IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オリンパスメディカルシステムズ株式会社の特許一覧

特許7500902撮像ユニット、内視鏡、および、撮像ユニットの製造方法
<>
  • 特許-撮像ユニット、内視鏡、および、撮像ユニットの製造方法 図1
  • 特許-撮像ユニット、内視鏡、および、撮像ユニットの製造方法 図2
  • 特許-撮像ユニット、内視鏡、および、撮像ユニットの製造方法 図3
  • 特許-撮像ユニット、内視鏡、および、撮像ユニットの製造方法 図4
  • 特許-撮像ユニット、内視鏡、および、撮像ユニットの製造方法 図5
  • 特許-撮像ユニット、内視鏡、および、撮像ユニットの製造方法 図6
  • 特許-撮像ユニット、内視鏡、および、撮像ユニットの製造方法 図7
  • 特許-撮像ユニット、内視鏡、および、撮像ユニットの製造方法 図8
  • 特許-撮像ユニット、内視鏡、および、撮像ユニットの製造方法 図9
  • 特許-撮像ユニット、内視鏡、および、撮像ユニットの製造方法 図10
  • 特許-撮像ユニット、内視鏡、および、撮像ユニットの製造方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】撮像ユニット、内視鏡、および、撮像ユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/57 20230101AFI20240611BHJP
   H04N 23/40 20230101ALI20240611BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20240611BHJP
   A61B 1/04 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
H04N23/57
H04N23/40 300
H01L27/146 D
A61B1/04 530
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023531206
(86)(22)【出願日】2021-06-29
(86)【国際出願番号】 JP2021024598
(87)【国際公開番号】W WO2023276006
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2023-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 淳也
【審査官】村山 絢子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/138462(WO,A1)
【文献】特開2021-087032(JP,A)
【文献】実開平04-085737(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/00
H04N 23/40-23/76
H04N 23/90-23/959
H04N 5/222-5/257
H01L 27/146
A61B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光面と前記受光面の反対側の裏面とを有し、撮像信号を出力する外部電極を前記裏面に有する略直方体の積層素子と、
第1の主面と前記第1の主面に直交する側面とを有し、前記第1の主面の凹部の底面に接合電極とアライメントマークとを有し、前記凹部に配設された前記積層素子の前記外部電極が、前記接合電極と接合されており、前記凹部の壁面と平行な第1の方向に突出する凸部を前記側面に有し、前記底面において、前記第1の方向に前記接合電極を仮想移動した第1の領域と、前記アライメントマークと、が重畳する領域の面積が、前記アライメントマークの面積の50%未満である立体配線板と、を具備することを特徴とする撮像ユニット。
【請求項2】
前記アライメントマークは、前記第1の領域と重畳していないことを特徴とする請求項1に記載の撮像ユニット。
【請求項3】
前記凸部は、ゲートカット部であることを特徴とする請求項1に記載の撮像ユニット。
【請求項4】
前記アライメントマークは、前記接合電極と、略同じ形状、かつ、略同じ大きさであることを特徴とする請求項1に記載の撮像ユニット。
【請求項5】
前記アライメントマークおよび前記接合電極は略円形であることを特徴とする請求項1に記載の撮像ユニット。
【請求項6】
前記第1の領域と前記アライメントマークとが重畳する前記領域の前記面積と、前記接合電極を前記第1の方向と直交する第2の方向に仮想移動した第2の領域と前記アライメントマークが重畳する領域の面積と、の合計が、前記アライメントマークの面積の50%未満であることを特徴とする請求項1に記載の撮像ユニット。
【請求項7】
撮像ユニットを含む内視鏡であって、
前記撮像ユニットは、
受光面と前記受光面の反対側の裏面とを有し、撮像信号を出力する外部電極を前記裏面に有する略直方体の積層素子と、
第1の主面と前記第1の主面に直交する側面とを有し、前記第1の主面の凹部の底面に接合電極とアライメントマークとを有し、前記凹部に配設された前記積層素子の前記外部電極が、前記接合電極と接合されており、前記凹部の壁面と平行な第1の方向に突出する凸部を前記側面に有し、前記底面において、前記第1の方向に前記接合電極を、仮想移動した第1の領域と、前記アライメントマークと、が重畳する領域の面積が、前記アライメントマークの面積の50%未満である立体配線板と、を具備することを特徴とする内視鏡。
【請求項8】
第1の主面と前記第1の主面に直交する側面を有し、前記第1の主面の凹部の底面に複数の接合電極とアライメントマークとを有する複数の立体配線板を、それぞれの前記側面から延設されたランナーを経由して樹脂を金型に注入する射出成型法を用いて作製してから、レーザ照射し、めっき成膜することによって作製する工程と、
前記複数の立体配線板を、それぞれの前記ランナーを切断することによって、前記側面に、前記凹部の壁面と平行な第1の方向に突出するゲートカット部を有する立体配線板に個片化する工程と、
前記立体配線板の前記ゲートカット部を治具の一面と当接する工程と、
前記底面において、前記第1の方向に前記接合電極を仮想移動した第1の領域と重畳する領域の面積が、面積の50%未満である前記アライメントマークを用いて、受光面と裏面とを有し撮像信号を出力する外部電極を前記裏面に有する略直方体の積層素子の前記外部電極を前記接合電極と位置決めする工程と、
前記外部電極と前記接合電極とを接合する工程と、を具備することを特徴とする撮像ユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体配線板の凹部に撮像部材が配設された撮像ユニット、立体配線板の凹部に撮像部材が配設された撮像ユニットを含む内視鏡、および、立体配線板の凹部に撮像部材が配設された撮像ユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡の挿入部の先端部に配設される撮像ユニットは低侵襲化のため細径化が重要である。
【0003】
日本国特開2012-18993号公報には、細径の撮像ユニットを効率良く製造するために、ウエハレベル法で製造された積層素子が開示されている。ウエハレベル法では、積層素子は、それぞれが複数のレンズを含む複数のレンズウエハと、複数の撮像素子とを接着した積層ウエハを切断することで作製される。
【0004】
国際公開第2015/082328号(特許6533787号)公報には、撮像素子を含む積層素子を立体配線板の凹部に収容した撮像ユニットが開示されている。成形回路部品(MID:Molded Interconnect Device)を立体配線板として用いることによって、製造工程を簡略化することができる。
【0005】
しかし、超小型の撮像ユニットでは、凹部の底面の接合電極と、積層素子の裏面の外部電極とを正確に位置決めすることは容易ではない。特に、後述するように、MIDは、外寸のばらつきが不可避に生じる。このため、接合電極が、位置決めのためのアライメントマークと、誤認識されてしてしまうことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-18993号公報
【文献】国際公開第2015/082328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施形態は、製造が容易な撮像ユニット、製造が容易な内視鏡、および、製造が容易な撮像ユニットの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の撮像ユニットは、受光面と前記受光面の反対側の裏面とを有し、撮像信号を出力する外部電極を前記裏面に有する略直方体の積層素子と、第1の主面と前記第1の主面に直交する側面とを有し、前記第1の主面の凹部の底面に接合電極とアライメントマークとを有し、前記凹部に配設された前記積層素子の前記外部電極が、前記接合電極と接合されており、前記凹部の壁面と平行な第1の方向に突出する凸部を前記側面に有し、前記底面において、前記第1の方向に前記接合電極を仮想移動した第1の領域と、前記アライメントマークと、が重畳する領域の面積が、前記アライメントマークの面積の50%未満である立体配線板と、を具備する。
【0009】
別の実施形態の内視鏡は、撮像ユニットを含み、前記撮像ユニットは、受光面と前記受光面の反対側の裏面とを有し、撮像信号を出力する外部電極を前記裏面に有する略直方体の積層素子と、第1の主面と前記第1の主面に直交する側面とを有し、前記第1の主面の凹部の底面に接合電極とアライメントマークとを有し、前記凹部に配設された前記積層素子の前記外部電極が、前記接合電極と接合されており、前記凹部の壁面と平行な第1の方向に突出する凸部を前記側面に有し、前記底面において前記第1の方向に前記接合電極を仮想移動した第1の領域と、前記アライメントマークと、が重畳する領域の面積が、前記アライメントマークの面積の50%未満である立体配線板と、を具備する。
【0010】
別の実施形態の撮像ユニットの製造方法は、第1の主面と前記第1の主面に直交する側面を有し、前記第1の主面の凹部の底面に複数の接合電極とアライメントマークとを有する複数の立体配線板を、それぞれの前記側面から延設されたランナーを経由して樹脂を金型に注入する射出成型法を用いて作製してから、レーザ照射し、めっき成膜することによって作製する工程と、前記複数の立体配線板を、それぞれの前記ランナーを切断することによって、前記側面に、前記凹部の壁面と平行な第1の方向に突出するゲートカット部を有する立体配線板に個片化する工程と、前記立体配線板の前記ゲートカット部を治具の一面と当接する工程と、前記底面において前記第1の方向に前記接合電極を仮想移動した第1の領域と重畳する領域の面積が、面積の50%未満である前記アライメントマークを用いて、受光面と裏面とを有し撮像信号を出力する外部電極を前記裏面に有する略直方体の積層素子の前記外部電極を前記接合電極と位置決めする工程と、前記外部電極と前記接合電極とを接合する工程と、を具備する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、製造が容易な撮像ユニット、製造が容易な内視鏡、および、製造が容易な撮像ユニットの製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態の撮像ユニットの斜視図である。
図2】第1実施形態の撮像ユニットの分解斜視図である。
図3】第1実施形態の撮像ユニットのMIDの上面図である。
図4】第1実施形態の撮像ユニットのMIDの一部分の上面図である。
図5】第1実施形態の撮像ユニットの製造方法のフローチャートである。
図6】第1実施形態の撮像ユニットのMIDの製造方法を説明するための平面図である。
図7】第1実施形態の撮像ユニットのMIDの製造方法を説明するための平面図である。
図8】第1実施形態の撮像ユニットの製造方法を説明するための斜視図である。
図9】第1実施形態の変形例1の撮像ユニットのMIDの一部分の上面図である。
図10】第1実施形態の変形例2の撮像ユニットのMIDの一部分の上面図である。
図11】第2実施形態の内視鏡の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0014】
なお、実施形態に基づく図面は、模式的なものである。各部分の厚みと幅との関係、夫々の部分の厚みの比率などは現実のものとは異なる。図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。一部の構成要素の図示、符号の付与を省略する。被写体の方向を「上」という。
【0015】
<第1実施形態>
図1および図2に示す本実施形態の撮像ユニット1は、立体配線板10と、積層素子20と、樹脂30と、を具備する。なお、図2では樹脂30は表示していない。
【0016】
積層素子20は、受光面20SAと受光面20SAの反対側の裏面20SBとを有し、撮像信号を出力する外部電極25を裏面20SBに有する。積層素子20は、複数の光学素子が積層された光学系22と、撮像素子(イメージセンサ)21とを含む。光学素子は、例えば、ガラス板と樹脂レンズとを有するハイブリッドレンズ素子(複合素子)または赤外線カットフィルタ素子等である。
【0017】
光学系22の構成、すなわち、光学素子の構成(厚さ、形状)、種類、数、および積層順序は、仕様に応じて種々の変形が可能である。いずれかの光学素子の主面にパターニングされた遮光膜が絞りとして配設されていてもよい。
【0018】
積層素子20は、それぞれが複数の光学素子を含む複数の光学素子ウエハからなる積層ウエハと、複数の撮像素子を含む複数の撮像素子ウエハとを接合した接合ウエハを切断するウエハレベル法にて作製されている。このため、積層素子20は直方体である。積層素子20は、積層ウエハに複数の撮像素子を接着した接合ウエハを切断するウエハレベル法にて作製されてもよい。
【0019】
シリコンを母材とする撮像素子21は、CCD等からなる受光部を有する。積層素子20(撮像素子21)は、裏面20SBの外部電極25に半田バンプ29を有する。撮像素子21の下面に撮像信号を処理する少なくとも1つの半導体素子が積層されていてもよい。半導体素子が積層されていている積層素子では、半導体素子の下面の電極が外部電極25となる。また、撮像素子21の上面にカバーガラスが配設されていてもよい。
【0020】
立体配線板10(以下、「配線板10」という。)は、第1の主面10SAと、第1の主面10SAに直交する側面10SSと、第1の主面10SAの反対側の第2の主面10SBと、を有する。第1の主面10SAは、凹部H10を有する。凹部H10は、4つの壁面H10SSと底面H10SBとを有する。4つの壁面H10SSのうちの2側面H10SSは、凹部H10に対する側面10SSの方向(第1の方向:図のY方向)と平行である。凹部H10の開口は角が曲線の略矩形であるが、矩形でもよい。
【0021】
配線板10は、凹部H10を有する主要部11と、第1の主面10SAと平行であり、第2の主面10SBとの距離が第1の主面10SAよりも短い第3の主面10SA2を有する延設部12と、を含んでいる。延設部12の側面が、側面10SSである。また、配線板10は、主要部11をはさんで延設部12の反対側にも延設部13を有する。延設部12は、後述するゲートカット部(凸部)10Pがある側面10SSを有していれば、例えば、第3の主面10SA2は第1の主面10SAと平行でなくともよい。また、延設部12は貫通孔を有していたり、電子部品が実装されていたりしてもよい。
【0022】
配線板10は、延設部12、13を有していなくともよい。延設部12、13を有していない配線板では、主要部11の側面が側面10SSである。
【0023】
図3図4に示すように、凹部H10の底面H10SBには、複数の接合電極15と複数のアライメントマーク16(16A、16B)とが配設されている。図示しないが、接合電極15は表面配線および貫通配線を経由して、第2の主面10SBの電極と電気的に接続されている。接合電極15は、凹部H10の壁面の配線、第1の主面10SAの配線、および主要部11の側面の配線を経由して、第2の主面10SBの電極と接続されていてもよい。
【0024】
積層素子20は、配線板10の凹部H10に配設されている。積層素子20の外部電極25は半田バンプ29によって、凹部H10の底面H10SBの接合電極15と接合されている。すなわち、撮像素子21の受光部は、外部電極25、半田バンプ29、接合電極15、貫通配線を経由して第2の主面10SBの電極と電気的に接続されている。
【0025】
例えば、熱硬化性エポキシ樹脂である樹脂30は、凹部H10と積層素子20のとの隙間を封止している。樹脂30は、積層素子20を封止すると同時に、積層素子20に印加される応力を緩和する。積層素子20の側面から外光が進入するのを防止するため、樹脂30は、遮光粒子を含んでいることなどにより、遮光性を有することが好ましい。
【0026】
積層素子20の外部電極25と配線板10の凹部H10の底面H10SBの接合電極15との位置合わせは、アライメント装置を用いて、最初に、治具50(図8参照)に固定された配線板10の少なくとも2つのアライメントマーク16を検出して、次に、アライメントマーク16の位置を基準に、積層素子20と配線板10とが所定の相対位置になるように、積層素子20または配線板10を移動することによって行われる。
【0027】
例えば、アライメント装置は、撮影した凹部H10の底面H10SBのサーチ領域SA(図4)の画像を基に、テンプレート(アライメントマーク16の大きさ/形状)との相関係数(類似度)を計算し、その類似性を尺度とした幾何学形状パターンマッチングを行い、アライメントマーク16を検出する。
【0028】
配線板10は、凹部H10の4壁面のうちの2側面H10SSと平行な第1の方向(図のY方向)に突出する凸部10Pを側面10SSに有する。後述するように、図3に示す凸部10Pは、ゲートカット部であるため、凸部10Pの突出長さ(d)は、複数の配線板10において異なる。このため、治具50に固定された複数の配線板10は、初期位置がばらついている。
【0029】
さらに、接合電極15とアライメントマーク16とは、積層素子20の仕様の制約およびアライメント装置の検出能力の制約から、同じ形状かつ同じ大きさである例えば、接合電極15は直径100μmの円形であり、アライメントマーク16も、直径100μmの円形である。このため、アライメントマーク16を検出するときに、接合電極15がアライメントマーク16と誤認識されるおそれがある。接合電極15とアライメントマーク16とを、略同じ形状かつ略同じ大きさにしても、接合電極15がアライメントマーク16と誤認識されるおそれがある。
【0030】
なお、略同じ形状、かつ、略同じ大きさとは、接合電極15と接合電極15よりも小さいアライメントマーク16とを仮想的に重畳した際の重畳領域の面積が、アライメントマーク16の面積の例えば60%以上であることを意味している。
【0031】
図4に示すように、撮像ユニット1の配線板10は、凹部H10の底面H10SBにおいて、接合電極15を第1の方向(Y方向)に仮想移動した第1の領域A15と、アライメントマーク16とは重畳していない。
【0032】
アライメント装置のサーチ領域SAは、凸部10Pの突出量のばらつきを考慮して、Y方向に大きめに設定される。しかし、サーチ領域SAが、第1の領域A15を含まないように設定することによって、接合電極15がアライメントマーク16と誤認識されることがない。積層素子20と配線板10とは容易に位置合わせできるため、撮像ユニット1は、製造が容易である。
【0033】
<撮像ユニットの製造方法>
図5のフローチャートにそって、撮像ユニット1の製造方法を説明する。
【0034】
<ステップS10>射出成型
図6に示すように、複数の配線板10が射出成型法を用いて作製される。複数の立体配線板の形状を含む金型(不図示)に、スプール40からランナー41を経由して、ゲート42から、MID樹脂が注入される。金型から外された、複数の配線板10となる複数の成型体は、スプール40およびランナー41によってつながっている。
【0035】
MID樹脂からなる成型体の表面に、レーザを照射することよって、無電解めっきの触媒活性を有する領域が形成される。さらに、凹部H10の底面に貫通孔が形成される。その後、無電解めっき処理を行うことによって、成型体は接合電極15、アライメントマーク16等が配設された配線板10となる。
【0036】
すでに説明したように、配線板10は、第1の主面10SAと第1の主面10SAに直交する側面10SSを有し、第1の主面10SAの凹部H10の底面H10SBに、接合電極15とアライメントマーク16とを有する。
【0037】
<ステップS20>ゲートカット
図7に示すように、ランナー41によってつながっている複数の配線板10が、それぞれのゲート42において切断することによって、配線板10に個片化される。このため、配線板10は、側面10SSに、凹部H10の壁面H10SSと平行な第1の方向に突出するゲートカット部10Pを有する。
【0038】
<ステップS30>治具に配置
図示しないが、それぞれが複数の光学素子を含む複数の光学素子ウエハからなる積層ウエハに、複数の撮像素子を接合した接合ウエハを切断するウエハレベル法にて、直方体の積層素子20が作製される。積層素子20は、裏面20SBの外部電極25に半田バンプ29を有する。
【0039】
図8に示すように、配線板10が治具50に固定される。治具50は、アライメント装置の一部であってもよい。このとき、配線板10のゲートカット部10Pは治具50の一面と当接した状態となる。
【0040】
すでに説明したように、ゲートカット部10Pの側面10SSからの突出量dは、複数の配線板10において一定ではない。
【0041】
<ステップS40>位置決め
配線板10または積層素子20の少なくともいずれかを、移動しながら、配線板10の接合電極15と積層素子20の外部電極25との位置決めが行われる。
【0042】
最初に、アライメントマーク16が検出される。アライメントマーク16の形状によっては、1つのアライメントマーク16が検出されるだけでもよいが、位置決め精度を高くするために、少なくとも2つのアライメントマーク16が検出されることが好ましい。
【0043】
アライメントマーク16が検出されると、アライメントマーク16の位置に対して所定の相対位置にある接合電極15の位置が推定される。積層素子20の外部電極25の位置が、推定された配線板10の接合電極15の位置と重畳するように、位置合わせされた状態で、積層素子20が配線板10の凹部H10に挿入される。
【0044】
例えば、アライメント装置のステージの治具に固定された配線板10の2つのアライメントマーク16の位置(X座標値、Y座標値)から、複数の接合電極15のうちの2つの接合電極15のXY座標15が推定される。積層素子20を保持している保持部材が、積層素子20を、外部電極25の位置がXY座標15まで移動してからZ方向に移動することによって、位置合わせされた状態で、積層素子20が配線板10の凹部H10に挿入される。なお、積層素子20を凹部H10に仮固定するために接着剤が用いられてもよい。
【0045】
アライメント装置のサーチ領域SAは、第1の領域A15を含まないように設定されている。このため、接合電極15がアライメントマーク16と誤認識されることはない。
【0046】
<ステップS50>接合
配線板10と積層素子20とが、位置決めされ、例えば、仮固定された状態において、リフロー加熱処理されて、外部電極25と接合電極15とが、半田バンプ29によって、接合される。その後、樹脂30が凹部H10と積層素子20のとの隙間に注入されてから硬化処理が行われる。半田バンプ29によって接合する際には、あらかじめ外部電極25にペースト半田を塗布しておいてもよい。
【0047】
本実施形態の撮像ユニット1の製造方法は、配線板10と積層素子20との位置決めが容易である。
【0048】
<第1実施形態の変形例>
変形例1、2の撮像ユニット1A、1Bは、撮像ユニット1と類似し、同じ効果を有するため、同じ機能の構成には同じ符号を付し説明は省略する。
【0049】
<変形例1>
図9に示すように本変形例の撮像ユニット1Aの配線板10Aでは、凹部H10の底面H10SBにおいて、接合電極15を第1の方向(Y方向)に仮想移動した第1の領域A15と、アライメントマーク16とが重畳している重畳領域AXがある。
【0050】
しかし、重畳領域AXの面積は、アライメントマーク16の面積の20%である。
【0051】
アライメント装置のサーチ領域SAは、第1の領域A15を含んでいるが、接合電極15の全体を含んではいないため、接合電極15がアライメントマーク16と誤認識されることはない。
【0052】
なお、誤認識防止のためには、重畳領域AXの面積が、アライメントマーク16の面積の50%未満が好ましく、30%未満が特に好ましい。
【0053】
<変形例2>
図10に示すように本変形例の撮像ユニット1Bの配線板10Bでは、接合電極15を第1の方向(Y方向)に仮想移動した第1の領域A15、および、接合電極15を第1の方向(Y方向)と直交する第2の方向(X方向)に仮想移動した第2の領域B15と、アライメントマーク16は重畳していない。
【0054】
アライメント装置のサーチ領域(不図示)は、第1の領域A15および第2の領域B15を含んでいない。このため、撮像ユニット1Bは、撮像ユニット1よりも、さらに、接合電極15がアライメントマーク16と誤認識されることがない。
【0055】
なお、アライメントマーク16の一部が、第1の領域A15、第2の領域B15と、重畳していても、第1の領域A15とアライメントマーク16の重畳面積と、第2の領域B15とアライメントマーク16の重畳面積との合計が、アライメントマーク16の面積の50%未満であれば、接合電極15がアライメントマーク16と誤認識されることがない。
【0056】
<第2実施形態>
図11に示す本実施形態の内視鏡9は、挿入部91と、操作部92と、ユニバーサルコード93と、内視鏡コネクタ94と、を具備する。細長管形状の挿入部91は、生体の体腔内に挿入される。
【0057】
内視鏡9は、挿入部91の先端部91Aに配設された撮像ユニット1、1A、1Bを具備する。すでに説明したように、撮像ユニット1、1A、1Bは、製造が容易であるため、内視鏡9は製造が容易である。
【0058】
なお、積層素子20が配設される凹部H10を有する立体配線板は、MIDに限定されず、例えば、3Dプリンタによる加工または切削加工によって作成してもよい。立体配線板の材質も樹脂には限定されず、セラミックまたはガラスエポキシでもよい。
【0059】
内視鏡9は医療用の軟性鏡であるが、別の実施形態の内視鏡は、工業用の内視鏡であってもよいし、挿入部として硬性の直管を有する硬性鏡であってもよい。
【0060】
本発明は上述した実施形態等に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等ができる。
【符号の説明】
【0061】
1、1A、1B・・・撮像ユニット
9・・・内視鏡
10・・・立体配線板
11・・・主要部
11、12・・・延設部
15・・・接合電極
16・・・アライメントマーク
20・・・積層素子
30・・・樹脂
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11