(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】液晶デバイス
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1347 20060101AFI20240610BHJP
G02F 1/1343 20060101ALI20240610BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240610BHJP
G02F 1/1337 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
G02F1/1347
G02F1/1343
G02F1/13 505
G02F1/1337
(21)【出願番号】P 2023505245
(86)(22)【出願日】2022-02-15
(86)【国際出願番号】 JP2022005866
(87)【国際公開番号】W WO2022190786
(87)【国際公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】P 2021040607
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 幸次朗
(72)【発明者】
【氏名】小糸 健夫
(72)【発明者】
【氏名】長尾 康一
(72)【発明者】
【氏名】田中 慎一郎
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0196318(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0050076(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0025657(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0252782(US,A1)
【文献】特表2010-525388(JP,A)
【文献】特開2019-175452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1347
G02F 1/1343
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1液晶セルと、
前記第1液晶セルに重なった第2液晶セルと、を備え、
前記第1液晶セル及び前記第2液晶セルの各々は、
第1透明基板と、
第1配向膜と、
前記第1透明基板と前記第1配向膜との間に位置し、間隔を置いて配置され、互いに異なる電圧が印加されるように構成された第1帯電極及び第2帯電極と、
第2透明基板と、
第2配向膜と、
前記第2透明基板と前記第2配向膜との間に位置し、間隔を置いて配置され、互いに異なる電圧が印加されるように構成された第3帯電極及び第4帯電極と、
前記第1配向膜と前記第2配向膜との間に位置する液晶層と、を備え、
前記第1液晶セルにおける前記第1帯電極及び前記第2帯電極の延出方向は、前記第2液晶セルにおける前記第1帯電極及び前記第2帯電極の延出方向とは異なり、
前記第1液晶セル及び前記第2液晶セルの各々において、前記第1配向膜の配向処理方向は、前記第2配向膜の配向処理方向と90°以下の角度で交差し、且つ、前記第1帯電極及び前記第2帯電極の延出方向は、前記第3帯電極及び前記第4帯電極の延出方向と90°以外の角度で交差している、液晶デバイス。
【請求項2】
前記第1帯電極及び前記第2帯電極の延出方向は、前記第3帯電極及び前記第4帯電極の延出方向と91°または92°の角度で交差している、請求項1に記載の液晶デバイス。
【請求項3】
前記第1液晶セル及び前記第2液晶セルの各々において、前記第1透明基板の一辺を基準とし、前記一辺に直交する方向を第1方向とし、前記一辺に平行な方向を第2方向としたとき、
前記第1配向膜の配向処理方向は、前記第1方向に平行であり、
前記第2配向膜の配向処理方向は、前記第2方向に平行であり、
前記第1帯電極の延出方向は、前記第1方向と交差し、
前記第3帯電極の延出方向は、前記第2方向と交差している、請求項1に記載の液晶デバイス。
【請求項4】
前記第1液晶セル及び前記第2液晶セルのいずれか一方において、前記第1帯電極の延出方向は、前記第1配向膜の配向処理方向と直交し、
前記第1液晶セル及び前記第2液晶セルのいずれか他方において、前記第1帯電極の延出方向は、前記第1配向膜の配向処理方向と90°以外の角度で交差している、請求項3に記載の液晶デバイス。
【請求項5】
前記第1液晶セル及び前記第2液晶セルの各々において、前記第1帯電極の延出方向は、前記第1配向膜の配向処理方向と90°以外の角度で交差している、請求項3に記載の液晶デバイス。
【請求項6】
前記第1液晶セル及び前記第2液晶セルの各々において、前記第1透明基板の一辺を基準とし、前記一辺に直交する方向を第1方向とし、前記一辺に平行な方向を第2方向としたとき、
前記第1帯電極の延出方向は、前記第1配向膜の配向処理方向と直交し、
前記第3帯電極の延出方向は、前記第2配向膜の配向処理方向と直交している、請求項1に記載の液晶デバイス。
【請求項7】
前記第1液晶セル及び前記第2液晶セルの各々において、前記第1配向膜の配向処理方向は、前記第2配向膜の配向処理方向と90°以外の角度で交差している、請求項6に記載の液晶デバイス。
【請求項8】
前記第1液晶セル及び前記第2液晶セルの各々において、
前記第1配向膜の配向処理方向及び前記第2配向膜の配向処理方向のいずれか一方は、前記第1方向または前記第2方向に平行であり、
前記第1配向膜の配向処理方向及び前記第2配向膜の配向処理方向のいずれか他方は、前記第1方向及び前記第2方向の双方に対して90°以外の角度で交差している、請求項6に記載の液晶デバイス。
【請求項9】
前記第1液晶セル及び前記第2液晶セルの各々において、前記第1配向膜の配向処理方向は前記第1方向と90°以外の角度で交差し、前記第2配向膜の配向処理方向は前記第2方向と90°以外の角度で交差している、請求項6に記載の液晶デバイス。
【請求項10】
前記第1液晶セル及び前記第2液晶セルの各々において、前記第1帯電極の延出方向及び前記第3帯電極の延出方向のいずれか一方は、前記第1方向または前記第2方向に平行である、請求項3または6に記載の液晶デバイス。
【請求項11】
前記第1液晶セルの前記第1帯電極の延出方向及び前記第3帯電極の延出方向、及び、前記第2液晶セルの前記第1帯電極の延出方向及び前記第3帯電極の延出方向は、いずれも前記第1方向及び前記第2方向の双方に対して90°以外の角度で交差している、請求項3または6に記載の液晶デバイス。
【請求項12】
さらに、前記第2液晶セルに重なった第3液晶セルと、
前記第3液晶セルに重なった第4液晶セルと、を備え、
前記第3液晶セル及び前記第4液晶セルの各々は、
前記第1帯電極、前記第2帯電極、前記第3帯電極、及び、前記第4帯電極を備え、
前記第1液晶セルの前記第1帯電極及び前記第2帯電極、及び、前記第3液晶セルの前記第1帯電極及び前記第2帯電極は、平面視において、90°回転対称であり、
前記第2液晶セルの前記第1帯電極及び前記第2帯電極、及び、前記第4液晶セルの前記第1帯電極及び前記第2帯電極は、平面視において、90°回転対称である、請求項3または6に記載の液晶デバイス。
【請求項13】
前記第1液晶セル、前記第2液晶セル、前記第3液晶セル、及び、前記第4液晶セルの各々は、それぞれ正方形状に形成され、同等のサイズを有している、請求項12に記載の液晶デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液晶デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶セルを用いた光制御装置が提案されている。このような光制御装置は、液晶分子の配向状態あるいは液晶層の屈折率分布を制御して、液晶層を透過する光(p偏光、s偏光)を屈折するものである。一例では、複数の液晶レンズを備えた照明装置において、各液晶レンズを形成するための帯状電極が互いにずれた位置に形成されることで、ムラを抑制する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態の目的は、モアレを抑制することが可能な液晶デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る液晶デバイスは、
第1液晶セルと、前記第1液晶セルに重なった第2液晶セルと、を備え、前記第1液晶セル及び前記第2液晶セルの各々は、第1透明基板と、第1配向膜と、前記第1透明基板と前記第1配向膜との間に位置し、間隔を置いて配置され、互いに異なる電圧が印加されるように構成された第1帯電極及び第2帯電極と、第2透明基板と、第2配向膜と、前記第2透明基板と前記第2配向膜との間に位置し、間隔を置いて配置され、互いに異なる電圧が印加されるように構成された第3帯電極及び第4帯電極と、前記第1配向膜と前記第2配向膜との間に位置する液晶層と、を備え、前記第1液晶セルにおける前記第1帯電極及び前記第2帯電極の延出方向は、前記第2液晶セルにおける前記第1帯電極及び前記第2帯電極の延出方向とは異なり、前記第1液晶セル及び前記第2液晶セルの各々において、前記第1配向膜の配向処理方向は、前記第2配向膜の配向処理方向と90°以下の角度で交差し、且つ、前記第1帯電極及び前記第2帯電極の延出方向は、前記第3帯電極及び前記第4帯電極の延出方向と90°以外の角度で交差している。
【発明の効果】
【0006】
一実施形態によれば、モアレを抑制することが可能な液晶デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る液晶デバイス1を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した液晶デバイス1の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2の第1液晶セル10を概略的に示す斜視図である。
【
図4】
図4は、液晶デバイス1を構成する各帯電極の延出方向の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、液晶層LC1に電界が形成されていないオフ状態(OFF)の第1液晶セル10を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、液晶層LC1に電界が形成されたオン状態(ON)の第1液晶セル10を模式的に示す図である。
【
図7】
図7は、液晶デバイス1を構成する各帯電極の延出方向の他の例を示す図である。
【
図8】
図8は、液晶デバイス1を構成する各帯電極の延出方向の他の例を示す図である。
【
図9】
図9は、液晶デバイス1を構成する各帯電極の延出方向の他の例を示す図である。
【
図10】
図10は、液晶デバイス1を構成する各帯電極の延出方向の他の例を示す図である。
【
図11】
図11は、液晶デバイス1を構成する各帯電極の延出方向の他の例を示す図である。
【
図12】
図12は、液晶デバイス1を構成する各帯電極の延出方向の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸、及び、Z軸を記載する。X軸に沿った方向をX方向または第1方向と称し、Y軸に沿った方向をY方向または第2方向と称し、Z軸に沿った方向をZ方向または第3方向と称する。X軸及びY軸によって規定される面をX-Y平面と称する。X-Y平面を見ることを平面視という。
【0009】
図1は、本実施形態に係る液晶デバイス1を示す斜視図である。
液晶デバイス1は、第1液晶セル10と、第2液晶セル20と、第3液晶セル30と、第4液晶セル40と、を備えている。本実施形態に係る液晶デバイス1は、2つ以上の液晶セルを備えるものであり、
図1に示した例の如く、4つの液晶セルを備える構成に限定されるものではない。
【0010】
第3方向Zにおいて、第1液晶セル10、第2液晶セル20、第3液晶セル30、及び、第4液晶セル40は、この順に重なっている。
【0011】
点線で示す光源LSは、第3方向Zにおいて、第1液晶セル10と対向している。光源LSは、コリメート光を出射するように構成されているものが好ましいが、拡散光を出射するものも採用可能である。光源LSからの出射光は、第1液晶セル10、第2液晶セル20、第3液晶セル30、及び、第4液晶セル40を順に透過する。後述するように、第1液晶セル10、第2液晶セル20、第3液晶セル30、及び、第4液晶セル40は、入射光の一部の偏光成分を屈折するように構成されている。このように、液晶デバイス1と光源LSとを組み合わせることで、光の拡散及び集束が可能な照明装置を提供することができる。
【0012】
図2は、
図1に示した液晶デバイス1の分解斜視図である。
第1液晶セル10は、第1透明基板S11と、第2透明基板S21と、液晶層LC1と、シールSE1と、を備えている。第1透明基板S11及び第2透明基板S21は、シールSE1によって接着されている。液晶層LC1は、第1透明基板S11と第2透明基板S21との間に保持され、シールSE1によって封止されている。入射光を屈折することが可能な有効領域AA1は、シールSE1で囲まれた内側に形成されている。
【0013】
本明細書では、第1液晶セル10の平面視において、第1透明基板S11の左端に位置する1つの辺SYを基準としたとき、辺SYに直交する方向を第1方向Xとし、辺SYに平行な方向を第2方向Yとし、第1方向X及び第2方向Yに直交する方向(厚さ方向)を第3方向Zと定義する。また、辺SYを基準に、X-Y平面における3時方向つまり第1方向Xを示す矢印の先端方向を0°とし、第1方向Xに対して反時計回りの角度を正(+)で表記し、第1方向Xに対して時計回りの角度を負(-)で表記する。第2方向Yを示す矢印の先端方向は、第1方向Xに対して90°の方向に相当する。
このような各方向の対応関係は、他の液晶セル20乃至40にも同様に当てはめることができる。
【0014】
第1透明基板S11は、第1方向Xに沿って第2透明基板S21よりも外側に延出した延出部EX1と、第2方向Yに沿って第2透明基板S21よりも外側に延出した延出部EY1と、を有している。延出部EX1及び延出部EY1の少なくとも一方には、点線で示すようなフレキシブル配線基板Fが接続される。
【0015】
第2液晶セル20は、第1透明基板S12と、第2透明基板S22と、液晶層LC2と、シールSE2と、を備えている。有効領域AA2は、シールSE2で囲まれた内側に形成されている。
第1透明基板S12は、延出部EX2及び延出部EY2を有している。第3方向Zにおいて、延出部EX2は延出部EX1に重畳し、延出部EY2は延出部EY1に重畳している。延出部EX2及び延出部EY2の少なくとも一方には、フレキシブル配線基板が接続されるが、液晶セル20乃至40においてはフレキシブル配線基板の図示を省略する。
【0016】
第3液晶セル30は、第1透明基板S13と、第2透明基板S23と、液晶層LC3と、シールSE3と、を備えている。有効領域AA3は、シールSE3で囲まれた内側に形成されている。
第1透明基板S13は、延出部EX3及び延出部EY3を有している。第3方向Zにおいて、延出部EY3は、延出部EY2に重畳している。延出部EX3は、延出部EX2とは重畳せず、延出部EX2の反対側に位置している。
【0017】
第4液晶セル40は、第1透明基板S14と、第2透明基板S24と、液晶層LC4と、シールSE4と、を備えている。有効領域AA4は、シールSE4で囲まれた内側に形成されている。
第1透明基板S14は、延出部EX4及び延出部EY4を有している。第3方向Zにおいて、延出部EX4は延出部EX3に重畳し、延出部EY4は延出部EY3に重畳している。
【0018】
第1液晶セル10と第2液晶セル20との間には、透明接着層TA12が配置されている。透明接着層TA12は、第1透明基板S11と第2透明基板S22とを接着している。
第2液晶セル20と第3液晶セル30との間には、透明接着層TA23が配置されている。透明接着層TA23は、第1透明基板S12と第2透明基板S23とを接着している。
第3液晶セル30と第4液晶セル40との間には、透明接着層TA34が配置されている。透明接着層TA34は、第1透明基板S13と第2透明基板S24とを接着している。
【0019】
第1透明基板S11乃至S14は、それぞれ正方形状に形成され、同等のサイズを有している。例えば、第1透明基板S11において、辺SX及び辺SYは互いに直交し、また、辺SXの長さは辺SYの長さと同一である。
このため、第1液晶セル10、第2液晶セル20、第3液晶セル30、及び、第4液晶セル40が互いに接着された際には、
図1に示したように、第1方向Xに沿った辺が互いに重畳し、しかも、第2方向Yに沿った辺も互いに重畳している。
なお、光が透過する領域(後述の有効領域)の形状とほぼ同じ形状を有する第2基板を正方形状とし、第1基板を正方形状以外の多角形状、たとえば長方形状とすることも可能である。また、各液晶セルの延出部のいずれか一方を削除する構成も採用可能である。
【0020】
次に、各液晶セルの構成についてより具体的に説明する。なお、以下では、液晶デバイス1を構成する複数の液晶セルのうち、第1液晶セル10を例に説明するが、他の液晶セル20乃至40の構成も、帯電極の延出方向を除いて、第1液晶セル10の構成と概ね同様である。
【0021】
図3は、
図2の第1液晶セル10を概略的に示す斜視図である。
【0022】
第1液晶セル10は、有効領域AA1において、第1帯電極E11A及び第2帯電極E11Bと、第1配向膜AL11と、第3帯電極E21A及び第4帯電極E21Bと、第2配向膜AL21と、を備えている。
【0023】
第1帯電極E11A及び第2帯電極E11Bは、第1透明基板S11と第1配向膜AL11との間に位置し、間隔を置いて配置され、同一方向に延出している。第1帯電極E11A及び第2帯電極E11Bは、第1透明基板S11に接していてもよいし、第1透明基板S11との間に絶縁膜が介在していてもよい。また、第1帯電極E11Aと第2帯電極E11Bとの間に絶縁膜が介在し、第1帯電極E11Aが第2帯電極E11Bとは異なる層に位置していてもよい。
【0024】
複数の第1帯電極E11A、及び、複数の第2帯電極E11Bは、第1方向Xに並び、交互に配置されている。複数の第1帯電極E11Aは、互いに電気的に接続され、同一電圧が印加されるように構成されている。複数の第2帯電極E11Bは、互いに電気的に接続され、同一電圧が印加されるように構成されている。但し、第2帯電極E11Bに印加される電圧は、第1帯電極E11Aに印加される電圧とは異なるように制御される。
【0025】
第1配向膜AL11は、第1帯電極E11A及び第2帯電極E11Bを覆っている。第1配向膜AL11の配向処理方向AD11は、第1方向Xである。なお、各配向膜の配向処理は、ラビング処理であってもよいし、光配向処理であってもよい。配向処理方向は、ラビング方向と称される場合がある。一般に、液晶層に電圧が印加されていない状態(初期配向状態)において、配向膜の近傍に位置する液晶分子は、配向膜の配向処理方向に沿った配向規制力によって所定の方向に初期配向される。つまり、ここに示す例では、第1配向膜AL11に沿った液晶分子LM11の初期配向方向は、第1方向Xである。配向処理方向AD11は、第1帯電極E11A及び第2帯電極E11Bと交差している。
【0026】
第3帯電極E21A及び第4帯電極E21Bは、第2透明基板S21と第2配向膜AL21との間に位置し、間隔を置いて配置され、同一方向に延出している。第3帯電極E21A及び第4帯電極E21Bは、第2透明基板S21に接していてもよいし、第2透明基板S21との間に絶縁膜が介在していてもよい。また、第3帯電極E21Aと第4帯電極E21Bとの間に絶縁膜が介在し、第3帯電極E21Aが第4帯電極E21Bとは異なる層に位置していてもよい。
【0027】
複数の第3帯電極E21A、及び、複数の第4帯電極E21Bは、第2方向Yに並び、交互に配置されている。複数の第3帯電極E21Aは、互いに電気的に接続され、同一電圧が印加されるように構成されている。複数の第4帯電極E21Bは、互いに電気的に接続され、同一電圧が印加されるように構成されている。但し、第4帯電極E21Bに印加される電圧は、第3帯電極E21Aに印加される電圧とは異なるように制御される。また、第1帯電極E11A及び第2帯電極E11Bの延出方向は、後に詳述するが、第3帯電極E21A及び第4帯電極E21Bの延出方向と90°以外の角度で交差している。
【0028】
第2配向膜AL21は、第3帯電極E21A及び第4帯電極E21Bを覆っている。第2配向膜AL21の配向処理方向AD21は、第2方向Yである。つまり、ここに示す例では、第2配向膜AL21に沿った液晶分子LM21の初期配向方向は、第2方向Yである。また、第1配向膜AL11の配向処理方向AD11、及び、第2配向膜AL21の配向処理方向AD21は、互いに直交している。配向処理方向AD21は、第3帯電極E21A及び第4帯電極E21Bと交差している。
【0029】
以下に、いくつかの実施例について説明する。各実施例において、第1液晶セル10、第2液晶セル20、第3液晶セル30、及び、第4液晶セル40の各々における第1帯電極及び第2帯電極の延出方向、及び、第3帯電極及び第4帯電極の延出方向について説明する。なお、第1帯電極の延出方向は第2帯電極の延出方向と同一であり、また、第3帯電極の延出方向は第4帯電極の延出方向と同一であるものとする。これらの第1帯電極、第2帯電極、第3帯電極、及び、第4帯電極は、それぞれ直線的に延出したエッジを有している。以下において、各帯電極の延出方向は、共通の基準方向である第1方向Xと帯電極のエッジとのなす角度として説明する。
【0030】
≪実施例1-1≫
図4は、液晶デバイス1を構成する各帯電極の延出方向の一例を示す図である。
【0031】
第1液晶セル10において、配向処理方向AD11は第1方向Xに対して0°の方向であり、配向処理方向AD21は第1方向Xに対して90°の方向である。第1帯電極E11A及び第2帯電極E11Bの延出方向は第1方向Xに対して90°の方向であり、第3帯電極E21A及び第4帯電極E21Bの延出方向は第1方向Xに対して-1°の方向である。第1帯電極E11A及び第2帯電極E11Bの延出方向は、第3帯電極E21A及び第4帯電極E21Bの延出方向と91°(または89°)の角度で交差している。
【0032】
第2液晶セル20において、配向処理方向AD12は0°の方向であり、配向処理方向AD22は90°の方向であり、第1帯電極E12A及び第2帯電極E12Bの延出方向は91°の方向であり、第3帯電極E22A及び第4帯電極E22Bの延出方向は0°の方向である。第1帯電極E12A及び第2帯電極E12Bの延出方向は、第3帯電極E22A及び第4帯電極E22Bの延出方向と91°の角度で交差している。
【0033】
第3液晶セル30において、配向処理方向AD13は-90°の方向であり、配向処理方向AD23は0°の方向であり、第1帯電極E13A及び第2帯電極E13Bの延出方向は0°の方向であり、第3帯電極E23A及び第4帯電極E23Bの延出方向は89°の方向である。
【0034】
第4液晶セル40において、配向処理方向AD14は-90°の方向であり、配向処理方向AD24は0°の方向であり、第1帯電極E14A及び第2帯電極E14Bの延出方向は1°の方向であり、第3帯電極E24A及び第4帯電極E24Bの延出方向は90°の方向である。
【0035】
第1透明基板S11に接続されたフレキシブル配線基板F1、及び、第1透明基板S12に接続されたフレキシブル配線基板F2は、図の下方に引き出されている。第1透明基板S13に接続されたフレキシブル配線基板F3、及び、第1透明基板S14に接続されたフレキシブル配線基板F4は、図の左方に引き出されている。
【0036】
ここで、液晶セルの相互の関係について説明する。
【0037】
第1液晶セル10及び第2液晶セル20に着目する。第1帯電極E11A及び第2帯電極E11Bの延出方向と、第1帯電極E12A及び第2帯電極E12Bの延出方向とは、90°以外の角度で交差している。本明細書で、90°以外の角度での交差とは、平面視における両者の交差角が0°より大きく、90°未満の鋭角であることを意味するものであり、非平行且つ非直交と同義である。
第3帯電極E21A及び第4帯電極E21Bの延出方向と、第3帯電極E22A及び第4帯電極E22Bの延出方向とは、90°以外の角度で交差している。一例では、第1帯電極E11Aと第1帯電極E12Aとの交差角、及び、第3帯電極E21Aと第3帯電極E22Aとの交差角は、1°である。
また、第1帯電極E11A及び第2帯電極E11Bの延出方向と、第3帯電極E22A及び第4帯電極E22Bの延出方向とは、90°の角度で交差(直交)している。さらに、第3帯電極E21A及び第4帯電極E21Bの延出方向と、第1帯電極E12A及び第2帯電極E12Bの延出方向とは、92°の角度で交差している。
【0038】
要するに、第1液晶セル10と第2液晶セル20とが接着された際に、第1帯電極E11A及び第2帯電極E11B、第1帯電極E12A及び第2帯電極E12B、第3帯電極E21A及び第4帯電極E21B、及び、第3帯電極E22A及び第4帯電極E22Bの各々の延出方向は一致しない(つまり、互いに非平行である)。このように、互いに完全に重畳する電極が存在しないため、モアレを抑制することができる。
【0039】
なお、ここでは、1つの液晶セルにおいて一方の基板側の電極と他方の基板側の電極との交差角が1°の例について説明したが、これに限らない。モアレを抑制する観点では、例えば、交差角は、0°より大きく、4°以下であることが望ましい。
【0040】
ここでは、第1液晶セル10及び第2液晶セル20の相互関係について説明したが、第3液晶セル30及び第4液晶セル40の相互関係においても同様である。
【0041】
次に、第1液晶セル10及び第3液晶セル30に着目する。第1帯電極E11A及び第2帯電極E11Bの延出方向と、第1帯電極E13A及び第2帯電極E13Bの延出方向とは、互いに直交している。また、第3帯電極E21A及び第4帯電極E21Bの延出方向と、第3帯電極E23A及び第4帯電極E23Bの延出方向とは、互いに直交している。
【0042】
第1液晶セル10をX-Y平面において時計回りに90°回転させた際に、第1帯電極E11A及び第2帯電極E11Bの延出方向は、第1帯電極E13A及び第2帯電極E13Bの延出方向に一致し、また、第3帯電極E21A及び第4帯電極E21Bの延出方向は、第3帯電極E23A及び第4帯電極E23Bの延出方向に一致する。
【0043】
要するに、X-Y平面において、第1帯電極E11A及び第2帯電極E11B、及び、第1帯電極E13A及び第2帯電極E13Bは、90°回転対称である。同様に、第3帯電極E21A及び第4帯電極E21B、及び、第3帯電極E23A及び第4帯電極E23Bは、90°回転対称である。つまり、第1液晶セル10及び第3液晶セル30は90°回転対称であり、第1液晶セル10をX-Y平面において時計回りに90°回転させることで、第3液晶セル30として利用することができる。このため、第1液晶セル10及び第3液晶セル30をそれぞれ別個に用意する場合と比較して、コストを削減することができる。
【0044】
加えて、第1液晶セル10と第2液晶セル20と第3液晶セル30とが互いに接着された際にも、各液晶セルの第1透明基板同士で見た場合又は第2透明基板同士で見た場合に互いに完全に重畳する電極が存在しないため、モアレを抑制することができる。
【0045】
ここでは、第1液晶セル10及び第3液晶セル30の相互関係について説明したが、第2液晶セル20及び第4液晶セル40の相互関係においても同様である。つまり、第2液晶セル20及び第4液晶セル40は90°回転対称であり、第2液晶セル20をX-Y平面において時計回りに90°回転させることで、第4液晶セル40として利用することができる。このため、第2液晶セル20及び第4液晶セル40をそれぞれ別個に用意する場合と比較して、コストを削減することができる。したがって、帯電極の延出方向が異なる2種類の液晶セルを用意することで、上記の液晶セル10乃至40を重ねた液晶デバイス1を構成することができる。
【0046】
加えて、第1液晶セル10と第2液晶セル20と第3液晶セル30と第4液晶セル40とが互いに接着された際にも、各液晶セルの第1透明基板同士で見た場合又は第2透明基板同士で見た場合に互いに完全に重畳する電極が存在しないため、モアレを抑制することができる。
【0047】
上記の例では、各液晶セルにおいて、第1帯電極及び第2帯電極の延出方向が第3帯電極及び第4帯電極の延出方向と91°(または89°)の角度で交差する場合について説明したが、これに限らない。以下に、
図4を参照しながら、他の例について説明する。
【0048】
第1液晶セル10において、配向処理方向AD11は0°の方向であり、配向処理方向AD21は90°の方向である。第1帯電極E11A及び第2帯電極E11Bの延出方向は90°の方向であり、第3帯電極E21A及び第4帯電極E21Bの延出方向は-2°の方向である。第1帯電極E11A及び第2帯電極E11Bの延出方向は、第3帯電極E21A及び第4帯電極E21Bの延出方向と92°(または88°)の角度で交差している。
【0049】
第2液晶セル20において、配向処理方向AD12は0°の方向であり、配向処理方向AD22は90°の方向であり、第1帯電極E12A及び第2帯電極E12Bの延出方向は92°の方向であり、第3帯電極E22A及び第4帯電極E22Bの延出方向は0°の方向である。第1帯電極E12A及び第2帯電極E12Bの延出方向は、第3帯電極E22A及び第4帯電極E22Bの延出方向と92°の角度で交差している。
【0050】
第3液晶セル30において、配向処理方向AD13は-90°の方向であり、配向処理方向AD23は0°の方向であり、第1帯電極E13A及び第2帯電極E13Bの延出方向は0°の方向であり、第3帯電極E23A及び第4帯電極E23Bの延出方向は88°の方向である。
【0051】
第4液晶セル40において、配向処理方向AD14は-90°の方向であり、配向処理方向AD24は0°の方向であり、第1帯電極E14A及び第2帯電極E14Bの延出方向は2°の方向であり、第3帯電極E24A及び第4帯電極E24Bの延出方向は90°の方向である。
【0052】
第1液晶セル10及び第2液晶セル20に着目すると、第1帯電極E11Aと第1帯電極E12Aとの交差角、及び、第3帯電極E21Aと第3帯電極E22Aとの交差角は、2°である。
【0053】
このような他の例においても、第1液晶セル10をX-Y平面において時計回りに90°回転させることで、第3液晶セル30として利用することができる。また、第2液晶セル20をX-Y平面において時計回りに90°回転させることで、第4液晶セル40として利用することができる。
【0054】
なお、第1液晶セル10をX-Y平面において反時計回りに90°回転させることで、第3液晶セル30として利用することもできる。また、第2液晶セル20をX-Y平面において反時計回りに90°回転させることで、第4液晶セル40として利用することもできる。このバリエーションについては、上記の各例のみならず、他の例においても適用可能である。
【0055】
ここで、
図5及び
図6を参照しながら、第1液晶セル10における光学作用について説明する。なお、
図5及び
図6においては、第1透明基板S11の近傍の液晶分子LM1などの説明に必要な構成のみを図示している。また、
図5及び
図6においては、光源からの光は
図4とは異なり第1透明基板S11側から入射している。
【0056】
図5は、液晶層LC1に電界が形成されていないオフ状態(OFF)の第1液晶セル10を模式的に示す図である。
オフ状態の液晶層LC1においては、液晶分子LM1は、初期配向の状態を維持している。このようなオフ状態では、液晶層LC1は、ほぼ均一な屈折率分布を有している。このため、第1液晶セル10への入射光である偏光成分POL1は、ほとんど屈折(あるいは拡散)されることなく液晶層LC1を透過する。
なお、
図3に示す如く、液晶セルにおいて上下透明基板間で液晶分子の初期配向方向が約90°で交差している。したがって、液晶層の液晶分子は、第1透明基板板側ではX方向に配向されているものの、第2透明基板側に向かうにつれて徐々にその向きをX方向からY方向に変化させ、第2基板側ではY方向に配向される。かかる液晶層の配向の変化に応じて偏光成分の向きが変化する。より具体的には、X方向に偏光軸を有する偏光成分は、液晶層を通過する過程でその偏光軸をY方向に変化させる。他方、Y方向に偏光軸を有する偏光成分は、液晶層を通過する過程でその偏光軸をY方向からX方向に変化させる。したがって、これら互いに直交する偏光成分で見た場合、液晶セルを通過する過程でその偏光軸が入れ替わる。以下ではかかる偏光軸の向きを変化させる作用を旋光と称する場合がある。
【0057】
図6は、液晶層LC1に電界が形成されたオン状態(ON)の第1液晶セル10を模式的に示す図である。
オン状態では、第1帯電極E11Aと第2帯電極E11Bとの間に電位差が生じることで、液晶層LC1に電界が形成される。例えば、液晶層LC1が正の誘電率異方性を有している場合、液晶分子LM1は、その長軸が電界に沿うように隣接電極間で凸円弧状に配向する。但し、第1帯電極E11Aと第2帯電極E11Bとの間の電界が及ぶ範囲は、主として液晶層LC1の厚さの約1/2の範囲である。このため、
図6に示すように、液晶層LC1のうち、第1透明基板S11に近接する範囲において、液晶分子LM1が基板に対してほぼ垂直に配向した領域、液晶分子LM1が基板に対して斜め方向に配向した領域、液晶分子LM1が基板に対してほぼ水平に配向した領域などが形成される。
【0058】
液晶分子LM1は、屈折率異方性Δnを有している。このため、オン状態の液晶層LC1は、液晶分子LM1の配向状態に応じた屈折率分布、あるいは、リタデーション分布を有する。ここでのリタデーションとは、液晶層LC1の厚さをdとしたとき、Δn・dで表されるものである。
なお、本実施例においては、液晶層としてポジ型の液晶を採用しているが、配向方向等を考慮することでネガ型の液晶を採用することも可能である。
【0059】
このようなオン状態では、偏光成分POL1は、液晶層LC1を透過する際に、液晶層LC1の屈折率分布の影響を受けて拡散される。より具体的には、X方向の偏光軸を有する偏光成分が当該液晶層の屈折率分布の影響を受けてX方向に拡散し、Y方向に旋光する。他方、Y方向の偏光軸を有する偏光成分は当該屈折率分布の影響を受けず、拡散せずにX方向に旋光のみして液晶層を通過する。
なお、
図6では、第1帯電極E11Aと第2帯電極E11Bとの間の電位差によって電界を形成する場合について説明したが、第1液晶セル10で入射光を拡散する場合には、第3帯電極E21Aと第4帯電極E21Bとの間の電位差による電界も形成することが望ましい。これにより、第1透明基板S11の近傍の液晶分子のみならず、第2透明基板S21の近傍の液晶分子の配向状態も制御され、液晶層LC1に所定の屈折率分布が形成される。
より具体的には、第2透明基板側の液晶層も屈折率分布を有することにより、液晶層を通過する過程でY方向に旋光した偏光成分が拡散する。すなわち、第1透明基板側で拡散された偏光成分が第2透明基板側でさらにY方向に拡散され、液晶セルから出射される。他方、液晶層を通過する過程でX方向に旋光した偏光成分は、屈折率分布の影響を受けることなく液晶セルから出射される。
なお、かかる偏光成分の拡散や旋光は、第2液晶セルでも生じる。すなわち、光源から出射されるX方向の偏光軸を有する偏光成分は、第1液晶を通過することによって偏光軸をX方向からY方向に変化させ、さらに第2液晶を通過することによって偏光軸をY方向からX方向に変化させる。また、この過程で当該偏光成分と平行な液晶分子が屈折率分布を有している場合は、当該屈折率分布に従って当該偏光成分は拡散する。同様に、光源から出射されるY方向の偏光軸を有する偏光成分は、第1液晶を通過することによって偏光軸をY方向からX方向に変化させ、さらに第2液晶を通過することによって偏光軸をX方向からY方向に変化させる。また、この過程で当該偏光成分と平行な液晶分子が屈折率分布を有している場合は、当該屈折率分布に従って当該偏光成分は拡散する。第3液晶セル及び第4液晶セルにおいても同じ現象が生じるが、これらは第1液晶セル及び第2液晶セルを90度回転させたものであるので、拡散作用を及ぼす偏光成分が入れ替わる。
【0060】
すなわち、第1液晶セル10、第2液晶セル20、第3液晶セル30、及び、第4液晶セル40が積層された構成において、例えば、第1液晶セル10及び第4液晶セル40は、主としてp偏光である偏光成分POL1を散乱(拡散)するように構成され、第2液晶セル20及び第3液晶セル30は、主としてs偏光である偏光成分POL2を散乱(拡散)するように構成される。
【0061】
上述したように、第1液晶セル10、第2液晶セル20、第3液晶セル30、及び、第4液晶セル40の各々は、同一方向に延出した電極を含まないように構成されている。このため、各々の液晶セルの液晶層は、オン状態において、互いに異なる屈折率分布を形成する。これにより、各液晶セルを透過した光の干渉作用が軽減され、モアレを抑制することができる。
【0062】
≪実施例1-2≫
図7は、液晶デバイス1を構成する各帯電極の延出方向の他の例を示す図である。
【0063】
まずは、各液晶セルの第1帯電極及び第2帯電極の延出方向が第3帯電極及び第4帯電極の延出方向と91°(または89°)の角度で交差する例について説明する。
【0064】
第1液晶セル10において、配向処理方向AD11は0°の方向であり、配向処理方向AD21は90°の方向である。第1帯電極E11A及び第2帯電極E11Bの延出方向は91°の方向であり、第3帯電極E21A及び第4帯電極E21Bの延出方向は0°の方向である。第1帯電極E11A及び第2帯電極E11Bの延出方向は、第3帯電極E21A及び第4帯電極E21Bの延出方向と91°(または89°)の角度で交差している。
【0065】
第2液晶セル20において、配向処理方向AD12は0°の方向であり、配向処理方向AD22は90°の方向であり、第1帯電極E12A及び第2帯電極E12Bの延出方向は90°の方向であり、第3帯電極E22A及び第4帯電極E22Bの延出方向は1°の方向である。
【0066】
第3液晶セル30において、配向処理方向AD13は-90°の方向であり、配向処理方向AD23は0°の方向であり、第1帯電極E13A及び第2帯電極E13Bの延出方向は1°の方向であり、第3帯電極E23A及び第4帯電極E23Bの延出方向は90°の方向である。
【0067】
第4液晶セル40において、配向処理方向AD14は-90°の方向であり、配向処理方向AD24は0°の方向であり、第1帯電極E14A及び第2帯電極E14Bの延出方向は0°の方向であり、第3帯電極E24A及び第4帯電極E24Bの延出方向は91°の方向である。
【0068】
次に、各液晶セルの第1帯電極及び第2帯電極の延出方向が第3帯電極及び第4帯電極の延出方向と92°(または88°)の角度で交差する例について説明する。
【0069】
第1液晶セル10において、配向処理方向AD11は0°の方向であり、配向処理方向AD21は90°の方向である。第1帯電極E11A及び第2帯電極E11Bの延出方向は92°の方向であり、第3帯電極E21A及び第4帯電極E21Bの延出方向は0°の方向である。第1帯電極E11A及び第2帯電極E11Bの延出方向は、第3帯電極E21A及び第4帯電極E21Bの延出方向と92°(または88°)の角度で交差している。
【0070】
第2液晶セル20において、配向処理方向AD12は0°の方向であり、配向処理方向AD22は90°の方向であり、第1帯電極E12A及び第2帯電極E12Bの延出方向は90°の方向であり、第3帯電極E22A及び第4帯電極E22Bの延出方向は2°の方向である。
【0071】
第3液晶セル30において、配向処理方向AD13は-90°の方向であり、配向処理方向AD23は0°の方向であり、第1帯電極E13A及び第2帯電極E13Bの延出方向は2°の方向であり、第3帯電極E23A及び第4帯電極E23Bの延出方向は90°の方向である。
【0072】
第4液晶セル40において、配向処理方向AD14は-90°の方向であり、配向処理方向AD24は0°の方向であり、第1帯電極E14A及び第2帯電極E14Bの延出方向は0°の方向であり、第3帯電極E24A及び第4帯電極E24Bの延出方向は92°の方向である。
【0073】
このような各例においても、第1液晶セル10をX-Y平面において時計回りに90°回転させることで、第3液晶セル30として利用することができる。また、第2液晶セル20をX-Y平面において時計回りに90°回転させることで、第4液晶セル40として利用することができる。
【0074】
≪実施例1-2’≫
図8は、液晶デバイス1を構成する各帯電極の延出方向の他の例を示す図である。
【0075】
まずは、各液晶セルの第1帯電極及び第2帯電極の延出方向が第3帯電極及び第4帯電極の延出方向と91°(または89°)の角度で交差する例について説明する。
【0076】
第1液晶セル10において、配向処理方向AD11は0°の方向であり、配向処理方向AD21は90°の方向である。第1帯電極E11A及び第2帯電極E11Bの延出方向は91°の方向であり、第3帯電極E21A及び第4帯電極E21Bの延出方向は0°の方向である。
【0077】
第2液晶セル20においては、第1透明基板S12が第1液晶セル10と対向し、第2透明基板S22が第3液晶セル30と対向している。配向処理方向AD12は-90°の方向であり、配向処理方向AD22は180°の方向であり、第1帯電極E12A及び第2帯電極E12Bの延出方向は1°の方向であり、第3帯電極E22A及び第4帯電極E22Bの延出方向は90°の方向である。
【0078】
第3液晶セル30において、配向処理方向AD13は-90°の方向であり、配向処理方向AD23は0°の方向であり、第1帯電極E13A及び第2帯電極E13Bの延出方向は1°の方向であり、第3帯電極E23A及び第4帯電極E23Bの延出方向は90°の方向である。
【0079】
第4液晶セル40においては、第1透明基板S14が第3液晶セル30と対向している。配向処理方向AD14は180°の方向であり、配向処理方向AD24は90°の方向であり、第1帯電極E14A及び第2帯電極E14Bの延出方向は91°の方向であり、第3帯電極E24A及び第4帯電極E24Bの延出方向は0°の方向である。
【0080】
次に、各液晶セルの第1帯電極及び第2帯電極の延出方向が第3帯電極及び第4帯電極の延出方向と92°(または88°)の角度で交差する例について説明する。
【0081】
第1液晶セル10において、配向処理方向AD11は0°の方向であり、配向処理方向AD21は90°の方向である。第1帯電極E11A及び第2帯電極E11Bの延出方向は92°の方向であり、第3帯電極E21A及び第4帯電極E21Bの延出方向は0°の方向である。
【0082】
第2液晶セル20においては、第1透明基板S12が第1液晶セル10と対向し、第2透明基板S22が第3液晶セル30と対向している。配向処理方向AD12は-90°の方向であり、配向処理方向AD22は180°の方向であり、第1帯電極E12A及び第2帯電極E12Bの延出方向は2°の方向であり、第3帯電極E22A及び第4帯電極E22Bの延出方向は90°の方向である。
【0083】
第3液晶セル30において、配向処理方向AD13は-90°の方向であり、配向処理方向AD23は0°の方向であり、第1帯電極E13A及び第2帯電極E13Bの延出方向は2°の方向であり、第3帯電極E23A及び第4帯電極E23Bの延出方向は90°の方向である。
【0084】
第4液晶セル40においては、第1透明基板S14が第3液晶セル30と対向している。配向処理方向AD14は180°の方向であり、配向処理方向AD24は90°の方向であり、第1帯電極E14A及び第2帯電極E14Bの延出方向は92°の方向であり、第3帯電極E24A及び第4帯電極E24Bの延出方向は0°の方向である。
【0085】
これらの各例において、第1液晶セル10をX-Y平面において時計回りに90°回転させ、且つ、表裏を反転させることで、第2液晶セル20として利用することができる。また、第1液晶セル10をX-Y平面において時計回りに90°回転させることで、第3液晶セル30として利用することができる。さらに、第2液晶セル20をX-Y平面において時計回りに90°回転させることで、第4液晶セル40として利用することができる。つまり、1種類の液晶セルを用意することで、上記の液晶セル10乃至40を重ねた液晶デバイス1を構成することができる。
【0086】
≪実施例1-3≫
図9は、液晶デバイス1を構成する各帯電極の延出方向の他の例を示す図である。
【0087】
まずは、各液晶セルの第1帯電極及び第2帯電極の延出方向が第3帯電極及び第4帯電極の延出方向と91°(または89°)の角度で交差する例について説明する。
【0088】
第1液晶セル10において、配向処理方向AD11は0°の方向であり、配向処理方向AD21は90°の方向である。第1帯電極E11A及び第2帯電極E11Bの延出方向は89°の方向であり、第3帯電極E21A及び第4帯電極E21Bの延出方向は-2°の方向である。
【0089】
第2液晶セル20において、配向処理方向AD12は0°の方向であり、配向処理方向AD22は90°の方向であり、第1帯電極E12A及び第2帯電極E12Bの延出方向は92°の方向であり、第3帯電極E22A及び第4帯電極E22Bの延出方向は1°の方向である。
【0090】
第3液晶セル30において、配向処理方向AD13は-90°の方向であり、配向処理方向AD23は0°の方向であり、第1帯電極E13A及び第2帯電極E13Bの延出方向は-1°の方向であり、第3帯電極E23A及び第4帯電極E23Bの延出方向は88°の方向である。
【0091】
第4液晶セル40において、配向処理方向AD14は-90°の方向であり、配向処理方向AD24は0°の方向であり、第1帯電極E14A及び第2帯電極E14Bの延出方向は2°の方向であり、第3帯電極E24A及び第4帯電極E24Bの延出方向は91°の方向である。
【0092】
次に、各液晶セルの第1帯電極及び第2帯電極の延出方向が第3帯電極及び第4帯電極の延出方向と92°(または88°)の角度で交差する例について説明する。
【0093】
第1液晶セル10において、配向処理方向AD11は0°の方向であり、配向処理方向AD21は90°の方向である。第1帯電極E11A及び第2帯電極E11Bの延出方向は89°の方向であり、第3帯電極E21A及び第4帯電極E21Bの延出方向は-3°の方向である。
【0094】
第2液晶セル20において、配向処理方向AD12は0°の方向であり、配向処理方向AD22は90°の方向であり、第1帯電極E12A及び第2帯電極E12Bの延出方向は93°の方向であり、第3帯電極E22A及び第4帯電極E22Bの延出方向は1°の方向である。
【0095】
第3液晶セル30において、配向処理方向AD13は-90°の方向であり、配向処理方向AD23は0°の方向であり、第1帯電極E13A及び第2帯電極E13Bの延出方向は-1°の方向であり、第3帯電極E23A及び第4帯電極E23Bの延出方向は87°の方向である。
【0096】
第4液晶セル40において、配向処理方向AD14は-90°の方向であり、配向処理方向AD24は0°の方向であり、第1帯電極E14A及び第2帯電極E14Bの延出方向は3°の方向であり、第3帯電極E24A及び第4帯電極E24Bの延出方向は91°の方向である。
【0097】
このような各例においても、第1液晶セル10をX-Y平面において時計回りに90°回転させることで、第3液晶セル30として利用することができる。また、第2液晶セル20をX-Y平面において時計回りに90°回転させることで、第4液晶セル40として利用することができる。
【0098】
上記の実施例1-1~1-3では、各液晶セルの一方の配向膜の配向処理方向は第1方向Xに平行(つまり、0°の方向または180°の方向)であり、他方の配向膜の配向処理方向は第2方向Yに平行(つまり、90°の方向または-90°の方向)である。第1液晶セル10及び第2液晶セル20については、第1帯電極の延出方向は第1方向Xと直交または90°以外の角度で交差し、第3帯電極の延出方向は第2方向Yと直交または90°以外の角度で交差している。なお、直交または90°以外の角度での交差とは、平面視における両者の交差角が0°より大きく、90°以下であることを意味するものであり、非平行と同義である。
【0099】
上記の実施例1-1、1-2、1-2’では、各液晶セルの第1帯電極及び第3帯電極のいずれか一方の延出方向が第1方向Xまたは第2方向Yに平行である。
また、第1液晶セル10及び第2液晶セル20のいずれか一方において、第1帯電極の延出方向はこの第1帯電極を覆う第1配向膜の配向処理方向と直交し、第1液晶セル10及び第2液晶セル20のいずれか他方において、第1帯電極の延出方向はこの第1帯電極を覆う第1配向膜の配向処理方向と90°以外の角度で交差している。
あるいは、各液晶セルの第1帯電極及び第3帯電極のいずれか一方の延出方向は当該帯電極を覆う配向膜の配向処理方向と直交し、各液晶セルの第1帯電極及び第3帯電極のいずれか他方の延出方向は当該帯電極を覆う配向膜の配向処理方向と90°以外の角度で交差している。
【0100】
上記の実施例1-3では、第1液晶セル10の第1帯電極E11Aの延出方向、及び、第2液晶セル20の第1帯電極E12Aの延出方向は、いずれも第2方向Yと90°以外の角度で交差している。また、第1液晶セル10の第3帯電極E21Aの延出方向、及び、第3帯電極E22Aの延出方向は、いずれも第1方向Xと90°以外の角度で交差している。
また、第1液晶セル10の第1帯電極E11Aの延出方向はこの第1帯電極E11Aを覆う第1配向膜の配向処理方向AD11と90°以外の角度で交差し、また、第2液晶セル20の第1帯電極E12Aの延出方向はこの第1帯電極E12Aを覆う第1配向膜の配向処理方向AD12と90°以外の角度で交差している。
【0101】
≪実施例2-1≫
図10は、液晶デバイス1を構成する各帯電極の延出方向の他の例を示す図である。
【0102】
まずは、各液晶セルの第1帯電極及び第2帯電極の延出方向が第3帯電極及び第4帯電極の延出方向と91°(または89°)の角度で交差する例について説明する。
【0103】
第1液晶セル10において、配向処理方向AD11は0°の方向であり、配向処理方向AD21は89°の方向である。第1帯電極E11A及び第2帯電極E11Bの延出方向は90°の方向であり、第3帯電極E21A及び第4帯電極E21Bの延出方向は-1°の方向である。
【0104】
第2液晶セル20において、配向処理方向AD12は1°の方向であり、配向処理方向AD22は90°の方向であり、第1帯電極E12A及び第2帯電極E12Bの延出方向は91°の方向であり、第3帯電極E22A及び第4帯電極E22Bの延出方向は0°の方向である。
【0105】
第3液晶セル30において、配向処理方向AD13は-90°の方向であり、配向処理方向AD23は-1°の方向であり、第1帯電極E13A及び第2帯電極E13Bの延出方向は0°の方向であり、第3帯電極E23A及び第4帯電極E23Bの延出方向は89°の方向である。
【0106】
第4液晶セル40において、配向処理方向AD14は-89°の方向であり、配向処理方向AD24は0°の方向であり、第1帯電極E14A及び第2帯電極E14Bの延出方向は1°の方向であり、第3帯電極E24A及び第4帯電極E24Bの延出方向は90°の方向である。
【0107】
次に、各液晶セルの第1帯電極及び第2帯電極の延出方向が第3帯電極及び第4帯電極の延出方向と92°(または88°)の角度で交差する例について説明する。
【0108】
第1液晶セル10において、配向処理方向AD11は0°の方向であり、配向処理方向AD21は88°の方向である。第1帯電極E11A及び第2帯電極E11Bの延出方向は90°の方向であり、第3帯電極E21A及び第4帯電極E21Bの延出方向は-2°の方向である。
【0109】
第2液晶セル20において、配向処理方向AD12は2°の方向であり、配向処理方向AD22は90°の方向であり、第1帯電極E12A及び第2帯電極E12Bの延出方向は92°の方向であり、第3帯電極E22A及び第4帯電極E22Bの延出方向は0°の方向である。
【0110】
第3液晶セル30において、配向処理方向AD13は-90°の方向であり、配向処理方向AD23は-2°の方向であり、第1帯電極E13A及び第2帯電極E13Bの延出方向は0°の方向であり、第3帯電極E23A及び第4帯電極E23Bの延出方向は88°の方向である。
【0111】
第4液晶セル40において、配向処理方向AD14は-88°の方向であり、配向処理方向AD24は0°の方向であり、第1帯電極E14A及び第2帯電極E14Bの延出方向は2°の方向であり、第3帯電極E24A及び第4帯電極E24Bの延出方向は90°の方向である。
【0112】
このような各例においても、第1液晶セル10をX-Y平面において時計回りに90°回転させることで、第3液晶セル30として利用することができる。また、第2液晶セル20をX-Y平面において時計回りに90°回転させることで、第4液晶セル40として利用することができる。
【0113】
≪実施例2-2≫
図11は、液晶デバイス1を構成する各帯電極の延出方向の他の例を示す図である。
【0114】
まずは、各液晶セルの第1帯電極及び第2帯電極の延出方向が第3帯電極及び第4帯電極の延出方向と91°(または89°)の角度で交差する例について説明する。
【0115】
第1液晶セル10において、配向処理方向AD11は1°の方向であり、配向処理方向AD21は90°の方向である。第1帯電極E11A及び第2帯電極E11Bの延出方向は91°の方向であり、第3帯電極E21A及び第4帯電極E21Bの延出方向は0°の方向である。
【0116】
第2液晶セル20において、配向処理方向AD12は0°の方向であり、配向処理方向AD22は91°の方向であり、第1帯電極E12A及び第2帯電極E12Bの延出方向は90°の方向であり、第3帯電極E22A及び第4帯電極E22Bの延出方向は1°の方向である。
【0117】
第3液晶セル30において、配向処理方向AD13は-89°の方向であり、配向処理方向AD23は0°の方向であり、第1帯電極E13A及び第2帯電極E13Bの延出方向は1°の方向であり、第3帯電極E23A及び第4帯電極E23Bの延出方向は90°の方向である。
【0118】
第4液晶セル40において、配向処理方向AD14は-90°の方向であり、配向処理方向AD24は1°の方向であり、第1帯電極E14A及び第2帯電極E14Bの延出方向は0°の方向であり、第3帯電極E24A及び第4帯電極E24Bの延出方向は91°の方向である。
【0119】
次に、各液晶セルの第1帯電極及び第2帯電極の延出方向が第3帯電極及び第4帯電極の延出方向と92°(または88°)の角度で交差する例について説明する。
【0120】
第1液晶セル10において、配向処理方向AD11は2°の方向であり、配向処理方向AD21は90°の方向である。第1帯電極E11A及び第2帯電極E11Bの延出方向は92°の方向であり、第3帯電極E21A及び第4帯電極E21Bの延出方向は0°の方向である。
【0121】
第2液晶セル20において、配向処理方向AD12は0°の方向であり、配向処理方向AD22は92°の方向であり、第1帯電極E12A及び第2帯電極E12Bの延出方向は90°の方向であり、第3帯電極E22A及び第4帯電極E22Bの延出方向は2°の方向である。
【0122】
第3液晶セル30において、配向処理方向AD13は-88°の方向であり、配向処理方向AD23は0°の方向であり、第1帯電極E13A及び第2帯電極E13Bの延出方向は2°の方向であり、第3帯電極E23A及び第4帯電極E23Bの延出方向は90°の方向である。
【0123】
第4液晶セル40において、配向処理方向AD14は-90°の方向であり、配向処理方向AD24は2°の方向であり、第1帯電極E14A及び第2帯電極E14Bの延出方向は0°の方向であり、第3帯電極E24A及び第4帯電極E24Bの延出方向は92°の方向である。
【0124】
このような各例においても、第1液晶セル10をX-Y平面において時計回りに90°回転させることで、第3液晶セル30として利用することができる。また、第2液晶セル20をX-Y平面において時計回りに90°回転させることで、第4液晶セル40として利用することができる。
【0125】
≪実施例2-3≫
図12は、液晶デバイス1を構成する各帯電極の延出方向の他の例を示す図である。
【0126】
まずは、各液晶セルの第1帯電極及び第2帯電極の延出方向が第3帯電極及び第4帯電極の延出方向と91°(または89°)の角度で交差する例について説明する。
【0127】
第1液晶セル10において、配向処理方向AD11は-1°の方向であり、配向処理方向AD21は88°の方向である。第1帯電極E11A及び第2帯電極E11Bの延出方向は89°の方向であり、第3帯電極E21A及び第4帯電極E21Bの延出方向は-2°の方向である。
【0128】
第2液晶セル20において、配向処理方向AD12は2°の方向であり、配向処理方向AD22は91°の方向であり、第1帯電極E12A及び第2帯電極E12Bの延出方向は92°の方向であり、第3帯電極E22A及び第4帯電極E22Bの延出方向は1°の方向である。
【0129】
第3液晶セル30において、配向処理方向AD13は-91°の方向であり、配向処理方向AD23は-2°の方向であり、第1帯電極E13A及び第2帯電極E13Bの延出方向は-1°の方向であり、第3帯電極E23A及び第4帯電極E23Bの延出方向は88°の方向である。
【0130】
第4液晶セル40において、配向処理方向AD14は-88°の方向であり、配向処理方向AD24は1°の方向であり、第1帯電極E14A及び第2帯電極E14Bの延出方向は2°の方向であり、第3帯電極E24A及び第4帯電極E24Bの延出方向は91°の方向である。
【0131】
次に、各液晶セルの第1帯電極及び第2帯電極の延出方向が第3帯電極及び第4帯電極の延出方向と92°(または88°)の角度で交差する例について説明する。
【0132】
第1液晶セル10において、配向処理方向AD11は-1°の方向であり、配向処理方向AD21は87°の方向である。第1帯電極E11A及び第2帯電極E11Bの延出方向は89°の方向であり、第3帯電極E21A及び第4帯電極E21Bの延出方向は-3°の方向である。
【0133】
第2液晶セル20において、配向処理方向AD12は3°の方向であり、配向処理方向AD22は91°の方向であり、第1帯電極E12A及び第2帯電極E12Bの延出方向は93°の方向であり、第3帯電極E22A及び第4帯電極E22Bの延出方向は1°の方向である。
【0134】
第3液晶セル30において、配向処理方向AD13は-91°の方向であり、配向処理方向AD23は-3°の方向であり、第1帯電極E13A及び第2帯電極E13Bの延出方向は-1°の方向であり、第3帯電極E23A及び第4帯電極E23Bの延出方向は87°の方向である。
【0135】
第4液晶セル40において、配向処理方向AD14は-87°の方向であり、配向処理方向AD24は1°の方向であり、第1帯電極E14A及び第2帯電極E14Bの延出方向は3°の方向であり、第3帯電極E24A及び第4帯電極E24Bの延出方向は91°の方向である。
【0136】
このような各例においても、第1液晶セル10をX-Y平面において時計回りに90°回転させることで、第3液晶セル30として利用することができる。また、第2液晶セル20をX-Y平面において時計回りに90°回転させることで、第4液晶セル40として利用することができる。
【0137】
上記の実施例2-1~2-3では、各液晶セルの第1帯電極の延出方向はこの第1帯電極を覆う第1配向膜の配向処理方向と直交し、また、第3帯電極の延出方向はこの第3帯電極を覆う第2配向膜の配向処理方向と直交している。
【0138】
上記の実施例2-1、2-2では、各液晶セルの第1帯電極及び第3帯電極のいずれか一方の延出方向が第1方向Xまたは第2方向Yに平行である。
また、各液晶セルにおける第1配向膜の配向処理方向は、第2配向膜の配向処理方向と90°以外の角度で交差している。
あるいは、各液晶セルにおける第1配向膜の配向処理方向及び第2配向膜の配向処理方向のいずれか一方が第1方向Xまたは第2方向Yに平行であり、いずれか他方が第1方向X及び第2方向Yの双方に対して90°以外の角度で交差している。
【0139】
上記の実施例2-3では、第1液晶セル10の第1帯電極E11Aの延出方向及び第3帯電極E21Aの延出方向、及び、第2液晶セル20の第1帯電極E12Aの延出方向及び第3帯電極E22Aの延出方向は、いずれも第1方向X及び第2方向Yの双方に対して90°以外の角度で交差している。
また、第1液晶セル10における第1配向膜の配向処理方向AD11、及び、第2液晶セル20における第1配向膜の配向処理方向AD12は、第1方向Xと90°以外の角度で交差している。第1液晶セル10における第2配向膜の配向処理方向AD21、及び、第2液晶セル20における第2配向膜の配向処理方向AD22は、第2方向Yと90°以外の角度で交差している。
【0140】
以上の各実施例で説明した液晶デバイス1は、4つの液晶セルを備え、そのうちの2つの液晶セルによってp偏光を散乱し、他の2つの液晶セルによってs偏光を散乱するように構成されている。但し、液晶デバイス1は、p偏光を散乱する1つの液晶セルと、s偏光を散乱する1つの液晶セルと、で構成されてもよい。この場合、例えば、上記の各実施例において、第1液晶セル10及び第2液晶セル20の組合せ、第3液晶セル30及び第4液晶セル40の組合せ、第1液晶セル10及び第4液晶セル40の組合せ、第2液晶セル20及び第3液晶セル30の組合せが適用可能である。
【0141】
上記した本実施形態によれば、モアレを抑制することが可能な液晶デバイスを提供することができる。
【0142】
以上、本発明の実施形態として説明した液晶デバイスを基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての液晶デバイスも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0143】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0144】
また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0145】
1…液晶デバイス LS…光源
10…第1液晶セル S11…第1透明基板 E11A…第1帯電極、E11B…第2帯電極 S21…第2透明基板 E21A…第3帯電極、E21B…第4帯電極 LC1…第1液晶層
20…第2液晶セル S12…第1透明基板 E12A…第1帯電極、E12B…第2帯電極 S22…第2透明基板 E22A…第3帯電極、E22B…第4帯電極 LC2…第2液晶層
30…第3液晶セル S13…第1透明基板 E13A…第1帯電極、E13B…第2帯電極 S23…第2透明基板 E23A…第3帯電極、E23B…第4帯電極 LC3…第3液晶層
40…第4液晶セル S14…第1透明基板 E14A…第1帯電極、E14B…第2帯電極 S24…第2透明基板 E24A…第3帯電極、E24B…第4帯電極 LC4…第4液晶層