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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】改札機および駅務システム
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20240610BHJP
【FI】
G07B15/00 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023110125
(22)【出願日】2023-07-04
(62)【分割の表示】P 2020072433の分割
【原出願日】2020-04-14
(65)【公開番号】P2023126295
(43)【公開日】2023-09-07
【審査請求日】2023-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】柏谷 圭亮
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-109575(JP,A)
【文献】特開2000-113232(JP,A)
【文献】特開2003-44885(JP,A)
【文献】特開2012-113432(JP,A)
【文献】特開2008-46960(JP,A)
【文献】特開2017-162229(JP,A)
【文献】特表2010-534373(JP,A)
【文献】特開平4-312193(JP,A)
【文献】特開2012-221252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 1/00-17/04
G06Q 50/00-50/20,
50/26-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
改札処理を行う改札機であって、
案内を表示する表示部と、
利用者が提示するICカードと通信し、前記ICカードから情報を取得するリーダライタと、
前記リーダライタが通信する前記ICカードから取得する情報に基づいて前記利用者の通行を通行制御する通行制御部と、
前記リーダライタが通信する前記ICカードに訪日外国人用のICカードであることを示す特定ビットが設定されている場合、前記ICカードに言語指定情報が書き込まれていなければデフォルト設定の外国語で訪日外国人用の案内を前記表示部に表示し、前記ICカードに言語指定情報が書き込まれていれば前記言語指定情報が示す特定の言語での訪日外国人用の案内を前記表示部に表示する制御部と、
を有する改札機。
【請求項2】
前記制御部は、前記特定ビットが設定されているICカードを提示した利用者が通行した後、前記表示部に表示する案内を日本語の案内に変更する、
請求項1に記載の改札機。
【請求項3】
前記制御部は、前記リーダライタが通信する前記ICカードに特定ビットが設定されている場合、前記ICカードの使用期限を示す情報を前記表示部に表示する、
請求項1又は2の何れか1項に記載の改札機。
【請求項4】
改札処理を行う改札機と上位装置とを有する駅務システムであって、
前記改札機は、
前記上位装置と通信する第1の通信部と、
利用者が提示するICカードと通信し、前記ICカードから情報を取得するリーダライタと、
前記リーダライタが通信する前記ICカードから取得する情報に基づいて前記利用者の通行を通行制御する通行制御部と、
前記リーダライタが通信する前記ICカードの識別情報と訪日外国人用のICカードであることを示す特定ビットの有無を示す情報とを含む前記通行制御部による通行制御の処理結果を示すログデータを前記第1の通信部により前記上位装置へ送信する第1の制御部と、を有し、
前記上位装置は、
前記改札機と通信する第2の通信部と、
訪日外国人用のICカードの識別情報と訪日外国人向けの案内の通知先とする宛先とを対応づけて記憶する記憶部と、
前記第2の通信部により取得した前記改札機からのログデータに特定ビットが設定されているICカードがある場合、当該ICカードの識別情報に対応づけて記憶部に記憶されている宛先へ前記処理結果に応じた訪日外国人向けの案内を通知する第2の制御部と、を有する、
駅務システム。
【請求項5】
前記第2の制御部は、前記特定ビットを含むログデータに言語指定情報が含まれていなければデフォルト設定の外国語で生成した訪日外国人用向けの案内を通知し、前記特定ビットを含むログデータに言語設定情報が含まれていれば前記言語指定情報が示す特定の言語での生成した訪日外国人向けの案内を通知する、
請求項4に記載の駅務システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、改札機および駅務システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、訪日外国人の増加に伴い、外国人が駅務機器を利用する機会が増えている。また、鉄道などの交通機関に用いられる駅務システムは、電子マネーの機能を有するICカードを処理する機能を有する駅務機器で構成されるものが一般的になってきている。そこで、訪日外国人に対して訪日外国人用のICカードを発行することが提案されている。
【0003】
訪日外国人用のICカードは、使用期限などの条件が設定されるが、デポジット(保証金)無しで発行でき、実運用では通常のICカードと変わらない機能が利用できる。しかしながら、訪日外国人用のICカードは、デポジット無しで訪日外国人が購入できるだけで、外国人向けの特別なサービスを提供できるシステムとはなっていない。すなわち、訪日外国人用のICカードの利用者に対して、利便性の高いサービスを提供できるものが要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-113232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、訪日外国人に対して利便性の高いサービスを提供できる改札機および駅務システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、改札機は、表示部とリーダライタと通行制御部と制御部とを有する。表示部は、案内を表示する。リーダライタは、利用者が提示するICカードと通信し、前記ICカードから情報を取得する。通行制御部は、前記リーダライタが通信する前記ICカードから取得する情報に基づいて前記利用者の通行を通行制御する。制御部は、前記リーダライタが通信する前記ICカードに訪日外国人用のICカードであることを示す特定ビットが設定されている場合、前記ICカードに言語指定情報が書き込まれていなければデフォルト設定の外国語で訪日外国人用の案内を前記表示部に表示し、前記ICカードに言語指定情報が書き込まれていれば前記言語指定情報が示す特定の言語での訪日外国人用の案内を前記表示部に表示する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る駅務システムを含むICカード処理システムの構成例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る駅務システムにおける上位装置の構成例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る駅務システムにおける係員端末の構成例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る駅務システムにおける改札機の構成例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る駅務システムにおける券売機の構成例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る駅務システムの券売機による訪日外国人用のICカードに対応する処理の動作例を説明するためのフローチャートである。
図7図7は、実施形態に係る駅務システムの改札機による訪日外国人用のICカードに対する改札処理の動作例を説明するためのフローチャートである。
図8図8は、実施形態に係る駅務システムの上位装置による訪日外国人用のICカードの利用に応じた情報提供処理の動作例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら実施形態について詳細に説明する。
実施形態に係る駅務システムは、利用者が所持するICカードに基づいて鉄道の駅の改札口などにおける利用者の通行を制御する。また、駅務システムが処理対象とするICカードには、訪日外国人に対して発行される訪日外国人用のICカードを含む。訪日外国人用のICカードは、駅の改札口での入出場処理(改札機による改札処理)に用いられる。また、訪日外国人用のICカードは、駅の改札口での入出場だけでなく、電子マネーによる支払を行うカードとしても利用可能とする。本実施形態では、訪日外国人用のICカードで利用可能な駅務システムを含むICカード処理システムについて説明する。
【0009】
図1は、実施形態に係る駅務システムを含むICカード処理システムの構成例を示す図である。
図1に示すように、駅務システムにおいて、上位装置(サーバ)2は、ネットワークを介して、係員端末3、券売機5および改札機4などの駅務機器に接続される。本実施形態に係る駅務システムは、各駅務機器において訪日外国人用のICカードを利用する利用者に対して訪日外国人向けのサービスを提供する。また、訪日外国人用のICカードは、駅務システムとは別の小売店などに配置される決済端末6においても電子マネーでの決済を行うための媒体として利用可能である。
【0010】
上位装置2は、駅務システムにおける各駅務機器にネットワークを介して接続される。上位装置2は、例えば、各駅務機器の動作を制御したり、各駅務機器における処理結果を示すログデータを取得したりする。
係員端末3は、係員が操作する装置である。本実施形態において、係員端末3は、訪日外国人用のICカードを発行する機能を有するものとする。係員端末3は、例えば、係員窓口内に設置される発券装置である。
【0011】
改札機4は、利用者が提示するICカードに記録されている情報に基づいて改札口における利用者の通行を制御する改札処理を行う機能を有する。改札機4は、ICカードを提示する利用者に対して通行制御を行うとともに、当該ICカードで利用可能な残額や通行の可否などを示す案内を行う。
【0012】
券売機5は、利用者自身が操作するカード処理機である。券売機5は、乗車料金の精算あるいは物品の購入などに利用可能な電子マネー(交通系電子マネー)をICカードにチャージする機能する。また、券売機5は、利用者自身の操作によって磁気記録媒体などで乗車券あるいは定期券などの券を発券する機能を有するものであっても良い。また、券売機5は、利用者の操作に応じて磁気記録媒体などで精算券を発券する機能を有する精算機であっても良い。なお、カード処理機としては、乗車券や精算券を発券する機能を持たずに、電子マネーのチャージなどの機能を有する装置であっても良い。
【0013】
決済端末6は、改札機4で利用可能なICカードが保持する電子マネーを用いて決済を行うための端末装置である。ここでは、決済端末6は、駅務システムとは切り離されたものであるものとする。例えば、決済端末6は、小売店の設置される決済装置または自動販売機に搭載される決済処理部などとして実現され、利用者が提示するICカードが保持する交通系電子マネーを用いて物品などの決済を行う。また、決済端末6は、利用者に対して案内画面を表示するディスプレイを有するものであっても良いし、決済結果などを印刷するレシートなどを発行する機能を有する者であっても良い。
【0014】
次に、実際形態に係る駅務システムにおける上位装置2の構成について説明する。 図2は、実施形態に係る上位装置2の構成例を示すブロック図である。
上位装置2は、駅務システムにおける各駅務機器と通信接続される。上位装置2は、駅務システムで発行したICカードに関する情報などを管理する。例えば、上位装置2は、訪日外国人用のICカードに関する情報を保持する。また、上位装置2は、駅務機器へデータを配信したり、駅務機器からログデータを取得したりする。例えば、上位装置2は、各駅務機器に対して各種の言語で案内を行うためのデータを配信するようにしても良い。また、上位装置2は、改札機4などの駅務機器から処理結果を示すログデータを取得し、取得したログデータに応じて処理を実行する。
【0015】
図2に示す構成例において、上位装置2は、プロセッサ21、ROM22、RAM23、記憶部24、および、通信部25を有する。
プロセッサ21は、演算処理を実行する演算素子(例えば、CPU)である。プロセッサ21は、ROM22又は記憶部24に記憶されているプログラムなどのデータに基づいて種々の処理を行う。プロセッサ31は、ROM22又は記憶部24に格納されているプログラムを実行することにより、種々の処理機能を実現する処理部として機能する。
【0016】
ROM22は、読み出し専用の不揮発性メモリである。ROM22は、プログラム及びプログラムで用いられるデータなどを記憶する。
RAM23は、ワーキングメモリとして機能する揮発性のメモリである。RAM23は、プロセッサ21の処理中のデータなどを一時的に格納する。また、RAM23は、プロセッサ21が実行するプログラムを一時的に格納する。
【0017】
記憶部24は、書換え可能な不揮発性メモリとしての記憶装置である。例えば、記憶部24は、ソリッドステイトドライブ(SSD)、ハードディスクドライブ(HDD)、または他の記憶装置である。記憶部24は、例えば、プログラム及びプログラムで用いられるデータなどを記憶する。また、記憶部24は、係員端末3で発行する訪日外国人用のICカードに関する情報を記憶するデータベースを有する。また、記憶部24は、改札機4などの各駅務機器から収集するログデータを記憶するデータベースを有する。なお、訪日外国人用のICカードに関する情報あるいは駅務機器から収集するログデータは、上位装置2がアクセス可能な状態で保存されるものであれば良く、通信可能な別のサーバ装置に保存するようにしても良い。
【0018】
通信部25は、各駅務機器とデータ通信するためのインターフェースである。通信部25は、例えば、駅務システムとしてのネットワークに接続するためのネットワークインターフェースである。通信部25は、外部システムへデータを送信する機能を有する。例えば、通信部25は、外部ネットワークを介して利用者が予め設定するメールアドレスへメールを送信する機能を有する。
【0019】
次に、実際形態に係る駅務システムにおける係員端末3の構成について説明する。 図3は、実施形態に係る係員端末3の構成例を示すブロック図である。
係員端末3は、係員が操作する端末装置である。本実施形態において、係員端末3は、訪日外国人用のICカードを発行する機能を有するものとする。訪日外国人用のICカードは、訪日外国人に対して、乗車券あるいは電子マネーとして利用可能なICカードとして発行される。訪日外国人用のICカードは、特定ビット(訪日外国人用のICカードであることを示すビット情報)が設定され、他のICカードと識別できるように構成される。また、訪日外国人用のICカードは、有効期間(例えば、30日間)などの使用条件が設定される。
【0020】
図3に示す構成例において、係員端末3は、プロセッサ31、ROM32、RAM33、記憶部34、通信部35、操作部36、表示部37および媒体処理部38を有する。 プロセッサ31は、演算処理を実行する演算素子(例えば、CPU)である。プロセッサ31は、ROM32又は記憶部34に記憶されているプログラムなどのデータに基づいて種々の処理を行う。プロセッサ31は、ROM32又は記憶部34に格納されているプログラムを実行することにより、種々の処理機能を実現する処理部として機能する。
【0021】
ROM32は、読み出し専用の不揮発性メモリである。ROM32は、プログラム及びプログラムで用いられるデータなどを記憶する。
RAM33は、ワーキングメモリとして機能する揮発性のメモリである。RAM33は、プロセッサ31の処理中のデータなどを一時的に格納する。また、RAM33は、プロセッサ31が実行するプログラムを一時的に格納する。
【0022】
記憶部34は、書換え可能な不揮発性メモリとしての記憶装置である。例えば、記憶部34は、ソリッドステイトドライブ(SSD)、ハードディスクドライブ(HDD)、または他の記憶装置である。記憶部34は、例えば、プログラム及びプログラムで用いられるデータなどを記憶する。
【0023】
通信部35は、上位装置2とデータ通信するためのインターフェースである。通信部35は、例えば、駅務システムとしてのネットワークに接続するためのネットワークインターフェースである。
【0024】
操作部36は、操作部材の操作に基づいて操作信号を生成する。操作部材は、例えば、タッチセンサ、テンキー、またはキーボードなどである。タッチセンサは、ある領域内において指定(タッチ)された位置を示す情報を取得する。タッチセンサは、上記の表示部37と一体にタッチスクリーンとして構成されることにより、表示部37上のタッチされた位置を示す信号をプロセッサ31に入力する。表示部37は、プロセッサ31、または図示しないグラフィックコントローラなどの表示制御部から入力される映像信号に応じて画面を表示する。
【0025】
媒体処理部38は、運賃精算や物品購入などの決済に利用可能な電子マネー(交通系電子マネー)としての金額情報などを保持するICカードを発行する発行部を有する。本実施形態において、媒体処理部38は、交通系電子マネーを保持するICカードの一種として訪日外国人用のICカードを発行する機能を有する。媒体処理部38は、発行部の構成として、発行する初期状態の媒体(ICカード)を収納する収容部、および、媒体に情報を書き込むリーダライタを備える。また、媒体処理部38は、発行するICカードの券面に文字などと印刷する印刷部を備えるものとしても良い。また、媒体処理部38のリーダライタは、利用者が所持しているICカードに対して情報の読取り、及び、書込みが可能な処理ユニットとしても機能する。
【0026】
なお、係員端末3は、料金の決済を行う決済処理部を具備するものであっても良い。係員端末3に設ける決済処理部は、現金を処理する現金処理部であっても良いし、クレジットカードによる決済を行うためのカード処理ユニットであっても良い。例えば、係員端末3が決済処理部を具備する場合、係員端末3は、決済処理部によってICカードの発行に関する金額またはICカードにチャージする金額の決済を実施するようにしても良い。
【0027】
次に、実施形態に係る改札機4の構成について説明する。
図4は、実施形態に係る改札機4の構成例を示すブロック図である。
改札機4は、利用者が提示する乗車券媒体に応じて当該利用者の通行を制御する装置である。改札機4は、例えば、並行に配置される一対の筐体によって通路を形成し、通路側に通行制御用のドアが設けられる。改札機4は、通路を通行する利用者が提示するICカードから読み取る情報に基づいて利用者の通行を制御する。
【0028】
図4に示す構成例において、改札機4は、プロセッサ41、ROM42、RAM43、記憶部44、通信部45、媒体処理部46、表示部47および通行制御部48を有する。プロセッサ41は、ROM42、RAM43、記憶部44、通信部45、媒体処理部46、表示部47および通行制御部48に通信可能な状態で接続される。
【0029】
プロセッサ41は、演算処理を実行する演算素子(例えば、CPU)である。プロセッサ41は、ROM42又は記憶部44に記憶されているプログラムなどのデータに基づいて種々の処理を行う。プロセッサ41は、ROM42または記憶部44に格納されているプログラムを実行することにより、種々の処理機能を実現する処理部として機能する。
【0030】
ROM42は、読み出し専用の不揮発性メモリである。ROM42は、プログラム及びプログラムで用いられるデータなどを記憶する。
RAM43は、ワーキングメモリとして機能する揮発性のメモリである。RAM43は、プロセッサ41の処理中のデータなどを一時的に格納する。また、RAM43は、プロセッサ41が実行するプログラムを一時的に格納する。
【0031】
記憶部44は、書換え可能な不揮発性のメモリである。例えば、記憶部44は、ソリッドステイトドライブ(SSD)、ハードディスクドライブ(HDD)などの記憶装置である。記憶部44は、プログラム及びプログラムで用いられるデータなどを記憶する。また、本実施形態において、記憶部44は、言語設定として設定可能な各言語で案内を行うためのデータ(例えば、各言語での案内画面を行うための表示データなど)を記憶する。
【0032】
通信部45は、駅務システムとしてのネットワークに接続可能に構成される。例えば、通信部45は、ある改札口に配置された各改札機4の動作を係員が監視するための監視盤に接続される。この場合、通信部45は、監視盤を介して上位装置2と通信する構成としても良い。
【0033】
媒体処理部46は、利用者が提示するICカードを処理する。本実施形態において、媒体処理部46は、ICカードに対してデータの読取りおよび書込みを行うリーダライタを有する。リーダライタは、通行しようとする利用者が提示するICカードから情報を読取る。また、リーダライタは、利用者に対する通行判定制御に応じてICカードにデータを書き込む。
【0034】
表示部47は、改札処理に関する情報を表示する。表示部47は、プロセッサ41により表示内容が制御される。例えば、通行が許可される場合、表示部47は、通行許可を示す情報を表示する。また、表示部47は、利用者が提示する乗車券媒体で利用可能な残額情報を表示するようにしても良い。
通行制御部48は、通路側に設けたドアを開閉する開閉機能により構成される。通行制御部48は、プロセッサ41からの動作指示に応じてドアを開閉させる。
【0035】
次に、実施形態に係る券売機5の構成について説明する。
図5は、実施形態に係る駅務システムにおける券売機5の構成例を示すブロック図である。
券売機5は、乗車券あるいは精算券などの券を発行する機能に加えて、ICカードを処理するカード処理機として機能する。本実施形態において、券売機5は、利用者自身が操作するものとして説明するが、係員が操作するものであっても良い。
【0036】
図5に示す構成例において、券売機5は、プロセッサ51、ROM52、RAM53、記憶部54、通信部55、操作部56、表示部57、媒体処理部58および決済処理部59を有する。
プロセッサ51は、演算処理を実行する演算素子(例えば、CPU)である。プロセッサ51は、ROM52、又は記憶部54に記憶されているプログラムに基づいて種々の処理を行う。プロセッサ51は、ROM52又は記憶部54に格納されているプログラムを実行することにより、種々の処理機能を実現する処理部として機能する。
【0037】
ROM52は、読み出し専用の不揮発性メモリである。ROM52は、プログラム及びプログラムで用いられるデータなどを記憶する。
RAM53は、ワーキングメモリとして機能する揮発性のメモリである。RAM53は、プロセッサ51の処理中のデータなどを一時的に格納する。また、RAM53は、プロセッサ51が実行するプログラムを一時的に格納する。
【0038】
記憶部54は、書換え可能な不揮発性メモリとしての記憶装置である。例えば、記憶部54は、ソリッドステイトドライブ(SSD)、ハードディスクドライブ(HDD)、または他の記憶装置である。記憶部54は、例えば、プログラム及びプログラムで用いられるデータなどを記憶する。
【0039】
通信部55は、駅務システムとしてのネットワークに接続するためのネットワークインターフェースである。例えば、通信部55は、上位装置2とデータ通信するためのインターフェースとして機能する。
【0040】
操作部56は、操作部材の操作に基づいて、操作信号を生成する。操作部材は、例えば、タッチセンサ、テンキー、またはキーボードなどである。タッチセンサは、ある領域内において指定(タッチ)された位置を示す情報を取得する。タッチセンサは、表示部57と一体にタッチスクリーンとして構成されることにより、表示部57上のタッチされた位置を示す信号をプロセッサ51に入力する。表示部57は、プロセッサ51、または図示しないグラフィックコントローラなどの表示制御部から入力される映像信号に応じて画面を表示する。
【0041】
媒体処理部58は、利用者が提示するICカードを処理する。媒体処理部58は、ICカードに対して情報の読取り、および、書込みが可能なリーダライタを含む。例えば、媒体処理部58は、利用者が提示するICカードに電子マネーとして利用可能な金額をチャージする処理を行う。また、媒体処理部58は、乗車券あるいは精算券としての磁気券を発行するための発券機構を備える。
【0042】
決済処理部59は、料金の決済を行うユニットである。例えば、決済処理部59は、現金を処理する現金処理部を有する。また、決済処理部59は、クレジットカードによる決済を行うための処理ユニットであっても良い。例えば、利用者が所持するICカードに電子マネーとしての金額をチャージする場合、決済処理部59で決済した金額を媒体処理部58によりICカードにチャージする。
【0043】
次に、実施形態に係る駅務システムの動作について説明する。
図6は、券売機5によるICカード処理の流れを説明するためのフローチャートである。
券売機5は、待機状態において、利用者からの操作指示あるいはICカードの提示を受け付ける。例えば、利用者は、券売機5の表示部57に表示される操作メニューから所望の処理を選択し、ICカードを所定の読取位置に提示する。利用者が所持するICカードを所定の読取位置に提示すると、券売機5のプロセッサ51は、利用者が提示したICカードに記録されている情報を媒体処理部58のリーダライタにより読取る(ST11)。
【0044】
ICカードから情報を読取ると、プロセッサ51は、当該ICカードに訪日外国人用のICカードであることを示す特定ビットが記録されているか否かを判断する(ST12)。例えば、プロセッサ51は、駅務機器としての券売機5で処理可能な交通系電子マネーを保持するICカードであるかを判断する。処理可能な交通系電子マネーを保持するICカードであると判断した場合、プロセッサ51は、当該ICカードに特定ビットがセットされているか否かを判断する。
【0045】
利用者が提示したICカードに特定ビットがセットされている場合(ST12、YES)、プロセッサ51は、利用者による言語指定を受け付ける(ST13)。例えば、プロセッサ51は、デフォルトの外国語(例えば、英語)で表示(案内)する言語が指定可能である旨の案内と特定の言語を指定するためのキーとを表示部57に表示する。また、プロセッサ51は、複数種類の言語で利用者からの言語指定を受け付ける旨の案内を表示部57に表示するようにしても良い。
【0046】
ここで、利用者が指定可能な言語(言語設定として設定可能な外国語)は、操作部56としてのタッチセンサによって選択指示が可能な選択キーとして表示部57に表示するようにしても良い。利用者が指定可能な言語は、予め券売機5の記憶部54に設定しておいても良いし、上位装置2に問い合わせるようにしても良い。
【0047】
利用者が特定の言語を指定しなかった場合あるいは利用者がデフォルト設定の外国語を指定した場合(ST14、NO)、プロセッサ51は、言語設定をデフォルトの外国語に設定する(ST15)。
【0048】
また、利用者がデフォルトの外国語以外の特定の言語を指定した場合(ST14、YES)、プロセッサ51は、利用者が指定した特定の言語を示す情報を言語指定情報としてICカードに書き込む(ST16)。また、利用者がデフォルトの外国語以外の特定の言語を指定した場合、プロセッサ51は、当該券売機5が案内等で使用する言語設定を利用者が指定した言語に設定する(ST17)。
【0049】
利用者が提示する訪日外国人用のICカードに応じて設定言語を設定すると、プロセッサ51は、当該訪日外国人用のICカードの使用期限(有効期限)を設定した言語で案内する(ST18)。使用期限は、使用可能な期限日を案内しても良いし、残り日数などを案内しても良い。また、訪日外国人用のICカードの使用期間は発行日に当該ICカードに書き込むようにしても良い。この場合、プロセッサ51は、訪日外国人用のICカードから使用期限を読み取るようにすれば良い。また、訪日外国人用のICカードの有効期間は発行日から所定日数を有効とするようにしても良い。この場合、プロセッサ51は、発行時に訪日外国人用のICカードに発行日を書き込んでおき、訪日外国人用のICカードから読み取る発行日からの経過日数に基づいて使用期限を決定する。
【0050】
また、プロセッサ51は、設定言語での案内を行いながら利用者が指示する処理を実行する(ST19)。券売機5としてプロセッサ51が実行する処理としては、ICカードに電子マネーとしての金額をチャージする処理(チャージ処理)、あるいは、乗車券または精算券を発券する発券処理などがある。また、実行する処理に伴う設定言語での案内などを行うための情報は、記憶部54に記憶する。記憶部54には、予め設定可能な言語での案内を行うための情報を記憶しておくようにしても良いし、上位装置2から都度ダウンロードするようにしても良い。これにより、訪日外国人用のICカードを所持する利用者は、自身が指定した言語で案内を受けながらチャージ処理あるいは発券処理などの処理を受けることができる。
【0051】
また、プロセッサ51は、提示されたICカードによる処理が終了した場合(ST20、YES)、言語設定をリセットする(ST21)。例えば、デフォルト設定の言語(デフォルトの外国語とは異なる)が日本語であれば、プロセッサ51は、当該券売機5における言語設定を日本語に設定(リセット)する。これにより、プロセッサ51は、当該券売機5が待機中である場合、デフォルト設定の言語で案内を提供するようにできる。
【0052】
以上のような処理によれば、券売機は、特定ビットが設定されたICカード(訪日外国人用のICカード)が提示された場合、デフォルトの外国語または利用者が指定する特定の言語で案内(表示)を行うことができる。また、券売機は、利用者が特定の言語を指定した場合、当該訪日外国人用のICカードに利用者が指定した特定の言語を示す言語指定情報を書き込むことができる。この結果、利用者が指定する言語指定情報を書き込んだICカードを改札機などの別の駅務機器で使用する場合に指定した言語での案内を受けることが可能となる。
【0053】
次に、実施形態に係る駅務システムにおける改札機4の動作について説明する。
図7は、実施形態に係る改札機4における改札処理の流れを説明するためのフローチャートである。
改札機4のプロセッサ41は、待機状態において、表示部47に通行案内を表示し、通路に進入してくる利用者が提示するICカードに基づく改札処理を受付ける。例えば、プロセッサ41は、通路に進入してきた利用者が読取位置にICカードを提示すると、媒体処理部46のリーダライタにより利用者が提示するICカードから情報を読取る読取処理を実行する(ST41)。
【0054】
媒体処理部46がICカードを読み取ると、プロセッサ51は、媒体処理部46によるICカードの読取結果に基づいて当該ICカードに特定ビットがセットされているか否かを判断する(ST42)。例えば、プロセッサ51は、改札機4で処理可能な交通系電子マネーを保持するICカードであるかを判断する。交通系電子マネーを保持するICカードであると判断した場合、プロセッサ51は、当該ICカードに特定ビットがセットされているか否かを判断する。なお、利用者が提示したICカードが交通系電子マネーを保持するICカードでない場合、プロセッサ51は、当該ICカードに改札処理が不可である旨を表示部47に表示し、通行制御部48により当該利用者の通行を阻止するようにしても良い。
【0055】
利用者が提示したICカードに特定ビットがセットされている場合(ST42、YES)、プロセッサ51は、さらに、当該ICカードに言語指定情報が記憶されている否かを判断する(ST43)。
言語設定情報が書き込まれていない場合(ST43、NO)、プロセッサ51は、言語設定をデフォルトの外国語(例えば、英語)に設定する(ST44)。ここで、デフォルトの外国語は、改札機4に対して予め設定されているものとする。ただし、改札機4には、デフォルト設定の言語(例えば、日本語)とデフォルトの外国語(例えば、英語)とがそれぞれ設定されているものとする。
【0056】
また、当該ICカードに言語設定情報が書き込まれている場合(ST43、YES)、プロセッサ51は、言語設定を当該ICカードに記憶されている言語設定情報が示す特定の言語(外国語)に設定する(ST45)。例えば、プロセッサ51は、表示部47に表示する案内における文字情報を設定言語の文字に変更する。
【0057】
利用者が提示する訪日外国人用のICカードに応じて設定言語を設定すると、プロセッサ51は、当該訪日外国人用のICカードの使用期限(有効期限)を設定した言語で案内する(ST46)。使用期限は、使用可能な期限日を案内しても良いし、残り日数などを案内しても良い。また、訪日外国人用のICカードの使用期間は発行日に当該ICカードに書き込むようにしても良い。この場合、プロセッサ51は、訪日外国人用のICカードから使用期限を読み取るようにすれば良い。また、訪日外国人用のICカードの有効期間は発行日から所定日数を有効とするようにしても良い。この場合、プロセッサ51は、発行時に訪日外国人用のICカードに発行日を書き込んでおき、訪日外国人用のICカードから読み取る発行日からの経過日数に基づいて使用期限を決定する。

また、プロセッサ51は、設定言語での案内を行いながら改札処理としての通行制御を実行する(ST47)。プロセッサ51は、ICカードから読み取る乗車券情報に基づいて通行の可否を判断し、通行の可否に応じて当該利用者の通行制御を制御する。例えば、プロセッサ51は、ICカードにチャージされている残額で運賃などの料金を精算することで当該利用者の通行を許可する。また、プロセッサ51は、ICカードにチャージされている残額での料金精算が出来ない場合には当該利用者の不許可とする。また、通行制御に伴って設定言語での案内などを行うための情報は、記憶部54に記憶する。記憶部54には、予め設定可能な言語での案内を行うための情報を記憶しておくようにしても良いし、上位装置2から都度ダウンロードするようにしても良い。
【0058】
プロセッサ51は、乗車券情報に基づく通行制御を行うとともに、利用者が通路から退出したか否かを判定する(ST48)。例えば、プロセッサ51は、改札機4の筐体に設置した図示しない人間検知センサの検知信号に基づいて利用者が通路から退出したことを検出する。
【0059】
利用者が通路から退出すると(ST48、YES)、プロセッサ51は、当該ICカードに応じた改札処理の結果を示すログデータを上位装置2へ送信する(ST49)。プロセッサ51は、当該ICカードの識別情報に対応づけて、入場又は出場駅、入場又は出場日時、特定ビットの有無、および、言語設定情報(特定ビット有りの場合)などを含むログデータを上位装置2へ送信する。
【0060】
また、プロセッサ51は、ICカードを提示した利用者が退出すると、言語設定をリセットする(ST50)。例えば、デフォルト設定の言語(デフォルトの外国語とは異なる)が日本語であれば、プロセッサ51は、当該改札機4における言語設定を日本語に設定(リセット)する。これにより、プロセッサ51は、当該改札機4が待機中である場合にはデフォルト設定の言語で案内を提供するようにできる。
【0061】
以上のような処理によれば、改札機は、特定ビットが設定されたICカード(訪日外国人用のICカード)が提示された場合、特定の言語が設定されていなければ、デフォルトの外国語で案内(表示)を行い、特定の言語が設定されていれば指定された特定の言語で案内(表示)を行う。これにより、改札機は、訪日外国人用のICカードを提示する利用者に対して、利用者が分かり易い言語での案内を提供できる。
【0062】
さらに、改札機4は、特定ビットが設定されたICカード(訪日外国人用のICカード)を用いて改札処理を実行した場合、ICカードの識別情報、入出場駅、入出場日時、特定ビットの有無、および、言語指定情報などを含むログデータを上位装置へ供給する。これにより、上位装置は、訪日外国人用のICカードを用いた改札処理の結果を管理することでき、訪日外国人用のICカードの利用に応じたサービスなどが提供できる。
【0063】
次に、駅務システムにおける訪日外国人用のICカードの利用に応じて利用者へ情報を提供する情報提供処理について説明する。
本実施形態に係る駅務システムは、駅務機器で訪日外国人用のICカードが利用されると、予め設定された宛先に利用内容に応じた案内(訪日外国人用の案内)を提供する機能(情報提供処理)を実現する。例えば、訪日外国人用のICカードを用いて改札機を通過した場合、当該ICカードに対応づけて予め設定されている宛先へ利用内容に応じた案内がメール等で通知される。
【0064】
訪日外国人用のICカードの利用者に対する案内は、駅務機器が実施した処理に関連して訪日外国人へ提供される情報である。例えば、改札機4で訪日外国人用のICカードを処理することで駅構内に入場した場合、入場した駅に関する情報(駅構内の地図、路線情報あるいは主要駅までの所要時間などの情報)が案内として提供される。また、改札機4で訪日外国人用のICカードを用いて駅構内から出場した場合、出場した駅に関する情報(駅周辺の地図、駅周辺の施設情報、あるいは、乗り換え情報などの情報)が案内として提供される。
【0065】
また、利用者に対する案内は、訪日外国人用のICカードに書き込まれている言語設定情報に応じた言語で生成される。例えば、特定ビットが設定されるICカードに中国語を示す言語設定情報が書き込まれている場合、当該ICカードに対応づけられた宛先へは中国語での案内が利用者へ通知される。また、特定ビットが設定されるICカードに言語設定情報が書き込まれていなければ、当該ICカードに対応づけられた宛先へはデフォルトの外国語での案内が利用者に通知される。
【0066】
本実施形態において、訪日外国人用のICカードの利用者に対する案内は、改札機4などの駅務機器からのログデータを受けた上位装置2から予め設定されている宛先へメールなどで通知されるものとする。例えば、本実施形態では、訪日外国人用のICカードの識別情報に対応づけて情報を通知する宛先(通知先)が設定され、訪日外国人用のICカードの識別情報に対応する宛先を上位装置2が管理するものとする。ただし、利用者に対する案内は、訪日外国人用のICカードを処理した改札機4などの駅務機器から直接的に予め設定されている宛先へ通知されるようにしても良い。
【0067】
また、訪日外国人用のICカードに対応する宛先は、訪日外国人用のICカードを発行する場合に係員端末3において設定できるようにする。また、訪日外国人用のICカードに対応する宛先は、利用者自身が券売機5で設定するようにしても良いし、利用者が所持する携帯端末を用いて登録できるようにしても良い、
次に、駅務システムにおいて訪日外国人用のICカードの利用者へ情報を提供する情報提供処理の動作例について説明する。
ここでは、上位装置2が改札機4における訪日外国人用のICカードの利用に応じた訪日外国人用の案内を事前に登録された宛先にメールで送信する動作例について説明するものとする。
【0068】
図8は、実施形態に係る駅務システムにおける上位装置2の動作例を説明するためのフローチャートである。
上位装置2では、利用者の要望に応じて、訪日外国人用のICカードに対応する案内の通知先(情報提供先)となる宛先を示す宛先情報を登録する処理を行う。すなわち、上位装置2のプロセッサ21は、係員端末3あるいは券売機5などの駅務機器からの訪日外国人用のICカードを所持する利用者に対する情報提供(メールによる案内の通知)の設定要求を受け付ける(ST61)。
【0069】
情報提供の設定要求を受けると(ST61、YES)、上位装置2のプロセッサ21は、設定の対象となる訪日外国人用のICカードの識別情報とともに、案内の通知先とする宛先を示す宛先情報を取得する(ST62)。案内の通知先とする宛先を示す宛先情報を取得すると、プロセッサ21は、取得した宛先情報をICカードの識別情報に対応づけて記憶部24に記憶する(ST63)。
【0070】
例えば、係員端末3において、係員が訪日外国人用のICカードを発行(又は所持)する利用者からの申し出に応じて案内の通知先となる宛先(例えば、メールアドレス)を入力する。係員端末3は、情報提供の設定要求とともに、係員が入力した宛先を示す宛先情報を訪日外国人用のICカードの識別情報に対応づけて上位装置2へ送信する。これに応じて、上位装置2は、係員端末3からの訪日外国人用のICカードの識別情報に対応づけられた宛先情報を記憶部24に記憶する。
【0071】
また、券売機5などのカード処理機において訪日外国人用のICカードを所持する利用者が案内の通知先となる宛先を入力するようにしても良い。この場合、券売機5は、利用者が提示する訪日外国人用のICカードの識別情報と利用者が入力した宛先を示す宛先情報とを対応づけて上位装置2へ供給する。これにより、上位装置2は、券売機5から訪日外国人用のICカードの識別情報に対応づけられた宛先情報を記憶部24に記憶するようにしても良い。
【0072】
なお、案内の通知先となる宛先は、利用者自身が所持する携帯端末などの情報処理装置で入力するようにしても良い。例えば、携帯端末において実行する専用のアプリケーションにより入力される訪日外国人用のICカードと宛先情報とを上位装置2に登録するようにしても良い。
【0073】
上記ST61-63の処理によって、上位装置2は、訪日外国人用のICカードを所持する利用者のうち情報提供(案内)を希望する利用者に対する案内の通知先となる宛先を設定できる。上記ST61-63の処理は、訪日外国人用のICカードが有効な期間において適宜実施できるようにしても良い。また、上位装置2のプロセッサ21は、記憶部24に記憶した情報のうち訪日外国人用のICカードが有効な期限を超えたものを削除するようにしても良い。
【0074】
一方、上位装置2は、駅務システムにおける各改札機4からログデータを取得するように構成される。上位装置2のプロセッサ21は、改札機4からのログデータを取得すると(ST64、YES)、取得したログデータが示す処理の対象となった媒体が特定ビットの設定されたICカード(つまり、訪日外国人用のICカード)であるか否かを判断する(ST65)。
【0075】
処理の対象となったICカードに特定ビットが設定されている場合(ST65、YES)、プロセッサ21は、当該ICカードに対応して設定される宛先へ案内を通知するか否かを判断する(ST66)。例えば、プロセッサ21は、ログデータに含まれる当該ICカードの識別情報に対応づけられた宛先情報が記憶部24に記憶されているか否かを判断する。プロセッサ21は、当該ICカードの識別情報に対応づけられた宛先情報が存在する場合、宛先情報が示す宛先へログデータが示す処理内容に応じた案内を通知するものと判断する。
【0076】
処理対象となったICカードに対応する宛先に案内を通知すると判断した場合(ST66、YES)、プロセッサ21は、取得したログデータが示す処理の対象となったICカードに言語指定情報が書き込まれているか否かを判断する(ST67)。ここでは、上述したように、改札機4から供給されるログデータには、入出場駅および入出場の日時などの改札処理の結果を示す情報と共に、処理対象となったICカードにおける特定ビットの有無および言語設定情報などを示す情報が含まれるものとする。
【0077】
処理対象のICカードに言語指定情報が書き込まれていなかった場合(ST67、NO)、プロセッサ21は、デフォルトの外国語(例えば、英語)で当該ICカードに対応する宛先へ案内を通知するものとする。この場合、プロセッサ21は、デフォルトの外国語(例えば、英語)でのログデータが示す処理内容に応じた訪日外国人向けの案内を生成する(ST68)。
【0078】
また、処理対象のICカードに言語指定情報が書き込まれていた場合(ST67、YES)、プロセッサ21は、当該言語指定情報で指定される言語で当該ICカードに対応する宛先へ案内を通知するものとする。この場合、プロセッサ21は、言語指定情報で指定される言語でログデータが示す処理内容に応じた訪日外国人向けの案内を生成する(ST69)。
【0079】
ここでは、改札機4からのログデータを想定しているため、ログデータが示す処理内容に応じた案内の内容は、入出場した駅に関連する情報が考えられる。例えば、ログデータが示す処理内容が入場処理である場合、訪日外国人向けの案内の内容としては、当該駅の路線情報、当該駅の各路線の時刻表、当該駅から各主要駅までの所要時間、駅構内の案内などを示す情報などであっても良い。また、ログデータが示す処理内容が出場処理である場合、訪日外国人向けの案内の内容としては、当該駅からの乗り換え情報、当該駅周辺の地図、当該駅周辺の施設案内、当該駅周辺でのイベント案内などの情報であっても良い。
【0080】
デフォルトの外国語または言語指定情報で指定される言語での案内を生成すると、プロセッサ21は、当該ログデータに含まれる処理対象となったICカードの識別情報に対応づけて記憶部24に記憶されている宛先情報を特定する。宛先情報を特定すると、プロセッサ21は、宛先情報が示す宛先に生成した案内を送信する(ST69)。
以上の処理によって、利用者は、改札機4を通過するごとにデフォルトの外国語または指定した言語での案内を事前に登録した宛先で受け取ることができる。
【0081】
以上のような処理によれば、上位装置は、特定ビットが設定されたICカード(訪日外国人用のICカード)による処理結果を示すログデータを改札機から取得した場合、当該ICカードに対応づけられた宛先情報があれば、宛先情報が示す宛先に訪日外国人向けの案内を通知する。これにより、訪日外国人用のICカードを所持する利用者は、事前に案内の宛先情報を登録しておけば、当該ICカードで改札機を利用するごとに処理内容に応じた訪日外国人向けの案内を受け取ることができる。
【0082】
また、上位装置は、改札機から訪日外国人用のICカードが処理対象であるログデータを取得した場合、当該ICカードに言語指定情報が書き込まれていなければ当該ICカードに対応する宛先に通知する案内をデフォルトの外国語で生成し、言語指定情報が書き込まれていれば当該ICカードに対応する宛先に通知する案内を当該言語指定情報が指定する特定の言語で案内を生成する。これにより、改札機は、訪日外国人用のICカードを提示する利用者に対して、利用者が分かり易い言語での案内を提供できる。
【0083】
なお、上述の各実施の形態で説明した機能は、ハードウエアを用いて構成するに留まらず、ソフトウエアを用いて各機能を記載したプログラムをコンピュータに読み込ませて実現することもできる。また、各機能は、適宜ソフトウエア、ハードウエアのいずれかを選択して構成するものであっても良い。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、本願に記載した事項の一部を付記する。
[1]
駅務処理を行う駅務機器であって、
案内を表示する表示部と、
操作指示を受け付ける操作部と、
利用者が提示するICカードと通信し、前記ICカードから情報を取得するリーダライタと、
前記リーダライタが通信する前記ICカードに訪日外国人用のICカードであることを示す特定ビットが設定されている場合、言語設定をデフォルト設定の外国語として訪日外国人用の案内を前記表示部に表示し、前記操作部により特定の言語の指定があれば言語設定を前記特定の言語に変更して訪日外国人用の案内を前記表示部に表示する制御部と、
を有する駅務機器。
[2]
前記制御部は、前記特定ビットが設定されているICカードに対する処理を終了した後、前記言語設定を日本語に変更する、
[1]に記載の駅務機器。
[3]
前記制御部は、前記操作部により特定の言語が指定された場合、指定された特定の言語を示す言語指定情報を前記リーダライタにより前記ICカードに書き込む、
[1]又は[2]の何れかに記載の駅務機器。
[4]
前記制御部は、前記リーダライタが通信する前記ICカードに特定ビットが設定されている場合、前記ICカードの使用期限を示す情報を前記表示部に表示する、
[1]乃至[3]の何れか1つに記載の駅務機器。
[5]
改札処理を行う改札機であって、
案内を表示する表示部と、
利用者が提示するICカードと通信し、前記ICカードから情報を取得するリーダライタと、
前記リーダライタが通信する前記ICカードから取得する情報に基づいて前記利用者の通行を通行制御する通行制御部と、
前記リーダライタが通信する前記ICカードに訪日外国人用のICカードであることを示す特定ビットが設定されている場合、前記ICカードに言語指定情報が書き込まれていなければデフォルト設定の外国語で訪日外国人用の案内を前記表示部に表示し、前記ICカードに言語指定情報が書き込まれていれば前記言語指定情報が示す特定の言語での訪日外国人用の案内を前記表示部に表示する制御部と、
を有する改札機。
[6]
前記制御部は、前記特定ビットが設定されているICカードを提示した利用者が通行した後、前記表示部に表示する案内を日本語の案内に変更する、
[5]に記載の改札機。
[7]
前記制御部は、前記リーダライタが通信する前記ICカードに特定ビットが設定されている場合、前記ICカードの使用期限を示す情報を前記表示部に表示する、
[5]又は[6]の何れかに記載の改札機。
[8]
改札処理を行う改札機と上位装置とを有する駅務システムであって、
前記改札機は、
前記上位装置と通信する第1の通信部と、
利用者が提示するICカードと通信し、前記ICカードから情報を取得するリーダライタと、
前記リーダライタが通信する前記ICカードから取得する情報に基づいて前記利用者の通行を通行制御する通行制御部と、
前記リーダライタが通信する前記ICカードの識別情報と訪日外国人用のICカードであることを示す特定ビットの有無を示す情報とを含む前記通行制御部による通行制御の処理結果を示すログデータを前記第1の通信部により前記上位装置へ送信する第1の制御部と、を有し、
前記上位装置は、
前記改札機と通信する第2の通信部と、
訪日外国人用のICカードの識別情報と訪日外国人向けの案内の通知先とする宛先とを対応づけて記憶する記憶部と、
前記第2の通信部により取得した前記改札機からのログデータに特定ビットが設定されているICカードがある場合、当該ICカードの識別情報に対応づけて記憶部に記憶されている宛先へ前記処理結果に応じた訪日外国人向けの案内を通知する第2の制御部と、を有する、
駅務システム。
[9]
前記第2の制御部は、前記特定ビットを含むログデータに言語指定情報が含まれていなければデフォルト設定の外国語で生成した訪日外国人用向けの案内を通知し、前記特定ビットを含むログデータに言語設定情報が含まれていれば前記言語指定情報が示す特定の言語での生成した訪日外国人向けの案内を通知する、
[8]に記載の駅務システム。
【符号の説明】
【0085】
2…上位装置、3…係員端末、4…改札機、5…券売機、21…プロセッサ、24…記憶部、25…通信部、31…プロセッサ、34…記憶部、35…通信部、38…媒体処理部、41…プロセッサ、44…記憶部、45…通信部、46…読取部、47…表示部、48…通行制御部、51…プロセッサ、54…記憶部、55…通信部、56…操作部、57…表示部、58…媒体処理部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8