IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧 ▶ 三菱電機照明株式会社の特許一覧

特許7500965コントロールユニット及び非常用照明装置
<>
  • 特許-コントロールユニット及び非常用照明装置 図1
  • 特許-コントロールユニット及び非常用照明装置 図2
  • 特許-コントロールユニット及び非常用照明装置 図3
  • 特許-コントロールユニット及び非常用照明装置 図4
  • 特許-コントロールユニット及び非常用照明装置 図5
  • 特許-コントロールユニット及び非常用照明装置 図6
  • 特許-コントロールユニット及び非常用照明装置 図7
  • 特許-コントロールユニット及び非常用照明装置 図8
  • 特許-コントロールユニット及び非常用照明装置 図9
  • 特許-コントロールユニット及び非常用照明装置 図10
  • 特許-コントロールユニット及び非常用照明装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】コントロールユニット及び非常用照明装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/10 20060101AFI20240611BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20240611BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240611BHJP
   H02J 9/02 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
H02J7/10 H
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
H02J7/10 B
H02J9/02
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019231320
(22)【出願日】2019-12-23
(65)【公開番号】P2021100342
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100153176
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 重明
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(72)【発明者】
【氏名】相場 明穂
(72)【発明者】
【氏名】平本 雄也
(72)【発明者】
【氏名】阿野 康則
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-296081(JP,A)
【文献】特開2007-306654(JP,A)
【文献】特開2016-077094(JP,A)
【文献】特開2015-100235(JP,A)
【文献】特開2010-147010(JP,A)
【文献】特開平05-336679(JP,A)
【文献】特開2006-271086(JP,A)
【文献】特表2008-515378(JP,A)
【文献】特開2003-219565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/42-10/48
H02J7/00-7/12
H02J7/34-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力を出力する電源回路と、
前記電源回路の出力端子の間に充電する電池とともに直列に接続された電流制限素子、及び電流検出素子を備えた充電回路と、
前記電流検出素子のうち前記電流制限素子が接続された一端側の電圧を検出する第1の検出部と、
前記電流検出素子の前記電池が接続された他端側の電圧を検出する第2の検出部と、
前記第2の検出部が検出する第2の検出値と前記電池の充電電流値との組み合わせと、前記第2の検出部が検出する前記第2の検出値に前記第1の検出部の抵抗値と前記第2の検出部の抵抗値とに基づいた第1の係数を乗じた項と予め定められた前記電池の前記充電電流値に前記電流検出素子の抵抗値と前記第1の検出部の抵抗値と前記第2の検出部の抵抗値とに基づいた第2の係数を乗じた項との和に対応した目標値と、を対応付けたテーブル参照部を有し、前記テーブル参照部から、前記第2の検出部が検出した前記第2の検出値に対応する前記目標値を読み出し、読み出した前記目標値と前記第1の検出部が検出する第1の検出値とが等しくなるように、前記電流制限素子に流れる電流を制御する制御部と、
を備え
前記制御部は、
前記第1の検出値と前記目標値とが等しくなるように前記電流制限素子に流れる電流を制御する動作フローから、外部の検査機からの命令によって前記外部の検査機で測定された電流値と前記電池の前記充電電流値とが等しくなるように制御する補正値設定フローに切り替わり、前記外部の検査機から前記外部の検査機で測定する前記電流値を増加または減少させる命令を受けた場合に前記命令に従い前記外部の検査機で測定する前記電流値を変化させ、その後に、前記外部の検査機で測定する前記電流値を維持する命令を受けた場合に、前記第1の検出部の前記第1の検出値と前記第2の検出部の前記第2の検出値とを測定し、前記テーブル参照部から測定された前記第2の検出値に対応する前記目標値を読み出し、読み出した前記目標値と測定された前記第1の検出値との差を前記目標値と対応した補正値として記憶し、
前記補正値によって前記目標値を補正する補正部を有するコントロールユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のコントロールユニットと、
光源部と、を備え、
前記コントロールユニットは、前記電池から供給される電力により前記光源部を点灯させる点灯回路を備えた非常用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外部電源からの電力により電池を充電するコントロールユニット及び非常用照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、不特定多数の人が集まる場所での火災や地震、その他の災害や事故等により生じる停電の場合に、その場にいる人が安全に避難できるように誘導するために設置される誘導灯や非常灯などの非常用照明装置がある。この非常灯照明装置は、外部電源が供給される常用時は、外部電源からの電力で電池を充電し、外部電源が供給されない非常時には、電池からの電力で光源を点灯させる。
【0003】
このような非常用照明装置、例えば誘導灯は、一般社団法人日本照明工業会が定める「誘導灯器具及び避難誘導システム用技術基準」(JIL5502:2018改正追補)、非常灯は、同工業会が定める「非常用照明器具技術基準」(JIL5501:2017改正追補)に則り動作する必要がある。例えば点検機能を実行するとき、表示用LED(Light Emitting Diode)を点灯させる等の動作が必要となることから、マイクロコンピュータ(マイコン)等の制御用デバイスの搭載が一般的となっている。(例えば、特許文献1参照。)
特許文献1には、ツェナーダイオードと抵抗が並列に接続された充電制御装置を有する非常用照明装置が記載されている。特許文献1に記載された充電制御装置は、ツェナーダイオードにより得た基準となる一定の電圧をツェナーダイオードに並列に接続された抵抗に印加することにより、充電電流を一定に保つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-130725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の非常用照明装置のように、ツェナーダイオードを用い充電電流を一定にした場合は、ツェナーダイオードの定数ばらつきが充電電流のばらつきに反映されてしまい、充電電流が電池の推奨充電電流の範囲から外れてしまうおそれが生じる。
【0006】
一方、定数ばらつきを抑制するため、ツェナーダイオードに代えてシャントレギュレータや三端子レギュレータを使用した場合、充電電流のばらつき範囲を10%程度まで抑制して管理することができる反面、非常用照明装置がコストアップしてしまう。
【0007】
本発明は、簡易な回路構成で、電池を充電する充電電流のばらつきを抑制し定電流制御するコントロールユニット及び非常用照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るコントロールユニットは、直流電力を出力する電源回路と、前記電源回路の出力端子の間に充電する電池とともに直列に接続された電流制限素子、及び電流検出素子を備えた充電回路と、前記電流検出素子のうち前記電流制限素子が接続された一端側の電圧を検出する第1の検出部と、前記電流検出素子の前記電池が接続された他端側の電圧を検出する第2の検出部と、前記第2の検出部が検出する第2の検出値と前記電池の充電電流値との組み合わせと、前記第2の検出部の前記第2の検出値に前記第1の検出部の抵抗値と前記第2の検出部の抵抗値とに基づいた第1の係数を乗じた項と予め定められた前記電池の充電電流値に前記電流検出素子の抵抗値と前記第1の検出部の抵抗値と前記第2の検出部の抵抗値とに基づいた第2の係数を乗じた項との和に対応した目標値と、を対応付けたテーブル参照部を有し、前記テーブル参照部から、前記第2の検出部が検出する前記第2の検出値に対応する前記目標値を読み出し、読み出した前記目標値と前記第1の検出部が検出する第1の検出値とが等しくなるように、前記電流制限素子に流れる電流を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1の検出値と前記目標値とが等しくなるように前記電流制限素子に流れる電流を制御する動作フローから、外部の検査機からの命令によって前記外部の検査機で測定された電流値と前記電池の前記充電電流値とが等しくなるように制御する補正値設定フローに切り替わり、前記外部の検査機から前記外部の検査機で測定する前記電流値を増加または減少させる命令を受けた場合に前記命令に従い前記外部の検査機で測定する前記電流値を変化させ、その後に、前記外部の検査機で測定する前記電流値を維持する命令を受けた場合に、前記第1の検出部の前記第1の検出値と前記第2の検出部の前記第2の検出部の前記第2の検出値とを測定し、前記テーブル参照部から測定された前記第2の検出値に対応する前記目標値を読み出し、読み出した前記目標値と測定された前記第1の検出値との差を前記目標値と対応した補正値として記憶し、前記補正値によって前記目標値を補正する補正部を有するものである。
【0009】
この発明に係る非常用照明装置は、電池を充電するコントロールユニットと、光源部と、を備え、前記コントロールユニットは、前記電池から供給される電力により前記光源部を点灯させる点灯回路を備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に関わるコントロールユニットによれば、簡易な回路構成で精度の高い定電流制御を行うことができ、電池を充電する充電電流のばらつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1における表示装置1000(非常用照明装置の一例)を示す斜視図である。
図2図1の表示装置1000を分解した状態を示す分解斜視図である。
図3図1の表示装置1000に内蔵された電気部品であるコントロールユニット100、光源部200ならびに電池300の構成を示すブロック図である。
図4図3のコントロールユニット100の構成を詳細に示した回路図である。
図5図4の制御回路180の構成を詳細に示した回路図である。
図6図3図5の制御部181の記憶部181eに記憶されたテーブル参照部の一例を示す図である。
図7図3図5の制御部181の動作シーケンスを示すフローチャートである。
図8】実施の形態2における制御回路180の構成を詳細に示した回路図である。
図9】実施の形態2における補正値を設定する動作シーケンスを示すフローチャートである。
図10図9のフローチャートにて算出した補正値並びに補正した補正値を反映したテーブル参照部の一例を示す図であり、(a)は補正値を算出するための一例を示した図表、(b)は算出した補正値を反映したテーブル参照部の一例を示した図表である。
図11】実施の形態2における補正値を考慮した制御部181の動作シーケンスを示すフローチャートである。
【0012】
実施の形態1.
図1、2を用いて、本実施の形態の非常用照明装置である表示装置1000の構成を説明する。
表示装置1000は、コントロールユニット100と、コントロールユニット100により点灯する光源部200と、コントロールユニット100により充電されるとともに停電時などにおいてコントロールユニット100を介して光源部200に電力を供給する電池300と、コントロールユニット100と電池300を格納するとともに光源部200が取り付けられる本体400と、この本体400に取り付けられ、光源部200の光により表示面が発光する表示部500を備える。
【0013】
表示部500は、避難誘導を示すピクトグラム(表示パネル)510と、このピクトグラム510を照射する導光板520と、ピクトグラム510と導光板520が収納されるとともに、光源200が取り付けられる表示部本体530とを備える。
【0014】
次に図3図5を用いて、コントロールユニット100の構成を説明する。
コントロールユニット100は、交流を直流に整流する整流回路110と、整流回路110が出力する電力に基づいて動作し後段に接続された光源部200に応じた直流電力を生成する第一直流直流変換回路120(直流電源回路ともいう。)と、第一直流直流変換回路120により生成した電力から制御電源を生成する制御電源回路140と、第一直流直流変換回路120により生成した電力により、接続された電池300を充電する充電回路150と、電池3の電力により動作し、光源部200に応じた直流電力を生成する第二直流直流変換回路160と、接続された光源部200に流れる電流を略一定の電流となるように定電流制御する点灯回路170と、第一直流直流変換回路120、充電回路150、第二直流直流変換回路160及び点灯回路170の動作を制御する制御回路180と、を備える。
【0015】
この実施の形態におけるコントロールユニット100の動作は以下のとおりである。
外部から外部電源(商用電源)が供給されているとき、第一直流直流変換回路120が動作し、制御電源回路140、充電回路150、点灯回路170並びに制御回路180に電力を供給する。この電力供給を受けて、制御電源回路140並びに制御回路180が動作し、制御回路180が第一直流直流変換回路120、充電回路150並びに点灯回路170の動作を制御して、充電回路150が電池300を充電し、点灯回路170が光源部200に流れる電流を制御して光源部200を点灯させる。なお、充電回路150の詳細な動作の説明は後述する。
【0016】
次に、外部電源(商用電源)が停電状態になったとき、あるいは、電池3の寿命判定を行う点検を行うために疑似的に停電状態になったとき、電池300の電力によって、第二直流直流変換回路160が動作して、制御電源回路140、制御電源回路140を介して制御回路180並びに点灯回路170に電力供給することにより、光源部200を点灯させる。
【0017】
整流回路110は、交流電源に接続される2つの入力端子のうち一方の入力端子に接続されたヒューズ111と、このヒューズ111と他方の入力端子に接続されたコンデンサ112と、このコンデンサ112の両端に接続されたダイオードブリッジ113を有する。
コンデンサ112は、ダイオードブリッジ113の後段に接続されている第一直流直流変換回路120などで発生するノイズが外部電源側に出て行くのを抑制するノイズフィルタである。
ダイオードブリッジ113はこの交流電圧を脈流の直流電圧に変換する。
【0018】
第一直流直流変換回路120は、整流回路110の両端に接続されたコンデンサ121と、整流回路110の高電位側に接続されたコンデンサ128、抵抗127並びにトランス122(一次巻き線T1)と、このコンデンサ128と抵抗127にカソードが接続され、トランス122の一次巻き線T1にアノードが接続されたダイオード126と、トランス122の一次巻き線T1にドレインが接続され、整流回路110の低電位側にソースが接続されたスイッチング素子123と、このスイッチング素子123のゲートに接続された制御IC124と、この制御IC124に接続されたフォトカプラ125と、アノードがトランス122の二次巻き線T2-1に接続され、制御IC124にカソードが接続されたダイオード129と、トランス122の二次巻き線T2-2にアノードが接続されたダイオード131と、このダイオード131のカソードに正極が接続された電解コンデンサ132と、電解コンデンサ132の正極にアノードが接続されたダイオード133と、トランス122の二次巻き線T2-3にアノードが接続されたダイオード134と、このダイオード134のカソードに正極が接続された電解コンデンサ135と、トランス122の一次巻き線T1と二次巻き線T2-3の間に接続されたコンデンサ136を有する。
【0019】
このように、この実施の形態における第一直流直流変換回路120は、いわゆるフライバック回路構成をなしている。このフライバック回路の動作については説明を省略する。
なお、トランス122は、二次巻き線T2-3を有しており、フライバック回路が動作することで、この二次巻き線T2-3には電圧が発生する。この二次巻き線T2-3に発生する電圧は、スイッチング素子123がスイッチングする際の周波数やデューティ比や二次巻き線T2-2に発生する電圧値に影響されず、充電回路150に印加する充電電圧値になる。よって、二次巻き線T2-3で発生した電圧は、ダイオード134を介して電解コンデンサ135に印加され、電解コンデンサ135で平滑され充電電圧を生成することができる。
【0020】
制御電源回路140は、例えば、レギュレータ141などである。
【0021】
充電回路150は、電解コンデンサ135の正極にコレクタが接続され、制御回路180にベースが接続されたトランジスタ151と、トランジスタ151のエミッタに接続された抵抗152と、抵抗152の一端側であるトランジスタ151のエミッタ側に接続され、直列接続された抵抗155、156と、抵抗15の他端側と電池300の正極に接続され、直列接続された抵抗153、154を有する。
【0022】
なお、トランジスタ151は、流れる電流量を制限する電流制限素子の一例であり、流れる電流を制限できる機能を有していればよい。
また、抵抗152は、流れる電流量を検出するための電流検出素子の一例であり、流れる電流を検出できる機能を有していればよい。
【0023】
抵抗155、156は、抵抗152の一端側(図4のA点)に印加された電圧を検出する電圧検出部であり、検出した電圧を分圧して制御回路180に出力する。なお、抵抗155と抵抗156を合わせて第1の検出部157という。
抵抗153、154は、抵抗152の他端側(図4のB点)に印加された電圧を検出する電圧検出部であり、検出した電圧を分圧して制御回路180に出力する。なお、抵抗153と抵抗154を合わせて第2の検出部158という。
【0024】
充電回路150は、電解コンデンサ135で平滑して生成した平滑電圧が印加されて動作する。トランジスタ151は、制御回路180により制御されて動作し、抵抗152を介して電池300を充電する。なお、電池300は、抵抗152と直列に接続されているため、電池300が充電される充電電流IBATは、抵抗152に流れる電流とほぼ等しくなる。よって、抵抗155、抵抗156にて抵抗152の一端側と、抵抗153、抵抗154にて抵抗152の他端側の電圧、つまり抵抗152の両端間に印加されている電圧を制御することにより、電池300の充電電流を制御することができる。なお、電池300の充電制御の詳細説明は後述する。
【0025】
第二直流直流変換回路160は、電池300の両端に接続されたコンデンサ161と、電池300の正極に一端が接続されたコイル162と、コイル162の他端にドレイン端子が接続されたMOS-FET163と、MOS-FET163のドレイン端子にアノード端子が接続されたダイオード164と、ダイオード164のカソード端子とMOS-FET163のソース端子の間に接続された直列接続された抵抗165、抵抗166と、直列接続された抵抗165、抵抗166に並列に接続されたコンデンサ167を備える。
【0026】
第二直流直流変換回路160は、制御回路180によりMOS-FET163をスイッチングさせ、光源部300を点灯させるために必要な電圧まで電池300の電圧を昇圧または降圧させる。抵抗165、抵抗166によりダイオード164が出力した出力電圧を分圧し、分圧した電圧を制御回路180が監視し、ダイオード164の出力電圧が所定の定電圧となるように、MOS-FET163のスイッチングを制御する。
【0027】
点灯回路170は、光源部200にドレイン端子が接続されたMOS-FET171と、MOS-FET171のソース端子とグランド端子との間に接続された抵抗172を備える。
【0028】
点灯回路170は、制御回路180の出力信号に基づきMOS-FET171をスイッチング動作させ、抵抗172に印加される電圧を制御回路180に入力させる。制御回路180は抵抗172に印加される電圧値が所定の電圧となるように、MOS-FET171のスイッチングを制御することにより、抵抗172に流れる電流が所定の定電流となり、その結果、光源部200に流れる電流も所定の定電流とすることができる。
【0029】
制御回路180は、制御部181と、この制御部181にベースが接続されたデジタルトランジスタ182と、デジタルトランジスタ182のコレクタとダイオード134のカソードに接続された抵抗183と、デジタルトランジスタ182のコレクタとトランジスタ151のベースとの間に接続された抵抗184と、トランジスタ151のベース-エミッタ間に並列に接続されたコンデンサ185と、制御電源回路140の出力端子Vccとグランド端子の間に接続され、直列接続された抵抗189、スイッチ188と、制御部181に接続された表示部187を備える。
【0030】
デジタルトランジスタ182、抵抗183、抵抗184、およびコンデンサ185は、トランジスタ151を駆動するのに必要な駆動電流を得るために、制御部181が出力する出力信号を増幅する増幅回路である。
抵抗189は、スイッチ188のオン/オフ情報を制御部181に入力するためのプルアップ抵抗である。
表示部187は、モニタ用のLEDなどを備え、制御部181の出力信号に応じて、電池300の寿命や光源部200の寿命などを報知する表示を行う。
【0031】
制御部181は、第一直流直流変換回路120のスイッチング動作を制御する常用電源制御部181aと、充電回路150の動作を制御する充電制御部181bと、第二直流直流変換回路160のスイッチング動作を制御する非常用電源制御部181cと、点灯回路170の動作を制御する点灯制御部181dと、充電制御部181bが充電回路150の充電動作を制御するために必要な情報であるテーブル表及び補正値を記憶する記憶部181eを備える。
【0032】
充電制御部181bは、アナログデジタル変換回路181ba、181bbと、テーブル情報から読み出したデータに変換する変換部181bcと、抵抗R1を介してアナログデジタル変換回路bbのデジタルデータを入力し、変換部181bcのデータと比較する比較器181beと、オシレータ181bfと、オシレータ181bfと比較器181beとを比較し、制御信号を生成するオペアンプ181bgと、オペアンプ181bgが出力する制御信号に基づきPWM信号を生成してデジタルトランジスタをスイッチングするPWM信号生成部181bhを有する。
【0033】
まず、制御部181の記憶部181eに記憶されているテーブル参照部(テーブル表ともいう。)について説明する。
テーブル表には、電池300の電圧(抵抗152の他端側(図5のB点)の電圧値)に対応する電池電圧入力値V2BAT、抵抗152の一端側(図5のA点)の電圧値に対応する検出電圧入力値V1BAT、電池300を充電する充電電流IBATの3つの値が設定されている。
【0034】
これらの電池電圧入力値V2BAT、検出電圧入力値V1BATは、目標とする充電電流IBATに応じて算出され設定される。この充電電流IBATは、上述したとおり抵抗152に流れる電流に等しいため、抵抗152の抵抗値をR152、抵抗152の両端電圧をVR152とするとき、以下の式1のようになる。
【0035】
【数1】
【0036】
つまり、制御部181に印加される検出電圧入力値V1BATと電池電圧入力値V2BAT並びに抵抗152の抵抗値に基づいて演算を行うと、充電電流IBATが制御できることになる。
【0037】
そこで、検出電圧入力値V1BATをデジタル値に変換した検出電圧値v1bat、電池電圧入力値V2BATをデジタル値に変換した電池電圧変換値v2batと、充電電流IBATの関係を式で表すと以下のようになる。なお、図5のA点の電圧をVA、図5のB点の電圧をVBとする。
【0038】
【数2】
【0039】
【数3】
【0040】
したがって、抵抗152の一端側(図5のA点)の電圧VAと、他端側(図5のB点)の電圧VBは次のように表すことができる。
【0041】
【数4】
【0042】
【数5】
【0043】
よって、抵抗152の両端電圧VR152は、VR152=VA-VBであるので、式1に代入すると次のようになる。
【0044】
【数6】
【0045】
また、検出電圧入力値V1BAT、電池電圧入力値V2BATをそれぞれデジタル値に変換する場合、制御部181の動作電圧がVccなので、最大値はVccの値となり、このVccを10bitの分解能(ただし0を除く)で割った値を、それぞれに乗算することになる。つまり、検出電圧入力値V1BAT、電池電圧入力値V2BATをデジタル化すると、それぞれ、V1BAT=v1bat×Vcc/1023、V2BAT=v2bat×Vcc/1023で表される。したがって、式(6)に代入すると次のように表すことができる。
【0046】
【数7】
【0047】
よって、充電電流値iが一定になるように、検出電圧換算値v1bat、電池電圧換算値v2batを算出して、検出電圧換算値v1batと電池電圧換算値v2batの関係をマイクロコンピュータに書き込んでおき、この書き込んだデータをもとに、制御部181は充電回路150を制御すればよい。なお、本実施の形態では、制御部181に入力された電池電圧V2BATを基準に、検出電圧入力値V1BATを制御するので、記憶部181eに書き込むテーブル情報は、電池電圧換算値v2batに対応した検出電圧換算値v1batを調整する目標値である目標電圧値v1tarを書き込むものとする。
【0048】
これらに基づいて、充電電流IBATを0.025Aとしたときの電池電圧換算値v2batと、検出電圧換算値v1batが目標とする目標電圧値v1tarとの関係を図6のテーブル1に、充電電流IBATを0.016mAとしたときの電池電圧換算値v2batと、検出電圧換算値v1batが目標とする目標電圧値v1tarとの関係を図6のテーブル2に示した。
【0049】
次に、図7を用いて制御部181並びに充電回路150の充電動作について説明する。
コントロールユニット100に商用電源が供給されると、整流回路110を介して、第一直流直流変換回路120に電力が供給されて、第一直流直流変換回路120が起動する。
【0050】
第一直流直流変換回路120が起動することにより、制御電源回路140が起動し、制御回路180が起動する。このとき、制御部181は、記憶部181eに記憶されているvbat、ibatを初期化(ステップ1)する。
【0051】
制御回路180が起動すると、第一直流直流変換回路120、充電回路150、点灯回路170の動作を制御する。
制御回路180は、充電回路150の抵抗R152の両端電圧に対応した検出電圧入力値V1BATと電池電圧入力値V2BATを入力し、この入力した検出電圧入力値V1BAT、電池電圧入力値V2BAT検知電圧をそれぞれアナログデジタル信号変換回路181ba、181bbでデジタル信号に変換する。変換されたデジタル信号は、制御部181に入力(ステップ2)され、例えば、充電電流を0.025Aとするとき、電池電圧換算値v2batに対応する目標電圧値v1tarをテーブル1の情報をして特定(ステップ3)し、検出電圧入力値V1BATのデジタル値である検出電圧変換値v1batがその目標電圧値v1tarと等しくなるように、充電回路150の充電電流制御素子151に流れる電流量を調整(ステップ4、ステップ5)する。
【0052】
本実施の形態では、充電電流制御素子151にバイポーラトランジスタを用いているので、ベース-エミッタに流れる電流を制御することで、コレクタ-エミッタに流れる電流が制御される。このように、コレクタ-エミッタに流れる電流が制御されて変化することにより、抵抗152に流れる電流も変化するので、抵抗152の両端間の電位差も変化する。よって、制御回路180で検知される検出電圧入力値V1BATも変化する。
【0053】
なお、電池電圧入力値V2BATは、電池300が充電されているときの電池電圧に依存するため、充電電流IBATが変化しても、電池電圧入力値V2BATの電圧値の変化量は小さく、瞬時的に充電電流IBATが変化してもその電圧の変化量はほぼ一定である。
【0054】
このように、電池電圧入力値V2BATとテーブル情報に基づいて、検出電圧入力値V1BATを制御することにより、抵抗152に流れる電流を所定の電流となるように制御することができ、電池300を充電する充電電流IBATを定電流にすることができる。
【0055】
なお、本実施の形態では、制御部181がテーブル情報を用いて、充電電流制御素子151を制御することにより、電池300を充電する充電電流IBATが定電流となるように制御する場合について説明したが、制御部181が検出する電池電圧換算値v2batに基づいて、上述した算出式(1)~(7)により、目標とする充電電流IBATに対する目標電圧値v1tarを演算にて算出してもよい。
【0056】
また、本実施の形態では、表示装置1000として誘導灯である場合を説明したが、電池300を内蔵する看板などの表示機器であってもよい。また、表示装置1000に限らず、電池300を内蔵する非常灯などであってもかまわない。つまり、通常時に電池300を充電し、災害などの停電時に電池300の電力で光源200を点灯させる非常用照明装置のコントロールユニット100に応用することができる。
【0057】
実施の形態2.
本実施の形態は、実施の形態1の制御回路180に付加機能を備えたものである。
実施の形態1では、予め設定された充電電流IBATに対して、電池電圧変換値v2batと目標電圧値v1tarを演算式によって求め、テーブル情報として記憶し、その記憶したテーブル情報に基づき、電池300を定電流で充電制御を行う場合について説明したが、本実施の形態では、テーブル情報の目標電圧値v1tarと、予め設定された充電電流IBATを流した際に発生する検出電圧変換値v1batとの間に差が生じた場合に、テーブル情報の目標電圧値v1tarに対して補正を行うものである。
本実施の形態において、実施の形態1と同様の構成については同符号を付し説明を省略する。また、本実施の形態における実施の形態1と同様の動作についても説明を省略する。
【0058】
図8は、本実施の形態における制御回路180の部分詳細図である。
制御回路180の制御部181は、外部機器である検査機と通信を行う補正部181bdを有する。
【0059】
この補正部181bdは、コントロールユニット100を製造する際の検査機などに接続されるインターフェース(検査器の接続ピンが接触する接触部)を含み、検査機に接続されたときは、接続された検査機との間で、補正を行うための制御信号を送受信し、検査機に接続されていない通常の動作時は、変換器181bcに補正値を反映させるための補正データを出力する。
【0060】
次に、補正値の設定について図9図10を用いて説明する。
コントロールユニット100を製造する際、組み立てたコントロールユニット100に対して検査機を接続し、コントロールユニット100に外部電源を供給して動作させる(ステップ11)。
【0061】
この検査機は、補正部181bdを介して制御部181に制御情報を送受信する設定制御部と、コントロールユニット100に接続される電池300を模擬した疑似電池と、疑似電池に流れる疑似充電電流を測定する測定部と、測定部で測定した充電電流IBATと設定電流とを比較し充電電流IBATが設定電流と等しいかを判別して設定制御部を介して判別結果を出力する判別部と、を有している。
【0062】
検査機は、コントロールユニット100に接続され、コントロールユニット100が起動すると、補正値設定フローの開始を指示する補正値設定開始信号を補正部181bdに出力する(ステップ21)とともに、設定する設定充電電流値を読み出す(ステップ22)。
【0063】
コントロールユニット100は、通常の動作フローから補正値設定フローに切り替えるとともに、補正値設定モードを開始したことを検査機に通知する補正値設定モード開始通知を行う(ステップ12)。
【0064】
検査機は、この補正値設定モード開始通知を受信すると、疑似電池に流れる疑似充電電流を測定(ステップ23)し、測定した疑似充電電流が設定充電電流値(目標値)と一致するかを判別し、目標値よりも低いあるいは高い場合は、その判別結果に基づいて充電電流増加または減少させる命令をコントロールユニット100に通知し、目標値と等しい場合は、充電電流を維持する命令を通知する(ステップ24)。
【0065】
コントロールユニット100は、検査機からの命令を受け、充電電流IBATを増加または減少させる命令であった場合はその命令に従い充電電流IBATを増加または減少させ、充電電流IBATを維持する命令であった場合は次のステップに進む(ステップ13、14)。なお、ステップ13、14の処理後は、その処理が完了したことを通知する命令処理結果通知を検査機に送信する。
【0066】
検査機は、命令処理結果通知を受け、充電電流IBATを維持する処理を行ったかを判別し、充電電流を維持する処理ではない、つまり充電電流IBATを増加または減少させる処理を行ったと判断したときは、ステップ23に戻って充電電流IBATの再測定を行う処理をし、充電電流IBATを維持する処理であると判断したときは、コントロールユニット100の補正処理が完了したものとし、検査機は、コントロールユニットから補正値設定完了信号を受けるまで待機し、補正値設定完了信号を受信後、検査処理を終了する。
【0067】
コントロールユニット100は、ステップ13で充電電流を維持する命令であったと判断した場合は、そのときの検出電圧変換値v1bat、電池電圧変換値v2batを制御部181が測定し、電池電圧変換値v2batに対応する目標電圧値v1tarを記憶部181eに記憶されたテーブル情報から読み出す(ステップ15、16)。
【0068】
制御部181は読み出した目標電圧値v1tarから入力された検出電圧変換値v1batを減算する演算を行い、演算にて算出された差を補正値v1adjとして記憶部181eに書き込み、その後、検査機に補正値設定完了信号を出力するとともに補正値設定フローを終了する(ステップ17、18)。
【0069】
次に、図11を用いて補正値を反映した電池3の充電動作について説明する。
コントロールユニット100に外部電源が供給されると、実施の形態1と同様に各回路が起動し、充電回路150、制御回路180が動作する。
【0070】
制御部181が動作すると、検査機から補正値設定開始信号があるかを判定(ステップ0)し、補正値設定開始信号が入力されているときは補正値設定フローへ移行する(ステップ6)。
【0071】
ステップ0で補正値設定信号が入力されていないと制御部181が判断したときは、記憶部181eに記憶されている検出電圧変換値v1bat、電池電圧変換値v2batを初期化(ステップ1)し、制御部181は、充電回路150から検出電圧入力値v1bat、電池電圧変換値v2batが入力される(ステップ2)。
【0072】
制御部181は、入力された電池電圧変換値v2batに対応した目標電圧値v1tarを記憶部181eに記憶されたテーブル情報から読み出す(ステップ3)ともに、記憶部181eに記憶された補正値v1adjが0であるかを判別(ステップ7)する。
【0073】
ステップ7で補正値v1adjが0であると判別した場合は、読み出した目標電圧値tarを補正電圧値v1setとして設定(ステップ8)し、ステップ7で補正値v1adjが0以外であると判別した場合は、読み出した目標電圧値v1tarに補正値v1adjを加算して、補正電圧値v1setと設定(ステップ9)する。
【0074】
次に、制御部181に入力された検出電圧変換値v1batがステップ8またはステップ9で設定した補正電圧値v1setと一致するかを判別(ステップ4)し、補正電圧値v1setと一致する場合はステップ2に戻り、補正電圧値v1setと一致しない場合は検出電圧変換値v1batを増減させるように充電電流制御素子151の制御を変更(ステップ5)する。
【0075】
このように、読み出したテーブル情報に補正値v1adjを反映することで、コントロールユニット100を構成する電子部品の部品ばらつきの影響を抑え、精度の高い充電電流IBATとすることができる。
【符号の説明】
【0076】
1000 表示装置、100 コントロールユニット、110 整流回路、111 ヒューズ、112 コンデンサ、113 ダイオードブリッジ、120 第一直流直流変換回路、121 コンデンサ、128 コンデンサ、127 抵抗、122 トランス、126 ダイオード、123 スイッチング素子、124 制御IC、125 フォトカプラ、129 ダイオード、131 ダイオード、132 電解コンデンサ、133 ダイオード、134 ダイオード、135 電解コンデンサ、136 コンデンサ、140 制御電源回路、141 レギュレータ、150 充電回路、151 トランジスタ、152 抵抗、155 抵抗、156 抵抗、153 抵抗、154 抵抗、157 第1の検出部、158 第2の検出部、160 第二直流直流変換回路、161 コンデンサ、162 コイル、163 MOS-FET、164 ダイオード、165 抵抗、166 抵抗、167 コンデンサ、170 点灯回路、171 MOS-FET、172 抵抗、180 制御回路、181 制御部、181a 常用電源制御部、181b 充電制御部、181ba アナログデジタル変換回路、181bb アナログデジタル変換回路、181bc 変換部、181be 比較器、181bf オシレータ、181bg オペアンプ、181bh PWM信号生成部、181c 非常用電源制御部、181d 点灯制御部、181e 記憶部、182 デジタルトランジスタ、183 抵抗、184 抵抗、185 コンデンサ、189 抵抗、188 スイッチ、187 表示部、200 光源部、300 電池、400 本体、500 表示部、510 ピクトグラム(表示パネル)、520 導光板、530 表示部本体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11