(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】墨出し装置および墨出し方法
(51)【国際特許分類】
E04F 21/00 20060101AFI20240611BHJP
G01C 15/02 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
E04F21/00 A
G01C15/02
(21)【出願番号】P 2020166449
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000223403
【氏名又は名称】住ベシート防水株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】池田 浩和
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0290673(US,A1)
【文献】実開平5-86955(JP,U)
【文献】特開2019-65696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 21/00
G01C 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視で四角形状をなす平板からなる複数の部材が格子状に並べて敷設された部材敷設部において、隣り合う前記部材同士が突き合わされた境界部を覆うように、帯状をなすシートを前記境界部に貼付する位置の位置決めを、前記部材に対する墨出しにより行う際に用いられる墨出し装置であって、
前記シートの長手方向に延伸する一方の端部が配置される前記部材上の直線状をなす配置位置に沿って直線を描くことで墨出しする描画系と、
当該墨出し装置の前進により、前記描画系ごと走行する走行系とを有し、
前記走行系は、当該墨出し装置の前進の際に、前記境界部に少なくとも一部が挿入された状態で回転することで、前記描画系を、前記配置位置に沿って案内するガイドローラを備えるガイド部を有することを特徴とする墨出し装置。
【請求項2】
前記描画系は、前記配置位置に沿って前記直線を描く描画部を有する請求項1に記載の墨出し装置。
【請求項3】
前記描画部は、マーカペン、鉛筆、チョーク、インクジェットマーカおよびレーザーマーカのうちの少なくとも1種である請求項2に記載の墨出し装置。
【請求項4】
前記描画部は、前記描画系において、傾斜方向に移行可能、かつ上下方向に移動可能となっており、当該墨出し装置の前進の際には、所定の位置で固定されている請求項2または3に記載の墨出し装置。
【請求項5】
前記描画部は、前記ガイドローラに対して、当該墨出し装置が前進する前進方向と直交する幅方向に沿って、離間している請求項2ないし4のいずれか1項に記載の墨出し装置。
【請求項6】
前記ガイドローラが回転しつつ、その少なくとも一部が挿入された状態で、走行する前記境界部に沿った走行ラインと、
前記描画部が前記配置位置に沿った前記直線を描く描画ラインとは平行をなしている請求項2ないし5のいずれか1項に記載の墨出し装置。
【請求項7】
前記ガイドローラは、前記ガイド部において、上下方向に揺動可能に、下方向に向かって付勢されている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の墨出し装置。
【請求項8】
前記走行系は、前記ガイド部の上側に固定された把持部を有し、
該把持部は、長尺状をなし、当該墨出し装置が前進する前進方向と平行に配置されたハンドルを備え、
前記ハンドルと、前記ガイドローラとは、前記平面視において、同一軸上に配置されている請求項1ないし7のいずれか1項に記載の墨出し装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の墨出し装置を用いて、前記配置位置に沿って前記直線を描く墨出し工程を有することを特徴とする墨出し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、墨出し装置および墨出し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、傾斜した屋根やベランダの床部として、多数枚の断熱パネルが敷設された断熱パネル敷設部が適用された家屋が知られている。この断熱パネル敷設部では、多数枚の断熱パネルが行列状に並べられ、隣り合う断熱パネル同士において、一方の断熱パネルは、突き合わされる端面において凹部を備え、他方の断熱パネルは、突き合わされる端面において凸部を備えており、一方の断熱パネルの凹部と、他方の断熱パネルの凸部とが係合することで、隣り合う断熱パネル同士が連結されている。
【0003】
そして、この断熱パネル敷設部は、家屋が備える棟木や、母屋および垂木等に、固定ビスを用いて固定されることで、屋根や床部を構成している。
【0004】
また、かかる構成をなす断熱パネル敷設部では、施工状態によっては、隣り合う断熱パネル同士の間に間隙が生じることがある。間隙があると、この間隙から雨水等が家屋の中に入り込み、雨漏りの原因となることがある。そこで、この間隙を覆うように帯状の防水シートを貼付して、雨水等の侵入を防止することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
さらに、この断熱パネル敷設部では、前述の通り、優れた防水性を有することが求められるが、これと同様に、優れた耐火性を有することが求められている。そのため、断熱パネル同士間の間隙と防水シートとの間に、帯状をなす耐火シートを配置することが提案されている。
【0006】
以上のように、断熱パネル同士間の間隙すなわち境界部には、耐火シートと防水シートとが、この順で貼付される。
【0007】
ここで、前述の通り、多数枚の断熱パネルは、行列状に配置される。そのため、これら同士の間に形成される境界部は、直線状をなすものとなる。したがって、かかる境界部に貼付される耐火シートおよび防水シートのシートも、この境界部に対応して、直線状に貼付されることが求められる。
【0008】
そこで、一般的に、各シートを貼付すべき位置を位置決めするために、各シートの長手方向に延伸する一方の端部が配置される、断熱パネル上の直線状をなす配置位置に沿って、直線(ライン)を描く(墨出しする)ことが行われている。すなわち、直線状をなす境界部に対して、平行をなしている直線を墨出しすることが行われている。そして、墨出しされた線に、前記一方の端部が一致するように、各シートを配置することで、前記境界部に対して優れた位置精度で各シートを貼付することができる。
【0009】
しかしながら、上記のような墨出しによる線の描画は、通常、チョークラインや墨ツボ等を用いて、二人一組で行う必要がある。そのため、作業効率が悪く、さらに人件費等に伴うコスト高を招く原因となっていた。
【0010】
なお、防水シートのような各種部材を位置決めするのに用いられる線を墨出しするための墨出し装置として、例えば、特許文献2で提案されているもの等が認められるが、直線状をなす境界部を利用して、この境界部に対して、平行をなしている直線を墨出しする構成をなすものについては提案されていないのが実情であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2007-120248号公報
【文献】特開平8-61954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、作業者の作業効率の改善が図られ、かつ低コストで、直線状をなす境界部に対して、平行をなしている直線を墨出しすることができる墨出し装置、および、かかる墨出し装置を用いた墨出し方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような目的は、下記(1)~(9)に記載の本発明により達成される。
(1) 平面視で四角形状をなす平板からなる複数の部材が格子状に並べて敷設された部材敷設部において、隣り合う前記部材同士が突き合わされた境界部を覆うように、帯状をなすシートを前記境界部に貼付する位置の位置決めを、前記部材に対する墨出しにより行う際に用いられる墨出し装置であって、
前記シートの長手方向に延伸する一方の端部が配置される前記部材上の直線状をなす配置位置に沿って直線を描くことで墨出しする描画系と、
当該墨出し装置の前進により、前記描画系ごと走行する走行系とを有し、
前記走行系は、当該墨出し装置の前進の際に、前記境界部に少なくとも一部が挿入された状態で回転することで、前記描画系を、前記配置位置に沿って案内するガイドローラを備えるガイド部を有することを特徴とする墨出し装置。
【0014】
(2) 前記描画系は、前記配置位置に沿って前記直線を描く描画部を有する上記(1)に記載の墨出し装置。
【0015】
(3) 前記描画部は、マーカペン、鉛筆、チョーク、インクジェットマーカおよびレーザーマーカのうちの少なくとも1種である上記(2)に記載の墨出し装置。
【0016】
(4) 前記描画部は、前記描画系において、傾斜方向に移行可能、かつ上下方向に移動可能となっており、当該墨出し装置の前進の際には、所定の位置で固定されている上記(2)または(3)に記載の墨出し装置。
【0017】
(5) 前記描画部は、前記ガイドローラに対して、当該墨出し装置が前進する前進方向と直交する幅方向に沿って、離間している上記(2)ないし(4)のいずれかに記載の墨出し装置。
【0018】
(6) 前記ガイドローラが回転しつつ、その少なくとも一部が挿入された状態で、走行する前記境界部に沿った走行ラインと、
前記描画部が前記配置位置に沿った前記直線を描く描画ラインとは平行をなしている上記(2)ないし(5)のいずれかに記載の墨出し装置。
【0019】
(7) 前記ガイドローラは、前記ガイド部において、上下方向に揺動可能に、下方向に向かって付勢されている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の墨出し装置。
【0020】
(8) 前記走行系は、前記ガイド部の上側に固定された把持部を有し、
該把持部は、長尺状をなし、当該墨出し装置が前進する前進方向と平行に配置されたハンドルを備え、
前記ハンドルと、前記ガイドローラとは、前記平面視において、同一軸上に配置されている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の墨出し装置。
【0021】
(9) 上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の墨出し装置を用いて、前記配置位置に沿って前記直線を描く墨出し工程を有することを特徴とする墨出し方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、直線状をなす境界部に沿った前進方向に、墨出し装置を作業者が走行させると言う、単純な作業で、直線状をなす境界部に対して、平行をなしている直線を墨出しすることができる。すなわち、作業者の作業効率の改善を図り、かつ低コストで、直線状をなす境界部に対して、平行をなしている直線を墨出しすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】防水構造の好適な実施形態を示す平面図である。
【
図6】貼付・墨出し装置の第1実施形態を示す斜視図である。
【
図9】
図6に示す貼付・墨出し装置が備える第1走行部を拡大して示す部分拡大側面図である。
【
図10】
図6に示す貼付・墨出し装置が備える第1走行部を拡大して示す部分拡大平面図である。
【
図11】
図6に示す貼付・墨出し装置が備える第2走行部を拡大して示す部分拡大側面図である。
【
図12】
図6に示す貼付・墨出し装置が備える第2走行部を拡大して示す部分拡大平面図である。
【
図13】
図6に示す貼付・墨出し装置が備える描画系を拡大して示す部分拡大側面図である。
【
図14】
図6に示す貼付・墨出し装置が備える描画系を拡大して示す部分拡大平面図である。
【
図15】貼付・墨出し装置の第2実施形態を示す斜視図である。
【
図16】
図15に示す貼付・墨出し装置が備える描画系を拡大して示す部分拡大側面図である。
【
図17】
図15に示す貼付・墨出し装置が備える描画系を拡大して示す部分拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の墨出し装置および墨出し方法を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0025】
まず、本発明の墨出し装置および墨出し方法を説明するのに先立って、本発明の墨出し装置を用いた墨出し方法(本発明の墨出し方法)を適用して貼付された防水シートを備える防水構造について説明する。
【0026】
なお、以下では、防水構造を、家屋が備える傾斜した屋根に適用した場合を一例に説明する。
【0027】
<防水構造>
図1は、防水構造の好適な実施形態を示す平面図、
図2は、
図1中のA-A線断面図、
図3は、
図1中のB-B線断面図、
図4は、
図1中のC-C線断面図、
図5は、
図1中のD部における部分平面図である。なお、以下では、説明の便宜上、
図1に示すように、図中の左右方向をX軸方向、上下方向をY軸方向とする。また、
図2~
図4中の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」、
図5中の紙面手前側を「上」または「上方」、紙面奥側を「下」または「下方」と言うことがある。また、
図2中の左側を「下流側」、右側を「上流側」と言うことがある。
【0028】
図1に示すように、防水構造10は、家屋が備える屋根100に適用して、施工されたものであり、本実施形態では、複数枚の断熱パネル1と、複数枚の第1耐火シート2Aと、複数枚の第2耐火シート2Bと、複数枚の第3耐火シート2Cと、複数枚の第1防水シート8Aと、複数枚の第2防水シート8Bと、複数個の固定ビス9とを備えている。
【0029】
この屋根100は、水はけがよいものとすることを目的に、水平方向に対して傾斜して設けられている。この傾斜方向αは、
図1中では、Y軸方向と同方向となっている。そして、この屋根100において、防水構造10は、家屋が備える母屋91や、棟木および垂木(図示せず)等に固定されること、すなわち、母屋91や、棟木および垂木等を介して家屋に固定されることで、屋根としての機能を発揮する。
【0030】
また、防水構造10を、耐火シート2A、2B、2Cおよび防水シート8A、8Bを備える構成とすることで、防水構造10は、優れた防水性とともに、優れた耐火性を発揮する。
【0031】
以下、防水構造10の各部の構成について説明する。
断熱パネル1は、
図1、
図4に示すように、平面視で長方形状(四角形状)をなす平板からなり、その厚さ方向に貫通する貫通孔15を複数有する部材である。この断熱パネル1は、短辺方向と長辺方向とにそれぞれ同一方向として複数枚が格子状に並べて敷設されて、断熱パネル敷設部30(部材敷設部)を構成し、これにより、屋根100を形成している。
【0032】
本実施形態では、長辺方向がX軸方向と平行となっており、短辺方向がY軸方向と平行となっている。なお、屋根100の広さや形状にもよるが、X軸方向に敷設される断熱パネル1の枚数と、Y軸方向に敷設される断熱パネル1の枚数とは、同じとなる場合もあるし、異なる場合もある。
【0033】
各断熱パネル1は、配置箇所が異なること以外は、同じ積層構造を有するものである(
図2、
図3参照)。以下、代表的に1枚の断熱パネル1の積層構造について説明する。
【0034】
断熱パネル1は、
図2~
図4に示すように、樹脂層3と、金属層4aと、金属層4bと、樹脂層5aと、樹脂層5bとを有する積層板である。
【0035】
樹脂層3は、例えば、ポリウレタンフォームで構成され、断熱パネル1で断熱性を発揮する部分である。
【0036】
樹脂層3の下面側には、金属層4aが積層され、樹脂層3の上面側には、金属層4bが積層されている。金属層4aおよび金属層4bは、例えば、ガルバリウム鋼板(登録商標)やステンレス鋼板等の各種鋼板で構成され、断熱パネル1で耐環境性(防腐性)を発揮する部分である。
【0037】
なお、樹脂層3は、金属層4aおよび金属層4bよりも厚く、例えば、金属層4a(金属層4b)の厚さの2倍以上100倍以下であるのが好ましく、50倍以上80倍以下であるのがより好ましい。この場合、例えば、樹脂層3の厚さを35mm程度、金属層4aおよび金属層4bの厚さをそれぞれ0.5mm程度とすることができる。
【0038】
樹脂層5aおよび樹脂層5bは、例えば、ポリ塩化ビニルで構成された膜である。樹脂層5aは、金属層4aを被覆しており、金属層4aへの防錆性および防水性を発揮する。樹脂層5bは、金属層4bを被覆しており、金属層4bへの防錆性および防水性を発揮する。
【0039】
前述したように、屋根100は、水平方向に対して傾斜している。従って、屋根100を構成する断熱パネル1も、水平方向に対して傾斜した姿勢で、家屋において敷設される。これにより、例えば、雨水等が上流側(傾斜方向αの上側)から下流側(傾斜方向αの下側)に向かって流下することから、断熱パネル敷設部30すなわち屋根100での排水性が向上する。なお、断熱パネル1の傾斜角度θ
1(
図2参照)としては、特に限定されない。
【0040】
また、断熱パネル1は、前述したように平面視で長方形状(四角形状)をなす平板であり、その縁部(外縁部)を、本実施形態では、長辺方向(X軸方向)に沿った縁部11(第1縁部)および縁部12(第2縁部)と、短辺方向(Y軸方向)に沿った縁部13(第3縁部)および縁部14(第4縁部)とに分けることができる(
図1参照)。
【0041】
図2に示すように、縁部12には、この縁部12を構成する端面から、凸部6が図中の右側に向かって突出して形成されている。この凸部6は、前記長辺方向に沿って、すなわち、
図2中の紙面手前側から奥側に向かって形成された凸条となっている。
【0042】
また、縁部11には、この縁部11を構成する端面から、凹部7が
図2中の右側に向かって凹没して形成されている。この凹部7は、前記長辺方向に沿って、すなわち、
図2中の紙面手前側から奥側に向かって形成された溝となっている。なお、凹部7の深さは、凸部6の突出量よりも大きいのが好ましい。
【0043】
そして、断熱パネル敷設部30のうち、Y軸方向(短辺方向)に隣り合う断熱パネル1同士は、一方の断熱パネル1の凹部7と、他方の断熱パネル1の凸部6とが、突き合わされることにより、係合することができる。これにより、双方の断熱パネル1同士が連結され(接合され)、よって、Y軸方向の互いの位置関係が規制される。
【0044】
また、これら双方の断熱パネル1は、傾斜している。そのため、傾斜方向αの上側に位置する断熱パネル1が、重力によって、その下側に位置する断熱パネル1を押圧する。これにより、凸部6が凹部7にできる限り深く挿入されることとなり、よって、凸部6と凹部7との係合状態がより強固となる。
【0045】
さらに、凸部6が凸条で構成され、凹部7が溝で構成されていることにより、凸部6と凹部7との係合状態がさらに強固となる。これにより、例えば、断熱パネル1が強風等で不本意に取り外されてしまうのを確実に防止することができ、よって、屋根100を安全かつ快適に使用することができる。
【0046】
また、Y軸方向に隣り合う断熱パネル1同士における、一方の断熱パネル1の凹部7と、他方の断熱パネル1の凸部6との突き合わせにより、境界部25Aが形成され、前述の通り、断熱パネル敷設部30において、複数枚の断熱パネル1が格子状に配置されている。そのため、断熱パネル敷設部30において、境界部25Aは、X軸方向に直線状に延びるように、複数のものが互いに平行をなして形成されている。
【0047】
図3に示すように、縁部13、すなわち縁部13を構成する端面は、前記短辺方向に沿って、換言すれば、
図3中の紙面手前側から奥側に向かって平坦な平坦部となっている。
【0048】
さらに、縁部13と同様に、縁部14、すなわち縁部14を構成する端面も、前記短辺方向に沿って、換言すれば、
図3中の紙面手前側から奥側に向かって平坦な平坦部となっている。また、このような平坦な形状をなす縁部13および縁部14は、それぞれ、断熱パネル1の平面視での面方向に対して垂直に形成されている。
【0049】
そして、断熱パネル敷設部30のうち、X軸方向(長辺方向)に隣り合う断熱パネル1同士は、一方の断熱パネル1の縁部13と、他方の断熱パネル1の縁部14とが、突き合わされることにより、互いに対向している。
【0050】
また、X軸方向に隣り合う断熱パネル1同士における、一方の断熱パネル1の縁部13と、他方の断熱パネル1の縁部14との突き合わせにより、境界部25Bが形成され、前述の通り、断熱パネル敷設部30において、複数枚の断熱パネル1が格子状に配置されている。そのため、断熱パネル敷設部30において、境界部25Bは、Y軸方向に直線状に延びるように、複数のものが互いに平行をなして形成されている。
【0051】
また、
図4に示すように、各断熱パネル1は、前述の通り、ほぼ等間隔を空けて形成された複数の貫通孔15を備えている。そして、各貫通孔15にそれぞれ固定ビス9が挿通され、さらに、この固定ビス9は、家屋が有する母屋91が備える、内ネジを有する貫通孔に螺合されている。これにより、各断熱パネル1すなわち断熱パネル敷設部30は、固定ビス9により、母屋91すなわち家屋に対して固定される。
【0052】
なお、複数の断熱パネル1は、
図1に示すように、平面視で長方形状をなす平板からなる場合に限らず、平面視で四角形状をなすものであればよく、正方形状をなすものであってもよい。
【0053】
第1耐火シート2Aは、Y軸方向に隣り合う断熱パネル1同士を突き合わすことで形成された境界部25A、すなわち、縁部11と縁部12との間を覆うとともに、本実施形態では、断熱パネル1の縁部11、12付近において形成された貫通孔15に挿通された固定ビス9の頭部を覆う部材である(
図1、
図2参照)。換言すれば、第1耐火シート2Aは、縁部11と縁部12との間を覆う耐火シートと、固定ビス9を覆う耐火シートとが一体的に形成されたものであると言うことができる。したがって、それぞれを覆う耐火シートを別体として形成する必要がなくなるため、耐火シートを貼付する際の時間と手間の簡略化を図ることができる。
【0054】
また、第2耐火シート2Bは、X軸方向に隣り合う断熱パネル1同士が突き合わされることで形成された境界部25B、すなわち、縁部13と縁部14との間を覆う部材である(
図3参照)。
【0055】
さらに、第3耐火シート2Cは、断熱パネル1の中央部付近において形成された貫通孔15に挿通された固定ビス9の頭部を覆う部材である(
図4参照)。
【0056】
第1耐火シート2A、第2耐火シート2Bおよび第3耐火シート2Cは、それぞれ、金属材料を主材料として含有する金属シートで構成されている。これにより、第1耐火シート2A、第2耐火シート2Bおよび第3耐火シート2Cには、それぞれ、耐火性が付与される。このような第1耐火シート2A、第2耐火シート2Bならびに第3耐火シート2Cを用いて、それぞれ、縁部11と縁部12との間および固定ビス9、縁部13と縁部14との間、ならびに、固定ビス9を覆うことにより、断熱パネル敷設部30、ひいては、この断熱パネル敷設部30を備える家屋に優れた耐火性を付与することができる。
【0057】
なお、金属材料としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、銅、チタンおよびタングステン等が挙げられ、これらの金属を単独または合金として用いることができる。これらの中でも、アルミニウムであることが好ましい。これにより、第1耐火シート2A、第2耐火シート2Bおよび第3耐火シート2Cに、優れた耐火性を付与することができる。
【0058】
また、第1耐火シート2A、第2耐火シート2Bおよび第3耐火シート2Cは、それぞれ、前記金属シートの単層で構成されるものの他、例えば、その厚さ方向の途中に繊維層が介挿されたもの、すなわち、厚さ方向に積層された第1金属層と第2金属層との間に繊維層(繊維シート)が挾持された構成のものであってもよい。この繊維層は、繊維の集合体で構成されたものであり、例えば、織布や不織布等のクロス、縦糸と横糸とで複数の格子を形成したネット等の繊維シートが挙げられる。このような繊維層を備えるものとすることで、強度(引き裂き強度や引張り強度等)および耐久性(耐繰り返し疲労特性)等を向上させることができる。
【0059】
図1、
図2に示すように、第1耐火シート2Aは、帯状をなす。これにより、Y軸方向に隣り合う断熱パネル1同士を突き合わすことで形成されたX軸方向に直線状に延びる境界部25Aを、X軸方向に沿って一括して、すなわち、連続的に覆うことができる。したがって、当該境界部25Aを介して煙や火等が排出されるのを確実に防止することができる。また、第1耐火シート2Aは、その幅が、断熱パネル1の縁部11、12付近において形成された貫通孔15をも包含し得る大きさに設定されている。したがって、Y軸方向に隣り合う断熱パネル1同士の境界部25Aを、第1耐火シート2Aで覆う際に、貫通孔15に挿通して固定された固定ビス9の頭部をも一括して覆うことができる。したがって、当該境界部25Aおよび貫通孔15を介して煙や火等が排出されるのを確実に防止することができる。
【0060】
第1耐火シート2Aと同様に、第2耐火シート2Bも、帯状をなす。これにより、X軸方向に隣り合う断熱パネル1同士を突き合わすことで形成されたY軸方向に直線状に延びる境界部25Bを、Y軸方向に沿って一括して、すなわち、連続的に覆うことができる。したがって、当該境界部25Bを介して煙や火等が排出されるのを確実に防止することができる。
【0061】
また、
図3に示すように、X軸方向に隣り合う断熱パネル1同士の境界部25Bには、突き合わされる縁部13と縁部14とがともに平坦面で構成される。そのため、施工状態によっては、大なり小なり、隙間20が形成されることがある。隙間20があると、この隙間20から、煙や火等が排出され易くなるため、断熱パネル敷設部30における耐火性が低下するおそれがある。そこで、この隙間20すなわち境界部25Bを覆うように帯状の第2耐火シート2Bを貼付することで、この隙間20からの煙や火等の排出を的確に抑制または防止することができるため、断熱パネル敷設部30を優れた耐火性を発揮するものとし得る。
【0062】
第3耐火シート2Cは、耐火シート2A、2Bとは異なり、円盤状をなす。これにより、断熱パネル1の中央部に位置する貫通孔15に挿通して固定された固定ビス9に対して、個別に覆うことができる。したがって、貫通孔15を介して煙や火等が排出されるのを確実に防止することができる。
【0063】
第1耐火シート2Aの幅W
2Aと、第2耐火シート2Bの幅W
2Bとは、本実施形態では、同じである(
図1参照)。また、第1耐火シート2Aの厚さt
2Aと、第2耐火シート2Bの厚さt
2Bとは、同じである(
図2参照)。このように双方の防水シートが幅も厚さも同じであることにより、共通の耐火シートを用いることができる。これにより、例えば各防水シートに幅や厚さが異なる防水シートを用いる場合に比べて、防水構造10を施工する際に、コストダウンを図ることができる。また、第1耐火シート2Aとして用いるか、または、第2耐火シート2Bとして用いるかを問わずに、前記共通の防水シートを用いることができる。これにより、防水構造10を施工するときの作業性が向上する。
【0064】
また、第1耐火シート2Aの幅W2Aは、具体的には、50mm以上175mm以下程度であることが好ましく、75mm超100mm以下程度であることがより好ましい。ここで、縁部11、12付近に形成される貫通孔15は、通常、各縁部11、12に形成されたもの同士の離間距離が、50mm程度の大きさとなる位置に配置され、また、固定ビス9としては、その頭部の直径がφ15mm程度の大きさのものが選択される。したがって、第1耐火シート2Aの幅W2Aを前記のような大きさに設定することで、Y軸方向に隣り合う断熱パネル1同士の境界部25Aを、第1耐火シート2Aで覆う際に、貫通孔15に挿通して固定された固定ビス9の頭部をも確実に包含して覆うことができる。
【0065】
さらに、第3耐火シート2Cの直径W2Cは、φ20mm以上125mm以下程度であることが好ましく、φ25mm超60mm以下程度であることがより好ましい。ここで、前述の通り、また、固定ビス9としては、その頭部の直径φが15mm程度の大きさのものが選択される。したがって、第3耐火シート2Cの直径W2Cを前記のような大きさに設定することで、貫通孔15に挿通して固定された固定ビス9の頭部を確実に覆うことができる。
【0066】
第1防水シート8Aは、Y軸方向に隣り合う断熱パネル1同士の境界部25A、すなわち、縁部11と縁部12との間を、第1耐火シート2Aを介して覆う部材である(
図2参照)。かかる構成をなす第1防水シート8Aを設けることで、当該境界部25Aを介して家屋の内部に雨水のような水が浸入するのを確実に防止することができる。
【0067】
また、第2防水シート8Bは、X軸方向に隣り合う断熱パネル1同士の境界部25B、すなわち、縁部13と縁部14との間を、第2耐火シート2Bを介して覆う部材である(
図3参照)。かかる構成をなす第2防水シート8Bを設けることで、当該境界部25Bを介して家屋の内部に雨水のような水が浸入するのを確実に防止することができる。
【0068】
第1防水シート8Aおよび第2防水シート8Bは、それぞれ、樹脂材料を主材料として含有する樹脂シートで構成されている。これにより、第1防水シート8Aおよび第2防水シート8Bは、それぞれ、防水性を有するものとなる。
【0069】
なお、樹脂材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニルのような塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、塩化ビニル系樹脂であることが好ましい。これにより、第1防水シート8Aおよび第2防水シート8Bは、熱融着性や溶剤溶着性に優れたものとなる。第1防水シート8Aおよび第2防水シート8Bは、断熱パネル1に貼付されるものであり、その貼付方法として、例えば、熱融着による方法や、溶剤による溶着による方法が用いられる。従って、第1防水シート8Aが熱融着性や溶剤溶着性に優れることは、第1防水シート8Aおよび第2防水シート8Bを断熱パネル1に貼付する上で好ましい。
【0070】
また、塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルを含む重合体、すなわちオリゴマー、プレポリマーおよびポリマーであれば特に限定されないが、例えば、塩化ビニルの単量重合体、または塩化ビニルと、酢酸ビニル、エチレン、もしくはプロピレン等との共重合体、およびこれらの2種以上の重合体の混合物等が挙げられる。
【0071】
また、樹脂材料には、さらに、各種可塑剤、各種安定化剤、各種酸化防止剤、各種紫外線吸収剤、加工助剤、滑剤、充填材、難燃剤および色材等を含んでいてもよく、特に、可塑剤が含まれることが好ましい。これにより、第1防水シート8Aおよび第2防水シート8Bを、より優れた柔軟性を有するものとし得る。
【0072】
また、第1防水シート8Aおよび第2防水シート8Bは、それぞれ、前記樹脂シートの単層で構成されるものの他、例えば、その厚さ方向の途中に繊維層が介挿されたもの、すなわち、厚さ方向に積層された第1樹脂層と第2樹脂層との間に繊維層(繊維シート)が挾持された構成のものであってもよい。この繊維層は、繊維の集合体で構成されたものであり、例えば、織布や不織布等のクロス、縦糸と横糸とで複数の格子を形成したネット等の繊維シートが挙げられる。このような繊維層を備えるものとすることで、強度(引き裂き強度や引張り強度等)および耐久性(耐繰り返し疲労特性)等を向上させることができる。
【0073】
図2に示すように、第1防水シート8Aは、帯状をなす。これにより、Y軸方向に隣り合う断熱パネル1同士の間に形成された境界部25AをX軸方向に沿って一括して、すなわち、連続的に覆うことができる。したがって、当該境界部25Aから雨水等が侵入するのを確実に防止することができる。
【0074】
第1防水シート8Aと同様に、第2防水シート8Bも、帯状をなす。これにより、X軸方向に隣り合う断熱パネル1同士の間に形成された境界部25BをY軸方向に沿って一括して、すなわち、連続的に覆うことができる。したがって、当該境界部25Bから雨水等が侵入するのを確実に防止することができる。
【0075】
また、
図3に示すように、施工状態によっては、X軸方向に隣り合う断熱パネル1同士の境界部25Bには、突き合わされる縁部13と縁部14とがともに平坦面で構成されるため、大なり小なり、隙間20が形成されることがある。隙間20があると、この隙間20から雨水等が家屋の中に入り込み、雨漏りの原因となるおそれがある。そこで、この隙間20すなわち境界部25Bを覆うように帯状の第2防水シート8Bを貼付することで、隙間20からの雨水等の侵入を防止することができる。
【0076】
以上のような構成をなす防水構造10において、断熱パネル敷設部30が備える断熱パネル1同士を突き合わすことで形成された直線状をなす境界部25A、25Bが、帯状をなす耐火シート2A、2Bで、連続して被覆され、さらに、この耐火シート2A、2Bを介して、帯状をなす防水シート8A、8Bで、連続して被覆されている。
【0077】
すなわち、直線状をなす境界部25A、25Bを、それぞれ、連続して被覆している耐火シート2A、2Bに対して、防水シート8A、8Bが連続して被覆している。したがって、境界部25A、25Bに対する、耐火シート2A、2Bおよび防水シート8A、8Bの貼付は、耐火シート2A、2Bの貼付の後に、防水シート8A、8Bの貼付が行われる順序となっている。
【0078】
そこで、境界部25A、25Bに対して、耐火シート2A、2Bおよび防水シート8A、8Bを貼付する際に、境界部25(25A、25B)に対する耐火シート2(2A、2B)の貼付と、防水シート8(8A、8B)の長手方向に延伸する一方の端部を配置すべき、境界部25(25A、25B)に対して、平行をなしている直線28の墨出しとを、ほぼ同時に実施することができれば、防水構造10を施工する作業者の作業量の低減を図ることができる。
【0079】
したがって、以下では、前記耐火シート2を貼付するシート貼付装置と、前記直線を墨出しする墨出し装置(本発明の墨出し装置)との双方の機能を併せ持つように構成された貼付・墨出し装置について説明する。
【0080】
<貼付・墨出し装置>
<<第1実施形態>>
図6は、貼付・墨出し装置の第1実施形態を示す斜視図、
図7は、
図6中の矢印A方向から見た側面図、
図8は、
図6中の矢印B方向から見た平面図、
図9は、
図6に示す貼付・墨出し装置が備える第1走行部を拡大して示す部分拡大側面図、
図10は、
図6に示す貼付・墨出し装置が備える第1走行部を拡大して示す部分拡大平面図、
図11は、
図6に示す貼付・墨出し装置が備える第2走行部を拡大して示す部分拡大側面図、
図12は、
図6に示す貼付・墨出し装置が備える第2走行部を拡大して示す部分拡大平面図、
図13は、
図6に示す貼付・墨出し装置が備える描画系を拡大して示す部分拡大側面図、
図14は、
図6に示す貼付・墨出し装置が備える描画系を拡大して示す部分拡大平面図である。
【0081】
なお、以下では、説明の都合上、
図6~
図14中の上側を「上(または上方)」、下側を「下(または下方)」と言う。また、
図6中の斜め左下側、
図7、
図9~
図14中の左側、
図8中の下側を「前(または前方)」と言う。また、
図6中の斜め右上側、
図7、
図9~14中の右側、
図8中の上側を「後(または後方)」と言う。また、
図6~
図14に示すように、互いに直交する3軸をX軸、Y軸およびZ軸とする。また、X軸とY軸を含むXY平面が水平となっており、Z軸が鉛直となっている。
【0082】
図6に示す貼付・墨出し装置55は、前述の通り、本実施形態では、金属材料を主材料として構成された、帯状をなす耐火シート2を、ロール状に巻回された状態から連続的に送り出すとともに、回転自在に設けられた押さえローラ62、72により押さえ付けることで、直線状をなす境界部25に対して、貼付する際に用いられるシート貼付装置と、防水シート8の長手方向に延伸する一方の端部を配置すべき、境界部25に対して平行をなしている直線28を墨出しする際に用いられる墨出し装置との機能を合わせ持つものである。なお、本実施形態では、直線状をなす境界部25(25A、25B)のうち、X軸方向に沿って延在する境界部25(25A)に対して、耐火シート2を貼付するとともに、境界部25(25A)に対して、平行をなしている直線28を墨出しする場合を、一例に説明する。
【0083】
この貼付・墨出し装置55は、本実施形態では、
図6に示すように、巻回された耐火シート2を保持し、境界部25に耐火シート2を供給する(送り出す)供給系40と、防水シート8の長手方向に延伸する一方の端部が配置される断熱パネル1(部材)上の直線状をなす配置位置に沿って直線28を描くことで墨出しする描画系80と、貼付・墨出し装置55の前進により、供給系40および描画系80ごと走行するとともに、供給された耐火シート2を境界部25に押さえ付けることで貼付する押さえローラ62、72を備える走行系50とを有している。以下、この貼付・墨出し装置55が備える各部の構成について説明する。
【0084】
走行系50は、
図6~
図8に示すように、第1走行部60と、第2走行部70と、2つの走行部60、70を支持する支持部51と、支持部51を介して走行系50(第1走行部60、第2走行部70)の上側に支持、固定された把持部93とを有している。
【0085】
第1走行部60は、
図6~
図10に示すように、フレーム61と、第1走行部60(フレーム61)の後方に回転可能に支持された1つの第1押さえローラ62と、第1走行部60の前部に回転可能に支持された2つの車輪63と、第1走行部60の前部に支持されることで第1押さえローラ62に独立して設けられたガイド部65とを備えている。
【0086】
フレーム61は、2つの側板611と1つの前板612で構成され、これらのうち2枚の側板611は、X軸方向に延びる長尺物であり、Y軸方向に並べられ、間隙を介して互いに対向して配置されている。また、前板612は、側板611の前方側の端部(先端)に配置され、2つの側板611を、このものを介して接合している。
【0087】
そして、フレーム61には、
図6~
図11に示すように、2枚の側板611の後方側で、その間に、1つの第1押さえローラ62が配置されている。第1押さえローラ62は、円筒状をなし、その幅が耐火シート2の幅よりも大きく設定され、回転可能に2つの側板611に支持されている。また、2枚の側板611の前方側で、それぞれに対して、1つずつ車輪63が互いに対向するように配置されている。各車輪63は、円盤状をなし、それぞれ、回転可能に各側板611に車軸631を介して支持されている。そして、車輪63および第1押さえローラ62が回転することにより、貼付・墨出し装置55は、供給系40および描画系80ごと走行することができる。より具体的には、車輪63および第1押さえローラ62を+X軸方向すなわち前進方向Lsに回転させることにより、供給系40および描画系80ごと貼付・墨出し装置55を+X軸方向に前進させることができる。また、この前進の際に、供給系40から耐火シート2を、第1押さえローラ62の前方側から第1押さえローラ62と境界部25との間に供給する(送り出す)ことで、第1押さえローラ62で境界部25に耐火シート2を押さえ付けることができる。そのため、境界部25に対して耐火シート2を連続的に貼付することができる。さらに、この前進の際に、描画系80(第1描画手段81)により、防水シート8の長手方向に延伸する一方の端部が配置される断熱パネル1(部材)上の直線状をなす配置位置に沿って、直線28(ライン)を描くこと、すなわち墨出しすることができる。
【0088】
なお、フレーム61に配置される第1押さえローラ62の配置数は、
図9に示す構成では1つであるが、これに限定されない。
【0089】
ガイド部65は、
図7、
図9、
図10に示すように、走行系50において、第1押さえローラ62に対して前方に配置されており、ガイドローラ651と、ガイドローラ651を回転可能に支持する可動板652と、フレーム61に固定された固定板653と、可動板652を固定板653に対して揺動可能に付勢するねじりコイルばね654とを有している。
【0090】
このガイド部65が備えるガイドローラ651の縁部(少なくとも一部)を、境界部25に挿入し、この状態で、貼付・墨出し装置55を+X軸方向に移動すなわち前進させてガイドローラ651を境界部25に沿って回転させることで、作業者は、優れた技術を有していなくても、この貼付・墨出し装置55が+X軸方向からズレることなく、優れた精度で貼付・墨出し装置55を+X軸方向に沿って直線状に移動させることができる。すなわち、境界部25は、貼付・墨出し装置55が備えるガイド部65を案内するレールとして機能し、ガイド部65は、境界部25に沿って、貼付・墨出し装置55を移動させるためのガイドとして機能することから、貼付・墨出し装置55ひいては走行系50が備える押さえローラ62、72を+X軸方向に沿った前進方向Lsに案内することができる。
【0091】
したがって、このガイド部65を備える貼付・墨出し装置55を用いて、直線状をなす境界部25に対して連続的に耐火シート2を貼付することで、この耐火シート2の境界部25に沿った貼付を優れた精度で、かつ迅速に実施することができる。以下、ガイド部65が備える各部の構成について順次説明する。
【0092】
ガイドローラ651は、全体形状が円盤状をなし、中心部において、回転可能に可動板652に車軸655を介して支持されている。そして、ガイドローラ651は、その幅が、境界部25にガイドローラ651の縁部(少なくとも一部)が挿入可能な程度の大きさに設定されている。なお、ガイドローラ651の幅は、
図8、
図10に示すように、ガイドローラ651の縁部側において漸減しているのが好ましい。これにより、ガイドローラ651の少なくとも一部を、境界部25に確実に挿入させることができる。
【0093】
また、ガイドローラ651が、その縁部側において漸減している場合、ガイドローラ651の縁部は、その少なくとも一部が境界部25に挿入可能な形状をなしていればよく、特に限定されるものではないが、例えば、ガイドローラ651の縁部における、ガイドローラ651の軸方向に沿った断面形状が、曲率半径Rを有する湾曲凸面を形成していてもよいし、鋭角をなす三角形状をなしていてもよいし、さらには、縁部の中央部から縁部の外周に沿ってフランジ状に突出する突出部を有する形状をなしていてもよい。
【0094】
ガイドローラ651を境界部25に挿入させた状態で、作業者が貼付・墨出し装置55を+X軸方向に沿って前進させることで、ガイドローラ651は、回転し、この回転により、境界部25に沿って移動することから、ガイド部65ひいては貼付・墨出し装置55を、境界部25に沿って直線状に案内することができる。すなわち、貼付・墨出し装置55を、+X軸方向に沿った前進方向Lsに移動させることができる。
【0095】
可動板652は、X軸方向(前後方向)に沿って配置され、後方から前方に向かって幅が漸減する平板状をなしている。この可動板652は、前方部(先端部)において、回転可能にガイドローラ651を、車軸655を介して支持しており、さらに、後方部(基端部)において揺動可能に固定板653に固定軸656を介して支持されている。
【0096】
固定板653は、X軸方向に沿って配置された平板531と、Y軸方向に沿って配置された平板532とを有し、平面視において、これらがL字状をなして接合されている。そして、固定板653は、平板532において、前板612に接合されることで、フレーム61に固定され、平板531において、固定軸656を介して、可動板652を揺動可能に支持している。なお、本実施形態では、固定板653が前板612の前面に対して接合されることで、前板612および車輪63の前方側にガイド部65が配置されているが、かかる構成に限定されず、固定板653が前板612の後面に対して接合されることで、ガイド部65は、前板612および車輪63の後方側に配置されていてもよい。
【0097】
ねじりコイルばね654は、コイル状とされたコイル部541と、コイル部541の各端部からそれぞれ延長して設けられた2つの脚部542、543とを有している。
【0098】
コイル部541は、固定軸713が、その内側に挿通されることで、可動板652と固定板653(平板531)との間に配置されている。また、脚部542は、可動板652において、-Y軸方向に突出して設けられた凸部521に、コイル部541のばね力に抗して傾斜した状態で係合している。さらに、脚部543は、固定板653が備える平板531において+Y軸方向に突出して設けられた凸部533と、固定板653が備える平板532との間に、コイル部541のばね力に抗して傾斜した状態で係合している。
【0099】
かかる構成をなしているねじりコイルばね654により、可動板652を固定板653に対して、上下方向Lt(Z軸方向)に揺動可能に、下方向(-Z軸方向)に向かって付勢することができる(
図9参照)。
【0100】
したがって、可動板652の前方において回転可能に支持されたガイドローラ651も、上下方向Lt(Z軸方向)に揺動可能に、下方向(-Z軸方向)に向かって付勢されることとなる。これにより、境界部25に形成された溝の深さ等に左右されることなく、ガイドローラ651の縁部を、境界部25に対して確実に挿入することができる。また、作業者が貼付・墨出し装置55を前進させて境界部25に沿って移動させる際に、例えば、断熱パネル1に凹凸等が存在することで貼付・墨出し装置55にガタツキが生じたとしても、ガイドローラ651が境界部25から脱落するのを的確に抑制または防止することができる。よって、ガイドローラ651により、ガイド部65ひいては貼付・墨出し装置55を、境界部25に沿って確実に直線状に案内することができる。すなわち、貼付・墨出し装置55を、+X軸方向に沿った前進方向Lsに確実に移動させることができる。
【0101】
第2走行部70は、
図11~
図12に示すように、フレーム71と、第2走行部70(フレーム71)の後方に回転可能に支持された1つの第2押さえローラ72とを備えている。
【0102】
フレーム71は、2つの側板711と、2つの連結板712と、1つの固定軸713と、2つのねじりコイルばね714とを有し、これらのうち、2枚の側板711は、平板状をなし、Y軸方向に並べられ、間隙を介して互いに対向して配置されている。また、2つの連結板712は、Z軸方向に延びる長尺物であり、2枚の側板711と同様に、Y軸方向に並べられている。
【0103】
そして、2つの連結板712は、その基端側(下端側)において、それぞれ、固定軸713を介して、2枚の側板711を、その前方側で、揺動可能に支持している。
【0104】
ねじりコイルばね714は、コイル状とされたコイル部141と、コイル部141の各端部からそれぞれ延長して設けられた2つの脚部142、143とを有している。
【0105】
2つのねじりコイルばね714において、コイル部141は、固定軸713が、その内側に挿通されることで、側板711と連結板712との間に配置されている。また、脚部142は、側板711において、連結板712側に突出して設けられた凸部421に、コイル部141のばね力に抗して傾斜した状態で係合している。さらに、脚部143は、連結板712において、側板711側に突出して設けられた凸部121に、コイル部141のばね力に抗して傾斜した状態で係合している。
【0106】
かかる構成をなしている2つのねじりコイルばね714により、各側板711を、これらが連結する各連結板712に対して、上下方向Lt(Z軸方向)に揺動可能に、下方向(-Z軸方向)に向かって付勢することができる(
図11参照)。
【0107】
また、フレーム71には、
図6~
図8、
図11、12に示すように、2枚の側板711の後方側で、その間に、1つの第2押さえローラ72が配置されている。第2押さえローラ72は、円筒状をなし、その幅が耐火シート2の幅よりも大きく設定され、車軸73を介して、回転可能に2つの側板711に支持されている。そして、第2押さえローラ72が回転することにより、貼付・墨出し装置55は、供給系40および描画系80ごと走行することができる。より具体的には、第2押さえローラ72を+X軸方向すなわち前進方向Lsに回転させることにより、供給系40および描画系80ごと貼付・墨出し装置55を+X軸方向に前進させることができる。また、この前進の際に、第1押さえローラ62により境界部25に対して貼付された耐火シート2を、さらに、第2押さえローラ72により境界部25に耐火シート2を押さえ付けることができる。そのため、境界部25に対して耐火シート2を確実に貼付することができる。なお、この前進の際に、境界部25に対する耐火シート2の押さえ付けとともに、描画系80により、防水シート8の長手方向に延伸する一方の端部が配置される断熱パネル1(部材)上の直線状をなす配置位置に沿って、直線28(ライン)が墨出しされる。
【0108】
また、前述の通り、各ねじりコイルばね714は、各側板711を、これらが連結する各連結板712に対して、上下方向Lt(Z軸方向)に揺動可能に、下方向(-Z軸方向)に向かって付勢している。
【0109】
したがって、各ねじりコイルばね714は、各側板711を介して、側板711の後方において回転可能に支持された第2押さえローラ72をも、下方向(-Z軸方向)に向かって付勢することができる。そのため、作業者が貼付・墨出し装置55を前進させて境界部25に沿って移動させる際に、例えば、断熱パネル1に凹凸等が存在することで貼付・墨出し装置55にガタツキが生じたとしても、第2押さえローラ72と境界部25との間に間隙が生じるのを的確に抑制または防止することができる。よって、第2押さえローラ72により、耐火シート2を境界部25に対して確実に押さえ付けることができる。そのため、境界部25に対する耐火シート2の貼付を、確実に実施することができる。
【0110】
また、第2押さえローラ72は、前述の通り、全体形状が円筒状をなし、その中空732に、車軸73が挿通されることで、この車軸73を介して、側板711に支持されている。そして、第2押さえローラ72は、その幅が耐火シート2の幅よりも大きく設定されている。
【0111】
これにより、貼付・墨出し装置55を+X軸方向に前進させる際に、第1押さえローラ62により境界部25に対して貼付された耐火シート2を、さらに、この第2押さえローラ72で境界部25に耐火シート2を確実に押さえ付けることができる。
【0112】
この第2押さえローラ72は、特に限定されないが、例えば、ゴム、熱可塑性エラストマーのような弾性体で構成されることが好ましい。
【0113】
また、車軸73は、
図12に示すように、2つの端部731を有し、これらが独立して、第2押さえローラ72の中空732内に、その一部が中空732から突出するように挿通され、この中空732内から突出する一部が各側板711に回転可能に支持されている。なお、本実施形態では、端部731を挿通することで、空間として残存する中空732の幅は、耐火シート2の幅よりも大きく設定されている。
【0114】
第2押さえローラ72および車軸73をかかる構成をなすものとすることで、貼付・墨出し装置55の移動の時に、例えば、断熱パネル1に凹凸等が存在することで貼付・墨出し装置55にガタツキが生じた際に、ねじりコイルばね714により付勢された2つの側板711を、互いに独立して、上下方向Lt(Z軸方向)に揺動させることができる。そして、側板711の上下方向Ltに対する揺動の際に、第2押さえローラ72を、中空732に残存する空間と端部731との境目に対応する位置で、屈曲させることができる。そのため、中空732に残存する空間に対応する領域に位置する第2押さえローラ72により、境界部25に対して第1押さえローラ62により貼付された耐火シート2を、より確実に境界部25に対して押さえ付けることができる。
【0115】
なお、中空732に残存する空間には、端部731と同一の外径を有する軸体が挿入されていてもよい。このような軸体を前記空間に挿入する構成においても、前記と同様の効果を得ることができる。
【0116】
以上のように、本実施形態では、走行系50は、回転可能に支持された第1押さえローラ62を有する第1走行部60と、この第1走行部60に対して後方に配置され、回転可能に支持された第2押さえローラ72を有する第2走行部70とを備えている。これにより、供給系40から耐火シート2を、前方側から第1押さえローラ62と境界部25との間に供給することで、第1押さえローラ62で境界部25に耐火シート2を押さえ付けた後に、第2押さえローラ72で境界部25に耐火シート2をさらに押さえ付けることで、境界部25に耐火シート2が連続的に貼付される。したがって、境界部25に対して貼付された耐火シート2を、より確実に境界部25に対して押さえ付けることができる。
【0117】
これら第1走行部60と第2走行部70とは、第1走行部60を前方としてX軸方向に並べられ、間隙を介して配置されており、この配置位置で、第1走行部60および第2走行部70が、2つの支持部51により連結されている。
【0118】
また、2つの支持部51は、Z軸方向の斜め後方に延びる長尺物であり、Y軸方向に並べられ、間隙を介して互いに対向して配置されている。そして、支持部51の先端側(前方側)において、第1走行部60が備えるフレーム61の側板611に連結され、支持部51の中央部において、第2走行部70が備えるフレーム71の連結板712における先端側に連結されている。これにより、貼付・墨出し装置55を+X軸方向に前進させる際に、第1走行部60が第2走行部70に対して前方を走行する。したがって、供給系40から第1走行部60が備える第1押さえローラ62に対して耐火シート2を供給することで、まず、第1走行部60が備える第1押さえローラ62により、境界部25に対して耐火シート2が貼付され、その後、第2走行部70が備える第2押さえローラ72により、境界部25に対して耐火シート2が確実に貼付されることとなる。
【0119】
把持部93は、第1ハンドル94と第2ハンドル95とを有している。第1ハンドル94は、長尺状をなし、Y軸方向に沿って配置され、2つの支持部51の基端側(後方側)に支持、固定され、さらに、第2ハンドル95は、長尺状をなし、X軸方向(前進方向Ls)に沿って配置され、その先端側が、第1ハンドル94の中央部に支持、固定されている。耐火シート2の貼付作業および直線28の墨出し作業を行なう作業者は、両手で第1ハンドル94を把持するか、もしくは、片手で第2ハンドル95を把持した状態で、+X軸方向に沿って歩行する。これにより、貼付・墨出し装置55を+X軸方向に前進させることができる。なお、片手で第2ハンドル95を把持した状態で、貼付・墨出し装置55を+X軸方向に前進させることで、本実施形態では、
図8に示すように、第2ハンドル95がX軸方向に沿って、かつ、第2ハンドル95とガイドローラ651とが平面視において同一軸上に配置されていることから、作業者は、より容易かつ正確に、貼付・墨出し装置55を+X軸方向に沿って前進させることができる。
【0120】
描画系80は、本実施形態では、第1描画手段81を有し、この第1描画手段81は、防水シート8の長手方向(X軸方向)に延伸する一方(+Y軸方向側)の端部が配置される断熱パネル1上の直線状をなす配置位置に沿って、直線28を描くためのものである。この第1描画手段81は、
図8、
図13、
図14に示すように、走行系50が備えるガイドローラ651に対して前進方向に直交する方向(+Y軸方向)に離間して配置されており、前記配置位置に直線28を描くマーカペン810と、マーカペン810を固定するペン押さえ813と、マーカペン810を傾斜方向に移行可能に固定する可動板809と、マーカペン810を上下方向に移行可能に固定する可動板806と、マーカペン810を支持する支持板804と、フレーム61に固定された固定板801とを有している。
【0121】
この描画系80が備えるマーカペン810を、走行系50が備えるガイドローラ651に対して、前進方向Lsに直交する方向(+Y軸方向)に、防水シート8の幅の半分(幅/2)程度の大きさで離間させた状態で、断熱パネル1上に接触させる。そして、作業者は、断熱パネル1上にマーカペン810が接触した状態で、貼付・墨出し装置55を+X軸方向に移動すなわち前進させる。
【0122】
このとき、貼付・墨出し装置55では、ガイドローラ651の縁部が、境界部25に挿入されているため、貼付・墨出し装置55の前進により、ガイドローラ651は、境界部25に沿って前進する。ここで、前述の通り、マーカペン810は、ガイドローラ651に対して、前記+Y軸方向に、(防水シート8の幅/2)程度の大きさで離間された位置に固定されている。したがって、貼付・墨出し装置55の前進により、防水シート8の長手方向(X軸方向)に延伸する一方(+Y軸方向側)の端部が配置される断熱パネル1上の直線状をなす配置位置に沿った直線28をマーカペン810により描画することができる。以下、描画系80が備える各部の構成について順次説明する。
【0123】
マーカペン810は、断熱パネル1の表面に接触してマーキングを施す描画部(マーキング部)を構成しており、ペン押さえ813により可動板809に固定されている。
【0124】
よって、作業者の貼付・墨出し装置55を+X軸方向に沿った前進方向Lsへの前進により、断熱パネル1上の直線状をなす前記配置位置に沿って、マーカペン810は直線28を描画する。
【0125】
また、マーカペン810の固定位置は、前進方向Lsに直交する方向(+Y軸方向)に、(防水シート8の幅/2)程度の大きさの離間距離で離間させた位置に設定されている。そのため、マーカペン810で描画される直線28を、直線状をなす境界部25に対して、離間距離が(防水シート8の幅/2)程度の大きさとなっている、平行な直線とすることができる。このような直線28に対して、防水シート8の長手方向に延伸する一方(+Y軸方向側)の端部が一致するように、断熱パネル1の表面に防水シート8を貼付することで、耐火シート2が貼付された境界部25を、防水シート8により優れた精度で被覆することができる。よって、直線状をなす境界部25に対して、離間距離が(防水シート8の幅/2)程度の大きさとなっている直線28は、防水シート8の長手方向(X軸方向)に延伸する一方(+Y軸方向側)の端部が配置される断熱パネル1上の直線状をなす配置位置として好ましく用いられる。
【0126】
なお、本実施形態では、断熱パネル1の表面に接触してマーキングを施す描画部がマーカペン810で構成されるが、この場合に限らず、描画部は、マーカペン810に代えて、鉛筆や、チョーク、インクジェットマーカおよびレーザーマーカ等であっても良い。すなわち、マーカペン810に代えて、鉛筆や、チョーク、インクジェットマーカおよびレーザーマーカ等がペン押さえ813により可動板809に固定されていてもよい。
【0127】
ペン押さえ813は、溝部を備える平板である。このペン押さえ813の溝部にマーカペン810を配置した状態での、ボルト812の回転による、ペン押さえ813の可動板809への接近により、ペン押さえ813と可動板809とでマーカペン810が固定される。
【0128】
可動板809は、Z軸方向(上下方向)に傾斜する方向に沿って長尺をなす平板である。この可動板809は、その上端側において、シャフト807を介して、可動板806に対して、ボルト(図示せず)の締め付けにより固定されている。
【0129】
また、可動板809は、ボルトの締め付けを解除することにより、シャフト807を中心とする揺動方向Lvに移動可能となる。そのため、ボルトの締め付けを解除した状態で、可動板809を移動させた後に、ボルトを締め付けて可動板809を固定することで、Z軸方向に対して所望の角度で傾斜させた状態で、マーカペン810を固定することができる。
【0130】
可動板806は、Z軸方向(上下方向)に沿って長尺をなす平板である。この可動板806は、Z軸方向に延びるスライドレール805とスライドプレート808とを介して、支持板804に対して、ボルト(図示せず)の締め付けにより固定されている。
【0131】
また、可動板806は、ボルトの締め付けを解除することにより、スライドレール805とスライドプレート808とに沿った上下方向Lwに移動可能となる。そのため、ボルトの締め付けを解除した状態で、可動板806を移動させた後に、ボルトを締め付けて可動板806を固定することで、Z軸方向に対する所望の位置に配置させた状態で、マーカペン810を固定することができる。
【0132】
支持板804は、Z軸方向(上下方向)およびX軸方向(前方方向)の2方向に延びるL字状をなす平板である。この支持板804は、その前方側において、可動板806、809を介して、マーカペン810を支持し、また、その後方側において、固定板801を介して、フレーム61に固定されている。これにより、マーカペン810を、フレーム61に対して、傾斜方向に移行可能、かつ上下方向に移動可能に固定することができる。そのため、貼付・墨出し装置55の前進の際に、マーカペン810のペン先を、断熱パネル1の表面に接触させる、所定の位置に確実に固定することができる。
【0133】
固定板801は、X軸方向に沿って配置された平板803と、Y軸方向に沿って配置された平板802とを有し、平面視において、これらがL字状をなして接合されている。そして、固定板801は、平板802において、前板612に接合されることで、フレーム61に固定され、平板803において、支持板804を固定している。
【0134】
なお、以上のような構成をなす第1描画手段81において、ペン押さえ813と、可動板809と、可動板806と、支持板804と、固定板801とによりマーカペン810をフレーム61に固定する固定部が構成される。
【0135】
また、第1描画手段81は、本実施形態では、走行系50が備えるガイドローラ651に対して前進方向に直交する方向として、+Y軸方向側に離間して配置される場合について説明したが、これに限定されず、第1描画手段81は、-Y軸方向側に離間して配置されていてもよい。この場合、第1描画手段81により墨出しされた直線28に対して、防水シート8の長手方向(X軸方向)に延伸する他方(-Y軸方向側)の端部が対応するように防水シート8を配置することで、境界部25を覆うように防水シート8を断熱パネル1に対して貼付することができる。
【0136】
さらに、描画系80は、上記のような第1描画手段81を1つ備える場合に限らず、+Y軸方向側に離間して配置された第1描画手段81と、-Y軸方向側に離間して配置された第1描画手段81とを、それぞれ1つ、すなわち、合計2つの第1描画手段81を備える構成をなすものであってもよい。
【0137】
供給系40は、耐火シート2を第1走行部60が備える第1押さえローラ62に供給するためのものであり、
図6~
図8に示すように、ロール状に巻回された耐火シート2を回転可能に保持するリール41と、このリール41を着脱可能に装着できる、支持部51に設けられたリール受部42とを有している。
【0138】
リール41は、その全体形状が円柱状をなす軸体411と、軸体の両端側にそれぞれ配置されたガイド板412とで構成され、ロール状をなす耐火シート2に形成された孔部に軸体411を挿通した状態で、2つのガイド板412で耐火シート2を挟持することで、耐火シート2を回転可能に保持する。
【0139】
リール受部42は、2つの支持部51の中央部における、フレーム61とフレーム71とが連結されている位置の間において、上方に開放する切欠き422を備える平板として設けられている。これにより、リール41がリール受部42に着脱自在に装着できる。したがって、リール41に耐火シート2が保持された状態で、リール41をリール受部42に装着することで、供給系40から、第1走行部60が備える第1押さえローラ62に対して、耐火シート2を連続して送り出すことが可能となる。
【0140】
かかる構成をなす貼付・墨出し装置55において、リール41から耐火シート2を送り出し、その端部を、第1押さえローラ62と境界部25との間に配置された状態とし、その後、作業者が把持部93を把持して、貼付・墨出し装置55を+X軸方向に沿って前進方向Lsに走行させることで、まず、第1走行部60が備える第1押さえローラ62により、境界部25に対して耐火シート2が貼付され、その後、第2走行部70が備える第2押さえローラ72により、境界部25に対して耐火シート2が確実に貼付される。そして、作業者が継続して貼付・墨出し装置55を前進させることで、リール41からの耐火シート2の送り出しと、押さえローラ62、72による境界部25に対する耐火シート2の貼付とを、連続的に行うことができる。
【0141】
(貼付・墨出し装置を用いた貼付・墨出し方法)
次に、本実施形態の貼付・墨出し装置55を用いた、境界部25に対する耐火シート2の貼付と、境界部25に対して、平行をなしている直線28の墨出しとが、ほぼ同時に実施される貼付・墨出し方法について説明する。
【0142】
[1]まず、貼付・墨出し装置55を、隣り合う断熱パネル1同士を突き合わすことで形成された境界部25の一端(基端)に対応する位置に載置し、この際に、ガイド部65が備えるガイドローラ651を、境界部25に対して挿入する。
【0143】
そして、供給系40において巻回された耐火シート2の先端部を引き出し、その後、この耐火シート2の先端部を、第1押さえローラ62の前方側から、第1押さえローラ62と境界部25との間で挟持する。なお、第1押さえローラ62と境界部25とによる耐火シート2の挟持により、耐火シート2の先端部は、境界部25に対して貼付される。
【0144】
また、描画系80(第1描画手段81)において、ボルトの締め付けを解除することで、可動板806と可動板809との双方を移動が可能な状態とし、この状態で、マーカペン810のペン先を、断熱パネル1の表面に接触させる。その後、マーカペン810のペン先の断熱パネル1の表面に対する接触を維持したまま、ボルトの締め付けることで、可動板806と可動板809との双方を、支持板804に対して固定する。また、この際に、マーカペン810のペン先は、ガイドローラ651に対して、+Y軸方向に、(防水シート8の幅)/2程度の離間距離の大きさで固定される。
【0145】
[2]次いで、作業者は、把持部93を把持した状態で、X軸方向に沿って貼付・墨出し装置55を前進させる。
【0146】
この貼付・墨出し装置55の前進により、まず、走行系50において、第1走行部60が備える第1押さえローラ62により、境界部25に耐火シート2を押さえ付けることで、境界部25に対して耐火シート2を貼付することができる。その後、第1走行部60の後方に位置する第2走行部70が備える第2押さえローラ72により、境界部25に貼付された耐火シート2をさらに押さえ付けることができるため、境界部25に対して耐火シート2を確実に貼付することができる。
【0147】
さらに、貼付・墨出し装置55の前進により、描画系80(第1描画手段81)において、第1描画手段81が備えるマーカペン810により、断熱パネル1の表面に対してマーキングを施すことができる。なお、前述の通り、マーカペン810のペン先は、ガイドローラ651に対して、+Y軸方向に、(防水シート8の幅)/2程度の離間距離の大きさで固定される。したがって、マーカペン810により、断熱パネル1の表面に対してマーキングが施される位置も、ガイドローラ651に対して、前記離間距離の大きさとなっている位置と一致する。
【0148】
また、貼付・墨出し装置55の前進の際に、本発明では、境界部25に挿通されたガイドローラ651が、この境界部25に沿って回転する。すなわち、ガイドローラ651は、境界部25に沿った走行ラインを走行する。そのため、ガイドローラ651を備えるガイド部65は、貼付・墨出し装置55を境界部25に沿って案内することができる。
【0149】
したがって、供給系40から供給される耐火シート2を、走行部60、70がそれぞれ備える押さえローラ62、72による押さえ付けにより、境界部25に対して位置ズレが生じることなく優れた精度で貼付することができる。
【0150】
また、貼付・墨出し装置55の前進により、ガイドローラ651に対して、+Y軸方向に前記離間距離の大きさを維持して、第1描画手段81が備えるマーカペン810が境界部25に沿った走行ラインと平行をなしている描画ラインを走行することから、境界部25に対して平行となっている直線28を、前記離間距離の大きさで離間して描画することができる。
【0151】
[3]次いで、作業者は、貼付・墨出し装置55のX軸方向に沿った前進を、直線状に延びる境界部25の他端に到着するまで継続する。すなわち、貼付・墨出し装置55の前進を、境界部25の他端(先端)に貼付・墨出し装置55が到った時点で停止する。
【0152】
これにより、供給系40から供給される耐火シート2を、走行部60、70がそれぞれ備える押さえローラ62、72により、順次押さえ付けることができるため、X軸方向に沿って直線状に延びる境界部25に対して、耐火シート2を連続的に貼付することができる。
【0153】
このとき、ガイドローラ651は、境界部25に挿入されているため、この境界部25に沿って回転することで走行する。そのため、ガイドローラ651を備えるガイド部65、ひいては貼付・墨出し装置55を、境界部25が延在するX軸方向に沿って、優れた精度で移動させることができる。
【0154】
したがって、供給系40から供給された、帯状をなす耐火シート2を、X軸方向に沿って直線状に長尺に延びる境界部25に対して、位置ズレが生じることなく優れた精度で、かつ迅速に、貼付することができる。
【0155】
また、描画系80(第1描画手段81)により描画された直線28を、X軸方向に沿って直線状に長尺に延びる境界部25に対して、平行なものとして、優れた精度で、かつ迅速に、墨出しすることができる。
【0156】
以上のように、直線状をなす境界部25に沿った前進方向Lsに、貼付・墨出し装置55を作業者が走行させると言う、単純な作業で、直線状をなす境界部25に対して、平行をなしている直線28を墨出しすることができる。すなわち、作業者の作業効率の改善を図り、かつ低コストで、直線状をなす境界部25に対して、平行をなしている直線28を墨出しすることができる。
【0157】
なお、前記工程[1]~[3]のうち、前記工程[2]、[3]により、貼付・墨出し装置55を用いて耐火シート2を境界部25に貼付する貼付工程と、貼付・墨出し装置55を用いて、直線28を、境界部25に対して平行をなして描画する墨出し工程とが構成される。すなわち、前記工程[2]、[3]により、境界部25に対する耐火シート2の貼付と、境界部25に対して、平行をなしている直線28の墨出しとが、ほぼ同時に実施される。なお、描画系80による、前記工程[2]、[3]における、直線28の墨出しにより、本発明の墨出し方法が構成される。
【0158】
そして、前記工程[1]~[3]の後に、断熱パネル1の表面に描画された直線28に対して、防水シート8の長手方向(X軸方向)に延伸する一方(+Y軸方向側)の端部が一致するようにして、断熱パネル1に防水シート8を貼付する。この防水シート8の貼付の際に、直線28の断熱パネル1の表面に対する描画位置が、境界部25に対して、+Y軸方向に、(防水シート8の幅)/2程度の大きさとなっている離間距離の位置に設定されている。そのため、前記断熱パネル1に対する防水シート8の貼付により、耐火シート2を介した境界部25に対する防水シート8の貼付を、優れた精度で実施することができる。したがって、直線状をなす境界部25に対して、離間距離が(防水シート8の幅/2)程度の大きさとなっている直線28は、防水シート8の長手方向(X軸方向)に延伸する一方(+Y軸方向側)の端部が配置される断熱パネル1上の直線状をなす配置位置として好ましく用いられる。
【0159】
なお、本実施形態では、貼付・墨出し装置55を、前記耐火シート2を貼付するシート貼付装置と、直線28を墨出しする墨出し装置との双方の機能を併せ持つように構成されたものとしたが、これに限定されず、貼付・墨出し装置55を、供給系40を有しないものとして、供給系40からの耐火シート2の走行系50に対する供給を省略すること、すなわち、境界部25に対する耐火シート2の貼付を省略することで、貼付・墨出し装置55を、直線28の墨出しを単独で行う墨出し装置として用いることができる。
【0160】
<第2実施形態>
図15は、貼付・墨出し装置の第2実施形態を示す斜視図、
図16は、
図15に示す貼付・墨出し装置が備える描画系を拡大して示す部分拡大側面図、
図17は、
図15に示す貼付・墨出し装置が備える描画系を拡大して示す部分拡大平面図である。
【0161】
なお、以下では、説明の都合上、
図15~
図17中の上側を「上(または上方)」、下側を「下(または下方)」と言う。また、
図15中の斜め左下側、
図16~
図17中の左側を「前(または前方)」と言う。また、
図15中の斜め右上側、
図16~17中の右側中の上側を「後(または後方)」と言う。また、
図15~
図17に示すように、互いに直交する3軸をX軸、Y軸およびZ軸とする。また、X軸とY軸を含むXY平面が水平となっており、Z軸が鉛直となっている。
【0162】
以下、この図を参照して本発明の墨出し装置が適用された貼付・墨出し装置および貼付・墨出し方法の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0163】
本実施形態は、描画系80の構成が異なること以外は、前記第1実施形態と同様である。
【0164】
図15~
図17に示すように、本実施形態では、描画系80は、第1描画手段81の他に、さらに第2描画手段82を有していること以外は、同じ構成であるため、以下、第2描画手段82について代表的に説明する。
【0165】
この第2描画手段82は、第1描画手段81と同様に、走行系50が備えるガイドローラ651に対して前進方向に直交する方向(+Y軸方向)に離間して配置されており、マーカペン810と、ペン押さえ813と、可動板809と、可動板806と支持板804と、固定板801とを有している。
【0166】
そして、第1描画手段81では、前記前進方向に直交する方向(+Y軸方向)に離間する離間距離が、(防水シート8の幅/2)程度の大きさに設定されているのに対して、第2描画手段82では、前記前進方向に直交する方向(+Y軸方向)に離間する離間距離が、(耐火シート2の幅/2)程度の大きさに設定されている。
【0167】
そのため、第2描画手段82が備えるマーカペン810で描画される直線29を、直線状をなす境界部25に対して、離間距離が(耐火シート2の幅/2)程度の大きさとなっている、平行な直線とすることができる。このような直線29に対して、耐火シート2の長手方向に延伸する一方(+Y軸方向側)の端部が一致するように、断熱パネル1の表面に耐火シート2を貼付することで、境界部25を耐火シート2により優れた精度で被覆することができる。よって、直線状をなす境界部25に対して、離間距離が(耐火シート2の幅/2)程度の大きさとなっている直線29は、耐火シート2の長手方向(X軸方向)に延伸する一方(+Y軸方向側)の端部が配置される断熱パネル1上の直線状をなす配置位置として好ましく用いられる。
【0168】
(貼付・墨出し装置を用いた貼付・墨出し方法)
この第2実施形態の貼付・墨出し装置55を用いた貼付・墨出し方法においては、前記工程[1]~[3]を、2回繰り返して行い、1回目の前記工程[1]~[3]では、供給系40からの耐火シート2の走行系50に対する供給を省略し、2回目の前記工程[1]~[3]では、描画系80による直線28、29の墨出しを省略するように構成されている。
【0169】
これにより、まず、1回目の前記工程[1]~[3]において、描画系80による直線28、29の墨出しが行われ、次いで、2回目の前記工程[1]~[3]において、供給系40と走行系50とによる境界部25に対する耐火シート2の貼付が行われることとなる。このように、第2実施形態の貼付・墨出し装置55では、2度の前記工程[1]~[3]を経て、境界部25に対して耐火シート2が貼付されるため、境界部25に対してより優れた位置精度で耐火シート2を貼付することができる。
【0170】
なお、本実施形態では、貼付・墨出し装置55を、前記耐火シート2を貼付するシート貼付装置と、直線28を墨出しする墨出し装置との双方の機能を併せ持つように構成されたものとしたが、これに限定されず、貼付・墨出し装置55を、供給系40を有しないものとして、供給系40からの耐火シート2の走行系50に対する供給を省略すること、すなわち、境界部25に対する耐火シート2の貼付を省略することで、貼付・墨出し装置55を、直線28および直線29の墨出しを単独で行う墨出し装置として用いることができる。
【0171】
以上、墨出し装置および墨出し方法を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。また、貼付・墨出し装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0172】
例えば、前記実施形態では、防水構造10において、複数枚の断熱パネル1を格子状に敷設することで形成された、直線状をなす境界部25(25A、25B)に対する、帯状をなす耐火シート2および防水シート8の貼付に、貼付・墨出し装置55を用いる場合について説明したが、このような場合に限定されず、貼付・墨出し装置55は、例えば、以下に示すようなシート防水構造に対する耐火シート2および防水シート8(シート)の貼付にも用いることができる。
【0173】
すなわち、建築物が備える屋上、ベランダおよび廊下等の躯体に、防水シートを敷設するシート防水構造において、躯体と防水シートとの間に、四角形状をなす断熱材や消音ボードのような板材が格子状に敷設される。そして、隣り合う板材同士の間に直線状をなす境界部が形成され、この境界部を覆うように耐火シート2や防水シート8が貼付されることとなるが、この境界部に対して耐火シート2や防水シート8を貼付する際にも、貼付・墨出し装置55を用いることができる。
【0174】
また、前記実施形態では、貼付・墨出し装置55が備える走行系50は、第1押さえローラ62と、第2押さえローラ72との双方を備える場合について説明したが、これに限定されず、第1押さえローラ62と第2押さえローラ72との何れか一方は、省略されていてもよい。ただし、第1押さえローラ62と第2押さえローラ72との双方を備える構成とすることで、境界部25に貼付された耐火シート2を、より確実に境界部25に対して押さえ付けることができる。
【0175】
さらに、墨出し方法が適用される防水構造の施工場所としては、前記実施形態では、家屋が備える屋根であったが、これに限定されず、家屋が備える屋上やベランダの床等であってもよい。
【符号の説明】
【0176】
100 屋根
10 防水構造
1 断熱パネル
11 縁部(第1縁部)
12 縁部(第2縁部)
13 縁部(第3縁部)
14 縁部(第4縁部)
2 耐火シート
2A 第1耐火シート
2B 第2耐火シート
2C 第2耐火シート
3 樹脂層
4a 金属層
4b 金属層
5a 樹脂層
5b 樹脂層
6 凸部
7 凹部
8A 第1防水シート
8B 第2防水シート
9 固定ビス
91 母屋
15 貫通孔
20 間隙
30 断熱パネル敷設部
t2A、t2B 厚さ
W2A、W2B 幅
W2C 直径
α 傾斜方向
θ1 傾斜角度
25 境界部
25A 境界部
25B 境界部
28 直線
29 直線
40 供給系
41 リール
42 リール受部
50 走行系
51 支持部
55 貼付・墨出し装置
60 第1走行部
61 フレーム
62 第1押さえローラ
63 車輪
65 ガイド部
70 第2走行部
71 フレーム
72 第2押さえローラ
73 車軸
80 描画系
81 第1描画手段
82 第2描画手段
93 把持部
94 第1ハンドル
95 第2ハンドル
121 凸部
141 コイル部
142 脚部
143 脚部
411 軸体
412 ガイド板
421 凸部
422 切欠き
521 凸部
531 平板
532 平板
533 凸部
541 コイル部
542 脚部
543 脚部
611 側板
612 前板
631 車軸
651 ガイドローラ
652 可動板
653 固定板
654 ねじりコイルばね
655 車軸
656 固定軸
711 側板
712 連結板
713 固定軸
714 ねじりコイルばね
731 端部
732 中空
801 固定板
802 平板
803 平板
804 支持板
805 スライドレール
806 可動板
807 シャフト
808 スライドプレート
809 可動板
810 マーカペン
812 ボルト
813 ペン押さえ
Ls 前進方向
Lt 上下方向
Lv 揺動方向
Lw 上下方向