(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】アレイ基板、表示パネル及び表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20240611BHJP
H10K 59/12 20230101ALI20240611BHJP
【FI】
G09F9/30 330
G09F9/30 308Z
G09F9/30 348A
G09F9/30 349Z
H10K59/12
(21)【出願番号】P 2020564599
(86)(22)【出願日】2019-08-08
(86)【国際出願番号】 CN2019099787
(87)【国際公開番号】W WO2020063128
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-08-03
(31)【優先権主張番号】201811130854.6
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】519385216
【氏名又は名称】北京京▲東▼方技▲術▼▲開▼▲発▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING BOE TECHNOLOGY DEVELOPMENT CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 407,Building 1,No.9 Dize Road,BDA,Beijing,100176,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】程 鴻飛
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0262109(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0237025(US,A1)
【文献】特開2011-209405(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0306941(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0218305(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0288007(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/1333
1/136-1/1368
G09F9/30-9/46
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板本体を含むアレイ基板であって、
前記基板本体は、表示領域及び前記表示領域を回す非表示領域を含み、前記非表示領域は、前記表示領域内の信号線と接続するファンアウト信号線が設けられたファンアウト領域を含み、
ここで、前記ファンアウト領域は、前記基板本体上に設けられた無機絶縁層を含み、前記無機絶縁層に第1凹溝が開いており、且つ前記ファンアウト信号線の少なくとも一部の、前記基板本体での正投影は、前記第1凹溝の、前記基板本体での正投影内に位置し、
前記表示領域内の信号線はデータ線を含み、前記ファンアウト信号線はデータ線のリード線を含み、前記データ線は前記データ線のリード線に電気的に接続されており、
前記第1凹溝の底部は、前記第1凹溝の開口に対向しており、前記基板本体の一部の表面は、前記第1凹溝の底部を構成し、前記第1凹溝内に有機高分子材料層が充填されており、前記有機高分子材料層は、前記第1凹溝の底部に直接接触しており、前記ファンアウト信号線は、前記有機高分子材料層の、前記基板本体から遠い側に設けられて、前記有機高分子材料層に直接接触しており、前記第1凹溝の底部は、前記第1凹溝の開口に対向しており、前記基板本体の一部の表面は、前記第1凹溝の底部を構成し、前記有機高分子材料層は、前記基板本体の一部の表面に直接接触しており、
前記有機高分子材料層は、フレキシブル有機高分子材料層であり、または、
前記基板本体は、フレキシブル基板本体であり、且つ前記有機高分子材料層は、フレキシブル有機高分子材料層であ
り、
前記アレイ基板は、
前記ファンアウト信号線の、前記基板本体から遠い側に設けられている平坦層と、
前記平坦層と前記無機絶縁層との間にあるパッシベーション層と、を更に含む
アレイ基板。
【請求項2】
前記無機絶縁層は、少なくとも2層構造を含み、前記第1凹溝は、前記基板本体と平行な開口寸法が、前記基板本体に垂直で且つ前記基板本体から離れる方向に沿って徐々に大きくなり、前記第1凹溝の側壁の表面は、階段面又は平面である
請求項1に記載のアレイ基板。
【請求項3】
前記無機絶縁層は、互いに直接接触している第1サブ無機絶縁層及び第2サブ無機絶縁層を含む
請求項
2に記載のアレイ基板。
【請求項4】
前記無機絶縁層は、順次に前記基板本体上に設けられたバッファ層、ゲート絶縁層及び層間絶縁層を含み、前記ゲート絶縁層での前記第1凹溝の開口寸法は、前記バッファ層での前記第1凹溝の開口寸法よりも大きく、且つ前記層間絶縁層での前記第1凹溝の開口寸法は、前記ゲート絶縁層での前記第1凹溝の開口寸法よりも大きく、
ここで、前記第1凹溝における前記ゲート絶縁層及び前記層間絶縁層を貫いた部分の側壁は第1平面であり、前記第1凹溝における前記バッファ層を貫いた部分の側壁は第2平面であり、且つ前記第1平面と前記第2平面とは、異なる平面に位置し、または、
前記第1凹溝における前記層間絶縁層を貫いた部分の側壁は第3平面であり、前記第1凹溝における前記ゲート絶縁層及び前記バッファ層を貫いた部分の側壁は第4平面であり、且つ前記第3平面と前記第4平面とは、異なる平面に位置する
請求項
2に記載のアレイ基板。
【請求項5】
前記有機高分子材料層は、前記第1凹溝の外部に位置し且つ前記無機絶縁層と貼り合せられて繋がった部分を更に含む
請求項1に記載のアレイ基板。
【請求項6】
前記ファンアウト信号線は、画素ユニットのデータ線とは、同じ層で同じ材料になるように設けられた第1線路部分と、前記画素ユニットのゲット線とは、同じ層で同じ材料になるように設けられた第2線路部分とを含み、
ここで、前記第1線路部分は、前記第1凹溝内に設けられている
請求項1に記載のアレイ基板。
【請求項7】
前記表示領域には、複数の画素ユニットが設けられており、前記非表示領域には、駆動回路が更に設けられており、前記駆動回路は、前記ファンアウト信号線及び前記表示領域内の信号線を介して、前記複数の画素ユニットに接続されている
請求項1に記載のアレイ基板。
【請求項8】
請求項1~
7の何れか一項に記載のアレイ基板を含む
表示パネル。
【請求項9】
請求項
8に記載の表示パネルを含む
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年9月27日に中国で出願された中国特許出願第201811130854.6号の優先権を主張し、その内容の全ては、参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本開示は、表示技術の分野に関し、特に、アレイ基板、表示パネル及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0003】
有機エレクトロルミネッセンス表示デバイスとも呼ばれるOLED(Organic Light Emitting Diodes)表示デバイスは、自己発光、薄型軽量及び省電力の特性を備えているため、現在、表示機器で広く使用されている。また、今のOLED表示スクリーンは、湾曲可能なフレキシブルスクリーンとして作ることができ、作られた表示製品がより多様化され、市場への幅広い応用が見込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の技術案は、アレイ基板、表示パネル及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
基板本体を含むアレイ基板であって、
前記基板本体は、表示領域及び非表示領域を含み、前記非表示領域は、前記表示領域内の信号線と接続するファンアウト信号線が設けられたファンアウト領域を含み、
ここで、
前記ファンアウト領域は、前記基板本体と平坦層との間に設けられた無機絶縁層を含み、前記無機絶縁層に第1凹溝が開いており、且つ前記ファンアウト信号線の少なくとも一部の、前記基板本体での正投影は、前記第1凹溝の、前記基板本体での正投影内に位置する
アレイ基板を本開示は提供する。
【0006】
選択的に、上記のアレイ基板において、前記平坦層は、前記ファンアウト信号線上に堆積し、前記ファンアウト信号線と繋がっている。
【0007】
選択的に、上記のアレイ基板において、前記第1凹溝の底部は、前記第1凹溝の開口に対向しており、前記基板本体の一部の表面は、前記第1凹溝の底部を構成し、且つ前記ファンアウト信号線における、前記第1凹溝の底部に設けられた部分は、前記基板本体に直接接触している。
【0008】
選択的に、前記第1凹溝の底部は、前記第1凹溝の開口に対向しており、前記基板本体の一部の表面は、前記第1凹溝の底部を構成し、前記第1凹溝内に有機高分子材料層が充填されており、前記有機高分子材料層は、前記第1凹溝の底部に直接接触しており、前記ファンアウト信号線は、前記有機高分子材料層の、前記基板本体から遠い側に設けられて、前記有機高分子材料層に直接接触しており、且つ前記平坦層は、前記ファンアウト信号線の、前記基板本体から遠い側に設けられている。
【0009】
選択的に、前記第1凹溝の底部は、前記第1凹溝の開口に対向しており、前記基板本体の一部の表面は、前記第1凹溝の底部を構成し、前記有機高分子材料層は、前記基板本体の一部の表面に直接接触している。
【0010】
選択的に、上記のアレイ基板において、前記無機絶縁層は、順次に前記基板本体上に設けられたバッファ層、ゲート絶縁層及び層間絶縁層を含み、前記第1凹溝の深さは、前記バッファ層、前記ゲート絶縁層及び前記層間絶縁層の厚さの合計以下であり、且つ前記ファンアウト信号線は、前記層間絶縁層上に設けられ、その一部が前記第1凹溝内に設けられている。
【0011】
選択的に、上記のアレイ基板において、前記第1凹溝は、前記基板本体の一部の表面が露出されるように、前記バッファ層、前記ゲート絶縁層及び前記層間絶縁層を貫いており、前記ファンアウト信号線は、前記基板本体の前記一部の表面に直接接触している。
【0012】
選択的に、上記のアレイ基板において、前記無機絶縁層は、少なくとも2層構造を含み、前記第1凹溝は、前記基板本体と平行な開口寸法が、前記基板本体に垂直で且つ前記基板本体から離れる方向に沿って徐々に大きくなる。
【0013】
選択的に、上記のアレイ基板において、前記第1凹溝の側壁の表面は、階段面又は平面である。
【0014】
選択的に、上記のアレイ基板において、前記無機絶縁層は、互いに直接接触している第1サブ無機絶縁層及び第2サブ無機絶縁層を含む。
【0015】
選択的に、上記のアレイ基板において、前記無機絶縁層は、順次に前記基板本体上に設けられたバッファ層、ゲート絶縁層及び層間絶縁層を含み、前記ゲート絶縁層での前記第1凹溝の開口寸法は、前記バッファ層での前記第1凹溝の開口寸法よりも大きく、且つ前記層間絶縁層での前記第1凹溝の開口寸法は、前記ゲート絶縁層での前記第1凹溝の開口寸法よりも大きい。
【0016】
選択的に、上記のアレイ基板において、前記第1凹溝における前記ゲート絶縁層及び前記層間絶縁層を貫いた部分の側壁は第1平面であり、前記第1凹溝における前記バッファ層を貫いた部分の側壁は第2平面であり、且つ前記第1平面と前記第2平面とは、異なる平面に位置する。
【0017】
選択的に、上記のアレイ基板において、前記第1凹溝における前記層間絶縁層を貫いた部分の側壁は第3平面であり、前記第1凹溝における前記ゲート絶縁層及び前記バッファ層を貫いた部分の側壁は第4平面であり、且つ前記第3平面と前記第4平面とは、異なる平面に位置する。
【0018】
選択的に、上記のアレイ基板において、前記有機高分子材料層は、前記第1凹溝の外部に位置し且つ前記無機絶縁層と貼り合せられて繋がった部分を更に含む。
【0019】
選択的に、上記のアレイ基板において、前記ファンアウト信号線は、画素ユニットのデータ線とは、同じ層で同じ材料になるように設けられた第1線路部分と、前記画素ユニットのゲット線とは、同じ層で同じ材料になるように設けられた第2線路部分とを含み、
ここで、前記第1線路部分は、前記第1凹溝内に設けられている。
【0020】
選択的に、上記のアレイ基板において、前記基板本体は、フレキシブル基板本体である。
【0021】
選択的に、上記のアレイ基板において、前記有機高分子材料層は、フレキシブル有機高分子材料層である。
【0022】
選択的に、上記のアレイ基板において、前記表示領域には、複数の画素ユニットが設けられており、前記非表示領域又は前記表示領域には、駆動回路が更に設けられており、前記駆動回路は、前記ファンアウト信号線及び前記表示領域内の信号線を介して、前記複数の画素ユニットに接続されている。
【0023】
本開示の実施例は、上記の何れか一項に記載のアレイ基板を含む表示パネルを更に提供する。
【0024】
本開示の実施例は、上記に記載の表示パネルを含む表示装置を更に提供する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本開示の実施例に係るアレイ基板の平面模式図である。
【
図2】本開示の実施例に係るアレイ基板の形成した1つの折り曲げ状態の構造模式図である。
【
図3】OLEDディスプレイにおける、アレイ基板上の画素ユニットの駆動回路の回路構造模式図である。
【
図4】前記アレイ基板上の画素ユニットの平面構造模式図である。
【
図6】本開示の実施例に係るアレイ基板のいくつかの実施構造における、前記ファンアウト領域のA-A’箇所での断面模式図である。
【
図7】本開示の実施例に係るアレイ基板のいくつかの実施構造における、前記ファンアウト領域のA-A’箇所での別の断面模式図である。
【
図8】本開示の実施例に係るアレイ基板のいくつかの実施構造における、前記ファンアウト領域のA-A’箇所でのさらなる別の断面模式図である。
【
図9】本開示の実施例に係るアレイ基板のいくつかの実施構造における、前記ファンアウト領域のA-A’箇所でのさらなる別の断面模式図である。
【
図10】本開示の実施例に係るアレイ基板のいくつかの実施構造における、前記ファンアウト領域のA-A’箇所でのさらなる別の断面模式図である。
【
図11】本開示の実施例に係るアレイ基板のいくつかの実施構造における、前記ファンアウト領域のA-A’箇所でのさらなる別の断面模式図である。
【
図12】本開示の実施例に係るアレイ基板のいくつかの実施構造における、前記ファンアウト領域のA-A’箇所でのさらなる別の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示の解決しようとする課題、技術案及びメリットをより明確にするためには、以下、図面及び具体的な実施例に基づいて詳しく説明する。
【0027】
フレキシブルOLEDディスプレイの構造を簡素化するために、現在、表示領域として作られたフレキシブル基板には、駆動チップICが更に直接製作され、且つ、フレキシブル基板における駆動回路が設けられる部分は、表示領域が設けられる部分に比べて折り曲げられており、通常として、表示領域が設けられる部分の背面に折り曲げられ、この設定構造に基づけば、駆動回路と表示領域とを接続する信号線は、フレキシブル基板の折り曲げ領域に設けられる。
【0028】
関連技術においては、折り曲げ領域に複数の無機層が製作されているため、駆動回路と表示領域との間の信号線接続の破断するリスクが高く、それにより、フレキシブルOLEDディスプレイの使用性能に影響を与えてしまう。
【0029】
アレイ基板上の駆動回路と表示領域との間の信号線が破断し易いという問題を解决するために、本開示の実施例に係るアレイ基板は、ファンアウト領域の無機絶縁層に凹溝を設けることで、ファンアウト領域における無機絶縁層の厚さを減らし、柔軟性が良好な平坦層の厚さを増やすことにより、ファンアウト領域の折り曲げに起因して信号線が破断し易いという問題を解決している。
【0030】
本開示の実施例において、前記アレイ基板は、フレキシブルな基板本体を含み、
前記基板本体は、複数の画素ユニットが設けられた画素領域と、前記画素領域の信号線と接続するファンアウト信号線が設けられたファンアウト領域とを含み、
ここで、前記ファンアウト領域は、前記基板本体と平坦層との間に設けられた無機絶縁層を含み、前記無機絶縁層に凹溝が開いており、前記ファンアウト信号線の少なくとも一部は、前記凹溝内に設けられている。
【0031】
図1は、本開示の実施例に係るアレイ基板の平面模式図を示す。このアレイ基板のフレキシブルな基板本体100は、表示領域に対応する画素領域110を含み、且つ基板本体100に駆動回路120が更に製作されており、駆動回路120は、ファンアウト信号線を介して画素領域110の信号線と接続されるため、ファンアウト信号線の基板本体100上での配置領域、即ち画素領域110と駆動回路120との間の領域は、ファンアウト領域140として形成されている。
図1に示すように、表示領域に複数の画素ユニット11が設けられており、駆動回路120は、ファンアウト信号線300と、表示領域内のゲット線13及びデータ線12とを介して、複数の画素ユニット11に接続されている。当業者であれば、
図1に示す画素ユニット、駆動回路、ゲット線及びデータ線等の数量及び構造は、全て模式的に示したものに過ぎず、アレイ基板内のこれらの素子の実際の詳しい数量及び構造を表すものではないことを理解できる。以下は、他の図面を参照して画素ユニット、駆動回路、ゲット線及びデータ線等の模式的な詳しい構造を説明する。なお、前記フレキシブルな基板本体100は、例えば、ポリイミドプラスチック、ポリエーテルエーテルケトンや透明導電性ポリエステル等の高分子材料から作ることができ、軽量、薄い厚さ、柔らかで湾曲可能な特徴を有する。
【0032】
図2は、本開示の実施例に係るアレイ基板の形成した1つの折り曲げ状態の構造模式図を示す。ここで、基板本体100は、フレキシブル材料製であるため、ファンアウト領域140は、画素領域110の背面に折り曲げられることが可能であり、
図1に示すように、ファンアウト領域140の当該1つの折り曲げ状態に基づいて、ファンアウト領域140の一部を折り曲げ領域141として形成し、且つ折り曲げ領域141により、ファンアウト領域140のほかの部分を第1ファンアウト領域142と第2ファンアウト領域143とに区分している。前記ファンアウト領域140は、折り曲げ領域141、第1ファンアウト領域142及び第2ファンアウト領域143を含む。
【0033】
本開示の実施例において、ファンアウト領域140は、基板本体と平坦層との間に設けられた無機絶縁層を含み、ここで、当該無機絶縁層に凹溝が開いており、前記ファンアウト信号線の少なくとも一部は、前記凹溝内に設けられている。
【0034】
具体的に、ファンアウト領域140における凹溝が設けられる部分を折り曲げ領域141として形成しており、折り曲げ領域141の無機絶縁層に凹溝を設けることで、折り曲げ領域141における無機絶縁層の厚さを減らし、柔軟性が良好な平坦層の厚さを増やすことにより、折り曲げ領域141の折り曲げに起因して信号線が破断し易いという問題を解决している。
【0035】
フレキシブルなアレイ基板が一般にOLEDディスプレイに使用されることは理解されるため、以下、前記アレイ基板がOLEDディスプレイに使用された場合を例として、本開示の実施例に係るアレイ基板の実施構造を詳しく説明する。
【0036】
図3は、OLEDディスプレイにおける、アレイ基板上の画素ユニットの駆動回路の回路構造模式図であり、
図4は、前記アレイ基板上の画素ユニットの平面構造模式図である。
図3及び
図4に示すように、アレイ基板の画素ユニットは、OLEDスイッチング制御を実現するためのTFT(Thin Film Transistor)T1と、OLED駆動を実現するためのTFT T2と、ストレージコンデンサCsとを含み、スイッチングTFT T1は、ゲートがゲット(Gate)線と接続され、ソースがデータ(Data)線と接続され、ドレインが駆動TFT T2のゲートと接続され、駆動TFT T2のソースは、電源線(V
dd)と接続され、ドレインが画素電極(OLEDのアノード層1061)と接続され、ストレージコンデンサCsは、一方の電極がスイッチングTFT T1のドレイン及び駆動TFT T2のゲートに接続され、他方の電極がTFT T2のソースに接続されている。
【0037】
アレイ基板上の
図4に示すB-B’部分の断面を例とすると、アレイ基板の画素領域の各画素ユニットは、
図5に示すように、下から上へ順次に設けられた基板本体100、バッファ層101、ゲート絶縁層102、層間絶縁層103、パッシベーション層104、平坦層105及び画素規定層106をそれぞれ含み、対応する画素規定層106内には、OLEDのアノード層1061、有機発光層1062及びカソード層1063が設けられている。
【0038】
さらには、
図5によれば、バッファ層101上にアクティブ層1011が更に設けられており、ゲート絶縁層102上に駆動TFT T2のゲート1021が設けられており、ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103を穿ったビアホール内に駆動TFT T2のソース1022及びドレイン1023が設けられており、且つ層間絶縁層103上にVdd線1及びデータ線2が設けられており、
図3も参照して、駆動TFT T2のドレイン1023は、ビアホールを介してOLEDのアノード層1061と接続され、駆動TFT T2のソース1022は、Vdd線と接続されている。
【0039】
上記の
図4及び
図5は、基板本体100上の画素領域110の一実施構造の模式図を示したが、対応する
図1のファンアウト領域140には、画素領域110と対応し且つ同じ層になるように製作されたバッファ層101、ゲート絶縁層102、層間絶縁層103、パッシベーション層104及び平坦層105が設けられていることが理解される。
【0040】
上記基板本体100上のバッファ層101、ゲート絶縁層102、層間絶縁層103及びパッシベーション層104は、一般に無機材料製であり、複数回の折り曲げの際、破断するリスクが高くなるが、本開示の実施例に係るアレイ基板は、ファンアウト領域140における基板本体100上の無機絶縁層に凹溝が開くことで、ファンアウト信号線の少なくとも一部が凹溝内に設けられるようにして、ファンアウト領域140の折り曲げ領域141における無機絶縁層の厚さを減らし、柔軟性が良好な平坦層の厚さを増やすことにより、折り曲げ領域内の無機絶縁層の折り曲げに起因して信号線が破断し易いという問題を解决している。
【0041】
具体的に、本開示の実施例に係るアレイ基板において、凹溝が開く無機絶縁層は、バッファ層101、ゲート絶縁層102、層間絶縁層103及びパッシベーション層104のうちの何れか1つであってもよく、又は、バッファ層101、ゲート絶縁層102、層間絶縁層103及びパッシベーション層104のうちの隣接する少なくとも2つであってもよい。凹溝200が開く無機絶縁層は、互いに直接接触している3つのサブ無機絶縁層を含んでも良く、
図6~
図11に示すように、無機絶縁層は、バッファ層101、ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103を含むか、又は、凹溝200が開く無機絶縁層は、
図12に示すように、無機絶縁層に含まれたゲート絶縁層102及び層間絶縁層103を含んでもよい。
【0042】
選択的に、本開示の実施例に係るアレイ基板において、信号線の柔軟性が高められるように、ファンアウト領域140のファンアウト信号線は、開く凹溝内で、フレキシブル有機高分子材料層に直接接触する。ここで、凹溝内にフレキシブル有機高分子材料層が充填され、前記ファンアウト信号線は、前記フレキシブル有機高分子材料層に直接接触しているか、又は、前記ファンアウト信号線は、フレキシブル有機高分子材料で製作された前記基板本体に直接接触している。
【0043】
選択的に、このフレキシブル有機高分子材料層は、樹脂(例えばエポキシ樹脂)材料で製作されていてもよいが、特にその材料だけを使えることに限定されない。
【0044】
本開示の実施例に係るアレイ基板のいくつかの実施構造において、
図1及び前記ファンアウト領域のA-A’箇所での断面模式図である
図6に示すように、ファンアウト領域140の折り曲げ領域141内には、バッファ層101、ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103の何れにも凹溝が開いており、且つバッファ層101、ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103における凹溝が互いに連通して、層間絶縁層103からバッファ層101まで貫通した凹溝200として形成されており、即ち凹溝200は、バッファ層101、ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103における凹溝が互いに連通して組み合わせて形成された凹溝となり、ここで、ファンアウト信号線300が層間絶縁層103上に設けられ、凹溝200内で、ファンアウト信号線300の一部は、層間絶縁層103、ゲート絶縁層102及びバッファ層101における凹溝を順次に通ってから、基板本体100上に堆積されている。つまり、ファンアウト領域140には、凹溝が開く無機絶縁層の数量として、少なくとも2つであり、且つ少なくとも2つの無機絶縁層の凹溝が上下に連通しており、ファンアウト信号線300は、凹溝が開いた全ての無機絶縁層上に設けられ、その一部が各無機絶縁層の凹溝を順次に通っている。
【0045】
基板本体100は、フレキシブル材料製であるため、凹溝200内で、ファンアウト信号線300は、フレキシブル有機高分子材料による基板本体に直接接触し、ファンアウト領域140の折り曲げ領域141におけるファンアウト信号線300の柔軟性が保証され、破断するリスクが低減される。
【0046】
本開示の実施例において、
図1~
図5を参照して、ファンアウト領域140の全体において、ファンアウト信号線300は、画素領域110のデータ線とは、同じ層で同じ材料になるように設けられている。選択的に、ファンアウト信号線300がデータ線の引き出し線と接続され、データ線の引き出し線を介して、ファンアウト信号線300が画素領域110の信号線と接続される。
【0047】
また、
図6に示すように、本開示の実施例において、バッファ層101、ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103に開いた凹溝は、同じ中心線上に設けられており、且つ層間絶縁層103に開いた凹溝の寸法は、ゲート絶縁層102に開いた凹溝の寸法よりも大きく、ゲート絶縁層102に開いた凹溝の寸法は、バッファ層101に開いた凹溝の寸法よりも大きい。即ち、ファンアウト領域140において、上から下へ少なくとも2つの無機絶縁層に凹溝が開き、第1無機絶縁層と基板本体100との距離が第2無機絶縁層と基板本体100との距離よりも大きい場合、第1無機絶縁層における凹溝の寸法は、第2無機絶縁層における凹溝の寸法よりも大きく、第1無機絶縁層における凹溝は、第2無機絶縁層の位置する平面での正投影が、第2無機絶縁層における凹溝の全体を覆う。上記設定方式を用いれば、ファンアウト領域140の折り曲げ領域141にて、複数の無機絶縁層における凹溝が組み合わせて形成された、ファンアウト信号線300を通らせるための凹溝200の全体は、上端開口が下端開口よりも大きい構造として形成される。
【0048】
また、選択的に、
図6に示すように、バッファ層101、ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103に形成された凹溝の内部の側壁の表面は、何れも斜面として形成されており、且つバッファ層101、ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103に形成された凹溝の内部の側壁の表面が組み合せて、2つの対向する平面を形成する。即ち、ファンアウト領域140において、上から下へ少なくとも2つの無機絶縁層に凹溝が開くと、各無機絶縁層に形成された凹溝の内部の側壁の表面は、何れも斜面として形成され、且つ全ての無機絶縁層に形成された凹溝の内部の側壁の表面が組み合せて、2つの対向する平面を形成する。
【0049】
本開示の実施例に係るアレイ基板のいくつかの実施構造を用いて、ファンアウト領域140の折り曲げ領域141にて、バッファ層101、ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103に、順次に貫通した凹溝を形成することで、データ線とは、同じ層で同じ材料になるように設けられたファンアウト信号線300を層間絶縁層103上に堆積させると、折り曲げ領域にて、ファンアウト信号線300は、凹溝内でフレキシブルな基板本体100上に堆積され、フレキシブル有機高分子材料による基板本体に直接接触する。
【0050】
さらには、
図6に示すように、ファンアウト信号線300上には、パッシベーション層104及び平坦層105が順次に設けられており、凹溝を設けているため、フレキシブルな平坦層105の厚さが増やされ、脆性の無機層の厚さが減らされ、また、ファンアウト信号線300がフレキシブル有機高分子材料による基板本体上に堆積されているため、ファンアウト領域140の折り曲げ領域141におけるファンアウト信号線300の柔軟性を保証し、破断するリスクを低減することができる。
【0051】
本開示の実施例に係るアレイ基板のいくつかの実施構造において、
図1及び前記ファンアウト領域のA-A’箇所での断面模式図である
図7に示すように、ファンアウト領域140の折り曲げ領域141内には、バッファ層101、ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103の何れにも凹溝が開いており、且つバッファ層101、ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103における凹溝が互いに連通して、層間絶縁層103からバッファ層101まで貫通した凹溝200として形成されている。さらには、この実施構造において、ファンアウト領域140の折り曲げ領域141内には、凹溝200内に樹脂層210が堆積され、且つ凹溝200内の樹脂層210が凹溝200の形状に応じて設けられており、凹溝200の底部では、樹脂層210と基板本体100とが直接接触している。
【0052】
さらには、
図6に示すように、凹溝200の頂部開口は、前記基板本体100から遠い側の前記層間絶縁層103の平面に位置するとともに、前記平坦層105に近い側の前記基板本体100の一部の表面は、前記凹溝200の底部を構成しているため、
図6に示す実施例において、前記凹溝200の深さ(即ち頂部開口から底部までの距離)は、バッファ層101、ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103の厚さの合計となる。他のいくつかの実施例において、前記凹溝200の深さは、バッファ層101、ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103の厚さの合計よりも小さくてもよい(この場合、凹溝200の頂部開口の位置は変化せず、底部の位置は上に移動する)が、バッファ層101、ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103の厚さの合計を超えてはいけない。
【0053】
さらに、
図6に示すように、凹溝200は、基板本体100と平行な開口寸法が、前記基板本体100に垂直で且つ前記基板本体100から離れる方向に沿って徐々に大きくなる。例えば、凹溝200は、層間絶縁層103に位置する、基板本体100と平行な何れの開口寸法も、ゲート絶縁層102に位置する、基板本体100と平行な何れの開口寸法よりも大きく、且つ、凹溝200は、ゲート絶縁層102に位置する、基板本体100と平行な何れの開口寸法も、バッファ層101に位置する、基板本体100と平行な何れかの開口寸法よりも大きい。
【0054】
この実施構造に基づけば、ファンアウト信号線300における折り曲げ領域141に位置する部分が樹脂層210上に設けられ、樹脂層210は、フレキシブル有機高分子材料製であるため、樹脂層210は、凹溝200内に充填されたフレキシブル有機高分子材料層となり、従って、凹溝200内で、ファンアウト信号線300とフレキシブル有機高分子材料層とが直接接触することになり、樹脂層210を設けることで、凹溝200の深さを減らし、ファンアウト領域140の折り曲げ領域141におけるファンアウト信号線300の柔軟性を保証し、破断するリスクを低減するという効果が達成される。
【0055】
さらに、選択的に、
図7に示すように、ファンアウト領域140の折り曲げ領域141内には、樹脂層210は、凹溝200の内部に位置する部分だけでなく、凹溝200の外部に位置し且つ層間絶縁層103に直接接触している部分も含む。この設定構造を用いれば、樹脂層210は、ファンアウト領域140の折り曲げ領域の全体を覆い、折り曲げ領域の全体におけるファンアウト信号線300が全てフレキシブル有機高分子材料層上に設けられ、破断するリスクが低減される。
【0056】
また、
図7に示す実施構造において、
図6に示す実施構造と同様に、ファンアウト領域140の全体において、ファンアウト信号線300は、画素領域110のデータ線とは、同じ層で同じ材料になるように設けられている。また、
図7に示すように、バッファ層101、ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103に開けられた凹溝は、同じ中心線上に設けられており、且つ層間絶縁層103に開いた凹溝の寸法は、ゲート絶縁層102に開いた凹溝の寸法よりも大きく、ゲート絶縁層102に開いた凹溝の寸法は、バッファ層101に開いた凹溝の寸法よりも大きい。さらには、バッファ層101、ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103に形成された凹溝の内部の側壁の表面は、何れも斜面として形成されており、且つバッファ層101、ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103に形成された凹溝の内部の側壁の表面が組み合せて、2つの対向する平面を形成している。
【0057】
本開示の実施例に係るアレイ基板の
図7に示す実施構造を用いて、ファンアウト領域140の折り曲げ領域141にて、バッファ層101、ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103に、順次に貫通した凹溝を形成するとともに、凹溝内に樹脂層210を堆積することで、データ線とは、同じ層で同じ材料になるように設けられたファンアウト信号線300を樹脂層210上に堆積させると、折り曲げ領域にて、ファンアウト信号線300は、凹溝内で樹脂層210上に堆積され、フレキシブル有機高分子材料層と直接接触する。
【0058】
さらには、
図7に示すように、ファンアウト信号線300上には、パッシベーション層104及び平坦層105が順次に設けられており、凹溝を設けているため、フレキシブルな平坦層105の厚さが増やされ、脆性の無機層の厚さが減らされ、また、ファンアウト信号線300がフレキシブル有機高分子材料層上に堆積されているため、ファンアウト領域140の折り曲げ領域141におけるファンアウト信号線300の柔軟性を保証し、破断するリスクを低減することができる。
【0059】
本開示の実施例に係るアレイ基板のいくつかの実施構造において、
図1及び前記ファンアウト領域のA-A’箇所での断面模式図である
図8に示すように、ファンアウト領域140の折り曲げ領域141内には、バッファ層101、ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103の何れにも凹溝が開いており、且つバッファ層101、ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103における凹溝が互いに連通して、層間絶縁層103からバッファ層101まで貫通した凹溝200として形成されている。
【0060】
この実施構造において、
図8に示すように、選択的に、バッファ層101、ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103に開けられた凹溝は、同じ中心線上に設けられており、且つ層間絶縁層103に開いた凹溝の寸法は、ゲート絶縁層102に開いた凹溝の寸法よりも大きく、ゲート絶縁層102に開いた凹溝の寸法は、バッファ層101に開いた凹溝の寸法よりも大きい。即ち、ファンアウト領域140において、上から下へ少なくとも2つの無機絶縁層に凹溝が開き、第1無機絶縁層と基板本体100との距離が第2無機絶縁層と基板本体100との距離よりも大きくなると、第1無機絶縁層における凹溝の寸法は、第2無機絶縁層における凹溝の寸法よりも大きくなる。
【0061】
さらには、
図8に示すように、ゲート絶縁層102における凹溝の底部開口寸法は、バッファ層101における凹溝の頂部開口寸法よりも大きい。即ち、ファンアウト領域140において、上から下へ少なくとも2つの無機絶縁層に凹溝が開き、且つ凹溝が開いた第1無機絶縁層と第2無機絶縁層とが繋がっていると、第1無機絶縁層における凹溝の底部開口寸法は、第2無機絶縁層における凹溝の頂部開口寸法よりも大きくなる。
【0062】
さらには、バッファ層101、ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103に開いた凹溝の内部の側壁の表面は、何れも斜面として形成されており、且つゲート絶縁層102及び層間絶縁層103に形成された凹溝の内部の側壁の表面が組み合せて形成された2つの対向する第1平面801と、バッファ層101に形成された凹溝の内部の側壁の表面によって形成された2つの対向する第2平面802とは、異なる平面に位置する。上記設定構造に基づけば、
図8に示すように、層間絶縁層103からバッファ層101まで貫通した凹溝200は、ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103に対応する第1凹溝部分201と、バッファ層101に対応する第2凹溝部分202とを含む。凹溝200の内部では、バッファ層101上で階段状構造が形成されている。
【0063】
上記実施構造に基づけば、ファンアウト領域140の折り曲げ領域141内には、凹溝200内に樹脂層210が堆積され、且つ凹溝200内の樹脂層210が凹溝200の形状に応じて設けられており、凹溝200の底部では、樹脂層210と基板本体100とが直接接触している。
【0064】
また、ファンアウト信号線300における折り曲げ領域141に位置する部分が樹脂層210上に設けられており、樹脂層210は、フレキシブル材料製であるため、凹溝200内で、ファンアウト信号線300とフレキシブル有機高分子材料層(即ち樹脂層210)とが直接接触する。この実施構造において、凹溝200が
図8に示すような階段状構造として形成されているため、
図7の実施構造に比べて、折り曲げ領域の凹溝200の急峻さを下げることができ、それにより、ファンアウト信号線300の破断するリスクが低減される。一実施例において、前記樹脂層210における少なくとも前記凹溝200内の部分の厚さは大体同じであるため、前記樹脂層210における前記凹溝200内の部分の、平坦層105に向く表面に凹溝が形成され、この凹溝の形状及び方位は、凹溝200の形状及び方位と略同じである。
【0065】
樹脂層210は、ファンアウト領域140の折り曲げ領域の全体が樹脂層210によって覆われるように、凹溝200の内部に位置する部分だけでなく、凹溝200の外部に位置し且つ層間絶縁層103に直接接触している部分も含む。
【0066】
また、この実施構造において、上記実施構造と同様に、ファンアウト領域140の全体において、ファンアウト信号線300は、画素領域110のデータ線とは、同じ層で同じ材料になるように設けられていてもよい。
【0067】
本開示の実施例に係るアレイ基板の
図8に示す実施構造を用いて、凹溝200を設けることで、フレキシブルな平坦層105の厚さが増やされ、脆性の無機層の厚さが減らされ、また、ファンアウト信号線300がフレキシブル有機高分子材料層上に堆積されているため、ファンアウト領域140の折り曲げ領域141におけるファンアウト信号線300の柔軟性を保証し、破断するリスクを低減することができる。また、凹溝200を階段状構造として設けることで、折り曲げ領域の凹溝200の急峻さが下げられ、即ち、凹溝200内に設けられたファンアウト信号線300の急峻さが下げられるため、ファンアウト信号線300の破断するリスクが更に低減される。
【0068】
本開示の実施例に係るアレイ基板のいくつかの実施構造において、
図1及び前記ファンアウト領域のA-A’箇所での断面模式図である
図9に示すように、
図8に示す実施構造と同様に、ファンアウト領域140の折り曲げ領域141内には、バッファ層101、ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103の何れにも凹溝が開いており、且つバッファ層101、ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103における凹溝が互いに連通して、層間絶縁層103からバッファ層101まで貫通した凹溝200として形成されている。
【0069】
図8に示す実施構造と異なって、層間絶縁層103における凹溝の底部開口寸法は、ゲート絶縁層102における凹溝の頂部開口寸法によりも大きい。バッファ層101、ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103に開いた凹溝の内部の側壁の表面は、何れも斜面として形成されており、且つバッファ層101及びゲート絶縁層102に形成された凹溝の内部の側壁の表面が組み合せて形成された2つの対向する第4平面901と、層間絶縁層103に形成された凹溝の内部の側壁の表面によって形成された2つの対向する第3平面902とは、異なる平面に位置する。
【0070】
上記配置構造に基づけば、
図9に示すように、層間絶縁層103からバッファ層101まで貫通した凹溝200は、バッファ層101及びゲート絶縁層102に対応する第3凹溝部分203と、層間絶縁層103に対応する第4凹溝部分204とを含む。従って、凹溝200の内部は、バッファ層101上で
図8に示す実施構造と異なる階段状構造が形成され、折り曲げ領域の凹溝200の急峻さを下げるという効果も達成できる。
【0071】
また、
図9に示す実施構造において、ファンアウト信号線300の設定方式及び樹脂層210の設定方式は、
図8に示す実施構造と同様であり、ここで繰り返して説明しない。
【0072】
上記
図6に示す実施構造から
図9に示す実施構造において、ファンアウト領域140の全体におけるファンアウト信号線300は、何れも、データ線とは、同じ層で同じ材料になるように設けられている。また、本開示は、
図10に示す実施構造のアレイ基板を更に提供しており、このアレイ基板によれば、ファンアウト領域140において、ファンアウト信号線は、異なる材料層に位置する2つの線路部分を含む。
【0073】
図10に示す実施構造のアレイ基板において、ファンアウト領域140の折り曲げ領域141内には、バッファ層101、ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103の何れにも凹溝が開いており、且つバッファ層101、ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103における凹溝が互いに連通して、層間絶縁層103からバッファ層101まで貫通した凹溝200として形成されている。
【0074】
また、
図9に示す実施構造と同様に、
図10に示すように、バッファ層101、ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103に開いた凹溝の内部の側壁の表面は、何れも斜面として形成されており、且つバッファ層101及びゲート絶縁層102に形成された凹溝の内部の側壁の表面が組み合せて形成された2つの対向する平面と、層間絶縁層103に形成された凹溝の内部の側壁の表面とは、異なる平面に位置する。従って、層間絶縁層103からバッファ層101まで貫通した凹溝200は、バッファ層101及びゲート絶縁層102に対応する第3凹溝部分203と、層間絶縁層103に対応する第4凹溝部分204とを含む。
【0075】
また、
図10に示すように、ファンアウト領域140の折り曲げ領域141内には、凹溝200内に樹脂層210が堆積され、且つ凹溝200内の樹脂層210が凹溝200の形状に応じて設けられており、凹溝200の底部では、樹脂層210と基板本体100とが直接接触している。
【0076】
また、
図9に示す実施構造と異なって、
図10に示す実施構造において、ファンアウト領域140の折り曲げ領域141内には、凹溝200に設けられたファンアウト信号線300は、画素領域110のデータ線とは、同じ層で同じ材料になるように設けられており、即ち、ファンアウト信号線300は、樹脂層210上に堆積されており、つまり、ファンアウト信号線300は、画素ユニットのデータ線とは、同じ層で同じ材料になるように設けられた第1線路部分を含む。
【0077】
また、
図10に示すように、
図1~
図5も参照して、ファンアウト領域140には、画素領域110のゲット線と同じ層に設けられたゲット線の第2線路部分310が更に含まれており、ファンアウト信号線300における折り曲げ領域141に設けられた部分(即ち第1線路部分)は、ビアホール211を介して第2線路部分310と接続されている。この設定構造に基づけば、ファンアウト信号線300は、第2線路部分310と接続されることで、画素領域110の信号線に接続される。
【0078】
図9と
図10とを比較すると、上記ファンアウト領域140におけるファンアウト信号線300と画素領域110の信号線との接続方式が異なるという点を除き、2つの実施構造の他の部分の設定構造が同じであり、他の部分の設定構造については、上記の詳しい説明を参照できるので、ここで繰り返して説明しない。
【0079】
本開示は、別の実施構造のアレイ基板を更に提供しており、
図11に示すように、この実施構造において、
図10に示す実施構造に比べて、ファンアウト領域140上、層間絶縁層103と平坦層105との間には、パッシベーション層が設けられておらず、2つの実施構造の他の部分の設定構造が同じである。
【0080】
この実施構造を用いれば、アレイ基板の画素領域にもパッシベーション層が設けられておらず、平坦層は、前記ファンアウト信号線上に直接堆積され、ファンアウト信号線と繋がっていることが理解される。
【0081】
上記の設定構造を基づけば、
図11に示すように、ファンアウト領域140の折り曲げ領域141にて、ファンアウト信号線300が樹脂層210上に堆積され、平坦層105がファンアウト信号線300に直接堆積され、脆性のパッシベーション層を設けることが避けられており、
図10に示す実施構造のアレイ基板に比べて、ファンアウト信号線300が折り曲げ領域にて破断するリスクを低減するという効果がより一層に達成される。
【0082】
図11に示す実施構造のアレイ基板は、
図10に示す実施構造のアレイ基板に比べて、上記のパッシベーション層を設けないという点を除き、他の部分の実施構造が同じであるため、ここで、他の部分の詳しい構造形態について説明せず、その詳細は、上記の各実施構造の内容を参照できる。
【0083】
また、本開示は、別の実施構造のアレイ基板を更に提供しており、
図12に示すように、この実施構造において、
図11に示す実施構造と異なって、ファンアウト領域140の折り曲げ領域141内には、ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103の何れにも凹溝が開いているが、バッファ層101に凹溝が開いていない。ゲート絶縁層102及び層間絶縁層103に形成された凹溝が互いに連通して、層間絶縁層103からゲート絶縁層102まで貫通した凹溝200として形成されている。
【0084】
さらには、層間絶縁層103に開いた凹溝の寸法は、ゲート絶縁層102に開いた凹溝の寸法よりも大きいとともに、層間絶縁層103及びゲート絶縁層102に形成された凹溝の内部の側壁の表面は、何れも斜面で、且つ異なる平面に位置するため、凹溝200は、階段状構造として形成される。
【0085】
上記の設定方式に基づければ、折り曲げ領域の凹溝200の急峻さを下げるという効果も達成できる。
【0086】
図12に示す実施構造のアレイ基板は、
図11に示す実施構造のアレイ基板に比べて、上記のバッファ層に凹溝を設けないという点を除き、他の部分の実施構造が同じであるため、ここで、他の部分の詳しい構造形態について説明せず、その詳細は、上記の各実施構造の内容を参照できる。
【0087】
さらには、凹溝200の側壁の表面は、階段面又は平面であってもよい。例えば、
図6及び
図7の実施例において、凹溝200の内部の2つの対向する側壁は、何れも基板本体100に対して傾斜する平面であるが、
図8~
図12の実施例において、凹溝200の内部の2つの対向する側壁は、何れも階段面である。
【0088】
上記の本開示の
図6に示す実施構造から
図12に示す実施構造のアレイ基板は、あくまでも、本開示の実施例に係るアレイ基板について、ファンアウト領域の無機絶縁層に凹溝を設けることで、ファンアウト領域における無機絶縁層の厚さを減らし、柔軟性が良好な平坦層の厚さを増やして、ファンアウト領域の折り曲げに起因して信号線が破断し易いという問題を解决するような技術効果を奏した一部の実施構造を示すものに過ぎず、特にこれらに限定されないことを理解される。可能な実施構造のそれぞれについては、ここで繰り返して詳しく説明しない。
【0089】
本開示の実施例に係る上記構造のアレイ基板において、ゲート、ソース、ドレインは、Cu、Al、Mo、Ti、Cr及びW等の金属材料で作製されてもよいし、これらの材料の合金で作製されてもよく、また、単層構造であってもよく、多層構造が用いられてもよく、例えば、Mo/Al/Mo、Ti/Cu/Ti又はMo/Ti/Cuといった多層構造として形成される。また、アクティブ層は、ポリシリコンフリー又は酸化物(IGZO)で製作されてもよい。
【0090】
本開示の実施例において、バッファ層は、窒化シリコン又は酸化シリコンで製作されてもよく、また、バッファ層は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよく、例えば、酸化シリコン/窒化シリコンといった多層構造として形成される。
【0091】
本開示の実施例において、ゲート絶縁層は、窒化シリコン又は酸化シリコンで製作されてもよく、また、ゲート絶縁層は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよく、例えば、酸化シリコン/窒化シリコンといった多層構造として形成される。
【0092】
本開示の実施例において、層間絶縁層は、窒化シリコン又は酸化シリコンで製作されてもよく、また、層間絶縁層は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよく、例えば、酸化シリコン/窒化シリコンといった多層構造として形成される。
【0093】
本開示の実施例において、パッシベーション層は、窒化シリコン又は酸化シリコンで製作されてもよく、また、パッシベーション層は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよく、例えば、酸化シリコン/窒化シリコンといった多層構造として形成される。
【0094】
さらに、平坦層は、樹脂材料で作製されてもよく、画素規定層は、樹脂材料で作製されてもよく、OLEDのアノードは、酸化インジウムスズ(ITO)で作製されてもよいし、ITO及びAgで、ITO/Ag/ITO構造として作製されてもよい。また、OLEDのカソードは、Al又はAgで作製されてもよい。
【0095】
図1~
図12、及び、上記の本開示の実施例に係るアレイ基板の詳しい説明を参照すれば、当業者は、本開示の実施例に係るアレイ基板の具体的な製作過程を把握できるはずなので、ここで繰り返して詳しく説明しない。
【0096】
本開示の実施例の別の形態は、上記の何れか1つの構造のアレイ基板を含む表示パネルを更に提供している。
【0097】
また、本開示は、上記の表示パネルを含む表示装置を更に提供している。
【0098】
図1~
図12、及び上記の詳しい説明を参照すれば、当業者は、本開示の実施例に係るアレイ基板を用いた表示パネル及び表示装置の具体的な構造を把握できるはずなので、ここで繰り返して詳しく説明しない。
【0099】
本開示の実施例に係るアレイ基板、表示パネル及び表示装置では、ファンアウト領域の無機絶縁層に凹溝が開くことで、ファンアウト信号線の少なくとも一部が凹溝内に設けられるようにして、ファンアウト領域の折り曲げ領域における無機絶縁層の厚さを減らし、柔軟性が良好な平坦層の厚さを増やすことにより、折り曲げ領域における無機絶縁層の折り曲げに起因して信号線が破断し易いという問題を解决した。さらに、ファンアウト信号線をフレキシブル有機高分子材料層上に堆積し、及び/又は、凹溝の急峻さを下げるという方式を通じて、より一層にファンアウト領域の折り曲げ領域におけるファンアウト信号線の柔軟性を保証し、破断するリスクを低減した。
【0100】
上述したのは、本開示の好ましい実施形態であり、注意すべきことは、当業者にとって、本開示に記載の原理を逸脱しない前提で、有機高分子材料に対する若干の改良及び潤色を更に行うことが可能であり、これらの改良及び潤色も本開示の保護範囲内であると見なされるべきである。