(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】収納体
(51)【国際特許分類】
B65D 25/20 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
B65D25/20 K
(21)【出願番号】P 2019166481
(22)【出願日】2019-09-12
【審査請求日】2022-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】松保 諒
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-144318(JP,A)
【文献】特開2002-234542(JP,A)
【文献】特開2011-170714(JP,A)
【文献】特開2007-261664(JP,A)
【文献】特開2002-298117(JP,A)
【文献】特開2017-190138(JP,A)
【文献】特開2012-198589(JP,A)
【文献】特開2007-293797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を具備する収納部と、前記開口部を塞ぐ蓋とを有する収納体において、
前記収納部及び前記蓋は、前記開口部が前記蓋によって塞がれて前記収納体が密閉された閉じ状態にて互いに対向し、前記収納体が前記閉じ状態から開封される際に互いに離間する対向部をそれぞれ具備し、
さらに、
前記収納部及び前記蓋の一方の前記対向部に取り付けられた第1の検知手段と、
前記収納部及び前記蓋の他方の前記対向部に、前記閉じ状態にて前記第1の検知手段に対向するように取り付けられた第2の検知手段とを有し、
前記第1の検知手段は、
基材に形成された通信用アンテナと、
前記基材に形成された2本のセンサー配線と、
前記通信用アンテナに接続されるとともに前記2本センサー配線のそれぞれの一端に接続され、前記2本のセンサー配線間の導通状態を検出し、その検出結果を
、前記第1の検知手段が取り付けられた収納体を特定するための識別情報とともに前記通信用アンテナを介して非接触送信する検出手段と、
導電性材料から構成され、前記2本のセンサー配線のそれぞれの他端に電気的に接続された2つの導通手段とを有し、
前記第2の検知手段は、導電性材料から構成され、前記閉じ状態にて前記2つの導通手段を跨って対向するように設けられ、
前記導通手段及び前記第2の検知手段は、互いに係合
と離間とが繰り返し可能に構成され、または
、互いに吸着と離間とが繰り返し可能に構成され、前記導通手段と前記第2の検知手段とが係合または吸着することで前記閉じ状態が固定され、
前記2本のセンサー配線は、
前記導通手段と前記第2の検知手段とが係合していないまたは吸着していない場合は導通しておらず、前記導通手段と前記第2の検知手段とが係合または吸着することで
前記導通手段及び前記第2の検知手段を介して互いに導通することを特徴とする収納体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部を具備する収納部と開口部を塞ぐ蓋とを有する収納体に関し、特に、開封された状態を検知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の流通産業の発達に伴い、様々な物品等が陸送されたり空輸されたりしている。物品等の輸送においては、いわゆる宅配等に限らず、企業内においても事業所や営業所間にて書類や物品のやりとりに利用されている。その場合、いわゆる通い箱等といった予め決められた箱に書類や物品が収容されて輸送されることが考えられる。
【0003】
このように箱に書類や物品が収容された輸送される場合、箱を構成する容器に書類や物品が収容された後、容器の開口部が蓋によって閉じられ、それにより、箱に収容された物品や書類が輸送途中にて脱落することが回避されている。
【0004】
ここで、収納部と蓋とを有し、ICチップを用いて蓋の開閉状態を判断する非接触ICタグ付き収納箱が、特許文献1に開示されている。この非接触ICタグ付き収納箱においては、収納部の壁面と蓋とに、それぞれほぼ同一の面積を有するパターンで構成されたアンテナが形成され、収納部の壁面には、ICチップが固定されてICチップの接続端子と収納部の壁面に形成されたアンテナとが電気的に接続され、一方、蓋のフラップ部には、アンテナ接続回路が形成され、このアンテナ接続回路が蓋に形成されたアンテナと電気的に接続され、さらに、収納部の壁面であって、蓋を閉じた状態とした際にフラップ部に形成されたアンテナ接続回路と対向する部分に、アンテナ接続回路と電気的に導通する接続回路が形成されている。
【0005】
そして、蓋が開いた状態では、ICチップは、収納部の壁面に形成されたアンテナと接続回路とにのみ接続されている一方、フラップが収納部に差し込まれて蓋が閉じられた状態では、ICチップは、収納部の壁面に形成されたアンテナの他に、収納部の壁面に形成された接続回路及びフラップ部に形成されたアンテナ接続回路を介して蓋に形成されたアンテナに接続されることになる。これにより、蓋を閉じた状態と開いた状態とでは、アンテナとして機能する導電領域の面積が異なることにより、通信距離が変化し、その通信距離に基づいて蓋の開閉状態を判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された技術においては、通信距離の変化に基づいて蓋の開閉状態を判断するものであるため、周辺環境の影響を受け、開閉状態を正確に判断することができない虞があるとともに、ICチップが破損していることで通信できない場合であっても、所定の距離にて通信ができないとして蓋が開いた状態であると判断されてしまう虞もある。また、蓋が開いた状態では所定の距離にて通信ができないため、開閉状態を判断する際に、ICチップに箱を特定するためのIDが書き込まれており、そのIDを送信することで箱を特定する場合、蓋が開いた状態の箱のICチップに書き込まれたIDは外部装置にて受信されないこととなり、それにより、蓋が開いた箱がどの箱であるかをデータベース等を参照しなければ特定することができないという問題点がある。
【0008】
また、蓋が閉じられた状態では、フラップが収納部に差し込まれているだけであるため、蓋が閉じられた状態が安定していない。そのため、開閉状態を安定して判断することができないとともに、蓋が閉じられたと判断された後に箱が積み上げられた状態から箱が崩れてしまうと、蓋が不用意に開いてしまう虞があり、その場合、蓋が開いた旨を認識することができず、現在の開閉状態を正確に判断することができなくなってしまうという問題点がある。
【0009】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、収納体の密閉状態と開封状態とを、データベース等を参照することなく収納体を特定し、かつ、周辺環境を受けずに安定して繰り返し判断することができる収納体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、
開口部を具備する収納部と、前記開口部を塞ぐ蓋とを有する収納体において、
前記収納部及び前記蓋は、前記開口部が前記蓋によって塞がれて前記収納体が密閉された閉じ状態にて互いに対向し、前記収納体が前記閉じ状態から開封される際に互いに離間する対向部をそれぞれ具備し、
さらに、
前記収納部及び前記蓋の一方の前記対向部に取り付けられた第1の検知手段と、
前記収納部及び前記蓋の他方の前記対向部に、前記閉じ状態にて前記第1の検知手段に対向するように取り付けられた第2の検知手段とを有し、
前記第1の検知手段は、
基材に形成された通信用アンテナと、
前記基材に形成された2本のセンサー配線と、
前記通信用アンテナに接続されるとともに前記2本センサー配線のそれぞれの一端に接続され、前記2本のセンサー配線間の導通状態を検出し、その検出結果を、前記第1の検知手段が取り付けられた収納体を特定するための識別情報とともに前記通信用アンテナを介して非接触送信する検出手段と、
導電性材料から構成され、前記2本のセンサー配線のそれぞれの他端に電気的に接続された2つの導通手段とを有し、
前記第2の検知手段は、導電性材料から構成され、前記閉じ状態にて前記2つの導通手段を跨って対向するように設けられ、
前記導通手段及び前記第2の検知手段は、互いに係合と離間とが繰り返し可能に構成され、または、互いに吸着と離間とが繰り返し可能に構成され、前記導通手段と前記第2の検知手段とが係合または吸着することで前記閉じ状態が固定され、
前記2本のセンサー配線は、前記導通手段と前記第2の検知手段とが係合していないまたは吸着していない場合は導通しておらず、前記導通手段と前記第2の検知手段とが係合または吸着することで前記導通手段及び前記第2の検知手段を介して互いに導通することを特徴とする。
【0011】
上記のように構成された本発明においては、収納部の開口部が蓋によって塞がれて収納体が密閉された閉じ状態では、収納部と蓋のそれぞれの対向部に取り付けられた第1の検知手段と第2の検知手段とが互いに対向している。その場合、第2の検知手段が第1の検知手段の2つの導通手段を跨って対向してこれらが互いに係合または吸着していることで、第1の検知手段の2本のセンサー配線間が導通手段及び第2の検知手段を介して導通し、その旨が検出手段にて検出されて通信用アンテナを介して非接触送信される。この際、検出手段からは、収納体を特定するためのID等が非接触送信されることで、収納体が特定される。また、この状態においては、導通手段と第2の検知手段とが係合または吸着していることで、収納体の閉じ状態が固定されており、それにより、閉じ状態が安定しており、収納体が不用意に開封してしまうことがない。この状態から収納体が開封されると、収納部と蓋の対向部が互いに離間する。すると、第1の検知手段の導通手段と第2の検知手段とが離間し、それにより、2本のセンサー配線間が導通していない状態となり、その旨が検出手段にて検出されて通信用アンテナを介して非接触送信される。この場合も、検出手段からは、収納体を特定するためのID等が非接触送信されることで、収納体が特定される。そして、2本のセンサー配線が導通している状態である場合は、収納体が密閉された閉じ状態であると判断され、2本のセンサー配線が導通していない状態である場合は、収納体が開封された状態であると判断されることになる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1の検知手段の2本のセンサー配線間が、収納部の開口部が蓋によって塞がれて収納体が密閉された閉じ状態では、第2の検知手段が第1の検知手段の2つの導通手段を跨って対向してこれらが係合または吸着していることで導通手段及び第2の検知手段を介して導通し、一方、収納体が開封された状態では導通していない状態となり、その旨を非接触送信することで収納体の密閉状態と開封状態とが判断される。そのため、収納体が密閉状態であっても開封状態であっても2本のセンサー配線間の導通状態が非接触送信され、その導通状態に基づいて収納体の密閉状態と開封状態とが判断されることとなり、それにより、収納体の密閉状態と開封状態とを、周辺環境を受けずに繰り返し判断することができる。またその際、収納体が密閉された状態においても開封された状態においても、2本のセンサー配線間の導通状態とともに、収納体を特定するためのID等を非接触送信することができるため、データベース等を参照することなく収納体を特定することができる。さらに、収納体が密閉された閉じ状態においては、導通手段と第2の検知手段とが係合または吸着することで、箱の閉じ状態が固定されているため、収納体が不用意に開封してしまうことがなく、収納体の密閉状態と開封状態とを安定して判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の収納体の第1の実施の形態を示す図であり、(a)は密閉された状態を示す外観斜視図、(b)は開封された状態を示す外観斜視図、(c)はICラベルの構成を示す図である。
【
図3】
図1に示した輸送箱の使用時の作用を説明するための図であり、(a)は輸送箱が密閉された閉じ状態におけるICラベルの状態を示す図、(b)は輸送箱が開封された状態におけるICラベルの状態を示す図である。
【
図4】本発明の収納体の第2の実施の形態を示す図であり、(a)は密閉された状態を示す外観斜視図、(b)は開封された状態を示す外観斜視図、(c)はICラベルの構成を示す図である。
【
図5】本発明の収納体の第3の実施の形態を示す図であり、(a)は密閉された状態を示す外観斜視図、(b)は開封された状態を示す外観斜視図、(c)はICラベルの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の収納体の第1の実施の形態を示す図であり、(a)は密閉された状態を示す外観斜視図、(b)は開封された状態を示す外観斜視図、(c)はICラベル10の構成を示す図である。
図2は、
図1に示した輸送箱1の展開図である。
【0016】
本形態は
図1及び
図2に示すように、容器3と蓋2とが連結して構成された輸送箱1である。
【0017】
容器3は、本願発明にて収納部となるものであって、4つの側壁3a~3dと底面4とを有し、底面4の4つの端辺に側壁3a~3dが起立した状態となることで、物品が収容される収容スペースを構成する。
図2に示すように、4つの側壁3a~3dはこの順で折畳み可能に連接している。側壁3aの側壁3bとの連接辺に隣接する辺には補助部3g,3iが連接しており、側壁3bの側壁3aとの連接辺に隣接する辺の一方には底面4が連接しており、側壁3cの側壁3bとの連接辺に隣接する辺には補助部3h,3jが連接している。また、側壁3dの側壁3cとの連接辺に隣接する辺の一方の辺には蓋2が連接しており、他方の辺には底面補強部4aが連接しており、側壁3dの側壁3cとの連接辺に対向する辺には補助部3fが連接している。さらに、蓋2の側壁3dとの連接辺に対向する辺には、蓋2側の対向部となるフラップ部2aが連接しており、底面補強部4aの側壁3dとの連接辺に対向する辺には補助部4bが連接している。
【0018】
そして、それぞれの連接辺が折り畳まれることで、
図1に示した形態の輸送箱1となる。その際、補助部3fが側壁3aの一部に重なって側壁3aに固定され、補助部3i,3jがそれぞれ底面4の一部に重なって底面4に固定され、補助部4bが側壁3bの一部に重なって側壁3bに固定され、底面補強部4aが底面4に重なって底面4に固定されることになる。これにより、容器3は、底面4に対向する面が開口部5となり、容器3と蓋2とが、側壁3dと蓋2との連接辺にて連結し、開口部5が蓋2によって塞がれる輸送箱1となる。
【0019】
側壁3bの外側の面には、本願発明の第1の検知手段となるICラベル10が貼着されることで取り付けられている。ICラベル10は、
図1(c)に示すように、ラベル基材11の一方の面に、非接触通信用のアンテナ13及び2本のセンサー配線14が形成されているとともに、これらセンサー配線14及びアンテナ13に接続されたICチップ12が搭載されて構成されている。
【0020】
アンテナ13は、ICチップ11に接続された給電点が空隙を介して互いに対向した2つの導電領域から構成されている。2本のセンサー配線14は、一端がICチップ12に接続され、そこからICチップ12から離れる方向に延びて終端している。2本のセンサー配線14の他端には、導通手段となる面ファスナー15がそれぞれ取り付けられている。面ファスナー15は、導電性材料から構成されるか、導電性材料からなる塗料が塗布されることで導電性を有しており、導電性を有する接着剤によってセンサー配線14の他端に貼着されることで、センサー配線14と電気的に接続されている。ICラベル10のうち、少なくとも面ファスナー15は、
図1(a)に示したように蓋2によって開口部5が塞がれて輸送箱1が密閉された閉じ状態においてフラップ部2aに対向する対向部3eに配置されている。
【0021】
なお、
図1及び
図2においては、わかりやすいように、アンテナ13、センサー配線14、面ファスナー15及びICチップ12がラベル基材11の側壁3bとの貼着面とは反対側の面に設けられている形態を例に挙げているが、アンテナ13、センサー配線14及びICチップ12は、センサー配線14が面ファスナー15と電気的に接続されていれば、ラベル基材11の側壁3bとの貼着面に設けられていてもよい。
【0022】
ICチップ12は、本願発明における検出手段となるものである。ICチップ12は、2つのアンテナ端子(不図示)と、2つの開封検知用端子(不図示)とが設けられており、これらアンテナ端子及び開封検知用端子が設けられた面が搭載面となって、ラベル基材11に搭載されている。ICチップ12のアンテナ端子はそれぞれ、アンテナ13の給電点に接続されており、ICチップ12の開封検知用端子は、2本のセンサー配線14のそれぞれの一端に接続されている。ICチップ12は、2本のセンサー配線14間の導通状態を検出するとともに、アンテナ13を介して外部装置と通信可能に構成され、検出結果をアンテナ13を介して非接触送信する。2本のセンサー配線14間の導通状態は、例えば、アンテナ13を介して取得した起電力によってセンサー配線14に電流を流すことで、2本のセンサー配線14間の抵抗値を検知することによって検出することが考えられる。ICチップ12としては、例えば、NXP semiconductors社製のUCODE G2iM+やUCODE G2iL+等が考えられる。
【0023】
フラップ部2aには、面ファスナー15と係合可能な第2の検知手段となる面ファスナー20が取り付けられている。面ファスナー20は、導電性材料から構成されるか、導電性材料からなる塗料が塗布されることで導電性を有しており、
図1(a)に示したように蓋2によって開口部5が塞がれて輸送箱1が密閉された閉じ状態において、容器3の側壁3bに対向する面においてICラベル10の2つの面ファスナー15を跨って対向するように配置され、接着剤によってフラップ部2aに貼着されている。
【0024】
以下に、上記のように構成された輸送箱1の使用時の作用について説明する。
【0025】
図3は、
図1に示した輸送箱1の使用時の作用を説明するための図であり、(a)は輸送箱1が密閉された閉じ状態におけるICラベル10の状態を示す図、(b)は輸送箱1が開封された状態におけるICラベル10の状態を示す図である。
【0026】
図1に示した輸送箱1が
図1(a)に示したように、容器3の開口部5が蓋2によって塞がれて密閉された閉じ状態となっている場合は、蓋2のフラップ部2aが容器3の側壁3bの対向部3eに対向していることで、容器3の側壁3bに取り付けられたICラベル10が、蓋2のフラップ部2aに対してその一部にて対向し、それにより、
図3(a)に示すように、フラップ部2aに貼着された面ファスナー20が、ICラベル10に設けられた2つの面ファスナー15を跨って対向して係合する。なお、
図3(a)においては、面ファスナー20が2つの面ファスナー15を跨って対向している状態をわかりやすくするために面ファスナー15に対して面ファスナー20が図中上方に多少ずれるようにして対向しているが、面ファスナー20が面ファスナー15の全面に対向していることが好ましい。
【0027】
すると、面ファスナー15,20が導電性材料から構成されているとともに、面ファスナー15が2本のセンサー配線14と電気的に接続されていることにより、2本のセンサー配線14が面ファスナー15,20を介して導通する。
【0028】
この状態で、ハンディターミナル等の外部装置からICラベル10に非接触状態で電力が供給された場合、2本のセンサー配線14間に電流が流れ、それにより、ICチップ12においては、2つの開封検知用端子間の抵抗値が所定値よりも小さなもの(ほぼ2本のセンサー配線14と面ファスナー20の抵抗値を加算した値)として検知されることになる。そして、ICチップ12において、例えばフラグ情報として“1”が設定され、このフラグ情報が2本のセンサー配線14間の導通状態の検出結果として外部装置にアンテナ13を介して非接触送信される。
【0029】
外部装置においては、受信したフラグ情報が“1”である場合は、輸送箱1が密閉された閉じ状態であると判断される。その際、ICチップ12に、輸送箱1を特定するためのID等の識別情報が書き込まれている場合、その識別情報が上述したフラグ情報とともに外部装置に非接触送信されれば、データベース等を参照することなく、輸送箱1を特定することができる。
【0030】
この状態から輸送箱1を開封する場合は、面ファスナー15から面ファスナー20を剥離してフラップ部2aを持ち上げることでフラップ部2aを側壁3bの対向部3eから離間させ、容器3の開口部5を開放する。この状態においては、
図1(b)に示したようにICラベル10が面ファスナー20と離間していることにより、
図3(b)に示すように、2本のセンサー配線14間が導通していない状態となる。
【0031】
この状態で、ハンディターミナル等の外部装置からICラベル10に非接触状態で電力が供給された場合でも、2本のセンサー配線14間には電流が流れず、それにより、ICチップ12においては、2本のセンサー配線14間の抵抗値が所定値よりも大きなもの(ほぼ無限大)として検知されることになる。
【0032】
その場合、ICチップ12において、例えばフラグ情報として“0”が設定され、このフラグ情報が2本のセンサー配線14間の導通状態の検出結果として外部装置にアンテナ13を介して非接触送信される。
【0033】
外部装置においては、受信したフラグ情報が“0”である場合は、輸送箱1が開封された状態であると判断される。その際、上記同様に、ICチップ12に、輸送箱1を特定するためのID等の識別情報が書き込まれている場合、その識別情報が上述したフラグ情報とともに外部装置に非接触送信されれば、データベース等を参照することなく、輸送箱1を特定することができる。
【0034】
このように、本形態においては、容器3の側壁3bに貼着されたICラベル10の2本のセンサー配線14間が、容器3の開口部5が蓋2によって塞がれて輸送箱1が密閉された閉じ状態では、蓋2のフラップ部2aに貼着された面ファスナー20がICラベル10の2つの面ファスナー15を跨って対向して互いに係合することで面ファスナー15,20を介して導通し、一方、輸送箱1が開封された状態では面ファスナー15,20が互いに離間することで導通していない状態となり、その旨をアンテナ13を介して非接触送信することで輸送箱1の密閉状態と開封状態とが判断される。そのため、輸送箱1が密閉状態であっても開封状態であっても2本のセンサー配線14間の導通状態が非接触送信され、その導通状態に基づいて輸送箱1の密閉状態と開封状態とが判断されることとなり、それにより、輸送箱1の密閉状態と開封状態とを、周辺環境を受けずに繰り返し判断することができる。
【0035】
また、輸送箱1の密閉状態と開封状態との判断を、面ファスナー15,20の係合状態を利用して行うことにより、輸送箱1の密閉状態と開封状態とを判断するための構成によって、輸送箱1の密閉状態においては、その密閉状態である閉じ状態が固定されることとなり、それにより、輸送箱1の閉じ状態が固定されて安定し、輸送箱1が不用意に開封してしまうことがなくなる。
【0036】
なお、ICラベル10と面ファスナー20の取り付け位置を入れ替え、ICラベル10をフラップ部2aに貼着するとともに、側壁3bの対向部3eに面ファスナー20を貼着してもよい。
【0037】
(第2の実施の形態)
図4は、本発明の収納体の第2の実施の形態を示す図であり、(a)は密閉された状態を示す外観斜視図、(b)は開封された状態を示す外観斜視図、(c)はICラベル10の構成を示す図である。
【0038】
本形態は
図4に示すように、
図1に示したものに対して、対向部としてフラップ部2aの代わりに止め帯102aが取り付けられた蓋102を有する点が異なる輸送箱101である。止め帯102aは、その一部が蓋102に対向して貼着等の手段で取り付けられており、蓋102に対向しない領域には、蓋102によって容器の開口部5が塞がれて蓋102と側壁3bとの境界部分にて折り曲げられた場合に側壁3bに対向する面に、導電性材料から構成された第2の検知手段となる面ファスナー120が取り付けられている。
【0039】
上記のように構成された輸送箱101においては、
図4(a)に示すように、容器3の開口部5が蓋102によって塞がれて密閉された閉じ状態となっている場合は、蓋102に取り付けられた止め帯102aが容器3の側壁3bの対向部103eに対向していることで、容器3の側壁3bに取り付けられたICラベル10が、止め帯102aに対してその一部にて対向し、それにより、止め帯102aに取り付けられた面ファスナー120が、ICラベル10に設けられた2つの面ファスナー15を跨って対向して係合する。
【0040】
すると、面ファスナー15,120が導電性材料から構成されているとともに、面ファスナー15が2本のセンサー配線14と電気的に接続されていることにより、2本のセンサー配線14が面ファスナー15,120を介して導通する。
【0041】
この状態で、ハンディターミナル等の外部装置からICラベル10に非接触状態で電力が供給された場合、2本のセンサー配線14間に電流が流れ、それにより、ICチップ12においては、2つの開封検知用端子間の抵抗値が所定値よりも小さなもの(ほぼ2本のセンサー配線14と面ファスナー120の抵抗値を加算した値)として検知されることになる。そして、ICチップ12において、例えばフラグ情報として“1”が設定され、このフラグ情報が2本のセンサー配線14間の導通状態の検出結果として外部装置にアンテナ13を介して非接触送信される。
【0042】
外部装置においては、受信したフラグ情報が“1”である場合は、輸送箱101が密閉された閉じ状態であると判断される。その際、ICチップ12に、輸送箱101を特定するためのID等の識別情報が書き込まれている場合、その識別情報が上述したフラグ情報とともに外部装置に非接触送信されれば、データベース等を参照することなく、輸送箱101を特定することができる。
【0043】
この状態から輸送箱101を開封する場合は、面ファスナー15から面ファスナー120を剥離して止め帯102aを捲り上げることで止め帯102aを側壁3bの対向部103eから離間させ、容器3の開口部5を開放する。この状態においては、
図4(b)に示すようにICラベル10が面ファスナー120と離間していることにより、2本のセンサー配線14間が導通していない状態となる。
【0044】
この状態で、ハンディターミナル等の外部装置からICラベル10に非接触状態で電力が供給された場合でも、2本のセンサー配線14間には電流が流れず、それにより、ICチップ12においては、2本のセンサー配線14間の抵抗値が所定値よりも大きなもの(ほぼ無限大)として検知されることになる。
【0045】
その場合、ICチップ12において、例えばフラグ情報として“0”が設定され、このフラグ情報が2本のセンサー配線14間の導通状態の検出結果として外部装置にアンテナ13を介して非接触送信される。
【0046】
外部装置においては、受信したフラグ情報が“0”である場合は、輸送箱101が開封された状態であると判断される。その際、上記同様に、ICチップ12に、輸送箱101を特定するためのID等の識別情報が書き込まれている場合、その識別情報が上述したフラグ情報とともに外部装置に非接触送信されれば、データベース等を参照することなく、輸送箱101を特定することができる。
【0047】
このように本形態においても、容器3の側壁3bに貼着されたICラベル10の2本のセンサー配線14間が、容器3の開口部5が蓋2によって塞がれて輸送箱101が密閉された閉じ状態では、止め帯102aに取り付けられた面ファスナー120がICラベル10の2つの面ファスナー15を跨って対向して互いに係合することで面ファスナー15,120を介して導通し、一方、輸送箱101が開封された状態では面ファスナー15,120が互いに離間することで導通していない状態となり、その旨をアンテナ13を介して非接触送信することで輸送箱101の密閉状態と開封状態とが判断される。そのため、輸送箱101が密閉状態であっても開封状態であっても2本のセンサー配線14間の導通状態が非接触送信され、その導通状態に基づいて輸送箱101の密閉状態と開封状態とが判断されることとなり、それにより、輸送箱101の密閉状態と開封状態とを、周辺環境を受けずに繰り返し判断することができる。
【0048】
また、輸送箱101の密閉状態と開封状態との判断を、面ファスナー15,120の係合状態を利用して行うことにより、輸送箱101の密閉状態と開封状態とを判断するための構成によって、輸送箱101の密閉状態においては、その密閉状態である閉じ状態が固定されることとなり、それにより、輸送箱101の閉じ状態が固定されて安定し、輸送箱101が不用意に開封してしまうことがなくなる。
【0049】
なお、ICラベル10と面ファスナー120の取り付け位置を入れ替え、ICラベル10を止め帯102aに貼着するとともに、側壁3bの対向部103eに面ファスナー120を貼着してもよい。
【0050】
(第3の実施の形態)
図5は、本発明の収納体の第3の実施の形態を示す図であり、(a)は密閉された状態を示す外観斜視図、(b)は開封された状態を示す外観斜視図、(c)はICラベル210の構成を示す図である。
【0051】
本形態は
図5に示すように、
図1に示したものに対して、フラップ部2aに面ファスナー20の代わりに第2の検知手段として合金磁石220が取り付けられているとともに、面ファスナー15の代わりに導通手段として合金磁石215が取り付けられたICラベル210が側壁3bに貼着されている点が異なる輸送箱201である。
【0052】
上記のように構成された輸送箱201においては、
図5(a)に示すように、容器3の開口部5が蓋2によって塞がれて密閉された閉じ状態となっている場合は、蓋2のフラップ部2aが容器3の側壁3bの対向部3eに対向していることで、容器3の側壁3bに取り付けられたICラベル210が、蓋2のフラップ部2aに対してその一部にて対向し、それにより、フラップ部2aに取り付けられた合金磁石220が、ICラベル10に設けられた2つの合金磁石215を跨って対向して吸着されている。
【0053】
すると、合金磁石215が2本のセンサー配線14と電気的に接続されていることにより、2本のセンサー配線14が合金磁石215,220を介して導通する。
【0054】
この状態で、ハンディターミナル等の外部装置からICラベル210に非接触状態で電力が供給された場合、2本のセンサー配線14間に電流が流れ、それにより、ICチップ12においては、2つの開封検知用端子間の抵抗値が所定値よりも小さなもの(ほぼ2本のセンサー配線14と合金磁石220の抵抗値を加算した値)として検知されることになる。そして、ICチップ12において、例えばフラグ情報として“1”が設定され、このフラグ情報が2本のセンサー配線14間の導通状態の検出結果として外部装置にアンテナ13を介して非接触送信される。
【0055】
外部装置においては、受信したフラグ情報が“1”である場合は、輸送箱201が密閉された閉じ状態であると判断される。その際、ICチップ12に、輸送箱201を特定するためのID等の識別情報が書き込まれている場合、その識別情報が上述したフラグ情報とともに外部装置に非接触送信されれば、データベース等を参照することなく、輸送箱201を特定することができる。
【0056】
この状態から輸送箱201を開封する場合は、合金磁石215,220を互いに脱離させてフラップ部2aを持ち上げることでフラップ部2aを側壁3bの対向部3eから離間させ、容器3の開口部5を開放する。この状態においては、
図5(b)に示すようにICラベル210が合金磁石220と離間していることにより、2本のセンサー配線14間が導通していない状態となる。
【0057】
この状態で、ハンディターミナル等の外部装置からICラベル210に非接触状態で電力が供給された場合でも、2本のセンサー配線14間には電流が流れず、それにより、ICチップ12においては、2本のセンサー配線14間の抵抗値が所定値よりも大きなもの(ほぼ無限大)として検知されることになる。
【0058】
その場合、ICチップ12において、例えばフラグ情報として“0”が設定され、このフラグ情報が2本のセンサー配線14間の導通状態の検出結果として外部装置にアンテナ13を介して非接触送信される。
【0059】
外部装置においては、受信したフラグ情報が“0”である場合は、輸送箱201が開封された状態であると判断される。その際、上記同様に、ICチップ12に、輸送箱201を特定するためのID等の識別情報が書き込まれている場合、その識別情報が上述したフラグ情報とともに外部装置に非接触送信されれば、データベース等を参照することなく、輸送箱201を特定することができる。
【0060】
このように本形態においても、容器3の側壁3bに貼着されたICラベル210の2本のセンサー配線14間が、容器3の開口部5が蓋2によって塞がれて輸送箱201が密閉された閉じ状態では、蓋2のフラップ部2aに取り付けられた合金磁石220がICラベル210の2つの合金磁石115を跨って対向して互いに吸着することで合金磁石215,220を介して導通し、一方、輸送箱201が開封された状態では合金磁石215,220が互いに脱離、離間することで導通していない状態となり、その旨をアンテナ13を介して非接触送信することで輸送箱201の密閉状態と開封状態とが判断される。そのため、輸送箱201が密閉状態であっても開封状態であっても2本のセンサー配線14間の導通状態が非接触送信され、その導通状態に基づいて輸送箱201の密閉状態と開封状態とが判断されることとなり、それにより、輸送箱201の密閉状態と開封状態とを、周辺環境を受けずに繰り返し判断することができる。
【0061】
また、輸送箱201の密閉状態と開封状態との判断を、合金磁石215,220の吸着状態を利用して行うことにより、輸送箱201の密閉状態と開封状態とを判断するための構成によって、輸送箱201の密閉状態においては、その密閉状態である閉じ状態が固定されることとなり、それにより、輸送箱201の閉じ状態が固定されて安定し、輸送箱201が不用意に開封してしまうことがなくなる。
【0062】
なお、ICラベル210と合金磁石220の取り付け位置を入れ替え、ICラベル210をフラップ部2aに貼着するとともに、側壁3bの対向部3eに合金磁石220を取り付けてもよい。
【0063】
また、本形態においては、蓋2のフラップ部2aに合金磁石220が取り付けられるとともに、容器の側壁3bに貼着されたICラベル210にも、合金磁石220がセンサー配線14と電気的に接続されて取り付けられているが、これら合金磁石215,220のうちの一方が金属板であってもよい。また、合金磁石の代わりにフェライト磁石を用いても輸送箱201の閉じ状態を固定することができるが、その場合は、フェライト磁石に金属板を吸着させる等によって、センサー配線14と電気的に接続されるとともに、輸送箱201の閉じ状態において2本のセンサー配線14が導通状態となるような構成とする必要がある。
【0064】
また、輸送箱1,101,201が閉じ状態となった場合に、閉じ状態を固定するとともに2本のセンサー配線14間を導通させる手段としては、上述したような面ファスナーや磁石に限らず、ラッチ型や差し込み型の鍵を用いることも考えられる。そのような鍵を用いた場合においても、センサー配線14のICチップ12とは反対側の端部に取り付けられた導通手段となる部分がセンサー配線14と電気的に接続されているとともに、輸送箱が閉じ状態となった場合に、2本のセンサー配線間を導通させる導電性を具備する必要がある。
【0065】
また、上述した実施の形態においては、収納体として、容器3と蓋2,102とからなる輸送箱1,101,201を例に挙げて説明したが、本発明は輸送箱に限らず、他の用途に使用される箱、さらには、蓋を有する構成であれば、封筒、袋、かばん等に適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1,101,201 輸送箱
2,102 蓋
2a フラップ部
3 容器
3a~3d 側壁
3e,103e 対向部
3f~3j 補助部
4 底面
4a 底面補強部
5 開口部
10,210 ICラベル
11 ラベル基材
12 ICチップ
13 アンテナ
14 センサー配線
15,20,120 面ファスナー
102a 止め帯
215,220 合金磁石