(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】内燃機関
(51)【国際特許分類】
F02M 21/02 20060101AFI20240610BHJP
F02B 25/04 20060101ALI20240610BHJP
F02M 26/05 20160101ALI20240610BHJP
【FI】
F02M21/02 S
F02B25/04
F02M26/05
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024018690
(22)【出願日】2024-02-09
【審査請求日】2024-04-10
(31)【優先権主張番号】PA 2023 70078
(32)【優先日】2023-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519441006
【氏名又は名称】マン・エナジー・ソリューションズ、フィリアル・エフ・マン・エナジー・ソリューションズ・エスイー、ティスクランド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・マイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ペーテル・ショルダガー
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン・ハルト
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン・モルク
(72)【発明者】
【氏名】カー・ムン・パン
(72)【発明者】
【氏名】エリック・ボードイン
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-16171(JP,A)
【文献】特開2012-36780(JP,A)
【文献】国際公開第2016/043312(WO,A1)
【文献】特開2012-154188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 21/02
F02M 26/00
F02D 19/02
F02D 21/08
F02B 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのシリンダ(101)と、シリンダカバー(113)と、ピストン(103)と、燃料ガスタンクに接続可能な燃料ガス供給システムと、掃気空気システム(111)と、を備える2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関(100)に燃料ガスを導入する方法であって、前記シリンダ(101)は、シリンダ壁を有し、前記シリンダカバー(113)は、前記シリンダ(101)の上部に配置され、排気弁(104)を有し、前記ピストン(103)は、下死点と上死点との間で中心軸(114)に沿って前記シリンダ(101)内に可動に配置され、前記掃気空気システム(111)は、掃気スワール(202)が前記中心軸(114)の周りを回転して形成されるように、前記シリンダ(101)内に掃気空気を導入するように構成された、前記シリンダ(101)の底部に配置された掃気空気入口(102)を有し、前記燃料ガス供給システムは、前記シリンダ(101)のために、前記シリンダ壁内に少なくとも部分的に配置された第1の燃料ガスノズル(208)を介して、圧縮ストローク中に前記シリンダ(101)内に燃料ガスを導入するように構成された第1の燃料ガス弁(105、204)を備え、前記燃料ガスを前記掃気空気入口(102)からの掃気空気と混合できるようにし、掃気空気と燃料ガスとの混合気を着火させる前に圧縮することを可能にし、燃料ガスが、前記掃気スワール方向(202)と逆の方向において角度Aで半径方向(211)に対して角度を付けられている第1のノズル軸(205)に沿って、前記第1の燃料ガス弁(105、204)を介して前記シリンダ(101)内に導入され、ここにおいて、一定量の排気ガスが、過早着火の増大されたリスクに対処するために、排気ガス再循環(EGR)システム(130)を使用して、前記シリンダ(101)に供給されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記燃料ガス供給システムは、前記シリンダ(101)のために、前記シリンダ壁内に少なくとも部分的に配置された第2の燃料ガスノズル(209)を介して、前記圧縮ストローク中に前記シリンダ(101)内に燃料ガスを導入するように構成された第2の燃料ガス弁(206)を更に備え、前記燃料ガスを前記掃気空気入口(102)からの掃気空気と混合できるようにし、掃気空気と燃料ガスとの前記混合気を着火させる前に圧縮することを可能にし、燃料ガスは、前記掃気スワール方向(202)と逆の方向において角度Bで前記半径方向(211)に対して角度を付けられている第2のノズル軸(207)に沿って、前記第2の燃料ガス弁(206)を介して前記シリンダ(101)内に導入される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の燃料ガス弁(105、204)及び前記第2の燃料ガス弁(206)は、前記シリンダ(101)においてほぼ同じ高さに配置されている、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の燃料ガス弁(105、204)は、前記第2の燃料ガス弁(206)と実質的に対向して配置されている、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の燃料ガスノズル(208)は、第1のノズル開口部(490)と、第2のノズル開口部(492)と、を備え、燃料ガスは、前記第1のノズル軸(205)に沿って、前記第1のノズル開口部(490)を介して、及び、前記掃気スワール方向(202)と逆の方向において前記半径方向(211)に対して角度を付けられている第3のノズル軸(491)に沿って、前記第2のノズル開口部(492)を介して、前記シリンダ(101)内に導入される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つのシリンダ(101)と、シリンダカバー(113)と、ピストン(103)と、燃料ガスタンクに接続可能な燃料ガス供給システムと、掃気空気システム(111)と、を備える2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関(100)であって、前記シリンダ(101)は、シリンダ壁を有し、前記シリンダカバー(113)は、前記シリンダ(101)の上部に配置され、排気弁(104)を有し、前記ピストン(103)は、下死点と上死点との間で中心軸(114)に沿って前記シリンダ(101)内に可動に配置され、前記掃気空気システム(111)は、掃気スワール(202)が前記中心軸(114)の周りを回転して形成されるように、掃気空気を導入するように構成された、前記シリンダ(101)の底部に配置された掃気空気入口(102)を有し、前記燃料ガス供給システムは、前記シリンダ(101)のために、第1のノズル軸(205)に沿って、前記シリンダ壁内に少なくとも部分的に配置された第1の燃料ガスノズル(208)を介して、圧縮ストローク中に前記シリンダ(101)内に燃料ガスを導入するように構成された第1の燃料ガス弁(105、204)を備え、前記燃料ガスを前記掃気空気入口(102)からの掃気空気と混合できるようにし、掃気空気と燃料ガスとの混合気を着火させる前に圧縮することを可能にし、前記第1のノズル軸(405)が、前記掃気スワール方向(202)と逆の方向において角度Aで半径方向(211)に対して角度を付けられており、ここにおいて、前記機関(100)が、過早着火のリスクに対処するために、前記シリンダ(101)に一定量の排気ガスを供給するように構成された排気ガス再循環EGRシステム(130)を更に備えることを特徴とする、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関(100)。
【請求項7】
前記燃料ガス供給システムは、前記シリンダ(101)のために、前記シリンダ壁内に少なくとも部分的に配置された第2の燃料ガスノズル(209)を介して、前記圧縮ストローク中に前記シリンダ(101)内に燃料ガスを導入するように構成された第2の燃料ガス弁(206)を更に備え、前記燃料ガスを前記掃気空気入口(102)からの掃気空気と混合できるようにし、掃気空気と燃料ガスとの前記混合気を着火させる前に圧縮することを可能にし、燃料ガスは、前記掃気スワール方向(202)と逆の方向において角度Bで前記半径方向(211)に対して角度を付けられている第2のノズル軸(207)に沿って、前記第2の燃料ガス弁(206)を介して前記シリンダ(101)内に導入される、請求項6に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関(100)。
【請求項8】
前記第1の燃料ガス弁(105、204)及び前記第2の燃料ガス弁(206)は、前記シリンダ(101)においてほぼ同じ高さに配置されている、請求項7に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関(100)。
【請求項9】
前記第1の燃料ガス弁(105、204)は、前記第2の燃料ガス弁(206)と実質的に対向して配置されている、請求項8に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関(100)。
【請求項10】
前記第1の燃料ガスノズル(208)は、第1のノズル開口部(490)と、第2のノズル開口部(492)と、を備え、燃料ガスは、前記第1のノズル軸(205)に沿って、前記第1のノズル開口部(490)を介して、及び、前記掃気スワール方向(202)と逆の方向において前記半径方向(211)に対して角度を付けられている第3のノズル軸(491)に沿って、前記第2のノズル開口部(492)を介して、前記シリンダ内に導入される、請求項6~9のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関に燃料ガスを導入する方法及び2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
2ストローク内燃機関は、コンテナ船、ばら積み貨物船、及びタンカのような船舶において推進機関として使用される。内燃機関からの不要な排気ガスの低減は、ますます重要になっている。
【0003】
不要な排気ガスの量を低減させるための効果的な方法が、燃料油、例えば、重油(HFO)から、燃料ガスに切り替えることである。燃料ガスは、圧縮ストロークの終わりにシリンダ内に噴射され得、ここで、それは、シリンダ内のガスが圧縮されたときに到達する高温によって、又はパイロット燃料の着火によってのいずれかで、即座に着火され得る。しかしながら、圧縮ストロークの終わりにシリンダ内に燃料ガスを噴射することは、シリンダ内の高圧を克服するために、噴射より前に燃料ガスを圧縮するための高圧ガス圧縮機を必要とする。
【0004】
しかしながら、高圧ガス圧縮機は、製造及び保守整備が高価且つ複雑である。高圧圧縮機の必要性を回避するための1つの方法が、シリンダ内の圧力が著しくより低い圧縮ストローク中に燃料ガスを噴射するように構成された燃料ガス弁を有することである。
【0005】
しかしながら、圧縮ストローク中にシリンダ内に燃料ガスを有することは、過早着火のリスクをもたらす。これは、過早着火が機関部品のより高い摩耗をもたらし、それを回避するための方策がより低い効率をもたらすので、問題となる。
【0006】
シリンダ内の燃料ガスの分布の均一性が、過早着火を回避するための主要パラメータであることは周知である。
【0007】
従って、当技術分野における多くの関心は、燃料ガスの分布の均一性が改善されるような方法で、シリンダ内に燃料ガスを導入し得る燃料ガス供給システムを設計することに向けられてきた。
【0008】
US201501675538には、燃料ガスが掃気空気スワールの方向に沿って噴射され、それによって、より高い均一性が達成されるようなシステムが開示されている。
【0009】
別の例が、WO2021110229に開示されており、ここで、燃料ガスは、均一性を増大させるために、パルス状に噴射される。
【0010】
別の例が、JP2020016171に開示されており、ここで、燃料噴射装置は、2ストローク機関の燃焼室に向けて燃料を噴射するための複数の燃料噴射ノズルを含む。
【0011】
現代の燃料ガス供給システムは、過早着火が効果的に対処され得る状態に到達しているが、燃料消費を更に改善し、不要な排気ガスの排出を低下させることが依然として課題となっている。
【発明の概要】
【0012】
第1の態様によれば、本発明は、少なくとも1つのシリンダと、シリンダカバーと、ピストンと、燃料ガスタンクに接続可能な燃料ガス供給システムと、掃気空気システムと、を備える2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関に燃料ガスを導入する方法に関し、シリンダは、シリンダ壁を有し、シリンダカバーは、シリンダの上部に配置され、排気弁を有し、ピストンは、下死点と上死点との間で中心軸に沿ってシリンダ内に可動に配置され、掃気空気システムは、掃気スワールが中心軸の周りを回転して形成されるように、シリンダ内に掃気空気を導入するように構成された、シリンダの底部に配置された掃気空気入口を有し、燃料ガス供給システムは、シリンダのために、シリンダ壁内に少なくとも部分的に配置された第1の燃料ガスノズルを介して、圧縮ストローク中にシリンダ内に燃料ガスを導入するように構成された第1の燃料ガス弁を備え、燃料ガスを掃気空気入口からの掃気空気と混合できるようにし、掃気空気と燃料ガスとの混合気を着火させる前に圧縮することを可能にし、ここで、燃料ガスは、掃気スワール方向と逆の方向において角度Aで半径方向に対して角度を付けられている第1のノズル軸に沿って、第1の燃料ガス弁を介してシリンダ内に導入され、シリンダ内の圧縮ストロークの終わりにおける燃料ガスの分布が、第1のノズル軸が掃気スワール方向に沿って角度Aで角度を付けられた場合に生じたであろうシリンダ内の燃料ガスの分布と比較して、より均一性が低くなることをもたらし、それによって、過早着火の増大されたリスクをもたらし、ここで、一定量の排気ガスが、過早着火の増大されたリスクに対処するために、排気ガス再循環(EGR)システムを使用して、シリンダに供給される。
【0013】
驚くべきことに、燃料ガスのより均一性の低い分布が生じるように燃料ガスを噴射し、それと同時に、過早着火の増大されたリスクに対処するために、EGRシステムを使用することによって、改善された燃料消費量、構成要素に対する低減された熱負荷、及びより低い排出がもたらされることが分かった。
【0014】
スワール方向に沿った方向における燃料ガスの通常の噴射は、燃料ジェットが対向するライナ壁に衝突することをもたらし、これは、シリンダ内でガスを急速に垂直方向に拡散させるのに役立つ。これは、特に、2つ以下等の少数の燃料ガス弁を備える燃料ガス供給システムについて、及び、特に、これら燃料ガス弁がシリンダ内で実質的に同じ高さに配置されているときに、燃料ガスの非常に均一な分布をもたらす。
【0015】
スワール方向と逆の方向における燃料ガスの噴射もまた、燃料ジェットが対向するライナ壁に衝突することをもたらすが、それほど積極的にではなく、結果として、垂直方向の拡散が低減される。これは、特に、2つ以下等の少数の燃料ガス弁を備える燃料ガス供給システムについて、及び、特に、これら燃料ガス弁がシリンダ内で実質的に同じ高さに配置されているときに、燃料ガスのより均一性の低い分布をもたらす。逆スワールガス噴射(against-swirl gas injection)は、ガスが壁からより離れて燃焼すると見られので、高い壁温度を低減させるために使用され得、それによって、燃料効率を増大させることが分かった。
【0016】
第1のノズル軸は、第1の方向ベクトルに沿って延在する。第1の方向ベクトルは、中心軸に垂直である平面に配置された半径方向成分及び接線方向成分を備える。第1の方向ベクトルは、オプションで、垂直方向成分を更に備え得る。角度Aは、半径方向と、第1の方向ベクトルの半径方向成分及び接線方向成分によって形成される2次元ベクトルとの間で測定される。
【0017】
燃料ガスの分布の均一性は、典型的に、計算流体力学シミュレーションを使用して推定される。シリンダ及びガス供給システムをモデル化することによって、圧縮ストロークの任意の点(any point)での任意の容積の燃焼室における燃料ガスの濃度が推定され得る。圧縮ストロークの終わりにおける燃料ガスの分布の均一性は、圧縮ストロークの終わりに燃焼室をN個の等しいサイズの容積に分割することによって決定され得る。N個の容積の各容積について、燃料ガスの濃度が決定され得、それによって、分布が形成されることを可能にする。次いで、分布の標準偏差等の任意の好適な統計的尺度が、燃料ガスの分布の均一性を決定するために使用され得る。Nを増大させる(それによって、各容積のサイズを低減させる)ことによって、分布は、より高い精度で決定され得る。Nの好適な値は、統計的尺度、例えば、標準偏差が、実質的な定常状態に達するまで、値を増分的に増大させることによって、反復的に求められ得る。
【0018】
内燃機関は、好ましくは、1シリンダ当たり少なくとも400kWのパワーを有する海洋船舶を推進するための、ユニフロー掃気を有する大型低速ターボチャージャ付き2ストローククロスヘッド型内燃機関である。内燃機関は、内燃機関によって生成された排気ガスによって駆動され且つ掃気空気を圧縮するように構成されたターボチャージャを備え得る。内燃機関は、燃料ガスで動くときのオットーサイクルモードと、代替燃料、例えば、重油又は船舶用ディーゼル油で動くときのディーゼルサイクルモードと、を有する複式燃料機関であり得る。このような複式燃料機関は、代替燃料を噴射するためのそれ自体の専用燃料供給システムを有しており、この燃料供給システムはまた、燃料ガスと掃気空気との混合気を着火させるためのオットーサイクルモードで動作するとき、パイロット燃料の噴射のために使用され得る。
【0019】
内燃機関は、パイロット燃料の必要な量だけが使用されるように、ちょうどの量が燃料ガスと掃気との混合気に着火させることができるように正確にその分量をはかられた、例えば、重油又は船舶用ディーゼル油等の、少量のパイロット燃料を噴射することが可能であるパイロット燃料システム等の専用着火システムを備え得る。このようなパイロット燃料システムは、構成要素のサイズが大きいことにより本目的に好適でない代替燃料用の専用燃料供給システムと比較して、サイズがはるかに小さく、正確に一定量のパイロット燃料を噴射するのにより好適である。
【0020】
パイロット燃料は、内燃機関の燃焼室に流体的に接続されている予燃室に噴射され得る。代替として、パイロット燃料は、複数の予燃室、例えば、内側予燃室及び外側予燃室を備える予燃室セット内に噴射され得る。代替として、燃料ガスと掃気空気との混合気は、スパークプラグ又はレーザ着火装置を備える手段によって着火され得る。各シリンダには、シリンダの底部に1つ以上の掃気空気入口と、シリンダの上部に排気出口と、が設けられ得る。
【0021】
EGRシステムは、一定量の排気ガスを引き込むように構成されたEGRレシーバを備え得る。一例として、排気ガスの10%~60%、又は排気ガスの30%~50%が、EGRレシーバによって引き込まれ得る。EGRシステムは、排気ガスの温度を最初に低下させるように構成されたプレスプレーを更に備え得る。EGRシステムはまた、排気ガスの温度を低下させるように構成されたクーラースプレーを備え得る。クーラースプレーは、プレスプレーの下流に配置され得る。EGRシステムはまた、水ミスト捕集器を備え得る。水ミスト捕集器は、クーラースプレーの下流に配置され得る。EGRシステムはまた、排気ガスの圧力を増大させるように構成された送風機を備え得る。送風機は、水ミスト捕集器の下流に配置され得る。送風機は、排気ガスの圧力を掃気空気圧に戻すまで、又は掃気空気圧よりわずかに高くまで増大させるように構成され得る。EGRシステムは、掃気空気システムに排気ガスを供給するように構成され得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1の燃料ガス弁は、圧縮ストローク中、下死点から0度~160度内で、下死点から0度~130度内で、又は下死点から0度~90度内で、シリンダ内に燃料ガスを噴射するように構成されている。
【0023】
燃料ガスの例は、天然ガス、メタン、エタン、液化石油ガス、及びアンモニアである。
【0024】
いくつかの実施形態では、角度Aは、5度~35度である。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1の燃料ガスノズルは、第1のノズル開口部と、第2のノズル開口部と、を備え、燃料ガスは、第1のノズル軸に沿って、第1のノズル開口部を介して、及び、掃気スワール方向と逆の方向において半径方向に対して角度を付けられている第3のノズル軸に沿って、第2のノズル開口部を介して、シリンダ内に導入される。
【0026】
いくつかの実施形態では、燃料ガス供給システムは、シリンダのために、シリンダ壁内に少なくとも部分的に配置された第2の燃料ガスノズルを介して、圧縮ストローク中にシリンダ内に燃料ガスを導入するように構成された第2の燃料ガス弁を更に備え、燃料ガスを掃気空気入口からの掃気空気と混合できるようにし、掃気空気と燃料ガスとの混合気を着火させる前に圧縮することを可能にし、ここで、燃料ガスは、掃気スワール方向と逆の方向において角度Bで半径方向に対して角度を付けられている第2のノズル軸に沿って、第2の燃料ガス弁を介してシリンダ内に導入され、シリンダ内の圧縮ストロークの終わりにおける燃料ガスの分布が、第2のノズル軸が掃気スワール方向に沿って角度Bで角度を付けられた場合に生じたであろうシリンダ内の燃料ガスの分布と比較して、より均一性が低くなることをもたらし、それによって、過早着火の増大されたリスクをもたらす。
【0027】
第2のノズル軸は、第2の方向ベクトルに沿って延在する。第2の方向ベクトルは、中心軸に垂直である平面に配置された半径方向成分及び接線方向成分を備える。第2の方向ベクトルは、オプションで、垂直方向成分を更に備え得る。角度Bは、半径方向と、第2の方向ベクトルの半径方向成分及び接線方向成分によって形成される2次元ベクトルとの間で測定される。
【0028】
いくつかの実施形態では、角度Aと角度Bとの間の差は、10度より小さい(less than)か、又は5度より小さくなる。
【0029】
いくつかの実施形態では、第1の燃料ガス弁及び第2の燃料ガス弁は、シリンダにおいてほぼ同じ高さに配置されている。
【0030】
第1の燃料ガス弁及び第2の燃料ガス弁は、第1の燃料ガス弁と第2の燃料ガス弁との間の高さにおける距離が、上死点と下死点との間の距離の20%より小さい、上死点と下死点との間の距離の10%より小さい、又は上死点と下死点との間の距離の5%より小さい場合、ほぼ同じ高さに配置され得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、燃料ガス供給システムは、2つ以下の燃料ガス弁を備える。
【0032】
いくつかの実施形態では、第1の燃料ガス弁は、第2の燃料ガス弁と実質的に対向して配置されている。
【0033】
第2の態様によれば、本発明は、少なくとも1つのシリンダと、シリンダカバーと、ピストンと、燃料ガスタンクに接続可能な燃料ガス供給システムと、掃気空気システムと、を備える2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関に関し、シリンダは、シリンダ壁を有し、シリンダカバーは、シリンダの上部に配置され、排気弁を有し、ピストンは、下死点と上死点との間で中心軸に沿ってシリンダ内に可動に配置され、掃気空気システムは、掃気スワールが中心軸の周りを回転して形成されるように、掃気空気を導入するように構成された、シリンダの底部に配置された掃気空気入口を有し、燃料ガス供給システムは、シリンダのために、第1のノズル軸に沿って、シリンダ壁内に少なくとも部分的に配置された第1の燃料ガスノズルを介して、圧縮ストローク中にシリンダ内に燃料ガスを導入するように構成された第1の燃料ガス弁を備え、燃料ガスを掃気空気入口からの掃気空気と混合できるようにし、掃気空気と燃料ガスとの混合気を着火させる前に圧縮することを可能にし、ここで、第1のノズル軸は、掃気スワール方向と逆の方向において角度Aで半径方向に対して角度を付けられており、ここで、機関は、過早着火のリスクに対処するために、シリンダに一定量の排気ガスを供給するように構成された排気ガス再循環EGRシステムを更に備える。
【0034】
いくつかの実施形態では、燃料ガス供給システム及びシリンダは、第1のノズル軸が掃気スワールの方向に沿って角度Aで配置されたであろう場合に、圧縮ストロークの終わりにシリンダ内の燃料ガスのより均一な分布が生じたであろうように設計される。
【0035】
いくつかの実施形態では、第1の燃料ガス弁は、圧縮ストローク中、下死点から0度~160度内で、下死点から0度~130度内で、又は下死点から0度~90度内で、シリンダ内に燃料ガスを噴射するように構成されている。
【0036】
燃料ガスの例は、天然ガス、メタン、エタン、液化石油ガス、及びアンモニアである。
【0037】
いくつかの実施形態では、第1の燃料ガスノズルは、第1のノズル開口部と、第2のノズル開口部と、を備え、燃料ガスは、第1のノズル軸に沿って、第1のノズル開口部を介して、及び、掃気スワール方向と逆の方向において半径方向に対して角度を付けられている第3のノズル軸に沿って、第2のノズル開口部を介して、シリンダ内に導入される。
【0038】
いくつかの実施形態では、角度Aは、5度~35度である。
【0039】
いくつかの実施形態では、燃料ガス供給システムは、シリンダのために、シリンダ壁内に少なくとも部分的に配置された第2の燃料ガスノズルを介して、圧縮ストローク中にシリンダ内に燃料ガスを導入するように構成された第2の燃料ガス弁を更に備え、燃料ガスを掃気空気入口からの掃気空気と混合できるようにし、掃気空気と燃料ガスとの混合気を着火させる前に圧縮することを可能にし、ここで、燃料ガスは、掃気スワール方向と逆の方向において角度Bで半径方向に対して角度を付けられている第2のノズル軸に沿って、第2の燃料ガス弁を介してシリンダ内に導入される。
【0040】
いくつかの実施形態では、角度Aと角度Bとの間の差は、10度より小さいか、又は5度より小さくなる。
【0041】
いくつかの実施形態では、燃料ガス供給システム及びシリンダは、第2のノズル軸が掃気スワールの方向に沿って角度Bで配置されたであろう場合に、圧縮ストロークの終わりにシリンダ内の燃料ガスのより均一な分布が生じたであろうように設計される。
【0042】
いくつかの実施形態では、第1の燃料ガス弁及び第2の燃料ガス弁は、シリンダにおいてほぼ同じ高さに配置されている。
【0043】
第1の燃料ガス弁及び第2の燃料ガス弁は、第1の燃料ガス弁と第2の燃料ガス弁との間の高さにおける距離が、上死点と下死点との間の距離の20%より小さい、上死点と下死点との間の距離の10%より小さい、又は上死点と下死点との間の距離の5%より小さい場合、ほぼ同じ高さに配置され得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、第1の燃料ガス弁は、第2の燃料ガス弁と実質的に対向して配置されている。
【0045】
いくつかの実施形態では、燃料ガス供給システムは、2つ以下の燃料ガス弁を備える。
【0046】
本発明の異なる態様は、上記及び以下で説明されるような、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関に燃料ガスを導入する方法及び2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関としてを含む、異なる方法で実装され得、上記で説明された態様の少なくとも1つに関連して説明された利益及び利点のうちの1つ以上をそれぞれもたらし、上記で説明された及び/又は従属請求項において開示される態様の少なくとも1つに関連して説明された好ましい実施形態に対応する1つ以上の好ましい実施形態をそれぞれ有する。更に、本明細書で説明される態様のうちの1つに関連して説明される実施形態は、他の態様にも等しく適用され得ることが理解されよう。
【0047】
本発明の上記及び/又は追加の目的、特徴、及び利点は、添付の図を参照して、本発明の実施形態の以下の例示的且つ非限定的な詳細な説明によって更に解明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関の断面図を概略的に示す。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態による、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関のシリンダの断面図を概略的に示す。
【
図4a】
図4aは、本発明の一実施形態による、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関のシリンダの断面図を概略的に示す。
【
図4b】
図4bは、本発明の一実施形態による、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関のシリンダの断面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下の説明では、添付の図面への参照がなされ、これは、本発明がどのように実施され得るかを例示として示す。
【0050】
図1は、本発明の一実施形態による、海洋船舶を推進するための2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関100の断面図を概略的に示す。2ストローク内燃機関100は、掃気空気システム111と、排気ガスレシーバ108と、ターボチャージャ109と、を備える。2ストローク内燃機関は、複数のシリンダ101(断面図には単一のシリンダのみが示されている)を有する。各シリンダ101は、掃気スワール120が中心軸114の周りを回転して形成されるように、掃気空気を導入するように構成された、シリンダの底部に配置された掃気空気入口102を備える。各シリンダは、ピストン103と、シリンダの上部に配置されたシリンダカバー113と、シリンダカバー113において配置された排気弁104と、第1の燃料ガス弁105(概略的にのみ例示されている)と、を更に備える。ピストン103は、その最も低い位置(下死点)に示されている。ピストン103は、クランクシャフト(図示せず)に接続されたピストン棒を有する。ピストン103は、下死点と上死点との間で中心軸114に沿ってシリンダ内に可動に配置されている。第1の燃料ガス弁105は、第1のノズル軸(図示せず)に沿って、第1の燃料ガスノズルを介して、圧縮ストローク中にシリンダ101内に燃料ガスを導入するように構成され、燃料ガスを掃気空気入口102からの掃気空気と混合できるようにし、掃気空気と燃料ガスとの混合気を着火させる前に圧縮することを可能にする。第1の燃料ガスノズルは、シリンダカバー113と掃気空気入口102との間のシリンダ壁内に少なくとも部分的に配置されている。第1のノズル軸は、掃気スワール方向120と逆の方向において角度Aで半径方向に対して角度を付けられている。機関は、排気ガス再循環EGRシステム130を更に備える。機関は、例えば、重油又は船舶用ディーゼル油等の、少量のパイロット燃料を噴射することが可能であるパイロット燃料システム等の専用着火システム115を更に備える。パイロット燃料は、内燃機関の燃焼室に流体的に接続されている予燃室に噴射され得る。代替として、パイロット燃料は、複数の予燃室、例えば、内側予燃室及び外側予燃室を備える予燃室セット内に噴射され得る。代替として、専用着火システム115は、予燃室セットの予燃室においてオプションで配置されたスパークプラグ又はレーザ着火装置を備える手段によって、燃料ガスと掃気空気との混合気を着火し得る。各シリンダには、シリンダの底部に1つ以上の掃気空気入口と、シリンダの上部に排気出口と、が設けられ得る。
【0051】
燃料ガス供給システム及びシリンダ101は、第1のノズル軸が掃気スワール120の方向に沿って角度Aで配置されたであろう場合に、圧縮ストロークの終わりにシリンダ101内の燃料ガスのより均一な分布が生じたであろうように設計され得る。従って、掃気スワール方向120と逆の方向においてノズル軸を配置することによって、過早着火のリスクが増大する。しかしながら、EGRシステム130は、過早着火の増大されたリスクに効果的に対処するために使用され得る。一例として、ERGシステム130を使用して再循環される排気ガスの量は、第1のノズル軸が掃気スワールの方向に沿って角度Aで配置されたであろう場合に再循環されたであろう量と比較して、わずかに増大され得る。
【0052】
燃料ガスのより均一性の低い分布が生じるように燃料ガスを噴射し、それと同時に、過早着火の増大されたリスクに対処するために、EGRを使用することによって、改善された燃料消費量、構成要素に対する低減された熱負荷、及びより低い排出がもたらされることが分かった。
【0053】
図2は、本発明の一実施形態による、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関のシリンダ201の断面図を概略的に示す。
図2の上部の拡大図が
図3aに示され、
図2の下部の拡大図が
図3bに示される。機関は、シリンダ壁内に少なくとも部分的に配置された第1の燃料ガス弁204及び第2の燃料ガス弁206を備える燃料ガス供給システムを備える。第1の燃料ガス弁204は、第1の燃料ガスノズル208を介して、圧縮ストローク中にシリンダ201内に燃料ガスを導入するように構成され、第2の燃料ガス弁206は、第2の燃料ガスノズル209を介して、圧縮ストローク中にシリンダ内に燃料ガスを導入するように構成され、それによって、燃料ガスを掃気空気入口からの掃気空気と混合できるようにし、掃気空気と燃料ガスとの混合気を着火させる前に圧縮することを可能にする。燃料ガスは、掃気スワール方向202と逆の方向において角度Aで半径方向に対して角度を付けられている第1のノズル軸205に沿って、第1の燃料ガス弁204を介してシリンダ内に導入される。第1のノズル軸205は、第1の方向ベクトルに沿って延在する。第1の方向ベクトルは、シリンダ201の中心軸に垂直である平面(
図2及び
図3a~
図3bの平面)に配置された半径方向成分211及び接線方向成分210を備える。第1の方向ベクトルは、オプションで、垂直方向成分を更に備え得る。角度Aは、半径方向と、第1の方向ベクトルの半径方向成分211及び接線方向成分210によって形成される2次元ベクトル212との間で測定される。燃料ガスは、掃気スワール方向202と逆の方向において角度Bで半径方向211に対して角度を付けられている第2のノズル軸207に沿って、第2の燃料ガス弁206を介してシリンダ内に導入される。掃気スワール方向202とは逆に角度A/Bで角度を付けられた第1のノズル軸205及び第2のノズル軸207を有することは、シリンダ内の圧縮ストロークの終わりにおける燃料ガスの分布が、第1のノズル軸205及び第2のノズル軸207が掃気スワール方向202に沿って角度A/Bで角度を付けられた場合に生じたであろうシリンダ内の燃料ガスの分布と比較して、より均一性が低くなることをもたらす。
【0054】
第2のノズル軸205は、第2の方向ベクトルに沿って延在する。第2の方向ベクトルは、シリンダ201の中心軸に垂直である平面に配置された半径方向成分214及び接線方向成分213を備える。第2の方向ベクトルは、オプションで、垂直方向成分を更に備え得る。角度Bは、半径方向と、第2の方向ベクトルの半径方向成分214及び接線方向成分213によって形成される2次元ベクトル215との間で測定される。
【0055】
図4aは、本発明の一実施形態による、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関のシリンダの断面図を概略的に示す。圧縮ストローク中に燃料ガスをシリンダ内に導入するための第1の燃料ガスノズル409が示されている。第1の燃料ガスノズル409は、主ノズル流路494と、二次ノズル流路493と、を備える。主ノズル流路494は、第1のノズル開口部490を有し、二次ノズル流路493は、第2のノズル開口部492を有する。燃料ガスは、第1のノズル軸405に沿って、第1のノズル開口部490を介して、及び、第3のノズル軸491に沿って、第2のノズル開口部492を介して、シリンダ内に導入される。第1のノズル軸405と第2のノズル軸491との両方が、掃気スワール方向402と逆の方向において半径方向に対して角度を付けられている。
【0056】
図4bは、本発明の一実施形態による、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関のシリンダの断面図を概略的に示す。圧縮ストローク中に燃料ガスをシリンダ内に導入するための第1の燃料ガスノズル409が示されている。第1の燃料ガスノズル409は、主ノズル流路494と、二次ノズル流路493と、を備える。主ノズル流路494は、第1のノズル開口部490を有し、二次ノズル流路493は、第2のノズル開口部492を有する。燃料ガスは、第1のノズル軸405に沿って、第1のノズル開口部490を介して、及び、第3のノズル軸491に沿って、第2のノズル開口部492を介して、シリンダ内に導入される。第1のノズル軸405は、掃気スワール方向402と逆の方向において半径方向に対して角度を付けられており、第3のノズル軸491は、掃気スワール方向402に沿った方向において角度を付けられている。
【0057】
燃料ガスノズルに(主ノズル流路に加えて)二次ノズル流路を設けることによって、燃料ガスと掃気空気との所望の混合気を供給するより多くの可能性が可能になり、これによって、燃費及び排出特性が更に最適化され得る。
【0058】
いくつかの実施形態が詳細に説明され示されてきたが、本発明はこれらに制限されず、以下の特許請求の範囲において定義される主題の範囲内で、他の方法でも具現化され得る。特に、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用され得、構造的及び機能的な修正が行われ得ることが理解されるべきである。
【0059】
いくつかの手段を列挙する装置の請求項では、これらの手段のいくつかは、ハードウェアの同一のアイテムによって具現化され得る。ある特定の方策が、相互に異なる従属請求項において記載されているか、又は異なる実施形態において説明されているという事実だけで、これらの方策の組合せが有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0060】
本明細書で使用される場合、「備える/備えている」という用語は、述べられる特徴、整数、ステップ又は構成要素の存在を明記するようにとらえられるが、1つ以上のその他の特徴、整数、ステップ、構成要素又はそのグループの存在又は追加を排除するものではないことが強調されるべきである。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 少なくとも1つのシリンダ(101)と、シリンダカバー(113)と、ピストン(103)と、燃料ガスタンクに接続可能な燃料ガス供給システムと、掃気空気システム(111)と、を備える2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関(100)に燃料ガスを導入する方法であって、前記シリンダ(101)は、シリンダ壁を有し、前記シリンダカバー(113)は、前記シリンダ(101)の上部に配置され、排気弁(104)を有し、前記ピストン(103)は、下死点と上死点との間で中心軸(114)に沿って前記シリンダ(101)内に可動に配置され、前記掃気空気システム(111)は、掃気スワール(202)が前記中心軸(114)の周りを回転して形成されるように、前記シリンダ(101)内に掃気空気を導入するように構成された、前記シリンダ(101)の底部に配置された掃気空気入口(102)を有し、前記燃料ガス供給システムは、前記シリンダ(101)のために、前記シリンダ壁内に少なくとも部分的に配置された第1の燃料ガスノズル(208)を介して、圧縮ストローク中に前記シリンダ(101)内に燃料ガスを導入するように構成された第1の燃料ガス弁(105、204)を備え、前記燃料ガスを前記掃気空気入口(102)からの掃気空気と混合できるようにし、掃気空気と燃料ガスとの混合気を着火させる前に圧縮することを可能にし、燃料ガスが、前記掃気スワール方向(202)と逆の方向において角度Aで半径方向(211)に対して角度を付けられている第1のノズル軸(205)に沿って、前記第1の燃料ガス弁(105、204)を介して前記シリンダ(101)内に導入され、ここにおいて、一定量の排気ガスが、過早着火の増大されたリスクに対処するために、排気ガス再循環(EGR)システム(130)を使用して、前記シリンダ(101)に供給されることを特徴とする、方法。
[2] 前記燃料ガス供給システムは、前記シリンダ(101)のために、前記シリンダ壁内に少なくとも部分的に配置された第2の燃料ガスノズル(209)を介して、前記圧縮ストローク中に前記シリンダ(101)内に燃料ガスを導入するように構成された第2の燃料ガス弁(206)を更に備え、前記燃料ガスを前記掃気空気入口(102)からの掃気空気と混合できるようにし、掃気空気と燃料ガスとの前記混合気を着火させる前に圧縮することを可能にし、燃料ガスは、前記掃気スワール方向(202)と逆の方向において角度Bで前記半径方向(211)に対して角度を付けられている第2のノズル軸(207)に沿って、前記第2の燃料ガス弁(206)を介して前記シリンダ(101)内に導入される、[1]に記載の方法。
[3] 前記第1の燃料ガス弁(105、204)及び前記第2の燃料ガス弁(206)は、前記シリンダ(101)においてほぼ同じ高さに配置されている、[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 前記第1の燃料ガス弁(105、204)は、前記第2の燃料ガス弁(206)と実質的に対向して配置されている、[3]に記載の方法。
[5] 前記第1の燃料ガスノズル(208)は、第1のノズル開口部(490)と、第2のノズル開口部(492)と、を備え、燃料ガスは、前記第1のノズル軸(205)に沿って、前記第1のノズル開口部(490)を介して、及び、前記掃気スワール方向(202)と逆の方向において前記半径方向(211)に対して角度を付けられている第3のノズル軸(491)に沿って、前記第2のノズル開口部(492)を介して、前記シリンダ(101)内に導入される、[1]~[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6] 少なくとも1つのシリンダ(101)と、シリンダカバー(113)と、ピストン(103)と、燃料ガスタンクに接続可能な燃料ガス供給システムと、掃気空気システム(111)と、を備える2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関(100)であって、前記シリンダ(101)は、シリンダ壁を有し、前記シリンダカバー(113)は、前記シリンダ(101)の上部に配置され、排気弁(104)を有し、前記ピストン(103)は、下死点と上死点との間で中心軸(114)に沿って前記シリンダ(101)内に可動に配置され、前記掃気空気システム(111)は、掃気スワール(202)が前記中心軸(114)の周りを回転して形成されるように、掃気空気を導入するように構成された、前記シリンダ(101)の底部に配置された掃気空気入口(102)を有し、前記燃料ガス供給システムは、前記シリンダ(101)のために、第1のノズル軸(205)に沿って、前記シリンダ壁内に少なくとも部分的に配置された第1の燃料ガスノズル(208)を介して、圧縮ストローク中に前記シリンダ(101)内に燃料ガスを導入するように構成された第1の燃料ガス弁(105、204)を備え、前記燃料ガスを前記掃気空気入口(102)からの掃気空気と混合できるようにし、掃気空気と燃料ガスとの混合気を着火させる前に圧縮することを可能にし、前記第1のノズル軸(405)が、前記掃気スワール方向(202)と逆の方向において角度Aで半径方向(211)に対して角度を付けられており、ここにおいて、前記機関(100)が、過早着火のリスクに対処するために、前記シリンダ(101)に一定量の排気ガスを供給するように構成された排気ガス再循環EGRシステム(130)を更に備えることを特徴とする、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関(100)。
[7] 前記燃料ガス供給システムは、前記シリンダ(101)のために、前記シリンダ壁内に少なくとも部分的に配置された第2の燃料ガスノズル(209)を介して、前記圧縮ストローク中に前記シリンダ(101)内に燃料ガスを導入するように構成された第2の燃料ガス弁(206)を更に備え、前記燃料ガスを前記掃気空気入口(102)からの掃気空気と混合できるようにし、掃気空気と燃料ガスとの前記混合気を着火させる前に圧縮することを可能にし、燃料ガスは、前記掃気スワール方向(202)と逆の方向において角度Bで前記半径方向(211)に対して角度を付けられている第2のノズル軸(207)に沿って、前記第2の燃料ガス弁(206)を介して前記シリンダ(101)内に導入される、[6]に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関(100)。
[8] 前記第1の燃料ガス弁(105、204)及び前記第2の燃料ガス弁(206)は、前記シリンダ(101)においてほぼ同じ高さに配置されている、[7]に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関(100)。
[9] 前記第1の燃料ガス弁(105、204)は、前記第2の燃料ガス弁(206)と実質的に対向して配置されている、[8]に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関(100)。
[10] 前記第1の燃料ガスノズル(208)は、第1のノズル開口部(490)と、第2のノズル開口部(492)と、を備え、燃料ガスは、前記第1のノズル軸(205)に沿って、前記第1のノズル開口部(490)を介して、及び、前記掃気スワール方向(202)と逆の方向において前記半径方向(211)に対して角度を付けられている第3のノズル軸(491)に沿って、前記第2のノズル開口部(492)を介して、前記シリンダ内に導入される、[6]~[9]のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関(100)。
【要約】
2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関に燃料ガスを導入する方法が開示される。燃料ガスは、掃気スワール方向と逆の方向において角度Aで半径方向に対して角度を付けられている第1のノズル軸に沿って、第1の燃料ガス弁を介してシリンダ内に導入され、シリンダ内の圧縮ストロークの終わりにおける燃料ガスの分布が、第1のノズル軸が掃気スワール方向に沿って角度Aで角度を付けられた場合に生じたであろうシリンダ内の燃料ガスの分布と比較して、より均一性が低くなることをもたらし、それによって、過早着火の増大されたリスクをもたらし、ここで、一定量の排気ガスが、過早着火の増大されたリスクに対処するために、排気ガス再循環(EGR)システムを使用して、シリンダに供給される。
【選択図】
図2