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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】濾過用カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   B01D 39/14 20060101AFI20240611BHJP
   B01D 27/00 20060101ALI20240611BHJP
   B01J 20/04 20060101ALI20240611BHJP
   B01J 20/08 20060101ALI20240611BHJP
   B01J 20/10 20060101ALI20240611BHJP
   B01J 20/06 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B01D39/14 B
B01D39/14 M
B01D39/14 L
B01D39/14 D
B01D27/00
B01J20/04 B
B01J20/08 B
B01J20/10 A
B01J20/06 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020087412
(22)【出願日】2020-05-19
(65)【公開番号】P2021037507
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2023-01-24
(31)【優先権主張番号】P 2019156235
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231198
【氏名又は名称】日本国土開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100136261
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 俊成
(72)【発明者】
【氏名】大野 睦浩
(72)【発明者】
【氏名】小林 裕
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 健夫
(72)【発明者】
【氏名】草野 正明
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-161210(JP,A)
【文献】特開2012-206008(JP,A)
【文献】実開昭60-046193(JP,U)
【文献】特開2007-190372(JP,A)
【文献】国際公開第2018/124190(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/00-41/04
B01D 23/00-35/04
B01J 20/00-20/28,20/30-20/34
C02F 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能性材料を含有するフィルタと、
前記フィルタよりも透水性の低い材料を備え、前記フィルタの外周面の一端側と内周面の他端側との間で通水可能にする低透水部と、
を具備する濾過用カートリッジ。
【請求項2】
前記低透水部は、前記フィルタの表面を覆う部材であり、
当該部材は、前記フィルタの前記外周面の一端側に形成された透水可能な第1の透水部と、前記フィルタの前記内周面の他端側に形成された透水可能な第2の透水部とを有する、請求項1に記載の濾過用カートリッジ。
【請求項3】
前記部材は非透水フィルムであって、
前記フィルタの一端側の面を、前記内周面に連通する穴も含めて覆う第1フィルムと、前記フィルタの他端側の面を、前記内周面に連通する穴を開けて覆う第2フィルムと、前記フィルタの前記外周面を前記第1フィルムとの間に前記第1の透水部が形成されるように覆う外周フィルムと、前記フィルタの前記内周面を前記第2フィルムとの間に前記第2の透水部が形成されるように覆う内周フィルムと、を有する請求項2記載の濾過用カートリッジ。
【請求項4】
前記部材は、
前記フィルタの一端側の面を、前記内周面に連通する穴も含めて覆うキャップと、
前記フィルタの前記外周面を前記キャップとの間に前記第1の透水部が形成されるように覆うと共に、前記フィルタの他端側の面を、前記内周面に連通する穴を開けて覆う容器本体と、
前記フィルタの前記内周面を前記容器本体との間に前記第2の透水部が形成されるように覆う内栓と、
を有する請求項2に記載の濾過用カートリッジ。
【請求項5】
前記キャップと前記内栓は一体に形成されている請求項4に記載の濾過用カートリッジ。
【請求項6】
前記機能性材料は、層状複水酸化物、ゼオライト、活性炭の少なくとも1以上である請求項1~5のいずれか一項に記載の濾過用カートリッジ。
【請求項7】
前記第1の透水部の面積と、前記第2の透水部の面積とは異なっている請求項2または請求項3記載の濾過用カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、濾過用カートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、固体濃度の高い水処理に、ロールフィルタや糸巻きフィルタ、スパンタイプフィルタ等を用いた濾過用カートリッジが利用されている。このようなフィルタは、一般的に筒状をしており、外周面と内周面との間で水を通過させて、水処理を行っている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-22399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、層状複水酸化物、ゼオライト、活性炭等の機能性材料は、水溶液中の有害物質等を吸着除去することができる。したがって、この機能性材料をろ過用カートリッジのフィルタに含有させて汚染物質の吸着などの機能性をもたせれば、更に効率的な汚染水処理に利用することができる。
【0005】
ここで、機能性材料による汚染水の処理には、汚染物質を十分に吸着させるために透水時間の制御が必要である。しかしながら、上述したフィルタによる水処理は、外周面と内周面の間で水を通すことにより行われるため、この距離が短く透水時間が不十分になるという問題があった。そこで、当該距離を十分に確保するために、フィルタのサイズを変更し、外周面と内周面の距離を変更することが考えられる。しかしながら、濾過用カートリッジを入れるための容器の大きさには規格があるため、フィルタのサイズ変更は容易ではない。また、透水時間を確保するために透水速度を下げると処理量が低下するという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、従来のフィルタと同じサイズであっても、処理時間を確保できる濾過用カートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は、濾過用カートリッジであって、機能性材料を含有するフィルタと、前記フィルタよりも透水性の低い材料を備え、前記フィルタの外周面の一端側と内周面の他端側との間で通水可能に形成される低透水部と、を具備することを特徴とする。
【0008】
この場合、前記低透水部は、前記フィルタの表面を覆う部材であって、当該部材は、前記フィルタの前記外周面の一端側に形成された透水可能な第1の透水部と、前記フィルタの前記内周面の他端側に形成された透水可能な第2の透水部とを有するものであればよい。
【0009】
また、前記部材は非透水フィルムであって、前記フィルタの一端側の面を、前記内周面に連通する穴も含めて覆う第1フィルムと、前記フィルタの他端側の面を、前記内周面に連通する穴を開けて覆う第2フィルムと、前記フィルタの前記外周面を前記第1フィルムとの間に前記第1の透水部が形成されるように覆う外周フィルムと、前記フィルタの前記内周面を前記第2フィルムとの間に前記第2の透水部が形成されるように覆う内周フィルムと、から構成することができる。
【0010】
また、前記部材は、前記フィルタの一端側の面を、前記内周面に連通する穴も含めて覆うキャップと、前記フィルタの前記外周面を前記キャップとの間に前記第1の透水部が形成されるように覆うと共に、前記フィルタの他端側の面を、前記内周面に連通する穴を開けて覆う容器本体と、前記フィルタの前記内周面を前記容器本体との間に前記第2の透水部が形成されるように覆う内栓と、で構成してもよい。
【0011】
この場合、前記キャップと前記内栓は一体に形成されていてもよい。
【0012】
また、濾過用カートリッジに用いられる前記機能性材料としては、層状複水酸化物、ゼオライト、活性炭の少なくとも1以上を用いることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、低透水部としてフィルタよりも透水性の低い材料を用いているので、処理時間を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態の濾過用カートリッジに係るフィルタを示す斜視図である。
図2】本実施形態の濾過用カートリッジを示す断面図である。
図3】本実施形態の濾過用カートリッジの製造方法を示す斜視図である。
図4】本実施形態の別の濾過用カートリッジを示す断面図である。
図5】本実施形態の別の濾過用カートリッジを示す断面図である。
図6】変形例に係る濾過用カートリッジを示す断面図である。
図7図7(a)は、図6の濾過用カートリッジを装着可能な濾過装置の断面図であり、図7(b)は、図7(a)の濾過装置の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の濾過用カートリッジについて図1図5を用いて説明する。本実施形態の濾過用カートリッジは、フィルタ1と低透水部2とで主に構成される。
【0016】
フィルタ1は、本実施形態において、機能性材料を含有する筒状のものであり、外周面と内周面との間で汚染水等の液体を通過させて、水処理を行うためのものである。フィルタ1は、例えば図1に示すように、外周面11、内周面12、一端側の面13(図1では、紙面上の上面)、他端側の面14(図1では、紙面上の下面)を備える。
【0017】
このようなフィルタとしては、例えば、紙や不織布等のシート6を棒状の巻取部5にロール状に巻き取って作製したロールフィルタや、糸を巻取部に巻き取って作製した糸巻きフィルタ、樹脂製の繊維を熱融着させて作製したスパンタイプフィルタ等を用いることができる。
【0018】
機能性材料とは汚染水に含まれる有害物質等を吸着して除去することができるものを意味する。特に、本実施形態のカートリッジでは、当該吸着に所定の処理時間が必要な機能性材料を用いる場合に有用である。機能性材料としては、例えば、層状複水酸化物、ゼオライト、活性炭等の吸着材を挙げることができる。また、機能性材料は、単一の吸着材を用いてもよいし、複数種類の吸着材を同時に用いてもよい。
【0019】
なお、層状複水酸化物とは、一般式がM2+ 1-xM3+ x(OH)2(An-)x/n・mH2O(ここで、M2+は2価の金属、M3+は3価の金属、An-はn価の陰イオン、0<x<1、m>0)で表される不定比化合物であり、ハイドロタルサイト様化合物と呼ばれることもある。2価の金属イオン(M2+)としては、例えば、Mg2+、Fe2+、Zn2+、Ca2+、Li2+、Ni2+、Co2+、Cu2+等が挙げられる。また、3価の金属イオン(M3+)としては、例えば、Al3+、Fe3+、Cr3+、Mn3+等が挙げられる。また、陰イオン(An-)としては、例えば、ClO4 -、CO3 2-、HCO3 -、PO4 3-、SO4 2-、SiO4 4-、OH-、Cl-、NO2 -、NO3 -等が挙げられる。なお、前記一般式に含まれる2価の金属イオン(M2+)や3価の金属イオン(M3+)は1種類である必要はなく、複数種類を含んでいても良い。
【0020】
本実施形態に係る層状複水酸化物は、2価の金属イオン(M2+)、3価の金属イオン(M3+)、陰イオン(An-)として、どのようなものを用いたものでもよい。例えば、2価の金属イオン(M2+)がMg2+であり3価の金属イオン(M3+)がAl3+であるMg2+ 1-xAl3+ x(OH)2(An-)x/n・mH2O(Mg-Al型)や、2価の金属イオン(M2+)がMg2+であり3価の金属イオン(M3+)がFe3+であるMg2+ 1-xFe3+ x(OH)2(An-)x/n・mH2O(Mg-Fe型)や、2価の金属イオン(M2+)がFe2+であり3価の金属イオン(M3+)がFe3+であるFe2+ 1-xFe3+ x(OH)2(An-)x/n・mH2O(Fe-Fe型)とすることができる。なお、Mg-Fe型は、ヒ素の吸着の効果が高い点、比重が高く沈降分離が容易である点、原料コストを抑えられる点において、Mg-Al型よりも優れている。
【0021】
また、本実施形態に係る層状複水酸化物は、結晶子サイズが20nm以下である方が良く、更に好ましくは10nm以下である方が良い。また、平均結晶子サイズが10nm以下であることが好ましい。
【0022】
また、本実施形態に係る層状複水酸化物の比表面積は、特に限定されるものではないが、大きい方が吸着性能を向上することができる点で好ましい。層状複水酸化物は、例えば、BET法による比表面積が20m2/g以上のものとすることができ、好ましくは30m2/g以上のものが良く、更に好ましくは50m2/g以上のものが良く、更に好ましくは70m2/g以上のものが良い。比表面積の上限は特に限定されない。なお、BET法による比表面積は、例えば、窒素吸脱着等温線を比表面積・細孔分布測定装置を用いて測定し、当該測定結果からBET-plotを作成して求めることができる。例えば、層状複水酸化物の結晶子サイズが20nm以下とすれば、比表面積を20m2/g以上のものとすることができる。
【0023】
層状複水酸化物の合成は、2価の金属イオンと3価の金属イオンを含有する酸性溶液とアルカリ性溶液とを混合して行う。ここで合成される層状複水酸化物は、結晶子サイズを小さくするほど、その比表面積を大きくすることができる。したがって、合成後の熟成時間は短い方が良く、酸性溶液とアルカリ性溶液の混合後、少なくとも120分以内、好ましくは60分以内、更に好ましくは混合と同時に中和する方が良い。
【0024】
次に、一例として、構造式がMg2+ 1-xAl3+ x(OH)2(An-)x/n・mH2Oで表される層状複水酸化物の合成方法を説明する。
【0025】
まず、アルミニウムイオンとマグネシウムイオンを含む酸性溶液を調製する。
【0026】
アルミニウムイオンのアルミニウム源としては、水中でアルミニウムイオンを生成するものであれば良く、特定の物質に限定されるものではない。例えば、アルミナ、アルミン酸ソーダ、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、ボーキサイト、ボーキサイトからのアルミナ製造残渣、アルミスラッジ等を用いることができる。また、これらアルミニウム源は、いずれかを単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
【0027】
また、マグネシウムイオンのマグネシウム源としては、水中でマグネシウムイオンを生成する物であれば良く、特定の物質に限定されるものではない。例えば、ブルーサイト、水酸化マグネシウム、マグネサイト、マグネサイトの焼成物等を用いることができる。これらマグネシウム源は、いずれかを単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
【0028】
なお、前記アルミニウム源としてのアルミニウム化合物、マグネシウム源としてのマグネシウム化合物は、前記酸性溶液にアルミニウムイオン、マグネシウムイオンが存在していれば完全に溶解している必要はない。
【0029】
また、Mg2+ 1-xAl3+ x(OH)2(An-)x/n・mH2Oで表わされる高結晶質の層状複水酸化物は、アルミニウムイオンとマグネシウムイオンのモル比が1:3(x=0.25)となっていることが知られている。したがって、酸性溶液中のアルミニウムイオンとマグネシウムイオンのモル比は、1:5~1:2の範囲とするのが好ましい。この範囲とすることによって、アルミニウム源とマグネシウム源を無駄にすることなく、物質収支的に有利に層状複水酸化物を製造することができる。
【0030】
酸性溶液に含まれる酸としては、水溶液を酸性にするものであれば特に限定されないが、例えば、硝酸や塩酸を用いることができる。
【0031】
また、アルカリ性溶液を調製する。ここで、アルカリ性溶液に含まれるアルカリとしては、水溶液をアルカリ性にするものであれば特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等を用いることができる。また、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、アンモニア水、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウムなどを用いることもできる。これらはいずれかを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。アルカリ性溶液は、pHを8~14に調製したものを用いることができ、pHを8~11に調製したものを用いるのが好ましい。
【0032】
次に、アルミニウムイオンとマグネシウムイオンを含んだ酸性溶液と、アルカリを含むアルカリ性溶液とを所定の割合で混合する。これにより、層状複水酸化物が生成する。混合は、酸性溶液をアルカリ性溶液へ一気に加えて混合するか、酸性溶液をアルカリ性溶液へ滴下して行うことができるが、これら以外の方法であっても良い。
【0033】
なお、酸性溶液とアルカリ性溶液の混合が完了した後の熟成時間を短くするほど、結晶の成長を抑制することができ、結晶子サイズの小さい層状複水酸化物や比表面積の大きい層状複水酸化物を製造することができる。
【0034】
熟成を止める方法としては、酸性溶液とアルカリ性溶液の混合が完了した後、当該混合液のpHを層状複水酸化物の結晶成長が止まる値まで下げる方法が挙げられる。例えば、一般式Mg2+ 1-xAl3+ x(OH)2(An-)x/n・mH2Oで表される層状複水酸化物の場合、pHが9以下となるようにすれば良い。具体的には、酸性溶液とアルカリ性溶液との混合が完了した後120分以内、好ましくは60分以内、更に好ましくは混合と同時に、水で希釈することで、熟成を止めることができる。また、確実に熟成を行わせないためには、酸性溶液とアルカリ性溶液の混合が完了した後、速やかに層状複水酸化物を洗浄するのも良い。なお、合成過程で生成されるNaCl等の塩化物は含有させておいても構わない。
【0035】
なお、上記説明では、酸性溶液側にアルミニウムイオンとマグネシウムイオンを含有させる場合について説明したが、これに限られるものではなく、酸性溶液側にアルミニウムイオンを含有させアルカリ性溶液側にマグネシウムイオンを含有させたり、酸性溶液側にマグネシウムイオンを含有させアルカリ性溶液側にアルミニウムイオンを含有させたり、あるいは、アルカリ性溶液側にアルミニウムイオンとマグネシウムイオンの両方を含有させたりすることも可能である。
【0036】
また、別の例として、構造式がMg2+ 1-xFe3+ x(OH)2(An-)x/n・mH2Oで表される層状複水酸化物の合成方法を説明する。
【0037】
まず、鉄イオンとマグネシウムイオンを含む酸性溶液を調製する。
【0038】
鉄イオンの鉄源としては、水中で鉄イオンを生成するものであれば良く、特定の物質に限定されるものではない。例えば、塩化鉄等を用いることができる。また、これら鉄源は、いずれかを単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
【0039】
また、マグネシウムイオンのマグネシウム源としては、水中でマグネシウムイオンを生成する物であれば良く、特定の物質に限定されるものではない。例えば、ブルーサイト、水酸化マグネシウム、マグネサイト、マグネサイトの焼成物等を用いることができる。これらマグネシウム源は、いずれかを単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
【0040】
なお、前記鉄源としての鉄化合物、マグネシウム源としてのマグネシウム化合物は、前記酸性溶液に鉄イオン、マグネシウムイオンが存在していれば完全に溶解している必要はない。
【0041】
また、Mg2+ 1-xFe3+ x(OH)2(An-)x/n・mH2Oで表わされる高結晶質の層状複水酸化物は、鉄イオンとマグネシウムイオンのモル比が1:3(x=0.25)となっていることが知られている。したがって、酸性溶液中の鉄イオンとマグネシウムイオンのモル比は、1:5~1:2の範囲とするのが好ましい。この範囲とすることによって、鉄源とマグネシウム源を無駄にすることなく、物質収支的に有利に層状複水酸化物を製造することができる。
【0042】
酸性溶液に含まれる酸としては、水溶液を酸性にするものであれば特に限定されないが、例えば、硝酸や塩酸を用いることができる。
【0043】
また、アルカリ性溶液を調製する。ここで、アルカリ性溶液に含まれるアルカリとしては、水溶液をアルカリ性にするものであれば特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等を用いることができる。また、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、アンモニア水、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウムなどを用いることもできる。これらはいずれかを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。アルカリ性溶液は、pHを8~14に調製したものを用いることができ、pHを8~11に調製したものを用いるのが好ましい。
【0044】
次に、鉄イオンとマグネシウムイオンを含んだ前記酸性溶液と、アルカリを含むアルカリ性溶液とを所定の割合で混合する。これにより、層状複水酸化物が生成する。混合は、酸性溶液をアルカリ性溶液へ一気に加えて混合するか、酸性溶液をアルカリ性溶液へ滴下して行うことができるが、これら以外の方法であっても良い。
【0045】
なお、酸性溶液とアルカリ性溶液の混合が完了した後の熟成時間を短くするほど、結晶の成長を抑制することができ、結晶子サイズの小さい層状複水酸化物や比表面積の大きい層状複水酸化物を製造することができる。
【0046】
熟成を止める方法としては、酸性溶液とアルカリ性溶液の混合が完了した後、当該混合液のpHを層状複水酸化物の結晶成長が止まる値まで下げる方法が挙げられる。例えば、一般式Mg2+ 1-xFe3+ x(OH)2(An-)x/n・mH2Oで表される層状複水酸化物の場合、pHが9以下となるようにすれば良い。具体的には、酸性溶液とアルカリ性溶液との混合が完了した後120分以内、好ましくは60分以内、更に好ましくは混合と同時に、水で希釈することで、熟成を止めることができる。また、確実に熟成を行わせないためには、酸性溶液とアルカリ性溶液の混合が完了した後、速やかに層状複水酸化物を洗浄するのも良い。なお、合成過程で生成されるNaCl等の塩化物は含有させておいても構わない。
【0047】
なお、上記説明では、酸性溶液側に鉄イオンとマグネシウムイオンを含有させる場合について説明したが、これに限られるものではなく、酸性溶液側に鉄イオンを含有させアルカリ性溶液側にマグネシウムイオンを含有させたり、酸性溶液側にマグネシウムイオンを含有させアルカリ性溶液側に鉄イオンを含有させたり、あるいは、アルカリ性溶液側に鉄イオンとマグネシウムイオンの両方を含有させたりすることも可能である。
【0048】
また、ゼオライトとは、結晶中に0.4nm~2nm程度の微細孔を持つ結晶性アルミノケイ酸塩の総称である。当該ゼオライトは、Si-O四面体とAl-O四面体とが頂点のO原子を共有した三次元ネットワーク構造をもつ複合酸化物であり、その内部に含まれる交換性の陽イオン(Na+やK+)とイオン交換することで、除去対象の陽イオンを吸着除去できる。
【0049】
ゼオライトとしては、ZSM-5型ゼオライト、フォージャサイト型ゼオライト、モルデナイト型ゼオライト、L型ゼオライト、A型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライトなどが挙げられ、いずれも使用できる。また、クリノブチライト、モルデナイトや合成ゼオライト等のゼオライト様化合物も、ゼオライトと同等の機能を有するものであり、機能性材料として使用することができる。ゼオライトの種類は、本実施形態に係る機能性材料の目的とする処理対象を考慮して適宜選択すればよい。
【0050】
また、活性炭とは、特定の物質を選択的に除去する目的で吸着効率を高めるために化学的または物理的な処理を施した多孔質の炭素を主な成分とする物質である。
【0051】
機能性材料を含有する紙のシートを製造したい場合には、機能性材料と紙又は紙用繊維を含む混合溶液を用いて紙すきを行えば良い。この際、紙繊維に機能性材料を固定するためのバインダを用いることもできる。紙すきは、例えば、まず、網又は紙すき簾上に混合液を広げる。すると水分は網又は紙すき簾を通り抜けて落ちる一方、層状複水酸化物等の機能性材料と紙又は紙用繊維は網又は紙すき簾上に残る。これを水分除去し、乾燥工程において乾燥させるとシート状の紙が製造できる。なお、紙すきや水分除去、乾燥のための具体的手段は周知の方法を用いればよい。なお、当該混合溶液は、機能性材料と紙又は紙用繊維をそれぞれ別々に作製してから混合してもよいが、紙又は紙用繊維の存在下において機能性材料を合成したものを用いることもできる。
【0052】
具体的には、例えば、層状複水酸化物を含有する紙のシートを製造したい場合には、層状複水酸化物と紙又は紙用繊維を含む混合溶液を用いて紙すきを行えば良い。この際、紙繊維に層状複水酸化物を固定するためのバインダを用いることもできる。また、当該混合溶液は、層状複水酸化物と紙又は紙用繊維をそれぞれ別々に作製してから混合してもよいし、紙又は紙用繊維の存在下において層状複水酸化物を合成したものを用いることもできる。
【0053】
また、機能性材料を含有する不織布等のシートを製造したい場合には、従来から知られている乾式法、湿式法、スパンボンド法、メルトブローン法等の不織布の製造工程において、不織布用の繊維と共に機能性材料を混合して製造すればよい。この際、不織布用の繊維に機能性材料を固定するためのバインダを用いることもできる。なお、機能性材料と不織布用の繊維はそれぞれ別々に作製してから混合してもよいが、当該繊維の存在下において機能性材料を合成したものを用いることもできる。例えば、層状複水酸化物を含有する不織布のシートを製造したい場合には、層状複水酸化物と不織布用の繊維を含む混合溶液を用いて不織布を製造すればよい。この際、不織布に層状複水酸化物を接着するためのバインダを用いることもできる。
【0054】
低透水部2は、フィルタ1よりも低い透水性を有していればよく、本実施形態においては非透水性材料を用いており、フィルタ1の外周面11の一端側と内周面12の他端側との間で通水可能に形成されるものである。例えば、図2に示すように、低透水部2は、フィルタ1の表面を覆う部材であって、当該部材は、フィルタ1の外周面11の一端側に形成された透水可能な第1の透水部3と、フィルタ1の内周面12の他端側に形成された透水可能な第2の透水部4とを有するように構成すればよい。これにより、第1の透水部3および第2の透水部4のいずれか一方から汚染水等の液体を供給し、他方から濾過された液体を排出することができる。なお、第1の透水部3の面積は、外周面11の面積の2分の1以下、好ましくは4分の1以下がよい。また、第2の透水部4の面積は、内周面12の面積の2分の1以下、好ましくは4分の1以下がよい。また、第1の透水部3の面積と第2の透水部4との面積を調節することで、フィルタ1内を流れる汚染水等の液体の速度を調節することもできる。具体的には、第1の透水部3の面積を第2の透水部4の面積より大きく形成し、第1の透水部3から第2の透水部4に所定の圧力で液体を流すと、第2の透水部4側の方の液体の流速を第1の透水部3側の液体の流速より大きくすることができる。また、逆に、第1の透水部3の面積を第2の透水部4の面積より小さく形成し、第1の透水部3から第2の透水部4に所定の圧力で液体を流すと、第2の透水部4側の方の液体の流速を第1の透水部3側の液体の流速より小さくすることができる。
【0055】
ここで、非透水性材料としては、透水係数が10-4から10-9cm/s、好ましくは10-7から10-9cm/sのものが良く、汚染水等の液体の成分によって劣化し難い材料であればどのようなものでもよく、例えば、ポリプロピレンを用いることができる。
【0056】
また、非透水性材料の部材としては、例えば非透水性フィルム21を用いればよい。非透水性フィルム21は、液体を透水せず、気体を透過するフィルムを用いることが望ましい。この場合には、部材は、フィルタ1の一端側の面13を覆う第1フィルム213と、フィルタ1の他端側の面14を覆う第2フィルム214と、フィルタ1の外周面11を覆う外周フィルム211と、フィルタ1の内周面12を覆う内周フィルム212と、で主に構成される。
【0057】
第1フィルム213は、フィルタ1の一端側の面13(上面)を、内周面12に連通する穴15も含めて覆うもので、フィルタ1の一端側の面13および、フィルタ1の内周面12に連通する穴15の開口を通して汚染水等の液体を通さないように形成される。当該第1フィルム213は、フィルタ1の外径と同じ円か、少なくとも当該円よりも大きい形状に形成すればよい。
【0058】
第2フィルム214は、フィルタ1の他端側の面14(下面)を、内周面12に連通する穴16を開けて覆うもので、当該穴16を除き、フィルタ1の他端側の面14を通して汚染水等の液体を通さないように形成される。当該第2フィルム214は、内周面12に連通する穴215を有し、少なくともフィルタ1の外径と同じ円か、当該円よりも大きい形状に形成すればよい。なお、当該穴215は、フィルタ1の内周面12により形成される穴16と同径である方が好ましい。
【0059】
外周フィルム211は、フィルタ1の外周面11を第1フィルム213との間に第1の透水部3が形成されるように覆うもので、フィルタ1の外周面11を通して汚染水等の液体を通さないように形成される。当該外周フィルム211は、フィルタ1の軸方向(図1の上下方向)の長さよりも第1の透水部3の分だけ短い辺と当該フィルタ1の外周より長い辺を有する四角形に形成すればよい。
【0060】
内周フィルム212は、フィルタ1の内周面12を第2フィルム214との間に第2の透水部4が形成されるように覆うもので、フィルタ1の内周面12を通して汚染水等の液体を通さないように形成される。当該内周フィルム212は、フィルタ1の軸方向の長さよりも第2の透水部4の分だけ短い辺と当該フィルタ1の穴15の外周より長い辺を有する四角形に形成すればよい。
【0061】
なお、第1フィルム213、第2フィルム214、外周フィルム211、内周フィルム212は、非透水性材料を有するものであれば、同じ材質のものでもよいし、それぞれ別々の材質のものであってもよい。
【0062】
本実施形態の濾過用カートリッジはどのように製造しても良いが、例えば、ロールフィルタであれば、下記の方法で作製することができる。
【0063】
まず、機能性材料を含有する紙や不織布等のフィルタ1用のシート6を用意する。また、当該シート6の短辺側の幅より第2の透水部4の分だけ幅の小さい内周フィルム212と、当該シート6の短辺側の幅より第1の透水部3の分だけ幅の小さい外周フィルム211を用意する。
【0064】
次に、図3(a)~図3(d)に示すように、内周フィルム212、シート6、外周フィルム211を棒状の巻取部5にこの順番で巻き付ける。この際、シート6は、第2の透水部4を形成するため、図3(b)に示すように、シート6の長辺の一端側6aに内周フィルム212の一端側212aを合わせて巻き付ける。また、外周フィルム211は、第1の透水部3を形成するために、図3(c)に示すように、外周フィルム211の他端側211bにシート6の長辺の他端側6bを合わせて巻き付ける。そして、図3(d)に示すように、外周フィルム211の最端部を、巻き付けたシート6又は外周フィルム211の表面に接着剤等によって貼り合わせる。
【0065】
最後に、できた筒状のロールから巻取部5を抜き、当該ロールのうちシート6の一端側6aの面(図3では奥側の面)に、内周面12に連通する穴15も含めて覆うように第1フィルム213を接着剤等で貼り付ける。また、当該ロールのうちシート6の他端側6bの面(図3では手前側の面)に、内周面12に連通する穴16を開けて覆うように第2フィルム214を接着剤等で貼り付ける。このようにして、図3(f)に示すように、濾過用カートリッジを製造することができる。
【0066】
なお、シート6の対向する短辺にそれぞれ内周フィルム212や外周フィルム211を接着剤等で予め貼り付けておき、これを巻取部5に巻き付けるようにしてもよい。また、巻取部5を内周フィルム212の代わりに用いることも可能である。この場合には、巻取部5のうち、第2の透水部4となる部分を透水性のある材料とするか、あるいは、当該部分を取り外し可能としておけばよい。
【0067】
また、別の方法としては、上述したシート6を巻取部5に巻き付けてフィルタ1を作製した後に、第1フィルム213、第2フィルム214、外周フィルム211、内周フィルム212を形成する方法もある。
【0068】
具体的には、まず、上述したシート6を巻取部5に巻き付けてフィルタ1を作製する。次に、当該フィルタ1の内周面12の第2の透水部4となる部分と、外周面11の第1の透水部3となる部分を保護シート等の部材により保護する。最後に、非透水性材料を当該フィルタ1の内周面12、外周面11、一端側の面13(上面)、他端側の面14(下面)に非透水性材料を塗ったり、吹き付けたりすることにより、第1フィルム213、第2フィルム214、外周フィルム211、内周フィルム212を形成する。なお、保護シートは第1フィルム213、第2フィルム214、外周フィルム211、内周フィルム212を形成した後、すぐに外してもよいが、濾過用カートリッジを使用する直前に外すようにしてもよい。
【0069】
なお、糸巻きフィルタの場合には、シート6の代わりに糸を用意し、当該糸を巻き取り部5に巻き付けた内周フィルム212上に巻き付けて作製すればよい。
【0070】
また、非透水性材料の部材として、非透水性フィルム21を用いる場合を説明したが、当該部材は、フィルタ1の表面を覆う容器状とすることもできる。この場合、当該部材は、図4に示すように、キャップ221と、容器本体222と、内栓223と、で主に構成される。
【0071】
キャップ221は、フィルタ1の一端側の面13(上面)を、内周面12に連通する穴15も含めて覆うものである。これにより、フィルタ1の一端側の面13(上面)および、フィルタ1の内周面12に連通する穴15の開口を汚染水等の液体が通過しないようにすることができる。
【0072】
容器本体222は、フィルタ1の他端側の面14(下面)を内周面12に連通する穴16を開けて覆うとともに、フィルタ1の外周面11をキャップ221との間に第1の透水部3が形成されるように覆うものである。これにより、フィルタ1の他端側の面14(下面)およびフィルタ1の外周面11を汚染水等の液体が通過しないようにすることができる。
【0073】
内栓223は、フィルタ1の内周面12を容器本体222との間に第2の透水部4が形成されるように覆うものである。これにより、フィルタ1の内周面12を汚染水等の液体が通過しないようにすることができる。
【0074】
部材に用いられる非透水性材料としては、汚染水等の液体を通さず、当該液体の成分によって劣化し難い材料であればどのようなものでもよく、例えば、ポリプロピレンやステンレスを用いることができる。また、非透水性材料として接着剤を用いることとし、フィルタ1の内周面12や外周面11、上面13や下面14のうち、液体を通過させたくない箇所に接着剤を塗布するようにしてもよい。
【0075】
なお、キャップ221と内栓223は別体として説明したが、図5に示すように、キャップ221と内栓223を一体的に形成することも可能である。
【0076】
このようにして形成された濾過用カートリッジは、フィルタを入れるために従来から汎用されている容器に当該濾過用カートリッジをセットして用いればよい。これにより、濾過用カートリッジの第1の透水部3から第2の透水部4へ、あるいは、第2の透水部4から第1の透水部3へ汚染水を流して、浄化処理を行うことができる。
【0077】
本実施形態の濾過用カートリッジを用いて汚染水を処理する場合、空間速度SV(単位時間あたりにフィルタ1の体積の何倍相当分の汚染水を処理するかを示す値であり、汚染水の流量をフィルタの体積で除した値)は、小さいほど浄化能力は高まる。その一方で、空間速度SVが小さいと、汚染水の処理速度(処理量)が少なくなる。したがって、空間速度SVについては、処理速度と浄化能力を考慮して決めればよく、例えば、20h-1以下、好ましくは2~8h-1とすることができる。このようにすることで、濾過用カートリッジにより汚染水を適切に浄化することが可能となる。
【0078】
なお、第1の透水部3や第2の透水部4は、円形等の形状を有する開口(孔)であってもよい。
【0079】
(変形例)
次に、変形例について、図6図7(b)に基づいて説明する。図6には、変形例に係る濾過用カートリッジ300が示されている。図6に示すように、濾過用カートリッジ300は、上記実施形態と同様の円筒状のフィルタ1と、フィルタ1の内周面12の全体と接触するように設けられた内栓323と、フィルタ1の外周面11全体を覆うように設けられた外装体322と、を有する。
【0080】
内栓323及び外装体322は、上記実施形態で説明した低透水部2と同様の非透水性材料の部材であり、液体がフィルタ1の内周面12や外周面11を通過しないようにする部材である。本変形例の濾過用カートリッジ300によれば、例えば、フィルタ1の一側の面(上面又は下面)から汚染水等の液体を供給すると、液体はフィルタ1内を上下方向に通過することで濾過され、フィルタ1の他側の面(下面又は上面)から排出されるようになっている。これにより、従来のフィルタと同じサイズであっても、処理時間を確保することができる。
【0081】
図7(a)には、濾過用カートリッジ300を装着可能な濾過装置400の模式図(断面図)が示され、図7(b)には、濾過装置400の分解図(断面図)が示されている。
【0082】
濾過装置400は、図7(b)に示すように、本体部402と、蓋500と、を備える。本体部402には、濾過用カートリッジ300を装着するための空間を有する空間部404と、空間部404と連通する流路406とが形成されている。また、蓋500には、2つの流路502、504が形成されている。
【0083】
濾過装置400を使用する際には、図7(a)に示すように、本体部402の空間部404内に、円柱状のスペーサ602を介して濾過用カートリッジ300を装着し、蓋500を本体部402に装着する。なお、蓋500を装着する際には、蓋500の流路504内に、円柱状のスペーサ604を設けることとする。円筒状のスペーサ602、604の径はフィルタ1の径よりも小さくしているので、スペーサ602、604が汚染水の流れを止めてしまうことはない。本実施形態においては、円筒状のスペーサ602、604の径と、内栓323の径とを同じにしている。また、図7(a)では、スペーサ604の高さがスペーサ602の高さよりも高くなっているが、同じ高さとしてもよい。スペーサ602,604の高さを同じとすれは汚染水が流れる条件を濾過用カートリッジ300の上面と下面とで同じにすることができる。また、円筒状のスペーサ602、604を同じ寸法とすることで、円筒状のスペーサ602、604の製造コストを低減することができる。なお、円筒状のスペーサ602、604に代えて、内栓323を上下方向に延ばすようにしてもよい。
【0084】
図7(a)の濾過装置400によれば、流路502から汚染水等の液体を流すと、液体は、流路406を通過して、濾過用カートリッジ300の下側からフィルタ1内に供給されることになる。そして、フィルタ1内を下から上に通って処理された液体は、フィルタ1の上面から排出され、流路504を通って、濾過装置400の外部に排出される。
【0085】
以上説明したように、本変形例のようにフィルタ1の上面と下面との間で円筒状のスペーサ602、604の高さに応じた適量の汚染水を通水可能とすることで、上記実施形態と同様、汚染水等の液体の処理時間を確保することができる。
【0086】
なお、図7(a)、図7(b)のような濾過装置400に濾過用カートリッジ300を装着する場合には、フィルタ1の外周面11に外装体322を設けなくてもよい。この場合、フィルタ1の外周面11と本体部402の空間部404を形成する内周面とをできる限り密着させることが好ましい。また、内栓323に代えて、フィルタ1の内周面12にフィルム等の非透水性部材を設けてもよい。
【0087】
なお、上記変形例では、濾過装置400が、図7(a)、図7(b)に示すように、濾過用カートリッジ300の下側から汚染水などの液体を供給し、上側から処理後の液体を排出する装置である場合について説明したが、これに限られるものではない。すなわち、濾過装置400は、濾過用カートリッジ300の上側から汚染水等の液体を供給し、下側から処理後の液体を排出するような構成を有していてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 フィルタ
2 低透水部
3 第1の透水部
4 第2の透水部
5 巻取部
6 シート
11 外周面
12 内周面
13 一端側の面
14 他端側の面
15 内周面に連通する穴
16 内周面に連通する穴
21 非透水性フィルム
22 容器
211 外周フィルム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7