(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】単軌道式ダミー車両用の傾斜機構
(51)【国際特許分類】
G01M 17/007 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
G01M17/007 B
(21)【出願番号】P 2021561755
(86)(22)【出願日】2020-04-20
(86)【国際出願番号】 EP2020061004
(87)【国際公開番号】W WO2020254010
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-03-01
(31)【優先権主張番号】102019116663.2
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515345366
【氏名又は名称】4アクティブシステムズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハフェルナー、ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】フリッツ、マーティン
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特表平09-504716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 17/00-17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に沿って走行可能であるダミー要素と、
傾斜機構とを備え、
前記傾斜機構は、前記ダミー要素が地面に対して傾斜可能であるように、前記ダミー要素と連結されていて、かつ構成され
、
前記地面上を走行可能なプラットフォームをさらに備え、前記プラットフォーム上に前記ダミー要素が傾斜可能に固定されている、ダミーシステム。
【請求項2】
前記傾斜機構は、アクチュエータと連結装置とを有し、
前記アクチュエータは、前記ダミー要素の傾斜が調節可能であるように、前記連結装置を、特に並進的および/または旋回的に動かすことができる、請求項1に記載のダミーシステム。
【請求項3】
前記連結装置は、透明な、特にレーダ透過性の材料から形成されている、請求項2に記載のダミーシステム。
【請求項4】
前記連結装置は、前記地面と前記ダミー要素との間に配置されている、請求項2または3に記載のダミーシステム。
【請求項5】
前記連結装置は、保持ロッドを有し、前記保持ロッドは、前記保持ロッドが前記ダミー要素の傾斜のために前記アクチュエータにより動かすことができるように、前記ダミー要素と前記アクチュエータとに連結されている、請求項2から4までのいずれか一項に記載のダミーシステム。
【請求項6】
前記保持ロッドは、長さが前記アクチュエータにより調節可能であり、
前記保持ロッドは、特に入れ子式に収縮可能であり、かつ伸長可能である、請求項5に記載のダミーシステム。
【請求項7】
前記保持ロッドは、旋回可能に前記ダミー要素に固定されていて、旋回により前記地面に対する間隔と相応する傾斜とが調節される、請求項5または6に記載のダミーシステム。
【請求項8】
前記連結装置は、別の保持ロッドを有し、前記別の保持ロッドは、前記別の保持ロッドが前記アクチュエータによる前記ダミー要素の傾斜のために動くことができるように、前記ダミー要素と前記アクチュエータまたは別のアクチュエータとに連結されていて、
前記ダミー要素は、特に前記保持ロッドと前記別の保持ロッドとの間に配置されている、請求項5から7までのいずれか一項に記載のダミーシステム。
【請求項9】
前記連結装置は、制御レバーを有し、前記制御レバーは、前記保持ロッドと前記別の保持ロッドとヒンジにより連結されていて、
前記制御レバーは、前記保持ロッドと前記別の保持ロッドとの傾斜を調節するために、前記アクチュエータにより前記制御レバーを動かすことができるように、前記アクチュエータと連結されている、
請求項8に記載のダミーシステム。
【請求項10】
前記連結装置は、前記プラットフォーム上にヒンジにより固定されている、請求項
2から9のいずれか一項に記載のダミーシステム。
【請求項11】
前記アクチュエータは、前記プラットフォーム内にまたは前記プラットフォーム上に配置されている、請求項
2から10
のいずれか一項に記載のダミーシステム。
【請求項12】
前記アクチュエータの電流供給のために、電源、特に蓄電池が、前記プラットフォーム内に配置されている、請求項
2から
11までのいずれか一項に記載のダミーシステム。
【請求項13】
前記連結装置は、前記プラットフォームに旋回可能に配置された保持ロッドを有し、前記保持ロッドは、前記ダミー要素を傾斜するために、前記アクチュエータにより旋回可能である、請求項
2から
12までのいずれか一項に記載のダミーシステム。
【請求項14】
前記連結装置は、牽引ケーブルを有し、前記牽引ケーブルは、前記アクチュエータにより前記牽引ケーブルを引っ張る際に、前記プラットフォームに対する前記ダミー要素の傾斜が調節可能であるように、前記プラットフォームと前記ダミー要素とに連結されている、請求項
2から
13までのいずれか一項に記載のダミーシステム。
【請求項15】
前記連結装置は、別の牽引ケーブルを有し、前記ダミー要素は、前記牽引ケーブルと前記別の牽引ケーブルとの間に配置されていて、
前記牽引ケーブルと前記別の牽引ケーブルとは、前記アクチュエータにより前記牽引ケーブルが引っ張られ、かつ前記別の牽引ケーブルが緩められる際に、前記プラットフォームに対する前記ダミー要素の傾斜が調節可能であるように、前記プラットフォームと前記ダミー要素とに連結されている、請求項
14に記載のダミーシステム。
【請求項16】
前記連結装置は、一つの制御ベルトと三つの離間されたベルトプーリとを有し、前記ベルトプーリの周りに前記制御ベルトが案内されていて、
一つのベルトプーリは、前記ダミー要素に固定されていて、二つのベルトプーリは、前記ダミー要素の対峙する側で前記プラットフォーム上に配置されていて、
前記アクチュエータは、前記ベルトプーリの回転時に、前記プラットフォームに対する前記ダミー要素の傾斜が調節可能であるように、前記ベルトプーリの制御のために、前記ベルトプーリの少なくとも一つに連結されている、請求項
2から
15までのいずれか一項に記載のダミーシステム。
【請求項17】
前記傾斜機構を制御する制御ユニットをさらに備え、
前記制御ユニットは、前記地面に対する前記ダミー要素の速度に基づいて、対応する傾斜角が決定されるように構成されている、請求項1から
16までのいずれか一項に記載のダミーシステム。
【請求項18】
前記ダミー要素は、操舵可能なホイールを有し、
前記操舵可能なホイールの操舵角は、調節可能な傾斜角に対応して調節可能である、請求項1から
17までのいずれか一項に記載のダミーシステム。
【請求項19】
前記ダミー要素は、二輪車、特に自転車またはオートバイである、請求項1から
18までのいずれか一項に記載のダミーシステム。
【請求項20】
前記ダミー要素は、自動車である、請求項1から
19までのいずれか一項に記載のダミーシステム。
【請求項21】
前記自動車は、車体と少なくとも一つのホイールとを有し、
前記傾斜機構によって、前記車体と前記ホイールとの間の間隔が調節可能であり、
前記傾斜機構は、特に前記自動車のショックアブゾーバ内に組み込まれている、請求項
20に記載のダミーシステム。
【請求項22】
請求項1から
21までのいずれか一項に記載のダミーシステムの操作方法において、前記ダミーシステムの操作方法は、地面に対して前記ダミー要素を傾斜させるステップを含む、ダミーシステムの操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に車両支援システムの試験のための、ダミーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の車両技術では、車両の周囲を能動的に監視し、車両の制御に受動的または能動的に干渉する支援システムがますます使用されてきている。特に、支援システムは、自動運転に転換するために、十分に試験されなければならない。したがって、支援システムの誤った評価を防ぐために、支援システムは、広範囲にわたる試験を受けなければならない。
【0003】
支援システムの試験運転の間に、試験されるべき対象とダミー要素との間でどうしても衝突が生じることがある。例えば道路交通において二台の車両または車両と人との衝突のような現実に近い衝突状況をもたらすために、試験されるべき車両は、ダミー要素と同様に動かされる。この場合、特に運転支援システムは現実に近い試験を行うことができる。
【0004】
考えられ得る全ての状況について支援システムを試験するために、車両は、ダミー要素と同様に、テストごとに相互に多様な方向から動かし、この場合、特にコーナリングにおいて現実に近い走行力学を模倣することが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、ダミーが、特にコーナリングにおいて現実に近い走行挙動を複製するダミーシステムを達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、独立請求項の主題により解決される。
【0007】
本発明の一態様によると、ダミー要素(特に、自転車またはオートバイのような単軌道式ダミー要素)と走行可能なプラットフォームとを備え、このダミー要素が、プラットフォームに対して傾斜可能にプラットフォーム上に固定されているダミーシステムが記載されている。
【0008】
本発明の別の態様によると、地面に沿って走行可能なダミー要素を備えるダミーシステムが記載されている。さらに、ダミーシステムは、傾斜機構を備え、この傾斜機構は、ダミー要素が地面に対して傾斜可能になるように、ダミー要素と連結され、かつ構成されている。
【0009】
別の態様によると、先に記載されたダミーシステムの操作方法が記載されている。この方法によると、ダミー要素は地面に対して傾斜される。
【0010】
ダミー要素は、例えば、サイクリスト、オートバイ運転者、原動機付二輪車運転者または三軌道車両を表してよい。例えば、コーナリングをシミュレートするために、ダミー要素としての乗用車およびトラックの傾斜も考えられる。
【0011】
傾斜機構は、特に、傾斜角度を制御するための偏心駆動装置、クランク駆動装置またはカムディスクを有していてよい。
【0012】
本発明による傾斜によって、例えば、ダミー要素が走行可能である地面に対してダミー要素の傾斜角が調節されてよい。さらに、ダミー要素は、走行可能なプラットフォーム上に配置されていてよく、この場合、傾斜機構は、ダミー要素と走行可能なプラットフォームとの間の傾斜角を調節する。
【0013】
ダミー要素、特にダミー車両は、それにより、コーナリングの際の傾斜をシミュレートする。ダミー要素が、オートバイ運転者またはオートバイ(例えば1軌道式車両)である場合、コーナリングの際のオートバイの傾斜が調節およびシミュレートされる。ダミー要素が、例えば自動車のような2軌道式または3軌道式車両である場合、例えば、自動車ホイールと車体との間の間隔を調節することにより、地面またはプラットフォームに対する自動車の傾斜が調節されてよい。したがって、現実の交通状況の現実的なシミュレートが達成され、その結果、運転支援システムは実際に近い試験を行うことができる。
【0014】
別の例示的な実施形態によると、傾斜機構は、アクチュエータと連結装置とを有し、アクチュエータは、ダミー要素の傾斜が調節可能であるように、連結装置を、特に並進的および/または回旋的に動かすことができる。
【0015】
連結装置は、例えば、ダミー要素が堅固にまたはヒンジにより連結されている堅固な保持ロッドまたは管を表すことができる。他方で、連結装置は、例えばローラによって地面に直接支持されているか、または走行可能なプラットフォームに旋回可能に連結されていてよい。したがって、連結装置の旋回に基づいてまたは長さ変化に基づいて、ダミー要素の傾斜角の調節が可能である。
【0016】
連結装置の調節は、アクチュエータによって行われる。アクチュエータは、特に電気式駆動装置またはサーボ電気式のリニア駆動装置である。
【0017】
別の例示的な実施形態によると、連結装置は、透明な、特にレーダ透過性の材料から形成されている。したがって、特に、連結装置の反射に基づき生じることがある、試験されるべき運転支援システムの誤測定は低減される。
【0018】
別の例示的な実施形態によると、連結装置は、地面とダミー要素との間に配置されている。連結装置は、地面に対する摩擦を低減させるために、例えばローラによって地面に直接支持されていてよい。あるいは、連結装置は、同様に地面上をスライドするように走行してもよい。
【0019】
別の例示的な実施形態によると、連結装置は保持ロッドを有し、保持ロッドは、保持ロッドがダミー要素の傾斜のためにアクチュエータによって動くことができるように、ダミーエレメントとアクチュエータとに連結されている。
【0020】
傾斜機構は、例えば少なくとも一つの保持棒/保持ロッドを有し、この保持ロッドがダミー要素とプラットフォームとを結合し、この場合、保持ロッドは、プラットフォームに旋回可能に固定されている。保持ロッドの旋回位置または傾斜角は、アクチュエータによって調節可能または制御可能である。アクチュエータは、例えば、固定要素、例えば保持ロッド、またはプラットフォーム内に組み込まれている。
【0021】
別の例示的な実施形態によると、保持ロッドは、長さがアクチュエータによって調節可能であり、この場合、保持ロッドは、特に入れ子式に収縮可能で、かつ伸長可能である。
【0022】
保持ロッドの長さ変化に基づき、例えばダミー要素の傾斜が調節されてよい。この場合、保持ロッドは、互いに入り込むようにスライド可能な複数の要素からなっていてよく、それにより入れ子式に収縮可能で、かつ伸長可能である。
【0023】
さらに、保持ロッドは、例えばダミー要素またはプラットフォームにしっかりと固定されているガイドレールで案内されてよい。保持ロッドは、相応して傾斜角を調節するために、ガイドレールに対して相応して動くことができる。
【0024】
例えば、保持ロッドは、ねじ領域を有するか、またはねじ付きロッドを形成することができ、この保持ロッドはアクチュエータによって回転させることができ、相応するねじによって相応してスリーブ内へ導入されるかまたは導出される。したがって、堅固で、かつ正確に調節可能なねじ付きスピンドル駆動装置が提供される。
【0025】
別の例示的な実施形態によると、保持ロッドは、旋回可能にダミー要素に固定されていて、旋回によって地面に対する間隔および相応して傾斜が調節される。保持ロッドの旋回位置は、例えばアクチュエータによって調節されてよい。例えば、アクチュエータは、回転可能な制御ディスクであり、この制御ディスクに保持ロッドがヒンジによって連結されている。制御ディスクの回転により、相応して保持ロッドの旋回位置が調節されてよい。
【0026】
別の例示的な実施形態によると、連結装置は、別の保持ロッドを有し、別の保持ロットは、この別の保持ロットがダミー要素の傾斜のためにアクチュエータによって動かすことができるように、ダミー要素とアクチュエータまたは別のアクチュエータとに連結されている。ダミー要素は、特に保持ロッドと別の保持ロッドとの間に配置されている。
【0027】
例えば、両方の保持ロッドは一つの旋回方向に旋回可能であってよく、それにより相応してダミー要素が旋回する。さらに、両方の保持ロッドは、長さが調節可能であってよく、その結果、例えば一方の保持ロッドはアクチュエータにより伸長され、他方の別の保持ロッドは短縮される。したがって、同様にダミー要素の旋回が誘導されてよい。これらの保持ロッドは、例えば、一つの共通のアクチュエータを介して旋回または長さ調整されてよい。あるいは、保持ロッドと別の保持ロッドとを目的に合うように調節するために、各保持ロッドに相応するアクチュエータが割り当てられていてよい。
【0028】
別の例示的な実施形態によると、連結装置は、制御レバーを有し、この制御レバーは、保持ロッドと別の保持ロッドとにヒンジにより連結されている。制御レバーは、保持ロッドと別の保持ロッドとの傾斜を調節するために、アクチュエータによって制御レバーを動かすことができるようにアクチュエータと連結されている。
【0029】
例えば、各保持ロッドは、ダミー要素に(例えばヒンジ結合、ボールジョイントに関する)回転点を有する。例えば、これらの自由端で、これらの保持ロッドは、制御レバーとヒンジにより連結されている。アクチュエータが制御レバーを一方方向に並進的にスライドさせると、その回転点を中心として保持ロッドの旋回が引き起こされる。したがって、保持ロッドとダミー要素との別の連結を介して、同様にダミー要素の傾斜が制御される。
【0030】
別の例示的な実施形態によると、ダミーシステムは、地面上を走行可能なプラットフォームを備え、そのプラットフォーム上でダミー要素が傾斜可能に固定されている。
【0031】
プラットフォームは、少なくとも一つのローラ要素によって駆動可能であり、地面に沿って走行可能である。プラットフォームは、プレートに類似する形状を形成する基体を有する。これは、底面内での基体の拡がりが、例えば垂直方向の基体の厚みよりも明らかに大きいことを意味する。基体は、この場合、底面と反対側の固定面とを有する。基体の底面が地面に載置される。底面内には、少なくとも一つのローラ要素が駆動可能に配置されていて、このローラ要素は、少なくとも部分的に基体から突出し、それにより基体と地面との間に間隔を提供する。固定面上にダミー要素が、例えば、特に傾斜機構を有する固定装置によって固定されている。
【0032】
別の例示的な実施形態によると、連結装置(例えば、保持ロッド)は、ヒンジによりプラットフォーム上に固定されている。連結装置は、例えば、先に記載された複数の保持ロッドを有する場合、これらの保持ロッドは、ヒンジによりプラットフォームと連結されていてよい。したがって、保持ロッドの旋回によって、ダミー要素の傾斜が調節されてよい。
【0033】
別の例示的な実施形態によると、アクチュエータは、プラットフォーム内にまたはプラットフォーム上に配置されている。あるいは、アクチュエータは、例えばダミー要素自体内に配置されていてよく、例えば駆動エネルギーを得るために、プラットフォーム内の電源とワイヤ接続されてよいかまたは誘導結合されてよい。
【0034】
別の例示的な実施形態によると、アクチュエータの電流供給のために、電源、特に(充電可能な)蓄電池が、プラットフォーム内に配置されている。
【0035】
別の例示的な実施形態によると、連結装置は、プラットフォームに固定された旋回可能な保持ロッドを有し、この保持ロッドは、ダミー要素を傾斜させるために、アクチュエータによって旋回可能である。
【0036】
別の例示的な実施形態によると、連結装置は、牽引ケーブルを有し、牽引ケーブルは、牽引ケーブルをアクチュエータによって引っ張る際にプラットフォームに対するダミー要素の傾斜が調節可能であるように、プラットフォームとダミー要素とに連結されている。
【0037】
アクチュエータは、例えば、駆動可能なケーブルローラを有してよく、このケーブルローラ上に牽引ケーブルが巻き取り可能または繰り出し可能である。牽引ケーブルは、例えば、丸い横断面を有するかまたは矩形の横断面を有してよく、例えばベルトとして構成されていてよい。牽引ケーブルは、例えば、ダミー要素とプラットフォームとに連結されているため、ダミー要素とプラットフォームとの間のケーブル長さの短縮時に、引張力が、ダミー要素を相応する方向に傾斜させる。ダミー要素を旋回させて出発位置に戻すために、例えばプラットフォームとダミー要素との間に、例えば引張ばねまたは圧縮ばねとして構成されているリターンスプリングが連結されていてよい。
【0038】
別の例示的な実施形態によると、連結装置は、別の牽引ケーブルを有し、この場合、ダミー要素は、牽引ケーブルと別の牽引ケーブルとの間に配置されている。牽引ケーブルと別の牽引ケーブルとは、アクチュエータにより(または各々の牽引ケーブルにそれぞれ所属するアクチュエータにより)牽引ケーブルを引っ張り、かつ別の牽引ケーブルを緩める場合、プラットフォームに対するダミー要素の傾斜が調節可能であるように、プラットフォームとダミー要素とに連結されている。換言すると、各々の牽引ケーブルは、所望の傾斜角度を調節するために、ダミー要素を相応する傾斜方向に引っ張る。別の牽引ケーブルのケーブル長さは、所望の傾斜位置でのダミー要素の固定を引き起こす。
【0039】
別の例示的な実施形態によると、連結装置は、一つの制御ベルトと三つ(またはより多くの)離間したベルトプーリとを有し、これらのベルトプーリの周りに制御ベルトが案内されている。一つのベルトプーリは、ダミー要素に固定されていて、二つのベルトプーリは、ダミー要素の対峙する側でプラットフォーム上に配置されている。アクチュエータは、ベルトプーリの制御のために、ベルトプーリの回転の際にプラットフォームに対するダミー要素の傾斜が調節可能であるように、ベルトプーリの少なくとも一つに連結されている。したがって、ダミー要素を正確に所望の傾斜角に調節することができるベルト駆動装置が達成される。
【0040】
制御ベルトは、この場合、歯付きベルトとして構成されていてよく、ベルトプーリは、相応して噛み合う歯を有していてよい。あるいは、制御ベルトは、テンションベルトとして形成されていてよく、静止摩擦によってベルトプーリと連結されていてよい。
【0041】
別の例示的な実施形態によると、ダミーシステムは、傾斜機構を制御する制御ユニット備え、制御ユニットは、地面に対するダミー要素の速度に基づいて、相応する傾斜角を決定するように構成されている。制御ユニットは、例えば、ダミー要素またはプラットフォーム内に組み込まれていてよい。さらに、制御ユニットは、ダミー要素から離間するように配置されていてよく、相応する制御信号は、無線でアクチュエータに伝達されてよい。
【0042】
別の例示的な実施形態によると、ダミー要素は、操舵可能なホイールを有し、操舵可能なホイールの操舵角は、調節された傾斜角に対応して調節可能である。
【0043】
さらに、ダミー要素は、例えば自転車ダミーまたはオートバイダミーとして、前輪を操舵するためのハンドルを有してよい。ダミー要素のコーナリングの際に、ダミー要素のカーブ傾斜に加えて、現実的な模倣のために、ハンドルの回転が別のアクチュエータによって行われてよい。
【0044】
別の例示的な実施形態によると、ダミー要素は、車体と少なくとも一つのホイールとを有する車体を有する自動車であり、傾斜機構によって、車体とホイールとの間の間隔が調節可能である。傾斜機構は、特に自動車のショックアブゾーバ内に組み込まれている。さらに、傾斜機構は、保持ロッドを有してよく、この保持ロッドは、ホイールと車体との間に収縮可能および伸長可能に配置されている。したがって、コーナリング時でまたはブレーキ操作時でも自動車のピッチングがシミュレートされてよい。
【0045】
アクチュエータは、蓄電池駆動によってエネルギー供給されてよい。あるいはまたは付加的に、空気圧式または油圧式のアクチュエータが使用されてよい。
【0046】
傾斜機構によって、0°~45°、特に25°~35°の傾斜角が調節されてよい。
【0047】
傾斜角は、プラットフォームが走行する速度および曲率半径に応じて計算される。
【0048】
この計算は、ダミー要素内、プラットフォーム内またはセントラルステーション内の制御装置によりオンボードで計算され、次いで、例えば無線で伝達されてよい。
【0049】
アクチュエータ、例えばサーボモータは、ダミー要素内の中央に配置されていてよく、一つまたは二つの傾斜可能な支持ロッド(棒または管)に、例えば連結ロッドを介して連結されていてよい。
【0050】
保持ロッドまたは管(ガイド管/ガイド棒)は、例えば400mmの長さであってよく、約30mmの直径を有していてよい。
【0051】
ダミー要素は、例えば二つの保持ロッドの間の中央に配置されている。保持ロッドは、プラットフォームとダミー要素とにヒンジにより連結されている。これらの保持ロッド(ガイド管/ガイド棒)の間の間隔は、例えば200mmである。
【0052】
保持ロッド(棒)は、適切な材料選択によって、光学的に透明で、かつレーダ透過性に仕上げられている。
【0053】
保持ロッドは、回転可能な軸受によって、下側でプラットフォーム上におよび上側でダミー対象物に固定されている。軸受は、ピボットピンの縦軸を中心に回転可能である。さらに、ボールジョイントが使用されてよい。
【0054】
電力供給は、例えばダミー内の蓄電池を介して、またはプラットフォーム内の蓄電池を介して行われる。
【0055】
さらに、例えば蓄電池、および/またはダミー要素のような傾斜機構のシステム要素は、磁石固定によって、例えばプラットフォーム上に磁石によってまたは面ファスナによって固定されてよい。
【0056】
傾斜のための回転点は、地面上での載置点であるかまたはプラットフォーム上のホイールの載置点であってよい。
【0057】
衝突時のモータの過負荷は、ガイドまたは保持ロッド内での摩擦により低減される。
【0058】
本明細書に記載された実施形態は、単に本発明の可能な実施バリエーション関して制限された選択を表すにすぎないことが指摘されるべきである。したがって、個々の実施形態の特徴は、適切な様式で互いに組み合わせることが可能であるため、当業者にとって、本明細書で説明された実施バリエーションによって多数の多様な実施形態が明らかに開示されていると見なすことができる。特に、本発明のいくつかの実施形態は、装置の請求項によって、本発明の別の実施形態は、方法の請求項によって説明されている。しかしながら、当業者には、本出願を読む場合、特に他に明記されない限り、本発明の主題の一つのタイプに所属する特徴の組合せに加えてさらに、本発明の主題の異なるタイプに所属する特徴の任意の組合せも可能であることが即座に明らかになる。
【0059】
以下に、本発明の更なる説明およびより良好な理解のために、添付の図面を参照しながら実施例をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】本発明の例示的な実施例によるダミー要素としてのオートバイ運転者を備えるダミーシステムを示す。
【
図2】本発明の例示的な実施例によるダミー要素としてのオートバイ運転者を備えるダミーシステムを示す。
【
図3】本発明の例示的な実施例によるダミー要素としてのオートバイ運転者を備えるダミーシステムを示す。
【
図4】
図1~3までの実施例からの傾斜機構を示す。
【
図5】
図1~3までの実施例からの傾斜機構を示す。
【
図6】本発明の例示的な実施形態によるダミー要素としてのオートバイ運転者と、保持ロッドを有する傾斜機構とを備えるダミーシステムを示す。
【
図7】本発明の例示的な実施形態によるダミー要素としてのオートバイ運転者と、保持ロッドを有する傾斜機構とを備えるダミーシステムを示す。
【
図8】本発明の例示的な実施形態によるダミー要素としてのオートバイ運転者と、保持ロッドを有する傾斜機構とを備えるダミーシステムを示す。
【
図9】本発明の例示的な実施形態によるダミー要素としてのオートバイ運転者と、二つの個別に制御可能な保持ロッドを有する傾斜機構とを備えるダミーシステムを示す。
【
図10】本発明の例示的な実施例によるダミー要素としてのオートバイ運転者と、ヒンジによる一つの保持ロッドを有する傾斜機構とを備えるダミーシステムを示す。
【
図11】本発明の例示的な実施形態によるダミー要素としてのオートバイ運転者と、二つの保持ロッドを有する傾斜機構とを備えるダミーシステムを示す。
【
図12】本発明の例示的な実施形態によるダミー要素としてのオートバイ運転者と、二つの保持ロッドを有する傾斜機構とを備えるダミーシステムを示す。
【
図13】本発明の例示的な実施形態によるダミー要素としてのオートバイ運転者と、二つの保持ロッドを有する傾斜機構とを備えるダミーシステムを示す。
【
図14】本発明の例示的な実施形態によるダミー要素としてのオートバイ運転者と、一つの保持ロッドを有する傾斜機構とを備えるダミーシステムの側面図を示す。
【
図15】本発明の例示的な実施形態による、旋回可能な中央の支持ロッドによって形成されているダミー要素としてのオートバイの概略図を示す。
【
図16】本発明の例示的な実施形態による、連結装置として牽引ケーブルにより構成されていて、かつ二つの所属するアクチュエータを有する、ダミー要素としてのオートバイの概略図を示す。
【
図17】本発明の例示的な実施形態による、連結装置として牽引ケーブルにより形成されていて、かつ一つの共通のアクチュエータを有する、ダミー要素としてのオートバイの概略図を示す。
【
図18】本発明の例示的な実施態様による、連結装置としてベルト駆動装置により形成されている、ダミー要素としてのオートバイの概略図を示す。
【
図19】本発明の例示的な実施形態による、連結装置として支持ホイールにより形成されている、ダミー要素としてのオートバイの概略図を示す。
【
図20】本発明の例示的な実施形態による、連結装置として支持ホイールにより形成されている、ダミー要素としてのオートバイの概略図を示す。
【
図21】本発明の例示的な実施形態によるダミー要素としての自動車の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
[例示的な実施形態の詳細な説明]
異なる図面中の同じまたは類似の構成要素は、同じ符号が付与されている。これらの図面中の表示は、概略的である。
【0062】
図1~3は、本発明の例示的な実施形態によるダミー要素100としてのオートバイ運転者を備えるダミーシステムを示す。
図4および5は、
図1~3までの実施例からの傾斜機構101を示す。アクチュエータ102、例えばサーボモータは、ダミー要素100内の中央に配置されていてよく、一つまたは二つの傾斜可能な保持ロッド103、104(棒または管)に、例えば連結ロッド(例えば制御レバー107)を介して連結されていてよい。保持ロッド103、104は、旋回可能な軸受によって、下側でプラットフォーム120上に、上側でダミー要素100に固定されている。軸受は、ピボットピンの縦軸を中心として回転可能である。さらに、ボールジョイントが使用されてよい。
図5中では、例えば20°の傾斜角αが示されている。
【0063】
ダミー要素100は、プラットフォーム120上で傾斜可能に固定されている。プラットフォーム120は、少なくとも一つのローラ要素によって駆動可能であり、地面に沿って走行可能である。保持ロッド103は、例えばダミー要素100またはプラットフォーム120にしっかりと固定されている、例えばガイドレール202内で案内されてよい。保持ロッド103は、相応して傾斜角αを調節するために、ガイドレール202に対して相応して動かすことができる。さらに、保持ロッド103は、ヒンジ接続108によってプラットフォーム120に連結されていてよい。
【0064】
さらに、ダミー要素101は、操舵可能なホイール110を有していてよく、このホイールは傾斜角αに対応して操舵されてよい。
【0065】
連結装置は、
図2から
図4までに示されるように、例えば、保持ロッド103と別の保持ロッド104とにヒンジにより連結されている制御レバー107を有する。制御レバー107は、保持ロッド103と別の保持ロッド104との傾斜を調節するために、アクチュエータ102によって制御レバー107を(特に並進的に)動かすことができるように、アクチュエータ102と連結されている。プラットフォーム120上での保持ロッド103の連結点と、プラットフォーム120上での別の保持ロッド104の連結点とは、この場合、プラットフォーム120上でのダミー要素100の連結点(回転点)から離間されている。
【0066】
例えば、保持ロッド103、104はそれぞれ、ダミー要素100に固定されているガイドレール202内にガイドされている。保持ロッド103、104は、その自由端で制御レバー107とヒンジにより連結されている。アクチュエータ102が、制御レバー107を並進的に一方方向にスライドさせる場合、例えばプラットフォーム120での回転点を中心として保持ロッド103、104の旋回が引き起こされる。したがって、保持ロッド103、104のダミー要素100との別の連結を介して、同様に、ダミー要素100の傾斜が制御される。
【0067】
制御ユニット109は、地面111に対するダミー要素100の速度に基づいて、対応する傾斜角αを決定するように、ダミー要素(100)内に配置され、かつ構成されている。
【0068】
図6~8は、本発明の例示的な実施形態によるダミー要素100としてのオートバイ運転者と保持ロッド103を有する傾斜機構102とを備えるダミーシステムを示す。
【0069】
図9は、本発明の例示的な実施形態によるダミー要素100としてのオートバイ運転者と二つの個別に制御可能な保持ロッド103、104を有する傾斜機構101とを備えるダミーシステムを示す。
【0070】
図10は、本発明の例示的な実施形態によるダミー要素100としてのオートバイ運転者とヒンジによる一つの保持ロッド106を有する傾斜機構102とを備えるダミーシステムを示す。
【0071】
ヒンジによる保持ロッドは、例えば、回転可能なアクチュエータにより回転可能である第一の部分と、この第一の部分とダミー要素100とをヒンジにより連結する第二の部分とを有する。第一の部分の回転時に、第二の部分は、特に、第一の部分の回転の並進方向に(特に並進的に)動かされ、それに応じてダミー要素100の傾斜角αが調節される。
【0072】
図11~13は、本発明の例示的な実施形態によるダミー要素100としてのオートバイ運転者と二つの保持ロッド103、104を有する傾斜機構102とを備えるダミーシステムを示す。
【0073】
図14は、本発明の例示的な実施形態によるダミー要素100としてのオートバイ運転者と傾斜機構102とを備えるダミーシステムの側面図を示す。
【0074】
図15は、旋回可能な中央の保持ロッド103により形成されている、ダミー要素100としてのオートバイの概略図を示す。プラットフォーム120上での保持ロッド103の連結点(回転点)は、プラットフォーム120上のダミー要素100の連結点(回転点)と同じであってよい。
【0075】
ダミー要素100は、地面111に沿って走行可能である。さらに、ダミーシステムは、傾斜機構101を有し、傾斜機構101は、ダミー要素100が地面111に対して傾斜可能であるようにダミー要素100と連結され、かつ構成されている。ダミー要素100は、特に走行可能なプラットフォーム120上に配置されていて、傾斜機構101は、ダミー要素100と走行可能なプラットフォーム120との間で傾斜角αを調節する。
【0076】
連結装置は、保持ロッド103を有し、この保持ロッドは、保持ロッド103がアクチュエータ102によってダミー要素100の傾斜のために動くことができるように、ダミー要素100とアクチュエータ102とに連結されている。
【0077】
アクチュエータ102は、プラットフォーム120内にまたはプラットフォーム120上に配置されている。電源、特に(膨張可能な)蓄電池は、アクチュエータ102の電流供給のためにプラットフォーム内に配置されていてよい。保持ロッド103の旋回位置は、例えばアクチュエータ102によって調節されてよい。例えば、アクチュエータ102は、保持ロッド102がヒンジにより連結されている回転可能な制御ディスクである。制御ディスクの回転により、相応して保持ロッド103の旋回位置が調節されてよい。
【0078】
図16は、ダミー要素としてのオートバイの概略図を示し、このダミー要素は、連結装置としての牽引ケーブル1601、1602によって形成されていて、二つの所属するアクチュエータ102、102′を有する。あるいは、図示された配置では、牽引ケーブル1601、1602は、保持ロッド103、104として形成されていてよい。
【0079】
牽引ケーブル1601は、アクチュエータ102により牽引ケーブル1601を引っ張る際に、プラットフォーム120に対するダミー要素100の傾斜が調節可能であるようにプラットフォーム120とダミー要素100とに連結されている。相応して、別の牽引ケーブル1602は、アクチュエータ102′により牽引ケーブル1602を引っ張る際に、プラットフォーム120に対するダミー要素100の傾斜が調節可能であるようにプラットフォーム120とダミー要素100とに連結されている。プラットフォーム120上での牽引ケーブル1601の連結点と、プラットフォーム120上での別の牽引ケーブル1602の連結点とは、この場合、プラットフォーム120上でのダミー要素100の連結点(回転点)から離間されている。
【0080】
ダミー要素100は、牽引ケーブル1601と別の牽引ケーブル1602との間に配置されている。牽引ケーブル1601と別の牽引ケーブル1602とは、各々の牽引ケーブル1601、1602にそれぞれ所属しているアクチュエータ102、102′により牽引ケーブル1601を引っ張り、かつ別の牽引ケーブル1602を緩める際に、プラットフォーム120に対するダミー要素100の傾斜が調節可能であるようにプラットフォーム120とダミー要素100とに連結されている。換言すると、各々の牽引ケーブル1601、1602は、所望の傾斜角αを調節するために、ダミー要素を所望の傾斜方向に引っ張る。別の牽引ケーブル1601、1602のケーブル長さは、所望の傾斜位置でのダミー要素100の固定を引き起こす。
【0081】
アクチュエータ102、102′は、例えば、駆動可能なケーブルローラを有してよく、このケーブルローラにより、牽引ケーブル1601、1602は巻き取り可能で、かつ繰り出し可能である。
【0082】
図17は、
図16からの実施例の場合と同様に、連結装置としての牽引ケーブル1601、1602によって形成されているダミー要素100としてのオートバイの概略図を示す。しかしながら、牽引ケーブル1601、1602は、一つの共通のアクチュエータ102を有する。アクチュエータ102は、例えば駆動可能なケーブルローラとして形成されていてよく、両方の牽引ケーブル1601、1602は、このケーブルロールに巻き取られる。両方の牽引ケーブル1601、1602は、ケーブルローラ上で異なる巻き取り方向を有する。ケーブルローラの一方方向への回転は、一方の牽引ケーブル1601の巻き取りを引き起こし、他方の牽引ケーブル1602の繰り出しを引き起こす。あるいは、牽引ケーブル1601、1602は、ケーブルローラ上の一つの領域内で巻き取られているかまたはその領域に固定されている一つの共通の牽引ケーブルにより形成されていてよい。
【0083】
図18は、連結装置としてのベルト駆動装置によって形成されているダミー要素100としてのオートバイの概略図を示す。連結装置は、一つの制御ベルト1801と三つ(またはより多く)の離間されたベルトプーリ1802とを有し、これらのベルトプーリの周りを制御ベルト1801が案内されている。一つのベルトプーリ1802は、ダミー要素に固定されていて、二つのベルトプーリ1802は、ダミー要素100の対峙する側でプラットフォーム120上に配置されている。アクチュエータ102は、ベルトプーリの制御のために、ベルトプーリ1802の回転時に、プラットフォーム120に対するダミー要素100の傾斜が調節可能であるように、ベルトプーリ1802の少なくとも一つに連結されている。したがって、ダミー要素100を所望の傾斜角αで正確に調節することができるベルト駆動装置が達成される。さらに、制御ベルト1801は、二つのベルトプーリ1802だけにより案内されてもよく、一方のベルトプーリ1802はダミー要素に固定されていて、他方のベルトプーリ1802は、プラットフォーム120上に配置されている。
【0084】
制御ベルト1801は、この場合、歯付きベルトとして構成されていてよく、ベルトプーリ1802は、相応して噛み合う歯を有していてよい。
【0085】
図19および
図20は、連結装置としての支持ホイール1901により形成されているダミー要素100としてのオートバイの概略図を示す。支持ホイール1901は、例えば、相応する保持ロッド103、104を介してダミー要素100に連結されている。ダミー要素100は、特に保持ロッド103と別の保持ロッド104との間に配置されている。保持ロッド103、104は、支持ホイール1901とダミー要素100との間のその長さが調整可能で、かつ旋回可能である。保持ロッド103、104の長さは、アクチュエータ102によって調節可能である。保持ロッド103、104の長さに依存して、ダミー要素100は相応して傾斜する。
【0086】
連結装置の実施態様に基づき、この連結装置は、例えば、地面上での摩擦を低減するために、ローラによって地面111に直接支持されていてよい。したがって、走行可能なプラットフォーム120を必要とせずに、地面111に沿って直接走行する、傾斜可能なオートバイダミー100が提供されてよい。
【0087】
図21は、ダミー要素100としての自動車の概略図を示す。自動車は、車体2101と少なくとも一つのホイール2102を有し、傾斜機構101により、車体2101とホイール2102との間の間隔が調節可能である。傾斜機構101は、特に自動車のショックアブゾーバ2103内に組み込まれている。さらに、傾斜機構101は、保持ロッド103を有し、保持ロッドは、ホイール2102と車体2101との間で収縮可能および伸長可能に配置されている。さらに、ホイール2102の反対側に別のホイール2102′が設けられていてよく、傾斜機構101により、車体2101と別のホイール2102′との間隔が調節可能である。ホイール2102と車体2101との間の間隔が短縮され、ホイール2102′と車体2101との間の間隔が伸長される場合、傾斜角αが調節される。したがって、コーナリング時でまたはブレーキ操作時でも自動車のピッチングがシミュレートされてよい。
【0088】
補足的に、「含む(umfassend)」は、他の要素またはステップを除外するものではなく、かつ「一つ(eine)」または「一つ(ein)」は複数を除外するものではないことを指摘する。さらに、先の実施例の一つを参照して説明される特徴またはステップは、先に記載された別の実施例の別の特徴またはステップと組み合わせて使用されてもよいことを指摘する。特許請求の範囲の符号は、限定とは見なされない。
【符号の説明】
【0089】
100 ダミー要素
101 傾斜機構
102 アクチュエータ/制御ディスク
103 保持ロッド
104 別の保持ロッド
106 ヒンジによる保持ロッド
107 制御レバー
108 ヒンジ接続
109 制御ユニット
110 操舵可能なホイール
111 地面
120 走行可能なプラットフォーム
201 ガイドレール/スリーブ
1601 牽引ケーブル
1602 別の牽引ケーブル
1801 制御ベルト
1802 ベルトプーリ
1901 支持ロール
2101 車体
2102 ホイール
2103 ショックアブゾーバ