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特許7500966回路装置、表示装置、電子機器、移動体及び制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】回路装置、表示装置、電子機器、移動体及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20240611BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240611BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20240611BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 641P
G09G3/20 621E
G09G3/34 J
G09G3/20 642A
G09G3/20 642E
G02F1/133 535
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019232411
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021101199
(43)【公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100166523
【弁理士】
【氏名又は名称】西河 宏晃
(74)【代理人】
【識別番号】100187539
【弁理士】
【氏名又は名称】藍原 由和
(72)【発明者】
【氏名】アナンド クマー アナンダバイラバサミー
(72)【発明者】
【氏名】松田 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】黎 國立
【審査官】橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-139470(JP,A)
【文献】特開2008-304907(JP,A)
【文献】特開2009-244308(JP,A)
【文献】特開2009-109975(JP,A)
【文献】特開2011-145405(JP,A)
【文献】特開2018-031920(JP,A)
【文献】特開2009-116012(JP,A)
【文献】特開2010-224014(JP,A)
【文献】特表2012-525789(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0009456(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0115643(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0140975(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0109165(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101425275(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0169873(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/36
G09G 3/20
G09G 3/34
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、複数の光源を有するバックライトとを含む表示装置に用いられる回路装置であって、
光源駆動値出力部と、
画素値出力部と、
を含み、
前記表示パネルの表示エリアが分割された複数の表示ゾーンの各表示ゾーンに対応して、前記複数の光源の各光源が設けられ、
前記光源駆動値出力部は、
前記複数の表示ゾーンの対象表示ゾーンにおける入力画像の強度画像を前記複数の光源のうち前記対象表示ゾーンに対応する光源の光強度分布に基づいて補正することで、補正強度画像を求め、
前記補正強度画像において最大の補正強度値に基づいて、前記対象表示ゾーンに対応する光源の光源駆動値を求め、
前記画素値出力部は、
記複数の光源の光源駆動値に基づいて前記入力画像の画素値を補正し、補正後の画素値を出力することを特徴とする回路装置。
【請求項2】
請求項1に記載の回路装置において、
前記光源駆動値出力部は、
前記強度画像の各画素における強度値を、前記光強度分布の前記各画素における係数に基づいて補正することで、前記補正強度画像の各画素における前記補正強度値を求めることを特徴とする回路装置。
【請求項3】
請求項2に記載の回路装置において、
前記光源駆動値出力部は、
前記強度画像の各画素における前記強度値を、前記光強度分布の前記各画素における前記係数により除算することで、前記補正強度画像の各画素における前記補正強度値を求めることを特徴とする回路装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の回路装置において、
前記強度画像の前記各画素における前記強度値は、
前記入力画像の前記各画素における第1色成分、第2色成分及び第3色成分の輝度値のうち最大値であることを特徴とする回路装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の回路装置において、
前記入力画像が入力され、前記入力画像から前記強度画像を求める入力画像処理部を含むことを特徴とする回路装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の回路装置において、
前記画素値出力部は、
前記各表示ゾーンについて求められた前記光源駆動値と、前記各表示ゾーンにおける前記光強度分布とに基づいて、前記バックライトが前記表示エリアを照明する明るさ分布を求めることを特徴とする回路装置。
【請求項7】
請求項6に記載の回路装置において、
前記画素値出力部は、
前記明るさ分布に基づいて前記入力画像の画素値を補正し、前記補正後の画素値を出力画像の画素値として出力することを特徴とする回路装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の回路装置において、
前記画素値出力部は、
前記明るさ分布を、前記入力画像の解像度より低解像で求めることを特徴とする回路装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の回路装置において、
前記光強度分布を記憶するメモリーを含み、
前記光源駆動値出力部は、
前記メモリーに記憶された前記光強度分布に基づいて前記強度画像を補正することを特徴とする回路装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の回路装置において、
前記複数の光源の各光源は、LEDであり、
前記表示パネルは、液晶表示パネルであることを特徴とする回路装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の回路装置と、
前記バックライトと、
前記表示パネルと、
を含むことを特徴とする表示装置。
【請求項12】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の回路装置を含むことを特徴とする電子機器。
【請求項13】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の回路装置を含むことを特徴とする移動体。
【請求項14】
表示パネルと、複数の光源を有するバックライトとを含み、前記表示パネルの表示エリアが分割された複数の表示ゾーンの各表示ゾーンに対応して前記複数の光源の各光源が設けられる表示装置の制御方法であって、
前記複数の表示ゾーンの対象表示ゾーンにおける入力画像の強度画像を前記複数の光源のうち前記対象表示ゾーンに対応する光源の光強度分布に基づいて補正することで、補正強度画像を求め、
前記補正強度画像のうちの最も補正強度値が高い画素の前記補正強度値に基づいて、前記対象表示ゾーンに対応する光源駆動値を求め、
記複数の光源の光源駆動値に基づいて前記入力画像の画素値を補正し、補正後の画素値を出力することを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路装置、表示装置、電子機器、移動体及び制御方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置において、バックライトとして複数の光源を配置し、その各光源の輝度を個別に制御するローカルディミングの技術が知られている。特許文献1、2には、ローカルディミングにおいて光源輝度を補正する技術が開示されている。具体的には、特許文献1には、表示パネルのエッジ部分において光源の光が反射されるが、その反射の影響を抑制することで、表示パネルのエッジ部分において所望の明るさを得る技術が開示されている。特許文献2には、1つのブロックに1つのLEDが配置されるような複数のブロックに、液晶パネルの表示エリアを分割し、注目ブロックの周辺ブロックのLED輝度を、近似輝度を用いて補正する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-192963号公報
【文献】特開2019-120774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表示画像における画素の輝度は、その画素の透過率と、その画素を照明する光源の輝度とによって決まっている。ローカルディミングでは、所望の画素の輝度が得られる範囲で、光源の輝度ができるだけ小さくなるように、画素の透過率及び光源の輝度を制御することで、表示画像のコントラストを向上させる。このようなローカルディミングにおいて、照明光の光強度が不足することによって表示画像の高輝度部の輝度が不足する現象を、クリッピングと呼ぶ。
【0005】
表示パネルの表示エリアを、1つの表示ゾーンに1つの光源が配置されるような複数の表示ゾーンに分割したとする。このとき、表示パネルを照明する光源は、光源から離れるほど光強度が小さくなるような光強度分布を有する。このため、表示ゾーンの中央よりも周辺部において光強度が小さくなる。この光源の光強度分布をPSFと呼ぶ。このPSFによって、表示ゾーンの周辺部において照明光の光強度が不足し、クリッピングが発生するという課題がある。クリッピングが発生すると高輝度部が本来の輝度にならないため、コントラストが低下する。このようなPSFにより生じるクリッピングを補正する技術は、上記従来技術には開示されていない。なお、PSFは、Point Spread Functionの略である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、表示パネルと、複数の光源を有するバックライトとを含む表示装置に用いられる回路装置であって、前記複数の光源の光源駆動値を出力する光源駆動値出力部と、前記光源駆動値に基づいて入力画像の画素値を補正し、補正後の画素値を出力する画素値出力部と、を含み、前記表示パネルの表示エリアが分割された複数の表示ゾーンの各表示ゾーンに対応して、前記複数の光源の各光源が設けられ、前記光源駆動値出力部は、前記複数の表示ゾーンの対象表示ゾーンにおける前記入力画像の強度画像を、前記対象表示ゾーンに対応する光源の光強度分布に基づいて補正することで、補正強度画像を求め、前記補正強度画像において最大の補正強度値に基づいて前記光源駆動値を求める回路装置に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】表示装置の構成例。
図2】バックライト及び表示パネルの構成例。
図3】光源のPSFにより発生するクリッピングについての説明図。
図4】回路装置の構成例。
図5】対象表示ゾーン及び対象光源の説明図。
図6】PSFの光強度分布の例。
図7】光源駆動値算出部の動作を説明する図。
図8】明るさ分布算出部の動作を説明する図。
図9】制御方法の手順を示すフローチャート。
図10】電子機器の構成例。
図11】移動体の例。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが必須構成要件であるとは限らない。
【0009】
1.表示装置
図1は、本実施形態の回路装置100を含む表示装置20の構成例である。表示装置20はバックライト制御回路21とバックライト22と表示制御回路23と表示パネル24と回路装置100とを含む。
【0010】
図2は、バックライト22及び表示パネル24の構成例である。図2において、方向D1は表示パネル24の水平走査方向であり、方向D2は表示パネル24の垂直走査方向である。方向D3は、方向D1及びD2に直交し、且つ表示パネル24を平面視する方向である。バックライト22は、表示パネル24の方向D3側に設けられており、方向D3とは反対方向に、即ち表示パネル24に向けて照明光を出射する。
【0011】
バックライト22は複数の光源LGを含む。図2には、8×5個の光源LGが2次元アレイ状に配置された例を図示する。即ち、方向D1に沿って8個の光源LGが並び、方向D2に沿って5個の光源LGが並ぶ。光源LGは、例えばLEDである。LEDはLight Emitting Diodeの略である。なお光源LGはLEDに限定されず、独立に光量が制御され且つ点光源に近い光源であればよい。点光源に近い光源とは、光源LGの発光部の大きさが、その光源LGに対応した表示ゾーンZNよりも十分に小さい光源ということである。
【0012】
表示パネル24は画素アレイを有し、その画素アレイにおいて表示画像が表示されるエリアを表示エリアとする。表示エリアは複数の表示ゾーンZNに分割される。各表示ゾーンZNには各光源LGが対応して配置される。即ち、1つの表示ゾーンZNに1つの光源LGが対応している。例えば表示パネル24を平面視したとき、表示ゾーンZNの中心に光源LGが配置される。但し、光源LGの配置位置はこれに限定されない。図2では、8×5個の光源LGに対応して、表示エリアが8×5個の表示ゾーンZNに分割される。なお、表示ゾーンZNは回路装置100における処理に用いられるものであり、表示パネル24に実際に表示される表示画像において表示ゾーンZNの境界があるわけではない。表示パネル24は、表示画像に応じて各画素の透過率が制御され、その各画素がバックライト22の照明光を透過することによって表示画像を表示するようなパネルである。例えば表示パネル24は液晶表示パネルである。
【0013】
図1に示すように、回路装置100は入力画像RGBinを受信し、その入力画像RGBinに基づいて光源駆動値Ldrv及び出力画像RGBoutを出力する。これらの入出力はデジタルデータである。即ち、入力画像RGBinと出力画像RGBoutは画像データであり、光源駆動値Ldrvはデジタル値である。例えば、回路装置100は、IC(Integrated Circuit)と呼ばれる集積回路装置である。回路装置100は、半導体プロセスにより製造されるICであり、半導体基板上に回路素子が形成された半導体チップである。
【0014】
バックライト制御回路21は、光源駆動値Ldrvに基づいてバックライト22を制御する。具体的には、回路装置100は複数の光源LGの各々に対応して光源駆動値を出力し、バックライト制御回路21は、その光源駆動値に基づいて各光源LGの光量を制御する。バックライト制御回路21は、例えば複数の光源LGを駆動する複数の駆動回路により構成される。
【0015】
表示制御回路23は、出力画像RGBoutを表示パネル24に表示させる制御を行う。具体的には、表示制御回路23は、水平同期及び垂直同期の制御信号を表示パネル24に出力すると共に、出力画像RGBoutに基づく画像信号を出力することで、表示パネル24の画素に電圧を書き込む。これにより画素の透過率が制御され、出力画像RGBoutが表示パネル24に表示される。表示制御回路23は、例えば表示ドライバーである。
【0016】
なお、バックライト制御回路21及び表示制御回路23は、回路装置100と共に1つの集積回路装置として構成されてもよい。
【0017】
図3を用いて、光源LGのPSFにより発生するクリッピングについて説明する。PSFは、点広がり関数とも呼ばれ、1つの光源LGが出射した光の光強度分布を示す。具体的には、PSFは、光源LGから表示パネル24に到達する光の強度分布を2次元の係数マトリクスで示したものである。この光強度分布は、表示パネル24に対する平面視において光源LGの位置から距離が遠いほど強度が小さくなるような分布になっている。PSFは正規化された関数になっており、例えば光源LGの位置における光強度分布の係数が1となるように正規化されている。ここで光強度値とは、光源の強度分布における特定位置での光の強度のことである。
【0018】
図3では、1つの表示ゾーンZNと、その表示ゾーンZNに対応して設けられた光源LGとに着目して説明する。但し、光源LGのPSFは表示ゾーンZNの外側にも広がっている。図3の上から第1図、第2図、第3図、第4図とする。
【0019】
第1図に示すように、表示ゾーンZN内の画像に高輝度部BSPが存在し、それ以外のエリアは暗部であるとする。表示パネルに対する平面視において高輝度部BSPと光源LGを通る直線AA’を考える。直線AA’における高輝度部BSPの位置をxとする。
【0020】
第2図は、直線AA’における画像の輝度分布である。画像の輝度は、高輝度部BSPである位置xにおいて、暗部である周囲よりも大きくなっている。
【0021】
第3図は、直線AA’における光強度分布である。ここでの光強度分布は、正規化されたPSFではなく、光源が実際に出射した光の強度分布を示すものとする。実線で示されたKHaは、PSFを考慮した光強度分布であり、点線で示されたKHbは、表示ゾーンZNが均一な光強度で照明されると仮定したときの光強度分布である。高輝度部BSPは光源LGから離れているため、光強度分布KHaにおける位置xの光強度値は、光強度分布KHbにおける位置xの光強度値に対して、ΔKHだけ小さくなっている。
【0022】
第4図は、直線AA’における透過光強度分布である。透過光は、表示パネルの画素を透過した光のことである。画像の輝度に応じて画素の透過率が制御されるので、画像の輝度分布と光源の光強度分布に応じて透過光強度が決まる。TUaは、PSFを考慮したときの透過光強度分布であり、TUbは、光強度分布が均一であると仮定したときの透過光強度分布である。第4図に示すように、透過光強度分布TUaにおける位置xの透過光強度BRIaは、透過光強度分布TUbにおける位置xの透過光強度BRIbよりも小さい。これは、第3図で説明したように、PSFにより光源の光強度が位置xでΔKHだけ減衰しているからである。
【0023】
以上のように、光源のPSFによって高輝度部BSPの透過光強度BRIaは、本来得られるべき透過光強度BRIbに比べて小さくなっている。即ち、PSFによって高輝度部BSPの明るさがクリッピングされている。このため、高輝度部BSPと暗部のコントラストが、本来得られるべきコントラストより低下してしまい、PSFによってコントラストが不足するという課題がある。
【0024】
2.回路装置
図4は、本実施形態の回路装置100の構成例である。回路装置100は、処理回路110とメモリー120とを含む。
【0025】
メモリー120はPSF情報121を記憶する。PSF情報121は、PSFの光強度分布を表す情報であり、その詳細は図6等で後述する。メモリー120はRAM又は不揮発性メモリー等の半導体メモリーである。PSF情報121は、不揮発性メモリーであるメモリー120に予め記憶されていてもよいし、或いは、回路装置100の起動後において、RAMであるメモリー120に回路装置100外部の処理装置等から書き込まれてもよい。
【0026】
処理回路110は、入力画像RGBinとPSF情報121に基づいて光源駆動値Ldrvと出力画像RGBoutを出力する。処理回路110は、デジタル処理を行うロジック回路である。或いは、処理回路110は、CPU、マイクロコンピューター又はDSP等のプロセッサーであってもよい。処理回路110は、入力画像処理部130と光源駆動値出力部150と画素値出力部190とアクセス部180とを含む。これらの各部は、それぞれ個別の回路として構成されてもよい。或いは、これら各部の機能を記述したプログラムをプロセッサーが実行することで、各部の機能が実現されてもよい。
【0027】
入力画像処理部130には入力画像RGBinが入力され、入力画像処理部130は、その入力画像RGBinから強度画像Lintを求める。入力画像RGBinは2次元マトリックスデータであり、その各画素に対応したデータは、第1色成分、第2色成分、及び第3色成分の輝度値を有している。輝度値は画素値とも呼ばれ、画像データ上における色成分の輝度を示す値である。なお以下では、第1色成分を赤色成分とし、第2色成分を緑色成分とし、第3色成分を青色成分とする。
【0028】
入力画像処理部130は、下式(1)により強度画像Lintを求める。Lint(X,Y)は、画素位置(X,Y)における強度値である。Xは水平走査方向の位置であり、Yは垂直走査方向の位置である。Lred(X,Y)は、(X,Y)における赤色成分の輝度値であり、Lgreen(X,Y)は、(X,Y)における緑色成分の輝度値であり、Lblue(X,Y)は、(X,Y)における青色成分の輝度値である。maxは、赤色成分、緑色成分、及び青色成分の輝度値のうち最大値を選択する演算である。以上のように強度値とは、強度画像の特定の位置における値である。換言すれば、強度値の画像全体における集合として強度画像が定義されるとも言える。
【0029】
【数1】
【0030】
上式(1)により求められた強度画像Lintは、入力画像RGBinと同じ画素数を有する2次元マトリックスデータである。強度画像Lintは、1つの表示ゾーンZNではなく入力画像RGBinの全体に対して求められる。強度画像Lintの各画素は1つの強度値のみを有しており、その強度値は、表示における画素の輝度を実現するために必要な光源の光強度を示す指標となっている。即ち、強度値が大きいほど、光強度を大きくすることが要求される。
【0031】
光源駆動値出力部150は、強度画像LintとPSF情報121に基づいて、複数の光源LGの光源駆動値Ldrvを出力する。強度画像Lintは、入力画像RGBinの全体に対して求められているが、1つの光源LGに対する光源駆動値Ldrvは、その光源LGに対応した表示ゾーンZN内の強度画像Lintから求められる。
【0032】
図5に示すように、演算の対象としている表示ゾーンを対象表示ゾーンと呼ぶこととする。図5では、対象表示ゾーンをZN5とする。対象表示ゾーンZN5は、図2に示す複数の表示ゾーンZNのうち任意の1つである。表示ゾーンZN1~ZN4、ZN6~ZN9は対象表示ゾーンZN5に隣り合う表示ゾーンである。対象表示ゾーンZN5に設けられる光源を対象光源LG5と呼ぶ。また周辺の表示ゾーンZN1~ZN4、ZN6~ZN9には光源LG1~LG4、LG6~LG9が設けられる。光源駆動値出力部150は、対象表示ゾーンZN5内の強度画像Lintを用いて対象光源LG5の光源駆動値Ldrvを求める。
【0033】
例えば、光源駆動値出力部150は、図2に示す複数の光源LGを順次に対象光源として選択していき、その選択した光源の光源駆動値Ldrvを順次に求めていくことで、複数の光源LGの全てに対して光源駆動値Ldrvを求める。以下、図5の対象表示ゾーンZN5及び対象光源LG5を例にとって光源駆動値出力部150の動作を説明する。
【0034】
光源駆動値出力部150は、強度画像補正部152と光源駆動値算出部154とを含む。
【0035】
強度画像補正部152は、対象表示ゾーンZN5における強度画像Lintを対象光源LG5の光強度分布に基づいて補正することで、補正強度画像Lledを求める。具体的には、強度画像補正部152は下式(2)により補正強度画像Lledを求める。(X,Y)ZN5は対象表示ゾーンZN5内の画素位置である。fPSFは対象光源LG5のPSFである。fPSF(X,Y)ZN5は、画素位置(X,Y)ZN5におけるPSF(光強度分布)の係数である。Lled(X,Y)ZN5は、強度画像Lintの強度値がPSFにより補正された値であり、これを補正強度値と呼ぶこととする。
【0036】
【数2】
【0037】
図6にPSFの光強度分布の例を示す。図6では光強度分布をグラデーションで示しており、白いほど光強度分布の係数が大きい。アクセス部180は、対象光源LG5に対応したPSF情報をメモリー120から読み出し、強度画像補正部152に出力する。なおPSF情報は複数の光源LGに共通していてもよいし、個別に設定されていてもよい。PSF情報は、所定サイズのエリア内において光強度分布が定義された2次元マトリックスデータである。サイズとは、(水平走査方向の画素数)×(垂直走査方向の画素数)のことである。図6では、PSFのサイズは3×3個の表示ゾーンに対応しており、PSFの中心が光源LG5の位置に配置されている。上式(2)のfPSF(X,Y)ZN5は、図6のようにPSFを配置した状態における画素位置(X,Y)ZN5の光強度分布の係数を意味している。
【0038】
なお、強度画像補正部152は表示ゾーンのサイズを算出した後に補正強度画像を算出してもよい。具体的には、PSF情報121が表示ゾーンのサイズ情報を含み、そのサイズ情報を用いて強度画像補正部152が表示ゾーンのサイズを算出する。表示ゾーンのサイズ情報は、表示ゾーンのサイズを示す情報であればよく、例えば表示ゾーンのそのものであってもよいし、或いはPSFのサイズとPSFの分割数とであってもよい。PSFの分割数が例えば3×3個であった場合、PSFのサイズを3×3分割したサイズが表示ゾーンのサイズとなる。強度画像補正部152は、求めた表示ゾーンのサイズを用いて、表示エリアを複数の表示ゾーンに分割する。
【0039】
光源駆動値算出部154は、補正強度画像Lledにおいて最大の補正強度値に基づいて光源駆動値Ldrvを求める。具体的には、下式(3)により光源駆動値を求める。Ldrv[LG5]は、対象光源LG5の光源駆動値である。maxは、対象表示ゾーンZN5内の補正強度値Lled(X,Y)ZN5のうち最大値を選択する演算である。
【0040】
【数3】
【0041】
図7は、光源駆動値算出部154の動作を説明する図である。図3の第1図と同様に、直線AA’における位置xに高輝度部BSPがあるとする。
【0042】
入力画像処理部130が算出した強度画像Lintにおいて、強度値は位置xにおいて最大である。PSFの光強度分布fPSFにおいて、faに示すように表示ゾーンの中央よりも周辺部で光強度が低下する。ここではfPSFの最大値が1となるように正規化されている。点線で示すfbは、表示ゾーン内で光強度が一定であると仮定したときの光強度分布である。
【0043】
強度画像補正部152は、上式(2)で説明したように、強度画像Lintを光強度分布fPSFで除算することで、補正強度画像Lledを求める。光源駆動値算出部154は、上式(3)で説明したように、補正強度画像Lledにおいて最大の補正強度値を光源駆動値Ldrvとして求める。補正強度画像LledはPSFによって補正されているので、PSFで強度画像Lintを補正しなかった場合の光源駆動値Ldrv’に比べて大きな値となる。
【0044】
光源が出射する光の光強度分布は、光源駆動値LdrvとPSFの光強度分布fPSFを乗算した分布に相当する。点線で示すKHaは、光源駆動値Ldrv’を用いた場合の光強度分布であり、図3の第3図のKHaに相当する。即ちKHaは、PSFで強度画像Lintを補正しなかった場合において、光源が出射する光の光強度分布である。KHaの最大値であるLdrv’は、図3の第3図のKHbに相当しており、光強度が一定と仮定したときの光強度である。このLdrv’に対して、位置xにおけるKHaの光強度値はΔKHだけ小さい。
【0045】
実線で示すKHcは、PSFが考慮された光源駆動値Ldrvを用いた場合の光強度分布である。上述したようにLdrv>Ldrv’なので、位置xにおいてKHcの光強度値はKHaの光強度値より大きい。この増加分をΔKHとすると、位置xにおいてKHcの光強度値はLdrv’となる。即ち、光強度が一定と仮定したときの光強度が、位置xにおいて得られていることになる。
【0046】
図3で説明したように、PSFの影響により位置xにおいて光強度値がΔKHだけ低下したことで高輝度部BSPがクリッピングするという課題があるが、本実施形態では、上記のようにPSFを考慮して光源駆動値Ldrvが求められているため、位置xにおける光強度値の低下分ΔKHがキャンセルされている。これにより、高輝度部BSPがクリッピングせず、所望の輝度が得られるので、コントラストが低下しない。
【0047】
一方で、光源駆動値Ldrvを大きくしすぎると、光源の輝度が大きくなり、暗部の光漏れ等によって暗部の明るさが上昇してしまい、コントラストが低下する。即ち、ローカルディミングのコントラスト上昇効果を高めるためには、光源輝度を出来るだけ小さくしておくことが望まれる。本実施形態では、高輝度部BSPにおいて必要な光強度を確保しつつ、その確保が可能な範囲で光源輝度を最小限にとどめることが可能である。これにより、高輝度部BSPのクリッピングを避け、且つ暗部の明るさ上昇を抑制できるので、ローカルディミングのコントラスト上昇効果を高めることができる。
【0048】
次に画素値出力部190について説明する。画素値出力部190は、光源駆動値Ldrvに基づいて入力画像RGBinの画素値を補正し、その補正後の画素値を出力する。補正後の画素値で構成された画像を出力画像RGBoutとする。画素値出力部190は、明るさ分布算出部192と画素値算出部194とを含む。
【0049】
明るさ分布算出部192は、各表示ゾーンについて求められた光源駆動値Ldrvと、各表示ゾーンにおけるPSFの光強度分布とに基づいて、バックライト22が表示エリアを照明する明るさ分布LFSを求める。以下、対象表示ゾーンZN5における明るさ分布LFSを求める場合を説明する。
【0050】
図8は、明るさ分布算出部192の動作を説明する図である。明るさ分布算出部192は、対象光源LG5だけでなく、その周囲の光源LG1~LG4、LG6~LG9も考慮して明るさ分布LFSを求める。具体的には、明るさ分布算出部192は下式(4)により明るさ分布LFSを求める。
【0051】
【数4】
【0052】
上式(4)において、LFS(X,Y)ZN5は、対象表示ゾーンZN5の位置(X,Y)における明るさである。fPSF[LGi]は、光源LGiのPSFの光強度分布である。アクセス部180はメモリー120からfPSF[LGi]をPSF情報121として読み出して明るさ分布算出部192に出力する。Ldrv[LGi]は、光源LGiに対する光源駆動値である。
【0053】
図8には例としてfPSF[LG1]を示している。fPSF[LG1](X,Y)ZN5は、図8のように、PSFを係数とした光強度分布を有しているLG1が光源である状態における画素位置(X,Y)ZN5の光強度分布の係数を意味している。ここではi=1の例を説明したが、i=2~9の場合も同様である。なお、図8及び上式(4)では対象光源LG5を中心とする3×3個の光源を考慮しているが、明るさ分布LFSを求める際に考慮する光源の個数は3×3個に限定されない。
【0054】
画素値算出部194は、明るさ分布LFSに基づいて入力画像RGBinの画素値を補正し、その補正後の画素値を出力画像RGBoutの画素値として出力する。この補正は、対象表示ゾーンZN5ではなく入力画像RGBinの全体に対して行われる。具体的には、画素値算出部194は下式(5)により出力画像RGBoutを求める。
【0055】
【数5】
【0056】
上式(5)において、RGBout(X,Y)は、出力画像RGBoutの位置(X,Y)における画素値である。RGBin(X,Y)は、入力画像RGBinの位置(X,Y)における画素値である。LFS(X,Y)は、明るさ分布LFSの位置(X,Y)における明るさである。なお、RGBin(X,Y)は、赤色成分の輝度値Lred(X,Y)と、緑色成分の輝度値Lgreen(X,Y)と、青色成分の輝度値Lblue(X,Y)とを含む。上式(5)における除算は、各色成分について実行される。即ち、RGBout(X,Y)は、赤色成分の輝度値Lred(X,Y)/LFS(X,Y)と、緑色成分の輝度値Lgreen(X,Y)/LFS(X,Y)と、青色成分の輝度値Lblue(X,Y)/LFS(X,Y)とを含む。
【0057】
以上のように明るさ分布LFSにより画素値を補正することで、バックライト22が表示パネル24を照明するときの光ムラをキャンセルするような出力画像RGBoutが得られる。即ち、出力画像RGBoutが表示パネル24に表示され、その表示パネル24がバックライト22に照明されたとき、その透過光強度は、RGBout×LFS=(RGBin/LFS)×LFS=RGBinとなる。これにより、バックライト22の光ムラがキャンセルされた表示画像が表示される。
【0058】
なお、上式(4)では明るさ分布算出部192が入力画像RGBinと同じ解像度で明るさ分布LFSを求めているが、明るさ分布算出部192が入力画像RGBinの解像度より低解像で明るさ分布LFSを求めてもよい。例えば、nを2以上の整数とし、対象表示ゾーンZN5を10n×10n画素としたしたとき、明るさ分布LFSをn×n画素で求めてもよい。この場合、明るさ分布LFSの解像度は、水平走査方向と水平走査方向共に、入力画像RGBinの解像度の1/10である。例えば、入力画像RGBinの解像度に対して1/10の解像度のPSF情報をメモリー120に記憶させておき、そのPSF情報を用いて明るさ分布LFSを算出すればよい。
【0059】
3.制御方法、電子機器、移動体
図9は、本実施形態における制御方法の手順を示すフローチャートである。
【0060】
ステップS1において、入力画像処理部130は入力画像RGBinを取得する。ステップS2において、入力画像処理部130は、入力画像RGBinから強度画像Lintを求める。強度画像Lintの算出手法は上式(1)で説明した通りである。ステップS3において、アクセス部180はPSF情報121をメモリー120から取得して強度画像補正部152と明るさ分布算出部192に出力する。ステップS4において、強度画像補正部152は、強度画像LintとPSF情報121から補正強度画像Lledを求める。補正強度画像Lledの算出手法は上式(2)で説明した通りである。ステップS5において、光源駆動値算出部154は補正強度画像Lledから光源駆動値Ldrvを求める。光源駆動値Ldrvの算出手法は上式(3)で説明した通りである。ステップS6において、明るさ分布算出部192は光源駆動値LdrvとPSF情報121から明るさ分布LFSを求める。明るさ分布LFSの算出手法は上式(4)で説明した通りである。ステップS7において、画素値算出部194は入力画像RGBinと明るさ分布LFSから出力画像RGBoutを求める。出力画像RGBoutの算出手法は上式(5)で説明した通りである。
【0061】
図10は、本実施形態の回路装置100を含む電子機器300の構成例である。電子機器300は、処理装置310、表示装置20、記憶装置350、操作装置360、通信装置370を含む。表示装置20は回路装置100を含む。処理装置310は、CPU又はマイクロコンピューター等のプロセッサーである。電子機器300としては、車載用の電子機器、携帯情報処理端末、携帯ゲーム端末、工場設備等の表示端末、ロボットに搭載された表示装置、又は情報処理装置等の種々の機器を想定できる。車載用の電子機器は、例えばメーターパネル等である。
【0062】
処理装置310は、記憶装置350に記憶された画像データ、又は通信装置370が受信した画像データを回路装置100に転送する。回路装置100は、受信した画像データを入力画像として光源駆動値及び出力画像を求め、光源駆動値をバックライト制御回路に出力し、出力画像を表示制御回路に出力する。バックライト制御回路は光源駆動値に基づいてバックライトの各光源の輝度を制御し、表示制御回路は出力画像を表示パネルに表示させる制御を行う。記憶装置350は、例えばメモリー、或いはハードディスクドライブ、或いは光学ディスクドライブ等である。記憶装置350は、画像データを一時記憶したり、或いは処理装置310のワークメモリーとして機能する。操作装置360は、電子機器300をユーザーが操作するための装置であり、例えばボタンや、或いはタッチパネルや、或いはキーボード等である。通信装置370は、例えば有線通信を行う装置、或いは無線通信を行う装置である。有線通信は、例えばLAN、又はUSB等である。無線通信は、例えば無線LANや、無線近接通信等である。
【0063】
図11は、本実施形態の回路装置100を含む移動体の例である。移動体は、回路装置100と、回路装置100に画像データを送信する処理装置310と、を含む。移動体は、表示装置20と制御装置208とを含む。制御装置208はECU(Electronic Control Unit)であり、ECUに処理装置310が組み込まれる。また表示装置20に回路装置100が組み込まれる。本実施形態の回路装置100は、例えば、車、飛行機、バイク、自転車、或いは船舶等の種々の移動体に組み込むことができる。移動体は、例えばエンジンやモーター等の駆動機構、ハンドルや舵等の操舵機構、各種の電子機器を備えて、地上や空や海上を移動する機器又は装置である。図11は移動体の具体例としての自動車206を概略的に示している。制御装置208は、例えば車体207の姿勢に応じてサスペンションの硬軟を制御したり、個々の車輪209のブレーキを制御する。表示装置20は、例えば自動車206のメーターパネルとして機能する。
【0064】
以上に説明した本実施形態の回路装置は、表示装置に用いられる。表示装置は、表示パネルと、複数の光源を有するバックライトとを含む。回路装置は、複数の光源の光源駆動値を出力する光源駆動値出力部と、光源駆動値に基づいて入力画像の画素値を補正し、補正後の画素値を出力する画素値出力部と、を含む。表示パネルの表示エリアが分割された複数の表示ゾーンの各表示ゾーンに対応して、複数の光源の各光源が設けられる。光源駆動値出力部は、複数の表示ゾーンの対象表示ゾーンにおける入力画像の強度画像を、対象表示ゾーンに対応する光源の光強度分布に基づいて補正することで、補正強度画像を求め、補正強度画像において最大の補正強度値に基づいて光源駆動値を求める。
【0065】
本実施形態によれば、光源の光強度分布に基づいて強度画像が補正され、その補正強度画像において最大の補正強度値に基づいて光源駆動値が求められる。これにより、表示ゾーンの周辺部においてPSFの影響で光強度が低下している場合であっても、その低下分が補正された補正強度画像に基づいて光源駆動値が求められるので、PSFの影響によるクリッピングが低減される。
【0066】
また本実施形態では、光源駆動値出力部は、強度画像の各画素における強度値を、光強度分布の各画素における係数に基づいて補正することで、補正強度画像の各画素における補正強度値を求めてもよい。
【0067】
強度画像は光強度分布を考慮しない強度値となっているため、その強度画像から光源駆動値を求めるとクリッピングが発生する可能性がある。本実施形態によれば、強度画像の各画素における強度値が、光強度分布の各画素における係数に基づいて補正されることで、光強度分布を考慮した補正強度画像が求められる。その補正強度画像から光源駆動値が求められることで、クリッピングが低減される。
【0068】
また本実施形態では、強度画像の各画素における強度値は、入力画像の各画素における第1色成分、第2色成分及び第3色成分の輝度値のうち最大値であってもよい。
【0069】
各画素の強度値は、その画素に必要な光強度を示す指標となっている。色成分の輝度値が高いほど、その色成分に必要な光強度が大きいので、第1色成分、第2色成分及び第3色成分の輝度値のうち最大値が強度値として選択されることで、その画素の強度値が求められる。
【0070】
また本実施形態では、回路装置は入力画像処理部を含んでもよい。入力画像処理部は、入力画像が入力され、入力画像から強度画像を求めてもよい。
【0071】
本実施形態によれば、入力画像処理部が入力画像から強度画像を求めることで、強度画像補正部が、その強度画像を補正して補正強度画像を求めることができる。
【0072】
また本実施形態では、画素値出力部は、各表示ゾーンについて求められた光源駆動値と、各表示ゾーンにおける光強度分布とに基づいて、バックライトが表示エリアを照明する明るさ分布を求めてもよい。
【0073】
表示ゾーンは、その表示ゾーンに対応する光源からの光だけでなく、その周辺の表示ゾーンに対応する光源からの光によっても照明されている。本実施形態によれば、各表示ゾーンについて求められた光源駆動値と、各表示ゾーンにおける光強度分布とに基づいて、明るさ分布が求められることで、表示エリアを照明する明るさ分布が求められる。
【0074】
また本実施形態では、画素値出力部は、明るさ分布に基づいて入力画像の画素値を補正し、補正後の画素値を出力画像の画素値として出力してもよい。
【0075】
ローカルディミングにおいて複数の光源が配置され、各光源はPSFにより光強度分布を有するので、表示パネルを照明する照明光には光ムラが生じる。本実施形態によれば、明るさ分布に基づいて入力画像の画素値が補正されることで、光ムラをキャンセルするような出力画像が得られる。
【0076】
また本実施形態では、画素値出力部は、明るさ分布を、入力画像の解像度より低解像で求めてもよい。
【0077】
本実施形態によれば、明るさ分布が、入力画像の解像度より低解像で求められることで、明るさ分布算出の処理負荷が低減される。
【0078】
また本実施形態では、回路装置は、光強度分布を記憶するメモリーを含んでもよい。光源駆動値出力部は、メモリーに記憶された光強度分布に基づいて強度画像を補正してもよい。
【0079】
本実施形態によれば、メモリーに予め光強度分布を記憶させ、或いは回路装置の外部からメモリーに光強度分布を書き込むことが可能となる。そして、そのメモリーに記憶された光強度分布に基づいて強度画像が補正されることで、ローカルディミングにおけるクリッピングを低減できる。PSFの光強度分布は、光源の機種又は個体差に応じて異なっているので、その違いに応じた光強度分布をメモリーに記憶させることで、様々な光源の機種又は個体差に対応できる。
【0080】
また本実施形態では、複数の光源の各光源は、LEDであってもよい。表示パネルは、液晶表示パネルであってもよい。
【0081】
また本実施形態の表示装置は、上記のいずれかに記載の回路装置と、バックライトと、表示パネルと、を含む。
【0082】
また本実施形態の電子機器は、上記のいずれかに記載の回路装置を含む。
【0083】
また本実施形態の移動体は、上記のいずれかに記載の回路装置を含む。
【0084】
また本実施形態の制御方法は、表示装置の制御方法である。表示装置は、表示パネルと、複数の光源を有するバックライトとを含む。表示パネルの表示エリアが分割された複数の表示ゾーンの各表示ゾーンに対応して複数の光源の各光源が設けられる。制御方法は、複数の表示ゾーンの対象表示ゾーンにおける入力画像の強度画像を、対象表示ゾーンに対応する光源の光強度分布に基づいて補正することで、補正強度画像を求める。制御方法は、補正強度画像のうちの最も補正強度値が高い画素の補正強度値に基づいて光源駆動値を求める。制御方法は、光源駆動値に基づいて、入力画像の画素値を補正し、補正後の画素値を出力する。
【0085】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。また回路装置、表示装置、電子機器及び移動体等の構成及び動作等、及び制御方法も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0086】
20…表示装置、21…バックライト制御回路、22…バックライト、23…表示制御回路、24…表示パネル、100…回路装置、110…処理回路、120…メモリー、121…PSF情報、130…入力画像処理部、150…光源駆動値出力部、152…強度画像補正部、154…光源駆動値算出部、180…アクセス部、190…画素値出力部、192…明るさ分布算出部、194…画素値算出部、206…自動車、207…車体、208…制御装置、209…車輪、300…電子機器、310…処理装置、350…記憶装置、360…操作装置、370…通信装置、LFS…明るさ分布、LG,LG1~LG9…光源、Ldrv…光源駆動値、Lint…強度画像、Lled…補正強度画像、RGBin…入力画像、RGBout…出力画像、ZN,ZN1~ZN9…表示ゾーン
図1
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