(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】浮体式洋上風力タービン
(51)【国際特許分類】
F03D 13/25 20160101AFI20240610BHJP
G01W 1/10 20060101ALN20240610BHJP
B63B 35/00 20200101ALN20240610BHJP
【FI】
F03D13/25
G01W1/10 R
B63B35/00 T
(21)【出願番号】P 2023515581
(86)(22)【出願日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2021072219
(87)【国際公開番号】W WO2022053244
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-04-26
(31)【優先権主張番号】102020123375.2
(32)【優先日】2020-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521154291
【氏名又は名称】エル・ヴェー・エー リニューワブルズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】RWE Renewables GmbH
【住所又は居所原語表記】RWE Platz 4, 45141 Essen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】ヨルン ルンゲ
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0140426(US,A1)
【文献】特表2017-521597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 1/00-80/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋上風力発電所(450)であって、
- 複数の洋上風力タービン(100、200、300、400)を備え、各浮体式洋上風力タービン(100、200、300、400)は、
- 少なくとも1つの浮動体(106、206、30)を備える少なくとも1つの浮体式基礎(104、204、304)と、
- 前記洋上風力タービン(100、200、300、400)のアンカリング状態において前記洋上風力タービン(100、200、300、400)を水中地盤(116、216、316)に固定するように構成された少なくとも1つのアンカリング機構(108)と、
- 前記洋上風力タービン(100、200、300、400)の少なくとも1つの特定の気象環境パラメーターに基づいて、前記アンカリング状態中における前記水中地盤(116、216、316)の水中地盤面(118、218、318)および/または水面(114、214、314)までの前記浮体式基礎(104、204、304)の垂直距離(120、220、320)を変更するように構成された、少なくとも1つの高さ調節デバイス(112、212、312)と
を備え、
前記洋上風力発電所(450)はさらに、
- 高さ設定点に従って前記水中地盤(116、216、316)の水中地盤面(118、218、318)および/または水面(114、214、314)までの前記洋上風力タービン(100、200、300、400)の浮体式基礎(104、204、304)の垂直距離に変更を引き起こすための前記高さ設定点を用いて、洋上風力タービン(100、200、300、400)の少なくとも1つの第1の高さ調節デバイス(112、212、312)を制御するように構成された、少なくとも1つの高さ制御装置(452)であって、前記高さ設定点は、前記洋上風力タービン(100、200、300、400)
の少なくとも1つの気象環境条件に少なくとも応じて変わる、少なくとも1つの高さ制御装置(452)
を備える、洋上風力発電所(450)であって、
- 前記高さ設定点は、第1の洋上風力タービン(100、200、300、400)の、前記洋上風力発電所(450)の少なくとも1つのさらなる洋上風力タービン(100、200、300、400)に対する位置に応じて変わり、
- 前記高さ調節デバイス(112、212、312)は、前記浮体式基礎(104、204、304)に接続された少なくとも1つの重量機構(312)を備え、前記重量機構(312)は、少なくとも、前記水中地盤面(118、218、318)に下降された状態と、前記水中地盤面(118、218、318)から上昇された状態との間で変更可能である
ことを特徴とする、洋上風力発電所(450)。
【請求項2】
- 第1の気象環境条件と、前記第1の気象環境条件とは異なる第2の気象環境条件とが少なくとも指定されており、
- 前記第1の気象環境条件が前記特定の気象環境パラメーターによって満たされていることが検出されたときに、前記高さ調節デバイス(112、212、312)は、前記第1の気象環境条件に関連付けられた第1の垂直距離を調節することによって前記垂直距離を変更するように構成されており、
- 前記第2の気象環境条件が前記特定の気象環境パラメーターによって満たされていることが検出されたときに、前記高さ調節デバイス(112、212、312)は、前記第2の気象環境条件に関連付けられた第2の垂直距離を調節することによって前記垂直距離を変更するように構成されている
ことを特徴とする、請求項1に記載の洋上風力発電所(450)。
【請求項3】
- 前記少なくとも1つの特定の気象環境パラメーターは、
- 風向、
- 風力、
- 波高
を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の洋上風力発電所(450)。
【請求項4】
- 前記高さ調節デバイス(112、212、312)は、バラスト媒体(225)で充填できる少なくとも1つのバラストタンク(226)を備え、
- 前記高さ調節デバイス(112、212、312)は、前記バラストタンク(226)の充填レベル(227)および/または全体密度を変更するように構成された少なくとも1つのバラスト媒体搬送機構(228)を備える
ことを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の洋上風力発電所(450)。
【請求項5】
- 前記バラスト媒体搬送機構(228)は、前記バラスト媒体(225)を前記バラストタンク(226)中にアクティブに搬送することおよび/または前記バラスト媒体(225)を前記バラストタンク(226)の外にアクティブに搬送することによって、前記バラストタンク(226)の充填レベル(227)を変更するように構成された、少なくとも1つのポンプデバイス(230)を備えることを特徴とする、請求項4に記載の洋上風力発電所(450)。
【請求項6】
- 第1の気象環境条件と、前記第1の気象環境条件とは異なる第2の気象環境条件とが少なくとも指定されており、
- 前記高さ制御装置(452)は、前記第1の気象環境条件が前記特定の気象環境パラメーターによって満たされていることが検出されたときに、前記第1の気象環境条件に関連付けられた第1の所定の高さ設定規則による第1の高さ設定点を用いて、前記複数の洋上風力タービン(100、200、300、400)を制御するように構成されており、
- 前記高さ制御装置(452)は、前記第2の気象環境条件が前記特定の気象環境パラメーターによって満たされていることが検出されたときに、前記第2の気象環境条件に関連付けられた第2の所定の高さ設定規則による、前記第1の高さ設定点とは少なくとも部分的に異なる第2の高さ設定点を用いて、前記複数の洋上風力タービン(100、200、300、400)を制御するように構成されている
ことを特徴とする、請求項1~5の何れか一項に記載の洋上風力発電所(450)。
【請求項7】
- 前記第1の気象環境条件に関連付けられ
た第1の高さ設定規則と、前記第2の気象環境条件に関連付けられ
た第2の高さ設定規則とは少なくとも、前記高さ制御装置(452)のデータメモリー機構(464)に格納された所定の割当てテーブルの形態でマッピングされていることを特徴とする、請求項6に記載の洋上風力発電所(450)。
【請求項8】
- 前記複数の洋上風力タービン(100、200、300、400)は、それぞれが同一の第1のパーク位置属性を有する第1のサブグループの洋上風力タービン(100、200、300、400)と、それぞれが同一の第2のパーク位置属性を有する第2のサブグループの洋上風力タービン(100、200、300、400)とに少なくともグループ分け可能であり、
- 前記高さ制御装置(452)は、第2のサブグループの洋上風力タービン(100、200、300、400)を制御するために使用される前記高さ設定点とは異なる高さ設定点を用いて、前記第1のサブグループの洋上風力タービン(100、200、300、400)を制御するように構成されている
ことを特徴とする、請求項1~7の何れか一項に記載の洋上風力発電所(450)。
【請求項9】
- 前記洋上風力発電所(450)は、少なくとも1つの測定または予測された気象環境条件で、前記複数の洋上風力タービン(100、200、300、400)を制御するための前記高さ設定点を決定するように構成された、少なくとも1つの高さ設定点決定デバイス(462)を備え、
- 前記高さ設定点決定デバイス(462)は、前記洋上風力発電所(450)の前記複数の洋上風力タービン(100、200、300、400)のシミュレーションモデルに基づいて、複数のシミュレーションステップを行うように構成されており、
- 各シミュレーションステップにおいて、前記複数の洋上風力タービン(100、200、300、400)に関して、異なる高さ設定点が設定され、前記高さ設定点に関して総発電量が決定され、
- 前記気象環境条件で前記複数の洋上風力タービン(100、200、300、400)を制御するための前記高さ設定点は、前記決定された総発電量が最大になる高さ設定点になるように決定される
ことを特徴とする、請求項1~8の何れか一項に記載の洋上風力発電所(450)。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載の洋上風力発電所(450)を動作させる方法であって、前記方法は、
- 前記洋上風力タービン(100、200、300、400)の少なくとも1つの高さ調節デバイス(112、212、312)によって、前記洋上風力タービン(100、200、300、400)の少なくとも1つの特定の気象環境パラメーターに基づいて、前記洋上風力タービン(100、200、300、400)の前記アンカリング状態中における前記水中地盤(116、216、316)の水中地盤面(118、218、318)および/または水面(114、214、314)までの、前記浮体式洋上風力タービン(100、200、300、400)の浮体式基礎(104、204、304)の垂直距離(120、220、320)を変更することを含み、
- 前記高さ調節デバイス(112、212、312)は、前記浮体式基礎(104、204、304)に接続された少なくとも1つの重量機構(312)を備え、前記重量機構(312)は、少なくとも、前記水中地盤面(118、218、318)に下降された状態と、前記水中地盤面(118、218、318)から上昇された状態との間で変更可能である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、少なくとも1つの浮動体を備える少なくとも1つの浮体式基礎と、洋上風力タービンのアンカリング状態において洋上風力タービンを水中地盤に固定するように構成された少なくとも1つのアンカリング機構とを備える、浮体式洋上風力タービンに関する。さらに、本願は、洋上風力発電所、方法、および浮体式基礎に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる再生可能なエネルギー源から電気エネルギーを供給するために、少なくとも1つの風力タービンを有する風力エネルギーシステムおよび風力発電所がそれぞれ、ますます利用されるようになっている。風力タービンは、具体的には、風の運動エネルギーを電気エネルギーに変換するように構成されている。
【0003】
このようなシステムのエネルギー生成量を増大させるために、風が強い可能性がある地点に風力発電所がますます配置されている。具体的には、洋上の地点は通常、比較的風がとぎれない状況があることおよび平均風速が高いことを特徴とし、そのため、いわゆる洋上風力エネルギーシステムおよび洋上風力発電所がそれぞれ、ますます建設されている。
【0004】
通常は、洋上風力発電所は、複数の洋上風力タービンなどの複数の洋上構造物および少なくとも1つの洋上変電所を備え、その洋上変電所によって、洋上風力発電所は、例えば陸上変電所または別の洋上変電所および洋上変換所それぞれに電気接続されている。
【0005】
さらに、陸上変電所は公共の電力網に接続することができる。2つの洋上構造物の間、または、洋上構造物と陸上構造物との間で電気エネルギーを伝送するために、電力ケーブルが海底ケーブルの形態で敷設されている。
【0006】
基礎構造物(例えば、モノパイル、トリポッド、トリパイルまたはジャケット基礎)によって、水中地盤の、具体的には海底上または海底内に洋上風力発電所がアンカリングされることが一般的な手法であったが、具体的には、水深が大きい、例えば150メートル超の領域に、浮体洋上風力タービンなどの浮体洋上構造物の設置を検討することが増えている。
【0007】
浮体式洋上風力タービンまたは浮体洋上風力タービンは、少なくとも1つの浮動体を有する少なくとも1つの浮体式基礎を備える。風力タービンを有する風力発電デバイスは、浮体式基礎上に設置される。
【0008】
洋上風力タービンの(恒久的な)静止動作のために、洋上風力タービンは、少なくとも1つのアンカリング機構によって水中地盤(通常は海底)に固定されている。少なくとも1つのアンカリング機構は、洋上風力タービンのアンカリング状態において洋上風力タービンを水中地盤に固定するように構成されている。
【0009】
先行技術では、気象環境パラメーター(例えば、平均風速および平均風向)の測定および/または予測が前もって行われる。これらは、洋上風力発電所の設置の根拠として働く。したがって、洋上風力タービンは、これらの測定値および/または予測値に基づいて設置され、具体的には、設置中に主な風向に一旦位置合わせされる。
【0010】
これは、設置された浮体洋上風力発電所が主な気象環境条件(すなわち、主として優勢な気象環境条件)に対して最適化されることを可能にでき、したがって、対応する実際の気象条件下で、発電量が最大にされ、すなわち、電気生成量が最適化される。しかし、環境条件は洋上風力発電所の動作中に変化する可能性がある。しかし、気象環境条件が変化すると、先行技術により知られている洋上風力発電所では電気生成量が低くなる。
【0011】
したがって、本願の目的は、変化する気象環境条件下でも、少なくとも1つの洋上風力タービンの静止動作中に洋上風力発電所の電気生成量を最大にすることができる浮体式洋上風力タービンを提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願の第1の態様によれば、その課題は請求項1に記載の浮体式洋上風力タービンによって解決される。洋上風力タービンは、少なくとも1つの浮動体を備える少なくとも1つの浮体式基礎を備える。洋上風力タービンは、洋上風力タービンのアンカリング状態において洋上風力タービンを水中地盤に固定するように構成された少なくとも1つのアンカリング機構を備える。洋上風力タービンは、洋上風力タービンの少なくとも1つの特定の気象環境パラメーターに基づいて、アンカリング状態中における水中地盤の水中地盤面および/または水面までの浮体式基礎の垂直距離を変更するように構成された、少なくとも1つの高さ調節デバイスを備える。
【0013】
具体的には、高さ調節デバイスは、少なくとも1つの所定の気象環境条件、および洋上風力タービンの少なくとも1つの特定のまたは提供された気象環境パラメーターに基づいて、アンカリング状態中における水中地盤面までの浮体式基礎の垂直距離を変更するように構成することができる。
【0014】
先行技術とは異なり、本願によれば、水中地盤面までの垂直距離、したがって洋上風力タービンのハブの高さを、洋上風力タービンの設置場所における(現時点で)測定および/または予測される気象条件に応じて変更できる浮体式洋上風力タービンを提供することによって、変化する気象環境条件下でも、洋上風力タービンの、具体的には洋上風力発電所の、(静止動作中の)電気生成量の最大化が可能になる。
【0015】
具体的には、本願による洋上風力タービンは、洋上風力タービンの設置場所における気象条件に応じて、具体的には発電量を最適化できるように、少なくとも、2つの異なる距離の間で基礎と水中地盤面との間の垂直距離の調節を可能にする、高さ調節デバイスを備える。
【0016】
本願による洋上風力タービンは浮体式洋上風力タービンである。洋上風力タービンは、少なくとも1つの浮体式基礎を備える。少なくとも1つの基礎上には、具体的には、タワー、ナセル、ローター、ジェネレーターなどを備える風力発電デバイスが配置されている。
【0017】
少なくとも1つの浮体式基礎は少なくとも1つの浮動体を備える。浮動体および浮揚体はそれぞれ、具体的には、アルキメデスの原理に従って押しのけた分の浮力によって独立に浮動可能である。浮動体は、例えば、中空であり、空気または軽量の固体材料で充填することができる。具体的には、浮体式基礎は実質的に浮動体を形成できる。
【0018】
浮体式基礎は、好ましくは、いわゆるバージ基礎、セミサブマーシブル基礎、スパー基礎および/または緊張係留式プラットフォーム(TLP)基礎とすることができる。本願の他の変形例では他のタイプの浮体式基礎が提供され得ることが理解されるものとする。
【0019】
本願によれば、浮体式基礎は、少なくとも1つのアンカリング機構によって、水中地盤に固定またはアンカリングされる。具体的には、複数の(例えば、3つまたは4つの)アンカリング機構を固定のために設けることができる。
【0020】
本願によるアンカリング機構は、具体的にはアンカーロープまたはアンカーチェーンの形態の、アンカリング接続部を備えることができる。アンカリング接続部の一端は基礎に固定されており、他端は少なくとも1つのアンカー(例えば、ウェイトアンカー、魚雷型アンカーなど)に固定されている。アンカーは、水中地盤に少なくとも部分的に埋めることができる。
【0021】
基礎が、したがって洋上風力タービンが、少なくとも1つのアンカリング機構によって水中地盤に固定されているという状態は、ここでは、具体的には、基礎および洋上風力タービンそれぞれのアンカリング状態と称される。
【0022】
本願によれば、高さ調節デバイスによって洋上風力タービンの垂直距離(または水線までの垂直高さ)を変更できることが確認された。具体的には、垂直距離の変更が(現時点で存在するおよび/または特定の今後の期間について予測される)少なくとも1つの気象環境パラメーターに応じて変わる場合は、垂直高さの調節によって、具体的には洋上風力発電所全体の電気生成量を改善できることが確認された。
【0023】
少なくとも1つの特定の気象環境パラメーターは、具体的には、提供される気象環境パラメーターである。具体的には、この少なくとも1つのパラメーターは、洋上風力発電所および/または気象サービスの少なくとも1つの気象測定デバイス(例えば測定マスト)によって提供することができる。少なくとも1つの気象環境パラメーターの評価に応じて、垂直高さおよび垂直距離はそれぞれ、変更する(または変更しないままにする)ことができる。
【0024】
好ましくは、少なくとも1つの特定の気象環境パラメーターと、少なくとも1つの特定の気象環境条件を評価できる。気象環境条件(または基準)は、具体的には、少なくとも1つの気象環境パラメーター範囲を含む。評価中は、特定の、具体的には提供された気象環境パラメーターが少なくとも1つの環境パラメーター範囲内にあるか否かをチェックできる。言い換えれば、少なくとも1つの気象環境パラメーター(値)が少なくとも1つの環境条件を満たすか否かをチェックできる。
【0025】
これに応じて、基礎(例えば、下面を基準点とすることができる)と、水中地盤面(例えば、水中地盤の現在の表面を基準点とすることができる)との間の垂直距離、または、基礎(例えば、下面を基準点とすることができる)と、水面との間の垂直距離を、変更する、すなわち、大きくするかまたは小さくする(または変更しないままにする)ことができる。言い換えれば、ナセルと水線との間の垂直距離を変更する、すなわち、大きくするかまたは小さくする(または変更しないままにする)ことができる。
【0026】
以下では水中地盤面までの垂直距離の変更にだけ言及することに留意されたい。普通は水中地盤面までの垂直距離の変更には水面までの垂直距離の対応する変更を伴うことを理解されるものとする。
【0027】
本願による洋上風力タービンの一実施形態によれば、第1の気象環境条件と、第1の気象環境条件とは異なる第2の気象環境条件とを少なくとも提供することができる。例えば、2つの主な風向(例えば、夏季モンスーンおよび冬季モンスーン)を有する設置領域において、対応する第1の気象環境条件および第2の気象環境条件を提供できる。本願の他の変形例では、3つ以上の異なる気象(典型的な)環境条件を提供することもできる。
【0028】
第1の気象環境条件が(少なくとも1つの)特定の気象環境パラメーターによって満たされていることが検出された(例えば、少なくとも1つの特定の気象環境パラメーターが第1の気象環境条件の少なくとも1つの第1の気象環境パラメーター範囲内にあるか(またはないか)どうかが検出/チェックされた)ときに、高さ調節デバイスは、第1の気象環境条件に関連付けられた第1の垂直距離を調節することによって垂直距離を変更するように構成することができる。
【0029】
第2の気象環境条件が特定の気象環境パラメーターによって満たされていることが検出された(例えば、少なくとも1つの特定の気象環境パラメーターが第2の気象環境条件の少なくとも1つの第2の気象環境パラメーター範囲内にあるか(またはないか)どうかが検出/チェックされた)ときに、高さ調節デバイスは、第2の気象環境条件に関連付けられた第2の垂直距離を調節することによって垂直距離を変更するように構成することができる。
【0030】
具体的には、説明した関連付けは、データメモリー機構に格納することができる。単純に、その設置場所における気象環境条件の変化は垂直距離の特定の変化を引き起こす場合がある。
【0031】
関連付けられた垂直距離の設定とは、具体的には、現在の距離が特定の値の分だけ変更されることを意味する。好ましくは、設定されることになる垂直距離は、具体的には高さ設定点の形態で各気象環境条件に関連付けることができる。この高さ設定点は、高さ設定点に従って垂直距離を変更するように高さ調節デバイスを制御するために使用できる。
【0032】
本願による洋上風力タービンのさらなる実施形態によれば、少なくとも1つの特定の気象環境パラメーターは、
- 風向(測定値および/または予測値)、
- 風力(測定値および/または予測値)、
- 波高(測定値および/または予測値)、
を含む群から選択できる。
【0033】
これらの気象環境パラメーターは、洋上風力タービンによる発電量に特に関係がある。
【0034】
具体的には、波高が、浮体式洋上風力タービンの傾斜角に、したがって発生され得る電力に影響を与える可能性があることが確認された。傾斜角が(例えば、10°と20°との間の)特定の限界値を超えると、発生され得る電気エネルギーおよび電力はそれぞれ減少する。したがって、例えば、うねりが特定の限界値(波高xm)を超える場合に、水底面までの距離を小さくすることができる。そうすることで傾斜角を小さくし、したがって生成量を増大させることができる。
【0035】
好ましくは、前述の気象環境パラメーターの2つ、好ましくはすべてを決定し、具体的には提供することができる。本願のさらなる変形例において、代替的または付加的に、少なくとも1つのさらなる気象環境パラメーター(例えば、降水量、日射量など)を提供することができる。
【0036】
さらに、本願による洋上風力タービンの好ましい実施形態によれば、高さ調節デバイスは、バラスト媒体(好ましくは水、具体的には海水)で充填できる少なくとも1つのバラストタンクを備えることができる。好ましくは、少なくとも1つのバラストタンクは、少なくとも1つの基礎に一体化することができる。バラストタンクを基礎の外側に取り付けることもできる。
【0037】
2つ以上の基礎および基礎要素がそれぞれ設けられる場合は、各基礎がバラストタンクを有することができる。少なくとも1つのバラストタンクは、具体的には充填/排出が基礎の純粋に垂直の移動をもたらすように配置することができる。バラストタンクが複数ある場合、充填/排出は、具体的には、少なくとも2つのバラストタンクのほぼ一様の充填/排出を実行できるように同期して制御することができる。
【0038】
高さ調節デバイスは、少なくとも1つのバラストタンクの充填レベルおよび/または全体密度を変更するように構成された少なくとも1つのバラスト媒体搬送機構を備えることができる。バラスト媒体搬送機構は、基礎内または上に配置できる。充填レベルおよび/または全体密度を変更することによって、具体的には、前記垂直距離が変更される。本実施形態では、高さ設定点は、充填設定量(例えば、満量、半量、空、xリットルなど)とすることができる。このような予め定義された高さ設定点によれば、バラスト媒体搬送機構は、前記垂直距離を変更するためにバラストタンクの充填レベルおよび/または全体密度を変更することができる。
【0039】
特に好ましくは、バラスト媒体搬送機構は、バラスト媒体をバラストタンク中にアクティブに搬送することおよび/またはバラスト媒体をバラストタンクの外にアクティブに搬送することによってバラストタンクの充填レベルを変更するように構成された、少なくとも1つのポンプデバイスとすることができる。具体的には、バラストタンクの外へのバラスト媒体のアクティブな搬送が実行される場合は、充填はタンク開口部を開けることによってパッシブに行うことができる。具体的には、バラストタンク中へのバラスト媒体のアクティブな搬送が実行される場合は、排出はタンク開口部を開けることによってパッシブに行うことができる。しかし、好ましくは、充填および排出の両方を実行するために少なくとも1つのポンプデバイスを設けることができる。
【0040】
特定の充填レベルの設定は、制御モジュール(好ましくは、少なくとも1つの適切なコントローラーを有する制御モジュール)によって制御することができる。充填レベルをモニタリングするために充填レベル測定要素を使用できる。これは、充填設定量の形態の、予め定義された高さ設定点を確実に設定可能にすることができる。
【0041】
代替的または付加的に、本願による洋上風力タービンのさらなる実施形態によれば、高さ調節デバイスは、浮体式基礎に接続された少なくとも1つの重量機構を備えることができ、その重量機構は、例えば適切なリフティングデバイスによって、少なくとも、水中地盤面に下降された状態と水中地盤面から上昇された状態との間で変更可能である。
【0042】
具体的には、重量機構は、基礎に接続できる重量接続部(例えば、アンカーロープおよび/またはアンカーチェーン)を備えることができる。重量接続部の他端は、重量要素に接続できる。下降された状態では、重量要素を下に降ろすことおよび水中地盤面に下降させることがそれぞれできる。その状態では、具体的には、重量機構の少なくとも1つの重量要素によって重量の力が基礎に実質的に加えられない。
【0043】
上昇された状態では、重量要素を水中地盤面から上昇させ、すなわち、水中地盤面に接触しないようにすることができる。その状態では、具体的には、重量の力(重量機構の重量要素の重量に対応する)が、重量機構の少なくとも1つの重量要素によって基礎に加えられている。前記状態の間で調節することによって前記垂直距離に変更を引き起こすことができる。
【0044】
さらに、本願による洋上風力タービンのさらなる実施形態では、洋上風力タービンは、代替的または付加的に、少なくとも1つのアンカー接続部につなげられた少なくとも1つのウィンチデバイスを備えることができる。ウィンチデバイスは、アンカーと浮体式基礎との間のアンカー接続部の長さを変更する、すなわち、具体的には高さ設定点に従ってその長さを短くするかまたは長くするように構成することができる。具体的には、ウィンチデバイスは、実質的に筒状の回転可能なドラムを備える。
【0045】
本事例では、つなげられているとは、具体的には、少なくとも1つのアンカー接続部が、アンカーロープまたはアンカーチェーンの形態で、ドラムに(具体的には、最小長さと最大長さとの間で)巻き取りおよび繰り出しをそれぞれできることを意味する。アンカー接続部の一端は、ウィンチデバイスのドラムまたは別の取付け点に確実に取り付けることができる。
【0046】
好ましくは、ウィンチデバイスは、洋上構造物から電気エネルギーが供給され得る、少なくとも1つの制御可能なモーター式のドライブ、具体的には、電気モーターを備えることができる。ドライブは、具体的には、(現在および/または予測される今後の)高さおよび垂直距離がそれぞれ、少なくとも1つの高さ設定点パラメーターに(実質的に)対応するかまたは許容できる位置範囲内に少なくとも入るように長さが変更されるように、制御モジュールによって制御できる。
【0047】
さらなる実施形態によれば、ウィンチデバイスは、少なくとも1つのパーキングブレーキを備えることができる。パーキングブレーキは、アンカー接続部の長さを変更するために解放可能(および変更後にロック可能)でよい。アンカー接続部の長さの変更が起きるときは、例えば、制御モジュールはパーキングブレーキを、それが解放されるように制御することができる。次に、具体的にはドライブによって、説明したようにアンカー接続部の長さを変更できる。その後、自動的にまたは例えば制御モジュールによる新たな制御によって、パーキングブレーキを(再び)ロックできる。ドライブへの負荷をこのように軽減できる。
【0048】
したがって、アンカー接続部の長さを変更することによって、垂直距離を変更できる。ウィンチデバイスを使用するときは、水中地盤にアンカーをより深く埋め込み、かつ/または(ウィンチデバイスが設けられない場合と比べて)アンカーの重量を増大させる必要がある可能性があることが理解されるものとする。
【0049】
本願のさらなる態様は洋上風力発電所である。洋上風力発電所は、先に説明した複数の洋上風力タービンを備える。洋上風力発電所は、高さ設定点に従って水中地盤面までの洋上風力タービンの浮体式基礎の垂直距離に変更を引き起こすための高さ設定点を用いて、洋上風力タービンの少なくとも1つの第1の高さ調節デバイスを制御するように構成された、少なくとも1つの高さ制御装置を備え、高さ設定点は、洋上風力タービンの少なくとも1つの気象環境条件に少なくとも応じて変わる(具体的には、先に説明したように、それに関連付けられている)。
【0050】
具体的には、(中央)高さ制御装置(例えば、洋上風力発電所の中央制御デバイスにソフトウェアモジュールとして実装される)を設けることができる。複数の洋上風力タービンは、通信ネットワークを介して、例えば、少なくとも1つの(先に説明した)高さ設定点を含む少なくとも1つの制御コマンドを送信することによって、制御することができる。
【0051】
本願による洋上風力発電所の好ましい実施形態によれば、高さ設定点は、付加的に、第1の洋上風力タービンの、洋上風力発電所の少なくとも1つのさらなる洋上風力タービンに対する位置に応じて変わることがある。言い換えれば、高さ設定点はそのときに位置依存でよい。
【0052】
好ましくは、特定の洋上風力タービンの制御に用いられる高さ設定点は、洋上風力発電所内におけるその洋上風力タービンの位置に応じて変わることがある。例えば、各洋上風力タービンは、パーク位置属性(例えば、洋上風力タービンの地理的表示、特定の方向(例えば、主な風向)に対して位置している洋上風力タービン列の表示および/または同様の事項)に関連付けることができる。高さ制御装置によってアクセスできるデータメモリー機構には、例えば、洋上風力タービンのタービン識別子を、少なくとも1つのパーク位置属性(パーク位置を示す)と一緒に格納することができる。
【0053】
具体的には、洋上風力タービンが特定の気象環境条件下で別の洋上風力タービンの風下に位置する場合に、電気エネルギー生成量が低減される恐れがあることが確認された。本願による洋上風力タービンのそれぞれのパーク位置を考慮に入れることによって、エネルギー生成量をさらに増大させることができる。例えば、(現在のまたは予測される主な風向に見て)前後に配置される2つの洋上風力タービンに関して、異なる垂直距離、したがってハブの高さを設定できる。そのことは、これら2つの洋上風力タービンの総生成量を増大させることができる。
【0054】
本願による洋上風力発電所のさらなる実施形態によれば、第1の気象環境条件と、第1の気象環境条件とは異なる第2の気象環境条件とを(先に説明したように)少なくとも予め決定することができる。
【0055】
先に説明したように、高さ制御装置は、第1の気象環境条件が特定の気象環境パラメーターによって満たされていることが検出されたときに、第1の気象環境条件に関連付けられた第1の所定の高さ設定規則による第1の高さ設定点を用いて、複数の洋上風力タービンを制御するように構成することができる。具体的には、現在のまたは予測される気象パラメーターが第1の気象環境条件を満たしていることが検出されたときに、(例えば、前記データメモリー機構に格納された)その条件に関連付けられた(少なくとも1つの)高さ設定規則が、好ましくはすべての洋上風力タービンに関して第1の高さ設定点を決定するために適用され得る。
【0056】
第1の高さ設定点は、例えば、先に説明したように、それぞれの洋上風力タービンのそれぞれのパーク位置に応じて、互いに異なっていることが可能である。
【0057】
さらに、高さ制御装置は、第2の気象環境条件が特定の気象環境パラメーターによって満たされていることが検出されたときに、第2の気象環境条件に関連付けられた第2の所定の高さ設定規則による、第1の高さ設定点とは少なくとも部分的に異なる第2の高さ設定点を用いて、複数の洋上風力タービンを制御するように構成することができる。これは、先に説明した第1の高さ設定点を用いた制御と同様に行うことができる。先に説明したように、具体的には、気象環境条件の(例えば、第1の条件から第2の条件へのまたはその逆の)変化が検出されたときに、駆動が起きることが可能である。
【0058】
好ましくは、高さ制御装置は、前述の検出を行うように構成された少なくとも1つの検出デバイスを備えることができる。
【0059】
本願による洋上風力発電所の好ましい実施形態によれば、第1の気象環境条件に関連付けられた第1の高さ設定規則と、第2の気象環境条件に関連付けられた第2の高さ設定規則とは少なくとも、(前もって決定された)高さ制御装置のデータメモリー機構に格納された割当てテーブルの形態でマッピングできる。割当てテーブルにおいて、具体的には気象環境条件ごとに、各洋上風力タービン(または対応するタービン識別子)を、(厳密に)1つの高さ設定点に割り当てることができる。高さ設定点は、説明したように、パーク位置およびそれぞれのパーク位置属性それぞれに応じて変わることがある。割当てテーブルは、具体的には、データメモリー機構に格納することができる。
【0060】
特定の気象環境条件を検出した際に(具体的には、気象環境条件の(例えば、第1の気象環境条件から第2の気象環境条件への、またはその逆の)変化を検出した際に)、高さ制御装置は、格納されている割当てテーブルにアクセスし、具体的には、それぞれの格納された高さ設定点に従って、洋上風力発電所の洋上風力タービンの少なくともいくつか、好ましくは、洋上風力発電所の洋上風力タービンのすべてを制御することができる。
【0061】
本事例では、前もって決定するとは、具体的には、高さ設定点が、特定の気象環境条件が検出されたとき(具体的には、気象環境条件の(例えば、第1の気象環境条件から第2の気象環境条件への、またはその逆の)変化が検出されたとき)に決定されるだけでなく、事前にも決定されることを意味する。
【0062】
具体的には、洋上風力発電所の設置前に(例えば、シミュレーションモデルによって)および/または設置のすぐ後に(例えば、試験によって)、高さ設定規則を複数の高さ設定点の形態で決定することができる。好ましくは、高さ設定点は、具体的には(例えばシミュレーションプロセスによって判定された電気生成量と比べて)実際の電気生成量を評価することによって、洋上風力発電所の動作中に具体的には最適化を実行できるように、変更可能なように格納することができる。
【0063】
本願による洋上風力発電所のさらなる実施形態によれば、複数の洋上風力タービンは、それぞれが同一の第1のパーク位置属性(先に記載したようにそれぞれのパーク位置に対応する)を有する第1のサブグループの洋上風力タービンと、それぞれが同一の第2のパーク位置属性(先に記載したようにそれぞれのパーク位置に対応する)を有する第2のサブグループの洋上風力タービンとに、少なくともグループ分け可能にすることができる。高さ制御装置は、第2のサブグループの洋上風力タービンを制御するために使用される高さ設定点とは異なる高さ設定点を用いて、第1のサブグループの洋上風力タービンを制御するように構成することができる。3つ以上のサブグループにグループ分けを行うことができることが理解されるものとする。グループ分けは、前記割当てテーブルに(本質的に)マッピングできる。具体的には特定の環境条件の検出の際に制御が起きることが理解されるものとする。さらに、グループ分けは環境条件に応じて変わることがある。言い換えれば、サブグループへの(静的というよりも)動的なグループ分けを行うことができる。
【0064】
(少なくとも1つの割当てテーブルにおいてマッピング可能でありかつ好ましい)グループ分け戦略および高さ調節戦略はそれぞれ、好ましくは、常に、(風向に見て)第1列の洋上風力タービンを最大高さまで上昇させ、第2列を最小高さに調節し、次に、やはり第3列を最大高さに調節することができ、以下同様である。常に、(風向に見て)第1列の洋上風力タービンを最小高さに動かし、第2列を最大高さに設定し、次にやはり第3列を最小高さに設定することなども考えられる。
【0065】
さらなる中程度の高さならびに/または距離および高さそれぞれの継続的な調節が可能な場合は、他のグループ分け戦略および高さ調節戦略をそれぞれ提供することもでき、具体的には、割当てテーブルおよびデータベースそれぞれにマッピングすることもできる。
【0066】
本願による洋上風力発電所の特に好ましい実施形態によれば、洋上風力発電所は、少なくとも1つの測定または予測された気象環境条件で、複数の洋上風力タービンを制御するための高さ設定点を(予め)決定するように構成された、少なくとも1つの高さ設定点決定デバイスを備えることができる。
【0067】
高さ設定点決定デバイスは、具体的には洋上風力発電所の複数の風力タービンのシミュレーションモデルに基づいて、複数のシミュレーションステップを行うように構成することができる。具体的には、計画中および設置前に洋上風力発電所の(数理的)シミュレーションモデルを作ることができ、そのモデルを用いることで、原則的に、異なる気象環境条件下で、具体的には、異なるように設定された垂直距離を用いて、総発電量を少なくともシミュレートすることができる。他の変形例では、高さ設定点決定デバイスは、試験を行うように構成することもできる。
【0068】
各シミュレーションステップ(または試験ステップ)において、複数の洋上風力タービンに関して、異なる高さ設定点を好ましくは設定でき、各高さ設定点に関して総発電量を決定できる。例えば、先に言及した設定戦略をシミュレートすることができる。
【0069】
特定の気象環境条件で複数の洋上風力タービンを(実際に)制御するための高さ設定点として、決定された(シミュレートまたは試験された)総発電量が最大になる高さ設定点を決定する(具体的には割当てテーブルに格納する)ことができる。言い換えれば、好ましくは少なくとも2つの異なる気象環境条件について、少なくともシミュレートされた(または試験された)総発電量が最大になるそれぞれの高さ設定点は、(複数のシミュレーションステップを有する)シミュレーションプロセスによって決定することができる。
【0070】
好ましくは、洋上風力発電所の動作中に最適化プロセスを行うことができる。具体的には、実際の総発電量およびシミュレートされた(または試験された)総発電量を評価することができる。具体的には、実際の総発電量がシミュレートされた総発電量よりも低い場合は、生成量を増大させるために、高さ設定点を(例えば、人工知能を用いて)少なくとも部分的に調節することができる。ここで、履歴データおよび/または他の洋上風力発電所からのデータを考慮に入れることができる。
【0071】
本願のさらなる態様は、浮体式洋上風力タービン、具体的には、先に説明した浮体式洋上風力タービンを動作させる方法である。本方法は、
- 洋上風力タービンの少なくとも1つの高さ調節デバイスによって、洋上風力タービンの少なくとも1つの特定の気象環境パラメーターに基づいて、洋上風力タービンのアンカリング状態中における水中地盤の水中地盤面および/または水面までの浮体式洋上風力タービンの浮体式基礎の垂直距離を変更することを含む。
【0072】
本方法は、複数の浮体洋上風力タービンを具体的には動作させるために、具体的には制御するために、すなわち、上述の洋上風力発電所を具体的には動作させるために、具体的には制御するために用いることができる。
【0073】
本願のさらなる態様は、少なくとも1つの浮体式洋上風力タービンのための、具体的には、先に説明した浮体式洋上風力タービンのための、浮体式基礎であって、
- 洋上風力タービンの少なくとも1つの特定の気象環境パラメーターに基づいて、浮体式基礎のアンカリング状態中における水中地盤の水中地盤面および/または水面までの浮体式基礎の垂直距離を変更するように構成された、少なくとも1つの高さ調節デバイスを備える浮体式基礎である。
【0074】
垂直高さ調節のさらなる利点は、浮体洋上風力タービンの水平位置も改善できることである。具体的には、洋上風力タービンの傾斜運動または揺動運動を軽減できる。したがって、傾斜角を検出でき、設定傾斜角を指定できる。次に、制御モジュールは、検出される傾斜角が設定傾斜角を少なくとも超えないように、高さを調節することができる。代替的または付加的に、傾斜周波数を検出することもできる。具体的には垂直距離を小さくすることによって位置を安定させることができる。
【0075】
モジュール、デバイスなどは、(具体的には、プロセッサーによって実行可能なコンピューターコードの形態の)ソフトウェアエレメントによって少なくとも部分的に、かつ/またはハードウェアエレメント(プロセッサー、メモリー手段、アクチュエーターなど)によって少なくとも部分的に形成できることに留意されたい。
【0076】
洋上風力タービン、洋上風力発電所、方法および基礎の特徴は、互いに自由に組み合わせることができる。具体的には、本明細書および/または従属請求項の特徴は単独でもまたは互いに自由に組み合わせても、独立請求項の特徴を完全にまたは部分的に回避しても独立して進歩性を有することができる。
【0077】
今や、本願による洋上風力タービン、本願による洋上風力発電所、本願によるプロセス、および本願による基礎を設計し、さらに発展させる可能性が多数存在する。そのために、一方で独立請求項に従属する特許請求項が、他方で図面に関連する実施形態の説明が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【
図1A】本願による浮体式洋上風力タービンの一実施形態の概略図である。
【
図1B】本願による浮体式洋上風力タービンのさらなる実施形態の概略図である。
【
図1C】本願による浮体式洋上風力タービンのさらなる実施形態の概略図である。
【
図1D】本願による浮体式洋上風力タービンのさらなる実施形態の概略図である。
【
図2A】第1の設定距離を有する、本願による浮体式洋上風力タービンのさらなる実施形態の概略図である。
【
図2B】さらなる設定距離を有する、
図2Aによる実施形態の概略図である。
【
図3A】第1の設定距離を有する、本願による浮体式洋上風力タービンのさらなる実施形態の概略図である。
【
図3B】さらなる設定距離を有する、
図3Aによる実施形態の概略図である。
【
図4】本願による洋上風力発電所の一実施形態の概略図である。
【
図5】本願による方法の一実施形態のダイヤグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0079】
図では、同じ要素には同じ参照符号が用いられている。
【0080】
図1Aから
図1Dは、本願による浮体式洋上風力タービン100の実施形態の概略図を示す。図示の洋上風力タービン100は、それぞれの浮体式基礎104が異なり、浮体式基礎104はそれぞれ少なくとも1つの浮動体106を備える。具体的には、浮体式基礎104は、浮動体106を少なくとも実質的に形成する。
【0081】
具体的には、バージ基礎104(
図1A)、セミサブマーシブル基礎104(
図1B)、スパー基礎104(
図1C)、および緊張係留式プラットフォーム基礎104(
図1D)が示されている。本願の他の変形例では他の浮体式基礎が提供され得ることが理解されるものとする。
【0082】
見て分かるように、少なくとも1つの浮体式基礎104には、タワー、ナセル、ローター、ジェネレーターなどを備える風力発電デバイス102が配置されている。
【0083】
本実施形態では、浮体式基礎104は、複数のアンカリング機構108によって、それぞれ水中地盤116にそれぞれ固定およびアンカリングされる。図示のアンカリング機構108は、具体的にはアンカーロープ109またはアンカーチェーン109の形態の、アンカー接続部109を備える。アンカー接続部109の一端は基礎104に固定されており、他端は少なくとも1つのアンカー110(例えば、ウェイトアンカー、魚雷型アンカーなど)に固定されている。アンカー110は、
図1Aから
図1Dを見ると分かるように、水中地盤116に少なくとも部分的に埋めることができる。
【0084】
さらに、
図1Aから
図1Dでは、水中地盤面は、参照符号118で表されており、水面および水線はそれぞれ、参照符号114で表されている。
【0085】
本願によれば、図示の洋上風力タービン100は、少なくとも1つの高さ調節デバイス112をそれぞれ備える。高さ調節デバイス112は、洋上風力タービン100の図示のアンカリング状態中における、水中地盤面118までの浮体式基礎104の垂直距離120(具体的には、距離120は、基礎104の下側表面および最下点それぞれと、現在の水中地盤面118との間の距離である)を変更するように構成されている。
【0086】
ここで、垂直距離120の変更は、風向(測定値および/または予測値)、風力(測定値および/または予測値)、および/または波高(測定値および/または予測値)など、洋上風力タービン100の少なくとも1つの特定の気象環境パラメーターに基づいている。
【0087】
好ましくは、第1の気象環境条件と、第1の気象環境条件とは異なる第2の気象環境条件とを少なくとも予め決定することができる。第1の気象環境条件が特定の気象環境パラメーターによって満たされていることが検出されたときに、高さ調節デバイス112は、第1の気象環境条件(例えば、受信される高さ設定点に対応する)に関連付けられた第1の垂直距離120を調節することによって垂直距離120を変更するように構成することができる。
【0088】
第2の気象環境条件が特定の気象環境パラメーターによって満たされていることが検出されたときに、高さ調節デバイス112は、第2の気象環境条件(例えば、受信される高さ設定点に対応する)に関連付けられた第2の垂直距離120を調節することによって垂直距離120を変更するように配置することができる。既に記載したように、変更は、具体的には、存在する実際の気象環境条件が変化したときに行うことができる。
【0089】
図1Aから
図1Dを見ると分かるように、洋上風力タービン100のハブの高さは、垂直距離120を変更することによって調節できる。洋上風力タービン100の設置場所における現在のおよび/または予測される気象条件に応じてこれを行うことによって、洋上風力タービン100の、具体的には、洋上風力発電所全体(ここでは図示せず)の実現可能な電気生成量を増大させることができる。
【0090】
本実施形態では、高さ調節デバイス112は基礎104に一体化されている。本願の他の変形例では、少なくとも1つの高さ調節デバイスは、基礎上に配置する、例えば、基礎の外側に少なくとも部分的に取り付けることができる。
【0091】
図2Aおよび
図2Bは、垂直距離220が異なるように調節された、浮体式洋上風力タービン200のさらなる実施形態の例を示す。繰り返しを避けるために、以下では基本的に
図1Aから
図1Dによる先の実施形態との違いだけを説明し、それ以外は先の説明を参照する。専ら概要をつかめるように、全体的な風力発電デバイスの図およびアンカリング機構の図を省略したことに留意されたい。
【0092】
図2Aおよび
図2Bにおいて距離220の間の差は参照符号222によって示されている。調節可能な差は、好ましくは、2mと40mとの間、好ましくは、5mと30mとの間とすることができる。
【0093】
垂直距離220を調節するために、本事例では高さ調節デバイス212が設けられている。図示の高さ調節デバイス212は、バラスト媒体225で充填できる少なくとも1つのバラストタンク226を備え、好ましくは、基礎204内に配置されている。さらに、高さ調節デバイス212は、少なくとも1つのバラスト媒体搬送機構228を備え、バラスト媒体搬送機構228は、具体的には、バラストタンク226の充填レベル227を変更するように構成されている。
【0094】
具体的には、バラスト媒体搬送機構228は2つのポンプデバイス230を備える。具体的には、一方のポンプデバイス230は、バラスト媒体225(具体的には水)をバラストタンク226中にアクティブにポンプ輸送することによって(矢印236によって示されている)、バラストタンク226の充填レベル227を変更するように構成されている。具体的には、基礎204には開口部232が配置されていてよく、その開口部232を通して、バラスト媒体225をバラストタンク226中にポンプ輸送できる。
【0095】
具体的には、さらなるポンプデバイス230は、バラスト媒体225をバラストタンク226の外にアクティブにポンプ輸送することによって(矢印237によって示されている)、バラストタンク226の充填レベル227を変更するように構成されている。具体的には、基礎204にはさらなる開口部234が配置されていてよく、そのさらなる開口部234を通して、バラスト媒体225をバラストタンク226の外にポンプ輸送できる。
【0096】
好ましくは、制御モジュール229を設けることができる。高さ調節デバイス212の(ローカルの)制御モジュール229は、例えば、高さ設定点(例えば、特定の充填量(例えば、満量、半量、空、xリットルなど)など)を用いて(不図示の)高さ制御装置によって制御可能とすることができる。
【0097】
制御モジュール229の(不図示の)充填レベル測定要素によって測定可能な現在の充填レベル227、および受信される高さ設定点に応じて、ポンプデバイス230は、受信される高さ設定点に従って充填レベル227が変更されるように制御され得る。既に記載したように、(少なくとも2つの調節可能な距離の間の)垂直距離220を変更することによって、洋上風力タービン200のハブの高さが調節され、そうすることで、具体的には、電気生成量が増大される。
【0098】
図3Aおよび
図3Bは、垂直距離320が異なるように調節された、浮体式洋上風力タービン300のさらなる実施形態を示す。繰り返しを避けるために、以下では基本的に
図1Aから
図2Bによる先の実施形態との違いだけを説明し、それ以外は先の説明を参照する。専ら概要をつかめるように、全体的な風力発電デバイスの図およびアンカリング機構の図は省略したことに留意されたい。
【0099】
本実施形態では、高さ調節デバイス312は、浮体式基礎304に接続された少なくとも1つの重量機構312を備える。具体的には、重量機構312は、基礎304に接続できる重量接続部340(例えば、アンカーロープ340および/またはアンカーチェーン340)を備えることができる。重量接続部340の他端は、重量機構312の重量要素342に接続できる。
【0100】
重量機構312の下降された状態では、具体的には、重量機構312の少なくとも1つの重量要素342によって重量の力が基礎340にほとんど加えられていない。例えばリフティングデバイス344(例えばウィンチ344)によって引き起こされる、重量機構312の上昇された状態では、具体的には重量の力g(重量機構の重量要素342の重量に対応する)が、重量機構312の少なくとも1つの重量要素342によって基礎304に加えられている。リフティングデバイス344による、重量機構312の前記状態間の調節によって、少なくとも2つの別々の値の間で前記垂直距離320の変更を引き起こすことができる。
【0101】
やはり、受信される高さ設定点に応じてリフティングデバイス344を制御できる(例えば、下降させるかまたは下降させない)、(不図示の)制御モジュールを設けることができる。
【0102】
【0103】
本願のさらなる(不図示の)変形例では、代替的または付加的に、垂直距離を変更する(または変更された距離に従ってアンカー接続部を追跡する)ために、アンカー接続部の長さ(
図1Aから
図1D参照)をウィンチデバイスによって変更することができる。
【0104】
洋上構造物はウィンチ機構を備えることができる。具体的には、各アンカリング機構は、それに関連付けられたウィンチデバイスを有することができる。好ましくは、各アンカー接続部は、それぞれのウィンチデバイスにつなげられていてよい。具体的には、アンカー接続部は、最小長さと最大長さとの間でアンカー接続部を巻き取り、それを繰り出す(そうすることで、具体的には、垂直距離を変更する)ために、ウィンチデバイスの筒状ドラム(ウィンチ)につなげられていてよい。
【0105】
そのために、各ウィンチデバイスは、ドライブおよびパーキングブレーキを有することができる。長さを変更するために、高さ調節デバイスの制御モジュールは、まず、対応するパーキングブレーキを、このパーキングブレーキの解放を行うように制御することができる。次に、制御モジュールは、特定の長さの巻き取りまたは繰り出しを行うように、対応するドライブ(好ましくは、電気モーター)を制御することができる。その後、制御モジュールによる制御によってパーキングブレーキを再びロックすることができる。
【0106】
図4は、本願による洋上風力発電所450の一実施形態の概略図を示す。図示の洋上風力発電所450は、複数の洋上風力タービン400.1から400.4を備える。繰り返しを避けるために、具体的には、洋上風力タービン400.1から400.4については先の実施形態を参照する。
【0107】
さらに、図示の洋上風力発電所450は、例えば洋上風力発電所450の(何らかの手法で設けられた)(不図示の)発電所制御システムに実装された、少なくとも1つの高さ制御装置452を備える。
【0108】
本実施形態では、高さ制御装置452は、通信モジュール454、高さ制御モジュール458、検出デバイス460、高さ設定点決定デバイス462、およびデータメモリー機構464を備える。他の変形例が付加的なまたはより少ないモジュール/デバイスを提供できることが理解されるものとする。
【0109】
高さ設定点決定デバイス462が、代替的に別の演算デバイスに実装されてよく、(洋上風力発電所450の設置場所における)少なくとも1つの気象環境条件に応じて少なくとも1つの高さ設定規則を決定するように構成することができる。
【0110】
好ましくは、少なくとも1つの高さ設定規則の決定は、洋上風力発電所450の設置前に行われてよいが、洋上風力発電所450の設置中および/または設置(直)後に行われてもよい。上記で既に説明したように、動作中に最適化プロセスを(継続的に)行うことができる。具体的には、少なくとも1つの高さ設定規則は、洋上風力発電所450の総生成量を最大化できるように決定される。
【0111】
好ましくは、(洋上風力発電所450の設置場所における)少なくとも1つの気象環境条件に応じて少なくとも1つの高さ設定規則を決定することは、好ましくはすべての洋上風力タービン400.1から400.4に関して高さ設定点を決定することを含むことができる。
【0112】
具体的には、それぞれの決定された高さ設定点は、付加的に、それぞれの洋上風力タービン400.1から400.4の(パーク)位置に、具体的には、洋上風力発電所450の少なくとも1つのさらなる洋上風力タービン400.1から400.4に対する位置に、応じて変わることがある。例えば、各洋上風力タービン400.1から400.4にパーク位置属性が割り当てられている、洋上風力発電所450のプランおよび/またはモデルを、(例えば、データメモリー機構464または別のメモリー機構)に格納することができる。それぞれのパーク位置属性から、パーク位置を少なくとも導き出すことが可能である。具体的には、それぞれのパーク位置属性を用いて、洋上風力タービン400.1から400.4の少なくとも2つのサブグループを(動的に)形成することができる。具体的には、これは、サブグループの洋上風力タービン400.1から400.4が基本的に同じ垂直距離に設定され、すなわち、基本的に同じ高さ設定点を用いて制御されることを意味する。具体的には、グループ分けは、割当てテーブルおよびデータベースそれぞれに(本質的に)マッピングできる。
【0113】
既に記載したように、高さ設定点の決定は、電気生成量を最大にするように行うことができる。具体的には、少なくとも1つの高さ設定点決定デバイス462は、少なくとも1つの測定または予測された気象環境条件に応じて、複数の洋上風力タービン400.1から400.4を制御するための高さ設定点を(予め)決定するように構成することができる。高さ設定点決定デバイス462は、具体的には洋上風力発電所450の複数の風力タービン400.1から400.4のシミュレーションモデルに基づいて、複数のシミュレーションステップを行うように構成できる。本願の他の変形例では、上述のように、電気生成量を決定するために実際の試験が行われてもよい。
【0114】
具体的には、計画中および設置前に洋上風力発電所450の(数理的)シミュレーションモデルを作ることができ、そのモデルを用いることで、原則的に、異なる気象環境条件下で、具体的には、異なるように調節された垂直距離を用いて、総発電量を少なくともシミュレートすることができる。
【0115】
各シミュレーションステップにおいて、複数の洋上風力タービン400.1から400.4に関して、異なる高さ設定点を好ましくは設定でき、各場合の高さ設定点に関して総発電量を決定できる。
【0116】
その気象環境条件の場合の複数の洋上風力タービンを(実際に)制御するための高さ設定点として、決定された総発電量が最大になる高さ設定点を決定し、具体的には、データメモリー機構464の割当てテーブルに格納することができる。
【0117】
言い換えれば、好ましくは少なくとも2つの異なる気象環境条件について、少なくともシミュレートされた総発電量が最大になるそれぞれの高さ設定点は、(複数のシミュレーションステップを有する)シミュレーションプロセスによって決定することができる。割当てテーブルにおいて、高さ設定点は、洋上風力タービン400.1から400.4ごとに各(所与の)環境条件に割り当てることができる。
【0118】
具体的には、高さ設定点を決定することによって、グループ分け戦略および高さ調節戦略それぞれを指定し、マッピングすることができる。一例として、その風向(すなわち、特定の検出される環境条件で)第1列の洋上風力タービン400.1、400.2は、常に、垂直距離が最大になる(すなわち、ハブの高さが最大になる)ように制御することができる。その風向(すなわち、特定の検出される環境条件で)第2列の洋上風力タービン400.3、400.4は、垂直距離が最小になる(すなわち、ハブの高さが最小になる)ように制御することができる。他の変形例では、その設定を正反対にすることもできる。さらなる中程度の高さおよび/または距離もしくは高さの継続的な調節が可能な場合は、他のグループ分け戦略または高さ調節戦略を提供することもできる。
【0119】
洋上風力発電所450の機能、具体的には動作は、
図5を用いて以下でより詳細に説明する。
図5は、本願による方法、具体的には少なくとも1つの洋上風力タービン400.1から400.4を動作させるための方法の一実施形態のダイヤグラムを示す。一例として、本方法を、洋上風力発電所450の動作を参照しながらより詳細に説明する。
【0120】
第1のステップ501で、洋上風力発電所450の少なくとも1つの特定の気象環境パラメーターの提供を行うことができる。具体的には、少なくとも1つの気象環境パラメーターを、通信モジュール454を介して高さ制御装置452に提供できる。少なくとも1つの特定の気象環境パラメーターは、少なくとも1つの測定デバイスによって測定される現在の気象環境パラメーターおよび/または予測された気象環境パラメーターでよい。好ましくは、風向(測定値および/または予測値)、風力(測定値および/または予測値)、波高(測定値および/または予測値)など、複数の気象環境パラメーター(測定値および/または予測値)を提供できる。
【0121】
ステップ502で、検出デバイス460によって、具体的には(所定の)気象環境条件の少なくとも1つが少なくとも1つの特定の提供された気象環境パラメーターによって満たされているかどうかを検出することができる。具体的には、気象環境条件(または基準)は、少なくとも1つの気象環境パラメーター範囲を含む。ステップ502における検出は、特定の気象環境パラメーターが少なくとも1つの環境パラメーター範囲内にあるか否かをチェックすることができる。言い換えれば、少なくとも1つの気象環境パラメーター(値)が少なくとも1つの環境条件を満たすか否かをチェックすることができる。
【0122】
ここで、ステップ502で、具体的には、垂直距離の変更が必要とされるように気象環境条件が変化したかどうかを検出することができる。気象環境条件が変化しなかったことがステップ502で検出された場合は、具体的には、垂直距離の変更は必要とされない。次に、本方法はステップ501に続くことができる。
【0123】
具体的には、気象環境条件が、先に検出された気象環境条件から変化した、例えば第1の気象環境条件から第2の気象環境条件に変化したと判定されたときは(例えば、風力および/または風向が定義済みの環境条件によって提供されている範囲に変化したかまたは変化するであろうときは)、ステップ503に続くことができる。
【0124】
ステップ503で、高さ設定点に従って水中地盤面までの洋上風力タービン400.1から400.4の浮体式基礎の垂直距離に変更を引き起こすための高さ設定点を用いて、具体的には高さ制御装置452の高さ制御モジュール458によって、洋上風力タービン400.1から400.4の少なくとも1つの高さ調節デバイスが制御され、高さ設定点は、洋上風力タービンの少なくとも1つの気象環境条件に少なくとも応じて変わる。具体的には、少なくとも、垂直距離の変更が行われることになる各洋上風力タービン400.1から400.4は、高さ制御モジュール458によって制御できる。
【0125】
好ましくは、高さ制御モジュール458は、制御のために使用されることになる高さ設定点を決定するために、データメモリー機構364に格納されている、説明した割当てテーブルにアクセスすることができる。次に、高さ制御モジュール458は、対応する制御コマンドの送信を行ってよく、コマンドはそれぞれ少なくとも1つの(先に説明した)高さ設定点を含む。制御コマンドは、それぞれの洋上風力タービン400.1から400.4に、通信モジュール454および通信ネットワーク456を介して送信できる。次に、それぞれの高さ調節デバイスは、先に説明したように、垂直距離を調節することができる。
【0126】
具体的には、風向に応じて、風力タービンハブの個々の高さは、生成量が最大になるように調節することができる。既に記載したように、考えられる高さ設定は、例えば2つまたは3つの予め設定された高さまたは距離によって、連続しているかまたは不連続である。
【0127】
さらに、風および/または波(例えば第3の気象環境条件によって与えられる)が強過ぎる場合に、基準電力に達しているのでかつ/または損傷を避けるために、すべての洋上風力タービン400.1から400.4が垂直距離を短縮し、具体的には、最小にすることを提供できる。