(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】パーソナルケアデバイス
(51)【国際特許分類】
A61N 1/05 20060101AFI20240610BHJP
A46B 15/00 20060101ALI20240610BHJP
A61C 17/22 20060101ALI20240610BHJP
A61N 1/40 20060101ALN20240610BHJP
【FI】
A61N1/05
A46B15/00 N
A61C17/22 B
A61N1/40
(21)【出願番号】P 2023537500
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(86)【国際出願番号】 EP2021082361
(87)【国際公開番号】W WO2022135806
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2024-02-02
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ブランダオ シルヴァ プリシラ
(72)【発明者】
【氏名】ゲルハルト ルツ クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン マーク トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ゴッテンボス バート
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-523677(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3747308(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0093255(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 15/00
A61C 17/22
A61N 1/05
A61N 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動方式に従って複数のRF電極を駆動
する動作
中に使用するために
、3kHzから30GHzまでの周波数範囲において1つ又は複数のRF駆動信号を発生させるRF信号発生器を備えたパーソナルケアデバイスであって、前記パーソナルケアデバイスは、
動作時に前記RF信号発生器の1つ又は複数の電気的特性を監視することであって、前記1つ又は複数の電気的特性が前記RF電極の機能ステータスに関連している、監視することと、
前記電気的特性を1つ又は複数の所定の基準と比較することと、
前記電気的特性が前記1つ又は複数の所定の基準を満たしたことに応じて応答措置をトリガすることと
を行うことによって前記RF電極の劣化した機能状態を検出するコントローラを備えることを特徴とする、パーソナルケアデバイス。
【請求項2】
前記所定の基準が、前記複数のRF電極のうちの少なくとも2つのRF電極間の短絡の発生を示すように構成される、請求項1に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項3】
前記所定の基準が、前記RF信号発生器の1回の動作セッション時の前記RF信号発生器の前記1つ又は複数の電気的特性における変化であって、閾値の大きさ又は閾値変化率を超える変化を含む、請求項1又は2に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項4】
前記所定の基準が、前記1つ又は複数の電気的特性のうちの少なくとも1つのための閾値を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項5】
前記応答措置が、データ出力を生成することを含み、且つ/又はユーザへの警告のための感覚出力を生成することを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項6】
前記1つ又は複数の応答措置が、前記RF電極の前記駆動方式を変更することを含み、且つ/又は
前記1つ又は複数の応答措置が、前記複数のRF電極のうちの少なくとも1つのRF電極を選択的に非アクティブ化することを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項7】
洗浄及び/又は処置部をさらに備え、前記洗浄及び/又は処置部が、前記洗浄及び/又は処置部の表面から外向きに延在する前記複数のRF電極を備え、前記RF信号発生器が、前記洗浄及び/又は処置部の前記複数のRF電極に前記RF駆動信号を供給するように配置されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項8】
前記洗浄及び/又は処置部が、前記洗浄及び/又は処置部の前記表面から外向きに延在する洗浄用フィラメントの1つ又は複数の空間的グループを備え、各空間的グループが、前記表面のエリアをカバーし、前記RF電極のそれぞれが、前記洗浄用フィラメントの1つ又は複数の空間的グループによってカバーされる前記エリアのうちの1つから延在するように位置する、請求項7に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項9】
前記洗浄及び/又は処置部が、RF電極の複数の空間的グループを備え、前記空間的グループのそれぞれが、前記RF信号発生器によって個別に対処可能であり、前記応答措置が、前記RF電極の空間的グループのうちの異なる空間的グループを選択的にアクティブ化又は非アクティブ化することを含む、請求項7又は8に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項10】
前記洗浄及び/又は処置部においてかかる圧力を感知するように配置された圧力センサをさらに備え、前記応答措置をトリガすることが、前記圧力センサからの出力信号に関連している1つ又は複数の所定の基準にさらに基づく、請求項7から9のいずれか一項に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項11】
各前記RF電極が導電素子を備え、各前記RF電極が受動熱活性化素子を備え、前記受動熱活性化素子が、前記導電素子の少なくとも一部分と熱的に連通するように配置され、熱活性化時に応答措置を実行する、請求項7から10のいずれか一項に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項12】
前記受動熱活性化素子が、熱活性化時に視覚的指標を提供し、且つ/又は
前記受動熱活性化素子が、前記熱活性化時に機械的応答措置を行う、請求項11に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項13】
前記導電素子の少なくとも一部分が、露出されており、前記受動熱活性化素子が、前記露出された部分と熱的に連通するように配置され、前記受動熱活性化素子が、熱活性化時に第1の物理的構成から第2の物理的構成に遷移し、前記第2の物理的構成において、前記
受動熱活性化素子が、前記導電素子の前記露出された部分を覆う、請求項
11又は1
2に記載のパーソナルケアデバイス。
【請求項14】
駆動方式に従っ
て複数のRF電極を駆動
する動作中に
使用するために、3kHzから30GHzまでの周波数範囲において1つ又は複数のRF駆動信号を発生させる
RF信号発生器を
備えたパーソナルケア
デバイスの作動方法であって、前記パーソナルケア
デバイスの作動方法は、
前記パーソナルケアデバイスが、動作時に前記RF信号発生器の1つ又は複数の電気的特性を監視することであって、前記電気的特性が前記RF電極の機能ステータスに関連している、監視することと、
前記パーソナルケアデバイスが、前記電気的特性を1つ又は複数の所定の基準と比較することと、
前記パーソナルケアデバイスが、前記電気的特性が前記1つ又は複数の所定の基準を満たしたことに応じて応答措置をトリガすることと
を行うことによって
、前記パーソナルケアデバイスが前記RF電極の劣化した機能状態を検出するステップを有すること
を特徴とする、パーソナルケア
デバイスの作動方法。
【請求項15】
プロセッサにおいて実行されると、前記プロセッサに、
駆動方式に従って、複数のRF電極を駆動させるために、パーソナルケアデバイスのRF信号発生器を制御して3kHzから30GHzまでの周波数範囲において1つ又は複数のRF駆動信号を発生させるステップを有するパーソナルケア方法であって、前記パーソナルケア方法は、前記RF信号発生器の1つ又は複数の電気的特性を監視することであって、前記電気的特性が前記RF電極の機能ステータスに関連している、監視することと、前記電気的特性を1つ又は複数の所定の基準と比較することと、前記電気的特性が前記1つ又は複数の所定の基準を満たしたことに応じて応答措置をトリガすることとを行うことによって前記RF電極の劣化した機能状態を検出するステップを有することを特徴とする、パーソナルケア方法を実行させるコンピュータプログラムコードを備えた、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルケアデバイスに関し、より詳細には、洗浄及び/又は処置機能のためのRF機能を備えたデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
WO-A1-2017/216606は、洗浄要素を支持するヘッド部と、ヘッド部から延在するハンドル部と、ハンドル部に配設され、ヘッド部上に位置する電極に接続されたRF発生器とを備える口腔洗浄デバイスを開示している。
【0003】
パーソナルケアの分野では、様々なデバイスが、パーソナルケア機能のために電磁放射を発生させる。
【0004】
一例が、口腔ヘルスケアである。口腔ヘルスケア分野において最近開発されたものとしては、口腔洗浄及び/又は処置機能のために無線周波数(RF)電磁放射を発生させる口腔ケアデバイスがある。本明細書において、無線周波数(RF)とは、ITU勧告ITU-R V.431-8において定義されるように、3kHzから30GHzまでの、したがって、超長波(VLF)からセンチメートル波(SHF)までの、交流電流又は交流電圧の振動率、或いは、磁場、電場若しくは電磁場又は機械システムの振動率である。
【0005】
無線周波数(RF)電磁放射は、口腔内に洗浄機能を提供するために使用され得る。具体的には、RF場が歯及び歯茎の表面と相互作用すると、口内の表面の表面性質を変化させ、これにより、プラーク又は歯石などの表面堆積物を軟化させ、それらを、より容易に除去できるようにする。RF放射はまた、組織内に温和な加熱作用を誘導することにより、処置機能を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
日常的に常時使用することにより、コンポーネントは、摩耗又は劣化し、それらの動作健全性が低下する。
【0007】
パーソナルケアの分野では、現在、ブラシヘッドなどの作動部品は、デバイスの所定の使用時間に基づいて、又はデバイスの使用回数をカウントすることに基づいて交換される。しかしながら、摩耗は個人差が大きく、ユーザ間で異なり得る。したがって、経時的な実際の摩耗を測定することは、非常に有意義となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、独立請求項によって定義される。従属請求項は、有利な実施形態を定義する。
【0009】
本発明の例によれば、例えば、RF電極からのRF電磁放射又はRF電流の発生を励起するために、駆動方式に従って複数のRF電極を駆動させる際に、動作時の使用のために1つ又は複数のRF駆動信号を発生させるように適合されたRF信号発生器を備えたパーソナルケアデバイスが提供される。コントローラは、動作時に発生器回路の1つ又は複数の電気的特性を監視することであって、1つ又は複数の電気的特性がRF電極の機能ステータスに関連している、監視することと、電気的特性を1つ又は複数の所定の基準と比較することと、電気的特性が1つ又は複数の所定の基準を満たしたことに応じて応答措置をトリガすることとを行うことにより、RF電極の劣化した機能状態を検出するように適合される。
【0010】
本発明の実施形態は、発生器回路の1つ又は複数の電気的特性における変化を監視することによりRF電極の機能ステータスを監視することに基づく。機能ステータスは、例えば、RF電極の物理的ステータス(例えば、RF電極の物理的健全性、RF電極の構造的形状、若しくはRF電極の劣化)及び/又は電気的機能ステータス、例えば、信号伝送の健全性、若しくは配線健全性に関連し得る。目的は、RF電極の劣化した機能状態(機能不良、摩耗状態)を検出することである。
【0011】
コントローラは、特定の目標機能ステータスを検出するように適合されており、その基準は、その目標機能ステータスと相関する又はその発生を示すように構成されている。
【0012】
例えば、RF電極が摩耗すると、RF電極が曲がったり、広がったりすることで、停止時における所与の対のRF電極の相対的な空間位置決めが変化し、それにより、RF駆動回路内のRF駆動信号の電気的性質(例えば、インピーダンス、電流、電圧)が変化する。したがって、駆動回路の電気的特性における(例えば、ベースライン又は参照レベルからの)変化は、洗浄及び/又は処置部の交換を必要とする、RF電極の物理的ステータスにおける変化などを示すために使用され得る。追加又は代替として、これらの変化は、摩耗及び変化した物理的ステータスの結果として生じる、可能性のある短絡を回避する又はそれに適応するための修正措置をトリガするために使用される。
【0013】
本開示のコンテキストにおいて、パーソナルケアとは、人間又は動物のパーソナルケアを指す。
【0014】
本開示のコンテキストにおいて、機能ステータスに関連しているとは、RF電極の機能ステータスに応じて1つ又は複数の電気的特性が変動することを意味する。機能ステータスが変化すると、監視されている1つ又は複数の電気的特性が変化する。上述のように、機能ステータスは、例えば、RF電極の物理的ステータス、及び/又はRF電極の電気的機能に関連している。
【0015】
所定の基準は、ある目標機能ステータス、すなわち、その発生が検出されることが求められている機能ステータスに関連しているか又はそれを示す。目標機能ステータスは、好ましくは、新品時又は工場出荷時の状態と比較して低下又は劣化した機能ステータス、すなわち、機能不良ステータスである。
【0016】
所定の基準は、特定の目標機能ステータスの発生時において測定された電気的特性の期待されるレベル又は性質に対応する。この基準は、目標機能ステータス、具体的には、劣化又は低下した機能ステータス、例えば、機能不良、又は部分的若しくは完全な摩耗を示すように構成されている。
【0017】
コントローラは、RF電極の摩耗状態を検出するように適合される。
【0018】
本開示のコンテキストにおいて、「摩耗状態」又は「劣化した機能ステータス」とは、破損の状態、又は物理的若しくは機能的な劣化の状態を意味する。これは、コンポーネントの故障又はコンポーネントの機能不良を含むだけでなく、コンポーネントの手入れ状態が、まだ故障はしていないが新品時の状態と比較して劣化している部分的摩耗状態も含む。これは、例えば、コンポーネントの故障、コンポーネントの機能不良(短絡を含む)、及びRF電極の(持続的又は永続的な)機械的変形又は撓みを含む。したがって、「摩耗状態」又は「劣化した機能ステータス」は、部分的又は完全な摩耗又は品質劣化のあらゆる状態を網羅するように意図されている。
【0019】
本開示のコンテキストにおいて、「RF放射」は、静的若しくは時間変動する電場若しくは電磁場、及び/又は伝搬する電磁波を指す。
【0020】
パーソナルケアデバイスは、動作時に取外し可能な洗浄及び/又は処置部に結合するように適合されたベース部を備える。提供されるデバイスは、ベース部のみを備えてもよいし、洗浄及び/又は処置部との組合せでベース部を備えてもよい。さらなる例において、パーソナルケアデバイスは、洗浄及び/又は処置部に固定的に取り付けられたベース部を備える。
【0021】
パーソナルケアデバイスは、口腔ケアデバイス、例えば、歯ブラシ又はマウスピース型ブラッシングデバイスである。洗浄及び/又は処置部は、例えば、歯ブラシのヘッドである。他の例については後述する。
【0022】
いくつかの実施形態において、所定の基準は、複数のRF電極のうちの少なくとも2つのRF電極間の短絡の発生を示すように構成される。
【0023】
RF電極が摩耗すると、互いに向かって曲がるように物理的に変形することがあり、これは、RF電極同士の接触による短絡のリスクをもたらす。短絡は、過熱の発生に起因し、また任意の2つのRF電極が互いに近くにある場合には、高強度のRF場の発生に起因するセーフティハザードである。
【0024】
短絡を検出することにより、ユーザへの警告、及び/又はセーフティリスクを回避するために取るべき是正措置が可能になる。
【0025】
また、例えば、所定の劣化した機能ステータスに対応する状態に至るまでの、経時的な(例えば、複数の動作セッションにわたる)電気的特性の傾向に基づいて機能ステータスの劣化を予測することも可能である。
【0026】
所定の基準は、発生器回路の1回の動作セッション時の発生器回路の1つ又は複数の電気的特性における変化を含み、この変化は閾値の大きさ又は閾値変化率を超える。
【0027】
インピーダンス又は電流などの電気的特性における急変(変動)は、短絡が起こったことを示す。これはまた、機能ステータスの他の形の摩耗又は劣化、例えば、RF電極の割れ若しくは破損、又は捻じれ、曲がり、若しくは他の物理的な歪みの形の変形を示し得る。したがって、電気的特性の変化は、単一のRF電極に局所化された効果に起因し、必ずしも別のRF電極との相互作用に起因せずに発生する場合もある。
【0028】
1回の動作セッションとは、例えば、デバイスの1回の連続的なアクティブ期間、例えば、RF信号発生器の1回の連続的なアクティブ期間(RF信号発生器がアクティブ化されてRF駆動信号を発生させる期間)を意味する。
【0029】
所定の基準は、1つ又は複数の電気的特性のうちの少なくとも1つのための閾値を満たす又は上回ることを含む。
【0030】
ここで、目標(低下した)機能ステータスの決定は、電気的特性のベースラインレベルからの長期の逸脱に基づき、ベースラインレベルは、例えば、工場出荷時の設定レベル、或いは洗浄及び/又は処置部の初回使用時に実行される較正動作において設定されるレベルである。
【0031】
応答措置は、所定の基準の満足(すなわち、目標機能ステータスの検出)を示すデータ出力を生成することを含む。これは、外部のコンピューティングデバイス、例えば、パーソナルコンピューティングデバイス、例えば、スマートフォンなどの外部デバイスと通信するためのものである。
【0032】
応答措置は、ユーザに警告するための感覚出力を生成することを含む。感覚出力は、機能ステータス変化の指標をユーザに提供する。これは、例えば、洗浄及び/又は処置部、或いは洗浄及び/又は処置部の劣化したRF電極を備える部分を交換する必要があることを示す。
【0033】
1つ又は複数の実施形態によれば、1つ又は複数の応答措置は、RF電極の駆動方式を変更することを含む。
【0034】
駆動方式を変更することは、複数のRF電極のうちの少なくとも1つのRF電極を選択的に非アクティブ化することを含む。
【0035】
RF電極は、可能性のある短絡を避けるために、又は短絡が既に生じている場合には、さらなる短絡を防ぐために、選択的に非アクティブ化され得る。これにより、摩耗が検出された後でも短期間、デバイスを安全に使用し続けることができる。RF電極の摩耗への適応が行われ、有害なRF電極が動作上無害化された状態で、一時的な摩耗又は適応モードにおいてデバイスを使用し続けることが可能である。
【0036】
1つ又は複数の実施形態によれば、デバイスは、洗浄及び/又は処置部をさらに備え、洗浄及び/又は処置部は、洗浄及び/又は処置部の表面から外向きに延在する複数のRF電極を備え、RF信号発生器が、洗浄及び/又は処置部の複数のRF電極にRF駆動信号を供給するように配置されている。
【0037】
パーソナルケアデバイスは、RF信号発生器及びコントローラを収容するベース部を備え、洗浄及び/又は処置部はベース部に固定的又は取外し可能に結合されている。洗浄及び/又は処置部は、ベース部に対する取外し可能なアタッチメントを形成する。
【0038】
1つ又は複数の実施形態によれば、洗浄及び/又は処置部は、口腔表面に係合するために洗浄及び/又は処置部の表面から外向きに突出する、洗浄機能のための複数の洗浄要素を備える。洗浄要素は、例えば、洗浄用フィラメント又は任意の他のタイプの突出式の機械式洗浄要素である。
【0039】
1つ又は複数の実施形態によれば、洗浄及び/又は処置部は、洗浄及び/又は処置部の表面から外向きに延在する洗浄用フィラメントの1つ又は複数の空間的グループを備え、各空間的グループは、表面のエリアをカバーし、RF電極のそれぞれは、フィラメントの1つ又は複数の空間的グループによってカバーされるエリアのうちの1つから延在するように位置している。グループとは、2つ以上からなるグループを意味する。洗浄用フィラメントについて言及したが、これらは、洗浄及び/又は処置部の表面から突出する、どのようなタイプの機械式洗浄要素であってもよい。
【0040】
RF電極が洗浄及び/又は処置部が備える任意の洗浄用フィラメントと同様の可撓性の特性を持つ可撓性RF電極として提供される場合、RF電極の検出された機能ステータスは、これらの洗浄用フィラメントの物理的機能ステータス、或いは洗浄及び/又は処置部の全般的な摩耗の間接的インジケータを提供することができる。RF電極の劣化は、潜在的に交換の必要性を示す、洗浄用フィラメント並びに洗浄及び/又は処置部全体の摩耗の代理尺度を効果的に提供することが可能である。
【0041】
RF電極を、フィラメント(例えば、毛材)のタフト(フィールド)内に一体的に設けることで、RF電極の物理的機能ステータス(例えば、曲がり及び広がり)がフィラメントの物理的ステータスを反映することが期待できるようになる。したがって、RF電極の全般的な摩耗に起因する、短絡、又は電気的特性における他の変化は、洗浄用フィラメントの全般的な摩耗の指標を提供する。
【0042】
1つ又は複数の実施形態によれば、洗浄及び/又は処置部は、RF電極の複数の空間的グループを備え、空間的グループのそれぞれが、RF信号発生器によって個別に対処可能であり、応答措置は、RF電極の空間的グループのうちの異なる空間的グループを選択的にアクティブ化又は非アクティブ化することを含む。
【0043】
空間的グループはそれぞれ、少なくとも2つのRF電極を備える。空間的グループは、互いに隣接し、連続し、且つ/又は交互に配置される。例えば、互いに隣接し、且つ/又は連続するRF電極の複数の列又はラインがあってもよい。RF電極の互いに組み合わせて配置された列又はグループがあってもよい。RF電極の同心円状に配置されたリングがあってもよい。RF電極の1つの空間的グループ内で短絡が検出された場合、その空間的グループのみが非アクティブ化される。2つの隣接する空間的グループ間で短絡が検出された場合、それらの空間的グループのうちの一方のみが非アクティブ化されてもよい。
【0044】
1つ又は複数の実施形態によれば、デバイスは、洗浄及び/又は処置部においてかかる圧力を感知するように配置された圧力センサをさらに備え、応答措置のトリガリングは、圧力センサからの出力信号に関連している1つ又は複数の所定の基準にさらに基づく。
【0045】
ここで、RF信号発生器回路の電気的性質との組合せでブラッシング圧力が使用され得る。具体的には、その目的は、外力がRF電極にかかっていない、それらの自然な停止状態においてRF電極の機能ステータスの劣化(例えば、物理的若しくは電気的摩耗又は変形)を決定することである。したがって、例えば、検出された圧力が規定の閾値、例えば、RF電極の外部圧力の不在を示す閾値を下回るとき、RF信号発生器回路の電気的特性に基づいて目標機能ステータスが決定される。
【0046】
1つ又は複数の実施形態によれば、各RF電極は導電素子を備え、各RF電極は熱活性化素子を備え、熱活性化素子は、導電素子の少なくとも一部分と熱的に連通するように配置され、熱活性化時に応答措置を実行するように適合される。
【0047】
熱活性化素子は、熱活性化式の寿命終わりインジケータであってもよい。熱活性化素子は、熱活性化式のセーフティメカニズムであってもよい。
【0048】
熱活性化素子は、好ましくは、受動熱活性化素子である。すなわち、熱活性化素子は受動式の熱活性化メカニズムを備える。熱活性化素子は、熱応答性スマート材料などの熱応答性材料を含んでもよい。
【0049】
熱活性化素子は、2つのRF電極の露出された部分同士の接触によって引き起こされる短絡によって発生する熱に応答してトリガするように適合される。
【0050】
いくつかの例では、導電素子の少なくとも一部分が露出されるように配置され、熱活性化素子は、露出された部分と熱的に連通するように配置される。
【0051】
このコンテキストにおける「露出された」とは、洗浄及び/又は処置部の周囲の環境、例えば、口腔内に受容される場合には口腔の環境に対して、導電素子の当該部分が開放されているか、又はそのような環境と直接流体連通していることを意味する。これにより、電極からのRFエネルギー又はRF電流の効率的な出力が可能となる。
【0052】
導電素子の露出された部分は、導電素子の終端遠位点から、より近位の点まで延在する遠位又は先端部分である。本開示において、近位とは、洗浄及び/又は処置部の表面に対してより近くにあることを意味し、遠位とは、洗浄及び/又は処置部の表面からより遠くにあることを意味する。
【0053】
熱活性化素子は、上述の電気的機能ステータスの監視に追加で設けられる。
【0054】
熱活性化素子は、熱活性化時に視覚的指標を提供するように適合される。ここでは、熱活性化素子は、視覚的な摩耗インジケータを提供する。
【0055】
追加又は代替として、熱活性化素子は、熱活性化時に機械的応答措置を行うように適合される。
【0056】
前述したように、導電素子の少なくとも一部分が露出されるように配置され、熱活性化素子は、露出された部分と熱的に連通するように配置される。いくつかの例では、熱活性化素子は、熱活性化時に第1の物理的構成から第2の物理的構成に遷移するように適合され、第2の物理的構成において、熱活性化素子は、導電素子の露出された部分を覆う。
【0057】
第1の構成では、露出された部分は、覆われていない。第2の構成では、露出されていた部分は、もはや露出されていない。(熱活性化を介して)変形又は撓み、及び結果として生じる短絡を検出した際に、導電素子の露出された部分を覆うことで、露出された部分と他のRF電極の導電素子との間のさらなる接触を防止し、したがってさらなる短絡を防止する。
【0058】
したがって、これにより、短絡が検出された後でも短期間、デバイスを安全に使用し続けることが可能となる。実際には、本実施形態は、短絡したRF電極が無害化される寿命終わり使用モードにデバイスを移行させる。
【0059】
1つ又は複数のさらなる実施形態によれば、熱活性化素子は、熱活性化時に第1の物理的構成から第2の物理的構成に遷移するように適合され、物理的構成のうちの少なくとも一方において、この素子が、動作時にRF電極の電磁場(電磁放射出力経路)内になるように配置され、コントローラは、熱活性化素子の物理的構成における変化によって引き起こされるRF発生器回路の信号特性における変化を検出するように適合される。
【0060】
ここで、熱活性化式トリガリングによるRF放射の場内におけるインジケータの動きは、RF発生器回路の信号特性における変化を引き起こし、したがって、摩耗インジケータの受動活性化を介して機能ステータスにおける変化を電気的に検出する手法を提供する。
【0061】
1つ又は複数の実施形態によれば、各RF電極は、シースに覆われた導電素子を備える。
【0062】
いくつかの例では、シースの遠位部分は、遠位部分と近位部分との間の接合部が破断すると、RF電極から解放され、それにより、導電素子の遠位領域を露出させるように適合されており、この接合部は、所定の量の歪みがかかると破断するように適合されている。
【0063】
本実施形態では、導電素子は、デバイスの通常動作状態において絶縁シースによって覆われるように設計されている。摩耗が所定の量に達すると、シースの遠位部分が解放されて導電素子の端部を露出させるように適合される。その結果、これが寿命終わりを示す視覚的インジケータを提供し、したがって、寿命の終わりとなる摩耗を検出することが可能となる。これはまた、シースに対する物理的改変に起因して発生器回路の電気的特性を変化させ、寿命の終わりを示す電気的に検出可能なインジケータを提供する。
【0064】
本発明のさらなる例は、駆動方式に従って、複数のRF電極を駆動させるために、パーソナルケアデバイスのRF信号発生器を制御して1つ又は複数のRF駆動信号を発生させる(例えば、それによって、RF電極からのRF電磁放射又はRF電流の発生を励起する)ステップと、
RF信号発生器の1つ又は複数の電気的特性を監視することであって、電気的特性がRF電極の機能ステータスに関連している、監視することと、
電気的特性を1つ又は複数の所定の基準と比較することと、
電気的特性が1つ又は複数の所定の基準を満たしたことに応じて応答措置をトリガすることとを行うことにより
RF電極の劣化した機能状態を検出するステップと
を有する方法を提供する。
【0065】
本発明のさらなる態様による例は、プロセッサにおいて実行されると、プロセッサに、上で概説したか若しくは以下に説明する任意の例若しくは実施形態による、又は本出願の任意の請求項による方法を実行させるように構成されたコンピュータプログラムコードを備えたコンピュータプログラム製品を提供する。
【0066】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に説明する実施形態を参照すれば明らかとなり、明確になるであろう。
【0067】
本発明をより良く理解し、どのように実施されるかをより明確に示すために、例示の目的のみで、以下の添付の図面を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【
図1】1つ又は複数の実施形態による例示的なデバイスのコンポーネントを示す図である。
【
図2】1つ又は複数の実施形態による例示的なデバイスのコンポーネントを示す図である。
【
図3】接触及び短絡をもたらすRF電極の物理的変形を概略的に示す図である。
【
図4】接触及び短絡をもたらすRF電極の物理的変形を概略的に示す図である。
【
図5】摩耗又は故障の検出に基づくRF電極の選択的非アクティブ化を示す図である。
【
図6】摩耗又は故障の検出に基づくRF電極の選択的非アクティブ化を示す図である。
【
図7】RF電極の空間的グループを備えるデバイス、及びグループ内のRF電極の摩耗又は故障の検出に基づく空間的グループの選択的非アクティブ化を示す図である。
【
図8】RF電極の空間的グループを備えるデバイス、及びグループ内のRF電極の摩耗又は故障の検出に基づく空間的グループの選択的非アクティブ化を示す図である。
【
図9】RF電極の空間的グループの例示的な幾何学的配置を示す図である。
【
図10】RF電極の空間的グループの例示的な幾何学的配置を示す図である。
【
図11】RF電極の空間的グループの例示的な幾何学的配置を示す図である。
【
図12】RF電極同士の接触から防護するように構成された物理的シールド素子を備えた例示的なRF電極を示す図である。
【
図13】短絡によって発生した熱に基づいてトリガされるように適合された熱応答性摩耗インジケータを備えた例示的なRF電極を示す図である。
【
図14】閾値量の物理的応力がかかると解放されるように適合された物理的寿命終わりインジケータを備えたRF電極を示す図である。
【
図15】1つ又は複数の実施形態による歯ブラシの形の例示的な口腔ケアデバイスを示す図である。
【
図16】1つ又は複数の実施形態による歯ブラシの形の例示的な口腔ケアデバイスを示す図である。
【
図17】1つ又は複数の実施形態による例示的な動作ワークフローのステップを概説する図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
本発明について図を参照して説明する。
【0070】
装置、システム、及び方法の例示的な実施形態を示しているが、詳細な説明及び具体例は、例示の目的のみを意図しており、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。本発明の装置、システム、及び方法のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付の請求項、及び添付の図面からより良く理解されよう。図は概略的なものに過ぎず、正確な縮尺で描かれていないことを理解されたい。また、図全体を通して使用される同じ参照番号は、同一又は類似の部分を示していることを理解されたい。
【0071】
本発明は、洗浄又は処置機能のためにRF周波数の電磁放射又は電流を発生させる機能を備えたパーソナルケアデバイスを提供する。RF放射又はRF電流は、RF信号発生器からのRF駆動信号によって励起されると2つ以上のRF電極(例えば、電極)のセットから出力される。デバイスは、短絡を示す、RF信号発生器回路の1つ又は複数の電気的特性における変化又は変動、例えば、1つ若しくは複数の電気的特性における工場出荷時の参照レベルからの逸脱、又はこれらの特性における急変を監視することを介して、RF電極の機能ステータスを監視するためのコントローラをさらに備える。電気的特性が特定の(例えば、劣化した)機能ステータスを示す所定の基準を満たしたことに基づいて、例えば、ユーザへの感覚アラート若しくはデータ出力を生成すること、又は感知された欠陥のある若しくは摩耗した電極を非アクティブ化することなどの是正措置を実行すること等、応答措置を生成することができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、応答措置は、劣化した若しくは欠陥のあるRF電極が非アクティブ化される、又は素子の制御方式が、デバイスの機能への影響を最小限に抑えるため、若しくはセーフティハザードを回避するために調整される、専用の摩耗又は機能不良適応モードへとデバイスを切り替えることを含む。追加又は代替として、応答措置は、感覚インジケータ、すなわち感覚出力を伴うインジケータをユーザへ提供することを含む。
【0073】
デバイスによって監視される機能ステータスは、例えば、RF電極の物理的ステータス(例えば、RF電極の物理的健全性、RF電極の構造的形状、若しくはRF電極の劣化)及び/又は電気的機能ステータス、例えば、信号伝送の健全性、配線健全性に関連している。目的は、劣化又は低下した機能ステータス又は状態、例えば、機能不良状態又は劣化した機能状態を検出することである。劣化した機能ステータスは、例えば、RF電極の持続的な物理的変形などの物理的劣化、及び壊れた又は欠陥のある導電素子又は配線などの電気的故障又は機能不良を含むことができる。劣化した機能ステータスは、摩耗状態に対応し、この摩耗状態は、完全な摩耗状態(コンポーネントの故障)、及び/又はRF電極が劣化しているが、まだ故障若しくは機能不良でない部分的摩耗状態である。
【0074】
図1は、1つ又は複数の実施形態による例示的なパーソナルケアデバイス12のコンポーネントを示す。
【0075】
デバイス12は、例えば、RF電極からのRF放射又はRF電流の発生を励起するために、駆動方式に従って、動作時に、複数のRF電極22に1つ又は複数のRF駆動信号を供給するように配置されたRF信号発生器32を備える。RF放射は、時間変動する電場若しくは電磁場を含み、及び/又は伝搬するRF周波数電磁波を含む。
【0076】
デバイス12は、追加として、洗浄及び/又は処置部14を備え、この洗浄及び/又は処置部14は、洗浄及び/又は処置部の表面16から外向きに延在する複数のRF電極22を備える。2つのRF電極22a、22bが
図1に示されているが、通常、それより多くのRF電極が設けられてもよい。洗浄及び/又は処置部としては、非限定的な例として、歯ブラシ用のブラシヘッド、マウスピース型ブラッシングデバイスのマウスピース部、又は肌用ブラッシングデバイスのヘッド部が挙げられる。
【0077】
デバイス12は、RF信号発生器32に動作可能に結合されたコントローラ34をさらに備える。
【0078】
コントローラ34は、動作時に発生器回路の1つ又は複数の電気的特性を監視するように適合される。1つ又は複数の電気的特性は、RF電極の機能ステータスに関連している。コントローラは、1つ又は複数の所定の基準によって電気的特性を評価するようにさらに適合される。コントローラは、電気的特性が1つ又は複数の所定の基準を満たしたことに応じて応答措置をトリガするようにさらに適合される。
【0079】
1つ又は複数の所定の基準は、特定の目標機能ステータス、すなわち、その発生が検出されることが求められている機能ステータスに対応するように構成又は設定される。目標機能ステータスは、好ましくは、低下又は劣化した機能ステータス、すなわち、機能不良ステータスである。
【0080】
コントローラは、基準の満足に応じて、すなわち、目標機能ステータスの検出に応じて応答措置をトリガするようにさらに適合される。
【0081】
さらなる実施形態では、洗浄及び/又は処置部は、提供されるデバイスから省略される。代わりとして、デバイスは、洗浄及び/又は処置部なしで、RF信号発生器回路及びコントローラを備え、RF信号発生器は、RF放射の発生を励起するために複数のRF電極に電気的に結合するように適合される。例えば、デバイスは、RF信号発生器及びコントローラを収容し、洗浄及び/又は処置部に結合するように適合されたベース部を備える。
【0082】
「発生器回路」とは、例えば、RF信号発生器32と、発生器に電気的に結合された少なくとも1つのRF電極22、例えば、少なくとも1対のRF電極とを備える回路を意味する。デバイスは、それぞれが1つ又は複数のRF電極との組合せでRF信号発生器を備える複数の発生器回路を備えてもよい。
【0083】
図2に示すように、いくつかの例では、デバイス12は、RF信号発生器32とRF電極22との間の回路の1つ又は複数の電気的特性を感知するために、RF信号発生器32に電気的に結合されたセンサモジュール36をさらに備える。コントローラ34は、センサモジュール36から出力信号を受信し、この出力信号に基づいて機能ステータスを監視する、すなわち、所定の基準を評価するように適合される。
【0084】
RF電極22はそれぞれ、RF信号発生器に電気的に結合された導電素子24を備える。導電素子は、絶縁シースによって少なくとも部分的に覆われている。非限定的な例として、RF電極は、電極(例えば、可撓性の金属製電極ストリップ(ラメラ)などの導電プレート、ワイヤ、又はコイル)を含む。
【0085】
RF電極22は、好ましくは、RF電極が表面16と接触する近位端からRF電極の遠位先端まで延在するその長さLの方向に対して垂直な方向である、横方向に可撓性である。これは、例えば、デバイスが、洗浄機能のためのものであり、洗浄及び/又は処置部の同表面16から突出する可撓性の洗浄要素(例えば、毛材)を備える場合などに有利である。これは、RF電極が可撓性の洗浄要素と共に曲がることができるので、ユーザビリティや洗浄機能を向上させるためである。
【0086】
RF信号発生器32は、発振器である。RF信号発生器は、交流電流又は交流電圧の形でRF駆動信号を発生させるように適合される。
【0087】
無線周波数駆動信号について上記で特に言及しているが、RF信号発生器は、無線周波数帯域又はマイクロ派周波数帯域、例えば、3kHzと30GHzとの間、又はより好ましくは100kHzと30GHzとの間において電磁放射を励起するために、駆動信号を発生させるように適合される。
【0088】
複数のRF電極22は、複数の対の電極を含み、各対のRF電極は、対間に時間変動する電位差を誘導するために、異なる電圧で(往復的に交互に入れ替わる電圧で)駆動される。各対は、別々且つ個別に制御可能である。しかしながら、この駆動構成は必須ではない。いくつかの例では、複数のRF電極は、複数のサブセットのRF電極を含み、各サブセットは、個別に制御可能である。さらなる例では、個々のRF電極が別々に制御可能である。
【0089】
コントローラ34は、RF信号発生器回路の1つ又は複数の電気的特性を監視するように適合される。これらの電気的特性は、例えば、インピーダンス、電流、又は電圧である。
【0090】
コントローラは、監視される1つ又は複数の電気的特性に関連している1つ又は複数の所定の検出基準を適用又は評価するように適合される。デバイスは、これらの基準が記録されるローカルのメモリ又はデータストアをさらに備え、コントローラ34は、動作時に基準を取り出すように適合される。さらなる例では、基準は、コントローラをプログラムするのに用いられる、又はコントローラが実行するように適合される、1つ又は複数の検出アルゴリズム内に暗黙的に設けられる。基準は、電気的特性のうちの1つ又は複数の値のための閾値(指定範囲)を含んでもよい。基準は、電気的特性のうちの1つ又は複数の変化率のための閾値又は指定範囲を含んでもよい。基準は、電気的特性のうちの1つ又は複数における参照値(例えば、工場出荷時のデフォルト値)からの逸脱又は変化のための閾値又は指定範囲を含んでもよい。
【0091】
上記のいずれについても、電気的特性に直接関連している基準の代わりに、電気的特性から導出される二次的性質又は値、例えば、回路の電気的特性に関連している信号波形特徴又は周波数的/スペクトル的性質に関連していてもよい。
【0092】
本発明の実施形態には、いくつかの可能性のある様々な応用例がある。デバイス12は、一般に、パーソナルケアデバイス、特に手持ち式パーソナルケアデバイスの分野において応用可能である。有利な一応用分野としては、口腔ケアデバイス(例えば、電動歯ブラシ又は電動マウスピースデバイス)があり、以下で論じる様々な実施形態は、口腔ケアデバイスに関して説明する。しかしながら、それぞれの場合において、実施形態の技術的効果に寄与する技術的特徴は、ヘアブラシ、肌用ブラシ、マッサージブラシ、フットブラシ、フェイスブラシ、及び髭用ブラシなどの様々な分野におけるパーソナルケアデバイスに同様に応用されることを理解されたい。また、本発明の実施形態は、人間のパーソナルケアに好適であるのみでなく、動物(例えば、ペット)のケアにも好適である。一例として、提供されるパーソナルケアデバイスは、ペット用口腔ケアデバイス、又はペット用ブラッシングデバイスである。
【0093】
提案されるデバイスの利点は、RF電極の機能ステータスにおける変化が、追加で専用の検出又は監視用コンポーネントを組み込む必要なく、デバイス自体の一体型コンポーネントを使用して検出できることである。
【0094】
ここで、1つ又は複数の例示的な実施形態による例示的特徴について、より詳細に概説する。
【0095】
動作において、デバイス12のRF電極22は、物理的に摩耗又は変形する。例えば、いくつかの実施形態では、デバイスは、口腔表面と物理的に係合するための突出式の可撓性洗浄用フィラメント又は要素を備える口腔ケアデバイスである。これに関連して、RF電極が、頻繁に打ち付けられたり、曲がったりすることにより、経時的な劣化がもたらされる。例えば、RF電極は、口腔ケアデバイスの毛材フィールドの中に含まれている。RF電極自体が可撓性であり、したがって、通常動作の過程で互いに向かって曲がりがちである。これは、例えば、(例えば、口の異なる部分に移動するために)歯表面からデバイスを(一時的に)除去する瞬間に最も起こりやすいが、歯の洗浄時にも起こり得る。時間の経過と共に、RF電極は、永続的又は持続的に、互いに向かって曲がった形となる。
【0096】
このことは、
図3及び
図4において概略的に示されている。
図3は、RF電極22が真っ直ぐである、劣化していない機能ステータスのRF電極22を備えた例示的な洗浄及び/又は処置部14を示す。さらなる例において、劣化していない機能ステータスは、異なる所定の配置における、例えば、表面16に対して傾斜し、且つ/又は捻じれた形の素子を含んでもよい。
図4は、
図3のRF電極が互いに対して永続的に曲がった形にある、劣化した機能ステータスの状態の洗浄及び/又は処置部14を示す。ここで、機能ステータスの劣化は、物理的ステータスの劣化に対応する。電気的ステータスも、変形に起因して劣化する。
【0097】
RF電極が備える導電素子24の露出された部分25は、接触する場合がある。これは、短絡をもたらし、この短絡が電気的な機能不良に繋がることがあり、また、発生した熱及び可能性のある火花に起因したセーフティハザードも生じる。性能の低下に繋がるため、素子自体の変形も望ましくない状態であり、短絡は、単に、この望ましくない摩耗の状態を示すインジケータとして使用することもできる。RF電極が洗浄用フィラメントのフィールド内に位置する場合、洗浄用フィラメントの経時的な物理的変形は、RF電極に洗浄用フィラメントを押し付けることによるRF電極の変形を誘発することもある。
【0098】
したがって、1つ又は複数の実施形態によれば、短絡は、劣化した機能ステータスを示すインジケータ、すなわち、摩耗又は寿命終わりインジケータとして利用することができる。そのため、コントローラは、複数のRF電極のうちの少なくとも2つのRF電極22間の短絡を検出するために、電気的特性を監視するように適合される。したがって、所定の基準は、複数のRF電極のうちの少なくとも2つのRF電極間の短絡の発生を示すように構成される。
【0099】
一例として、この場合、所定の検出基準は、発生器回路の1回の動作セッション時の発生器回路の1つ又は複数の電気的特性における変化を含み、この変化は、閾値の大きさ又は閾値変化率を超える。
【0100】
1回の動作セッションとは、デバイスの1回の連続的なアクティブ期間、例えば、RF信号発生器の1回の連続的なアクティブ期間(RF信号発生器がアクティブ化され、RF駆動信号を発生させる期間)を意味する。
【0101】
短絡の発生は、発生器回路の電流、電圧、又はインピーダンスなどの電気的特性における急激な増大をもたらす。これは、電気的特性の値における閾値変化又は閾値変化率として検出することができる。
【0102】
短絡をもたらす品質劣化のレベルの前に、RF電極22は、RF電極が互いに向かって部分的に曲がる、部分的に劣化した機能ステータスの状態(部分的摩耗状態)に入る。言い換えれば、RF電極間の距離は、第1の距離から、より短い第2の距離に変化する。これは、デバイスがゼロ摩耗状態、すなわち、最適機能ステータスのレベルに対応する参照又はベースラインレベルからの、或いは較正レベル(例えば、洗浄及び/又は処置部の初回使用時)からの1つ又は複数の電気的特性における閾値変化として検出可能である。参照又はベースラインレベルは、例えば、コントローラ34による参照のために、ローカルのデータストア又はメモリに記憶される。
【0103】
電気的特性は、例えば、インピーダンスである。複数の動作セッションにわたる発生器回路のインピーダンスにおける逸脱は、その発生器回路に含まれるRF電極22間の距離における変化を示す。
【0104】
いくつかの例では、1つ又は複数の所定の基準は、デバイスが停止状態又は非アクティブ状態にあるときの1つ又は複数の信号特性の閾値変化(すなわち、持続的又は永続的な物理的変形を示す)の検出を含む。
【0105】
図5及び
図6は、複数のRF電極22を備えた例示的な洗浄及び/又は処置部14のRF電極の劣化した機能ステータスの検出を概略的に示す。
図6に示すように、この例において、RF電極は、3対のRF電極のセット、すなわち、第1の対22a、22b、第2の対22c、22d、及び第3の対22e、22fのセットとして制御される。アナログマルチプレクサ(「MUX」)42によって、これらの対のそれぞれを独立して制御し、それぞれの電気的特性を独立して感知することができる。RF電極の各対は、マルチプレクサに電気的に結合される。コントローラ34は、各RF電極対に供給される信号を制御するために、マルチプレクサに動作可能に結合される。RF信号発生器32は、マルチプレクサにRF駆動信号を供給するように配置され、この信号の各対への供給は、コントローラ34からの制御信号に従って、マルチプレクサによって選択的にアクティブ化又は非アクティブ化することが可能である。センサモジュール36は、RF電極対のそれぞれに対する発生器回路分岐部の信号特性を監視するように適合され、この情報をコントローラに送出するように配置される。
【0106】
低下していない機能ステータスであるゼロ摩耗状態では、RF電極22の各対は、距離Dによって分離される。洗浄及び/又は処置部14が使用され、摩耗するようになる場合、対22e、22fのうちの1つ又は複数のRF電極22は、対22e、22fに関して
図5及び
図6に示すように、互いに向かって曲がる。この曲がりは、(容量性)インピーダンスなどの電気的特性における変化をもたらし、これは、センサユニット36、したがって、コントローラ34によって検出可能である。変化が所定の閾値を超えると、例えば、互いに向かって撓んだRF電極対を非アクティブ化する等の修正措置が取られる。これにより、RF電極が互いに接触した場合における短絡の可能性が回避される。
【0107】
したがって、言い換えれば、測定された(容量性)インピーダンスなどの信号特性は、1又は複数対のRF電極間の距離Dにおける変化を感知するように使用され、閾値を超える変化を検出したことに応答して、コントローラ34は、閾値分離距離変化を超える、各電極対の選択的非アクティブ化を制御する。
【0108】
同様に、短絡が、特定のRF電極対において検出された場合、その対は、選択的に非アクティブ化される。
【0109】
したがって、これらの例では、コントローラによってトリガされる応答措置は、RF電極の駆動方式に対する変更を含む。
【0110】
図5及び
図6は、独立して制御可能なRF電極22の対を備えているが、代わりに、デバイスは、独立して制御可能な3つ以上のRF電極のサブセットを備えてもよい。RF電極対に関して上述した特徴のすべてを、3つ以上のサブセットの場合にも同様に適用することができる。
【0111】
(RF電極22のある機能ステータスの発生、例えば、RF電極間の分離距離の短縮又はRF電極の短絡を示す)1つ又は複数の所定の基準が満たされたという検出に基づいて、コントローラ34によって応答措置がトリガされる。応答措置は、確認された機能ステータス変化をユーザに知らせるためにアラートを生成することを含み、及び/又は修正措置(例えば、上述のように、選択されたRF電極を非アクティブ化することなど)を含む。
【0112】
いくつかの例では、応答措置は、検出をユーザに伝達するための感覚出力を生成することを含む。例えば、デバイスは、基準が満たされた場合に照明するために、コントローラによって制御される1つ又は複数の制御可能な照明素子、例えば、LEDを備える。さらなる例は、音響出力を生成するための手段を備えてもよいし、ユーザに警告するために触覚フィードバックを生成するための手段を備えてもよい。
【0113】
1つ又は複数の実施形態によれば、デバイス12が備える複数のRF電極22は、洗浄及び/又は処置部14の表面16上の複数の空間的グループ又はサブセット内に配置される。異なる空間的グループ又はサブセットは、洗浄及び/又は処置部14の表面16上に互いに間隔をおいて配置される。空間的グループのそれぞれは、RF信号発生器32によって個別に対処可能である。いくつかの例では、所定の基準が満たされたときのコントローラの応答措置は、RF電極の空間的グループのうちの異なる空間的グループを選択的にアクティブ化又は非アクティブ化することを含む。例えば、RF電極の空間的グループの特定の空間的グループ内で検出された信号特性が、その空間的グループ内のRF電極の劣化した機能ステータスを示す場合、その空間的グループは、短絡及びデバイスの機能不良を回避するために選択的に非アクティブ化される。
【0114】
一例が、
図7及び
図8に概略的に示されている。この例では、複数の空間的グループは、RF電極22の非重複環状配置52a、52bを含む。環状配置は、毛材などの洗浄要素のタフトの外側環状領域内に組み込まれるか又は混合される。RF電極の各環状配置は、この配置を囲むベース構造内に設置された別個の導電トラックを介して電気的に供給される。このベース構造(例えば、リング)はまた、洗浄要素のタフトをまとめる役割も果たす。
【0115】
図8は、それぞれ劣化していない機能ステータス(上部)及び劣化した機能ステータス(下部)におけるRF電極22の隣接する環状配置52a、52bの一例を概略的に示す。劣化した状態では、隣接グループのRF電極が接触する場合がある。このような場合、空間的グループのうちの少なくとも一方が、短絡を回避するためにコントローラ34によって非アクティブ化される。
【0116】
追加又は代替として、RF電極22の独立して制御可能な空間的グループは、異なる幾何学的形状で設けることができる。
【0117】
一例が、
図9に示されている。この例は、RF電極の同心円状の環状リング62a、62b、62cを含む。
【0118】
別の例が、
図10に示されている。この例は、RF電極の径方向にセグメント化された空間的グループを含む。すなわち、空間的グループは、円又は任意の閉じた湾曲形状の内側のセグメント62a~62hを含む。
【0119】
別の例が、
図11に示されている。この例は、RF電極の互いに組み合わせて配置されたライン62a、62bを含む。
【0120】
これらは、単に、例示的な幾何学的形状の一選択肢に過ぎない。例えば、円若しくは楕円空間的グループ(すなわち、単に環状ではなく、中実の円又は楕円)、正方形空間的グループ、三角形空間的グループ、矩形空間的グループ、平行四辺形空間的グループ、又は菱形空間的グループ等の任意の他の例示的な幾何学的形状も企図される。
【0121】
それぞれの例において、RF電極の空間的グループ62は、各グループ内に位置するすべてのRF電極が共通のRF駆動信号によって電気的に駆動させることができるように、その空間的グループがカバーするエリアにわたって延在する1つの導電トラック、プレート、若しくはパターン、又は複数の導電トラックによって供給される。このため、各空間的グループに対応する導電トラック又はプレートに供給されるRF駆動信号を変更することによって、異なる空間的グループのそれぞれの独立した制御が可能となる。例えば、測定された機能ステータスに基づいて、異なる電気的RF駆動信号(例えば、異なる周波数)によって各空間的グループの非アクティブ化若しくはアクティブ化又は供給を行うことができる。
【0122】
上述したように、RF電極22の空間的グループのうちの1つ又は複数は、毛材のタフトなどの洗浄要素又は洗浄用フィラメントのグループと一致する。例えば、洗浄及び/又は処置部14は、洗浄及び/又は処置部14の表面16から外向きに延在する洗浄用フィラメントの1つ又は複数の空間的グループを備え、各空間的グループは、表面のエリアをカバーし、RF電極22のそれぞれは、フィラメントの1つ又は複数の空間的グループによってカバーされるエリアのうちの1つから延在するように位置している。
【0123】
これにより、洗浄用フィラメントの特定のグループ(例えば、タフト若しくは束)内、及び/又はグループ間のRF場の制御が可能となる。
【0124】
1つ又は複数の実施形態によれば、コントローラによって適用される所定の基準は、RF電極の所定の横方向の撓み(距離)に対応するか又はそれを示すように構成される。言い換えれば、基準は、RF電極が決定された横方向の撓みを伴って物理的に変形した、目標の劣化した機能ステータスに対応している。横方向とは、RF電極の長さの方向に対して垂直な方向を意味する。所定の横方向の撓みとは、RF電極の遠位端(例えば、先端)がその最近位点(RF電極が洗浄及び/又は処置部14の表面16に接する場所)からのある所定の横方向距離であるような、この方向におけるRF電極の撓み(曲がり)を意味する。
【0125】
1つ又は複数の実施形態によれば、洗浄用フィラメントの隣接する空間的グループ間の間隔は、この所定の横方向の撓み距離の2倍以下となるように構成され、RF電極は、各空間的グループの外周において表面16の位置から延在するように設けられる。これは、隣接する両空間的グループに含まれているRF電極が、所定の量の横方向の撓みに達すると(すなわち、目標の劣化した機能ステータス(摩耗状態)に達すると)すぐに、各RF電極の導電素子24の露出された遠位部分同士の接触が生じる可能性が高く、これが短絡を引き起こし、この短絡を、次いで、上述したようにコントローラによって検出可能であるという効果がある。
【0126】
いくつかの実施形態では、洗浄用フィラメントの隣接する空間的グループ間の間隔は、所定の横方向の撓み距離(すなわち、距離の2倍ではない)以下となるように構成される。これは、空間的グループのうちの1つのみのRF電極が所定の撓みに達した場合、短絡が生じやすくなり、機能ステータス変化を検出できるという効果がある。洗浄用フィラメントの隣接する空間的グループ内に位置するRF電極は、接触が短絡をもたらすように、異なる、例えば、逆向きの電圧で駆動される。
【0127】
1つ又は複数の実施形態によれば、デバイスは、RF電極の物理的構成を変更するための手段を備え、コントローラによって実施される応答措置は、物理的構成における変更を制御することを含む。これは、検出された機能ステータス変化を示す視覚的指標をユーザに提供するためのものであり得る。追加又は代替として、これは、RF電極の永続的な寿命終わり状態を強制するためのものであってもよい。例えば、対となる2つのRF電極が接触するまで互いに向かう方向の撓みを促進して、短絡及び永続的な寿命終わりをもたらすための手段があってもよい。これは、例えば、検出された短絡に起因するRF電極のうちの一方又は両方の目標機能ステータス変化を検出したことに応答してトリガされる。これにより、結果として、素子によって引き起こされる将来の機能不良及び短絡が回避される。
【0128】
RF電極22間の距離の制御された変更を実施するために、少なくとも1つのサブセットのRF電極のベース部において作動素子が設けられ、これにより、洗浄及び/又は処置部14の表面16に対する素子の角度調節が可能となる。例えば、これは、能動的に制御可能なスイベルジョイントを備える。これは、電気的刺激に応答して拡張し、それにより、RF電極の配向を操作することが可能な電気活性材料のアクチュエータを備えてもよい。
【0129】
いくつかの実施形態では、パーソナルケアデバイスは、洗浄及び/又は処置部14の1つ又は複数の位置においてかかる圧力を感知するように配置された圧力センサをさらに備え、応答措置のトリガリングは、圧力センサからの出力信号に関連している1つ又は複数の所定の基準にさらに基づく。
【0130】
これにより、使用時のRF電極22の通常の動きによって引き起こされる一時的なRF電極の接触(及びその結果の短絡)と、RF電極の永続的な変形との間の区別が可能となる。例えば、口腔ケアデバイスの場合では、通常使用時に、例えば、ブラッシング圧力によってタフトが広げられると、歯との接触の結果として毛材が屈曲することによりRF電極が打ち付けられる。この状態におけるRF電極間の一時的接触は、必ずしも劣化した機能ステータスを示すものではない。したがって、いくつかの例では、応答措置は、圧力信号が所定の閾値を下回り、電気的特性がこれらの特性のための所定の基準を満たす場合にのみ、トリガされる。これにより、当該電気的特性基準がデバイスの静止又はアイドル状態(洗浄及び/又は処置部14の表面16に印加される圧力が低いか全くない)に発生していることを確実にする。
【0131】
いくつかの例では、短絡の発生及び検出される圧力は、コントローラ34によって経時的に同時追跡され、両方の組合せを使用して、デバイス12の経時的に変化する機能ステータスを決定する。
【0132】
圧力センサは、パーソナルケアデバイスのハンドル又はベース部に組み込まれてもよい。これは、ベース部に対して、洗浄及び/又は処置部にかかる圧力を検出する。例えば、ベース部は、結合アームを介して洗浄及び/又は処置部に物理的に結合されるように適合され、洗浄及び/又は処置部によって機械式結合アームにかけられる圧力が検出される。
【0133】
1つ又は複数の実施形態によれば、デバイスは、各RF電極22によって担持され、2つのRF電極同士の接触及び短絡の際に発生する熱に対して暴露されるように配置された受動熱活性化素子をさらに備える。例えば、各RF電極22は、導電素子24を備え、導電素子のうちの少なくとも一部分が露出されている25。短絡をもたらすRF電極同士の接触は、これらの露出された部分25同士に発生する。各RF電極22は、露出された部分と熱的に連通するように配置され、熱活性化時に応答措置を実行するように適合された受動熱活性化素子を備える。
【0134】
一例が、
図12及び
図13に示されている。この例では、熱活性化素子54は、導電素子24の露出された部分25を囲むように配置された環状素子の形を取る。具体的には、熱活性化素子54は、導電素子の露出された部分25から間隔をおいて配置された壁部を備える。しかしながら、これらの構造的詳細は、必須ではない。
【0135】
熱活性化素子54が、導電素子24の露出された部分25を囲むため、露出された部分が別のRF電極の導電素子24と接触して熱活性化をトリガした場合、熱活性化素子54は発生した熱に暴露されるようになる。
【0136】
熱活性化応答措置は、ユーザに視覚的指標を提供する。例えば、素子は、形状を変化させる。熱活性化素子は、熱活性化時に機械的応答措置を行うように適合されてもよい。
【0137】
いくつかの例では、熱活性化素子54は、熱活性化時に第1の物理的構成から第2の物理的構成に遷移するように適合される。
【0138】
いくつかの例では、第2の物理的構成において、熱活性化素子は、導電素子の露出された部分25を覆う。この例は、
図13に示されており、
図13(左図)は、熱活性化前のRF電極22及び熱応答性素子54を示し、
図13(右図)は、熱活性化後のRF電極及び熱応答性素子を示す。この例では、素子54は、遠位端において開放面を備える形状(カップ形状)から遠位端が閉じている形状に変化する。この素子の閉塞により、導電素子の露出された部分を、他のRF電極とのさらなる接触から保護し、これにより、さらなる短絡を回避する。閉塞はまた、素子の寿命終わり又は摩耗状態を示す視覚的インジケータをユーザに提供でき、このインジケータは、ユーザが洗浄及び/又は処置部14を交換することをトリガする。
【0139】
1つ又は複数の例によれば、熱活性化素子54は、熱活性化時に第1の物理的構成から第2の物理的構成に遷移するように適合される。物理的構成のうちの少なくとも一方において、熱活性化素子は、動作時にRF電極22の電磁場(電磁放射出力経路)内に配置され、コントローラ34は、熱活性化素子の物理的構成における変化によって引き起こされるRF発生器回路の信号特性における変化を検出するように適合される。
【0140】
一例として、
図13の例示的な熱活性化素子54では、素子の閉塞は、発生器回路の検出可能な電気的特性における変化をさらにもたらす。
【0141】
さらなる例では、熱活性化素子54は、熱活性化時にRF電極22から分離するように適合される。これは、視覚的にも電気的にも検出可能なRF電極の摩耗又は故障のインジケータを提供する。例えば、さらなる例では、
図12に示す素子54は、熱活性化時にRF電極から解放されるように適合される。これは、RF電極の周囲の電磁場の性質を変化させ、この変化が、次に、電気的特性における検出可能な変化をもたらす。これはまた、寿命終わりを示す視覚的指標も提供する。
【0142】
さらなる例が、
図14に示されている。この例では、各RF電極22は、絶縁シース28によって覆われた導電素子24を備える。
図14(右図)に示すように、シースの遠位部分29は、遠位部分と近位部分との間の(犠牲的な)接合部52の破断時にRF電極から解放されることにより、導電素子25の遠位領域25を露出させるように適合され、この接合部は、所定の量の歪みがかかると破断するように適合されている。
【0143】
したがって、これは、純粋に受動的な材料固有のソリューションを提供する。RF電極は、通常使用時にかかる反復される機械的繰返し応力の結果として剪断応力又は捻じれ/トルク下で故障するように構成される所定の限界点を持つように提供される。RF電極は、所定の長さの時間後、例えば、2、3ヶ月の使用後、又は所定の量の使用後に、壊れるか又は壊れ始めるように設計することができる。
【0144】
図15~
図16は、歯ブラシの形の1つの例示的な口腔ケアデバイス70を示す。この例では、洗浄及び/又は処置部14は、歯ブラシ用の着脱可能なブラシヘッドの形であり、RF電極22と毛材フィールド52とが、ブラシヘッドのプラテン15の表面上に担持される。この例におけるブラシヘッドは、歯ブラシのベース部82に対する取外し可能なアタッチメントを形成し、ベース部は、デバイスのハンドルを形成する。RF信号発生器32及びコントローラ34は、ベース部82の中に収容される。
【0145】
本発明による、提供される口腔ケアデバイスは、動作時に洗浄及び/又は処置部14を結合するように適合される、
図15~
図16に示すデバイスのベース部82のみを備えてもよい。代替として、デバイスは、洗浄及び/又は処置部14との組合せでベース部を備える。
【0146】
好ましい実施形態では、口腔ケアデバイス12は、ブラシヘッドに振動運動を加えるように配置された、機械運動発生器(図示せず)をさらに備える。これは、コントローラ34に結合される。振動運動は、洗浄用フィラメント(毛材)が口腔表面に当てられたときに洗浄作用を向上させる、洗浄用フィラメントの振動を引き起こす。これはまた、動作時にRF電極22によって提供される任意の処置作用も向上させる。
【0147】
振動運動発生器は、ベース部82の中に収容されるように設けられ、洗浄及び/又は処置部14に振動運動を加えるように配置されてもよい。
【0148】
ベース部82並びに洗浄及び/又は処置部14は、洗浄部12のベース部への機械的な結合又はドッキングの際にRF信号発生器32と洗浄部が備えるRF電極22との間に電気的接続が確立されるように配置された相補的な電気コネクタを備えてもよい。
【0149】
図15~
図16の例は、歯ブラシの形の口腔ケアデバイス70を示しているが、これは必須ではない。非限定的なさらなる例として、口腔ケアデバイスは、歯受容チャネルを画定する本体部(例えば、U字状、J字状、又はC字状)を備え、歯洗浄機能のために毛材がチャネル内に突出するように配置されている、マウスピース型ブラッシングデバイスの形を取る。さらなる例としては、口腔洗浄器、電動フロスデバイス、又は任意の他の口腔ケアデバイスが挙げられる。
【0150】
図17は、本発明の例示的な実施形態の動作ワークフロー90を簡単にまとめたものである。実施形態は、洗浄及び/又は処置部14或いはそのコンポーネントの機械的摩耗若しくは劣化92及び/又は電気的摩耗若しくは劣化94を検出することを目的とする。発生器回路の電気的特性を監視し、1つ又は複数の所定の基準を適用したことに基づいて、コントローラ34は、目標機能ステータス変化、例えば、劣化した機能ステータスの発生を検出する96。目標機能ステータス変化が検出されると、応答98がトリガされる。応答は、例えば、感覚出力を用いて、ユーザに警告する100ことを含む。追加又は代替として、応答は、機能ステータス変化があると検出されたRF電極を、選択的に非アクティブ化する102ことを含む。
【0151】
本発明のさらなる態様による例は、
駆動方式に従って、複数の無線周波数(RF)電極を駆動させるために、パーソナルケアデバイスのRF信号発生器を制御して1つ又は複数のRF駆動信号を発生させ、これにより例えば、RF電極からのRF電磁放射又はRF電流の発生を励起するステップと、
RF信号発生器の1つ又は複数の電気的特性を監視するステップであって、電気的特性がRF電極の機能ステータスに関連している、監視するステップと、
電気的特性を1つ又は複数の所定の基準と比較するステップと、
電気的特性が1つ又は複数の所定の基準を満たしたことに応じて応答措置をトリガするステップと
を有する方法を提供する。
【0152】
本発明のさらなる態様による例は、上述した、又は本出願の任意の実施形態若しくは請求項による方法を実行するように構成されたプロセッサを提供する。
【0153】
本発明のさらなる態様による例は、プロセッサにおいて実行されると、プロセッサに、上で概説した若しくは以下で説明する任意の例若しくは実施形態による、又は本出願の任意の請求項による方法を実行させるように構成されたコンピュータプログラムコードを備えたコンピュータプログラム製品を提供する。
【0154】
上述したように、実施形態は、コントローラを利用する。コントローラは、必要となる様々な機能を実行するために、ソフトウェア及び/又はハードウェアを用いて、幾通りものやり方で実装することができる。プロセッサは、必要となる機能を実行するために、ソフトウェア(例えば、マイクロコード)を使用してプログラムされる1つ又は複数のマイクロプロセッサを採用するコントローラの一例である。しかしながら、コントローラを実装するために、プロセッサを採用してもしなくてもよく、いくつかの機能を実行するための専用ハードウェアと、他の機能を実行するためのプロセッサ(例えば、1つ又は複数のプログラムされたマイクロプロセッサ及び関連する回路)との組合せとして実装されてもよい。
【0155】
本開示の様々な実施形態において採用されるコントローラコンポーネントの例としては、限定されないが、従来技術のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)が挙げられる。
【0156】
様々な実装形態において、プロセッサ又はコントローラは、RAM、PROM、EPROM、及びEEPROMなどの揮発性及び不揮発性コンピュータメモリなど、1つ又は複数の記憶媒体に関連付けられる。記憶媒体は、1つ又は複数のプロセッサ及び/又はコントローラにおいて実行されると、必要な機能を実行する1つ又は複数のプログラムによって符号化される。様々な記憶媒体が、プロセッサ若しくはコントローラ内に固定されてもよく、又はその上に記憶された1つ又は複数のプログラムがプロセッサ若しくはコントローラにロードできるように持ち運び可能であってもよい。
【0157】
本開示の実施形態に対する変形例は、特許請求される本発明を実行する当業者によって、図面、開示、及び添付の請求項を調査することにより、理解及び実施され得る。請求項において、「備える、有する、含む」という単語は、他の要素又はステップを除外するものではなく、単数形の要素は、複数を除外するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項に記載される複数の項目の機能を満たしてもよい。相互に異なる従属請求項において記載される措置は、有利に組み合わせることができる。請求項又は説明において、「~するように適合される」という用語が使用される場合、「~するように適合される」という用語は、「~するように構成される」という用語と等価であるように意図されていることが留意される。請求項における任意の参照符号は、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。