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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】薄肉チューブ容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 35/10 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
B65D35/10 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019160231
(22)【出願日】2019-09-03
(65)【公開番号】P2021037988
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三好 征記
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 実
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-225853(JP,A)
【文献】特開2012-162283(JP,A)
【文献】特開2000-006963(JP,A)
【文献】特開2002-053151(JP,A)
【文献】実開昭61-166926(JP,U)
【文献】実開平04-038955(JP,U)
【文献】特開2011-046441(JP,A)
【文献】特開2012-025471(JP,A)
【文献】実開昭61-186519(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1のバリア層と、溶着可能な最内層とを有する多層のプラスチックフィルムからなり、一端が閉塞され、内容物を収容することができる筒状の胴部と、
先端が開口した筒状の口筒部と、該口筒部の根元から径方向外側に張り出したフランジ部と、を有し、前記口筒部の根元側が封鎖板により開封可能に封鎖されている肩部と、
少なくとも第2のバリア層を有する所定の形状の単層または多層のプラスチックフィルムからなり、その中央部に、前記口筒部が容器外側に突出する向きで、前記肩部の前記フランジ部が隙間なく接着され、前記フランジ部より外方に広がるフランジ拡張部と、
前記肩部の容器内面側の全面を覆う第3のバリア層とを有し、
前記胴部の他端の前記最内層に前記フランジ拡張部の外周端部が隙間なく接着されており、
前記フランジ拡張部の中央部に孔を有し、前記口筒部が前記孔を通って容器外側に突出し、前記フランジ部が、前記孔の縁部で前記フランジ拡張部の容器内側面に接着され、前記口筒部の根元に前記封鎖板が設けられて口筒部を封鎖し、該封鎖板には薄肉部が周回して設けられ、前記フランジ部および前記封鎖板の容器内側面に前記第3のバリア層が積層されており、
前記フランジ拡張部の外周端部に接着された前記胴部の最内層の厚みが、前記胴部の非接着部の最内層の厚みより薄くなり、前記第1のバリア層と前記第2のバリア層とが近接していることを特徴とするチューブ容器。
【請求項2】
少なくとも第1のバリア層と、溶着可能な最内層とを有する多層のプラスチックフィルムからなり、一端が閉塞され、内容物を収容することができる筒状の胴部と、
先端が開口した筒状の口筒部と、該口筒部の根元から径方向外側に張り出したフランジ部と、を有し、前記口筒部の根元側が封鎖板により開封可能に封鎖されている肩部と、
少なくとも第2のバリア層を有する所定の形状の単層または多層のプラスチックフィルムからなり、その中央部に、前記口筒部が容器外側に突出する向きで、前記肩部の前記フランジ部が隙間なく接着され、前記フランジ部より外方に広がるフランジ拡張部と、
前記肩部の容器内面側の全面を覆う第3のバリア層とを有し、
前記胴部の他端の前記最内層に前記フランジ拡張部の外周端部が隙間なく接着されており、
前記フランジ拡張部の中央に孔を有し、前記フランジ部が、前記孔の縁部で前記フランジ拡張部の容器外側面に接着され、前記口筒部の根元に前記封鎖板が設けられて口筒部を封鎖し、該封鎖板には薄肉部が周回して設けられ、前記フランジ部および前記封鎖板の容器内側面に前記第3のバリア層が積層されており、
前記フランジ拡張部の外周端部に接着された前記胴部の最内層の厚みが、前記胴部の非接着部の最内層の厚みより薄くなり、前記第1のバリア層と前記第2のバリア層とが近接していることを特徴とするチューブ容器。
【請求項3】
前記胴部の他端が内側に折曲げられ、前記フランジ拡張部の外周端部が、折曲げられた前記胴部の他端の容器内側面に接着されていることを特徴とする請求項1または2に記載のチューブ容器。
【請求項4】
前記封鎖板の容器外部側の面にプルリングが立設されていることを特徴とする請求項1または2に記載のチューブ容器。
【請求項5】
前記肩部は、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、シクロオレフィン樹脂、シクロオレフィン共重合樹脂のいずれかからなっていることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のチューブ容器。
【請求項6】
前記胴部は、最内層がポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、シクロオレフィン樹脂、シクロオレフィン共重合樹脂のいずれかからなっていることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のチューブ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ容器に関するもので、特に薄肉でバリア性に優れ、容量の異なるチューブ容器を構成するのが容易なチューブ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、医薬品、化粧品、食品等を充填して包装することができるチューブ容器が知られている。チューブ容器は、一般に一端が閉塞されかつ他端が開口した筒状の胴部と、胴部の開口他端に溶着等により取り付けられた、胴部の開口から離れるにしたがって外径が小さくなるテーパー形状に形成された肩部と、肩部の略中央に立設される口筒部とを含む。口筒部の胴部と反対側には、内容物を取り出すことができる開口部が設けられ、チューブ容器の使用者は胴部を押し潰すことにより、開口部から内容物を絞り出すことができる(特許文献1参照)。
【0003】
したがって、胴部は押し潰しやすいように比較的薄肉で柔軟な積層フィルムで構成されるのが一般的である。一方、肩部、口筒部などは、キャップを取り付けてチューブ容器を封止するために保形性が必要であることなどから、樹脂成型体で構成されるのが一般的であり、射出成型、コンプレッション成型などの方法で肉厚に形成されることが多い。
【0004】
またチューブ容器は、内容物の品質保持のため、胴部を構成する積層フィルムにバリア層が設けられることがある。バリア層は、バリア性樹脂層、金属箔、金属や無機酸化物の蒸着層などを積層する等、種々の方法で設けることができる。またさらに、肩部や口筒部にも、その成型時に内面にガスバリア性を有する積層体であるメンブランを挿入するなどして、バリア層が設けられることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-199280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし薄肉の胴部の開口他端に肉厚の成型体である肩部を溶着等により取り付けたとき、図8に示す様に、胴部100のフィルムと、肩部110に挿入されたバリア層111が連結できず、バリア層がなく、バリア性の無い樹脂の隙間112が形成されてしまっていた。この様な隙間112が形成されると、空気等が侵入、侵出する恐れがありチューブ容器のバリア性の保証が困難となり、問題となっていた。
【0007】
また、肩部や口筒部を成型加工で作成する場合、チューブ容器の形状や容量等の設計仕様に合わせてそれぞれ成形型を用意しなければならず、また成型条件などを設定する必要があり、手間がかかり、コスト高にもなっていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、少なくともバリア層を有する単層または多層のプラスチックフィルムからなり、一端が閉塞され、内容物を収容することができる筒状の胴部と、
先端が開口した筒状の口筒部と、該口筒部の根元から径方向外側に張り出したフランジ部と、を有する肩部と、
少なくともバリア層を有する所定の形状の単層または多層のプラスチックフィルムからな
るフランジ拡張部と、を有し、
前記胴部の他端に前記フランジ拡張部の外周端部が隙間なく接着され、
前記フランジ拡張部の中央部に、前記肩部が、前記口筒部が容器外側に突出する向きに前記フランジ部で隙間なく接着され、
前記肩部の容器内側面がバリア層で覆われ、
前記口筒部の根元側が開封可能に封鎖されていることを特徴とするチューブ容器である。
【0009】
胴部と肩部が、フランジ拡張部を間に介する態様で互いに隙間なく接着されることで内容物を密封できるチューブ容器が得られ、胴部とフランジ拡張部がバリア層を有することで良好なバリア性を有し、かつ、フランジ拡張部はプラスチックフィルムからなるため肉厚の成型部材よりもバリア層を設けるのが容易であり、また胴部とフランジ拡張部を、バリア層間の隙間が少なく接着することが容易に確実に行える。
【0010】
また形状や容量が異なるチューブ容器を作製する場合も、肩部は共通の形状として、形状の変更が容易なプラスチックフィルムからなるフランジ拡張部の形状や大きさを変えることで作製でき、肩部の成形型を新たに準備する必要がなく、手間がかからず、コスト面でも有利である。
【0011】
上記チューブ容器において、前記胴部の他端が内側に折曲げられ、前記フランジ拡張部の外周端部が、折曲げられた前記胴部の他端の容器内側面に接着されていても良い。前記肩部フランジ拡張部の外周端部と前記胴部の他端の内側面を広い接触面積で超音波シールや熱板シールなどのヒートシール方法でバリア層同士を強く確実に、またバリア層を近接した状態で接着させることができる。
【0012】
上記チューブ容器において、前記フランジ拡張部の中央部に孔を有し、前記口筒部が前記孔を通って容器外側に突出し、前記フランジ部が、前記孔の縁部で前記フランジ拡張部の容器内側面に接着され、前記口筒部の根元に封鎖板が設けられて口筒部を封鎖し、該封鎖板には薄肉部が周回して設けられ、前記フランジ部および前記封鎖板の容器内側面にバリア層が積層されていても良い。孔の部分でも肩部にバリア層を有しているため、バリア性が損なわれない。
【0013】
上記チューブ容器において、前記フランジ拡張部の中央に孔を有し、前記フランジ部が、前記孔の縁部で前記フランジ拡張部の容器外側面に接着され、前記口筒部の根元に封鎖板が設けられて口筒部を封鎖し、該封鎖板には薄肉部が周回して設けられ、前記フランジ部および前記封鎖板の容器内側面にバリア層が積層されていても良い。孔の部分でも肩部にバリア層を有しているため、バリア性が損なわれない。
【0014】
前記封鎖板の容器外部側の面にプルリングが立設されていても良い。プルリングを引くことで薄肉部を破断して封鎖板を取り去ることができ、容器を容易に開口させることができる。
【0015】
上記チューブ容器において、前記フランジ拡張部が孔の無いフィルムであり、前記口筒部の開口が根元側まで貫通していても良い。薄いフィルムのフランジ拡張部で封鎖されており、容易に切裂くことができ開封しやすい。
【0016】
上記チューブ容器において、前記肩部は、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、シクロオレフィン樹脂、シクロオレフィン共重合樹脂のいずれかからなっていても良い。
【0017】
上記チューブ容器において、前記胴部は、最内層がポリエチレン樹脂、ポリエチレンテ
レフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、シクロオレフィン樹脂、シクロオレフィン共重合樹脂のいずれかからなっていても良い。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、胴部とフランジ拡張部にバリア層を有し、胴部とフランジ拡張部が共にプラスチックフィルムからなるため容易にバリア層間に隙間を少なく接着することができ、肩部の容器内側面もバリア層で覆われているため、良好なバリア性を保証でき、容量や形状の異なるチューブ容器を作製する場合は、肩部を共通部材として使用でき、プラスチックフィルム製のフランジ拡張部を変更することで作製できるため、成形型を新たに作成する必要がなく、作製の手間がかからないチューブ容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明のチューブ容器の一形態の略示断面図。
図2】本発明のチューブ容器の一形態の肩部の略示断面図。
図3】本発明のチューブ容器の一形態の胴部とフランジ拡張部の接着部の拡大図。
図4】本発明のチューブ容器の一形態の構成の略示説明図。
図5】本発明のチューブ容器の第二の形態の肩部の略示断面図。
図6】本発明のチューブ容器の第三の形態の肩部の略示断面図。
図7】本発明のチューブ容器の第三の形態を開封する態様の略示断面図。
図8】従来のチューブ容器の肩部の略示断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また以下において同等の部材等には同一の符号を付して説明を省略することがある。
【0021】
図1は、本発明のチューブ容器の一形態の略示断面図である。また図2はその肩部の略示断面図である。チューブ容器1は、一端である底部14が閉塞された筒状の胴部10と、胴部10の他端に形成された折曲げ部13に溶着により容器内側から接着されたフランジ拡張部30と、フランジ拡張部30の中央部に設けられた孔に容器内側から挿入されて接着された肩部20とを有する。チューブ容器1は、図示しないキャップを肩部20の口筒部21に取り付けて用いることができる。キャップは、図1に例示した様なネジ条26と螺合するネジキャップに限らず、ヒンジキャップや打栓キャップなど、公知のキャップから適宜選択して採用できる。
【0022】
肩部20は、先端が開口部23となって開口している筒状の口筒部21と、口筒部21の根元から径方向外側に張り出したフランジ部22とを有し、口筒部21の根元の内側には封鎖板24が設けられて口筒部21を封鎖している。封鎖板24には薄肉部25が円環状に設けられているため、薄肉部25を切り裂くことで封鎖板24を取り外し、口筒部21を開口させ、内容物を注出できる様にすることができる。薄肉部25を容易に切り裂けるように、図示しないプルリングを封鎖板上に立設することができる。口筒部21の外周には、一例として図示しないキャップを螺合させるためのネジ条が形成されている。
【0023】
フランジ部22は、口筒部21の根元から径方向外側に張り出して取り巻くように形成され、後述するフランジ拡張部30の容器内側面と隙間なく接着されている。また、容器内側面にバリア層27が形成されており、肩部にバリア性を付与している。バリア層27は、公知のガスバリア性の樹脂層、例えばポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂層をコーティング等の手法により設けることができ、また、真空蒸着などの真空プロセスにより金属や無機酸化物の蒸着膜を設けることによっても形成できる。
【0024】
肩部20は、上述のように複雑な形状であるため、特に限定するものではないが、例えば射出成型、コンプレッション成型などの成型方法により効率的に作成することができる。また肩部20を構成する樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、シクロオレフィン樹脂、シクロオレフィン共重合樹脂などを例示することができる。
【0025】
フランジ拡張部30は、一例として、バリア層を有する所定の形状の単層または多層のプラスチックフィルムからなる。フランジ拡張部30は、上記の例に限定されず、少なくともバリア層を有する所定の形状の単層または多層のプラスチックフィルムであれば好適に適用できる。従来、チューブ容器の形状や容量を変更するには、肩部の成形型をそれに合わせて新たに作製しなければならなかったが、本発明のチューブ容器では、フランジ拡張部30の形状を、円形、楕円形、多角形など任意の形状に適宜設定することで、胴部10の断面形状がそれに応じて変わるため、容器の形状を変えることが容易に、かつ低コストでできる。フランジ拡張部30は、特に限定するものではないが、例えば上記に例示した様なガスバリア性の樹脂の単層で構成しても良いし、特に図示していないが、基材フィルムにガスバリア性樹脂層をコーティングにより設ける、金属蒸着層や無機酸化物蒸着層を設けるなどの方法で作製しても良い。またガスバリアフィルムとして市販されているものを適宜採用することもできる。
【0026】
フランジ拡張部30は、外周端部で胴部10の他端、すなわち底部14と反対側の端部と、隙間なく接着されている。一例として、フランジ拡張部30の外周端部が、胴部10の他端が容器内側に折り曲げられた折曲げ部13の容器内側面に接着される。フランジ拡張部30は、外周端部で折曲げ部13と広い接触面積で接着でき、またテーパーのない平坦な形状であるため、接着に際して超音波シールや熱板シールなどのヒートシール方法で強く確実に接着させることができる。また図3は、図2の円Aの部分の拡大図であるが、図3に示す様に、接触面積が広いため空気等が侵入する場合は折曲げ部の幅Bを通過しなければならないため侵入が困難となってバリア性が高まり、またヒートシールにより胴部の基材層11、バリア層16、最内層12とフランジ拡張部30が貼り合わせられると、その熱圧により、接着面31の部位では最内層12などが本来の厚みよりも薄くなる肉痩せを生じることで、バリア層がより近接する結果となり、バリア層同士を強く確実に、またバリア性がより高まった状態で接着させることができる。
【0027】
胴部10は、一例として、バリア層を有する多層のプラスチックフィルムからなり、底部14が閉塞された、図示しない内容物を収容することができる収納部15を有する筒状の部材である。胴部10は、上記の例に限定されず、総厚み30~250μmとなる様に形成された一般的なパウチに使用される単層または多層のプラスチックフィルムであれば好適に適用できる。ここで胴部10は、最外層にバリア層を有する基材11を有し、最内層12に、折曲げ部13に溶着によりフランジ拡張部30を取り付けるため、また底部14を接着して閉塞するため、溶着可能な材料を含む様に構成される。最内層12に含まれる樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、シクロオレフィン樹脂、シクロオレフィン共重合樹脂などを例示できる。最外層の基材層11と最内層12とは同一の樹脂材料で構成されても、異なる樹脂材料で構成されても良い。
【0028】
胴部10は、上述の様にフィルムやその積層体を用いて形成できる。より詳細には、フィルムを筒状にした後、底部14と、胴部10の筒周方向の端縁とのそれぞれにおいてフィルムどうしを接着することにより形成することができる。フィルムどうしの接着方法は、特に限定されないが、ヒートシールやテープによる貼り合せ等の方法を用いることができる。また、胴部10の筒周方向の端縁においてフィルムを接着する際には、フィルムの最内層同士が対向するように接着してもよいし(合掌シール)、フィルムの最内層と最外層とが対向するように接着してもよい(封筒シール)し、フィルムの端部どうしを突き合わせて接着してもよい。胴部10は、一例としてフィルムの最内層同士を対向させて接着し、これを胴部10に沿うように倒した貼合わせ部を有する。
【0029】
図4は、本発明のチューブ容器の一形態の構成の略示説明図であり、上述の様なチューブ容器を構成する手順を略示的に示したものである。胴部10は、単層または多層構成のフィルムを丸めて端部の貼合わせ部17で貼り合わせて筒状とする。肩部20は、フランジ拡張部30の中央部の孔32に口筒部21をチューブ容器の内側から挿入してフランジ部22でフランジ拡張部30の孔32の縁の部分と接着される。肩部20を接着したフランジ拡張部30を胴部10に挿入し、胴部上端を内側に折り曲げた折曲げ部13が、フランジ拡張部30の外周端部をチューブ容器の外側から覆う様に重ねてヒートシールする。胴部10の底部14は平坦に押しつぶして接着し、チューブ容器を閉塞するが、実際に容器として使用する場合は、底部側から内容物を充填してから閉塞するのが一般的である。以上の手順は本発明のチューブ容器の構成を説明するためのもので、実際に容器を作製する場合は異なる手順であっても良い。
【0030】
図5は、本発明のチューブ容器の第二の形態の肩部の略示断面図である。本実施形態のチューブ容器2では、肩部20が、フランジ拡張部30の中央部に設けられた孔の縁部にフランジ部22が対向する様に、チューブ容器外側から載置され、フランジ拡張部30とフランジ部22が隙間なく接着されている。肩部20の容器内側面にはバリア層27が設けられ、肩部20にバリア性を付与している。口筒部21の根元の内側には封鎖板24が設けられて口筒部21を封鎖している。封鎖板24には薄肉部25が円環状に設けられているため、薄肉部25を切り裂くことで封鎖板24を取り外し、口筒部21を開口させ、内容物を注出できる様にすることができる。その他の部位について、前述の実施形態と同様の構成であって良い。
【0031】
図6は、本発明のチューブ容器の第三の形態の肩部の略示断面図である。本実施形態のチューブ容器3においては、フランジ拡張部30bが所定の形状の孔の無いフィルムであり、少なくともバリア層を有する構成である。フランジ拡張部30bは単層であっても多層であっても良い。肩部20bの口筒部21の開口部23の開口は、根元側まで貫通しており、封鎖板が設けられていない。肩部20bはフランジ拡張部30bの中央部に載置され、チューブ容器外部側からフランジ部22で隙間なく接着されている。従って開口部23の下端はフランジ拡張部30bの口筒部21の下端に位置する部分33で封鎖された態様である。
【0032】
チューブ容器3を開封するには、図7に示す様に、別部材の刺突部材で口筒部21の下端に位置する部分33を刺突し、または切裂くことで開封することができる。刺突部材は別部材としてチューブ容器3に添付されても良く、あるいはキャップ40の一部に刺突部材41を形成して、キャップ40を変形させることで刺突部材41が口筒部21の下端に位置する部分33を刺突して開封する様にすることもできる。刺突部材41の形状は針状、十字状、V字状、C字状などでも良く、特に限定されない。
【符号の説明】
【0033】
1、2、3・・・チューブ容器
10・・・胴部
11・・・基材層
12・・・最内層
13・・・折曲げ部
14・・・底部
15・・・収納部
16・・・バリア層
17・・・貼合わせ部
20、20b・・・肩部
21・・・口筒部
22・・・フランジ部
23・・・開口部
24・・・封鎖板
25・・・薄肉部
26・・・ネジ条
27・・・バリア層
30、30b・・・フランジ拡張部
31・・・接着面
32・・・孔
33・・・口筒部の下端に位置する部分
40・・・キャップ
41・・・刺突部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8