィルターの厚みは3mmであった。両端に巻曲げ装置を設置すれば、リールへの巻き付き長さは10~50mとなり得る。バクテリアセルロース系エアーフィルターを30日間使用した後、両端の巻曲げ装置を回転させることで、中間層であるバクテリアセルロース系フィルターを一端に巻き付けるため、中間層であるバクテリアセルロース系フィルターが更新される状態を維持させ、エアーフィルター全体の使用期間が延びる。
【0047】
実施例4
本実施例は、バクテリアセルロース系エアーフィルターを提供し、その構造は実施例1のものと同じである。
【0048】
本実施例の高分子繊維フィルターの製造方法は次の通りである。
本実施例の高分子繊維フィルターは、3種の材料の短繊維を紡績して得た混紡糸であった。3種の材料はそれぞれ、コーマ綿繊維(第1の短繊維)、ポリエチレン繊維(第2の短繊維)、ナノチタニア含有ポリエステル短繊維(第3の短繊維)であった3種の短繊維の長さはどれも64mmであった。混紡後の糸において第1の短繊維、第2の短繊維及び第3の短繊維の質量比は1:1:1であり、第1の短繊維におけるナノチタニアの含有量は16wt%であり、ナノチタニアの結晶形はアナターゼであった。混紡糸は、均一なサイズの正方形の網目を形成するように編成された。該高分子繊維フィルターは厚み5mmに混紡し編成したもので、高分子繊維フィルターの網目の辺の長さは5mmであった。
【0049】
本実施例のバクテリアセルロース系フィルターの製造方法は以下の通りである。
(1)バクテリアセルロース菌液の調製:バクテリアセルロースを産生するためにアルカリゲネス属、アエロバクター属、アゾトバクター属を選び、それらを活性化してシード液に調製した。シード液を発酵培地に入れて培養し、発酵原液を調製した。
(2)in-situ合成:不織布は、ナノチタニア含有ポリプロピレン短繊維と活性炭含有リヨセル繊維とを質量比1:2で混合して、ニードルパンチにより得た不織布であった。具体的には、ナノチタニア含有ポリプロピレン短繊維におけるナノチタニアの含有量は16wt%であり、活性炭含有リヨセル繊維における活性炭の含有量は22wt%であった。不織布を高圧滅菌してから、発酵原液に浸漬し、温度25℃で24時間培養し、10wt%の水酸化ナトリウム水溶液で15分間高温蒸煮して精製し、凍結乾燥してバクテリアセルロース系フィルターを得た。
【0050】
本実施例のバクテリアセルロース系フィルターの厚みは4mmであった。両端に巻曲げ装置を設置すれば、リールへの巻き付き長さは10~50mとなり得る。バクテリアセルロース系エアーフィルターを30日間使用した後、両端の巻曲げ装置を回転させることで、中間層であるバクテリアセルロース系フィルターを一端に巻き付けるため、中間層であるバクテリアセルロース系フィルターが更新される状態を維持させ、エアーフィルター全体の使用期間が延びる。
【0051】
実施例5
本実施例は、バクテリアセルロース系エアーフィルターを提供し、その構造は実施例1のものと同じである。
【0052】
本実施例の高分子繊維フィルターの製造方法は次の通りである。
本実施例の高分子繊維フィルターは、3種の材料の短繊維を紡績して得た混紡糸であった。3種の材料はそれぞれ、アセテート繊維(第1の短繊維)、ポリプロピレン繊維(第2の短繊維)、ナノチタニア含有ポリエステル短繊維(第3の短繊維)であった。3種の短繊維の長さはどれも76mmであった。混紡後の糸において、第1の短繊維、第2の短繊維及び第3の短繊維の質量比は2:4:1であり、第3の短繊維におけるナノチタニアの含有量は18wt%であり、ナノチタニアの結晶形はアナターゼ型であった。混紡糸は、均一なサイズの正方形の網目を形成するように編成された。該高分子繊維フィルターは厚み4mmに混紡し編成したもので、高分子繊維フィルターの網目の辺の長さは0.5mmであった。
【0053】
本実施例のバクテリアセルロース系フィルターの製造方法は以下の通りである。
(1)バクテリアセルロース菌液の調製:バクテリアセルロースを産生するためにアセトバクターキシリナム及びアクロモバクター属を選び、それらを活性化してシード液に調製した。シード液を発酵培地に入れて培養し、発酵原液を調製した。
(2)in-situ合成:不織布は、ナノ酸化チタンを含むポリプロピレン短繊維と活性炭含有バンブービスコース繊維を質量比1:1で混合して、ニードルパンチによって得た不織布であった。具体的には、ナノチタニア含有ポリプロピレン短繊維におけるナノチタニアの含有量は18wt%であり、活性炭含有バンブービスコース繊維における活性炭の含有量は24wt%であった。不織布を高圧滅菌してから、発酵原液に浸漬し、温度30℃で36時間培養し、10wt%の水酸化ナトリウム水溶液で30分間高温蒸煮して精製し、凍結乾燥してバクテリアセルロース系フィルターを得た。
【0054】
本実施例のバクテリアセルロース系フィルターの厚みは1mmであった。両端に巻曲げ装置を設置すれば、リールへの巻き付き長さは10~50mとなり得る。バクテリアセルロース系エアーフィルターを30日間使用した後、両端の巻曲げ装置を回転させることで、中間層であるバクテリアセルロース系フィルターを一端に巻き付けるため、中間層であるバクテリアセルロース系フィルターが更新される状態を維持させ、エアーフィルター全体の使用期間が延びる。
【0055】
実施例6
本実施例は、バクテリアセルロース系エアーフィルターを提供し、その構造は実施例1のものと同じである。
【0056】
本実施例の高分子繊維フィルターの製造方法は次の通りである。
本実施例の高分子繊維フィルターは、3種の材料の短繊維を紡績して得た混紡糸であった。3種の材料はそれぞれ、ポリウレタン繊維(第1の短繊維)、微多孔性ポリエステル繊維とポリテトラフルオロエチレン繊維(第2の短繊維:微多孔性ポリエステル繊維とポリテトラフルオロエチレン繊維の質量比が10:1であった)、及びナノチタニア含有ポリエステル短繊維(第3の短繊維)であった。3種の短繊維の長さはどれも150mmであった。混紡後の糸において第1の短繊維、第2の短繊維及び第3の短繊維の質量比は1:2:1であり、第3の短繊維におけるナノチタニアの含有量は20wt%であり、ナノチタニアの結晶形はルチル型であった。混紡糸は、均一なサイズの正方形の網目を形成するように編成された。該高分子繊維フィルターは厚み0.5mmに混紡し編成したもので、高分子繊維フィルターの網目の辺の長さは5mmであった。
【0057】
本実施例のバクテリアセルロース系フィルターの製造方法は以下の通りである。
(1)バクテリアセルロース菌液の調製:バクテリアセルロースを産生するためにアセトバクターキシリナム及びアクロモバクター属を選び、それらを活性化してシード液に調製した。シード液を発酵培地に入れて培養し、発酵原液を調製した。
(2)in-situ合成:不織布は、ナノチタニア含有ポリプロピレン短繊維と、活性炭含有モダール繊維とを質量比1:1で混合して、ニードルパンチにより得た不織布であった。具体的には、ナノチタニア含有ポリプロピレン短繊維におけるナノチタニアの含有量は20wt%であり、活性炭含有モダール繊維における活性炭の含有量は26wt%であった。不織布を高圧滅菌してから、発酵原液に浸漬し、温度35℃で72時間培養し、20wt%の水酸化ナトリウム水溶液で30分間高温蒸煮して精製し、凍結乾燥してバクテリアセルロース系フィルターを得た。
【0058】
本実施例のバクテリアセルロース系フィルターの厚みは3mmであった。両端に巻曲げ装置を設置すれば、リールへの巻き付き長さは10~50mとなり得る。バクテリアセルロース系エアーフィルターを30日間使用した後、両端の巻曲げ装置を回転させることで、中間層であるバクテリアセルロース系フィルターを一端に巻き付けるため、中間層であるバクテリアセルロース系フィルターが更新される状態を維持させ、エアーフィルター全体の使用期間が延びる。
【0059】
実施例7
本実施例は、バクテリアセルロース系エアーフィルターを提供し、その構造は実施例1のものと同じである。
【0060】
本実施例の高分子繊維フィルターの製造方法は次の通りである。
本実施例の高分子繊維フィルターは、3種の材料の短繊維を紡績して得た混紡糸であった。3種の材料はそれぞれ、再生セルロース繊維とコーマ綿繊維(再生セルロース繊維とコーマ綿繊維との質量比が5:5である第1の短繊維)、微孔性ポリエステル繊維(第2の短繊維)、ナノチタニア含有ポリエステル短繊維(第3の短繊維)であった。3種の短繊維の長さはどれも38mmであった。混紡後の糸の比率は10:10:7であり、第3の短繊維におけるナノチタニアの含有量は12wt%であり、ナノチタニアの結晶形はルチル型であった。混紡糸は、均一なサイズの正方形の網目を形成するように編成された。該高分子繊維フィルターは厚み2mmに混紡し編成したもので、高分子繊維フィルターの網目の辺の長さは2mmであった。
【0061】
本実施例のバクテリアセルロース系フィルターの製造方法は以下の通りである。
(1)バクテリアセルロース菌液の調製:バクテリアセルロースを産生するためにアセトバクターキシリナム及びシュードモナス属を選し、それらを活性化してシード液に調製した。シード液を発酵培地に入れて培養し、発酵原液を調製した。
(2)in-situ合成:不織布は、ナノチタニア含有ポリプロピレン短繊維と、活性炭含有モダール繊維とを質量比1:0.5で混合して、ニードルパンチにより得た不織布であった。具体的には、ナノチタニア含有ポリプロピレン短繊維におけるナノチタニアの含有量は10wt%であり、活性炭含有モダール繊維における活性炭の含有量は28wt%であった。不織布を高圧滅菌してから、発酵原液に浸漬し、温度37℃で72時間培養し、20wt%の水酸化ナトリウム水溶液で30分間高温蒸煮して精製し、凍結乾燥してバクテリアセルロース系フィルターを得た。
【0062】
本実施例のバクテリアセルロース系フィルターの厚みは5mmであった。両端に巻曲げ装置を設置すれば、リールへの巻き付き長さは10~50mとなり得る。バクテリアセルロース系エアーフィルターを30日間使用した後、両端の巻曲げ装置を回転させることで、中間層であるバクテリアセルロース系フィルターを一端に巻き付けるため、中間層であるバクテリアセルロース系フィルターが更新される状態を維持させ、エアーフィルター全体の使用期間が延びる。
【0063】
性能テスト実験:
(1)ろ過効果とホルムアルデヒド除去テスト実験
実施例1で製造されたバクテリアセルロース系エアーフィルターに対して、ろ過効果及びホルムアルデヒド除去のテストを行い、実験結果を下記の表1に示した。
【0064】
【0065】
表1の実験結果から、前記3層構造のバクテリアセルロース系エアーフィルターは、0.3~10μmの粒子をろ過するろ過効率≧94%、圧力損失が20Paであり、強力が(横方向≧1250N、縦方向≧1150N)であり、ホルムアルデヒド吸着容量≧6mg/g。
【0066】
(2)抗菌テスト実験
GB/T 20944.3-2008 テキスタイルの抗菌性能の評価 第3部:振動法に準じて、実施例1のバクテリアセルロース系エアーフィルター全体の抗菌性能をテストしたところ、大腸菌、黄色ブドウ球菌に対する抗菌率は99%以上にも至った。
【0067】
(3)静電テスト実験
静電テスト:テストによると、バクテリアセルロース系エアーフィルターの摩擦電位は12kVであり、摩擦電荷密度は16μC/m2であり、半減期は92秒であり、静電容量は良好で、電荷は散逸しにくい。200回洗浄後、データに目立った変化はなかった。