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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】インクカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
B41J2/175 151
B41J2/175 119
B41J2/175 113
B41J2/175 175
B41J2/175 169
B41J2/175 167
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023504308
(86)(22)【出願日】2021-09-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-16
(86)【国際出願番号】 CN2021117031
(87)【国際公開番号】W WO2022057692
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-01-20
(31)【優先権主張番号】202022074579.X
(32)【優先日】2020-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202023127670.X
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202120086012.6
(32)【優先日】2021-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202120086036.1
(32)【優先日】2021-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202120428768.4
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521451341
【氏名又は名称】ジュハイ ナインスター マネージメント カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ZHUHAI NINESTAR MANAGEMENT CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チュー、イーチン
(72)【発明者】
【氏名】シア、チンチャン
(72)【発明者】
【氏名】リャン、シーチャオ
(72)【発明者】
【氏名】マー、ハオミン
(72)【発明者】
【氏名】チア、チーチョン
(72)【発明者】
【氏名】ホアン、チアピャオ
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-024423(JP,A)
【文献】特開2017-056706(JP,A)
【文献】特開2014-193616(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01905594(EP,A1)
【文献】中国実用新案第213353955(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成機器の装着部に取り外し可能に装着されるインクカートリッジであって、
インクを貯留するためのインク収容室を含むカートリッジ本体と、
前記カートリッジ本体の上側に設けられる凹部であって、少なくとも一部が前記インクカートリッジと前記画像形成機器との相対位置を第1の方向において限定するための側壁を含む凹部と、
前記凹部内に設けられたチップと、
前記側壁の上方に設けられ、第2の方向において、少なくとも一部が前記チップの後端側に位置し、前記インクカートリッジと前記画像形成機器との相対位置を第3の方向において限定するための位置決め部と、を含み、前記第1の方向は、前記カートリッジ本体の幅延び方向であり、前記第2の方向は、前記インクカートリッジが前記装着部に装着された装着方向であり、前記第3の方向は、前記カートリッジ本体の高さ延び方向であり、
前記側壁は後側壁を含み、前記位置決め部は、前記後側壁の延び壁に設けられ、且つ前記凹部の上方に位置し、
前記延び壁は前記後側壁と面一であり、且つ前記凹部の上方に位置する、
ことを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項2】
前記装着部に端子ユニットが設けられ、前記端子ユニットの両側に突起が設けられ、
前記インクカートリッジが前記第2の方向に沿って前記装着部に装着された場合、前記チップは前記端子ユニットに接触し、前記側壁は前記突起に当接することで、前記インクカートリッジと前記画像形成機器との相対位置を限定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項3】
前記側壁は左側壁及び右側壁をさらに含み、前記左側壁は第1の位置決め面を有し、前記右側壁は第1の方向において前記第1の位置決め面と対向して設けられた第2の位置決め面を有し、前記第1の位置決め面及び/又は前記第2の位置決め面は前記突起に当接し、前記第1の位置決め面及び/又は前記第2の位置決め面は前記チップの上方に位置する、
ことを特徴とする請求項2に記載のインクカートリッジ。
【請求項4】
前記凹部は対向して設けられた第1の案内面及び第2の案内面をさらに有し、前記第1の案内面は前記第1の位置決め面に接続され、前記凹部の開口に位置し、前記第2の案内面は前記第2の位置決め面に接続され、前記凹部の開口に位置する、
ことを特徴とする請求項3に記載のインクカートリッジ。
【請求項5】
記後側壁は前記左側壁と前記右側壁にそれぞれ接続され、前記左側壁と前記右側壁との間に位置する、
ことを特徴とする請求項3に記載のインクカートリッジ。
【請求項6】
前記後側壁は第1の面を有し、前記位置決め部は前記第1の面から突出し、前記第2の方向に沿って延びる、
ことを特徴とする請求項5に記載のインクカートリッジ。
【請求項7】
前記位置決め部の底面は傾斜面として設けられ、前記傾斜面は前記第2の方向に対して傾斜し、前記位置決め部の前記後側壁から遠い一端の厚みは、前記位置決め部の前記後側壁に近い一端の厚みよりも小さい、
ことを特徴とする請求項5に記載のインクカートリッジ。
【請求項8】
前記インクカートリッジは固定機構をさらに含み、前記固定機構は前記カートリッジ本体の上面及び/又は下面に設けられる、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のインクカートリッジ。
【請求項9】
前記固定機構は第1の固定部及び第2の固定部を含み、前記第1の固定部及び前記第2の固定部は前記第2の方向に沿って前記カートリッジ本体の上面及び/又は下面に間隔を置いて設けられ、又は
前記第1の固定部及び前記第2の固定部は前記カートリッジ本体の上面及び/又は下面に前記第1の方向に沿って間隔を置いて設けられる、
ことを特徴とする請求項8に記載のインクカートリッジ。
【請求項10】
前記カートリッジ本体の前面に前記インクカートリッジと前記画像形成機器との相対位置を限定するための少なくとも1つの位置決め孔がさらに設けられる、
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載のインクカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、画像形成機器の技術分野に関し、具体的に、インクカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタなどの画像形成機器は、人々の生活や仕事に広く用いられるようになってきている。インクカートリッジは、プリンタの消耗材の1つとして、人々の生活や仕事に欠かせないものとなっている。
【0003】
プリンタにおけるインクカートリッジを使い切ると、使い切ったインクカートリッジをプリンタ装着部内から取り外し、続いて新しいインクカートリッジをプリンタ装着部内に装着してはじめて、プリンタはプリントを続けることができる。インクカートリッジとプリンタの装着部との嵌合及び位置決めをどのように実現するかは、インクカートリッジに対して非常に重要である。嵌合及び位置決めが不都合であると、装着過程に妨害が発生し、インクカートリッジをプリンタ装着部内に効率的に装着できないなどの問題が生じるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術に存在する問題を解消するために、本願は、画像形成機器の装着部との嵌合及び位置決めを確実に実現できるインクカートリッジを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を実現するために、本願は、具体的に以下の技術的解決手段を採用する。
【0006】
本願は、画像形成機器の装着部に取り外し可能に装着されるインクカートリッジであって、
インクを貯留するためのインク収容室を含むカートリッジ本体と、
前記カートリッジ本体の上側に設けられ、少なくとも一部が前記インクカートリッジと前記画像形成機器との相対位置を第1の方向において限定するための側壁を含む凹部と、
前記凹部内に設けられたチップと、
前記側壁の上方に設けられ、第2の方向において、少なくとも一部が前記チップの後端側に位置し、前記インクカートリッジと前記画像形成機器との相対位置を第3の方向において限定するための位置決め部と、を含み、前記第1の方向は、前記カートリッジ本体の幅延び方向であり、前記第2の方向は、前記インクカートリッジが前記装着部に装着された装着方向であり、前記第3の方向は、前記カートリッジ本体の高さ延び方向である、インクカートリッジを提供する。
【0007】
従来技術に比べて、本願は、カートリッジ本体に凹部及び位置決め部が設けられ、インクカートリッジが画像形成機器の装着部に装着された場合、凹部によりインクカートリッジと画像形成機器との相対位置が第1の方向において限定され、位置決め部によりインクカートリッジと画像形成機器との相対位置が第3の方向において限定されることで、インクカートリッジと画像形成機器の装着部との嵌合及び位置決めが確実に実現され、さらにインクカートリッジのチップ及びインク吐出口と画像形成機器との接続の確実性が確保される。
【0008】
本願は、カートリッジ本体を含み、
前記カートリッジ本体は装着方向において前端及び後端を有し、前記カートリッジ本体は、前端面、後端面、左面、右面、上面及び下面を含み、前記左面及び右面は、前記装着方向に沿って延び、前記左面及び前記右面の少なくとも1つは前記後端の位置に前記装着方向に垂直な切欠が設けられ、
前記切欠の少なくとも一部は、前記カートリッジ本体の上面及び下面を貫通し、前記切欠は、前記装着方向に延びる段差面と、第1の面と前記段差面との間に位置する遷移面とを含み、前記第1の面は、左面又は右面であり、
前記段差面に下から上に延びる後側突起が設けられ、前記後側突起と前記遷移面との間に隙間があり、前記後側突起の上方に前記カートリッジ本体の上面に延びる逃げ空間が設けられる、インクカートリッジをさらに提供する。
【0009】
本願は、前ケース、後ケース及びカバープレートを含み、
前記カバープレートにインク量を検出するためのインク量検出突起が設けられ、
前記後ケースの前端に開口があり、前記カバープレートは前記後ケースの前記開口が設けられた側に設けられ、前記前ケースは前記開口の前端に装着され、前記前ケースの背部に前記カバープレートに当接する当接部が設けられ、前記当接部は前記カバープレートに設けられたインク量検出突起に近接する、インクカートリッジをさらに提供する。
【0010】
本願は、インクバッグ、カートリッジ本体及びインク量検出機構を含み、前記カートリッジ本体は、左ケース、右ケース及び前ケースを含み、前記左ケース、前記右ケース及び前記前ケースは、前記インクバッグを収容するための収容部を囲んで形成し、前記カバープレートは前記インクバッグに接続され、前記前ケースにインク量検出機構の弾性キャップを延出させるための検出孔及び前記インク出口を延出させるためのインク出口孔が設けられる、インクカートリッジをさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下、本開示の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、実施例において使用する必要がある図面について簡単に紹介するが、以下に記述する図面は、本開示のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を行わずに、これらの図面に基づいて他の図面も得られることは明らかである。
図1】実施例1のインクカートリッジの概略図である。
図2】実施例1のインクカートリッジの側面図の一部である。
図3】実施例1のインクカートリッジの部分分解概略図である。
図4】実施例1のチップの概略図である。
図5】実施例1の装着部の画像形成機器側端子ユニットの概略図である。
図6】実施例1のインクカートリッジを装着部に装着しようとする部分断面図である。
図7】実施例2のインクカートリッジの概略図である。
図8】実施例3のインクカートリッジの概略図である。
図9】実施例4のインクカートリッジの概略図である。
図10】実施例5のインクカートリッジの概略図である。
図11】実施例6の1種のインクカートリッジの概略図である。
図12】実施例6の複数のインクカートリッジの概略図である。
図13】実施例6の別のインクカートリッジの概略図である。
図14図13のインクカートリッジの分解概略図である。
図15図13のインクカートリッジの別のバリエーションの概略図である。
図16】実施例7のインクカートリッジの部分分解概略図である。
図17】実施例7のカバープレートの概略図である。
図18】実施例7のインクカートリッジの部分断面図である。
図19】実施例8の前ケースの概略図である。
図20図19の前ケースの別の構造の概略図である。
図21図19の前ケースのさらに別の構造の概略図である。
図22図19の前ケースの使用状態における部分構造概略図である。
図23図22のカバープレートの構造概略図である。
図24図22の左ケースの構造概略図である。
図25】実施例9のインク量検出機構の分解斜視図である。
図26】実施例9のインクカートリッジの分解斜視図である。
図27図26のインクカートリッジの組立斜視図である。
図28】実施例9のインクカートリッジがプリンタ装着部に装着された斜視図である。
図29a】実施例9の検出レバーと弾性キャップとの嵌合の初期状態図である。
図29b】実施例9のインクがなくなる段階における検出レバーと弾性キャップの変化状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本願の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、図面及び実施例に合わせて、本願をより詳細に説明する。本明細書に記述する具体的な実施例は、本願を解釈するためのものに過ぎず、本願を限定するものではないことを理解されたい。
【0013】
本願の記述において、「第1」、「第2」という用語は、特に明確な規定及び限定がない限り、記述の目的のみに用いられ、相対的な重要性を指示するか又は暗示するものとして理解されるべきではなく、特に規定又は説明されない限り、「複数」という用語は、2つ以上を意味し、「接続」、「固定」などの用語は、いずれも広義に理解されるべきであり、例えば、「接続」は、固定的な接続であっても、取り外し可能な接続、若しくは一体的な接続、又は電気的な接続であってもよく、直接接続であっても、中間媒体を介する間接的な接続であってもよい。当業者は具体的な状況に応じて本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0014】
本明細書の記述において、本願の実施例に記述する「上」、「下」などの方位詞は、図面に示す角度で記述されるが、本願の実施例を限定するものとして理解されるべきではないことを理解されたい。また、文脈において、1つの素子が他の素子の「上」又は「下」に位置すると言及する場合、他の素子の「上」又は「下」に直接位置することができるだけでなく、さらに中間素子を介して他の素子の「上」又は「下」に間接的に位置することができる。
【0015】
実施例1
図1は実施例1のインクカートリッジの概略図であり、図2は実施例1のインクカートリッジの側面図の一部であり、図3は実施例1のインクカートリッジの部分分解概略図である。
【0016】
図1図2及び図3に示すように、インクカートリッジ10は、画像形成機器の装着部に取り外し可能に装着される。当該インクカートリッジ10はカートリッジ本体100を含み、カートリッジ本体100は、全体として略直方体形状を呈し、カートリッジ本体100の外形は上面100a、下面100b、前面100c、後面100d、左面100e及び右面100fを有する複数のケースからなる。カートリッジ本体100のケース内部にインクを貯留するためのインク収容室が形成される。ここで、インク収容室は、インクバッグ105で囲まれた密閉チャンバーであってもよく、ケースからなる密閉チャンバーであってもよく、当該密閉チャンバーによりインクを直接貯留するが、本実施例では、インク収容室がインクバッグ105で囲まれてなることを例として説明する。
【0017】
具体的には、3次元直交座標系XYZを設け、X軸、Y軸、Z軸は、互いに垂直な3つの座標軸であり、X軸方向を第1の方向、Y軸方向を第2の方向、Z軸方向を第3の方向とし、即ち、インクカートリッジの幅延び方向を第1の方向、インクカートリッジの長さ延び方向を第2の方向、インクカートリッジの高さ延び方向を第3の方向とし、第2の方向はインクカートリッジ10が装着部に装着された装着方向である。インクカートリッジ10が画像形成機器の装着部に装着された方向を+Y軸方向とし、装着姿勢における鉛直方向を-Z軸方向とする。上面100aと下面100bはZ軸方向に対向して設けられ、上面100aは、+Z軸方向に位置し、下面100bは-Z軸方向に位置し、前面100cと後面100dはY軸方向に対向して設けられ、前面100cは+Y方向に位置し、後面100dは-Y軸方向に位置し、左面100eと右面100fはX軸方向に対向して設けられ、左面100eは-X軸方向に設けられ、右面100fは+X軸方向に設けられる。左面100eと右面100fは、上面100a、下面100b、前面100c及び後面100dと交差して設けられる。
【0018】
さらに、インクカートリッジ10はチップ120と、凹部130と、固定機構とをさらに含む。凹部130は前面100cと上面100aとの接続位置に設けられ、インクカートリッジ10と画像形成機器との相対位置を限定するために用いられる。チップ120は凹部130内に設けられ、画像形成機器との通信やデータのやり取りのために用いられる。固定機構は上面100a及び下面100bに設けられ、画像形成機器と係合固定するために用いられる。インクカートリッジ10が画像形成機器の装着部に装着された場合、凹部130によりインクカートリッジ10と画像形成機器側の端子ユニットとの相対位置が限定され、固定機構によりインクカートリッジ10と画像形成機器側の端子ユニットとが係合固定されることで、インクカートリッジ10と画像形成機器の装着部との嵌合及び位置決めが確実に実現され、さらにチップ120の接続及びインク吐出口150aの接続の確実性が確保される。
【0019】
本実施例では、固定機構は上面100a及び下面100bに設けられる。他の実施例では、固定機構は上面100a又は下面100bにのみ設けられてもよいことが理解される。
【0020】
図3に示すように、カートリッジ本体100は前ケース101、カバープレート102、左ケース103、右ケース104(図14に示す)及びインクバッグ105を含み、インクカートリッジ10はインク吐出口150aを有するインク吐出部150をさらに含む。カートリッジ本体100の外形は前ケース101、左ケース103及び右ケース104からなる。組み立てるとき、インクバッグ105とカバープレート102を一体に溶接し、続いてインクバッグ105とカバープレート102との組立体を左ケース103と右ケース104とに一体に装着した後、前ケース101と装着してカートリッジ本体100を成す。固定機構は第1の固定部111及び第2の固定部112を含み、第1の固定部111及び第2の固定部112はカートリッジ本体100の上面100a及び下面100bに第2の方向に沿って間隔を置いて設けられる。インクカートリッジ10が画像形成機器の装着部に装着方向である+Y軸方向に沿って装着された場合、装着部における被固定部が第1の固定部111と第2の固定部112との間の間隔部内に係合され、インクカートリッジ10が装着部から離脱することを防止する。インク吐出部150はカバープレート102に設けられ、前ケース101の貫通孔113を貫通し且つ前面100cに露出し、インクバッグ105内のインクを画像形成機器の装着部のプリントヘッド内に供給することで、画像形成機器がプリント動作を完了することを可能にするために用いられる。
【0021】
インクカートリッジは位置決め部140をさらに含み、凹部130はカートリッジ本体100の上側に位置し、即ち、凹部130はカートリッジ本体100の+Z軸、+Y軸側に位置し、凹部130は前ケース101の一部であり、且つ凹部130は前面100cの+Y軸方向に設けられる。チップ120は前ケース101に設けられ、凹部130内に位置する。
【0022】
凹部130は側壁を含み、凹部130の側壁に位置決め面が設けられ、位置決め面の少なくとも一部はチップ120の上方に設けられ(即ち、位置決め面の少なくとも一部がチップ120の+Z軸方向に設けられる)、位置決め面によりインクカートリッジ10の画像形成機器における装着位置が位置決めされる。さらに、凹部130は左側壁、右側壁及び後側壁を有する。後側壁は左側壁及び右側壁にそれぞれ接続され、左側壁と右側壁との間に位置する。左側壁に第1の位置決め面130eがあり、右側壁に第2の位置決め面130fがあり、後側壁の延び壁に第1の表面101cがあり、第1の位置決め面130e及び第2の位置決め面130fの少なくとも一部はチップ120の端子の上方に設けられる(即ち、端子の+Z軸方向に設けられる)。さらに、第1の位置決め面130e及び第2の位置決め面130fの少なくとも一部はチップ120の上方に設けられる(即ち、チップ120の+Z軸方向に設けられる)。第1の位置決め面130e及び第2の位置決め面130fは装着方向であるY軸に垂直なX軸方向に対向して設けられる。
【0023】
位置決め部140は凹部130の後側壁の延び壁に設けられ、凹部130の上方に位置する(即ち、位置決め部140は凹部130の+Z軸方向に設けられる)。後側壁は凹部130の側壁であり、後側壁の延び壁は後側壁と面一であり、且つ後側壁の延び壁は凹部130の上方に位置する。位置決め部140の少なくとも一部はチップ120に対して、インクカートリッジが装着部に装着された装着方向(第2の方向)の後端側に位置し、即ち、位置決め部140の少なくとも一部はチップ120に対して、-Y軸方向に位置する。位置決め部140は第1の位置決め面130e及び第2の位置決め面130fの装着方向であるY軸方向における後端側に設けられる。
【0024】
このように設けると、インクカートリッジ10が画像形成機器に装着された場合、第1の位置決め面130eと第2の位置決め面130fは、先に画像形成機器側端子ユニット210に対して左右方向(第1の方向)の位置決めを行い、続いて位置決め部140は画像形成機器側端子ユニット210の上下方向(第3の方向)における位置を決めることで、インクカートリッジ10と画像形成機器の装着部との間の嵌合及び位置決めを確実に実現することができる。さらに、チップ120とインク吐出部150との接続の確実性が一層確保される。
【0025】
さらには、左側壁は第1の案内面130gをさらに有し、第1の案内面130gは第1の位置決め面130eに接続され、右側壁は第2の案内面130hをさらに有し、第2の案内面130hは第2の位置決め面130fに接続される。インクカートリッジ10が画像形成機器の装着部に装着された場合、第1の案内面130gと第2の案内面130hは画像形成機器側端子ユニット210を第1の位置決め面130eと第2の位置決め面130fの位置に案内する。インクカートリッジ10と画像形成機器側端子ユニットとの強い接触を防止する。
【0026】
引き続き、図2及び図3に示すように、前ケース101は第2の面130a、第3の面130b、貫通孔113及び開孔114をさらに有する。第1の面101cは前面100cの-Y軸方向(即ち、装着方向の後端側)に位置する。位置決め部140はカバープレート102に設けられ、位置決め部140はカバープレート102の表面から突出して形成され、前ケース101に設けられた開孔114を貫通した後に第1の面101cに対して突出する。ここで、位置決め部140は装着方向であるY軸方向に沿った突起である。また、位置決め部140は第1の面101cに直接設けられた突起であってもよく、本願の有益な効果を奏することもできる。
【0027】
第2の面130aは左側壁に設けられた、左側壁の+Z軸方向の頂面である。第3の面130bは右側壁に設けられた、右側壁の+Z軸方向の頂面である。位置決め部140は第2の面130aと第3の面130bの+Z軸方向に設けられ、即ち、位置決め部140は第2の面130aと第3の面130bの上方に設けられる。位置決め部140は底面140b、左面140e及び右面140fを有する。底面140bは位置決め部140の-Z軸方向における面であり、左面140eは位置決め部140の-X軸方向における面であり、右面140fは位置決め部140の+X軸方向における面である。
【0028】
具体的には、位置決め部140の底面140bは傾斜して設けられる。具体的には、位置決め部140の底面140bは装着方向のY軸に対して傾斜して設けられ、好ましくは、位置決め部140の底面140bは-Y軸方向に沿って、ますます-Z軸側へ傾いていき、即ち、位置決め部140の後側壁から遠い一端の厚みは位置決め部140の後側壁に近い一端の厚みよりも小さい。
【0029】
図4は実施例1のチップの概略図である。チップ120は第1の基板31及び第2の基板32を含む。第1の基板31は第1の端子、第1の付加端子318、第2の付加端子319、延び端子、第1の孔121及び凹溝122を含む。第1の基板31は略直方体形状を呈し、それぞれ第1の側面から第6の側面の6つの面を有し、第1の側面31aと第2の側面31bは対向して設けられ、第3の側面31cと第4の側面31dは対向して設けられ、第5の側面と第6の側面は対向して設けられる。一部の第1の端子311~314は第1の側面31aに設けられ、他の一部の第1の端子315~317は第1の側面31aと第3の側面31cの位置に共に設けられる。第3の側面31cに第1の端子の一部と一々に間隔を置く凹溝122がさらに設けられる。第1の孔121、第2の孔123、第3の孔124はチップに設けられた貫通孔であり、第1の孔121はチップ120をチップホルダー又はインクカートリッジ10に固定するために用いられる。第1の基板31の第2側面31bにウェハ又は電気部品がさらに設けられる。ウェハはインクカートリッジの型番、インク量、インクの種類などの電子情報を記憶するために用いられる。インクカートリッジ10が装着部20に装着された場合、チップ120はプリンタ側端子ユニットのコンタクトピン部に接触して電気的な接続を形成し、ウェハ内の記憶情報とプリンタ内の情報には情報のやり取り、認証、メンテナンスが発生する。例えば、インクカートリッジ内のインクが絶えず消費されていくと、プリント量に応じてチップ内のインク量情報が変更する。
【0030】
第2の基板32は第2の端子、第2の孔123、第1の孔121及び第3の孔124を含む。第2の基板32は第1の基板31と類似し、略直方体形状を呈し、それぞれ第1の側面から第6の側面の6つの面を有する。第2の端子は第2の基板32の第1の側面と第3の側面の位置に共に設けられる。第1の孔121はチップ120をチップホルダー又はインクカートリッジ10に固定するために用いられる。第2の孔123は第1の基板31に設けられたウェハ又は電気部品を避けるように、1つの逃がし位置を用いるものである。当然ながら、必要があれば、第2の基板32には、ウェハ又は電気部品が設けられてもよい。第2の基板32に第2の基板32の第1の側面と第2の側面を貫通する第3の孔124があり、具体的には、第1の高圧端子321は第3の孔124の-X軸方向側に位置し、第2の高圧端子322は第3の孔124の+X軸方向側に位置する。
【0031】
第1の端子はチップ・ウェハに接続されたウェハ端子を含み、第2の端子はウェハ端子よりも受け取る電圧がより高い(例えば、42V)高圧端子を含み、第1の端子はチップの端子間の短絡の有無を検出する短絡端子をさらに含む。
【0032】
さらに、端子の機能及び作用は以下のとおりである。
【0033】
一、ウェハ端子について、
リセット端子312はウェハ内部のデータをリセットする。
クロック端子313はクロック信号を受信するために用いられる。
電源端子315は接地電位と異なる電源電位(例えば3.6V)を受信し、この端子を介してウェハの動作に電源を提供する。
接地端子316は接地電位を受信するために用いられる。
データ端子317はデータ信号の送信又は受信を行うために用いられる。
【0034】
二、高圧端子について、
第1の高圧端子321と第2の高圧端子322は装着検出電圧(例えば42V)を受信し、インクカートリッジが装着部に装着された装着検出機能を果たすために用いられる。
例えば、第1の高圧端子321と第2の高圧端子322との間に1つの高抵抗が接続され、電流又は電圧の変化を検出することで、インクカートリッジが装着部内に装着されたか否かを判断する。
【0035】
三、短絡端子について、
第1の短絡端子311と第2の短絡検出端子314は端子間が短絡しているか否か、具体的には、高圧端子と短絡端子との間に短絡しているか否かを検出するために用いられる。
高圧端子と短絡端子との間が短絡した場合、プリンタは短絡端子での電圧の上昇を検出することができ、直ちに短絡情報を提示することで、短絡によるチップやプリンタの破損の危険性を回避する。
【0036】
四、付加端子について、
第1の付加端子318と第2の付加端子319は、いずれもコンタクトピン部に接触せず、電気的な接続が発生しないが、短絡検出機能を補強し、基板にインクが付着しているか否かを検出するなど、他の作用が可能である。
【0037】
五、延び端子について、
第1の延び端子312Aはリセット端子312の延び部分であり、第2の延び端子313Aはクロック端子313の延び部分である。
【0038】
チップ120の端子の一部(具体的には、短絡端子、ウェハ端子及び高圧端子の一部)は、装着方向であるY軸方向に平行に設けられ、端子の一部(具体的には、ウェハ端子及び高圧端子の一部)は装着方向であるY軸方向に垂直に設けられる。
【0039】
図5及び図6に示すように、図5は実施例1の装着部の画像形成機器側端子ユニットの概略図であり、図6は実施例1のインクカートリッジ10を装着部に装着しようとする部分断面図である。装着部の画像形成機器側端子ユニット210はフレーム211、コンタクトピンアセンブリ220、第1の突出部材231及び第2の突出部材232を含む。フレーム211は画像形成機器側端子ユニット210の主体部であり、コンタクトピンアセンブリ220はフレーム211に設けられ、フレーム211とコンタクトピンアセンブリ220との間に空間240があり、第1の突出部材231及び第2の突出部材232はフレーム211の対向する両側面に設けられる。具体的には、第1の突出部材231はフレーム211の右側面から突出して形成され、第1の突出部材231は+X軸方向において第1の平面231fを有し、第2の突出部材232はフレーム211の左側面から突出して形成され、第2の突出部材232は-X軸方向において第2の平面232eを有する。コンタクトピンアセンブリ220は装着方向のY軸に対して傾斜して設けられ、空間240はフレーム211内部とコンタクトピンアセンブリ220との間に形成された、-Y軸方向の開口を有する空間である。画像形成機器側端子ユニット210の-Y軸方向の表面は第3の平面210dである。カートリッジ本体100の前面100cは、つまり第1の案内面130g、第2の案内面130hの+Y軸側の端部である。第1の案内面130gと第2の案内面130hは凹部130の開口に位置する。空間240は空間の底面240b、空間の左側面240e及び空間の右側面240fを有する。空間の底面240bは空間240の-Z軸方向に設けられ、一般的に、空間の底面240bはXY平面に平行であり、選択可能に、空間の底面240bはXY平面に対して傾斜することができる。空間の左側面240eと空間の右側面240fはX軸において対向して設けられる。
【0040】
インクカートリッジ10が画像形成機器の装着部に装着された場合、チップ120はコンタクトピンアセンブリ220のコンタクトピンに当接し、位置決め部140の底面140bは空間の底面240bとマッチングし、左面140eは空間の左側面240eとマッチングし、右面140fは空間の右側面240fとマッチングし、第1の位置決め面130eは第2の平面232eとマッチング(当接)し、第2の位置決め面130fは第1の平面231fとマッチング(当接)する。底面140bが傾斜して設けられると、装着過程において、位置決め部140と空間240との位置決めをより良好にするために、案内の役割を果たすことができる。画像形成機器側端子ユニット210は、インクカートリッジ10が画像形成機器装着部に装着される前に、三次元空間において一定の変動空間を有するので、インクカートリッジ10をどのように画像形成機器装着部に正確且つ確実に装着するかには非常に重要である。
【0041】
図6に示すように、インクカートリッジ10が画像形成機器の装着部にY軸方向に沿って装着される過程において、図6に示す姿態で、カートリッジ本体100の前面100cが画像形成機器の装着部の+Y側の部材位置に到達していないとき、前面100c、第1の案内面130g、第2の案内面130hの+Y軸側の端部と第3の平面210dとの間の距離をD1、位置決め部140の+Y軸側の端部と空間240の-Y軸側の端部との距離をD2、チップ端子とコンタクトピンとの距離をD3とする。一般的には、D1<D2<D3である。このようにすると、第1の案内面130gと第2の案内面130hは先に画像形成機器側端子ユニット210をX軸方向(即ち、左右方向)において位置決めした後、続いて位置決め部140は画像形成機器側端子ユニット210をZ軸方向(即ち、上下方向)において位置決めし、最後にチップ端子はコンタクトピンに当接することで、インクカートリッジ10と画像形成機器装着部との嵌合及び位置決めを確実に実現することができ、チップ120とコンタクトピン、インク吐出口と装着部のインク供給部との接続の確実性がさらに確保される。さらに、上記法は、D1<D2、D1<D3であってもよいが、D2とD3の寸法は、直接的な長さ関係がなく、この形態により、第1の位置決め面130eと第2の位置決め面130fは先に画像形成機器側端子ユニット210に対して左右方向の位置決めを行い、位置決め部140は画像形成機器側端子ユニット210の上下位置を位置決めするようになり、インクカートリッジ10が画像形成機器装着部内に確実に装着されることを確保することができる。
【0042】
実施例2
実施例1に基づき、本願は別の具体的な実施形態をさらに開示し、図7に示すように、本実施例と実施例1との相違点は、チップ120がカートリッジ本体100に傾斜して設けられ、その傾斜形態がコンタクトピンアセンブリ220の傾斜形態と一致することである。チップ120の傾斜形態は、-Y軸方向に沿って+Z軸方向に向かって傾斜することである。チップ120の端子はチップ120に傾斜して設けられる。インクカートリッジ10の位置決め部140は第1の面101cに直接設けられる。
【0043】
第1の位置決め面130eと第2の位置決め面130fの少なくとも一部は、チップ120の端子の上方に設けられる(即ち、端子の+Z軸方向に設けられる)。
【0044】
実施例3
実施例1に基づき、本願は別の具体的な実施形態をさらに開示し、図8に示すように、インクカートリッジ10は、カートリッジ本体100、固定機構、位置決め部140及びチップ120を含み、カートリッジ本体100は上面100a、下面100b、第1の位置決め孔513、第2の位置決め孔514及びインク吐出口150aを有する。固定機構は上面100a及び下面100bに設けられ、インクカートリッジ10を画像形成機器の装着部に装着するときに、インクカートリッジ10を固定するために用いられる。固定機構は第1の固定部111及び第2の固定部112を含み、第1の固定部111及び第2の固定部112は上面100a及び下面100bの+X軸側及び-X軸側にそれぞれ位置する。第1の位置決め孔513と第2の位置決め孔514はカートリッジ本体100の前面100cに設けられた孔であり、画像形成機器の装着部内の位置決めポストとマッチングして、インクカートリッジ10と画像形成機器の装着部との位置関係を限定することができる。インクカートリッジ10のチップ120はカートリッジ本体100に傾斜して設けられ、その傾斜形態はコンタクトピンアセンブリ220の傾斜形態と一致する。チップ120は傾斜して設けられ、チップ120の傾斜形態は-Y軸方向に沿って+Z軸方向に向かって傾斜することである。チップ120での端子はチップ120に傾斜して設けられる。第1の位置決め面130eと第2の位置決め面130fの少なくとも一部はチップ120の端子の上方に設けられる(即ち、端子の+Z軸方向に設けられる)。カートリッジ本体100のケースは2つのケースが装着されてなるものである。
【0045】
本実施例では、固定機構は上面100aと下面100bに設けられるが、他の実施例では、固定機構は上面100a又は下面100bにのみ設けられてもよいことが理解される。
【0046】
インクカートリッジ10を画像形成機器の装着部に装着する過程において、画像形成機器の装着部内の位置決めポストは先に第1の位置決め孔513と第2の位置決め孔514内に進入し、続いて、画像形成機器側端子ユニット210は凹部130内に進入し始めて、インクカートリッジ10と装着部のX軸方向の位置を位置決めし、続いて、位置決め部140は画像形成機器側端子ユニット210をZ軸方向(即ち、上下方向)において位置決めし、最後にチップ端子はコンタクトピンに当接することで、インクカートリッジと画像形成機器の装着部との嵌合及び位置決めを確実に実現することができ、チップ120とコンタクトピン、インク吐出口と装着部のインク供給部との接続の確実性がさらに確保される。
【0047】
実施例4
実施例1に基づき、本願は別の具体的な実施形態をさらに開示し、図9に示すように、インクカートリッジ10はカートリッジ本体100を含み、カートリッジ本体100はベース及びインクバッグ105(インク収容部)を含む。この実施例におけるインクバッグ105(インク収容部)は、一部がベース内に設けられ、他の一部がベース外に設けられ、即ち、インクバッグ105の一部は外部に直接露出する。カートリッジ本体100の外形はベースケースのインクバッグ105からなる。
【0048】
インクカートリッジ10のインクバッグ105の一部は、実施例1に記述したケース内に置かれず、凹部130があるベースに設けられる。インクカートリッジ10は依然としてY軸方向に沿って装着部内に装着される。装着をよりよく実現するために、先にインクカートリッジ10を1つの載置筐体内に置き、続いて載置筐体の-Y軸側を押圧して、インクカートリッジ10と載置筐体を画像形成機器の装着部内に装着することができる。
【0049】
インクカートリッジ10のチップ120はカートリッジ本体100に傾斜して設けられ、その傾斜形態がコンタクトピンアセンブリ220の傾斜形態と一致する。ただし、実施例2のチップ120とは形状が異なるが、いずれもコンタクトピンとの当接を実現し、画像形成機器との電気的な接続を実現することができる。位置決め部140は第2の面130aと第3の面130bに形成された1つの全体平面から延びる「L」字状の突起である。この構造は依然として本実施例の有益な効果を奏することができる。
【0050】
実施例5
実施例1に基づき、本願は別の具体的な実施形態をさらに開示し、図10に示すとおりである。インクカートリッジ10の前面100cにインク吐出口150a及び加圧口760が設けられる。加圧口760の数は1つでも複数でもよく、本実施例では、加圧口760の数は3つであり、インクカートリッジ10内の異なる箇所、例えば、密閉ケース内、エアバッグ内を加圧することができる。加圧したエアはプリントの必要に応じてインクバッグを押圧してインクを提供する役割を果たし、また、インクバッグ内のインクを撹拌してその濃度むらを防止する役割を果たすことができる。
【0051】
本実施例の第1の面101cは、実施例1~実施例4よりも、Z軸方向における高さ寸法が大きい。位置決め部140は第1の面101cに設けられ、第1の面101cは傾斜した平面であってもよく、湾曲面又はその他の形状の面であってもよい。
【0052】
実施例6
図11は実施例6の1種のインクカートリッジの概略図であり、図12は実施例6の複数のインクカートリッジの概略図であり、図13は実施例6の別のインクカートリッジの概略図であり、図14図13のインクカートリッジの分解概略図であり、図15図13のインクカートリッジの別のバリエーションの概略図である。
【0053】
図11に示すように、インクカートリッジ100の後面100dは前面100cと対向して設けられる。切欠10aはL字状を呈し、遷移面100hは切欠10aの+Y軸側部分である。インクカートリッジ10が装着部に装着された場合、隣接した第1のインクカートリッジ300と第2のインクカートリッジ400との装着の概略図が図12に示され、複数のインクカートリッジを装着方向のY軸に沿って観察すると、図11におけるインクカートリッジ10は第1のインクカートリッジ300と第2のインクカートリッジ400との間に位置し、第1のインクカートリッジ300と第2のインクカートリッジ400の後側がインクカートリッジ10の後側の形状と異なれば、例えば第1のインクカートリッジ300と第2のインクカートリッジ400の後側に切欠10aがなく、即ち、後面は切欠のない面であり、このように設けると、第1のインクカートリッジ300の後面が邪魔になるため、ユーザの手がインクカートリッジ10の右面100fと切欠10aとの間に挿入できず、ユーザはインクカートリッジ10を装着部から取り出すことができない。
【0054】
図13図14に示すように、本願にて発明されるインクカートリッジである。インクカートリッジはカートリッジ本体100を含む。カートリッジ本体100は装着方向において前端と後端を有し、カートリッジ本体100は前面100c、後面100d、左面100e、右面100f、上面100a及び下面100bを含み、左面100eと右面100fは装着方向に沿って延び、左面100eと右面100fの少なくとも1つの後端の位置に装着方向に垂直な切欠10aが設けられ、切欠10aの少なくとも一部はカートリッジ本体の上面100aと下面100bを貫通し、切欠10aは装着方向に延びる段差面100gと、第1の面と段差面100gとの間に位置する遷移面100hとを含み、段差面100gに下から上に延びる後側突起11が設けられ、後側突起11と遷移面100hとの間に隙間12があり、後側突起11の上方にカートリッジ本体の上面100aに延びる逃げ空間が設けられる。
【0055】
ここで、装着方向は+Y軸方向である。
【0056】
遷移面100hは後面100dに平行であってもよく、後面100dに平行でなくてもよく、ここでは具体的に設定しない。
【0057】
第1の面は左面100eであってもよく、右面100fであってもよく、ここでは具体的に設定しない。
【0058】
段差面100gは遷移面100hに垂直であってもよく、遷移面100hに垂直でなくてもよく、ここでは具体的に設定しない。
【0059】
好ましくは、後側突起11の頂面はカートリッジ本体の上面100aから下面100bまでの中心線を超えない。他の実現形態では、後側突起11の頂面はカートリッジ本体100の上面100aから下面100bまでの中心線を超えることができる。好ましくは、後側突起11の頂面はカートリッジ本体100の上面100aから下面100bまでの中心線よりも下方に設けられる。
【0060】
図13に示すインクカートリッジ10は、インクカートリッジ10を装着部から取り出せないという問題を解決することができ、図13に示すように、インクカートリッジ10の後端(-Y軸側)に切欠10a、後側突起11及び隙間12がある。インクカートリッジ10を取り出す必要がある場合、ユーザの指が-Z軸方向から後側突起11と遷移面100hとの間の隙間12に挿入し、続いて-Y軸側に向かって付勢し、インクカートリッジ10を装着部から引き出す。
【0061】
なお、インクカートリッジ10を装着部から一定の距離引き出した後、複数の指をX軸方向から隙間12に差し込み、続いてインクカートリッジ10全体を装着部から取り外すことで、インクカートリッジを取り出す動作を完了する。このとき、後側突起11を複数の指で把持することで、インクカートリッジ10が装着部から外れた後に脱落することを防止することができる。
【0062】
なお、段差面100gは装着方向に平行であってもよく、装着方向に傾斜してもよく、ここでは、本願は具体的に設定しない。
【0063】
その他は実施例1と同じである。
【0064】
選択可能に、隙間12の少なくとも装着方向に垂直な第1の方向及び第2の方向に開口が設けられる。
【0065】
ここで、第1の方向は底面が頂面に向かう方向であり、第2の方向は右面が左面に向かう方向である。
【0066】
選択可能な実施形態では、第1の方向は+Z方向であり、第2の方向は+X方向である。
【0067】
選択可能に、図15に示すように、後側突起11の頂面は下方に窪む円弧面である。
【0068】
ここで、重量の大きいインクカートリッジ10に対しては、後側突起11の頂面が水平面である場合、インクカートリッジ10を装着部から指で取り出すとき、インクカートリッジが重すぎて指が着力点に十分に届かないことがある。したがって、後側突起11の頂面を円弧面に設けることで、インクカートリッジが重すぎて指が着力できないという問題を改善することができる。
【0069】
選択可能に、図15に示すように、後側突起11の装着方向に延びる側面は、段差面100g方向に窪む円弧面である。
【0070】
インクカートリッジ10を装着部から一定の距離引き出した後、複数の指を隙間12にX軸方向から差し込むことで、インクカートリッジをよりよく取り出すことができる。
【0071】
この構造の設計は、大きいインクカートリッジに対して、指のみを凹部内に挿入した後に引き出す場合、インクカートリッジを取り出すときに、インクカートリッジが重すぎて指が痛くなることを防止することができる。また、インクカートリッジの後面が小さいことに加え、インクカートリッジの間の隙間が小さくすぎ、複数の指を側方引き出し部に差し込む場合、指を対応位置にうまく差し込むことができないことで、インクカートリッジを取り出せないという状況の発生を防止することができる。
【0072】
選択可能な実施形態では、右面100fと左面100eとの間の距離をC1、面100と段差面100gとの間の距離をC2、後側突起11の側面と段差面100gとの間の距離をC3とし、C2はC3以上である。好ましくは、C1=40mm、C2=15.5mm、C3=15.5mmとする。
【0073】
選択可能に、インクカートリッジ10全体の美観性を向上させるために、後側突起11の後面とカートリッジ本体の後面100dとを面一にし、後側突起11の底面とカートリッジ本体の下面100bとを面一にする。
【0074】
選択可能に、図14に示すように、インクやインクバッグの交換を容易にするために、カートリッジ本体100は前ケース101、左ケース103及び右ケース104を含み、左ケース103と右ケース104は対向して設けられ、且つ係合接続され、前ケース101は左ケース103と右ケース104の前端に位置し、左ケース103と右ケース104の前端に係合接続される。
【0075】
ここで、左ケース103と右ケース104はインクを収容するための収容部を囲んで形成する。
【0076】
インクバッグ105内のインク注入状況を観察しやすいために、左ケース103にインク注入を観察するための窓が設けられる。
【0077】
後側突起11は左ケース103の後端に設けられてもよく、右ケース104の後端に設けられてもよく、ここでは具体的に設定しない。
【0078】
実施例7
図16は、実施例7のインクカートリッジの部分分解概略図である。図17は、実施例7のカバープレートの概略図である。図18は、実施例7のインクカートリッジの部分断面図である。
【0079】
図16~図18に示すように、本願は別の具体的な実施形態をさらに開示し、図16に示すように、インクカートリッジ10は前ケース101、カバープレート102、左ケース103、右ケース104、固定キャップ109、弾性キャップ106、弾性素子107及びゴムプラグ108を有する。弾性素子107は、好ましくはバネである。位置決め部140、インク吐出部150及び検出突起190はカバープレート102にそれぞれ設けられ、インク吐出部150はインク吐出口を有し、検出突起190はカバープレート102から延びる突起である。検出突起190の内部に逆止弁孔1021a、弾性素子孔1021b、連通孔1021c及びインク注入孔1021dが設けられる。装着時、ゴムプラグ108を逆止弁孔1021a内に装着して逆止弁が形成され、逆止弁孔1021aはインクバッグと検出突起190の内部に連通し、逆止弁はインクバッグ内のインクを検出突起190内に流通させることのみができ、検出突起190の内部のインクをインクバッグ内に流通させることができない。弾性素子107は弾性素子孔1021b内に装着され、弾性キャップ106は検出突起190の頂面に設けられ、固定キャップ109は弾性キャップ106をカバープレート102に固定するために用いられる。弾性素子107は弾性キャップ106を支持する。連通孔1021cは検出突起190の内部とインク吐出口150aを連通する。インク吐出口箇所が画像形成機器のプリントヘッドで吸引されて負圧が形成されると、インクを検出突起190の内部からインク吐出口に供給し、さらにインクバッグ内のインクをインク吐出口に供給する。インクカートリッジ10内のインクの有無を検出する必要がある場合、画像形成機器の検出機構は弾性キャップ106の頂面に当接し、インクが十分であれば、検出突起190の内部にインクが満ち、画像形成機器の検出機構は弾性キャップ106を押し潰すことができず、画像形成機器の検出機構は所定の検出位置まで変位できないため、画像形成機器はインクが十分であることを認識することができる。インクが不十分であれば、検出突起190の内部にインクがないか、又はインクが満ちなく、画像形成機器の検出機構は弾性キャップ106を押し潰すことができ、画像形成機器の検出機構は所定の検出位置まで変位できるため、画像形成機器はインクが不足することを認識できる。
【0080】
インク流路は図16図18に示すとおりであり、インクバッグ内のインクは逆止弁孔1021aに沿って逆止弁位置に到達し、逆止弁が開くと、インクは検出突起190の内部に進入し、さらに連通孔1021cに沿ってインク吐出口の位置に進入する。
【0081】
インクカートリッジ10の生産製造過程に、必要な実際状況に応じて、インク注入孔1021dからインクバッグ内にインクを注入することができる。
【0082】
実施例8
図19は実施例の前ケースの概略図であり、図20図19の前ケースの別の構造の概略図であり、図21図19の前ケースのさらに別の構造の概略図であり、図22図19の前ケースの使用状態における部分構造概略図であり、図23図22のカバープレートの構造概略図であり、図24図22の左ケースの構造概略図である。
【0083】
本願は、前ケース101、後ケース及びカバープレート102を含み、カバープレート102にインク量を検出するための検出突起190が設けられ、後ケースの前端に開口があり、カバープレート102は後ケースの開口が設けられた側に設けられ、前ケース101は開口の前端に装着され、前ケース101の背部にカバープレート102に当接する当接部1014が設けられ、当接部1014はカバープレート102に設けられた検出突起190に近接するインクカートリッジを提供する。
【0084】
ここで、当接部1014は突起であってもよく、バネ(図21に示す)であってもよく、ここでは具体的に設定しない。
【0085】
なお、突起は三角形(図19に示す)、長方形などの形状(図20に示す)であってもよく、ここでは具体的に設定しない。
【0086】
前ケース101の背部の当接部1014がカバープレート102に当接することで、インクカートリッジ内のインクが多すぎることによるカバープレート102の変形を防止することができ、それにより検出突起190の位置ずれを防止し、さらに検出突起の測定精度を向上させることができる。
【0087】
選択可能に、検出突起190の測定精度をさらに向上させるために、当接部1014は複数あり、複数の当接部1014は検出突起190の縁を周回して間隔を置いて設けられる。
【0088】
ここで、当接部1014は検出突起190に近接して設けられる。好ましくは、当接部1014は検出突起190に近接して設けられ、検出突起190の付近にあるカバープレート102の変形を防止することができ、それにより検出突起190の位置ずれを防止し、さらに検出突起190の測定精度を向上させることができる。
【0089】
選択可能に、インクカートリッジのメンテナンスを容易にするために、後ケースは左ケース103及び右ケース104を含み、左ケース103と右ケース104は対向して設けられ且つ係合接続される。
【0090】
選択可能な実施形態では、左ケース103に掛合部1031が設けられ、右ケース104に被掛合部が設けられ、掛合部1031が被掛合部に係合可能であり、それにより左ケース103と右ケース104との係合接続が実現される。
【0091】
左ケース103と右ケース104はインクを収容するための収容部を囲んで形成する。収容部はインクバッグを置くものであってもよく、インクを直接貯留する密閉ケースであってもよく、ここでは具体的に設定しない。好ましくは、収容部内にインクバッグが設けられ、インクバッグはカバープレート102に溶接して接続され、カバープレート102は前端開口内に係合され前端開口を閉塞する。他の形態では、インクバッグとカバープレート102は他の形態で固定接続することができ、ここでは具体的に設定しない。
【0092】
選択可能に、カバープレート102の位置決め装着を実現するために、左ケース103及び/又は右ケース104の前端に近接した内壁に第1の装着溝1032が設けられ、カバープレート102は第1の装着溝1032内に挿設される。
【0093】
選択可能な実施形態では、左ケース103のZ軸方向の前端に近接した内壁に2つの第1の装着溝1032が設けられ、即ち、上下方向の前端に近接した内壁に2つの第1の装着溝1032が設けられる。
【0094】
選択可能に、検出突起190の位置ずれを防止するために、カバープレート102の背面に係止溝1021が設けられ、左ケース103及び右ケース104に係止溝1021に嵌合する係合部1033が設けられる。係合部1033を係止溝に係合することで、カバープレート102の変形による検出突起190の位置ずれを防止し、さらに検出突起190の測定精度を向上させることができる。
【0095】
係止溝の位置は、カバープレート102の背面であり且つ検出突起190に近接する箇所に設けられてもよい。当然ながら、他の実現形態では、係止溝の位置は検出突起190から遠い箇所であってもよく、ここでは具体的に設定しない。好ましくは、検出突起190の測定精度を向上させるために、係止溝の中心と検出突起190の中心とは同じ水平面内に位置する。
【0096】
なお、カバープレート102の背面は左ケース103と右ケース104に近接する面である。
【0097】
選択可能に、インクカートリッジ内のインクの状況を観察しやすいために、左ケース103及び/又は右ケース104に収容部内のインク量を観察するための窓1034が設けられる。
【0098】
選択可能な実施形態では、左ケース103の前端にインク注入を観察するための窓1034が設けられる。
【0099】
その他は実施例1と同じである。
【0100】
実施例9
図25に示すように、図25は実施例9のインク量検出機構の分解斜視図である。
【0101】
本願の実施例は、インク流路と、前記インク流路に設けられた弾性キャップ106とを含み、前記インク流路の首尾両端はインクバッグ105及びプリンタにそれぞれ連通し、インクバッグ105のインクはインク流路を経てプリンタ内に送り込まれるインク量検出機構を提供する。
【0102】
前記弾性キャップ106は変形可能部1062を含み、変形可能部1062は軟質弾性材料であり、受力で変形しやすく、前記変形可能部1062の前記インク流路に近接する一端はインク流路内のインクに接触し、前記変形可能部1062の前記インク流路と反対する面に接触受力点が設けられ、カバープレート102への前記接触受力点の正投影はカバープレート102への前記変形可能部1062の正投影の中心に位置する。
【0103】
前記接触受力点は、後述するプリンタの装着部20内の検出レバー23に当接し、カバープレート102への検出レバー23と弾性キャップ106との接触受力点の正投影は、カバープレート102への変形可能部1062の正投影の中心に位置し、変形可能部1062の周壁の受力が均一であるため、インクがなくなるまで、弾性キャップ106はより安定的に変形でき、検出レバー23の変位に大きな誤差が生じることを防止し、検出をより精確にする。
【0104】
図29aに示すように、図29aは実施例の検出レバー23と弾性キャップ106との嵌合の初期状態図であり、プリンタが動作を開始すると、プリンタ装着部20の検出レバー23は弾性キャップ106の変形可能部1062の中心箇所にある接触受力点に接触し、インクバッグ105からインクが流出してインク流路を経てプリンタに到達し、図中の破線の矢印はインクの流れ方向を示す。このとき、プリンタの検出レバー23が変形可能部1062に当接する圧縮量は僅かであり、変形可能部1062はほとんど圧縮変形せず、プリンタ検出機構により検出される情報は、インクカートリッジ10にまだ十分なインク量があり、プリント動作を続けることができることを提示する。
【0105】
プリンタが動作状態にあり、インクがプリンタに吸引され、インクバッグ105からインクが流出した後にインク流路を経てプリンタに到達し、インク流路内に負圧が形成されるため、弾性キャップ106は検出レバー23の推力を受けてインク流路に向かって圧縮して変形する。しかし、インク流路内に発生した負圧は、インクが絶えずインク流路を経ることで徐々に解消され、プリンタの動作過程に、弾性キャップ106は繰り返し僅かに変形して元の状態に戻り、この過程に、弾性キャップ106の接触受力点とその変形可能部1062の周壁との距離が等しいため、変形可能部1062が安定的に変形し、検出がより正確である。
【0106】
図29bに示すように、図29bは実施例のインクがなくなる段階における検出レバー23と弾性キャップ106との変化状態図である。インク流路のインクがなくなると、弾性キャップ106が変形した後に初期状態に戻られないため、弾性キャップ106の変形可能部1062はインク流路に向かって圧縮した状態をそのまま保持し、このとき、検出レバー23も変位した後に初期状態に戻られず、インクがなくなることを検出することができ、さらに、プリンタはインクがなくなることを提示する。
【0107】
さらに、前記弾性キャップ106は本体1061を含み、前記本体1061は前記変形可能部1062の外縁に接続され、好ましくは一体成型の形態であり、前記本体1061は硬性材質であり、変形しにくく、前記変形可能部1062の縦断面は対称形態であり、好ましくは円形、正多角形(例えば、正三角形、正四角形など)、錐形などの規則形態であり、前記変形可能部1062の最大径端の外縁は前記本体1061に接続され、前記接触受力点は前記変形可能部1062の最小径端に位置するため、接触受力点と変形可能部1062の外縁の円弧面との距離は全て等しく、接触受力点で作用力を受けて変形可能部1062を押すことで、変形可能部1062は小径端から大径端へ変形し、変形可能部1062が規則的な対称構造であるため、変形可能部1062の変形はより安定的であり、検出精度を向上させる。
【0108】
さらに、インクカートリッジ10はカバープレート102及び弾性素子107をさらに含み、前記カバープレート102は、好ましくはインクバッグ105に溶接して固定され、前記弾性素子107は前記カバープレート102の前記インクバッグ105と反対する側に設けられて、前記変形可能部1062を支持し、前記カバープレート102にインク吐出口150a及び液体室10211がさらに設けられ、前記液体室10211内に流入口102111及び流出口102113が設置され、前記流出口102113は前記インク吐出口150aと連通し、前記流入口102111はインクバッグ105と連通し、前記インク流路内のインクは前記流入口102111、前記液体室10211、前記流出口102113を順に経て前記インク吐出口150aからプリンタに送出される。
【0109】
残量検出過程に、弾性キャップ106と弾性素子107は協働し、プリンタの検出レバー23に合わせてインク量の検出を行う。
【0110】
図29aに示すように、この場合は検出レバー23と弾性キャップ106とが嵌合した初期状態であり、液体室10211の容積を増加させるため、弾性素子107は弾性キャップ106の変形可能部1062を押し上げて、それを初期状態にあるようにし、このとき、プリンタの検出レバー23が弾性キャップ106に当接する圧縮量は僅かであり、変形可能部1062はほとんど圧縮変形しない。
【0111】
プリンタが動作状態にあり、液体室10211内に負圧が形成されるため、弾性キャップ106は検出レバー23の推力を受けて弾性素子107を液体室10211に向かって圧縮し、液体室10211の内側に引き込まれるように変形する。ただし、液体室10211内に発生した負圧は、インクが流入口102111を経て液体室10211に到達することで徐々に解消され、このとき、弾性キャップ106は弾性素子107からの反作用力を受けて、再び外側に押され、弾性キャップ106は変形しない状態に戻り、液体室10211の容積は初期状態に戻る。このため、プリンタの動作過程に、弾性キャップ106は繰り返し僅かに変形して元の状態に戻る。
【0112】
図29bに示すように、この場合に、インクカートリッジ10はインクがなくなる段階にあり、インクバッグ105が液体室10211を経てプリンタにインクを絶えず供給する過程に、インクバッグ105のインクがなくなる場合に、弾性キャップ106は弾性素子107を圧縮し、弾性素子107の支持力を解消し、液体室10211の内側に引き込まれるように変形した後、初期状態に戻られない。
【0113】
さらに、前記流出口102113の内径は前記流入口102111の内径よりも大きく、それにより流出速度が流入速度よりも大きいため、液体室10211内に負圧が形成されることで、液体室10211内のインクがなくなると、弾性キャップ106の変形可能部1062は液体室10211に向かって圧縮した状態をそのまま保持し、このとき、検出レバー23は変位しても初期状態に戻られず、インクがなくなることを検出することができ、さらに、プリンタはインクがなくなることを提示する。
【0114】
さらに、前記弾性素子107は第1のバネであり、前記液体室10211の底面に第1の突起102112が突設され、前記第1の突起102112の頂部に前記バネを収容するための凹溝が設けられ、前記変形可能部1062の最小径端に第2の突起1063が液体室10211に向かって突設され、前記第1のバネの首尾両端は前記第1の突起102112と前記第2の突起1063にそれぞれ接続される。第1のバネの弾性復元力により、変形可能部1062を支持し、それを初期状態に戻る傾向があるようにさせる。
【0115】
さらに、前記流入口102111にゴムプラグ108が設けられる。ゴムプラグ108はインクバッグ105内のインクを液体室10211の内部に流通させることのみができ、液体室10211の内部のインクをインクバッグ105内に流通させることができない。
【0116】
さらに、インクカートリッジ10は固定キャップ109をさらに含み、前記固定キャップ109は前記弾性キャップ106を前記液体室10211に固定し、且つ前記液体室10211の頂部を閉鎖するために用いられる。前記固定キャップ109の底面に第1の溝が凹設され、第1の溝は液体室10211を部分的に収容するために用いられ、第1の溝の底面に第2の溝が貫通し、第2の溝は変形可能部1062を延出させるために用いられる。
【0117】
さらに、前記インク吐出口150aは第2の弾性部材1501、球体1502及び密閉プラグ1503を含み、前記密閉プラグ1503は前記インク吐出口150aの頂端に設けられ、前記球体1502は前記インク吐出口150aの頂端に近接して設けられ、前記第2の弾性部材1501は前記球体1502を支持するために用いられる。第2の弾性部材1501、球体1502及び密閉プラグ1503を組み合わせて、インク吐出口150aを開閉するための弁構造を構成し、第2の弾性部材1501は第2のバネであり、一端がインク吐出口150aの底端に固定され、その頂端に球体1502が設けられ、共に弁芯を構成し、密閉プラグ1503はインク吐出口150aの端部に密閉の役割を果たし、インクカートリッジ10が装着孔21に挿入された場合にインク吸引ピン22の外部寸法に合わせ、且つ弁ユニットの弁体を構成する。
【0118】
図26及び図27に示すように、本願はインクカートリッジ10をさらに提供し、図26は実施例9のインクカートリッジ10の分解斜視図であり、図27はインクカートリッジ10の組立斜視図である。
【0119】
インクカートリッジ10はインクバッグ105、カートリッジ本体100及び前述のインク量検出機構を含み、前記カートリッジ本体100は左ケース103、右ケース104及び前ケース101を含み、左ケース103と右ケース104を組み合わせて箱体形状として形成し、前記左ケース103、前記右ケース104及び前記前ケース101は前記インクバッグ105を収容するための収容部を囲んで形成し、当業者であれば分かるように、収容部はインクを直接貯留する密閉ケースとして設けられてもよく、前記カバープレート102は前記インクバッグ105に接続され、前記前ケース101に前記弾性キャップ106を延出させるための検出孔1011と、前記インク吐出口150aを延出させるためのインク出口孔1012とが設けられる。
【0120】
インク出口孔1012の上側ケースにチップ120を装着するための第2の装着溝1013がさらに設けられ、ここで、チップ120はチップホルダー110に装着され、また、チップホルダー110は第2の装着溝1013に装着され、チップ120はインクカートリッジ10の基本情報を記憶するとともに、インクカートリッジ10をプリンタに装着する場合に装着検出を行うために用いられる。インク量検出機構をインクバッグ105と組み合わせてカートリッジ本体100に装着してから、チップ120が装着されたチップホルダー110をカートリッジ本体100に装着することで、完全なインクカートリッジ10を構成し、インクカートリッジ10が装着部20に装着された場合、チップ120はプリンタ側端子ユニットのコンタクトピン部に接触して電気的な接続を形成し、ウェハ内の記憶情報にはプリンタ内の情報との情報のやり取り、認証、メンテナンスが発生する。例えば、インクカートリッジ10内のインクが絶えず消費されていくと、プリント量に応じてチップ120内のインク量情報が変更する。
【0121】
本実施例は、プリンタをさらに提供し、図28に示すように、図28は実施例9のインクカートリッジ10がプリンタ装着部に装着された斜視図である。
【0122】
前記プリンタは装着部20を含み、前記装着部20に装着孔21が設置され、前記装着孔21は前述のインクカートリッジ10を収容するために用いられる。
【0123】
インクカートリッジ10はプリンタ装着部20の装着孔21に向かって、外から内へ装着孔21内に挿入され、装着孔21の内側にインクを吸引するためのインク吸引ピン22が設けられ、インクカートリッジ10が装着孔21に装着された場合、インク吸引ピン22はインクカートリッジ10のインク吐出口150aに嵌合し、インクカートリッジ10のインクを装着部20に供給し、そして装着部20を経由してプリンタのプリントヘッドに供給して、プリント動作を開始する。
【0124】
インク吸引ピン22の鉛直方向の下方に検出レバー23がさらに設けられ、検出レバー23の構造の後端部にそれに嵌合する光センサ(図示せず)が設けられ、光センサは嵌合溝を有し、インクカートリッジ10のインク残量が十分である場合、検出レバー23は変位しないか、又は変位が小さく、検出レバー23の後端が光センサの嵌合溝に入らず、このとき、光センサは光を透過可能であり、インク量が十分であることを示し、インクがなくなると、検出レバー23は移動し、その後端部が光センサの嵌合溝内に移し、このとき、センサの光が遮られ、インクカートリッジ10内のインクがなくなることを提示する。
【0125】
本実施例の動作原理は、以下のとおりであり、
図29aは、実施例の検出レバー23と弾性キャップ106との嵌合の初期状態図である。プリンタが動作を開始すると、プリンタ装着部20の検出レバー23は弾性キャップ106の変形可能部1062の中心点箇所にある接触受力点に接触し、液体室10211の容積を増加させるため、弾性素子107は弾性キャップ106の変形可能部1062を押し上げ、それを初期状態にあるようにさせ、液体室10211の容積が増加するため、インクはインクバッグ105から流出して液体室10211の流入口102111を経て液体室10211に到達し、そして液体室10211の流出口102113から流出してインク吐出口150aに到達し、インク吐出口150aによりプリンタへのインクの供給が制御され、液体室10211の流入口102111内にゴムプラグ108が設けられ、ゴムプラグ108はインクがインクバッグ105から流出して流入口102111を経て液体室10211へ供給することを許容し、液体室10211から流入口102111へのインクの逆流を阻止し、図中の破線の矢印はインクの流れ方向を示す。このとき、プリンタの検出レバー23が弾性キャップ106に当接する圧縮量は僅かであり、変形可能部1062はほとんど圧縮変形せず、プリンタ検出機構により検出される情報は、インクカートリッジ10にまだ十分なインク量があり、プリント動作を続けることができることを提示する。
【0126】
プリンタが動作状態にあり、インクがインク吐出口150aに吸引され、インクが流入口102111を経て液体室10211に流入し、そして流出口102113からインク吐出口150aに供給され、流出口102113の内径が流入口102111の内径よりも大きく、流出速度が流入速度よりも大きいため、液体室10211内に負圧が形成され、したがって、弾性キャップ106は検出レバー23の推力を受けて弾性素子107を液体室10211に向かって圧縮し、液体室10211の内側に引き込まれるように変形する。ただし、液体室10211内に発生した負圧は、インクが絶えず流入口102111を経て液体室10211に到達することで徐々に解消され、このとき、弾性キャップ106は弾性素子107からの反作用力を受けて、再び外側に押され、弾性キャップ106は変形しない状態に戻り、液体室10211の容積は初期状態に戻る。このため、プリンタの動作過程に、弾性キャップ106は繰り返し僅かに変形して元の状態に戻り、この過程に、弾性キャップ106と検出レバー23との接触点からその変形可能部1062の周囲までの距離が等しいため、変形可能部1062が安定的に変形することで、検出がより正確である。
【0127】
図29bは実施例のインクがなくなる段階における検出レバー23と弾性キャップ106との変化状態図である。前述したように液体室10211に負圧が存在し、インクバッグ105が液体室10211を経てプリンタに絶えずインクを供給する過程に、インクバッグ105のインクがなくなる場合に、弾性キャップ106は弾性素子107を圧縮し、液体室10211の内側に引き込まれるように変形した後、初期状態に戻られず、弾性キャップ106の変形可能部1062は液体室10211に向かって圧縮した状態をそのまま保持し、このとき、検出レバー23が変位しても初期状態に戻られず、インクがなくなることを検出することができ、さらに、プリンタはインクがなくなることを提示する。
【0128】
以上は本願の好ましい具体的な実施形態に過ぎず、本願の保護範囲はこれに限定されるものではなく、本願に開示された技術的範囲内で当業者が容易に想到し得る変化又は置換はいずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。したがって、本願の保護範囲は特許請求の範囲の保護範囲を基準とすべきである。
【符号の説明】
【0129】
10…インクカートリッジ、10a…切欠、11…側突起、12…隙間、20…装着部、21…装着孔、22…インク吸引ピン、23…検出レバー、31…第1の基板、31a…第1の側面、31b…第2の側面、31c…第3の側面、31d…第4の側面、32…第2の基板、100…カートリッジ本体、100a…上面、100b…下面、100c…表面、100d…表面、100e…左面、100f…右面、100g…段差面、100h…遷移面、101…ケース、101c…第1の面、102…カバープレート、103…左ケース、104…右ケース、105…インクバッグ、106…弾性キャップ、107…弾性素子、108…ゴムプラグ、109…固定キャップ、111…第1の固定部、112…第2の固定部、113…貫通孔、114…開孔、120…チップ、121…第1の孔、122…凹溝、123…第2の孔、124…第3の孔、130…凹部、130a…第2の面、130b…第3の面、130e…第1の位置決め面、130f…第2の位置決め面、130g…第1の案内面、130h…第2の案内面、140…位置決め部、140b…底面、150…インク吐出部、150a…インク吐出口、190…検出突起、210…画像形成機器側端子ユニット(即ち、画像形成機器側の端子ユニット)、210d…第3の平面、211…フレーム、220…コンタクトピンアセンブリ、231…第1の突出部材、231f…第1の平面、232…第2の突出部材、232e…第2の平面、240…空間、240b…空間の底面、240e…空間の左側面、240f…空間の右側面、300…第1のインクカートリッジ、311…第1の短絡端子、312…リセット端子、312A…第1の延び端子、313…クロック端子、313A…第2の延び端子、314…第2の短絡検出端子、315…電源端子、316…接地端子、317…データ端子、318…第1の付加端子、319…第の付加端子、321…第1の高圧端子、322…第2の高圧端子、400…第2のインクカートリッジ、513…第1の位置決め孔、514…第2の位置決め孔、760…加圧口、1011…検出孔、1012…インク出口孔、1013…第2の装着溝、1014…当接部、1021…係止溝、1021a…逆止弁孔、1021b…弾性素子孔、1021c…連通孔、1021d…インク注入孔、1031…掛合部、1032…第1の装着溝、1033…係合部、1034…窓、1061…本体、1062…変形部、1063…第2の突起、1501…第2の弾性部材、1502…球体、1503…密閉プラグ、10211…液体室。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29a
図29b