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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】X線位置追跡
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20240610BHJP
   A61B 6/12 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
A61B6/03 573
A61B6/03 560Z
A61B6/12
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023505688
(86)(22)【出願日】2021-07-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 EP2021070004
(87)【国際公開番号】W WO2022023082
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-11-22
(31)【優先権主張番号】20188576.1
(32)【優先日】2020-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】エアハルト クラウス アルフレッド
(72)【発明者】
【氏名】ダエル ハイナー
(72)【発明者】
【氏名】ソシン アルトゥル
(72)【発明者】
【氏名】スラン アクセル
(72)【発明者】
【氏名】ブレンデル ベルンハルト ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ハーゼ クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ボントゥス クラース
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0119555(US,A1)
【文献】特開2009-106425(JP,A)
【文献】特開2020-081448(JP,A)
【文献】国際公開第2017/115432(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58
A61F 2/82-2/97
A61M25/00-29/04、35/00-36/08、37/00、99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線源と、
X線検出器と、
支持構造と、
1つ又は複数のプロセッサと
を備えるスペクトルX線撮像システムであって、
前記X線源及び前記X線検出器が、前記支持構造に取り付けられ、前記X線源と前記X線検出器との間の撮像領域を横切るX線の3つ以上のエネルギー間隔の各々について、X線の減衰を表すスペクトル画像データを生成し、
前記支持構造が、前記X線源と前記X線検出器とを2つ以上の直交軸の周りで回転させ、前記1つ又は複数のプロセッサが、前記スペクトルX線撮像システムに、
前記スペクトル画像データに基づいてスペクトル画像を生成することと、
前記スペクトル画像中で、第1の材料の第1のX線吸収kエッジエネルギー値に基づいて、前記第1の材料を含む第1の基準マーカーの位置を識別することと、
前記スペクトル画像中で、第2の材料の第2のX線吸収kエッジエネルギー値に基づいて、前記第2の材料を含む第2の基準マーカーの位置を識別することであって、前記第2のX線吸収kエッジエネルギー値が前記第1のX線吸収kエッジエネルギー値とは異なる、前記第2の材料を含む第2の基準マーカーの位置を識別することと
を含む動作を実行させる、スペクトルX線撮像システムにおいて、
前記1つ又は複数のプロセッサが、さらに、前記システムに、介入撮像手順において前記第1の基準マーカーの位置及び前記第2の基準マーカーの位置の追跡を実行させる、スペクトルX線撮像システム
【請求項2】
前記スペクトル画像が、前記第1の材料及び前記第2の材料と少なくとも1つのさらなる材料とを弁別し、前記少なくとも1つのさらなる材料が、組織、骨、水、空気、造影剤、又は金属を含む、請求項1に記載のスペクトルX線撮像システム。
【請求項3】
前記スペクトル画像を生成することが、
前記第1の材料を表す第1の投影画像と、前記第2の材料を表す第2の投影画像とを与えるために、投影領域中で、前記スペクトル画像データに材料分解アルゴリズムを適用することと、
前記スペクトル画像を与えるために前記第1の投影画像と前記第2の投影画像とを融合させることと
を含む、請求項1又は2に記載のスペクトルX線撮像システム。
【請求項4】
前記スペクトル画像を生成することが、
前記第1の材料を表す第1のボリュメトリック画像を再構成することと、
前記第2の材料を表す第2のボリュメトリック画像を再構成することと、
前記スペクトル画像を与えるために前記第1のボリュメトリック画像と前記第2のボリュメトリック画像とを融合させることと
を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のスペクトルX線撮像システム。
【請求項5】
前記第1のボリュメトリック画像と前記第2のボリュメトリック画像とを融合させることが、前記スペクトル画像を投影画像として与えるために前記第1のボリュメトリック画像と前記第2のボリュメトリック画像とを前方投影することを含む、請求項4に記載のスペクトルX線撮像システム。
【請求項6】
前記スペクトル画像を生成することが、
前記第1の材料を表す第1のシノグラムデータと、前記第2の材料を表す第2のシノグラムデータとを与えるために、投影領域中で、前記スペクトル画像データに材料分解アルゴリズムを適用することと、
前記第1のシノグラムデータから前記第1のボリュメトリック画像を再構成することと、
前記第2のシノグラムデータから前記第2のボリュメトリック画像を再構成することと
を含み、
前記第1のボリュメトリック画像を再構成すること、及び前記第2のボリュメトリック画像を再構成することが、それぞれ前記第1のシノグラムデータにフィルタ処理された逆投影アルゴリズムを適用すること、及び前記第2のシノグラムデータにフィルタ処理された逆投影アルゴリズムを適用することを含む、請求項4又は5に記載のスペクトルX線撮像システム。
【請求項7】
前記スペクトル画像を生成することが、
前記3つ以上のエネルギー間隔の各々についてのエネルギーチャネル画像を再構成することと、
材料分解アルゴリズムを使用して、再構成された前記エネルギーチャネル画像から前記第1のボリュメトリック画像及び前記第2のボリュメトリック画像を生成することと
を含み、
前記第1のボリュメトリック画像及び前記第2のボリュメトリック画像を生成することが、前記第1の材料を含む第1の物体による前記X線の減衰を表す第1の較正データと、前記第2の材料を含む第2の物体による前記X線の減衰を表す第2の較正データとに基づいており、前記第1の物体及び前記第2の物体が前記撮像領域中の既知の位置に配設された、請求項4又は5に記載のスペクトルX線撮像システム。
【請求項8】
前記スペクトル画像を生成することが、
前記第1のボリュメトリック画像と前記第2のボリュメトリック画像とを同時に再構成するために反復型ワンステップ反転アルゴリズムを使用すること
を含む、請求項4又は5に記載のスペクトルX線撮像システム。
【請求項9】
前記スペクトル画像を生成することが、前記第1の材料を表す第1の画像データを生成することと、前記第2の材料を表す第2の画像データを生成することとを含み、
前記スペクトル画像中で、前記第1の基準マーカーの位置を識別すること、及び前記第2の基準マーカーの位置を識別することが、それぞれ前記第1の画像データに特徴検出アルゴリズムを適用すること、及び前記第2の画像データに特徴検出アルゴリズムを適用することを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のスペクトルX線撮像システム。
【請求項10】
前記第1の画像データ及び/又は前記第2の画像データに前記特徴検出アルゴリズムを適用することが、
それぞれ前記第1の画像データ及び/又は前記第2の画像データ中の最大画像強度に対応する、前記スペクトル画像中の位置を決定するために前記第1の画像データ及び/又は前記第2の画像データを分析することと、
それぞれ前記第1の画像データ及び/又は前記第2の画像データ中の所定の画像強度パターンに対応する、前記スペクトル画像中の位置を決定するために前記第1の画像データ及び/又は前記第2の画像データを分析することと
のうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載のスペクトルX線撮像システム。
【請求項11】
前記第1の画像データ及び/又は前記第2の画像データに前記特徴検出アルゴリズムを適用することが、介入器械又は埋込み可能デバイスのX線減衰を表すモデルに基づいて、それぞれ前記第1の基準マーカー及び前記第2の基準マーカーを含む、前記介入器械又は前記埋込み可能デバイスの前記スペクトル画像中の位置及び/又は向きを決定するために、前記第1の画像データを分析すること、及び前記第2の画像データを分析することを含む、請求項9に記載のスペクトルX線撮像システム。
【請求項12】
X線源と、X線検出器と、支持構造と、1つ又は複数のプロセッサとを備え、前記X線源と前記X線検出器との間の撮像領域を横切るX線の3つ以上のエネルギー間隔の各々について、前記X線の減衰を表すスペクトル画像データを処理するスペクトルX線撮像システムの作動方法であって、前記作動方法は、
前記1つ又は複数のプロセッサが、前記スペクトル画像データに基づいてスペクトル画像を生成するステップと、
前記1つ又は複数のプロセッサが、前記スペクトル画像中で、第1の材料の第1のX線吸収kエッジエネルギー値に基づいて、前記第1の材料を含む第1の基準マーカーの位置を識別するステップと、
前記1つ又は複数のプロセッサが、前記スペクトル画像中で、第2の材料の第2のX線吸収kエッジエネルギー値に基づいて、前記第2の材料を含む第2の基準マーカーの位置を識別するステップであって、前記第2のX線吸収kエッジエネルギー値が前記第1のX線吸収kエッジエネルギー値とは異なる、前記第2の材料を含む第2の基準マーカーの位置を識別するステップと
を有し、
前記1つ又は複数のプロセッサが、さらに、前記システムに、介入撮像手順において前記第1の基準マーカーの位置及び前記第2の基準マーカーの位置の追跡を実行させる、作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はX線撮像中の位置追跡に関する。スペクトルX線撮像システム、コンピュータ実装方法、及びコンピュータ可読記憶媒体が開示される。関係する介入器械、複数の介入器械を含むキット、及び埋込み可能デバイスも開示される。
【背景技術】
【0002】
スペクトルX線コンピュータ断層撮影(computed tomography)「CT」撮像システムは、医療検査を実行するために使用されるトモグラフィ画像を生成する。X線CT撮像システムとは対照的に、スペクトルX線CT撮像システムは複数のエネルギー間隔におけるX線減衰を測定する。複数のエネルギーレベルからのX線減衰データを処理することによって、スペクトルX線CT撮像システムは、単一のエネルギー間隔内で測定されたときに同様のX線減衰値を有し、X線CT画像中では区別がつかない媒体を弁別し得る。
【0003】
スペクトルX線CT画像データを生成するために様々なデュアル及びマルチエネルギーX線CT撮像システムが開発された。異なるエネルギーのX線を用いた時間的に連続する走査と、X線管電位の高速kVpスイッチングと、マルチレイヤ検出器と、デュアルX線源と、光子計数検出器とを採用するシステムが開発された。
【0004】
また、スペクトルX線CT画像データを処理し、それによって、異なる材料がそれの中で区別されるスペクトル画像を生成するために、様々な材料分解アルゴリズム及び画像再構成アルゴリズムが開発された。これらは、「Empirical,projection-based basis-component decomposition method」という名称のBrendel,Bらによる文献、Ehsan Samei及びJiang Hsiehによって編集されたMedical Imaging 2009、Physics of Medical Imaging、Proc.of SPIE Vol.7258、72583Yに開示されている技法と、「Comparison of five one-step reconstruction algorithms for spectral CT」という名称のMory,Cらによる文献、Physics in Medicine and Biology、IOP Publishing、2018年、63(23)、235001ページに開示されている技法とを含む。
【0005】
スペクトルX線CT撮像システムでは、X線源とX線検出器とを撮像領域の周りで回転させながら、X線源とX線検出器との間の撮像領域を横切るX線の複数のエネルギー間隔について、そのX線の減衰を表すスペクトル画像データを生成する。回転周波数は約1Hz以上である。次いで、スペクトル画像データが再構成されて、画像スライス、すなわち「トモグラフィ」画像になり、「トモグラフィ」画像は、ボリュメトリック、すなわち「3次元」画像を与えるためにスタックされる。スペクトルX線CT撮像は、例えば、造影剤と組織とを弁別し、それによって組織中の造影剤の正確な測定を可能にするボリュメトリック画像を与えるために、画像診断手順において使用された。
【0006】
対照的に、カテーテル検査及びステント術など、介入手順は、一般に、従来のX線撮像システムを使用して実行される。X線CT撮像システムとは対照的に、介入手順において使用される従来のX線撮像システムは、一般に、X線源とX線検出器とを2つ以上の直交軸の周りで回転させることができる支持構造を採用する。X線源及び検出器は、それらの間の撮像領域を撮像するために反対の位置において支持構造に取り付けられる。支持構造によって与えられる多自由度により、患者のアナトミーに対する所望の向きからの画像データの生成が可能になる。介入X線撮像手順中に、支持構造は、一般に、単一の又は生のX線投影画像が生成される間に、患者に対して静止した位置に維持される。複数の異なる向きからの画像データを収集しながら、支持構造、したがってX線源とX線検出器とを患者の周りで回転させることによって、トモグラフィ画像が生成される。次いで、トモグラフィ画像を生成するために画像データが再構成される。例えば、Cアーム、Oアーム、及びU字形アームを含む、様々な形状を有する支持構造が使用された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
介入X線撮像手順中に、しばしば、位置追跡を実行する必要がある。位置追跡は、アナトミー、又はX線の下で可視化することが難しいか、若しくは他の画像特徴と区別することが困難であり得る、介入器械及び埋込み可能デバイスなど、物体の一部分の位置を特定するために使用される。例えば、ガイドワイヤなど、介入器械は、X線を強く減衰させ、X線画像中ではっきり見えるが、骨など、他の強くX線を減衰させる媒体から生じる重なり合う画像特徴と区別することがしばしば困難である、高密度材料を含む。ポリマーなどの高密度材料をあまり含まない介入器械は、一般に、X線撮像の下でよく見えない。脈管ステントなど、埋込み可能デバイスは、同様に金属又はポリマーから形成され得、同様の問題が生じ得る。
【0008】
身体の中のアナトミー、介入器械及び埋込み可能デバイスの部分を追跡するための様々な技法が開発された。これらは、3次元空間内で介入デバイスの位置を決定するのを助ける、基準マーカーと、電磁「EM」追跡と、光ファイバー形状感知システムとの使用を含む。
【0009】
しかしながら、介入X線撮像手順を実行するときに、アナトミー、並びに介入器械及び埋込み可能デバイスなどの物体の部分の追跡を改善する余地が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の第1の態様によれば、スペクトルX線撮像システムが提供される。スペクトルX線撮像システムは、X線源と、X線検出器と、支持構造と、1つ又は複数のプロセッサとを備える。X線源及びX線検出器は、支持構造に取り付けられ、X線源とX線検出器との間の撮像領域を横切るX線の3つ以上のエネルギー間隔の各々について、そのX線の減衰を表すスペクトル画像データを生成する。支持構造は、X線源とX線検出器とを2つ以上の直交軸の周りで回転させる。1つ又は複数のプロセッサは、本システムに、スペクトル画像データに基づいてスペクトル画像を生成することと、スペクトル画像中で、第1の材料の第1のX線吸収kエッジエネルギー値に基づいて、第1の材料を含む第1の基準マーカーの位置を識別することとを含む動作を実行させる。
【0011】
本開示の第2の態様によれば、スペクトル画像中で、第2の材料の第2のX線吸収kエッジエネルギー値に基づいて、第2の材料を含む第2の基準マーカーの位置が識別される。
【0012】
本開示の第3の態様によれば、スペクトル画像を生成することは、第1の材料を表す第1の投影画像と、第2の材料を表す第2の投影画像とを与えるために、投影領域中で、スペクトル画像データに材料分解アルゴリズムを適用することと、スペクトル画像を与えるために第1の投影画像と第2の投影画像とを融合させることとを含む。
【0013】
本開示の第4の態様によれば、スペクトル画像を生成することは、第1の材料を表す第1のボリュメトリック画像を再構成することと、第2の材料を表す第2のボリュメトリック画像を再構成することと、スペクトル画像を与えるために第1のボリュメトリック画像と第2のボリュメトリック画像とを融合させることとを含む。
【0014】
本開示の第5の態様によれば、スペクトル画像を生成することは、第1の材料を表す第1の画像データを生成することと、第2の材料を表す第2の画像データを生成することとを含む。スペクトル画像中で、第1の基準マーカーの位置及び/又は第2の基準マーカーの位置を識別することは、それぞれ第1の画像データに特徴検出アルゴリズムを適用すること、及び/又は第2の画像データに特徴検出アルゴリズムを適用することを含む。
【0015】
本開示の他の態様による、関係するコンピュータ実装方法、コンピュータ可読記憶媒体、及びコンピュータプログラムも提供される。本システムに関して開示される特徴は、これらの態様の各々に、対応する様式で組み込まれ、それらの特徴は、簡潔のために各態様について繰り返さない。本開示の他の態様による、介入器械、複数の介入器械を備えるキット、及び埋込み可能デバイスも提供される。
【0016】
本開示のさらなる特徴及び利点は、添付の図面を参照しながら行われる、単に例として与えられる、好ましい実施形態の以下の説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示のいくつかの態様による、X線源110と、X線検出器120と、支持構造150とを含むスペクトルX線撮像システム100を示す図である。
図2】2つの例示的な材料であるガドリニウム及び金についてのX線エネルギーとともに質量減衰係数(mass attenuation coefficient)MACの依存性を示すグラフである。
図3】第1の基準マーカー180を含むIVUSカテーテルの形態の介入器械210の一例を示す図である。
図4】第1の基準マーカー180と第2の基準マーカー180とを含むステントの形態の埋込み可能デバイス220一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本開示のいくつかの態様による、X線源110と、X線検出器120と、支持構造150とを含むスペクトルX線撮像システム100を示している。X線源110及びX線検出器120は支持構造150に取り付けられる。X線源110及びX線検出器120は、それらの間に撮像領域160を与えるように分離されている。X線源110によって放出されたX線がX線検出器120によって検出され、それらの広がりが図1中の一方向矢印によって示されている。X線検出器110は、撮像領域160を横切ったX線を受信し、それらの強度を測定する。撮像領域160内のいかなるX線減衰媒体も、測定された強度に影響を及ぼす。そのようにして、X線検出器120は、撮像領域160を横切るX線の減衰を表すデータを生成する。
【0019】
図1に示されている支持構造150は、いわゆる「Cアーム」である。Cアームは、X線源とX線検出器とを支持するためのC字形の支持構造の一例である。示されているCアームの代わりに、O字形のアームである「Oアーム」、及びU字形のアームである「Uアーム」など、代替的な形状をもつ支持構造も使用され得る。X線源110及びX線検出器120は支持構造150に取り付けられる。支持構造150は、X線源110とX線検出器120とを2つ以上の直交軸の周りで回転させ得るように移動可能である。例えば、支持構造150は、図1中の対応する矢印A’’及びB’’によって示されているように、X線源110及びX線検出器120を軸A-A’の周り及び軸B’の周りで回転させ得る。軸B’は図面の平面内に垂直に向けられている。支持構造150はまた、X線源110とX線検出器120とを図1中の第3の軸C-C’の周りで回転させ得るが、このことは必須ではない。軸A-A’、B’、及びC-C’は、図1中で交差しているものとして示されているが、このことは必須ではなく、いくつかの例では、軸は交差しない。支持構造150は、所望の動きを与えるために様々なベアリング、可動ジョイント、ヒンジ及び/又は他の可動結合部を与えられる。
【0020】
支持構造150によって与えられる動きにより、X線源110及びX線検出器120の向きを撮像領域160に対して変化させることが可能になる。特に、X線源110とX線検出器120とを2つ以上の直交軸の周りで回転させる能力により、介入撮像手順におけるそれの使用が容易になる。画像データは、X線源110及びX線検出器120を撮像領域160に対して所望の静止向きにした状態でX線源及び検出器を使用して収集される。撮像領域160中のX線減衰を表す生又は単一の投影画像が画像データから生成される。代替的に、画像データは、X線源110とX線検出器120とを軸A-A’又は軸B’の周りで回転させながら収集される。回転は連続回転であることもあり、ステップ回転であることもある。このようにして収集された画像データは、次いで再構成されて、撮像領域160中のX線減衰を表すトモグラフィ画像になる。
【0021】
一般に、撮像領域160のサイズは、撮像されるべき物体を収容するのに十分である。物体は、例えば、人間又は動物の身体の一部分である。いくつかの例では、撮像領域160は人体の胴を収容し得る。X線源110とX線検出器120との間の離隔、X線源110によって放出されるX線のビームのプロファイル、X線検出器の形状、及び支持構造150の動きの範囲を含む、様々な要因が撮像領域160のサイズに影響を及ぼす。これらの要因を好適に調整することによって、撮像領域160のサイズ及び形状が規定される。
【0022】
図1中のX線源110及びX線検出器120は、スペクトル画像データを生成するように構成される。スペクトル画像データは、X線源110とX線検出器120との間の撮像領域160を横切るX線の3つ以上のエネルギー間隔の各々について、そのX線の減衰を表す。スペクトル画像データはX線源110とX線検出器120との様々な構成によって与えられる。一般に、X線源110は1つ又は複数の単色又は多色光源を含み、X線検出器120は、すべてのX線エネルギー間隔のための共通の検出器、マルチレイヤ検出器、又は光子計数検出器を含む。マルチレイヤ検出器及び光子計数検出器は、以下で説明するようにX線エネルギー間隔弁別を行う。X線源110は、時間的に連続する様式で異なるX線エネルギー間隔内でX線を放出するために制御される。
【0023】
X線検出器120中の検出器要素の線形又は2次元アレイの使用が企図される。検出器要素の線形アレイは、撮像領域160の周りでのX線源110及びX線検出器120の連続回転又はステップ回転によって、トモグラフィ画像を表すスペクトル画像データを生成し、それによって、撮像領域160に対して複数の向きからスペクトル画像データを生成するために使用される。次いで、スペクトル画像データが再構成されて、トモグラフィ画像になる。撮像領域160中の異なる軸方向位置において収集されたトモグラフィ画像をスタックすることによって、ボリュメトリック画像が生成される。検出器要素の2次元アレイは、トモグラフィ又はボリュメトリック画像を表すスペクトル画像データを生成するために同様の様式で回転させられる。検出器要素の2次元アレイは、代替的に、投影画像を表すスペクトル画像データを生成するために撮像領域160に対して静止位置に保持される。例えば、Cアーム蛍光透視撮像手順中に、静止位置にある検出器要素の2次元アレイを用いて、生の又は単一の投影画像が生成される。
【0024】
いくつかの例では、X線検出器120はシンチレータ型検出器である。シンチレータ型検出器は、ガドリニウム酸硫化物「GOS」など、シンチレータ材料を使用して、各受信されたX線を光のバーストに変換し、光のバーストは、次いで、光検出器を使用して電気信号に変換される。他の例では、X線検出器120は、いわゆる直接変換検出器である。シンチレータ型検出器とは対照的に、直接変換検出器は、CZT又はCdTeなどの材料を使用して、受信されたX線を電子正孔対のクラウドに変換し、それによって、X線をシンチレーション光に変換する中間ステップなしに電気信号を生成する。いくつかの例では、シンチレータ型検出器又は直接変換検出器は、X線が受信される方向に沿ってスタックされる。そのようなスタック型又は「マルチレイヤ」検出器では、各X線がそれの中で検出されるレイヤは各X線のエネルギーに依存する。検出器レイヤは、X線の異なるエネルギー間隔を弁別し、それによって、受信されたX線に関するスペクトルデータを与える。マルチレイヤ検出器は、複数のX線エネルギー間隔からのX線を同時に検出することが可能である。いくつかの例では、X線検出器120は、シンチレーション光を積分することによって、又は電子正孔対のクラウドから生じた電気信号を積分することによって、電気出力を生成する。いくつかの例では、X線検出器120は光子計数検出器である。光子計数検出器は、各受信されたX線光子を複数のエネルギー間隔のうちの1つにビニングすることによって、受信されたX線に関するスペクトルデータを与える。直接変換材料中の各受信されたX線光子の吸収に応答して生成される電子正孔対によって誘起されるパルス高さから、各受信されたX線光子についての関連があるエネルギー間隔が決定される。光子計数検出器は、したがって、複数のX線エネルギー間隔からのX線をほとんど同時に検出することができる。
【0025】
一例では、図1中のX線源110は、3つ以上のX線エネルギー間隔の各々内でX線を生成するために、X線管電位によって制御される。X線管電位は、各X線エネルギー間隔内でX線を生成するために3つの異なる値間で変調される。各X線エネルギー間隔内のX線は、したがって、時間的に連続する様式で生成される。この技法はkVpスイッチングとして知られている。X線は、それが対象を通って横切る前に管電位を変更すること及び/又はX線スペクトルをフィルタ処理することによって、異なるX線エネルギー間隔内で生成される。この例では、対応するX線検出器120はすべてのX線エネルギー間隔について共通であり得る。特定のX線エネルギー間隔についてのスペクトル画像データは、そのX線エネルギー間隔についてX線が生成される時間に対応する。この例では、対応する検出器は、代替的に、マルチレイヤ検出器、又は実際には光子計数検出器であり得る。
【0026】
別の例では、図1中のX線源110は、時間的に連続する様式で3つ以上のX線エネルギー間隔内でX線を放出するように制御される複数のX線源を含む。対応する検出器はすべてのX線エネルギー間隔について共通であり得る。特定のX線エネルギー間隔についてのスペクトル画像データは、そのX線エネルギー間隔についてX線が生成される時間に対応する。この例では、対応する検出器は、代替的に、マルチレイヤ検出器、又は実際には光子計数検出器であり得る。
【0027】
別の例では、図1中のX線源110は1つ又は複数の多色光源を含む。多色光源は、3つ以上のエネルギー間隔にわたるエネルギーを有するX線を同時に生成する。単一の多色光源は、例えば、30keV~120keVの範囲にわたって分散した3つ以上のX線エネルギー間隔内でX線を生成する。この例では、マルチレイヤ検出器又は光子計数検出器を使用して、各X線エネルギー間隔についてのスペクトル画像データが識別される。
【0028】
3つ以上のX線エネルギー間隔についての所望のスペクトル画像データを与えるために、上記のX線源と検出器との他の組合せも明らかに使用され得る。
【0029】
図1中のシステム100は1つ又は複数のプロセッサ130をも含む。図1中の様々な項目は、相互接続矢印によって示されているように、互いに通信している。したがって、1つ又は複数のプロセッサはX線源110及びX線検出器120と通信している。システム100は、1つ又は複数の非一時的コンピュータ可読記憶媒体140、ディスプレイ200、並びに(図1に示されていない)キーボード及び/又はマウスなどのユーザ入力デバイスをも含む。1つ又は複数の非一時的コンピュータ可読記憶媒体140は、1つ又は複数のプロセッサ130によって実行されたときに、以下でより詳細に説明する様々な動作をシステム100に実行させる命令をまとめて記憶する。いくつかの例では、ユーザ入力デバイスは、動作を実行するための命令の形態のユーザ入力をシステム100に与えるために使用される。ディスプレイ200は、画像を与える、ユーザ入力を表示するなどのために使用される。
【0030】
使用する際に、図1中の支持構造150は、撮像手順を実行するために撮像領域160内の物体に対して所望の向きに移動される。X線源110は、上記の例において説明したように、X線を生成するために1つ又は複数のプロセッサ130によって制御される。対応するX線検出器120は、3つ以上のX線エネルギー間隔の各々について、X線源110とX線検出器120との間の撮像領域160を横切るX線の減衰を表すスペクトル画像データを生成する。上記で説明したように、スペクトル画像データは、X線源110及びX線検出器120を撮像領域160に対して静止向きにした状態で収集される。X線源110及びX線検出器120がこの位置にある状態で、撮像領域160中のX線減衰を表す単一の又は生の投影画像がスペクトル画像データから生成される。代替的に、スペクトル画像データは、X線源110とX線検出器120とを軸A-A’又は軸B’の周りで回転させながら収集される。回転は、連続回転又はステップ回転であり、1つ又は複数のプロセッサ130によって制御される。スペクトル画像データは、このようにして収集され、次いで再構成されて、撮像領域160中のX線減衰を表すトモグラフィ画像になる。画像は、次いで、ディスプレイ200上に表示される。
【0031】
本発明者は、図1に関して上記で説明したシステム100によって生成されたスペクトル画像データの好適な処理によって、スペクトル画像中で、X線吸収kエッジエネルギー値を有する材料を含む基準マーカーの位置を識別することが可能であると判断した。図1中の1つ又は複数のプロセッサ130によって実行される処理は、
スペクトル画像データに基づいてスペクトル画像を生成することと、
スペクトル画像中で、第1の材料の第1のX線吸収kエッジエネルギー値190に基づいて、第1の材料を含む第1の基準マーカー180の位置を識別することと、
スペクトル画像中で、第2の材料の第2のX線吸収kエッジエネルギー値190に基づいて、第2の材料を含む第2の基準マーカー180の位置を識別することであって、第2のX線吸収kエッジエネルギー値が第1のX線吸収kエッジエネルギー値とは異なる、第2の材料を含む第2の基準マーカーの位置を識別することと
である動作を含む。
【0032】
これらの動作は、X線源110とX線検出器120とを2つ以上の直交軸の周りで回転させることができる支持構造150を含むシステム100において与えられるので、システム100は介入撮像手順において基準マーカー1801、2の位置を追跡するために使用される。
【0033】
基準マーカー1801、2を含む介入器械及び埋込み可能デバイスなどの物体は、したがって、信頼できる様式でシステム100を使用して追跡される。以下でより詳細に説明するように、図1中の1つ又は複数のプロセッサ130によって追加の動作も実行され得る。
【0034】
本開示によれば、スペクトル画像データが生成され、第1のX線吸収kエッジエネルギー値を有する第1の材料を含む第1の基準マーカーの位置と、第2の異なるX線吸収kエッジエネルギー値を有する第2の材料を含む第2の基準マーカーの位置とがスペクトル画像中で識別される。このコンテキストにおけるスペクトル画像は、複数のX線エネルギー間隔からのX線減衰データを使用して少なくとも2つの材料を区別する画像を指す。いくつかの例では、スペクトル画像は2つを超える材料を区別し、例えば、それは3つ以上の材料を区別し得る。本開示によれば、第1の材料は第1の基準マーカーによって与えられ、第2の材料は第2の基準マーカーによって与えられる。
【0035】
一例では、さらなる材料がスペクトル画像中で区別可能である。さらなる材料は、人体中にしばしば存在する複数の材料を含む複合体材料である。複数の材料は、骨、(軟部)組織、水、空気、金属、造影剤などのうちの1つ又は複数を含み得る。したがって、この例では、スペクトル画像中で、第1の基準マーカーの材料と第2の基準マーカーの材料とが複合体材料と区別される。別の例では、さらなる材料は、(軟部)組織、骨、水、空気、造影剤、金属など、複合体材料内のより具体的な材料である。さらなる材料はまた、(例えば、乳房又は肺の)腫瘍組織、血管プラーク、腎結石など、特定の病理状態に分類され得る。したがって、これらの例では、スペクトル画像中で、第1の基準マーカーの第1の材料との第2の基準マーカー第2の材料とが、例えば乳房腫瘍組織と区別される。
【0036】
別の例では、第2の材料は第2のX線吸収kエッジエネルギー値190を有し、スペクトル画像中で、第2の材料の第2のX線吸収kエッジエネルギー値190に基づいて、第2の材料を含む第2の基準マーカー180の位置が識別される。第2の材料の第2のX線吸収kエッジエネルギー値190は第1の材料の第1のX線吸収kエッジエネルギー値190とは異なる。この例では、スペクトル画像中で、第1の基準マーカーの第1の材料が第2の基準マーカーの第2の材料と弁別される。
【0037】
これらの例のいずれかでは、スペクトル画像は、上述の例示的な材料など、第3の材料及びさらなる材料を第1の材料及び第2の材料と区別する。例えば、スペクトル画像は、第1の基準マーカーの第1の材料及び第2の基準マーカーの第2の材料、骨などの第3の材料、及び組織などの第4の材料を弁別する。一般に、スペクトル画像を生成することは、表される材料に従って、スペクトル画像の部分をシェーディング、カラーコーディング、セグメント化、又はラベル付けすることを含む。スペクトル画像中の異なる材料を識別する他の技法も使用され得る。
【0038】
スペクトル画像を生成するために様々な技法が使用され得る。一般に、材料のX線減衰スペクトルは、コンプトン散乱からの寄与と、光電効果からの寄与とを含む。コンプトン散乱による減衰は異なる材料について比較的類似しているが、光電効果からの減衰は材料に強く依存する。コンプトン散乱も光電効果も、異なる材料を区別するためにスペクトルX線CT撮像システムにおいて活用される効果である、エネルギー依存性を呈する。kエッジエネルギー値を有する材料は、kエッジエネルギー値に対応するX線エネルギーにおいて、それらのX線減衰スペクトルの急激な増加を呈する。kエッジエネルギーは、光電事象が、k殻電子を用いて起こり、材料ごとの特性エネルギーにおいて起こるために必要とされる、最小エネルギーとして定義される。診断X線撮像において使用されるX線エネルギー、すなわち約30~120keVの範囲内であるkエッジエネルギー値を有する材料が、システム100において使用するのに好適である。例えば、ガドリニウム、金、白金、タンタル、及びホルミウムなどの金属は、それぞれこの範囲内のkエッジエネルギー値を有する。基準マーカー中にそのような材料を含めることによって、これらの材料の存在、したがって、基準マーカーの位置が、システム100によって生成されたスペクトル画像中の他の材料と区別される。
【0039】
図2は、2つの例示的な材料であるガドリニウム及び金についてのX線エネルギーとともに質量減衰係数MACの依存性を示すグラフである。X線エネルギーは、図2中にラベルEとして示されており、キロ電子ボルト、keVで測定されている。これらの例示的な材料は、それぞれ50.2keV及び80.7keVの特性kエッジエネルギー値を有し、これにより、kエッジ値190及び190においてそれらの質量減衰係数の急激な増加が生じる。白金は78.4keVにおいて、タンタルは67.4keVにおいて、及びホルミウムは55.6keVにおいて、図2に示されているkエッジエネルギー値とは異なるkエッジエネルギー値を有し、同様に、それらの質量減衰係数の急激な増加を呈する。
【0040】
図2はまた、スペクトルX線画像データがそれの内で生成される複数のX線エネルギー間隔1701..nを示している。図2に示されている例では、5つのX線エネルギー間隔が示されている。一般に、本開示による例では、スペクトルX線画像データは3つ以上のX線エネルギー間隔内で生成される。図2に示されているように、いくつかの例では、X線エネルギー間隔1701..nのうちの1つ又は複数は、検出されるべきである材料のX線吸収kエッジエネルギー値190、190を上回っており、X線エネルギー間隔1701..nのうちの1つ又は複数はX線吸収kエッジエネルギー値を下回っている。したがって、エネルギー間隔が、図2に示されているものとは異なるエネルギー間隔を有し得ることと、エネルギー間隔が不連続であり得ることと、エネルギー間隔が重複し得ることとに留意されたい。
【0041】
例示的な一技法では、投影画像を生成するためにスペクトル画像データに材料分解アルゴリズムが適用される。この例では、スペクトル画像を生成することは、
第1の材料を表す第1の投影画像と、第2の材料を表す第2の投影画像とを与えるために、投影領域中で、スペクトル画像データに材料分解アルゴリズムを適用することと、
スペクトル画像を与えるために第1の投影画像と第2の投影画像とを融合させることと
を含む。
【0042】
この例示的な技法では、図1中の支持構造150は、スペクトル画像データが生成される間、静止位置に保持される。スペクトル画像データは、検出器要素の2次元アレイを使用して収集される。このようにして単一の又は生のX線投影画像が生成される。この目的のための例示的な材料分解アルゴリズム、及び選択エネルギー間隔が、「Empirical,projection-based basis-component decomposition method」という名称のBrendel,Bらによる文献、Ehsan Samei及びJiang Hsiehによって編集されたMedical Imaging 2009、Physics of Medical Imaging、Proc.of SPIE Vol.7258,72583Yに開示されている。
【0043】
一例では、例えば、スペクトル画像データを4つの別個の材料に分解するために、5つのエネルギー間隔を用いた上記の技法を使用して投影画像が生成される。4つの材料は、軟部組織及び水、すなわち、人体中に一般的に存在する2つの材料と、異なるkエッジ値を有する2つの材料であるガドリニウム及び金とを含む。
【0044】
5つよりも少ないエネルギー間隔を使用する材料分解アルゴリズムも使用され得る。実際には、スペクトル画像をそれの光電寄与、コンプトン寄与、及びkエッジ寄与に分解し、それによって、kエッジエネルギー値を有する材料を、人間アナトミーのX線画像中に一般的に存在する骨、(軟部)組織、水、空気、金属、造影剤などの身体材料と区別するために、スペクトル撮像は3つ以上のエネルギー間隔を必要とする。
【0045】
画像の融合は、例えば、制御された透明度をもつ画像をオーバーレイすることによって、画像中の空間的に対応するピクセル値を組み合わせることによって実行される。
【0046】
一例では、投影画像を生成するために、スペクトル画像データに材料分解アルゴリズムが選択的に適用される。この例では、現在の投影画像と後続の投影画像とを含む、投影画像の生のストリームがシステム100によって生成される。第1の基準マーカーの位置は、現在の投影画像についてのスペクトル画像データに材料分解アルゴリズムを適用することによって現在の投影画像中で識別され、後続の投影画像中の基準マーカーの予想される位置を囲む領域を処理することによって後続の投影画像を与えるために、後続の投影画像についてのスペクトル画像データに材料分解アルゴリズムが選択的に適用される。選択的な処理は、例えば、蛍光透視(fluoroscopy)撮像中の処理負担を緩和するために使用される。他の例示的な技法では、ボリュメトリック画像が生成される。スペクトル画像データは、検出器要素の2次元アレイを使用して収集される。これらの例では、スペクトル画像を生成することは、
第1の材料を表す第1のボリュメトリック画像を再構成することと、
第2の材料を表す第2のボリュメトリック画像を再構成することと、
スペクトル画像を与えるために第1のボリュメトリック画像と第2のボリュメトリック画像とを融合させることと
を含む。
【0047】
これらの例示的な技法では、支持構造150を図1中の軸A-A’又は軸B’の周りで回転させることによって、撮像領域160に対して複数の向きからスペクトル画像データが生成される。回転は連続様式又はステップ様式であり得る。この様式で生成されたスペクトル画像は、再構成されて、トモグラフィ又はボリュメトリック画像になり、さもなければ投影画像上で重複することがある基準マーカー間の区別を容易にする。そのような基準マーカーを含む、生検(biopsy)マーカー、若しくは取り付けられた小線源照射療法(brachytherapy)シードなどの埋込み可能デバイス、又はガイドワイヤなどの介入デバイスは、例えば、そのような画像中でより容易に区別される。画像の融合は、例えば、制御された透明度をもつ画像をオーバーレイすることによって画像中の空間的に対応するボクセル(voxel)値を組み合わせることによって実行される。
【0048】
これらの例では、ボリュメトリック画像を融合させるステップは、
スペクトル画像を投影画像として与えるために第1のボリュメトリック画像と第2のボリュメトリック画像とを前方投影するステップ
をも有する。
【0049】
前方投影するステップは、X線検出器120と平行な平面、又は別の平面上に画像を前方投影するステップを有する。基準マーカーのkエッジエネルギー値によって与えられる弁別により、さもなければ投影画像中で重複することがある基準マーカー間の区別が可能になる。
【0050】
ボリュメトリック画像を再構成するための様々な画像再構成技法が企図されている。
【0051】
例示的な一技法では、スペクトル画像を生成することは、
第1の材料を表す第1のシノグラム(sinogram)データと、第2の材料を表す第2のシノグラムデータとを与えるために、投影領域中で、スペクトル画像データに材料分解アルゴリズムを適用することと、
第1のシノグラムデータから第1のボリュメトリック画像を再構成することと、
第2のシノグラムデータから第2のボリュメトリック画像を再構成することと
を含み、
第1のボリュメトリック画像を再構成すること、及び第2のボリュメトリック画像を再構成することが、それぞれ第1のシノグラムデータにフィルタ処理された逆投影アルゴリズムを適用すること、及び第2のシノグラムデータにフィルタ処理された逆投影アルゴリズムを適用することを含む。
【0052】
上述の材料分解アルゴリズムは、異なる材料を弁別するために、これらの技法のいずれかとともに使用される。例示的な一実装形態では、白金で被覆されたステントの位置が識別される。この実装形態では、ポアソン(Poisson)雑音モデルの下で最も高い蓋然性をもつ、水、ヨウ素、及び白金という3つの材料を通る減衰長をピクセルごとに識別するために、投影領域中の最尤(maximum-likelihood)材料分解アルゴリズムへの入力として光子計数データの5つのエネルギー間隔を使用して、ボリュメトリック画像が生成される。その後、フィルタ処理された逆投影アルゴリズムを用いて3つの材料シノグラムが別個に再構成される。得られた画像のうちの1つは材料選択的な白金画像、すなわちkエッジ画像であり、ステントの白金被覆は、人間アナトミーの一般的なコントラスト強調X線画像中に存在する材料である水及びヨウ素から分離される。
【0053】
別の例示的な技法では、スペクトル画像を生成することは、
複数のエネルギー間隔1701..nの各々についてのエネルギーチャネル画像を再構成することと、
材料分解アルゴリズムを使用して、再構成されたエネルギーチャネル画像から第1のボリュメトリック画像及び第2のボリュメトリック画像を生成することと
を含み、
第1のボリュメトリック画像及び第2のボリュメトリック画像を生成することは、第1の材料を含む第1の物体によるX線の減衰を表す第1の較正データと、第2の材料を含む第2の物体によるX線の減衰を表す第2の較正データとに基づいており、第1の物体及び第2の物体は撮像領域160中の既知の位置に配設される。
【0054】
上述の材料分解アルゴリズムは、ここでは異なる材料を弁別するためにも使用される。一例では、患者支持パレット中に又は患者の身体の表面上に第1の材料及び第2の材料のサンプルを配設することによって較正データが与えられる。第1の物体及び第2の物体の位置は既知であるので、較正データを与えるためにそれらの対応するスペクトル画像データが識別され、使用される。
【0055】
別の例示的な技法では、スペクトル画像を生成することは、
第1のボリュメトリック画像と第2のボリュメトリック画像とを同時に再構成するために反復型ワンステップ反転アルゴリズムを使用すること
を含む。
【0056】
この目的のための例示的な再構成アルゴリズム、及びエネルギー間隔の選択は、「Comparison of five one-step reconstruction algorithms for spectral CT」という名称のMory、Cらによる文献、Physics in Medicine and Biology、IOP Publishing、2018年、63(23)、235001ページに開示されている。
【0057】
投影画像又はボリュメトリック画像が生成されたかどうかとは無関係に、以下で説明するように、システム100によってさらなる動作も実行され得る。
【0058】
いくつかの例では、第1の基準マーカー180の位置及び/又は第2の基準マーカーの位置が特徴検出アルゴリズムによって識別される。これらの例では、スペクトル画像を生成することは、
第1の材料を表す第1の画像データを生成することと、第2の材料を表す第2の画像データを生成することと
を含み、
スペクトル画像中で、第1の基準マーカー180の位置及び/又は第2の基準マーカーの位置を識別することは、それぞれ第1の画像データ及び/又は第2の画像データに特徴検出アルゴリズムを適用することを含む。
【0059】
第1の画像データは第1の投影画像又は第1のボリュメトリック画像を表し、第2の画像データは第2の投影画像又は第2のボリュメトリック画像を表す。これらの例では、様々な特徴検出アルゴリズムの使用が企図される。一例では、第1の画像データ及び/又は第2の画像データに特徴検出アルゴリズムを適用することは、
それぞれ第1の画像データ及び/又は第2の画像データ中の最大画像強度に対応する、スペクトル画像中の位置を決定するために第1の画像データ及び/又は第2の画像データを分析すること
を含む。
【0060】
このようにして最大強度を使用することにより、マーカー位置の正確な指示が与えられる。
【0061】
別の例では、第1の画像データ及び/又は第2の画像データに特徴検出アルゴリズムを適用することは、
それぞれ第1の画像データ及び/又は第2の画像データ中の所定の画像強度パターンに対応する、スペクトル画像中の位置を決定するために第1の画像データ及び/又は第2の画像データを分析すること
を含む。
【0062】
所定の画像強度パターンは、この例では、基準マーカーの予想されるパターンに対応する。例えば、基準マーカーが、円形形状を有するワイヤ又はディスクの形態の第1の材料又は第2の材料によって与えられる場合、予想されるパターンは円である。異なる形状を有する基準マーカーが同様にして識別され得る。同様に、基準マーカーが、第1の材料又は第2の材料で形成された複数の要素の形態で与えられる場合、複数の要素の予想されるパターンが使用される。
【0063】
別の例では、第1の画像データ及び/又は第2の画像データに特徴検出アルゴリズムを適用することは、
介入器械又は埋込み可能デバイスのX線減衰を表すモデルに基づいて、それぞれ第1の基準マーカー180及び第2の基準マーカー180を含む、介入器械又は埋込み可能デバイスのスペクトル画像中の位置及び/又は向きを決定するために、第1の画像データ及び/又は第2の画像データを分析すること
を含む。
【0064】
この例におけるモデルは基準マーカーの形状を表す。例えば、マーカーは、心臓血管ステントの一部又は全部を一緒に形成する複数の白金ワイヤの形態で与えられる。この場合、モデルは、白金固有のスペクトル画像中の予想されるX線減衰を、随意に、他の材料固有の画像中で予想され得る減衰と一緒に表し得る。モデルとの一致を決定するために画像データを分析することによって、スペクトル画像中の基準マーカーの位置、及び随意に、空間的な向きが決定される。
【0065】
上記で説明した基準マーカー180、180は、様々な形態で与えられ、様々な物体に取り付けられ得る。基準マーカーは任意の形状で与えられる。例えば、基準マーカーは、円筒、球、らせん、円盤、又は別の形状によって与えられる。基準マーカー又はそれの一部分は、関連があるkエッジエネルギー値を有する材料から形成されるか、又はそのような材料で被覆される。一例では、基準マーカーは金又は白金でめっきされる。基準マーカーは身体の表面に埋込み可能であるか又は取付け可能である。
【0066】
いくつかの例では、基準マーカー180、180は介入器械上に与えられる。介入器械は、図1中のシステム100、又はスペクトルX線CT撮像システムとともに使用され得る。一般に、介入器械の位置は、X線撮像の下で決定することが困難である。金属から形成されたとき、介入器械の外観は、骨など、他の強いX線減衰媒体によって不明瞭にされることがある。この問題は、投影撮像中に特に重大である。ポリマーから形成されたとき、介入器械はX線撮像の下で見えないことがある。図3は、第1の基準マーカー180を含むIVUSカテーテルの形態の介入器械210の一例を示している。図3を参照すると、介入器械210は少なくとも1つの基準マーカーを含む。その少なくとも1つの基準マーカーは、第1のX線吸収kエッジエネルギー値190を有する第1の材料を含む第1の基準マーカー180を含む。第1の基準マーカー180は、例えば、IVUSカテーテルのシャフトの一部分に塗布された白金被覆である。介入器械210は1つ又は複数の追加の基準マーカーを含み得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、介入器械210は、第2のX線吸収kエッジエネルギー値190を有する第2の材料を含む第2の基準マーカー180を備える。第2の材料及び第2のX線吸収kエッジエネルギー値190は第1の材料及び第1のX線吸収kエッジエネルギー値190とは異なっており、したがって、介入器械210上のマーカーとそれらの位置との間の区別が可能になる。器械は、したがって、より容易に配置され、及び/又はそれの向きが決定される。
【0068】
別の例では、介入器械210は複数の第1の基準マーカー180及び/又は複数の第2の基準マーカー180を含む。介入器械210上に基準マーカーを与えることによって、スペクトル画像中のそれの可視性が、したがって、改善される。基準マーカーは、例示的なIVUSカテーテル以外の介入器械に取り付けられ得、例えば、基準マーカーは、カテーテル全般、ガイドワイヤ、血管形成術用(angioplasty)バルーン又はカッティングバルーンなどのバルーン、アテローム切除術(atherectomy)デバイス、血栓回収療法(thrombectomy)システム、心耳閉鎖(atrial appendage closure)デバイス、大動脈弁配置(aortic valve placement)システムに、又は冠血流予備量比(fractional flow reserve)「FFR」測定において使用される器械、光干渉断層(optical coherence tomography)「OCT」撮像器械、近赤外分光法(near infrared spectroscopy)「NIRS」撮像システムなどに取り付けられ得る。
【0069】
基準マーカーを含む介入器械はキットの形態でも与えられる。キットは第1の介入器械210と第2の介入器械とを含む。キットは、図1中のシステム100、又はスペクトルX線CT撮像システムとともに使用され得る。キットでは、第1の介入器械210は、第1のX線吸収kエッジエネルギー値190を有する第1の材料を含む第1の基準マーカー180を含み、第2の介入器械は、第2のX線吸収kエッジエネルギー値190を有する第2の材料を含む第2の基準マーカー180を含む。キットからの介入器械は、撮像手順中に一緒に使用され、それらの基準マーカーによって互いに区別される。キットは、例えば、2つ以上の血管内カテーテルを含む。
【0070】
基準マーカー180、180は、代替的に、埋込み可能デバイス上に与えられる。埋込み可能デバイスは、図1中のシステム100、又はスペクトルX線CT撮像システムとともに使用され得る。図4は、第1の基準マーカー180及び第2の基準マーカー180を含む、ステントの形態の埋込み可能デバイス220の一例を示している。一般に、埋込み可能デバイス220は、複数の基準マーカー、すなわち、第1のX線吸収kエッジエネルギー値190を有する第1の材料を含む第1の基準マーカー180、及び第2のX線吸収kエッジエネルギー値190を有する第2の材料を含む第2の基準マーカー180を含む。
【0071】
ステントなどの埋込み可能デバイス上に、異なるkエッジエネルギー値を有する複数の基準マーカーを与えることによって、スペクトル画像中で埋込み可能デバイスの向きが決定される。基準マーカーは、ステントに取り付けられるか、又は、代替的に、図4中の基準マーカー180及び180によって示されているように、ステントの一部を形成する。例えば、基準マーカー180及び180は、例えば、ステント構造内の白金ワイヤ、又はステント上の白金被覆の形態で与えられる。一例では、図4に示されているように、基準マーカー180は脈管ステントの近位端に取り付けられ、別の基準マーカー180は脈管ステントの遠位端に取り付けられる。異なるkエッジエネルギー値を有する複数の基準マーカーを、ステントなど、埋込み可能デバイスにこの様式で取り付けることは、投影画像中の重複するステントを区別するのを助け、また、ステントの各端部を識別するのを助ける。そのことはまた、現在埋め込まれているステントと、前に埋め込まれたステントとを区別するのを助ける。
【0072】
基準マーカーは、上記で与えられた例示的なステント以外の埋込み可能デバイスに取り付けられ得、例えば、基準マーカーは、生検マーカー、小線源照射療法シード、ペースメーカーリード、心臓弁置換物(heart valve replacement)、心室支援デバイス、ワイヤレス心臓モニター、血管内除細動器(intravascular defibrillator)、神経刺激装置(neurostimulator)、脳コンピュータインターフェース、薬物送達インジェクタ(drug delivery injector)などに取り付けられ得る。生検マーカーは、しばしばゴマ種子のサイズであり、例えば乳癌診断において、組織サンプルがそこで取られたロケーションをマーキングするために使用される。異なるkエッジ材料又は異なるスペクトル減衰をもつ生検マーカーを与えることによって、生検マーカーは、空間的にごく近接しているが、配置の時間、放射能レベルなど、異なる特性をもつ、他の生検マーカーとより良く区別され得る。そのような基準マーカーをもつ小線源照射療法シードを与えることによって、それらの場所、配置の時間、及び放射能レベルがより良く区別される。リードの取外しは複雑な外科的手技であるので、ペースメーカーリードは、しばしば、身体内に残っており、ペースメーカーが取り外されるか又は更新されるときに摘出されない。リードは心臓に永久的に取り付けられたままであることがある。基準をもつペースメーカーリードを与えることにより、現在埋め込まれているリードと、前に埋め込まれたリードとの間の区別が改善される。
【0073】
別の例では、コンピュータ実装方法が提供される。本コンピュータ実装方法は、上記で説明したシステム100とともに使用され、したがって、システム100に関して上記で説明したものに対応する機能を含む。簡潔のために、システム100のすべての詳細が本明細書で本方法に関して繰り返されるとは限らない。本方法は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、その少なくとも1つのプロセッサに本方法を実行させる、それの上に記憶されたコンピュータ可読命令のセットを含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体として提供され得る。言い換えれば、上記で説明した方法はコンピュータプログラム製品として実装され得る。本コンピュータプログラム製品は、専用のハードウェアによって、又は適切なソフトウェアと関連してソフトウェアを動作させることが可能なハードウェアによって提供され得る。プロセッサによって与えられるとき、これらの機能は、単一の専用プロセッサ、単一の共有プロセッサ、又はプロセッサのうちのいくつかが共有し得る複数の個々のプロセッサによって与えられ得る。その上、「プロセッサ」又は「コントローラ」という用語の明示的な使用は、もっぱら、ソフトウェアを動作させることが可能なハードウェアを指すものとして解釈されるべきでなく、限定はしないが、デジタル信号プロセッサ「DSP」ハードウェア、ソフトウェアを記憶するための読取り専用メモリ「ROM」、ランダムアクセスメモリ「RAM」、不揮発性記憶デバイスなどを暗黙的に含み得る。さらに、本開示の例は、コンピュータ使用可能記憶媒体又はコンピュータ可読記憶媒体からアクセス可能なコンピュータプログラム製品の形態を取り得、本コンピュータプログラム製品は、コンピュータ若しくは任意の命令実行システムによって、又はそれらとともに使用するためのプログラムコードを与える。本明細書の目的のために、コンピュータ使用可能記憶媒体又はコンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、若しくはデバイスによって、又はそれらとともに使用するためのプログラムを含み、記憶し、通信し、伝搬し、又は移送することができる任意の装置であり得る。媒体は、電子媒体、磁気媒体、光媒体、電磁媒体、赤外媒体、又は半導体システム若しくはデバイス若しくは伝搬媒体であり得る。コンピュータ可読媒体の例は、半導体又はソリッドステートメモリ、磁気テープ、リムーバブルコンピュータディスク、ランダムアクセスメモリ「RAM」、読取り専用メモリ「ROM」、剛性磁気ディスク、及び光ディスクを含む。光ディスクの現在の例は、コンパクトディスク読取り専用メモリ「CD-ROM」、光ディスク読取り/書込み「CD-R/W」、ブルーレイ(商標)、及びDVDを含む。
【0074】
したがって、X線源110とX線検出器120との間の撮像領域160を横切るX線の3つ以上のエネルギー間隔1701..nの各々について、そのX線の減衰を表すスペクトル画像データを処理するコンピュータ実装方法が提供される。本方法は、システム100とともに使用され得、
スペクトル画像データに基づいてスペクトル画像を生成するステップと、
スペクトル画像中で、第1の材料の第1のX線吸収kエッジエネルギー値190に基づいて、第1の材料を含む第1の基準マーカー180の位置を識別するステップと
を有する。
【0075】
システム100に関して説明した他の動作も本方法によって与えられ得る。例えば、本コンピュータ実装方法は、投影画像を与えるためにスペクトル画像データに材料分解アルゴリズムを適用することと、上記で説明したボリュメトリック画像再構成演算とをも含み得る。
【0076】
非一時的コンピュータ可読記憶媒体も提供される。本非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、X線源110とX線検出器120との間の撮像領域160を横切るX線の3つ以上のエネルギー間隔1701..nの各々について、そのX線の減衰を表すスペクトル画像データを処理するための1つ又は複数のプロセッサ130によって実行可能な命令で符号化される。本コンピュータ可読記憶媒体は、システム100によって生成されたスペクトル画像データを処理するために使用され得、
スペクトル画像データに基づいてスペクトル画像を生成することと、
スペクトル画像中で、第1の材料の第1のX線吸収kエッジエネルギー値190に基づいて、第1の材料を含む第1の基準マーカー180の位置を識別することと
を含む、動作を実行するための命令を含む。
【0077】
コンピュータプログラム製品も提供される。本コンピュータプログラム製品は、システム100のプロセッサ130など、プロセッサによって実行されたときに、そのプロセッサに、
X線源110とX線検出器120との間の撮像領域160を横切るX線の3つ以上のエネルギー間隔1701..nの各々について、そのX線の減衰を表すスペクトル画像データを受信するステップと、
スペクトル画像データに基づいてスペクトル画像を生成するステップと、
スペクトル画像中で、第1の材料の第1のX線吸収kエッジエネルギー値190に基づいて、第1の材料を含む第1の基準マーカー180の位置を識別するステップと
を有する、方法を実行させる命令を含む。
【0078】
システム100に関して説明した他の動作も、本コンピュータプログラム製品の命令によって、又は本非一時的コンピュータ可読記憶媒体の命令によって行われ得る。
【0079】
上記の例は本開示の例示的な例として理解されるべきである。さらなる例も想定される。例えば、システム100に関して説明した例はまた、本コンピュータ実装方法によって、本コンピュータプログラム製品によって又は本コンピュータ可読記憶媒体によって与えられ得る。したがって、いずれか1つの例に関して説明した特徴は、単独で、又は説明した他の特徴と組み合わせて使用され得、また、別の例、又は他の例の組合せの、1つ又は複数の特徴と組み合わせて使用され得ることが理解されるべきである。さらに、上記で説明していない等価物及び改変も、添付の特許請求の範囲において定義される本開示の範囲から逸脱することなく採用され得る。特許請求の範囲中のいかなる参照符号も本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。
図1
図2
図3
図4