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特許7500867位置合わせマークを備えるウェハ組立体、その形成方法及びウェハ位置合わせ方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】位置合わせマークを備えるウェハ組立体、その形成方法及びウェハ位置合わせ方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20240610BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/68 F
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023511603
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 CN2020118560
(87)【国際公開番号】W WO2022032825
(87)【国際公開日】2022-02-17
【審査請求日】2023-03-15
(31)【優先権主張番号】202010814889.2
(32)【優先日】2020-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523050379
【氏名又は名称】ウーハン シンシン セミコンダクター マニュファクチュアリング カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イェ グォリャン
(72)【発明者】
【氏名】フー シン
(72)【発明者】
【氏名】イー ホンシェン
【審査官】井上 弘亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-192234(JP,A)
【文献】特開2018-93140(JP,A)
【文献】特表2013-519240(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0393067(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108206142(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109411449(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置合わせマークを備えるウェハ組立体であって、
第1のウェハであって、第1の基板と、前記第1の基板上に位置する第1の誘電体層と、前記第1の誘電体層に埋め込まれた第1のブロックマークと、前記第1の誘電体層上に位置する第1の接合層と、前記第1の接合層に埋め込まれた第1のドットマークとを含み、前記第1のドットマークの上面が前記第1の接合層の上面と面一である、第1のウェハと、
第2のウェハであって、第2の基板と、前記第2の基板上に位置する第2の誘電体層と、前記第2の誘電体層に埋め込まれた第2のブロックマークと、前記第2の誘電体層上に位置する第2の接合層と、前記第2の接合層に埋め込まれた第2のドットマークとを含み、前記第2のドットマークの上面が前記第2の接合層の上面と面一である、第2のウェハと、
を備え、
前記第1の基板上への前記第1のドットマークの投影像の外輪郭線が、前記第1の基板上への前記第1のブロックマークの投影像を取り囲み、前記第2の基板上への前記第2のドットマークの投影像の外輪郭線が、前記第2の基板上への前記第2のブロックマークの投影像を取り囲み、
前記第1のブロックマークが前記第2のブロックマークと整合し、
前記第1のドットマークが前記第2のドットマークと整合する、
ウェハ組立体。
【請求項2】
前記第1のドットマークと前記第1のブロックマークを同一平面に投影したときに、前記第1のドットマークの投影像の外輪郭線から前記第1のブロックマークの投影像の外輪郭線までの最小垂直距離が、重ね合わせ誤差よりも大きい、請求項1に記載のウェハ組立体。
【請求項3】
前記第1のドットマークが、ほぼ等しい大きさを有する、ほぼ等しい間隔で隔置された不連続なドットからなる配列で構成され、前記不連続なドットの前記配列は、前記不連続なドットに対応する穴に金属を充填することによって形成され、前記第1のブロックマークが、前記第1のドットマークと比較して、少なくとも大きな連続領域を有する、請求項1に記載のウェハ組立体。
【請求項4】
前記第1のドットマークが、配列された複数の矩形中実ブロックを含み、前記第1のブロックマークが、矩形の中実ブロック、十字形の中実ブロック、三角形の中実ブロック、又は、前記第1の基板に対して垂直な方向に延びる貫通開口を含んだメッシュである、請求項3に記載のウェハ組立体。
【請求項5】
前記第1のドットマークの外輪郭線の形状が、前記第1のブロックマークの外輪郭線の形状と同じであり、前記第1のブロックマークの外輪郭線から前記第1のドットマークの外輪郭線まで所定の距離が設けられ、前記所定の距離は重ね合わせ誤差よりも大きい、請求項4に記載のウェハ組立体。
【請求項6】
矩形である前記第1のドットマークの外輪郭線の形状が、略矩形である前記第1のブロックマークの外輪郭線の形状と異なる、請求項3に記載のウェハ組立体。
【請求項7】
前記第1のドットマークの外輪郭線の形状が、前記第2のドットマークの外輪郭線の形状と同じである、請求項1~3のいずれか一項に記載のウェハ組立体。
【請求項8】
前記第1のブロックマークの外輪郭線の形状が、前記第2のブロックマークの外輪郭線の形状と同じである、請求項7に記載のウェハ組立体。
【請求項9】
前記第1のドットマークの外輪郭線の形状が、前記第2のドットマークの外輪郭線の形状と異なる、請求項1~3のいずれか一項に記載のウェハ組立体。
【請求項10】
前記第1のドットマークの外輪郭線の形状と前記第1のブロックマークの外輪郭線の形状がそれぞれ、十字であり、前記第2のドットマークの外輪郭線の形状と前記第2のブロックマークの外輪郭線の形状がそれぞれ、4つの三角形で構成され、前記4つの三角形は、中心点に対して対称に配置され、1つの三角形を中心点の周りに時計回り又は反時計回りに90°、180°及び270°回転させることによって得られる、請求項9に記載のウェハ組立体。
【請求項11】
第1の金属層が前記第1の誘電体層に配設され、前記第1のブロックマークは金属で作られ、前記第1のブロックマークと前記第1の金属層は、同じプロセスで単一の金属層から形成され、第2の金属層が前記第2の誘電体層に配設され、前記第2のブロックマークは金属で作られ、前記第2のブロックマークと前記第2の金属層は、同じプロセスで単一の金属層から形成される、請求項1~6のいずれか一項に記載のウェハ組立体。
【請求項12】
第1の配線層が前記第1の接合層に配設され、前記第1の配線層及び前記第1のドットマークはそれぞれ、金属で作られ、前記第1のドットマークと前記第1の配線層は、同じプロセスで単一の金属層から形成され、第2の配線層が前記第2の接合層に配設され、前記第2の配線層及び前記第2のドットマークはそれぞれ、金属で作られ、前記第2のドットマークと前記第2の配線層は、同じプロセスで単一の金属層から形成される、請求項1~6のいずれか一項に記載のウェハ組立体。
【請求項13】
位置合わせマークを備えるウェハ組立体の形成方法であって、
第1の基板と前記第1の基板上に位置する第1の誘電体層とを含んだ第1のウェハを提供し、
前記第1の誘電体層に第1のブロックマークを形成し、
前記第1の誘電体層と前記第1のブロックマークとを覆う第1の接合層を形成し、
前記第1の接合層に第1のドットマークを形成するステップであって、前記第1のドットマークの上面が前記第1の接合層の上面と面一である、ステップと、
第2の基板と前記第2の基板上に位置する第2の誘電体層とを含んだ第2のウェハを提供し、
前記第2の誘電体層に第2のブロックマークを形成し、
前記第2の誘電体層と前記第2のブロックマークとを覆う第2の接合層を形成し、
前記第2の接合層に第2のドットマークを形成するステップであって、前記第2のドットマークの上面が前記第2の接合層の上面と面一である、ステップと、
を含み、
前記第1の基板上への前記第1のドットマークの投影像の外輪郭線が、前記第1の基板上への前記第1のブロックマークの投影像を取り囲み、前記第2の基板上への前記第2のドットマークの投影像の外輪郭線が、前記第2の基板上への前記第2のブロックマークの投影像を取り囲み、
前記第1のブロックマークが前記第2のブロックマークと整合し、
前記第1のドットマークが前記第2のドットマークと整合する、
方法。
【請求項14】
ウェハ位置合わせ方法であって、
請求項1~12のいずれか一項に記載の第1のウェハ及び第2のウェハを提供するステップと、
前記第1のウェハに光を照射して、前記第1のドットマーク及び前記第1のブロックマークからの反射光により前記第1のウェハ上の位置合わせマークのパターンを取得するステップと、
前記第2のウェハに光を照射して、前記第2のドットマーク及び前記第2のブロックマークからの反射光により前記第2のウェハ上の位置合わせマークのパターンを取得するステップと、
前記第1のウェハ上の前記位置合わせマークの前記パターン及び前記第2のウェハ上の前記位置合わせマークの前記パターンに基づいて、前記第1のウェハ及び/又は前記第2のウェハの移動を制御して、前記第1のウェハと前記第2のウェハの位置合わせを達成するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路製造技術の分野に関し、詳細には、位置合わせマークを備えるウェハ組立体、及びかかるウェハ組立体の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体超大規模集積回路(VLSI)の発展に伴い、3D属配線を実現する接合技術によってウェハを積層する3次元(3D)パッケージング技術が開発され、それによって配線距離が短縮され、伝送速度が高まり、デバイスが小型化された。
【0003】
3D積層の要として、ウェハの接合にハイブリッド接合が含まれている。このハイブリッド接合は、金属間接合と誘電体間接合とを含むものであり、金属配線と十分な機械的支持の両方を提供することができる。
【0004】
ハイブリッド接合によってウェハを上下に接合する場合、事前に、それらのウェハを垂直方向に位置合わせする必要がある。しかしながら、既存の位置合わせ方法は最適ではなく、例えば、位置合わせマーク内にある金属特徴物からの反射によって接合装置によるマークの認識が困難になったり、重ね合わせ誤差があったり、マーク内の金属特徴物と接合層との間の段差によって接合後に間隙が生じたりするなどの、複数の問題を伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、位置合わせマークを備えるウェハ組立体、かかるウェハ組立体の形成方法及びウェハ位置合わせ方法を提供することである。この位置合わせマークにより、位置合わせマークの認識が容易になり、異なる層間の重ね合わせ誤差がなくなり、明瞭なパターンの取り込みと接合後の間隙防止とが可能になり得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、位置合わせマークを備えるウェハ組立体であって、
第1のウェハであって、第1の基板と、前記第1の基板上に位置する第1の誘電体層と、前記第1の誘電体層に埋め込まれた第1のブロックマークと、前記第1の誘電体層上に位置する第1の接合層と、前記第1の接合層に埋め込まれた第1のドットマークとを含み、前記第1のドットマークの上面が前記第1の接合層の上面と面一である、第1のウェハと、
第2のウェハであって、第2の基板と、前記第2の基板上に位置する第2の誘電体層と、前記第2の誘電体層に埋め込まれた第2のブロックマークと、前記第2の誘電体層上に位置する第2の接合層と、前記第2の接合層に埋め込まれた第2のドットマークとを含み、前記第2のドットマークの上面が前記第2の接合層の上面と面一である、第2のウェハと、
を備え、
前記第1の基板上への前記第1のドットマークの投影像の外輪郭線が、前記第1の基板上への前記第1のブロックマークの投影像を取り囲み、前記第2の基板上への前記第2のドットマークの投影像の外輪郭線が、前記第2の基板上への前記第2のブロックマークの投影像を取り囲み、
前記第1のブロックマークが前記第2のブロックマークと整合し、
前記第1のドットマークが前記第2のドットマークと整合する、
ウェハ組立体を提供する。
【0007】
さらに、前記第1のドットマークと前記第1のブロックマークを同一平面に投影したときに、前記第1のドットマークの投影像の外輪郭線から前記第1のブロックマークの投影像の外輪郭線までの最小垂直距離は、重ね合わせ誤差よりも大きくなり得る。
【0008】
さらに、前記第1のドットマークは、ほぼ等しい大きさを有する、ほぼ等しい間隔で隔置された不連続なドットからなる配列で構成されることができ、前記不連続なドットの前記配列は、前記不連続なドットに対応する穴に金属を充填することによって形成され、前記第1のブロックマークは、前記第1のドットマークと比較して、少なくとも大きな連続領域を有する。
【0009】
さらに、前記第1のドットマークは、配列された複数の矩形中実ブロックを含むことができ、前記第1のブロックマークは、矩形の中実ブロック、十字形の中実ブロック、三角形の中実ブロック、又は、前記第1の基板に対して垂直な方向に延びる貫通開口を含んだメッシュである。
【0010】
さらに、前記第1のドットマークの外輪郭線の形状は、前記第1のブロックマークの外輪郭線の形状と同じであってよく、前記第1のブロックマークの外輪郭線から前記第1のドットマークの外輪郭線まで所定の距離が設けられ、前記所定の距離は重ね合わせ誤差よりも大きい。
【0011】
さらに、矩形である前記第1のドットマークの外輪郭線の形状は、略矩形である前記第1のブロックマークの外輪郭線の形状と異なっていてもよい。
【0012】
さらに、前記第1のドットマークの外輪郭線の形状は、前記第2のドットマークの外輪郭線の形状と同じであってもよい。
【0013】
さらに、前記第1のブロックマークの外輪郭線の形状は、前記第2のブロックマークの外輪郭線の形状と同じであってもよい。
【0014】
さらに、前記第1のドットマークの外輪郭線の形状は、前記第2のドットマークの外輪郭線の形状と異なっていてもよい。
【0015】
さらに、前記第1のドットマークの外輪郭線の形状と前記第1のブロックマークの外輪郭線の形状はそれぞれ、十字であってもよく、前記第2のドットマークの外輪郭線の形状と前記第2のブロックマークの外輪郭線の形状はそれぞれ、4つの三角形で構成され、前記4つの三角形は、中心点に対して対称に配置され、1つの三角形を中心点の周りに時計回り又は反時計回りに90°、180°及び270°回転させることによって得られる。
【0016】
さらに、第1の金属層が前記第1の誘電体層に配設されることができ、前記第1のブロックマークは金属で作られ、前記第1のブロックマークと前記第1の金属層は、同じプロセスで単一の金属層から形成され、第2の金属層が前記第2の誘電体層に配設され、前記第2のブロックマークは金属で作られ、前記第2のブロックマークと前記第2の金属層は、同じプロセスで単一の金属層から形成される。
【0017】
さらに、第1の配線層が前記第1の接合層に配設されることができ、前記第1の配線層及び前記第1のドットマークはそれぞれ、金属で作られ、前記第1のドットマークと前記第1の配線層は、同じプロセスで単一の金属層から形成され、第2の配線層が前記第2の接合層に配設され、前記第2の配線層及び前記第2のドットマークはそれぞれ、金属で作られ、前記第2のドットマークと前記第2の配線層は、同じプロセスで単一の金属層から形成される。
【0018】
本発明はまた、位置合わせマークを備えるウェハ組立体の形成方法であって、
第1の基板と前記第1の基板上に位置する第1の誘電体層とを含んだ第1のウェハを提供し、前記第1の誘電体層に第1のブロックマークを形成し、前記第1の誘電体層と前記第1のブロックマークとを覆う第1の接合層を形成し、前記第1の接合層に第1のドットマークを形成するステップであって、前記第1のドットマークの上面が前記第1の接合層の上面と面一である、ステップと、
第2の基板と前記第2の基板上に位置する第2の誘電体層とを含んだ第2のウェハを提供し、前記第2の誘電体層に第2のブロックマークを形成し、前記第2の誘電体層と前記第2のブロックマークとを覆う第2の接合層を形成し、前記第2の接合層に第2のドットマークを形成するステップであって、前記第2のドットマークの上面が前記第2の接合層の上面と面一である、ステップと、
を含み、
前記第1の基板上への前記第1のドットマークの投影像の外輪郭線が、前記第1の基板上への前記第1のブロックマークの投影像を取り囲み、前記第2の基板上への前記第2のドットマークの投影像の外輪郭線が、前記第2の基板上への前記第2のブロックマークの投影像を取り囲み、
前記第1のブロックマークが前記第2のブロックマークと整合し、
前記第1のドットマークが前記第2のドットマークと整合する、
方法を提供する。
【0019】
本発明はまた、ウェハ位置合わせ方法であって、
前記で定義された第1のウェハ及び第2のウェハを提供するステップと、
前記第1のウェハに光を照射して、前記第1のドットマーク及び前記第1のブロックマークからの反射光により前記第1のウェハ上の位置合わせマークのパターンを取得するステップと、
前記第2のウェハに光を照射して、前記第2のドットマーク及び前記第2のブロックマークからの反射光により前記第2のウェハ上の位置合わせマークのパターンを取得するステップと、
前記第1のウェハ上の前記位置合わせマークの前記パターン及び前記第2のウェハ上の前記位置合わせマークの前記パターンに基づいて、前記第1のウェハ及び/又は前記第2のウェハの移動を制御して、前記第1のウェハと前記第2のウェハの位置合わせを達成するステップと、
を含む方法を提供する。
【発明の効果】
【0020】
従来技術と比較して、本発明は以下の利点を提供する。
本発明は、位置合わせマークを備えるウェハ組立体、その形成方法及びウェハ位置合わせ方法を提供する。これらはハイブリッド接合での使用に適している。前記位置合わせマークが、第1のウェハ及び第2のウェハの接合層と誘電体層とに配設される。第1のウェハでは、別々の層に配設された第1のドットマークと第1のブロックマークからの反射光を重畳することによって、これらの位置合わせマークのパターンの明瞭性が確保される。前記第1のドットマークは第1の接合層に配設されており、その第1のドットマークの上面は第1の接合層の上面と面一になっている。第1のドットマークが接合面上にあることによって、接合面が微視的に平坦であること、接合後そこに間隙が残らないことが確保される。それに加えて、この接合面上にある第1のドットマークにより、異なる層間の重ね合わせ誤差も解消される。第2のウェハも同様である。したがって、前記位置合わせマークを用いることによって、接合装置では、異なる層間の重ね合わせ誤差を解消でき、パターンを明瞭に取り込むと同時に、接合面間の間隙の問題を防止することができる。本発明の位置合わせマークは、接合品質を損なうことなく、接合精度を効果的に高める上に、接合装置の認識能力を高め、プロセスの安定性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一位置合わせマーク配置を備えるウェハ組立体の概略図である。
図2】別の位置合わせマーク配置を備えるウェハ組立体の概略図である。
図3】別の位置合わせマーク配置を備えるウェハ組立体の概略図である。
図4】本発明の各実施形態による位置合わせマークを備えるウェハ組立体の概略断面図である。
図5a】第1の位置合わせマーク配置を備えるウェハ組立体を示す概略図である。
図5b】第1の位置合わせマーク配置を備えるウェハ組立体を示す概略図である。
図5c】第1の位置合わせマーク配置を備えるウェハ組立体を示す概略図である。
図5d】第1の位置合わせマーク配置を備えるウェハ組立体を示す概略図である。
図6a】第2の位置合わせマーク配置を備えるウェハ組立体を示す概略図である。
図6b】第2の位置合わせマーク配置を備えるウェハ組立体を示す概略図である。
図6c】第2の位置合わせマーク配置を備えるウェハ組立体を示す概略図である。
図7a】第3の位置合わせマーク配置を備えるウェハ組立体を示す概略図である。
図7b】第3の位置合わせマーク配置を備えるウェハ組立体を示す概略図である。
図7c】第3の位置合わせマーク配置を備えるウェハ組立体を示す概略図である。
図8a】第4の位置合わせマーク配置を備えるウェハ組立体を示す概略図である。
図8b】第4の位置合わせマーク配置を備えるウェハ組立体を示す概略図である。
図8c】第4の位置合わせマーク配置を備えるウェハ組立体を示す概略図である。
図9】第5の位置合わせマーク配置を備えるウェハ組立体を示す概略図である。
図10】第6の位置合わせマーク配置を備えるウェハ組立体を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の各実施形態は、位置合わせマークを備えるウェハ組立体、かかるウェハ組立体の形成方法及びウェハ位置合わせ方法を提供する。本発明について以下に、特定の実施形態及び添付の図面を参照して詳細に説明する。本発明の利点及び特徴は、以下の説明から一層明らかになるであろう。尚、図面については、縮尺は必ずしも正確ではなく、各実施形態を簡単かつ明確に説明し易くすることのみを目的として、非常に簡略化された形で提供している。
【0023】
本発明の一実施形態では、位置合わせマークを備えるウェハ組立体であって、
第1のウェハであって、第1の基板と、上記第1の基板上に位置する第1の誘電体層と、上記第1の誘電体層に埋め込まれた第1のブロックマークと、上記第1の誘電体層上に位置する第1の接合層と、上記第1の接合層に埋め込まれた第1のドットマークとを含み、上記第1のドットマークの上面が上記第1の接合層の上面と面一である、第1のウェハと、
第2のウェハであって、第2の基板と、上記第2の基板上に位置する第2の誘電体層と、上記第2の誘電体層に埋め込まれた第2のブロックマークと、上記第2の誘電体層上に位置する第2の接合層と、上記第2の接合層に埋め込まれた第2のドットマークとを含み、上記第2のドットマークの上面が上記第2の接合層の上面と面一である、第2のウェハと、
を備え、
上記第1の基板上への上記第1のドットマークの投影像の外輪郭線が、上記第1の基板上への上記第1のブロックマークの投影像を取り囲み、上記第2の基板上への上記第2のドットマークの投影像の外輪郭線が、上記第2の基板上への上記第2のブロックマークの投影像を取り囲み、
上記第1のブロックマークが上記第2のブロックマークと整合し、
上記第1のドットマークが上記第2のドットマークと整合する、
ウェハ組立体が提供される。
【0024】
この位置合わせマークを備えるウェハ組立体の開発中、本発明者らは以下のことを見出した。図1に示されているように、第1のウェハ10が第1のブロックマーク104のみを備え、第1のブロックマーク104が第1の誘電体層102に位置し、第1の金属層106と同一の層にある場合、かつ、第2のウェハ20が第2のブロックマーク204のみを備え、第2のブロックマーク204が第2の誘電体層202に位置し、第2の金属層206と同一の層にある場合、接合装置は、第1のウェハ10と第2のウェハ20の上下の接合を、それらの位置合わせマークを認識して両ウェハの相対位置を調整することによって、正確に行うことができる。しかし、図1に示されている位置合わせマークの配置では、接合装置からの光は、第1のブロックマーク104に到達するまでに、第1の接合層103を通過しなければならない。これにより、接合装置によるマークの認識が困難になる。それに加えて、第1のブロックマーク104の上面の非平坦性により、接合装置による認識がさらに困難になる。さらに、第1のブロックマーク104と第2のブロックマーク204を正確に位置合わせしても、第1の接合層103と第2の接合層203の表面同士が正確に位置合わせされるとは限らない。第1のブロックマーク104と第1の接合層103は別々の層に位置し、第2のブロックマーク204と第2の接合層203は別々の層に位置することから、第1のブロックマーク104が位置する層と第1の接合層103との間、及び第2のブロックマーク204が位置する層と第2の接合層203との間に、重ね合わせ誤差が生じる。
【0025】
図1の配置に伴うこれらの問題を克服するために、上記の代わりに接合層にブロックマークを配置することができる。図2に示されているように、第1のウェハ10は、第1の接合層103に位置する第1のブロックマーク104のみを備え、第2のウェハ20は、第2の接合層203に位置する第2のブロックマーク204のみを備える。この配置により、接合装置は、第1のウェハ10と第2のウェハ20の上下の位置合わせと接合を、それらの位置合わせマークを認識して両ウェハの相対位置を調整することによって、正確に行うことができる。図2に示されているこの位置合わせマークの配置により、図1の配置における、位置合わせマークが位置する層と接合層との間の重ね合わせ誤差の問題が回避される。図2の位置合わせマークの配置では、マークパターンは明瞭で、簡単に認識できるものの、以下の点で問題がある。つまり、接合層とその接合層にあるブロックマークは、化学機械研磨(CMP)による加工時に、使用されているCMPスラリに対する研磨速度が異なるため、その加工後、ブロックマークが接合層よりも突出する。つまり、ブロックマークと接合層との間に高さの差、したがって段差が生じる。微視的形態におけるそのような非平坦性が、接合面間の間隙を招く。
【0026】
図2の配置に伴う、段差の存在に起因する非平坦性による接合面間の間隙の問題を克服するために、ブロックマークをドットマークに置き換えることができる。図3に示されているように、第1のウェハ10は、第1の接合層103に位置する第1のドットマーク105のみを備え、第2のウェハ20は、第2の接合層203に位置する第2のドットマーク205のみを備える。図3の配置では、CMP後のドットマークと接合層の間に大きな高さの差や段差がなくなり、非平坦性による接合面間の間隙の形成が回避される。しかしながら、図3の配置におけるドット位置合わせマークには、それらを明瞭かつ容易に認識できないという問題がある。
【0027】
次の実施形態による位置合わせマークを備えるウェハ組立体は、図1~3に示されている位置合わせマークの配置をよく検討して、それに基づき開発したものである。図4に示されているように、本発明の一実施形態による第1の位置合わせマーク配置を備えるウェハ組立体は、
第1のウェハ10であって、第1の基板101と、上記第1の基板101上に位置する第1の誘電体層102と、上記第1の誘電体層102に埋め込まれた第1のブロックマーク104と、上記第1の誘電体層102上に位置する第1の接合層103と、上記第1の接合層103に埋め込まれた第1のドットマーク105とを含み、上記第1のドットマーク105の上面が上記第1の接合層103の上面と面一である、第1のウェハ10と、
第2のウェハ20であって、第2の基板201と、上記第2の基板201上に位置する第2の誘電体層202と、上記第2の誘電体層202に埋め込まれた第2のブロックマーク204と、上記第2の誘電体層202上に位置する第2の接合層203と、上記第2の接合層203に埋め込まれた第2のドットマーク205とを含み、上記第2のドットマーク205の上面が上記第2の接合層203の上面と面一である、第2のウェハ20と、
を備え、
上記第1の基板101上への上記第1のドットマーク105の投影像の外輪郭線(すなわち、第1のドットマーク105における最も外側のドットの、第1の基板101上への投影像の最外縁を結んだ線)が、上記第1の基板101上への上記第1のブロックマーク104の投影像を取り囲み、上記第2の基板201上への上記第2のドットマーク205の投影像の外輪郭線(すなわち、第2のドットマーク205における最も外側のドットの、上記第2の基板201上への投影像の最外縁を結んだ線)が、上記第2の基板201上への上記第2のブロックマーク204の投影像を取り囲み、
上記第1のブロックマーク104が上記第2のブロックマーク204と整合し、
上記第1のドットマーク105が上記第2のドットマーク205と整合する。
【0028】
尚、図4では、第1のドットマーク105、第1のブロックマーク104、第2のドットマーク205及び第2のブロックマーク204はいずれも、破線のボックスで示されている。これは、これら4種類のマークがそれぞれの層に存在していることを示しているにすぎず、図示のような形状及び相対位置であることを示しているのではない。これらの4種類のマークの特定の形状及び相対位置については、それに対応する上面図に最も適切に示されている。「第1のブロックマーク104は第2のブロックマーク204と整合する」とは、接合装置が第1のブロックマーク104と第2のブロックマーク204を認識することによって、第1のウェハ10と第2のウェハ20の相対位置を調整できることを意味することを意図している。「第1のドットマーク105は第2のドットマーク205と整合する」とは、接合装置が第1のドットマーク105と第2のドットマーク205を認識することによって、第1のウェハ10と第2のウェハ20の相対位置を調整できることを意味することを意図している。
【0029】
具体的には、第1の誘電体層102に、第1の金属層106が配設され得る。第1のブロックマーク104はアルミニウム、銅、タングステンなどの金属で形成され得る。第1のブロックマーク104と第1の金属層106は、同じプロセスで単一の金属層から形成され得る。第2の誘電体層202に、第2の金属層206が配設され得る。第2のブロックマーク204はアルミニウム、銅、タングステンなどの金属で形成され得る。第2のブロックマーク204と第2の金属層206は、同じプロセスで単一の金属層から形成され得る。
【0030】
接合装置による第1のウェハ10の位置合わせマークの認識は、接合装置が発した光を、2つの異なる層にある第1のドットマーク105と第1のブロックマーク104が反射し、それらの反射光を重畳することによって行うことができ、それによって明瞭なパターン識別が確保される。第1のドットマーク105が第1の接合層103に位置し、その第1のドットマーク105の上面が第1の接合層103の上面と面一になっていることから、第1の接合層103の上面が微視的に平坦であること、接合後そこに間隙が残らないことが確保される。それに加えて、図1の配置でマークが接合層に存在せずその全てが誘電体層に配置されていたことに伴う、接合層と誘電体層の間の重ね合わせ誤差の問題も回避され得る。第1のドットマークと第1のブロックマークを同一平面に投影したときのそれらの投影像の外輪郭線間の最小垂直距離が、重ね合わせ誤差よりも大きいことにより、第1のドットマークの外輪郭線と第1のブロックマークの外輪郭線の識別が可能になる。
【0031】
第1のドットマークの外輪郭線は、第1のドットマークの(最も外側のドットの)最外縁を結んだ線とみなすことができる。あるいは、第1のドットマークは一体とみなすことができる。この場合、外輪郭線は、単に全体の外輪郭線になり得る。
【0032】
第1のドットマークは、不連続なドットの配列で構成され得る。このドット配列は、互いに間隔を空けて配列された穴に、金属を充填することによって形成され得る。配列内の各ドットの大きさと離間距離は、ほぼ等しくし得る。第1のドットマークと比較して、第1のブロックマークは、少なくとも比較的大きな連続領域を有する。第1のドットマークのドット配列は、ドットの部分集合で構成されてもよい。この部分集合は、それぞれ任意の形状の外側輪郭を有することができ、特定の規則に従って配置されて第1のドットマークを構成し得る。本発明は特定のドットの形状に限定されず、これらのドットの形状は任意であり、例えば矩形、三角形、不規則形のいずれであってもよい。
【0033】
具体的には、第1のドットマークは、矩形ドットの配列を含むことができ、第1のブロックマークは、第1の基板に対して垂直な方向に延びる貫通開口の配列(メッシュ)を任意選択で含んだ矩形の中実ブロック、あるいは十字形の中実ブロック又は三角形の中実ブロックとすることができる。
【0034】
第1のドットマークの外輪郭線は、第1のブロックマークの外輪郭線と同じ形状であってもよい(図5a~5d及び図6a~6cを参照)。第1のドットマークの外輪郭線から第1のブロックマークの外輪郭線まで所定の距離が設けられる。この所定の距離は、重ね合わせ誤差よりも大きくし得る。
【0035】
図4及び5a~5dに示されているように、第1のドットマーク105aは矩形ドットの配列を含むことができ(図5b参照)、第1のブロックマーク104aは矩形の中実ブロックであり得る(図5c参照)。図5aは、第1のドットマーク105aと第1のブロックマーク104aを併せた上面図を示す。第1のドットマーク105aの外輪郭線と第1のブロックマーク104aの外輪郭線はどちらも、矩形とすることができる。第1のブロックマーク104aの外輪郭線から第1のドットマーク105aの外輪郭線まで所定の距離dが設けられる(ここでは図5aの、第1の方向と第2の方向、より正確には水平方向と垂直方向、又はX方向とY方向の両方向に)。所定の距離dは、第1のドットマーク105aの外輪郭線と第1のブロックマーク104aの外輪郭線を識別できるようにするために、重ね合わせ誤差より大きくし得る。第1の基板101上への第1のドットマーク105aの投影像の外輪郭線は、第1の基板101上への第1のブロックマーク104aの投影像を取り囲み、第2の基板201上への第2のドットマーク205aの投影像の外輪郭線は、第2の基板201上への第2のブロックマークの投影像を取り囲む。一実施例として、第2のブロックマーク及び第2のドットマーク205aは、それぞれ第1のブロックマーク104a、第1のドットマーク105aと同じ構造及び形状であり得るが、大きさが異なり得る。図5dは、第2のドットマーク205aと第1のドットマーク105aを併せた上面図を示す。一実施例として、第2のドットマーク205aと第1のドットマーク105aはどちらも、ドットの部分配列で構成されてもよく、各ドットは矩形の外形形状を有する。上記ドットマークは、1つのドット部分配列を中心点の周りに時計回り又は反時計回りに90°、180°及び270°回転させることによって形成される風車形状を有し得る。位置合わせを容易にするために、第2のドットマーク205aのパターンの幾何学的中心は、第1のドットマーク105aのパターンの幾何学的中心と一致し得る。同様に、第2のブロックマークの外輪郭線から第2のドットマークの外輪郭線まで所定の距離が設けられ(ここでは図6bの、第1の方向と第2の方向、例えば水平方向と垂直方向、又はX方向とY方向の両方向に。X方向の所定の距離は、Y方向の所定の距離と等しくてもよいし、等しくなくてもよい)、上記所定の距離は、重ね合わせ誤差よりも大きくし得る。上下のウェハ(すなわち第1のウェハ10と第2のウェハ20)のそれぞれの誘電体層と接合層へのブロックマークとドットマークの配置を、それらのマークがウェハの厚さ方向に沿ってそれぞれ異なる層に配設されるように行い、かつ、接合層のドットマークのパターンが、誘電体層のブロックマークのパターンと類似しており、そのブロックマークのパターンよりもわずかに大きいことによって、確実に、接合面上にある大きい方であるドットマークのパターンが、接合装置によって認識される特徴パターンとなり、異なる層間の重ね合わせ誤差がなくなる。
【0036】
次に、図4及び6a~6cを参照する。図6aは、第1のドットマーク105bと第1のブロックマーク104bを併せた上面図を示す。図6bは、第2のドットマーク205bと第2のブロックマーク204bを併せた上面図を示す。図6cは、第2のブロックマーク204b、第1のドットマーク105b及び第1のブロックマーク104bを併せた上面図を示す。位置合わせを容易にするために、第2のブロックマーク204bのパターンの幾何学的中心は、第1のブロックマーク104bのパターンの幾何学的中心と一致し得る。第1のドットマーク105bの外輪郭線と第1のブロックマーク104bの外輪郭線は、同じ十字形状であってもよい。第1のブロックマーク104bの外輪郭線から第1のドットマーク105bの外輪郭線まで所定の距離dが設けられる。所定距離dは、第1のドットマーク105bの外輪郭線と第1のブロックマーク104bの外輪郭線を識別できるようにするために、重ね合わせ誤差より大きくし得る。
【0037】
あるいは、第1のドットマークの外輪郭線と第1のブロックマークの外輪郭線は、異なる形状を有してもよい。その場合、第1のドットマークの外輪郭線は矩形にでき、第1のブロックマークの外輪郭線は略矩形にできる。具体的には、図4及び図7a~7cに示されているように、第1のドットマーク105cは、矩形ドットの配列を含むことができ(図7bを参照)、第1のブロックマーク104cは、第1の基板101に対して垂直な方向に延びる貫通開口の配列(メッシュ状)を含み得る(図7cを参照)。第1のブロックマーク104cの外輪郭線は略矩形にでき、例えば、第1のブロックマーク104cは全体に矩形状にみえるが、凸凹部分を有する閉じた線である外周縁を有する。図7aは、第1のドットマーク105cと第1のブロックマーク104cを併せた上面図を示す。本発明の各実施形態によれば、第1のブロックマーク104cは、基板に対して垂直な方向に延びる貫通開口の配列(グリッド状)を含み得る。このようにして、ブロックマークが大きな面積の完全な中実体(貫通開口無し)である場合における、CMP中にくぼみが形成されやすいという問題、したがって微視的形態が平坦でなくなるため、接合面間に間隙が生じる可能性がある問題を回避することができる。
【0038】
第1のドットマークの外輪郭線と第2のドットマークの外輪郭線は、同じ形状であってもよい(図5d及び6a~6bを参照)。この場合、第1のブロックマークの外輪郭線と第2のブロックマークの外輪郭線も同じ形状であり得る(図6a及び6bを参照)。
【0039】
あるいは、第1のドットマークの外輪郭線と第2のドットマークの外輪郭線は、異なる形状であってもよい(図8cを参照)。具体的には、図4及び8a~8cを参照することができる。図8aは、第1のドットマーク105dと第1のブロックマーク104dを併せた上面図を示す。図8bは、第2のドットマーク205dと第2のブロックマーク204dを併せた上面図を示す。図8cは、第2のドットマーク205d、第2のブロックマーク204d、第1のドットマーク105d及び第1のブロックマーク104dを併せた上面図を示す。位置合わせを容易にするために、第2のブロックマーク204dのパターンの幾何学的中心は、第1のブロックマーク104dのパターンの幾何学的中心と一致することができ、第2のドットマーク205dのパターンの幾何学的中心は、第1のドットマーク105dのパターンの幾何学的中心と一致し得る。第1のドットマーク105dの外輪郭線と第1のブロックマーク104dの外輪郭線はどちらも、十字形にすることができ、第2のドットマーク205dは、図8bに示されているように、三角形の外輪郭形状を有する1つのドット部分配列を中心点の周りに時計回り又は反時計回りに90°、180°及び270°回転させることによって形成されるドットマークにすることができる。さらに、第2のドットマーク205dの外輪郭線と第2のブロックマーク204dの外輪郭線は、同じ形状とすることができる。
【0040】
第1のドットマークの外輪郭線と第1のブロックマークの外輪郭線は、同じ形状であってもよい(図5a、6a及び8aを参照)。
【0041】
あるいは、第1のドットマークの外輪郭線と第1のブロックマークの外輪郭線は、異なる形状であってもよい(図7a、9及び10を参照)。図9に示されているように、第1のドットマーク105eの外輪郭線は矩形にでき、第1のブロックマーク104eの外輪郭線は三角形とすることができる。第1の基板上への第1のドットマーク105eの投影像の外輪郭線は、第1の基板上への第1のブロックマーク104eの投影像を取り囲む。第1のドットマーク105eと第1のブロックマーク104eを同一平面に投影したときに、第1のドットマーク105eの投影像の外輪郭線と第1のブロックマーク104eの投影像の外輪郭線との間の最小垂直距離dは、重ね合わせ誤差よりも大きい。つまり、第1のドットマーク105eの外輪郭線と第1のブロックマーク104eの外輪郭線を識別できるようにするために、2つの外輪郭線の間の最小距離は重ね合わせ誤差よりも大きい。図10に示されているように、第1のドットマーク105fの外輪郭線は三角形にでき、第1のブロックマーク104fの外輪郭線は矩形とすることができる。第1のドットマーク105fの外輪郭線から第1のブロックマーク104fの外輪郭線までの最小垂直距離dは、重ね合わせ誤差より大きくし得る。
【0042】
本発明の各実施形態によれば、図4に示されているように、第1の配線層107が第1の接合層103に配設され得る。第1の配線層107と第1のドットマーク105はどちらも、アルミニウム、銅、タングステンなどの金属で形成され得る。第1のドットマーク105と第1の配線層107は、同じプロセスで単一の金属層から形成され得る。第1の配線層107の上面は、第1のドットマーク105及び第1の接合層103の上面と面一であり得る。第2の配線層207が第2の接合層203に配設され得る。第2の配線層207と第2のドットマーク205はどちらも、アルミニウム、銅、タングステンなどの金属で形成され得る。第2のドットマーク205と第2の配線層207は、同じプロセスで単一の金属層から形成され得る。第2の配線層207の上面は、第2のドットマーク205及び第2の接合層203の上面と面一であり得る。第1のウェハ10と第2のウェハ20とが互いに位置合わせされた後、金属間接合(例えば、第1の配線層107対第2の配線層207)と誘電体間接合(例えば、第1の接合層103対第2の接合層203)とを伴うハイブリッド接合が行われ得る。第1の配線層107は、第1のウェハ10から電気信号を取り出すために設けられる。第1の配線層107は、例えば、第1の金属層106に電気的に接続され得る。第2の配線層207は、第2のウェハ20から電気信号を取り出すために設けられる。第2の配線層207は、例えば、第2の金属層206に電気的に接続され得る。上記接合の結果、第1の配線層107は、第2の配線層207と接触して、2つのウェハを互いに電気的に接続する。
【0043】
第1の誘電体層103は、酸化シリコン、窒化シリコン、有機誘電体材料であるベンゾシクロブテン及び有機誘電体材料であるポリイミドのうちの1つ、又は2つ以上の組み合わせで形成され得る。例えば、第1の誘電体層103は、酸化シリコン層103aと、その酸化シリコン層103a上に位置する窒化シリコン層103bとを含み得る。第2の誘電体層203は、第1の誘電体層103と同じ材料で形成され得る。
【0044】
第1の基板101及び第2の基板201はそれぞれ、半導体デバイスに適した任意の半導体材料(シリコン、シリコンカーバイド、シリコンゲルマニウムなど)で作られた半導体基板であり得る。他の実施形態では、第1の基板101及び第2の基板201はそれぞれ、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板やシリコン・ゲルマニウム・オン・インシュレータ(SiGeOI)基板などの様々な複合基板のいずれかであり得る。本発明が特定の種類の基板に限定されず、実際の用途の要件に従って適切な選択を行うことができることを当業者なら理解するであろう。こういった基板内には、様々なデバイス構成要素(半導体デバイスの構成要素に限らない。図示せず)が形成され得る。第1の基板101及び第2の基板201には、予め、ゲート構造、コンタクトホール、誘電体層、金属ボンディングワイヤ及びビアなどの他の層又は構成要素が形成されていてもよい。
【0045】
本発明は、また、位置合わせマークを備えるウェハ組立体の形成方法であって、
第1の基板と上記第1の基板上に位置する第1の誘電体層とを含んだ第1のウェハを提供し、上記第1の誘電体層に第1のブロックマークを形成し、上記第1の誘電体層と上記第1のブロックマークとを覆う第1の接合層を形成し、上記第1の接合層に第1のドットマークを形成するステップであって、上記第1のドットマークの上面が上記第1の接合層の上面と面一である、ステップと、
第2の基板と上記第2の基板上に位置する第2の誘電体層とを含んだ第2のウェハを提供し、上記第2の誘電体層に第2のブロックマークを形成し、上記第2の誘電体層と上記第2のブロックマークとを覆う第2の接合層を形成し、上記第2の接合層に第2のドットマークを形成するステップであって、上記第2のドットマークの上面が上記第2の接合層の上面と面一である、ステップと、
を含み、
上記第1の基板上への上記第1のドットマークの投影像の外輪郭線が、上記第1の基板上への上記第1のブロックマークの投影像を取り囲み、上記第2の基板上への上記第2のドットマークの投影像の外輪郭線が、上記第2の基板上への上記第2のブロックマークの投影像を取り囲み、
上記第1のブロックマークが上記第2のブロックマークと整合し、
上記第1のドットマークが上記第2のドットマークと整合する、
方法を提供する。
【0046】
本発明は、また、ウェハ位置合わせ方法であって、
上記で定義された第1のウェハ及び第2のウェハを提供するステップと、
上記第1のウェハに光を照射して、上記第1のドットマーク及び上記第1のブロックマークからの反射光により上記第1のウェハ上の位置合わせマークのパターンを取得するステップと、
上記第2のウェハに光を照射して、上記第2のドットマーク及び上記第2のブロックマークからの反射光により上記第2のウェハ上の位置合わせマークのパターンを取得するステップと、
上記第1のウェハ上の位置合わせマークのパターンと上記第2のウェハ上の位置合わせマークのパターンに対して画像処理を行い、その処理の結果に基づいて、上記第1のウェハ及び/又は上記第2のウェハを移動させて、上記第1のウェハと上記第2のウェハの位置合わせを達成するステップと、
を含む方法を提供する。
【0047】
具体的には、接合装置は、第1のウェハと第2のウェハを互いに位置合わせした後、それらを互いに接合し得る。接合装置は、第1のウェハ及び/又は第2のウェハ上の位置合わせマークの監視と上記位置合わせマークの位置の検出を行うための光学装置を含み得る。接合装置は、光源、カメラ、及びそのカメラ内に光学レンズを含み得る。図4に示された構成によれば、上記光源は、第1のウェハ上に光を照射することができ、その光は、別々の層に配設された第1のドットマーク105と第1のブロックマーク104によって接合装置内の上記光学レンズへと反射され得る。上記光学レンズは、これらの反射光から、第1のウェハ上の位置合わせマークのパターンを取得し得る。別々の層に配設された第1のドットマーク105と第1のブロックマーク104からの上記反射光は重畳され得る。これは、第1のウェハ上の位置合わせマークのパターンの明瞭性を確保するためである。その後、第1のウェハを移動させることができる。
【0048】
接合装置は、第2のウェハ20に光を照射することができ、その光は、別々の層に配設された第2のドットマーク205と第2のブロックマーク204によって接合装置内の光学レンズへと反射され得る。上記光学レンズは、これらの反射光から第2のウェハ上の位置合わせマークのパターンを取得し得る。別々の層に配設された第2のドットマーク205と第2のブロックマーク204からの上記反射光は重畳され得る。これは、第2のウェハ上の位置合わせマークのパターンの明瞭性を確保するためである。
【0049】
第1のウェハ上の位置合わせマークのパターンと第2のウェハ上の位置合わせマークのパターンに対して画像処理を行うことができ、その処理の結果に基づいて、第1のウェハ及び/又は第2のウェハを移動させて、第1のウェハと第2のウェハの位置合わせを達成し得る。上記両ウェハは、互いに位置合わせされた後に互いに接合され得る。第1のウェハ上の位置合わせマークのパターンと第2のウェハ上の位置合わせマークのパターンに対して行われる画像処理は、例えば、図8cに概略的に示すように、第1のウェハ上の位置合わせマークのパターンを第2のウェハ上の位置合わせマークのパターンと組み合わせることを含み得る。これに基づいて、第1のウェハ及び/又は第2のウェハを移動させることができる。
【0050】
要約すると、本発明は、位置合わせマークを備えるウェハ組立体、その形成方法及びウェハ位置合わせ方法を提供する。これらはハイブリッド接合での使用に適している。上記位置合わせマークが、第1のウェハ及び第2のウェハの接合層と誘電体層とに配設される。第1のウェハでは、別々の層に配設された第1のドットマークと第1のブロックマークからの反射光を重畳することによって、これらの位置合わせマークのパターンの明瞭性が確保される。上記第1のドットマークは第1の接合層に配設されており、その第1のドットマークの上面は第1の接合層の上面と面一になっている。第1のドットマークが接合面上にあることによって、接合面が微視的に平坦であること、接合後そこに間隙が残らないことが確保される。それに加えて、この接合面上にある第1のドットマークにより、異なる層間の重ね合わせ誤差も解消される。第2のウェハも同様である。したがって、上記位置合わせマークを用いることによって、接合装置では、異なる層間の重ね合わせ誤差を解消でき、パターンを明瞭に取り込むと同時に、接合面間の間隙の問題を防止することができる。本発明の位置合わせマークは、接合品質を損なうことなく、接合精度を効果的に高める上に、接合装置の認識能力を高め、プロセスの安定性を確保することができる。
【0051】
本明細書に開示する各実施形態の説明は、他の実施形態との相違点に焦点を当てて、順次行っている。各実施形態間の同一又は類似の部分については、互いに参照することができる。方法の実施形態については、装置の実施形態に対応しているため、説明を比較的簡潔にしており、詳細は装置の実施形態を参照することができる。
【0052】
上記の説明は、単に本発明のいくつかの好ましい実施形態の説明であり、いかなる意味においてもその範囲を限定することを意図するものではない。上記の教示に基づいて当業者によってなされた変更及び修正は全て、添付の特許請求の範囲に記載の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
10 第1のウェハ、 101 第1の基板、 102 第1の誘電体層、 103 第1の接合層、 104a~f 第1のブロックマーク、 105a~f 第1のドットマーク、 106 第1の金属層、 107 第1の配線層、 20 第2のウェハ、 201 第2の基板、 202 第2の誘電体層、 203 第2の接合層、 204a~d 第2のブロックマーク、 205a~d 第2のドットマーク、 206 第2の金属層、 207 第2の配線層。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図8c
図9
図10