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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】エレベータの運転制御調整装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/18 20060101AFI20240610BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
B66B1/18 N
B66B1/18 F
B66B3/00 P
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023115304
(22)【出願日】2023-07-13
【審査請求日】2023-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】根本 竜太郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英光
(72)【発明者】
【氏名】塩崎 弘太
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-089098(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0330011(US,A1)
【文献】国際公開第2019/180860(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00- 1/52
B66B 3/00- 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗場もしくはかご内に設置されるカメラの画像から、エレベータ利用者の人数と各人の感情を解析する画像解析部と、
前記解析の結果から得られる不満の感情を表す人の数、もしくは各人の不満の感情レベルの総計に応じて、エレベータの運転に適用する制御を調整する運転制御調整部と、
情報端末から伝送される不満の内容を示す不満情報を取得する不満情報取得部と、
を具備し、
前記運転制御調整部は、
前記不満情報が伝送された時刻の属する一定の時間帯における前記不満の感情を表す人の数、もしくは各人の不満の感情レベルの総計が、所定値以上の場合に、前記不満情報に予め対応付けられた制御を実施することを決定する、
エレベータの運転制御調整装置。
【請求項2】
エレベータの乗場もしくはかご内に設置されるカメラの画像から、エレベータ利用者の人数と各人の感情を解析する画像解析部と、
前記解析の結果から得られる不満の感情を表す人の数、もしくは各人の不満の感情レベルの総計に応じて、エレベータの運転に適用する制御を調整する運転制御調整部と、
各種の不満と、各種の不満をそれぞれ低減させる制御と、各種の制御のそれぞれの実施に要する不満の感情を表す人の数の範囲もしくは各人の不満の感情レベルの総計の範囲と、を予め対応付けた情報を管理する情報管理部と、
を具備する、エレベータの運転制御調整装置。
【請求項3】
前記運転制御調整部は、
一定時間ごとに記録されたエレベータの運転状況の記録に基づいて、前記不満情報の真偽を判定する、
請求項に記載のエレベータの運転制御調整装置。
【請求項4】
エレベータの乗場もしくはかご内に設置されるカメラの画像から、エレベータ利用者の人数と各人の感情を解析する画像解析部と、
前記解析の結果から得られる不満の感情を表す人の数、もしくは各人の不満の感情レベルの総計に応じて、エレベータの運転に適用する制御を調整する運転制御調整部と、
を具備し、
前記運転制御調整部は、
不満を低減させる制御を実施した後、不満の感情を表す人の数もしくは各人の不満の感情レベルの総計が上昇した場合、当該制御の実施を撤回する、
エレベータの運転制御調整装置。
【請求項5】
前記運転制御調整部は、
一定以上の頻度で情報端末から前記不満情報を入力する特定のエレベータ利用者に対しては、予め対応付けられた制御を実施する、
請求項に記載のエレベータの運転制御調整装置。
【請求項6】
エレベータの乗場もしくはかご内に設置されるカメラの画像から、エレベータ利用者の人数と各人の感情を解析する画像解析部と、
前記解析の結果から得られる不満の感情を表す人の数、もしくは各人の不満の感情レベルの総計に応じて、エレベータの運転に適用する制御を調整する運転制御調整部と、
を具備し、
前記運転制御調整部は、
各乗場に対し、前記不満の感情を表す人の数もしくは各人の不満の感情レベルの総計に基づく優先度を付与し、優先度の高い順に乗りかごを応答させ、
前記不満の感情を表す人の乗場での立ち位置に応じて、当該乗場に対する優先度を調整する、
エレベータの運転制御調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータの運転制御調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータは、必ずしもエレベータ利用者が満足するように運行しているとは限らない。エレベータ利用者が抱く不満を低減させるためには、例えば、建物の管理者やオーナー(以降、「管理者等」と称す)が、エレベータ利用者の要望を取り纏めて制御の変更方法を決める必要がある。あるいは管理者等がエレベータの製造会社やサービス会社に制御の設定変更をお願いしたりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平01-231778号公報
【文献】特開2017-030894号公報
【文献】国際公開第2022/091705号公報
【文献】特開2021-080077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の手法では、実際のエレベータ利用者が抱く感情をくみ取れていなかったり、設定変更を行う時期が遅かったりすることがあるため、利用者の不満を解消することは難しい。
【0005】
発明が解決しようとする課題は、利用者の不満を効率よく低減させることのできる、エレベータの運転制御調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のエレベータの運転制御調整装置は、エレベータの乗場もしくはかご内に設置されるカメラの画像から、エレベータ利用者の人数と各人の感情を解析する画像解析部と、前記解析の結果から得られる不満の感情を表す人の数、もしくは各人の不満の感情レベルの総計に応じて、エレベータの運転に適用する制御を調整する運転制御調整部と、情報端末から伝送される不満の内容を示す不満情報を取得する不満情報取得部と、を具備し、前記運転制御調整部は、前記不満情報が伝送された時刻の属する一定の時間帯における前記不満の感情を表す人の数、もしくは各人の不満の感情レベルの総計が、所定値以上の場合に、前記不満情報に予め対応付けられた制御を実施することを決定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係るエレベータの群管理システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、乗場の構成の一例を示す図である。
図3図3は、乗りかご内の出入口周辺部分の構成例を示す図である。
図4図4は、人の顔が映っている画像の一例を示す図である。
図5図5は、不満情報を入力するための画面の一例を示す図である。
図6図6は、不満情報を入力するための画面の別の例を示す図である。
図7図7は、情報管理部22fにより設定・管理される関連付け情報の一例を示す図である。
図8図8は、情報管理部22fにより設定・管理される優先度情報の一例を示す図である。
図9図9は、情報管理部22fにより設定・管理される利用者-制御対応情報の一例を示す図である。
図10図10は、情報管理部22fにより管理される現況情報の一例を示す図である。
図11図11は、優先度情報を用いた制御の具体例を示す概念図である。
図12図12は、運転制御調整装置22が群管理制御装置20から独立して設けられる場合の構成の一例を示す図である。
図13図13は、運転制御調整装置22の基本動作の例を示すフローチャートである。
図14図14は、乗場にいるエレベータ利用者に対象にした制御の動作例を示すフローチャートである。
図15図15は、かご内にいるエレベータ利用者に対象にした制御の動作例を示すフローチャートである。
図16図16は、優先度情報を用いた制御の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、実施の形態について説明する。
【0009】
<エレベータシステムの構成>
図1は、実施形態に係るエレベータの群管理システムの構成の一例を示すブロック図である。
【0010】
図1に示されるエレベータの群管理システムは、エレベータの群管理制御装置20、複数台のエレベータを構成するエレベータ制御装置11a~11cおよび乗りかご12a~12c、ならびに各階の乗場(エレベータホール)14に設置される乗場呼び登録装置15およびカメラ(撮像装置)16a~16cを含む。
【0011】
ここでは、A~C号機からなる3台のエレベータが群管理される例が示されている。A~C号機のエレベータには、3つのエレベータ制御装置11a~11c、3つの乗りかご12a~12c、3つのカメラ16a~16cがそれぞれ対応するものとなっている。
【0012】
エレベータ制御装置11a~11cは、各号機の乗りかご12a~12c毎に設けられ、それぞれに対応した乗りかごの運転制御を行う。具体的には、エレベータ制御装置11a~11cは、それぞれに乗りかご12a~12cを昇降動作させるための図示せぬモータ(巻上機)の制御やドアの開閉制御などを行う。これらのエレベータ制御装置11a~11cは、コンピュータを用いて構成される。
【0013】
乗りかご12a~12cは、モータの駆動により昇降路内を昇降動作する。乗りかご12a~12cには、それぞれにかご内の積載荷重を検知するための荷重センサ13a~13cが設置されている。荷重センサ13a~13cによって検知された荷重データは、エレベータ制御装置11a~11cを介して群管理制御装置20に伝送される。
【0014】
また、乗りかご12a~12cには、それぞれカメラ(撮像装置)18a~18cが設置されている。カメラ18a~18cは、かご内のエレベータ利用者を撮影する。撮影により得られた画像(撮影画像)は、エレベータ制御装置11a~11cを通じて、群管理制御装置20内の運転制御調整装置22へ伝送される。
【0015】
群管理制御装置20は、複数台の乗りかご12a~12cの運転を群管理制御するための装置であり、エレベータ制御装置11a~11cと同様にコンピュータを用いて構成される。この群管理制御装置20には、呼び記憶部21、運転制御調整装置22、運転制御部23が備えられている。なお、ここでは運転制御調整装置22が群管理制御装置20の内側に設けられる場合の例を示すが、運転制御調整装置22は群管理制御装置20の外側に設けられてもよい。その場合の具体例については後で述べる。
【0016】
呼び記憶部21は、乗場呼び登録装置15の操作によって登録された乗場呼びを記憶する。
【0017】
運転制御調整装置22は、エレベータ利用者が所持する情報端末10Bから伝送されるエレベータ利用者の不満の内容を示す不満情報や、カメラ16a~16cやカメラ18a~18cからそれぞれ収集された撮影画像から得られる不満の感情を表す人の数を用いて、エレベータ利用者が抱く不満を低減させるための制御の実施を運転制御部23に指示するものである。なお、不満の感情を表す人の数を用いる代わりに、撮影画像から得られる各人の不満の感情レベルの総計を用いて、エレベータ利用者が抱く不満を低減させる制御を実施するようにしてもよい。例えばある乗場またはかご内に、不満の感情レベルがレベル1の人(不満を感じている人)が3人、レベル2の人(非常に不満を感じている人)が4人いる場合は、「1×3+2×4」を演算した結果「11」を、各人の不満の感情レベルの総計とする。また、不満の感情を表す人の数と各人の不満の感情レベルの総計の両方を用いて、エレベータ利用者が抱く不満を低減させる制御を実施するようにしてもよい。それらの詳細については後で述べる。
【0018】
また、運転制御調整装置22は、図示せぬ通信ネットワークを介して管理者等が所持する情報端末10Aや個々のエレベータ利用者が所持する情報端末10Bとの通信を行えるように構成されている。管理者等は、情報端末10Aを用いて運転制御調整装置22で管理される情報の閲覧や内容変更を行うことができる。エレベータ利用者は、情報端末10Bを用いて自身が感じた不満を運転制御調整装置22へ伝えることができる。
【0019】
運転制御調整装置22は、コンピュータを用いて構成され、運転制御調整装置22が備える各種の機能は、コンピュータが実行するプログラムとして実現される。運転制御調整装置22が備える各種の機能については、後で詳しく述べる。
【0020】
運転制御部23は、エレベータ制御装置11a~11cを通じて、複数のエレベータの運行を制御する。運転制御部23は運転制御調整装置22からの指示が無ければ、一般的な群管理制御を行うが、運転制御調整装置22からある制御の実施を指示されれば、その制御の実施を優先して行う。
【0021】
運転制御部23は、新たな乗場呼びが登録された場合、乗りかご12a~12cの中から当該乗場呼びを割当てる乗りかごを選出し、該当する乗場14に応答させる(乗りかごを乗場呼びが登録された階の乗場14に向かわせる)。
【0022】
図2は、乗場14の構成の一例を示す図である。但し、この例は一例であって、この例に限定されるものではない。
【0023】
各階の乗場(エレベータホール)14には、乗場呼びを登録するための乗場呼び登録装置15が設置されている。図2の例では、便宜的に任意の階に設置された乗場呼び登録装置15が示されているが、実際には各階毎に少なくとも1つの乗場呼び登録装置15が設置されている。乗場呼び登録装置15は、図示せぬ伝送ケーブルを介して群管理制御装置20に接続されている。乗場呼び登録装置15は、エレベータ利用者が行先方向(上方向/下方向)を指定するための方向ボタン(「乗場呼びボタン」とも称す)を備えている。
【0024】
ここで、「乗場呼び」とは、乗場で方向ボタンの操作により登録される呼びの信号のことであり、登録階と行先方向の情報を含む。これに対し、「かご呼び」とは、乗りかご内で行先階ボタンの操作により登録される呼びの信号のことであり、乗りかごと行先階の情報を含む。
【0025】
また、各階の乗場(エレベータホール)14には、カメラ16a~16cが号機ごとに設置されている。カメラ16a~16cは、それぞれ、乗場ドア17a~17cの近傍に設置され、乗りかご12a~12cの到着口前で待機している複数のエレベータ利用者の顔を含む範囲を撮影する。撮影により得られた画像は、群管理制御装置20内の運転制御調整装置22へ伝送される。
【0026】
次に、乗りかご12a~12cの1つを便宜的に乗りかご12と称して、乗りかご12内の構成について説明する。
【0027】
図3は、乗りかご12内の出入口周辺部分の構成例を示す図である。但し、この例は一例であって、この例に限定されるものではない。
【0028】
乗りかご12の出入口には、かごドア40が開閉自在に設けられている。図3の例では、両開きタイプのかごドア40が示されており、かごドア40を構成する2枚のドアパネル40a,40bが間口方向(水平方向)に沿って互いに逆方向に開閉動作する。
【0029】
乗りかご12の出入口の両側には、入口柱41a,41bが設けられている。図3の例では、かごドア40が戸開したときに、一方のドアパネル40aが入口柱41aの裏側に設けられた戸袋42aに収納され、他方のドアパネル40bが入口柱41bの裏側に設けられた戸袋42bに収納される。
【0030】
また、入口柱41a,41bの一方あるいは両方には、表示器43や、行先階ボタン44などが配設された操作盤45、スピーカ46が設置されている。図3の例では、入口柱41aにスピーカ46や前述したカメラ18a~18cの1つであるカメラ18が設置され、入口柱41bには表示器43、操作盤45が設置されている。乗りかご12内に乗車したエレベータ利用者が操作盤45上の行先階ボタン44を押下操作すると、当該行先階ボタン44によって指定された行先階がかご呼びとして登録される。乗りかご12内で登録されたかご呼びは、乗りかご12に対応したエレベータ制御装置11を介して群管理制御装置20に送られる。
【0031】
<運転制御調整装置22の機能構成>
図1に示される群管理制御装置20内の運転制御調整装置22は、各種の機能として、画像取得部22a、画像解析部22b、呼び情報取得部22c、不満情報取得部22d、利用者情報取得部22e、情報管理部22f、状況判定部22g、および運転制御調整部22hを有する。以降、これらの機能について順次説明する。
【0032】
・画像取得部22a
画像取得部22aは、各階の乗り場で号機毎に設置されたカメラ16a~16cによりそれぞれ撮影された画像を区別して収集するとともに、乗りかご毎にカメラ18a~18cによりそれぞれ撮影されたが画像を区別して収集し、収集したそれぞれの画像を所定の記憶領域に記録する。
【0033】
・画像解析部22b
画像解析部22bは、画像取得部22aにより取得された個々の画像から人の顔を検出し、その人数と各人の感情を解析する機能を有する。本例では、この機能により、不満の感情を表す人の数を判定するものとするが、さらに、各人の不満の感情レベルを判定してもよい。不満の感情には、怒り、不機嫌、残念な気持ちなど、様々なものがあるが、ここでは説明の複雑化を避けるため、怒りの感情を対象とする。また、不満の感情レベルは、多段階にて表現することが可能であるが、ここでは説明の複雑化を避けるため、レベル0(不満を感じていない)、レベル1(不満を感じている)、レベル2(非常に不満を感じている)の3段階で表わされるものとする。
【0034】
図4に、人の顔が映っている画像の一例を示す。
【0035】
図4の画像50の例では、右側に不満の感情レベルがレベル0(不満を感じていない)の人が映っており、左側にレベル2(非常に不満を感じている)の人が映っている。
【0036】
なお、上記画像解析には、AI(Artificial Intelligence)を適用してもよい。その場合、様々な顔の表情と不満の感情レベルとの関係をAIに学習させることにより、任意の表情の感情レベルを高精度に判定させることが可能となる。また、画像解析部22bは、画像に写る顔の特徴から、年齢や性別を識別するほか、特定の個人を識別することができる。更には、特定の利用者層(シニア層、若年層など)を識別することもできる。
【0037】
・呼び情報取得部22c
呼び情報取得部22cは、呼び記憶部21に記憶される各階床の乗場呼びの有無を示す呼び情報を取得する。
【0038】
・不満情報取得部22d
不満情報取得部22dは、情報端末10Aや情報端末10Bからの要求に応じて、エレベータ利用者の不満の内容を示す不満情報を入力することが可能な画面を情報端末10Aや情報端末10Bに表示させ、上記画面に入力される不満情報を取得する。取得した情報は、後述する情報管理部22fに保管される。
【0039】
図5に、不満情報を入力するための画面の一例を示す。
【0040】
図5の画面51の例では、エレベータ利用者が所有する情報端末10Bの画面上に、「待ち時間が長い」、「かご内が混雑している」、「かご内がうるさい」、・・・といった各種の不満の内容が選択肢として用意されている。エレベータ利用者が例えば「かご内が混雑している」を選択する場合には、その横に配置されたチェックボックスにチェックを入れ、送信ボタンを押す。これにより、選択された不満の内容を示す不満情報がそのときの日時(時刻)の情報と共に運転制御調整装置22へ伝送される。不満情報取得部22dは、伝送の行われた時刻の情報が付された不満情報を取得する。不満情報には、エレベータ利用者を識別する識別番号も付されていてもよい。
【0041】
図6に、不満情報を入力するための画面の別の例を示す。
【0042】
図6の画面52の例では、エレベータ利用者が所有する情報端末10Bの画面上に、選択肢が用意されているのはなく、自由な文を記入できる入力欄が用意されている。エレベータ利用者が例えば「かごの中が混んでいる」と記入し、送信ボタンを押す。これにより、記入された不満の内容を示す不満情報がそのときの日時(時刻)の情報と共に運転制御調整装置22へ伝送される。不満情報取得部22dは、伝送の行われた時刻の情報が付された不満情報を取得する。この場合、不満情報取得部22dは、取得した不満情報の中の、不満の内容「かごの中が混んでいる」を、上記した選択肢のうち最も近い不満の内容「かご内が混雑している」に変換する。
【0043】
・利用者情報取得部22e
利用者情報取得部22eは、エレベータ利用者を特定するための情報(利用者情報)を取得する。具体的には、情報端末10Bから、エレベータ利用者を識別する識別番号を取得したり、各カメラの撮影画像から、エレベータ利用者の顔の特徴データを取得したりする。取得した情報は、後述する情報管理部22fに保管される。
【0044】
・情報管理部22f
情報管理部22fは、前述した画像取得部22a、画像解析部22b、呼び情報取得部22c、不満情報取得部22d、利用者情報取得部22eなどにより得られる各種の情報の設定・管理を行う。エレベータの運行履歴(運転状況の記録)や各カメラの録画履歴なども記録・管理する。これら各種の情報は、後述する状況判定部22gもしくは運転制御調整部22hにより使用される。
【0045】
図7に、情報管理部22fにより設定・管理される関連付け情報の一例を示す。
【0046】
図7に示される関連付け情報は、後述する運転制御調整部22hでの処理に使用される情報であり、各種の不満の内容を示す項目と、各種の不満をそれぞれ低減させる各種の制御と、各種の制御のそれぞれの実施に要する不満の感情を表す人の数の範囲と、を予め対応付けた情報である。個々の項目は、「乗場」で生じる不満と、「かご内」で生じる不満とに分けて管理してもよい。
【0047】
なお、上記不満の感情を表す人の数の範囲は、各人の不満の感情レベルの総計の範囲に代えてもよい。詳細については、後で説明する。
【0048】
図7の例では、各項目につき、以下のことがルールとして設定されている。
【0049】
「待ち時間が長い」という不満を抱く人が、0~2人であれば「制御変更なし」(一般的な群管理制御を行うこと)とし、3~4人であれば「該当階に分散待機しておく」という制御を実施し、5人以上であれば「2台割当」と「該当階に分散待機」という制御を実施することが示されている。
【0050】
「かご内が混雑している」という不満を抱く人が、0~2人であれば「制御変更なし」とし、3~4人であれば「かご内荷重の小さい号機を優先割当」という制御を実施し、5人以上であれば「満員閾値を下げる」と「かご内荷重の小さい号機を優先割当」という制御を実施することが示されている。
【0051】
「かご内がうるさい」という不満を抱く人が、0~2人であれば「制御変更なし」とし、3人以上であれば「アナウンス音量を1段階下げる」という制御を実施することが示されている。
【0052】
「乗り込む前にドアが閉まった」という不満を抱く人が、0~2人であれば「制御変更なし」(現状の制御を変更しないこと)とし、3人以上であれば「戸開時間を1秒長くする」という制御を実施することが示されている。
【0053】
「乗り場呼びボタンから遠い号機が来た」という不満を抱く人が、0~2人であれば「制御変更なし」とし、3人以上であれば「乗場ボタンに近い号機を優先的に割当」という制御を実施することが示されている。
【0054】
「相乗りになった」という不満を抱く人が、0~2人であれば「制御変更なし」とし、3人以上であれば「空号機を該当階に割当」という制御を実施することが示されている。
【0055】
「乗る号機を間違った」という不満を抱く人が、0~2人であれば「制御変更なし」とし、3人以上であれば「チャイム音量を1段階上げる」という制御を実施することが示されている。
【0056】
なお、図7に示される関連付け情報は一例であって、この例に限定されるものではない。関連付け情報の構成は適宜変えてもよい。例えば、それぞれの制御の内容や人数の閾値範囲は適宜変更しても構わない。また、すでに実施した制御の効果(不満が減少したか否か)を観察し、その効果の良し悪しに応じて、人数の閾値や制御の内容を適宜変えてもよい。また、このような関連付け情報の変更は、各種の状況に応じて適切な状態となるよう自動的に更新されるようにしてもよい。
【0057】
情報管理部22fは、関連付け情報のほか、乗場毎(階床毎)に優先度を設定した優先度情報の設定・管理をも行う。
【0058】
図8に、情報管理部22fにより設定・管理される優先度情報の一例を示す。
【0059】
図8に示される優先度情報は、各乗場(各階床)に対し、エレベータ利用者の不満を低減させる制御を実施する優先順位(優先度)を示すものであり、一定時間毎に更新される。
【0060】
優先度は、不満の感情を表す人の数もしくは各人の不満の感情レベルの総計に基づいて決定するようにしてもよいが、不満の感情を表す人の数および各人の不満の感情レベルの総計の両方を含む演算式を用いて決定するようにしてもよい。この場合、両方を加算する演算式が一例として挙げられるが、演算式の種類は問わない。不満の感情を表す人の数と各人の不満の感情レベルの総計とには、それぞれ、重み付け係数が付与されていてもよい。不満の感情を表す人の数が多いほど、優先度が高くなり、また、各人の不満の感情レベルの総計が大きいほど、優先度が高くなるようにする。
【0061】
図8の例では、階床「2F」に対し、最も高い優先度「1」が付与されている。階床「3F」に対しては、2番目に高い優先度「2」が付与されている。階床「1F」に対しては、3番目に高い優先度「3」が付与されている。但し、図8に示される優先度情報は一例であって、この例に限定されるものではない。優先度情報の構成は適宜変えてもよい。
【0062】
図8に示される優先度情報は、「各乗場(各階床)」に対して優先度が付与されたものであるが、「各乗りかご(各号機)」に対しても同様の優先度が付与されてもよい。その場合の優先度情報は、各乗りかご(各号機)に対し、エレベータ利用者の不満を低減させる制御を実施する優先順位(優先度)を示すものとなる。
【0063】
また、情報管理部22fは、特定のエレベータ利用者がいる場合に実施すべき制御を示す利用者-制御対応情報の設定・管理をも行う。
【0064】
図9に、情報管理部22fにより設定・管理される利用者-制御対応情報の一例を示す。
【0065】
図9に示される利用者-制御対応情報は、特定のエレベータ利用者に対し、不満を低減させるのに最も有効な制御の内容を示すものである。
【0066】
図9の例では、利用者ID「010001」の利用者に対しては、制御Aを実施し、利用者ID「010002」の利用者に対しては、制御Bを実施することが示されている。それぞれの利用者IDは、情報端末10Bを通じて取得されたエレベータ利用者の識別番号であってもよいし、撮影画像から得られたエレベータ利用者の顔の特徴データの識別番号であってもよい。また、それぞれの制御は、後述する運転制御調整部22hによりすでに実施した制御の効果(不満が減少したか否か)を観察し、その効果の良し悪しに応じて、設定もしくは変更を行うようにしてもよい。
【0067】
また、情報管理部22fは、現況として不満を抱いている人がそれぞれ何人いるのかを示す現況情報を管理する。
【0068】
図10に、情報管理部22fにより管理される現況情報の一例を示す。
【0069】
図10に示される現況情報は、不満の内容を示す項目と、不満を抱いている人の人数とを示している。
【0070】
個々の項目は、「乗場」で生じる不満と、「かご内」で生じる不満とに分けて管理してもよい。
【0071】
「項目」は、図5図6で説明した画面から入力された不満の内容を反映させたものである。「人数」は、情報端末10B等から不満の内容を示す不満情報が伝送された時刻の属する一定の時間帯において該当する乗場またはかご内で撮影された画像から得られる不満の感情を表す人の数を反映させたものである。該当する乗場またはかご内がどこなのかは、時系列に記録されたエレベータの運行履歴や各カメラの録画履歴などから導き出すことができる。また、伝送された時刻が例えば9:00の場合、一定の時間帯は例えば8:55から9:00までの短めの時間帯としてもよいし、8:00から9:00までの長めの時間帯としてもよいし、適宜、時間帯の幅を変更してもよい。
【0072】
図10の例では、情報端末10Bから不満の情報が伝送されてきた順に、「待ち時間が長い」、「かご内が混雑している」、「かご内がうるさい」、・・・といった各種の不満の内容と不満の感情を表す人の数とが順次追記されたものが示されている。
【0073】
・状況判定部22g
状況判定部22gは、呼び情報取得部22cにより取得された呼び情報に基づきエレベータの運行状況を監視するとともに、情報管理部22fにより管理される関連付け情報などの各種の情報に基づき、現在の制御を変更すべきか否か、制御を変更する場合はどの制御を実施すべきか等の判定を行う。
【0074】
・運転制御調整部22h
運転制御調整部22hは、画像解析部22bにより行われた解析の結果や、情報管理部22fにより管理される各種の情報、状況判定部22gの判定結果などに基づき、エレベータの運転に適用する制御を調整する。
【0075】
例えば、運転制御調整部22hは、画像解析部22bでの解析の結果から得られる不満の感情を表す人の数、もしくは各人の不満の感情レベルの総計に応じて、エレベータの運転に適用する制御を調整する。
【0076】
具体的には、運転制御調整部22hは、不満情報取得部22dにより取得された不満情報(情報端末10B等から伝送される不満の内容を示す不満情報)が伝送された時刻の属する一定の時間帯における不満の感情を表す人の数もしくは各人の不満の感情レベルの総計が所定値以上の場合に、当該不満情報に予め対応付けられた制御を実施することを決定し、その制御の実施を運転制御部23に指示する。
【0077】
上記決定においては、不満の感情を表す人の数もしくは各人の不満の感情レベルの総計を使用する代わりに、不満の感情を表す人の数および各人の不満の感情レベルの総計の両方を使用してもよい。例えば、不満の感情を表す人の数および各人の不満の感情レベルの総計の両方を含む演算式から得られる値が所定値以上の場合に、上記不満情報に予め対応付けられた制御を実施することを決定するようにしてもよい。この場合、両方を加算する演算式が一例として挙げられるが、演算式の種類は問わない。不満の感情を表す人の数と各人の不満の感情レベルの総計とには、それぞれ、重み付け係数が付与されていてもよい。
【0078】
上記のほか、運転制御調整部22hは、一定時間ごとに記録されたエレベータの運転状況の記録に基づいて、上記不満情報の真偽を判定する機能を有する。
【0079】
不満情報の真偽を判定するためには、一定時間ごとに記録されたエレベータの運転状況の中に、不満情報が示す状況に該当するものがあるか否か(一定以上の類似があるか否か)を確認すればよい。例えば、「かご内が混雑している」を示す不満情報が伝送された時刻の属する時間帯に、かご内が満員に近い状況であったことが確認できた場合は、不満情報は正しいと判定し、対応する制御を実施する。そうでない場合は、不満情報は正しくないと判定し、対応する制御は実施しない。
【0080】
また、運転制御調整部22hは、不満を低減させる制御を実施した後、不満の感情を表す人の数もしくは各人の不満の感情レベルの総計が上昇した場合に、当該制御の実施を撤回する機能を有する。
【0081】
すなわち、不満を低減させるために行った制御の実施が、エレベータ利用者にとって逆効果であった場合には、その制御の実施を撤回することにより、不満感情の悪化が抑えられるようにする。
【0082】
また、運転制御調整部22hは、撮影画像から特定の利用者層に属する人の顔が検出された場合、当該特定の利用者層に予め対応付けられた制御を実施する機能を有する。
【0083】
例えば、特定の利用者層が「シニア層」である場合、「乗り込む前にドアが閉まった」という不満を抱く可能性が高いとみなし、これに対応する「戸開時間を1秒長くする」という制御を実施するようにしてもよい。
【0084】
また、運転制御調整部22hは、一定以上の頻度で情報端末10Bから不満情報を入力する特定のエレベータ利用者に対しては、予め対応付けられた制御を実施する機能を有する。
【0085】
この制御の実施には、情報管理部22fにより設定・管理される前述の利用者-制御対応情報を使用する。利用者-制御対応情報は、特定のエレベータ利用者がいる場合に実施すべき制御を示す。例えば特定のエレベータ利用者がこれまで入力してきた複数の不満の内容と、実施して不満の感情レベルが上がった又は下がった制御との関係をAIに学習させることにより、その特定のエレベータ利用者に適する制御を導き出してもよい。
【0086】
このように運転制御調整装置22を構成することにより、エレベータ利用者が乗場やかご内で抱く不満の感情を的確にくみ取ることができ、即座に対応する制御が自動的に実施されるので、利用者の不満を効率よく低減させることが可能となる。
【0087】
以下では、前述した優先度情報を用いて運転制御調整部22hが実施する制御の具体例について説明する。
【0088】
<優先度情報を用いた制御の具体例>
次に、図8で説明した優先度情報を用いた制御の具体例を、図11の概念図を用いて説明する。
【0089】
図11の概念図は、4台のエレベータ(A号機、B号機、C号機、D号機)が群管理制御され、それぞれの乗りかご12a、12b、12c、12dが、この順に、2階や3階での乗場呼びに応答して上層階から下降しようとしている状況を表している。
【0090】
図11の中央には、3階の乗場でエレベータに乗ろうとしている人が3人、2回の乗場でエレベータに乗ろうとしている人が3人いる様子が示されている。黒色で示された人は、不満の感情を表している人である。このとき、上層階から下降中の乗りかご12a、12b、12c、12dには、それぞれ、空きが2人分、1人分、2人分、1人分、だけ残されているものとする。すなわち、どの乗りかごも、3人を乗せることができない状況にある。
【0091】
このような状況のとき、本実施形態では、図11の下側に示されるように、3階に早く応答できる乗りかごを敢えて3階を通過させ、2階に先に応答させる。すなわち、不満の感情を表す人が多い階に、優先的に早く乗りかごが到着するように制御する。
【0092】
この場合における優先度情報は、図8に示されるように、2階の優先度が一番高く、その次に3階の優先度が高く、その次に1階の優先度が高くなるように設定されている。
【0093】
よって、優先度が一番高い2階へ向けて乗りかごが優先的に配車される。2階には3人が待機しているので、3人とも乗車できるよう、空きが2人分しかない乗りかご12aだけでなく、空きが1人分しかない乗りかご12bも、2階に応答するよう制御される。3階には、その後に続く乗りかご12c,13dが応答するように制御される。
【0094】
3階には、不満の感情を表している人がいるが、3階に乗りかご12bを応答させても、その人が必ず先に乗りかご12bに乗り込むとは限らない。本実施形態では、優先度の高い方の乗場に待ち人数に見合う乗りかごを充当させることを優先する。
【0095】
このような制御を運転制御調整部22hが実施することにより、全体として効率良くエレベータ利用者が抱く不満を低減させることができる。
【0096】
なお、優先度の高い方の乗場に待ち人数に見合う乗りかごを充当させることを優先するに際し、待ち人数だけでなく、待ち時間、年齢、乗りかごの見送り回数なども加味した上で、優先する乗場を決定するようにしてもよい。
【0097】
上記のほか、運転制御調整部22hは、不満の感情を表す人の乗場での立ち位置に応じて、当該乗場に対する優先度を調整する機能を有する。
【0098】
乗場での立ち位置は、乗場に設置されたカメラの画像から確認することができる。例えば、不満の感情を表す人が、他の人よりも乗場のドアに近い位置にいる場合は、到着する乗りかごに乗り込む可能性が高いので、その乗場の優先度を高めることによって、エレベータ利用者の不満を低減させる効果をさらに高めることができる。
【0099】
また、運転制御調整部22hは、乗りかご内に不満の感情レベルが一定値を超える人が一定数以上いる場合、当該乗りかごを途中階の乗場呼びに応答させずに行先階へ向かわせる機能を有する。
【0100】
このように途中階の乗場呼びに応答させないようにすることで、乗りかごがそれ以上混まないようにすることができる。また、その乗りかごが途中階で停まらないので、不満の感情を表す人達を早く行先階へ向かわせることができる。これにより、エレベータ利用者の不満を低減させる効果をさらに高めることができる。
【0101】
また、運転制御調整部22hは、各乗りかごに対し、不満の感情を表す人の数もしくは各人の不満の感情レベルの総計に基づく優先度を付与し、優先度の高い乗りかごほど早く行先階へ向かわせる機能を有する。
【0102】
このように優先度を乗りかごに付与することによっても、効率良くエレベータ利用者が抱く不満を低減させることができる。
【0103】
<変形例>
図1に示される運転制御調整装置22の変形例について説明する。
【0104】
運転制御調整装置22は、群管理制御装置20の外側に設けられてもよい。
【0105】
すなわち、運転制御調整装置22は、必ずしも図1に示されるように群管理制御装置20の内側に設けられる必要はない。運転制御調整装置22は、群管理制御装置20から離れた場所に独立して設けられてもよい。その場合、運転制御調整装置22の機能の全てが群管理制御装置20から離れた場所に設けられてもよいし、運転制御調整装置22の機能の一部のみが群管理制御装置20から離れた場所に設けられてもよい。
【0106】
図12に、運転制御調整装置22が群管理制御装置20から独立して設けられる場合の構成の一例を示す。
【0107】
図12に示される運転制御調整装置22は、群管理制御装置20との通信が可能であり、前述した群管理制御装置20内の運転制御調整装置22と同等の機能・動作を実現する。すなわち、図12に示される運転制御調整装置22は、図1で説明した呼び記憶部21に記憶される情報を取得したり、カメラ18a~18cから供給される画像を取得したり、カメラ16a~16から供給される画像を取得したり、情報端末10A,10Bとの間で情報の送受を行ったり、運転制御部23に対して運転制御調整部22hが制御の実施を指示したりすることができる。この場合、カメラ16a~16から供給される画像やカメラ18a~18cから供給される画像は、群管理制御装置20を経由することなく直接的に運転制御調整装置22が取得できるように構成してもよい。運転制御調整装置22と情報端末10A,10Bとの情報の送受も、群管理制御装置20を経由することなく直接的に行えるように構成してもよい。
【0108】
<動作の流れ>
図13乃至図16を参照して、運転制御調整装置22による動作のいくつかの例を説明する。
【0109】
・基本動作
最初に、図13を参照して、運転制御調整装置22の基本動作の例を説明する。
【0110】
予め、情報管理部22fにおいて各種の条件設定が行われる(ステップS1)。ここでは、図7で説明した関連付け情報の設定などが行われる。
【0111】
次に、画像取得部22aによりカメラの撮影画像の取得が行われ、画像解析部22bによりその画像の解析が行われる(ステップS2)。
【0112】
次に、呼び情報取得部22cにより呼び情報の取得が行われる(ステップS3)。
【0113】
次に、不満情報取得部22dにより情報端末10B等からの不満情報の取得が行われる(ステップS4)。
【0114】
次に、利用者情報取得部22eにより取得された利用者情報の有無の確認などが行われる(ステップS5)。
【0115】
次に、状況判定部22gにより呼び情報に基づきエレベータの運行状況が監視されるとともに、情報管理部22fにより管理される関連付け情報などの各種の情報に基づき、現在の制御を変更すべきか否か、制御を変更する場合はどの制御を実施すべきか等の判定が行われる(ステップS6)。
【0116】
次に、運転制御調整部22hにより、画像解析部22bにより行われた解析の結果や、情報管理部22fにより管理される各種の情報、状況判定部22gの判定結果などに基づき、エレベータの運転に適用する制御が調整される(ステップS7)。例えば、画像解析部22bでの解析の結果から得られる不満の感情を表す人の数、もしくは各人の不満の感情レベルの総計に応じて、エレベータの運転に適用する制御が調整される。この後、ステップS1からの処理が繰り返される。
【0117】
・動作例(1)
図14を参照して、乗場にいるエレベータ利用者に対象にした制御の動作例を説明する。以下に示す各処理は、主に運転制御調整部22hにより行われる。
【0118】
まず、乗場に人がおり、該当階からの呼びがあるか否かが判定される(ステップS11)。該当しない場合は、ステップS11の判定を繰り返し、該当する場合は、ステップS12へ進む。
【0119】
次に、乗場にいる人の感情と人数の判定が行われる(ステップS12)。
【0120】
また、情報端末からの不満情報入力があるか否かが判定される(ステップS13)。該当しない場合は、ステップS11の判定を繰り返し、該当する場合は、ステップS14へ進む。
【0121】
次に、不満情報の内容と人数の判定が行われる(ステップS14)。
【0122】
また、不満の感情(怒りの感情)を示す人の数が一定以上であるか否かが判定される(ステップS15)。該当しない場合は、ステップS11の判定を繰り返し、該当する場合は、ステップS16へ進む。
【0123】
次に、怒りの感情を示す人の数が一定以上の乗場(階)を対象に、怒りの感情を低減させる制御(例えば、該当階へ乗りかごを早く配車すること)が行われる(ステップS16)。この後、ステップS11からの処理が繰り返される。
【0124】
・動作例(2)
図15を参照して、かご内にいるエレベータ利用者に対象にした制御の動作例を説明する。以下に示す各処理は、主に運転制御調整部22hにより行われる。
【0125】
まず、かご内に人がいるか否かが判定される(ステップS21)。該当しない場合は、ステップS21の判定を繰り返し、該当する場合は、ステップS22へ進む。
【0126】
次に、かご内にいる人の感情と人数の判定が行われる(ステップS22)。
【0127】
また、情報端末からの不満情報入力があるか否かが判定される(ステップS23)。該当しない場合は、ステップS21の判定を繰り返し、該当する場合は、ステップS24へ進む。
【0128】
次に、不満情報の内容と人数の判定が行われる(ステップS24)。
【0129】
また、不満の感情(怒りの感情)を示す人の数が一定以上であるか否かが判定される(ステップS25)。該当しない場合は、ステップS21の判定を繰り返し、該当する場合は、ステップS26へ進む。
【0130】
次に、怒りの感情を示す人の数が一定以上の乗りかご(号機)を対象に、怒りの感情を低減させる制御(例えば、行先階へ乗りかごを早く向かわせること)が行われる(ステップS26)。この後、ステップS21からの処理が繰り返される。
【0131】
・動作例(3)
図16を参照して、優先度情報を用いた制御の動作例を説明する。以下に示す各処理は、主に運転制御調整部22hにより行われる。
【0132】
まず、乗場に人がおり、該当階からの呼びがあるか否かが判定される(ステップS31)。該当しない場合は、ステップS31の判定を繰り返し、該当する場合は、ステップS32へ進む。
【0133】
次に、乗場にいる人の感情と人数の判定が行われる(ステップS32)。
【0134】
次に、優先度情報として乗場毎の優先度付けが行われる(ステップS33)。
【0135】
次に、優先度情報を用いて優先度に応じた制御(例えば、優先度の高い順に乗りかごを早く配車すること)が行われる(ステップS34)。この後、ステップS21からの処理が繰り返される。
【0136】
以上詳述したように、実施形態によれば、利用者の不満を効率よく低減させることができる。
【符号の説明】
【0137】
10A,10B…情報端末、11a~11c…エレベータ制御装置、12a~12c…乗りかご、14…乗場(エレベータホール)、15…乗場呼び登録装置、16a~16c…カメラ(撮像装置)、17a~17c…乗場ドア、18a~18c…カメラ(撮像装置)、20…群管理制御装置、21…呼び記憶部、22…運転制御調整装置、22a…画像取得部、22b…画像解析部、22c…呼び情報取得部、22d…不満情報取得部、22e…利用者情報取得部、22f…情報管理部、22g…状況判定部、22h…運転制御調整部、23…運転制御部。
【要約】
【課題】 利用者の不満を効率よく低減させることができるようにすること。
【解決手段】 実施形態のエレベータの運転制御調整装置は、エレベータの乗場もしくはかご内に設置されるカメラの画像から、エレベータ利用者の人数と各人の感情を解析する画像解析部と、前記解析の結果から得られる不満の感情を表す人の数、もしくは各人の不満の感情レベルの総計に応じて、エレベータの運転に適用する制御を調整する運転制御調整部と、を具備する。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16