(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】フラットワイピング接点のための自己保持の板バネ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/42 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
H01R13/42 H
(21)【出願番号】P 2023512278
(86)(22)【出願日】2021-08-20
(86)【国際出願番号】 US2021046956
(87)【国際公開番号】W WO2022040559
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2023-02-20
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515059049
【氏名又は名称】アイディール インダストリーズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジア ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ハニー,ジョシュア ウィリアム
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0093149(US,A1)
【文献】特開平10-092503(JP,A)
【文献】特開平10-321279(JP,A)
【文献】特開昭59-003877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/42
H01R 13/15-13/35
H01R 4/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラットワイピングコネクタのための板バネであって、
平面に対応する第1面を有する前区間であり、さらに、板バネを前記フラットワイピングコネクタに接続するように構成されている前エッジを含む、前区間と、
前記前区間の前記第1面に対応する前記平面に対して角度が付いている第2面を有する後区間であり、さらに、前記第2面に接続され、前記第2面に対して角度のある姿勢である第3面を含む、後区間とを備え、
前記後区間のエッジの少なくとも一部は、コネクタハウジングのポジティブストップと相互作用して、前記コネクタハウジングへの板バネの挿入時に前記コネクタハウジングの中に板バネをロックするように構成されている、板バネ。
【請求項2】
さらに、前記前区間と前記後区間との間にある中間区間を備え、
前記前区間は、第1幅の区間であり、
前記中間区間と前記後区間とは、それぞれ第2幅の区間である、請求項1記載の板バネ。
【請求項3】
前記中間区間は、向かい合うエッジを含み、向かい合う前記エッジは、前記コネクタハウジングのそれぞれのスロットの中へスライドするように構成されている、請求項2記載の板バネ。
【請求項4】
前記後区間はさらに、開口を含み、前記開口は、前記第3面のエッジから前記前区間に向かって延びる、請求項1記載の板バネ。
【請求項5】
前記開口は、前記第3面に隣接する、請求項4記載の板バネ。
【請求項6】
前記後区間はさらに、向かい合うエッジを含み、向かい合う前記エッジは、前記コネクタハウジングの各スロットの中へスライドするように構成され、
前記開口は、向かい合う前記エッジの間に位置する、請求項5記載の板バネ。
【請求項7】
向かい合う前記エッジは、全体的に互いに平行であり、前記第3面に対して角度が付いている、請求項6記載の板バネ。
【請求項8】
前記第3面はジョグ機能部の一部であり、前記ジョグ機能部は、前記第3面と、前記第3面に接続された第4面とを含み、
前記第4面は、全体的に前記第2面に平行であり、前記第3面に対して角度が付いている、請求項1記載の板バネ。
【請求項9】
前記ポジティブストップと相互作用するように構成されている前記後区間の前記エッジが、少なくとも部分的に前記第4面に沿って位置する、請求項8記載の板バネ。
【請求項10】
板バネは金属を含む、請求項1記載の板バネ。
【請求項11】
フラットワイピングコネクタを受けるためのシステムであって、
前記フラットワイピングコネクタを受けるように構成されている第1開口を含むコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングの中に取り付けられ、さらに前記フラットワイピングコネクタを前記コネクタハウジングの中に取り付けるように構成されている板バネとを備え、
前記コネクタハウジングはさらに、前記板バネのジョグ機能部に隣接するポジティブストップの機能部を含
み、
前記板バネは、
平面に対応する第1面を有する前区間であり、さらに、板バネを前記フラットワイピングコネクタに接続するように構成されている前エッジを含む、前区間と、
前記前区間の前記第1面に対応する前記平面に対して角度が付いている第2面を有する後区間であり、さらに、前記第2面に接続され、前記第2面に対して角度のある姿勢である第3面を含む、後区間とを備え、
前記後区間のエッジの少なくとも一部は、前記コネクタハウジングの前記ポジティブストップと相互作用して、前記コネクタハウジングへの板バネの挿入時に前記コネクタハウジングの中に板バネをロックするように構成されている、システム。
【請求項12】
前記コネクタハウジングはさらに、第1及び第2スロットを含み、前記第1及び第2スロットは、前記板バネのそれぞれの向かい合う第1及び第2エッジを受けるように構成されている、請求項11記載のシステム。
【請求項13】
前記コネクタハウジングの前記第1及び第2スロットは、前記板バネと相互作用して、前記板バネの湾曲した中間区間に力を加える、請求項12記載のシステム。
【請求項14】
前記コネクタハウジングへの前記板バネの挿入時に、力により、前記板バネの前記ジョグ機能部は、前記コネクタハウジングの底部に向かって下方に移動し、前記ジョグ機能部が前記ポジティブストップに隣接するように静止する、請求項13記載のシステム。
【請求項15】
前記ジョグ機能部は、角度付き部分と平坦部分とを含み、
前記角度付き部分は、前記板バネの
前記後区間に対してある角度に向けられ、前記平坦部分は、全体的に前記後区間に平行であり、さらに前記ジョグ機能部の前記平坦部分は、前記ポジティブストップに隣接する、請求項11記載のシステム。
【請求項16】
前記ポジティブストップは、前記コネクタハウジングと一体に形成されている、請求項11記載のシステム。
【請求項17】
フラットワイピングコネクタを組み立てる方法であって、
第1開口を介して板バネを受けるように構成されているコネクタハウジングを形成するステップであり、前記コネクタハウジングは、一体的に形成されたポジティブストップを含む、形成するステップと
を備え、
前記板バネは、
平面に対応する第1面を有する前区間であり、さらに、板バネを前記フラットワイピングコネクタに接続するように構成されている前エッジを含む、前区間と、
前記前区間の前記第1面に対応する前記平面に対して角度が付いている第2面を有する後区間であり、さらに、前記第2面に接続され、前記第2面に対して角度のある姿勢である第3面を含む、後区間とを備え、
前記後区間のエッジの少なくとも一部は、前記コネクタハウジングの前記ポジティブストップと相互作用して、前記コネクタハウジングへの板バネの挿入時に前記コネクタハウジングの中に板バネをロックするように構成され、
ジョグ機能部を有する板バネを、前記コネクタハウジングの中のロック位置に向けて前記コネクタハウジングの前記第1開口に挿入するステップであり、前記板バネの前記ジョグ機能部は、前記コネクタハウジングの前記ポジティブストップに隣接して、前記板バネを前記コネクタハウジングの中にロックする、挿入するステップとを備えている、方法。
【請求項18】
さらに、
電気伝導体を終端させ、前記電気伝導体をフラットワイピング接点の第1端に圧着するステップと、
前記フラットワイピング接点を前記コネクタハウジングの前記第1開口に挿入するステップであり、前記板バネが前記フラットワイピング接点と相互作用して、前記フラットワイピング接点と前記電気伝導体の端とを前記コネクタハウジングの中にロックする、挿入するステップとを備えている、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記ポジティブストップは、前記板バネの挿入の前に、前記コネクタハウジングに一体的に形成される、請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記板バネを前記コネクタハウジングの中に挿入するステップはさらに、
前記板バネの2つの向かい合うエッジを、前記コネクタハウジングの前記第1開口の中に形成された2つの向かい合うスロットの中へスライドさせることを含む、請求項17記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、概括的に、電気コネクタ、電気コネクタの組み立て方法に関し、さらに詳しくは、フラットワイピングタイプの電気接点のための自己保持バネに関する。
【0002】
本出願は、2020年8月21日に出願された米国仮出願63/068,848号に対する優先権の利益を主張し、その内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
一般に、フラットワイピングのための接点コネクタを含む、電気コネクタが知られている。例えば、フラットワイピングのための接触技術は、資材を扱うトラックの電力接続などの用途に使用される場合がある。単極及び二極のフラットワイピングのための接点コネクタは、蓄電池の接続に使用される場合がある。
【0004】
一例として、米国特許出願公開第2009/0093149号には、フラットワイピングのための接点とその製造方法が記載されている。この文献は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。例えば、プラスチックハウジングは、ハウジングを貫通する通路又はチャンネルを伴って成形される。これは、導体用の大きな後端開口と、組み合わせるコネクタへの電気的接続を行うための一層確かに定義された前端開口とを有する。この通路は、板バネを配置して保持するための側壁スロットで構成されている。板バネは、接点を保持し、別のコネクタに組み合わせられたときに接点に必要な拭き取り圧力を提供する。
【0005】
このようなコネクタを組み立てる方法は、バネを挿入した後に、プラスチック製ハウジングの一部を、バネの後端の後部に冷間成形(ステーキング)することによって、スロットの所定の位置にロックされる大きな後端開口からハウジングにバネを挿入することを含む。ハウジングの外側では、平坦なワイピング接点が適切な導体と組み合わせられている。接点はその後、大きな後端開口を通してハウジングの中に設置され、バネの前端にラッチされるまで前方にスライドされる。
【発明の概要】
【0006】
指摘されている電気コネクタはその意図された目的に適する可能性がある。しかし、一層簡単な組み立てを必要とし、依然としてフラットワイピングコネクタとして機能する、改良されたフラットワイピングコネクタに対する強い要望が残っている。
【0007】
フラットワイピングコネクタのための板バネの例示的な実施形態は、平面に対応する第1面を有する前区間であり、さらに、板バネをフラットワイピングコネクタに接続するように構成されている前エッジを含む、前区間と;前区間の第1面に対応する平面に対して角度が付いている第2面を有する後区間であり、さらに、第2面に接続され、第2面に対して角度のある姿勢である第3面を含む、後区間とを備え;後区間のエッジの少なくとも一部は、コネクタハウジングのポジティブストップと相互作用して、コネクタハウジングへの板バネの挿入時にコネクタハウジングの中に板バネをロックするように構成されている。
【0008】
フラットワイピングコネクタを受けるための例示的なシステムは、フラットワイピングコネクタを受けるように構成されている第1開口を含むコネクタハウジングと;コネクタハウジングの中に取り付けられ、さらにフラットワイピングコネクタをコネクタハウジングの中に取り付けるように構成されている板バネとを備え;コネクタハウジングはさらに、板バネのジョグ機能部に隣接するポジティブストップの機能部を含む。
【0009】
フラットワイピングコネクタを組み立てる方法は、第1開口を介して板バネを受けるように構成されているコネクタハウジングを形成するステップであり、コネクタハウジングは、一体的に形成されたポジティブストップを含む、形成するステップと;ジョグ機能部を有する板バネを、コネクタハウジングの中のロック位置に向けてコネクタハウジングの第1開口に挿入するステップであり、板バネのジョグ機能部は、コネクタハウジングのポジティブストップに隣接して、板バネをコネクタハウジングの中にロックする、挿入するステップとを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】冷間成形されたステークを伴う、フラットワイピング接点のための例示的な電気コネクタハウジングの断面斜視図である。
【
図1B】フラットワイピング接点が取り付けられた
図1Aの例示的な電気コネクタハウジングの断面斜視図である。
【
図2】本開示の教示に係る例示的な板バネの右上斜視図である。
【
図3】本開示の教示に係り、
図8の断面線Zに沿って得られた、
図2の板バネの断面右上斜視図である。
【
図4】本開示の教示に係る
図2の板バネの正面立面図である。
【
図5】本開示の教示に係る
図2の板バネの後立面図である。
【
図6】本開示の教示に係る
図2の板バネの左側立面図である。
【
図7】本開示の教示に係る
図2の板バネの右側立面図である。
【
図8】本開示の教示に係る
図2の板バネの上平面図である。
【
図9】本開示の教示に係る
図2の板バネの下平面図である。
【
図10】2つの板バネと2つの電気コネクタとが挿入された、例示的なコネクタハウジングの斜視図である。
【
図11】本開示の教示に係り、断面切断線を示す
図10の例示的なコネクタハウジングの斜視図である。
【
図12】本開示の教示に係り、
図11の断面線Aに沿って得られた、
図10の例示的なコネクタハウジングの断面斜視図である。
【
図13】本開示の教示に係る、
図12の断面斜視図のクローズアップ図である。
【
図14】本開示の教示に係る、
図12の断面斜視図の代替クローズアップ図である。
【
図15】本開示の教示に係り、
図11の断面線Aに沿って得られた、
図10のコネクタハウジングの別の断面斜視図である。
【
図16】本開示の教示に係り、
図11の断面線Bに沿って得られた、
図10のコネクタハウジングの断面斜視図である。
【
図17】本開示の教示に係る、第1代替的板バネの右上斜視図である。
【
図18】本開示の教示に係る、第2代替的板バネの右上斜視図である。
【
図19】本開示の教示に係る、第3代替的板バネの右上斜視図である。
【
図20】本開示の教示に係る、第4代替的板バネの右上斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の例示的な方法及び装置の記載は、ここに詳述される正確な形態(複数可)に記載の範囲を限定することを意図しない。その代わりに、以下の記載は、他の人がその教示に従うことができるように例示的であることが意図される。
【0012】
ここに記載するのは、フラットワイピング接点ハウジングに挿入できる、フラットワイピング接点電気コネクタのための自己保持バネである。自己保持バネとハウジングとは、バネをハウジングに挿入したときにバネがハウジングの中に保持されるように、有利な形状になっている。従って、本開示に記載された様々な実施形態のハウジングは、バネをハウジングの中に保持するために、冷間成形(ステーキング)される必要はない。
【0013】
図1A及び
図1Bを参照して、ハウジングと、自己保持しないバネとの例を示す。特に、
図1A及び
図1Bは、フラットワイピングコネクタ用の単極ハウジング10の斜視図を示す。これは内部の詳細を明らかにするために断面にされている。
【0014】
後端開口12と前端開口14とは、ハウジング10を通る通路又はチャンネルを画定する。この場合の前端は、オス・メス同体(hermaphroditic)、又はオス・メスがない(genderless)コネクタとして構成され、相補的である顎部15及びU字型フード17の構造は、180度回転された別の同一のコネクタに接続でき、接触面が適切に係合するようになる。対向するオフセット顎部15は、接続中に、係合した接点30(32)を囲むように揃えられ、対をなすコネクタのそれぞれでのU字型フード17は、直線的に入れる(straight-in)接続動作で、対向するコネクタ顎部15を縦方向及び回転方向に揃えて受けるように作用する。U字型フードは、このタイプのコネクタを、直線的に入れる接続動作のみに制限する。
【0015】
再び
図1Aを参照すると、板バネ16は、バネの基部延長部18によって保持される。バネの基部延長部18は、床部24に近接して平行である、2つの対向するバネポケット又はスロット20(1つのみ図示する)に保持される。明らかに、バネスロット20は、バネ挿入のために後端開口12に対して開かれるように構成され、又は、後端開口12からアクセスできるように構成されている。板バネ16は、延長部18がスロット20の中へスライドするように、後端開口12を通して挿入される。バネは、バネステーク26によってスロット20の最終位置に保持され、バネの基部のすぐ後方で、床部24を通って外圧によって上方に駆動される。ステーク(stake,杭部)26は、板バネ16がハウジング10に挿入された後、ハウジング10の床部24に冷間形成される。従って、延長部18の前エッジはスロット20の前エッジを越えて移動することが制限され、板バネ16の後エッジはステーク26によって移動することが制限されるため、板バネ16は所定の位置にロックされる。板バネ16の片持ちの前端は、バリア壁22を越えて延び、床部24から上方に付勢される。
【0016】
組み立ての説明について
図1Bを参照すると、接点30は、バネフック34で終端された前端ワイピング面32と、後端導体受け部36とを含む。(導体は図示しない。)接点30は、前端ワイピング面32がバリア壁22の下を通るように後端開口12に挿入されることによって設置され、バネフック34が板バネ16の前エッジ又は前端をラッチ又はスナップするまで、上方に付勢された板バネ16に乗っている。ハウジングは、導体受け部36の前端がこの時点でバリア壁22に接するように寸法的に構成されている。これにより接点30はその位置にロックされ、それ以上の前方又は後方への動きが抑制され、板バネ16の圧縮によって垂直方向の動きのみに制限される。
【0017】
その後の動作では、バネ16によって提供されるフローティング動作によって、接点30を別の対向するコネクタとの接合中に十分に押し下げることが可能にされる。2つの対向する接点に対して、電流が通過するそれぞれのワイピング面32の圧縮係合を行うワイピング運動によって引き起こされる、わずかな垂直変位を受ける。
【0018】
ただし、
図1A及び
図1Bに示すコネクタを製造するためのコスト及び時間は、製造ステップ数を減らすならば、削減される可能性がある。特に、板バネ16を挿入した後は、ハウジング10の材料を変形させてコネクタをステーキングする必要がある。ここに開示された実施形態には、改良されたコネクタハウジングと、改良されたコネクタハウジングに挿入できる改良された板バネが含まれる。これにより、コネクタハウジングをステーキングすることなく、板バネが自動的にコネクタハウジングに保持される。従って、ここに記載するコネクタと板バネとを使用して、コネクタハウジングをステーキングする製造ステップが省略できる。
【0019】
他のコネクタは、二部構成のハウジング構成を使用しているため、2つの部分が板バネの周りで固定され、ハウジングの中に板バネを固定してよい。ただし、このようなプロセスでは、さらに、ここに開示された実施形態を使用して回避できる、追加のステップが使用される。即ち、二部構成のハウジング構成では、複数のハウジング区間を成形する必要があり、バネコネクタを第1ハウジング区間に配置してから、第2ハウジング区間を第1ハウジング区間に固定する必要がある。さらに、二部構成のハウジングは、一体型のコネクタハウジングよりも耐久性が低くなる可能性がある。ここに開示された実施形態を使用した場合には、単一のコネクタハウジングのみを成形すればよい。2つのコネクタハウジングのピースを互いに固定しなくてよいため、組み立ての時間、コスト、及び手間が削減される。
【0020】
さらに、複数の板バネとコネクタとを受けることができるコネクタハウジングは、ここに記載されている方法に従って有利に形成及び組み立てがされる場合がある。特に、板バネを挿入した後にコネクタハウジングをステーキングしなくてよいため、ハウジングコネクタの形状、サイズ、コネクタ数などが、さらに変化してよい。なぜならば、コネクタを組み立てるためにステーキングを収容しなくてよいからである。
【0021】
図2は、例示的な板バネ200の斜視図であり、これは、開示されるさまざまな実施形態で使用してよい。板バネは、前区間216と中間区間212とを含み、これらは合わせて
図1A及び
図1Bの板バネ16と同様であってよい。中間区間は、
図1A及び
図1Bの板バネ16の延長部18がコネクタハウジング10のスロット20の中へスライドする方式と同様に、コネクタハウジングのスロットの中へスライドできる両側の延長部218を含む。
【0022】
これに加えて、板バネ200は後区間202を含む。後区間202は、有利なこととして、
図10ないし16にさらに図示され説明されるように、板バネ200をコネクタハウジングに挿入して自動的にそこに保持することを可能にする。特に、板バネの後区間202の様々な機能部は、コネクタハウジングと相互作用して、コネクタハウジングにステーキングすること、二部構成のハウジングを有することなどの必要がなく、板バネ200がそこに保持されるようにする。
【0023】
板バネ200の後区間202は、延長部218と同じ幅である2つのエッジ204及び206を含む。従って、エッジ204及び206は、板バネ200がコネクタハウジングに挿入された場合に、延長部218と同様であるコネクタハウジングのスロットによって受けられることができる。板バネ200はさらに、開口208を含む。また、ジョグ210(端操作部210)が後区間202に形成されてよい。しかし、後区間202には、2つのエッジ204及び206が維持されてよい。
【0024】
ジョグ210は、板バネ200の残りの部分から下方へ離れて曲がる。
図10ないし16に示されて説明されているように、ジョグ210は、板バネ200をコネクタに挿入する際にコネクタハウジングに形成されたポジティブストップ(固定的阻止部)と相互作用する。完全に挿入された後にポジティブストップと干渉して、板バネ200をコネクタの中にロックする。
【0025】
図3は、
図8の断面線Zに沿って得られた、
図2の板バネ200の断面右上斜視図である。特に、板バネ200のジョグ210を一層よく示すために、開口208を通る平面に沿って断面を得る。ジョグ210は、角度付き部分220と平坦部分222とを含む。平坦部分222はエッジ224を形成し、これは、コネクタハウジングのポジティブストップと干渉して、板バネ200がハウジングの中に固定されることを確実にするのに有利である。板バネ200が最初にハウジングに挿入された方向とは反対の方向に、板バネ200に沿って力が作用する場合に、平坦なエッジは、コネクタハウジングと板バネ200とを強制的に分離するために必要な力を有利に増加させることができる。
【0026】
角度付き部分220(第3面に対応)と平坦部分222(第4面に対応)とは、後区間202の一部を折り曲げてジョグ210を形成することによって形成してよい。例えば、ジョグ210は、曲げ226及び228によって形成してよい。曲げ226及び228は、同じ又は異なる曲げ半径を有してよく、また、異なる実施形態では異なる半径を有してよい。板バネ200を形成する方法は、開口208を切断することと、後区間202を曲げて曲げ226を形成することと、続いて後区間202を曲げて曲げ228を形成し、それによってジョグ210を形成することとを含む。
【0027】
図4は、
図2の板バネ200の正面立面図である。
図5は、その後立面図である。
図6は、その左側立面図である。
図7は、その右側立面図である。
図8は、その上平面図である。
図9は、その下平面図である。
【0028】
図10は、2つの板バネ216(200)と、挿入された2つの電気コネクタ30(接点30)とを含む、例示的なコネクタハウジング1000の斜視図である。
図11は、断面切断線Aを示す
図10の例示的なコネクタハウジング1000の斜視図である。
図12は、
図11の断面線Aに沿って得られた、
図10の例示的なコネクタハウジング1000の断面斜視図である。
図13は、
図12の断面斜視図のクローズアップ
図1300である。
図14は、例示的なコネクタハウジング1000の、
図12の断面斜視図の別のクローズアップ
図1400である。
【0029】
図13及び
図14に示すように、板バネ又は自己保持バネ1306は、コネクタハウジング1304内で完全に取り付けられた位置にある。板バネのジョグ機能部1406は、ポジティブストップ1404を越えて移動した状態である。板バネの中間区間はわずかに湾曲しているので(
図2、
図4、
図5に示すように)、その延長部によってコネクタハウジング1304のスロット内に抵抗嵌め(resistance fit)が形成される可能性がある。板バネ1306がコネクタハウジング1304に挿入されると、これらのスロットによって中間区間、つまり板バネ1306の全体がコネクタハウジングの底部に向かって付勢される。従って、板バネ1306の端がポジティブストップ1404を越えてスライドすると、ジョグ機能部1406がポジティブストップ1404の隣で下方に移動するように付勢される。従って、完全に挿入されると、ジョグ機能部1406はポジティブストップ1404と干渉して、板バネ1306をコネクタハウジング1304内に取り付ける。別のフラットワイピング接点と別のコネクタハウジングの中で接触できるように、フラットワイピング接点1302をコネクタハウジング1304の中に配置する。後区間1402の全体が、板バネ1306のジョグ機能部1406をさらに支持する。
【0030】
図15は、
図11の断面線Aに沿って得られた、
図10のコネクタハウジング1000の断面斜視図を示す。特に、
図15は、エッジ(例えば、
図2の板バネ200の延長部218のうちの1つ、及びエッジ204)を受けることができるスロット230を示す。
図16でさらに示されるように、スロット230は、
図1A及び
図1Bのコネクタハウジング10のスロット20とは異なる形状をしている。
図16は、
図11の断面線Bに沿って得られた、
図10のコネクタハウジング1000の断面斜視図である。
【0031】
特に、スロット230は、最終的にスロット230が部分232で一定の幅になるまで、コネクタハウジング1000の中に向けてさらに狭くなる広い部分を有する。板バネ200がコネクタハウジング1000に完全に挿入されると、一定幅部分232は、
図2の板バネ200の中間部分(中間区間)212を受けることができる。ここで開示されるように、その一定幅部分232は、わずかに湾曲した中間部分212と相互作用することができ、板バネのジョグ機能部がコネクタハウジングの底部へ付勢されるようにする。従って、板バネが完全に挿入されると、コネクタハウジングの一定幅部分232が中間部分212と相互作用して、板バネが上下又は前方に移動することを防止するので、板バネはコネクタハウジングの中で自動的に所定の位置にロックされる。その一方で、コネクタハウジングのポジティブストップが板バネのジョグ機能部と相互作用して、板バネが後方に移動することを防止する。
【0032】
さらに、スロット230は最初に広くなり、徐々に中間部分212を一定幅部分232に向けてガイドする。この構成により、板バネのエッジと延長部とが、一層容易にスロット230に進入することを可能にする(例えば、スロット230が完全に一定幅部分232の幅になっているコネクタハウジングとは対照的である)。このように、スロット230は、一層簡単かつ迅速に、板バネをコネクタハウジングに挿入することができるように、形作られ、構成されている。
【0033】
ここに開示される板バネ200には、他の利点がある。上述のステーキングは、ステーキングプロセスによってコネクタが弱くなったり、及び/又は、ステーキングが行われるコネクタの壁が薄くなったりする可能性があるため、コネクタのシール要件を損なう可能性がある。さらに、コネクタハウジングを適切にステーキングするために、ステーキングでは、複数の接点を有するコネクタを横方向に配置し、同じ方向に向ける必要がある可能性がある。プロセスからステーキングを除去することで、ステーキングによってどのように接点を向けるかが制限されないため、ハウジングの中の接点が異なった姿勢に向けられるようになる。
【0034】
もう1つの利点として、板バネはジョグ(例えば、板バネ200のジョグ210)を含む。ジョグは、コネクタハウジングの中に板バネを取り付ける板バネの中間区間から離れた、又はスペースをおいた位置に設置されている。ジョグ機能部を板バネの他の区間から十分に離れた位置に配置することで、絶縁体ハウジングへの挿入時に板バネの後区間の全体が撓んでよい。これにより、挿入時のジョグ機能部への応力を減少させることができる。挿入時の応力の減少により、硬い形状や材料をジョグ機能部自体に使用することを可能にして、板バネのバネ保持力を高める。つまり、板バネの挿入時にジョグ機能部とポジティブストップ機能との相互作用に基づいて、後区間の全体が撓むことを可能にしつつ、ジョグ機能部を剛性があるように保つことができる。
【0035】
さらにジョグ機能部は、概括的に板バネの後区間の中央に配置してよい。この方法では、板バネにトルクを与えることを可能にしたり、又は不均等な力がポジティブストップから板バネに与えられることを可能にしたりするのではなく、板バネに作用して板バネをポジティブストップに押しつける任意の力は、概括的に板バネに均等に分散される。
【0036】
図2ないし16に示した以外のコネクタハウジングと板バネとの他の構成が、さらに、フラットワイピング接点のための自己保持バネを実現するために使用されてよい。
図17ないし20は、本開示の様々な実施形態で使用できる他の板バネの様々な例を示す。
【0037】
図17は、第1代替的板バネの右上斜視図である。
図17の板バネは
図2の板バネ200と同様であるが、ジョグ機能部を形成する曲げの半径が曲げ226及び228より小さい点が例外である。これに加えて、
図2及び17に示される半径よりも小さい又は大きい他の半径を使用してよい。さらに、丸みのある曲げを有さない板バネが形成されてよい。即ち、ここに開示されるコネクタハウジングへロックする、ジョグ機能部などを依然として有する、板バネが形成されてよい。
【0038】
図18は、第2代替的板バネの右上斜視図である。
図18の板バネは、ジョグの特徴を形成するために、後区間に単一の曲げのみを有する。
【0039】
図19は、第3代替的板バネの右上斜視図である。
図19の板バネは、ここで開示されるジョグ機能部と同様に機能するように、完全に下に曲げてよい。
図19の板バネの後区間は、コネクタハウジングのスロット内に嵌合するエッジを有さないが、ここで開示されるコネクタハウジングのスロット内に嵌合する延長部を有する中間区間を有する。
【0040】
図20は、第4代替的板バネの右上斜視図である。
図20の板バネは、後区間ではなく、2つのウィング部分で構成されている。例えば、ウィング部分は外側に曲がっていてよく、コネクタハウジングの側面に形成されてよいポジティブストップと相互作用する。
図20の板バネが完全に挿入されると、ウィングはポジティブストップを越えて移動してよく、板バネが逆にコネクタハウジングの外へ移動するのを防ぐためにポジティブストップと干渉する。
【0041】
従って、ここに開示される板バネの異なる構成から明らかなように、板バネの多くのさまざまなタイプ、形状及び構成を使用して、挿入時にコネクタハウジングに自動的にロックする自己保持の板バネを形成してよい。このような板バネは、フラットワイピングコネクタの望ましい仕様に適した、プラスチック、金属(例えばステンレス鋼)、又は任意の他の材料など、任意のタイプの材料で作成してよい。コネクタハウジングは、所望に応じてプラスチック、ゴム、又は任意の他の絶縁材料などの絶縁材料で作成してよい。
【0042】
ここでは、特定の方法及び装置の例が説明されているが、本特許のカバーする範囲はそれに限定されない。その反対に、この特許は、文字通り又は均等論の法理の下で、添付された請求項に正しく該当する全ての方法、装置及び製造品を対象とする。