(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
H02J 9/06 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
H02J9/06 120
(21)【出願番号】P 2023536133
(86)(22)【出願日】2022-11-24
(86)【国際出願番号】 JP2022043347
【審査請求日】2023-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】百地 伸行
(72)【発明者】
【氏名】森 治義
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-223818(JP,A)
【文献】特開2013-150415(JP,A)
【文献】特開平8-172734(JP,A)
【文献】国際公開第2019/038830(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源から供給される直流電力を交流電力に変換する逆変換器と、
交流電源と負荷の間に接続されるバイパス回路と、
前記逆変換器および前記バイパス回路を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記逆変換器が正常に動作する場合には、前記バイパス回路を非導通状態にさせるとともに、前記逆変換器から前記負荷に交流電力を供給させる第1の給電モードを実行し、
前記逆変換器が正常に動作しない場合には、前記バイパス回路を導通状態にさせるとともに、前記逆変換器の運転を停止させる第2の給電モードを実行し、
前記第1の給電モードの実行中に、前記バイパス回路を導通状態にさせ、前記逆変換器の出力電圧に基づいて前記バイパス回路が正常に動作するか否かを判定する第3の給電モードを実行する、電源装置。
【請求項2】
前記第3の給電モード時に前記制御装置は、
前記バイパス回路を導通状態にさせるとともに、前記負荷に供給する交流電力を一定に維持しながら前記逆変換器の出力電流を減少させ、
前記逆変換器の出力電圧が上昇した場合に前記バイパス回路は正常に動作しないと判定する、請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記第1の給電モード時に前記制御装置は、前記逆変換器の出力電圧が電圧指令値になるように前記逆変換器を制御し、
前記第3の給電モード時に前記制御装置は、前記逆変換器の出力電流が電流指令値になるように前記逆変換器を制御し、前記電流指令値を減少させることによって前記逆変換器の出力電流を減少させる、請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第1の給電モードの実行中に予め定められた周期で前記第3の給電モードを実行する、請求項1に記載の電源装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記バイパス回路が正常に動作しないと判定した場合には、その旨を前記電源装置の使用者に報知する、請求項1に記載の電源装置。
【請求項6】
前記直流電源は、
前記交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換する順変換器と、
直流電力を蓄える電力貯蔵装置とを含み、
前記交流電源の健全時には、前記順変換器によって生成される直流電力が前記逆変換器に供給されるとともに前記電力貯蔵装置に蓄えられ、
前記第1の給電モードの実行中に前記交流電源の停電が発生した場合には、前記制御装置は、前記順変換器の運転を停止させ、前記電力貯蔵装置の直流電力を前記逆変換器に供給させ、前記逆変換器から前記負荷に交流電力を供給させる第4の給電モードを実行する、請求項1に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電源装置に関し、逆変換器およびバイパス回路を備える電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば特開2022-143967号公報(特許文献1)には、直流電源から供給される直流電力を交流電力に変換する逆変換器と、交流電源と負荷の間に接続されるバイパス回路と、逆変換器およびバイパス回路を制御する制御装置とを備えた電源装置が開示されている。
【0003】
制御装置は、逆変換器が正常に動作する場合には、バイパス回路を非導通状態にさせるとともに、逆変換器から負荷に交流電力を供給させる第1の給電モードを実行する。また制御装置は、逆変換器が正常に動作しない場合には、バイパス回路を導通状態にさせるとともに、逆変換器の運転を停止させる第2の給電モードを実行する。したがって、逆変換器が故障した場合でも、負荷の運転を継続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような電源装置では、第1の給電モードの実行中にバイパス回路が故障する場合がある。この場合は、逆変換器が故障したときにバイパス回路を導通状態にさせることができず、負荷の運転が停止してしまうという問題がある。
【0006】
それゆえに、本開示の主たる目的は、負荷の運転が停止されることを未然に防止することが可能な電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の電源装置は、直流電源から供給される直流電力を交流電力に変換する逆変換器と、交流電源と負荷の間に接続されるバイパス回路と、逆変換器およびバイパス回路を制御する制御装置とを備えたものである。制御装置は、逆変換器が正常に動作する場合には、バイパス回路を非導通状態にさせるとともに、逆変換器から負荷に交流電力を供給させる第1の給電モードを実行する。また、制御装置は、逆変換器が正常に動作しない場合には、バイパス回路を導通状態にさせるとともに、逆変換器の運転を停止させる第2の給電モードを実行する。また、制御装置は、第1の給電モードの実行中に、バイパス回路を導通状態にさせ、逆変換器の出力電圧に基づいてバイパス回路が正常に動作するか否かを判定する第3の給電モードを実行する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の電源装置では、第1の給電モードの実行中に、バイパス回路を導通状態にさせ、逆変換器の出力電圧に基づいてバイパス回路が正常に動作するか否かを判定する第3の給電モードを実行する。したがって、バイパス回路が正常に動作しないと判定された場合には、バイパス回路を修理するか新品と交換することにより、逆変換器が故障した場合に負荷の運転が停止されることを未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施の形態に従う無停電電源装置の構成を示す回路ブロック図である。
【
図2】
図1に示す制御装置の要部を示すブロック図である。
【
図3】
図2に示す制御回路のうちの半導体スイッチおよびインバータの制御に関連する部分の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図3に示す制御部47の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図4に示す電流指令部の動作を示すタイムチャートである。
【
図6】
図2~
図5に示す制御回路の動作を示すフローチャートである。
【
図7】
図6に示すテストモード時の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本開示の一実施の形態に従う無停電電源装置の構成を示す回路ブロック図である。
図1において、この無停電電源装置は、入力端子T1、バッテリ端子T2、出力端子T3、電流検出器CD1~CD3、コンバータ1、直流ライン2、コンデンサ3、双方向チョッパ4、インバータ5、スイッチ6,7、バイパス回路8、操作部14、および制御装置15を備える。
【0011】
入力端子T1は、商用交流電源21から商用周波数の交流電力を受ける。バッテリ端子T2は、バッテリ22に接続される。バッテリ22(電力貯蔵装置)は、直流電力を蓄える。バッテリ22の代わりにコンデンサが接続されていても構わない。出力端子T3は、負荷23に接続される。負荷23は、無停電電源装置から供給される商用周波数の交流電力によって駆動される。
【0012】
コンバータ1、直流ライン2、およびインバータ5は、入力端子T1と出力端子T3の間に直列接続される。コンデンサ3は、直流ライン2に接続され、直流ライン2の直流電圧VDを平滑化および安定化させる。双方向チョッパ4は、バッテリ端子T2と直流ライン2との間に接続される。
【0013】
商用交流電源21から供給される交流入力電圧VIの瞬時値は、制御装置15によって検出される。制御装置15は、交流入力電圧VIの瞬時値に基づいて、商用交流電源21から交流電圧VIが正常に供給されているか否かを判別する。
【0014】
また、負荷23に印加される交流出力電圧VOの瞬時値は、制御装置15によって検出される。直流ライン2の直流電圧VDの瞬時値は、制御装置15によって検出される。バッテリ22の端子間電圧VBの瞬時値は、制御装置15によって検出される。
【0015】
電流検出器CD1は、商用交流電源21とコンバータ1の間に流れる交流入力電流Iiを検出し、その検出値を示す信号Iifを制御装置15に与える。電流検出器CD2は、バッテリ22と双方向チョッパ4との間に流れる直流電流IBを検出し、その検出値を示す信号IBfを制御装置15に与える。電流検出器CD3は、無停電電源装置から負荷23に流れる負荷電流ILを検出し、その検出値を示す信号ILfを制御装置15に与える。
【0016】
コンバータ1(順変換器)は、制御装置15によって制御され、商用交流電源21から交流電力が正常に供給されている場合(商用交流電源21の健全時)に、商用交流電源21からの交流電力を直流電力に変換して直流ライン2に出力する。コンバータ1は、複数組のIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)およびダイオードを含む周知のものである。
【0017】
商用交流電源21の健全時には、制御装置15は、直流ライン2の直流電圧VDが参照直流電圧VDRになるようにコンバータ1を制御する。商用交流電源21からの交流電力の供給が停止された場合(商用交流電源21の停電時)には、制御装置15はコンバータ1の運転を停止させる。
【0018】
双方向チョッパ4は、制御装置15によって制御され、直流ライン2とバッテリ22との間で直流電力を授受する。双方向チョッパ4は、複数組のIGBTおよびダイオードと、リアクトルとを含む周知のものである。
【0019】
商用交流電源21の健全時には、制御装置15は、バッテリ電圧VBが参照直流電圧VBRになるように双方向チョッパ4を制御する。商用交流電源21の停電時には、制御装置15は、直流ライン2の直流電圧VDが参照直流電圧VDRになるように双方向チョッパ4を制御する。コンバータ1,双方向チョッパ4、およびバッテリ22は、インバータ5に直流電力を供給する「直流電源」の一実施例を構成する。
【0020】
インバータ5(逆変換器)は、制御装置15によって制御され、コンバータ1および双方向チョッパ4から直流ライン2を介して供給される直流電力を商用周波数の交流電力に変換して負荷23に供給する。インバータ5は、複数組のIGBTおよびダイオードを含む周知のものである。
【0021】
インバータ5が正常に動作する場合には、インバータ5から負荷23に交流電力が供給される。インバータ5が正常に動作しない場合には、インバータ5の運転は停止される。インバータ5の制御方法については、後で詳細に説明する。
【0022】
スイッチ6、バイパス回路8、およびスイッチ7は、入力端子T1とインバータ5の出力ノード5aとの間に直列接続される。スイッチ6,7は、制御装置15によって制御される。スイッチ6,7は、無停電電源装置の使用時にオンされ、バイパス回路8を入力端子T1とインバータ5の出力ノード5aとの間に接続する。
【0023】
また、スイッチ6,7は、バイパス回路8のメンテナンス時にオフされ、バイパス回路8を商用交流電源21および負荷23から電気的に切り離す。これにより、バイパス回路8の修理、交換が可能となる。
【0024】
バイパス回路8は、スイッチ6の一方端子とスイッチ7の一方端子との間に直列接続されたヒューズ9、遮断部10、および半導体スイッチ11を含む。ヒューズ9は、過電流が流れた場合にブローされ、バイパス回路8、負荷23などを保護する。
【0025】
遮断部10は、無停電電源装置の使用時に、制御装置15によってオン状態にされる。商用交流電源21の停電が発生して交流入力電圧VIが下限電圧よりも低下すると、遮断部10はオフ状態になり、インバータ5によって生成される交流電力が商用交流電源21側に逆流することを防止する。
【0026】
半導体スイッチ11は、互いに逆並列に接続された一対のサイリスタ12,13を含み、制御装置15によって制御される。インバータ5が正常に動作している場合には、半導体スイッチ11はオフされる。インバータ5が正常に動作しない場合には、半導体スイッチ11はオンされ、商用交流電源21からスイッチ6、バイパス回路8、およびスイッチ7を介して負荷23に交流電力が供給される。
【0027】
操作部14は、複数のボタン、複数のスイッチ、画像表示部を含む。無停電電源装置の使用者は、操作部14を操作することにより、無停電電源装置を自動運転させたり、所望の給電モードを選択して実行させることができる。操作部14は、使用者によって操作された内容を示す信号および情報を制御装置15に出力する。
【0028】
制御装置15は、操作部14からの信号、交流入力電圧VI、交流出力電圧VO、直流電圧VD、バッテリ電圧VB、交流入力電流Ii、交流出力電流IOに基づいて、コンバータ1、双方向チョッパ4、インバータ5、バイパス回路8、およびスイッチ6,7を制御する。
【0029】
図2は、制御装置15の要部を示すブロック図である。
図2において、制御装置15は、電圧検出器31~34、停電検出器35、故障検出器36、タイマー37、報知部38、および制御回路39を含む。
【0030】
電圧検出器31は、商用交流電源21から供給される交流入力電圧VIの瞬時値を検出し、その検出値を示す信号VIfを停電検出器35および制御回路39に出力する。電圧検出器32は、負荷23に印加される交流出力電圧VOの瞬時値を検出し、その検出値を示す信号VOfを制御回路39に出力する。
【0031】
電圧検出器33は、直流ライン2の直流電圧VDの瞬時値を検出し、その検出値を示す信号VDfを制御回路39に出力する。電圧検出器34は、バッテリ22の端子間電圧VBの瞬時値を検出し、その検出値を示す信号VBfを制御回路39に出力する。電流検出器CD1~CD3(
図1)の出力信号Iif,IBf,ILfは、制御回路39に与えられる。
【0032】
停電検出器35は、電圧検出器31の出力信号VIfに基づいて商用交流電源21の停電が発生しているか否かを検出し、その検出結果を示す停電検出信号φ35を制御回路39に出力する。商用交流電源21が健全である場合には、停電検出信号φ35は非活性化レベルの「L」レベルにされる。商用交流電源21の停電が発生している場合には、停電検出信号φ35は活性化レベルの「H」レベルにされる。
【0033】
たとえば、停電検出器35は、交流入力電圧VIが下限値よりも高い場合には、商用交流電源21は健全であると判定し、停電検出信号φ35を非活性化レベルの「H」レベルにする。また、停電検出器35は、交流入力電圧VIが下限値よりも低い場合には、商用交流電源21の停電が発生したと判定し、停電検出信号φ35を活性化レベルの「L」レベルにする。
【0034】
故障検出器36は、インバータ5が正常に動作するか否かを判定し、判定結果を示す故障検出信号φ36を制御回路39に出力する。インバータ5が正常に動作している場合には、故障検出信号φ36は非活性化レベルの「L」レベルにされる。インバータ5が正常に動作していない場合には、故障検出信号φ36は活性化レベルの「H」レベルにされる。
【0035】
たとえば、故障検出器36は、インバータ5を制御する制御信号の波形と、インバータ5の交流出力電圧VOまたは負荷電流ILの波形とを比較し、比較結果に基づいてインバータ5が正常に動作するか否かを判定する。
【0036】
タイマー37は、制御回路39からのリセット信号RSTが所定時間だけ活性化レベルの「H」レベルにされた場合にリセットされ、リセットされてから経過した時間TDを計測し、計測した時間TDを示す信号TDfを制御回路39に出力する。
【0037】
報知部38は、故障検出信号φ36が活性化レベルの「H」レベルにされた場合に、インバータ5が故障した旨を音、光、画像などを用いて無停電電源装置の使用者に報知する。また報知部38は、制御回路39からの故障検出信号φBPが活性化レベルの「H」レベルにされた場合に、バイパス回路8が故障した旨を音、光、画像などを用いて無停電電源装置の使用者に報知する。故障検出信号φBPについては後述する。
【0038】
制御回路39は、電圧検出器31~34の出力信号VIf,VOf,VDf,VBf、電流検出器CD1~CD3の出力信号Iif,IBf,IOf、停電検出信号φ35、故障検出信号φ36,φBP、タイマー37の出力信号TDf、操作部14からの信号に基づいて、無停電電源装置全体を制御する。
【0039】
すなわち、商用交流電源21が健全であり、インバータ5が正常に動作する場合には(φ35=L,φ36=L)、制御回路39はインバータ給電モード(第1の給電モード)を実行する。このとき制御回路39は、半導体スイッチ11をオフさせてバイパス回路8を非導通状態にさせるとともに、交流出力電圧VOが所定値になるようにインバータ5を制御する。この場合は、インバータ5から負荷23に交流電力が供給される。
【0040】
また、商用交流電源21が健全であり、インバータ5が正常に動作しない場合には(φ35=L,φ36=H)、制御回路39はバイパス給電モード(第2の給電モード)を実行する。このとき制御回路39は、半導体スイッチ11をオンさせてバイパス回路8を導通状態にさせるとともに、インバータ5の運転を停止させる。この場合は、商用交流電源21からスイッチ6、バイパス回路8、およびスイッチ7を介して負荷23に交流電力が供給される。したがって、インバータ5が故障した場合でも、負荷23の運転を継続することができる。
【0041】
また制御回路39は、インバータ給電モードの実行中に、タイマー37の出力信号TDfによって示される時間TDが所定時間Tcを超えた場合にテストモード(第3の給電モード)を実行する。このとき制御回路39は、半導体スイッチ11をオンさせてバイパス回路8を導通状態にさせるとともに、インバータ5の交流出力電流IOが所定値になるようにインバータ5を制御する。この場合、バイパス回路8に流れる電流IBPとインバータ5の出力電流IOとの和が負荷電流IL=IBP+IOとなる。
【0042】
そして制御回路39は、負荷23に供給する交流電力PLを一定に維持しながら、インバータ5の出力電流IOを減少させる。バイパス回路8が正常に動作して導通状態になっている場合には、インバータ5の出力電流IOを減少させるとバイパス回路8に流れる電流IBPが増大し、負荷電流ILおよび交流出力電圧VOは変化せず、VO=VIとなる。この場合、制御回路39は、故障検出信号φBPを非活性化レベルの「L」レベルにする。
【0043】
バイパス回路8が正常に動作せずに非導通状態になっている場合には、バイパス回路8に流れる電流IBPは0Aとなり、インバータ5の出力電流IOを減少させると負荷電流ILが減少し、負荷23に供給する交流電力PLを一定値に維持するためにインバータ5の交流出力電圧VOが上昇する。
【0044】
交流出力電圧VOが所定の電圧VOH以上になった場合には、制御回路39は、バイパス回路8は正常に動作していないと判定し、故障検出信号φBPを活性化レベルの「H」レベルにする。バイパス回路8が正常に動作しない場合としては、ヒューズ9がブローされている場合、遮断部10がオフ状態になっている場合、半導体スイッチ11が破損している場合がある。
【0045】
テストモードの実行が終了した場合には、制御回路39は、リセット信号RSTを所定時間だけ活性化レベルの「H」レベルにしてタイマー37をリセットし、再びインバータ給電モードを実行する。
【0046】
また、インバータ給電モードの実行中に商用交流電源21の停電が発生した場合には、制御回路39はバッテリ給電モード(第4の給電モード)を実行する。このとき制御回路39は、コンバータ1の運転を停止させ、直流ライン2の直流電圧VDが参照直流電圧VDRになるように双方向チョッパ4を制御する。
【0047】
この場合は、バッテリ22の直流電力が双方向チョッパ4を介してインバータ5に供給され、交流電力に変換されて負荷23に供給される。したがって、商用交流電源21の停電が発生した場合でも、バッテリ22に直流電力が蓄えられている期間は負荷23の運転を継続することができる。
【0048】
図3は、制御回路39のうちの半導体スイッチ11およびインバータ5の制御に関連する部分を示すブロック図である。
図3において、制御回路39は、比較部41~44および制御部45~47を含む。
【0049】
比較部41は、タイマー37(
図2)の出力信号TDfによって示される時間TDと所定時間Tcとの長短を比較し、比較結果を示す信号φ41を制御部45に出力する。TD<Tcである場合には、信号φ41は「L」レベルにされる。TD≧Tcである場合には、信号φ41は「H」レベルにされる。所定時間Tcは、インバータ給電モードの実行中にテストモードを実行する周期である。
【0050】
比較部42は、電圧検出器31(
図2)の出力信号VIfによって示される交流入力電圧VIと下限電圧VILとの高低を比較し、比較結果を示す信号φ42を制御部45に出力する。VI≧VILである場合には、信号φ42は「H」レベルにされる。VI<VILである場合には、信号φ42は「L」レベルにされる。
【0051】
下限電圧VILは、負荷23を正常に動作させるために最低限必要な電圧である。バイパス回路8を導通状態にさせるとVO=VIとなるので、信号φ42が「L」レベルである場合には(VI<VIL)、バイパス回路8を導通状態にさせることが防止される。
【0052】
比較部43は、電圧検出器32(
図2)の出力信号VOfによって示される交流出力電圧VOと所定電圧VOHとの高低を比較し、比較結果を示す信号φ43を制御部45に出力する。VO<VOHである場合には、信号φ43は「L」レベルにされる。VO≧VOHである場合には、信号φ43は「H」レベルにされる。テストモード時に交流出力電圧VOが上昇して信号φ43が「H」レベルになった場合には、バイパス回路8が正常に動作しないと判定される。
【0053】
比較部44は、制御部47においてテストモード時に生成される電流指令値Ic1と下限値Ic1Lとの大小を比較し、比較結果を示す信号φ44を制御部45に出力する。Ic1>Ic1Lである場合には、信号φ44は「H」レベルにされる。Ic1≦Ic1Lである場合には、信号φ44は「L」レベルにされる。信号φ44が「L」レベルにされたとき、インバータ5の出力電流IOを減少させる動作が停止される。
【0054】
制御部45は、停電検出信号φ35(
図2)、故障検出信号φ36(
図2)、および比較部41~44の出力信号φ41~φ44に基づいて、テスト信号TE、故障検出信号φBP、およびリセット信号RSTを生成する。
【0055】
すなわち制御部45は、商用交流電源21が健全であり(φ35=L)、インバータ5が正常に動作し(φ36=L)、タイマー37の計測時間TDが所定時間Tc以上であり(φ41=H)、かつ交流入力電圧VIが下限電圧VILよりも高い(φ42=H)場合に、テスト信号TEを活性化レベルの「H」レベルにしてテストモードの実行を開始する。テスト信号TEは、制御部46,47に与えられる。
【0056】
テストモード時に交流出力電圧VOが所定電圧VOH以上に上昇した場合(φ43=H)には、制御部45は、バイパス回路8は正常に動作しないと判定して故障検出信号φBPを活性化レベルの「H」レベルにし、テスト信号TEを「L」レベルにし、リセット信号RSTを所定時間だけ「H」レベルにしてタイマー37をリセットさせる。
【0057】
テストモード時に交流出力電圧VOが所定電圧VOHよりも低い場合(φ43=L)には、制御部45は、バイパス回路8は正常に動作する判定して故障検出信号φBPを非活性化レベルの「L」レベルにし、電流指令値Ic1が下限値Ic1L以下になった場合に(φ44=L)、テスト信号TEを「L」レベルにし、リセット信号RSTを所定時間だけ「H」レベルにしてタイマー37をリセットさせる。
【0058】
制御部46は、停電検出信号φ35(
図2)、故障検出信号φ36(
図2)、およびテスト信号TEに従って半導体スイッチ11を制御する。制御部46は、商用交流電源21が健全であり(φ35=L)、インバータ5が正常に動作し(φ36=L)、テスト信号TEが「L」レベルである場合には、半導体スイッチ11をオフさせる。
【0059】
制御部46は、商用交流電源21が健全であり(φ35=L)、インバータ5が正常に動作し(φ36=L)、テスト信号TEが「H」レベルである場合には、半導体スイッチ11をオンさせる。
【0060】
制御部46は、商用交流電源21の健全時にインバータ5が故障した場合には(φ35=L、φ36=H)、半導体スイッチ11をオンさせる。制御部46は、商用交流電源21の停電時には(φ35=H)、半導体スイッチ11をオフさせる。
【0061】
制御部47は、テスト信号TE、故障検出信号φ36(
図2)、電圧検出器31(
図2)の出力信号VIf、電圧検出器32(
図2)の出力信号VOf、および電流検出器CD3(
図1)の出力信号ILfに従ってインバータ5を制御する。制御部47は、信号VIfによって示される交流入力電圧VIに同期して動作する。
【0062】
制御部47は、インバータ5が正常に動作し(φ36=L)、テスト信号TEが「L」レベルである場合には、信号VOfによって示される交流出力電圧VOが電圧指令値Vcになるようにインバータ5を制御する。
【0063】
制御部47は、インバータ5が正常に動作し(φ36=L)、テスト信号TEが「H」レベルである場合には、信号ILfによって示される交流出力電流ILfが電流指令値Ic1になり、かつ信号VOf,ILfから求められる電力PLが電力指令値Pcになるようにインバータ5を制御しながら、電流指令値Ic1を減少させる。制御部47は、インバータ5が正常に動作しない場合には(φ36=H)、インバータ5の運転を停止させる。
【0064】
図4は、制御部47の構成を示すブロック図である。
図4において、制御部47は、電圧指令部51、電流制御部52,67、電圧制御部53,62,65、PWM(Pulse Width Modulation)制御部54,68、セレクタ55、電流指令部61、電力指令部63、電力検出部64、加算器66を備える。
【0065】
電圧指令部51は、所定の電圧指令値Vcを出力する。電圧指令値Vcは、商用交流電源21の健全時における交流入力電圧VIと同じ周波数で同じ位相の正弦波信号である。電流制御部52は、電圧指令値Vcと、電圧検出器32(
図2)の出力信号VOfによって示される交流出力電圧VOとの偏差ΔV=Vc-VOを求め、その偏差ΔVがなくなるように電流制御値Icを生成する。
【0066】
電圧制御部53は、電流制御部52からの電流制御値Icと、電流検出器CD3の出力信号ILfによって示される負荷電流ILとの偏差ΔI=Ic-ILを求め、その偏差ΔIがなくなるように電圧制御値Vc1を生成する。
【0067】
セレクタ55は、テスト信号TEが非活性化レベルの「L」レベルである場合には、PWM制御部54とインバータ5とを結合させ、テスト信号TEが活性化レベルの「H」レベルである場合には、PWM制御部68とインバータ5とを結合させる。
【0068】
PWM制御部54は、テスト信号TEが「L」レベルである場合に、セレクタ55によってインバータ5に結合される。故障検出信号φ36が非活性化レベルの「L」レベルである場合には、PWM制御部54は、電圧制御値Vc1に従ってPWM信号を生成し、そのPWM信号によってインバータ5を制御する。故障検出信号φ36が活性化レベルの「H」レベルである場合には、PWM制御部54は、インバータ5の運転を停止させる。
【0069】
電流指令部61は、所定の電流指令値Ic1を生成する。電流指令値Ic1は、負荷電流ILと同じ周波数で同じ位相の正弦波信号である。電流指令部61は、テスト信号TEが活性化レベルの「H」レベルにされたことに応じて、電流指令値Ic1を徐々に減少させる。
【0070】
図5は、電流指令部61の動作を示すタイムチャートである。
図5において、電流指令部61は、電流指令値Ic1を一定に維持する待機動作(期間TA)と、電流指令値Ic1を所定速度で減少させる制御動作(期間TB)とを交互に繰り返し、電流指令値Ic1を徐々に低下させる。なお、電流指令部61が電流指令値Ic1を一定速度で減少させても構わない。
【0071】
電圧制御部62は、電流指令部61からの電流指令値Ic1と、電流検出器CD3の出力信号ILfによって示される負荷電流ILとの偏差ΔI=Ic1-ILを求め、その偏差ΔIがなくなるように電圧制御値Vc2を生成する。
【0072】
電力指令部63は、所定の電力指令値Pcを出力する。電力検出部64は、電圧検出器32(
図2)の出力信号VOfによって示される交流出力電圧VOと、電流検出器CD3(
図1)の出力信号ILfによって示される負荷電流ILとに基づいて、負荷23に供給される交流電力PL=VO×ILを検出し、その検出値を示す信号PLfを出力する。
【0073】
電圧制御部65は、電力指令値Pcと、電力検出部64の出力信号PLfによって示される交流電力PLとの偏差ΔP=Pc-PLがなくなるように電圧制御値ΔVc2を生成する。加算器66は、電圧制御部62によって生成される電圧制御値Vc2と、電圧制御部65によって生成される電圧制御値ΔVc2とを加算して電圧制御値Vc3=Vc2+ΔVc2を生成する。
【0074】
電流制御部67は、加算器66によって生成される電圧制御値Vc3と、電圧検出器32(
図2)の出力信号VOfによって示される交流出力電圧VOとの偏差ΔV=Vc3-VOを求め、その偏差ΔVがなくなるように電流制御値Icを生成する。
【0075】
PWM制御部68は、テスト信号TEが「H」レベルである場合に、セレクタ55によってインバータ5に結合される。故障検出信号φ36が非活性化レベルの「L」レベルである場合には、PWM制御部68は、電流指令値Icに従ってPWM信号を生成し、そのPWM信号によってインバータ5を制御する。故障検出信号φ36が活性化レベルの「H」レベルである場合には、PWM制御部68は、インバータ5の運転を停止させる。
【0076】
図6は、
図2~
図5で示した制御回路39の動作を示すフローチャートである。
図6のステップS1において制御回路39は、停電検出信号φ35に基づいて商用交流電源21は健全であるか否かを判別する。商用交流電源21が健全である場合には(φ35=L)、ステップS2において制御回路39は、故障検出信号φ36に基づいてインバータ5が正常に動作するか否かを判別する。
【0077】
インバータ5が正常に動作する場合には(φ36=L)、ステップS3において制御回路39は、タイマー37の出力信号TDfによって示される時間TDが所定時間Tcよりも短いか否かを判定する。
【0078】
TD<Tcである場合には、ステップS4において制御回路39は、インバータ給電モードを実行し、半導体スイッチ11をオフさせ、インバータ5によって生成される交流電力を負荷23に供給させる。
【0079】
すなわちTD<Tcである場合には、比較部41(
図3)の出力信号φ41が「L」レベルにされ、制御部45によってテスト信号TEが非活性化レベルの「L」レベルにされる。テスト信号TEが「L」レベルにされると、制御部46によって半導体スイッチ11がオフされ、PWM制御部54(
図4)がセレクタ55によってインバータ5に結合される。
【0080】
電圧指令部51から電圧指令値Vcが出力され、その電圧指令値Vcと交流出力電圧VOとの偏差がなくなるように電流制御部52によって電流制御値Icが生成され、その電流制御値Icと負荷電流ILとの偏差がなくなるように電圧制御部53によって電圧制御値Vc1が生成される。PWM制御部54は、電圧制御値Vc1に従ってインバータ5を制御する。これにより、交流出力電圧VOは、所定の電圧に維持される。
【0081】
制御回路39は、インバータ給電モードを実行しながら、ステップS1~S4を繰り返し実行する。ステップS3においてTD<Tcでないと判別した場合には、ステップS5において制御回路39は、交流入力電圧VIが下限電圧VIL以上であるか否かを判別する。VI≧VILでない場合には、ステップS4に戻る。I≧VILである場合には、ステップS6において制御回路39はテストモードを実行してステップS4に戻る。
【0082】
図7は、テストモード時における制御回路39の動作を示すフローチャートある。
図7のステップS11において制御回路39内の制御部45(
図3)は、テスト信号TEを活性レベルの「H」レベルにする。
【0083】
テスト信号TEが「H」レベルにされると、ステップS12において制御部46(
図3)は半導体スイッチ11をオンさせる。ステップS13において制御部47(
図3)は、一定電圧制御から一定電流制御に移行する。
【0084】
すなわち、セレクタ55(
図4)によってPWM制御部68とインバータ5が結合され、電流指令部61が電流指令値Ic1を出力する。その電流指令値Ic1と負荷電流ILの偏差がなくなるように電圧制御部62によって電圧制御値Vc2が生成される。
【0085】
また、電力指令部63から電力指令値Pcが出力され、電力検出部64によって交流出力電力PLが検出され、電力指令値Pcと交流出力電力PLの偏差がなくなるように電圧制御部65によって電圧制御値ΔVc2が生成される。
【0086】
加算器66によって電圧制御値Vc2と電圧制御値ΔVc2が加算されて電圧制御値Vc3が生成され、その電圧制御値Vc3と交流出力電圧VOの偏差がなくなるように電流制御値Ic2が生成される。PWM制御部68は、電流制御値Ic2に従ってインバータ5を制御する。これにより、負荷電流ILは、所定の電流値に維持される。
【0087】
ステップS14において電流指令部61は、テスト信号TEが活性化レベルの「H」レベルにされると、電流指令値Ic1を徐々に減少させる(
図5)。電流指令値Ic1を減少させると、インバータ5の出力電流IO(
図1)は減少する。
【0088】
バイパス回路8(
図1)が正常に動作して導通状態になっている場合には、インバータ5の出力電流IOが減少した分の電流が、商用交流電源21からスイッチ6、バイパス回路8、およびスイッチ7を介して負荷23に流れる。
【0089】
このとき、負荷電流ILは、インバータの出力電流IOと、バイパス回路8に流れる電流IBPとの和になる(IL=IO+IBP)。また、交流入力電圧VIがスイッチ6、バイパス回路8、およびスイッチ7を介して負荷23に与えられ、VO=VIとなる。したがって、電流指令値Ic1を減少させても、負荷23に供給される交流電力PLは電力指令値Pcに維持され、電力指令値ΔVc1は0となり、交流出力電圧VOは変化しない。
【0090】
これに対してバイパス回路8が正常に動作せずに非導通状態になっている場合には、インバータ5の出力電流IOが減少した分の電流がバイパス回路8側から補充されず、インバータ5の出力電流IOが負荷電流ILとなる(IL=IO)。したがって、負荷23に供給される交流電力PLが減少し、電圧指令値ΔVc1が増大し、交流出力電圧VOが上昇する。
【0091】
ステップS15において制御部45(
図3)は、比較部43の出力信号φ43に基づいて、交流出力電圧VOがしきい値電圧VOHよりも高いか否かを判別する。VO≧VOHである場合には(φ43=H)、制御部45は、バイパス回路8が正常に動作しないと判別して故障検出信号φBPを活性化レベルの「H」レベルにし、ステップS19に進む。
【0092】
故障検出信号φBPが「H」レベルにされると、バイパス回路8が故障している旨が報知部38(
図2)によって無停電電源装置の使用者に報知される。使用者は、操作部14を操作してスイッチ6,7をオフさせ、バイパス回路8を商用交流電源21、インバータ5および負荷23から電気的に切り離し、バイパス回路8を修理するか新品と交換し、操作部14を操作してスイッチ6,7をオンさせる。したがって、インバータ5が故障したときにバイパス回路8が導通状態にならず、負荷23の運転が停止されることを未然に防止することができる。
【0093】
ステップS15においてVO<VOHである場合には(φ43=L)、ステップS17において制御部45は、バイパス回路8が正常に動作すると判別して故障検出信号φBPを非活性化レベルの「L」レベルにし、ステップS18に進む。
【0094】
ステップS18において制御部45は、比較部44の出力信号φ44に基づいて、電流指令値Ic1が下限値Ic1Lよりも小さいか否かを判別する。Ic1>Ic1Lである場合には(φ44=H)、制御部45は、電流指令値Ic1がまだ十分に減少されていないと判別してステップS14に戻る。Ic1≦Ic1Lである場合には(φ44=L)、制御部45は、電流指令値Ic1が十分に減少されたと判別してステップS19に進む。
【0095】
ステップS19において制御部45は、テスト信号TEを非活性化レベルの「L」レベルにする。ステップS20において制御部46(
図3)は、半導体スイッチ11をオフさせる。
【0096】
ステップS21において制御部47(
図3)は、一定電流制御から一定電圧制御に移行する。一定電圧制御では、PWM制御部54(
図4)がセレクタ55によってインバータ5に結合され、交流出力電圧VOが電圧指令値Vcになるようにインバータ5が制御される。
【0097】
ステップS22において制御部45(
図3)は、リセット信号φRSTを所定時間だけ「H」レベルにしてタイマー37(
図2)をリセットする。リセットされたタイマー37は、時間TDの計測を0秒から再開する。これにより、テストモードが終了し、ステップS4に戻る。
【0098】
再び
図6を参照して、制御回路39は、インバータ給電モードを再開し、インバータ給電モードを実行しながら、ステップS1~S4を繰り返し実行する。ステップS1において商用交流電源21が健全でないと判別した場合には(φ35=H)、制御回路39(
図2)は、ステップS7においてバッテリ給電モードを実行し、コンバータ1(
図1)の運転を停止させ、直流ライン2の直流電圧VDが参照直流電圧VDRになるように双方向チョッパ4を制御する。
【0099】
インバータ5は、バッテリ22から双方向チョッパ4および直流ライン2を介して供給される交流電力を直流電力に変換して負荷23に供給する。したがって、商用交流電源21の停電が発生した場合でも、バッテリ22に直流電力が蓄えられている期間は負荷23の運転を継続することができる。
【0100】
また、ステップS2においてインバータ5が正常に動作しない場合には(φ36=H)、ステップS7において制御回路39は、バイパス給電モードを実行する。すなわち、制御部46(
図3)によって半導体スイッチ11がオンされ、制御部47によってインバータ5の運転が停止され、商用交流電源21からスイッチ6、バイパス回路8、およびスイッチ7を介して負荷23に交流電力が継続される。したがって、インバータ5が故障した場合でも、負荷23の運転を継続することができる。
【0101】
以上のように、本実施の形態に従う無停電電源装置によれば、インバータ給電モードの実行中に、バイパス回路8を導通状態にさせ、インバータ5の出力電圧VOに基づいてバイパス回路8が正常に動作するか否かを判定するテストモードを実行する。したがって、バイパス回路8が正常に動作しないと判定された場合には、バイパス回路8を修理するか新品と交換することにより、インバータ5が故障した場合に負荷23の運転が停止されることを未然に防止することができる。
【0102】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0103】
T1 入力端子、T2 バッテリ端子、T3 出力端子、CD1~CD3 電流検出器、1 コンバータ、2 直流ライン、3 コンデンサ、4 双方向チョッパ、5 インバータ、6,7 スイッチ、8 バイパス回路、9 ヒューズ、10 遮断部、11 半導体スイッチ、12,13 サイリスタ、14 操作部、15 制御装置、21 商用交流電源、22 バッテリ、23 負荷、31~34 電圧検出器、35 停電検出器、36 故障検出器、37 タイマー、38 報知部、39 制御回路、41~44 比較部、45~47 制御部、51 電圧指令部、52,67 電流制御部、53,62,65 電圧制御部、54,68 PWM制御部、55 セレクタ、61 電流指令部、63 電力指令部、64 電力検出部、66 加算器。
【要約】
この無停電電源装置の制御装置(15)は、インバータ給電モードの実行中にテストモードを実行し、バイパス回路(8)を導通状態にさせるとともにインバータ(5)の出力電流(IO)を減少させ、インバータの出力電圧(VO)に基づいてバイパス回路が正常に動作するか否かを判定する。したがって、バイパス回路が正常に動作しない場合には、バイパス回路を修理、交換することにより、インバータが故障した場合に負荷(23)の運転が停止されることを未然に防止できる。