(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20240610BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240610BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
G03G15/00 550
H04N1/00 519
G03G21/16 128
(21)【出願番号】P 2023129578
(22)【出願日】2023-08-08
(62)【分割の表示】P 2019126327の分割
【原出願日】2019-07-05
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 文吾
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-051906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体フレームと、前記本体フレームに
支持され、
原稿に画像を形成する画像形成部と、を備える装置本体と、
読取フレームと、前記読取フレームに支持され、
原稿が載置される載置部と、前記読取フレームに収容され、前記載置部に載置された
原稿の画像を読み取る読取部と
、を有し、前記装置本体に支持される読取ユニットと、
前記載置部に載置された
原稿を上方から押さえつける押え部を有し、
第1ヒンジ
及び第2ヒンジを介して前記読取ユニットに対し
て開閉可能に支持される開閉ユニットと、
前記読取フレームに隣接して設けられ、前記第1ヒンジを支持する第1ヒンジ支持部と、
前記読取フレームに隣接して設けられ、前記第2ヒンジを支持する第2ヒンジ支持部と、を備え、
前記
第1ヒンジ支持部は、前記読取フレームに固定される第1固定部と
、前記本体フレームに固定される第2固定部と、を有
し、
前記第2ヒンジ支持部は、前記読取フレームに固定される第3固定部と、前記本体フレームに固定される第4固定部と、を有する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記読取フレームは、樹脂材料から構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2固定部
及び前記第4固定部は、前記本体フレームの上端よりも下方に位置している、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記本体フレームは、鉛直方向に延びる鉛直面を有し、
前記第2固定部
及び前記第4固定部は、前記鉛直面に対して固定される、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記読取フレームを前記本体フレームに対して固定する固定部材を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1ヒンジ支持部は、金属材料から構成され、
前記第2ヒンジ支持部は、樹脂材料から構成される、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記開閉ユニットを前記読取ユニットに対して開く方向に付勢する付勢部材を備え、
前記付勢部材は、前記第1ヒンジにのみ設けられている、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第2ヒンジ支持部に固定されると共に金属材料から構成され、前記第2ヒンジ支持部を補強する補強部材を備える、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記
開閉ユニットの開閉軸の軸方向は、前記読取部の主走査方向に平行である、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記開閉ユニットは、
原稿が積載される積載部と、前記積載部に積載された
原稿を給送する給送部と、を有し、
前記読取部は、前記給送部によって給送された
原稿を読み取り可能である、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、シートに画像を形成するプリンタ本体と、プリンタ本体の上方に配置され、原稿の画像を読み取る画像読取装置と、が一体になった画像形成装置が知られている。画像読取装置は、原稿を連続して給送する原稿自動給送装置(以下、ADFとする)と、ADFによって給送された原稿を読み取る画像読取部と、を有している。
【0003】
従来、画像読取部の背面に配置されたヒンジ部を介して、ADFが画像読取部に対して開閉可能に支持された画像形成装置が提案されている(特許文献1参照)。画像読取部の上面には、原稿を載置可能なコンタクトガラスが設けられており、ADFを開くことでコンタクトガラスが露出される。
【0004】
画像読取部のフレームは、亜鉛メッキ鋼板(SECC)で形成されており、該フレームの後側面にはヒンジ部を支持するヒンジ受けが固定されている。フレームの後側面の内側には、原稿の画像を読み取るキャリッジを案内するガイドレールが取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のヒンジ受けには、ADFが開閉されることで大きな回転モーメントが作用する。この回転モーメントが、ヒンジ受けを介して画像読取部のフレームに作用すると、フレームが変形し、原稿の読取精度が低下してしまう。このため、画像読取部のフレームは、高い剛性を確保するために亜鉛メッキ鋼板によって形成されているが、コストダウンの妨げとなっていた。
【0007】
そこで、本発明は、コストダウン可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、画像形成装置において、本体フレームと、前記本体フレームに支持され、原稿に画像を形成する画像形成部と、を備える装置本体と、読取フレームと、前記読取フレームに支持され、原稿が載置される載置部と、前記読取フレームに収容され、前記載置部に載置された原稿の画像を読み取る読取部と、を有し、前記装置本体に支持される読取ユニットと、前記載置部に載置された原稿を上方から押さえつける押え部を有し、第1ヒンジ及び第2ヒンジを介して前記読取ユニットに対して開閉可能に支持される開閉ユニットと、前記読取フレームに隣接して設けられ、前記第1ヒンジを支持する第1ヒンジ支持部と、前記読取フレームに隣接して設けられ、前記第2ヒンジを支持する第2ヒンジ支持部と、を備え、前記第1ヒンジ支持部は、前記読取フレームに固定される第1固定部と、前記本体フレームに固定される第2固定部と、を有し、前記第2ヒンジ支持部は、前記読取フレームに固定される第3固定部と、前記本体フレームに固定される第4固定部と、を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、装置をコストダウンできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】(a)本実施の形態に係るプリンタを示す全体概略図、(b)は画像形成エンジンを示す模式図。
【
図4】読取フレーム及びヒンジ支持部を示す平面図。
【
図5】読取フレーム及びヒンジ支持部を示す側面図。
【
図7】本体フレーム及びヒンジ支持部を示す斜視図。
【
図8】本体フレーム及びヒンジ支持部を示す側面図。
【
図10】比較例に係る本体フレーム及びヒンジ支持部を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[全体構成]
本実施の形態に係る画像形成装置としてのプリンタ100は、電子写真方式のレーザビームプリンタである。プリンタ100は、
図1(a)に示すように、装置本体としてのプリンタ本体50と、プリンタ本体50の上部に装着される画像読取装置10と、を備えている。なお、以下において、シートとは、普通紙の他にも、コート紙等の特殊紙、封筒やインデックス紙等の特殊形状からなる記録材、及びオーバーヘッドプロジェクタ用のプラスチックフィルムや布などを含むものとし、原稿もシートの一例である。なお、シートの一例である原稿は、白紙でも、片面又は両面に画像が形成されていてもよい。
【0012】
プリンタ本体50は、その内部に画像形成エンジン60を有している。画像形成エンジン60は、
図1(b)に示すように、電子写真方式の画像形成ユニットPUと、定着装置17と、を備えている。画像形成部としての画像形成ユニットPUは、後述する本体フレーム85(
図7参照)に収容されている。画像形成動作の開始が指令されると、感光体である感光ドラム11が回転し、ドラム表面が帯電装置12によって一様に帯電される。すると、露光装置13が、画像読取装置10又は外部のコンピュータから送信された画像データに基づいてレーザ光を変調して出力し、感光ドラム11の表面を走査して静電潜像を形成する。この静電潜像は、現像装置14から供給されるトナーによって可視化(現像)されてトナー像となる。
【0013】
このような画像形成動作に並行して、不図示のカセット又は手差しトレイに積載されたシートを画像形成エンジン60へ向けて給送する給送動作が実行される。給送されたシートは、画像形成ユニットPUによる画像形成動作の進行に合わせて搬送される。そして、感光ドラム11に担持されたトナー像は、転写ローラ15によってシートに転写される。トナー像転写後に感光ドラム11上に残ったトナーは、クリーニング装置16によって回収される。未定着のトナー像が転写されたシートは、定着装置17へと受け渡されて、ローラ対に挟持されて加熱及び加圧される。トナーがシートに対して溶融及び固着して画像が定着したシートは、排出ローラ対等によって、排出される。
【0014】
[画像読取装置]
次に、画像読取装置10について詳述する。画像読取装置10は、
図1(a)に示すように、積載部としての原稿トレイ6に積載された原稿を給送し排出トレイ27に排出するADF20と、ADF20によって搬送される原稿を読取る読取ユニット30と、を備えている。
【0015】
ADF20は、給送部としての給送ローラ4と、分離ローラ対5と、引抜ローラ対71と、搬送ローラ対21,22,23,24と、プラテンガラス37と、プラテンガイドローラ35,36と、排出ローラ対26と、第2読取部32と、を有している。
【0016】
読取ユニット30は、プラテンガラス33と、載置部としての原稿台ガラス28と、読取部としての第1読取部31と、を有している。第1読取部31及び第2読取部32の内部には、それぞれ不図示の照明装置、読取素子、画像処理部、レンズ及びミラーが配置されている。第1読取部31は、不図示のワイヤ及び駆動モータによって図内左右方向である副走査方向に移動可能に構成されている。なお、照明装置は、キセノンランプやFED等の各種の照明器具を適用可能であり、読取素子は、CCDセンサ、CMOSセンサ及びCISセンサ等の光電変換素子を適用可能である。
【0017】
画像読取装置10は、原稿トレイ6に積載された原稿をADF20により給送しながら原稿画像を走査する流し読みモードと、原稿台ガラス28に載置された原稿を走査する固定読みモードと、により、原稿から画像情報を読取る。流し読みモードは、原稿トレイ6に積載された原稿を不図示の原稿有無センサが検出した場合、又はプリンタ本体50の操作パネル等によってユーザが明示的に指示した場合に選択される。
【0018】
流し読みモードが実行されると、給送ローラ4及び分離ローラ対5によって原稿が1枚ずつに分離されて搬送される。そして、原稿は、引抜ローラ対71及び搬送ローラ対22,23によってプラテンガラス33に向けて搬送される。プラテンガラス33を通過する原稿は、プラテンガラス33から浮かないようにプラテンガイドローラ35によって案内される。
【0019】
そして、原稿の第1面(表面)の画像がプラテンガラス33を介して第1読取部31によって読取られる。具体的には、搬送中の原稿に対して照明装置の光が照射され、原稿からの反射光がミラーを介してレンズに導かれる。そして、レンズを通過した光は、読取素子に結像され、光電変換されてCPUに画像情報が送信される。プラテンガラス33を通過した原稿は、搬送ローラ対24に導かれ、搬送ローラ対24によって搬送されながらプラテンガラス37を介して第2読取部32によって第2面(裏面)の画像が読取られる。
【0020】
プラテンガラス37を通過する原稿は、プラテンガラス37から浮かないようにプラテンガイドローラ36によって案内される。なお、必ずしも原稿の両面の画像が読取られる必要はなく、第1面及び第2面のいずれか一方のみの画像が読取られてもよい。そして、画像が読取られた原稿は、排出ローラ対26によって排出トレイ27に排出される。
【0021】
一方、固定読みモードは、原稿台ガラス28に載置された原稿を装置が検出した場合又はプリンタ本体50の操作パネル等によってユーザが明示的に指示した場合に選択される。この場合、原稿台ガラス28上の原稿は動くことなく、第1読取部31が原稿台ガラス28に沿って移動する。そして、第1読取部31内の照明装置が照射する光によって原稿を走査する。読取素子によって光電変換された画像情報は、CPUへと転送される。
【0022】
[ヒンジ及びヒンジ支持部]
次に、
図2及び
図3を参照して、ヒンジ220F,220B及びヒンジ支持部230F,230Bについて説明する。読取ユニット30は、
図2及び
図3に示すように、樹脂材料から構成される読取フレーム30Fを有しており、読取フレーム30Fは、原稿台ガラス28を支持すると共に、読取部としての第1読取部31(
図1(a)参照)を収容している。
【0023】
また、読取ユニット30は、読取フレーム30Fの左方に配置されるヒンジ支持部230F,230Bを有しており、これらヒンジ支持部230F,230Bは、カバー105によって覆われている。
図3は、カバー105を取外した状態の画像読取装置10を示す背面図である。ヒンジ支持部230F,230Bは、主走査方向SDに間隔を空けて並設されており、ヒンジ220F,220Bをそれぞれ支持している。すなわち、ヒンジ支持部230F,230Bは、水平方向において読取フレーム30Fに隣接して設けられている。言い換えれば、第2ヒンジ支持部としてのヒンジ支持部230Bは、開閉軸80の軸方向において第1ヒンジ支持部としてのヒンジ支持部230Fとは異なる位置に配置されている。
【0024】
ADF20は、ヒンジ220F,220Bを介して読取ユニット30に対して開閉軸80を中心に開閉可能に支持されており、
図3の開き方向OD及び閉じ方向CDに開閉可能となっている。開閉軸80の軸方向は、主走査方向SDと平行である。また、開閉ユニットとしてのADF20は、原稿台ガラス28に対向する位置に押え部210を有している。押え部210は、ADF20が読取ユニット30に対して閉じられることで、原稿台ガラス28に載置された原稿を上方から押さえつけ、原稿の位置ズレを低減している。押え部210の原稿に接触する面とは反対側には、不図示のクッション部材が複数貼り付けられており、このクッション部材の反発力によって原稿を原稿台ガラス28に押えつける。
【0025】
ヒンジ220F,220Bは、ヒンジ支持部230F,230Bに固定されるベース部と、ベース部に対して開閉軸80を中心に回動可能に支持されると共にADF20に固定される回動部と、をそれぞれ有している。また、ヒンジ220Fには、ADF20を開き方向ODに付勢する付勢部材としてのバネ81が配置されているが、第2ヒンジとしてのヒンジ220Bにはこのような付勢部材は配置されていない。言い換えれば、バネ81は、第1ヒンジとしてのヒンジ220Fにのみ設けられている。ヒンジ220Fにバネ81が設けられることで、ユーザによるADF20を開くための操作力がアシストされるため、ユーザビリティを向上することができる。
【0026】
[ヒンジ支持部]
次に、ヒンジ支持部230F,230Bの構成について詳述する。
図4は、読取フレーム30F及びヒンジ支持部230F,230Bを示す平面図である。
図5は、読取フレーム30F及びヒンジ支持部230F,230Bを示す側面図である。
【0027】
図4及び
図5に示すように、ヒンジ支持部230Fは、上面に形成されたビス孔部91Fと、背面に形成されたビス孔部92Fと、がそれぞれビスによって読取フレーム30Fに固定される。これらビス孔部91F,92Fは、第1固定部を構成している。また、ヒンジ支持部230Bは、上面に形成されたビス孔部91Bと、背面に形成されたビス孔部92Bと、がそれぞれビスによって読取フレーム30Fに固定される。これらビス孔部91B,92Bは、第3固定部を構成している。また、ヒンジ支持部230Fは、上面に形成されたビス孔部93Fがビスによってヒンジ220Fに固定される。
【0028】
図6に示すように、ヒンジ支持部230Bは、樹脂材料から構成されており、ヒンジ支持部230Bの上部には、金属材料から構成される補強部材としてのヒンジ板231が取り付けられている。ヒンジ支持部230Bには、装置手前側に向けて突起した突起部82が設けられており、ヒンジ板231は、前端部及び後端部がコ字状に折り曲げられている。そして、ヒンジ板231の前端部に形成された各孔部231aがヒンジ支持部230Bの突起部82に係合した状態で、
図5に示すように、ヒンジ板231の後端部がヒンジ支持部230Bのビス孔部94Bと共にビスによって締結されている。
【0029】
ヒンジ板231の上面231cには、ビス孔部231bが形成されており、このビス孔部231bがビスによってヒンジ220Bに固定される。これにより、ヒンジ支持部230Bは、ヒンジ板231を介して、ヒンジ220Bに一体に固定される。
【0030】
そして、ヒンジ板231の上面231cは、カバー105を介してヒンジ220Bに密着し、ヒンジ220Bからの荷重を確実に受けることができる。このように、ヒンジ支持部230Bは樹脂材料から構成されているが、ヒンジ板231により補強されている。また、ヒンジ220Bにはヒンジ220Fに設けられるようなバネ81が設けられていないため、バネ81で発生するような反力がヒンジ支持部230Bには作用しない。これにより、ヒンジ支持部230Bに必要とされる剛性は、ヒンジ支持部230Fよりも低く、ヒンジ支持部230Bを樹脂材料から構成し、コストダウン及び軽量化することができる。
【0031】
[比較例]
ここで、
図9及び
図10を参照して、比較例としての画像読取装置10Cについて説明する。
図9及び
図10に示すように、画像読取装置10Cは、ADF20Cと、読取ユニット30Cと、を有しており、プリンタ本体50Cの上部に取り付けられている。ADF20Cは、ヒンジ220FC,220BCを介して読取ユニット30Cに対して開閉可能に支持されている。
【0032】
ヒンジ220FC,220BCは、それぞれ不図示のヒンジ支持部に支持されており、これらヒンジ支持部は、読取ユニット30Cの読取フレーム30FCに固定されている。更に、
図10に示すように、読取フレーム30FCは、連結部材110Cによって、プリンタ本体50Cの本体フレーム85Cに連結されている。
【0033】
このように、比較例としての画像読取装置10Cのヒンジ支持部は、ヒンジ220FC,220BCに固定されると共に、読取フレーム30FCに固定されている。そして、読取フレーム30FCは、本体フレーム85Cに固定されている。このため、ADF20Cが開閉する際に発生する回転モーメントは、ヒンジ220FC,220BC及びヒンジ支持部を介して、読取フレーム30FCに作用する。この回転モーメントは、読取フレーム30FC以外に作用する部材が無いため、読取フレーム30FCは相当な剛性が必要となる。そこで、比較例としての読取フレーム30FCは、金属材料から構成されている。
【0034】
[ヒンジ支持部の本体フレームへの固定]
次に、本実施の形態におけるヒンジ支持部230F,230Bの本体フレーム85への固定方法について説明する。
図7に示すように、ヒンジ支持部230F,230Bは、プリンタ本体50の本体フレーム85よりも下方に延出している。本体フレーム85は、鉛直方向に延びる鉛直面としてのフレーム面86を有している。また、読取フレーム30Fは、固定部材としての連結部材110によって、本体フレーム85に固定されている。
【0035】
図8に示すように、ヒンジ支持部230Fは、第2固定部としてのビス孔部95Fを有しており、ビス孔部95Fは、ビスによってフレーム面86に固定される。同様にして、ヒンジ支持部230Bは、第4固定部としてのビス孔部95Bを有しており、ビス孔部95Bは、ビスによってフレーム面86に固定される。ビス孔部95F,95Bは、本体フレーム85の上端87よりも下方に位置しており、フレーム面86に隣接している。これにより、ビス孔部95F,95Bは、フレーム面86に対して直接的にビスによって固定することができる。
【0036】
フレーム面86は、鉛直方向に延びており、かつADF20の開閉に起因する回転モーメントに対して面で力を受けることができる。すなわち、ヒンジ支持部230F,230Bは、フレーム面86に対して面接触しており、フレーム面86は、ADF20の開閉に起因する圧縮方向及び引張り方向の荷重を効果的に分散することができる。
【0037】
以上のように、本実施の形態のヒンジ支持部230F,230Bは、読取フレーム30Fと、本体フレーム85のフレーム面86と、に固定されている。そして、ヒンジ支持部230F,230Bに作用する荷重(回転モーメントやADF20の自重)をこれら読取フレーム30F及びフレーム面86に分散することができる。
【0038】
このため、フレーム面86に分散する荷重の分だけ、読取フレーム30Fの剛性を低くしても、読取フレーム30Fは歪むことが無く、原稿の読取精度を確保することができる。よって、原稿の読取精度を確保しつつ、読取フレーム30Fを樹脂材料から構成することができ、コストダウン及び軽量化することができる。
【0039】
特に、近年、ADFの高性能化が進んでおり、生産性の高いADFは多量の原稿を積載可能に構成されている。この場合、ADFの開閉に起因する回転モーメントやADFの自重が大きくなり、ヒンジ支持部230F,230Bに作用する荷重も大きくなる。よって、読取フレーム30Fが変形しないように読取フレーム30Fの剛性を高めることを考えると、読取フレーム30Fを金属材料から構成せざるを得ない。しかしながら、本実施の形態のように、ヒンジ支持部230F,230Bに作用する荷重を読取フレーム30Fと本体フレーム85のフレーム面86に分散させることで、読取フレーム30Fを金属材料ではなく樹脂材料から構成することができる。
【0040】
また、ヒンジ220Bにバネを設けていないため、ヒンジ支持部230Bに必要とされる剛性が低くなり、ヒンジ支持部230Bを樹脂材料から構成し、コストダウン及び軽量化することができる。
【0041】
[その他の実施の形態]
なお、上述の実施の形態では、読取フレーム30Fを樹脂材料から構成していたが、これに限定されない。例えば、読取フレーム30Fを薄肉の板金等の金属材料から構成してもよい。これにより、使用する金属材料の量を低減することができ、コストダウンすることができる。また、ヒンジ支持部230F,230Bは、読取フレーム30Fのフレーム面86に限らず、読取フレーム30Fの他の部分に固定されてもよい。
【0042】
また、上述の実施の形態では、ヒンジ及びヒンジ支持部を2つ設けていたが、これに限定されない。例えば、ヒンジ及びヒンジ支持部を1つ又は3つ以上設けてもよい。
【0043】
また、上述の実施の形態では、ヒンジ支持部230Bを樹脂材料から構成していたが、板金等の金属材料から構成してもよい。また、ヒンジ支持部230Fを樹脂材料から構成してもよい。
【0044】
また、上述の実施の形態では、ADF20がヒンジ220F,220Bを介して読取ユニット30に対して開閉可能に支持されていたが、これに限定されない。例えば、ADF20ではなく、自動原稿給送機能を持たない圧板が読取ユニット30に開閉可能に支持されてもよい。開閉ユニットとしての圧板は、押え部210は有しているが、ローラ等は有さない板状部材である。
【0045】
また、上述の実施の形態では、ヒンジ220F,220Bがヒンジ支持部230F,230Bにビス留めされていたが、これに限定されない。例えば、ヒンジ220F,220Bは、ヒンジ支持部230F,230Bに対して高さ方向に移動可能に支持されてもよく、これにより、原稿台ガラス28に厚みのある冊子が載置されても、押え部210によって確実に冊子を位置決め可能に構成してもよい。
【0046】
また、上述の実施の形態では、フレーム面86を鉛直方向に延びる平面で構成していたが、これに限定されず、フレーム面86の一部に絞り形状を追加してもよく、この絞り形状にヒンジ支持部230F,230Bを固定してもよい。
【0047】
また、上述の実施の形態では、電子写真方式のプリンタ100を用いて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ノズルからインク液を吐出させることでシートに画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置にも本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0048】
4:給送部(給送ローラ)/6:積載部(原稿トレイ)/20:開閉ユニット(ADF)/28:載置部(原稿台ガラス)/30F:読取フレーム/31:読取部(第1読取部)/50:装置本体(プリンタ本体)/80:開閉軸/81:付勢部材(バネ)/85:本体フレーム/86:鉛直面(フレーム面)/87:上端/91F,92F:第1固定部(ビス孔部)/91B,92B:第3固定部(ビス孔部)/95F:第2固定部(ビス孔部)/95B:第4固定部(ビス孔部)/100:画像形成装置(プリンタ)/110:固定部材(連結部材)/210:押え部/220F:ヒンジ、第1ヒンジ/220B:ヒンジ、第2ヒンジ/230F:ヒンジ支持部、第1ヒンジ支持部/230B:ヒンジ支持部、第2ヒンジ支持部/231:補強部材(ヒンジ板)/PU:画像形成部(画像形成ユニット)/SD:主走査方向