(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】化粧料用ラベル、化粧料用ラベルの製造方法、及び、化粧皿の製造方法
(51)【国際特許分類】
A45D 33/00 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
A45D33/00 615C
A45D33/00 615Z
(21)【出願番号】P 2023038095
(22)【出願日】2023-03-10
【審査請求日】2023-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】592042750
【氏名又は名称】株式会社アルビオン
(74)【代理人】
【識別番号】100122541
【氏名又は名称】小野 友彰
(72)【発明者】
【氏名】長田 達明
(72)【発明者】
【氏名】堀 誉子
(72)【発明者】
【氏名】杉田 朋史
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-127912(JP,U)
【文献】登録実用新案第3145662(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料に関して法令上必要な告知情報が表面に記載された基材と、前記基材の裏面に設けられた粘着層とを備えるラベル本体と、
前記ラベル本体の前記粘着層を被覆する剥離紙と、
薄板状の磁石又は磁石に吸着可能な強磁性体で形成された薄板状の吸着体と、を有し、
前記剥離紙は、前記磁石又は前記吸着体の形状に対応した形状でなる穴部を備え、
前記磁石又は前記吸着体は、前記剥離紙の前記穴部を介して、前記ラベル本体の前記粘着層に固着されていること
を特徴とする化粧料用ラベル。
【請求項2】
前記剥離紙の前記穴部は、前記ラベル本体の中心部に対応する位置に形成され、前記磁石又は前記吸着体は、前記穴部を介して、前記ラベル本体の中心部に固着されていることを特徴とする請求項
1に記載の化粧料用ラベル。
【請求項3】
化粧料に関して法令上必要な告知情報が表面に記載された基材と、前記基材の裏面に設けられた粘着層とを備えるラベル本体を、前記ラベル本体の前記粘着層を被覆する剥離紙の上に形成するラベル本体形成工程と、
前記剥離紙に穴部を形成するための穴部形成工程と、
薄板状の磁石又は磁石に吸着可能な強磁性体で形成された薄板状の吸着体を、前記穴部形成工程により形成された前記剥離紙の前記穴部を介して、前記ラベル本体の前記粘着層に固着する固着工程と
を有すること
を特徴とする化粧料用ラベルの製造方法。
【請求項4】
化粧料に関して法令上必要な告知情報が表面に記載された基材と、前記基材の裏面に設けられた粘着層とを備えるラベル本体を、前記ラベル本体の前記粘着層を被覆する剥離紙の上に形成するラベル本体形成工程と、
前記剥離紙に穴部を形成するための穴部形成工程と、
薄板状の磁石又は磁石に吸着可能な強磁性体で形成された薄板状の吸着体を、前記穴部形成工程により形成された前記剥離紙の前記穴部を介して、前記ラベル本体の前記粘着層に固着する固着工程と、
底面及び前記底面の周縁部から立ち上がる側壁により構成される化粧料保持体の前記底面の外面に、前記剥離紙が剥離された前記ラベル本体を貼付する貼付工程と
を有することを特徴とする化粧皿の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧皿、化粧料容器、及び、化粧料用ラベル、並びに、化粧料用ラベルの製造方法、及び、化粧皿の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ファンデーションのような化粧料は、打型や湿式充填等の方法で固化された状態で化粧皿(中皿)に充填され、この化粧皿を化粧料容器(コンパクト容器)に固着して使用されるものが多く知られている。
【0003】
また、そのような化粧料容器においては、化粧料が使い切られた化粧皿を、化粧料が充填された新しい化粧皿に交換可能とするために、磁石を用いて化粧皿を着脱可能に固着する構成のものも多く知られている。
【0004】
その一例として、特許文献1では、化粧料容器に鉄板等の磁性体を貼り付け、化粧皿の裏面に磁石を貼り付けた構成が提案されている。また、特許文献2では、化粧料容器に磁石を埋め込み、化粧皿の裏面に設けられた凹所にステンレス製の強磁性体部材を接着により貼り付ける構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開昭58-64208号公報
【文献】特開2020-81766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に係る化粧料容器によると、化粧皿の裏面の全面に貼り付けるための磁石及び接着剤等の貼付手段を用意する必要があるため、製造コストが増大するという問題があった。また、化粧皿の裏面に磁石を貼り付けるという工程が必要なものであった。
【0007】
一方、特許文献2に係る化粧料容器によると、薄板状の強磁性体部材を収容できる凹所を化粧皿の裏面に形成する必要があるため、予め専用の化粧皿を設計及び製造しておく必要があり、凹所が形成されていない製造済みの化粧皿を用いることはできないという点で、汎用性を欠くという問題があった。また、化粧皿の裏面に強磁性部材を接着により貼り付けるという工程が必要なものであった。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、化粧皿及び化粧料容器の薄型化、並びに、製造コスト及び製造工数を削減することが可能な化粧皿、化粧料容器、及び、化粧料用ラベル、並びに、化粧料用ラベルの製造方法、及び、化粧皿の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明に係る第1の化粧皿は、底面及び前記底面の周縁部から立ち上がる側壁により構成される化粧料保持体と、前記化粧料保持体に保持される化粧料に関して法令上必要な告知情報が表面に記載された基材、及び、前記基材の裏面に設けられた粘着層を備えたラベル本体と、磁石に吸着可能な強磁性体で形成された薄板状の吸着体と、を有し、前記ラベル本体は、前記粘着層によって前記底面の外面に貼付されており、前記吸着体は、前記ラベル本体の前記粘着層と前記底面の前記外面との間に配置されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る第2の化粧皿は、前記第1の化粧皿における前記吸着体が、前記粘着層によって前記ラベル本体の中心部に固着されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る第3の化粧皿は、前記第1又は前記第2の化粧皿における前記底面の前記外面が平面で構成されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る第4の化粧皿は、底面及び前記底面の周縁部から立ち上がる側壁により構成される化粧料保持体と、前記化粧料保持体に保持される化粧料に関して法令上必要な告知情報が表面に記載された基材及び前記基材の裏面に設けられた粘着層を備えたラベル本体と、薄板状の磁石と、を有し、前記ラベル本体は、前記粘着層によって前記底面の外面に貼付されており、前記磁石は、前記ラベル本体の前記粘着層と前記底面の前記外面との間に配置されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る第1の化粧料容器は、少なくとも、化粧料が保持される化粧皿と、前記化粧皿を収容する容器本体と、を備え、前記化粧皿は、底面及び前記底面の周縁部から立ち上がる側壁により構成される化粧料保持体と、前記化粧料保持体に保持される化粧料に関して法令上必要な告知情報が表面に記載された基材及び前記基材の裏面に設けられた粘着層を備えたラベル本体と、磁石に吸着可能な強磁性体で形成された薄板状の吸着体と、を有し、前記ラベル本体は、前記粘着層によって前記底面の外面に貼付されており、前記吸着体は、前記ラベル本体の前記粘着層と前記底面の前記外面との間に配置され、前記容器本体には、前記化粧皿の前記吸着体に対応する位置に磁石が設けられていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る第2の化粧料容器は、前記第1の化粧料容器における前記吸着体が、前記粘着層によって前記ラベル本体の中心部に固着されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る第3の化粧料容器は、前記第1又は第2の化粧料容器における前記化粧料保持体の前記底面の前記外面が平面で構成されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る第4の化粧料容器は、少なくとも、化粧料が保持される化粧皿と、前記化粧皿を収容する容器本体と、を備え、前記化粧皿は、底面及び前記底面の周縁部から立ち上がる側壁により構成される化粧料保持体と、前記化粧料保持体に保持される化粧料に関して法令上必要な告知情報が表面に記載された基材及び前記基材の裏面に設けられた粘着層を備えたラベル本体と、薄板状の磁石と、を有し、前記ラベル本体は、前記粘着層によって前記底面の外面に貼付されており、前記磁石は、前記ラベル本体の前記粘着層と前記底面の前記外面との間に配置され、前記容器本体には、前記化粧皿の前記磁石に対応する位置に、前記磁石に吸着可能な強磁性体で形成された薄板状の吸着体が設けられていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る第1の化粧料用ラベルは、化粧料に関して法令上必要な告知情報が表面に記載された基材と、前記基材の裏面に設けられた粘着層とを備えるラベル本体と、
前記ラベル本体の前記粘着層を被覆する剥離紙と、薄板状の磁石又は磁石に吸着可能な強磁性体で形成された薄板状の吸着体と、を有し、前記剥離紙は、前記磁石又は前記吸着体の形状に対応した形状でなる穴部を備え、前記磁石又は前記吸着体は、前記剥離紙の前記穴部を介して、前記ラベル本体の前記粘着層に固着されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る第2の化粧料用ラベルは、前記第1の化粧料用ラベルにおける前記剥離紙の前記穴部が、前記ラベル本体の中心部に対応する位置に形成され、前記磁石又は前記吸着体は、前記穴部を介して、前記ラベル本体の中心部に固着されていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る化粧料用ラベルの製造方法は、化粧料に関して法令上必要な告知情報が表面に記載された基材と、前記基材の裏面に設けられた粘着層とを備えるラベル本体を、前記ラベル本体の前記粘着層を被覆する剥離紙の上に形成するラベル本体形成工程と、前記剥離紙に穴部を形成するための穴部形成工程と、薄板状の磁石又は磁石に吸着可能な強磁性体で形成された薄板状の吸着体を、前記穴部形成工程により形成された前記剥離紙の前記穴部を介して、前記ラベル本体の前記粘着層に固着する固着工程とを有することを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る化粧皿の製造方法は、化粧料に関して法令上必要な告知情報が表面に記載された基材と、前記基材の裏面に設けられた粘着層とを備えるラベル本体を、前記ラベル本体の前記粘着層を被覆する剥離紙の上に形成するラベル本体形成工程と、前記剥離紙に穴部を形成するための穴部形成工程と、薄板状の磁石又は磁石に吸着可能な強磁性体で形成された薄板状の吸着体を、前記穴部形成工程により形成された前記剥離紙の前記穴部を介して、前記ラベル本体の前記粘着層に固着する固着工程と、底面及び前記底面の周縁部から立ち上がる側壁により構成される化粧料保持体の前記底面の外面に、前記剥離紙が剥離された前記ラベル本体を貼付する貼付工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、化粧皿及び化粧料容器の薄型化、並びに、製造コスト及び製造工数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係る化粧皿及び化粧料容器を示す図であり、(a)は、化粧皿と化粧料容器の容器本体とを模式的に示す断面図、(b)は、(a)の化粧皿の部分拡大断面図、(c)は、化粧皿が装着された化粧料容器を模式的に示す断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る化粧皿の製造工程を示す図であり、(a)は、化粧料が充填された化粧料保持体を示す斜視図、(b)は、化粧料保持体の底面にラベル本体を貼付する前の状態を示す斜視図、(c)は、化粧皿の背面側からみた斜視図、(d)は、化粧皿の平面側からみた斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る化粧料用ラベルを示す図であり、(a)は表面図、(b)は裏面図である。
【
図4】
図3のA-A線における断面を模式的に示した拡大断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る化粧料用ラベルの製造工程を示す図であり、(a)は、剥離紙上にラベル本体が設けられた状態を示す表面図、(b)は、剥離紙上に穴部形成用の切り込みが形成された状態を示す裏面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る化粧料用ラベルの製造工程を示す図であり、(a)は、剥離紙上に形成された切り込みに沿って穴部を形成する工程を示す裏面図、(b)は、剥離紙の穴部に吸着体を固着する工程を示す裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係る化粧皿、化粧料容器、化粧料用ラベル、並びに、化粧料用ラベルの製造方法、及び、化粧皿の製造方法について、図面を参照して説明する。本発明に係る化粧皿は、一例としてファンデーションのような固形粉末化粧料を保持するためのものであり、特にリフィル用の化粧皿として好適なものである。
【0024】
本実施形態に係る化粧皿は、底面及び前記底面の周縁部から立ち上がる側壁により構成される化粧料保持体と、前記化粧料保持体に保持される化粧料に関して法令上必要な告知情報が表面に記載された基材及び前記基材の裏面に設けられた粘着層を備えたラベル本体と、磁石に吸着可能な強磁性体で形成された薄板状の吸着体と、を有し、前記ラベル本体は、前記粘着層によって前記底面の外面に貼付されており、前記吸着体は、前記ラベル本体の前記粘着層と前記底面の前記外面との間に配置されたものである。
【0025】
また、本実施形態に係る化粧料容器は、少なくとも、化粧料が保持される化粧皿と、前記化粧皿を収容する容器本体と、を備え、前記化粧皿は、底面及び前記底面の周縁部から立ち上がる側壁により構成される化粧料保持体と、前記化粧料保持体に保持される化粧料に関して法令上必要な告知情報が表面に記載された基材及び前記基材の裏面に設けられた粘着層を備えたラベル本体と、磁石に吸着可能な強磁性体で形成された薄板状の吸着体と、を有し、前記ラベル本体は、前記粘着層によって前記底面の外面に貼付されており、前記吸着体は、前記ラベル本体の前記粘着層と前記底面の前記外面との間に配置され、前記容器本体には、前記化粧皿の前記吸着体に対応する位置に磁石が設けられたものである。
【0026】
更に、本実施形態に係る化粧料用ラベルは、化粧料に関して法令上必要な告知情報が表面に記載された基材と前記基材の裏面に設けられた粘着層とを備えるラベル本体と、前記ラベル本体の前記粘着層を被覆する剥離紙と、磁石に吸着可能な強磁性体で形成された薄板状の吸着体と、を有し、前記剥離紙は、前記吸着体の形状に対応した形状でなる穴部を備え、前記吸着体は、前記剥離紙の前記穴部を介して、前記ラベル本体の前記粘着層に固着されたものである。
【0027】
まずは、本実施形態に係る化粧皿及び化粧料容器について、
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る化粧皿及び化粧料容器を示す図であり、(a)は、化粧皿と化粧料容器の容器本体とを模式的に示す断面図、(b)は、(a)の化粧皿の部分拡大断面図、(c)は、化粧皿が装着された化粧料容器を模式的に示す断面図、
図2は、本発明の実施形態に係る化粧皿の製造工程を示す図であり、(a)は、化粧料が充填された化粧料保持体を示す斜視図、(b)は、化粧料保持体の底面にラベル本体を貼付する前の状態を示す斜視図、(c)は、化粧皿の背面側からみた斜視図、(d)は、化粧皿の平面側からみた斜視図である。
【0028】
<化粧皿>
図1(a)に示すように、本実施形態に係る化粧皿1は、化粧料保持体10と、ラベル本体30と、吸着体40と、を備える。
【0029】
化粧料保持体10は、充填された化粧料を保持するものであって、
図1(a)に示すように、底面11と、底面11の周縁部から立ち上げて形成された側壁12とを備えて構成される。
【0030】
化粧料保持体10は、一例としてアルミニウムにより扁平な皿状に一体成形したものを用いることができるが、本発明においては特に限定されるものではない。
【0031】
図2においては、化粧料保持体10は、平面視、一例として略角丸四角形状に形成されたものを表しているが、化粧料保持体10の外形形態は特に限定されるものではない。
【0032】
化粧料保持体10の底面11の外面11aは、
図1(a)及び
図2(b)に示すように、平面で構成されたものでよい。即ち、化粧料保持体10の底面11に、吸着体40を収容するための凹所を設ける必要がない。
【0033】
ラベル本体30は、
図1(b)に示すように、基材31と粘着層32とを備える。
【0034】
基材31としては、例えば、樹脂製の基材、紙製の基材が挙げられる。樹脂製の基材31としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリプロピレン樹脂等を含んで構成された基材が挙げられる。一方、紙製の基材31としては、例えば、上質紙、クラフト紙、再生紙、コート紙などが挙げられる。紙製の基材31の厚さは、例えば、10μm以上200μm以下の範囲が挙げられる。
【0035】
各図において、基材31は、一例として矩形に形成されたものを図示するが、角丸矩形、円形、楕円形など、その他の任意の形状を採用することができ、基材31の形状は特に限定されるものではない。
【0036】
基材31の表面31aには、化粧料保持体10に保持される化粧料に関して法令上必要な告知情報が記載されている。この告知情報の記載は、印刷によるものが好適であるが、特に限定されるものではない。
【0037】
化粧料に関して法令上必要な告知情報は、内容物である化粧料(化粧品)に関して表示することが法令上義務付けられている情報(責任表示又は法定表示ともいう。)である。一例として、製造販売業者の氏名又は名称及び住所、製品の名称、製造番号、成分の名称、内容量、原産国名、問い合わせ先、使用期限などが挙げられる。
【0038】
ラベル本体30は、
図1及び
図2に示すように、化粧料保持体10の底面11の外面11aの外形よりも小さく形成されている。
【0039】
基材31の裏面(表面31aと反対側の面)には粘着層32が設けられている。
【0040】
粘着層32は、粘着剤で構成されている。粘着剤としては、例えば、アクリル系、ポリエステル系、ウレタン系、シリコーン系、天然ゴム系、合成ゴム系の接着剤など、各種の粘着剤が挙げられる。粘着層32の厚さは、例えば、10μm以上100μm以下の範囲が挙げられる。
【0041】
吸着体40は、後述の磁石Mに吸着可能な強磁性体材料で形成された薄板状の小片である。強磁性体には、鉄、又はマルテンサイト系、フェライト系若しくはオーステナイト・フェライト系のステンレスのほか、コバルト、ニッケル又はそれらの合金(パーマロイ等)、フェライト等が挙げられる。
【0042】
吸着体40は、ラベル本体30の外形よりも小さく形成されている。
【0043】
吸着体40の厚さは、特に制限はないが、例えば100μm以上1000μm以下の範囲が挙げられる。
【0044】
図1(b)に示すように、ラベル本体30は、粘着層32によって化粧料保持体10の底面11の外面11aに貼付されている。特に、ラベル本体30は、ラベル本体30の中心部と、化粧料保持体10の底面11の外面11aの中心部とを一致させて、底面11の外面11aに貼付されるのが好ましい。
【0045】
また、
図1(b)に示すように、吸着体40の一方の面は、粘着層32によってラベル本体30の裏面中心部に固着されており、吸着体40の他方の面は、化粧料保持体10の底面11の外面11aに当接されている。即ち、吸着体40と化粧料保持体10との間は、接着剤や両面テープなどの接着手段が介在しておらず、互いに直接接着されているものではない。
【0046】
従って、吸着体40は、吸着体40の中心部と、ラベル本体30の中心部と、化粧料保持体10の底面11の外面11aの中心部とが一致した状態で、ラベル本体30の粘着層32と、化粧料保持体10の底面11の外面11aとの間に配置される。
【0047】
<化粧料容器>
図1(c)に示すように、本実施形態に係る化粧料容器100は、少なくとも、化粧皿1と容器本体110とを備える。
【0048】
容器本体110は、化粧皿1を収容するものであって、
図1(a)及び(c)に示すように、化粧皿1が置かれる底面111と、底面111の周縁部から立ち上げて形成された側壁112とを備えて構成される。
【0049】
容器本体110は、一例として合成樹脂製とすることができるが、本発明においては特に限定されるものではない。
【0050】
なお、
図1では図示を省略しているが、化粧料容器100は、容器本体110の上面開口を閉塞可能にする蓋体を設けてもよいことは言うまでもない。この場合、容器本体110と蓋体とを蝶番部によって連結して、この蝶番部を中心にして蓋体が容器本体110を開閉することができる構成とするのが好適である。
【0051】
図1(a)及び(c)に示すように、容器本体110には、化粧皿1の吸着体40に対応する位置に磁石Mが設けられている。
【0052】
磁石Mは、一例としては薄板状の形状で構成され、
図1(a)及び(c)の上下方向に着磁されている。磁石Mは、例えばフェライト磁石やネオジウム磁石等を用いることができる。
【0053】
本実施形態において、磁石Mは、容器本体110の底面111の内面に設けられた凹部111aに埋められて固定されている。なお、凹部111aに対する磁石Mの固定方法は、接着剤や両面テープによる接着、アンダーカット係合など、着脱困難なものが好ましい。
【0054】
図1(a)及び(c)に示すように、磁石Mは、その磁力によって吸着体40をより確実に吸着させるために、容器本体110が化粧皿1を収容した場合に、化粧皿1の吸着体40に対応する位置に設けられる。
【0055】
特に、磁石Mは、化粧料容器100の容器本体110のうち、化粧皿1が載置される部位の中心部に設けるのが好ましい。これにより、磁石Mの中心部と吸着体40の中心部とが一致するように磁石Mと吸着体40とが重なるため、磁石Mは、その磁力によって吸着体40をより強固に吸着し、化粧皿1を固定させることが可能となる。
【0056】
上記のように構成された化粧皿1及び化粧料容器100では、比較的安価なステンレスなどの強磁性体材料により薄板状に形成された小片である吸着体40を用いればよいので、従来のように比較的高価な磁石を化粧料保持体10の裏面の全体に貼り付ける必要がなく、化粧皿及び化粧料容器の薄型化、並びに、製造コストを低減させることができる。
【0057】
また、本実施形態に係る化粧皿1及び化粧料容器100によれば、吸着体40が、化粧料保持体10に対して、法令上必要な告知情報が記載されたラベル本体30によって固着される。これにより、化粧料の法定表示の義務が果たされると同時に、接着剤や両面テープなどによって吸着体40を化粧料保持体10に直接貼り付ける必要がなくなるため、化粧皿及び化粧料容器の薄型化、並びに、製造コスト及び製造工数を削減することができる。
【0058】
更に、本実施形態に係る化粧皿1及び化粧料容器100によれば、化粧料保持体10の底面11に、吸着体40を収容するための凹所を設ける必要がないため、底面が平面で構成された一般的な化粧皿に広く適用でき、化粧皿1や化粧料容器100の製造に際して専用の化粧皿を設計及び製造する必要がなく、製造コストを抑えることができる。
【0059】
<化粧料用ラベル>
次に、本実施形態に係る化粧料用ラベル20について、
図3及び
図4を参照して説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る化粧料用ラベルを示す図であり、(a)は表面図、(b)は裏面図、
図4は、
図3のA-A線における断面を模式的に示した拡大断面図である。
【0060】
本実施形態に係る化粧料用ラベル20は、
図3及び
図4に示すように、ラベル本体30と、剥離紙50と、吸着体40とを備える。
【0061】
ラベル本体30は、上記の通り、化粧料に関して法令上必要な告知情報が表面31aに記載された基材31と、基材31の裏面に設けられた粘着層32と、を備えるものである。これらの構成については上記と同様であるためその詳細な説明は省略する。
【0062】
剥離紙50は、ラベル本体30の粘着層32を被覆して保護するものである。
【0063】
剥離紙50は、粘着層32の基材31と接する面とは反対側の面の上に設けられている。剥離紙50としては、例えばグラシン紙のような高密度原紙、クレーコート紙、クラフト紙、上質紙等の紙にポリエチレン樹脂等をラミネートしたラミネート紙、又はポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリオレフィン等のプラスチックフィルムに、フッ素樹脂やシリコーン樹脂等の剥離剤を塗布し、熱硬化や紫外線硬化等によって剥離層を設けたもの等が挙げられる。
【0064】
剥離紙50の厚さは、特に制限はないが、例えば10μm以上200μm以下の範囲が挙げられる。
【0065】
図3(a)及び
図4に示すように、剥離紙50の剥離層が形成されている側である表面50aには、粘着層32、基材31の順に積層されたラベル本体30が1以上形成されている。
【0066】
剥離紙50は、
図3(b)及び
図4に示すように、ラベル本体30と重なる部位に穴部51が形成されている。この穴部51は、ラベル本体30の中心部に対応する位置に形成されることが好ましい。
【0067】
穴部51は、吸着体40の形状に対応した形状、例えば、吸着体40の外形と同一の形状、又は、吸着体40の外形よりも僅かに大きい形状で形成されている。
【0068】
吸着体40は、上述の通り、強磁性体で形成された薄板状の小片であり、その構成については上記と同様であるためその詳細な説明は省略する。
【0069】
図3(b)及び
図4に示すように、吸着体40は、剥離紙50の穴部51を介して、ラベル本体30の粘着層32に固着されている。吸着体40は、ラベル本体30の中心部に対応する位置に形成された穴部51を介して、ラベル本体30の中心部に固着されていることが好ましい。
【0070】
図3に示すように、化粧料用ラベル20は、帯状に形成された剥離紙50の上に、断続的に複数のラベル本体30が一列に設けられた連続構成としてもよいが、これに限られない。例えば、矩形状に形成された剥離紙50の上に、複数のラベル本体30が縦方向及び横方向に配列されて設けられた化粧料用ラベル20として構成してもよい。また、剥離紙50の上に1枚のラベル本体30が設けられた単数構成の化粧料用ラベル20としてもよい。
【0071】
上記のように構成された化粧料用ラベル20によれば、吸着体40が穴部51を介してラベル本体30に予め固着されているので、ラベル本体30を剥離紙50から剥離して、そのまま化粧料保持体10に貼付するだけで、吸着体40を化粧料保持体10に対して取り付けることもできる。これにより、化粧料の法定表示の義務が果たされると同時に、接着剤や両面テープなどによって吸着体40を化粧料保持体10に直接貼り付ける必要がなくなるため、化粧皿及び化粧料容器の薄型化、並びに、製造コスト及び製造工数を削減することができる。
【0072】
また、本実施形態に係る化粧料用ラベル20によれば、吸着体40は、剥離紙50の穴部51を介してラベル本体30の中心部に固着されている。そのため、剥離紙50から剥離したラベル本体30を化粧料保持体10の底面11の外面11aの中心部に貼付するだけで、吸着体40は、吸着体40の中心部と、ラベル本体30の中心部と、化粧料保持体10の底面11の外面11aの中心部とが一致した状態で、ラベル本体30の粘着層32と、化粧料保持体10の底面11の外面11aとの間に配置される。すなわち、化粧料用ラベル20によれば、化粧皿1及び化粧料容器100の製造時に、吸着体40と化粧料保持体10とのセンタリング、ひいては吸着体40と化粧料容器100の磁石Mとのセンタリングを図り易いものとなる。
【0073】
更に、本実施形態に係る化粧料用ラベル20によれば、底面が平面で構成された一般的な化粧皿に広く適用でき、化粧皿1や化粧料容器100の製造に際して専用の化粧皿を設計及び製造する必要がなく、製造コストを抑えることができる。
【0074】
<化粧料用ラベルの製造方法>
次に、本実施形態に係る化粧料用ラベル20の製造方法について、
図5及び
図6を参照して説明する。
図5は、本発明の実施形態に係る化粧料用ラベルの製造工程を示す図であり、(a)は、剥離紙上にラベル本体が設けられた状態を示す表面図、(b)は、剥離紙上に穴部形成用の切り込みが形成された状態を示す裏面図、
図6は、本発明の実施形態に係る化粧料用ラベルの製造工程を示す図であり、(a)は、剥離紙上に形成された切り込みに沿って穴部を形成する工程を示す裏面図、(b)は、剥離紙の穴部に吸着体を固着する工程を示す裏面図である。
【0075】
最初に、いわゆるタック紙とも称される粘着ラベル用紙(剥離紙及び粘着層付きの基材)に対して、レイアウトされた所定の告知情報を印刷する。印刷後、必要に応じて箔押し加工、エンボス加工、ニス加工、ラミネート加工を施してもよい。次に、個々のラベル本体30を形成するための刃型(平抜き刃又はロール刃)を用いて、剥離紙50を切らずに基材30のみを抜く(ハーフカットする)ための抜き加工を行う。その後、ラベル本体30の領域を残して、その周囲の不要な基材(及び粘着層)を取り除く(カス上げ)。
【0076】
このようにして、
図5(a)に示すように、化粧料に関して法令上必要な告知情報が表面31aに記載された基材31と、基材31の裏面に設けられた粘着層32とを備えるラベル本体30を、ラベル本体30の粘着層32を被覆する剥離紙50の表面50aに形成する(ラベル本体形成工程)。
【0077】
次に、
図5(b)に示すように、剥離紙50のうち、ラベル本体30と重なる部位、とりわけラベル本体30の中心部に対応する位置に、吸着体40の形状に対応した形状で、ラベル本体30を切らずに剥離紙50のみを抜く(ハーフカットする)ための刃型(平抜き刃又はロール刃)を用いて、剥離紙50の裏面50b側から抜き加工を行い、剥離紙50に切り込みCを形成する。その後、
図6(a)に示すように、剥離紙50のうち、切り込みCで囲繞された部位を取り除き、穴部51を形成する。この穴部51においては、ラベル本体30の粘着層32が露出した状態となる。
【0078】
このようにして、
図5(b)及び
図6(a)に示すように、剥離紙50に穴部51を形成する(穴部形成工程)。
【0079】
最後に、強磁性体で形成された薄板状の吸着体40を、穴部形成工程により形成された剥離紙50の穴部51を介して、ラベル本体30の粘着層32に固着する(固着工程)。
【0080】
以上の工程を経て、
図3及び
図4に示すような化粧料用ラベル20が得られる。
【0081】
上記のような化粧料用ラベル20の製造方法によれば、化粧皿及び化粧料容器の薄型化、並びに、製造コスト及び製造工数を削減することができる化粧料用ラベル20を簡便に製造することができる。
【0082】
<化粧皿の製造方法>
次に、本実施形態に係る化粧皿1の製造方法について、
図2を参照して説明する。
【0083】
上記において説明した化粧料用ラベルの製造方法に従って、化粧料用ラベル20を製造する。
【0084】
また、
図2(a)に示すように、ファンデーション等の化粧料が、打型や湿式充填等の方法で充填固化された化粧料保持体10を準備する。
【0085】
図2(b)に示すように、化粧料用ラベル20の剥離紙50を剥離して得られたラベル本体30を、化粧料保持体10の底面11の外面11aに貼付する(貼付工程)。この時、ラベル本体30は、ラベル本体30の中心部と、化粧料保持体10の底面11の外面11aの中心部とを一致させて、底面11の外面11aに貼付されるのが好ましい。
【0086】
以上の工程を経て、
図2(c)及び(d)に示すような化粧皿1が得られる。
【0087】
上記のような本実施形態に係る化粧皿1の製造方法によれば、吸着体40が、化粧料保持体10に対して、法令上必要な告知情報が記載されたラベル本体30によって固着される。これにより、化粧料の法定表示の義務が果たされると同時に、接着剤や両面テープなどによって吸着体40を化粧料保持体10に直接貼り付ける必要がなくなるため、化粧皿及び化粧料容器の薄型化、並びに、製造コスト及び製造工数を削減することができる。
【0088】
また、本実施形態に係る化粧皿1の製造方法によれば、剥離紙50から剥離したラベル本体30を化粧料保持体10の底面11の外面11aの中心部に貼付するだけで、吸着体40は、吸着体40の中心部と、ラベル本体30の中心部と、化粧料保持体10の底面11の外面11aの中心部とが一致した状態で、ラベル本体30の粘着層32と、化粧料保持体10の底面11の外面11aとの間に配置される。すなわち、本実施形態に係る化粧皿の製造方法によれば、化粧皿1及び化粧料容器100の製造時に、吸着体40と化粧料保持体10とのセンタリング、ひいては吸着体40と化粧料容器100の磁石Mとのセンタリングを図り易いものとなる。
【0089】
<変形例>
上記実施形態に係る化粧皿1、化粧料容器100、及び、化粧料用ラベル20においては、化粧料容器100の容器本体110の凹部111aに固定される磁石Mと吸着可能とするために、吸着体40がラベル本体30の粘着層32に固着される構成のものを説明した。
【0090】
しかしながら、本発明はこれに限られることはなく、上記とは逆の構成として、化粧料容器の容器本体110の凹部111aに吸着体40を固定し、この吸着体40を吸着可能とするために、上記実施形態に係る化粧皿1、化粧料容器100、及び、化粧料用ラベル20において吸着体40が固着される位置に、吸着体40に替えて薄板状の磁石を固着させる構成としてもよい。
【0091】
この場合の磁石の厚さは、特に制限はないが、例えば500μm以上2000μm以下の範囲が挙げられる。
【0092】
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の思想の範囲内において改良または変更が可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 化粧皿
10 化粧料保持体
11 底面
11a 外面
12 側壁
20 化粧料用ラベル
30 ラベル本体
31 基材
31a 表面
32 粘着層
40 吸着体
50 剥離紙
50a 表面
50b 裏面
51 穴部
100 化粧料容器
110 容器本体
111 底面
111a 凹部
112 側壁
C 切り込み
M 磁石
【要約】
【課題】化粧皿及び化粧料容器の薄型化、並びに、製造コスト及び製造工数を削減することが可能な化粧皿、化粧料容器、及び、化粧料用ラベル、並びに、化粧料用ラベルの製造方法、及び、化粧皿の製造方法を提供する。
【解決手段】底面及び底面の周縁部から立ち上がる側壁により構成される化粧料保持体と、化粧料保持体に保持される化粧料に関して法令上必要な告知情報が表面に記載された基材、及び、基材の裏面に設けられた粘着層を備えたラベル本体と、磁石に吸着可能な強磁性体で形成された薄板状の吸着体と、を有し、ラベル本体は、粘着層によって底面の外面に貼付されており、吸着体は、ラベル本体の粘着層と底面の前記外面との間に配置されている。
【選択図】
図1